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  • 特許-複合材料及びそれを用いた半導体容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】複合材料及びそれを用いた半導体容器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20220520BHJP
   C08L 45/00 20060101ALI20220520BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20220520BHJP
   B65D 85/38 20060101ALI20220520BHJP
   B65D 85/30 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
H01L21/68 T
C08L45/00
C08K3/04
B65D85/38 310
B65D85/30 500
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020006801
(22)【出願日】2020-01-20
(65)【公開番号】P2020123720
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2020-04-27
(31)【優先権主張番号】108103648
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506017182
【氏名又は名称】家登精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUDENG PRECISION INDUSTRIAL CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】9F.,No.2,Sec.4,Zhongyang Rd.,Tucheng Dist.,New Taipei,Taiwan236
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】江 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】邱 銘乾
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/102318(WO,A1)
【文献】特開2013-194200(JP,A)
【文献】特開2017-110212(JP,A)
【文献】特開平06-041361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
C08L 45/00
C08K 3/04
B65D 85/38
B65D 85/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロオレフィン組成物で製造された複合材料半導体容器であって、該シクロオレフィン組成物はグラフェン材料を添加したシクロオレフィンコポリマー(Cycloolefin copolymer、COC)、グラフェン材料を添加したシクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)又はグラフェン材料を添加した環状ブロックコポリマー(Cyclic Block Copolymer、CBC)を含み、そのうち、該グラフェン材料が占める重量パーセントは0.6%~1.8%であり、
ここで、該グラフェン材料はグラフェンナノプレートレット(Graphene nanoplatelets)、酸化グラフェン(graphene oxide)又はその組み合わせであることを特徴とする、複合材料半導体容器。
【請求項2】
前記複合材料半導体容器はレチクルキャリア又はウェハキャリアであることを特徴とする、請求項1に記載の複合材料半導体容器。
【請求項3】
前記レチクルキャリアは極端紫外線(Extreme ultraviolet lithography、EUV)レチクルポッドであることを特徴とする、請求項2に記載の複合材料半導体容器。
【請求項4】
前記複合材料半導体容器の比重が1~1.2であることを特徴とする、請求項1に記載の複合材料半導体容器。
【請求項5】
前記複合材料半導体容器の含水率が0.0001%~0.01%であることを特徴とする、請求項1に記載の複合材料半導体容器。
【請求項6】
前記複合材料半導体容器の収縮率が0.1%~0.5%であることを特徴とする、請求項1に記載の複合材料半導体容器。
【請求項7】
前記複合材料半導体容器の耐衝撃強度が30(ジュール/メートル)~50(ジュール/メートル)であることを特徴とする、請求項1に記載の複合材料半導体容器。
【請求項8】
前記グラフェン材料が占める重量パーセントが0.6%~1.8%であるとき、該複合材料半導体容器の表面抵抗率(Surface resistivity)は10~1012オーム/単位面積(Ω/sq.)であることを特徴とする、請求項1に記載の複合材料半導体容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は材料組成物及びその用途に関し、特に、グラフェン材料を添加した複合材料を主成分とする組成物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体工業において、一般的に使用される格納用の容器には、搬送容器と保存容器の2種類がある。一般的な半導体容器の主要材料には、ポリプロピレン(Polypropylene、PP)、ポリカーボネート(Polycarbonate、PC)、液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer、LCP)等がある。
