(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】カテーテル配置装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20220520BHJP
A61M 25/092 20060101ALI20220520BHJP
A61M 25/09 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
A61M25/06 500
A61M25/06 510
A61M25/092 510
A61M25/09 540
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020145225
(22)【出願日】2020-08-31
(62)【分割の表示】P 2018039302の分割
【原出願日】2011-05-13
【審査請求日】2020-09-23
(32)【優先日】2010-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2010-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2010-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2010-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2010-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100117411
【氏名又は名称】串田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ブランチャード,ダニエル・ビー
(72)【発明者】
【氏名】ホール,ジョン・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】スタッツ,ジェイソン・アール
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン,マーク・エイ
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05318541(US,A)
【文献】特開2005-312976(JP,A)
【文献】特開平10-099443(JP,A)
【文献】特表2009-500129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
A61M 25/092
A61M 25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端にある遠位開口部と、近位端にある近位開口部とを有する筐体と、
前記筐体の前記近位端に接続されるピグテール部であって、前記ピグテール部は、前記近位開口部と連通する内部を有し、前記筐体から近位方向に伸びるピグテール部と、
前記近位開口部を通って、前記ピグテール部内に伸びる案内ワイヤであって、前記案内ワイヤと前記筐体は、前記案内ワイヤの遠位方向への前進を制限するように構成される、案内ワイヤと、
前記筐体に回転可能に接続される歯車であって、前記歯車は前記案内ワイヤに、前記歯車の回転により前記案内ワイヤが前記筐体の前記遠位開口部を通って遠位方向に前進するように、接続される、歯車とを備え、
近位方向に伸びる前記ピグテール部は前記案内ワイヤを包囲して、前記案内ワイヤを前記ピグテール部の外部から隔離している、挿入装置。
【請求項2】
前記歯車は、第1の歯車と、前記第1の歯車から離れた第2の歯車とを含み、前記第1の歯車と前記第2の歯車は、一緒に回転して前記案内ワイヤを遠位方向に前進させ、前記第1の歯車と前記第2の歯車は、1つの回転軸上に位置する、請求項1記載の挿入装置。
【請求項3】
前記第1の歯車と前記第2の歯車は、アクセス可能であり、かつ前記筐体の前記遠位開口部に隣接している、請求項2記載の挿入装置。
【請求項4】
前記第1の歯車と前記第2の歯車の前記回転軸は、前記筐体の長手方向軸と直角である、請求項2記載の挿入装置。
【請求項5】
前記案内ワイヤは、近位方向に延びる部分と、前記部分に接続するU字形曲がり部とを備え、前記U字形曲がり部は前記筐体の前記遠位端に向かって曲がり、前記U字形曲がり部が前記筐体と係合することによって前記案内ワイヤの遠位方向への前進が制限される、請求項1記載の挿入装置。
【請求項6】
前記挿入装置は、針の周りに同軸状に配置されたカテーテルを備え、前記針の遠位端は、前記カテーテルの遠位端から遠位方向に伸び、前記案内ワイヤは、前記針の前記遠位端を通って前進するように構成される。請求項1記載の挿入装置。
【請求項7】
前記針の近位端は、前記筐体の前記近位端に取り付けられる針ハブに接続される、請求項6記載の挿入装置。
【請求項8】
前記挿入装置は搬器を備え、前記案内ワイヤは前記搬器に取り付けられる、請求項7記載の挿入装置。
【請求項9】
