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特許7076443イソプロパノールおよび水中での溶液重合
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】イソプロパノールおよび水中での溶液重合
(51)【国際特許分類】
   C08F 218/08 20060101AFI20220520BHJP
   C08F 220/06 20060101ALI20220520BHJP
   C08F 222/02 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
C08F218/08
C08F220/06
C08F222/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019524154
(86)(22)【出願日】2017-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 US2017058029
(87)【国際公開番号】W WO2018102052
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-10-19
(31)【優先権主張番号】62/427,283
(32)【優先日】2016-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】591123001
【氏名又は名称】ユニオン カーバイド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スコット・バッカー
(72)【発明者】
【氏名】ランダラ・プルッコディー
(72)【発明者】
【氏名】マヘッシュ・アール・サワント
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ピー・ワッサーマン
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00634428(EP,A2)
【文献】特開平06-315622(JP,A)
【文献】特表2016-519697(JP,A)
【文献】特開平08-052496(JP,A)
【文献】特開平09-100302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 218/08
C08F 220/06
C08F 222/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液重合のための方法であって、前記方法が、溶媒中でモノマー混合物を重合してポリマーを製造することを含み、前記モノマー混合物が、(a)5~75重量%のイタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸およびフマル酸からなる群から選択されるC -Cエチレン性不飽和ジカルボン酸、(b)10~60重量%の酢酸ビニル、および(c)10~50重量%の(メタ)アクリル酸を含み、前記溶媒が、51~88重量%のイソプロパノールおよび12~49重量%の水を含む、方法。
【請求項2】
溶液重合のための方法であって、前記方法が、溶媒中でモノマー混合物を重合してポリマーを製造することを含み、前記モノマー混合物が、(a)5~50重量%のC -C エチレン性不飽和ジカルボン酸、(b)20~60重量%の酢酸ビニル、および(c)10~50重量%の(メタ)アクリル酸を含み、前記溶媒が、51~88重量%のイソプロパノールおよび12~49重量%の水を含む、方法。
【請求項3】
前記モノマー混合物が、
(i)10~45重量%のイタコン酸、(ii)20~50重量%の酢酸ビニル、および(iii)15~45重量%のアクリル酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒が、60~85重量%のイソプロパノールおよび15~40重量%の水を含む、請求項記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマーが2,000~70,000のMwを有する、請求項に記載の方法。
【請求項6】
イソプロパノール-水共沸混合物が蒸留され、重合反応に再利用される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
溶液重合のための方法であって、前記方法が、溶媒中でモノマー混合物を重合してポリマーを製造することを含み、前記モノマー混合物が、(a)5~58重量%の -Cエチレン性不飽和ジカルボン酸、および(b)42~95重量%の酢酸ビニルを含み、前記溶媒が、51~88重量%のイソプロパノールおよび12~49重量%の水を含む、方法。
【請求項8】
前記ポリマーが、