【0003】
初期の搬送容器はポリプロピレンを主要材料としたものが多かったが、製造の歩留まりが低いため、現在ではあまり使用されていない。後にポリカーボネートを主要材料としたものに発展したが、材料自体の吸水率が0.25%より大きいため、低湿度を維持できる時間が短く、そのプロセス加工過程では乾燥を維持する必要性が比較的高いため、製造コストが上昇し、これも現在ではあまり使用されていない。液晶ポリマーを主要材料とするものは、一般的に硬度が高く、熱変形温度が高く、歩留まりが高く、湿度維持時間が長いという利点がある。しかし、一方で材料コストが比較的高く、垂直の流体方向の強度が弱く、断裂しやすい等、その他の問題がある。
【0004】
そのため、容器の主要構造を変更することなく、半導体工業の厳格なプロセス標準とコスト面を考慮して、主要材料を選択することが非常に重要になっている。軽量で、寸法安定性が高く、耐衝撃性を備え、湿度を長時間維持でき、有害ガスの放出と有機ガスの揮発が少ない等、諸々の要求を満たすために、材料のみをいかにして改善するかは、本発明の解決すべき課題の1つである。
【0005】
上記の材質について、中華民国特許公告第TWI560798号特許に示される発明などのその後の開発・応用において、シクロオレフィン組成物にカーボンナノチューブ(Carbon Nanotube、CNT)を添加して、半導体容器の静電防止(Anti-static)グレードの調整を達成する技術が言及されている。しかしながら、カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube、CNT)は高価なカーボン材料であり、カーボンナノチューブの添加はそのさまざまな特性の向上に有効であるものの、半導体容器のコストが大幅に高くなる。さらに、半導体容器に使用するカーボンナノチューブ(Carbon Nanotube、CNT)の量が多すぎても、環境汚染を引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】中華民国特許公告第TWI560798号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術で言及した、製造コストの大幅な増加で商用が難しく、環境汚染を引き起こす可能性がある問題に鑑み、本発明の目的は、カーボンナノチューブの使用と汚染の問題を大幅に減らし、同時に複合材料の導電性(Conductive)、静電気放電(Electro-Static Dissipative、ESD)又は静電防止(Anti-static)等の特性を任意に調整できる、複合材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記したように、本発明は、構成材料がシクロオレフィン系化合物又は環状ブロックコポリマー(Cyclic Block Copolymer、CBC)を含み、さらにグラフェン材料を添加し、グラフェン材料が占める重量パーセントが0.6%~8.0%となるようにした、複合材料を提供する。ここで、シクロオレフィン系化合物は、シクロオレフィンコポリマー(Cycloolefin copolymer、COC)又はシクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)とすることができ、該グラフェン材料はグラフェンナノプレートレット(Graphene nanoplatelets)、酸化グラフェン(graphene oxide)又はその組み合わせとすることができる。
【0009】
シクロオレフィン系化合物の製造方法の1つは、開環メタセシス重合法(Ring-pening metathesis polymerization、ROMP)であり、反応射出成型(reaction injection molding)された熱硬化性コポリマーを、水素化プロセスを利用して分子量を制御した熱可塑性コポリマー、即ち、シクロオレフィンコポリマー(Cycloolefin copolymer、COC)のタイプである。他の1つは、触媒の存在下で重合反応を行い、主鎖上に二環の構造を有するもの、即ち、シクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)のタイプである。
【0010】
環状ブロックコポリマー(Cyclic Block Copolymer、CBC)は高い透明度、クリーン度、耐化学性を備えた重合体である。本発明はさらにシクロオレフィン系化合物及び環状ブロックコポリマー(Cyclic Block Copolymer、CBC)に重量パーセントが0.6%~8.0%のグラフェン材料を添加する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の複合材料半導体容器は、前述の複合材料で製造され、軽量で、寸法安定性が高く、耐衝撃性を備え、湿度を長時間維持でき、有害ガスの放出が少なく、歩留まりが高い等の特性を備えている。
【0012】
以上の本発明に関する概要説明は、本発明の複数の側面と技術的特徴について基本的に説明することを目的としている。発明の概要説明は本発明に関する詳細な説明ではないため、特に本発明の重要な部材を列挙することを目的としておらず、また本発明の範囲を限定するために用いるものでもなく、簡潔に本発明の複数の概念を示しただけのものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例とカーボン材料を添加した比較例の重量パーセントの比較グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の技術的特徴及び実用性について理解できるように、かつ明細書の内容に従って実施することができるように、以下で詳細に説明する。
【0015】
