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7076468舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法、舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価装置、舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断方法、舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断装置、およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法、舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価装置、舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断方法、舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断装置、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   F02D 41/22 20060101AFI20220520BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20220520BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
F02D41/22
F02D29/02 A
F02D45/00 345
F02D45/00 360A
F02D45/00 364A
F02D45/00 369
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019554116
(86)(22)【出願日】2017-11-16
(86)【国際出願番号】 JP2017041294
(87)【国際公開番号】W WO2019097634
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-04-22
【審判番号】
【審判請求日】2021-04-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】303047034
【氏名又は名称】株式会社ジャパンエンジンコーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】000232818
【氏名又は名称】日本郵船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平林 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】江戸 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山田 省吾
(72)【発明者】
【氏名】堀切 六郎
(72)【発明者】
【氏名】中谷 博司
(72)【発明者】
【氏名】橋元 彩子
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】金澤 俊郎
【審判官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-220204(JP,A)
【文献】特開2001-208649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 41/22
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する方法であって、
前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点とを生成し、
前記生成した6つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出し、
前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価し、
前記運転負荷評価点は、前記舶用ディーゼル機関の平均負荷率と、前記構成部品毎に設定された、運転負荷に関する疲労度影響係数との積を含む
ことを特徴とする舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法。
ここで、運転負荷に関する疲労度影響係数とは、運転負荷が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数である。
【請求項2】
舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する方法であって、
前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点とを生成し、
前記生成した6つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出し、
前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価し、
前記運転負荷変動評価点は、
前記舶用ディーゼル機関の累積発停回数と、前記構成部品毎に設定された、累積発停回数に関する疲労度影響係数との積と、
前記構成部品毎に設定された前記舶用ディーゼル機関の低負荷領域と高負荷領域との間の往復運転回数の累積値である累積往復運転回数と、前記構成部品毎に設定された、累積往復運転回数に関する疲労度影響係数との積と、
を含むことを特徴とする舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法。
ここで、累積発停回数に関する疲労度影響係数とは、累積発停回数が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数であり、累積往復運転回数に関する疲労度影響係数とは、累積往復運転回数が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数である。
【請求項3】
舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する方法であって、
前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点とを生成し、
前記生成した6つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出し、
前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価し、
前記運転サイクル評価点は、
前記舶用ディーゼル機関の累積運転サイクル数と、前記構成部品毎に設定された、累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数との積と、
前記構成部品毎に設定された負荷率以上での前記舶用ディーゼル機関の累積運転サイクル数である負荷しきい値以上累積運転サイクル数と、前記構成部品毎に設定された、負荷しきい値以上累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数との積と、
を含むことを特徴とする舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法。
ここで、累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数とは、累積運転サイクル数が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数であり、負荷しきい値以上累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数とは、負荷しきい値以上累積運転サイクル数が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数である。
【請求項4】
舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する方法であって、
前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点とを生成し、
前記生成した6つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出し、
前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価し、
前記燃料性状評価点は、前記燃料に含まれる成分の濃度と、前記構成部品毎に設定された、前記成分の濃度に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法。
ここで、成分の濃度に関する疲労度影響係数とは、成分の濃度が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数である。
【請求項5】
前記成分は、硫黄、バナジウム、ナトリウム、アルミニウムおよびケイ素、ならびにセジメントからなる群から選ばれる1以上であることを特徴とする請求項4に記載の舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法。
【請求項6】
舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する方法であって、
前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点とを生成し、
前記生成した6つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出し、
前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価し、
前記燃料性状評価点は、前記燃料に含まれる2つの成分の濃度の比と、前記構成部品毎に設定された、前記濃度の比に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法。
ここで、濃度の比に関する疲労度影響係数とは、濃度の比が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数である。
【請求項7】
前記比は、バナジウムの濃度に対するナトリウムの濃度の比であることを特徴とする請求項6に記載の舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法。
【請求項8】
舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する方法であって、
