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特許7076440ガス分析器の構成部品をモニタリングする方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】ガス分析器の構成部品をモニタリングする方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/02 20060101AFI20220520BHJP
   G01N 30/86 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
G01N30/02 Z
G01N30/86 V
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019522733
(86)(22)【出願日】2016-11-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-07
(86)【国際出願番号】 IN2016050385
(87)【国際公開番号】W WO2018083706
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2019-06-24
(31)【優先権主張番号】FA/892/MUM/2016
(32)【優先日】2016-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】サトゥプテ,サレシュ・サントラム
(72)【発明者】
【氏名】ガジャール,サヤリ・プラカシュ
(72)【発明者】
【氏名】パティル,スワティ・サヘブロ
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-066185(JP,A)
【文献】特開平04-252928(JP,A)
【文献】特表2012-500390(JP,A)
【文献】特表2011-518314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを受けるように構成され、サンプル出口に結合されたサンプル入口;
前記サンプル入口と前記サンプル出口の間に動作可能に配置されて、前記サンプルに関する指示を提供するように構成された検出器;
ガス分析器の検出器に関して診断指示を提供し、ガス分析器のパラメータの挙動を経時的に分析するためにファジー論理ベースのモジュールを提供するように構成されたマイクロプロセッサであって、マイクロプロセッサがガス分析器を通した流れを制御するように構成され、サンプルを分析するために検出器に動作可能に結合され、サンプルに関する指示に基づきガス分析器のパラメータの挙動の分析データ計算し、診断指示を提供するマイクロプロセッサ; を、含み、
診断指示がガス分析器のパラメータの挙動の分析データと既知の標準データとを比較することに基づ
診断指示が、識別された症状と、可能性ある問題のリストとの間のメンバーシップ度を含み、メンバーシップ度はパラメータが最初に偏差されて以来の時間の長さと偏差率に対応する、ガス分析器。
【請求項2】
前記サンプル入口と前記サンプル出口の間に配置された少なくとも1つのガス測定ステージをさらに含む、請求項1記載のガス分析器。
【請求項3】
前記診断指示が、前記ガス分析器の検出器について予期された欠陥の指示を含む、請求項1記載のガス分析器。
【請求項4】
前記診断指示が、前記ガス分析器の検出器について残存する推定された残存寿命を含む、請求項1記載のガス分析器。
【請求項5】
前記診断指示が、前記ガス分析器の検出器での検出された問題を含む、請求項1記載のガス分析器。
【請求項6】
前記診断指示が、前記ガス分析器の検出器について示唆された行動指針を含む、請求項1記載のガス分析器。
【請求項7】
前記マイクロプロセッサが、前記ガス分析器の検出器に関して、統計ベースのモニタリング関数を提供するように構成されている、請求項1記載のガス分析器。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
プロセスガス分析器、レーザベースのガス分析器、及びガスクロマトグラフのような分析器は一般的に、サンプルガス入力を受けて、ガス測定ステージを通してガスを運んで、サンプルガスのいくつかの態様に関連付けられた分析的出力をもたらす。
【0002】
ガスクロマトグラフィーは、クロマトグラフカラムを通した移動速度に基づく化学化合物の混合物の分離に関わる。分離は、例えば沸点、極性、又は分子の大きさにおける差異に基づき得る。分離された化合物はその後、所与のサンプル中に存在する各化合物の濃度を検出する熱伝導度検出器(TCD)のような適切な検出器に渡って流れ得る。個々の化合物の濃度を知ることは、業界標準方程式を使用して、BTU、比重、又は他の所望の特性のようなサンプルの一定の物理的特性を計算するのを可能にする。
【0003】
現代のガスクロマトグラフは、化合物分離をいくつかのサブプロセスに分けるために、多数の弁(valve)やカラムを含む様々な構成部品(components)及び補助部品(subcomponents)を含む。各構成部品が適切に機能するのを確実にすることは、正確なクロマトグラフィー結果のために重要である。例えば、延長された時間 (一般的には数カ月から数年)に渡る流路における汚染、又はカラムの性能に対する変化は、成分がカラムを出るのに要求される時間に影響し得る。
【発明の概要】
【0004】
