(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】ベンゾジアゼピン誘導体の製造プロセス
(51)【国際特許分類】
C07D 413/14 20060101AFI20220520BHJP
【FI】
C07D413/14
(21)【出願番号】P 2019543850
(86)(22)【出願日】2018-02-16
(86)【国際出願番号】 US2018018511
(87)【国際公開番号】W WO2018152413
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2020-11-19
(32)【優先日】2017-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503323970
【氏名又は名称】エナンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、イン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ユウ、ジエンミン
(72)【発明者】
【氏名】ブレイスデル、トーマス、ピー.
(72)【発明者】
【氏名】パナレーゼ、ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ショック、ブライアン、シー.
(72)【発明者】
【氏名】オル、ヤット、スン
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/015449(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】
(式中、
環Aは任意に置換されるアリール又は任意に置換されるヘテロアリールであり;
各nは独立して1及び2から選択され;
mは0、1、2、3、又は4であり;
R
1は、
1)任意に置換される-C
1-C
8アルキル;
2)任意に置換される-C
3-C
8シクロアルキル;
3)任意に置換される3~12員複素環
からなる群から選択され;
又は、2つの隣接するR
1基が、それらが結合している炭素原子と一緒になって縮合環を形成して; 2つのジェミナルR
1基が、それらが結合している炭素原子と一緒になってスピロ環を形成して; 若しくは隣接していない炭素原子の2つのR
1基が一緒になって
架橋基を形成する)
を製造する方法であって、
(a)式(VII)の化合物
【化2】
(式中、R
7は、水素、C
1-C
8アルキル、C
2-C
8アルケニル、C
2-C
8アルキニル、C
3-C
8シクロアルキル、C
3-C
8シクロアルケニル、3~8員複素環、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され;Xは脱離基である)
を、式(VII-X)の化合物
【化3】
(式中、PGは水素又はアミン保護基である)
と反応させ、式(VIII)の化合物
【化4】
を生成する工程と;
(b)式(VIII)の化合物を、式(IX)の化合物
【化5】
と反応させ、式(X)の化合物
【化6】
を生成する工程と、
(c)式(X)の化合物を、式(III)の化合物
【化7】
(式中、R
5は
1-イミダゾリル又はニトロフェニルである)
と反応させ、式(V)の化合物
【化8】
を生成する工程と;
(d)式(V)の化合物を環化試薬と反応させて式(I)の化合物を形成する工程と
を含む方法。
【請求項2】
10℃~
70℃の温度でプロトン性溶媒で工程(a)が実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R
7が水素であり、工程(a)がアミドカップリング剤の存在下で実施される、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記アミドカップリング剤がHATU又はEDUである、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
酢酸イソプロピル、酢酸エチル、ジクロロメタン、アセトン、THF、NMP、2-メチルテトラヒドロフラン、及びアセトニトリルからなる群から選択される溶媒で工程(a)が実施される、請求項
3又は4に記載の方法。
【請求項6】
R
7がC
1-C
8アルキルであり、工程(a)がプロトン性溶媒の存在下で実施される、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記プロトン性溶媒がメタノール、エタノール、又はイソプロピルアルコールである、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)が
10℃~
70℃の温度で
3~12時間実施される、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
(i)無希釈で、又は(ii)非プロトン性溶媒で、
10℃~
100℃の温度で、工程(b)が実施される、請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
化合物(IV)
【化10】
を
1,1’-カルボニルジイミダゾール又はクロロギ酸ニトロフェニルと反応させて、式(III)の化合物を生成する工程をさらに含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
アセトニトリル、THF、DMSO、及びジクロロメタンからなる群から選択される溶媒で、式IVの化合物が
1,1’-カルボニルジイミダゾール又はクロロギ酸ニトロフェニルと反応する、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
アセトニトリル、THF、DMSO、DMF、スルホラン、又は1-メチル-2-ピロリドンにおいて工程(c)が実施される、請求項1~
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程(c)が
10~50℃の温度で6~48時間実施される、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
工程(d)の前記環化剤が塩化パラトルエンスルホニルである、請求項1~
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
式Iの化合物が化合物I-a
【化11】
である、請求項1~
14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2017年2月16日に出願された米国仮出願第62/459,955号及び2017年2月16日に出願された米国仮出願第62/459,953号の利益を主張している。上記の出願の全教示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、生物活性分子の製造、特に呼吸器合胞体ウイルス(RSV)阻害剤の合成に有用なプロセス及び中間体に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒト呼吸器合胞体ウイルス(HRSV)は、ネガティブセンスの1本鎖RNAパラミクソウイルスである(KM.Empey, et al., Rev.Anti-Infective Agents, 2010, 50(1 May), 1258-1267)。RSVは急性下気道感染症(ALRI)の主な原因であり、あらゆる年齢の患者が罹患している。成人の症状は通常重度ではなく、通常は軽度の風邪に似ている。しかし、乳児や幼児では、ウイルスは細気管支炎や肺炎などの下気道感染を引き起こす可能性があり、その多くは入院を必要とする。ほぼすべての児が3歳までに感染している。RSVの感染がALRIに進行する可能性が高いという既知の高リスクの集団がある。未熟児、及び/又は肺疾患又は心疾患に罹患している幼児は、ALRIを発症するリスクが最も高くなる。さらなる高リスクの集団には、高齢者、慢性心疾患及び/又は肺疾患のある成人、幹細胞移植患者、免疫抑制者が含まれる。
【0004】
現在、HRSVの感染を防ぐのに利用できるワクチンはない。パリビズマブは、高リスクの乳児、例えば、未熟児、及び心疾患及び/又は肺疾患を患う幼児のHRSVの感染を防ぐために予防として使用されるモノクローナル抗体である。パリビズマブの治療は費用が高いため、一般目的での使用には限界がある。リバビリンはHRSVの感染の治療にも使用されているが、その有効性は限られている。一般にあらゆる集団のタイプ及び年齢で使用できる、新規の効果的なHRSV治療に対する多大な医学的な必要性がある。
【0005】
以下の刊行物、WO2010/103306、WO2012/068622、WO2013/096681、WO2014/060411、WO2013/186995、WO2013/186334、WO2013/186332、WO2012/080451、WO2012/080450、WO2012/080449、WO2012/080447、WO2012/080446、及びJ.Med.Chem.2015,58,1630-1643に開示されているいくつかのRSV融合阻害剤があった。HRSVの治療のための他のNタンパク質阻害剤の例は、以下の刊行物WO2004/026843、J.Med.Chem.2006, 49, 2311-2319、及びJ.Med.Chem.2007, 50, 1685-1692に開示されている。HRSVのLタンパク質阻害剤の例は、次の出版物WO2011/005842、WO2005/042530、Antiviral Res.2005, 65, 125-131、及びBioorg.Med.Chem.Lett.2013, 23, 6789-6793に開示されている。ヌクレオシド/ポリメラーゼ阻害剤の例は、以下の刊行物、WO2013/242525及びJ.Med.Chem.2015, 58, 1862-1878に開示されている。
【0006】
HRSVの効果的な治療法の開発が必要である。本発明は、アミノヘテロアリール置換ベンゾジアゼピンであり、HRSVを阻害する化合物を同定した。本発明は、化合物を製造する方法、並びに疾患を治療するためにこれらの化合物を使用する方法を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、式(I)の化合物
【化1】
(式中、環Aは任意に置換されるアリール又は任意に置換されるヘテロアリール、好ましくは環Aは任意に置換されるピリジルであり;各nは独立して1及び2から選択され、好ましくは各nは1であり;mは0、1、2、3、又は4であり;好ましくはmは0であり;
R
1は、
1)任意に置換される-C
1-C
8アルキル;
2)任意に置換される-C
3-C
8シクロアルキル;及び