(i)20~58重量%のイタコン酸および(ii)42~80重量%の酢酸ビニルの重合単位を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒は60~85重量%のイソプロパノールおよび15~40重量%の水を含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマーは2,000~70,000のMwを有する、請求項に記載の方法。
【請求項11】
イソプロパノール-水共沸混合物が蒸留され、重合反応に再利用される、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、概して、溶液中でのビニルおよびアクリルモノマーの重合方法に関する。
【0002】
混合溶媒中でのビニルおよびアクリルモノマーの溶液重合は既知である。例えば、米国特許第5,632,976号は、水と有機溶媒(複数可)との混合物中でのアクリルアミドモノマーとアクリル酸およびそのエステルとの重合を開示している。しかしながら、この参考文献は、本発明において請求されるモノマーの重合方法を開示していない。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、溶液重合のための方法に関し、該方法は、溶媒中で(a)5~75重量%のC-Cエチレン性不飽和ジカルボン酸、(b)10~60重量%の酢酸ビニル、および(c)10~50重量%の(メタ)アクリル酸を含むモノマー混合物を重合することを含み、溶媒は、51~88重量%のイソプロパノールおよび12~49重量%の水を含む。
【0004】
本発明はさらに、溶液重合のための方法に関し、該方法は、溶媒中で(a)5~95重量%のC-Cエチレン性不飽和ジカルボン酸、および(b)5~95重量%の酢酸ビニルを含むモノマー混合物を重合することを含み、溶媒は、51~88重量%のイソプロパノールおよび12~49重量%の水を含む。
【発明を実施するための形態】
【0005】
別段の指定のない限り、全ての百分率は、重量百分率(重量%)であり、全ての温度は℃である。当技術分野で既知のように、重量平均分子量Mは、ポリアクリル酸標準を使用してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。GPCの技法は、Modern Size Exclusion Chromatography,W.W.Yau,J.J.Kirkland,D.D.Bly;Wiley-Interscience,1979、およびA Guide to Materials Characterization and Chemical Analysis,J.P.Sibilia;VCH,1988,p.81-84で詳細に論じられている。本明細書で報告される分子量は、ダルトンの単位である。本明細書で使用される場合、用語「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを指す。反応容器内の重量パーセントは、容器内容物の全重量に基づいている。ポリマー中のモノマー単位の百分率は、全ポリマー重量に基づいている。ポリマー中の重合カルボン酸単位への全ての言及は、カルボン酸基のpKa付近またはそれを上回るpH値で存在するであろう酸の金属塩を含む。
【0006】
好ましくは、C-Cエチレン性不飽和ジカルボン酸は、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸およびフマル酸からなる群から選択される。イタコン酸が特に好ましい。
【0007】
モノマー混合物中のモノマーは、異なる時点で反応容器内の溶媒に添加されてもよく、そうすることで、任意の時間の反応容器内の未重合モノマーの組成が本明細書に記載の範囲内に属さない場合があり、それは容器に添加されるモノマーの総量のみを表すことを意味する。
【0008】
好ましくは、C-Cエチレン性不飽和ジカルボン酸、酢酸ビニルおよび(メタ)アクリル酸を含むモノマー混合物は、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも25重量%、好ましくは65重量%以下、好ましくは55重量%以下、好ましくは50重量%以下、好ましくは45重量%以下、好ましくは40重量%以下、好ましくは35重量%以下のC-Cエチレン性不飽和ジカルボン酸を含む。好ましくは、このモノマー混合物は、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも35重量%、好ましくは55%以下、好ましくは50重量%以下、好ましくは45重量%以下の酢酸ビニルを含む。好ましくは、このモノマー混合物は、少なくとも15%、好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも25重量%、好ましくは65重量%以下、好ましくは55重量%以下、好ましくは50重量%以下、好ましくは45重量%以下、好ましくは40重量%以下、好ましくは35重量%以下の(メタ)アクリル酸を含む。