前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点とを生成し、
前記生成した6つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出し、
前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価し、
前記燃焼性評価点は、前記燃料の計算炭素芳香性指標であるCCAIの値と、前記構成部品毎に設定された、燃焼性に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法。
ここで、燃焼性に関する疲労度影響係数とは、燃焼性が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数である。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一つに記載の舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法によって評価した前記構成部品の疲労度に基づいて、前記構成部品の余寿命を診断することを特徴とする舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断方法。
【請求項10】
舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する装置であって、
前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点との6つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、
前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、
を備え、前記運転負荷評価点は、前記舶用ディーゼル機関の平均負荷率と、前記構成部品毎に設定された、運転負荷に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価装置。
ここで、運転負荷に関する疲労度影響係数とは、運転負荷が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数である。
【請求項11】
舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する装置であって、
前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点との6つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、
前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、
を備え、前記運転負荷変動評価点は、
前記舶用ディーゼル機関の累積発停回数と、前記構成部品毎に設定された、累積発停回数に関する疲労度影響係数との積と、
前記構成部品毎に設定された前記舶用ディーゼル機関の低負荷領域と高負荷領域との間の往復運転回数の累積値である累積往復運転回数と、前記構成部品毎に設定された、累積往復運転回数に関する疲労度影響係数との積と、
を含むことを特徴とする舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価装置。
ここで、累積発停回数に関する疲労度影響係数とは、累積発停回数が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数であり、累積往復運転回数に関する疲労度影響係数とは、累積往復運転回数が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数である。
【請求項12】
舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する装置であって、
前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点との6つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、
前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、
を備え、前記運転サイクル評価点は、
前記舶用ディーゼル機関の累積運転サイクル数と、前記構成部品毎に設定された、累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数との積と、
前記構成部品毎に設定された負荷率以上での前記舶用ディーゼル機関の累積運転サイクル数である負荷しきい値以上累積運転サイクル数と、前記構成部品毎に設定された、負荷しきい値以上累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数との積と、
を含むことを特徴とする舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価装置。
ここで、累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数とは、累積運転サイクル数が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数であり、負荷しきい値以上累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数とは、負荷しきい値以上累積運転サイクル数が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数である。
【請求項13】
舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する装置であって、
前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点との6つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、
前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、
を備え、前記燃料性状評価点は、前記燃料に含まれる成分の濃度と、前記構成部品毎に設定された、前記成分の濃度に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価装置。
ここで、成分の濃度に関する疲労度影響係数とは、成分の濃度が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数である。
【請求項14】
舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する装置であって、
前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点との6つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、
前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、
を備え、前記燃料性状評価点は、前記燃料に含まれる2つの成分の濃度の比と、前記構成部品毎に設定された、前記濃度の比に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価装置。
ここで、濃度の比に関する疲労度影響係数とは、濃度の比が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数である。
【請求項15】
舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する装置であって、
前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点との6つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、
前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、
を備え、前記燃焼性評価点は、前記燃料の計算炭素芳香性指標であるCCAIの値と、前記構成部品毎に設定された、燃焼性に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価装置。
ここで、燃焼性に関する疲労度影響係数とは、燃焼性が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数である。
【請求項16】
舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命を診断する装置であって、
前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点との6つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、
前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、
前記疲労度に基づいて前記構成部品の余寿命を診断する診断部と、
を備え、前記運転負荷評価点は、前記舶用ディーゼル機関の平均負荷率と、前記構成部品毎に設定された、運転負荷に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断装置。
ここで、運転負荷に関する疲労度影響係数とは、運転負荷が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数である。
【請求項17】
舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命を診断する装置であって、
前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点との6つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、
前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、
前記疲労度に基づいて前記構成部品の余寿命を診断する診断部と、
を備え、前記運転負荷変動評価点は、
前記舶用ディーゼル機関の累積発停回数と、前記構成部品毎に設定された、累積発停回数に関する疲労度影響係数との積と、
前記構成部品毎に設定された前記舶用ディーゼル機関の低負荷領域と高負荷領域との間の往復運転回数の累積値である累積往復運転回数と、前記構成部品毎に設定された、累積往復運転回数に関する疲労度影響係数との積と、
を含むことを特徴とする舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断装置。