前記挿入装置は、前記歯車および前記搬器と接続される糸状体を含み、前記歯車の回転により前記糸状体が前記搬器を遠位方向に前進させ、これにより前記搬器に取り付けられた前記案内ワイヤは遠位方向に前進する、請求項8記載の挿入装置。
【請求項10】
前記カテーテルは、最初は前記筐体内の前記搬器の遠位に前記搬器と離れているカテーテルハブを含み、前記搬器の遠位方向への前進により前記搬器は前記カテーテルハブに接触し、そして前記搬器の遠位方向への前記前進により前記カテーテルを、前記針を越えて遠位方向に前進させる、請求項9記載の挿入装置。
【請求項11】
前記ピグテール部は、前記案内ワイヤを覆うシースである、請求項1記載の挿入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2010年5月14日に出願された題名「Catheter Insertion System Including an Integrated Guidewire Dilator」の米国特許仮出願第61/345,005号、2010年5月14日に出願された題名「Systems and Methods for Placement of an Intermediate Dwell Catheter Including a Needle Blunting System」の米国特許仮出願第61/345,022号、2010年8月9日に出願された題名「Catheter Insertion Tool Including Fold-out Guidewire Advancement Flaps」の米国特許仮出願第61/372,050号、および、2010年9月23日に出願された題名「Catheter Insertion Tool Including Guidewire Advancement」の米国特許仮出願第61/385,844号の利益を主張する。上記出願の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
[0002]簡潔に要約すると、本発明の実施形態は、カテーテルまたは他の管状の医療機器を患者の体内に挿入するための挿入器具に関する。一実施形態では、挿入器具は、簡単なカテーテル挿入手順を提供するために、針の挿入と、案内ワイヤの前進と、カテーテルの挿入とを、1つの装置に統合する。
【0003】
[0003]一実施形態では、挿入器具は、カテーテルの少なくとも一部が最初に中に配置される筐体と、筐体から遠位方向に延在し、カテーテルの少なくとも一部がその上に最初に配置される中空針と、針内に最初に配置される案内ワイヤとを備えている。カテーテルの遠位方向への前進に備えて、案内ワイヤを、針の遠位端を越えて遠位方向に選択的に前進させるための前進組立品も含まれている。一実施形態では、カテーテルを患者内に選択的に前進させるためのカテーテル前進組立品も含まれている。各前進組立品は、使用者が所望の構成要素を選択的に前進させることを可能にする滑動体または他の作動装置を含むことができる。
【0004】
[0004]一実施形態では、カテーテル前進組立品は、筐体内のカテーテルのハブに当初に且つ着脱可能に取り付けられた柄をさらに含んでいる。使用者による柄の遠位移動は、カテーテルを筐体から遠位に移動させる。柄は、針がカテーテルから取り除かれ、針の遠位先端が柄内に収容されるとき、針の遠位先端を隔離するための針安全構成要素を含むことができる。
【0005】
[0005]本発明の実施形態のこれらおよび他の特徴は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう、または、以下に記載される本発明の実施形態の実行により知ることができる。
【0006】
[0006]本開示のより具体的な説明は、添付の図面に例示されているその具体的な実施形態を参照して与えられる。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示しており、したがってその範囲を限定するとみなされるべきではないことを理解されたい。本発明の例示的実施形態が、添付図面の使用によりさらに具体的かつ詳細に記載され、説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】[0007]
図1Aは一実施形態によるカテーテル挿入装置の図である。
図1Bは一実施形態によるカテーテル挿入装置の図である。
【
図2A】[0008]
図1Aおよび1Bのカテーテル挿入装置の分解図である。
【
図2B】[0008]
図1Aおよび1Bのカテーテル挿入装置の分解図である。
【
図3】[0009]
図3Aは一実施形態による
図1Aおよび1Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
図3Bは一実施形態による
図1Aおよび1Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
【
図4】[00010]
図4Aは一実施形態による
図1Aおよび1Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
