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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】空調用吹出口装置、及び、同組立方法
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20220520BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20220520BHJP
   B60K 37/00 20060101ALI20220520BHJP
   F24F 13/06 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
B60H1/34 651B
B60R13/02 Z
B60K37/00 D
F24F13/06 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019048932
(22)【出願日】2019-03-15
(65)【公開番号】P2020147247
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】508309887
【氏名又は名称】森六テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】三摩 幸弘
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-253023(JP,A)
【文献】特開平11-208263(JP,A)
【文献】特開2001-180332(JP,A)
【文献】特開2004-183906(JP,A)
【文献】実開昭59-196331(JP,U)
【文献】実開平06-022054(JP,U)
【文献】国際公開第2015/163147(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00 - 3/06
B60R 13/02
B60K 37/00
F24F 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調用開口が開けられている支持部材と、
前記空調用開口の一部に臨むよう前記支持部材に支持され、空調装置から送られる風が通過可能な吹出部と、
前記空調用開口の残部に臨むよう前記支持部材に支持され、前記空調用開口の一部を覆っている蓋部材と、を有し、
前記支持部材は、前記吹出部及び/又は前記蓋部材を取り付けるための部品支持部を有し、
この部品支持部には、締結部材が締結されているボス座が含まれ、
前記吹出部は、前記ボス座に当接している取付座面部を有し、
前記取付座面部には、前記締結部材が挿通されている締結部材貫通穴が開けられ、
前記蓋部材は、前記ボス座に向かってスイング可能に設けられ前記支持部材及び/又は前記吹出部に当接している挟持部を有し、
この挟持部は、前記ボス座と共に前記取付座面部を挟み込んでいることを特徴とする空調用吹出口装置。
【請求項2】
前記締結部材貫通穴の内径は、前記ボス座の外径より大きく設定され、
前記ボス座の先端は、前記挟持部に当接していることを特徴とする請求項1記載の空調用吹出口装置。
【請求項3】
前記蓋部材は、前記挟持部と共にスイング可能な仮止部をさらに有し、
この仮止部は、前記取付座面部の縁に係止されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の空調用吹出口装置。
【請求項4】
前記蓋部材は、前記取付座面部が係合される取付座面係合部を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の空調用吹出口装置。
【請求項5】
前記蓋部材は、略矩形状の蓋部材本体を含み、
前記取付座面係合部は、前記蓋部材本体の1つの角に隣接した位置に形成され、
前記取付座面係合部が形成されている角の対角となる角に隣接して、前記吹出部が係合される第2の吹出部係合部が形成されていることを特徴とする請求項4記載の空調用吹出口装置。
【請求項6】
前記部品支持部は、前記吹出部を貫通している位置決めピンを含むことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか1項記載の空調用吹出口装置。
【請求項7】
空調用開口が形成されている支持部材と、空調装置から送られる風が通過可能な吹出部と、スイング可能に設けられた挟持部を有する蓋部材と、を準備する準備工程と、
前記空調用開口に臨むよう、前記蓋部材を前記支持部材に仮固定し前記空調用開口を塞ぐ蓋部材仮固定工程と、
前記蓋部材が仮固定された前記支持部材の前記空調用開口に臨むよう、前記吹出部を仮固定する吹出部仮固定工程と、
仮固定された前記吹出部に前記挟持部を重ねて、前記支持部材と共に前記吹出部を挟み込む挟み込み工程と、