本発明の複合材料は、シクロオレフィン系化合物(シクロオレフィンコポリマー(Cycloolefin copolymer、COC)やシクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)など)、又は任意に環状ブロックコポリマー(Cyclic Block Copolymer、CBC)を主要材料として、重量パーセントが0.6%~8.0%のグラフェン材料を添加して形成した組成物を指す。また本発明は前述の複合材料を応用して製造した複合材料半導体容器を提供する。該複合材料半導体容器は、レチクルキャリア又はウェハキャリアとすることができ、該グラフェン材料は、グラフェンナノプレートレット(Graphene nanoplatelets)、酸化グラフェン(graphene oxide)又はその組み合わせとすることができる。
【0016】
ここで、レチクルキャリアはレチクルポッド(Reticle Pod)とすることができる。該レチクルポッド(Reticle Pod)は、レチクルストッカー、レチクル搬送用ポッド(標準機械式インターフェース(Standard Mechanical Interface、SMIF)レチクルポッドを含む)又は極端紫外線(Extreme ultraviolet lithography、EUV)レチクルポッドを含み、該ウェハキャリアは、前面開口型ポッド(Front opening unified pod、FOUP)、ウェハカセット又はその他半導体プロセスで使用する基板(Substrate)を搭載する任意の搬送又は格納容器とすることができ、本発明はこれらを限定しない。
【0017】
前述の半導体プロセスで使用する基板(Substrate)は、シリコン基板、ガラス基板、セラミック基板、フレキシブル基板、サファイア基板等とすることができる。シリコン基板はウェハとすることができる。
【0018】
シクロオレフィンコポリマー(Cycloolefin copolymer、COC)、シクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)及び環状ブロックコポリマー(Cyclic Block Copolymer、CBC)のいずれも実用的な実施例で使用可能である。実施例においては、シクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)を代表として試験を行った。グラフェン材料添加の重量パーセントを調整して、いかにして、表面抵抗率(Surface resistivity)を10オーム/単位面積(Ω/sq.)未満、10~10オーム/単位面積(Ω/sq.)又は10~1012オーム/単位面積(Ω/sq.)にし、順に導電性(Conductive)、静電気放電(Electro-Static Dissipative,ESD)又は静電防止(Anti-static)グレードの複合材料の効果を達成するかを開示する。
【0019】
ここで、複合材料の表面抵抗率(Surface resistivity)が10オーム/単位面積(Ω/sq.)未満のとき、複合材料に導電性(Conductive)の特性を生じさせ、半導体パッケージに電磁干渉シールド(EMI Shielding)効果を獲得させることができる。複合材料の表面抵抗率(Surface resistivity)が10~10オーム/単位面積(Ω/sq.)のとき、複合材料に静電気放電(Electro-Static Dissipative,ESD)の特性を生じさせ、静電気放電保護(ESD Protection)の効果を生じさせることができる。最後に、複合材料の表面抵抗率(Surface resistivity)を10~1012オーム/単位面積(Ω/sq.)に調整したとき、複合材料に静電防止(Anti-static)効果を生じさせることができる。
【0020】
このように、グラフェン材料添加重量パーセントのさまざまな調整で、複合材料の表面抵抗率(Surface resistivity)を調整する効果を達成する様々な例を、以下の実施例に記載する。
【0021】
<実施例>
重量パーセントが0.6%~3.6%のグラフェン材料を添加したシクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)で製造したレチクルポッド(Reticle Pod)。
【0022】
<比較例>
重量パーセントが2.0%~3.2%のカーボンナノチューブ(Carbon Nanotube、CNT)を添加したシクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)で製造したレチクルポッド(Reticle Pod)。
【0023】
図1に示す本発明の実施例とカーボン材料を添加した比較例の重量パーセントの比較グラフを参照されたい。図1に示すように、本発明の実施例はシクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)中にグラフェン材料を添加し、その重量パーセントを0.6%~3.6%の間として、それによりその表面抵抗率を10~1012オーム/単位面積(Ω/sq.)の間に調整した。
【0024】
実際は、図1に示していないが、実施例はグラフェン材料を添加する重量パーセントの範囲をさらに3.6%~8.0%の間に調整し、実施例に表面抵抗率を10オーム/単位面積(Ω/sq.)未満に継続して維持させつつ、導電(Conductive)特性を備えた状態にし、その利用可能な物理的特性を失うことなく前述の半導体パッケージの電磁干渉シールド(EMI Shielding)効果を達成することができる。
【0025】