図4Bは一実施形態による
図1Aおよび1Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
【
図5】[000011]
図5Aは一実施形態による
図1Aおよび1Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
図5Bは一実施形態による
図1Aおよび1Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
【
図6】[00012]
図6Aは一実施形態による
図1Aおよび1Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
図6Bは一実施形態による
図1Aおよび1Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
【
図7】[00013]
図7Aは一実施形態による
図1Aおよび1Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
図7Bは一実施形態による
図1Aおよび1Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
【
図8】[00014]一実施形態による
図1Aおよび1Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
【
図9】[00015]一実施形態による
図1Aおよび1Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
【
図10A】[00016]一実施形態によるカテーテル挿入器具のための針安全構成要素および環境の図である。
【
図10B】[00016]一実施形態によるカテーテル挿入器具のための針安全構成要素および環境の図である。
【
図10C】[00016]一実施形態によるカテーテル挿入器具のための針安全構成要素および環境の図である。
【
図11A】[00017]一実施形態によるカテーテル挿入装置の図である。
【
図11B】[00017]一実施形態によるカテーテル挿入装置の図である。
【
図11C】[00017]一実施形態によるカテーテル挿入装置の図である。
【
図11D】[00017]一実施形態によるカテーテル挿入装置の図である。
【
図12A】[00018]
図11A~11Dのカテーテル挿入装置の一部の図である。
【
図12B】[00018]
図11A~11Dのカテーテル挿入装置の一部の図である。
【
図14A】[00020]一実施形態による
図11A~11Dのカテーテル挿入機器の使用の一段階の図である。
【
図14B】[00020]一実施形態による
図11A~11Dのカテーテル挿入機器の使用の一段階の図である。
【
図14C】[00020]一実施形態による
図11A~11Dのカテーテル挿入機器の使用の一段階の図である。
【
図14D】[00020]一実施形態による
図11A~11Dのカテーテル挿入機器の使用の一段階の図である。
【
図14E】[00020]一実施形態による
図11A~11Dのカテーテル挿入機器の使用の一段階の図である。
【
図14F】[00020]一実施形態による
図11A~11Dのカテーテル挿入機器の使用の一段階の図である。
【
図15A】[00021]一実施形態によるカテーテル挿入装置の図である。
【
図15B】[00021]一実施形態によるカテーテル挿入装置の図である。
【
図16】[00022]
図15Aおよび15Bのカテーテル挿入装置と共に使用するための一体型案内ワイヤ/拡張器の断面側面図である。
【
図17】[00023]
図17Aは一実施形態による
図15Aおよび15Bのカテーテル挿入装置と共に使用するための溝付針の図である。
図17Bは一実施形態による
図15Aおよび15Bのカテーテル挿入装置と共に使用するための溝付針の図である。
図17Cは一実施形態による
図15Aおよび15Bのカテーテル挿入装置と共に使用するための溝付針の図である。
【
図18】[00024]
図15Aおよび15Bのカテーテル挿入装置の一部の断面側面図である。
【
図19】[00025]一実施形態による
図15Aおよび15Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
【
図20】[00026]
図20Aは一実施形態による
図15Aおよび15Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
図20Bは一実施形態による
図15Aおよび15Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
【
図21】[00027]
図21Aは一実施形態による
図15Aおよび15Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
図21Bは一実施形態による
図15Aおよび15Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
【