ガス分析器は、サンプル入口、サンプル出口、検出器、モニタリング構成部品、及び制御装置を含む。サンプル入口は、サンプルを受けるように構成され、サンプル出口に結合されている。検出器は、サンプル入口とサンプル出口の間に動作可能に配置され、サンプルに関する指示(indication)を提供するように構成されている。モニタリング構成部品は、ガス分析器の少なくとも1つの構成部品に関して診断指示を提供するように構成されている。制御装置は、ガス分析器を通した流れを制御するように構成され、サンプルを分析するために検出器に動作可能に結合され、分析をモニタリング構成部品に提供し、調子の指示を出力に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】本発明の1つの実施態様にしたがった、モニタリング構成部品を有するガスクロマトグラフの一例を示す。
図1B】本発明の1つの実施態様にしたがった、モニタリング構成部品を有するガスクロマトグラフの一例を示す。
図1C】本発明の1つの実施態様にしたがった、モニタリング構成部品を有するガスクロマトグラフの一例を示す。
図2】本発明の1つの実施態様にしたがった、経時的に偏差するメタンの経験された滞留時間を提示する例示的な管理図を示す。
図3】本発明のいくつかの実施態様にしたがった、有用であり得る1つの例示的な構成部品/症状行列を示す。
図4】本発明の1つの実施態様にしたがった、ガスクロマトグラフの調子の指示を提供する1つの例示的な方法のフローダイヤグラムを示す。
図5】本発明の1つの実施態様にしたがった、ガスクロマトグラフ構成部品の残存寿命を決定する方法のフローダイヤグラムである。
図6】本発明の1つの実施態様にしたがった、ファジー論理を使用してガスクロマトグラフ構成部品の残存寿命を計算する方法のフローダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
例示的実施態様の詳細な説明
幅広い様々な適用において、ガス分析器は一般的にガス組成物を測定する。例えば、ガスクロマトグラフは、クロマトグラム、分析されたサンプルにおいて検出された成分のモル百分率、生成された報告及び傾向のような情報を技術者に提供するように構成され得る。1つの実施態様において、ガスクロマトグラフは、MODBUSプロトコル及び/又はアナログ入力/出力インターフェースを含み得る。
【0007】
ガスクロマトグラフユニットのような既存の分析器における1つの問題は、長期使用後にユニットが問題を検出して自己診断できないこと、又は、検出されたカラムの調子、検出器機能、及びサンプルループ機能の指示を技術者に提供できないことである。したがって、所与の分析器構成部品が時期尚早に古くなっているか、又は検出可能なエラー若しくは不調を有するか否かを決定することは困難であり得る。このような情報を入手することは、例えば一定の構成部品に対して先制的な交換又は修理を推奨して、ガスクロマトグラフに関する判断を知らせるのを助ける情報を技術者に提供し得る。
【0008】
ガスクロマトグラフの例において、故障のタイプは、カラム汚染、カラム劣化、カラム接続不良、及び不良なインスタレーションを含み得る。検出器に関して提供され得るいくつかの例示的な指示は、検出器フィラメント不均衡、汚れた若しくは欠陥のある検出器、検出器電源オフ状態、検出器ヒューズ切れ、又は使用若しくは摩損による検出された劣化を含み得る。さらに、1つの実施態様において、ガスクロマトグラフモニタリング構成部品は、クロマトグラフにおける望まれないピーク、口(port)の漏れに関連付けられたバックフラッシュ弁口、観測されたベースラインノイズ、水注入、弁ノイズ調整、ピークずれ警告、ベント中の水、サンプル遮断弁故障、ベント閉塞、及び検出された漏れを含む他の様々な問題に関する指示を提供し得るが、問題はこれらに限定されない。
【0009】
1つの実施態様において、ガスクロマトグラフは、1つ以上のパラメータを経時的にモニタリングするように構成され得るモニタリング構成部品とともに提供される。1つの実施態様において、モニタリング構成部品は、ガスクロマトグラフの構成部品及び補助部品の調子の指示を技術者に提供するように構成されている。1つの実施態様において、ガスクロマトグラフモニタリング構成部品は、関係付けられた補助部品と同様に、カラム、検出器、及びサンプルループの調子をモニタリングし得る。1つの実施態様において、モニタリング構成部品は、予期される構成部品故障の前に技術者に警告を提供し、予期しない構成部品故障のリスクを低減するように構成され得る。
【0010】
1つの実施態様において、分析器モニタリング構成部品は、改善された自己診断及び欠陥予測のために、専門知識と履歴データを一体化し得る。例えば、モニタリング構成部品は、観測可能な分析器傾向と既知の構成部品問題との間の既知の相関に関するデータを組み込み得る。1つの実施態様において、分析器モニタリング構成部品は、ガスクロマトグラフのような分析器の構成部品及び補助部品についての統計ベースのモニタリング関数を提供するように構成されている。別の実施態様において、モニタリング構成部品は、分析器パラメータの挙動を経時的に分析するファジー論理ベースのハイブリッドモジュールを含む。ガスクロマトグラフに特有の興味あるパラメータのいくつかの例は、滞留時間、領域、高さ、レスポンスファクタ等を含む。ファジー論理ベースのハイブリッドモジュールは、1つの実施態様において、前もって潜在的な構成部品欠陥を診断して検出し、修理を可能にするために、ガスクロマトグラフ専門知識の脈絡において、観測されたパラメータを分析し得る。モニタリングは、1つの実施態様において、ガスクロマトグラフデータの周期的なモニタリングを含み得る。別の実施態様において、モニタリングは、各ガスクロマトグラフ分析のモニタリングを含む。構成部品の調子を検出してモニタリングする能力はまた、修理及び交換在庫を管理するのも支援し得る。
【0011】
