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7076442PEG化合物のDCHBS活性エステル及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】PEG化合物のDCHBS活性エステル及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07C 309/42 20060101AFI20220520BHJP
   C07K 14/62 20060101ALI20220520BHJP
   C07K 1/08 20060101ALI20220520BHJP
   C07K 14/575 20060101ALI20220520BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20220520BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20220520BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
C07C309/42 CSP
C07K14/62 ZNA
C07K1/08
C07K14/575
A61K38/16
A61K47/54
A61P3/10
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019523009
(86)(22)【出願日】2017-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2017078457
(87)【国際公開番号】W WO2018083335
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-10-26
(31)【優先権主張番号】16197464.7
(32)【優先日】2016-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17181621.8
(32)【優先日】2017-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509091848
【氏名又は名称】ノヴォ ノルディスク アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】キム・ビルケベク・イェンセン
(72)【発明者】
【氏名】マグナス・ベアント・フレドリック・グスタフソン
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-502083(JP,A)
【文献】特表2014-511870(JP,A)
【文献】特表2011-509077(JP,A)
【文献】特表2010-535849(JP,A)
【文献】Tetrahedron Letters,1994年,Vol.35, No.51,9561-9564
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 309/42
C07K 14/62
C07K 1/08
C07K 14/575
A61K 38/16
A61K 47/54
A61P 3/10
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物7b:
【化1】
[式中、
nは、1~2の範囲の整数であり、
-Z1及び-Z2は、独立して、-Cl、-F、-Br、-NO2、-CN、-SO2X2、-CONH、及び-CF3からなる群から選択され、X2は、-OH、CH3、-CF3、及び-N(R1R2)からなる群から選択され、
-Y1及び-Y2は、独立して、存在しないか、又は-Cl及び-Fからなる群から選択され、
-X及びX2は、独立して、-OH、CH3、-CF3、及び-N(R1R2)からなる群から選択され、
ここでR1及びR2は、独立して、H及びC1~C5アルキルからなる群から選択され、C1~C5アルキルは、直鎖状、分岐状又は環状であってもよく、任意選択で、-OH又は-COOHから選択される親水性部分で置換されていてもよい]
を含む化合物;又はそれらの塩。
【請求項2】
化合物7a:
【化2】
(式中、kは、1~10の範囲の整数であり、X、Y1、Y2、Z1及びnは、請求項1に規定の通りである)
を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
化合物7:
【化3】
(式中、kは、1~10の範囲の整数であり、nは、1~2の範囲の整数である);又はその塩を含む、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
式I:
(P-L)U-BL-B-A
[式中、
Aは、化合物1:
【化4】
の活性化剤であり;
Bは、化合物6:
【化5】
(式中、kは、1~10の範囲の整数であり、nは、1~2の範囲の整数であり、pは、1~5の範囲の整数であり、ただしk>1の場合、pは1である)
のリンカー要素であり;
Uは、該化合物の基(P-L)の数を表し、1又は2であり;
各基(P-L)においては、突出部分(P)は、化合物10、化合物11、化合物12、化合物13、及び化合物14:
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
から独立して選択され;
リンカー(L)は、化合物15、化合物16、化合物17、及び化合物18:
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
(式中、
Rは、-COOHであり;s、x、y、z、及びlのそれぞれは、独立して、8~20の範囲の整数を表し;r、m、及びqのそれぞれは、独立して、0~4の範囲の整数を表し;gは、1~10の範囲の整数であり;hは、1~2の範囲の整数であり、tは、1~5の範囲の整数である)
から選択される少なくとも1つのリンカー要素を含み;
BLは、存在する、又は存在せず、存在する場合は、化合物19及び化合物20:
【化15】
【化16】
(式中、u及びvは、独立して、0~5の範囲の整数を表し、ただしuが0である場合、vは、1~5の範囲の整数であり、vが0である場合、uは、1~5の範囲の整数であり;各wは、独立して、0~2の範囲の整数を表す)
から選択されるリンカーであり;
ここでAとBとの間の結合は、エステル結合であり、PとLとの間の結合は、アミド結合であり、
BLが存在する場合、LとBLとの間の結合、及びBLとBとの間の結合は、アミド結合であるか、又はBLが存在しない場合、LとBとの間の結合は、アミド結合である]
を含む、請求項3に記載の化合物;又はそれらの塩。
【請求項5】
kが1であり、nが1であり、及び/又はpが1、2、若しくは4である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Pが、化合物10又は化合物11である、請求項4又は5に記載の化合物。
【請求項7】
Lが、リンカー要素化合物15、リンカー要素化合物16、及び/又はリンカー要素化合物17を含む、請求項4から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
i)Uが1である場合、BLは存在せず、前記化合物が、
式Ia:P-L-B-A
を含むか;又は
ii)Uが2である場合、BLは存在し、前記化合物が、
式Ib:(P-L)2-BL-B-A
を含む、請求項4から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
i)BLが、uが0であり、vが4である化合物19であるか;又は
ii)BLが、各wが1である化合物20である、請求項4から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
化合物21:
【化17】
化合物22:
【化18】
化合物23:
【化19】
化合物24:
【化20】
化合物25:
【化21】
化合物26:
【化22】
化合物27:
【化23】
及び
化合物28
【化24】
から選択される化合物;又はそれらの医薬的に許容される塩。
【請求項11】
アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質中の1つ又は複数のアミノ基をアシル化するための方法であって、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質を、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物と反応させる工程を含む、方法。
【請求項12】
アシル化反応の所望の生成物を精製する更なる工程を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
アシル化反応の所望の生成物が:
(i)化合物41:
【化25】
又は化合物41のアミノ酸配列に対して2つのN末端アミノ酸が欠失した化合物41の類似体、
(ii)化合物42:
【化26】
又は化合物42のアミノ酸配列に対して2つのN末端アミノ酸が欠失した化合物42の類似体、
(iii)化合物43:
【化27】
又は化合物43のアミノ酸配列に対して2つのN末端アミノ酸が欠失した化合物43の類似体、
(iv)化合物44:
【化28】
又は化合物44のアミノ酸配列に対して2つのN末端アミノ酸が欠失した化合物44の類似体、
(v)化合物45:
【化29】
又は化合物45のアミノ酸配列に対して2つのN末端アミノ酸が欠失した化合物45の類似体、
(vi)化合物46:
【化30】
又は化合物46のアミノ酸配列に対して2つのN末端アミノ酸が欠失した化合物46の類似体、
(vii)化合物47:
【化31】
又は化合物47のアミノ酸配列に対して2つのN末端アミノ酸が欠失した化合物47の類似体、
(iix)化合物48:
【化32】
又は化合物48のアミノ酸配列に対して2つのN末端アミノ酸が欠失した化合物48の類似体、
(ix)化合物49:
【化33】
又は化合物49のアミノ酸配列に対して2つのN末端アミノ酸が欠失した化合物49の類似体、
(x)化合物50:
【化34】
又は化合物50のアミノ酸配列に対して2つのN末端アミノ酸が欠失した化合物50の類似体、
(xi)化合物51
【化35】
(xii)化合物52
【化36】
(xiii)化合物53
【化37】
及び
(xiv)化合物54
【化38】
から選択されるか;又はそれらの医薬的に許容される塩である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の方法であって、アシル化反応の所望の生成物が、N末端で短縮化されたGLP-1ペプチドである場合、
前記方法は、(I)アシル化反応の生成物を、化合物8:
【化39】
(式中、
R2は、H又はアミノ保護基であり、R3は、アミノ保護基であるか;又は
R2は、除去可能なアルキル基であり、R3は、H若しくは除去可能なアルキル基であるか;又は
R2及びR3は、一緒になって環を形成し;
R4は、Hであるか、又はカルボキシレート基と塩を形成する2級アンモニウムカチオン、3級アンモニウムカチオン若しくは金属カチオンであり;
R5は、存在しないか又は酸性塩である)
の保護されたジペプチドと反応させ、ペプチド又はタンパク質のN末端に保護基を有する対応するアシル化した全長ペプチド又はタンパク質を得る工程
を更に含み;
前記方法は、更なる工程(II)及び(III)の1つ又は複数:
(II)保護基R1及び/若しくはR2を除去する工程;並びに/又は
(III)前記アシル化した全長ペプチ若しくはタンパク質を精製する工程
を更に含み;
工程(II)及び(III)のそれぞれは任意選択である、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
アミノ酸、ペプチド又はタンパク質を、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物と反応させる工程を含む、1つ又は複数のアミノ基がアシル化されたアミノ酸、ペプチド又はタンパク質を調製する方法。
【請求項16】
調製された生成物が、請求項13に定義の化合物である、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のアシル化剤、その調製物、並びにアシル化したアミノ酸、ペプチド、及びタンパク質の調製におけるその使用に関する。
【0002】
配列表の参照による組み入れ
「SEQUENCE LISTING」という表題の配列表は、9433バイトであり、2017年11月07日に作成され、参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
ペプチド又はタンパク質の1つ又は複数のアミノ基をアシル化することによって、ペプチド又はタンパク質に1つ又は複数の置換基を結合させることは、当技術分野において周知である。医薬用ペプチド又はタンパク質の場合、これは、医薬用ペプチド又はタンパク質のインビボにおける作用の長い持続時間を達成する効率的な方法であり得る。
【0004】
アシル化された医薬用ペプチド又はタンパク質の非限定的な例としては、例えば、GLP-1ペプチド及びインスリンペプチドが挙げられる。
【0005】
モノアシル化、ジアシル化、及びトリアシル化したGLP-1ペプチドの様々な例は、例えば、WO2006/097537、WO2011/080103、WO2012/140117、WO2015/000942、WO2015/022400、WO2016/083499、及びWO2016/097108に開示されている。
【0006】
アシル化インスリンペプチドの様々な例は、例えば、WO2009/115469に開示されている。
【0007】
ペプチド及びタンパク質をアシル化するための方法は、例えば、WO00/55119及びWO2010/029159に開示されている。
【0008】
Tetrahedron Letters、35巻、51号、9561~9564頁(1994)は、縮合試薬としてのo-ヒドロキシベンゼンスルホニルクロリドの使用を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】WO2006/097537
【文献】WO2011/080103
【文献】WO2012/140117
【文献】WO2015/000942
【文献】WO2015/022400
【文献】WO2016/083499
【文献】WO2016/097108
【文献】WO2009/115469
【文献】WO00/55119
【文献】WO2010/029159
【文献】WO2009/083549
【文献】WO2013/098191
【文献】WO2015/071355
【文献】WO2015/071356
【文献】WO2016/034604
【文献】WO2012/168430
【文献】WO2012/168431
【文献】WO2012/168432
【文献】WO2015/052088
【文献】WO2008/0343881
【非特許文献】
【0010】
【文献】Tetrahedron Letters、35巻、51号、9561~9564頁(1994)
【文献】Needleman、S.B.及びWunsch、C.D.、(1970)、Journal of Molecular Biology、48: 443~453
【文献】「Optimal Alignments in Linear Space」CABIOS (computer applications in the biosciences)(1988) 4:11~17に記載のMyers及びW. Millerによるalignプログラム
【文献】「Principles of Biochemistry」、AL Lehninger、DL Nelson、MM Cox、第2版、Worth Publishers、1993、763頁
【文献】「Fmoc solid phase peptide synthesis a practical approach」、W.C. Chan and P.D. White編、Oxford 2000 (2004)、University Press、61~62頁
【文献】Greene's Protective Group in Organic Synthesis、第4版、ISBN-13:978-0471697541
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、化合物6b:
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、nは、1~2の範囲の整数である)
の要素を含む化合物の、化合物1c:
【0014】
【化2】
【0015】
[式中、
-Z1及び-Z2は、独立して、-Cl、-F、-Br、-NO2、-CN、-SO2X2、-CONH、及び-CF3からなる群から選択され、X2は、-OH、CH3、-CF3、及び-N(R1R2)(例えば-N(CH3)2)からなる群から選択され、
-Y1及び-Y2は、独立して、存在しないか、又は-Cl及び-Fからなる群から選択され、
-Xは、-OH、CH3、-CF3、及び-N(R1R2)(例えば-N(CH3)2)からなる群から選択され、
ここでR1及びR2は、独立して、H及びC1~C5アルキルからなる群から選択され、C1~C5アルキルは、直鎖状、分岐状又は環状であってもよく、任意選択で、親水性部分(例えば-OH又は-COOH)で置換されていてもよい]
の活性化剤とのエステルの形態の新規のアシル化剤に関する。
【0016】
したがって、本発明は、化合物7b:
【0017】
【化3】
【0018】
[式中、
nは、1~2の範囲の整数であり、
-Z1及び-Z2は、独立して、-Cl、-F、-Br、-NO2、-CN、-SO2X2、-CONH、及び-CF3からなる群から選択され、X2は、-OH、CH3、-CF3、及び-N(R1R2)(例えば-N(CH3)2)からなる群から選択され、
-Y1及び-Y2は、独立して、存在しないか、又は-Cl及び-Fからなる群から選択され、
-Xは、-OH、CH3、-CF3、及び-N(R1R2)(例えば-N(CH3)2)からなる群から選択され、
ここでR1及びR2は、独立して、H及びC1~C5アルキルからなる群から選択され、C1~C5アルキルは、直鎖状、分岐状又は環状であってもよく、任意選択で、親水性部分(例えば-OH又は-COOH)で置換されていてもよい]
を含む化合物;又はそれらの塩の形態の新規のアシル化剤に関する。
【0019】
一部の実施形態において、本発明は、化合物6a:
【0020】
【化4】
【0021】
(式中、kは、1~10の範囲の整数であり、nは、1~2の範囲の整数である)
の要素を含む化合物の、化合物1b:
【0022】
【化5】
【0023】
の活性化剤とのエステルの形態の新規のアシル化剤に関する。
【0024】
したがって、一部の実施形態において、本発明の新規のアシル化剤は、化合物7:
【0025】
【化6】
【0026】
(式中、kは、1~10の範囲の整数であり、nは、1~2の範囲の整数である)
を含む化合物;又はその塩である。この化合物は、典型的には、活性化されたエステル又は活性化されたフェノールエステルと称する場合もある。
【0027】
化合物6aの要素は、医薬用ペプチド又はタンパク質の1つ又は複数のアミノ基にアシル化した置換基において、リンカー又はスペーサー要素として使用されることが多い。これらの置換基又は側鎖は、典型的には、遠位の親油性部分を含んでいてもよく、このような部分はしばしば突出部分及びリンカーと称され、典型的には、化合物6aリンカー要素等の1つ又は複数のリンカー要素を含んでいてもよい。側鎖の突出部分及び1つ又は複数のリンカー要素は、典型的には、アミド結合を介して相互接続されていてもよい。化合物6a要素は、化合物6aの-CO基とペプチド又はタンパク質のアミノ基との間のアミド結合の形成下で側鎖全体を問題のペプチド又はタンパク質に連結し、その結果、アシル化した(N-アシル化した)ペプチド又はタンパク質をもたらす。したがって、化合物6aリンカー要素は、側鎖の第1のリンカー要素であり、これは、問題のペプチド又はタンパク質のアミノ基のすぐ隣の最初の位置に、又はその近傍に配置されると述べることができる。側鎖が結合したペプチド又はタンパク質のアミノ基は、典型的には、それに限定されないが、ペプチド又はタンパク質のLys残基のイプシロン-アミノ基であり得る。このようなアシル化した医薬用ペプチド及びタンパク質の様々な非限定的な例に関して、上記で参照したWO公報を参照されたい。この化合物6aの使用は、化合物6b及び/又は化合物6cにも適用される。
【0028】
化合物1bの活性化剤は、簡略的には、3,5-DC-2-HBSAと称する場合もあり、これは、3,5-ジクロロ-2-ヒドロキシ-ベンゼンスルホン酸を意味する。
【0029】
また本発明は、上記で定義された化合物6aを含む化合物を、化合物1a:
【0030】
【化7】
【0031】
(式中、R1は、OH又は脱離基である)
の化合物と反応させることによって、本発明のアシル化剤を調製する方法にも関する。
【0032】
また本発明は、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質中のアミノ基をアシル化するための方法であって、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質を、本発明のアシル化剤と反応させる工程を含む、方法にも関する。
【0033】
最終的に、本発明はまた、GLP-1ペプチドの2つのN末端アミノ酸が欠失した様々な新規のGLP-1ペプチド及びペプチド誘導体にも関し、更に、本発明のアシル化方法を使用するその調製が本明細書で開示される。これらの化合物は、2つのN末端アミノ酸が含まれる対応するペプチド及びペプチド誘導体の前駆体と称する場合もあり、これらは上記で参照したWO公報により公知である。
【0034】
第1のリンカー要素として化合物6a要素を含む置換基を有するペプチド又はタンパク質をアシル化するための方法は、例えば上記で参照したWO2010/029159で極めて詳細に説明されており、例えば様々な活性化剤が列挙されている12~14頁を参照されたい。WO2010/029159の実験のパートは、典型的にはN-ヒドロキシスクシンイミドエステルの形態の様々なアシル化剤の調製、及び様々な医薬用ペプチド及びタンパク質を調製するためのそれらの使用を報告している。活性化されたN-ヒドロキシスクシンイミドエステルで使用される活性化剤は、化合物2のNHS(N-ヒドロキシスクシンイミド)である:
【0035】
【化8】
【0036】
一態様において、本発明は、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質のアミノ基のアシル化で使用するための、代替の活性化剤である化合物1b活性化剤、3,5-DC-2-HBSAを提供する。別の態様において、本発明は、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質のアミノ基のアシル化で使用するための代替の活性化剤である3,5-DC-2-HDMBSAを提供する。
【0037】
加えて、又は代替として、第2の態様において、本発明は、改善されたアシル化プロセスを提供し、それによって公知のアシル化プロセスに関する問題が低減される。
【0038】
加えて、又は代替として、第3の態様において、本発明は、改善された安定性を有するアシル化剤を提供する。
【0039】
加えて、又は代替として、第4の態様において、本発明は、よりロバスト(robust)なアシル化プロセスを提供する。
【0040】
加えて、又は代替として、第5の態様において、本発明は、アシル化剤の使用される量が低減されるか、及び/又は所望のアシル化したアミノ酸、ペプチド、若しくはタンパク質の収量が改善された、より経済的なアシル化プロセスを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の記載において、ギリシャ文字は、それらの記号又は対応する文字名称によって表すことができ、例えば:α=アルファ;β=ベータ;ε=イプシロン;γ=ガンマ;δ=デルタ;ω=オメガ等である。またμのギリシャ文字は、「u」によって表すこともでき、例えばμl=ul、又はμM=uMである。
【0042】
化学式中のアスタリスク(*)又は波線は、i)結合点、ii)ラジカル、及び/又はiii)非共有電子を意味する。
【0043】
本発明は、新規のアシル化剤、その調製方法、アシル化したペプチド及びタンパク質の調製におけるその使用、並びに新規の前駆体であるGLP-1ペプチド及び誘導体に関する。
【0044】
アシル化剤
本発明は、化合物7b:
【0045】
【化9】
【0046】
[式中、
nは、1~2の範囲の整数であり、
-Z1及び-Z2は、独立して、-Cl、-F、-Br、-NO2、-CN、-SO2X2、-CONH、及び-CF3からなる群から選択され、X2は、-OH、CH3、-CF3、及び-N(R1R2)(例えば-N(CH3)2)からなる群から選択され、
-Y1及び-Y2は、独立して、存在しないか、又は-Cl及び-Fからなる群から選択され、
-Xは、-OH、CH3、-CF3、及び-N(R1R2)(例えば-N(CH3)2)からなる群から選択され、
ここでR1及びR2は、独立して、H及びC1~C5アルキルからなる群から選択され、C1~C5アルキルは、直鎖状、分岐状又は環状であってもよく、任意選択で、親水性部分(例えば-OH又は-COOH)で置換されていてもよい]
を含む化合物;又はそれらの塩に関する。
【0047】
一部の実施形態において、本発明は、化合物7a:
【0048】
【化10】
【0049】
(式中、kは、1~10の範囲の整数であり、残りの置換基は、本明細書において定義された通りである)
を含む化合物に関する。
【0050】
一部の実施形態において、-Z1及び/又は-Z2は、-Clである。一部の実施形態において、-Z1及び-Z2は、-Clである。一部の実施形態において、-Z2は、-NO2でも-SO2X2でもない。一部の実施形態において、-X及び/X2は、-OH又は-N(CH3)2である。一部の実施形態において、Y1及び/又はY2は、存在しない。一部の実施形態において、Y1及びY2は、存在しない。