前記吹出部を挟み込んだ状態のまま、締結部材によって前記吹出部及び前記蓋部材を前記支持部材に固定する固定工程と、を有することを特徴とする空調用吹出口装置の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置から送られた風を室内に吹き出すことが可能な空調用吹出口装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの車両には、空調装置が搭載されている。空調装置から送られた風は、空調用吹出口装置を介して車室に吹き出される。このような空調用吹出口装置に関する従来技術として、特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に示されるような、空調用吹出口装置は、空調用開口が開けられているインストルメントパネルと、空調用開口に臨むようインストルメントパネルに支持されている吹出部と、を備えている。
【0004】
インストルメントパネルには、吹出部に代え、小物入れを取り付けることもできる。
【0005】
特許文献1による空調用吹出口装置によれば、例えば、車種によって吹出部を配置するか小物入れを配置するかを決めることができる。このため、支持部材としてのインストルメントパネルを共用することができ、それぞれにインストルメントパネルの型を準備する必要がなく、好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-024274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、異なる車種において支持部材を共用した場合には、それぞれの車種によって車室の広さ等が異なることがある。空調装置による必要な風の吹出し量は、車室の広さ等によって異なるため、吹出し可能な量についても調整可能であることが望まれる。例えば、支持部材に開けられている空調用開口の一部を塞ぐことができれば、吹き出し可能な量を減らすことができる。車室の大きさ等に応じて、適切な吹き出し可能な量を設定し、空調装置等も適切な出力の装置を選択することができ好ましい。
【0008】
しかし、特許文献1による空調用吹出口装置によれば、吹出部を設けない場合には、小物入れを設けるため吹出口としての機能は失われる。
【0009】
車両用空調装置に限らず、少ない部品点数によって吹出し可能な風量を減らすことのできる空調用吹出口装置の提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一つの面によれば、空調用開口が開けられている支持部材と、
前記空調用開口の一部に臨むよう前記支持部材に支持され、空調装置から送られる風が通過可能な吹出部と、
前記空調用開口の残部に臨むよう前記支持部材に支持され、前記空調用開口の一部を覆っている蓋部材と、を有し、
前記支持部材は、前記吹出部及び/又は前記蓋部材を取り付けるための部品支持部を有し、
この部品支持部には、締結部材が締結されているボス座が含まれ、
前記吹出部は、前記ボス座に当接している取付座面部を有し、
前記取付座面部には、前記締結部材が挿通されている締結部材貫通穴が開けられ、
前記蓋部材は、前記ボス座に向かってスイング可能に設けられ前記支持部材及び/又は前記吹出部に当接している挟持部を有し、
この挟持部は、前記ボス座と共に前記取付座面部を挟み込んでいることを特徴とする空調用吹出口装置が提供される。
【0011】
本発明の別の面によれば、空調用開口が形成されている支持部材と、空調装置から送られる風が通過可能な吹出部と、スイング可能に設けられた挟持部を有する蓋部材と、を準備する準備工程と、
前記空調用開口に臨むよう、前記蓋部材を前記支持部材に仮固定する蓋部材仮固定工程と、
前記蓋部材が仮固定された前記支持部材の前記空調用開口に臨むよう、前記吹出部を仮固定する吹出部仮固定工程と、
仮固定された前記吹出部に前記挟持部を重ねて、前記支持部材と共に前記吹出部を挟み込む挟み込み工程と、
前記吹出部を挟み込んだ状態のまま、締結部材によって前記吹出部及び前記蓋部材を前記支持部材に固定する固定工程と、を有することを特徴とする空調用吹出口装置の組立方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、空調用開口を覆う蓋部材は、挟持部を有している。そして、挟持部によって支持部材と共に吹出部を挟み込み、これらを締結部材によって固定している。蓋部材に一体的に形成されている挟持部によって吹出部を支持部材に挟み込み、締結部材によって支持部材に吹出部及び蓋部材を固定している。蓋部材に挟持部が一体的に形成されていることと、1つの締結部材によって吹出部及び蓋部材の両方を支持部材に固定していることにより、少ない部品点数によって吹出し可能な風量を減らすことのできる、空調用吹出口装置を提供することができる。
【0013】