3)任意に置換される3~12員複素環
からなる群から選択され;
又は、2つの隣接するR
1基は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、縮合環を形成し;2つのジェミナルR
1基は、それらが結合している炭素原子と一緒になってスピロ環を形成し;若しくは隣接していない炭素原子の2つのR
1基が一緒になって、-CH
2-若しくはCH
2CH
2-などの架橋基を形成する)
又はその薬学的に許容される塩を製造する方法を提供する。
【0008】
好ましくは、mが0でない場合、各R1はメチルである。
【0009】
式(I)の好ましい化合物は、化合物(I-a)
【化2】
である。
【0010】
本発明はさらに、化合物(I-a)などの式(I)の化合物の中間及び大規模な生産のための生成物の収率を増加させ、方法の工程を減少させる方法に関する。これらの化合物は、RSV阻害剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
その主要な実施形態において、本発明は、式(I)の化合物
【化3】
(式中、環A、R
1、m、及びnは先行して定義されている)
又はその薬学的に許容される塩を製造する方法を提供する。特定の実施形態では、
【化4】
は、以下
【化5】
に示す群から選択される。
【0012】
当該方法は、
1)式(VII)の化合物
【化6】
(式中、R
7は、水素、C
1-C
8アルキル、C
2-C
8アルケニル、C
2-C
8アルキニル、C
3-C
8シクロアルキル、C
3-C
8シクロアルケニル、3~8員複素環、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され;Xは脱離基であり、ハロゲン又はO-トリフラートなどであるがこれらに限定されない)
を、式(VII-X)の化合物
【化7】
(式中、PGは水素又はアミン保護基である、例えばcbz、Boc、メトキシカルボニル、又は9-フルオレニルメトキシカルボニルがあるが、これらに限定されない)
と反応させ、式(VIII)の化合物
【化8】
を生成する工程と、
2)式(VIII)の化合物を式(IX)の化合物
【化9】
(式中、R
1、m、及びnは先行して定義されている)
と反応させ、式(X)の化合物
【化10】
を生成する工程と、
3)式(X)の化合物を式(III)の化合物
【化11】
(式中、R
5は、-O(CO)O-R
6、任意に置換されるアリール、及び任意に置換されるヘテロアリールからなる群から選択され;R
6は、任意に置換されるC
1-C
8アルキル、任意に置換されるC
2-C
8アルケニル、任意に置換されるC
2-C
8アルキニル、任意に置換されるC
3-C
8シクロアルキル、任意に置換されるC
3-C
8シクロアルケニル、任意に置換される3~8員複素環、任意に置換されるアリール、及び任意に置換されるヘテロアリールからなる群から選択される)
と反応させ、式(V)の化合物
【化12】
を形成する工程と;
4)式(V)の化合物を環化試薬と反応させて式(I)の化合物を形成する工程と
を含む。
【0013】
式(VIII)の化合物の好ましい実施形態は、式(VIII-a)、式(VIII-b)、又は式(VIII-c)の化合物
【化13】
(式中、R
4はハロゲン、メチル、CF
3、及びCNから選択される)
である。式(VIII)の化合物のより好ましい実施形態は、式(VIII-d)の化合物
【化14】
である。
【0014】
式(X)の化合物の好ましい実施形態は、式(X-a)、式(X-b)、又は式(X-c)の化合物である:
【化15】
【0015】
式(X)の化合物のより好ましい実施形態は、式(X-d)の化合物である:
【化16】
【0016】
好ましい実施形態では、式(III)の化合物は化合物(III-a)である:
【化17】
【0017】
式(V)の化合物の好ましい実施形態は、化合物(V-a)である。
【化18】
【0018】
式(III)の化合物は、化合物(IV)
【化19】
を式Y-C(O)R
5の活性化剤と反応させることにより形成することができ、式中Yは、ハロゲン化物又は1-イミダゾリルなどの脱離基である。
【0019】
化合物(IV)は、例えば、化合物(IV)とその鏡像異性体のラセミ混合物の分割により製造することができる。
【0020】
一実施形態において、本発明は、非晶質固体の形態の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩をもたらす。この実施形態では、式Iの化合物は好ましくは化合物(I-a)又はその薬学的に許容される塩であり、より好ましくは式(I)の化合物は化合物(I-a)の遊離塩基である。
【0021】
別の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩の非晶質固体形態と、活性を高める薬学的に許容される親水性ポリマーとを含む組成物を提供する。
【0022】
本発明のこの態様の一実施形態では、親水性ポリマーは、N-ビニルラクタムのホモポリマー、N-ビニルラクタムのコポリマー、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、オリゴ糖、及び多糖から選択される。適切な親水性ポリマーの非限定的な例には、N-ビニルピロリドンのホモポリマー、N-ビニルピロリドンのコポリマー、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、N-ビニルピロリドンとプロピオン酸ビニルのコポリマー、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸セルロース、コハク酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、メタクリル酸/アクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸/メチルメタクリラート共重合体、ブチルメタクリラート/2-ジメチルアミノエチルメタクリラート共重合体、ポリ(ヒドロキシアルキルアクリラート)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリラート)、酢酸ビニルとクロトン酸の共重合体、部分加水分解ポリ酢酸ビニル、ラゲナン、ガラクトマンナン、又はキサンタンガムが含まれる。
【0023】
本発明のこの態様のさらに別の実施形態では、親水性ポリマーは、N-ビニルピロリドンのホモポリマー又はコポリマーである。好ましくは、親水性ポリマーはコポビドン(copovidone)である。
【0024】
式(I)の化合物、又は非晶質固体形態の薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される親水性ポリマーを含む組成物は、限定するものではないが、溶融押出、噴霧乾燥、共沈、凍結乾燥、又は他の溶媒蒸発技術などの様々な技術によって製造することができ、溶融押出及び噴霧乾燥が好ましい。溶融押出法は、典型的には、活性成分、親水性ポリマー、及び好ましくは界面活性剤を含む溶融物を製造し、次いで溶融物が固化するまで冷却する工程を含む。「融解」とは、液体又はゴム状の状態への移行を意味し、1つの成分が他の成分に埋め込まれる、好ましくは均一に埋め込まれることが可能である。多くの場合、ポリマー成分は融解し、活性成分を含む他の成分は融解物に溶解し、それにより溶液を形成する。溶融には通常、ポリマーの軟化点以上の加熱が含まれる。溶融物の製造は、様々な方法で行うことができる。成分の混合は、溶融物の形成前、形成中、又は形成後に行うことができる。例えば、成分を最初に混合してから溶かすか、同時に混合して溶かすことができる。溶融物は、有効成分を効率的に分散させるために均質化することもできる。さらに、最初にポリマーを溶かし、次に有効成分を混ぜて均質化すると便利であることがある。一例では、界面活性剤を除くすべての材料がブレンドされて押出機に供給され、一方で界面活性剤は外部で溶融され、押出中にポンプで送り込まれる。
【0025】
合成スキーム
本発明は、スキーム1~2に関連してよりよく理解され、式中、環A、R1、PG、X、m、n、及びR5は、特に明記しない限り先に定義された通りである。
【0026】
当業者に容易に明らかなように、本発明の方法は適当な反応物を代用することによって実施することができ、工程自体の順序は変えることができる。
【0027】
式(X)の化合物であるヒドラジドの化学合成経路をスキーム1に要約する。
【化20】
R
7は、水素、C
1-C
8アルキル、C
2-C
8アルケニル、C
2-C
8アルキニル、C
3-C
8シクロアルキル、C
3-C
8シクロアルケニル、3~8員複素環、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択される。好ましくは、式(VII)の化合物は3-ハロ-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジンカルボン酸又はアルキル3-ハロ-5-(トリフルオロメチル)ピコリネートであり、より好ましくはエチル3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)-ピコリネートであり、それは市販されている。式(VII-X)の好ましい化合物には、ヒドラジン一水和物、Boc-ヒドラジン又はCbz-ヒドラジンが含まれる。
【0028】
一実施形態において、R7はC1-C8アルキル、好ましくはメチル又はエチルである。この実施形態では、式(VII)の化合物とヒドラジン一水和物の反応は、典型的には、メタノール、エタノール、又はイソプロピルアルコール、又はそれらの2つ以上の混合物などを非限定的に含むプロトン性溶媒において通常起こる。反応温度は典型的には約10℃~約70℃であり、反応時間は典型的には約3~12時間である。
【0029】
別の実施形態では、R7は水素であり、式(VII)の化合物は、1,1’-カルボニルジイミダゾール、ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)-ホスフィン酸塩化物、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物、3-ヒドロキシ-1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オン、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩、4-ニトロフェノール、ペンタフルオロフェノール、2-ヒドロキシピリジン、N-ヒドロキシスクシンイミド、N-ヒドロキシフタルアミド、2-メルカプトベンゾオキサゾール、塩化トリメチルアセチル、イソブチルクロロホルマート(isobutylchloroformate)、クロロジメトキシトリアゾール、塩化オキサリル、2-ヒドロキシピリジン-N-オキシド、5-ニトロ-2-ヒドロキシピリジン、Boc-L-バリン無水物、又はそれらの混合物などのアミドカップリング剤の存在下で、式(VII-X)の化合物とカップリングすることにより、式(VIII)の化合物に変換される。この反応に適した溶媒の例には、これらに限定されないが、酢酸イソプロピル、酢酸エチル、ジクロロメタン、アセトン、THF、NMP、2-メチルテトラヒドロフラン、及びアセトニトリルが含まれる。特定の反応条件は、カップリング試薬の性質に応じて異なり、当業者には既知である。