【0051】
化合物7b又は化合物7aの化合物はまた、アシル化剤又は活性化側鎖と称される場合もあり、これは、それぞれ本明細書で定義される化合物6b又は化合物6aの要素を含む化合物の、本明細書で定義される化合物1cの活性化剤とのフェノールエステルである。化合物6b又は化合物6a要素は、リンカー又はスペーサー要素と称する場合もある。一部の実施形態において、化合物7b又は化合物7aの塩は、アルカリ金属塩又は3級アミン塩である。
【0052】
一部の実施形態において、本発明は、化合物7:
【0053】
【化11】
【0054】
(式中、kは、1~10の範囲の整数であり、nは、1~2の範囲の整数である)
を含む化合物;又はその塩に関する。
【0055】
この化合物はまた、アシル化剤又は活性化側鎖と称される場合もあり、これは、化合物6a:
【0056】
【化12】
【0057】
(式中、kは、1~10の範囲の整数であり、nは、1~2の範囲の整数である)
の要素を含む化合物の、化合物1b:
【0058】
【化13】
【0059】
の活性化剤とのフェノールエステルである。
【0060】
化合物6a要素は、リンカー又はスペーサー要素と称する場合もある。
【0061】
一部の実施形態において、kが1であり、nが1である場合、化合物6aは、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸を表し、これはAdoと略記される。
【0062】
一部の実施形態において、化合物7の塩は、スルホン酸塩、例えばアルカリ金属塩又は3級アミン塩である。
【0063】
一部の実施形態において、本発明のアシル化剤は、式I:
(P-L)U-BL-B-A
[式中、
Aは、化合物1:
【0064】
【化14】
【0065】
の活性化剤であり;
Bは、化合物6:
【0066】
【化15】
【0067】
(式中、kは、1~10の範囲の整数であり、nは、1~2の範囲の整数であり、pは、1~5の範囲の整数であり、ただしk>1の場合、pは1である)
のリンカー要素であり;
Uは、該化合物の基(P-L)の数を表し、1又は2であり;
各基(P-L)は、化合物10、化合物11、化合物12、化合物13、及び化合物14:
【0068】
【化16】
【0069】
【化17】
【0070】
【化18】
【0071】
【化19】
【0072】
【化20】
【0073】
から独立して選択される突出部分(P)を含み;
リンカー(L)は、化合物15、化合物16、化合物17、及び化合物18:
【0074】
【化21】
【0075】
【化22】
【0076】
【化23】
【0077】
【化24】
【0078】
(式中、
Rは、-COOHであり;s、x、y、z、及びlのそれぞれは、独立して、8~20の範囲の整数を表し;r、m、及びqのそれぞれは、独立して、0~4の範囲の整数を表し;gは、1~10の範囲の整数であり;hは、1~2の範囲の整数であり、tは、1~5の範囲の整数である)
から選択される少なくとも1つのリンカー要素を含み;
BLは、化合物19及び化合物20:
【0079】
【化25】
【0080】
【化26】
【0081】
(式中、u及びvは、独立して、0~5の範囲の整数を表し、ただしuが0である場合、vは、1~5の範囲の整数であり、vが0である場合、uは、1~5の範囲の整数であり;各wは、独立して、0~2の範囲の整数を表す)
から選択される任意選択の分岐状リンカーであり、
ここでAとBとの間の結合は、エステル結合であり、PとLとの間の結合は、アミド結合であり、
BLが存在する場合、LとBLとの間の結合、及びBLとBとの間の結合は、アミド結合であるか、又はBLが存在しない場合、LとBとの間の結合は、アミド結合である]
を含む化合物;又はそれらの塩、アミド、若しくはエステルである。
【0082】
一部の実施形態において、Uが1であり、BLが存在しない場合、式Iは、式Ia:P-L-B-Aになる。本明細書に記載の実施例1~3及び8は、このタイプのアシル化剤の実施例である。
【0083】
一部の実施形態において、Uが2であり、BLが存在する場合、式Iは、式1b:(P-L)2-BL-B-Aになる。本明細書に記載の実施例4~7は、このタイプのアシル化剤の実施例である。これらは二又に分かれた、又はフォーク様の構造を有し、それにおいて分岐状リンカーであるBLは、フォークの基部を提供する。
【0084】
一部の実施形態において、(P-L)2における各Pは、実質的に同一である。一部の実施形態において、(P-L)2における各Pは、同一である。一部の実施形態において、(P-L)2における各Pは、異なる。
【0085】
一部の実施形態において、(P-L)2における各Lは、実質的に同一である。一部の実施形態において、(P-L)2における各Lは、同一である。一部の実施形態において、(P-L)2における各Lは、異なる。
【0086】
一部の実施形態において、(P-L)2における各P-Lは、実質的に同一である。一部の実施形態において、(P-L)2における各P-Lは、同一である。一部の実施形態において、(P-L)2における各P-Lは、異なる。
【0087】
一部の実施形態において、BLが化合物19であり、uが0であり、vが4である場合(又はuが4であり、vが0である場合)、BLは、Eps-Lys(ビス)と称する場合もあり、これは、リジンのビスアミノトリラジカルである。化合物19要素は、そのL型又はD型であってもよい。一部の実施形態において、化合物19要素は、L型である。
【0088】
一部の実施形態において、BLが化合物20であり、wが1である場合、BLは、アミノ-C3-(Gly(ビス))と称する場合もあり、これは、グリシン誘導体のビスアミノトリラジカルである。
【0089】
一部の実施形態において、化合物6(B)中のpは、1、2、又は4である。一部の実施形態において、化合物6中のk及びnは、両方とも1である(Ado)。
【0090】
一部の実施形態において、Pは、化合物10である。一部の実施形態において、化合物10中のsは、8~10であり、例えば9である。
【0091】
一部の実施形態において、Pは、化合物11である。一部の実施形態において、化合物11中のxは、16である(C18二酸)。一部の実施形態において、化合物11中のxは、18である(C20二酸)。
【0092】
一部の実施形態において、Lは、化合物15を含む。一部の実施形態において、化合物15中のr、m、及びqがそれぞれ0、2、及び1である場合、化合物15は、g-Glu(ガンマ-Gluのこと)と称する場合もある。化合物15要素は、そのL型又はD型であってもよい。一部の実施形態において、化合物15要素は、L型である。
【0093】
一部の実施形態において、Lは、化合物16を含む。一部の実施形態において、化合物16中のg及びhは、両方とも1である(Ado)。一部の実施形態において、化合物16は、L中に2回含まれる。一部の実施形態において、化合物16は、L中に4回含まれる。一部の実施形態において、化合物16は、L中に含まれない。
【0094】
一部の実施形態において、Lは、化合物17を含み、これは、Trx(トラネキサム酸)と称する場合もある。一部の実施形態において、化合物17は、L中に含まれない。
【0095】
一部の実施形態において、Lは、1から6個のリンカー要素を含有する。一部の実施形態において、Lは、gGlu、Trx-gGlu、Trx-gGlu-2xAdo、及びTrx-gGlu-4xAdoから選択される。
【0096】
一部の実施形態において、本発明のアシル化剤は、化合物21、化合物22、化合物23、化合物24、化合物25、化合物26、化合物27、及び化合物28から選択されるか;又はそれらの医薬的に許容される塩、アミド若しくはエステルである。化合物21~化合物28の構造は、それぞれ実施例1~8に示される。一部の実施形態において、本発明のアシル化剤は、化合物36、化合物37、及び化合物38から選択されるか;又はそれらの医薬的に許容される塩、アミド若しくはエステルである。化合物36~化合物38の構造は、それぞれ実施例8B~8Dに示される。
【0097】
本出願の実施例9は、本発明の活性化側鎖又はアシル化剤の加水分解安定性を、4つの参照側鎖と比較する。本出願の実施例13は、本発明の追加の活性化側鎖又はアシル化剤の加水分解安定性を比較する。
【0098】
一部の実施形態において、本発明のアシル化剤は、対応するNHS-活性化されたアシル化剤(NHSは以下に示す化合物2である)より加水分解に対して安定である。
【0099】
一部の実施形態において、本発明のアシル化剤は、2,4-DC-フェノール及び2,6-DC-フェノール(それぞれ以下に示す化合物3及び化合物4)等の他の塩素で置換されたフェノール活性化剤より加水分解に対して安定である。
【0100】
一部の実施形態において、本発明のアシル化剤は、ベンゼン環上のヒドロキシ基の位置のみが本発明に係る使用のための活性化剤(以下に示す3,5-DC-2-HBSA、化合物1b)とは異なる3,5-DC-4-HBSA(以下に示す化合物5)で活性化されたアシル化剤より加水分解に対して安定である。
【0101】
【化27】
【0102】
【化28】
【0103】
【化29】
【0104】
【化30】
【0105】
【化31】
【0106】
本発明のアシル化剤の追加の特定の実施形態は、以下の「特定の実施形態」という見出しのセクションで開示される。
【0107】
アシル化剤を調製する方法
また本発明は、本発明のアシル化剤を調製するための方法にも関する。
【0108】
一部の実施形態において、本方法は、化合物6b又は化合物6c:
【0109】
【化32】
【0110】
【化33】
【0111】
を含む化合物を、本明細書で定義される化合物1cの化合物と反応させる工程を含む。
【0112】
一部の実施形態において、化合物6bは、化合物6aを詳述した本明細書に記載の方法又は実施形態において、化合物6aの代替物として使用することができる。一部の実施形態において、化合物6cは、化合物6aを詳述した本明細書に記載の方法又は実施形態において、化合物6aの代替物として使用することができる。一部の実施形態において、化合物1cは、化合物1aを詳述した本明細書に記載の方法又は実施形態において、化合物1aの代替物として使用することができる。一部の実施形態において、本方法は、化合物6a:
【0113】
【化34】
【0114】
(式中、kは、1~10の範囲の整数であり、nは、1~2の範囲の整数である)
を含む化合物を、化合物1a;
【0115】
【化35】
【0116】
(式中、R1は、OH又は脱離基である)
の化合物と反応させる工程を含む。
【0117】
一部の実施形態において、化合物6aを含む化合物は、化合物6aのカルボキシレート(右側の端にあるカルボキシレート)であり、化合物1aと反応すると、カルボン酸-スルホン酸の混成無水物が生じ、それにより、容易なフェノレート官能基への分子内のアシル転移反応後に本発明のアシル化剤が生じる。
【0118】
代替として、一部の実施形態において、本方法は、本発明のアシル化剤が生じる、化合物6aを含む化合物と化合物1aの硫酸バージョン(R1=OHの化合物1a、すなわち化合物1b)との1工程のエステル化反応を含む。この反応のための好適なカップリング試薬の1つの非限定的な例は、DCCである。
【0119】
これらの2つの方法のいずれかの一部の実施形態において、化合物6aの左側の端が保護された化学基(例えばtBu又はBnで保護されたカルボン酸基等)を含む場合、本方法はまた、アシル化剤を脱保護する工程も含む。
【0120】
一部の実施形態において、この方法によって調製されたアシル化剤は、上記で論じられたアシル化剤の実施形態のいずれか及び/又は下記で更に論じられる「特定の実施形態」のいずれかに定義の通りである。
【0121】
一部の実施形態において、本方法は、式Ic:(P-L)U-BL-Bの化合物を、化合物1aの化合物(R1がOH又は脱離基であり、P、L、U、BL、及びBが、上記のアシル化剤のセクション及び/又は下記で更に論じられる「特定の実施形態」に定義の通りである)と反応させる工程を含む。
【0122】
一部の実施形態において、R1は、ハロゲンを表す。一部の実施形態において、R1は、Clを表す。一部の実施形態において、R1は、OHを表す。
【0123】
本発明のアシル化剤は、当技術分野において周知の固相ペプチド合成の手順を使用して固体支持体上で調製してもよいし、又は同様に当技術分野において周知の液相中で調製してもよい。このような調製方法の非限定的な例は、本出願の実験のパートに含まれる。
【0124】
本発明のアシル化剤を調製する方法の追加の特定の実施形態は、以下の「特定の実施形態」という見出しのセクションで開示される。
【0125】
アシル化剤を使用する方法
また本発明は、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質中のアミノ基をアシル化するための方法であって、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質を、本発明のアシル化剤と反応させる工程を含む、方法にも関する。
【0126】
一部の実施形態において、この方法で使用するためのアシル化剤は、上記で論じられたアシル化剤の実施形態及び/又は下記で更に論じられる「特定の実施形態」のいずれかに定義の通りである。
【0127】
一部の実施形態において、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質中の1つ又は複数のアミノ基がアシル化される。一部の実施形態において、1、2、又は3つのアミノ基がアシル化される。一部の実施形態において、1又は2つのアミノ基がアシル化される。一部の実施形態において、アシル化される各アミノ基は、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質中のLys残基のイプシロン-アミノ基(eps-Lys)である。
【0128】
本発明のアシル化方法は、当業者公知の好適な条件下で行われる。一部の実施形態において、アシル化反応は、水性反応媒体(水を含有する反応媒体)中で行われる。一部の実施形態において、アシル化反応混合物のpHは、pH8~14の範囲内である。一部の実施形態において、反応混合物の温度は、-5℃から50℃の範囲内である。一部の実施形態において、アシル化反応は、アシル化剤の添加を止めたときに終わる。一部の実施形態において、本方法は、アシル化剤の添加を止めた後に、pHをpH6.5~9.0に調整する更なる工程を含む。
【0129】
本発明のアシル化方法は、かなりロバストである。例えば、本方法は、アシル化しようとするアミノ酸、ペプチド、又はタンパク質への本発明のアシル化剤の添加に関して高度な柔軟性を提供する。加えて、又は代替として、何らかの特定の設計にするための反応容器を必要としない。加えて、又は代替として、最適であるために、又は最適化するために撹拌を必要としない。本明細書に記載の実施例10は、本発明のアシル化剤は、所望の生成物の収量に影響を及ぼすことなく、遅い、迅速な、又は中程度の速度のいずれかで、溶液として添加してもよいし、又は固体として添加してもよいことを実証する。これは、その加水分解に対する不安定性のために、アシル化剤を非常に遅い厳密な制御下で添加しなければならない公知のNHSベースのアシル化方法とは対照的である。
【0130】
本発明のアシル化方法は、公知のNHSベースのアシル化方法と比較してより高い純度の生成物を、及び/又はそれより安価なプロセスで生じる。本明細書に記載の実施例10~12で実証されたように、純度は、少なくとも類似していてもよく、及び/又はより少量のアシル化剤(アシル化しようとするアミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の量に対して、側鎖(Eq SC)の余剰(surplus)がより少ないか、又はその当量がより少ない)を使用しなければならない。
【0131】
一部の実施形態において、本発明のアシル化方法は、アシル化反応の後に、アシル化反応の所望の生成物を精製する更なる工程を含む。アシル化したアミノ酸、ペプチド、及びタンパク質を精製する好適な方法は、当業者公知である。
【0132】
一部の実施形態において、本発明のアシル化方法は、アシル化反応の前に、アシル化しようとするアミノ酸、ペプチド、又はタンパク質を溶解させる更なる工程を含む。一部の実施形態において、アミノ酸、ペプチド又はタンパク質を水溶液中に溶解させる。pH、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の濃度、及び温度の好適な範囲は、当業者公知である。
【0133】
本発明のアシル化方法は、どのようなサイズ(アミノ酸残基の数)又は他の構造的なパラメーターであっても原則的にあらゆるアミノ酸、ペプチド、又はタンパク質に適用可能なものとして、「アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質」を指す。
【0134】
アミノ酸は、アミン基及びカルボン酸基を含む化合物と定義することができる。アミン基は、例えば、1級又は2級アミノ基であり得る。アミノ酸は、任意選択で、しばしばアミノ酸側鎖と称される1つ又は複数の追加の基を含む。アミノ酸は、様々な方法で、例えば起源に基づいて、コードアミノ酸又は非コードアミノ酸として分類することができる。コードアミノ酸は、セクション3AA-1中のIUPACの表1を参照することによって定義することができる。本発明のアシル化方法では、あらゆるアミノ酸を使用することができる。一部の実施形態において、アミノ酸は、コードアミノ酸である。一部の実施形態において、アミノ酸は、非コードアミノ酸である。非コードアミノ酸の1つの非限定的な例は、Aib(アルファ-アミノイソ酪酸)である。
【0135】
ペプチドとタンパク質との区別は、必ずしも明確とは限らない可能性がある。例えば、ペプチドは、時には最大約50個のアミノ酸残基を含有するものとして定義され、ポリペプチドは、時には最小約50個のアミノ酸残基を含有するものとして定義され、タンパク質は、時には生物活性に必要であり得るより複雑な構造で配置された1つ又は複数のペプチド又はポリペプチドから構成されるものとして定義される。それにもかかわらず、インスリン(Cys-Cys結合を介して一緒にカップリングされたそれぞれ長さが50アミノ酸未満の2つのペプチド鎖から構成される)は、従来、ペプチドと称される。
【0136】
本発明の目的のために、以下の定義が適用される:ペプチドは、1つ又は複数の個々のペプチド鎖に、合計で最大200個のアミノ酸残基を含有し;タンパク質は、1つ又は複数の個々のペプチド鎖に、合計で200個より多くのアミノ酸を含有する。
【0137】
本発明の方法における使用のためのペプチドの非限定的な例としては、1つの鎖に31個のアミノ酸残基を有するペプチドであるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)(ネイティブのヒト(GLP-1))、合計で51個のアミノ酸残基を有するペプチドであるインスリン(ネイティブのヒトインスリン、B鎖に30個のアミノ酸、及びA鎖に21個のアミノ酸)、1つの鎖に86個のアミノ酸残基を有するペプチドであるプロインスリン(A、B、及びCペプチドを含むネイティブのヒトプロインスリン)、及びプロインスリンの86個のアミノ酸に加えて、1つの鎖に24個のアミノ酸残基を有するプレ配列を含むペプチドであるプレプロインスリン(ネイティブのヒトプレプロインスリン)が挙げられる。
【0138】
一部の実施形態において、本発明の方法における使用のためのペプチドは、a)少なくとも2個のアミノ酸残基、b)少なくとも5個のアミノ酸残基、c)少なくとも20個のアミノ酸;及び/又はd)最大150個のアミノ酸残基を含有する。
【0139】
一部の実施形態において、タンパク質は、合計で2000個以下のアミノ酸残基を含有する。
【0140】
一部の実施形態において、本発明のアシル化方法で使用するためのアミノ酸、ペプチド、又はタンパク質は、アミノ酸である。
【0141】
一部の実施形態において、本発明のアシル化方法で使用するためのアミノ酸、ペプチド、又はタンパク質は、ペプチドである。
【0142】
一部の実施形態において、本発明のアシル化方法で使用するためのアミノ酸、ペプチド、又はタンパク質は、タンパク質である。
【0143】
本発明のアシル化方法で使用するためのペプチド又はタンパク質中に取り込まれるアミノ酸残基としては、コード及び/又は非コードアミノ酸残基を挙げることができる。用語「コードアミノ酸」は、20種の「天然」アミノ酸を指す(例えば、IUPAC、表1、セクション3AA-1を参照)。非コードアミノ酸の1つの非限定的な例は、Aibであり、これは、アルファ-アミノイソ酪酸(別名アルファ-メチルアラニン)を指す。別段の規定がない限り、本発明のアシル化方法で使用するためのアミノ酸、ペプチド又はタンパク質中のアミノ酸残基は、L型である。
【0144】
一部の実施形態において、本発明のアシル化方法で使用するためのペプチド又はタンパク質は、医薬用ペプチド又はタンパク質であり、これは、ペプチド又はタンパク質が、少なくとも1種又は複数の疾患の予防又は処置に適している可能性があると考えられるインビトロ又はインビボで実証された作用を有することを意味する。疾患の非限定的な例としては、糖尿病、肥満症、並びに関連する疾患及び障害が挙げられる。
【0145】
本発明の方法を使用してアシル化しようとするペプチド又はタンパク質の非限定的な例としては、GLP-1、インスリン、pYY、アミリン、及びそれらの類似体が挙げられる。
【0146】
一部の実施形態において、アシル化しようとするペプチド又はタンパク質は、GLP-1ペプチドである。GLP-1ペプチドという用語は、ネイティブのヒトGLP-1(7~37)(配列番号1)、加えてそれらの類似体(GLP-1類似体)を含む。一部の実施形態において、GLP-1類似体は、GLP-1(7~37)(配列番号1)と比較した場合、最大10個のアミノ酸の変化を有する。一部の実施形態において、アミノ酸の変化は、GLP-1(7~37)(配列番号1)と比較した場合の、アミノ酸の置換、伸長、及び欠失から選択される。一部の実施形態において、GLP-1類似体は、式III:
Xaa7-Xaa8-Glu-Gly-Thr-Xaa12-Thr-Ser-Asp-Xaa16-Ser-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Glu-Xaa22-Xaa23-Ala-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Phe-Ile-Xaa30-Xaa31-Leu-Xaa33-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37-Xaa38-Xaa39-Xaa40-Xaa41-Xaa42;
[式中、Xaa7は、L-ヒスチジン、(S)-2-ヒドロキシ-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-プロピオン酸、D-ヒスチジン、デアミノヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα-アセチル-ヒスチジン、Nα-ホルミル-ヒスチジン、Nα-メチル-ヒスチジン、3-ピリジルアラニン、2-ピリジルアラニン、又は4-ピリジルアラニンであり;Xaa8は、Ala、Gly、Ser、Aib、(1-アミノシクロプロピル)カルボン酸、又は(1-アミノシクロブチル)カルボン酸であり;Xaa12は、Phe又はLeuであり;Xaa16は、Val又はLeuであり;Xaa18は、Ser、Val、Arg、又はLeuであり;Xaa19は、Tyr又はGlnであり;Xaa20は、Leu、Lys、又はMetであり;Xaa22は、Gly又はGluであり;Xaa23は、Gln、Glu、又はArgであり;Xaa25は、Ala又はValであり;Xaa26は、Lys又はArgであり;Xaa27は、Glu、Lys、又はLeuであり;Xaa30は、Ala、Glu、又はArgであり;Xaa31は、Trp又はHisであり;Xaa33は、Valであり;Xaa34は、Arg、His、Asn、Gly、又はGlnであり;Xaa35は、Gly、Alaであるか、又は存在せず;Xaa36は、Arg、Lys、Glyであるか、又は存在せず;Xaa37は、Gly、Pro、Lysであるか、又は存在せず;Xaa38は、Ser、Gly、Ala、Glu、Pro、Lysであるか、又は存在せず;Xaa39は、Ser、Gly、Ala、Glu、Proであるか、又は存在せず;Xaa40は、Ser、Gly、Ala、Glu、Proであるか、又は存在せず;かつXaa41は、Ser、Gly、Ala、Glu、Proであるか、又は存在せず;Xaa42は、Lysであるか、又は存在せず;ここでXaa20、Xaa26、Xaa27、Xaa36、Xaa37、Xaa38、及びXaa42の少なくとも1つは、Lysであり;ただし、Xaa35、Xaa36、Xaa37、Xaa38、Xaa39、Xaa40、又はXaa41の1つが存在しない場合、後続のアミノ酸もそれぞれ存在しない]
のアミノ酸配列を含むか、又はそれらの医薬的に許容される塩、アミド、若しくはエステルを含む。
【0147】
本明細書に記載の式III及び類似の式において、アミノ酸残基の番号付けは、ネイティブのGLP-1に関する分野において確立された慣例に従い、すなわち第1の(N末端の)アミノ酸残基を7番の位置に番号付けするか又は一致させて、C末端に向かって下流の後続のアミノ酸残基を、最後の(C末端の)アミノ酸残基まで8、9、10等と番号付けする。ネイティブのGLP-1において、C末端のアミノ酸残基は、Glyであり、その番号は37である。しかしながら、上記の式から明らかなように、式IIIのペプチドにおいて、C末端のアミノ酸は、Xaa34からXaa42の間のアミノ酸残基のいずれか1つであってもよく、すなわち34から42の数を有する。
【0148】
番号付けは、配列表において異なって行われており、配列番号1の第1のアミノ酸残基(His)は1番に割り当てられ、最後(Gly)は31番に割り当てられる。しかしながら、本明細書において、本発明者らは、上記で説明したように当技術分野において確立された番号付けの慣例に従う。
【0149】