さらに、本発明によれば、蓋部材に代えて風が通過可能な補助吹出部を配置することができる。この場合には、補助吹出部に風を導くダクトによって吹出部を支持部材に挟み込むことができる。同じ支持部材を用いて、補助吹出部、又は、蓋部材を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例による空調用吹出口装置の正面図である。
図2図1に示された空調用吹出口装置の背面図である。
図3図2の要部を拡大した分解斜視図である。
図4図2の4部拡大図である。
図5図4の5-5線断面図である。
図6図4の6-6線断面図である。
図7図4の7-7線断面図である。
図8図5に示された空調用吹出口装置の組立方法について説明する図である。
図9】参考例による空調用吹出口装置について説明する分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、説明中、左右とは車両の乗員を基準として左右、前後とは車両の進行方向を基準として前後を指す。また、図中Frは前、Rrは後、Leは乗員から見て左、Riは乗員から見て右、Upは上、Dnは下を示している。
<実施例>
【0016】
図1を参照する。空調用吹出口装置10は、車室Viの前部に配置され、空調装置から送られた風を車室Vi内に向かって送る。
【0017】
図2を併せて参照する。空調用吹出口装置10は、車室Viの前部において左右方向に延びるインストルメントパネル20(支持部材20)と、このインストルメントパネル20に支持され風が通過可能な吹出部40及び風が通過不能な蓋部材50と、を有する。
【0018】
図3を参照する。インストルメントパネル20は、樹脂成形品であり、インストルメントパネル本体21(支持部材本体21)の一部に左右方向に長い空調用開口21aが開けられ、インストルメントパネル本体21の裏面21bから前方に向かって複数の外部取付爪22が突出していると共に、複数の部品支持部23~27が突出してなる。
【0019】
インストルメントパネル20は、裏面21bから前方に向かって突出した外部取付爪22を介して、他の部材に取り付けられる。外部取付爪22は、爪状を呈し左右方向に長く形成されている。
【0020】
インストルメントパネル本体21の表面21c(図1参照)は、車室Viに臨む意匠面である。つまり、インストルメントパネル本体21の裏面21bとは、意匠面に対しての裏面ということもできる。
【0021】
図4を併せて参照する。部品支持部23~27は、吹出部40及び/又は蓋部材50を支持するための部位であり、吹出部40及び蓋部材50が取り付けられると共にタッピンねじ31(締結部材31)が固定される共締め用ボス座23(ボス座23)と、この共締め用ボス座23に隣接して前方に突出し吹出部40の位置決めを行う位置決めピン24と、吹出部40のみが取り付けられると共にタッピンねじ32(図2参照)が固定されている吹出部用ボス座25と、蓋部材50のみが取り付けられると共にタッピンねじ33が固定されている蓋部材用ボス座26と、蓋部材50が係止されている爪状の蓋部材係合爪27と、を含む。
【0022】
図3のみを参照する。共締め用ボス座23及び位置決めピン24は、空調用開口21aの上方に形成され、蓋部材係合爪27は、空調用開口21aの下方に形成されている。共締め用ボス座23及び位置決めピン24は、蓋部材係合爪27に対して、上下方向にオフセットされていると共に、左右方向にもオフセットされている。
【0023】
図5を併せて参照する。共締め用ボス座23の外周には、径方向に突出する突出部23aが断続的に形成されている。
【0024】
図3を参照する。蓋部材係合爪27は、空調用開口21aの角近傍に形成され、空調用開口21aの長手方向に対して垂直方向に長い爪状の部位である。
【0025】
吹出部40は、空調装置から送られる風が通過可能な部品であり、空調用開口21aの一部に臨むようインストルメントパネル20に支持されている。吹出部40は、角筒状に形成され内部を風が通過可能な吹出部本体41と、この吹出部本体41の内部に左右方向にスイング可能に設けられ風の吹き出し方向を調節するルーバー部42と、吹出部本体41の上部の角から蓋部材50に向かって突出し共締め用ボス座23に当接している取付座面部43と、吹出部本体41の下部の角から蓋部材50に向かって突出し蓋部材50に係合されている第2の係合部44と、を有する。
【0026】
図6を併せて参照する。取付座面部43には、共締め用ボス座23の小径部23bを囲っていると共に中央にタッピンねじ31が貫通している締結部材貫通穴43aと、この締結部材貫通穴43aに隣接し位置決めピン24が貫通している位置決め穴43bと、蓋部材50に係合されている第1の係合穴43cと、がこの順に並んで開いている。
【0027】
図5を参照する。取付座面部43は、突出部23aに当接している。また、締結部材貫通穴43aは、共締め用ボス座23を囲っている。つまり、締結部材貫通穴43aの内径は、共締め用ボス座23の外径より大きく設定されている。
【0028】
図4を併せて参照する。第2の係合部44は、蓋部材50に係合されている第2の係合穴44aが開いている。
【0029】
