(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】スライドレールアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A47B 88/44 20170101AFI20220520BHJP
A47B 88/49 20170101ALI20220520BHJP
【FI】
A47B88/44
A47B88/49
(21)【出願番号】P 2019235568
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2019-12-26
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504297766
【氏名又は名称】川湖科技股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】513240939
【氏名又は名称】川益科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】陳 庚金
(72)【発明者】
【氏名】楊 順和
(72)【発明者】
【氏名】翁 子承
(72)【発明者】
【氏名】王 俊強
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-127625(JP,A)
【文献】登録実用新案第3201270(JP,U)
【文献】特開2016-198474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00-88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端部及び後端部を有する第1のレールであって、該第1のレールは第1の補助部材及び第2の補助部材を備える、第1のレールと、
前記第1のレールに対して長手方向に変位可能な第2のレールであって、該第2のレールは作用部を備える、第2のレールと、
前記第2のレールに対して長手方向に変位可能な第3のレールであって、該第3のレールは前端部及び後端部を有する、第3のレールと、
操作されることで第1の状態と第2の状態との間で切り替えられるように構成された切り替え部材と、
前記第2のレールに可動に取り付けられる第1の係合機構及び第2の係合機構と、
を含むスライドレールアセンブリであって、
前記第2のレールは、前記第1のレールに対して第1の伸長位置へと開方向に変位可能であり、前記第3のレールは、前記第1のレールに対して第2の伸長位置へと前記開方向に変位可能であり、
前記切り替え部材を前記第1の状態から前記第2の状態に切り換え且つ前記第3のレールを前記第2の伸長位置から所定の引っ込め位置へと引っ込め方向に変位させることにより、前記切り替え部材は、前記第3のレールが前記第2のレールを所定の位置へと前記引っ込め方向に変位させ、前記第2のレールが前記第3のレールと同時に変位させられることができるように前記第2のレールの作用部に接触させられ、
前記第2のレールは、前記第1のレールと前記第3のレールとの間に可動に取り付けられ、
前記第2のレールが前記第1のレールに対して前記所定の位置から前記開方向に変位された後で前記第1の伸長位置に到達し、前記第3のレールが前記第2のレールに対して前記開方向に変位された後で前記第2の伸長位置に到達した場合、前記第1のレールの後端部と前記第3のレールの前端部との間に第1の長さが定義され、
前記第1のレールの後端部と前記第3のレールの前端部との間に第1の長さが定義された状態で、前記第2のレール
を前記第1のレールに対して前記第1の伸長位置から
前記所定の位置へと前記引っ込め方向に変位
させた場合、前記第2のレールは、前記第2の係合機構により前記第1のレールに対して前記所定の位置で維持され、この結果、前記第1のレールの後端部と前記第3のレールの前端部との間の前記第1の長さが短くされて第2の長さにな
り、
前記第1のレールの後端部と前記第3のレールの前端部との間の前記第1の長さが短くされて前記第2の長さになった場合、前記第2のレールは、前記第2の係合機構を介して前記第2の補助部材と係合するため、前記所定の位置から前記開方向に変位するのが防止される、スライドレールアセンブリ。
【請求項2】
同期機構をさらに含み、
前記第1の補助部材は係合解除部を含み、
前記同期機構は前記第2のレールに可動に取り付けられ、
前記第3のレールは接触部を有し、前記第3のレールは該接触部を介して前記同期機構を押圧することにより、前記第2のレールを前記所定の位置から前記開方向に変位させ、前記第2のレールは前記第3のレールと同時に変位させられるように構成され、
前記第2のレールが、前記第3のレールにより変位されて前記第3のレールと同時に前記所定の位置から前記開方向に変位された後で所定の位置に到達した場合、前記第1の補助部材の係合解除部は、前記同期機構を前記接触部から外し、
前記同期機構は同期部材と、該同期部材に弾性力を加えるための第1の弾性部材とを含み、
前記第3のレールは、前記接触部を介して前記同期部材を押圧するように構成されている、請求項1に記載のスライドレールアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の補助部材は位置制限部をさらに含み、
前記第2のレールが前記第1の伸長位置に変位されると、前記第1の係合機構は前記第1の補助部材の位置制限部に隣接して、前記第2のレールが前記第1の伸長位置から前記引っ込め方向に変位されるのを防止し、
前記第1の係合機構は第1の係合部材と、該第1の係合部材に弾性力を加えるための第2の弾性部材とを含み、