図1A図1Cは、本発明の1つの実施態様にしたがった、モニタリング構成部品を有するガスクロマトグラフの一例を示す。図1Aは、本発明の実施態様が有用であり得るガスクロマトグラフ100の1つの例示的な実施態様を示す。しかし、図1Aは例えば、Rosemount Analytical Inc.から市販されているモデル700XAガスクロマトグラフを示すが、本明細書において提供される方法及び実施態様は、他の例示的なガス分析器においても有用であり得る。
【0012】
図1Bは、本発明の実施態様が有用であり得るガス分析器の概略システム図である。ガスクロマトグラフ100は、1つの実施態様において、1つ以上の入口110を含む。入口110は、例えばクロマトグラフ100を通って、出口112への、キャリヤーガス及びサンプルガスの適切なソースを可能にするように構成され得、これは1つの実施態様において、適切な処理ラインを含む。1つの実施態様において、キャリヤーガスは、ガス分析器フローパネルに提供され、そこでキャリヤーガスは、レギュレータと乾燥機を通過して初めて分析器炉120に入り、そこでキャリヤーガス予熱コイルを通過し得る。
【0013】
サンプルガスは、1つの実施態様において、クロマトグラフ100に入ってサンプルループ122を通過する。サンプルガスとキャリヤーガスの両方は、1つの実施態様において、既知のガスクロマトグラフィー技術にしたがって、1つ以上のクロマトグラフィーのカラム124を通して様々な量のサンプル及び/又はキャリヤーガスを選択的に流すように構成された、複数の空気制御されたマルチポートセレクタ弁に入り得る。各マルチポートセレクタ弁は、1つの実施態様において、それぞれのソレノイドに流体工学的に結合され得、これは制御装置、例えば制御装置130からの制御信号を受信するように構成され得る。1つの実施態様において、制御装置130はまた、検出器126に動作可能に結合される。
【0014】
1つの実施態様において、検出器126は、分析器炉120内に配置された熱伝導度検出器であり、例えば、1つ以上のソレノイド(図示せず)を制御することによって、ガスクロマトグラフ100を通した流れを完全に制御するように構成されている。さらに、1つの実施態様において、制御装置130は、そこを通したガス流に対する検出器126の反応を決定するように構成されている。1つの実施態様において、制御装置130は、選択された時間の間、サンプルをクロマトグラフィーのカラム124中に選択的に導き、カラム124を通してガスの流れを逆にし、検出器124を通して逆流を方向付けて、反応を経時的に記録する。
【0015】
制御装置130は、好ましくは、分析パラメータを計算し、情報を記憶するための一連の命令を実行するように構成されたマイクロプロセッサ、又は他の適切な装置を含む。制御装置130は、(図1Cに示されている)揮発性及び/又は非揮発性のメモリを含むか、又はこれに結合され得る。1つの実施態様において、制御装置130は、聴覚又は視覚の出力132を提供するように構成されている。出力132は、据え付けられたディスプレイ、ユーザインターフェース上で提示され得るか、又は、ディスプレイ、例えば遠隔演算器のための別の装置に提供され得る。
【0016】
1つの実施態様において、制御装置130はまた、モニタリング構成部品150に結合されるか、又はこれを含む。1つの実施態様において、例えば滞留時間や領域等、1つ以上のパラメータにおける潜在的な偏差を経時的に検出するために、モニタリング構成部品150は、現在のガスクロマトグラフデータを分析して、これを履歴データ又は既知の標準データと比較する。構成部品150をモニタリングすることは、1つ以上の構成部品が異常な挙動を見せていることを示す指示、例えば出力132を提供するように構成され得る。1つの実施態様において、提供された指示は、異常な挙動を経験している構成部品を特定して、例えば汚れたカラム、欠陥のある検出器、又はソレノイド弁の交換等の応対を示唆する。
【0017】
図1Cは、本発明の1つの実施態様にしたがった、モニタリング構成部品200の例示的な概略図を提供する。1つの実施態様において、モニタリング構成部品200は、図1Bに関して提示されて説明されたモニタリング構成部品150に類似しており、ガスクロマトグラフのような分析器の1つ以上の構成部品に関して、モニタリング及び診断指示を提供する。モニタリング構成部品200は、1つの実施態様において、ガスクロマトグラフデータ入口ソース202を含む。1つの実施態様において、ガスクロマトグラフデータ入口ソース202は、1つ以上の最近のガスクロマトグラフ分析からのデータを含む。
【0018】
1つの実施態様において、モニタリング構成部品200はまた、ガスクロマトグラフの1つ以上の最近の較正についての情報を受信するように構成された較正データ入口ストリーム204も含む。1つの実施態様において、ガスクロマトグラフ入口データ202と較正データストリーム204は、モニタリング構成部品200内のデータ取得構成部品210に提供される。データ取得構成部品210は、1つの実施態様において、ガスクロマトグラフ並びにその構成部品及び補助部品のうちの1つ以上について、入力情報を集約するように働き得る。データ取得構成部品210は、1つの実施態様において、メモリ220に結合され得る。メモリ220は、標準参照データ222及び/又は記録されたデータ224を記憶するように構成され得る。記録されたデータ224は、以前のガスクロマトグラフ分析又は実行とともに、以前の較正データに関連付けられたデータを含み得る。さらに、記録されたデータ224は、ガスクロマトグラフ及び/又はガスクロマトグラフ構成部品若しくは補助部品に関する1つ以上の既知の良いパラメータを記憶し得る。
【0019】
