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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】乳の冷却のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A01J 5/00 20060101AFI20220520BHJP
   F25D 17/02 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
A01J5/00
F25D17/02
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019528023
(86)(22)【出願日】2017-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 SE2017051283
(87)【国際公開番号】W WO2018111184
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-12-08
(31)【優先権主張番号】1651660-1
(32)【優先日】2016-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】500215931
【氏名又は名称】デラヴァル ホルディング アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ストパ, イエジー
【審査官】飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06131398(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0129227(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0131619(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0272158(US,A1)
【文献】特表2002-523066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01J
F25D
F25B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搾乳装置(4)において乳を冷却するための方法(50)であって、搾乳装置(4)は、
- 少なくとも一頭の動物から乳を抽出するための搾乳システム(6)と、
- 乳を冷却するための乳冷却装置(2)と、
- 乳貯蔵タンク(8)と
を含み、乳冷却装置(2)は、搾乳システム(6)と乳貯蔵タンク(8)の間の乳の流れの経路中に配置されており、乳冷却装置(2)は、
- 冷却液回路(18)と、
- 冷媒回路(20)と
を含み、冷却液回路(18)は、乳と冷却液との間の熱交換のために構成されており、冷媒回路(20)は、冷媒と冷却液との間の熱交換のために構成されており、方法(50)は、
- 冷媒回路(20)の少なくとも一部において、及び/又は冷却液回路(18)の少なくとも一部において、予め規定された温度範囲を維持するように冷媒回路(20)を制御する工程(52)と、
- 搾乳システム(6)から乳貯蔵タンク(8)へと向かう乳の流れの開始又は増大に関連する第一信号を受信する工程(54)と、
- 第一信号に応答して、冷却液回路(18)中の冷却液の循環を開始又は増大する工程(56)と、
- 乳冷却装置(2)を通して乳の流れを導く工程(58)と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
- 搾乳システム(6)からの乳の流れを停止又は減少させる工程(60)と、
- 冷却液回路(18)中の冷却液の循環を停止又は減少させる工程(62)と
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法(50)。
【請求項3】
乳冷却装置(2)を通して乳の流れを導く工程(58)の後に、
- 冷却液回路(18)中の冷却液の流量を制御する工程(59)
を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法(50)。
【請求項4】
冷却液回路(18)中の冷却液の循環を停止又は減少させる工程(62)が、冷却液の温度が第一閾値温度に到達するか又は第一閾値温度より下がったときに実行されることを特徴とする、請求項2に記載の方法(50)。
【請求項5】
第一信号が存在しない時間期間中に、冷却液回路(18)中に冷却液を間欠的に循環させる工程(64)が、冷却液が第二閾値温度にあるか又は第二閾値温度より下がるまで実行されることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の方法(50)。
【請求項6】
冷却液を間欠的に循環させる工程(64)が、規則正しい時間間隔で冷却液の循環を開始させる工程(66)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法(50)。
【請求項7】
冷却液を間欠的に循環させる工程(64)が、冷却液の温度が第三閾値温度に到達したときに冷却液の循環を開始させる工程(68)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法(50)。
【請求項8】
第一信号が、搾乳システム(6)から乳貯蔵タンク(8)へと向かう乳のポンピングの開始と相関することを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法(50)。
【請求項9】
第一信号が、搾乳システム(6)からの乳の流れの開始までの時間期間に関連することを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法(50)。