前記第2のレールが前記第1の伸長位置にある場合、前記第1の係合部材は、前記第2の弾性部材の弾性力に対応して前記第1の補助部材の位置制限部に隣接する、請求項2に記載のスライドレールアセンブリ。
【請求項4】
前記第2の係合機構は第2の係合部材と、該第2の係合部材に弾性力を加えるための第3の弾性部材とを含み、
前記第2のレールが前記所定の位置にある場合、前記第2の係合部材は、前記第3の弾性部材の弾性力に対応して前記第2の補助部材と係合する、請求項1に記載のスライドレールアセンブリ。
【請求項5】
支持部をさらに含み、該支持部は、前記第3のレールが前記引っ込め方向にさらに変位された場合に、該支持部が前記第2の係合部材を前記第2の補助部材から外すように前記第3のレールに配置される、請求項4に記載のスライドレールアセンブリ。
【請求項6】
前記切り替え部材は駆動部を含み、該駆動部は、前記切り替え部材が前記第1の状態にある場合に前記第2のレールの作用部と位置がオフセットされており、
前記切り替え部材が前記第1の状態から前記第2の状態に切り替えられると、前記駆動部は、前記第3のレールが前記第2の伸長位置から前記引っ込め方向に変位された後で前記所定の引っ込め位置に到達した場合に、前記切り替え部材の駆動部が前記第2のレールの作用部と接触するように前記第2のレールの作用部ともはや位置がオフセットされていない、請求項1に記載のスライドレールアセンブリ。
【請求項7】
前記切り替え部材は本体部をさらに含み、
前記切り替え部材が前記第1の状態にある間に前記切り替え部材の本体部と前記第2のレールの作用部との接触が維持されるように前記本体部と前記駆動部との間に位置的な差がある、請求項6に記載のスライドレールアセンブリ。
【請求項8】
前記第3のレールに取り付けられる第1の作用部材をさらに含み、
前記第1の作用部材は、前記第3のレールに対して第1の作用状態と第2の作用状態との間で切り替え可能であり、
前記第2のレールはブロック部を備え、
前記第3のレールが前記第2の伸長位置にあり、前記第1の作用部材が前記第1の作用状態にある場合、前記第1の作用部材は前記ブロック部の一方側に位置して前記第3のレールが前記第1の伸長位置にある前記第2のレールに対して前記開方向に変位するのを防止し、
前記第1の作用部材が操作されて前記第1の作用状態から前記第2の作用状態に切り替えられると、前記第3のレールは、前記第2のレールに対して前記開方向に動かし取り外すことができる、請求項1に記載のスライドレールアセンブリ。
【請求項9】
前記第3のレールに取り付けられる第2の作用部材をさらに含み、
前記第2の作用部材は、前記第3のレールに対して第1の作用状態と第2の作用状態との間で切り替え可能であり、
前記第3のレールが前記第2の伸長位置にあり、前記第2の作用部材が前記第1の作用状態にある場合、前記第2の作用部材は前記ブロック部の反対側に位置して前記第3のレールが前記第1の伸長位置にある前記第2のレールに対して前記引っ込め方向に変位するのを防止し、
前記第3のレールが前記第2の伸長位置にあり、前記第2の作用部材が前記第2の作用状態にある場合、前記第3のレールは、前記第1の伸長位置にある前記第2のレールに対して前記引っ込め方向に変位させることできる、請求項8に記載のスライドレールアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスライドレールアセンブリに関し、より具体的には空間が限られた環境でスライドレールアセンブリが用いられている場合でも、依然としてスライドレールアセンブリの保守作業を容易に行うことができるように伸長長さを短くすることができるスライドレールアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スライドレールアセンブリは、スライドレールアセンブリを伸長状態又は引っ込め状態にするために互いに対して変位可能な少なくとも2つのスライドレールを含む。第1のレール、第2のレール及び第3のレールの3つのレールを含むスライドレールアセンブリを例に取ると、スライドレールアセンブリは、第2のレール及び第3のレールを第1のレールに対して開方向に変位させることによって得られる伸長状態において伸長長さを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9992906号明細書
【文献】米国特許第9681749号明細書
【文献】米国特許第9629459号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アセンブリが伸長長さに達した場合に、アセンブリのメンテナンス作業の実施を困難にし得る空間的な制限(例えば、スライドレールアセンブリを操作可能な空間が限られている)があることが時としてある。
【0005】
従って、上記の空間的な制限にもかかわらずユーザーのニーズを満たすことが可能な異なるスライドレール製品を開発することが重要である。
【0006】
本発明は、スライドレールアセンブリの伸長長さを短くできる画期的な操作方法により操作されるスライドレールアセンブリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、スライドレールアセンブリは第1のレール、第2のレール、第3のレール及び切り替え部材を含む。第2のレールは第1のレールに対して長手方向に変位可能であるとともに作用部を備える。第3のレールは第2のレールに対して長手方向に変位可能である。切り替え部材は操作されることで第1の状態と第2の状態との間で切り替えられる。第2のレールは、第1のレールに対して第1の伸長位置へと開方向に変位可能であり、第3のレールは、第1のレールに対して第2の伸長位置へと開方向に変位可能である。切り替え部材を第1の状態から第2の状態に切り換え且つ第3のレールを第2の伸長位置から所定の引っ込め位置へと引っ込め方向に変位させることにより、切り替え部材は、第3のレールが第2のレールを所定の位置へと引っ込め方向に変位させ、第2のレールが第3のレールと同時に変位させられることができるように第2のレールの作用部に接触させられる。