1つの実施態様において、モニタリング構成部品200は、データ処理構成部品230を含む。データ処理構成部品230は、1つの実施態様において、受信された分析器パラメータの現在の状況に関する入力データを分析して、現在のパラメータを、以前にとられたデータ、例えばメモリ220から取り出されたデータと比較するように構成され得る。データ処理構成部品230は、既知の統計上の方法232、ファジー論理234、人工神経回路網236、及び/又は、情報を分析する他の方法238のうちの1つ以上を使用し得る。データ処理構成部品230は、調子インジケータ240を提供するように構成され得る。調子インジケータ240は、ガスクロマトグラフのような分析器の調子全体、総じて、1つ以上の構成部品の調子、又は、分析器の1つ以上の構成部品のための可能性ある修理若しくは交換方針の指示に関するインジケータを含み得る。
【0020】
1つの実施態様において、すべてのガスクロマトグラフ較正実行の終了後、モニタリング構成部品200は、例えばデータストリーム202及び/又は204からデータを取り出して、メモリ220内のデータを組織化する。メモリ220は、より効率的に履歴データを処理するために、較正実行からのデータを記憶するように構成され得る。1つの実施態様において、経時的に変化する1つ以上のパラメータを識別するために、データ処理構成部品230は、例えば周期的に、又はガスクロマトグラフ実行の終了毎に、メモリ220から情報を取り出して、統計上の方法を適用するように構成され得る。1つの実施態様において、管理図は1つ以上のパラメータに関して作成されるか又は用いられ得、管理図はクロマトグラフの寿命に渡って更新され得る。管理図は、1つの実施態様において、経時的に変化するパラメータを識別するのに有用であり得る。1つの実施態様において、変化は、パラメータが増加すること及び低下することを検出すること、上方又は下方へのレベルシフトを経験すること、変動の経験等を含み得る。1つの例示的な管理図が図2において提示され、以下で詳細に説明される。識別された傾向の傾きを決定することで、パラメータがどの位速く経時的に偏差しているかを示し得、このことは、予期される欠陥の状態がいつ発生し得るかについての指示を提供できる。1つの実施態様において、予期される欠陥の状態がいつ発生し得るかを検出することは、交換部品を発注するための十分な時間を提供し得、これは手作業での在庫調査の必要性を低減し得る。1つの実施態様において、モニタリング構成部品200は、パラメータ偏差が検出されたときに交換部品を発注できるように遠隔在庫調査システムに通信可能に結合され得る。
【0021】
図2は、本発明の1つの実施態様にしたがった、経時的に偏差する成分(この例におけるメタン)の経験された滞留時間を提示する例示的な管理図を示す。1つの実施態様において、モニタリング構成部品、例えばモニタリング構成部品200は、パラメータの図表による出力を経時的に生成するように構成されている。出力300は、1つの実施態様において、モニタリング構成部品によって内部的に偏差を検出するために使用され得、又は、別の実施態様においては、技術者に対するディスプレイ上の出力である。
【0022】
管理図300は、検出されたパラメータ偏差の例示である。1つの実施態様において、検出された問題点の指示、又は可能性ある解決策の指示のみが提示される。例えば、1つの実施態様において、モニタリング構成部品は、分析器からのデータを経時的に分析して、構成部品での問題を知らせる任意の偏差を検出するように構成されている。モニタリング構成部品はその後、1つの実施態様において、1つ以上の構成部品の予期される欠陥又は修理の必要性に傾向が対応することを決定し得る。モニタリング構成部品は、1つの実施態様において、技術者に対して管理図300を出力する。モニタリング構成部品は、識別された傾向の指示、識別された偏差に関係付けられ得る1つ以上の潜在的な問題点の指示、及び/又は、識別された問題点に対する1つ以上の解決策の指示を提示し得る。1つの実施態様において、モニタリング構成部品は、管理図300を直接的に出力するのではなく、代わりに予期される構成部品欠陥に対して計算された時間のみを提示する。別の実施態様において、管理図300は、提案される解決策、例えばカラムを交換することや、又は検出器ヒューズを交換すること等の指示を技術者に提供するようにのみ、モニタリング構成部品が構成されていることの例示に過ぎない。
【0023】
1つの実施態様において、管理図300は、1つ以上の分析に対応する生のデータを含む。管理図300は、一定のガスクロマトグラフ、例えばクロマトグラフ100に対する成分(メタン)についての滞留時間302の分析を、時間304に渡って例示的に提供する。
【0024】
1つの実施態様において、傾向線310は、平均滞留時間xの指示を経時的に提供し、標準偏差σにおいて測定される平均が経時的に変動するか否か、及びどのように変動するかを示す。1つの実施態様において、関心領域320は、傾向線310の傾き306が経時的に増加しているところとして識別される。傾き306の大きさは、検出された課題がどの位深刻であるかの指示を提供し得る。傾き306の大きさはまた、ガスクロマトグラフについての残存寿命を示すか又は計算するのに使用され得る。残存寿命は特定の構成部品についての欠陥シナリオがいつ発生しそうかを計算するのに有用であり得る。例えば、傾き306は、ガスクロマトグラフ内の特定のカラムが、例えば2週間内に、又は一定数の分析後に、交換を必要とする指示を提供し得る。
【0025】
