(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】使用済み電池の迅速なグループ化と修復方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/42 20060101AFI20220520BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20220520BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220520BHJP
H01M 10/54 20060101ALI20220520BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220520BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
H01M10/42 P
H01M10/44 P
H01M10/48 P
H01M10/54
H02J7/00 Q
H02J7/04 G
H02J7/00 B
(21)【出願番号】P 2020083597
(22)【出願日】2020-05-12
【審査請求日】2020-05-12
(31)【優先権主張番号】201911038002.9
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520149881
【氏名又は名称】深▲せん▼市普蘭徳儲能技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】劉 晨露
(72)【発明者】
【氏名】王 海涛
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ 波
(72)【発明者】
【氏名】羅 勇
(72)【発明者】
【氏名】孟 超
(72)【発明者】
【氏名】劉 衛強
【審査官】山本 香奈絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-101830(JP,A)
【文献】特開2019-169473(JP,A)
【文献】特開2017-134894(JP,A)
【文献】特開平10-154503(JP,A)
【文献】特開2001-015178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42
H01M 10/44
H01M 10/48
H01M 10/54
H02J 7/00
H02J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カットオフ電圧まで放電した使用済み電池を常温で第1の設定時間静置し、その時の前記使用済み電池の電圧を測定して第1の電圧として記録するステップと、
前記使用済み電池を公称容量の
20%から35%の範囲にある定格容量まで充電し、その時の前記使用済み電池の電圧を測定して第2の電圧として記録するステップと、
前記定格容量で充電された前記使用済み電池を常温で第2の設定時間静置し、その時の前記使用済み電池の電圧を測定して第3の電圧として記録するステップと、
前記第1の電圧に基づいて第1の判定条件を設定し、前記第2の電圧に基づいて第2の判定条件を設定し、前記第3の電圧に基づいて第3の判定条件を設定し、前記第1の判定条件、第2の判定条件及び第3の判定条件に基づいて前記使用済み電池を順次判定するステップと、
複数の使用済み電池について上記判定ステップを完了し、第1の予備選択組、第2の予備選択組及び第3の予備選択組を形成するステップと、
前記第1の予備選択組、第2の予備選択組及び第3の予備選択組内に同時に選択された使用済み電池をグループ化するステップと、を含むことを特徴とする使用済み電池の迅速なグループ化方法。
【請求項2】
第1の閾値、第2の閾値及び第3の閾値を設定し、前記第1の閾値は前記第1の電圧の電圧差閾値であり、前記第2の閾値は前記第2の電圧の電圧差閾値であり、前記第3の閾値は前記第3の電圧の電圧差閾値であることを特徴とする請求項
1に記載の使用済み電池の迅速なグループ化方法。
【請求項3】
前記第1の判定条件、第2の判定条件及び第3の判定条件に基づいて前記使用済み電池を順次判定する前記ステップは、
各使用済み電池の第1の電圧、第2の電圧及び第3の電圧を統計することと、
各使用済み電池の第1の使用済み電池に対する第1の電圧差、第2の電圧差及び第3の電圧差を統計することと、
前記第1の電圧の電圧差閾値に基づいて統計された使用済み電池を選別し、前記第1の予備選択組を形成することと、
前記第2の電圧の電圧差閾値に基づいて統計された使用済み電池を選別し、前記第2の予備選択組を形成することと、
前記第3の電圧の電圧差閾値に基づいて統計された使用済み電池を選別し、前記第3の予備選択組を形成することと、を含むことを特徴とする請求項
2に記載の使用済み電池の迅速なグループ化方法。
【請求項4】
カットオフ電圧まで放電した使用済み電池を常温で第1の設定時間静置し、その時の前記使用済み電池の電圧を測定して第1の電圧として記録するステップと、
前記使用済み電池を公称容量の
20%から35%の範囲にある定格容量まで充電し、その時の前記使用済み電池の電圧を測定して第2の電圧として記録するステップと、
前記定格容量で充電された前記使用済み電池を常温で第2の設定時間静置し、その時の前記使用済み電池の電圧を測定して第3の電圧として記録するステップと、
前記第1の電圧に基づいて第1の判定条件を設定し、前記第2の電圧に基づいて第2の判定条件を設定し、前記第3の電圧に基づいて第3の判定条件を設定し、前記第1の判定条件、第2の判定条件及び第3の判定条件に基づいて前記使用済み電池を順次判定するステップと、
