(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】半導体装置、ディスプレイ装置、電子機器、画像処理方法
(51)【国際特許分類】
H04N 17/04 20060101AFI20220520BHJP
H04N 17/00 20060101ALI20220520BHJP
H04N 5/66 20060101ALI20220520BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
H04N17/04 Z
H04N17/00 A
H04N5/66 Z
G09G3/20 633E
G09G3/20 670F
(21)【出願番号】P 2019567071
(86)(22)【出願日】2019-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2019001771
(87)【国際公開番号】W WO2019146566
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-06-10
(31)【優先権主張番号】P 2018009812
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 洋治
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/104346(WO,A1)
【文献】特開2002-300598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 17/00
H04N 5/66
H04N 9/12
H04N 21/00
G09G 3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルビデオ信号を受信するビデオ入力インタフェースと、
前記デジタルビデオ信号のアクティブエリア内に含まれ、かつディスプレイパネルに表示されないブラインドエリアに、RGBデータのフォーマットでマッピングされたパケットコマンドを抽出し、前記パケットコマンドをデコードするデコーダと、
前記パケットコマンドに応じた処理を実行する処理部と、
を備え、
前記処理部は、
前記デジタルビデオ信号に含まれうる所定画像を記述する基準図形データを保持するメモリと、
前記パケットコマンドが第2コマンドを含むとき、前記デジタルビデオ信号の所定領域、または前記第2コマンドに含まれるパラメータが指定する領域に含まれる画像を、前記所定画像と比較する第2比較部と、
を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記処理部は、
前記パケットコマンドが第1コマンドを含むとき、前記デジタルビデオ信号の所定領域、または前記第1コマンドに含まれるパラメータが指定する領域に含まれるRGBデータについて検査用の値を計算する計算部と、
前記計算部において得られた前記検査用の値を、前記第1コマンドに含まれる前記検査用の値の期待値と比較する第1比較器と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記検査用の値は、CRC(Cyclic Redundancy Checking)またはチェックサムにより計算されることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
所定のパラメータを格納するレジスタをさらに備え、
前記処理部は、前記パケットコマンドが第3コマンドを含むとき、前記レジスタの値を、前記第3コマンドに含まれる前記レジスタの値の期待値と比較する第3比較器を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
デジタルビデオ信号を受信するビデオ入力インタフェースと、
前記デジタルビデオ信号のアクティブエリア内に含まれ、かつディスプレイパネルに表示されないブラインドエリアに、RGBデータのフォーマットでマッピングされたパケットコマンドを抽出し、前記パケットコマンドをデコードするデコーダと、
前記パケットコマンドに応じた処理を実行する処理部と、
所定のパラメータを格納するレジスタと、
を備え、
前記処理部は、前記パケットコマンドが第3コマンドを含むとき、前記レジスタの値を、前記第3コマンドに含まれる前記レジスタの値の期待値と比較する第3比較器を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