図1において、実施例で添加したグラフェン材料の重量パーセントの必要割合を表面抵抗率10オーム/単位面積(Ω/sq.)に調整した後、カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube、CNT)を添加した比較例と比較して、実施例は顕著(*)にカーボン材料の使用量減少の下降傾向を示した。より具体的には、実施例と比較例と比較して、表面抵抗率を10オーム/単位面積(Ω/sq.)まで調整した後、使用量の顕著な下降幅が32%に達している。
【0026】
図1を例にとると、実施例で重量パーセントが3.6%~8.0%のグラフェン材料を添加したとき、その表面抵抗率を10オーム/単位面積(Ω/sq.)未満に調整し、導電性(Conductive)の特性を生じさせ、それにより半導体パッケージの電磁干渉シールド(EMI Shielding)の効果を獲得することができる。
【0027】
実施例では、重量パーセントが1.8%~3.6%のグラフェン材料を添加したとき、その表面抵抗率を10~10オーム/単位面積(Ω/sq.)に調整し、静電気放電(Electro-Static Dissipative、ESD)の特性を生じさせ、それにより静電気放電保護(ESD Protection)の効果を達成することができる。
【0028】
最後に、実施例では、重量パーセントが0.6%~1.8%のグラフェン材料を添加したとき、その表面抵抗率を10~1012オーム/単位面積(Ω/sq.)に調整し、静電防止(Anti-static)の特性を生じさせることができる。
【0029】
実施例は比較例と比較して、静電防止(Anti-static)グレードに達成すると、カーボン材料の使用量が顕著に低下する割合はより激しい。実施例と比較例を比較すると、静電防止(Anti-static)グレードの区間内で、実施例の添加の重量パーセントを比較例と比較したとき、使用量の減少幅は35.7%~70%に達する。
【0030】
図1の実施例と比較例の静電防止(Anti-static)グレード区間内の試験結果を下記の表1に示す。シクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)で製造されたレチクルポッド(Reticle Pod)に重量パーセントが0.6%~1.8%のグラフェン材料を添加したとき、その表面抵抗率(Surface resistivity)を10~1012オーム/単位面積(Ω/sq.)にして、静電防止(Anti-static)グレードを達成することができる。同様の条件下で、シクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)で製造されたレチクルポッドには重量パーセントが2.0%~2.8%ものカーボンナノチューブ(Carbon Nanotube、CNT)を添加しなければ表面抵抗率(Surface resistivity)を10~1012オーム/単位面積(Ω/sq.)にして静電防止(Anti-static)グレードに適合させる効果を達成できない。
【0031】
【0032】
上記の表1の結論から分かるように、実施例で採用した重量パーセントが0.6%~1.8%のグラフェン材料を添加したシクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)で製造されたレチクルポッド(Reticle Pod)は、比較例で採用したカーボンナノチューブの重量を35.7%~70%も節約することができる。表1の結果はさらに、本発明の実施例が半導体容器で静電防止(Anti-static)グレードを達成するための製造コストを顕著に、かつ大幅に節約できることを証明でき、進歩性を備えている。
【0033】
さらに、本発明の実施例はさらに、高価なカーボン材料の使用を大幅に削減するという前提の下で、比較例が有する優れた効果を維持することを証明できる。実施例の表面抵抗率(Surface resistivity)が10オーム/単位面積(Ω/sq.)未満又は10~10オーム/単位面積(Ω/sq.)の区間では、そのグラフェン材料の添加重量パーセントと比較例のカーボンナノチューブ添加重量パーセントを比較しても有意な差異はないが、それでもカーボンナノチューブを交換する効果を達成でき、さまざまな環境汚染が発生するリスクを回避することができる。
【0034】
試験により、実施例のシクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)に重量パーセントが0.6%~3.6%のグラフェン材料を添加して製造したレチクルポッド(Reticle Pod)は、重量パーセントが2.0%~3.2%のカーボンナノチューブ(Carbon Nanotube、CNT)を添加したシクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)で製造したレチクルポッド(Reticle Pod)と同様に漏出するさまざまな有害イオンを顕著に減少させる効果を達成できる。該有害イオンには、フッ化物イオン(F)、塩化物イオン(Cl)、亜硝酸イオン(NO 2-)、臭化物イオン(Br)、硝酸イオン(NO )、硫酸イオン(SO 2-)、リチウムイオン(Li)、アンモニウムイオン(NH )、カリウムイオン(K)、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)が含まれる。
【0035】
さらに、本発明の実施例はさらにシクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)に重量パーセントが0.6%~3.6%のグラフェン材料を添加してその耐えられる落下高さを試験した。その結果、シクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)に重量パーセントが0.6%~3.6%のグラフェンナノプレートレットを添加して製造したレチクルポッド(Reticle Pod)は、比較例の重量パーセント2.0%~3.2%のカーボンナノチューブ(Carbon Nanotube、CNT)を添加したシクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)で製造したレチクルポッド(Reticle Pod)と比較して同様の耐衝撃性を達成できることが分かり、90cmの高さから落下させてもいかなる損傷も発生しなかった。