ここで、累積発停回数に関する疲労度影響係数とは、累積発停回数が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数であり、累積往復運転回数に関する疲労度影響係数とは、累積往復運転回数が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数である。
【請求項18】
舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命を診断する装置であって、
前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点との6つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、
前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、
前記疲労度に基づいて前記構成部品の余寿命を診断する診断部と、
を備え、前記運転サイクル評価点は、
前記舶用ディーゼル機関の累積運転サイクル数と、前記構成部品毎に設定された、累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数との積と、
前記構成部品毎に設定された負荷率以上での前記舶用ディーゼル機関の累積運転サイクル数である負荷しきい値以上累積運転サイクル数と、前記構成部品毎に設定された、負荷しきい値以上累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数との積と、
を含むことを特徴とする舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断装置。
ここで、累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数とは、累積運転サイクル数が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数であり、負荷しきい値以上累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数とは、負荷しきい値以上累積運転サイクル数が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数である。
【請求項19】
舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命を診断する装置であって、
前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点との6つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、
前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、
前記疲労度に基づいて前記構成部品の余寿命を診断する診断部と、
を備え、前記燃料性状評価点は、前記燃料に含まれる成分の濃度と、前記構成部品毎に設定された、前記成分の濃度に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断装置。
ここで、成分の濃度に関する疲労度影響係数とは、成分の濃度が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数である。
【請求項20】
舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命を診断する装置であって、
前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点との6つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、
前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、
前記疲労度に基づいて前記構成部品の余寿命を診断する診断部と、
を備え、前記燃料性状評価点は、前記燃料に含まれる2つの成分の濃度の比と、前記構成部品毎に設定された、前記濃度の比に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断装置。
ここで、濃度の比に関する疲労度影響係数とは、濃度の比が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数である。
【請求項21】
舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命を診断する装置であって、
前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点との6つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、
前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、
前記疲労度に基づいて前記構成部品の余寿命を診断する診断部と、
を備え、前記燃焼性評価点は、前記燃料の計算炭素芳香性指標であるCCAIの値と、前記構成部品毎に設定された、燃焼性に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断装置。
ここで、燃焼性に関する疲労度影響係数とは、燃焼性が前記構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数である。
【請求項22】
舶用ディーゼル機関と、請求項10~15のいずれか一つに記載の舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価装置または請求項16~21のいずれか一つに記載の舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断装置と、を備えることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法、疲労度評価装置、余寿命診断方法、余寿命診断装置、およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、舶用ディーゼル機関(以下、単に機関と記載する場合がある)を構成する部品の整備については、取扱説明書等の書面にて、推奨整備間隔、および機関の運転時間に基づいた整備時期が定められていた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許5550969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来書面に記載された整備時期は、その機関の運転状況や使用する燃料の性状などの、実際の使用状況に応じて定められたものではない。実際には、たとえば機関の運転時間に占める低負荷での運転時間の割合が、書面に記載の整備時期を決定する際に想定された割合よりも高い場合などには、部品の摩耗や損耗などの劣化が想定よりも小さい。このような想定とは異なる劣化は、機関の燃焼室またはその付近の部品において特に発生しやすい。そのため、書面にて定められた整備時期で点検や交換を実施すると、対象部品がまだ使用できるにもかかわらず、機関を停止し、分解等をして点検を行い、または部品の交換を行うこととなる。その結果、不要な作業時間、作業費用や部品交換費用が発生することとなり、機関の運用の効率性が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、舶用ディーゼル機関の構成部品について、点検、交換時期をより適切に提示することができる舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法、疲労度評価装置、余寿命診断方法、余寿命診断装置、およびシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法は、舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する方法であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つを生成し、前記生成した少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出し、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価し、前記運転負荷評価点は、前記舶用ディーゼル機関の平均負荷率と、前記構成部品毎に設定された、運転負荷に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法は、舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する方法であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つを生成し、前記生成した少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出し、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価し、前記運転負荷変動評価点は、前記舶用ディーゼル機関の累積発停回数と、前記構成部品毎に設定された、累積発停回数に関する疲労度影響係数との積と、前記構成部品毎に設定された前記舶用ディーゼル機関の低負荷領域と高負荷領域との間の往復運転回数の累積値である累積往復運転回数と、前記構成部品毎に設定された、累積往復運転回数に関する疲労度影響係数との積と、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法は、舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する方法であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つを生成し、前記生成した少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出し、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価し、前記運転サイクル評価点は、前記舶用ディーゼル機関の累積運転サイクル数と、前記構成部品毎に設定された、累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数との積と、前記構成部品毎に設定された負荷率以上での前記舶用ディーゼル機関の累積運転サイクル数である負荷累積運転サイクル数と、前記構成部品毎に設定された、負荷累