【請求項10】
搾乳システム(6)が、自動搾乳システム(AMS)であることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の方法(50)。
【請求項11】
第一信号が、自動搾乳システム(AMS)に近づくか又は入る動物に関連することを特徴とする、請求項10に記載の方法(50)。
【請求項12】
搾乳システム(6)が、乳が乳貯蔵タンク(8)へと導かれる前の乳の中間貯蔵のためのバランスタンク(17)を含み、第一信号が、バランスタンク(17)の充填度合いに関連することを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の方法(50)。
【請求項13】
冷却液回路(18)中の冷却液の循環が、バランスタンク(17)の充填度合いに基づいて制御されることを特徴とする、請求項12に記載の方法(50)。
【請求項14】
乳冷却装置(2)の下流の乳の温度を感知する工程、及び乳冷却装置(2)の下流の乳の感知された温度に応答して、搾乳システム(6)から乳貯蔵タンク(8)へと向かう乳の流れの速度を制御する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の方法(50)。
【請求項15】
搾乳装置(4)において乳を冷却するための乳冷却装置(2)であって、搾乳装置(4)は、
- 少なくとも一頭の動物から乳を抽出するための搾乳システム(6)と、
- 乳を冷却するための乳冷却装置(2)と、
- 乳貯蔵タンク(8)と
を含み、乳冷却装置(2)は、
- 冷却液回路(18)と、
- 冷媒回路(20)と、
- 乳冷却装置の制御器(22)と
を含み、
冷却液回路(18)は、
- 冷却液と乳の間の熱交換のために配置された第一熱交換器(24)と、
- 冷却液回路(18)中に冷却液を循環させるために構成された冷却液ポンプ(26)と、
- 冷却液と冷媒回路(20)の冷媒との間の熱交換のための熱交換装置(28)と
を含み、第一熱交換器(24)は、搾乳システム(6)から乳貯蔵タンク(8)へと導く導管(16)中に配置されるように構成され、
乳冷却装置の制御器(22)は、
- 冷媒回路(20)の少なくとも一部において、及び/又は冷却液回路(18)の少なくとも一部において、予め規定された温度範囲を維持するように冷媒回路(20)を制御することと、
- 搾乳システム(6)から乳貯蔵タンク(8)へと向かう乳の流れの開始又は増大に関連する第一信号を受信することと、
- 第一信号に応答して、冷却液回路(18)中の冷却液の循環を開始又は増大することと
を実行するように構成されていることを特徴とする乳冷却装置(2)。
【請求項16】
冷却液が、水と不凍物質を含むことを特徴とする、請求項15に記載の乳冷却装置(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搾乳装置において乳を冷却するための方法に関する。本発明はさらに、搾乳装置において乳を冷却するための乳冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
牧場での乳の冷却は、その特有の問題を有する。牧場で動物から搾乳された乳は、遊離脂肪酸の形成を防止するため、及び乳中での細菌の増殖を防止するために、動物の体温から約4℃までできる限り迅速に冷却されなければならない。さらに、乳は、凍結されることを防止されなければならない。凍結も、乳の品質にとって有害である。乳は、乳貯蔵タンク中で冷却され、乳製品工場に輸送されるまでそこに貯蔵されるか、中間乳タンク中で冷却されるか、及び/又は乳貯蔵タンクもしくは中間乳タンクへと導く導管中で冷却されることができる。
【0003】
EP1251732は、冷却タンク中の少量の乳の冷却を制御するための方法及びシステムを開示する。この方法及びシステムは、自動搾乳システム(AMS)によって搾乳された乳の冷却のために特に適合されており、そこでは、冷却タンクが空であるか又は制限された量の乳のみを含む場合に乳は冷却タンクに導かれる。冷却タンクは、タンク内に乳冷却表面を有する底部壁部分を有し、この乳冷却表面は、冷却回路の一部である。この方法は、a)タンク中の乳の量を測定するための手段、及びタンク中の乳の温度を監視するための温度変換器を与えること、b)冷却回路中に、タンクの底部壁部分と接続された蒸発器、圧縮器、及び復水器を与えること、c)乳冷却表面の温度が常に0℃より高くなり、一方、蒸発器中の冷媒の温度が圧縮器が作動しているときには0℃未満になるように、蒸気圧を調整することによって、蒸発器中の冷媒の温度を制御することを含む。
【0004】
上述のように、乳は、乳貯蔵タンクへと導く導管中で冷却されることができる。この目的のため、熱交換器(例えば、プレート型の熱交換器(PHE))が、導管中に配置されることができる。EP0859545は、乳などの製品を冷却するための装置を開示する。この装置は、第一蒸発器及び第二蒸発器、第一蒸発器を組み込んだ第一熱交換器、及び第二蒸発器を組み込んだ第二熱交換器を含む。作動において、乳は、二段階で冷却される。熱は、第一蒸発器によって乳から取り去られ、乳を中間温度まで冷却する。第二段階の間に、熱は、第二蒸発器によって乳から取り去られ、所望の温度にまで乳をさらに冷却する。
【0005】
EP0859545に開示されている乳を冷却するための装置の熱交換器は、冷媒のための蒸発器を含むが、乳を冷却するための装置は、代替的に、乳貯蔵タンクへと流れる乳を冷却するための熱交換器を含むことができる。この熱交換器は、冷却液(水やグリコール)によって内部を流されることができ、この冷却液は、次に、冷媒によって冷却される。後者のタイプの乳の冷却のための装置を作動させる一つの公知の態様は、乳が熱交換器中で常に冷却されるようにするために熱交換器を通して冷却液を連続的にポンピングすることである。関連する搾乳システムの洗浄中、冷却液のポンピングは、中断される。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、低いエネルギー消費を与える、乳を冷却するための方法を提供することにある。