図22】[00028]一実施形態による
図15Aおよび15Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
【
図23】[00029]一実施形態による
図15Aおよび15Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
【
図24】[00030]一実施形態による
図15Aおよび15Bのカテーテル挿入器具の使用の一段階の図である。
【
図25】[00031]
図25Aは一実施形態による針遠位先端および案内ワイヤ鈍化設計の図である。
図25Bは一実施形態による針遠位先端および案内ワイヤ鈍化設計の図である。
【
図26】[00032]一実施形態による針遠位先端設計の斜視図である。
【
図27】[00033]一実施形態によるカテーテル挿入器具の斜視図である。
【
図28】[00034]一実施形態によるカテーテル挿入器具の断面図である。
【
図29】[00035]
図29Aは一実施形態によるカテーテル挿入器具の図である。
図29Bは一実施形態によるカテーテル挿入器具の図である。
【
図30】[00036]一実施形態によるカテーテル挿入器具の斜視図である。
【
図31】[00037]一実施形態によるカテーテル挿入器具の斜視図である。
【
図32A】[00038]一実施形態による使用中のカテーテル挿入器具の構成の図である。
【
図32B】[00038]一実施形態による使用中のカテーテル挿入器具の構成の図である。
【
図32C】[00038]一実施形態による使用中のカテーテル挿入器具の構成の図である。
【
図32D】[00038]一実施形態による使用中のカテーテル挿入器具の構成の図である。
【
図32E】[00038]一実施形態による使用中のカテーテル挿入器具の構成の図である。
【
図32F】[00038]一実施形態による使用中のカテーテル挿入器具の構成の図である。
【
図32G】[00038]一実施形態による使用中のカテーテル挿入器具の構成の図である。
【
図32H】[00038]一実施形態による使用中のカテーテル挿入器具の構成の図である。
【
図32I】[00038]一実施形態による使用中のカテーテル挿入器具の構成の図である。
【
図33】[00039]
図33Aは一実施形態による安全針構成要素の図である。
図33Bは一実施形態による安全針構成要素の図である。
図33Cは一実施形態による安全針構成要素の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[00040]ここでは、同様の構造には同様の参照指定が与えられる図面に対して参照が行
われる。図面は、本発明の例示的な実施形態の図式的な表示および概略的な表示であり、限定するものではなく、必ずしも一定の縮尺で描かれてもいないことを理解されたい。
【0009】
[00041]明確にするために、単語「近位」は、本明細書で説明される装置を使用する臨
床医に比較的より近い方向を指し、単語「遠位」は、臨床医から比較的より遠い方向を指すことを理解されたい。例えば、患者の体内に配置されたカテーテルの端部はカテーテルの遠位端とみなされ、患者の体外に残るカテーテルの端部はカテーテルの近位端とみなされる。また、特許請求の範囲を含む本明細書で使用される単語「含む」、「有する」および「有している」は、単語「備える」と同じ意味を有することになっている。
【0010】
[00042]本発明の実施形態は、一般に、患者内へのカテーテルまたは他の管状医療機器
の配置を支援するための器具に向けられている。例えば、患者の血管系への接近を確立し、薬剤の注入または体液の吸引を可能にするために、典型的には、種々の長さのカテーテルが患者の体内に配置される。本明細書で説明されるカテーテル挿入器具は、このようなカテーテルの配置を容易にする。以下の議論は、特定の形式で比較的短い長さのカテーテルの配置に焦点を当てているが、末梢IVの中間または伸長留置カテーテル、PICC、中心静脈カテーテル等を含む、種々の形式、大きさ、および長さのカテーテルを、本装置を介して挿入することができることに注意されたい。一実施形態では、多くの他の長さも可能であるが、約6.35cm(2.5インチ)と約11.43cm(4.5インチ)との間の長さを有するカテーテルを配置することができる。他の実施形態では、約8.255cm(3.25インチ)の長さを有するカテーテルを配置することができる。
【0011】
[00043]一実施形態による、全体として10で示されるカテーテル挿入器具(「挿入器
具」)に関する種々の細部を示す
図1A~1Bおよび2A~2Bを最初に参照する。図示のように、挿入器具10は筐体12を含み、筐体12は、底部筐体部分12Bと分離可能に係合される上部筐体部分12Aを含む。中空針16を支持する針ハブ(基)14は、上部筐体部分12Aと底部筐体部分12Bとの間に挿入される。針16は、挿入器具10の本体を通って筐体12の遠位端から出て延在するように、針ハブ14から遠位方向に延在する。他の実施形態では、針は、本明細書に記載されている機能を依然として可能にする一方で、少なくとも部分的に中空である。