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数との積と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法は、舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する方法であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つを生成し、前記生成した少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出し、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価し、前記燃料性状評価点は、前記燃料に含まれる成分の濃度と、前記構成部品毎に設定された、前記成分の濃度に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法は、前記成分は、硫黄、バナジウム、ナトリウム、アルミニウムおよびケイ素、ならびにセジメントからなる群から選ばれる1以上であることを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法は、舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する方法であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つを生成し、前記生成した少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出し、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価し、前記燃料性状評価点は、前記燃料に含まれる2つの成分の濃度の比と、前記構成部品毎に設定された、前記濃度の比に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法は、前記比は、バナジウムの濃度に対するナトリウムの濃度の比であることを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法は、舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する方法であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つを生成し、前記生成した少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出し、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価し、前記燃焼性評価点は、前記燃料の計算炭素芳香性指標であるCCAIの値と、前記構成部品毎に設定された、燃焼性に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価方法は、前記排ガス温度評価点は、測定された前記排ガスの温度と、前記構成部品毎に設定された、排ガスの温度に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断方法は、本発明の一態様に係る疲労度評価方法によって評価した前記構成部品の疲労度に基づいて、前記構成部品の余寿命を診断することを特徴とする。
【0017】
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価装置は、舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する装置であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、を備え、前記運転負荷評価点は、前記舶用ディーゼル機関の平均負荷率と、前記構成部品毎に設定された、運転負荷に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価装置は、舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する装置であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、を備え、前記運転負荷変動評価点は、前記舶用ディーゼル機関の累積発停回数と、前記構成部品毎に設定された、累積発停回数に関する疲労度影響係数との積と、前記構成部品毎に設定された前記舶用ディーゼル機関の低負荷領域と高負荷領域との間の往復運転回数の累積値である累積往復運転回数と、前記構成部品毎に設定された、累積往復運転回数に関する疲労度影響係数との積と、を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価装置は、舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する装置であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、を備え、前記運転サイクル評価点は、前記舶用ディーゼル機関の累積運転サイクル数と、前記構成部品毎に設定された、累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数との積と、前記構成部品毎に設定された負荷率以上での前記舶用ディーゼル機関の累積運転サイクル数である負荷累積運転サイクル数と、前記構成部品毎に設定された、負荷累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数との積と、を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価装置は、舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する装置であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、を備え、前記燃料性状評価点は、前記燃料に含まれる成分の濃度と、前記構成部品毎に設定された、前記成分の濃度に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価装置は、舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する装置であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、を備え、前記燃料性状評価点は、前記燃料に含まれる2つの成分の濃度の比と、前記構成部品毎に設定された、前記濃度の比に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価装置は、舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する装置であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、を備え、前記燃焼性評価点は、前記燃料の計算炭素芳香性指標であるCCAIの値と、前記構成部品毎に設定された、燃焼性に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価装置は、舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度を評価する装置であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、を備え、前記排ガス温度評価点は、測定された前記排ガスの温度と、前記構成部品毎に設定された、排ガスの温度に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断装置は、舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命を診断する装置であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、前記疲労度に基づいて前記構成部品の余寿命を診断する診断部と、を備え、前記運転負荷評価点は、前記舶用ディーゼル機関の平均負荷率と、前記構成部品毎に設定された、運転負荷に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断装置は、舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命を診断する装置であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、前記疲労度に基づいて前記構成部品の余寿命を診断する診断部と、を備え、前記運転負荷変動評価点は、前記舶用ディーゼル機関の累積発停回数と、前記構成部品毎に設定された、累積発停回数に関する疲労度影響係数との積と、前記構成部品毎に設定された前記舶用ディーゼル機関の低負荷領域と高負荷領域との間の往復運転回数の累積値である累積往復運転回数と、前記構成部品毎に設定された、累積往復運転回数に関する疲労度影響係数との積と、を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断装置は、舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命を診断する装置であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、前記疲労度に基づいて前記構成部品の余寿命を診断する診断部と、を備え、前記運転サイクル評価点は、前記舶用ディーゼル機関の累積運転サイクル数と、前記構成部品毎に設定された、累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数との積と、前記構成部品毎に設定された負荷率以上での前記舶用ディーゼル機関の累積運転サイクル数である負荷累積運転サイクル数と、前記構成部品毎に設定された、負荷累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数との積と、を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断装置は、舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命を診断する装置であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、前記疲労度に基づいて前記構成部品の余寿命を診断する診断部と、を備え、前記燃料性状評価点は、前記燃料に含まれる成分の濃度と、前記構成部品毎に設定された、前記成分の濃度に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