【0030】
式(VIII)の化合物は、式(IX)の化合物でアミノ化することにより、式(X)の化合物に変換することができる。式(IX)の化合物は、モルホリン、2-メチルモルホリン及びその立体異性体、3-メチルモルホリン及びその立体異性体、3,5-ジメチルモルフィン及びその立体異性体、2,6-ジメチルモルフィン及びその立体異性体、3-オキサ-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、8-オキサ-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタンであり得るが、これらに限定されない。反応は典型的には、無希釈で、又はトルエン、THF又はジクロロメタンなどの非プロトン性溶媒中で起こるが、これらに限定されない。反応温度は通常約10℃~約100℃であり、反応時間は通常3~12時間である。
【0031】
PGが水素ではない一実施形態では、式(X)の化合物は、PGを除去することにより脱保護される。適切な脱保護条件は、PGのアイデンティティに依存し、例えばT.H.Greene and P.G.M.Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons, New York (1999)に全般的に記載されているように、当業者に知られている。
【0032】
スキーム2は、式(I)の化合物の合成を示している。
【化21】
化合物(XI)は、市販されているか、当業者に知られている方法により合成することができる。ラセミ化合物(XI)のキラル分離は、キラル酸による処理、結晶化又はクロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動(CE)、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)、キャピラリーエレクトロクロマトグラフィー(CEC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるジアステレオマー塩の分離、及びキラル塩での結晶化、次にジアステレオマー類似体の後続的な分離をして、キラル化合物(IV)、S-異性体をもたらす、などの非限定的な方法を使用して、実行できる。一実施形態では、化合物(IV)は、米国仮出願第62/585,192号に開示されている方法を使用して、ラセミ化合物(XI)から生成される。
【0033】
一実施形態では、SFCを使用してキラル化合物(IV)を取得し、移動相は、二酸化炭素(CO2)、又は二酸化炭素と、非限定的に、メタノール、エタノール、2-プロパノールなどの極性有機共溶媒との混合物であり;温度の範囲は5から40~50℃に制限され、好ましくは温度は室温(約25℃)である。SFCの手順及び条件は変動し、ラセミ化合物の性質に依存し、当業者には知られている。
【0034】
一態様では、SFC分離後に約90%を超える鏡像体過剰率の純度(ee)でキラル化合物(IV)が得られる。一態様では、SFC分離後に約95%を超える鏡像体過剰率の純度(ee)でキラル化合物(IV)が得られる。一態様では、SFC分離後に約98%を超える鏡像体過剰率の純度(ee)でキラル化合物(IV)が得られる。
【0035】
一実施形態において、キラル分離後、キラル化合物(IV)に加えて、別のエピマー、キラル化合物(IV-A)、R-異性体も得られる:
【化22】
【0036】
一実施形態において、キラル化合物(IV-A)は、ラセミ化合物(XI)を得るために塩基状態下でラセミ化される。ラセミ化は、非限定的にNaOMe又は
tBuOKなどの塩基の存在下で、非限定的にメタノール、エタノール、
tBuOH又はイソプロピルアルコールなどのプロトン性溶媒において行われる。反応温度は典型的には約10℃~約70℃であり、反応時間は典型的には約3~24時間である。
【化23】
【0037】
一実施形態において、キラル化合物(IV)は、1,1’-カルボニルジイミダゾール、クロロギ酸ニトロフェニル、トリホスゲン又はホスゲンなどがあるがこれらに限定されないアミン活性化剤との反応によって、式(III)の化合物に変換される。この方法は通常、アセトニトリル、THF、DMSO、又はジクロロメタンなどがあるが、これらに限定されないプロトン性又は非プロトン性溶媒で実施される。典型的な反応温度は約0℃~30℃であり、反応時間は通常約6~15時間である。一態様では、化合物(IV)とアミン活性化剤のモル比は約1対1である。一態様では、化合物(IV)とアミン活性化剤のモル比は約1対2である。一態様では、キラル化合物(IV)とアミン活性化剤のモル比は約1対3である。好ましくは、キラル化合物(IV)とアミン活性化剤のモル比は約1対3である。
【0038】
一実施形態では、PGは水素であり、式(III)の化合物と式(X)の化合物との反応は、これらに限定されないが、アセトニトリル、THF、DMSO、DMF、スルホラン又は1-メチル-2-ピロリドンなどのプロトン性溶媒にて実施される。典型的な反応温度は約10~50℃で、反応時間は通常6~48時間である。反応は、典型的には、約1M~3Mの式(III)の化合物の濃度で実施され、好ましくは式(III)の化合物の濃度は1.5Mである。式(III)の化合物と式(X)の化合物のモル比は1:1である。
【0039】
式(V)の化合物は、有機塩基の存在下で、これらに限定されないが、p-トルエンスルホニルクロリド、塩化チオニル、オキシ塩化リン又はHATUなどの環化剤との反応により、式(I)の化合物に環化することができる。適切な有機塩基としては、トリエチルアミン及びジイソプロピルエチルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。この方法は、これらに限定されないが、アセトニトリル、THF、DMF、DMSO、NMP、アセトン、ジクロロメタン、酢酸エチル又は酢酸イソプロピルなどの非プロトン性溶媒において実行される。反応温度は約0℃~約30℃であり、反応時間は通常3~15時間である。
【0040】
定義
以下に列挙されているのは、本発明を説明するために使用される様々な用語の定義である。これらの定義は、個別に、又はより大きな群の一部として、特定の場合において別段に特に制限されていない限り、本明細書及び請求項全体で使用されるときにその用語に適用される。
【0041】
本明細書で使用されるとき、「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、及びインデニルを含むがこれらに限定されない少なくとも1つの芳香環を含む、単環式又は多環式炭素環系を示す。多環式アリールは、少なくとも1つの芳香環を含む多環式環系である。多環式アリールは、縮合環、共有結合した環又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0042】
本明細書で使用されるとき、「ヘテロアリール」という用語は、S、O及びNから選択される1つ又は複数の環原子を有する単環式又は多環式芳香族ラジカルを示す。残りの環原子は炭素であり、環内に含まれるN又はSはいずれも任意に酸化されていてもよい。ヘテロアリールには、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノキサリニルが挙げられるが、これらに限定されない。多環式ヘテロアリールは、縮合環、共有結合した環又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0043】
本発明によれば、芳香族基は置換又は非置換であり得る。
【0044】
「二環式アリール」又は「二環式ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つの環が芳香族である2つの環からなる環系を示す。また、2つの環は融合又は共有結合している。
【0045】
本明細書で使用されるとき、「アルキル」という用語は、飽和の直鎖又は分岐鎖の炭化水素ラジカルを示す。「C1-C4アルキル」、「C1-C6アルキル」、「C1-C8アルキル」、「C1-C12アルキル」、「C2-C4アルキル」、又は「C3-C6アルキル」とは、それぞれ1~4、1~6、1~8、1~12、2~4、3~6の炭素原子を含むアルキル基を示す。C1-C8アルキルラジカルの例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、ヘプチル及びオクチルラジカルが含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書で使用されるとき、「アルケニル」という用語は、単一の水素原子の除去による少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の炭化水素ラジカルを示す。「C2-C8アルケニル」、「C2-C12アルケニル」、「C2-C4アルケニル」、「C3-C4アルケニル」、又は「C3-C6アルケニル」は、2~8、2~12、2~4、3~4又は3~6の炭素原子をそれぞれ含むアルケニル基を示す。アルケニル基には、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イル、ヘプテニル、オクテニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書で使用されるとき、「アルキニル」という用語は、単一の水素原子の除去による少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の炭化水素ラジカルを示す。「C2-C8アルキニル」、「C2-C12アルキニル」、「C2-C4アルキニル」、「C3-C4アルキニル」、又は「C3-C6アルキニル」は、2~8、2~12、2~4、3~4又は3~6の炭素原子をそれぞれ含むアルキニル基を示す。代表的なアルキニル基には、例えば、エチニル、1-プロピニル、1-ブチニル、ヘプチニル、オクチニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書で使用されるとき、「シクロアルキル」という用語は、単環式若しくは多環式飽和炭素環式環、又は二環式若しくは三環式基縮合、架橋若しくはスピロ系を指し、炭素原子は任意にオキソ置換又は任意に環外でオレフィン性二重結合で置換され得る。好ましいシクロアルキル基には、C3-C12シクロアルキル、C3-C6シクロアルキル、C3-C8シクロアルキル及びC4-C7シクロアルキルが含まれる。C3-C12シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロオクチル、4-メチレン-シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.1.0]ヘキシル、スピロ[2.5]オクチル、3-メチレンビシクロ[3.2.1]オクチル、スピロ[4.4]ノナニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