しかしながら、図2は、ある一定のパラメータ、経時的にガスクロマトグラフを通したメタンの滞留時間についての管理図300を例示的に提示するが、例えば他のパラメータも経時的に追跡され得る。多数のパラメータを経時的に追跡することは、モニタリング構成部品が分析器の調子の全体像を決定できるようにし得る。1つの実施態様において、ガスクロマトグラフの多数のパラメータを経時的に追跡することは、ガスクロマトグラフ及びその構成部品や補助部品のうちの1つ以上の更新された調子の画像を、並びに、欠陥に先立つ警告を提供するのを助ける。分析器の全体的な調子を経時的に追跡することはまた、予期される欠陥が回避されるように、分析器について、修理するための、又は、違う構成部品若しくは補助部品に交換するための時間に対する指示を、モニタリング構成部品が技術者に提供することを可能にし得る。1つの実施態様において、モニタリング構成部品はまた、パラメータ偏差を早期に検出することに基づいて、修理及び交換がより容易に予期されて計画されるので、手作業での交換部品在庫調査の必要性をも低減することができる。
【0026】
1つの実施態様において、1つ以上の追跡されたパラメータ中でいったん傾向が検出されると、モニタリング構成部品は、課題の深刻さを計算するように構成されている。例えば、パラメータが速い速度で変化している場合、これは課題が深刻であり、救済的な行動が直ぐにとられなければならないことを示し得る。深刻さの程度は、モニタリング構成部品によって提供され得るが、例えば質的指示、例えば「深刻」、又は量的指示、例えば残り1週間で構成部品が修理若しくは交換されなければならない、等である。
【0027】
図3は、本発明のいくつかの実施態様にしたがった、有用であり得る構成部品/症状行列(Component/Symptom Matrix)の一例を示す。1つの実施態様において、図2中で提示されたもののような1つ以上の管理図は、組み合わせにおいて、ガスクロマトグラフの調子の全体的な指示を提供できる。1つ以上のパラメータを経時的に検出することは、モニタリング構成部品が、存在する1つ以上の症状を識別して、観測された症状を可能性ある問題に相関することによって、問題の指示を提供するのを可能にし得る。図3は、識別された症状をガスクロマトグラフについての潜在的な問題と相関するのに使用され得る、1つの例示的な構成部品/症状行列400を提供する。例えば、滞留時間の増加はカラム汚染を示し得る。したがって、滞留時間が増加していることを検出することは、カラム汚染のせいで1つ以上のカラムが交換、又は修理される必要があることを示し得る。
【0028】
別の例は、ベースラインがゼロになり得ないことの検出を含み得る。行列400において示されるように、これは不均衡な検出器フィラメントを相関させ得る。1つの実施態様において、モニタリング構成部品が検出された症状の指示を提供したとき、ガスクロマトグラフでの潜在的な課題を決定するために、技術者が行列400を照会できるように、行列400は、ガスクロマトグラフを扱う技術者に提供される。別の実施態様において、行列400は、モニタリング構成部品のメモリ、例えばモジュール200のメモリ220内
で記憶される。モニタリング構成部品200は、1つの実施態様において、例えばデータ処理構成部品230を使用して、複数の追跡されたパラメータについて管理図300において観測された傾向を比較して、症状402を識別する。いったん1つ以上の症状402が検出されると、モニタリング構成部品200はその後、どの潜在的な問題404が存在し得るかを識別して、技術者への指示を提供し得る。例えば、いくつかの症状402は、カラム汚染、不良な検出器フィラメント、及び/又はカラムブリードの増加のうちのいずれかに相関し得る。1つの実施態様において、モニタリング構成部品200はすべての潜在的な問題の指示を提供するので、技術者は、どの問題が観測された症状に責任があるかを検出しなければならない。別の実施態様において、モニタリング構成部品200は、例えばどの問題又は複数の問題が最も存在しそうかを決定するために、観測された症状の相関を実施することによって、最も発生しそうな問題の指示を提供する。理解されるように、このような分析器の様々なパラメータは、異なる構成部品及び分析器状態における変化によって変わり得るので、他のタイプの分析器は、異なる行列400を有し得る。
【0029】
1つの実施態様において、潜在的な症状が潜在的な問題にどのように相関するかを知ること、及び観測されたパラメータ偏差がどの位迅速に発生するかを知ることは、ガス分析器モニタリング構成部品が、ガスクロマトグラフ、又は、その構成部品若しくは補助部品のうちの1つのようなガス分析器の残存寿命を予測するのを可能にし得る。これは様々な仕方でなされ得、いくつかの例示的な方法が図4図6に関して以下で説明される。
【0030】
1つの実施態様において、潜在的な症状が潜在的な問題にどのように相関するかに関する専門知識は、メモリモジュール220内に記憶されるので、モニタリング構成部品200は、どの潜在的な問題が観測されたパラメータ傾向に最も責任があるかを決定するために、識別された症状に対して専門知識を取り出して適用できる。1つの実施態様において、いったん1つの問題が観測されたパラメータ偏差についての潜在的な原因として識別されると、モニタリング構成部品200は、例えば調子インジケータ240を通して、識別された問題の指示を提供するように構成されている。
【0031】
図4は、本発明の1つの実施態様にしたがった、ガス分析器の調子の指示を提供する1つの例示的な方法のフローダイヤグラムを示す。方法500は、検出すること、及び、ガス分析器の検出された問題点についての警告を提供することに有用であり得る。方法500はまた、1つの実施態様において、ガス分析器及び/又はその構成部品若しくは補助部品に関する状況を提供するのにも使用され得る。
【0032】