【0008】
本発明の別の態様によれば、スライドレールアセンブリは第1のレール、第2のレール、第3のレール及び切り替え部材を含む。第2のレールは第1のレールに対して変位可能であるとともに作用部を備える。第3のレールは第2のレールに対して変位可能である。切り替え部材は第3のレールに配置されるとともに、第3のレールが伸長位置から引っ込め方向に変位されたあとで所定の引っ込め位置に到達した場合に、第3のレールが第2のレールを所定の位置へと引っ込め方向に変位させ、第2のレールが第3のレールと同時に変位されるよう作用部と接触するように構成されている。
【0009】
本発明のさらに別の実施形態によれば、スライドレールアセンブリの伸長長さを変える方法は、スライドレールアセンブリを提供するステップであって、スライドレールアセンブリは第1のレール、第2のレール及び第3のレールを含み、3つのレールはお互いに対して変位可能であり、第2のレールは作用部を備える、ステップと、第3のレールに配置される切り替え部材を提供するステップであって、切り替え部材は操作されて第1の状態と第2の状態との間で切り替え可能である、ステップと、スライドレールアセンブリが第1の伸長長さを有するように第2のレール及び第3のレールを第1のレールに対して開方向に変位させるステップと、切り替え部材を第1の状態から第2の状態に切り替えるステップと、第2の状態にある切り替え部材が第2のレールと接触するように、第3のレールを伸長位置から引っ込め方向に引っ込め、そして第3のレールにより第2のレールを所定の位置へと引っ込め方向に変位させるステップと、スライドレールアセンブリが第1の伸長長さよりも小さい第2の伸長長さを有するように所定の位置にある第2のレールに対して開方向に第3のレールを変位させるステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るスライドレールアセンブリの斜視図であり、引っ込め状態のスライドレールアセンブリを示す。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの分解斜視図であり、互いに分離された第1のレール、第2のレール及び第3のレールを示す。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの第2のレールの斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの第3のレールの部分斜視図であり、第3のレールに対して第1の状態にある切り替え部材を示す。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの部分透視図であり、切り替え部材の駆動部が第2のレールの作用部からオフセットされている第1の状態にある切り替え部材を示す。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの第3のレールの部分斜視図であり、第3のレールに対して第2の状態にある切り替え部材を示す。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの部分透視図であり、切り替え部材の駆動部が第2のレールの作用部に対応する(即ち、オフセットされていない)第2の状態の切り替え部材を示す。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの概略図であり、引っ込め状態にあるスライドレールアセンブリを示す。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの概略図であり、スライドレールアセンブリの第3のレール及び第2のレールが第1のレールに対して同時に開方向に変位された状態を示す。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの概略図であり、スライドレールアセンブリの第3のレール及び第2のレールが第1のレールに対して同時に開方向にさらに変位された状態を示す。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの概略図であり、スライドレールアセンブリの第3のレール及び第2のレールが第1のレールに対して同時に開方向にさらに変位された状態を示す。
【
図19】
図19は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの概略図であり、第1のレールに対して第1の伸長位置にあるスライドレールアセンブリの第2のレールを示す。
【
図21】
図21は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの概略図であり、スライドレールアセンブリの第2のレールと第3のレールとの間の同時変位関係が解消された状態を示す。
【
図24】
図24は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの概略図であり、スライドレールアセンブリの第3のレールが第1の伸長位置にある第2のレールに対して開方向に変位された状態を示す。
【
図26】
図26は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの概略図であり、スライドレールアセンブリの第3のレールが第2の伸長位置にある第2のレールに対して開方向にさらに変位された状態を示す。