断装置は、舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命を診断する装置であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、前記疲労度に基づいて前記構成部品の余寿命を診断する診断部と、を備え、前記燃料性状評価点は、前記燃料に含まれる2つの成分の濃度の比と、前記構成部品毎に設定された、前記濃度の比に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断装置は、舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命を診断する装置であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、前記疲労度に基づいて前記構成部品の余寿命を診断する診断部と、を備え、前記燃焼性評価点は、前記燃料の計算炭素芳香性指標であるCCAIの値と、前記構成部品毎に設定された、燃焼性に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断装置は、舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命を診断する装置であって、前記構成部品について、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷に関する運転負荷評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、前記舶用ディーゼル機関の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、前記舶用ディーゼル機関の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、前記燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、前記舶用ディーゼル機関の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点の内、少なくとも2つの評価点を加算して前記構成部品の疲労度の総合評価点を算出する算出部と、前記総合評価点に基づいて前記構成部品の疲労度を評価する評価部と、前記疲労度に基づいて前記構成部品の余寿命を診断する診断部と、を備え、前記排ガス温度評価点は、測定された前記排ガスの温度と、前記構成部品毎に設定された、排ガスの温度に関する疲労度影響係数との積を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の一態様に係るシステムは、舶用ディーゼル機関と、本発明の一態様に係る舶用ディーゼル機関の構成部品の疲労度評価装置または舶用ディーゼル機関の構成部品の余寿命診断装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、舶用ディーゼル機関の構成部品の点検、交換時期をより適切に提示することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施形態に係るシステムの構成を示す模式図である。
図2図2は、エンジンの燃焼室の付近の構成を示す模式図である。
図3図3は、エンジンの負荷率と、その負荷率でのエンジンの運転時間の割合との関係の例を示す図である。
図4A図4Aは、エンジンの累積発停回数を説明する図である。
図4B図4Bは、エンジンの累積発停回数を説明する図である。
図5A図5Aは、エンジンの累積往復運転回数を説明する図である。
図5B図5Bは、エンジンの累積往復運転回数を説明する図である。
図6A図6Aは、エンジンの累積運転サイクル数を説明する図である。
図6B図6Bは、エンジンの負荷しきい値以上累積運転サイクル数を説明する図である。
図7図7は、運転時間に対する燃料の性状に関するパラメータの変化を説明する図である。
図8図8は、運転時間に対するCCAI値の変化を説明する図である。
図9図9は、運転時間に対する排ガス温度の変化を説明する図である。
図10図10は、総合評価点を説明する図である。
図11図11は、余寿命の予測を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。
【0023】
(実施形態)
図1は、実施形態に係るシステムの構成を示す模式図である。このシステム100は、舶用ディーゼル機関であるエンジン1と、エンジン1の運転を制御するエンジン制御部2と、エンジン1の構成部品の疲労度を評価するとともに、その余寿命を診断する評価・診断装置3とを備えている。
【0024】
エンジン1は、公知のユニフロー掃排気式のクロスヘッド式ディーゼルエンジン等の2ストロークディーゼルエンジンであり、たとえば6気筒エンジンであるが、気筒数は特に限定されない。エンジン1の出力軸1aは、図示しないプロペラ軸を介して、エンジン1が搭載されている船舶の推進用プロペラに接続されている。エンジン1を運転することによって推進用プロペラが回転し、船舶の推進力が発生する。また、エンジン1には、排ガスの温度を測定するための温度センサ1bが設けられている。
【0025】
図2は、エンジン1の燃焼室の付近の構成を示す模式図である。なお、エンジン1のいずれの気筒における燃焼室の付近の構成も同様なので、その中の一つの気筒について説明する。
【0026】
エンジン1は、シリンダライナ1cと、シリンダカバー1dと、ピストン1eと、ピストン棒1fと、排気弁座1gと、排気弁箱1hと、排気弁1iと、カバー1jと、燃料噴射弁1kと、接続配管1lと、排気マニホールド1mとを含んで構成されている。
【0027】
シリンダカバー1dは、シリンダライナ1cの上部に取り付けられており、ピストン1eが往復移動する筒状の空間を形成している。ピストン1eは、ピストン冠1eaと複数(本実施形態では3つ)のピストンリング1ebとピストンスカート1ecとを備えている。ピストンリング1ebはピストン冠1eaに設けられた溝に嵌め込まれることでピストン1eに組み込まれている。ピストン棒1fはピストン1eに接続されている。ピストン棒1fの下部は、図示しないクロスヘッドを介してクランク軸に連結されており、クランク軸は出力軸1aに連結されている。
【0028】
排気弁1iは、弁体1iaと弁棒1ibとを備えている。排気弁座1gは、シリンダカバー1dの上部に組み込まれており、排気弁1iの弁体1iaが着座自在に構成されているとともに、排気ポート1gaを形成している。シリンダライナ1cと、シリンダカバー1dと、ピストン1eと、弁体1iaとで燃焼室Rが形成される。
【0029】
排気弁箱1hは、シリンダカバー1dの上部に取り付けられており、排気弁座1gの排気ポート1gaと連通する排気ポート1haが形成されているとともに、排気弁1iの弁棒1ibを支持している。
【0030】
カバー1jは、排気弁箱1hの上部に取り付けられており、排気弁1iを往復移動可能に構成された排気弁作動装置1jaを収容している。排気弁作動装置1jaにおいて、排気弁1iは、図示しない付勢部材(例えば、圧縮ばね、空気ばねなど)により排気ポート1gaを閉止する方向に付勢支持されている。作動油供給配管4aは、一端部に作動油タンク(図示せず)が接続されるとともに、他端部が排気弁作動装置1jaに接続されており、中途部に給油ポンプ4bが設けられている。排気弁1iが付勢部材により排気ポート1gaを閉止する状態において、開閉弁4cを開放すると、給油ポンプ4bが駆動し、この給油ポンプ4bで加圧された作動油が作動油供給配管4aを通して排気弁作動装置1jaに供給され、排気弁1iを付勢部材に抗して下降させる。すると、排気弁1iは、開閉弁4cが開放されている間だけ、排気ポート1gaを開放し、開閉弁4cが閉止されると排気ポート1gaを閉止する。なお、開閉弁4cの開閉はエンジン制御部2からの指示信号によって制御される。したがって、排気ポート1gaの開閉のタイミングもエンジン制御部2によって制御される。
【0031】
燃料噴射弁1kは、シリンダカバー1dに取り付けられており、燃焼室R内に燃料(重油や軽油等)を噴射可能に構成されている。燃料供給配管4dは、一端部に燃料タンク(図示せず)が接続され、他端部が燃料噴射弁1kに接続されており、中途部に燃料ポンプ4eが設けられている。開閉弁4fを開放すると、燃料ポンプ4eが駆動し、燃料ポンプ4eで加圧された燃料が燃料供給配管4dを通して燃料噴射弁1kに供給される。すると、燃料噴射弁1kは、開閉弁4fが開放されている間だけ、燃料を燃焼室Rに噴射する。なお、開閉弁4fの開閉やその開度はエンジン制御部2からの指示信号によって制御される。したがって、燃料噴射弁1kの開閉のタイミングや燃料噴射量もエンジン制御部2によって制御される。
【0032】
接続配管1lは、排気弁箱1hに形成された排気ポート1haと排気マニホールド1mとを接続している。
【0033】
エンジン1において、図示しない掃気ポートから空気等の燃焼用気体が燃焼室Rに導入された後にピストン1eが上昇し、排気弁1iにより排気ポート1gaも閉じることによって、燃焼室R内の燃焼用気体が圧縮される。ピストン1eが上死点まで移動すると、燃焼室R内の圧力が所定の圧縮圧力になり、燃料噴射弁1kが燃料を噴射する。すると、燃焼室R内で燃焼用気体と燃料が混合して燃焼し、燃焼エネルギによりピストン1eが下降する。所定のタイミングで、排気弁1iにより排気ポート1gaが開くことで、燃焼室R内の排ガス(燃焼ガス)が排気ポート1gaに排出される。その後、排ガスは排気ポート1ha、接続配管1lを介して、排気マニホールド1mへと達する。
【0034】
温度センサ1bは、熱電対やサーミスタ等の公知の温度センサであり、排気マニホールド1mにおいて排ガスの温度を検知し、検知した温度に応じた検知信号をエンジン制御部2に出力する。
【0035】
図2に示す構成のうち、シリンダライナ1cと、シリンダカバー1dと、ピストン冠1eaと、ピストンリング1ebと、排気弁座1gと、排気弁箱1hと、排気弁1iと、燃料噴射弁1kとは、燃焼室Rを構成する、または燃焼室Rから排出された高温の排ガスが通過する箇所である。したがって、これらは、エンジン1の実際の使用状況に応じて摩耗や損耗などの劣化の程度が変化しやすい構成部品である。そこで、本実施形態では、これらの構成部品を疲労度の評価および余寿命の診断の対象とする。
【0036】
図1に戻って説明を続ける。エンジン制御部2は、CPU等の演算部と、RAM、ROM等の記録部と、その他の周辺機能部とを含んで構成されている。エンジン制御部2は、記録部に記録されたデータを用いて記録部に記録されたプログラムを演算部が実行することによって、その機能を実現するように構成されている。具体的には、エンジン制御部2は、指示信号を出力して開閉弁4c、4fを制御することによって、排気ポート1gaの開閉のタイミングおよび燃料噴射弁1kの開閉のタイミングや燃料噴射量を制御する。これによって、エンジン制御部2はエンジン1の運転状態を制御できる。このとき、エンジン制御部2は、船舶を要求された航行速度で航行させるためにエンジン1に要求される出力(エンジン1の負荷)を得るためのエンジン1の回転数および燃料噴射弁1kの噴射量を算出し、その回転数および噴射量を実現するように、排気ポート1gaおよび燃料噴射弁1kの開閉のタイミングならびに燃料噴射弁1kの燃料噴射量を制御する。