ブロック510において、較正データがガス分析器から受信される。1つの実施態様において、受信された較正データは、ブロック512で示されるように、将来の分析のために記憶され得る。別の実施態様において、受信されたデータは、これが受信されたときに分析される。さらなる実施態様において、モニタリング構成部品は、例えば時間間隔に基づいて、例えば毎週若しくは毎月、又は所与の数の分析後、例えば10回の実行毎に1度、周期的な分析を行い得る。
【0033】
ブロック520において、受信された較正データが処理される。1つの実施態様において、処理データは、最近受信されたデータを、履歴データ、既知の良いデータ、既知の標準データ等に比較することを含む。データを処理することは、ブロック522において示されるように統計上の分析を、又はブロック524で示されるようにファジー論理ベースの分析を、又はブロック526で示されるように別の分析技術を使用することを含み得る。ブロック520で示されるようにデータを処理することはまた、チャートを作成すること、又はそうでなければパラメータ偏差が発生しているか否かを検出することも含み得る。傾向が観測された場合、モニタリング構成部品は、1つの実施態様において、そのパラメータを目印付け得る。パラメータを目印付けることは、1つの実施態様において、潜在的な傾向に着目して、技術者に指示を提供することを含み得る。1つの実施態様において、パラメータを目印付けることは、検出された傾向をモニタリングするための分析スケジュールを調節することを含む。1つの実施態様において、較正データを処理することは、検出された症状を、問題及び/又は一定の構成部品と関係付けることを含む。
【0034】
ブロック530で、モニタリング構成部品は、1つ以上のガス分析器構成部品の古さを決定する。異なる構成部品は、いくつかの要因、例えばテストされるサンプルの数又はタイプに基づいて、より速く、又はより遅く古くなり得る。古さを決定することは、1つ以上の構成部品についての作動残存寿命を検出することを含み得る。例えば、ガスクロマトグラフカラムが汚染されていること、及び汚染の割合を検出することは、モニタリング構成部品がカラムの交換又は修理に先立って、作動残存寿命を決定できるようにし得る。1つ以上の構成部品の古さは、1つの実施態様において、検出されたパラメータ偏差に基づいて計算され得る。検出された偏差の傾きは、1つの実施態様において、深刻さの指示及び欠陥までの時間を提供し得る。
【0035】
ブロック540において、指示が提供される。1つの実施態様において、指示は、ガス分析器の1つ以上の構成部品が修理又は交換を必要とすることを示す警告544を含む。警告544を提供することは、欠陥シナリオに対して推定される時間を示すことを含み得る。別の実施態様において、指示はガス分析器の状況542を含む。状況542は、別の実施態様において、1つ以上の構成部品の状況を特定し得る。例えば、1つの実施態様において、状況542を提供することは、カラム状況が質的に「良い」若しくは「非常に良い」とは対照的に「不良」であることを示すこと、及び/又は、残存する作動寿命、例えばカラムが修理若しくは交換が要求されるまで3か月より短い作動寿命を有すると示すことを含み得る。
【0036】
方法500は、ガスクロマトグラフの構成部品が交換若しくは修理をいつ要求するかの指示を、技術者に提供するのに有用であり得る。これは、技術者が欠陥シナリオを回避し、単一のクロマトグラムの検査若しくはガスクロマトグラフの物理的検査によっては容易に明らかでない問題を検出するのを助け得る。方法500を使用してデータを処理する能力は、所与のガスクロマトグラフを全体的により良い調子に保ち、潜在的な欠陥問題を早期に識別し得る。
【0037】
図5は、本発明の1つの実施態様にしたがった、ガスクロマトグラフ構成部品の残存寿命を決定する1つの例示的な方法のフローダイヤグラムを示す。方法600は、ガスクロマトグラフ構成部品についての残存寿命を計算するのに有用であり得る。例えば、検出された症状は、修理又は交換を要求する欠陥シナリオ又は不正確さにつながり得る。方法600は、したがって、構成部品が所望の品質基準を過ぎて古くなったとして警告を提供すること、又は構成部品がいつ所望の品質基準を過ぎて古くなるかの推定を含む警告を提供することに有用であり得る。
【0038】
ブロック610で、1つの実施態様において、ガス分析器データは、モニタリング構成部品によって受信される。1つの実施態様において、ガス分析器データを受信することは、最近の較正データ及び/又は最近のクロマトグラムを受信することを含む。
【0039】
ブロック612において、ガス分析器データは、履歴又は記憶された分析器データと比較される。1つの実施態様において、パラメータが平均から離れる傾向があるか否か、及びどの位深刻かを決定するために、既知の良いデータと最近得られたデータの間で比較が行われる。1つの実施態様において、パラメータが統計的に顕著なずれを経験しているか否かを検出するために、履歴データに対して比較が行われる。
【0040】
ブロック620において、ガス分析器データは分類される。1つの実施態様において、ブロック620でデータを分類することは、潜在的な症状622を識別することを含む。症状622を識別することは、1つ以上のパラメータに対して、1つ以上の管理図を生成して、平均から離れた任意の観測された偏差又は傾向を識別するモニタリング構成部品を含み得る。1つの実施態様において、いったん識別された傾向が顕著な偏差、例えば平均から離れた1つ以上の標準偏差に到達すると、傾向は、潜在的な症状として分類される。1つの実施態様において、傾向を識別することに加えて、症状の深刻さが計算される。深刻さは、1つの実施態様において、観測された傾向についての偏差率に基づいて識別され得る。線形傾向について、偏差率は傾きに対応する。非線形傾向について、傾向が欠陥シナリオに対応するしきい値をいつ通過するかを識別することによって、例えば又は他の方法を使用することによって、深刻さは図表によって計算され得る。