【
図28】
図28は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの概略図であり、スライドレールアセンブリの第3のレールが第2のレールに対して第2の伸長位置にある状態を示す。
【
図29】
図29は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの概略図であり、スライドレールアセンブリの第3のレールが第1の伸長位置にある第2のレールに対して引っ込め方向に変位された状態を示す。
【
図30】
図30は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの概略図であり、スライドレールアセンブリの第3のレールが第1の伸長位置にある第2のレールに対して引っ込め方向にさらに変位された状態を示す。
【
図31】
図31は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの概略図であり、スライドレールアセンブリの第3のレール及び第2のレールが引っ込め方向に引っ込められた状態を示す。
【
図32】
図32は、本発明の実施形態によるスライドレールアセンブリの概略図であり、切り替え部材が第2の状態にあり、第2のレールの作用部を押圧することで、スライドレールアセンブリの第3のレールが第2のレールを引っ込め方向に変位させ、第2のレールが第3のレールと同時に変位することを示す。
【
図33】
図33は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの概略図であり、スライドレールアセンブリの第2のレールが、第3のレールにより引っ込め方向に変位された後で所定の位置に到達した状態を示す。
【
図34】
図34は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの概略図であり、スライドレールアセンブリの第3のレールが所定の位置で第2のレールに対して開方向に変位された後で第2の伸長位置に到達した状態を示す。
【
図35】
図35は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの概略図であり、第2の伸長位置にある第3のレールは、所定位置にある第2のレールに対して開方向に取り外すことができることを示す。
【
図36】
図36は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリが狭い空間で使用され、第1の伸長状態にあることを概略的に示し、第1の伸長状態ではスライドレールアセンブリは第1の長さを有する。
【
図37】
図37は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリが第2の伸長状態にあることを概略的に示し、第2の伸長状態ではスライドレールアセンブリが第2の長さを有する。
【
図38】
図38は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリの概略図であり、スライドレールアセンブリの第3のレールが第2のレールから取り外され、第2のレールは第1のレールに対して引っ込められた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び
図2を参照して、本発明の一実施形態に係るスライドレールアセンブリは、第1のレール22、第2のレール24、第3のレール26及び切り替え部材27を含む。
図1では引っ込め状態のスライドレールアセンブリを示す。
【0012】
第1のレール22は前端部22a及び後端部22bを有する。第1のレール22は第1の壁28a、第2の壁28b及び第1のレール22の第1の壁28aと第2の壁28bとの間に接続される長手壁30を含む。第1のレール22の第1の壁28a、第2の壁28b及び長手壁30は第1の通路を共に定義する。第1のレール22は第1の補助部材32及び第2の補助部材34を備えることが好ましい。ここでは、一例として、第1の補助部材32は、第1のレール22の長手壁30に配置された弾性板である。しかしながら、第1の補助部材32の実施は係る構成に限定されない。第1の補助部材32は、係合解除部36及び位置制限部38を含むことが好ましい。第2の補助部材34は、第1のレール22の長手壁30に配置され、第2の補助部材34は一例として、第1の補助部材32から離れている。第1の補助部材32は、第2の補助部材34よりも第1のレール22の前端部22aに近く、第2の補助部材34は、第1の補助部材32よりも第1のレール22の後端部22bに近い。
【0013】
第2のレール24は、第1のレール22と第3のレール26との間に可動に取り付けられる。第2のレール24は、第1のレール22に対して長手方向に変位できる。ここで、第2のレール24は一例として、第1のレール22の第1の通路に取り付けられる。第2のレール24は前端部24a及び後端部24bを有する。第2のレール24は第1の壁40a、第2の壁40b及び第2のレール24の第1の壁40aと第2の壁40bとの間に接続される長手壁42を含む。第2のレール24の第1の壁40a、第2の壁40b及び長手壁42は第2の通路を共に定義する。第2のレール24は作用部44を備える。例えば、作用部44は、第2のレール24の長手壁42に配置される突起又は特定構造の壁面であるが、作用部44の実施は係る構成に限定されない。第2のレール24はさらにブロック部46を備え、ブロック部46は例えば第2のレール24の長手壁42に配置される突起である。作用部44及びブロック部46は、第2のレール24の前端部24aに隣接している。