【0009】
好ましくは、C-Cエチレン性不飽和ジカルボン酸および酢酸ビニルを含むモノマー混合物は、C-Cエチレン性不飽和ジカルボン酸の重合単位を少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも35重量%、好ましくは少なくとも39重量%、好ましくは少なくとも42重量%、好ましくは70重量%以下、好ましくは65重量%以下、好ましくは61重量%以下、好ましくは58重量%以下、好ましくは55重量%以下、好ましくは53重量%以下、好ましくは51重量%以下、好ましくは50重量%以下含む。好ましくは、このモノマー混合物は、少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも35重量%、好ましくは少なくとも39重量%、好ましくは少なくとも42重量%、好ましくは少なくとも45重量%、好ましくは少なくとも47重量%、好ましくは少なくとも49重量%、好ましくは90重量%以下、好ましくは85重量%以下、好ましくは80重量%以下、好ましくは75重量%以下、好ましくは70重量%以下、好ましくは65重量%以下、好ましくは61重量%以下、好ましくは58重量%以下の酢酸ビニルを含む。
【0010】
好ましくは、溶媒は、少なくとも55重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも65重量%、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは85重量%以下、好ましくは82重量%以下、好ましくは80重量%以下のイソプロパノールを含む。好ましくは、溶媒は、少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも18重量%、好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは45重量%以下、好ましくは40重量%以下、好ましくは35重量%以下、好ましくは30重量%以下の水を含む。
【0011】
好ましくは、重合酢酸ビニル単位の0~100重量%、好ましくは少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%、好ましくは70重量%以下、好ましくは50重量%以下が加水分解されてアルコールになる。好ましい実施形態において、酢酸ビニル単位の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%が加水分解される。
【0012】
好ましくは、本発明のポリマーは、架橋モノマーの重合単位を0.3重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、好ましくは0.03重量%以下、好ましくは0.01重量%以下含む。架橋モノマーは、多エチレン性不飽和モノマーである。
【0013】
好ましくは、本発明の溶液ポリマー中の重合AMPS単位(金属塩またはアンモニウム塩を含む)の量は、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、好ましくは2重量%以下、好ましくは1重量%以下である。好ましくは、本発明のポリマーは、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルの重合単位を8重量%以下、好ましくは5重量%以下、好ましくは3重量%以下、好ましくは1重量%以下含有する。好ましくは、本発明のポリマーは、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル化(メタ)アクリルアミドおよびN,N-ジアルキル化(メタ)アクリルアミドの全重合単位を5重量%以下、好ましくは3重量%以下、好ましくは1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下含有する。好ましくは、本発明のポリマーは、酢酸ビニルよりも高分子量のビニルエステルの全重合単位を5重量%以下、好ましくは3重量%以下、好ましくは1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下含有する。好ましくは、本発明のポリマーは、ハロゲン含有モノマーの全重合単位を5重量%以下、好ましくは3重量%以下、好ましくは1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下含有する。好ましくは、本発明のポリマーは、C-Cエチレン性不飽和ジカルボン酸および(メタ)アクリル酸以外のカルボン酸またはスルホン酸モノマーの全重合単位を5重量%以下、好ましくは3重量%以下、好ましくは1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下含有する。
【0014】