本明細書で使用されるとき、「シクロアルケニル」という用語は、単環式若しくは多環式炭素環式環、又は少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、二環式基若しくは三環式基縮合、架橋若しくはスピロ系を指し、炭素原子は任意にオキソ置換又は任意に環外でオレフィン性二重結合で置換され得る。好ましいシクロアルケニル基には、C3-C12シクロアルケニル、C3-C8シクロアルケニル又はC5-C7シクロアルケニル基が含まれる。C3-C12シクロアルケニルの例には、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エニル、ビシクロ[3.1.0]ヘキサ-2-エニル、スピロ[2.5]オクト-4-エニル、スピロ[4.4]ノン-1-エニル、ビシクロ[4.2.1]ノン-3-エン-9-イルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書で使用されるとき、「アリールアルキル」という用語は、アルキレン鎖がアリール基に結合している官能基、例えば、-CH2CH2-フェニルを意味する。「置換アリールアルキル」という用語は、アリール基が置換されているアリールアルキル官能基を意味する。同様に、「ヘテロアリールアルキル」という用語は、アルキレン鎖がヘテロアリール基に結合している官能基を意味する。「置換ヘテロアリールアルキル」という用語は、ヘテロアリール基が置換されているヘテロアリールアルキル官能基を意味する。
【0051】
本明細書で使用するとき、単独で又は他の用語と組み合わせて使用される「アルコキシ」という用語は、特に明記しない限り、アルキル基が酸素原子を介して指定の数の炭素原子分子の残りに結合しているものを意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、1-プロポキシ、2-プロポキシ(イソプロポキシ)及びより高次の同族体及び異性体が挙げられる。好ましいアルコキシは(C1-C3)アルコキシである。
【0052】
本明細書に記載される任意のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、複素環式及びシクロアルケニル部分がまた、脂肪族基又は脂環式基であり得ることが理解される。
【0053】
「脂肪族」基は、炭素原子、水素原子、ハロゲン原子、酸素、窒素又は他の原子の任意の組み合わせで構成される非芳香族部分であり、任意で1つ又は複数の不飽和単位、例えば二重結合及び/又は三重結合を含む。脂肪族基の例は、官能基、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、O、OH、NH、NH2、C(O)、S(O)2、C(O)O、C(O)NH、OC(O)O、OC(O)NH、OC(O)NH2、S(O)2NH、S(O)2NH2、NHC(O)NH2、NHC(O)C(O)NH、NHS(O)2NH、NHS(O)2NH2、C(O)NHS(O)2、C(O)NHS(O)2NH又はC(O)NHS(O)2NH2など、1つ以上の官能基を含む基、非芳香族炭化水素(任意に置換される)、及び非芳香族炭化水素の1つ以上の炭素(任意に置換される)が官能基で置換されている基がある。脂肪族基の炭素原子は、任意にオキソ置換され得る。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状、又はそれらの組み合わせであり得、好ましくは約1~約24個の炭素原子、より典型的には約1~約12個の炭素原子を含む。本明細書で使用されるとき、脂肪族炭化水素基に加えて、脂肪族基には、例えば、アルコキシアルキル、ポリアルキレングリコール、例えばポリアルコキシアルキル、ポリアミン、及びポリイミンなどが明示的に含まれる。脂肪族基は任意に置換されてもよい。
【0054】
「複素環式」又は「ヘテロシクロアルキル」という用語は互換的に使用でき、非芳香族環、又は二環式若しくは三環式基縮合、架橋又はスピロ系を指し、(i)各環系は、酸素、硫黄、及び窒素から独立して選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み、(ii)各環系は、飽和又は不飽和であり得、(iii)窒素及び硫黄ヘテロ原子は任意に酸化され得、(iv)窒素ヘテロ原子は任意に四級化され得、(v)上記の環のいずれかが芳香環に縮合していてもよく、また(vi)残りの環原子は、任意にオキソ置換又は任意に環外オレフィン二重結合で置換され得る炭素原子である。代表的なヘテロシクロアルキル基には、1,3-ジオキソラン、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル(pyridazinonyl)、2-アザビシクロ[2.2.1]-ヘプチル、8-アザビシクロ[3.2.1]オクチル、5-アザスピロ[2.5]オクチル、1-オキサ-7-アザスピロ[4.4]ノナニル、7-オキソオキセパン-4-イル、及びテトラヒドロフリルが挙げられるが、これらに限定されない。そのような複素環基はさらに置換されてもよい。ヘテロアリール又は複素環基は、C結合又はN結合(可能な場合)することができる。
【0055】
本明細書に記載の任意のアルキル、アルケニル、アルキニル、脂環式、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、脂肪族部分などはまた、2つ以上の基又は置換基を繋げる結合の際に使用される場合、二価又は多価基であり得、それは同じ又は異なる原子であってもよいことが理解される。当業者は、そのような基の原子価を、それが生じる状況から容易に判定することができる。
【0056】
「置換」という用語は、水素原子の1つ、2つ、又は3つ以上を、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、C1-C12-アルキル;C2-C12-アルケニル、C2-C12-アルキニル、-C3-C12-シクロアルキル、保護ヒドロキシ、-NO2、-N3、-CN、-NH2、保護アミノ、オキソ、チオキソ、-NH-C1-C12-アルキル、-NH-C2-C8-アルケニル、-NH-C2-C8-アルキニル、-NH-C3-C12-シクロアルキル、-NH-アリール、-NH-ヘテロアリール、-NH-ヘテロシクロアルキル、-ジアルキルアミノ、-ジアリールアミノ、-ジヘテロアリールアミノ、-O-C1-C12-アルキル、-O-C2-C8-アルケニル、-O-C2-C8-アルキニル、-O-C3-C12-シクロアルキル、-O-アリール、-O-ヘテロアリール、-O-ヘテロシクロアルキル、-C(O)-C1-C12-アルキル、-C(O)-C2-C8-アルケニル、-C(O)-C2-C8-アルキニル、-C(O)-C3-C12-シクロアルキル、-C(O)-アリール、-C(O)-ヘテロアリール、-C(O)-ヘテロシクロアルキル、-CONH2、-CONH-C1-C12-アルキル、-CONH-C2-C8-アルケニル、-CONH-C2-C8-アルキニル、-CONH-C3-C12-シクロアルキル、-CONH-アリール、-CONH-ヘテロアリール、-CONH-ヘテロシクロアルキル、-OCO2-C1-C12-アルキル、-OCO2-C2-C8-アルケニル、-OCO2-C2-C8-アルキニル、-OCO2-C3-C12-シクロアルキル、-OCO2-アリール、-OCO2-ヘテロアリール、-OCO2-ヘテロシクロアルキル、-CO2-C1-C12アルキル、-CO2-C2-C8アルケニル、-CO2-C2-C8アルキニル、CO2-C3-C12-シクロアルキル、-CO2-アリール、CO2-ヘテロアリール、CO2-ヘテロシクロアルキル、-OCONH2、-OCONH-C1-C12-アルキル、-OCONH-C2-C8-アルケニル、-OCONH-C2-C8-アルキニル、-OCONH-C3-C12-シクロアルキル、-OCONH-アリール、-OCONH-ヘテロアリール、-OCONH-ヘテロシクロ-アルキル、-NHC(O)H、-NHC(O)-C1-C12-アルキル、-NHC(O)-C2-C8-アルケニル、-NHC(O)-C2-C8-アルキニル、-NHC(O)-C3-C12-シクロアルキル、-NHC(O)-アリール、-NHC(O)-ヘテロアリール、-NHC(O)-ヘテロシクロ-アルキル、-NHCO2-C1-C12-アルキル、-NHCO2-C2-C8-アルケニル、-NHCO2-C2-C8-アルキニル、-NHCO2-C3-C12-シクロアルキル、-NHCO2-アリール、-NHCO2-ヘテロアリール、-NHCO2-ヘテロシクロアルキル、-NHC(O)NH2、-NHC(O)NH-C1-C12-アルキル、-NHC(O)NH-C2-C8-アルケニル、-NHC(O)NH-C2-C8-アルキニル、-NHC(O)NH-C3-C12-シクロアルキル、-NHC(O)NH-アリール、-NHC(O)NH-ヘテロアリール、-NHC(O)NH-ヘテロシクロアルキル、NHC(S)NH2、-NHC(S)NH-C1-C12-アルキル、-NHC(S)NH-C2-C8-アルケニル、-NHC(S)NH-C2-C8-アルキニル、-NHC(S)NH-C3-C12-シクロアルキル、-NHC(S)NH-アリール、-NHC(S)NH-ヘテロアリール、-NHC(S)NH-ヘテロシクロアルキル、-NHC(NH)NH2、-NHC(NH)NH-C1-C12-アルキル、-NHC(NH)NH-C2-C8-アルケニル、-NHC(NH)NH-C2-C8-アルキニル、-NHC(NH)NH-C3-C12-シクロアルキル、-NHC(NH)NH-アリール、-NHC(NH)NH-ヘテロアリール、-NHC(NH)NH-ヘテロシクロアルキル、-NHC(NH)-C1-C12-アルキル、-NHC(NH)-C2-C8-アルケニル、-NHC(NH)-C2-C8-アルキニル、-NHC(NH)-C3-C12-シクロアルキル、-NHC(NH)-アリール