複数の使用済み電池について上記判定ステップを完了し、第1の予備選択組、第2の予備選択組及び第3の予備選択組を形成するステップと、
前記第1の予備選択組、第2の予備選択組及び第3の予備選択組内に同時に選択された使用済み電池をグループ化するステップと、
前記第1の判定条件、前記第2の判定条件及び前記第3の判定条件を調節し、全ての使用済み電池をグループ化して複数の使用済み組電池を得るステップと、
各前記使用済み組電池から1つ以上の使用済み電池を選択し、選択された使用済み電池の実力容量を検出するステップと、
前記選択された使用済み電池の実力容量に基づいて、修復可能な使用済み組電池を選別するステップと、
各前記修復可能な使用済み組電池内の各使用済み電池をそのカットオフ電圧まで放電するステップと、
各前記修復可能な使用済み組電池内の各使用済み電池に対応する重量の電解液を注入して封口し、ただし、前記修復可能な使用済み組電池内の各使用済み電池に同じ重量の前記電解液を注入するステップと、
前記電解液が注入された前記使用済み電池の充放電活性化を行うステップと、を含むことを特徴とする使用済み電池の修復方法。
【請求項5】
第1の閾値、第2の閾値及び第3の閾値を設定し、前記第1の閾値は前記第1の電圧の電圧差閾値であり、前記第2の閾値は前記第2の電圧の電圧差閾値であり、前記第3の閾値は前記第3の電圧の電圧差閾値であることを特徴とする請求
項4に記載の使用済み電池の修復方法。
【請求項6】
前記第1の判定条件、第2の判定条件及び第3の判定条件に基づいて前記使用済み電池を順次判定する前記ステップは、
各使用済み電池の第1の電圧、第2の電圧及び第3の電圧を統計することと、
各使用済み電池の第1の使用済み電池に対する第1の電圧差、第2の電圧差及び第3の電圧差を統計することと、
前記第1の電圧の電圧差閾値に基づいて統計された使用済み電池を選別し、前記第1の予備選択組を形成することと、
前記第2の電圧の電圧差閾値に基づいて統計された使用済み電池を選別し、前記第2の予備選択組を形成することと、
前記第3の電圧の電圧差閾値に基づいて統計された使用済み電池を選別し、前記第3の予備選択組を形成することと、を含むことを特徴とする請求項
5に記載の使用済み電池の修復方法。
【請求項7】
前記選択された使用済み電池の実力容量が60%~80%の公称容量である時、前記選択された使用済み電池が存在する使用済み組電池は、修復可能な使用済み組電池であることを特徴とする請求項
4に記載の使用済み電池の修復方法。
【請求項8】
前記充放電活性化の方法は、
前記電解液が注入された前記使用済み電池を静置し、前記電解液を電池内部に十分に浸透させ、第1の定電流でその電圧の上限まで充電し、続いて第2の定電流でそのカットオフ電圧まで放電することであることを特徴とする請求項
4に記載の使用済み電池の修復方法。
【請求項9】
前記第1の定電流は、前記使用済み電池の公称容量の0.01C~0.1Cであり、前記第2の定電流は、前記使用済み電池の公称容量の0.5C~1Cであることを特徴とする請求項
8に記載の使用済み電池の修復方法。
【請求項10】
前記電解液が注入された前記使用済み電池を静置することは、前記電解液が注入された前記修復可能な使用済み電池を35℃~50℃の条件下で1日~5日間静置することであることを特徴とする請求項
8に記載の使用済み電池の修復方法。
【請求項11】
活性化された前記使用済み電池をグループ化して組電池を構成するステップをさらに含み、前記ステップは、
活性化された前記使用済み電池の放電容量及び電荷移動抵抗を検出することと、
前記放電容量に応じて前記活性化された使用済み電池を等級付けすることと、
同一等級内の前記活性化された使用済み電池を前記電荷移動抵抗に基づいてグループ化することと、
同じ組に分けられた前記活性化された使用済み電池から組電池を構成することと、を含むことを特徴とする請求項
4に記載の使用済み電池の修復方法。
【請求項12】
前記放電容量に応じて前記活性化された使用済み電池を等級付けする方法は、設定された容量差を間隔として放電容量を異なる等級区間に分け、前記放電容量が存在する等級区間に応じて前記活性化された使用済み電池を等級付けすることであることを特徴とする請求項
11に記載の使用済み電池の修復方法。
【請求項13】
前記容量差が前記使用済み電池の公称容量の0~5%であることを特徴とする請求項
12に記載の使用済み電池の修復方法。
【請求項14】
前記同一等級内の前記活性化された使用済み電池を前記電荷移動抵抗に基づいてグループ化する方法は、設定された電荷移動抵抗差を間隔として、前記電荷移動抵抗を異なるグループ化区間に分け、前記活性化された使用済み電池を前記電荷移動抵抗が存在するグループ化区間に応じてグループ化することであることを特徴とする請求項
11に記載の使用済み電池の修復方法。
【請求項15】
前記電荷移動抵抗差は同一等級の前記活性化された使用済み電池の電荷移動抵抗の平均値の10%~15%であることを特徴とする請求項
11に記載の使用済み電池の修復方法。
【請求項16】
前記電解液を注入する方法は、
前記修復可能な使用済み電池の上蓋を取り外し、露点温度が-35℃以下の環境で、電池蓋板の一部の保護接着剤を切断して接着剤の被覆孔を形成し、前記接着剤の被覆孔に合わせて電池蓋板を貫通し、続いて注液ノズルを用いて接着剤の被覆孔に合わせて真空引きを開始し、真空引きを完了してから前記電解液を注入することであることを特徴とする請求項
4に記載の使用済み電池の修復方法。
【請求項17】
前記実力容量の検出方法は、
定電流で前記使用済み電池を1サイクル充放電させ、その放電容量を、前記実力容量として記録することであることを特徴とする請求項
4に記載の使用済み電池の修復方法。
【請求項18】