【0014】
第3のレール26は、第2のレール24に対して長手方向に変位可能である。ここで、第3のレール26は一例として、第2のレール24の第2の通路に取り付けられる。第3のレール26は、前端部26a及び後端部26bを有する。第3のレール26は、第1の壁48a、第2の壁48b及び第3のレール26の第1の壁48aと第2の壁48bとの間に接続される長手壁50を含む。スライドレールアセンブリは、第3のレール26の長手壁50の2つの位置にそれぞれ取り付けられる第1の作用部材52及び第2の作用部材54をさらに含むことが好ましい。第1の作用部材52及び第2の作用部材54は、それぞれ第1の枢結要素56及び第2の枢結要素58を介して第3のレール26の長手壁50に枢結されることが好ましい。スライドレールアセンブリは、第1の作用部材52及び第2の作用部材54のそれぞれを第3のレール26に対して第1の作用状態で維持するために、第1の作用部材52及び第2の作用部材54にそれぞれ弾性力を加えるための第1の弾性部60a及び第2の弾性部60bを有するベース60をさらに含むことが好ましい。スライドレールアセンブリは第1の操作部材62及び第2の操作部材64さらに含むことが好ましい。ユーザーは、第1の操作部材62及び第2の操作部材64を介して対応する第1の作用部材52又は第2の作用部材54を操作することにより、対応する第1の作用部材52又は第2の作用部材54を第1の作用状態から解除できる。第3のレール26は、例えば、第3のレール26の長手壁50の2つの位置にそれぞれ配置される接触部66及び支持部67を有することが好ましい。
【0015】
切り替え部材27は第3のレール26に可動に配置される。ここで、切り替え部材27は例えば、互いに協働するように構成された少なくとも1つの接続要素68及びスロット70を介して、第3のレール26の長手壁50に垂直方向に可動に接続されている。より具体的には、切り替え部材27及び第3のレール26の一方はスロット70を有し、切り替え部材27及び第3のレール26の他方は少なくとも1つの接続要素68を有し、少なくとも1つの接続要素68はスロット70の一部を貫通して切り替え部材27を第3のレール26に取り付ける。空間を節約するために、切り替え部材27は第3のレール26の前端部26aに隣接することが好ましい。
【0016】
図2及び
図3に示すように、スライドレールアセンブリは同期機構、第1の係合機構及び第2の係合機構を含み、これらの機構は全て第2のレール24に可動に取り付けられる。
【0017】
同期機構は、第3のレール26の接触部66と協働するように構成されている。同期機構は、同期部材74と、同期部材74に弾性力を加えるための第1の弾性部材76とを含む。同期部材74は第1の部分74a及び第2の部分74bを含む。第1のシャフトA1は、同期部材74の第1の部分74aと第2の部分74bとの間に配置され、同期部材74を第2のレール24の長手壁42に枢結する。同期部材74は、同期部材74の第1の部分74aに隣接する伸長脚74cをさらに含むことが好ましい。伸長脚74cは、第2のレール24の長手壁42の第1の孔H1を貫通して第1のレール22の長手壁30に対向する。伸長脚74cは、第1の孔H1の2つの対向する孔壁の間で位置が制限されるため、同期部材74は、限られた範囲内で枢動できる。第1の弾性部材76は、同期部材74を第1の所定の状態で維持するために、同期部材74の第2の部分74bに弾性力を加える。
【0018】
第1の係合機構は、第1の係合部材78と、第1の係合部材78に弾性力を加えるための第2の弾性部材80とを含む。第1の係合部材78は第1の部分78a及び第2の部分78bを含む。第2のシャフトA2は、第1の係合部材78の第1の部分78aと第2の部分78bとの間に位置し、第1の係合部材78を第2のレール24の長手壁42に枢結する。第1の係合部材78は、第1の係合部材78の第1の部分78aに隣接する伸長脚78cをさらに含むことが好ましい。伸長脚78cは、第2のレール24の長手壁42の第2の孔H2を貫通し、第1のレール22の長手壁30に対向する。伸長脚78cは第2の孔H2の2つの対向する孔壁の間で位置が制限されるため、第1の係合部材78は限られた範囲内で枢動できる。第2の弾性部材80は、第1の係合部材78を第1の所定の状態で維持するために第1の係合部材78の第2の部分78bに弾性力を加える。第2の弾性部材80及び第1の弾性部材76は、固定部材82から延びる2つの弾性アームであり、固定部材82は、第2のレール24の長手壁42に固定接続されることが好ましい。
【0019】
第2の係合機構は第2の係合部材84と、第2の係合部材84に弾性力を加えるための第3の弾性部材86とを含む。第2の係合部材84は第1の部分84a及び第2の部分84bを含む。第3のシャフトA3は、第2の係合部材84の第1の部分84aと第2の部分84bとの間に位置し、第2の係合部材84を第2のレール24の長手壁42に枢結する。第2の係合部材84は、第2の係合部材84の第2の部分84bに隣接する伸長脚84cをさらに含むことが好ましい。伸長脚84cは、第2のレール24の長手壁42にある第3の孔H3を貫通して第1のレール22の長手壁30に対向する。伸長脚84cは、第3の孔H3の2つの対向する孔壁の間で位置が制限されるため、第2の係合部材84は限られた範囲内で枢動できる。第3の弾性部材86は、第2の係合部材84の第2の部分84bに弾性力を加える。この実施形態では、スライドレールアセンブリは、第2のレール24の後端部24bに隣接して取り付けられる支持フレーム87をさらに含む。より具体的には、支持フレーム87は上側支持区画87a、下側支持区画87b及び上側支持区画87aと下側支持区画87bとの間に接続される中間区画87cを含む。支持フレーム87は、第2のレール24に対して第3のレール26を引っ込める最終段階の間に第3のレール26を支持するために、上側支持区画87a及び下側支持区画87bに取り付けられる複数のボール87dをさらに含む。中間区画87cには開口87eが設けられる。開口87eは、第2の係合機構が中間区画87cによって妨げられることなく第2のレール24に設けられるように位置する。