【0041】
識別された傾向は、1つの実施態様において、図3で提示されるような構成部品/症状行列を使用して、構成部品に関係付けられた潜在的な問題に相関され得る。ブロック620においてデータを分類することはまた、例えばブロック622で示されるように、識別されたパラメータ偏差に基づいて潜在的な症状を識別することも含み得る。ブロック624において示されるように、例えば構成部品/症状行列を使用して、1つ以上の既知の症状をこのような症状に関係付けられた問題と比較することによって、問題は識別され得る。潜在的な問題を識別することはまた、識別された症状と問題を相関させるのを支援し得るガスクロマトグラフ専門知識からの分析に照らし合わせて、収集されたデータを比較することも含み得る。
【0042】
ブロック630において、メンバーシップ度は、各観測された傾向について計算される。メンバーシップ度は、パラメータが最初に偏差されて以来の時間の長さと偏差率に対応し得る。1つの実施態様において、計算されたメンバーシップ度は、検出された問題の深刻さの指示を提供し得る。1つ以上のパラメータの挙動が速い速度で変化している場合、これは問題が深刻であることを示し得る。反対に、パラメータが遅い速度で変化している場合、これは問題が軽度であることを示し得る。例えばブロック630において計算されたメンバーシップ度を知ることで、行動が即座にとられる必要があるか否かを、又は、欠陥シナリオ若しくはクロマトグラフ分析で受容できない不正確さを防ぐための行動が将来いつとられなければならないかを、技術者又はガス分析器のモニタリング構成部品が決定できるようにし得る。
【0043】
ブロック640で、1つの実施態様において、相関は、観測された症状に基づいて、1つ以上の構成部品に関連付けられた潜在的な問題を識別する。1つの実施態様において、相関は、1つ以上のガス分析器専門家からの入力に基づいて集計された確認(confirmability)行列を分析することを含む。
【0044】
発生(occurrence)行列は、どの位頻繁に症状が発生するかを特定し得る。確認行列は、識別された症状が問題にどの位強く相関するか、例えばどの程度それらが互いに関連付けられるかを識別するのに有用であり得る。例えば、多数の症状が単一の問題に相関し得るし、又は1つの症状が多数の問題に相関し得る。例えば、多数の症状がカラム汚染を示し得るし、単一の症状、例えば高バックグラウンド信号ノイズが、多数の問題と相関し得る。確認行列は、一定の症状が一定の問題にどの位強く相関するかについて、より良い指示を提供し得る。いったんモニタリング構成部品が症状と問題の相関に関する情報を有すると、モニタリング構成部品は、相関についてのメンバーシップ度を検出するために合成動作を実施し得る。
【0045】
ブロック650で、ガス分析器構成部品についての残存寿命が計算される。例えば、観測された偏差が線形である管理図300の例では、残存寿命を計算することは、傾きと、受容できないレベルのずれが超越されるであろうときを決定することを含む。受容できないレベルのずれは、1つの実施態様において、受容できない不正確さレベルに対応し得る。別の実施態様において、受容できないレベルのずれは、構成部品についての欠陥シナリオに対応する。
【0046】
方法600は、ガス分析器のモニタリング構成部品が、ガス分析器の1つ以上の構成部品についての残存作動寿命を計算するのに、又は予期される欠陥の指示を技術者に提供するのに有用であり得る。方法600はまた、経時的に観測されたパラメータ偏差に基づいて、残存寿命を定量化できるように計算するのにも有用であり得る。
【0047】
図6は、本発明の1つの実施態様にしたがった、ファジー論理を使用して、ガス分析器構成部品の残存寿命を計算する方法のフローダイヤグラムを示す。方法700は、1つの実施態様において、ガス分析器構成部品についての信頼できる推定残存寿命を提供するのに有用であり得、これは修理スケジュールを計画する際に有用であり得る。さらに、方法700は、予期されない欠陥状態を低減させる又は除去するのを助けて、検出されたデータ欠乏に対して責任ある構成部品を迅速に正確に切り離し得る。
【0048】
方法700は、検出されたパラメータ偏差の深刻さが計算されるブロック710で開始する。1つの実施態様において、深刻さは、ガス分析器によって測定された1つ以上のパラメータについての1つ以上の傾向712を識別することによって計算される。検出された偏差の深刻さはまた、傾向712の傾き又は変化の速度714を決定することによって、1つの実施態様において計算され得る。
【0049】
ブロック720で、構成部品/症状行列が得られる。1つの実施態様において、構成部品/症状行列Rは、観測された傾向712と傾き714の間の最大値を計算して、それを問題/症状行列で乗算することによって得られる。問題/症状行列は、例えば図3において提示されたものと類似し得る。
【0050】
ブロック730で、ガス分析器の専門的判断が取り出される。1つの実施態様において、ガス分析器の専門的判断は、発生行列R及び/又は確認行列Rを含む。発生行列732は、症状を一定の問題に相関させて、確認行列734は、症状が一定の問題をどの位強く裏付けるかを示す。例えば、行列734は、ガスクロマトグラフ中の増加された滞留時間がカラム汚染問題をどの位強く裏付けるかを示し得るか、又は異なる問題を完全に示し得る。
【0051】
ブロック740で、最大-最小の合成が得られる。1つの実施態様において、最大-最小の合成を得ることは、以下で、数式1を適用することによって完遂される。
【数1】
【0052】