前記処理部における処理結果を、割り込み要求として外部に出力することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記処理部における処理結果を、外部からアクセス可能なレジスタに書き込むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
タイミングコントローラであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項9】
タイミングコントローラとソースドライバの機能を備えるワンチップドライバであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
ブリッジ回路であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の半導体装置を備えることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項12】
請求項1から10のいずれかに記載の半導体装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項13】
グラフィックプロセッサにおいて、デジタルビデオ信号を生成するステップと、
グラフィックプロセッサにおいて、前記デジタルビデオ信号のアクティブエリア内に含まれ、かつディスプレイパネルに表示されないブラインドエリアに、RGBデータのフォーマットで、パケットコマンドをマッピングするステップと、
グラフィックプロセッサから前記デジタルビデオ信号を送信するステップと、
前記デジタルビデオ信号を受信するステップと、
前記デジタルビデオ信号に含まれうる所定画像を記述する基準図形データを保持しておくステップと、
前記デジタルビデオ信号のアクティブエリア内に含まれ、かつディスプレイパネルに表示されないブラインドエリアに、RGBデータのフォーマットでマッピングされたパケットコマンドを抽出し、前記パケットコマンドをデコードするステップと、
前記パケットコマンドが第2コマンドを含むとき、前記デジタルビデオ信号の所定領域、または前記第2コマンドに含まれるパラメータが指定する領域に含まれる画像を、前記所定画像と比較するステップと、
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】
グラフィックプロセッサにおいて、デジタルビデオ信号を生成するステップと、
グラフィックプロセッサにおいて、前記デジタルビデオ信号のアクティブエリア内に含まれ、かつディスプレイパネルに表示されないブラインドエリアに、RGBデータのフォーマットで、パケットコマンドをマッピングするステップと、
グラフィックプロセッサから前記デジタルビデオ信号を送信するステップと、
前記デジタルビデオ信号を受信するステップと、
レジスタに所定のパラメータを格納するステップと、
前記デジタルビデオ信号のアクティブエリア内に含まれ、かつディスプレイパネルに表示されないブラインドエリアに、RGBデータのフォーマットでマッピングされたパケットコマンドを抽出し、前記パケットコマンドをデコードするステップと、
前記パケットコマンドが第3コマンドを含むとき、前記レジスタの値を、前記第3コマンドに含まれる前記レジスタの値の期待値と比較するステップと、
を備えることを特徴とする画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルビデオ信号のインタフェースを有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、画像表示システムのブロック図である。画像表示システム100Rは、液晶パネルや有機ELパネルなどのディスプレイパネル102と、ゲートドライバ104、ソースドライバ106、グラフィックプロセッサ110、マイクロコントローラ112およびタイミングコントローラ200を備える。グラフィックプロセッサ110は、ディスプレイパネル102に表示すべきビデオデータを生成する。このビデオデータに含まれるピクセル(RGB)データは、シリアル形式で、タイミングコントローラ200に伝送される。
【0003】
タイミングコントローラ200は、ビデオデータを受け、各種の制御/同期信号を生成する。ゲートドライバ104は、タイミングコントローラ200からの信号と同期してディスプレイパネル102の走査線LSを順に選択する。またRGBデータは、ソースドライバ106に供給される。
【0004】
タイミングコントローラ200は、主として、受信回路202、送信回路204、ロジック回路210を備える。受信回路202は、グラフィックプロセッサ110からシリアル形式でビデオデータを受信する。ロジック回路210は、受信回路202が受信したビデオデータにもとづいて、制御/同期信号を生成する。送信回路204は、制御信号やビデオデータを、ゲートドライバ104およびソースドライバ106に出力する。