【0007】
本発明の一つの側面によれば、この目的は、搾乳装置において乳を冷却するための方法によって達成される。搾乳装置は、少なくとも一頭の動物から乳を抽出するための搾乳システムと、乳を冷却するための乳冷却装置と、乳貯蔵タンクとを含む。乳冷却装置は、搾乳システムと乳貯蔵タンクの間の乳の流れの経路中に配置されており、乳冷却装置は、冷却液回路と、冷媒回路とを含む。冷却液回路は、乳と冷却液との間の熱交換のために構成されており、冷媒回路は、冷媒と冷却液との間の熱交換のために構成されている。方法は、
- 冷媒回路の少なくとも一部において、及び/又は冷却液回路の少なくとも一部において、予め規定された温度範囲を維持するように冷媒回路を制御する工程と、
- 搾乳システムから乳貯蔵タンクへと向かう乳の流れの開始又は増大に関連する第一信号を受信する工程と、
- 第一信号に応答して、冷却液回路中の冷却液の循環を開始又は増大する工程と、
- 乳冷却装置を通して乳の流れを導く工程と
を含む。
【0008】
冷媒回路は、冷媒回路の少なくとも一部において、及び/又は冷却液回路の少なくとも一部において、予め規定された温度範囲を維持するように制御されているので、また、冷却液回路中の冷却液の循環は、第一信号に応答して開始又は増大されるので、搾乳システムから乳貯蔵タンクへの乳の流れがあり、この乳の流れが冷却を必要とする場合に、冷却液が冷却されるための条件が与えられる。従って、乳貯蔵タンクへの乳の流れがない期間の間は、いかなる冷却液も冷却しないことによって、又は、乳貯蔵タンクへの乳の流れがある場合と比較して制限された量の冷却液のみを冷却することによって、エネルギーを節約することができる。その結果として、上述の目的が達成される。
【0009】
本発明者は、搾乳装置中で乳を冷却するために必要な冷却液の量は、時間にわたって変化することを認識した。自動搾乳システム(AMS)では、AMSから乳貯蔵タンクへと導く乳の流れの経路に沿った乳の流れは、間欠的である。これは、一つ又は二つのAMSのみからの乳が乳貯蔵タンクへと乳の流れの経路中を導かれる搾乳システムでは、特にそうである。しかし、二頭以上の動物を搾乳するために構成された搾乳所(例えば、回転タイプの搾乳所(手動又は自動の)、又は矢筈タイプもしくは平行タイプの搾乳所)を有する搾乳装置でも、乳の流れは、乳冷却装置が連続的な作動を必要としない程度まで変化しうる。
【0010】
搾乳システムは、乳頭カップを含むAMSであることができる。この場合、乳頭カップは、動物の乳頭に自動的に取り付けられる。代替的に、搾乳システムは、乳頭カップを含み、これらの乳頭カップは、動物の乳頭に手動で取り付けられることができる。搾乳システム中で搾乳される動物は、例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギであることができる。搾乳システムは、公知の態様(例えば、二つの室を有する乳頭カップと減圧の利用)で動物の乳頭から乳を抽出する。乳貯蔵タンクにおいて、乳は、乳を加工するために例えば乳製品工場に輸送される前に貯蔵される。乳貯蔵タンクでは、乳は、細菌の増殖及び遊離脂肪酸の形成を防止する貯蔵温度で貯蔵される。
【0011】
冷却液回路の一部が、搾乳システムと乳貯蔵タンクの間の乳の流れの経路中に配置されている。好適には、冷却液回路の一部は、乳と冷却液との間の熱交換のために構成された熱交換器を含む。乳と冷却液との間の熱交換において、乳は、冷却され、冷却液は、加熱される。乳は、冷却液によって実質的に乳貯蔵温度にまで冷却されることができる。冷媒回路中での冷媒と冷却液との間の熱交換において、冷却液は、冷媒によって冷却され、冷媒は、冷却液によって加熱される。冷媒回路自体は、公知の態様で自動的に制御されることができる。
【0012】
牧場における搾乳動物(例えば、ウシ)の平均数は増大しているが、比較的少数の搾乳動物しか有さない牧場区分(例えば、オーガニック牧場)があり、そこでは、これらの少数の搾乳動物は、例えばAMSで搾乳されることができる。後者の牧場区分では、時間にわたる平均の乳の流れは、少ない。少ない乳の流れにとって、いわゆる即座の冷却(即ち、乳の貯蔵温度近くの温度への冷却)は、例えば乳品質の観点から良い選択である。
【0013】
しかし、従来技術の冷却システムのように好適な温度の冷却液を常に待機させておくことは、乳が冷却される必要のないときにもエネルギーを消費することになる。従って、本発明の実施形態では、冷却液をエネルギー効率的に提供する。これは、必要なときに乳の冷却のための用意ができた冷却液を利用可能にする。
【0014】
実施形態によれば、冷却液回路中の冷却液の循環を開始又は増大する工程は、第一信号に応答して、冷却液回路中の冷却液の循環を開始する工程を含むことができる。方法は、搾乳システムからの乳の流れを停止する工程を含むことができる。方法は、その後に、冷却液回路中の冷却液の循環を停止する工程を含むことができる。この態様において、冷却液回路中の冷却液の循環は、第一信号に応答して開始され、一旦乳の流れが停止すると、停止される。冷却液は、冷却を必要とする搾乳システムから乳貯蔵タンクへの乳の流れがある場合にのみ、冷却される。従って、乳貯蔵タンクへの乳の流れがない期間は、エネルギーを節約することができる。
【0015】
実施形態によれば、冷却液回路中の冷却液の循環を開始又は増大する工程は、第一信号に応答して、冷却液回路中の冷却液の循環を、低い流れでエネルギーを節約する冷却液循環から、高い流れで乳を冷却する冷却液循環へと増大させる工程を含むことができる。方法は、搾乳システムからの乳の流れを停止又は減少させて、そして冷却液回路中の冷却液の循環を、低い流れの冷却液循環へと戻すように減少させる工程をさらに含むことができる。この態様において、冷却液回路中の冷却液の循環は、第一信号に応答して増大される。乳貯蔵タンクへの乳の流れがない場合には、冷却液の低い流量についての条件が与えられ、乳貯蔵タンクへの乳の流れがある場合には、冷却液の高い流量についての条件が与えられる。従って、乳貯蔵タンクへの乳の流れが低いか又はない期間は、エネルギーを節約することができる。