GLP-1類似体は、i)変化したアミノ酸残基に対応するネイティブのGLP-1(7~37)におけるアミノ酸残基(すなわち、ネイティブのGLP-1における対応する位置)の数、及びii)実際の変化を参照することによって記載することができる。
【0150】
「対応する位置」、加えて変化の数と種類は、例えば単なる手書き及び視認(目視検査)によって容易に推測されるか;及び/又はNeedleman-Wunschのアルゴリズムに基づく「align」等の標準的なタンパク質又はペプチドアライメントプログラムを使用してもよい。このアルゴリズムは、Needleman、S.B.及びWunsch、C.D.、(1970)、Journal of Molecular Biology、48: 443~453、及び「Optimal Alignments in Linear Space」CABIOS (computer applications in the biosciences)(1988) 4:11~17に記載のMyers及びW. Millerによるalignプログラムに記載されている。アライメントに関して、デフォルトのスコア行列BLOSUM62及びデフォルトの同一性行列を使用することができ、ギャップ中の第1の残基のペナルティーは、-12、又は好ましくは-10に設定してもよく、ギャップ中の追加の残基のペナルティーは、-2、又は好ましくは-0.5に設定してもよい。
【0151】
一部の実施形態において、本発明のアシル化反応で使用するためのGLP-1ペプチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号12、配列番号14、配列番号16、及び配列番号18から選択されるか;又はそれらの医薬的に許容される塩、アミド若しくはエステルである。
【0152】
一部の実施形態において、本発明のアシル化反応で使用するためのペプチド又はタンパク質は、GLP-1(7~37)(配列番号1)の7位及び8位におけるアミノ酸残基に対応する2つのアミノ酸が欠失したGLP-1ペプチドの前駆体である。前駆体であるGLP-1ペプチドは、他のあらゆる点において上記に、更に下記で更に論じられる「特定の実施形態」に定義の通りである。一部の実施形態において、前駆体は、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号13、配列番号15、配列番号17、及び配列番号19から選択されるか;又はそれらの医薬的に許容される塩、アミド、若しくはエステルである。
【0153】
一部の実施形態において、前駆体は、組換え発現によって調製される。好適な組換え発現方法は当業者公知であり、例えばWO2009/083549の実施例1~3を参照されたい。一部の実施形態において、前駆体は、本発明に従ってアシル化される前に精製される。一部の実施形態において、アシル化前駆体、すなわち本発明のアシル化反応の生成物は、更なる工程で精製される。
【0154】
一部の実施形態において、アシル化前駆体を、化合物8の保護された(His-Aib)ジペプチド:
【0155】
【化36】
【0156】
[式中、R2は、H又はアミノ保護基であり、R3は、アミノ保護基であるか;又はR2は、除去可能なアルキル基であり、R3は、H又は除去可能なアルキル基であるか;又はR2及びR3は、一緒になって環を形成し;R4は、Hであるか、又はカルボキシレート基と塩を形成する2級アンモニウムカチオン、3級アンモニウムカチオン若しくは金属カチオンであり;及びR5は、存在しないか又は酸性塩である]と反応(ライゲート)させて、ペプチド又はタンパク質のN末端に保護基を有する対応するアシル化した全長ペプチド又はタンパク質をもたらす。
【0157】
好適なライゲーション反応条件、例えば化合物8中の好ましいR基、及びN末端の保護基をどのように除去するか等は、WO2013/098191に開示されている。
【0158】
一部の実施形態において、本発明のアシル化方法は、GLP-1前駆体ペプチドに適用される場合、以下の追加の工程:(i)アシル化前駆体を精製する工程、(ii)それに化合物8のジペプチドをライゲートする工程、(iii)N末端を脱保護する工程、及び(iv)得られたアシル化した全長GLP-1ペプチドを精製する工程の1つ又は複数を含む。
【0159】
一部の実施形態において、本発明のアシル化方法を使用して生産されるアシル化GLP-1ペプチド(ただし前駆体を除く)は、GLP-1受容体アゴニストである。
【0160】
受容体アゴニストは、受容体に結合し、天然リガンドに典型的な応答を惹起する類似体と定義することができる(例えば「Principles of Biochemistry」、AL Lehninger、DL Nelson、MM Cox、第2版、Worth Publishers、1993、763頁を参照)。したがって、例えば「GLP-1受容体アゴニスト」は、ヒトGLP-1受容体に結合することが可能であり、それを活性化することが可能な化合物と定義することができる。好適なGLP-1受容体結合及びGLP-1受容体活性化アッセイは、当技術分野において公知である。例えばWO2016/083499中の実施例33及び34を参照されたい。
【0161】
一部の実施形態において、本発明の方法を使用してアシル化しようとするペプチド又はタンパク質は、インスリンペプチドである。インスリンペプチドという用語は、ヒトインスリン、ヒトプロインスリン、ヒトプレプロインスリン、及びそれらの類似体を含む。ヒトインスリン、ヒトプロインスリン、及びヒトプレプロインスリンの配列は、当技術分野において公知である。一部の実施形態において、本発明のアシル化方法で使用するためのインスリン類似体は、ヒトインスリンと比較した場合、最大10個のアミノ酸の変化を有する。一部の実施形態において、最大10個のアミノ酸の変化は、ヒトプロインスリンと比較した場合の変化である。一部の実施形態において、インスリン類似体は、以下のアミノ酸の変化:A14E、B16H、B25H、desB27、及び/又はdesB30の少なくとも1つを含む。本明細書においてインスリン類似体の命名に関して使用される用語は、例えばWO2009/115469で説明されるように、当技術分野において通常の通りである。したがって、例えば、A14Eは、Glu(E)で置き換えられたヒトインスリンA鎖の14番のアミノ酸残基に対応するアミノ酸を指し;B16Hは、His(H)で置き換えられたヒトインスリンB鎖の16番のアミノ酸残基に対応するアミノ酸を指し;desB30は、欠失したヒトインスリンB鎖の30番のアミノ酸残基に対応するアミノ酸を指す。対応する残基/位置番号を同定するために、単なる手書き及び目視検査を使用してもよいし、及び/又は上記でGLP-1類似体に関して論じられたようなalign等のアライメントプログラムを使用してもよい。一部の実施形態において、本発明のアシル化方法で使用するためのインスリン類似体は、i)A14E、B25H、desB27、desB30ヒトインスリン(配列番号8及び9);ii)A14E、B25H、desB30ヒトインスリン(配列番号10及び11);iii)A14E、B16H、B25H、desB30ヒトインスリン(配列番号20及び21)から選択されるか;又はそれらの医薬的に許容される塩、アミド、若しくはエステルである。
【0162】
一部の実施形態において、本発明のアシル化方法で使用するためのインスリンペプチドは、ヒトプロインスリンの類似体であり、これは、組換え発現によって調製することができる。好適な組換え発現方法は当業者公知であり、上記で参照した例えばWO2009/115469を参照されたい。一部の実施形態において、本発明のアシル化方法は、ヒトプロインスリンの類似体に適用される場合、以下の追加の工程:(i)アシル化プロインスリン類似体を精製する工程、(ii)C-ペプチド部分を切り離す工程(例えば酵素によって)、及び(iii)アシル化インスリンペプチドを精製する工程の1つ又は複数を含む。
【0163】
一部の実施形態において、本発明のアシル化方法によって生産された最終的なアシル化インスリンペプチド(ただしアシル化プロインスリン、プレプロインスリン、及びそれらの類似体を除く)は、インスリン受容体への親和性を有する。好適なインスリン受容体の親和性アッセイは、当技術分野において公知であり、WO2009/115469の例えば実施例178を参照されたい。このアッセイを0%HSAと共に使用すると、本発明に従って生産された最終的なアシル化インスリンペプチドは、少なくとも0.10%の親和性を有する。
【0164】
一部の実施形態において、本発明の方法によって生産されるペプチド又はタンパク質は、pYY受容体アゴニストである。好適なpYY受容体アゴニストの非限定的な例は、WO2015/071355及びWO2015/071356に開示されている。
【0165】
一部の実施形態において、本発明の方法によって生産されるペプチド又はタンパク質は、アミリン受容体アゴニストである。好適なアミリン受容体アゴニストの非限定的な例は、WO2016/034604、WO2012/168430、WO2012/168431、及びWO2012/168432に開示されている。
【0166】
一部の実施形態において、本発明のアシル化方法は、ペプチド又はタンパク質から分泌シグナル配列を除去する更なる工程を含む。分泌シグナル配列は、N末端及び/又はC末端の伸長の形態であってもよい。例えばWO2009/083549の44頁を参照されたい。
【0167】
本発明のアシル化方法の一部の実施形態において、ペプチド又はタンパク質のN末端アミノ酸は、負電荷を有する。負電荷を有するアミノ酸残基の1つの非限定的な例は、Gluである。
【0168】
本発明のアシル化剤を使用する方法の追加の特定の実施形態は、以下の「特定の実施形態」という見出しのセクションで開示される。
【0169】
新規のGLP-1前駆体化合物
また本発明は、以下の新規の化合物:
(xi)WO2015/000942の実施例3に示される2つのN末端アミノ酸が欠失した化合物、
(xii)WO2015/000942の実施例11に示される2つのN末端アミノ酸が欠失した化合物、
(xiv)WO2012/140117の実施例31に示される2つのN末端アミノ酸が欠失した化合物、
(xv)WO2012/140117の実施例5に示される2つのN末端アミノ酸が欠失した化合物、
(xvi)WO2011/080103の実施例2に示される2つのN末端アミノ酸が欠失した化合物、
(xvii)WO2016/097108の実施例14に示される2つのN末端アミノ酸が欠失した化合物、
(xiix)WO2016/097108の実施例1に示される2つのN末端アミノ酸が欠失した化合物、
(xix)2つのN末端アミノ酸が欠失したWO2016/083499の実施例11に示される化合物、
(xx)WO2016/083499の実施例12に示される2つのN末端アミノ酸が欠失した化合物
であって、上記の(xi)~(xii)及び(xiv)~(xx)で参照したWO公報それぞれの関連実施例は、参照により本明細書に組み込まれている、化合物;又は
配列番号3、配列番号5、配列番号13、配列番号15、配列番号17、又は配列番号19の配列を有する化合物;又はそれらの医薬的に許容される塩、アミド、若しくはエステルにも関する。
【0170】
塩、アミド及びエステル
本発明の活性化側鎖(アシル化剤)、本発明のアシル化方法で使用するためのペプチド及びタンパク質、並びに得られたアシル化したペプチド及びタンパク質、加えて本発明の新規のGLP-1前駆体化合物は、塩、アミド、又はエステルの形態であってもよい。一部の実施形態において、塩、アミド、又はエステルは、医薬的に許容されるものである。一部の実施形態において、塩、アミド、又はエステルは、問題の化合物の1つ又は複数の化学基に形成される。
【0171】
塩は、例えば塩基と酸との化学反応によって形成され、例えば:2NH3+H2SO4→(NH4)2SO4である。
【0172】
塩は、塩基性塩、酸性塩であってもよいし、又はそのどちらでもなくてもよい(すなわち中性塩)。塩基性塩は、水中で水酸化物イオン及び酸性塩のヒドロニウムイオンを生産する。
【0173】
塩は、添加されたカチオン又はアニオンと、それぞれアニオン性基又はカチオン性基との間で形成することができる。これらの基は、例えばペプチド部分中に、及び/又は側鎖部分中に位置していてもよい。
【0174】
アニオン性基の非限定的な例としては、側鎖中の、更に存在するのであればペプチド部分中の、遊離のカルボン酸基及び遊離のスルホン酸基が挙げられる。ペプチド部分はしばしば、C末端に遊離のカルボン酸基を含み、更に、AspやGlu等の内部酸であるアミノ酸残基にも遊離のカルボン酸基を含んでいてもよい。
【0175】
ペプチド部分中のカチオン性基の非限定的な例としては、N末端中の遊離のアミノ基、更に存在するのであればHis、Arg、及びLys等の内部塩基性アミノ酸残基のあらゆる遊離のアミノ基が挙げられる。
【0176】
本発明の誘導体のエステルは、例えば、遊離のカルボン酸基と、少なくとも1つのヒドロキシル基のアルコキシ又はアリールオキシ基による置き換えを引き起こすアルコール又はフェノールとの反応によって形成されてもよい。
【0177】
エステル形成は、ペプチドのC末端における遊離のカルボン酸基、及び/又は側鎖中のあらゆる遊離のカルボン酸基が関与していてもよい。
【0178】
本発明の誘導体のアミドは、例えば、遊離のカルボン酸基と、アミン若しくは置換されたアミンとの反応によって、又は遊離の若しくは置換されたアミノ基とカルボン酸との反応によって形成されてもよい。
【0179】
アミド形成は、ペプチドのC末端における遊離のカルボン酸基、側鎖中のあらゆる遊離のカルボン酸基、ペプチドのN末端における遊離のアミノ基、並びに/又はペプチド及び/若しくは側鎖中のペプチドのあらゆる遊離の若しくは置換されたアミノ基が関与していてもよい。
【0180】
一部の実施形態において、医薬的に許容される塩、アミド、又はエステルは、医薬的に許容される塩である。一部の実施形態において、医薬的に許容される塩、アミド、又はエステルは、医薬的に許容されるアミドであり、好ましくはペプチドのC末端にアミド基を有する。一部の実施形態において、医薬的に許容される塩、アミド、又はエステルは、医薬的に許容されるエステルである。
【0181】
本明細書において別段の定義がない限り、用語「1つの(a)」は、「1つ又は複数の」を意味する。
【0182】
本明細書において別段の定義がない限り、用語「約」は、+/-10%を意味する。
【0183】
本明細書において別段の定義がない限り、単数形で示される用語は複数形の状況も含む。
【0184】
特定の実施形態
以下は、本発明の特定の実施形態である:
1.化合物7:
【0185】
【化37】
【0186】
(式中、kは、1~10の範囲の整数であり、nは、1~2の範囲の整数である)
を含む化合物;又はその塩。
【0187】
2.kが、1である、実施形態1に記載の化合物。
【0188】
3.nが、1である、実施形態1又は2に記載の化合物。
【0189】
4.塩が、スルホン酸塩である、実施形態1から3のいずれか1つに記載の化合物。
【0190】
5.スルホン酸塩が、3級アミン塩、例えばTEA塩、又はアルカリ金属塩、例えばK塩、Na塩、又はLi塩である、実施形態4に記載の化合物。
【0191】
6.TEA塩の形態である、実施形態1から5のいずれか1つに記載の化合物。
【0192】
6a.アルカリ金属塩の形態である、実施形態1から6のいずれか1つに記載の化合物。
【0193】
7.式I:
(P-L)U-BL-B-A
[式中、
Aは、化合物1:
【0194】
【化38】
【0195】
の活性化剤であり;
【0196】
Bは、化合物6:
【0197】
【化39】
【0198】
(式中、kは、1~10の範囲の整数であり、nは、1~2の範囲の整数であり、pは、1~5の範囲の整数であり、ただしk>1の場合、pは1である)
のリンカー要素であり;
Uは、該化合物の基(P-L)の数を表し、1又は2であり;
各基(P-L)は、化合物10、化合物11、化合物12、化合物13、及び化合物14:
【0199】
【化40】
【0200】
【化41】
【0201】
【化42】
【0202】
【化43】
【0203】
【化44】
【0204】
から独立して選択される突出部分(P)を含み;
リンカー(L)は、化合物15、化合物16、化合物17、及び化合物18:
【0205】
【化45】
【0206】
【化46】
【0207】
【化47】
【0208】
【化48】
【0209】
(式中、
Rは、-COOHであり;s、x、y、z、及びlのそれぞれは、独立して、8~20の範囲の整数を表し;r、m、及びqのそれぞれは、独立して、0~4の範囲の整数を表し;gは、1~10の範囲の整数であり;hは、1~2の範囲の整数であり、tは、1~5の範囲の整数である)
から選択される少なくとも1つのリンカー要素を含み;
BLは、化合物19及び化合物20:
【0210】
【化49】
【0211】
【化50】
【0212】
(式中、u及びvは、独立して、0~5の範囲の整数を表し、ただしuが0である場合、vは、1~5の範囲の整数であり、vが0である場合、uは、1~5の範囲の整数であり;各wは、独立して、0~2の範囲の整数を表す)
から選択される任意選択の分岐状リンカーであり、
ここでAとBとの間の結合は、エステル結合であり、PとLとの間の結合は、アミド結合であり、
BLが存在する場合、LとBLとの間の結合、及びBLとBとの間の結合は、アミド結合であるか、又はBLが存在しない場合、LとBとの間の結合は、アミド結合である]
を含む、実施形態1~6aのいずれか1つに記載の化合物;又はそれらの塩、アミド、若しくはエステル。
【0213】
8.塩、アミド、又はエステルが、Aの塩であるか、及び/又はP-Lの、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カルボン酸エステル、スルホン酸塩、スルホン酸アミド、及び/又はスルホン酸エステルである、実施形態7に記載の化合物。
【0214】
9.Aが、化合物1の活性化剤、又はその塩である、実施形態7又は8に記載の化合物。
【0215】
10.Aの塩が、スルホン酸塩である、実施形態9に記載の化合物。
【0216】
11.Aのスルホン酸塩が、3級アミン塩、例えばTEA塩、又はアルカリ金属塩、例えばK塩、Na塩、又はLi塩である、実施形態10に記載の化合物。
【0217】
11a.AのそのTEA塩の形態である、実施形態7から11のいずれか1つに記載の化合物。
【0218】
11b.Aのそのアルカリ金属塩の形態である、実施形態7から11のいずれか1つに記載の化合物。
【0219】
11c.塩、アミド、又はエステルが、P-Lの、カルボン酸塩、カルボン酸アミド、カルボン酸エステル、スルホン酸塩、スルホン酸アミド、及び/又はスルホン酸エステルである、実施形態7~11bのいずれか1つに記載の化合物。
【0220】
11d.Pが、化合物10であるか、又はそのカルボン酸塩、カルボン酸アミド、若しくはカルボン酸エステルである、実施形態11cに記載の化合物。
【0221】
11e.Pが、化合物11であるか、又はそのカルボン酸塩、カルボン酸アミド、若しくはカルボン酸エステルである、実施形態11cに記載の化合物。
【0222】
11f.Pが、化合物14であるか、又はそのスルホン酸塩、スルホン酸アミド、若しくはスルホン酸エステルである、実施形態11cに記載の化合物。
【0223】
11g.Lが、化合物15であるか、又はそのカルボン酸塩、カルボン酸アミド、若しくはカルボン酸エステルである、実施形態7~11fのいずれか1つに記載の化合物。
【0224】
11h.塩、アミド又はエステルが、医薬的に許容されるものである、実施形態7から11gのいずれか1つに記載の化合物。
【0225】
11i.塩、アミド又はエステルが、塩である、実施形態7から11hのいずれか1つに記載の化合物。
【0226】
12.式Iを有する、実施形態7から11aのいずれか1つに記載の化合物。
【0227】
13.kが、1である、実施形態7から12のいずれか1つに記載の化合物。
【0228】
14.nが、1である、実施形態7から13のいずれか1つに記載の化合物。
【0229】
15.pが、1、2、又は4である、実施形態7から14のいずれか1つに記載の化合物。
【0230】
16.pが、1である、実施形態7から15のいずれか1つに記載の化合物。
【0231】
17.pが、2である、実施形態7から15のいずれか1つに記載の化合物。
【0232】
18.pが、4である、実施形態7から15のいずれか1つに記載の化合物。
【0233】
19.Pが、化合物10である、実施形態7から18のいずれか1つに記載の化合物。
【0234】
20.Rが、ベンゼン環の3位(m)にある、実施形態7から19のいずれか1つに記載の化合物。
【0235】
21.Rが、ベンゼン環の4位(p)にある、実施形態7から20のいずれか1つに記載の化合物。
【0236】
22.sが、8~20である、実施形態7から21のいずれか1つに記載の化合物。
【0237】
23.sが、8~10である、実施形態7から22のいずれか1つに記載の化合物。
【0238】
24.sが、9である、実施形態7から23のいずれか1つに記載の化合物。
【0239】
25.Pが、化合物11である、実施形態7から18のいずれか1つに記載の化合物。
【0240】
26.xが、8~20である、実施形態7から18及び25のいずれか1つに記載の化合物。
【0241】
27.xが、12~20である、実施形態7から18及び25から26のいずれか1つに記載の化合物。
【0242】
28.xが、16である、実施形態7から18及び25から27のいずれか1つに記載の化合物。
【0243】
29.xが、18である、実施形態7から18及び25から28のいずれか1つに記載の化合物。
【0244】
30.Pが、化合物12である、実施形態7から18のいずれか1つに記載の化合物。
【0245】
31.yが、8~20である、実施形態7から18及び30のいずれか1つに記載の化合物。
【0246】
32.yが、12~20である、実施形態7から18及び30から31のいずれか1つに記載の化合物。
【0247】
33.yが、14である、実施形態7から18及び30から32のいずれか1つに記載の化合物。
【0248】
34.Pが、化合物13である、実施形態7から18のいずれか1つに記載の化合物。
【0249】
35.zが、8~20である、実施形態7から18及び34のいずれか1つに記載の化合物。
【0250】
36.zが、13~17である、実施形態7から18及び34から35のいずれか1つに記載の化合物。
【0251】
37.zが、15である、実施形態7から18及び34から36のいずれか1つに記載の化合物。
【0252】
38.Pが、化合物14である、実施形態7から18のいずれか1つに記載の化合物。
【0253】
39.lが、8~20である、実施形態7から18及び38のいずれか1つに記載の化合物。
【0254】
40.lが、13~17である、実施形態7から18及び38から39のいずれか1つに記載の化合物。
【0255】
41.lが、15である、実施形態7から18及び38から40のいずれか1つに記載の化合物。
【0256】
41a.Pが、
i)yが9である化合物10;
ii)xが16である化合物11;及び
iii)xが18である化合物11
から選択される、実施形態7から41のいずれか1つに記載の化合物。
【0257】
41b.実施形態41aのi)の化合物。
【0258】
41c.実施形態41aのii)の化合物。
【0259】
41d.実施形態41aのiii)の化合物。
【0260】
42.Lが、リンカー要素化合物15を含む、実施形態7から41dのいずれか1つに記載の化合物。
【0261】
43.r、m、及びqのそれぞれが、独立して、0~4である、実施形態7から42のいずれか1つに記載の化合物。
【0262】
44.rが0であり、mが2であり、qが1である、実施形態7から43のいずれか1つに記載の化合物。
【0263】
45.Lが、0から6回のリンカー要素化合物16を含む、実施形態7から44のいずれか1つに記載の化合物。
【0264】
46.gが、1~10の範囲の整数である、実施形態7から45のいずれか1つに記載の化合物。
【0265】
47.hが、1~2の範囲の整数である、実施形態7から46のいずれか1つに記載の化合物。
【0266】
48.gが、1である、実施形態7から47のいずれか1つに記載の化合物。
【0267】
49.hが、1である、実施形態7から48のいずれか1つに記載の化合物。
【0268】
50.g及びhのそれぞれが、1である、実施形態7から49のいずれか1つに記載の化合物。
【0269】
51.Lが、化合物16を0回含む、すなわち化合物16を含まない、実施形態7から50のいずれか1つに記載の化合物。
【0270】
52.Lが、化合物16を2回含む、実施形態7から50のいずれか1つに記載の化合物。
【0271】
53.Lが、化合物16を4回含む、実施形態7から50のいずれか1つに記載の化合物。
【0272】
54.Lが、0から1回のリンカー要素化合物17を含む、実施形態7から53のいずれか1つに記載の化合物。
【0273】
55.Lが、化合物17を0回含む、すなわち化合物17を含まない、実施形態7から54のいずれか1つに記載の化合物。
【0274】
56.Lが、化合物17を含む、実施形態7から54のいずれか1つに記載の化合物。
【0275】
57.Lが、0から1回のリンカー要素化合物18を含む、実施形態7から56のいずれか1つに記載の化合物。
【0276】
58.tが、1~5である、実施形態7から57のいずれか1つに記載の化合物。
【0277】
59.tが、2である、実施形態7から58のいずれか1つに記載の化合物。
【0278】
60.Lが、化合物18を0回含む、すなわち化合物18を含まない、実施形態7から59のいずれか1つに記載の化合物。
【0279】
61.Lが、化合物18を含む、実施形態7から59のいずれか1つに記載の化合物。
【0280】
62.1つより多くのリンカー要素がある場合、リンカー要素が、アミド結合を介して相互接続している、実施形態7から61のいずれか1つに記載の化合物。
【0281】
63.a)1つより多くのリンカー要素がある場合、これらは相互接続し、一緒になってリンカーLを構成するか;又はb)リンカー要素が1つのみの場合、この要素はリンカーLを構成する、実施形態7から62のいずれか1つに記載の化合物。