【0005】
インタフェース回路212は、タイミングコントローラ200を外部から制御するために設けられる。たとえばインタフェース回路212は、I2C(Inter IC)インタフェースやSPI(Serial Peripheral Interface)であり、マイクロコントローラ112(あるいはグラフィックプロセッサ)からアクセス可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平6-317782号公報
【文献】特開2002-169524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図1の画像表示システム100Rにおいて、タイミングコントローラ200が正常に動作しているかをチェックしたいという要求がある。このチェックにインタフェース回路212を利用した場合、チェックの頻度を高めると、マイクロコントローラ112(あるいはグラフィックプロセッサ)の負荷が増大する。
【0008】
HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)規格やDisplayPort規格では、1フレームのうち、アクティブエリア外のブランク期間において、グラフィックプロセッサ110から受信回路202に対してコントロール信号を送信可能となっている。したがってこれらのコントロール信号を利用して、タイミングコントローラ200の状態を外部からチェックできるように、タイミングコントローラ200を設計することも可能である。
【0009】
ところが、コントロール信号に関して、ビデオインタフェースの規格(HDMI規格やDipslayPort規格)ごとに固有の仕様(プロトコル)が規定されている。一方で、タイミングコントローラ200は、ビデオインタフェースの規格ごとに製品ラインナップを揃える必要がある。したがって、タイミングコントローラの設計に際しては、対応するビデオインタフェースの規格ごとに、プロトコルを変更する必要があり、タイミングコントローラ200の汎用性、流用性が低下する。
【0010】
グラフィックプロセッサ110についても同様であり、ビデオインタフェースの規格ごとに、制御信号のプロトコルを変更する必要がある。
【0011】
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、タイミングコントローラなどのビデオインタフェースを有する半導体装置を、ビデオインタフェースの規格に依存せずに制御する技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のある態様は、半導体装置に関する。半導体装置は、デジタルビデオ信号を受信するビデオ入力インタフェースと、デジタルビデオ信号のアクティブエリア内に含まれ、かつディスプレイパネルに表示されないブラインドエリアに、RGBデータのフォーマットでマッピングされたパケットコマンドを抽出し、パケットコマンドをデコードするデコーダと、パケットコマンドに応じた処理を実行する処理部と、を備える。
【0013】
本発明の別の態様は、グラフィックプロセッサである。このグラフィックプロセッサは、デジタルビデオ信号のアクティブエリア内に含まれ、かつディスプレイパネルに表示されないブラインドエリアに、RGBデータのフォーマットで、パケットコマンドをマッピングするエンコーダと、デジタルビデオ信号を送信するビデオ出力インタフェースと、を備える。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、画像処理方法である。この方法は、グラフィックプロセッサにおいて、デジタルビデオ信号を生成するステップと、グラフィックプロセッサにおいて、デジタルビデオ信号のアクティブエリア内に含まれ、かつディスプレイパネルに表示されないブラインドエリアに、RGBデータのフォーマットで、パケットコマンドをマッピングするステップと、グラフィックプロセッサからデジタルビデオ信号を送信するステップと、デジタルビデオ信号を受信するステップと、デジタルビデオ信号のアクティブエリア内に含まれ、かつディスプレイパネルに表示されないブラインドエリアに、RGBデータのフォーマットでマッピングされたパケットコマンドを抽出し、パケットコマンドをデコードするステップと、パケットコマンドに応じた処理を実行するステップと、を備える。
【0015】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、あるいは本発明の表現を、方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0016】
さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0017】
本発明のある態様によれば、ビデオインタフェースを有する半導体装置を、ビデオインタフェースを用いて外部から制御可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】実施の形態に係る半導体装置を備える画像表示システムの基本構成を示すブロック図である。
【
図3】1フレーム分のデジタルビデオ信号を説明する図である。
【
図4】デジタルビデオ信号の伝送を説明する図である。
【
図5】
図5(a)~(d)は、パケットコマンドBDP-cmdのマッピングの一例を説明する図である。
【
図6】
図6(a)、(b)は、パケットマッピングの具体例を示す図である。
【
図7】ブラインドデータラインのフォーマットの一例を示す図である。
【
図8】
図8(a)は、エラーチェック用のコマンドに対応した半導体装置を示す図であり、
図8(b)は、エラーチェックを説明する図である。
【
図9】画像比較用のコマンドに対応した半導体装置を示す図である。
【
図10】ステータスチェック用のコマンドに対応した半導体装置を示す図である。
【
図11】
図11(a)~(d)は、半導体装置の具体的なアプリケーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態の概要)
本明細書に開示される一実施の形態は、半導体装置に関する。半導体装置は、デジタルビデオ信号を受信するビデオ入力インタフェースと、デジタルビデオ信号のアクティブエリア内に含まれ、かつディスプレイパネルに表示されないブラインドエリアに、RGBデータのフォーマットでマッピングされたパケットコマンドを抽出し、パケットコマンドをデコードするデコーダと、パケットコマンドに応じた処理を実行する処理部と、を備える。これによると、ビデオフレームにブラインドエリアを設け、パケットコマンドを、ブラインドエリアに含まれるRGBデータにマッピングすることにより、ビデオインタフェースの規格に依存しない共通のフォーマットで、半導体装置を制御することが可能となる。
【0020】
たとえば、パケットコマンドを利用して、エラーチェック、画像比較、ステータスチェックが可能となる。
【0021】
(エラーチェック)
処理部は、パケットコマンドが第1コマンドを含むとき、デジタルビデオ信号の所定領域、または第1コマンドに含まれるパラメータが指定する領域に含まれるRGBデータについて検査用の値を計算する計算部と、計算部において得られた検査用の値を、第1コマンドに含まれる検査用の値の期待値と比較する第1比較器と、を含んでもよい。これによると、デジタルビデオ信号が正常に伝送されているかどうかをチェックできる。
【0022】
検査用の値は、CRC(Cyclic Redundancy Checking)またはチェックサムにより計算されてもよい。
【0023】
(画像比較)
処理部は、デジタルビデオ信号に含まれうる所定画像を記述する基準図形データを保持するメモリと、パケットコマンドが第2コマンドを含むとき、デジタルビデオ信号の所定領域、または第2コマンドに含まれるパラメータが指定する領域に含まれる画像を、所定画像と比較する第2比較部と、を含んでもよい。デジタルビデオ信号に、繰り返し同じ所定画像(図形、パターン、アイコン、文字)が含まれる場合には、所定画像の情報を予め半導体装置側に与えておき、半導体装置側で比較させることにより、デジタルビデオ信号が正常に伝送されているかどうかをチェックできる。
【0024】
(ステータスチェック)
半導体装置は、所定のパラメータを格納するレジスタを備えてもよい。処理部は、パケットコマンドが第3コマンド(ステータスチェック)を含むとき、レジスタの値を、第3コマンドに含まれるレジスタの値の期待値と比較する第3比較器と、を含んでもよい。これにより、半導体装置の状態が、デジタルビデオ信号を生成するプロセッサが期待する状態と一致するか否かを判定することができる。
【0025】
処理部における処理結果を、割り込み要求(IRQ:Interrupt Request)として外部に出力してもよい。この場合、レジスタアクセスに比べて、ハードウェアの負荷を低減できる。
【0026】
処理部における処理結果を、外部からアクセス可能なレジスタに書き込んでもよい。
【0027】
半導体装置は、タイミングコントローラであってもよい。あるいは半導体装置は、タイミングコントローラとソースドライバの機能を備えるワンチップドライバであってもよい。あるいは半導体装置は、ブリッジ回路であってもよい。ブリッジ回路は、あるビデオインタフェース規格のビデオ信号を、別のビデオインタフェース規格のビデオ信号に変換する機能、ビデオ信号を複数の系統に分配する機能、複数系統のビデオ信号からひとつのビデオ信号を選択する機能の少なくともひとつを有してもよい。