【0012】
[00044]切欠18が、針16の遠位端付近の針16の壁を貫いて画定される。切欠18
は、カテーテル挿入手順の間に患者の血管系への接近が達成されると、血液の逆流が中空針16によって画定される内腔を出て行くのを可能にする。したがって、切欠18を出る血液は、さらに以下に説明するように、血管系内の適切な針の配置を確認するために、臨床医によって検視することができる。
【0013】
[00045]挿入器具10は、針による接近が達成された後、案内ワイヤ22を、針16を
通過して患者の血管系内に前進させるための、案内ワイヤ前進組立品20をさらに含む。
図1Bおよび2Aで最もよく見られるように、案内ワイヤ22は、針16の内腔内に予め
配置され、案内ワイヤの近位端は針ハブ14の近位端付近に配置される。案内ワイヤ前進組立品20は、案内ワイヤの遠位端が針16の遠位端を越えて延在するように、挿入器具10の使用中に案内ワイヤを遠位方向に選択的に前進させる案内ワイヤ梃子(レバー)24を含む。案内ワイヤ梃子24は、針16の内腔を通して案内ワイヤを押すために、案内ワイヤ22の近位端に係合する梃子つまみ26を含む。
【0014】
[00046]案内ワイヤ前進組立品20は、上部筐体部分12Aに滑動可能に取り付けられ
る滑動体28をさらに含む。案内ワイヤ梃子24の2つのつまみ24Aは、滑動体の使用者による選択的な運動が梃子24の対応する運動を結果として生じ、延長線上で考えてみると案内ワイヤ22の対応する動きを結果として生じるように、滑動体28に作動的に取り付く。梃子つまみ24Aの滑動体28への係合は、また、滑動体の筐体12への取り付けを維持する。もちろん、使用者の入力を案内ワイヤの運動に変換するための他の係合機構を用いることもできる。滑動体28および梃子24の滑動運動を可能にするために、筐体12の遠位端まで延在する通路34を含む適切な通路が、上部筐体部分12A内に含まれる。
【0015】
[00047]滑動体28は、筐体12によって画定される軌条32に部分的に巻き付く2つ
の腕部30を含む。具体的には、
図5Bで最もよく見られるように、滑動体28の初期の遠位方向への前進中、腕部30は底部筐体軌条32A上で滑動する。
図2Aおよび3Aで最もよく見られるように、滑動体28のさらなる遠位方向への前進中、腕部30は、底部筐体軌条32A上を通り過ぎ、上部筐体軌条32B上まで滑動する。底部筐体軌条32Aともはや係合されない滑動体28の腕部30により、以下にさらに説明するように、2つの筐体部分12Aおよび12Bは分離することができる。
【0016】
[00048]案内ワイヤ梃子24は、滑動体28が完全に遠位に滑動された場合、上部筐体
部分12Aの内部に画定される拡張部36Aを跳ね上げ、係合するように、弾力的に配置される係止腕部36を含む。これは、遠位に拡張されると、案内ワイヤ22の不注意な引き戻しを防止し、そうしなければ、挿入手順中に針16の遠位先端による案内ワイヤの遠位部の意図しない切断を発生する可能性がある。拡張部36Aによる係止腕部36の係合は、一実施形態では、案内ワイヤ22の完全な遠位拡張を示すように、触覚および/または可聴フィードバックを提供することができることに注意されたい。
【0017】
[00049]挿入器具10は、筐体12内に予め配置され、その近位端にカテーテル管44
およびハブ46を含むカテーテル42を、遠位方向に選択的に前進させるためのカテーテル前進組立品40をさらに含む。
図1Aおよび1Bに見られるように、カテーテル42は最初に、上述したようにカテーテル管44の内腔が針16をおおって配置され、針16が案内ワイヤ22をおおって配置されるように、筐体12によって画定される体積内に部分的に予め配置される。
【0018】
[00050]具体的には、カテーテル前進組立品40は、基部48Aと柄基部から延在する
2つの腕部50とを画定する柄48を含む。各腕部50は、把手表面50Aと、指掴み50Bと、2つの歯50Cの一方とを画定する。把手表面50Aおよび指掴み50Bは、カテーテルを患者の体内に挿入するために挿入器具10を使用する間、カテーテル42を遠位方向に選択的に前進させるために、柄を使用者が把持または接触することを可能にする。歯50Cは、柄48をカテーテル42に着脱可能に接続するように、対応する隆起表面をつまみ46上に係合する。
【0019】
[00051]追加の構成要素が、カテーテル前進組立品40の柄48に関連して含まれる。
カテーテルが患者の血管系内に最初に導入されるときに血液の流出を防ぐために、栓または弁52が、柄基部48Aとカテーテルハブ46との間に挿入される。針安全構成要素5
6を内部に含む安全筐体54が、腕部50の間で柄48に着脱可能に取り付けられる。具体的には、安全筐体を柄48に着脱可能に固定するために、柄腕部50の内側表面上に含まれる突起60が、安全筐体54内に画定される対応する凹部62(
図10A)と係合する。口金56が、針安全構成要素56を支持し、安全筐体54の端部をおおう。
図1Bに示すように、針16は、初めは、
図2Bに示す順序で上記の構成要素を通って延在する。これらの構成要素の動作に関するさらなる詳細は、以下に与えられる。