【0036】
半導体容器はいずれも外界の気体や微粒子の汚染を回避するために良好な気密性が必要であるため、短時間内に容器内の水分を迅速に排除した後、長時間にわたり容器内で低い相対湿度を維持できれば、この容器が水分を通しにくく、気密性が良好であることを示す。このため、さらに前述の両者に対して容器内相対湿度の試験を実施した。下記の表2から、実施例の重量パーセントが0.6%~1.8%のグラフェン材料を添加したシクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)で製造したレチクルポッド(Reticle Pod)は比較例の重量パーセントが2.0%~2.8%のカーボンナノチューブ(Carbon Nanotube、CNT)を添加したシクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)で製造したレチクルポッド(Reticle Pod)とほぼ同程度の0%相対湿度維持時間を達成できることがはっきりと分かる。
【0037】
【0038】
続いて表3に示す本発明のシクロオレフィン組成物の用途特性試験結果表を参照されたい。実施例の重量パーセントが0.6%~1.8%のグラフェン材料を添加したシクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)で製造したレチクルポッド(Reticle Pod)と比較例の重量パーセントが2.0%~2.8%のカーボンナノチューブ(Carbon Nanotube、CNT)を添加したシクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP)で製造したレチクルポッド(Reticle Pod)を半導体容器が具備すべき各重要用途特性に応用し、試験を実施した結果を示す表である。
【0039】
【0040】
表3に本発明の実施例と比較例のさまざまな特性の試験結果を記載する。本発明の実施例は減少する高価なカーボン材料の使用重量幅が35.7%~70%に達する前提下で、比較例とほぼ同じさまざまな特性を達成することができる。
【0041】
前述のさまざまな用途特性のうち、グラフェン材料を添加したシクロオレフィン組成物、又はグラフェン材料を添加した環状ブロックコポリマー(Cyclic Block Copolymer、CBC)を含有する場合、その比重は1~1.2の間に維持することができる。一般に液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer、LCP)を主材料とした場合、その比重は約1.5である。つまり、同じ寸法の半導体容器で、シクロオレフィン組成物を主材料として使用した場合、その重量は25%~50%軽くなり、運搬作業に実質的かつ明らかな有益性がある。
【0042】
さらに、シクロオレフィン組成物と環状ブロックコポリマー(Cyclic Block Copolymer、CBC)の含水率は0.0001%~0.01%であり、含水率が比較的低い材料に属し、即ち、それ自体に吸湿現象が発生しないため、本発明の複合材料半導体容器は湿式半導体洗浄プロセスにも適用できる。
【0043】
さらに、シクロオレフィン組成物及び環状ブロックコポリマー(Cyclic Block Copolymer、CBC)の破断伸び率は約5%で、一般的な液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer、LCP)を主材料としたものより明らかに大きく(液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer、LCP)半導体容器の破断伸び率の数値は通常1%未満)、実施例は、衝撃に耐えるとき材料の伸びがより大きく、すぐに破断しにくいことが分かる。
【0044】
また上記の表3から分かるように、本発明の実施例の耐衝撃強度は30(ジュール/メートル)以上であり、30(ジュール/メートル)~50(ジュール/メートル)の間である。さらに実施例の収縮率は同様に0.1%~0.5%の間であり、寸法安定性の向上に有益であるため、製品歩留まりを向上できる。
【0045】
本発明の実施例で採用した複合材料及びこれを用いた半導体容器は、その適用可能なポッドの外観形式や寸法に制限がなく、主に本発明が開示する技術的特徴は、シクロオレフィン化合物(例えば、シクロオレフィンコポリマー(Cycloolefin copolymer、COC)及びシクロオレフィンポリマー(Cycloolefin polymer、COP))と環状ブロックコポリマー(Cyclic Block Copolymer、CBC)を主要材料として、さらに特定の重量パーセントのグラフェン材料を添加すれば、高価なカーボンナノチューブ(Carbon Nanotube、CNT)を添加した半導体容器の半導体パッケージ電磁干渉シールド(EMI Shielding)、静電気放電保護(ESD Protection)及び静電防止(Anti-static)を含むさまざまな特性の性能に相当し、また高価なカーボン材料の使用量を大幅に減少又は置換できる(35.7%~70%)ため、性能に影響しない前提下で製造コストを大幅に削減することができる。
【0046】
以上の説明は、本発明の最良の実施例に基づくものであり、これらを以って本発明の実施の範囲を限定することはできず、本発明の特許請求の範囲及び明細書の内容に基づいた簡単な変更や修正はすべて本発明の範囲に含まれる。
図1