【0028】
(実施の形態)
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0029】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさず、あるいは機能を阻害しない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0030】
図2は、実施の形態に係る半導体装置300を備える画像表示システム100の基本構成を示すブロック図である。画像表示システム100は、半導体装置300およびグラフィックプロセッサ400を備える。
【0031】
グラフィックプロセッサ400は、GPU(Graphics Processing Unit)などであり、ビデオデータを生成する。グラフィックプロセッサ400は、画像処理部402、ビデオ出力インタフェース404、エンコーダ406を備える。画像処理部402は、ディスプレイパネル(不図示)に表示すべきビデオデータS1を生成する。ビデオ出力インタフェース404は、HDMI規格やDisplayPort規格あるいはDVI(Digital Visual Interface)規格に準拠したトランスミッタを含み、ビデオデータS1を含むデジタルビデオ信号S2をシリアル形式で半導体装置300に送信する。
【0032】
本実施の形態では、グラフィックプロセッサ400から半導体装置300に対して、ビデオデータS1に加えて、パケットコマンドS3を、デジタルビデオ信号S2に含まれる形で送信可能となっている。
【0033】
図3は、1フレーム分のデジタルビデオ信号500を説明する図である。デジタルビデオ信号500は、アクティブエリア(Active Video Region)510とそれ以外のブランキングエリア(Blanking Region)520を含む。ブランキングエリア520は、垂直ブランキングエリア522と、水平ブランキングエリア524を含む。
【0034】
垂直ブランキングエリア522は、1フレームの総ライン数のうち、先頭の数ライン分に相当する。水平ブランキングエリア524は、1ラインの総ピクセル数のうち、先頭の数ピクセル分に相当する。
【0035】
本実施の形態において、アクティブエリア510は、ディスプレイパネルに表示すべき(言い換えればユーザに提示すべき)表示エリア512と、ディスプレイには表示されない(言い換えればユーザには提示されない)領域(ブラインドエリア)514を含む。
図3では、アクティブエリア510のうち、先頭の2ライン分が、ブラインドエリア514に割り当てられる。この2ラインをブラインドデータライン516と称する。
【0036】
表示エリア512には、ビデオデータS1がRGBフォーマットでマッピングされる。これと同様に、ブラインドエリア514には、パケットコマンドS3がRGBフォーマットにてマッピングされる。
【0037】
図4は、デジタルビデオ信号500の伝送を説明する図である。デジタルビデオ信号500を伝送する1フレーム期間のうち、垂直ブランキングエリア522に対応する期間中、垂直ブランキング信号VBlankがアサート(ハイ)される。垂直ブランキング信号VBlankがネゲート(ロー)されると、アクティブエリア510に相当するアクティブラインの伝送が開始する。
【0038】
垂直ブランキング信号VBlankがネゲート(ロー)されると、アクティブエリア510の先頭に位置するブラインドエリア514に含まれるブラインドデータライン516が伝送される。続いて、表示エリア512に含まれる表示ライン518が伝送される。アクティブピクセルが伝送される期間、データイネーブル信号DE(またはVDE)がアサート(ハイ)される。各ライン516、518には、複数のピクセルデータ530が含まれ、各ピクセルデータはRGBデータを含む。
【0039】
図2に戻る。エンコーダ406は、ブラインドエリアに対応するブラインドデータライン516に、パケットコマンドS
3を、RGBデータのフォーマットでマッピングする。ビデオ出力インタフェース404は、ビデオデータS
1とパケットコマンドS
3を含むデジタルビデオ信号S
2を、半導体装置300に送信する。
【0040】
半導体装置300は、グラフィックプロセッサ400からのデジタルビデオ信号S2を受信可能なビデオ入力インタフェースを有するさまざまなデバイスであり、その種類は特に限定されない。
【0041】