、-NHC(NH)-ヘテロアリール、-NHC(NH)-ヘテロシクロアルキル、-C(NH)NH-C1-C12-アルキル、-C(NH)NH-C2-C8-アルケニル、-C(NH)NH-C2-C8-アルキニル、-C(NH)NH-C3-C12-シクロアルキル、-C(NH)NH-アリール、-C(NH)NH-ヘテロアリール、-C(NH)NH-ヘテロシクロアルキル、-S(O)-C1-C12-アルキル、-S(O)-C2-C8-アルケニル、-S(O)-C2-C8-アルキニル、-S(O)-C3-C12-シクロアルキル、-S(O)-アリール、-S(O)-ヘテロアリール、-S(O)-ヘテロシクロアルキル、-SO2NH2、-SO2NH-C1-C12-アルキル、-SO2NH-C2-C8-アルケニル、-SO2NH-C2-C8-アルキニル、-SO2NH-C3-C12-シクロアルキル、-SO2NH-アリール、-SO2NH-ヘテロアリール、-SO2NH-ヘテロシクロアルキル、-NHSO2-C1-C12-アルキル、-NHSO2-C2-C8-アルケニル、-NHSO2-C2-C8-アルキニル、-NHSO2-C3-C12-シクロアルキル、-NHSO2-アリール、-NHSO2-ヘテロアリール、-NHSO2-ヘテロシクロアルキル、-CH2NH2、-CH2SO2CH3、-アリール、-アリールアルキル、-ヘテロアリール、-ヘテロアリールアルキル、-ヘテロシクロアルキル、-C3-C12-シクロアルキル、ポリアルコキシアルキル、ポリアルコキシ、-メトキシメトキシ、-メトキシエトキシ、-SH、-S-C1-C12-アルキル、-S-C2-C8-アルケニル、-S-C2-C8-アルキニル、-S-C3-C12-シクロアルキル、-S-アリール、-S-ヘテロアリール、-S-ヘテロシクロアルキル、又はメチルチオ-メチルを含むがこれらに限定されない置換基で独立に置き換えることによる置換を示す。アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキルなどはさらに置換され得ることが理解される。
【0057】
本明細書で使用されるとき、「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、単独又は別の置換基の一部として、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子を示す。
【0058】
本明細書で使用されるとき、「任意に置換された」という用語は、参照された基が置換又は非置換であってもよいことを意味する。一実施形態において、参照された基は、ゼロ個の置換基で任意に置換されている、すなわち、参照された基は非置換である。別の実施形態において、参照された基は、本明細書に記載の基から個別に及び独立して選択される1つ以上の追加の基で任意に置換される。
【0059】
「水素」という用語には、水素と重水素が含まれる。さらに、原子の列挙には、得られる化合物が薬学的に許容される限り、その原子の他の同位体が含まれる。
【0060】
本明細書で使用する「ヒドロキシ活性化基」という用語は、ヒドロキシル基を活性化することが当技術分野で知られている不安定な化学的部分を指し、それは置換又は脱離反応などの合成処置の間に離脱する。ヒドロキシル活性化基の例には、メシレート、トシレート、トリフレート、p-ニトロベンゾエート、ホスホネートなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
本明細書で使用されるとき、「活性化ヒドロキシル」という用語は、例えば、メシレート、トシレート、トリフレート、p-ニトロベンゾエート、ホスホネート基を含む、上で定義したヒドロキシル活性化基で活性化されるヒドロキシ基を示す。
【0062】
本明細書で使用されるとき、「ヒドロキシ保護基」という用語は、合成処置の間の望ましくない反応からヒドロキシル基を保護することが当技術分野で知られている不安定な化学的部分を示す。該合成処置の後、本明細書に記載のヒドロキシ保護基は選択的に除去することができる。当技術分野で知られているヒドロキシ保護基は、T.H.Greene and P.G.M.Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons, New York (1999)に全般的に記載されている。ヒドロキシル保護基の例には、ベンジルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシカルボニル、tert-ブトキシ-カルボニル、イソプロポキシカルボニル、ジフェニルメトキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、アセチル、ホルミル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、メトキシアセチル、フェノキシアセチル、ベンゾイル、メチル、t-ブチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-トリメチルシリルエチル、アリル、ベンジル、トリフェニル-メチル(トリチル)、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、2-(トリメチルシリル)-エトキシメチル、メタンスルホニル、トリメチルシリル、トリイソプロピルシリルなどが含まれる。
【0063】
本明細書で使用されるとき、「保護されたヒドロキシ」という用語は、例えばベンゾイル、アセチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、メトキシメチル基を含む、上で定義されたヒドロキシ保護基で保護されたヒドロキシ基を示す。
【0064】
本明細書で使用されるとき、「ヒドロキシプロドラッグ基」という用語は、ヒドロキシ基を覆う又はマスキングすることにより物理化学的、したがって親薬物の生物学的特性を一時的に変化させることが当技術分野で知られているプロモエティー(promoiety)基を示す。該合成処置の後、本明細書に記載のヒドロキシプロドラッグ基は、インビボでヒドロキシ基に戻ることができなければならない。当技術分野で公知のヒドロキシプロドラッグ基は、Kenneth B.Sloan, Prodrugs, Topical and Ocular Drug Delivery, (Drugs and the Pharmaceutical Sciences; Volume 53), Marcel Dekker, Inc., New York (1992)に全般的に記載されている。
【0065】
本明細書で使用されるとき、「アミノ保護基」という用語は、合成処置の間の望ましくない反応からアミノ基を保護することが当技術分野で知られている不安定な化学的部分を示す。該合成処置の後、本明細書に記載のアミノ保護基を選択的に除去することができる。当技術分野で知られているアミノ保護基は、T.H.Greene and P.G.M.Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons, New York (1999)に全般的に記載されている。アミノ保護基の例には、メトキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル、9-フルオレニル-メトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
本明細書で使用されるとき、「保護されたアミノ」という用語は、上記で定義されたアミノ保護基で保護されたアミノ基を示す。
【0067】
「脱離基」という用語は、求核置換反応などの置換反応において別の官能基又は原子によって置き換えられる可能性がある官能基又は原子を意味する。例として、代表的な脱離基には、クロロ、ブロモ及びヨード基、メシレート、トシレート、ブロシレート、ノシレートなどのスルホン酸エステル基;アセトキシ、トリフルオロアセトキシなどのアシルオキシ基が含まれる。
【0068】
本明細書で使用されるとき、「非プロトン性溶媒」という用語は、プロトン活性に対して比較的不活性である、すなわちプロトン供与体として作用しない溶媒を示す。例としては、炭化水素、例えばヘキサン及びトルエン、例えばハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルムなど、複素環式化合物、例えばテトラヒドロフラン、N-メチルピロリジノン、及びエーテル類、例えばジエチルエーテル、ビスメトキシメチルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。そのような化合物は当業者に周知であり、試薬の溶解度、試薬の反応性、及び好ましい温度の範囲などの要因に応じて、個々の溶媒又はそれらの混合物が特定の化合物及び反応条件に好ましい場合があることは、当業者には明らかであろう。非プロトン性溶媒の詳細な説明は、有機化学の教科書又は専門のモノグラフで見つけることができる。例えば、Organic Solvents Physical Properties and Methods of Purification, 4th ed., edited by John A. Riddick et al., Vol. II, in the Techniques of Chemistry Series, John Wiley & Sons, NY, 1986がある。
【0069】
本明細書で使用されるとき、「プロトン性溶媒」という用語は、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t-ブタノールなどのアルコールなどのプロトンをもたらす傾向がある溶媒を示す。そのような溶媒は当業者に周知であり、試薬の溶解度、試薬の反応性、及び好ましい温度の範囲などの要因に応じて、個々の溶媒又はそれらの混合物が特定の化合物及び反応条件に好ましい場合があることは、当業者には明らかであろう。プロトジェニック 溶媒のさらなる議論は、非プロトン性溶媒の詳細な説明は、有機化学の教科書又は専門のモノグラフで見つけることができる。例えば、Organic Solvents Physical Properties and Methods of Purification, 4th ed., edited by John A. Riddick et al., Vol. II, in the Techniques of Chemistry Series, John Wiley & Sons, NY, 1986がある。
【0070】
本発明によって想定される置換基及び変数の組み合わせは、安定な化合物の形成をもたらすもののみである。本明細書で使用されるとき、「安定な」という用語は、製造を可能にするのに十分な安定性を有し、本明細書で詳述する目的(例えば、対象への治療又は予防での投与)に対して有用な十分な時間、化合物の統合性を維持する化合物を示す。