【0037】
また、エンジン制御部2は、少なくともエンジン1の運転期間において、温度センサ1bから入力された検知信号に基づいて、温度センサ1bが測定した温度を算出する。本実施形態では、エンジン制御部2は、温度センサ1bが測定した温度または測定した温度に補正係数を乗算して得た温度を、排ガスの温度とする。また、エンジン制御部2は、評価・診断装置3に対して評価・診断に必要な情報を含む情報信号を出力するように構成されている。本実施形態では、エンジン制御部2は、エンジン1の負荷および回転数、運転時間および排ガスの温度等の情報を含む情報信号を評価・診断装置3に出力する。この情報信号の出力は、たとえばエンジン1の運転中に随時または定期的に行われる。
【0038】
評価・診断装置3は、評価・診断部3aと、入力部3bと、表示部3cと、その他の周辺機能部とを含んで構成されている。評価・診断部3aは、CPU等の演算部と、RAM、ROM等の記録部と、その他の周辺機能部とを含んで構成されている。評価・診断部3aは、記録部に記録されたデータを用いて記録部に記録されたプログラムを演算部が実行することによって、その機能を実現するように構成されている。
【0039】
入力部3bは、評価・診断装置3に外部からデータを入力するための構成であり、たとえばオペレータがデータを入力するためのキーボードやマウスを含んで構成されている。外部から入力されたデータは評価・診断部3aの記録部に記録される。また、表示部3cは、入力されたデータや、評価・診断結果を表示するための構成であり、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の各種表示装置を含んで構成されている。なお、たとえばタッチパネル機能付きのディスプレイによって入力部3bと表示部3cとが一体的に構成されていてもよい。
【0040】
(評価・診断装置の機能)
つづいて、評価・診断装置3の機能について説明する。評価・診断装置3は、対象とする構成部品について、エンジン1の運転負荷に関する運転負荷評価点と、エンジン1の運転負荷の変動に関する運転負荷変動評価点と、エンジン1の運転サイクルに関する運転サイクル評価点と、エンジン1の燃料の性状に関する燃料性状評価点と、燃料の燃焼性に関する燃焼性評価点と、エンジン1の排ガスの温度に関する排ガス温度評価点とを生成する。そして、これらの生成した評価点を加算して、対象とする構成部品の疲労度の総合評価点を算出し、この総合評価点に基づいて、対象とする構成部品の疲労度を評価する。さらに、この疲労度に基づいて、対象とする構成部品の余寿命を診断する。評価・診断装置3は、疲労度を評価する疲労度評価装置および余寿命を診断する余寿命診断装置として機能する。また、評価・診断部3aは、総合評価点を算出する算出部、疲労度を評価する評価部、および余寿命を診断する診断部として機能する。
【0041】
以下では、まず各評価点について具体的に例示して説明し、その後、総合評価点の算出、疲労度の評価、余寿命の診断について順次説明する。なお、各評価点は、エンジン1の使用開始時には0点であり、また対象とする構成部品が交換された時点でリセットされて0点となる。
【0042】
(運転負荷評価点)
運転負荷評価点は、エンジン1の運転負荷に関する評価点であって、エンジン1の運転負荷が、対象となる構成部品の疲労度に対して与える影響を示す指標となるものである。
【0043】
本実施形態では、運転負荷評価点は、エンジン1の使用開始から、または対象とする構成部品の前回の交換後の使用開始から、現時点までの、運転時間におけるエンジン1の平均負荷率と、運転負荷に関する疲労度影響係数との積を含むものとして規定する。ここで、現時点とは、たとえば評価・診断装置3にエンジン制御部2から入力された情報の範囲において、最新の情報に対応する時刻であり、他の評価点に関しても同様である。また、負荷率とは、たとえばエンジン1の定格最大負荷に対する割合である。また、運転負荷に関する疲労度影響係数とは、運転負荷がその構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数であって、事前実験で得られたデータやこれまでの運転実績によって蓄積されたデータなどによって決定され、構成部品毎に設定される。
【0044】
平均負荷が大きいと、構成部品に係る負荷も高いので、疲労度に影響を与えることとなる。
【0045】
図3は、エンジン1の負荷率と、その負荷率でのエンジン1の運転時間の割合との関係の例を示す図である。図3は、およそ3ヶ月半の期間においてエンジン1の実際の運転時間に対するものである。たとえば、図3に示す例では、実際の運転時間は約8600時間であり、実際の運転時間に対する、負荷率10%でエンジン1を運転した運転時間の割合が5%であることを示している。また、図3に示す例では、平均負荷は39%である。
【0046】
このとき、運転負荷評価点C1はたとえば以下の式(1)で表される。
C1=(Aavr/100)×B1 ・・・ (1)
ここで、Aavrは平均負荷[%]であり、B1は運転負荷に関する疲労度影響係数である。
【0047】
評価・診断装置3において、評価・診断部3aは、エンジン制御部2から入力された情報に基づいて算出したAavrと、評価・診断部3aの記録部に記録されたB1とに基づいてC1を計算により生成し、記録部に記録する。また、評価・診断部3aは、表示部3cにC1を表示させてもよい。
【0048】
(運転負荷変動評価点)
運転負荷変動評価点は、エンジン1の運転負荷の変動に関する評価点であって、エンジン1の運転負荷の変動が、対象となる構成部品の疲労度に対して与える影響を示す指標となるものである。
【0049】
本実施形態では、運転負荷変動評価点は、エンジン1の使用開始から、または対象とする構成部品の前回の交換後の使用開始から、現時点までの、累積発停回数と累積発停回数に関する疲労度影響係数との積と、現時点までの累積往復運転回数と累積往復運転回数に関する疲労度影響係数との積とを含むものとして規定する。
【0050】
累積発停回数とは、図4Aに示すように、たとえば時間ゼロにおいてエンジン1が運転を開始し、ある負荷変動で運転し、その後負荷がゼロになって運転を終了した場合に、発停回数の1回とカウントする。図4Aでは、時間t1で発停回数が1回とカウントされるので、図4Bに示すように、時間t1において累積発停回数が1回となる。その後運転の開始と終了とを繰り返すことで累積発停回数は増加する。なお、図4Bの横軸は運転時間である。
【0051】
また、累積発停回数に関する疲労度影響係数とは、累積発停回数がその構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数であって、事前実験で得られたデータやこれまでの運転実績によって蓄積されたデータなどによって決定され、構成部品毎に設定される。
【0052】
累積往復運転回数とは、エンジン1の低負荷領域と高負荷領域との間の往復運転回数の累積値である。具体的には、図5Aに示すように、たとえば時間ゼロにおいてエンジン1が運転を開始し、負荷が、時間t1において低負荷しきい値以上となり、その後さらに高負荷しきい値以上となり、その後時間t2において低負荷しきい値未満となったとする。この場合、低負荷しきい値未満の低負荷領域と高負荷しきい値以上の高負荷領域の間を1往復するようにエンジン1が運転したこととなるので、往復運転回数の1回とカウントする。同様に、負荷が、時間t3において低負荷しきい値以上となり、その後さらに高負荷しきい値以上となり、その後時間t4において低負荷しきい値未満となった場合も、往復運転回数の1回とカウントする。すると、図5Bに示すように、累積往復運転回数は時間t2において1回となり、時間t4において2回となり、その後往復運転を繰り返すことで増加する。なお、図5Bの横軸は運転時間である。また、低負荷しきい値と高負荷しきい値とは、構成部品毎に設定される。
【0053】
また、累積往復運転回数に関する疲労度影響係数とは、累積往復運転回数がその構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数であって、事前実験で得られたデータやこれまでの運転実績によって蓄積されたデータなどによって決定され、構成部品毎に設定される。
【0054】
発停や往復運転が繰り返されると、構成部品の金属等の材質が高温になる状態と低温になる状態とが繰り返されるので、ストレスによって劣化する要因となるため、疲労度に影響を与えることとなる。特に、ピストン1eや排気弁1iの疲労度に影響を与えやすいので、これらの構成部品に設定される疲労度影響係数は大きくなる。
【0055】
このとき、運転負荷変動評価点C2はたとえば以下の式(2-1)~(2-3)で表される。
C2=C21+C22 ・・・ (2-1)
C21=(D1/D3)×B21 ・・・ (2-2)
C22=(D2/D4)×B22 ・・・ (2-3)
ここで、C21は累積発停回数についての評価点であり、C22は累積往復運転回数についての評価点である。また、D1は累積発停回数、D2は累積往復運転回数、D3は構成部品の寿命内に想定される累積発停回数、D4は構成部品の寿命内に想定される累積往復運転回数、B21は累積発停回数に関する疲労度影響係数、B22は累積往復運転回数に関する疲労度影響係数である。
【0056】
評価・診断装置3において、評価・診断部3aは、エンジン制御部2から入力された情報に基づいて算出したD1、D2と、評価・診断部3aの記録部に記録されたD3、D4、B21、B22とに基づいてC2を計算により生成し、記録部に記録する。また、評価・診断部3aは、表示部3cにC2を表示させてもよい。
【0057】
(運転サイクル評価点)
運転サイクル評価点は、エンジン1の運転サイクルに関する評価点であって、エンジン1の運転サイクルが、対象となる構成部品の疲労度に対して与える影響を示す指標となるものである。
【0058】
本実施形態では、運転サイクル評価点は、エンジン1の使用開始から、または対象とする構成部品の前回の交換後の使用開始から、現時点までの、エンジン1の累積運転サイクル数と累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数との積と、現時点までの負荷しきい値以上累積運転サイクル数と負荷しきい値以上累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数との積と、を含むものとして規定する。
【0059】