【0020】
[00052]一実施形態では、針16の外径およびカテーテル管44の外径は、針に対する
カテーテル管の滑動を向上させ、患者の体内へのカテーテルの挿入を支援するために、珪素樹脂または他の適切な潤滑剤によって潤滑されることに注意されたい。
【0021】
[00053]挿入器具10は、針16を、その筐体12からの出口の地点の近位に安定させ
るための支持構造70を含む。本発明では、支持構造70は、針16およびカテーテル管44の丸形状に厳密に一致するように成形された、上部筐体部分12Aおよび底部筐体部分12Bの境界面72を含む。境界面72は、針内の過度の「遊び」を防ぎ、したがって、患者の血管系に最初に接近するときの使用者の精度を向上させるように、針16を安定させる。
【0022】
[00054]
図2Aで最もよく見られるように、上部筐体12A、針ハブ14および底部筐
体12Bは、後述するように、筐体のより遠位の部分が分離されている場合でも、筐体12の近位端の取り付けを維持するために、係合特徴部68を含む。しかしながら、この所望の機能を実現するために、種々の形式、大きさ、および数の係合特徴部を用いることができることに注意されたい。
【0023】
[00055]
図3A~9は、患者の血管系内にカテーテル42を配置する間の、挿入器具1
0の使用の種々の段階を示す。明確にするために、種々の段階は、示されている患者への実際の挿入なしに描かれる。
図1Aに示す構成内の挿入器具10により、挿入器具10を把持する使用者は、最初に、針16の遠位部を、適切な挿入部位の皮膚を通して誘導し、皮下血管に接近させる。達成された適切な血管への接近の確認は、血液フラッシュによって、すなわち、針の中空内部から切欠18を通って外に出る血液による、針16の外径とカテーテル管44の内径との間の血液の存在によって明らかである。一実施形態では、血管が接近されたときに針16から筐体に入る血液による、一実施形態では半透明の筐体である安全筐体54内の血液の存在が、補助的な血液フラッシュの指標として役立つことができることに注意されたい。
【0024】
[00056]血管への針の接近が確認された後、案内ワイヤ前進組立品20が作動され、最
初は中空針16内に配置される案内ワイヤ22(
図3Aおよび3B)を遠位方向に前進させるために、滑動体28は使用者の指によって前進させられる。案内ワイヤは、滑動体28に操作可能に取り付けられる梃子24によって遠位方向に前進させられることに注意されたい。滑動体28の遠位方向への前進中、その滑動体腕部30は、筐体12の両側の軌条32、すなわち、最初に底部筐体軌条32A、次に上部筐体軌条32Bに沿って進むことにも注意されたい。
【0025】
[00057]遠位方向への案内ワイヤの前進は、滑動体28がその全行程長を遠位方向に滑
動するまで続き、結果として、
図4Aおよび4Bに示すように、針16の遠位端を越えて延在する予め決められた長さの案内ワイヤ22が生じる。一実施形態では、滑動体28のさらなる遠位方向への前進は、
図4Bに示すように、梃子つまみ26と針ハブ14の遠位部との接触によって阻止される。
図5Aおよび5Bは、滑動体28の完全な遠位方向への前進時に、その滑動体腕部30が底部筐体軌条32Aともはや係合しないが、上部筐体軌条32Bのみと係合することを示す。これは、以下でさらに見られるように、筐体部分1
2Aおよび12Bを分離させることを可能にする。
【0026】
[00058]
図5Aおよび5Bに示すように、案内ワイヤ22が患者の血管内に完全に延長
されると(
図4Aおよび4B)、カテーテル前進組立品40は作動され、柄48は、カテーテル管44を針16の遠位部および案内ワイヤ22の遠位部を越えて挿入部位を経て患者の血管系中に滑動させるために、使用者によって遠位に前進させられる。
図6Aおよび6Bは、カテーテルが柄48を介して前進させられるとき、筐体部分12Aおよび12Bは、カテーテルハブ46が筐体12の遠位端を出られるようにし、カテーテルが患者の血管系中に適切な程度挿入されるようにするために、容易に分離される。
【0027】
[00059]
図7Aおよび7Bに示すように、挿入器具10の筐体12内からのカテーテル
の除去の間、遠位針先端が安全筐体54内に受け入れられ、針安全構成要素56と係合されるまで、カテーテルは針16に沿って遠位に滑動することに注意されたい。
図8は、このとき、柄48をカテーテルハブ46に取り付けられたままにして、挿入器具10をカテーテル42から分離することができることを示す。前述のように、柄48は、カテーテルハブ46と柄48との間に挿入される弁52を含む。カテーテル42からの針16および安全筐体54の取り外しに応じて、弁52は、カテーテルハブ46からの不注意な血液の流出を防ぐように、カテーテル内腔を閉塞する。
図9に示すように、柄48は、柄の歯50Cをカテーテルハブ46から解放するように、引っ張り、捻回等することによって、ハブとの係合から取り外される。拡張脚部をカテーテルハブに取り付けることができ、カテーテル42を標準的な手順ごとに略式化することができる。このとき、挿入器具10の筐体12および柄48を廃棄することができる。