半導体装置300は、ビデオ入力インタフェース302、デコーダ304、処理部306を備える。ビデオ入力インタフェース302は、デジタルビデオ信号S2を受信する。デコーダ304は、デジタルビデオ信号S2のブラインドデータラインに、RGBデータのフォーマットでマッピングされたパケットコマンドS3を抽出し、パケットコマンドS3をデコードする。処理部306は、デコーダ304が抽出したパケットコマンドS3に応じた処理を実行する。ビデオ入力インタフェース302が受信したデジタルビデオ信号S2のうちビデオデータS1は、画像処理部308に供給される。画像処理部308は、ビデオデータS1に対して、半導体装置300に要求される処理を実行する。
【0042】
図5(a)~(d)は、パケットコマンドBDP-cmdのマッピングの一例を説明する図である。
図5(a)には、パケットコマンドBDP-cmdの基本フォーマットが示される。パケットコマンドBDP-cmdは、ヘッダ(HEADER)とデータ(DATA)を含む。ヘッダには、コマンドの種類を示す制御識別子(CTL-ID)およびコマンド長(CTL-LENG)が含まれる。データには、制御データ(CTL-DATA)が含まれる。たとえば制御識別子、コマンド長には8ビットが割り当てられる。制御データ(CTL-DAT)は、コマンド長(CTL-LENG)が示す値に応じたビット数を有し、たとえば16×(CTL-LENG+1)である。
【0043】
図5(a)のパケットコマンドBDP-cmdは、
図5(b)に示すように、RGBデータとしてマッピングされる。たとえば1ピクセル目のRGBデータ(R0,G0,B0)には、パケットコマンドBDP-cmdのヘッダに含まれるビットがマッピングされる。2ピクセル目のRGBデータ(R1,G1,B1)および3ピクセル目のRGBデータ(R2,G2,B2)には、パケットコマンドBDP-cmdのデータに含まれるビットがマッピングされる。
【0044】
受信側において、パケットコマンドを正しく受信したかを検証するために、CRCビットが付加される。
図5(c)は、CRC(巡回冗長検査)用のデータが付加されたピクセルデータ(BDPピクセルという)を示す。BDPピクセルの4ピクセル目以降のRGBデータ(R3,G3,B3)には、CRCデータがマッピングされる。なお、CRCデータは、パケットコマンドS
3が正しく伝送されたか否かをチェックするためのデータであり、後述するパケットコマンドを利用したチェックと混同してはならない。
【0045】
図5(c)のBDPピクセルは、
図5(d)に示すように、スロット(Slot)に格納される。スロットには、同期ピクセル(Sync-pixel)、BDPピクセルおよびブランクデータ(Blank)が含まれる。
【0046】
図6(a)、(b)は、パケットマッピングの具体例を示す図である。ヘッダの制御識別子(CTL-ID)、コマンド長(CTL-LENG)はそれぞれ8ビットであり、合計16ビットである。
【0047】
またデータには、DAT0(4ビット),DAT1(13ビット),DAT2(13ビット)、RSV(2ビット)、合計32ビットが含まれる。DAT0,DAT1,DAT1,RSVに割り当てられるパラメータは、コマンドの種類ごとに決めればよい。
【0048】
図6(a)は、18bpp(bit per pixel)、すなわちRGBそれぞれが6ビットの場合を示す。ヘッダに含まれる16ビットは、R0,G0,B0の18ビットに、左詰めで割り当てられる。もちろん右詰で割り当ててもよい。
【0049】
またデータに含まれる32ビットは、2,3ピクセル目のR1,G1,B1,R2,G2,B2の36ビットに、左詰で割り当てられる。
【0050】
たとえばCRC用のデータは、ヘッダとデータをマッピングした後、R,G,Bそれぞれに分けて計算してもよい。この例ではCRC16を用いるものとする。R(G,B)について計算されたCRC値を、CRC16-R(CRC16-G,CRC16-B)とする。R,G,BそれぞれのCRCデータは16ビットであり、合計48ビットを含む。これらは、4番目から6番目のピクセル(54ピクセル)にマッピングされる。
【0051】
図6(b)は、24bppの例を示す。CRC用のデータは、4番目のピクセル(R3,G3,B3)および5番目のピクセル(R4,G4,B4)に割り当てられる。
【0052】
図7は、ブラインドデータラインのフォーマットの一例を示す図である。ブラインドデータラインの本数は、たとえば、最大で7本まで拡張可能としてもよい。同一ライン、あるいは複数のラインに、同じコマンドを格納することも可能であり、この場合、冗長性を高めることができる。
【0053】
ブラインドデータラインには、定期的に同期ピクセル(Sync-pixel)が挿入される。たとえば同期ピクセルは、1ピクセルの固定長を有する。