【0282】
64.少なくとも1つのリンカー要素が、1~8の範囲の(各)基(P-L)中のリンカー要素の数を意味する、実施形態7から63のいずれか1つに記載の化合物。
【0283】
65.(各)基(P-L)中に1から6個のリンカー要素を含有する、実施形態7から64のいずれか1つに記載の化合物。
【0284】
66.(各)リンカーLが、以下:
a)rが0であり、mが2であり、qが1である1つのリンカー要素化合物15(化合物15);
b)アミド結合を介して相互接続し、示された配列を有する、1つのリンカー要素化合物17、及びrが0であり、mが2であり、qが1である1つのリンカー要素化合物15(化合物17-化合物15);
c)アミド結合を介して相互接続し、示された配列を有する、1つのリンカー要素化合物17、rが0であり、mが2であり、qが1である1つのリンカー要素化合物15、gが1であり、hが1である2つのリンカー要素化合物16(化合物17-化合物15-2×化合物16);及び
d)アミド結合を介して相互接続し、示された配列を有する、1つのリンカー要素化合物17、rが0であり、mが2であり、qが1である1つのリンカー要素化合物15、gが1であり、hが1である4つのリンカー要素化合物16(化合物17-化合物15-4×化合物16)
から選択される、実施形態7から65のいずれか1つに記載の化合物。
【0285】
67.実施形態66a)に記載の化合物。
【0286】
68.実施形態66b)に記載の化合物。
【0287】
69.実施形態66c)に記載の化合物。
【0288】
70.実施形態66d)に記載の化合物。
【0289】
71.(各)基(P-L)が、それぞれ実施形態19から41d及び42から70のいずれか1つに定義の突出部分(P)及びリンカー(L)からなる、実施形態7から70のいずれか1つに記載の化合物。
【0290】
72.(各)基(P-L)が、それぞれ実施形態41aから41d及び66から70のいずれか1つに定義の突出部分(P)及びリンカー(L)からなる、実施形態7から71のいずれか1つに記載の化合物。
【0291】
73.Uが、1である、実施形態7から72のいずれか1つに記載の化合物。
【0292】
74.BLが存在しない、実施形態73に記載の化合物。
【0293】
75.式Ia:
P-L-B-A
を含む、実施形態7から74のいずれか1つに記載の化合物。
【0294】
76.式Iaを有する、実施形態7から75のいずれか1つに記載の化合物。
【0295】
77.Uが、2である、実施形態7から72のいずれか1つに記載の化合物。
【0296】
78.BLが、存在する、実施形態77に記載の化合物。
【0297】
79.式Ib:
(P-L)2-BL-B-A
を含む、実施形態7から72及び77から78のいずれか1つに記載の化合物。
【0298】
80.式Ibを有する、実施形態7から72及び77から79のいずれか1つに記載の化合物。
【0299】
81.BLが、化合物19である、実施形態7から72及び77から80のいずれか1つに記載の化合物。
【0300】
82.u及びvが、独立して、0~5の範囲の整数を表し、ただしuが0である場合、vは、1~5であり、vが0である場合、uは、1~5である、実施形態7から72及び77から81のいずれか1つに記載の化合物。
【0301】
83.uが0であり、vが4である、実施形態7から72及び77から82のいずれか1つに記載の化合物。
【0302】
84.uが4であり、vが0である、実施形態7から72及び77から82のいずれか1つに記載の化合物。
【0303】
85.BLが、化合物20である、実施形態7から72及び77から80のいずれか1つに記載の化合物。
【0304】
86.各wが、独立して、0~2である、実施形態7から72、77から80及び85のいずれか1つに記載の化合物。
【0305】
87.各wが、1である、実施形態7から72、77から80及び85から86のいずれか1つに記載の化合物。
【0306】
88.化合物21、化合物22、化合物23、化合物24、及び化合物25、化合物26、化合物27、及び化合物28から選択される化合物;又はそれらの医薬的に許容される塩、アミド、若しくはエステル。
【0307】
89.実施形態1から87のいずれか1つに記載の化合物である、実施形態88に記載の化合物。
【0308】
89a.化合物7が、化合物7a:
【0309】
【化51】
【0310】
(式中、k及びnは、実施形態1から3のいずれか1つに定義の通りである)
で置き換えられていることを除き前記化合物と同一な比較化合物より加水分解に対して安定である、実施形態1から6bのいずれか1つに記載の化合物。
【0311】
89b.化合物1の活性化剤Aが、以下の化合物2a:
【0312】
【化52】
【0313】
の活性化剤で置き換えられていることを除き前記化合物と同一な比較化合物より加水分解に対して安定である、実施形態7から89のいずれか1つに記載の化合物
【0314】
89c.加水分解安定性が、約10.3のpH及び室温で好適な緩衝溶液中のNMPに溶解させた化合物及び比較化合物それぞれの0.1M溶液で決定され、反応混合物は、時間中の所望のポイントでUPLCにより分析され、それぞれの加水分解パーセンテージは、210nmでのUV検出で面積の比較により推測される、実施形態89aから89bのいずれか1つに記載の化合物。
【0315】
89d.加水分解安定性が、全体的に実施例9に記載した通りに決定される、実施形態89aから89cのいずれか1つに記載の化合物。
【0316】
90.実施形態1に記載の化合物を調製するための方法であって、化合物6a:
【0317】
【化53】
【0318】
(式中、kは、1~10の範囲の整数であり、nは、1~2の範囲の整数である)
を含む化合物を、化合物1a;
【0319】
【化54】
【0320】
(式中、R1は、OH又は脱離基である)
の化合物と反応させる工程
を含む、方法。
【0321】
91.実施形態1から6aのいずれか1つに記載の化合物を調製するためであり、k及びnのそれぞれは、それに対応して定義される、実施形態90に記載の方法。
【0322】
92.実施形態1から89dのいずれか1つに記載の化合物を調製するための、実施形態90から91のいずれか1つに記載の方法。
【0323】
93.実施形態88から89dのいずれか1つに記載の化合物を調製するための、実施形態90から92のいずれか1つに記載の方法。
【0324】
94.好適な条件下で行われる、実施形態90から93のいずれか1つに記載の方法。
【0325】
95.所望の化合物を精製する工程を含む、実施形態90から94のいずれか1つに記載の方法。
【0326】
96.R1が、ハロゲンを表す、実施形態90から95のいずれか1つに記載の方法。
【0327】
97.R1が、Clを表す、実施形態90から96のいずれか1つに記載の方法。
【0328】
97a.R1が、OHを表す、実施形態90から95のいずれか1つに記載の方法。
【0329】
98.実施形態7に記載の化合物を調製するための方法であって、式Ic:
(P-L)U-BL-B、
(式中、P、L、U、BL、及びBは、実施形態7に定義の通りである)
の化合物を、化合物1a:
【0330】
【化55】
【0331】
(式中、R1は、OH又は脱離基である)
の化合物と反応させる工程を含む、方法。
【0332】
99.実施形態7から89dのいずれか1つに記載の化合物を調製するためであり、P、L、U、BL、及びBのそれぞれは、それに対応して定義される、実施形態98に記載の方法。
【0333】
100.実施形態88から89dのいずれか1つに記載の化合物を調製するためであり、P、L、U、BL、及びBのそれぞれは、それに対応して定義される、実施形態98から99のいずれか1つに記載の方法。
【0334】
101.好適な条件下で行われる、実施形態98から100のいずれか1つに記載の方法。
【0335】
102.関連する反応性基が、式Ic中に存在する場合、好適には保護されている、実施形態98から101のいずれか1つに記載の方法。
【0336】
103.所望の化合物を精製する工程を含む、実施形態98から101のいずれか1つに記載の方法。
【0337】
104.R1が、ハロゲンを表す、実施形態98から103のいずれか1つに記載の方法。
【0338】
105.R1が、Clを表す、実施形態98から104のいずれか1つに記載の方法。
【0339】
105a.R1が、OHを表す、実施形態98から103のいずれか1つに記載の方法。
【0340】
106.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質中のアミノ基をアシル化するための方法であって、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質を、実施形態1から89dのいずれか1つに定義の化合物と反応させる工程を含む、方法。
【0341】
107.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質中のアミノ基をアシル化するための方法であって、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質を、実施形態1から6aのいずれか1つに定義の化合物と反応させる工程を含む、方法。
【0342】
108.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質中のアミノ基をアシル化するための方法であって、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質を、実施形態7から89dのいずれか1つに定義の化合物と反応させる工程を含む、方法。
【0343】
109.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質中のアミノ基をアシル化するための方法であって、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質を、実施形態88から89dのいずれか1つに定義の化合物と反応させる工程を含む、方法。
【0344】
110.アミノ酸、ペプチド又はタンパク質が、2つ以上の反応性求核性官能基を有する、実施形態106から109のいずれか1つに記載の方法。
【0345】
111.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質のアミノ基が、選択的にアシル化されている、実施形態106から110のいずれか1つに記載の方法。
【0346】
112.得られたアシル化したアミノ酸、ペプチド、又はタンパク質が、アシル化されていないか又は部分的にのみアシル化された少なくとも1つの反応性求核性官能基を含む、実施形態106から111のいずれか1つに記載の方法。
【0347】
113.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質中の1つ又は複数のアミノ基をアシル化するための、実施形態106から112のいずれか1つに記載の方法。
【0348】
114.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質中の5つまでのアミノ基をアシル化するための、実施形態106から113のいずれか1つに記載の方法。
【0349】
114a.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質中の1、2、又は3つのアミノ基をアシル化するための、実施形態106から114のいずれか1つに記載の方法。
【0350】
114b.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質中の1又は2つのアミノ基をアシル化するための、実施形態106から114aのいずれか1つに記載の方法。
【0351】
115.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質中の1つのアミノ基をアシル化するための、実施形態106から114bのいずれか1つに記載の方法。
【0352】
116.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質中の2つのアミノ基をアシル化するための、実施形態106から115のいずれか1つに記載の方法。
【0353】
117.その/それぞれのアミノ基が、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質のLys残基のイプシロンアミノ基である、実施形態106から116のいずれか1つに記載の方法。
【0354】
117a.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質が、ペプチド又はタンパク質である、実施形態106から112のいずれか1つに記載の方法。
【0355】
118.関連する反応性基が、存在する場合、好適には保護されている、実施形態106から117aのいずれか1つに記載の方法。
【0356】
119.好適な条件下で行われる、実施形態106から118のいずれか1つに記載の方法。
【0357】
120.実施形態1から89d、1から6a、7から89d、及び88から89dのいずれか1つに定義の通りの化合物が、アシル化剤である、実施形態106から119のいずれか1つに記載の方法。
【0358】
121.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質のアミノ基とアシル化剤との反応が、アシル化反応である、実施形態120に記載の方法。
【0359】
122.アシル化反応が、水性媒体である反応混合物中で行われる、実施形態121に記載の方法。
【0360】
123.反応混合物中のpHが、pH8~14の範囲内である、実施形態121から122のいずれか1つに記載の方法。
【0361】
124.反応混合物中のpHが、pH9~13の範囲内である、実施形態121から123のいずれか1つに記載の方法。
【0362】
125.反応混合物中のpHが、pH10~12の範囲内である、実施形態121から124のいずれか1つに記載の方法。
【0363】
126.反応混合物中のpHが、pH10.5~12.0の範囲内である、実施形態121から125のいずれか1つに記載の方法。
【0364】
127.反応混合物中のpHが、pH11.0~12.0の範囲内である、実施形態121から126のいずれか1つに記載の方法。
【0365】
128.反応混合物中のpHが、pH11.2~11.8の範囲内である、実施形態121から127のいずれか1つに記載の方法。
【0366】
129.反応混合物中のpHが、pH11.2~11.5の範囲内である、実施形態121から128のいずれか1つに記載の方法。
【0367】
130.反応混合物中のpHが、pH11.5~11.8の範囲内である、実施形態121から128のいずれか1つに記載の方法。
【0368】
131.反応混合物の温度が、-5(マイナス5)~50℃の範囲内である、実施形態121から130のいずれか1つに記載の方法。
【0369】
132.反応混合物の温度が、0~50℃の範囲内である、実施形態121から131のいずれか1つに記載の方法。
【0370】
133.反応混合物の温度が、10~30℃の範囲内である、実施形態121から132のいずれか1つに記載の方法。
【0371】
134.反応混合物の温度が、約20℃である、実施形態121から133のいずれか1つに記載の方法。
【0372】
135.反応混合物の温度が、RT(室温)である、実施形態121から134のいずれか1つに記載の方法。
【0373】
136.反応混合物の温度が、0~7℃の範囲内である、実施形態121から132のいずれか1つに記載の方法。
【0374】
137.反応混合物の温度が、2~6℃の範囲内である、実施形態121から132及び136のいずれか1つに記載の方法。
【0375】
138.反応混合物の温度が、約5℃である、実施形態121から132及び136から137のいずれか1つに記載の方法。
【0376】
139.反応混合物が、緩衝液を含む、実施形態121から138のいずれか1つに記載の方法。
【0377】
140.緩衝液が、リン酸緩衝液、炭酸ナトリウム緩衝液、ビシン緩衝液(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン緩衝液)、HEPPS緩衝液(3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸緩衝液)、HEPES緩衝液(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸緩衝液)、MOPS緩衝液(3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸緩衝液)、トリス緩衝液(2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール)、及びTEA溶液から選択される、実施形態139に記載の方法。
【0378】
141.反応が、アシル化剤の添加が始まる時点から数えて0~24時間から起こる、実施形態121から140のいずれか1つに記載の方法。
【0379】
142.反応が、アシル化剤の添加が始まる時点から数えて0~12時間から起こる、実施形態121から141のいずれか1つに記載の方法。
【0380】
143.反応が、アシル化剤の添加が始まる時点から数えて0~6時間から起こる、実施形態121から142のいずれか1つに記載の方法。
【0381】
144.反応が、アシル化剤の添加が始まる時点から数えて0~3時間から起こる、実施形態121から143のいずれか1つに記載の方法。
【0382】
145.反応が、アシル化剤の添加が始まる時点から数えて0~1.5時間から起こる、実施形態121から144のいずれか1つに記載の方法。
【0383】
146.反応時間が、アシル化剤の添加に使用される時間である、実施形態121から145のいずれか1つに記載の方法。
【0384】
147.アシル化反応が、アシル化剤の添加を止めたときに終わる、実施形態121から146のいずれか1つに記載の方法。
【0385】
148.アシル化剤の添加を止めた後、pHをpH6.5~9.0に調整する更なる工程を含む、実施形態121から147のいずれか1つに記載の方法。
【0386】
149.pHが、pH7.5~8.0に調整される、実施形態148に記載の方法。
【0387】
150.pHが、アシル化剤の添加を止めた直後に調整される、実施形態148又は149に記載の方法。
【0388】
151.アシル化剤が、溶液として、又は固体の形態でアミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の溶液に添加される、実施形態121から150のいずれか1つに記載の方法。
【0389】
152.アシル化剤が、溶液として添加される、実施形態121から151のいずれか1つに記載の方法。
【0390】
153.アシル化剤を溶媒中に溶解させる、実施形態121から152のいずれか1つに記載の方法。
【0391】
154.溶媒が、エタノール、イソプロパノール、N-メチルピロリジノン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(dimetylformamide)(DMF)、及びアセトニトリル(CH3CN)から選択される、実施形態153に記載の方法。
【0392】
155.アシル化剤の濃度が、10~1000mg/mLの範囲内である、実施形態121から154のいずれか1つに記載の方法。
【0393】
156.アシル化剤の濃度が、10~500mg/mLの範囲内である、実施形態121から155のいずれか1つに記載の方法。
【0394】
157.アシル化剤の濃度が、10~250mg/mLの範囲内である、実施形態121から156のいずれか1つに記載の方法。
【0395】
158.アシル化剤の濃度が、50~250mg/mLの範囲内である、実施形態121から157のいずれか1つに記載の方法。
【0396】
159.アシル化剤の濃度が、100~200mg/mLの範囲内である、実施形態121から158のいずれか1つに記載の方法。
【0397】
160.溶解したアシル化剤が、0から480分の期間にわたり反応混合物に添加される、実施形態151から159のいずれか1つに記載の方法。
【0398】
161.溶解したアシル化剤が、30から60分の期間にわたり添加される、実施形態151から160のいずれか1つに記載の方法。
【0399】
162.溶解したアシル化剤が、10から45分の期間にわたり添加される、実施形態151から161のいずれか1つに記載の方法。
【0400】
163.アシル化剤が、固体の形態で添加される、実施形態151に記載の方法。
【0401】
164.固体のアシル化剤が、0から240分の期間にわたり反応混合物に添加される、実施形態163に記載の方法。
【0402】
165.固体のアシル化剤が、0から60分の期間にわたり添加される、実施形態163又は164に記載の方法。
【0403】
166.固体のアシル化剤が、0から30分の期間にわたり反応混合物に添加される、実施形態163から165のいずれか1つに記載の方法。
【0404】
167.撹拌又はかき混ぜが用いられる、実施形態121から166のいずれか1つに記載の方法。
【0405】
168.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、1.0~10.0の範囲内である、実施形態121から167のいずれか1つに記載の方法。
【0406】
169.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、1.0~7.5の範囲内である、実施形態121から168のいずれか1つに記載の方法。
【0407】
170.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、1.0~5.0の範囲内である、実施形態121から169のいずれか1つに記載の方法。
【0408】
171.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質中の1又は2つのアミノ基をアシル化するためであり、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、1.0~5.0の範囲内である、実施形態121から170のいずれか1つに記載の方法。
【0409】
172.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、1.0~4.0の範囲内である、実施形態171に記載の方法。
【0410】
173.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、1.0~3.0の範囲内である、実施形態171又は172に記載の方法。
【0411】
174.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質中の1つのアミノ基をアシル化するためであり、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、1.0~3.0の範囲内である、実施形態121から170のいずれか1つに記載の方法。
【0412】
175.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、1.0~2.0の範囲内である、実施形態174に記載の方法。
【0413】
176.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、1.0~1.5の範囲内である、実施形態174又は175に記載の方法。
【0414】
177.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、1.0~1.2の範囲内である、実施形態174から176のいずれか1つに記載の方法。
【0415】
178.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、1.0~1.1の範囲内である、実施形態174から177のいずれか1つに記載の方法。
【0416】
179.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質中の2つのアミノ基をアシル化するためであり、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、2.0~5.0の範囲内である、実施形態121から170のいずれか1つに記載の方法。
【0417】
180.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、2.0~4.0の範囲内である、実施形態179に記載の方法。
【0418】
181.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、2.0~3.5の範囲内である、実施形態179又は180に記載の方法。
【0419】
182.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、2.0~3.0の範囲内である、実施形態179から181のいずれか1つに記載の方法。
【0420】
183.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、2.0~2.6の範囲内である、実施形態179から182のいずれか1つに記載の方法。
【0421】
184.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質中の3つのアミノ基をアシル化するためであり、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、3.0~10.0の範囲内である、実施形態121から170のいずれか1つに記載の方法。
【0422】
185.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、3.0~7.5の範囲内である、実施形態184に記載の方法。