【0071】
合成された化合物は、反応混合物から分離され、カラムクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー、又は再結晶などの方法によりさらに精製され得る。当業者に理解され得るように、本明細書の式の化合物を合成するさらなる方法は、当業者に明らかである。さらに、様々な合成工程を代替シーケンス又は順序で実行して、所望の化合物を得ることができる。本明細書に記載の化合物の合成に有用な合成化学変換及び保護基の方法論(保護及び脱保護)は、当技術分野で公知であり、例えば、R.Larock, Comprehensive Organic Transformations, 2nd Ed.Wiley-VCH (1999);T.W.Greene and P.G.M.Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley and Sons (1999);L. Fieser and M.Fieser, Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994);及びL.Paquette, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995)、及びその後の版に記載されているものが含まれる。
【0072】
本明細書で使用されるとき、「対象」という用語は、動物を示す。好ましくは、動物は哺乳動物である。より好ましくは、哺乳動物はヒトである。対象は、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモット、魚、鳥なども示す。
【0073】
本発明の化合物は、選択的な生物学的特性を強化するために適切な機能性を付加することにより改変することができる。そのような改変は、当技術分野で知られており、所与の生物学的な系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的な浸透を増強し、経口利用可能性を高め、注射による投与を可能にするべく溶解度を高め、代謝を変え、排泄の速度を変えるものを含み得る。
【0074】
本明細書に記載の化合物は、1つ又は複数の不斉中心を含むため、エナンチオマー、ジアステレオマー、及びアミノ酸に対して絶対的な立体化学という観点で、R)-又は(S)-、又は(D)-又は(L)-として定義できる他の立体異性体を生じる。本発明は、すべてのそのような可能な異性体、並びにそれらのラセミ体及び光学的に純粋な形態を含むことを意味する。光学異性体は、上記の処置により、又はラセミ混合物を分割することにより、それぞれの光学活性前駆体から製造することができる。分割は、分離剤の存在下で、クロマトグラフィーにより、又は繰り返される結晶化により、又は当業者に知られているこれらの技術のいくつかの組み合わせにより実施することができる。分割に関するさらなる詳細は、Jacques, et al., Enantiomers, Racemates, and Resolutions (John Wiley & Sons, 1981)に見出せる。本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合、他の不飽和、又は他の幾何学的非対称の中心を含む場合、特に明記しない限り、化合物にはE及びZ幾何異性体又はシス及びトランス異性体が含まれることが意図されている。同様に、すべての互変異性型も含まれることが意図されている。互変異性体は、環状であっても非環状であってもよい。本明細書に現れるいずれの炭素-炭素二重結合の構成も、便宜上のみ選択されており、本文に明記されていない限り、特定の構成を示すことを意図したものではない。したがって、本明細書でトランスとして任意に示される炭素-炭素二重結合又は炭素-ヘテロ原子二重結合は、シス、トランス、又は任意の割合の2つの混合物であり得る。
【0075】
本発明の特定の化合物はまた、分離可能であり得る異なる安定な立体配座形態で存在し得る。例えば立体障害又は環ひずみのため、非対称的な単結合の周りでの限定的な回転に起因するねじれの非対称性により、異なる配座異性体の分離が可能になる場合がある。本発明は、これらの化合物の各配座異性体及びそれらの混合物を含む。
【0076】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わずにヒト及び下等動物の組織と接触して使用するのに適していて、合理的な利益/リスク比に見合った塩を示す。薬学的に許容される塩は、当技術分野で周知である。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences, 66:1-19 (1977)で薬学的に許容される塩を詳細に説明している。塩は、本発明の化合物の最終的な単離及び精製中にインサイチュで、又は遊離塩基官能基を適切な有機酸と反応させることにより別々に製造することができる。薬学的に許容される塩の例には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、過塩素酸などの無機酸、又は酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸などの有機酸で、又はイオン交換などの当技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩である無毒の酸付加塩が含まれるが、これらに限定されない。他の薬学的に許容される塩には、アジペート、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンフォラート(camphorate)、カンファースルホナート(camphorsulfonate)、クエン酸塩、シクロペンタン-プロピオン酸塩、グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトナート、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、硫酸ラウリル、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオナート、ホスファート、ピクレート、ピバレート、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれるが、これらに限定されない。代表的なアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。さらなる薬学的に許容される塩には、適切な場合、無毒のアンモニウム、四級アンモニウム、及びハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、ホスファート、硝酸塩、1~6個の炭素原子を有するアルキル、スルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成されるアミンカチオンが含まれる。
【0077】
本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容されるエステル」という用語は、生体内で加水分解するエステルを指し、人体で容易に分解して親化合物又はその塩を残すものを含む。適切なエステル基としては、例えば、薬学的に許容される脂肪族カルボン酸、特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸及びアルカン二酸から誘導されるものが挙げられ、各アルキル又はアルケニル部分は有利には6個以下の炭素原子を有する。特定のエステルの例としては、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステル及びエチルコハク酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
本発明の合成プロセスで使用される反応物の適切な濃度は、0.01M~10M、典型的には0.1M~1Mである。適切な温度には、-10°C~250°C、通常-78°C~150°C、より一般的には-78°C~100°C、さらにより一般的には0°C~100°Cが含まれる。反応容器は、反応を実質的に妨げない任意の材料でできていることが好ましい。例には、ガラス、プラスチック、及び金属が含まれる。反応の圧力は、有利には大気圧で操作することができる。雰囲気には、例えば、酸素と水に反応しない反応のための空気、又は酸素又は水に反応する反応のための窒素又はアルゴンが含まれる。
【0079】
本明細書で使用されるとき、「インサイチュ」という用語は、溶媒を除去せずに中間体が製造された溶媒又は複数の溶媒における中間体の使用を示す。
【0080】
略語
スキームの説明とそれに続く例で使用される場合のある略語は次の通りである。
アセチルのAc;
酢酸のAcOH;
ジ-tert-ブチル-ジカルボナートのBoc2O;
t-ブトキシカルボニルのBoc;
ベンゾイルのBz;
ベンジルのBn;
塩化ナトリウム水溶液のBrine;
tert-ブタノールのt-BuOH;
カリウムtert-ブトキシドのt-BuOK;
テトラブチルアンモニウムブロミドのBu4NBr;
カルボベンジルオキシのCbz;
1,1’-カルボニルジイミダゾールのCDI;
ジクロロメタンのCH2Cl2;
メチルのCH3;
アセトニトリルのCH3CN;
炭酸セシウムのCs2CO3;
水素化ジイソブチルアルミニウムのDIBAL-H;
N,N-ジイソプロピルエチルアミンのDIPEA又は(i-Pr)2EtN;
4-ジメチルアミノ-ピリジンのDMAP;
1,2-ジメトキシエタンのDME;
N,N-ジメチルホルムアミドのDMF;
ジメチルスルホキシドのDMSO;
N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミドのEDC;
N-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩のEDC・HCl;酢酸エチルのEtOAc;
エタノールのEtOH;
ジエチルエーテルのEt2O;
O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファートのHATU;
塩化水素のHCl;
炭酸カリウムのK2CO3;
メタノールのMeOH;
メチルtert-ブチルエーテルのMTBE;
塩化ナトリウムのNaCl;
水素化ナトリウムのNaH;
炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムのNaHCO3;
炭酸ナトリウムのNa2CO3;
水酸化ナトリウムのNaOH;
ナトリウムメトキシドのNaOMe;