【0020】
図4は、操作されるのを待つ、第1の状態S1(例えば、第1の位置)にある切り替え部材27を示す。切り替え部材27は本体部27a及び駆動部27bを含むことが好ましい。本体部27aと駆動部27bとは互い違いであるため、その間に位置的な差X(例えば、
図6に明確に示すような高さの違い)がある。第3のレール26の長手壁50は、切り替え部材27を2つの対向する側からそれぞれ支持するために、例えば第1の支持構造88a及び第2の支持構造88bといった少なくとも1つの支持構造を含むことが好ましい。
【0021】
図5及び
図6を参照して、切り替え部材27が第1の状態S1にある場合、切り替え部材27の駆動部27bは第2のレール24の作用部44から位置がオフセットされ、位置的な差Xが存在することで、切り替え部材27の本体部27aは第2のレール24の作用部44よりも横方向において位置的な差Xだけ高くなるため、切り替え部材27の本体部27aは第2のレール24の作用部44との接触を避けることができる(
図6参照)。
【0022】
図7を参照して、切り替え部材27は、第1の状態S1から第2の状態S2に(例えば、第2の位置)に切り替えることができる。
【0023】
図8及び
図9を参照して、切り替え部材27が第2の状態S2にある場合、切り替え部材27の駆動部27bはもはや第2のレール24の作用部44から位置がオフセットされていない。すなわち、この状態にある切り替え部材27の駆動部27bは、第2のレール24の作用部44と位置が対応する。
【0024】
図10、
図11及び
図12は、引っ込められた状態にあるスライドレールアセンブリを示す。第2のレール24は第3のレール26に対して所定の位置P(限定されないが、例えば引っ込め位置)にあり、第3のレール26は第2のレール24に対して引っ込められている。さらに、第2の係合部材84は第1の所定の状態にあり、第2の係合部材84の第1の部分84aは第3のレール26の支持部67と当接し、第2の係合部材84の第2の部分84bは、第3の弾性部材86が弾性力を蓄積するように第3の弾性部材86を抑え込んでいる。第2の係合部材84が第1の所定の状態にある間、第2の係合部材84の伸長脚84cは、第1のレール22の第2の補助部材34から位置がオフセットされている(
図11参照)。一方、同期部材74及び第1の係合部材78は、第1の弾性部材76の弾性力及び第2の弾性部材80の弾性力によりそれぞれ第1の所定の状態で維持される(
図12参照)。加えて、第3のレール26の接触部66は同期部材74から離間し、第1の係合部材78は第1のレール22の第1の補助部材32から離間している。第1の補助部材32は、位置制限部38に隣接するガイド部35をさらに含むことが好ましい。ガイド部35は例えば傾斜面又は湾曲面であるが、これらに限定されない。さらに、第1の作用部材52及び第2の作用部材54は第2のレール24のブロック部46から離間している。なお、本実施形態における切り替え部材27は予め第1の状態S1に設定されている。しかしながら、他の実施形態では、切り替え部材27をそのような形で予め設定する必要はない。
【0025】
図13及び
図14を参照して、第3のレール26が開方向D1に所定の距離変位されると、第3のレール26の接触部66は、同期機構の同期部材74の第1の部分74aと接触する。そのため、接触部66は同期部材74の第1の部分74aを押圧し、結果として第2のレール24が第3のレール26と共に同時に変位するため、第3のレール26は第2のレール24を所定の位置Pから開方向D1に変位させることができる。
【0026】
図15及び
図16を参照して、第2のレール24が第3のレール26により第1のレール22に対して開方向に同時に変位された後で所定の位置に到達した場合、接触部66が同期部材74の第1の部分74aを押すことで第1の係合部材78の伸長脚78cは第1のレール22の第1の補助部材32のガイド部35と接触する。
【0027】
図17及び
図18を参照して、第3のレール26及び第2のレール24が開方向D1にさらに同時に変位された場合、第1の係合部材78の伸長脚78cは、第1の係合部材78が所定の角度枢動されて第1の所定の状態から解除される(例えば、第2の所定の状態になる)ように第1のレール22の第1の補助部材32のガイド部35によってガイドされる。第2の弾性部材80は第1の係合部材78の第2の部分78bにより一時的に押圧されるため弾性力を蓄積する。
【0028】
図19及び
図20を参照して、第2のレール24が第3のレール26と同時に開方向D1にさらに変位された後で第1のレール22に対して所定の伸長位置E1に到達した場合、第1の係合機構の第1の係合部材78は、第2のレール24が第1のレール22に対して第1の伸長位置E1から引っ込め方向D2に変位するのを防止するために第1の補助部材32の位置制限部38に隣接する。より具体的には、第2のレール24が第1のレール22に対して第1の伸長位置E1にある場合、第1の係合部材78の伸長脚78cは、第1のレール22の第1の補助部材32のガイド部35によって位置制限部38に案内され、第2の弾性部材80は、第1の係合部材78の伸長脚78cが第1の補助部材32の位置制限部38に隣接するとともにブロックされるように蓄積した弾性力を放つ。それにより、第2のレール24が第1のレール22に対して第1の伸長位置E1から引っ込め方向D2に変位するのが防止される。一方、同期部材74の伸長脚74cは第1の補助部材32の係合解除部36と接触している。係合解除部36は例えば傾斜面又は湾曲面である。