【0054】
最初の同期ピクセルは、ブラインドデータラインの先頭に配置し、それ以降、所定周期(たとえば32ピクセル周期)で挿入してもよい。同期ピクセルから次の同期ピクセルまでをスロットと定義する。スロット数が、1フレーム中の最大パケット数となる。BDPピクセルは、同期ピクセルの次のピクセルから開始する。なお、ラインの途中で、BDPピクセルが格納されないスロットが存在してもよい。先頭の同期ピクセルが検出できない場合、受信側では、そのフレームのブラインドデータラインのデコードを破棄してもよい。それ以降の中間の同期ピクセルが検出できない場合、そのスロットのデコードを破棄してもよい。
【0055】
受信側のデコーダは、同期ピクセルの検出を失敗したスロット番号を、グラフィックプロセッサ400からアクセス可能なレジスタに格納してもよい。これにより、グラフィックプロセッサ400は、レジスタリードにより、エラーの生じたスロット番号を知ることができる。
【0056】
なお、同期ピクセルを2種類(あるいはそれ以上)用意することにより、複数のスロットに跨がって、長いBDPピクセルを格納することも可能となる。
【0057】
実施の形態によれば、ビデオフレームにブラインドエリアを設け、パケットコマンドを、ブラインドエリアに含まれるRGBデータにマッピングすることにより、ビデオインタフェースの規格に依存しない共通のフォーマットで、半導体装置300を制御することが可能となる。
【0058】
続いて、パケットコマンドの例を具体的に説明する。
【0059】
(エラーチェック)
図8(a)は、エラーチェック用のコマンドに対応した半導体装置300Aを示す図である。
図8(a)の処理部306Aは、エラーチェック用の第1コマンドに対応する。処理部306Aは、計算部310、第1比較器312を含む。パケットコマンドBDP-cmdが第1コマンド(エラーチェックコマンド)を含むとき、計算部310は、デジタルビデオ信号(ビデオデータS
1)の所定領域、または第1コマンドに含まれるパラメータが指定する領域に含まれるRGBデータについて、検査用の値を計算する。この例では、CRCを用いるものとする。第1コマンドのデータ部分には、検査用の値の期待値が含まれている。第1比較器312は、計算部310による計算値CALCと、第1コマンドに含まれる期待値EXPを比較する。
【0060】
図8(b)は、エラーチェックを説明する図である。この例では、ブラインドデータライン516に、3個の第1コマンドRX_ICRC0~RX_ICRC2が含まれており、3つのエリアがチェック対象として指定される。各コマンドRX_ICRC#(#=0,1,2)のデータ部分には、それぞれが対象とするエリアRGN#を指定するパラメータと、CRCの期待値EXP#が含まれる。
【0061】
このエラーチェックのコマンドをサポートすることにより、フレームが正しく伝送されたか否かを判定することができる。処理部306Aは、比較結果を、割り込み要求IRQとして外部に出力する。たとえばエラーが検出されたときにグラフィックプロセッサ400に割り込みをかけることにより、チェックごと(フレームごと)のレジスタアクセスの発生を防止でき、負荷を軽減できる。
【0062】
なお検査用の値の計算には、CRC(Cyclic Redundancy Checking)に代えて、チェックサムなど、他の方式を用いてもよい。また、1個の第1コマンドで、複数のエリアを指定可能としてもよい。
【0063】
(画像比較)
図9は、画像比較用のコマンドに対応した半導体装置300Bを示す図である。
図9の処理部306Bは、画像比較用の第2コマンドに対応する。処理部306Bは、メモリ320および第2比較部322を含む。
【0064】
映像には、同じ画像(図形、パターン、アイコン、文字)が繰り返し発生する。そこで、繰り返し用いられる所定画像を標準図形として規定し、所定画像を記述する基準図形データを、予めメモリ320に格納しておく。基準図形データは、半導体装置300の起動時に、外部から読み込んでもよいし、半導体装置300が不揮発的に保持してもよい。
【0065】
第2比較部322は、パケットコマンドBDP-cmdが第2コマンドを含むとき、デジタルビデオ信号(ビデオデータS1)の所定領域に含まれる画像を、メモリ320の基準図形データから再生された所定画像(すなわち期待値)と比較する。比較結果は、割り込み要求IRQとして出力される。
【0066】
所定画像が発生する位置が、フレーム毎に異なる場合には、第2コマンドのデータ部分に、発生箇所を指定するパラメータを含めればよい。
【0067】