【0016】
方法の実施形態によれば、第一信号が存在しない時間期間中に、冷却液回路中に冷却液を間欠的に循環させる工程は、冷却液が第二閾値温度にあるか又は第二閾値温度より下がるまで実行される。この態様において、冷却液は、搾乳システムから乳貯蔵タンクへの乳の流れを冷却するための用意ができた低温に維持されることができる。間欠的な循環は、冷却液の循環が規則正しい時間間隔で行なわれること、及び/又は冷却液の循環が温度制御されることを必要とすることがある。
【0017】
ある実施形態によれば、搾乳システムは、自動搾乳システム(AMS)であることができる。代替的な実施形態によれば、搾乳システムは、手動搾乳システム、つまり、乳頭カップが動物の乳頭に手動で取り付けられる搾乳システムであることができる。
【0018】
本発明のさらなる側面によれば、上述の目的は、搾乳装置において乳を冷却するための乳冷却装置によって達成される。搾乳装置は、少なくとも一頭の動物から乳を抽出するための搾乳システムと、乳を冷却するための乳冷却装置と、乳貯蔵タンクとを含む。乳冷却装置は、冷却液回路と、冷媒回路と、乳冷却装置の制御器とを含む。冷却液回路は、乳と冷却液との間の熱交換のために構成されており、冷媒回路は、冷媒と冷却液との間の熱交換のために構成されている。乳冷却装置の制御器は、
- 冷媒回路の少なくとも一部において、及び/又は冷却液回路の少なくとも一部において、予め規定された温度範囲を維持するように冷媒回路を制御することと、
- 搾乳システムから乳貯蔵タンクへと向かう乳の流れの開始又は増大に関連する第一信号を受信することと、
- 第一信号に応答して、冷却液回路中の冷却液の循環を開始又は増大することと
を実行するように構成されている。
【0019】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲及び以下の詳細な記述を研究すれば明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の様々な側面は、その特定の特徴及び利点を含めて、以下の詳細な記述及び添付の図面において論じられている例示的な実施形態から容易に理解されるだろう。
【0021】
図1図1は、乳冷却装置及び搾乳装置の実施形態を模式的に示す。
【0022】
図1a-1b】図1a-1bは、乳冷却装置の代替的な実施形態を示す。
【0023】
図2図2は、搾乳装置において乳を冷却するための方法の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の側面は、以下により詳細に記述されるだろう。明細書全体を通して同様の数字は、同様の要素に言及する。周知の機能又は構造は、簡潔さ及び/又は明確さのために必ずしも詳細に記述されていないだろう。
【0025】
図1は、乳冷却装置2及び搾乳装置4の実施形態を模式的に示す。乳冷却装置2は、搾乳装置4において乳を冷却するために構成されている。搾乳装置4は、少なくとも一頭の動物から乳を抽出するための搾乳システム6と、乳を冷却するための乳冷却装置2と、乳貯蔵タンク8とを含む。搾乳システム6は、動物の乳頭への乳頭カップ12の自動取り付けのためのロボット腕9を含む自動搾乳システム(AMS)であることができる。代替的に、搾乳システム6は、乳頭カップが動物の乳頭に手動で取り付けられる搾乳システムであることができる。
【0026】
搾乳システム6は、搾乳所10の中に立っている動物の乳頭から乳を抽出するように構成されている。搾乳所10は、図1に示されるように一頭のみの動物を収容するように構成されることができる。又は、搾乳所10は、二頭以上の動物を同時に収容するように構成されることができる。搾乳システム6は、乳頭カップ12と、公知の態様で作動する減圧システム14とを含む。搾乳システム6中に抽出された乳は、導管16を介して乳貯蔵タンク8に導かれる。乳貯蔵タンク8は、それ自身の冷却システムを有するタンクであるか、又は冷却システムを有さないタンクであることができる。後者の場合、乳貯蔵タンク8は、乳が収集されるまで十分低い温度を維持するように、十分に断熱されていることが必要である。代替的に、乳貯蔵タンク8は、可動のタンク(例えば、乳製品工場のトラック又はトレイラーのタンク)であることができ、これは、充填後に乳製品工場へと輸送される。
【0027】
搾乳システム6は、搾乳システム6から乳貯蔵タンク8へと向かう乳の流れを生成するために構成された乳ポンプ15を含む。乳は、搾乳システム6の容器17中に収集され、この容器17から乳は、乳貯蔵タンク8へと向かって乳ポンプ15によってポンピングされる。搾乳システム6が一頭の動物のためのAMSを含む実施形態では、容器17は、終端ユニット又は受容器であり、動物の搾乳が終了した後にそこから乳が乳ポンプ15によってポンピングされる。搾乳システム6が数頭の動物を同時に搾乳するために構成されている実施形態では、容器17は、バランスタンクであることができる。一旦バランスタンクが特定の度合いまで充填されると、乳は、乳ポンプ15によってバランスタンクからポンピングされることができる。バランスタンクは、タンク中の乳のレベルを検出するレベルセンサーを与えられていることができる。後者のタイプの搾乳システムは、乳頭カップが手動で動物に取り付けられる搾乳システムであるか、又はより大規模の自動搾乳システムであることができる。
【0028】