各前記修復可能な使用済み組電池内の各使用済み電池に注入される前記電解液の重量を計算する方法は、
前記選択された使用済み電池の最大容量損失量を計算し、該組の前記修復可能な使用済み組電池内の各使用済み電池が補充すべき電解液の質量を計算することであることを特徴とする請求項
4に記載の使用済み電池の修復方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、リチウムイオン電池修復の技術分野に関し、特に、使用済み(decommissioned)電池の迅速なグループ化と修復方法に関する。
【背景技術】
【0002】
数年前から電気自動車の普及が進んでおり、それに伴い長期使用による性能低下や容量不足のリチウムイオン電池が大量に発生している。
【0003】
電池容量の損失は、主にリチウムイオンの損失及び電解液の消費による副反応に起因するインピーダンスの増加が原因である。
【0004】
損失されたリチウムイオンには、主に、電池の化成プロセスでSEI膜を生成するために消費されたリチウム、電解液の副反応で消費されたリチウム、負極でリチウムによって生成したリチウムデンドライト、及び活物質の構造変化によるリチウムイオンの受け入れ欠損によるリチウムの損失を含む。リチウムの損失によって引き起こされるこれらの不可逆容量損失は、修復不可能なものである。
【0005】
電解液は、正負極間をリチウムイオンが伝導する媒体であり、充放電プロセスで電解液がタブと反応して電解液が損失し、これによって生じた濃度分極抵抗及び電荷移動抵抗が電池の容量劣化に影響を与え、電解液を補充することによってリチウム電池の容量を修復することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術では、まず使用済み電池を満充電及び完全放電にして使用済み電池の実力容量パラメータを取得し、実力容量に基づいて、修復可能な使用済み電池を選別し、そして修復可能な使用済み電池を等級付けし、各等級の使用済み電池に対応する重量の電解液を充填することが行われている。該方法は、全ての使用済み電池を満充電にする必要があるが、全ての使用済み電池を充放電することは、大量の電力を消費する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、消費電力を節約し、生産コストを低減することができる、使用済み電池の迅速なグループ化と修復方法を提供することである。
【0008】
上記目的を実現するために、本発明の技術的解決手段は次のとおりである。
【0009】
使用済み電池の迅速なグループ化方法は、
カットオフ電圧まで放電した使用済み電池を常温で第1の設定時間静置し、その時の前記使用済み電池の電圧を測定して第1の電圧として記録するステップと、
前記使用済み電池の一次電池に設定された充電方式に従って、前記使用済み電池を公称容量の所定パーセンテージの定格容量まで充電し、その時の前記使用済み電池の電圧を測定して第2の電圧として記録するステップと、
前記定格容量で充電された前記使用済み電池を常温で第2の設定時間静置し、その時の前記使用済み電池の電圧を測定して第3の電圧として記録するステップと、
前記第1の電圧に基づいて第1の判定条件を設定し、前記第2の電圧に基づいて第2の判定条件を設定し、前記第3の電圧に基づいて第3の判定条件を設定し、前記第1の判定条件、第2の判定条件及び第3の判定条件に基づいて前記使用済み電池を順次判定するステップと、
複数の使用済み電池について上記判定ステップを完了し、第1の予備選択組、第2の予備選択組及び第3の予備選択組を形成するステップと、
前記第1の予備選択組、第2の予備選択組及び第3の予備選択組内に同時に選択された使用済み電池をグループ化するステップと、を含む。
【0010】
使用済み電池の修復方法は、
カットオフ電圧まで放電した使用済み電池を、常温で第1の設定時間静置し、その時の前記使用済み電池の電圧を測定して第1の電圧として記録するステップと、
前記使用済み電池の一次電池に設定された充電方式に従って、前記使用済み電池を、公称容量の所定パーセンテージの定格容量まで充電し、その時の前記使用済み電池の電圧を測定して、第2の電圧として記録するステップと、
前記定格容量で充電された前記使用済み電池を常温で第2の設定時間静置し、その時の前記使用済み電池の電圧を測定して第3の電圧として記録するステップと、
前記第1の電圧に基づいて第1の判定条件を設定し、前記第2の電圧に基づいて第2の判定条件を設定し、前記第3の電圧に基づいて第3の判定条件を設定し、前記第1の判定条件、第2の判定条件及び第3の判定条件に基づいて前記使用済み電池を順次判定するステップと、
複数の使用済み電池について上記判定ステップを完了し、第1の予備選択組、第2の予備選択組及び第3の予備選択組を形成するステップと、
前記第1の予備選択組、第2の予備選択組及び第3の予備選択組内に同時に選択された使用済み電池をグループ化するステップと、
前記第1の判定条件、前記第2の判定条件及び前記第3の判定条件を調節し、全ての使用済み電池をグループ化して複数の使用済み組電池を得るステップと、
各前記使用済み組電池から1つ以上の使用済み電池を選択し、選択された使用済み電池の実力容量を検出するステップと、
前記選択された使用済み電池の実力容量に基づいて、修復可能な使用済み組電池を選別するステップと、
各前記修復可能な使用済み組電池内の各使用済み電池を、そのカットオフ電圧まで放電するステップと、
各前記修復可能な使用済み組電池内の各使用済み電池に対応する重量の電解液を注入して封口し、ただし、前記修復可能な使用済み組電池内の各使用済み電池に同じ重量の前記電解液を注入するステップと、