硫酸ナトリウムのNa2SO4;
チオ硫酸ナトリウムのNa2S2O3;
重炭酸アンモニウムのNH4HCO3;
塩化アンモニウムのNH4Cl;
N-メチル-2-ピロリドンのNMP
一晩のo/n;
ヒドロキシルのOH;
パラジウムのPd;
二クロム酸ピリジニウムのPDC;
酢酸イソプロピルのi-PrOAc;
フェニルのPh;
p-メトキシベンジルのPMB;
室温のrt;
tert-ブチルジメチルシリルのTBS;
トリエチルアミンのTEA又はEt3N;
テトラヒドロフランのTHF;
トリフェニルホスフィンのTPP又はPPh3;
トシル又はSO2-C6H4CH3のTs;
p-トリルスルホン酸のTsOH;
トリメチルシリルのTMS;
塩化トリメチルシリルのTMSCl;
【0081】
上で具体的に説明されていない、本明細書で使用されるとき、他のすべての略語は、当業者が付けるであろう意味に一致するものとする。
【0082】
例
本発明の化合物及び方法は、例示としてのみ意図され、本発明の範囲を限定することを意図しない以下の例に関連させてよりよく理解される。開示された実施形態に対する様々な変更及び修正は当業者に明らかであり、そのような変更及び修正は、本発明の化学構造、置換基、誘導体、配合物及び/又は方法に関するものを含むがこれらに限定されず、本発明の精神及び添付の特許請求の範囲から逸脱することなくなされ得る。
【0083】
例1 3-モルホリノ-5-(トリフルオロメチル)ピコリノヒドラジドの製造
工程1:3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピコリノヒドラジドの合成
【化24】
窒素の不活性雰囲気でパージ及び維持された50Lの4つ口丸底フラスコに、エタノール(12L)中の3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-カルボン酸エチル(4.0kg、15.81mol、1.00等量)の溶液を入れ、ヒドラジン一水和物(1.98kg、2.00等量)で処理する。得られた溶液を水に浸して、20℃で2時間撹拌した。得られた溶液を氷水24Lで急冷し、30分間撹拌した。固体をろ過した。得られた溶液をMTBE 7×8.5L(7×8.8L)で抽出し、有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、真空下で濃縮して、表題の化合物(3.65kg)を黄色の固体として得た。LC-MS(ESI,m/z):240.0[M+H]
+。
【0084】
工程2:3-モルホリノ-5-(トリフルオロメチル)ピコリノヒドラジドの合成
【化25】
窒素の不活性雰囲気でパージ及び維持された50Lの4つ口丸底フラスコに、トルエン(17.5L)、モルホリン(6.38kg、73.22mol、5.00当量)中の3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-カルボヒドラジド(3.5kg、14.61mol、1.00当量)の溶液を入れた。得られた溶液を油に浸して、96℃で18時間撹拌した。反応混合物を水に浸して25℃に冷却した。固体をろ過により収集した。得られた混合物を真空下で濃縮した。合わせた固体をテトラヒドロフラン(9×4.5L)で洗浄した。固体をろ過した。ろ液を真空下で濃縮した。残渣をMTBE(10L)でスラリー化し、2時間撹拌した。ろ過により固体を収集した。同じ条件及び同じ手順で、別の量の3kgのSMでこの反応を繰り返した。2つのバッチの粗製物を合わせ、MTBE(4L)で洗浄し、真空下で乾燥させて、表題化合物(6.1kg)を淡黄色の固体として得た。LC-MS(ES,m/z):291.0[MS+H
+]。
1H-NMR(300 MHz,DMSO-d
6):δ9.63(s,1H),8.49(s,1H),7.71(s,1H),4.54(m,2H),3.77-3.68(m,4H),3.18-3.06(m,4H)。
【0085】
例2 (S)-3-((5-(3-モルホリノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-2-オン(化合物(Ia))の製造
工程1:3-アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2Hベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-2-オンのSFCキラル分離
【化26】
3-アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2Hベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-2-オンの(13.0kg)をSFCで分離した[器具:Waters 200分取用SFC]、カラム:Chiral Pak AD、250×50mm ID、10μm。移動相:AはCO
2、Bは2-プロパノール(0.1%NH
3H
2O)、勾配:Bが45%、流量:180mL/min]。最初の画分((R)-3-アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-2-オン、5.0kg、38.5%収率)を淡黄色の固体で収集した。2番目の画分((S)-3-アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-2-オン)を減圧下で濃縮し、高真空下で乾燥させ、表題の化合物(5.13kg、39.5%収率)を明黄色の固体として得た。
1H NMR:(DMSO-d
6 400 MHz):δ10.68(br,1H),7.60-7.56(m,1H),7.48-7.40(m,5H),7.27-7.24(m,2H),7.21-7.17(m,1H),4.24(s,1H)。HPLC purity:100%; Chiral purity:99.94% ee. LC-MS(ESI,m/z):252.0[M+H]
+。
【0086】
工程2:(R)-3-アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2Hベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-2-オンの3-アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2Hベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-2-オンへのラセミ化
【化27】
最初の画分((R)-3-アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-2-オン)をラセミ化し、次のようにSFC分離に使用した。MeOH(10L)中の(R)-3-アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-2-オン(1.0kg)をNaOMe(171g)で処理し、60℃で16時間加熱した。25℃に冷却した後、得られた混合物を25℃の氷水(10L)を加えることによりクエンチし、圧力下で濃縮して、ほとんどのMeOHを除去して沈殿物を得た。残渣を追加の5Lの水で粉砕し、ろ過し、真空下で乾燥させて、ラセミ体の3-アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2Hベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-2-オン(0.9kg)を淡黄色の固体として得た。
1H NMR:(DMSO-d
6 400 MHz):δ 10.66 (br, 1H), 7.58-7.54 (m, 1H), 7.46-7.38 (m, 5H), 7.25-7.22 (m, 2H), 7.19-7.15 (m, 1H), 4.22 (s, 1H).HPLC Purity:99.7%; LC-MS(ESI, m/z):252.2[M+H]
+。
【0087】
上記で得られたラセミのアミンを、分取SFCを使用して再度分離した。
【0088】
工程3.(S)-N-(2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-3-イル)-1H-イミダゾール-1-カルボキサミドの製造
【化28】
1,1’-カルボニルジイミダゾール(1.65kg、3.0eq.)を、MeCN(12.7L)で満たした反応器に20±5℃で加え、15分間撹拌し、0±3℃に冷却した。追加している間、(S)-3-アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-2-オン(0.85kg、1.0eq.)をバッチにおいて5℃未満で維持した。反応物を2±3℃で2時間撹拌して、20±5℃に温め、6時間撹拌した。次に、反応物を0±3°Cに冷却し、1.5時間以内に8°C未満のMeCN溶液(4.25L)中の精製水(365.5g、6.0eq.)で処理し、20°Cに加温した。固体をろ過し、(1.7L、2V)で2回洗浄した。収集した固体を≦25℃の真空オーブンで乾燥させて、白色固体として表題の化合物(1.16kg、HPLCによる純度98.6%)を得た。LC-MS(ESI,m/z):278.10,346.13[M+H]
+。
【0089】
工程4:(S)-2-(3-モルホリノ-5-(トリフルオロメチル)ピコリノイル)-N-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-3-イル)ヒドラジン-1-カルボキサミド
【化29】
3-モルホリノ-5-(トリフルオロメチル)ピコリノヒドラジド(0.84kg、1.0eq.)をNMP(2L)で満たした5Lフラスコに25±5℃で添加し、10分間撹拌した。
【0090】
(S)-N-(2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-3-イル)-1H-イミダゾール-1-カルボキサミド(1.0kg、1.0eq.)を25±5℃でバッチにおいて反応物に加え、45℃で10時間加熱した。反応混合物を15℃に冷却し、20Lフラスコの氷水(15L、3℃)に注ぎ、30分間撹拌し、ろ過し、精製水(2×3L)で洗浄した。収集したケーキを精製水(10L)と25±5℃で1時間撹拌し、ろ過し、精製水(2×3L)で洗浄した。収集したケーキを真空オーブンにて27℃で40時間乾燥させて、粗製物(1.640kg)を得た。粗製物(1.64kg)をDCM(10L)に溶解し、30分間撹拌し、活性炭(0.15kg)を投入し、30分間撹拌し、珪藻土(1wt/wt)でろ過し、DCM(2×2.5L)で洗浄した。ろ液に、25±5℃で50L丸底フラスコにn-ヘプタン(30L)を入れ、1時間撹拌した。固体をろ過し、ケーキをn-ヘプタン(2×2L)で洗浄し、真空オーブンで27℃で30時間乾燥させて、表題の化合物(1.43kg、HPLCによる純度95.3%)を淡黄色の固体として得た。LC-MS(ESI,m/z):568.19[M+H]+。