好ましくは、本発明において製造される溶液ポリマーは、少なくとも2,000、好ましくは少なくとも5,000、好ましくは少なくとも7,000、好ましくは少なくとも9,000、好ましくは少なくとも11,000、好ましくは少なくとも12,000、好ましくは70,000以下、好ましくは50,000以下、好ましくは30,000以下、好ましくは25,000以下、好ましくは20,000以下のMを有する。
【0015】
ポリマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸または他の二酸モノマー、ポリエチレングリコールエステルを含むアクリル酸またはメタクリル酸のエステル、スチレンモノマー、AMPSおよび他のスルホン化モノマー、ならびに置換アクリルアミドまたはメタクリルアミドの残基の組み合わせを含むポリマーを含む、自動食器洗浄機における不溶性沈殿物を抑制するのに有用な他のポリマーと組み合わせて、自動食器用洗剤中に使用することができる。
【0016】
好ましくは、本発明のポリマーはランダムコポリマーである。好ましい開始剤として、有機過酸化物、無機過硫酸塩、有機アゾ化合物(例えば、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN))およびヒドロペルオキシド(例えば、t-ブチルヒドロペルオキシド)が挙げられる。好ましい実施形態において、開始剤は無機物である。好ましくは、開始剤はリンを含有しない。好ましくは、ポリマーは1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満のリンを含有し、好ましくはポリマーはリンを含有しない。好ましくは、ジカルボン酸モノマーが、最初に反応器に添加される。好ましくは、モノマー、溶媒および開始剤を含む反応混合物は、50~100℃の温度に加熱される。好ましくは、重合が実質的に完了する初期反応期間は、1~8時間、好ましくは2~6時間である。好ましくは、初期反応期間の後、水が反応混合物に添加され、その間に水/イソプロパノール共沸混合物が混合物から蒸留される。好ましくは、蒸留後に残っている混合物は、水中で35~45重量%のポリマーを有する。好ましくは、蒸留された共沸混合物は重合反応に再利用される。好ましい実施形態において、蒸留ステップは、酸性または塩基性触媒下での加水分解でもある。酢酸ビニル残基がビニルアルコール残基および酢酸または酢酸塩に加水分解することを可能にするために、pHを<2.5に低下させるかまたは12より上に維持することが好ましい。
【実施例
【0017】
実施例1:
開始剤としてtert-ブチルペルオキシピバレートを使用したIPA/水:75/25の混合溶媒中でのAA/IA/VAcターポリマー(30/30/40組成)の合成
2リットルの丸底フラスコは、機械的スターラー、加熱マントル、熱電対、冷却器、ならびにモノマーおよび開始剤を添加するための入口を備えていた。62g(24.8%)の水と188g(75.2%)のイソプロパノール(IPA)との初期混合物を釜に投入した。釜内容物を撹拌するように設定し、65g(30%)のイタコン酸モノマー(IA)を、t-ブチルペルオキシピバレート開始剤の5g(2%)のヒール投入物とともに釜に投入した。釜内容物を80℃に加熱した。酢酸ビニル(VAc)(86g、40%)およびアクリル酸(AA)(65g、30%)のモノマーを一緒に混合することによってモノマー供給物を調製し、2時間かけて反応釜に供給した。35gのIPAに溶解した10g(4.63%)のt-ブチルペルオキシピバレートからなる開始剤供給物を2.5時間にわたって供給した。還流下で反応を行い、さらに2時間80℃に保持した。得られた透明の生成物を注ぎ出して40℃で包装した。この試料の200gの量を溶媒交換プロセスに使用し、単純なディーン・スタークトラップを介して釜の溶媒を除去しながら200gの水を連続的に添加した。冷却した50%NaOHで最終生成物のpHを中性に調整した。最終生成物の固形分は39%、分子量はMw22903、Mn3280、Mw/Mnは6.98であった。残留モノマー含有量は、アクリル酸およびイタコン酸で<100ppmであった。溶媒交換前の酢酸ビニルモノマーの残留モノマー含有量は7944ppmであり、これはその後<100ppmに減少した。13C NMRスペクトルによって決定される最終ポリマー中のモノマー組み込み比は、30%アクリル酸/35%イタコン酸/35%酢酸ビニルであった。
【0018】
実施例2(RP1034):
開始剤として過硫酸ナトリウムを使用したIPA/水:75/25の混合溶媒中でのアクリル酸/イタコン酸/酢酸ビニルターポリマー(30/30/40組成)の合成