乳貯蔵タンク8において、乳は、貯蔵温度で貯蔵される。貯蔵温度は、例えば局所的条件及び法律に応じて2~5℃又は2~7℃の範囲であるか、又は約4℃であることができる。乳冷却装置2は、乳を乳貯蔵温度へと冷却するために構成されることができる。もし乳貯蔵タンク8がそれ自体の冷却システムを含むのなら、乳冷却装置2は、乳を数度(例えば最大5℃の範囲内)の貯蔵温度へと冷却するために構成されることができる。乳貯蔵温度又はそれに近い温度へのかかる冷却は、「即座の冷却」と称されることができる。この文脈において、いわゆる予備冷却は、乳の温度を乳貯蔵温度に向かって部分的に、例えば予備冷却後に15~20℃の乳温度へと低下させることをもたらすに過ぎないことが言及されることができる。
【0029】
乳冷却装置2は、冷却液回路18、冷媒回路20、及び乳冷却装置の制御器22を含む。乳冷却装置の制御器22は、乳冷却装置2のための専用の制御器であることができる。代替的に、乳冷却装置の制御器22は、搾乳システム6のための制御器、及び/又は乳貯蔵タンク8のための制御器の一部を形成することができる。乳冷却装置の制御器22は、二つ以上の別個の制御ユニットを含むことができ、これらの制御ユニットのそれぞれは、乳冷却装置2の別個の部分を制御するように構成されている。一つ以上の別個の制御ユニットは、相互に通信するように、又は相互に通信せずに相互から独立して作動するように構成されることができる。乳冷却装置の制御器22は、プロセッサー、及びプロセッサーに接続された一つ以上のセンサーを含むことができる。かかるセンサーは、例えば温度センサー又は圧力センサーであることができる。プロセッサーは、乳冷却装置2の様々な構成要素と通信することができる。プロセッサーは、センサーからの入力を解釈して、乳冷却装置2の様々な構成要素に制御命令を出力するために、コンピューターコードを実行するように構成されることができる。
【0030】
冷却液回路18は、搾乳システム6から乳貯蔵タンク8への乳の流れ中を流れる乳と冷却液との間の熱交換のために構成されている。冷媒回路20は、冷媒回路20中を循環する冷媒と冷却液回路18中を循環する冷却液との間の熱交換のために構成されている。冷却液は、搾乳システムによって搾乳された乳から冷媒への熱の移動のための中間液体である。冷媒は、液相から気相への相変化を利用して、冷却液からの熱を冷凍サイクル中に引き出す流体である。従って、乳は、冷却液を介して間接的に冷媒によって冷却される。実施形態によれば、冷却液は、水と不凍物質を含むことができる。この態様において、冷却液は、凍結のリスクなしに冷媒によって0℃以下の温度まで冷却されることができる。不凍物質の例は、プロピレングリコールである。
【0031】
実施形態によれば、冷却液回路18は、冷却液と乳の間の熱交換のために配置された第一熱交換器24、冷却液を冷却液回路18中に循環させるための冷却液ポンプ26、及び冷却液と冷媒回路20中の冷媒との間の熱交換のための熱交換装置28を含むことができる。第一熱交換器24は、搾乳システム6から乳貯蔵タンク8へと導く導管16中に配置されることができる。従って、冷却液が冷却液回路18中を循環するとき、冷却液は、搾乳システム6からの乳の流れを冷却するが、冷却液は、同時に、冷媒回路20中の冷媒によって冷却されることができる。
【0032】
いくつかの例に言及すると、冷却液回路18は、20~1000リットル、又は20~200リットル、又は40~120リットルの範囲の量の冷却液を含むことができる。冷却液の量は、搾乳システム6から乳貯蔵タンク8への予測される乳の流れに基づいて好適に選択されることができる。多数の動物(例えば、20~100頭の動物)が同時に搾乳される搾乳所を含む搾乳装置においては、乳貯蔵タンク8への高い乳の流れを生じるので、数百リットルの冷却液が使用されることができる。一頭だけの動物又は数頭だけの動物が同時に搾乳される搾乳装置では、低い例示範囲の量の冷却液で十分である。冷媒回路20の冷却能力は、予測される乳の流れに適合されており、とりわけ搾乳システム6において同時に搾乳される動物の数に依存する。
【0033】
冷媒回路20は、圧縮器30、復水器32、膨張装置34、及び熱交換装置28を含む。これらの実施形態では、熱交換装置28は、第二熱交換器29を含み、これは、冷媒回路20中の蒸発器を形成する。公知の態様において、冷媒は、冷媒回路20中を循環する。気体状の冷媒は、圧縮器30において圧縮され、復水器32において冷却され、これにより、冷媒は、液体形態へと凝結する。液体状の冷媒は、それが膨張装置34を通過するにつれて圧力降下され、冷却液から熱を引き出すことによって蒸発器/第二熱交換器29中で蒸発し、冷却液は、代わりに、冷媒によって冷却される。
【0034】
乳冷却装置の制御器22は、以下のような多数の制御手段を実行するように構成されている:
- 冷媒回路20の少なくとも一部において、又は冷却液回路18の少なくとも一部において、予め規定された温度範囲を維持するように冷媒回路20を制御する。かかる温度制御は、冷媒回路20の制御を専門とする、乳冷却装置の制御器22の別個の制御回路によって実行されることができる。冷媒回路20の少なくとも一部は、例えば、膨張装置34と第二熱交換器28の間の冷媒回路20の部分、又は、熱交換装置28の中もしくは後の冷媒回路20の部分であることができる。冷却液回路18の少なくとも一部は、例えば、冷媒回路20と冷却液回路18の間の熱交換装置28中の冷却液回路18の部分であることができる。予め規定された温度範囲は、冷媒回路20の一部における圧力の制御によって間接的に維持されることができる。
- 搾乳システム6から乳貯蔵タンク8へと向かう乳の流れの開始又は増大に関連する第一信号を受信する。第一信号は、搾乳装置4における多数の異なる事象、状態、又は機会の少なくとも一部に応答してトリガーされることができる。これらの事象、状態、又は機会は、様々な例示的な実施形態に言及して以下に論じられるように、搾乳システム6からの乳の流れの開始又は増大と直接的又は間接的に関連する。