前記電解液が注入された前記使用済み電池の充放電活性化を行うステップと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本出願の実施例を実施すると、以下の有益な効果を果たす。
【0012】
本発明では、まず、電池を満充電及び完全放電にしないように電池性能を特徴付けることができる3つのキー電圧値を取得し、判定条件を設定することにより、全ての使用済み電池を迅速にグループ化し、同じ組の使用済み電池は電気的性能が類似しており、試験時間を短縮し、消費電力を節約する。
【0013】
同じ組の使用済み電池の電気的性能が類似しているため、各組の使用済み電池における1つ以上の電池を選択して満充電及び完全放電にして、その実力容量を測定し、該実力容量が同じ組の使用済み電池の容量レベルを表すことができ、測定された実力容量に基づいて修復可能な使用済み組電池を選別し、続いて、測定された実力容量に基づいて、各組の修復可能な使用済み電池に対応する重量の電解液を注入して、使用済み電池を稼動電池レベルに復帰させる。各組の1つ以上の電池のみを満充電及び満放電にするため、満充電の電池数を大幅に減らし、従って、消費電力を大幅に低減して生産コストを節約する。
【0014】
本発明は、修復後の電池内部の電解液が新品の電池と異なるため、修復後の使用済み電池を、電池容量と電池の電荷移動抵抗の両方から再選別してグループ化することにより、容量と内部抵抗による選別よりも一貫性が良くなり、組電池のリサイクル性を向上させる。
【0015】
本発明の迅速なグループ化と修復方法は、バッチ修復及び自動化操作により適しており、生産効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本出願の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、実施例又は従来技術の説明で使用される図面を以下に簡単に紹介し、以下の説明から明らかなように、図面は本出願のいくつかの実施例であり、当業者であれば、創造的な労力を払うことなく、これらの図面に従って他の図面を得ることができる。
【0017】
【
図1】リチウム電池の正常な充放電時の電圧と容量の変化関係図である。
【
図2】本発明の一実施例では、公称容量が150AhであるLiFePO
4/黒鉛使用済み電池に対する電解液補充及び活性化前後の放電曲線の比較図である。
【
図3】本発明の一実施例では、異なるグループ化方法を用いて得られた2つの組電池の常温サイクル特性比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本出願の実施例における技術的解決手段を、本出願の実施例における図面を参照して明確かつ完全に説明するが、説明される実施例は、本出願の実施例の一部にすぎず、全ての実施例ではないことは明らかである。本出願の実施例に基づいて、創造的な努力なしに当業者によって得られる他の全ての実施例は、本出願の保護範囲内にあるものとする。
【0019】
本発明は、電解液の損失による容量低下を起こした電池を、稼動電池レベルまで修復し、再度選別し、ペアリングをやり直して、動力電池車に継続して利用し、循環使用させる。
【0020】
使用済み電池から修復可能な電池をどのように選別するかについて、従来技術では、通常、電池を満充電にしてから5日間以上常温放置して電圧を検出して電圧降下、実力容量データを取得し、その後、定電流でカットオフ電圧まで放電して電池の実力容量を取得し、このような選別方式が、長時間を費やし、また満充電による電力資源の大量消費を伴う。電池の一貫性を反映する内部抵抗、電圧、容量、自己放電率という4つのパラメータは、電池選別の重要な制御ポイントである。
図1に示すように、縦軸に電圧、横軸に充放電積算容量をとったリチウム電池の充放電曲線である。すなわち、充電又は放電時における充電又は放電容量の経時的な積算値は、横軸に時間を代入すると、充電又は放電時におけるセル電圧の経時的な変化と捉えることができる。電圧と容量値は、単一の充電プロセス又は放電プロセスにおいて1対1に対応することが分かり、これも、本発明が容量を電圧で特徴付けることができる根拠である。
【0021】
本実施例は、各電池のクリティカルな電圧パラメータを検出し、電池の一貫性を反映する内部抵抗、電圧、容量、自己放電という4つのパラメータに関する複数の判定条件を設定することで、電池を満充電及び完全放電にせず、各電池容量と電圧の違いを反応できる特徴量を得て、組換え電池の性能及び整合度を向上させると共に、試験時間を短縮し、試験エネルギー消費を削減する。
【0022】
本実施例のリチウム電池の迅速な選別方法は、同一メーカー製の同じモデル、同じバッチの使用済み電池を対象とする。特定の電圧条件は、同じモデル、同じバッチの使用済み電池の前提で、電池の他の性能パラメータと関連付けられる。電池のモデルによって性能パラメータの相関関係が異なり、さらに異なるモデルの電池の外形も異なるため、異なるモデル、異なるバッチの使用済み電池同士での組換えは行われない。
【0023】
本発明にて提供される使用済み電池の迅速なグループ化方法は、電池を満充電及び完全放電にせず、選別時間を短縮し、選別効率を改善し、電力を節約し、ステップ(1)~ステップ(5)を含む。
【0024】
(1)カットオフ電圧まで放電した使用済み電池を常温で第1の設定時間静置し、その時の使用済み電池の電圧を測定し、電池の分極内部抵抗を反映できる第1の電圧として記録する。
【0025】
本ステップでは、使用済み電池の一次電池に設定された充電方式に従って、該使用済み電池をカットオフ電圧まで放電する。
【0026】
本ステップでは、第1の設定時間は、電池電圧のバランスが十分に取れる時間であり、材料の異なる電池では、バランスが十分に取れる時間が異なる。
【0027】