【0423】
186.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、3.0~5.0の範囲内である、実施形態184又は185に記載の方法。
【0424】
187.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、3.0~4.0の範囲内である、実施形態184から186のいずれか1つに記載の方法。
【0425】
188.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の各モルに対して使用されるアシル化剤のモル数が、Eq.SCと称される、実施形態168から187のいずれか1つに記載の方法。
【0426】
189.Eq.SCが、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質と、アシル化剤とのモル比((アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質のモル):(アシル化剤のモル))の逆である、実施形態188に記載の方法。
【0427】
190.アシル化反応工程の前に、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質を水溶液中に溶解させる工程を含む、実施形態121から189のいずれか1つに記載の方法。
【0428】
191.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質を、-10(マイナス10)から30℃の温度で溶解させる、実施形態190に記載の方法。
【0429】
192.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質を、約5℃の温度で溶解させる、実施形態190又は191に記載の方法。
【0430】
193.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質を、約RT(室温)の温度で溶解させる、実施形態190又は191に記載の方法。
【0431】
194.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の溶液のpHが、所望のレベルに調整される、実施形態190から193のいずれか1つに記載の方法。
【0432】
195.所望のレベルが、pH8~12の範囲内である、実施形態194に記載の方法。
【0433】
196.所望のレベルが、pH9~12の範囲内である、実施形態194又は195に記載の方法。
【0434】
197.pH調整のために、アルカリ金属水酸化物、アルカリ炭酸塩、及び/又は3級アミン塩基が使用される、実施形態194から196のいずれか1つに記載の方法。
【0435】
198.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質の溶液が、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質を少なくとも5.0mg/mLの濃度で含む、実施形態190から197のいずれか1つに記載の方法。
【0436】
199.濃度が、5.0~500mg/mLの範囲内である、実施形態198に記載の方法。
【0437】
200.濃度が、5.0~250mg/mLの範囲内である、実施形態198又は199に記載の方法。
【0438】
201.濃度が、5.0~150mg/mLの範囲内である、実施形態198から200のいずれか1つに記載の方法。
【0439】
202.濃度が、5.0~100mg/mLの範囲内である、実施形態198から201のいずれか1つに記載の方法。
【0440】
203.濃度が、10~60mg/mLの範囲内である、実施形態198から202のいずれか1つに記載の方法。
【0441】
204.濃度が、15~45mg/mLの範囲内である、実施形態198から203のいずれか1つに記載の方法。
【0442】
205.濃度が、10~250mg/mLの範囲内である、実施形態198から201のいずれか1つに記載の方法。
【0443】
206.濃度が、20~150mg/mLの範囲内である、実施形態198から201及び205のいずれか1つに記載の方法。
【0444】
206a.濃度が、50~150mg/mLの範囲内である、実施形態198から201及び206のいずれか1つに記載の方法。
【0445】
207.濃度が、25~125mg/mLの範囲内である、実施形態198から201及び205から206のいずれか1つに記載の方法。
【0446】
208.アシル化反応の生成物が、少なくとも50%の純度を有し、純度は、UPLC又はHPLC分析の後に、UVを210nmで使用して、他の反応生成物を表すピークの合わせた曲線下面積(AUC)に対する所望の生成物を表すピークの曲線下面積(AUC)として決定される、実施形態121から207のいずれか1つに記載の方法。
【0447】
209.純度が、少なくとも55%である、実施形態208に記載の方法。
【0448】
210.純度が、少なくとも60%である、実施形態208又は209に記載の方法。
【0449】
211.純度が、少なくとも65%である、実施形態208から210のいずれか1つに記載の方法。
【0450】
212.関連する生成物が、所望の生成物である、実施形態208から211のいずれか1つに記載の方法。
【0451】
213.UPLC及び/又はHPLC分析が、実質的に、実験パート(A2.検出、分析及び特徴付けの一般的な方法、パート2)に記載された通りである、実施形態208から212のいずれか1つに記載の方法。
【0452】
214.UPLC方法が、方法UPLC_A_1である、実施形態213に記載の方法。
【0453】
215.HPLC方法が、方法HPLC_A_1である、実施形態213に記載の方法。
【0454】
216.UPLC方法が、方法UPLC_A_3である、実施形態213に記載の方法。
【0455】
217.所望の生成物が、モノアシル化GLP-1ペプチドである、実施形態208から216のいずれか1つに記載の方法。
【0456】
218.その他の反応生成物が、アシル化されていないペプチド及びそれらのジアシル化したバリアントからなる、実施形態217に記載の方法。
【0457】
219.純度が、少なくとも70%である、実施形態217又は218に記載の方法。
【0458】
220.純度が、少なくとも75%である、実施形態217から219のいずれか1つに記載の方法。
【0459】
221.純度が、少なくとも80%である、実施形態217から220のいずれか1つに記載の方法。
【0460】
222.純度が、少なくとも85%である、実施形態217から221のいずれか1つに記載の方法。
【0461】
223.純度が、少なくとも90%である、実施形態217から222のいずれか1つに記載の方法。
【0462】
224.純度が、少なくとも93%である、実施形態217から223のいずれか1つに記載の方法。
【0463】
225.純度が、少なくとも95%である、実施形態217から224のいずれか1つに記載の方法。
【0464】
226.純度が、少なくとも96%である、実施形態217から225のいずれか1つに記載の方法。
【0465】
227.純度が、少なくとも97%である、実施形態217から226のいずれか1つに記載の方法。
【0466】
228.純度が、少なくとも98%である、実施形態217から227のいずれか1つに記載の方法。
【0467】
229.所望の生成物が、ジアシル化GLP-1ペプチドである、実施形態208から216のいずれか1つに記載の方法。
【0468】
230.その他の反応生成物が、アシル化されていないペプチド、モノアシル化したペプチド、及び存在する場合、他の副産物からなる、実施形態217に記載の方法。
【0469】
231.純度が、少なくとも70%である、実施形態229又は230に記載の方法。
【0470】
232.純度が、少なくとも75%である、実施形態229から231のいずれか1つに記載の方法。
【0471】
233.純度が、少なくとも80%である、実施形態229から232のいずれか1つに記載の方法。
【0472】
234.純度が、少なくとも85%である、実施形態229から233のいずれか1つに記載の方法。
【0473】
235.純度が、少なくとも90%である、実施形態229から234のいずれか1つに記載の方法。
【0474】
236.純度が、少なくとも93%である、実施形態229から235のいずれか1つに記載の方法。
【0475】
237.純度が、少なくとも95%である、実施形態229から236のいずれか1つに記載の方法。
【0476】
238.純度が、少なくとも96%である、実施形態229から237のいずれか1つに記載の方法。
【0477】
239.純度が、少なくとも97%である、実施形態229から238のいずれか1つに記載の方法。
【0478】
240.純度が、少なくとも98%である、実施形態229から239のいずれか1つに記載の方法。
【0479】
241.所望の生成物が、モノアシル化インスリンペプチドである、実施形態208から216のいずれか1つに記載の方法。
【0480】
242.その他の反応生成物が、アシル化されていないペプチド及びそれらのジアシル化したバリアントからなる、実施形態217に記載の方法。
【0481】
243.純度が、少なくとも70%である、実施形態241又は242に記載の方法。
【0482】
244.純度が、少なくとも75%である、実施形態241から243のいずれか1つに記載の方法。
【0483】
245.純度が、少なくとも80%である、実施形態241から244のいずれか1つに記載の方法。
【0484】
246.純度が、少なくとも85%である、実施形態241から245のいずれか1つに記載の方法。
【0485】
247.純度が、少なくとも90%である、実施形態241から246のいずれか1つに記載の方法。
【0486】
248.純度が、少なくとも93%である、実施形態241から247のいずれか1つに記載の方法。
【0487】
249.純度が、少なくとも95%である、実施形態241から248のいずれか1つに記載の方法。
【0488】
250.純度が、少なくとも96%である、実施形態241から249のいずれか1つに記載の方法。
【0489】
251.純度が、少なくとも97%である、実施形態241から250のいずれか1つに記載の方法。
【0490】
252.純度が、少なくとも98%である、実施形態241から251のいずれか1つに記載の方法。
【0491】
253.アシル化反応の所望の生成物を精製する更なる工程を含む、実施形態121から252のいずれか1つに記載の方法。
【0492】
254.アシル化反応の所望の生成物が、アミノ基がアシル化されているアミノ酸、ペプチド、又はタンパク質である、実施形態253に記載の方法。
【0493】
255.所望の生成物が、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質のアミノ基が、アミド結合を介してそれに結合した側鎖を有する、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質であり、ここで側鎖は、式Ic:
(P-L)U-BL-B、
(式中、P、L、U、BL、及びBは、実施形態7から88のいずれかに定義の通りである)を含み、側鎖の結合は、Bで行われている、実施形態254に記載の方法。
【0494】
256.1つ又は複数のアミノ基が、アシル化される、実施形態253から255のいずれか1つに記載の方法。
【0495】
257.5つまでのアミノ基が、アシル化される、実施形態253から256のいずれか1つに記載の方法。
【0496】
258.1、2、又は3つのアミノ基が、アシル化される、実施形態253から257のいずれか1つに記載の方法。
【0497】
259.1又は2つのアミノ基が、アシル化される、実施形態253から258のいずれか1つに記載の方法。
【0498】
260.1つのアミノ基が、アシル化される、実施形態253から259のいずれか1つに記載の方法。
【0499】
261.2つのアミノ基が、アシル化される、実施形態253から260のいずれか1つに記載の方法。
【0500】
262.アシル化されるその/それぞれのアミノ基は、アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質のLys残基のイプシロンアミノ基である、実施形態253から261のいずれか1つに記載の方法。
【0501】
263.アミノ酸、ペプチド、又はタンパク質が、医薬用ペプチド又はタンパク質である、実施形態106から262のいずれか1つに記載の方法。
【0502】
264.医薬用ペプチド又はタンパク質が、糖尿病又は肥満症の処置に好適である、実施形態263に記載の方法。
【0503】
265.医薬用ペプチド又はタンパク質が、GLP-1、インスリン、pYY、アミリン、及びそれらの類似体から選択される、実施形態263又は264に記載の方法。
【0504】
266.ペプチド又はタンパク質が、GLP-1ペプチドである、実施形態106から265のいずれか1つに記載の方法。
【0505】
267.GLP-1ペプチドが、ネイティブのヒトGLP-1(7~37)(配列番号1)又はその類似体(GLP-1類似体)である、実施形態266に記載の方法。
【0506】
268.類似体が、GLP-1(7~37)(配列番号1)と比較した場合、最大10個のアミノ酸の変化を有する、実施形態266に記載の方法。
【0507】
269.類似体が、GLP-1(7~37)(配列番号1)と比較した場合、最大9個のアミノ酸の変化を有する、実施形態267に記載の方法。
【0508】
270.類似体が、GLP-1(7~37)(配列番号1)と比較した場合、最大8個のアミノ酸の変化を有する、実施形態267に記載の方法。
【0509】
271.類似体が、GLP-1(7~37)(配列番号1)と比較した場合、最大7個のアミノ酸の変化を有する、実施形態267に記載の方法。
【0510】
272.類似体が、GLP-1(7~37)(配列番号1)と比較した場合、最大6個のアミノ酸の変化を有する、実施形態267に記載の方法。
【0511】
273.類似体が、GLP-1(7~37)(配列番号1)と比較した場合、最大5個のアミノ酸の変化を有する、実施形態267に記載の方法。
【0512】
274.類似体が、GLP-1(7~37)(配列番号1)と比較した場合、最大4個のアミノ酸の変化を有する、実施形態267に記載の方法。
【0513】
275.類似体が、GLP-1(7~37)(配列番号1)と比較した場合、最大3個のアミノ酸の変化を有する、実施形態267に記載の方法。
【0514】
276.類似体が、GLP-1(7~37)(配列番号1)と比較した場合、最大2個のアミノ酸の変化を有する、実施形態267に記載の方法。
【0515】
277.類似体が、GLP-1(7~37)(配列番号1)と比較した場合、最大1個のアミノ酸の変化を有する、実施形態267に記載の方法。
【0516】
278.GLP-1類似体が、式III:
Xaa7-Xaa8-Glu-Gly-Thr-Xaa12-Thr-Ser-Asp-Xaa16-Ser-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Glu-Xaa22-Xaa23-Ala-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Phe-Ile-Xaa30-Xaa31-Leu-Xaa33-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37-Xaa38-Xaa39-Xaa40-Xaa41-Xaa42;
[式中、
Xaa7は、L-ヒスチジン、(S)-2-ヒドロキシ-3-(1H-イミダゾール-4-イル)-プロピオン酸、D-ヒスチジン、デアミノヒスチジン、ホモヒスチジン、Nα-アセチル-ヒスチジン、Nα-ホルミル-ヒスチジン、Nα-メチル-ヒスチジン、3-ピリジルアラニン、2-ピリジルアラニン、又は4-ピリジルアラニンであり;
Xaa8は、Ala、Gly、Ser、Aib、(1-アミノシクロプロピル)カルボン酸、又は(1-アミノシクロブチル)カルボン酸であり;
Xaa12は、Phe又はLeuであり;
Xaa16は、Val又はLeuであり;
Xaa18は、Ser、Val、Arg、又はLeuであり;
Xaa19は、Tyr又はGlnであり;
Xaa20は、Leu、Lys、又はMetであり;
Xaa22は、Gly又はGluであり;
Xaa23は、Gln、Glu、又はArgであり;
Xaa25は、Ala又はValであり;
Xaa26は、Lys又はArgであり;
Xaa27は、Glu、Lys、又はLeuであり;
Xaa30は、Ala、Glu、又はArgであり;
Xaa31は、Trp又はHisであり;
Xaa33は、Valであり;
Xaa34は、Arg、His、Asn、Gly、又はGlnであり;
Xaa35は、Gly、Alaであるか、又は存在せず;
Xaa36は、Arg、Lys、Glyであるか、又は存在せず;
Xaa37は、Gly、Pro、Lysであるか、又は存在せず;
Xaa38は、Ser、Gly、Ala、Glu、Pro、Lysであるか、又は存在せず;
Xaa39は、Ser、Gly、Ala、Glu、Proであるか、又は存在せず;
Xaa40は、Ser、Gly、Ala、Glu、Proであるか、又は存在せず;
Xaa41は、Ser、Gly、Ala、Glu、Proであるか、又は存在せず;
Xaa42は、Lysであるか、又は存在せず;
ここでXaa20、Xaa26、Xaa27、Xaa36、Xaa37、Xaa38、及びXaa42の少なくとも1つは、Lysであり;
ただし、Xaa35、Xaa36、Xaa37、Xaa38、Xaa39、Xaa40、又はXaa41の1つが存在しない場合、後続のアミノ酸もそれぞれ存在しない]
のアミノ酸配列を含むか;又はそれらの医薬的に許容される塩、アミド、若しくはエステルを含む、実施形態266から277のいずれか1つに記載の方法。
【0517】
279.Xaa7が、L-ヒスチジンであり;Xaa8が、Aibであり;Xaa12が、Pheであり;Xaa16が、Valであり;Xaa18が、Serであり;Xaa19が、Tyrであり;Xaa20が、Leu又はLysであり;Xaa22が、Gly又はGluであり;Xaa23が、Glnであり;Xaa25が、Alaであり;Xaa26が、Lys又はArgであり;Xaa27が、Glu又はLysであり;Xaa30が、Ala又はGluであり;Xaa31が、Trpであり;Xaa33が、Valであり;Xaa34が、Arg又はGlyであり;Xaa35が、Glyであるか、又は存在せず;Xaa36が、Arg、Lysであるか、又は存在せず;Xaa37が、Gly、Lysであるか、又は存在せず;Xaa38が、Glu、Lysであるか、又は存在せず;Xaa39が、Ser、Glyであるか、又は存在せず;Xaa40が、Gly、Proであるか、又は存在せず;Xaa41が、Ser、Gluであるか、又は存在せず;Xaa42が、Lysであるか、又は存在しない、実施形態278に記載の方法。
【0518】
280.Xaa20、Xaa26、Xaa27、Xaa36、Xaa37、Xaa38、及びXaa42の5つまでが、Lysである、実施形態278又は279に記載の方法。
【0519】
281.Xaa20、Xaa26、Xaa27、Xaa36、Xaa37、Xaa38、及びXaa42の1、2、又は3つが、Lysである、実施形態278から280のいずれか1つに記載の方法。
【0520】
282.Xaa20、Xaa26、Xaa27、Xaa36、Xaa37、Xaa38、及びXaa42の1又は2つが、Lysである、実施形態278から281のいずれか1つに記載の方法。
【0521】
283.Xaa20、Xaa26、Xaa27、Xaa36、Xaa37、Xaa38、及びXaa42の1つが、Lysである、実施形態278から282のいずれか1つに記載の方法。
【0522】
284.Xaa20、Xaa26、Xaa27、Xaa36、Xaa37、Xaa38、及びXaa42の2つが、Lysである、実施形態278から282のいずれか1つに記載の方法。
【0523】
285.(i)Xaa38及びXaa42が、Lysであるか、
(ii)Xaa26が、Lysであるか、
(iii)Xaa27及びXaa36が、Lysであるか、
(iv)Xaa20及びXaa27が、Lysであるか、
(v)Xaa26及びXaa37が、Lysであるか、又は
(vi)Xaa37が、Lysである、実施形態278から284のいずれか1つに記載の方法。
【0524】
285a.アシル化が、示されたLys残基で行われる、実施形態285に記載の方法。
【0525】
286.GLP-1類似体が、式IIIのアミノ酸配列を有する、実施形態278から285aのいずれか1つに記載の方法。
【0526】
287.GLP-1類似体が、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号12、配列番号14、配列番号16、及び配列番号18から選択されるか;又はそれらの医薬的に許容される塩、アミド、若しくはエステルである、実施形態278から286のいずれか1つに記載の方法。
【0527】
288.ペプチド又はタンパク質が、N末端で短縮化されたGLP-1ペプチド(前駆体と称される)である、実施形態106から265のいずれか1つに記載の方法。
【0528】
289.前記前駆体において、GLP-1(7~37)(配列番号1)の7位及び8位におけるアミノ酸残基に対応する2つのアミノ酸が欠失した、実施形態288に記載の方法。
【0529】
290.他のあらゆる点において(N末端の短縮以外)、前駆体が、実施形態268から287のいずれかに定義の通りである、実施形態288又は289に記載の方法。
【0530】
291.前駆体が、式IIIa:
Glu-Gly-Thr-Xaa12-Thr-Ser-Asp-Xaa16-Ser-Xaa18-Xaa19-Xaa20-Glu-Xaa22-Xaa23-Ala-Xaa25-Xaa26-Xaa27-Phe-Ile-Xaa30-Xaa31-Leu-Xaa33-Xaa34-Xaa35-Xaa36-Xaa37-Xaa38-Xaa39-Xaa40-Xaa41-Xaa42
(式中、各アミノ酸残基は、実施形態278から287のいずれかに定義の通りである);
又はそれらの医薬的に許容される塩、アミド、若しくはエステルを含む、実施形態288から290のいずれか1つに記載の方法。
【0531】
292.前駆体が、式IIIaのアミノ酸配列を有するか;又はそれらの医薬的に許容される塩、アミド、若しくはエステルを有する、実施形態288から291のいずれか1つに記載の方法。
【0532】
293.前駆体が、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号13、配列番号15、配列番号17、及び配列番号19から選択されるか;又はそれらの医薬的に許容される塩、アミド、若しくはエステルである、実施形態288から292のいずれか1つに記載の方法。
【0533】
294.前駆体が、組換え発現によって調製される、実施形態288から293のいずれか1つに記載の方法。
【0534】
295.アシル化反応の生成物であるアシル化前駆体を精製する更なる工程を含む、実施形態288から294のいずれか1つに記載の方法。
【0535】
296.アシル化前駆体が、実施形態254から262のいずれかに定義の通りである、実施形態295に記載の方法。
【0536】
297.アシル化前駆体を、化合物8:
【0537】
【化56】
【0538】
(式中、
R2は、H又はアミノ保護基であり、R3は、アミノ保護基であるか;又は
R2は、除去可能なアルキル基であり、R3は、H又は除去可能なアルキル基であるか;又は
R2及びR3は、一緒になって環を形成し;
R4は、Hであるか、又はカルボキシレート基と塩を形成する2級アンモニウムカチオン、3級アンモニウムカチオン若しくは金属カチオンであり;
R5は、存在しないか又は酸性塩である)
の保護されたジペプチドと反応させ(ライゲーションと称される)、ペプチド又はタンパク質のN末端に保護基を有する対応するアシル化した全長ペプチド又はタンパク質を得る工程
を含む、実施形態121から265及び288から296のいずれか1つに記載の方法。
【0539】
298.ライゲーション工程が、好適な条件下で実行される、実施形態297に記載の方法。
【0540】
299.保護基R1及び/又はR2を除去する更なる工程(脱保護と称される)を含む、実施形態297又は298に記載の方法。
【0541】
300.脱保護工程が、好適な条件下で実行される、実施形態299に記載の方法。
【0542】
301.脱保護されたアシル化した全長ペプチド又はタンパク質を精製する更なる工程を含む、実施形態297から300のいずれか1つに記載の方法。
【0543】
302.アシル化したペプチド又はタンパク質が、GLP-1受容体アゴニストである、実施形態266から287及び実施形態301のいずれか1つに記載の方法。
【0544】
303.ペプチド又はタンパク質が、インスリンペプチドである、実施形態106から265のいずれかに1つ記載の方法。
【0545】
304.インスリンペプチドが、ヒトインスリン、ヒトプロインスリン、ヒトプレプロインスリン、及びそれらの類似体である、実施形態303に記載の方法。
【0546】
305.類似体が、ヒトインスリンと比較した場合、最大10個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303又は304に記載の方法。
【0547】
306.類似体が、ヒトインスリンと比較した場合、最大9個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303から305のいずれか1つに記載の方法。
【0548】
307.類似体が、ヒトインスリンと比較した場合、最大8個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303から306のいずれか1つに記載の方法。
【0549】