- 第一信号に応答して、冷却液回路18中の冷却液の循環を制御する。冷却液の循環のかかる制御は、冷却液の循環を開始すること、冷却液の低い流量を与えること、冷却液の高い流量を与えること、冷却液の流量を制御すること、及び冷却液の流れを停止させることのうちの一つ以上を含むことができる。これは、冷却液ポンプ26によって達成されることができる。
- 第一信号に応答して、冷却液回路18中の冷却液の循環を開始又は増大する。従って、冷媒回路20中の冷媒によって冷却される冷却液は、一旦冷却液と乳との間の熱交換のために冷却液回路18の第一熱交換器24に乳の流れが到達すると、乳を冷却するために即座に利用可能である。
- 搾乳システム6からの乳の流れを停止又は減少させる。乳の流れは、例えば搾乳システム6の全ての乳が乳貯蔵タンク8へとポンピングされた場合に停止されることができる。乳の流れは、例えば、容器17(バランスタンク)中の乳のレベルが閾値よりも低い場合に減少されることができる。
- 冷却液回路18中の冷却液の循環を停止又は減少させる。それに応答して、一旦冷媒回路20中の少なくとも一部における冷媒、又は冷却液回路18中の少なくとも一部における冷却液が予め規定された温度範囲内になると、冷媒回路はスイッチオフされるだろう。
【0035】
ある実施形態によれば、冷却液の循環は、搾乳システム6からの乳の流れの停止と関連して実質的に即座に停止されることができる。ある実施形態によれば、乳冷却装置の制御器22は、冷却液回路18中の冷却液の循環が停止する前に、搾乳システム6からの乳の流れが停止したことを確認することができる。代替的な実施形態によれば、乳冷却装置の制御器22は、冷却液が第一閾値温度に到達するか又は第一閾値温度よりも低下するときに冷却液回路18中の冷却液の循環を停止するように構成されることができる。この態様において、冷却液は、冷却液の循環が停止する前に第一閾値温度まで低下させられることができる。温度は、第一閾値温度として選択されることができる。第一閾値温度は、第一信号が再び受信されるときに冷却液が有することが好適な温度である。
【0036】
冷媒は、圧縮器30が作動している限り、冷媒回路20中を循環する。従って、冷却液の冷却が必要とされない場合、乳冷却装置の制御器22は、圧縮器30を停止させる。温度センサー(図示されず)が、例えば熱交換装置28中に配置されることができる。温度センサーは、第一閾値温度に到達した時を決定するために利用されることができる。温度センサーは、第二閾値温度などの他の閾値温度を決定するために利用されることができる。第二閾値温度は、乳冷却装置2が乳を冷却しておらず、搾乳システム6からの乳の流れの開始のために待機している時に利用されることができる。温度センサーはまた、冷媒回路20自体を制御するための予め規定された温度範囲を決定するためにも利用されることができる。
【0037】
冷媒回路20の予め規定された温度範囲は、乳冷却装置の制御器22によって自動的に維持されることができる。冷媒回路20の少なくとも一部又は冷却液回路18の少なくとも一部において冷却液の温度が前記温度範囲を超えるとすぐに、圧縮器30は、冷媒が冷媒回路20中を循環するように作動する。好適には、冷媒回路20は、搾乳システム6からの最高の予測される乳の流れにとって十分な冷却/冷媒能力を有する。冷媒回路20の冷却能力は、冷却液回路18中の冷却液を介して乳を冷却するために利用される。もし冷媒回路20が作動していないなら、乳の流れは冷却されることができない。対照的に、他のタイプの従来技術の乳冷却装置は、多数の動物の搾乳を含む搾乳セッションの開始の前に調製された氷の大きな一塊を利用する。氷は、全ての動物の搾乳が完了した後でかつ続く搾乳セッションの前にのみ再び調製される。
【0038】
図1a及び1bは、乳冷却装置2の代替的な実施形態を示す。図1a及び1bの実施形態は、多くの点で図1の実施形態と似ている。図1a及び1bの実施形態において、異なるのは、主に熱交換装置28である。以下、これらの相違が論じられるだろう。
【0039】
図1aの実施形態において、熱交換装置28は、冷却液のための緩衝タンク31を含む。冷媒回路20の蒸発器33は、緩衝タンク31中に配置されている。冷媒が冷媒回路20中を循環するにつれて、緩衝タンク31中の冷却液は、冷却される。冷却液は、冷却液回路18中を、緩衝タンク31から第一熱交換器24へ、そして再び緩衝タンク31へと冷却液ポンプ26によって循環させられる。好適には、緩衝タンク31は、断熱されている。攪拌器(図示されず)が、緩衝タンク31中の熱の層別を防止するために緩衝タンク31中に配置されることができる。緩衝タンク31は、上述の量の冷却液を保持するために配置されることができる。
【0040】
図1bの実施形態において、熱交換装置28は、冷却液のための緩衝タンク31を再び含む。再び冷却液は、冷却液回路18中を、緩衝タンク31から第一熱交換器24へ、そして再び緩衝タンク31へと冷却液ポンプ26によって循環させられる。第二熱交換器29が、冷却液と冷媒の間の熱交換のために配置されている。従って、第二熱交換器29は、冷媒回路20の蒸発器を形成する。冷却液回路18は、冷却液を緩衝タンク31から第二熱交換器29へ、そして再び緩衝タンク31へと循環させるためのさらなる冷却液ポンプ35を含む。好適には、緩衝タンク31は、断熱されている。撹拌器(図示されず)が、緩衝タンク31中の熱の層別を防止するために緩衝タンク31中に配置されることができる。緩衝タンク31は、上述の量の冷却液を保持するために配置されることができる。
【0041】
図2は、搾乳装置において乳を冷却するための方法50の実施形態を示す。搾乳装置は、図1a-1bに関連して上述された搾乳装置4であることができる。以下、図1-2が参照される。従って、方法50は、少なくとも一頭の動物から乳を抽出するための搾乳システム6と、乳を冷却するための乳冷却装置2と、乳貯蔵タンク8とを含む搾乳装置4中で実行される。乳冷却装置2は、搾乳システム6と乳貯蔵タンク8の間の乳の流れの経路中に配置されており、乳冷却装置2は、冷却液回路18と、冷媒回路20とを含み、冷却液回路18は、乳と冷却液との間の熱交換のために構成されており、冷媒回路20は、冷媒と冷却液との間の熱交換のために構成されている。