【0029】
図21、
図22、及び
図23を参照して、第3のレール26は、第2の係合部材84の第1の部分84aが第3のレール26の支持部67にもはや当接しないようにするために、第1の伸長位置E1にある第2のレール24に対して開方向D1に変位させることができる。第3のレール26がそのように変位されると、第3の弾性部材86は蓄積した弾性力を放って、それにより第2の係合部材84を所定の角度枢動させて、第2の係合部材84を第1の所定の状態から解除する(例えば、
図22に示す第2の所定の状態にする)。より具体的には、第3のレール26及び第2のレール24が開方向D1に変位された後で所定の位置に到達すると、同期機構の同期部材74は、第1の補助部材32の係合解除部36によって第3のレール26の接触部66から離される。その結果、第3のレール26と第2のレール24との同時変位関係が解消される(
図23参照)。より具体的には、第3のレール26及び第2のレール24が所定の位置に到達すると、同期部材74の伸長脚74cは、同期部材74を所定の角度枢動させて第1の所定の状態から解除する(例えば第2の所定の状態になる)第1の補助部材32の係合解除部36の位置(例えば、最も高い位置)に到達する。その結果、第3のレール26の接触部66は、同期部材74の第1の部分74aから位置がオフセットされ、第2のレール24が第3のレール26によって変位され、第3のレール26と同時に変位するのが不可能となる。この状態にある第1の弾性部材76は同期部材74の第2の部分74bにより押さえ付けられ、弾性力を蓄積する。なお、第2のレール24は、第1のレール22の少なくとも1つの対応する部分(例えば、第1のレール22に設けられるボールストリップ22c)に直接的又は間接的に当接するように構成され、それにより第2のレール24が第1のレール22に対して第1の伸長位置E1から開方向D1に変位するのを防止する構造部(例えば、
図2に示す第2のレール24の後端部24bに隣接する当接部材24c)を有し得る。
【0030】
図24及び
図25を参照して、第3のレール26が第1の伸長位置E1にある第2のレール24に対して開方向D1に変位された後で別の位置に到達した場合、第2の作用部材54は第2のレール24のブロック部46の第1の側と接触する。
【0031】
図26及び
図27を参照して、第3のレール26が第1の伸長位置E1にある第2のレール24に対して開方向D1にさらに変位されると、第2の作用部材54と第2のレール24のブロック部46との間の接触によって第2の作用部材54を所定の角度枢動させる力が生じる。そのため、第2の作用部材54はもはや第1の作用状態でなくなるため(例えば、第2の作用状態になる)、第2のレール24のブロック部46の第1の側を通過できる。ベース60の第2の弾性部60bは第2の作用部材54が所定の角度枢動されることに対応して弾性力を蓄積する。
【0032】
図28を参照して、第3のレール26が、第1の伸長位置E1にある第2のレール24に対して開方向D1に変位された後で第2の伸長位置E2に到達すると、ベース60の第2の弾性部60bは蓄積した弾性力を放ち、第2の作用部材54は、放たれた弾性力により第1の作用状態に戻されてブロック部46の第2の側に移り、第3のレール26が第2の伸長位置E2に対して引っ込め方向D2に変位するのを防止する。他方、第1の作用部材52は第1の作用状態に留まり、ブロック部46の第1の側にあって第3のレール26が、第2のレール24に対して第2の伸長位置E2から開方向D1に変位するのを防止する。
【0033】
図28及び
図29に示すように、切り替え部材27の駆動部27bが、第2のレール24の作用部44から位置がオフセットされるのではなく、位置が対応するようにするために、切り替え部材27を第1の状態S1から第2の状態S2に切り替えることができる(
図9も参照)。より具体的には、ユーザーは第2の操作部材64に力Fを加えて、第2の操作部材64により第2の作用部材54が駆動されて第1の作用状態から解除され(例えば、第2の作用状態にされる)、それにより第1の伸長位置E1にある第2のレール24に対して第3のレール26を引っ込め方向D2に変位するようにできる(
図29参照)。なお、第3のレール26が第2の伸長位置E2にある際に第3のレール26を第2のレール24から取り外すことが望ましい場合、ユーザーは第1の操作部材62に別の力(以下、第2の力という)を加え、第1の操作部材62が第1の作用部材52を駆動して第1の作用状態から解除し(例えば、第2の作用状態にする)、それにより第2の伸長位置E1にある第2のレール24に対して第3のレール26を開方向D1に変位させて第2のレール24から取り外すことができる。
【0034】
図30及び
図31を参照して、第3のレール26が、第1の伸長位置E1にある第2のレール24に対して第2の伸長位置E2から引っ込め方向D2に変位された後で第2の伸長位置E2に到達すると、第3のレール26の接触部66を使用して第1の係合部材78を駆動し、第1の係合部材78の伸長脚78cが第1の補助部材32の位置制限部38によりもはやブロックされず(
図31を参照)、それ故に第2のレール24を第1のレール22に対して第1の伸長位置E1から引っ込め方向D2に変位させることができる。この状態では第2の係合部材84は第1のレール22の第2の補助部材34から離間されている。第2の補助部材34はガイド区画34aを含むことが好ましい。ガイド区画34aは例えば傾斜面又は湾曲面であるが、それらに限定されない。