累積運転サイクル数とは、図6Aに示すように、運転サイクルの累積値である。運転サイクルとは、エンジン1の運転の1サイクルであって、エンジン1の出力軸1aが一回転すると1サイクルである。横軸に示す運転時間が増加するにつれて、累積運転サイクル数は増加する。
【0060】
また、累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数とは、累積運転サイクル数がその構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数であって、事前実験で得られたデータやこれまでの運転実績によって蓄積されたデータなどによって決定され、構成部品毎に設定される。
【0061】
負荷しきい値以上累積運転サイクル数とは、図6Bに示すように、エンジン1が、設定された負荷率(負荷しきい値)以上の負荷率で運転した運転サイクルを1回とカウントし、これを累積したものである。負荷しきい値は、構成部品毎に設定されている。たとえば、負荷しきい値は50%である。なお、横軸は運転時間である。
【0062】
また、負荷しきい値以上累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数とは、負荷しきい値以上累積運転サイクル数がその構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数であって、事前実験で得られたデータやこれまでの運転実績によって蓄積されたデータなどによって決定され、構成部品毎に設定される。
【0063】
累積運転サイクル数や負荷しきい値以上累積運転サイクル数が大きいと、シリンダライナ1cやピストンリング1ebが摺動する回数も多くなるので、特にこれらの構成部品の疲労度に対する影響が大きいため、これらの構成部品に設定される疲労度影響係数は大きくなる。
【0064】
このとき、運転サイクル評価点C3はたとえば以下の式(3-1)~(3-3)で表される。
C3=C31+C32 ・・・ (3-1)
C31=(E1/E2)×B31 ・・・ (3-2)
C32=(E3/E4)×B32 ・・・ (3-3)
ここで、C31は累積運転サイクル数についての評価点であり、C32は負荷しきい値以上累積運転サイクル数についての評価点である。また、E1は累積運転サイクル数、E2は構成部品の寿命内に想定される累積運転サイクル数、E3は負荷しきい値以上累積運転サイクル数、E4は構成部品の寿命内に想定される負荷しきい値以上累積運転サイクル数、B31は累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数、B32は負荷しきい値以上累積運転サイクル数に関する疲労度影響係数である。
【0065】
評価・診断装置3において、評価・診断部3aは、エンジン制御部2から入力された情報に基づいて算出したE1、E3と、評価・診断部3aの記録部に記録されたE2、E4、B31、B32とに基づいてC3を計算により生成し、記録部に記録する。また、評価・診断部3aは、表示部3cにC3を表示させてもよい。
【0066】
(燃料性状評価点)
燃料性状評価点は、エンジン1の燃料の性状に関する評価点であって、燃料の性状が、対象となる構成部品の疲労度に対して与える影響を示す指標となるものである。
【0067】
本実施形態では、燃料性状評価点は、エンジン1の使用開始から、または対象とする構成部品の前回の交換後の使用開始から、現時点までに使用された燃料に含まれる成分の濃度とその濃度に関する疲労度影響係数との積と、現時点までに使用された燃料に含まれる2つの成分の濃度の比とその比に関する疲労度影響係数との積と、を含むものとして規定する。
【0068】
燃料に含まれる成分の濃度として、たとえば硫黄(S)の濃度(S濃度)、バナジウム(V)の濃度(V濃度)、ナトリウム(Na)の濃度(Na濃度)、アルミニウム(Al)とケイ素(Si)の合計の濃度(以下、Al+Si濃度とする)、およびセジメント濃度からなる群から選ばれる1以上の濃度を用いることができる。本実施形態では、これらの全ての濃度を用いる。また、濃度としては質量%を用いる。
【0069】
また、成分の濃度に関する疲労度影響係数とは、その成分がその構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数であって、事前実験で得られたデータやこれまでの運転実績によって蓄積されたデータなどによって決定され、構成部品毎に設定される。
【0070】
また、燃料に含まれる2つの成分の濃度の比として、本実施形態では、V濃度に対するNa濃度の比(Na/V)を用いる。
【0071】
また、濃度の比に関する疲労度影響係数とは、濃度の比がその構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数であって、事前実験で得られたデータやこれまでの運転実績によって蓄積されたデータなどによって決定され、構成部品毎に設定される。
【0072】
たとえば、硫黄は燃焼時に水分と反応して硫酸を生成し、構成部品を腐食させるおそれがある。S濃度が高いと、ピストンリング1eb、シリンダライナ1c、排気弁箱1hの疲労度に対する影響が大きい。また、硫黄、バナジウム、ナトリウムは、燃焼室Rの壁面に付着した成分が、高温下や直接火炎で炙られることで溶け出し、構成部品と化学反応して腐食を引き起こすおそれがある。S濃度、V濃度、Na濃度が高いと、ピストン冠1ea、排気弁1i、シリンダカバー1dの疲労度に与える影響が大きい。また、Na/Vが高いと、高温腐食が加速されやすくなるので、ピストン冠1ea、排気弁1i、シリンダカバー1dの疲労度に与える影響が大きい。また、(Al+Si濃度)が高いと、これらが硬質の微粒子となり、摺動部品の異常摩耗を引き起こすおそれがあるので、ピストンリング1eb、シリンダライナ1c、燃料噴射弁1kの疲労度に対する影響が大きい。また、セジメントはスラッジの生成に寄与する。したがって、セジメント濃度が高いと、スラッジが摺動部や排気弁1iのシート部に入り込んで摩耗やシート不良の原因となるので、ピストンリング1eb、シリンダライナ1c、排気弁座1g、燃料噴射弁1kの疲労度に対する影響が大きい。以上説明した影響が大きい構成部品に設定される疲労度影響係数は大きくなる。
【0073】
また、図7は、運転時間に対する燃料の性状に関するパラメータの変化を説明する図である。ここで、燃料の性状に関するパラメータとは、燃料に含まれる成分の濃度、または2つの成分の濃度の比である。
【0074】
図7では、エンジン1は或る性状の燃料を搭載して使用し、時間ゼロから時間t1まで運転を行う。なお、エンジン1の使用開始時または対象とする構成部品の前回の交換後の使用開始時を時間ゼロとする。そして、時間t1からは別の性状の燃料を使用し、時間t2まで運転を行う。さらに、時間t2からはさらに別の性状の燃料を使用し、時間t3まで運転を行い、時間t3からはさらに別の燃料を使用し、その後の運転を行うとする。時間t1以降に使用する燃料は、たとえばそれまでに使用した燃料の残りに新たに別の燃料を補給したものや、新たに搭載した別の燃料である。
【0075】
図7に示すように、使用する燃料の性状によって、パラメータは変動し得るものである。本実施形態では、各パラメータに対して第1基準値と第2基準値を設定して、各パラメータの値の大きさに応じて重み付け係数を採用する。たとえばパラメータの値が第1基準値未満の場合は第1重み付け係数を採用し、パラメータの値が第1基準値以上第2基準値未満の場合は第2重み付け係数を採用し、パラメータの値が第2基準値以上の場合は第3重み付け係数を採用する。ここで、第1重み付け係数を1とし、(第1重み付け係数)<(第2重み付け係数)<(第3重み付け係数)のように大小関係が成り立つようにする。このような大小関係とする理由は、本実施形態では、パラメータの値が大きい程、疲労度に与える影響が大きいからである。なお、第1基準値と第2基準値はパラメータ毎に設定するが、各重み付け係数は全てのパラメータで共通した値としてもよい。また、本実施形態では、基準値が第1基準値と第2基準値の2つであるが、1つまたは3つ以上であってもよい。
【0076】
このとき、燃料性状評価点C4はたとえば以下の式(4-1)~(4-7)で表される。
C4=C41+C42+C43+C44+C45+C46 ・・・ (4-1)
C41=[(F1×T41)/T7]×B41 ・・・ (4-2)
C42=[(F2×T42)/T7]×B42 ・・・ (4-3)
C43=[(F3×T43)/T7]×B43 ・・・ (4-4)
C44=[(F4×T44)/T7]×B44 ・・・ (4-5)
C45=[(F5×T45)/T7]×B45 ・・・ (4-6)
C46=[(F6×T46)/T7]×B46 ・・・ (4-7)
【0077】
ここで、C41はS濃度についての評価点であり、C42はV濃度についての評価点であり、C43はNa濃度についての評価点であり、C44はNa/Vについての評価点であり、C45は(Al+Si)濃度についての評価点であり、C46はセジメント濃度についての評価点である。また、F1はS濃度についての重み付け係数であり、F2はV濃度についての重み付け係数であり、F3はNa濃度についての重み付け係数であり、F4はNa/Vについての重み付け係数であり、F5は(Al+Si)濃度についての重み付け係数であり、F6はセジメント濃度についての重み付け係数であり、それぞれ評価・診断部3aの記録部に記録されている。また、T41はS濃度が第1基準値を超過した運転時間(h)であり、T42はV濃度が第1基準値を超過した運転時間(h)であり、T43はNa濃度が第1基準値を超過した運転時間(h)であり、T44はNa/Vが第1基準値を超過した運転時間(h)であり、T45は(Al+Si)濃度が第1基準値を超過した運転時間(h)であり、T46はセジメント濃度が第1基準値を超過した運転時間(h)である。これらの運転時間は、評価・診断部3aが、エンジン制御部2から入力された運転時間に関する情報と記録部に記録された情報とに基づいて算出する。また、T7は寿命内に想定されるエンジン1の運転時間であり、記録部に記録されている。また、B41はS濃度に関する疲労度影響係数であり、B42はV濃度に関する疲労度影響係数であり、B43はNa濃度に関する疲労度影響係数であり、B44はNa/Vに関する疲労度影響係数であり、B45は(Al+Si)濃度に関する疲労度影響係数であり、B46はセジメント濃度に関する疲労度影響係数であり、それぞれ記録部に記録されている。
【0078】
S濃度、V濃度、Na濃度、Na/V、(Al+Si)濃度、セジメント濃度の各パラメータは、使用する燃料の性状が変わる度に、燃料の成分分析を行って取得される。そして、たとえばオペレータが評価・診断装置3の入力部3bから取得した各パラメータの値を入力する。評価・診断部3aは、入力された値を記録部に記録する。
【0079】
そして、評価・診断装置3において、評価・診断部3aは、C4を計算により生成し、記録部に記録する。また、評価・診断部3aは、表示部3cにC4を表示させてもよい。
【0080】
(燃焼性評価点)