【0042】
方法は、以下の工程を含む:
- 冷媒回路20の少なくとも一部において、及び/又は冷却液回路18の少なくとも一部において、予め規定された温度範囲を維持するように冷媒回路20を制御する工程52。冷媒回路20の少なくとも一部は、熱交換装置28中にあることができる。冷却液回路18の少なくとも一部は、熱交換装置28中にあることができる。従って、冷媒回路20の自動制御が達成されることができる。
- 搾乳システム6から乳貯蔵タンク8へと向かう乳の流れの開始又は増大に関連する第一信号を受信する工程54。従って、冷却を必要とする乳の流れが開始される又は増大されることが示される。乳の流れは、第一信号の受信後、直ちに開始又は増大されることができる。代替的に、乳の流れは、第一信号の受信後、ある時間期間内に開始又は増大されることができる。
- 第一信号に応答して、冷却液回路18中の冷却液の循環を開始又は増大する工程56。これは、冷却液ポンプ26を制御することによって、そして所望によりさらなる冷却液ポンプ35を含む実施形態では、さらなる冷却液ポンプ35を制御することによって達成されることができる。かかる制御は、一定速度で回転する冷却液ポンプ(単数又は複数)を単純にスイッチオン又はスイッチオフすることを必要とすることができる。代替的に、冷却液ポンプ(単数又は複数)は、少なくとも第一熱交換器24を通して可変流量の冷却液を与えるように速度制御されることができる。後者の場合、例えば、乳貯蔵タンク8への乳の流れがない時間期間中に、低い流量が使用されることができる。この低い流量は、乳貯蔵タンク8への乳の流れがある時間期間中に一つ以上のより高い流量へと増大されることができる。
- 乳冷却装置2を通して乳の流れを導く工程58。これは、搾乳システム6から乳貯蔵タンク8への乳の流れの経路に従う乳の流れによって達成されることができる。例えば、搾乳システム6からの乳は、搾乳システム6から、乳の流れの経路を形成する導管16を通して、乳貯蔵タンク8へと乳ポンプ15によってポンピングされることができる。
【0043】
実施形態によれば、方法50は、以下の工程を含むことができる:
- 搾乳システム6からの乳の流れを停止又は減少させる工程60。乳の流れを停止させることは、例えば、搾乳システム中の乳が全て搾乳システムからポンピングされたときに実行されることができる。代替的に、乳の流れは、予め規定された量の乳が搾乳システム中に残っている場合にのみ停止されることができる。
- 冷却液回路18中の冷却液の循環を停止又は減少させる工程62。例えば、冷却液ポンプ26は、停止されることができる。代替的に、冷却液の循環は、低い流量へと減少される。従って、冷媒回路20も、冷媒回路20の少なくとも一部又は冷却液回路18の少なくとも一部が予め規定された温度範囲内の温度を有するとすぐに、冷却液回路18中の冷却液の冷却を停止するだろう。従って、エネルギーは、乳貯蔵タンク8への乳の流れがない時間期間中に節約されるだろう。
【0044】
実施形態によれば、乳冷却装置2を通して乳の流れを導く工程58の後に、冷却液回路18中の冷却液の流量を制御する工程59を含むことができる。これは、少なくとも第一熱交換器24を介して可変流量の冷却液を与えるように速度制御された冷却液ポンプ(単数又は複数)26,35によって達成されることができる。乳冷却装置の制御器22は、冷却液ポンプ(単数又は複数)26,35を制御することができる。冷却液の流量は、例えば第一熱交換器24を通る乳の流量に基づいて制御されることができる。乳ポンプ15は、様々な乳の流量を与えることができる。
【0045】
実施形態によれば、冷却液回路18中の冷却液の循環を停止又は減少させる工程62は、冷却液の温度が第一閾値温度に到達するか又は第一閾値温度より下がったときに実行されることができる。この態様において、冷却液回路18中の冷却液の循環は、搾乳システム6からの乳の流れが停止した後、第一閾値温度が達成されるまで継続される。従って、冷却液回路18中の全ての冷却液が、搾乳システム6からの乳の流れの冷却を完了した後に、第一閾値温度又はそれ以下の温度にあることが保証されることができる。第一閾値温度は、例えば、搾乳システム6からの乳の流れを冷却するのに十分な温度であることができる。従って、一旦第一信号が再び受信されると、乳冷却装置2は、搾乳システム6からの続く乳の流れを冷却するように準備されることができる。
【0046】
実施形態によれば、第一信号が存在しない時間期間中に、冷却液回路18中に冷却液を間欠的に循環させる工程64は、冷却液が第二閾値温度に到達するか又は第二閾値温度より下がるまで実行されることができる。この態様において、一旦第一信号が受信されたら、冷却液は、好適な温度を有することが保証されることができる。
【0047】
実施形態によれば、第二閾値温度は、第一閾値温度と同じであることができる。この態様において、乳冷却装置2は、一旦第一信号が受信されたら、搾乳システム6からの乳の流れを冷却する準備がされていることができる。代替的に、第二閾値温度は、第一閾値温度よりも高いか又は低い温度であることができる。高い温度は、第一信号が受信された後、乳の流れが乳冷却装置2に到達するとすぐに搾乳システム6からの乳の流れを冷却するために十分な温度に冷却液が到達するように選択されることができる。低い温度は、冷却液の温度が第一閾値温度にまで上昇するためにある程度の時間期間がかかるように選択されることができる。
【0048】
実施形態によれば、冷却液を間欠的に循環させる工程64は、規則正しい時間間隔で冷却液の循環を開始させる工程66を含むことができる。この態様において、冷却液の温度は、特定の温度範囲内に維持されることができる。従って、冷却液は、第一信号が受信されるときに好適な温度に維持されることができる。時間期間の長さは、局所的条件(例えば、周囲温度)に依存して選択されることができる。
【0049】