308.類似体が、ヒトインスリンと比較した場合、最大7個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303から307のいずれか1つに記載の方法。
【0550】
309.類似体が、ヒトインスリンと比較した場合、最大6個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303から308のいずれか1つに記載の方法。
【0551】
310.類似体が、ヒトインスリンと比較した場合、最大5個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303から309のいずれか1つに記載の方法。
【0552】
311.類似体が、ヒトインスリンと比較した場合、最大4個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303から310のいずれか1つに記載の方法。
【0553】
312.類似体が、ヒトインスリンと比較した場合、最大3個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303から311のいずれか1つに記載の方法。
【0554】
313.類似体が、ヒトインスリンと比較した場合、最大2個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303から312のいずれか1つに記載の方法。
【0555】
314.類似体が、ヒトインスリンと比較した場合、最大1個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303から313のいずれか1つに記載の方法。
【0556】
315.類似体が、ヒトプロインスリンと比較した場合、最大10個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303から314のいずれか1つに記載の方法。
【0557】
316.類似体が、ヒトプロインスリンと比較した場合、最大9個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303から315のいずれか1つに記載の方法。
【0558】
317.類似体が、ヒトプロインスリンと比較した場合、最大8個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303から316のいずれか1つに記載の方法。
【0559】
318.類似体が、ヒトプロインスリンと比較した場合、最大7個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303から317のいずれか1つに記載の方法。
【0560】
319.類似体が、ヒトプロインスリンと比較した場合、最大6個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303から318のいずれか1つに記載の方法。
【0561】
320.類似体が、ヒトプロインスリンと比較した場合、最大5個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303から319のいずれか1つに記載の方法。
【0562】
321.類似体が、ヒトプロインスリンと比較した場合、最大4個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303から320のいずれか1つに記載の方法。
【0563】
322.類似体が、ヒトプロインスリンと比較した場合、最大3個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303から321のいずれか1つに記載の方法。
【0564】
323.類似体が、ヒトプロインスリンと比較した場合、最大2個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303から322のいずれか1つに記載の方法。
【0565】
324.類似体が、ヒトプロインスリンと比較した場合、最大1個のアミノ酸の変化を有する、実施形態303から323のいずれか1つに記載の方法。
【0566】
325.類似体が、以下のアミノ酸の変化:A14E、B16H、B25H、desB27、及び/又はdesB30の少なくとも1つを含む、実施形態303から324のいずれか1つに記載の方法。
【0567】
326.類似体が、アミノ酸の変化A14Eを含む、実施形態303から325のいずれか1つに記載の方法。
【0568】
327.類似体が、アミノ酸の変化B16Hを含む、実施形態303から326のいずれか1つに記載の方法。
【0569】
328.類似体が、アミノ酸の変化B25Hを含む、実施形態303から327のいずれか1つに記載の方法。
【0570】
329.類似体が、アミノ酸の変化desB27を含む、実施形態303から328のいずれか1つに記載の方法。
【0571】
330.類似体が、アミノ酸の変化desB30を含む、実施形態303から329のいずれか1つに記載の方法。
【0572】
331.類似体が、以下:
i)A14E、B25H、desB27、desB30ヒトインスリン(配列番号8及び9);
ii)A14E、B25H、desB30ヒトインスリン(配列番号10及び11);及び
iii)A14E、B16H、B25H、desB30ヒトインスリン(配列番号20及び21);
から選択されるか、又はそれらの医薬的に許容される塩、アミド、若しくはエステルである、実施形態303から330のいずれか1つに記載の方法。
【0573】
332.類似体が、A14E、B25H、desB27、desB30ヒトインスリン(配列番号8及び9);又はそれらの医薬的に許容される塩、アミド、若しくはエステルである、実施形態303から331のいずれか1つに記載の方法。
【0574】
333.類似体が、A14E、B25H、desB30ヒトインスリン(配列番号10及び11);又はそれらの医薬的に許容される塩、アミド、若しくはエステルである、実施形態303から331のいずれか1つに記載の方法。
【0575】
334.類似体が、A14E、B16H、B25H、desB30ヒトインスリン(配列番号20及び21);又はそれらの医薬的に許容される塩、アミド、若しくはエステルである、実施形態303から331のいずれか1つに記載の方法。
【0576】
335.インスリンペプチドが、B29Kでアシル化される、実施形態303から334のいずれか1つに記載の方法。
【0577】
336.インスリンペプチドが、ヒトインスリンの類似体である、実施形態303から335のいずれか1つに記載の方法。
【0578】
337.インスリンペプチドが、ヒトプロインスリンの類似体である、実施形態303から335のいずれか1つに記載の方法。
【0579】
338.ヒトプロインスリンの類似体が、組換え発現によって前駆体として調製される、実施形態337に記載の方法。
【0580】
339.Cペプチドが、切り離される、実施形態337から3388のいずれか1つに記載の方法。
【0581】
340.切断が、酵素による、実施形態339に記載の方法。
【0582】
341.アシル化インスリンペプチドを精製する更なる工程を含む、実施形態303から340のいずれか1つに記載の方法。
【0583】
342.アシル化インスリンペプチド(ただしアシル化プロインスリン、プレプロインスリン、及びそれらの類似体を除く)が、インスリン受容体への親和性を有する、実施形態303から341のいずれか1つに記載の方法。
【0584】
342a.親和性が、WO2009/115469の実施例178のアッセイを0%HSAで使用して決定される、実施形態342に記載の方法。
【0585】
342b.親和性が、少なくとも0.10%である、実施形態342aに記載の方法。
【0586】
343.ペプチド又はタンパク質が、pYY受容体アゴニストである、実施形態106から265のいずれか1つに記載の方法。
【0587】
344.pYY受容体アゴニストが、ネイティブのヒトpYY又はその類似体(pYY類似体)である、実施形態343に記載の方法。
【0588】
345.ペプチド又はタンパク質が、アミリン受容体アゴニストである、実施形態106から265のいずれか1つに記載の方法。
【0589】
346.アミリン受容体アゴニストが、ネイティブのヒトアミリン又はその類似体(アミリン類似体)である、実施形態345に記載の方法。
【0590】
347.ペプチド又はタンパク質から分泌シグナル配列を除去する工程を更に含む、実施形態121から346のいずれか1つに記載の方法。
【0591】
348.ペプチド又はタンパク質のN末端アミノ酸残基が、酸性アミノ酸残基である、実施形態121から347のいずれか1つに記載の方法。
【0592】
348a.N末端アミノ酸残基が、Gluである、実施形態348に記載の方法。
【0593】
349.アシル化反応の所望の生成物が、いずれも具体的に参照により本明細書に組み込まれている、以下の化合物:
(i)WO2015/000942の実施例3、構造化合物41、
(ii)WO2015/000942の実施例11、構造化合物42、
(iii)WO2006/097537の実施例4、構造化合物43、好ましくは化合物43a
【0594】
【化57】
【0595】
(iv)WO2012/140117の実施例31、構造化合物44、
(v)WO2012/140117の実施例5、構造化合物45、
(vi)WO2011/080103の実施例2、構造化合物46、
(vii)WO2016/097108の実施例14、構造化合物47、
(iix)WO2016/097108の実施例1、構造化合物48、
(ix)WO2016/083499の実施例11、構造化合物49、
(x)WO2016/083499の実施例12、構造化合物50、
(xi)~(xx)それぞれ2つのN末端アミノ酸が欠失した(i)~(x)のそれぞれに対応する前駆体分子、
(xxi)WO2009/115469の実施例57、構造化合物51、
(xxii)WO2009/115469の実施例9、構造化合物52、
(xxiii)WO2009/115469の実施例33、構造化合物53、及び
(xxiv)WO2015/052088の実施例1、構造化合物54
から選択されるか;
又はそれらの医薬的に許容される塩、アミド、若しくはエステルである、実施形態253から342のいずれか1つに記載の方法。
【0596】
350.実施形態349の化合物(xi)~(xii)及び(xiv)~(xx)のそれぞれ、配列番号3、配列番号5、配列番号13、配列番号15、配列番号17、及び配列番号19から選択される化合物;又はそれらの医薬的に許容される塩、アミド、若しくはエステル。
【0597】
351.化合物7b:
【0598】
【化58】
【0599】
[式中、
nは、1~2の範囲の整数であり、
-Z1及び-Z2は、独立して、-Cl、-F、-Br、-NO2、-CN、-SO2X2、-CONH、及び-CF3からなる群から選択され、X2は、-OH、CH3、-CF3、及び-N(R1R2)(例えば-N(CH3)2)からなる群から選択され、
-Y1及び-Y2は、独立して、存在しないか、又は-Cl及び-Fからなる群から選択され、
-X及びX2は、独立して、-OH、CH3、-CF3、及び-N(R1R2)(例えば-N(CH3)2)からなる群から選択され、
ここでR1及びR2は、独立して、H及びC1~C5アルキルからなる群から選択され、C1~C5アルキルは、直鎖状、分岐状又は環状であってもよく、任意選択で、親水性部分(例えば-OH又は-COOH)で置換されていてもよい]
を含む化合物;又はそれらの塩。
【0600】
352.化合物7a:
【0601】
【化59】
【0602】
(式中、kは、1~10の範囲の整数であり、残りの置換基は、前記実施形態に定義の通りである)
を含む、前記実施形態に記載の化合物。
【0603】
353.-Z1及び/又は-Z2が、-Clである実施形態351又は352に記載の化合物。
【0604】
354.-Z1及び-Z2が、-Clである、実施形態351から353のいずれか1つに記載の化合物。
【0605】
355.-Z2が、-NO2でも-SO2X2でもない、実施形態351から354のいずれか1つに記載の化合物。
【0606】
356.-X及び/X2が、-OH又は-N(CH3)2である、実施形態351から355のいずれか1つに記載の化合物。
【0607】
357.Y1及び/又はY2が、存在しない、実施形態351から356のいずれか1つに記載の化合物。
【0608】
358.Y1及びY2が、存在しない、実施形態351から357のいずれか1つに記載の化合物。
【0609】
359.化合物1aが、化合物1cで置き換えられる、実施形態90から349のいずれか1つに記載の方法。
【0610】
360.化合物6aが、化合物6b又は化合物6cで置き換えられる、実施形態90から349又は359のいずれか1つに記載の方法。
【0611】
361.化合物7が、化合物7a又は化合物7b、例えば実施形態351から358のいずれか1つに定義の7a又は化合物7bで置き換えられる、実施形態90から349又は359から360のいずれか1つに記載の方法。
【実施例
【0612】
この実験パートは、略語の列挙から始まり、本発明のペプチド類似体及び誘導体を合成及び特徴付けるための一般的な方法を含むセクションが続く。次いで具体的な活性化側鎖の調製に関する多数の実施例が続き、最後に、これらの活性化側鎖の特性、及びペプチド又はタンパク質類似体をアシル化してそれらの所望の誘導体を生産することにおけるその使用に関する多数の実施例が挙げられる。実施例は、本発明の例示に役立つ。
【0613】
使用される略語:
この実験パートの残りの部分では、以下の略語が使用される。
AcOH:酢酸
Ado:8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸
バックボーン:ペプチド又はペプチド類似体(GLP-1、インスリン)
Boc:tertブチロキシカルボニル
Bn:ベンジル
Bz:ベンゾイル
CH3CN:アセトニトリル
DCC:N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM:ジクロロメタン
DIC:ジイソプロピルカルボジイミド
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
EDC:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
EtOAc:酢酸エチル
Et2O:ジエチルエーテル
Eq:当量
Fmoc:9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニル
HFIP:ヘキサフルオロイソプロパノール
H2O:水
HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
i-PrOH:イソプロパノール
MeOH:メタノール
MeTHF:メチルテトラヒドロフラン
MgSO4:硫酸マグネシウム
MW:分子量
NaOH:水酸化ナトリウム
NHS:N-ヒドロキシスクシンイミド
NMP:1-メチル-ピロリジン-2-オン
OEG:オリゴエチレングリコール、別名Ado、上記参照
OtBu:tertブチルエステル
Oxyma:Pure(登録商標):シアノ-ヒドロキシイミノ-酢酸エチルエステル
RT:室温
OSu:N-ヒドロキシスクシンイミドエステル
Pd/C:炭素担持パラジウム
Pt/C:炭素担持白金
PTFE:ポリテトラフルオロエチレン
qNMR:定量核磁気共鳴
SC:側鎖
tBu:tert-ブチル
TEA:トリエチルアミン
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
TIPS:トリイソプロピルシラン
Trx:トラネキサム酸(トランス-4-(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸)
Vol:体積。
【0614】
A.調製、検出及び特徴付けのための材料及び一般的な方法
このセクションは、固相ペプチド合成のための方法(SPPS方法、アミノ酸の脱保護のための方法、樹脂からのペプチドの切断及びその精製のための方法を含む)、加えて得られた側鎖を検出及び特徴付けるための方法(LCMS及びUPLC方法並びにNMR)に関する。Bruker社のAeon 400機器で、1H及び13C NMRスペクトルをそれぞれ400MHz及び100MHzで記録した。qNMRに関して、1,3-ベンゾジオキソールを標準参照として使用した。化学シフトは、重水素化溶媒の化学シフトに対するδスケールで、ppmで報告される。カイザー試験(SPPS中の遊離アミンの存在)及びクロルアニル試験(NMP中のピペリジンの試験)を、「Fmoc solid phase peptide synthesis a practical approach」、W.C. Chan and P.D. White編、Oxford 2000 (2004)、University Press、61~62頁に従って実行した。
【0615】
A1.調製及び改変の方法
1.保護された側鎖の合成
保護された側鎖に結合した樹脂を、標準的なFmoc化学を使用して、2-クロロトリチルクロリド樹脂上で調製した。第1のFmoc保護アミノカルボン酸(2当量)(リンカー要素)をDCM中に溶解させ、DCMに添加し、洗浄し、樹脂の液体を切った。3級アミン塩基、例えばDIPEA又はTEA(4当量)を添加し、樹脂混合物を、12から17時間の期間にわたり室温でかき混ぜた。樹脂をMeOH(0.79mL/g樹脂)と反応させて、遊離の塩化物部位を室温で1時間にわたりキャッピングした。樹脂の液体を切って、NMP又はDMFで3回流し洗いした(約5.2mL/g樹脂)。
【0616】
NMP中のピペリジン、好ましくはNMP中の20%ピペリジン(1.05mL/g樹脂)(4.15mL/g樹脂)を使用して、室温で15から45分、典型的には30分でFmoc脱保護を達成し、その後、樹脂をNMP又はDMFで徹底的に洗浄した。この工程を、十分な脱保護が達成されるまで、典型的には2回又はそれより多く繰り返した。樹脂の液体を切って、クロルアニル試験が陰性の結果を示すまで、NMP又はDMF(約5.2mL/g樹脂)で3回又はそれより多く、流し洗いした。
【0617】
逐次的なFmoc保護アミノカルボン酸(リンカー)及び最終的な片側保護(mono-protected)カルボン酸二酸(例えば18-ベンジルオキシ-18-オキソ-オクタデカン酸)又はフェノキシカルボン酸二酸(例えば10-(4-ベンジルオキシカルボニルフェノキシ)デカン酸)のカップリング(プロトラクター)を、後述するような従来のカップリング条件を使用して達成した。
【0618】
NMP又はDMF及びOxyma Pure(登録商標)(2~3当量)のような溶媒中のFmoc保護アミノカルボン酸(2~3当量)の溶液に、DIC(2~3当量)を添加した。混合物を15から60分かき混ぜ、その後、混合物を樹脂に添加した。混合物を室温で1から18時間、典型的には17時間かき混ぜた。代替として、カイザー試験によって判断して、カップリングが完了しなかった場合、陰性の試験が達成されるまで工程を繰り返した。
【0619】
合成後、樹脂をDCMによって洗浄し、保護された側鎖を、DCM中の1%TFAで1~3時間処置することによって樹脂から切り離した。切断溶液を真空下で乾燥するまで蒸発させ、粗生成物を、次のセクションに記載される活性化工程でそれ以上精製しないで使用した。
【0620】
2.保護された側鎖の活性化
手順1から得られた保護された側鎖の活性化を、当技術分野において公知の標準的な条件を使用して行った。
【0621】
NHSエステルを、以下の手順の1つによって作製した:カルボン酸(手順1からの保護された側鎖)を、DCM等の適切な溶媒中に溶解させた。3級アミン塩基、例えばDIPEA又はTEAと共に、NHS及びEDCを溶液に添加した。混合物を、反応が完了するまで、典型的には3から16時間、室温で撹拌した。代替として、カルボン酸をNHSと共に溶解させ、DICで処置した。有機相を、0.5MのHCl(水溶液)と飽和NaClとの1:1混合物で洗浄した。相を分離させた後、有機相をMgSO4で脱水させた。溶媒のろ過及び蒸発により粗生成物を得て、これを次の工程に直接使用した。
【0622】
フェノールエステル(例えば2,4-DC-フェノール及び2,6-DC-フェノールのエステル)を、以下の手順によって作製した:カルボン酸(手順1からの保護された側鎖)を、THF、DCM、NMP又はDMF等の適切な溶媒中に溶解させた。関連する置換フェノール誘導体、DMAP及びEDCを溶液に添加した。混合物を、反応が完了するまで、典型的には2から16時間室温で撹拌した。生成物の混合物を、1ヶ所変更した以外はNHSのケースに関して記載されたのと同じワークアップ手順に供した。相を分離させた後、有機相を、5%(vol/vol)のNaHCO3(水溶液)と飽和NaClとの1:1混合物で洗浄し、それに続いて10%(vol/vol)のNaHSO4と飽和NaClとの1:1混合物でもう1回洗浄した。有機相をMgSO4で脱水させ、ろ過し、溶媒を真空中で除去した。粗生成物を次の工程に直接使用した。
【0623】
3.tBu又はBn保護基の除去のための方法
tBu又はBnエステルの脱保護を、文献(Greene's Protective Group in Organic Synthesis、第4版、ISBN-13:978-0471697541)に記載される標準的手順を使用して達成した。
【0624】
方法:Mod_Bz_1
ベンジルエステル脱保護を、以下の手順によって行った;前の手順2からの活性化側鎖を、THF、EtOAc、アセトン、i-PrOH、AcOH、NMP、DMF、又はHFIP等の好適な溶媒中に溶解させた。不均一系触媒、例えばPd/C又はPt/Cを添加し、得られた混合物を水素ガスの雰囲気下で反応が完了するまで撹拌した。反応時間は、典型的には1から16時間であった。反応混合物をろ過して、触媒を除去し、活性化側鎖を、ジエチルエーテル、MeTHF、EtOAc、又はヘプタン等の適切な溶媒中で沈殿させることによって単離した。代替の単離手順は、EtOAcと水との1:1混合物から生成物を抽出することであった。相を分離させた後、有機相をMgSO4で脱水させ、ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させて、粗生成物を得た。
【0625】
方法:Mod_tBu_1
tert-ブチルエステル脱保護を、以下の手順によって行った;前の手順2からの活性化側鎖を、1~3%の水を含むTFAの混合物中に溶解させた。混合物を、反応が完了するまで、典型的には1から3時間室温で撹拌した。代替として、濃塩酸若しくはTFA、又はTFAとTHF又はDCM等の好適な溶媒との1:1混合物をその代わりに使用することができる。生成物の混合物を真空下で蒸発させ、未精製の油状物を得た。ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル又はヘプタン等の適切な溶媒中で油状物を沈殿させ、続いてろ過することにより、粗生成物を得た。
【0626】
活性化側鎖を真空下で乾燥させ、UPLC、MS又はNMRによって分析し、セクションCに記載される実施例で、それ以上精製しないで使用した。
【0627】
A2.検出、分析及び特徴付けの一般的な方法
1.LC-MS方法
方法:LC-MS_A_1
QDa質量分析計を備えたWaters社のH-クラスUPLCシステムから構成される装置で分析を実行した。機器の制御及びデータ収集を、Empower 3 Build 3471 SPsソフトウェアによって行った。
【0628】
UPLCポンプを、以下を含有する2つの溶離剤リザーバに接続した:
A:水中の0.1%(vol/vol)のギ酸
B:アセトニトリル中の0.1%(vol/vol)のギ酸。
【0629】
適切な体積の試料(好ましくは2~10μl)をカラム上に注入し、これをA及びBの勾配で溶出することによって、分析を室温で実行した。
【0630】
UPLC条件、検出器の設定及び質量分析計の設定は以下の通りである:
カラム:Acquity UPLC(登録商標)H、Waters社のBEH C-18、1.7μm、2.1mm×50mm。
0.40ml/分で9分の間の勾配:10%~90%(vol/vol)の直鎖状のアセトニトリル
検出:214nm(TUV(調整可能なUV検出器)からのアナログ式の出力)
MSイオン化モード:API-ES(ポジティブ又はネガティブ)。
スキャン:ステップ0.1のamuでの250~1250amu)。
【0631】
方法:LC-MS_A_2
Waters社のAcquity UPLCシステムを使用して、RP分析を実行した。
214及び280nmでUV検出。
カラム:Waters社のAcquity BEH C18、1.7um、2.1×150mm。
カラム自体の温度=40℃。
A:水
B:アセトニトリル
D:水中の50mMギ酸アンモニウム、pH9
勾配:95から0%(vol/vol)のA、0から95%(vol/vol)のB及び5%(vol/vol)のD、4分、0.4ml/分
検出器:Waters社のXevo G2-XS Qtofネガティブスキャン50-4000。
【0632】
方法:LC-MS_A_3
Waters社のAcquity UPLCシステムを使用して、RP分析を実行した。
214及び280nmでUV検出。
カラム:Waters社のAcquity BEH C18、1.7um、2.1×150mm。
カラム自体の温度=40℃。
A:水中の0.10%(vol/vol)のギ酸
B:アセトニトリル中の0.10%(vol/vol)のギ酸
勾配:5から95 %(vol/vol)のB、4分にわたり0.4ml/分
検出器:Waters社のXevo G2-XS Qtofポジティブスキャン50-4000。
【0633】
2.UPLC及びHPLC方法
方法:UPLC_A_1
TUV分析フローセル検出器を備えたWaters社のAcquity UPLCシステムを使用して、RP分析を実行した。
210nmでのUV検出。
カラム:Waters社のC18 BEH、1.7μm、100Å、50mm×2.1mm。
カラム自体の温度=35℃。