【0091】
工程5:(S)-3-((5-(3-モルホリノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-2-オン
【化30】
フラスコ内のDCM(11.2L)における(S)-2-(3-モルホリノ-5-(トリフルオロメチル)ピコリノイル)-N-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-3-イル)ヒドラジン-1-カルボキサミド(1.4kg、1eq.)の混合物へ、4A(オングストローム)-MS(1.4kg)を入れ、20±5℃で2時間撹拌した。次に、それを0℃に冷却し、トリエチルアミン(0.62kg、2.5eq.)を入れ、10分間撹拌した。DCM(1.4L)溶液中の塩化p-トルエンスルホニル(0.7kg、1.5eq)を反応混合物に5℃未満に維持しながら滴下し、0±5℃で5時間撹拌した。反応混合物をろ過し、DCM(2×4.2L)で洗浄した。ろ液を0℃で水(4.2L)で処理し、0~10℃で5分間撹拌した。分離後、有機相を5%NaHCO
3水溶液(7L)、水(7L)及びブライン(7L)で連続して洗浄し、分離した。DCM層を30℃未満で真空濃縮し、約7Lの有機層が残った。MTBE(7L)を有機層に加え、真空で濃縮して、約7Lの有機層が残った(この工程を1回繰り返した)。有機層に水(7L)を入れ、20±5℃で4時間撹拌した。固体をろ過し、MTBE(3×2.1L)及び精製水(2.8L)で洗浄した。湿ったケーキを酢酸エチル(7L)で12時間撹拌し、n-ヘプタン(14L)を入れ、20±5℃で5時間撹拌した。固体をろ過し、n-ヘプタン(2×2.8L)で洗浄し、周囲温度で真空乾燥して、淡黄色がかった固体で表題の化合物(0.776kg、HPLCで99.6%純度、キラルHPLCで97.8%キラル純度)を得た。LC-MS(ESI,m/z):550.17[M+H]
+;
1H NMR:(DMSO-d
6 400 MHz):δ10.98(br-s,1H),9.40(d,J=8.0 Hz,1H),8.69(br-d,J=4.0 Hz,1H),7.89(d,J=4.0 Hz,1H),7.68(dt,J=8.0 and4.0 Hz,1H),7.56~7.51(m,3H),7.49~7.45(m,2H),7.38~7.35(m,2H), 7.29(br-t,J=8.0 Hz,1H)
5.22(d,J=8.0Hz,1H),3.75~3.72(m,4H),3.09~3.07(m,4H);
13C(DMSO-d
6,100 MHz):δ167.3,167.0,162.8,156.4,147.2,139.2,138.7,138.4,138.3,138.0,132.30,130.7,130.5,129.5,128.4,126.2,124.5,123.4,121.5,71.8,65.9,51.0。
【0092】
例3 (S)-3-((5-(3-モルホリノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-2-オンのアモルファス形態の製造
(S)-3-((5-(3-モルホリノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-2-オン(60.0g)を酢酸(170mL)に溶解し、10分間撹拌し、フリット漏斗でろ過して3Lフラスコに入れ、凍結乾燥した。室温で3日間、真空ポンプでさらに乾燥させた。それを乳鉢で粉砕し、3日間N2を流しながら真空乾燥して、(S)-3-((5-(3-モルホリノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-2-オンの無定形のものを、黄色がかった固体として得た。
【0093】
例4 コポビドンとのアモルファス化合物(Ia)(S)-3-((5-(3-モルホリノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-2-オンの錯体の製造
(S)-3-((5-(3-モルホリノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-2-オン(6.4g)及びコポビドン(ポリ(1-ビニルピロリドン-co-酢酸ビニル)、1.6gの混合物、をアセトン(160mL)に溶解した。溶液を真空で濃縮し、高真空ポンプで2日間さらに乾燥させた。得られた固体を乳鉢と乳棒で粉砕し、45℃の真空オーブンで一晩さらに乾燥させて、(S)-3-((5-(3-モルホリノ-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)アミノ-5-フェニル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[e][1,4]-ジアゼピン-2-オン/コポビドン錯体の不定形のものを、黄色がかった固体で得た。
【0094】
本発明を、その好ましい実施形態を参照しながら特に示して説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細の様々な変更を行うことができることは、当業者に理解されるであろう。
他の記載と重複するが、本発明の一態様を以下に示す。
[発明1]
式(I)の化合物
[化1]
(式中、
環Aは任意に置換されるアリール又は任意に置換されるヘテロアリールであり;
各nは独立して1及び2から選択され;
mは0、1、2、3、又は4であり;
R
1
は、
1)任意に置換される-C
1
-C
8
アルキル;
2)任意に置換される-C
3
-C
8
シクロアルキル;
3)任意に置換される3~12員複素環
からなる群から選択され;
又は、2つの隣接するR
1
基が、それらが結合している炭素原子と一緒になって縮合環を形成して; 2つのジェミナルR
1
基が、それらが結合している炭素原子と一緒になってスピロ環を形成して; 若しくは隣接していない炭素原子の2つのR
1
基が一緒になって、-CH
2
-若しくはCH
2
CH
2
-などの架橋基を形成する)
を製造する方法であって、
(a)式(VII)の化合物
[化2]
(式中、R
7
は、水素、C
1
-C
8
アルキル、C
2
-C
8
アルケニル、C
2
-C
8
アルキニル、C
3
-C
8
シクロアルキル、C
3
-C
8
シクロアルケニル、3~8員複素環、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され;Xは脱離基である)
を、式(VII-X)の化合物
[化3]
(式中、PGは水素又はアミン保護基である)
と反応させ、式(VIII)の化合物
[化4]
を生成する工程と;
(b)式(VIII)の化合物を、式(IX)の化合物
[化5]
と反応させ、式(X)の化合物
[化6]
を生成する工程と、
(c)式(X)の化合物を、式(III)の化合物
[化7]
(式中、R
5
は、-O(CO)O-R
6
、任意に置換されるアリール、及び任意に置換されるヘテロアリールからなる群から選択され;R
6
は、任意に置換されるC
1
-C
8
アルキル、任意に置換されるC
2
-C
8
アルケニル、任意に置換されるC
2
-C
8
アルキニル、任意に置換されるC
3
-C
8
シクロアルキル、任意に置換されるC
3
-C
8
シクロアルケニル、任意に置換される3~8員複素環、任意に置換されるアリール、及び任意に置換されるヘテロアリールからなる群から選択される)
と反応させ、式(V)の化合物
[化8]
を生成する工程と;
(d)式(V)の化合物を環化試薬と反応させて式(I)の化合物を形成する工程と
を含む方法。
[発明2]
[化9]
である、発明1に記載の方法。
[発明3]
約10℃~約70℃の温度でプロトン性溶媒で工程(a)が実施される、発明1に記載の方法。
[発明4]
R
7
が水素であり、工程(a)がアミドカップリング剤の存在下で実施される、発明1~3のいずれか一項に記載の方法。
[発明5]
前記アミドカップリング剤がHATU又はEDUである、発明4に記載の方法。
[発明6]
酢酸イソプロピル、酢酸エチル、ジクロロメタン、アセトン、THF、NMP、2-メチルテトラヒドロフラン、及びアセトニトリルからなる群から選択される溶媒で工程(a)が実施される、発明4又は5に記載の方法。
[発明7]
R
7
がC
1
-C
8
アルキルであり、工程(a)がプロトン性溶媒の存在下で実施される、発明1~3のいずれか一項に記載の方法。
[発明8]
前記プロトン性溶媒がメタノール、エタノール、又はイソプロピルアルコールである、発明7に記載の方法。
[発明9]
工程(a)が約10℃~約70℃の温度で約3~12時間実施される、発明8に記載の方法。
[発明10]
(i)無希釈で、又は(ii)非プロトン性溶媒で、約10℃~約100℃の温度で、工程(b)が実施される、発明1~9のいずれか一項に記載の方法。
[発明11]
化合物(IV)
[化10]
を式Y-C(O)R
5
の化合物(式中Yは脱離基である)と反応させて、式(III)の化合物を生成する工程をさらに含む、発明1~10のいずれか一項に記載の方法。
[発明12]
式Y-C(O)R
5
の化合物が1,1-カルボニルジイミダゾール又はクロロギ酸ニトロフェニルである、発明11に記載の方法。
[発明13]
アセトニトリル、THF、DMSO、及びジクロロメタンからなる群から選択される溶媒で、式IVの化合物が前記アミン活性化剤と反応する、発明12に記載の方法。
[発明14]
アセトニトリル、THF、DMSO、DMF、スルホラン、又は1-メチル-2-ピロリドンにおいて工程(c)が実施される、発明1~13のいずれか一項に記載の方法。
[発明15]
工程(c)が約10~50℃の温度で6~48時間実施される、発明14に記載の方法。
[発明16]
工程(d)の前記環化剤が塩化パラトルエンスルホニルである、発明1~15のいずれか一項に記載の方法。
[発明17]
(i)トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンの存在下で、(ii)アセトニトリル、THF、DMF、DMSO、NMP、アセトン、ジクロロメタン、酢酸エチル、及び酢酸イソプロピルからなる群から選択される溶媒において;(iii)約0°C~約30°Cの温度で;(iv)約3~15時間;(v)約1M~3Mの式(III)の化合物の濃度で;並びに(vi)約1:1である、式(III)の化合物の濃度と式(V)の化合物の濃度の比で、工程(d)が実施される、発明16に記載の方法。
[発明18]
式Iの化合物が化合物I-a
[化11]
である、発明1~17のいずれか一項に記載の方法。