2リットルの丸底フラスコは、機械的スターラー、加熱マントル、熱電対、冷却器、ならびにモノマーおよび開始剤を添加するための入口を備えていた。52.7gの水と187.5gのIPAとの初期混合物を、65gのイタコン酸モノマーとともに釜に投入した。釜内容物を80℃に加熱し、5gの塩を10gの水に溶解することにより調製した過硫酸ナトリウムのヒール投入物を釜に添加した。上記実施例1に記載した合成プロセスを繰り返し、35gの水に溶解した10g(4.63%)の過硫酸ナトリウムからなる開始剤供給物を2.5時間にわたって供給した後、実施例1に前述したようにディーン・スターク溶媒交換を行った。最終生成物の固形分は32%、分子量はMw18620、Mn2541、Mw/Mnは7.32であった。残留モノマー含有量は、アクリル酸およびイタコン酸で<50ppmであった。溶媒交換前であっても、酢酸ビニルモノマーの残留モノマー含有量は<500ppmであった。13C NMRスペクトルによって決定される最終ポリマー中のモノマー取り込み比は、45%アクリル酸/37%イタコン酸/13%酢酸ビニルであり、5%がビニルアルコールであった。
【0019】
比較例1:水中のAA/Mal/VAc(米国特許第5,830,956号、実施例1による)
還流冷却器、過熱スターラー、加熱マントル、および熱電対を備えた丸底フラスコに、63.8gの無水マレイン酸、259gの脱イオン水、0.0035gのFeSO、および93.6gのNaOH溶液(水中50%)を投入した。混合物を撹拌し、85℃に加熱した。この温度に達してから、アクリル酸(81.4g)、酢酸ビニル(42.1g)、および水(100g)を含有するモノマー混合物を開始して4時間継続し、18.7gの過酸化水素30%溶液および54gの脱イオン水を含有する第2の開始剤溶液を開始して4.5時間継続し、その間に温度を92℃に上昇させた。開始剤供給が終了した後、反応混合物をさらに1.5時間この温度に保持した。室温に冷却した後、温度を55℃未満に保つために、撹拌しながら122.4gのNaOH溶液(水中50%)を徐々に添加して、溶液を加水分解のために強塩基性にした。101~102℃の温度で1時間還流した後、反応物を再び冷却し、31.5gのHCl溶液(37%)を添加することによって混合物を中性(約7)にした。生成物は、2300ppmの残留アクリル酸および20,000ppmの残留マレイン酸を含有することが明らかになった。Mw/1000=42.9、Mn/1000=5.4(GPC)
【0020】
比較例2:IPA中のAA/マレイン酸/VAc
2リットルの丸底フラスコは、機械的スターラー、加熱マントル、熱電対、冷却器、ならびにモノマーおよび開始剤を添加するための入口を備えていた。250gのIPAの初期混合物を釜に投入し、65gの無水マレイン酸モノマーをこれに添加した。上記実施例1に記載したものと同一のプロセスに従い、透明な淡橙色の生成物を得、これを40℃で注ぎ出した。この生成物の一部を実施例1に記載したように溶媒交換に供して中和した。最終生成物の固形分は39.5%、分子量はMw4568、Mn1205、Mw/Mnは3.8であった。溶媒交換前の残留モノマー含有量は、アクリル酸が6528ppm、マレイン酸が3250ppm、酢酸ビニルが33197ppmであった。
【0021】
実施例3
開始剤としてtert-ブチルペルオキシピバレートを使用したIPA/水:75/25の混合溶媒中でのAA/マレイン酸/VAcターポリマー(30/30/40組成)の合成
2リットルの丸底フラスコは、機械的スターラー、加熱マントル、熱電対、冷却器、ならびにモノマーおよび開始剤を添加するための入口を備えていた。63.9g(25.4%)の水と188g(74.6%)のIPAとの初期混合物を釜に投入した。釜内容物を撹拌するように設定し、65g(30%)の無水マレイン酸を釜に投入した。釜内容物を80℃に加熱した。35gのIPA中の15g(6.9%)のt-ブチルペルオキシピバレートを用いて開始剤供給物を調製した。ある温度で、モノマー供給が始まる前に2分間、開始剤を釜に供給した。実施例1と同様に、酢酸ビニル(86g、40%)およびアクリル酸(65g、30%)のモノマーを一緒に混合することによってモノマー供給物を調製し、2時間かけて反応釜に供給した。開始剤を合計152分かけて供給した。還流下で反応を行い、さらに30分間80℃に保持した。5gの水中の1g(0.4%)のt-ブチルペルオキシピバレートからなる追加の供給物を10分間かけて供給した後30分間保持し、10分間かけてさらに同一の追加量を加えた。反応を最後の40分間維持し、内容物を無色透明の最終生成物として注ぎ出した。この生成物の一部を実施例1に記載したように水と溶媒交換して中和した。最終生成物の固形分は43%、分子量はMw4793、Mn1535、Mw/Mnは3.12であった。残留モノマー含有量は、アクリル酸およびマレイン酸で<50ppmであった。溶媒交換前の酢酸ビニルモノマーの残留モノマー含有量は19992ppmであり、これはその後100ppm未満に減少した。13C NMRスペクトルによって決定される最終生成物の組成は、25%アクリル酸/32%マレイン酸/20%酢酸ビニルであり、約22重量%がエステル化種および酢酸ナトリウムであった。