【0035】
図32及び
図33を参照すると、第3のレール26が第2の伸長位置E2から引っ込め方向D2に変位された後で所定の引っ込め位置に到達すると、切り替え部材27の駆動部27bは第3のレール26が第2のレール24を所定の位置P(
図33参照)へと引っ込め方向D2に変位させることができるように第2のレール24の作用部44と接触する。第2のレール24は第3のレール26と同時に変位される。第2のレール24が所定の位置Pへと引っ込め方向D2に変位される過程で、第2の係合部材84の伸長脚84cは、第2の係合部材84により第3の弾性部材86に力が加えられ、その結果、弾性力を蓄積するように第1のレール22の第2の補助部材34のガイド区画34aと接触することが好ましい(
図32参照)。第2のレール24が所定の位置P(
図33参照)に到達すると、第2の係合部材84の伸長脚84cは第2の補助部材34のガイド区画34aを通過するため、第2の係合部材84は、第3の弾性部材86により放たれた弾性力に対応して第2の補助部材34と係合するため、第2のレール24が第1のレール22に対して所定の位置Pから開方向D1に変位するのが防止される。なお、第1のレール22は第2のレール24の後端部24bをブロックするために後方ブロック構造22dを有し、それにより第2のレール24が第1のレール22に対して所定位置Pから引っ込め方向D2に変位するを防止する。
【0036】
図34を参照して、第2のレール24が第1のレール22に対して所定位置P(例えば、引っ込め位置)にある場合、第3のレール26を第2のレール24に対して単独で開方向D1に変位させることができ、第3のレール26が第2の伸長位置E2に到達すると、第1の作用部材52及び第2の作用部材54(双方とも第1の作用状態)は、第2のレール24のブロック部46の両側にそれぞれ位置するため、第3のレール26は、第2のレール24に対して第2の伸長位置E2から開方向D1及び引っ込め方向D2のいずれに変位することも防止される。
【0037】
図35を参照して、第3のレール26が第2の伸長位置E2にある場合、ユーザーは前述の第2の力を第1の操作部材62に加えて、第1の操作部材62が第1の作用部材52を駆動して第1の作用状態から解除し(例えば、第2の作用状態にする)、それにより第3のレール26を所定の位置Pにある第2のレール24に対して開方向D1に動かして取り外すことができる。再び
図33を参照して、第3のレール26を取り外す必要がなく且つ第2のレール24が所定の位置Pにある場合、支持部67が再度第2の係合部材84と接触して第2の係合部材84を第2の補助部材34との係合を解除し(
図11を参照)、第2のレール24を再び引き出すことができるようにするために、第3のレール26を開方向D1ではなく引っ込め方向D2に変位することができる。
【0038】
図36を参照して、第3のレール26を用いて物体90を保持することができる。第2のレール24及び第3のレール26が第1のレール22に対してそれぞれ第1の伸長位置E1及び第2の伸長位置E2にある場合、第1のレール22の後端部22bと第3のレール26の前端部26aとの間の距離は第1の伸長長さL1と定義され、スライドレールアセンブリは第1の伸長状態(例えば、限定されないが完全伸長状態)にある。空間が限られた環境でスライドレールアセンブリが用いられ、第1の伸長状態にある場合、スライドレールアセンブリとこの環境における物品92(例えば、ドア、壁又は障害物)との間に第1の空間Y1が存在する。しかしながら、第1の空間Y1はスライドレールアセンブリのメンテナンスの妨げとなり得る。例えば、第3のレール26を第2のレール24から取り外すことが不可能ではないにしろ困難なほど第1の空間Y1が非常に狭いことがある。
【0039】
この場合、
図37及び
図38を参照して、上述の操作を使用して第2のレール24を第1のレール22に対して第1の伸長位置E1から所定の位置Pへと引っ込め方向D2に変位させ(
図37を参照)、それにより第2のレール24を第2の係合部材84を介して第1のレール22の第2の補助部材34と一時的に係合させることができる(
図33を参照)。この目的は、スライドレールアセンブリの全長を第1の伸長長さL1から第2の伸長長さL2に長さを短くすることであり、スライドレールアセンブリは第2の伸長状態(例えば、限定されないが半伸長状態)になる。第2の伸長状態にある場合、スライドレールアセンブリと前記環境内の物品92との間に第2の空間Y2が存在し、第2の空間Y2は第1の空間Y1よりも大きく、スライドレールアセンブリのユーザー又はオペレータは、第1の伸長筐体の場合よりも大きい作業空間が与えられるため、スライドレールアセンブリ及び/又は物体90に対して必要なメンテナンス作業を行うことができるか又は第2のレール24から第3のレール26を容易に取り外すことができる。
【0040】
本実施形態は、スライドレールアセンブリの伸長長さを変えるための操作方法も提供する。操作方法は上記で開示したため、簡略化のためにここでは説明を省略する。
【0041】
前述の実施形態を通じて本発明を開示してきたが、本実施形態は発明の範囲を制限することを意図していない。出願人が求める特許保護の範囲は、添付の特許請求の範囲により定義される。
【符号の説明】
【0042】
22 第1のレール
24 第2のレール
26 第3のレール
27 切り替え部材
32 第1の補助部材
34 第2の補助部材
36 係合解除部
38 位置制限部
44 作用部
52 第1の作用部材
54 第2の作用部材
62 第1の操作部材
64 第2の操作部材
66 接触部
67 支持部
74 同期部材
76 第1の弾性部材
78 第1の係合部材
80 第2の弾性部材
84 第2の係合部材
86 第3の弾性部材