(2)使用済み電池の一次電池に設定された充電方式に従って、使用済み電池を公称容量の所定パーセンテージの定格容量まで充電し、その時の使用済み電池の電圧を測定し、電池の電圧及び容量を反映できる第2の電圧として記録する。
【0028】
本ステップでは、定格容量は、公称容量の20%から35%の範囲にあってもよい。
【0029】
(3)定格容量で充電された使用済み電池を常温で第2の設定時間静置し、その時の使用済み電池の電圧を測定し、電池の自己放電及び交流内部抵抗を反映できる第3の電圧として記録する。
【0030】
本ステップでは、第2の設定時間は、電池電圧のバランスが十分に取れる時間であり、材料の異なる電池では、バランスが十分に取れる時間が異なる。
【0031】
(4)第1の電圧に基づいて第1の判定条件を設定し、第2の電圧に基づいて第2の判定条件を設定し、第3の電圧に基づいて第3の判定条件を設定し、該第1の判定条件、第2の判定条件及び第3の判定条件に基づいて該使用済み電池を順次判定し、複数の使用済み電池について上記判定ステップを完了し、第1の予備選択組、第2の予備選択組及び第3の予備選択組を形成する。
【0032】
本ステップでは、表1に示すように、22個の電池を例として、具体的には、各使用済み電池の第1の電圧、第2の電圧及び第3の電圧を統計する。
【0033】
各使用済み電池の第1の使用済み電池に対する第1の電圧差、第2の電圧差及び第3の電圧差を統計する。
【0034】
第1の閾値、第2の閾値及び第3の閾値を設定し、第1の閾値は第1の電圧の電圧差閾値であり、第2の閾値は第2の電圧の電圧差閾値であり、第3の閾値は第3の電圧の電圧差閾値である。第1の閾値が≦50ミリボルトであり、第2の閾値≦50ミリボルトであり、第3の閾値が≦30ミリボルトであると仮定する。
【0035】
第1の電圧の電圧差閾値に基づいて統計された使用済み電池を選別し、第1の予備選択組を形成し、番号1~6の電池は第1の予備選択組である。
【0036】
第2の電圧の電圧差閾値に基づいて統計された使用済み電池を選別し、第2の予備選択組を形成し、番号1~6の電池は第2の予備選択組である。
【0037】
第3の電圧の電圧差閾値に基づいて統計された使用済み電池を選別し、第3の予備選択組を形成し、番号1~8の電池は第3の予備選択組である。
【0038】
(5)第1の予備選択組、第2の予備選択組及び第3の予備選択組内に同時に選択された使用済み電池をグループ化し、従って番号1~6の電池は第1の組である。
【0039】
第1の判定条件、第2の判定条件及び第3の判定条件を調節し、全ての使用済み電池をグループ化して複数の使用済み組電池を得る。
【0040】
第1の閾値≦100ミリボルトであり、第2の閾値が≦100ミリボルトであり、第3の閾値が≦60ミリボルトであるように調節し、従って番号7~11の電池は第2の組であり、類推すると、全ての電池を複数の組電池に分けることができ、各組電池内の電池の電気的性能は類似している。
【0041】
使用済み電池に対して第1の閾値、第2の閾値、第3の閾値に基づいて選別を行い、すなわち使用済み電池に対して内部抵抗、電圧、容量、自己放電という4つのキー制御点に基づいて選別し、組換えるという目的を実現する。
【表1】
【0042】
以下、使用済み電池の修復方法を提供し、ステップ(1)~ステップ(7)を含む。
【0043】
(1)各使用済み組電池から1つ以上の使用済み電池を選択し、選択された使用済み電池の実力容量を検出する。
【0044】
各組電池内の電池の電気的性能が近いため、選択された使用済み電池の実力容量は、該使用済み組電池の実力容量を表すことができ、好ましくは、各使用済み組電池から2~5個の使用済み電池を選択する。
【0045】
(2)選択された使用済み電池の実力容量を検出し、修復可能な使用済み組電池を選別する。
【0046】
好ましくは、公称容量の60%~80%の実力容量を有する使用済み電池を選択して修復した場合、選択された使用済み電池の実力容量が、公称容量の60%~80%である時は、選択された使用済み電池が存在する使用済み組電池は、修復可能な使用済み組電池である。
【0047】
リン酸鉄リチウム電気バス単電池を例にとると、公称容量は150Ahであり、選択された使用済み電池の実力容量が90Ah~120Ahの範囲内にある使用済み電池は、修復可能な使用済み電池である。
【0048】
本実施例では、上記実力容量を検出する方法は、使用済み電池をある定電流値に応じて、具体的には、該定電流値を公称容量の0.2Cとし、充放電1サイクルでの放電容量を、前記実力容量として記録することである。
【0049】
(3)各修復可能な使用済み組電池内の各使用済み電池が注入すべき電解液の重量を計算し、具体的には、選択された使用済み電池の最大容量損失量を計算し、最大容量損失量は公称容量と実力容量との差であり、最大容量損失量に基づいて損失した電気量を計算し、さらに、該組の修復可能な使用済み組電池内の各使用済み電池が補充すべき電解液の質量を計算し、具体的には、ある修復可能な使用済み組電池から選択された使用済み電池の実力容量は90Ahと100Ahであり、公称容量は150Ahであり、容量損失量はそれぞれ60Ahと50Ahであり、最大容量損失量は60Ahであり、従って該組の修復可能な使用済み組電池内の各使用済み電池が補充すべき電解液の質量はいずれも75gである。
【0050】
(4)十分に放電するために、各修復可能な使用済み組電池内の各使用済み電池を、カットオフ電圧まで放電する。電池の内部環境は、電解液、正負の電極シート、セパレータなどを含み、外部環境と遮断されているが、電池が帯電した場合、負極リチウム材料は、非常にアクティブであり、空気中の水分や酸素と反応しやすく、熱を放出する。その熱により電解液が高温になり、他の負の連鎖反応または熱暴走を引き起こす可能性があるため、電池の安全性を確保するために、電池を十分に放電する必要がある。