このように、デジタルビデオ信号に、繰り返し同じ所定画像(図形、パターン、アイコン、文字)が含まれる場合には、所定画像の情報を予め半導体装置側に与えておき、半導体装置側で比較させることにより、デジタルビデオ信号が正常に伝送されているかどうかをチェックできる。
【0068】
(ステータスチェック)
図10は、ステータスチェック用のコマンドに対応した半導体装置300Cを示す図である。処理部306Cは、ステータスチェック用の第3コマンドに対応する。処理部306Cは、レジスタ330および第3比較部332を含む。
【0069】
レジスタ330には、半導体装置300の状態を示すパラメータが格納されている。パラメータが示す状態は特に限定されない。
【0070】
第3比較部332は、パケットコマンドBDP-cmdが第3コマンド(ステータスチェック)を含むとき、レジスタ320の値を、第3コマンドに含まれるレジスタの値の期待値と比較する。第3コマンドのデータ部分は、チェック対象とするレジスタのアドレスを含んでもよく、第3比較部332は、指定されたアドレスにアクセスし、その値を、期待値と比較することができる。
【0071】
これにより、半導体装置300Cの状態が、グラフィックプロセッサ400が期待する状態となっているかどうかをチェックすることができる。
【0072】
図11(a)~(d)は、半導体装置300の具体的なアプリケーションを示す図である。
図11(a)において、半導体装置300は、タイミングコントローラ200である。タイミングコントローラ200は、グラフィックプロセッサ400からのデジタルビデオ信号S
2を受け、ゲートドライバ104およびソースドライバ106を制御する。
【0073】
図11(b)において、半導体装置300は、ブリッジチップ120である。ブリッジチップ120は、グラフィックプロセッサ400とタイミングコントローラ200の間に設けられ、グラフィックプロセッサ400の出力インタフェースと、タイミングコントローラの入力インタフェースの橋渡しをする。
【0074】
図11(c)において、半導体装置300は、ブリッジチップ130である。ブリッジチップ130は、グラフィックプロセッサ400からのビデオ信号を、複数系統に分岐する。ブリッジチップ130は、複数の系統に、入力されたビデオ信号と同じビデオ信号を分配してもよい。あるいは、ブリッジチップ130は、入力されたビデオ信号を複数の領域(画面)に分割して、複数の系統に分配してもよい。
【0075】
図11(d)において、半導体装置300は、ワンチップドライバ140である。ワンチップドライバ140は、タイミングコントローラの機能とディスプレイドライバ(ソースドライバ)の機能を備える。
【0076】
図11(a)~(d)の画像表示システムは、車載用ディスプレイや医療用ディスプレイ、テレビ、PC用のディスプレイを初めとするさまざまなディスプレイ装置に用いることができる。あるいは、画像表示システムは、ノートコンピュータやタブレット端末、スマートフォン、デジタルカメラやデジタルビデオカメラなどの電子機器に内蔵することもできる。
【0077】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0078】
図8~
図10では、処理部306における処理結果を、割り込み要求として出力したが、その限りでない。処理結果を外部からアクセス可能なレジスタに格納してもよい。
【0079】
半導体装置300は、実施の形態で説明した3つのコマンドのうち、2つ以上をサポートするように実装してもよい。またコマンドの種類は、例示したものに限定されず、さまざまな命令や処理を定義することができる。
【0080】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0081】
100 画像表示システム
102 ディスプレイパネル
104 ゲートドライバ
106 ソースドライバ
300 半導体装置
302 ビデオ入力インタフェース
304 デコーダ
306 処理部
310 計算部
312 第1比較器
320 メモリ
322 第2比較部
330 レジスタ
332 第3比較部
400 グラフィックプロセッサ
402 画像処理部
404 ビデオ出力インタフェース
406 エンコーダ
500 デジタルビデオ信号
510 アクティブエリア
512 表示エリア
514 ブラインドエリア
516 ブラインドデータライン
518 表示ライン
520 ブランキングエリア
522 垂直ブランキングエリア
524 水平ブランキングエリア
530 ピクセルデータ
S1 ビデオデータ
S2 デジタルビデオ信号
S3 パケットコマンド
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、デジタルビデオ信号のインタフェースを有する半導体装置に関する。