溶離剤A:水中の10%(vol/vol)のアセトニトリル+0.1%(vol/vol)のTFA。
溶離剤B:水中の95%(vol/vol)のアセトニトリル+0.1%(vol/vol)。
流量0.5mL/分、勾配:1.5分にわたり70%~40%(vol/vol)、1.2分にわたり40%(vol/vol)のA、0.05分にわたり40~0%(vol/vol)のA、1.25分にわたり0%のA。
【0634】
方法:UPLC_A_2
Waters社のAcquity PDA検出器を備えたWaters社のAcquity UPLCシステムを使用して、RP分析を実行した。
214、254及び280nmでのUV検出。
カラム:Kinetex C18、1.7μm、100Å、50mm×2.1mm。
カラム自体の温度=35℃。
水中の10~90%(vol/vol)のアセトニトリル+0.1%(vol/vol)のTFAの直鎖状の勾配。
流量0.6mL/分。
【0635】
方法:UPLC_A_3
Waters社のAcquity UPLCシステムを使用して、RP分析を実行した。
214nmでのUV検出。
カラム:Waters社のC18 BEH、1.7um、2.1×150mm。
カラム自体の温度=40℃。
A:水中の0.05%(vol/vol)のTFA
B:アセトニトリル中の0.05%(vol/vol)のTFA
勾配:5から60%(vol/vol)のB、16分、0.4ml/分。
【0636】
方法:UPLC_A_4
Waters社のAcquity UPLCシステムを使用して、RP分析を実行した。
214nmでのUV検出。
カラム:Waters社のC18 BEH、1.7um、2.1×150mm。
カラム自体の温度=40℃。
A:水中の0.05%(vol/vol)のTFA
B:アセトニトリル中の0.05%(vol/vol)のTFA
勾配:5から95%(vol/vol)のB、12分、0.4ml/分。
【0637】
方法:UPLC_A_5
Waters社のAcquity UPLCシステムを使用して、RP分析を実行した。
214nmでのUV検出。
カラム:Waters社のC18 BEH、1.7um、2.1×50mm。
カラム自体の温度=40℃。
A:水中の0.05%(vol/vol)のTFA
B:アセトニトリル中の0.05%(vol/vol)のTFA
勾配:5から95%(vol/vol)のB、4分、0.45ml/分
QDA検出器ポジティブスキャン100-1250。
【0638】
方法:UPLC-MS_A_6
Waters社のAcquity UPLCシステムを使用して、RP分析を実行した。
214nmでのUV検出。
カラム:Waters社のC18 BEH、1.7um、2.1×150mm。
カラム自体の温度=40℃。
A:水中の0.05%(vol/vol)のTFA
B:アセトニトリル中の0.05%(vol/vol)のTFA
勾配:5から60%(vol/vol)のB、16分、0.4ml/分
QDA検出器ポジティブスキャン100-1250。
【0639】
方法:UPLC_A_7
Waters社のAcquity UPLCシステムを使用して、RP分析を実行した。
214nmでのUV検出。
カラム:Waters社のC18 BEH、1.7um、2.1×150mm。
カラム自体の温度=40℃。
A:水中の0.05%(vol/vol)のTFA
B:アセトニトリル中の0.05%(vol/vol)のTFA
勾配:5から95%(vol/vol)のB、16分、0.4ml/分。
【0640】
方法:HPLC_A_1
Kinetex C18 2.6μm、100Å、150mm×4.6mmカラムを備えたDionex Ultimate 3000システムを使用して、RP分析を実行した。
210nmでのUV検出。
溶離剤A:水中の10%アセトニトリル+0.1%TFA
溶離剤B:水中の90%アセトニトリル、0.1%TFA
流量1.5mL/分、9分にわたり40~100%(vol/vol)のBの直線勾配。
【0641】
B.本発明の活性化側鎖及び参照側鎖の合成
実施例1~8は、全て活性化剤基3,5-DC-2-HBSA(化合物1)を有する本発明の8つの活性化側鎖の合成を記載する。実施例8B~8Dは、活性化剤基3,5-DC-2-HBSA又は3,5-DC-2-HDMBSA(3,5-ジクロロ-2-ヒドロキシ-N,N-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド)を有する本発明の追加の活性化側鎖の合成を記載する。
【0642】
実施例A~Eは、活性化剤基が、4つの異なる活性化剤(NHS、2,4-DC-フェノール、2,6-DC-フェノール、及び3,5-DC-4-HBSA(それぞれ化合物2~化合物5))から選択される5つの活性化された参照側鎖の合成を記載する。
【0643】
(実施例1)
3,5-DC-2-HBSAエステルの調製:20-[[4-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-(2,4-ジクロロ-6-スルホ-フェノキシ)-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-4-オキソ-ブチル]カルバモイル]シクロヘキシル]メチルアミノ]-20-オキソ-イコサン酸
【0644】
【化60】
【0645】
Bnで保護された側鎖をセクションAに記載したようにして調製した。TFAでDCMでろ過した溶液を捕捉した後、pH9.5になるまでTEA(湿潤したpH紙で試験した)を添加し、続いて3,5-ジクロロ-2-ヒドロキシベンゼンスルホニルクロリド(0.62g、2.37mmol、1.1当量)を添加し、室温で4時間撹拌した。溶液を、5%(vol/vol)のNaHCO3水溶液、20mL×3又は0.5MのKHSO4、続いて塩化ナトリウムの飽和溶液(20mL×3)で洗浄した。有機相をMgSO4で脱水させ、続いて真空中で溶媒を除去して、粘性の油状物を得た。
【0646】
油状物を、HFIP(10ml)中に溶解させ、5%(w/vol)のPd/C(298mg、10%w/w、(Escat(商標)1431、Strem Chemicals社))を添加した。反応フラスコ中の雰囲気を窒素に交換し、続いて水素に交換した。
【0647】
反応物を水素雰囲気下で(1bar)3.5時間撹拌した。次いで雰囲気を窒素に交換し、その後、空気に戻した。反応溶液を0.4μmのPTFEフィルターを通してろ過した。Pd/Cを、全体でHFIP(4mL)で洗浄した。HFIP溶液を氷浴で5℃未満に冷却した後、ジエチルエーテル(14mL)を添加して、白色の懸濁液を得た。沈殿物をろ過によって収集し、冷たいジエチルエーテルで2回洗浄した。次いで沈殿物を真空下で3日間乾燥させ、1.62gのエステルを白色の粉末として得た。1H qNMRによる材料の活性成分の含量は、75.8%w/wである。収量46%。
【0648】
化合物を1H NMR及びLC-MSによって分析した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.20 - 1.35 (m, 32 H) 1.42 - 1.55 (m, 4 H) 1.68 - 1.83 (m, 5 H) 1.89 -2.01 (m, 1 H) 2.05 (t, 2 H) 2.11 - 2.23 (m, 5 H) 2.89 (d, 2 H) 3.21 (q, 2 H) 3.30 (q, 2 H) 3.42 (t, 2 H) 3.47 (t, 2H) 3.51 - 3.62 (m, 7 H) 3.67 - 3.74 (m, 2 H) 3.89 (s, 2 H) 4.09 - 4.18 (m, 1 H) 4.41 (br. s., 2 H) 7.65 - 7.78 (m,4 H) 7.89 (t, 1 H) 7.94 (d, 1 H)
LC-MS_A_1: Rt = 4.9分 m/z = 1125.6 = [M+1]+
【0649】
(実施例2)
3,5-DC-2-HBSAエステル:18-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-(2,4-ジクロロ-6-スルホ-フェノキシ)-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-4-オキソ-ブチル]アミノ]-18-オキソ-オクタデカン酸の調製
【0650】
【化61】
【0651】
Bnで保護された側鎖をセクションAに記載されたようにして調製し、側鎖を実施例1で使用された同じ手順で活性化した。水素添加のためにイソプロパノールを使用し、沈殿のためにtert-ブチルメチルエーテルを使用した。化合物をLC-MS及び1H NMRによって特徴付けた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.22 - 1.23 (m, 24 H) 1.41 - 1.54 (m, 4 H) 1.70 - 1.82 (m, 1 H) 1.88 -2.01 (m, 1 H) 2.05 - 2.22 (m, 6 H) 3.20 (q, 2 H) 3.28 (q, 2 H) 3.40 (t, 2 H) 3.46 (t, 2 H) 3.50 - 3.61 (m, 6 H) 3.69 - 3.69 (m, 2 H) 3.88 (s, 2 H) 4.09 - 4.19 (m, 1 H) 4.40 (s, 2 H) 7.63 - 7.71 (m, 2 H) 7.75 (s, 1 H) 7.89 (t, 1H) 8.03 (d, 1 H)
LC-MS_A_1: Rt = 3.6分 m/z = 958.5 = [M+1]+
【0652】
(実施例3)
3,5-DC-2-HBSAエステル:4-[10-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-(2,4-ジクロロ-6-スルホ-フェノキシ)-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-4-オキソ-ブチル]アミノ]-10-オキソ-デコキシ]安息香酸の調製
【0653】
【化62】
【0654】
Bnで保護された側鎖は、セクションAに記載されたようにして調製され、側鎖は、実施例1で使用された同じ手順で活性化される。
【0655】
(実施例4)
3,5-DC-2-HBSAエステル:20-[[4-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[[(5S)-5-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[4-[(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル]アミノ]ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]-6-[2-[2-[2-[2-[2-[2-(2,4-ジクロロ-6-スルホ-フェノキシ)-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-6-オキソ-ヘキシル]アミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-4-オキソ-ブチル]カルバモイル]シクロヘキシル]メチルアミノ]-20-オキソ-イコサン酸の調製
【0656】
【化63】
【0657】
Bnで保護された側鎖は、セクションAに記載されたようにして調製され、側鎖は、実施例1で使用された同じ手順で活性化される。
【0658】
(実施例5)
3,5-DC-2-HBSAエステル:20-[[4-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[[(5S)-5-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[4-[(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル]アミノ]ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]-6-[2-[2-[2-(2,4-ジクロロ-6-スルホ-フェノキシ)-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-6-オキソ-ヘキシル]アミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-4-オキソ-ブチル]カルバモイル]シクロヘキシル]メチルアミノ]-20-オキソ-イコサン酸の調製
【0659】
【化64】
【0660】
Bnで保護された側鎖は、セクションAに記載されたようにして調製され、側鎖は、実施例1で使用された同じ手順で活性化される。
【0661】
(実施例6)
3,5-DC-2-BSAエステル:20-[[4-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[3-[3-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[4-[(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル]アミノ]ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]プロピル-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-(2,4-ジクロロ-6-スルホ-フェノキシ)-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エチル]アミノ]プロピルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-4-オキソ-ブチル]カルバモイル]シクロヘキシル]メチルアミノ]-20-オキソ-イコサン酸の調製
【0662】
【化65】
【0663】
Bnで保護された側鎖は、セクションAに記載されたようにして調製され、側鎖は、実施例1で使用された同じ手順で活性化される。
【0664】
(実施例7)
3,5-DC-2-BSAエステル:20-[[4-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[3-[3-[[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[4-[(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル]アミノ]ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]プロピル-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-(2,4-ジクロロ-6-スルホ-フェノキシ)-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エチル]アミノ]プロピルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-4-オキソ-ブチル]カルバモイル]シクロヘキシル]メチルアミノ]-20-オキソ-イコサン酸;ギ酸の調製
【0665】
【化66】
【0666】
Bnで保護された側鎖は、セクションAに記載されたようにして調製され、側鎖は、実施例1で使用された同じ手順で活性化される。
【0667】
(実施例8)
3,5-DC-2-HBSAエステル:20-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-(2,4-ジクロロ-6-スルホ-フェノキシ)-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-4-オキソ-ブチル]アミノ]-20-オキソ-イコサン酸の調製
【0668】
【化67】
【0669】
Bnで保護された側鎖は、セクションAに記載されたようにして調製され、側鎖は、実施例1で使用された同じ手順で活性化される。水素添加のためにイソプロパノールが使用され、沈殿のためにtert-ブチルメチルエーテルが使用される。
【0670】
(実施例8B)
3,5-ジクロロ-2-(2-メトキシアセチル)オキシ-ベンゼンスルホン酸の調製
【0671】
【化68】
【0672】
メトキシ酢酸(92μL、1.20mmol、1.0当量)を、DCM(2mL)中に溶解させた。トリエチルアミン(352μL、2.53mmol、2.1当量)を撹拌した溶液に室温で添加した。3,5-ジクロロ-2-ヒドロキシベンゼンスルホニルクロリド(0.331g、1.26mmol、1.0当量)を、DCM(1mL)中に溶解させ、メトキシ酢酸溶液に5分にわたり添加した。溶液を室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、EtOAc(10mL)中に溶解させ、溶液を、5%(vol/vol)のKHSO4水溶液及びブラインの混合物(5mL/5mL)で洗浄した。水性相をEtOAc(10mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSO4で脱水させ、続いて真空中で溶媒を除去した。粗生成物を、1/10のCH3CN及び水(50mL)中に溶解させ、凍結乾燥した。
【0673】
生成物の収量(0.16g、42%)。1H qNMRによる材料の活性成分の含量は、70%w/wである。
【0674】
化合物を1H NMR及びLC-MSによって特徴付けた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 3.39 (s, 3 H) 4.31 (s, 2 H) 7.7.65 (s, 1 H) 7.77 (s, 1H)
LC-MS_A_2: Rt = 2.06分 m/z = 313 = [M-1]-
【0675】
(実施例8C)
3,5-DC-2-HDMBSA-エステル:18-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2,4-ジクロロ-6-(ジメチルスルファモイル)フェノキシ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-4-オキソ-ブチル]アミノ]-18-オキソ-オクタデカン酸の調製
【0676】
【化69】
【0677】
t-Buで保護されたC18-二酸-γGlu-Ado-Ado-OH(0.461mmol、0.390g)、3,5-ジクロロ-2-ヒドロキシ-N,N-ジメチル-ベンゼンスルホンアミド(0.507mmol、0.137g、1.1当量)及びDCC(0.553mmol、0.114g、1.2当量)を、1.5mL DCM中に溶解させた。溶液を室温で18時間撹拌した。反応混合物をUPLC_A_7によって分析した。追加のDCC(0.340mmol、0.07g、0.7当量)を添加し、反応物を室温で更に18時間撹拌した。ろ過によってDCUを除去した場合、変換は、約57%であった。上清をブラインで洗浄し、Mg2SO4で脱水させた。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して、DCMからDCM中の5%MeOHの勾配の溶離剤により精製した。蒸発後、生成物の収量は307mg(61%)であった。
【0678】
方法Mod_tBu_1を使用して、1.5時間かけてtBu-エステルを切断した。切断混合物を減圧下で蒸発させた。化合物をMeCN中に2倍量に溶解させ、蒸発させた。粘性の油状物をジエチルエーテル中で粉砕した。白色の沈殿物を得た。生成物の収量(0.198g、72%)。1H qNMRによる材料の活性成分の含量は、92% w/wである。
【0679】
化合物をLC-MS及び1H NMRによって特徴付けた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.22 - 1.23 (m, 24 H) 1.41 - 1.54 (m, 4 H) 1.70 - 1.82 (m, 1 H) 1.88 -2.01 (m, 1 H) 2.05 - 2.22 (m, 6 H) 2.70 (s, 6 H) 3.20 (q, 2 H) 3.28 (q, 2 H) 3.40 (t, 2 H) 3.46 (t, 2 H) 3.50 - 3.61 (m, 6 H) 3.69 - 3.69 (m, 2 H) 3.88 (s, 2 H) 4.09 - 4.19 (m, 1 H) 4.40 (s, 2 H) 7.67 (t, 1 H) 7.83 (d, 1 H) 7.89 (t, 1H) 8.04 (d, 1 H) 8.24 (d, 1 H)
LC-MS_A_3: Rt = 3.79分 m/z = 986.4 = [M+1]+
【0680】
(実施例8D)
3,5-DC-2-HBSA-エステル:3,5-ジクロロ-2-[3-[2-[2-(2-プロパ-2-インオキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]プロパノイルオキシ]ベンゼンスルホン酸の調製
【0681】
【化70】
【0682】
実施例8Bに記載される手順を使用して、3-[2-[2-(2-プロパ-2-インオキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]プロパン酸及び3,5-ジクロロ-2-ヒドロキシベンゼンスルホニルクロリドを使用して、化合物を調製した。生成物の収量(294mg)。1H qNMRによる材料の活性成分の含量は、77%w/wである。
【0683】
化合物を1H NMR及びLC-MSによって分析した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.78 - 1.82 (m, 2 H) 2.79 (br s, 2 H) 3.44 (t, 1 H) 3.52 - 3.55 (m, 12 H) 3.73 (t, 2 H) 4.15 (d, 2 H) 7.63 (d, 1 H) 7.75 (d, 1 H)
UPLC_A_5: Rt = 2.73分 m/z = 485 = [M+1]+
【0684】
(実施例A)
NHSエステル:18-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-4-オキソ-ブチル]アミノ]-18-オキソ-オクタデカン酸の調製
【0685】
【化71】
【0686】
WO2010/029159に記載されたようにして、化合物を調製した。
【0687】
(実施例B)
NHSエステル:20-[[4-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-4-オキソ-ブチル]カルバモイル]シクロヘキシル]メチルアミノ]-20-オキソ-イコサン酸の調製
【0688】
【化72】
【0689】
WO2015/000942に記載されたようにして、化合物を調製した。
【0690】
(実施例C)
2,4-DC-フェノールエステル:20-[[4-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-4-オキソ-ブチル]カルバモイル]シクロヘキシル]メチルアミノ]-20-オキソ-イコサン酸の調製
【0691】
【化73】
【0692】
Bnで保護されたC20-二酸-Trx-γGlu-Ado-Ado-OH(1.36mmol、1.466g)、2.4-ジクロロフェノール(2.69mmol、0.438g、2当量)及びDMAP(1.41mmol、0.172g、1当量)を、30mLのDCM中に溶解させた。この溶液に、EDC(2.02mmol、0.388g、1.5当量)を添加した。溶液を2時間撹拌した。
【0693】
溶液を0.5MのNaOH(15mL×3)で抽出し、続いて10%NaCl溶液中の0.5MのHCl(15mL×3)で抽出した。次いで有機相をMgSO4で脱水させ、ろ過し、溶媒を真空中で除去した。生成物をそれ以上精製しないで使用した。生成物の収量は1.30gであった。
【0694】
5%(w/vol)のPd/C(10%w/w、0.132g、(Escat(商標)1431、Strem Chemicals社))を、活性化された物質(1.30g)を含む撹拌中のHFIP溶液(9mL)に添加した。反応フラスコ中の雰囲気を窒素に交換し、続いて水素に交換した。反応物を水素雰囲気下(1bar)で5時間撹拌した。次いで雰囲気を窒素に交換し、その後、空気に戻した。次いで反応溶液を0.45μmのPTFEフィルターを通してろ過した。チャコール担持Pd(0)をHFIP(3mL)で洗浄した。溶液を5℃未満に冷却し、ジエチルエーテル(20mL)を添加したところ、白色の沈殿物が生じた。沈殿物をろ過によって収集し、ジエチルエーテル(10mL)で洗浄した。生成物を真空下で4日間乾燥させた。
【0695】
生成物の収量(0.8326g、45.6%)。1H qNMRによる材料の活性成分の含量は、84%w/wである。
【0696】
化合物を1H NMR及びLCMSによって分析した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.15 - 1.36 (m, 32 H) 1.41 - 1.53 (m, 4 H) 1.67 - 1.82 (m, 5 H) 1.90 - 2.00 (m, 1 H) 2.05 (t, 2 H) 2.09 - 2.22 (m, 5 H) 2.89 (t, 2 H) 3.20 (q, 2 H) 3.29 (q, 2 H) 3.41 (t, 2 H) 3.47 (t, 2H) 3.50 - 3.62 (m, 7 H) 3.67 - 3.74 (m, 2H) 3.88 (s, 2 H) 4.10 - 4.18 (m, 1 H) 4.51 (s, 2 H) 7.41 (d, 1 H) 7.50 (d, 1 H) 7.66 (t, 1 H) 7.72 (t, 1 H) 7.78 (s, 1 H) 7.89 (t, 1 H) 7.96 (d, 1 H)
LC-MS_A_1: Rt = 5.9分 m/z = 1045.6 = [M+1]+
【0697】
(実施例D)