【0051】
具体的には、ある定電流値でカットオフ電圧まで放電する。該カットオフ電圧は非常に低い電圧範囲を指し、電池によって規格上のカットオフ電圧値は異なる。
【0052】
(5)電解液を注入し、好ましくは、空気が電解液と反応するのを防ぎ、空気が電解液に影響するのを防ぐために、真空条件下で電解液を注入する。使用済み電池内に電解液を注入する方法は、具体的には、使用済み電池の上蓋を取り外し、露点温度が-35℃以下の環境で、電池蓋板の一部の保護接着剤を切断して接着剤の被覆孔を形成し、ドリルで前記接着剤の被覆孔に合わせて電池蓋板を貫通し、続いて注液ノズルを用いて接着剤の被覆孔に合わせて真空引きを開始し、真空引きを完了してから電解液を注入し、好ましくは、電解液を複数回に分けて注入し、電解液を注入する前に真空吸引を行うことである。好ましくは、真空度は-0.085MPa以下である。
【0053】
本実施例では、1組の使用済み組電池内の各使用済み電池にそれぞれ75gの電解液を注入する。電解液を3回に分けて注入し、まず-0.085MPaまで真空引きを行い、注入すべき電解液の1/3、すなわち25gを注入し、さらに-0.085MPaまで真空引きを再び行い、注入すべき電解液の1/3、すなわち25gを注入し、最後に-0.085MPaまで真空吸引を再び行い、注入すべき電解液の1/3、すなわち25gを注入する。
【0054】
電解液の注入が完了してから封口する。同じ組の各使用済み電池内に同じ重量の電解液を注入する。
【0055】
(6)電解液が注入された各使用済み電池の充放電活性化を行う。充放電活性化の方法は、電解液が注入された使用済み電池を静置し、電解液を電池内部に十分に浸透させ、第1の定電流で電池電圧の上限まで充電し、続いて第2の定電流で電池のカットオフ電圧まで放電することである。電解液を注入する前に電池を十分に放電し、充電する時に、SEI膜をよりよく修復するために、充電電流をできるだけ小さくしたほうがよく、第1の定電流は、使用済み電池の公称容量の0.01C~0.1Cであることが好ましい。放電する時、速度を速くするために、比較的大きい定電流を用いて放電してもよく、第2の定電流は、使用済み電池の公称容量の0.5C~1Cであることが好ましい。電池内部の電解液は高温でより速く流れるので、注入された電解液を電池内部に迅速に浸透させるために、電池を高温環境に置いて静置しやすいが、温度が高すぎると、電池内部の反応が激しくなり、SEI膜は高温で分解しやすいなどの負の影響を及ぼすことがあるため、上記両側面のバランスを取るには、電解液が注入された使用済み電池を35℃~50℃の条件下で1日~5日間静置することが好ましい。本実施例では、各使用済み電池に電解液を注入した後、45度で3日間放置し、公称容量の0.05Cで3.45Vまで充電し、公称容量の0.5Cで2Vまで放電し、活性化させる。
【0056】
使用済みLiFePO
4/黒鉛単電池を例とし、電解液補充による修復及び活性化の前後の放電曲線の比較図は
図2に示すとおりであり、
図2において曲線Bは本発明の修復後の使用済み電池の放電曲線であり、曲線Aは修復前の使用済み電池の放電曲線である。
図2から分かるように、本発明の方法により修復された使用済みLiFePO
4/黒鉛単電池は修復前に比べ、その容量が顕著に向上する。
【0057】
(7)ステップ(6)によって活性化された各使用済み電池をグループ化して組電池を構成し、組電池の性能をさらに最適化し、具体的には以下のステップを含む。
【0058】
1.活性化後の使用済み電池の放電容量及び電荷移動抵抗を検出する。本具体的な実施例では、公称容量の1Cで上下限電圧まで定電流で充放電し、各使用済み電池の放電容量、直流内部抵抗を記録し、電気化学ステーションは各使用済み電池の交流内部抵抗を測定し、周波数範囲は1000HZ~0.01HZであり、ZView2シミュレーションソフトウェアでフィッティングして電荷移動抵抗を計算する。
【0059】
ただし、電解液注入による修復及び活性化後の20個の電池の放電容量C、直流内部抵抗DC-IR、電荷移動抵抗RCtの情報を表2に示す。
【表2】
【0060】
2.放電容量に応じて活性化された使用済み電池を等級付けする。具体的には、設定された容量差を間隔として放電容量を異なる等級区間に分け、放電容量が存在する等級区間に応じて活性化された使用済み電池を等級付けする。容量差が使用済み電池の公称容量の0~5%であることが好ましい。本具体的な実施例では、容量差10Ahで上記20個の電池を等級付けし、番号1~4、番号5~15、番号16~20はそれぞれ同一等級である。
【0061】
3.同一等級内の使用済み電池を電荷移動抵抗に基づいてグループ化する。具体的には、設定された電荷移動抵抗差を間隔として、使用済み電池の電荷移動抵抗を異なるグループ化区間に分け、活性化された使用済み電池を使用済み電池の電荷移動抵抗が存在するグループ化区間に応じてグループ化する。好ましくは、電荷移動抵抗差は同一等級の活性化された使用済み電池の電荷移動抵抗の平均値の10%~15%である。本具体的な実施例では、同一等級にある電池において、例えば番号5~15の電池の中で、該等級の電池の電荷移動抵抗の平均値は0.3814であり、該平均値の13%、すなわち0.05を電荷移動抵抗差とし、すなわち電荷移動抵抗差ΔRCt=0.05に応じてグループ化すると、電荷移動抵抗が0.35~0.4の間にあるのは1組であり、電荷移動抵抗が0.4~0.45の間にあるのは他の1組であり、従って、番号6、7、8、9、10、12、14、15の電池の電荷移動抵抗は0.35~0.4の間にあり、1組に分けられ、番号5、11の電池の電荷移動抵抗は0.4~0.45の間にあり、残りになる。同様に、番号1~4の等級区間では番号1の電池が残りになり、番号16~20の等級区間では番号16の電池が残りになる。