燃焼性評価点は、燃料の燃焼性に関する評価点であって、使用する燃焼性が、対象となる構成部品の疲労度に対して与える影響を示す指標となるものである。
【0081】
本実施形態では、燃焼性評価点は、エンジン1の使用開始から、または対象とする構成部品の前回の交換後の使用開始から、現時点までに使用された燃料の計算炭素芳香性指標であるCCAI(Calculated Carbon Aromaticity Index)の値と、構成部品毎に設定された、燃焼性に関する疲労度影響係数との積を含むものとして規定する。
【0082】
CCAIは、D-140.7×log10log10(V+0.85)-Aで規定され、残渣燃料油の着火性を評価する指標である。ここで、Dは15℃での燃料の密度(kg/m)であり、Vは50℃または100℃での燃料の動粘度(mm/s)である、Aは、Vが50℃における動粘度の場合には80.6であり、100℃における動粘度の場合には111である。
【0083】
また、燃焼性に関する疲労度影響係数とは、燃焼性がその構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数であって、事前実験で得られたデータやこれまでの運転実績によって蓄積されたデータなどによって決定され、構成部品毎に設定される。
【0084】
燃料は、そのCCAIが大きくなる程、着火遅れ時間が長くなる。着火遅れ時間が長いと、同じ量の燃料を使用しても出力が得られにくいので、ある負荷とするときの燃料噴射量をより大きくしなければならない場合がある。また、着火遅れがあると、ピストン1eがより下方に移動するまで燃焼室Rの高温の影響が及ぶので、摺動部品に対する潤滑油が燃焼してしまい、摺動部品の摩耗や熱による劣化が大きくなる場合がある。したがって、これらの影響を受ける構成部品に設定される疲労度影響係数は大きくなる。
【0085】
また、図8は、運転時間に対するCCAI値の変化を説明する図である。図8では、エンジン1は或る燃焼性の燃料を搭載して使用し、時間ゼロから時間t1まで運転を行う。なお、エンジン1の使用開始時または対象とする構成部品の前回の交換後の使用開始時を時間ゼロとする。そして、時間t1からは別の燃焼性の燃料を使用し、時間t2まで運転を行う。さらに、時間t2からはさらに別の燃焼性の燃料を使用し、時間t3まで運転を行い、時間t3からはさらに別の燃焼性の燃料を使用し、その後の運転を行うとする。時間t1以降に使用する燃料は、たとえばそれまでに使用した燃料の残りに新たに別の燃料を補給したものや、新たに搭載した別の燃料である。
【0086】
図8に示すように、使用する燃料の燃焼性によって、CCAI値は変動し得るものである。本実施形態では、CCAI値に対して第1基準値と第2基準値を設定して、CCAI値の大きさに応じて重み付け係数を採用する。たとえばCCAI値が第1基準値未満の場合は第1重み付け係数を採用し、第1基準値以上第2基準値未満の場合は第2重み付け係数を採用し、第2基準値以上の場合は第3重み付け係数を採用する。ここで、第1重み付け係数を1とし、(第1重み付け係数)<(第2重み付け係数)<(第3重み付け係数)のように大小関係が成り立つようにする。このような大小関係とする理由は、本実施形態では、CCAI値が大きい程、疲労度に与える影響が大きいからである。なお、本実施形態では、基準値が第1基準値と第2基準値の2つであるが、1つまたは3つ以上であってもよい。
【0087】
このとき、燃焼性評価点C5はたとえば以下の式(5)で表される。
C5=[(G1×T51)/T52]×B5 ・・・ (5)
ここで、G1は重み付け係数であり、評価・診断部3aの記録部に記録されている。また、T51はCCAI値が第1基準値を超過した運転時間(h)であり、評価・診断部3aが、エンジン制御部2から入力された運転時間に関する情報と記録部に記録された情報とに基づいて算出する。また、T52は寿命内に想定されるエンジン1の運転時間であり、記録部に記録されている。また、B5は燃焼性に関する疲労度影響係数であり、記録部に記録されている。
【0088】
CCAI値は、使用する燃料が変わる度に、燃料の分析を行って取得される。そして、たとえばオペレータが評価・診断装置3の入力部3bから取得したCCAI値を入力する。評価・診断部3aは、入力されたCCAI値を記録部に記録する。
【0089】
そして、評価・診断装置3において、評価・診断部3aは、C5を計算により生成し、記録部に記録する。また、評価・診断部3aは、表示部3cにC5を表示させてもよい。
【0090】
(排ガス温度評価点)
排ガス温度評価点は、エンジン1の排ガスの温度に関する評価点であって、排ガスの温度が、対象となる構成部品の疲労度に対して与える影響を示す指標となるものである。
【0091】
本実施形態では、排ガス温度評価点は、エンジン1の使用開始から、または対象とする構成部品の前回の交換後の使用開始から、現時点までに、温度センサ1bを用いて測定された排ガスの温度と排ガスの温度に関する疲労度影響係数との積を含むものとして規定する。
【0092】
なお、本実施形態では、温度センサ1bは排気マニホールド1mに設けられているが、接続配管1lなどの他の場所に設けられていてもよい。
【0093】
また、排ガスの温度に関する疲労度影響係数とは、排ガスの温度がその構成部品の疲労度や寿命に与える影響の度合いを示す係数であって、事前実験で得られたデータやこれまでの運転実績によって蓄積されたデータなどによって決定され、構成部品毎に設定される。
【0094】
燃焼室Rの周辺の構成部品は、燃料燃焼後に一定温度以上の高温の排ガスに曝されると、熱疲労が発生し、この熱疲労が蓄積されると高温腐食のリスクが増大する。したがって、排ガスに曝される構成部品に設定される疲労度影響係数は大きくなる。
【0095】
また、図9は、運転時間に対する排ガス温度の変化を説明する図である。図9に示すように、エンジン1の使用開始後または対象とする構成部品の前回の交換後の使用開始後、エンジン1の負荷等に応じて排ガス温度が変化し、時間t1で基準値を超える。本実施形態では、排ガス温度に対して基準値を設定して、排ガス温度に応じて重み付け係数を採用する。たとえば排ガス温度が基準値未満の場合は第1重み付け係数を採用し、基準値以上の場合は第2重み付け係数を採用する。ここで、第1重み付け係数を1とし、(第1重み付け係数)<(第2重み付け係数)のように大小関係が成り立つようにする。なお、本実施形態では、基準値が1つであるが、2つ以上であってもよい。
【0096】
このとき、排ガス温度評価点C6はたとえば以下の式(6)で表される。
C6=[(H1×T61)/T62]×B6 ・・・ (6)
ここで、H1は重み付け係数であり、評価・診断部3aの記録部に記録されている。また、T61は排ガス温度が基準値を超過した運転時間(h)であり、評価・診断部3aが、エンジン制御部2から入力された運転時間および排ガス温度に関する情報と記録部に記録された情報とに基づいて算出する。また、T62は寿命内に想定されるエンジン1の運転時間であり、記録部に記録されている。また、B6は排ガス温度に関する疲労度影響係数であり、記録部に記録されている。
【0097】
評価・診断装置3において、評価・診断部3aは、C6を計算により生成し、記録部に記録する。また、評価・診断部3aは、表示部3cにC6を表示させてもよい。
【0098】
評価・診断装置3において、評価・診断部3aは、以上のように各評価点C1~C6を生成した後、これらを式(7)のように加算して、対象とする構成部品の現時点での疲労度の総合評価点Cを算出する。
C=C1+C2+C3+C4+C5+C6 ・・・ (7)
【0099】
図10は、総合評価点を説明する図である。図10では評価点C1~C6をレーダーチャートで示しており、C1が12点、C2が8点、C3が4点、C4が12点、C5が16点、C6が8点の場合を例示している。この場合、総合評価点は60点である。評価・診断部3aは、表示部3cに、図10のようなレーダーチャートと総合評価点Cを表示させてもよい。
【0100】
本実施形態では、評価・診断部3aは、対象とする構成部品の総合評価点が100点になった場合を、その構成部品が寿命を迎えたと判定し、現時点の疲労度は、100点に対する現時点の総合評価点であると評価する。たとえば、総合評価点が60点であれば、寿命に対して6割程度の疲労度であると評価する。
【0101】
図11は、余寿命の予測を説明する図である。評価・診断部3aは、エンジン1の使用開始から、または対象とする構成部品の前回の交換後の使用開始から、随時または定期的に総合評価点を算出して疲労度を評価している。そして、現時点までの疲労度の総合評価点のトレンドから、総合評価点が100点となる時点、すなわち寿命を迎える時点を予測し、現時点から寿命を迎える時点までの時間を余寿命として診断する。図11に示す例では、総合評価点が60点の時点で余寿命を測定しているが、80点や90点等の他の点数の時点で余寿命を診断してもよい。
【0102】
本実施形態に係るシステム100における評価・診断装置3によれば、エンジン1の実際の使用条件に応じた、構成部品の整備間隔、整備時期の推定が可能となる。その結果、エンジン1の構成部品の点検、交換時期をより適切に提示することができる。また、そのような推定、提示が可能となったことにより、不必要な点検や交換を抑止または防止することができるので、作業費および部品交換費用の低減が可能となり、エンジン1の運用の効率が向上する。また、エンジン1の構成部品の余寿命の推定による計画的な保守整備が可能となる。
【0103】
なお、上記実施形態では、総合評価点に排ガス温度評価点を含めている。しかし、本発明はこれに限定されず、排ガス温度評価点を含めずに、運転負荷評価点と、運転負荷変動評価点と、運転サイクル評価点と、燃料性状評価点と、燃焼性評価点とを加算して総合評価点を算出するようにしてもよいし、運転負荷評価点と、運転負荷変動評価点と、運転サイクル評価点と、燃料性状評価点と、燃焼性評価点と、排ガス温度評価点の内、少なくとも2つの評価点を生成し、生成した少なくとも2つの評価点を加算し、総合評価点を算出するようにしてもよい。
【0104】
また、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 エンジン
1a 出力軸
1b 温度センサ
1c シリンダライナ
1d シリンダカバー
1e ピストン
1ea ピストン冠
1eb ピストンリング
1ec ピストンスカート
1f ピストン棒
1g 排気弁座
1ga、1ha 排気ポート
1h 排気弁箱
1i 排気弁
1ia 弁体
1ib 弁棒
1j カバー
1ja 排気弁作動装置
1k 燃料噴射弁
1l 接続配管
1m 排気マニホールド
2 エンジン制御部
3 評価・診断装置
3a 評価・診断部
3b 入力部
3c 表示部
4a 作動油供給配管
4b 給油ポンプ
4c、4f 開閉弁
4d 燃料供給配管
4e 燃料ポンプ
100 システム
R 燃焼室
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11