2,6-DC フェノール エステル:20-[[4-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-(2,6-ジクロロフェノキシ)-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-4-オキソ-ブチル]カルバモイル]シクロヘキシル]メチルアミノ]-20-オキソ-イコサン酸の調製
【0698】
【化74】
【0699】
実施例Cに記載される手順を使用して、2,6-ジクロロフェノールを使用して、化合物を調製し、1H NMR及びLC-MSによって分析した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.16 - 1.35 (m, 32 H) 1.41 - 1.54 (m, 4 H) 1.67 - 1.82 (m, 5 H) 1.89 - 2.01 (m, 1 H) 2.06 (t, 2 H) 2.10 - 2.23 (m, 5 H) 2.89 (t, 2 H) 3.21 (q, 2 H) 3.30 (q, 2 H) 3.41 (t, 2 H) 3.48 (t, 2H) 3.51 - 3.63 (m, 7 H) 3.70 - 3.76 (m, 2 H) 3.89 (s, 2 H) 4.10 - 4.18 (m, 1 H) 4.61 (s, 2 H) 7.38 (t, 1 H) 7.63(d, 2 H) 7.68 (t, 1 H) 7.74 (t, 1 H) 7.91 (t, 1 H) 7.97 (d, 1 H)
LC-MS_A_1: Rt = 5.7 m/z = 1045.6 = [M+1]+
【0700】
(実施例E)
3,5-DC-4-HBSA エステル:18-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-(2,6-ジクロロ-4-スルホ-フェノキシ)-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソ-エトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-4-オキソ-ブチル]アミノ]-18-オキソ-オクタデカン酸の調製
【0701】
【化75】
【0702】
実施例Cに記載される手順を使用して、2,6-ジクロロ-4-スルホフェノールを使用して、化合物を調製し、1H NMR及びLC-MSによって特徴付けた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.22 - 1.23 (m, 24 H) 1.41 - 1.54 (m, 4 H) 1.70 - 1.82 (m, 1 H) 1.88 - 2.01 (m, 1 H) 2.05 - 2.22 (m, 6 H) 3.20 (q, 2 H) 3.28 (q, 2 H) 3.40 (t, 2 H) 3.46 (t, 2 H) 3.50 - 3.61 (m, 6 H) 3.69 - 3.69 (m, 2 H) 3.88 (s, 2 H) 4.09 - 4.19 (m, 1 H) 4.40 (s, 2 H) 7.63 - 7.71 (m, 3 H) 7.89 (t, 1H) 8.03 (d, 1 H)
LC-MS_A_1: Rt = 3.3分 m/z = 958.5 = [M+1]+
【0703】
C.本発明の活性化側鎖の加水分解安定性及びアシル化反応におけるその使用
(実施例9)
活性化側鎖の加水分解安定性
この実施例の目的は、本発明の活性化側鎖の加水分解安定性を試験することである。より詳細には、実施例1及び2(どちらも3,5-DC-2-HBSA(化合物1b)で活性化された)の活性化側鎖の加水分解安定性を、4つの参照側鎖(4つの異なる活性化剤NHS、2,4-DC-フェノール、2,6-DC-フェノール、及び3,5-DC-4-HBSA(それぞれ化合物2、3、4、5)で活性化された実施例B、C、D、及びE)の加水分解安定性と比較する。
【0704】
手順
0.1mmolの各活性化側鎖を、1.0mLのNMP中に溶解させた。この溶液に、NaOHでpH10.0に調整した5mLの1MのNaHCO3緩衝溶液を添加した。溶液を撹拌し(約10.3のpH)、異なる時間間隔でアリコートを取り、様々な活性化側鎖がどの程度加水分解されたかを決定した。
【0705】
反応混合物をUPLC(実施例番号2及びE-UPLC_A_1)及びHPLC(実施例番号1、B、C、及びD-HPLC_A_1)によって分析し、様々な側鎖の加水分解のパーセントを210nmでのUV検出で面積の比較により推測した。各実施例において、放出された活性化基(ピークA)及び非活性化側鎖(ピークB)の合わせた面積を、活性化側鎖(ピークC)の面積と比較した。保持時間(各側鎖の様々なピーク(ピークA、ピークB、及びピークC)でのrt-A、rt-B、及びrt-Cを、以下のようにまとめる;1(rt-A=1.94分、rt-B=7.18~7.25分、rt-C=7.48分、HPLC_A_1)、2(rt-A=0.48分、rt-B=2.11分、rt-C=2.29分、UPLC_A_1)、B(rt-Bのみ、分析の時点で検出された)、C(rt-A=4.40分、rt-B=7.25分、HPLC_A_1)、D(rt-A=4.01分、rt-B=7.25分、rt-C=10.16分、HPLC_A_1)、E(rt-A=2.08分、rt-B=2.10分、rt-C=2.10分、UPLC_A_1)。
【0706】
表1に、加水分解データをまとめる。「加水分解時間」は、加水分解%の分析のためにアリコートを取った時点を示し、「pH10.3での加水分解(%)」は、その時間で加水分解された側鎖の決定の結果を示す。
【0707】
【表1】
【0708】
表1に記載の結果によれば、実施例Bの活性化側鎖(最先端の活性化剤NHSを有する)は、1分以内に定量可能に加水分解されたことから(加水分解時間=0)、加水分解に極めて不安定であることが示される。これとは対照的に、塩基性条件への長時間曝露の後でさえも(約1100~1300分の加水分解時間)、本発明の活性化側鎖(実施例1及び2)のおよそ12%がそれでもなお保持された。本発明の2つの試験した活性化側鎖は、類似の極めて優れた加水分解安定性を示し、これは、側鎖の遠位部分(活性化剤の結合点に対して遠位)における構造的な変形は、活性化側鎖の加水分解安定性に影響しないと考えられることを示す。表1において、結果「定量可能」は、側鎖の99%より多くが加水分解されることを指す。
【0709】
また表1に記載の結果は、本発明の活性化側鎖(実施例1及び2)は、加水分解に対して、多少類似した又は極めて類似した構造を有する3つの異なる活性化剤で活性化側鎖(実施例C、D、及びE)よりかなり安定であることも示す。より詳細には、実施例C及びDの活性化側鎖(それぞれ活性化剤2,4-及び2,6-DC-フェノールを有する)も、極めて迅速かつほぼ定量可能に加水分解する。更に、本発明の実施例1及び2の活性化側鎖(3,5-DC-2-HBSA)の結果を、実施例Eの活性化側鎖(3,5-DC-4-HBSA)の結果と比較すれば、フェニル環上のスルホン酸基の位置が大きな差をもたらす(スルホン酸は、エステル結合に対して、パラ位ではなくオルト位に存在すると予想される)ことが明らかになる。
【0710】
(実施例10)
モノアシル化したGLP-1類似体N{イプシロン-26}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[Arg34]-GLP-1-(9~37)-ペプチドの調製
この実施例の目的は、モノアシル化したGLP-1類似体を生産するためのアシル化反応における本発明の活性化側鎖の使用を研究することである。この実施例で使用される本発明の活性化側鎖は、実施例2のものであり、これは、比較のために実施例Aの活性化側鎖と共に試験される。プロセスのロバスト性は、この実施例において、すなわち本発明の活性化側鎖を問題のGLP-1類似体に添加する代替法(溶液中での、遅い、中程度の、又は迅速な側鎖の添加、又は固体としての添加)において明らかである。所望のアシル化した最終産物の純度(収量)、及びアシル化反応を要求に応じて進行させるために活性化側鎖の必要とされる余剰も決定される。
【0711】
この実施例でアシル化されるGLP-1類似体は、(R34)GLP-1(9~37)(配列番号7)であり、これは、例えば、WO2009/083549の実施例2に記載されたようにして調製することができる。
【0712】
この類似体の26位でリジンに結合する側鎖は、C18二酸プロトラクター及びgGlu-2xAdoリンカーから構成される。
【0713】
アシル化手順
GLP-1類似体(2.03g)を23mLの脱塩水に添加し、次いでpH9.5になるまでTEAを添加した。混合物が完全に溶解したら(10分)、濃度決定のために試料を取り出した。20μLの溶液を、980μLの50/25/25(vol/vol/vol)の酢酸/水/MeCN(1:40希釈液)中に溶解させた。濃度は25.1g/Lであった。
【0714】
16.0mLのGLP-1類似体溶液(0.40gの類似体)に4.0mLの脱塩水を添加して、20.1g/Lの濃度にした。この溶液を、TEAでpH11.3に調整した。
【0715】
181.2mgの活性材料を含有する実施例2の活性化側鎖1.49当量を、890μLのNMP中に溶解させた。合計体積=1070μL。
【0716】
それらの「中程度の」添加のために、D=5mmのシリンジを、1.15当量/10分に設定された添加速度で使用した。合計0.83mLを添加して、合計で11.5分にわたり1.16当量の添加を達成した。アシル化中に、1MのNaOHを使用してpHを手作業で調整した。添加中、pHを、11.28~11.32の範囲内に維持した。添加を止めた後、反応時間の残りの間、pHを11.26~11.35の間に維持した。アシル化中の温度は23.7~24.3℃であった。
【0717】
「迅速な」添加のために、側鎖を3.3分の期間にわたり添加したことを除き、上述した手順に従った。
【0718】
「遅い」添加のために、側鎖を約30分の期間にわたり添加したことを除き、上述した手順に従った。
【0719】
固体としての添加のために、溶解させていない側鎖の全てを直接添加したことを除き、上述した手順に従った。
【0720】
実施例Aの活性化側鎖、遅い添加
実施例Aの活性化側鎖とのアシル化反応を、上述したのと同じ方法で実行した。
【0721】
結果
これらの実験のそれぞれにつき以下のパラメーターを決定した。結果を、以下の表2に示す:
「Eq.SC」は、ペプチドに対する活性化側鎖の使用される当量の数を指す。
【0722】
「バックボーン%」、「生成物%」及び「ジアシル化物%」は、最終産物の純度の指標である。生成物は、モノアシル化した化合物である所望の最終産物を指し、バックボーンは、アシル化されていない類似体を指し、ジアシル化物は、反応の望ましくない副産物を指す。反応物をUPLC又はHPLC方法によって以下で示す通りに分析し、アシル化プロセス中の効率を、210nmのUVで面積の比較により推測した。比較において明確にするために、「バックボーン」、「生成物」及び「ジアシル化物」の合わせた面積を100%に正規化した。目的のパラメーターのピークごとの保持時間は以下の通りであった;「バックボーン」-約1.5~1.6分(UPLC_A_1)又は3.6分(HPLC_A_1)、「生成物」-約2.1から2.3分(UPLC_A_1)又は5.9分(HPLC_A_1)、「ジアシル化物」-約2.70~3.00分(UPLC_A_1)又は8.0分(HPLC_A_1)。最初の側鎖添加後の80から107分の間に、反応混合物から分析試料を取った。
【0723】
【表2】
【0724】
表2の結果は、全体的に、本発明の活性化側鎖(実施例2)は、最先端の活性化側鎖(実施例A)と比較してほぼ同じ又はそれより優れた純度を有する生成物をもたらし、更に活性化側鎖の類似の余剰も使用されることを示す。この結果はまた、本発明の活性化側鎖が、生成物の純度及び必要とされる余剰が添加の速度に依存しないため、プロセスの高度な柔軟性を提供することも示し、実際にそれは固体として添加することができる。公知の活性化側鎖(実施例A)は、その加水分解に対する不安定性のために、アシル化反応条件下で極めて遅い厳密な制御下で添加しなければならないという確立された事実があることから、これは大きな利点である。
【0725】
したがって、これらの結果から、本発明の活性化側鎖は、公知のプロセスと類似の純度で、ただしより一層ロバストなアシル化プロセスで生成物を生じることが示される。
【0726】
(実施例11)
ジアシル化したGLP-1類似体N{アルファ}([Glu22,Arg26,Arg34]-GLP-1-(9~37)-ペプチジル)-N{イプシロン}[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[4-[(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル]アミノ]ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]Lys-Gly-Gly-Ser-N{イプシロン}[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[4-[(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボニル]アミノ]ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]Lysの調製
この実施例の目的は、ジアシル化したGLP-1類似体を生産するためのアシル化反応における本発明の活性化側鎖の使用を研究することである。所望のジアシル化した最終産物の純度(収量)、及びアシル化反応を要求に応じて進行させるために活性化側鎖の必要とされる余剰に焦点が当てられる。この実施例で使用される本発明の活性化側鎖は、実施例1のものであり、これは、比較のために実施例B、C、及びDの活性化側鎖と共に試験される。
【0727】
この実施例で使用されるGLP-1類似体は、(22E,26R,34R)GLP-1(9~37)(38K,39G,40G,41S,42K)(配列番号3)であり、すなわち、いずれもネイティブのGLP-1(7~37)(配列番号1)に対して、C末端が伸長した、更に2つのN末端アミノ酸が欠失し、3つのアミノ酸の置換されたGLP-1類似体(5つのアミノ酸が伸長した)である。この類似体は、2つのN末端アミノ酸が欠失していることを除きWO2015/000942の実施例3で開示されたGLP-1類似体と同一であり、これは、この参考文献に記載されたようにして、又は当技術分野において公知の他のあらゆる方法を使用して調製することができる。
【0728】
2つの側鎖は、38位及び42位で、この類似体に、より詳細にはリジンに結合することになる。各側鎖は、C20二酸プロトラクター及びTrx-gGlu-2xAdoリンカーから構成される。
【0729】
アシル化手順
GLP-1類似体(2.94g)に脱塩水(40mL)を添加した。懸濁液のpHをTEA(100μL)でpH10.6に調整し、全ての材料が溶解するまで撹拌したところ、pHは9.6になった。溶液中のGLP-1類似体の濃度決定のために試料を取った。濃度は21.5g/Lであった。18mLのこの溶液(0.43g、0.12mmol)を脱塩水(2mL)に添加し、TEAでpH11.0に調整し、続いてNaOH(1M)でpH11.3に調整した。
【0730】
実施例1の活性化側鎖
実施例1の活性化側鎖のTEA塩(399mg、0.32mmol、2.81当量の問題の類似体)を、NMP(2.6mL)中に溶解させた。合計体積は3.1mLと推測され、これは0.96当量/mLに等しい。
【0731】
溶液を、3.1mL/時間の速度で、GLP-1類似体の溶液に室温で添加した。試料を、添加中、すなわち以下の当量(eq)数の活性化側鎖(SC)を添加した後の以下の時点(IPC)で、反応物から取った:
IPC1:1.50当量のSCを添加した;
IPC2:2.52当量のSCを添加した。
【0732】
活性化側鎖の遅い反応性のために(加えて100μLアリコートを取って、それを分析する前に130分、別々に撹拌した):
IPC3:2.8当量のSCを添加した。
【0733】
添加中、pHを、1MのNaOHを使用して11.27~11.33の範囲内に維持した。
【0734】
実施例B、C、及びDの活性化側鎖
実施例B、C、及びDの活性化側鎖でのGLP-1類似体のアシル化を同じプロトコールで行ったが、迅速な加水分解のために、より多くの当量を使用した(以下の表3を参照)。
【0735】
結果
これらの実験のそれぞれにつき以下のパラメーターを決定した。結果を、以下の表3に示す:
「Eq.SC」は、ペプチドに対する活性化側鎖の使用される当量の数を指す。
【0736】
「バックボーン%」、「モノアシル化物%」、「ジアシル化物%」及び「副産物%」は、最終産物の純度の指標である。ここで所望の最終産物は、ジアシル化した化合物であり、バックボーンは、アシル化されていない類似体を指し、モノアシル化物は、望ましくないモノアシル化した生成物を指し、副産物は、反応の他の副産物を指す。反応物をHPLC_A_1によって分析し、アシル化プロセス中の効率を、210nmのUVで面積の比較により推測した。比較において明確にするために、「バックボーン」、「モノアシル化物」、「ジアシル化物」及び「副産物」の合わせた面積を100%に正規化し、最も大きい「副産物」のみを含めた。目的のパラメーターのピークごとの保持時間は以下の通りであった;「バックボーン」-約2.6分、「モノアシル化物」-約5.5分、「ジアシル化物」-約8.3分、及び「副産物」-約10.9分。
【0737】
【表3】
【0738】
純度、すなわち所望のジアシル化した最終産物の収量に関して、表3の結果は、本発明の活性化側鎖(実施例1)は、最先端の実施例Bの活性化側鎖(NHS)と比較してより優れた純度を有する生成物をもたらすことを示す。また純度も、実施例Cの活性化側鎖と比較してより一層優れている。ただし実施例Dの活性化側鎖を使用した場合の純度は、本発明の側鎖(実施例1)と同じ高いレベルであるが、しかしながらこれは、活性化側鎖の余剰の当量を使用する必要があるという犠牲を払う。
【0739】
活性化側鎖の必要とされる余剰に関して言えば、表3の結果から、実施例1の本発明の側鎖に関して、全ての他の側鎖と比較して、実質的により少ない当量が必要とされることが示される。
【0740】
結論として、これらの結果から、本発明の活性化側鎖は、公知のプロセスのようにより高い純度の生成物を、より安価なアシル化プロセスで生じることが示される。
【0741】
(実施例12)
アシル化したインスリン類似体N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(17-カルボキシヘプタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[GluA14,HisB25],des-ThrB27,ThrB30-インスリン
別名A14E、B25H、B29K(Nεイコサンジオイル-γGlu-(3-(2-{2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)-プロピオニル)、desB30ヒトインスリンの調製
この実施例の目的は、アシル化したインスリン類似体を調製するための本発明の活性化側鎖の使用を研究することである。所望の最終産物の純度(収量)、及びアシル化反応を要求に応じて進行させるために活性化側鎖の必要とされる余剰に焦点が当てられる。この実施例で使用される本発明の活性化側鎖は、実施例2のものであり、これは、比較のために実施例Aの活性化側鎖と共に試験される(実施例Aの側鎖は、例えば、WO2010/029159の実施例4から公知である)。
【0742】
この実施例で使用されるインスリン類似体は、A14E、B25H、desB27ヒトインスリンであり、これは、A鎖の14位のアミノ酸がグルタミン酸で置き換えられ、B鎖の25位のアミノ酸がヒスチジンで置き換えられ、及びB27、加えてB30アミノ酸が欠失したヒトインスリンの類似体である。この類似体の配列及び調製は、WO2008/0343881(配列番号8)に記載されている。
【0743】
側鎖は、この類似体のB29Kに結合することになる。B29Kは、B鎖の29位におけるリジン残基を指す。側鎖は、C18二酸プロトラクター及びgGlu-2xAdoリンカーからなる。得られた誘導体は、WO2009/1154699の実施例76の化合物と同一である。
【0744】
アシル化手順
固体インスリン類似体を秤量し(240mgの目的の化合物、43.2μmol)、滴定容器に移し、約15分かけて1.00mlの水と混合した。ペプチドをゆっくり溶解させた。pHは9に近かった。
【0745】
自動滴定装置の容器を冷却システムに接続し、5℃で冷却し、NaOH(0.2M、400μL)を滴下添加することによってpHを10.5に上昇させた。混合物は無色透明であった。400μLの水を手作業で添加して、1.80mLの合計体積を得た。活性化側鎖添加の直前に、インスリン類似体溶液を、NaOH(0.5M、185μL)でpH11.7に滴定した。ペプチド溶液の合計体積及び濃度は、2.0mL及び120mg/mLであった。
【0746】
実施例Aの活性化側鎖
実施例Aの活性化側鎖(52mgの目的の化合物、1.5当量)を、0.44mlのNMP中に溶解させて、合計体積0.50mlを得た。
【0747】
滴定装置:Titrando/dosino(登録商標)
反応物からの試料をUPLC_A_3によって分析した。
【0748】
インスリン類似体のアシル化をTitrando(登録商標)によって制御した。この機器を、19分で1.5当量の側鎖を添加するように設定した。試料を0当量、1当量、及び1.5当量で取り出した。試料を、0.1mg/mLのTween(登録商標)を含むR-320:50mMのリン酸水素二ナトリウム、二水和物中で、pH8でクエンチし、その後試料を分析した。
【0749】
実施例2の活性化側鎖
「実施例Aの活性化側鎖」に関して上述したのと同じプロトコールを、実施例2の活性化側鎖に使用した。
【0750】
結果
これらの実験のそれぞれにつき以下のパラメーターを決定した。結果を、以下の表4に示す:
「Eq.SC」は、ペプチドに対する活性化側鎖の使用される当量の数を指す。
【0751】
「バックボーン%」、「生成物%」及び「ジアシル化物%」は、最終産物の純度の指標である。所望の最終産物は、モノアシル化した化合物であり、バックボーンは、アシル化されていない類似体を指し、ジアシル化物は、反応の望ましくない副産物を指す。反応物をUPLC_A_3によって分析し、アシル化プロセス中の効率を、210nmのUVで面積の比較により推測した。比較において明確にするために、「バックボーン」、「生成物」及び「ジアシル化物」の合わせた面積を100%に正規化した。目的のパラメーターのピークごとの保持時間は以下の通りであった;「バックボーン」-約9.4分、「生成物」-約12.2分、及び「ジアシル化物」-約14.9分。
【0752】
【表4】
【0753】
純度、すなわち所望の生成物の収量に関して、表4の結果は、本発明の活性化側鎖(実施例2)は、同じ当量数(1当量)が使用される場合、実施例Aの最先端の活性化側鎖(NHS)と比較してより一層高い純度を有する生成物をもたらすことを示す。しかしながら、1.5当量の実施例Aの活性化側鎖が使用される場合、1当量の本発明の活性化側鎖を用いた場合と同じ純度が得られる(実施例2)。
【0754】
結論として、これらの結果から、本発明の活性化側鎖は、公知の工程を用いた場合と同様の高い純度の生成物が得られるが、使用する必要がある活性化側鎖の余剰はより少なく、したがってより安価なアシル化プロセスであることが示される。
【0755】
(実施例13)
追加の活性化側鎖の加水分解安定性
この実施例の目的は、本発明の追加の活性化側鎖の加水分解安定性を試験することである。より詳細には、実施例1の活性化側鎖及び実施例8B、8C、及び8Dの3つの追加の側鎖、加えて追加の活性化剤3,5-DC-2-HDMBSAの加水分解安定性。
【0756】
加水分解安定性
実施例1及び8Bから8Dの活性化側鎖の加水分解安定性を試験した。安定性試験には、実施例9からの加水分解プロトコールを使用した。表5に結果を示す。
【0757】
【表5】
【0758】
アシル化反応
これらのアシル化反応の目的は、本発明の異なる活性化側鎖を実施例10からのGLP-1類似体と反応させることによって本発明の構造的な範囲を研究することであった。本発明の実施例でアシル化を受けるGLP-1類似体は、(R34)GLP-1(9~37)(配列番号7)であり、これは、例えば、WO2009/083549の実施例2に記載されたようにして調製することができる。側鎖を、リジンに26位で結合させた。この実施例で使用される本発明の活性化側鎖は、実施例8B、8C、及び8Dのものであり、比較のために実施例1の活性化側鎖と共に試験した。
【0759】
アシル化手順は、側鎖(NMP中の1.15当量、200mg/mL)を2分にわたりGLP-1(9~37)類似体のアルカリ水溶液(200mg、20mg/mL、pH11.3)に手作業で添加したことを除いては、実施例10の通りとした。反応時間中、溶液のpHを、Tritrino/Dosino自動滴定装置を使用して、一定してpH11.3で維持した。反応物からの試料を、異なる時間に、AcOH/MeCN/H2O(2/1/1)でクエンチし、方法UPLC-MS_A_6を使用して分析した。表6に、5分から2時間の間の反応時間の後における変換の結果を列挙した。
【0760】
【表6】
【0761】
表5及び6に記載の結果から、驚くべきことに、本発明の活性化側鎖に関して、加水分解とアシル化反応の両方が優れていたことが示される。具体的には、試験された活性化側鎖は、極めて優れた加水分解安定性を示し、高い純度の生成物がアシル化反応後に得られた。
【0762】
本発明の特定の特徴を本明細書に例示し説明したが、当業者であれば、多くの改変、置換、変更、及び均等物をすぐに思い付くと予想される。それゆえに、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神の範囲内にはいるように、このような全ての改変及び変更を網羅することが意図されることが理解されるものとする。
【配列表】
0007076442000001.app