【0062】
4.各等級の前記使用済み電池のグループ化が完了した後、各等級の残りの前記使用済み電池を上記方法に基づいて等級付け及びグループ化する。
【0063】
本具体的な実施例では、残りの番号5、11の電池と番号2、3、4の電池の最大電池容量差は容量差の標準である10Ah未満であり、同じ等級に再び分けられ、且つ番号5、11の電池と番号2、3、4の電池の最大電荷移動抵抗差は0.043であり、電荷移動抵抗差の標準であるΔRCt=0.05未満であるため、番号5、11の電池と番号2、3、4の電池は1組にグループ化される。他の電池のグループ化方法は上記方法と同じである。
【0064】
5.同じ組に分けられた前記使用済み電池から組電池を構成する。
【0065】
同じ組に分けられた番号6、7、8、9、10、12、14、15の電池から4つの電池を選択して直列、並列に組み合わせて組電池Bを構成し、組電池Bの4つの電池の容量、直流内部抵抗に近い番号1、2、3、4の電池を直列、並列に組み合わせて組電池Aを構成する。常温で組電池Aと組電池Bに対してそれぞれ循環性能試験を行い、循環性能試験の比較図は
図3に示すとおりであり、
図3において曲線Bは本発明のグループ化方法を用いて選択された組電池Bの循環性能曲線であり、曲線Aは従来の通過容量、直流内部抵抗を用いて選択された組電池Aの循環性能曲線である。
図3から分かるように、本発明の電池のグループ化方法を用いて選択された組電池Bは、従来の通過容量、直流内部抵抗を用いて選択された組電池Aよりもサイクル特性に優れている。本発明の電池のグループ化方法により得られた組電池は、一貫性がよりよい。
【0066】
(付記)
(付記1)
カットオフ電圧まで放電した使用済み電池を常温で第1の設定時間静置し、その時の前記使用済み電池の電圧を測定して第1の電圧として記録するステップと、
前記使用済み電池の一次電池に設定された充電方式に従って、前記使用済み電池を公称容量の所定パーセンテージの定格容量まで充電し、その時の前記使用済み電池の電圧を測定して第2の電圧として記録するステップと、
前記定格容量で充電された前記使用済み電池を常温で第2の設定時間静置し、その時の前記使用済み電池の電圧を測定して第3の電圧として記録するステップと、
前記第1の電圧に基づいて第1の判定条件を設定し、前記第2の電圧に基づいて第2の判定条件を設定し、前記第3の電圧に基づいて第3の判定条件を設定し、前記第1の判定条件、第2の判定条件及び第3の判定条件に基づいて前記使用済み電池を順次判定するステップと、
複数の使用済み電池について上記判定ステップを完了し、第1の予備選択組、第2の予備選択組及び第3の予備選択組を形成するステップと、
前記第1の予備選択組、第2の予備選択組及び第3の予備選択組内に同時に選択された使用済み電池をグループ化するステップと、を含むことを特徴とする使用済み電池の迅速なグループ化方法。
【0067】
(付記2)
前記定格容量は公称容量の20%から35%の範囲にあることを特徴とする付記1に記載の使用済み電池の迅速なグループ化方法。
【0068】
(付記3)
第1の閾値、第2の閾値及び第3の閾値を設定し、前記第1の閾値は前記第1の電圧の電圧差閾値であり、前記第2の閾値は前記第2の電圧の電圧差閾値であり、前記第3の閾値は前記第3の電圧の電圧差閾値であることを特徴とする付記1または2に記載の使用済み電池の迅速なグループ化方法。
【0069】
(付記4)
前記第1の判定条件、第2の判定条件及び第3の判定条件に基づいて前記使用済み電池を順次判定する前記ステップは、
各使用済み電池の第1の電圧、第2の電圧及び第3の電圧を統計することと、
各使用済み電池の第1の使用済み電池に対する第1の電圧差、第2の電圧差及び第3の電圧差を統計することと、
前記第1の電圧の電圧差閾値に基づいて統計された使用済み電池を選別し、前記第1の予備選択組を形成することと、
前記第2の電圧の電圧差閾値に基づいて統計された使用済み電池を選別し、前記第2の予備選択組を形成することと、
前記第3の電圧の電圧差閾値に基づいて統計された使用済み電池を選別し、前記第3の予備選択組を形成することと、を含むことを特徴とする付記3に記載の使用済み電池の迅速なグループ化方法。
【0070】
(付記5)
カットオフ電圧まで放電した使用済み電池を常温で第1の設定時間静置し、その時の前記使用済み電池の電圧を測定して第1の電圧として記録するステップと、
前記使用済み電池の一次電池に設定された充電方式に従って、前記使用済み電池を公称容量の所定パーセンテージの定格容量まで充電し、その時の前記使用済み電池の電圧を測定して第2の電圧として記録するステップと、
前記定格容量で充電された前記使用済み電池を常温で第2の設定時間静置し、その時の前記使用済み電池の電圧を測定して第3の電圧として記録するステップと、
前記第1の電圧に基づいて第1の判定条件を設定し、前記第2の電圧に基づいて第2の判定条件を設定し、前記第3の電圧に基づいて第3の判定条件を設定し、前記第1の判定条件、第2の判定条件及び第3の判定条件に基づいて前記使用済み電池を順次判定するステップと、
複数の使用済み電池について上記判定ステップを完了し、第1の予備選択組、第2の予備選択組及び第3の予備選択組を形成するステップと、
前記第1の予備選択組、第2の予備選択組及び第3の予備選択組内に同時に選択された使用済み電池をグループ化するステップと、
前記第1の判定条件、前記第2の判定条件及び前記第3の判定条件を調節し、全ての使用済み電池をグループ化して複数の使用済み組電池を得るステップと、
各前記使用済み組電池から1つ以上の使用済み電池を選択し、選択された使用済み電池の実力容量を検出するステップと、