実施形態によれば、冷却液を間欠的に循環させる工程64は、冷却液の温度が第三閾値温度に到達したときに冷却液の循環を開始させる工程68を含むことができる。この態様において、冷却液の温度は、冷却液回路18において、特定の温度範囲内に維持されることができる。従って、冷却液は、第一信号が受信されるときに好適な温度に維持されることができる。第三閾値温度は、第二閾値温度より高くあることができ、第二閾値温度と第三閾値温度との間に好適な温度範囲が存在するように選択されることができる。
【0050】
以下、第一信号をトリガーする非限定的な例が列挙される。
- ある実施形態によれば、第一信号は、搾乳システム6から乳貯蔵タンク8へと向かう乳のポンピングの開始又は増大と相関することができる。第一信号は、搾乳システム6の乳ポンプ15が作動を開始されたとき、又は乳ポンプ15が開始される前もしくは開始された後の予め規定された時間期間に与えられることができる。
- ある実施形態によれば、第一信号は、搾乳システム6からの乳の流れの開始又は増大までの時間期間に関連することができる。搾乳システム6からの乳の流れに先行する、搾乳システム6における多数の事象がある。これらの事象は、乳の流れの開始の予め規定された時間期間内に生じる。時間期間は、正確な時間期間である必要はなく、大まかな時間期間であることができる。一例を挙げると、かかる事象は、一頭以上の動物が搾乳所へ入るか又は搾乳所から出ること、搾乳所のゲートが開いたり閉じたりすること、飼料が搾乳所中の動物に分布されること、乳頭カップが動物の乳頭に取り付けられることなどである。
- ある実施形態によれば、第一信号は、自動搾乳システムAMSに近づくか又は入る動物に関連することができる。動物がAMSに近づいたか又は入ったことの決定は、例えばカメラによって、又はゲートの開閉を検出することによって、又は飼料が動物に分布されたことを決定することによって実行されることができる。これらは、一例にすぎない。
- ある実施形態によれば、搾乳システム6は、乳が乳貯蔵タンク8へと導かれる前の乳の中間貯蔵のためのバランスタンク17を含み、第一信号は、バランスタンク17の充填度合いに関連することができる。バランスタンクの特定の充填度合い(即ち、タンク中に貯蔵されている乳の体積)は、搾乳システム6からの乳のポンピングの開始をトリガーすることができる。バランスタンクは、図1に符号17で示されるような容器であることができる。これらの実施形態によれば、冷却液回路18中の冷却液の循環は、バランスタンクの充填度合いの増大が冷却液回路18中の冷却液の循環を増大させるように、バランスタンク17の充填度合いに基づいて制御されることができる。これは、段階なしに(即ち、連続的に)、又は段階的に(例えば、充填度合いの予め規定された閾値レベルで、冷却装置の能力が冷却液回路18中の冷却液の循環を増大させることによって増大されることによって)実行されることができる。同様に、バランスタンクの減少する充填度合いにおいて、冷却液回路18中の冷却液の循環は、段階なしに又は段階的に減少されることができる。
一つの同じ搾乳装置において、第一信号は、一つの事象だけによってトリガーされることができるとは限らず、様々な事象によってトリガーされることもできる。これは、搾乳システムの現在の作動条件に依存するだろう。
【0051】
方法は、乳冷却装置2の下流の乳の温度を感知する工程、及び乳冷却装置2の下流の乳の感知された温度に応答して、搾乳システム6から乳貯蔵タンク8へと向かう乳の流れの速度を制御する工程をさらに含むことができる。バランスタンク17を含む実施形態によれば、冷却液回路18中の冷却液の循環の制御は、段階的になされ、乳の流れの速度は、乳が予め規定された温度範囲にあるように制御されることができる。
【0052】
例示的な実施例として、乳の流れの開始又は増大に関連する第一信号は、第一レベルでのバランスタンクの充填に関連されることができる。第一レベルより下の充填レベルでは、乳の流れはなく、冷却液回路18中の冷却液の循環は、まだ開始されていない。バランスタンクの充填レベルが第一レベルを超えると、第一信号が発生されて、冷却液回路18中の冷却液は、第一信号に応答して開始される。冷却液回路18中の冷却液の循環は、予め規定されたレベルに維持されることができる。乳の温度は、乳冷却装置の下流で測定される。バランスタンクの充填レベルが(第一レベルより高い)第二レベルに到達するまで、搾乳システム6から乳貯蔵タンク8へと向かう乳の流れの速度は、乳の温度が予め規定された範囲(例えば、2℃~5℃)にあるように調整されるか、又は乳の温度が設定された温度(例えば、2℃又は4℃)に向かうように調整される。乳の流れの速度の調整は、乳ポンプ15の速度を制御することによって実行される。バランスタンクの充填レベルが第二レベルに到達すると、冷却液回路18中の冷却液の循環は、第二の予め規定されたレベルにまで増大され、再び、搾乳システム6から乳貯蔵タンク8へと向かう乳の流れの速度は、乳の温度が予め規定された範囲(例えば、2℃~5℃)にあるように調整されるか、又は乳の温度が設定された温度(例えば、2℃又は4℃)に向かうように調整される。
【0053】
代替的に、乳の流れの速度、及び冷却液回路18中の冷却液の循環の速度は、乳冷却装置の下流で測定された乳の温度が予め規定された範囲(例えば、2℃~5℃)にあるように調整されるか、又は乳の温度が設定された温度(例えば、2℃又は4℃)に向かうように調整される。
【0054】
上述したことは、様々な例示的な実施形態の一例であること、及び本発明は、添付の特許請求の範囲のみによって規定されることは理解されるべきである。当業者は、例示的な実施形態は、改変されることができること、及び例示的な実施形態の異なる特徴は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲から離れることなしに、本明細書に記載された実施形態以外の実施形態を作り出すために組み合わせられることができることを理解するだろう。
図1
図1a-1b】
図2