x ε {Components}, y ε{Symptoms}, z ε {Issues/Problems/Causes}の場合、μはメンバーシップ度である。数式1は、以下に示される数式2と数式3を使用して、R1とR2を得るために計算された行列に関する専門知識を集計するのに有用であり得る。
【数2】

【数3】
【0053】
R1は、R、構成部品/症状行列と、R、確認行列との間の合成である。同様に、R2は、構成部品/症状行列、Rと、発生行列、Rとの間の合成である。
【0054】
ブロック750において、固定判断が決定される。固定判断は、0又は1の回答のいずれかの結果となる行列演算に対応し得る。固定判断は、構成部品が効率的に機能しているか否か、欠陥状態に接近しているか否か、又は修理の必要があるか否かを決定するために有用であり得る。1つの実施態様において、固定判断は、ブロック752によって示されるように、アルファカットを適用することによって達成される。アルファカットは、例えばx+6σに関して0.5に設定され得る。アルファカットを行列R1とR2に適用することは、結果として0又は1のいずれかの形の固定判断になり得る。固定判断を決定することはまた、ブロック754で示される行列等式演算を適用することによっても達成される。行列等式演算を適用することは、1つの実施態様において、欠陥シナリオを確定するための代替メカニズムを提供し得る。
【0055】
ブロック760で、予期される欠陥シナリオが、例えば固定判断を決定することによっていったん確認されると、1つの実施態様において、関連ある構成部品について作動残存寿命が計算される。説明を容易にするために、検出された線形傾向について例示的な計算が提示される。しかし、残存寿命はまた、検出された非線形偏差についても計算され得る。1つの実施態様において、線形傾向について、以下の数式4で示される直線方程式が、作動残存寿命を計算するために使用される。
【数4】
【0056】
数式4において、xは残存する日単位の時間を表し、yは制御警告値を表し、mは傾きを表し、そしてcは定数を表す。したがって、残存する日単位の時間を計算することは、xを提供するために数式4を再配列することによって達成できる。
【0057】
図3で示されるように、線形傾向線を見ると、例えば、経時的にガスクロマトグラフを通したメタンの滞留時間において増加する偏差が観測される。このことは、例えば、メタン成分を分離することに対して責任のあるカラムが何らかの汚染を経験していることを示し得る。変化の速度又は観測された傾きmは、汚染がカラム内でどの位速く発生しているかを示す。
【0058】
しかし、汚染が発生していることを単純に識別することは、必ずしもその行動、例えば汚染されたカラムの交換が要求されること、そしてそれがいつであるかを示すものではない。したがって、モニタリング構成部品は、技術者に警告を即座に提供し得ないが、着目されたカラムにおける滞留時間を密接に観測することが必須であることの指示を提供し得る。さらに、汚染が発生していることの指示は提供され得るが、しかしながらカラムを交換するための警告は、傾向線が警告限度又は制御限度を超えるまでは提供され得ない。例えば、警告限度、例えばカラムのパーセント汚染しきい値が超えたとき、警告指示が提供され得る。1つの実施態様において、汚染が発生していることを検出した後、モニタリング構成部品は、汚染されたカラムについて残存する最大日数を決定し得る。このことは、モニタリング構成部品がカラムについての汚染速度を計算するのを可能にし得る。これは、識別された症状と汚染についてメンバーシップ度が計算されるのを可能にし得る。
【0059】
モニタリング構成部品は、傾向を識別して、警告値と欠陥値が超えるであろうときを計算することによって、残存寿命を計算するように構成され得る。例えば、数式5(式中、xは日単位の時間を表し、yは制御警告値を表し、mは傾きを表す)において提示される線形方程式を使用して線形傾向が識別されて、警告値が計算されることができる。計算は、欠陥値について、欠陥が発生するまでの残存寿命を決定するために繰り返すことができる。
【0060】
モニタリング構成部品を付加することは、ガス分析器が欠陥発生数を低減できるようにし、作動寿命を通してデータの正確さを改善し得る。さらに、ここでの症状及び方法の使用は、技術者が専門知識を利用して、予想される欠陥シナリオに関してより知的な判断をするのを可能にし得る。さらに、本明細書に記載のシステム及び方法の使用は、欠陥診断における人的ミスを低減するのを助け得る。さらに、本明細書に記載のシステム及び方法は、早期に警告を提供して突然のガス分析器故障を回避するのを助け得る。さらに、本明細書に記載のシステム及び方法を使用するモニタリング構成部品の存在は、このようなガス分析器からの結果の信頼性を増強し得る。さらに、推定される残存寿命を知ることは、メンテナンスのための計画を立てること、及びオンサイトでの予備部品の余剰な在庫調査を回避することを支援し得る。
【0061】
好ましい実施態様を参照して本発明を説明してきたが、当業者は、発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に変更を加えることができることを理解するであろう。例えば、本発明の実施態様はガスクロマトグラフに関して説明されてきたが、本発明の実施態様は、幅広い色々なガス分析器に適用可能である。さらに、本発明の実施態様は、ここでガスクロマトグラフのようなガス分析器の構成部品として診断モニタリング構成部品を説明する一方で、モニタリング構成部品が1つ以上のガス分析器に通信可能に結合された遠隔構成部品であり得ることが明示的に意図される。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6