前記選択された使用済み電池の実力容量に基づいて、修復可能な使用済み組電池を選別するステップと、
各前記修復可能な使用済み組電池内の各使用済み電池をそのカットオフ電圧まで放電するステップと、
各前記修復可能な使用済み組電池内の各使用済み電池に対応する重量の電解液を注入して封口し、ただし、前記修復可能な使用済み組電池内の各使用済み電池に同じ重量の前記電解液を注入するステップと、
前記電解液が注入された前記使用済み電池の充放電活性化を行うステップと、を含むことを特徴とする使用済み電池の修復方法。
【0071】
(付記6)
前記定格容量は公称容量の20%から35%の範囲にあることを特徴とする付記5に記載の使用済み電池の修復方法。
【0072】
(付記7)
第1の閾値、第2の閾値及び第3の閾値を設定し、前記第1の閾値は前記第1の電圧の電圧差閾値であり、前記第2の閾値は前記第2の電圧の電圧差閾値であり、前記第3の閾値は前記第3の電圧の電圧差閾値であることを特徴とする付記5または6に記載の使用済み電池の修復方法。
【0073】
(付記8)
前記第1の判定条件、第2の判定条件及び第3の判定条件に基づいて前記使用済み電池を順次判定する前記ステップは、
各使用済み電池の第1の電圧、第2の電圧及び第3の電圧を統計することと、
各使用済み電池の第1の使用済み電池に対する第1の電圧差、第2の電圧差及び第3の電圧差を統計することと、
前記第1の電圧の電圧差閾値に基づいて統計された使用済み電池を選別し、前記第1の予備選択組を形成することと、
前記第2の電圧の電圧差閾値に基づいて統計された使用済み電池を選別し、前記第2の予備選択組を形成することと、
前記第3の電圧の電圧差閾値に基づいて統計された使用済み電池を選別し、前記第3の予備選択組を形成することと、を含むことを特徴とする付記7に記載の使用済み電池の修復方法。
【0074】
(付記9)
前記選択された使用済み電池の実力容量が60%~80%の公称容量である時、前記選択された使用済み電池が存在する使用済み組電池は、修復可能な使用済み組電池であることを特徴とする付記5に記載の使用済み電池の修復方法。
【0075】
(付記10)
前記充放電活性化の方法は、
前記電解液が注入された前記使用済み電池を静置し、前記電解液を電池内部に十分に浸透させ、第1の定電流でその電圧の上限まで充電し、続いて第2の定電流でそのカットオフ電圧まで放電することであることを特徴とする付記5に記載の使用済み電池の修復方法。
【0076】
(付記11)
前記第1の定電流は、前記使用済み電池の公称容量の0.01C~0.1Cであり、前記第2の定電流は、前記使用済み電池の公称容量の0.5C~1Cであることを特徴とする付記10に記載の使用済み電池の修復方法。
【0077】
(付記12)
前記電解液が注入された前記使用済み電池を静置することは、前記電解液が注入された前記修復可能な使用済み電池を35℃~50℃の条件下で1日~5日間静置することであることを特徴とする付記10に記載の使用済み電池の修復方法。
【0078】
(付記13)
活性化された前記使用済み電池をグループ化して組電池を構成するステップをさらに含み、前記ステップは、
活性化された前記使用済み電池の放電容量及び電荷移動抵抗を検出することと、
前記放電容量に応じて前記活性化された使用済み電池を等級付けすることと、
同一等級内の前記活性化された使用済み電池を前記電荷移動抵抗に基づいてグループ化することと、
同じ組に分けられた前記活性化された使用済み電池から組電池を構成することと、を含むことを特徴とする付記5に記載の使用済み電池の修復方法。
【0079】
(付記14)
前記放電容量に応じて前記活性化された使用済み電池を等級付けする方法は、設定された容量差を間隔として放電容量を異なる等級区間に分け、前記放電容量が存在する等級区間に応じて前記活性化された使用済み電池を等級付けすることであることを特徴とする付記13に記載の使用済み電池の修復方法。
【0080】
(付記15)
前記容量差が前記使用済み電池の公称容量の0~5%であることを特徴とする付記14に記載の使用済み電池の修復方法。
【0081】
(付記16)
前記同一等級内の前記活性化された使用済み電池を前記電荷移動抵抗に基づいてグループ化する方法は、設定された電荷移動抵抗差を間隔として、前記電荷移動抵抗を異なるグループ化区間に分け、前記活性化された使用済み電池を前記電荷移動抵抗が存在するグループ化区間に応じてグループ化することであることを特徴とする付記13に記載の使用済み電池の修復方法。
【0082】
(付記17)
前記電荷移動抵抗差は同一等級の前記活性化された使用済み電池の電荷移動抵抗の平均値の10%~15%であることを特徴とする付記13に記載の使用済み電池の修復方法。
【0083】
(付記18)
前記電解液を注入する方法は、
前記修復可能な使用済み電池の上蓋を取り外し、露点温度が-35℃以下の環境で、電池蓋板の一部の保護接着剤を切断して接着剤の被覆孔を形成し、前記接着剤の被覆孔に合わせて電池蓋板を貫通し、続いて注液ノズルを用いて接着剤の被覆孔に合わせて真空引きを開始し、真空引きを完了してから前記電解液を注入することであることを特徴とする付記5に記載の使用済み電池の修復方法。
【0084】
(付記19)
前記実力容量の検出方法は、
定電流で前記使用済み電池を1サイクル充放電させ、その放電容量を、前記実力容量として記録することであることを特徴とする付記5に記載の使用済み電池の修復方法。
【0085】
(付記20)
各前記修復可能な使用済み組電池内の各使用済み電池に注入される前記電解液の重量を計算する方法は、
前記選択された使用済み電池の最大容量損失量を計算し、該組の前記修復可能な使用済み組電池内の各使用済み電池が補充すべき電解液の質量を計算することであることを特徴とする付記5に記載の使用済み電池の修復方法。