図3を参照する。蓋部材50は、空調用開口21aの残部に臨むようインストルメントパネル20に支持され、空調用開口21aの一部を覆っている。つまり、蓋部材50は、風を通さない部品である。
【0030】
蓋部材50は、略矩形状を呈する蓋部材本体51を有している。蓋部材本体51のそれぞれの角には、スイング可能に設けられている挟持部52と、第1の係合穴43cに係止されている取付座面係合部53と、蓋部材係合爪27に係止されている蓋部材係合穴54と、第2の係合穴44aに係止されている第2の吹出部係合部55と、がそれぞれ形成されている。
【0031】
図7を併せて参照する。挟持部52と取付座面係合部53との間には、取付座面部43の縁に係止されている(仮止めされている)仮止部56が形成されている。
【0032】
図3を参照する。蓋部材本体51の取付座面係合部53と蓋部材係合穴54との間には、蓋部材用ボス座26に締結されている蓋部材取付片57が形成されている。
【0033】
第2の吹出部係合部55は、取付座面係合部53が形成されている角の対角となる角に隣接して形成されている。第2の吹出部係合部55、及び、取付座面係合部53は、蓋部材本体51の対角上にそれぞれ形成されている、ということもできる。
【0034】
図5を参照する。蓋部材本体51の縁は、空調用開口21aの縁に当接している。
【0035】
挟持部52及び仮止部56は、蓋部材本体51に対して、薄肉部58を介して接続されている。薄肉部58は、蓋部材本体51及び挟持部52の肉厚に対して薄く形成された部位である。挟持部52及び仮止部56は、薄肉部58を中心に上下方向にスイング可能に設けられている。挟持部52及び仮止部56は、共締め用ボス座23に向かってスイング可能に設けられている、ということもできる。
【0036】
挟持部52は、共締め用ボス座23の先端に当接している。また、挟持部52は、取付座面部43に当接し、共締め用ボス座23の突出部23aと共に取付座面部43を挟み込んでいる。
【0037】
なお、挟持部52は、取付座面部43をインストルメントパネル20と共に挟み込むために、少なくとも取付座面部43に当接している必要がある。換言すれば、共締め用ボス座23には、必ずしも当接している必要はない。
【0038】
次に、空調用吹出口装置10の組立方法について説明する。
【0039】
図3及び図8を参照する。まず、空調用開口21aが形成されているインストルメントパネル20と、空調装置から送られる風が通過可能な吹出部40と、スイング可能に設けられた挟持部52を有する蓋部材50と、を準備する(準備工程)。
【0040】
次に、空調用開口21aに臨むよう、蓋部材50を配置し蓋部材係合爪27を蓋部材係合穴54に係止する。これにより、蓋部材50は、インストルメントパネル20に仮固定され、空調用開口21aが塞がれる(蓋部材仮固定工程)。
【0041】
次に、吹出部40を空調用開口21aに臨ませると共に、吹出部40をインストルメントパネル20及び蓋部材50に仮固定する(吹出部仮固定工程)。吹出部40の仮固定は、第1の係合穴43cに取付座面係合部53を係止し、第2の係合穴44aに第2の吹出部係合部55を係止し、位置決めピン24を位置決め穴43bに貫通させることにより行う。このとき、同時に締結部材貫通穴43aを、共締め用ボス座23の先端が貫通する。
【0042】
吹出部仮固定工程において、挟持部52を下方にスイングさせ退避させておくことができる。これにより、吹出部40の仮固定を円滑に行うことができる。
【0043】
図5を参照する。次に、取付座面部43に挟持部52を重ねて、突出部23aと共に取付座面部43を挟み込む(挟み込み工程)。そして、取付座面部43を挟み込んだ状態のまま、タッピンねじ31によって、取付座面部43及び挟持部52をインストルメントパネル20に固定する(固定工程)。これにより、空調用吹出口装置10は、組み立てられる。
【0044】
図7を参照する。挟み込み工程において、仮止部56は、取付座面部43の縁に仮止めされる。これにより、挟持部52が元の位置に戻ることを抑制しながら、作業性を向上させることができる。
【0045】
ところで、空調用吹出口装置10は、蓋部材50によって風の流れを遮断する構成の他、搭載される車種の変更等によってこの部位に風を通過させることもできる。次図において説明する。
<参考例>
【0046】
図9を参照する。図9には、端部に風を通過させることのできる空調用吹出口装置10Aが示されている。インストルメントパネル20、及び、吹出部40の構成は、図3に示した空調用吹出口装置10と同じであるため、符号を流用すると共に、詳細な説明を省略する。
【0047】
空調用吹出口装置10Aは、風が通過可能な補助吹出部60が空調用開口21aに臨み、この後部に補助吹出部60へ風を導くダクト先端部70が設けられている。
【0048】
補助吹出部60は、略矩形状を呈している補助吹出部本体61と、この補助吹出部本体61の角近傍に形成されている補助吹出部係合部63と、この補助吹出部係合部63の対角上に形成されている第2の補助吹出部係合部65と、を有している。
【0049】
ダクト先端部70(ダクト70)は、先端部本体71と、この先端部本体71に一体的に形成され取付座面部43をインストルメントパネル20と挟持する先端部挟持部72と、蓋部材係合爪27が係止される先端部係合穴74と、を有する。
【0050】
先端部挟持部72には、タッピンねじ31(図2参照)が貫通し取付座面部43と共に共締め用ボス座23に共締めされる先端部共締め穴72aと、位置決めピン24が貫通する先端部位置決め穴72bと、が形成されている。
【0051】
空調用吹出口装置10Aは、補助吹出部60を吹出部40に組付けた上で、補助吹出部60、及び、吹出部40を空調用開口21aに臨ませる。次に、ダクト先端部70によって、吹出部40をインストルメントパネル20と挟み込み、挟み込んだ状態のままタッピンねじ31によって締結する。これにより、組み立てることができる。
【0052】
以上に説明した空調吹出口装置10は、以下の効果を奏する。
【0053】
図5を参照する。空調用開口21aを覆う蓋部材50は、挟持部52を有している。そして、挟持部52によって共締め用ボス座23(インストルメントパネル20)と共に取付座面部43(吹出部40)を挟み込み、これらを締結部材31によって固定している。蓋部材50に一体的に形成されている挟持部52によって吹出部40をインストルメントパネル20に挟み込み、締結部材31によってインストルメントパネル20に吹出部40及び蓋部材50を固定している。蓋部材50に挟持部52が一体的に形成されていることと、1つの締結部材31によって吹出部40及び蓋部材50の両方をインストルメントパネル20に固定していることにより、少ない部品点数によって吹出し可能な風量を減らすことのできる、空調用吹出口装置10を提供することができる。
【0054】
図9を参照する。さらに、蓋部材50(図3参照)に代えて風が通過可能な補助吹出部60を配置することができる。この場合には、補助吹出部60に風を導くダクト先端部70(ダクト70)によって吹出部40をインストルメントパネル20に挟み込むことができる。同じインストルメントパネル20を用いて、補助吹出部60、又は、蓋部材50を選択することができる。
【0055】
図5を参照する。締結部材貫通穴43aの内径は、共締め用ボス座23の外径より大きく設定されている。また、共締め用ボス座23の先端は、挟持部52に当接している。締結部材貫通穴43aを共締め用ボス座23の外周に配置することにより、取付座面部43の位置ずれを抑制することができる。
【0056】
図7を併せて参照する。挟持部52と共にスイング可能な仮止部56は、取付座面部43の縁に係止されている。タッピンねじ31が締結される前の状態において、仮止部56が係止されていることにより、挟持部52が元の位置に戻ることを抑制することができる。タッピンねじ31の締結作業を容易に行うことができ、空調用吹出口装置10の組立作業を円滑に行うことができる。
【0057】
蓋部材50は、取付座面部43が係合される取付座面係合部53を含む。空調用吹出口装置10を組み立てる際に、取付座面係合部53を係止させることにより、蓋部材50に対して吹出部40を仮固定することができる。このため、空調用吹出口装置10の組立作業を円滑に行うことができる。
【0058】
蓋部材本体51には、取付座面係合部53が形成されている角の対角となる角に隣接した位置に、吹出部40が係合される第2の吹出部係合部55が形成されている。吹出部40のずれをより抑制することができ、空調用吹出口装置10の組立作業のさらなる円滑化を図ることができる。
【0059】
部品支持部23~27は、吹出部40を貫通している位置決めピン24を含む。インストルメントパネル20に対して、吹出部40を正確な位置に配置することができる。また、空調用吹出口装置10の組立作業においては、位置決めピン24が貫通していることにより、吹出部40のずれを抑制し組立作業の円滑化を図ることができる。
【0060】
尚、本発明による空調用吹出口装置は、支持部材の一例として、インストルメントパネルを用いた。しかし、支持部材には、インストルメントパネル以外のものであっても適用可能であり、これらの形式のものに限られるものではない。即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の空調用吹出口装置は、乗用車に好適である。
【符号の説明】
【0062】
10…空調用吹出口装置
20…インストルメントパネル(支持部材)
21a…空調用開口
23…共締め用ボス座(部品支持部)
24…位置決めピン(部品支持部)
25…吹出部用ボス座(部品支持部)
26…蓋部材用ボス座(部品支持部)
27…蓋部材係合爪(部品支持部)
31…タッピンねじ(締結部材)
40…吹出部
43…取付座面部、43a…締結部材貫通穴
50…蓋部材
51…蓋部材本体
52…挟持部
53…取付座面係合部
55…第2の吹出部係合部
56…仮止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9