【0028】
[00060]
図10A~10Cは、針安全構成要素56と、針16の遠位端を隔離する際の
針16と針安全構成要素56との相互作用とに加えて、安全筐体54に関するさらなる詳細を与える。図示のように、安全筐体54は、上述のように、挿入器具10の使用中に針16が安全筐体54を通過し、筐体の遠位端上の拡張部74を介して筐体を出ることができるように構成されている。口金58は、安全筐体54の近位端中に配置され、針16が最初に安全筐体と、口金と、針安全構成要素とを通過するように、針安全構成要素56を支持するように構成される。本実施形態の安全筐体54の拡張部74は、挿入器具10の使用中に弁を開くように、弁52内に延在し、これは弁と針との間の望ましくない摩擦を除去することに注意されたい。
【0029】
[00061]
図10Cは、針安全構成要素56が、針が最初に貫通して延在する屈曲体すな
わち結合要素80と、摩擦要素82とを含むことを示す。
図10Aに見られるように、針16がカテーテル42から引き出されている場合(
図8)、針の遠位先端は、拡張部74を経て、針安全構成要素の遠位端を越えて、針がもはやそれらと接触しないように、近位方向に引き出される。これは、摩擦要素82が、不注意な針の突き刺しを防ぐように、結合要素80をわずかに傾け、したがって、針16を定位置に結合し、安全筐体54に対するそのさらなる移動を防ぎ、針の遠位先端を筐体内に隔離することを可能にする。本実施形態では、摩擦要素82は適切な大きさのOリングを含む。好適なOリングを、例えば、ニューヨーク州ランカスターのアップルラバープロダクツ(Apple Rubber Products)から入手することができる。針安全構成要素、その動作原理と、類似の装置とに関するさらなる詳細は、米国特許第6,595,955号、第6,796,962号、第6,902,546号、第7,179,244号、第7,611,485号および第7,618,395号に開示されており、これらの米国特許の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれることに注意されたい。もちろん、針の遠位端を隔離するために、他の針安全装置を用いることができる。
【0030】
[00062]ここで、一実施形態によるカテーテル挿入器具110を説明する上で、
図11
A~13Bを参照する。本実施形態および後続の実施形態では、種々の特徴は、上記の実施形態に関連してすでに説明した特徴と同様であることに注意されたい。したがって、後続の各実施形態の選択された側面のみが説明される。
【0031】
[00063]挿入器具110は、共にカテーテル42を部分的に取り囲む上部筐体部分11
2Aおよび底部筐体部分112Bによって画定される筐体112を含む。遠位方向に延在する針116を支持する針ハブ114は、筐体112内への配置のために含まれ、カテーテル42のカテーテル管44が針をおおって配置されるように配置される。本実施形態および他の実施形態では、挿入器具によるカテーテルの部分的な囲いは、臨床医が挿入器具を、他の場合で可能であるよりも針の遠位端により近い手で操作することを可能にすることに注意されたい。
【0032】
[00064]
図13Aおよび13Bは、上部筐体部分112Aに取り付けられる針ハブ11
4に関するさらなる詳細を与える。針ハブ114の遠位端上に含まれる針保持器126は、針116の近位端をその中に受け入れる。針116は、接着剤、溶接または他の適切な方法によって、針保持器126内に固定される。拡張部128は、針保持器126の反対側上に含まれ、底部筐体部分112Bの側面上に画定される対応する溝130内に滑動自在に受け入れられるように構成される。このような係合は、底部筐体部分112Bが上部筐体部分112Aに対して遠位に滑動することを可能にする。
【0033】
[00065]上部軌条132は、針ハブ114上に含まれ、針ハブを上部筐体部分に固定す
るために、上部筐体部分112Aの近位部に画定される対応する溝134に係合するように構成される。閉鎖腕部136も針ハブ114に含まれ、底部筐体部分112Bが針116から案内ワイヤを延ばすように遠位方向に滑動されるとき、後板124と係合し、したがってその引き戻しを防ぐように配置される。
図11Dで最もよく見られるように、案内ワイヤ122は、最初に後板124から針保持器126および針116を通って遠位方向に延びることに注意されたい。
【0034】
[00066]案内ワイヤ前進組立品120は、最初に針の内腔内に配置される案内ワイヤ1
22を針116の遠位端を越えて遠位方向に選択的に前進させるために含まれる。案内ワイヤ前進組立品120は底部筐体部分112Bを含み、底部筐体部分112Bの近位後板124に案内ワイヤ122が取り付けられる。底部筐体部分112Bは、案内ワイヤ122の選択的な遠位方向への前進を可能にするように上部筐体部分112Aに対して遠位方向に滑動可能であることは理解されるであろう。
【0035】
[00067]挿入器具110は、カテーテル42を針116の上に選択的に前進させるため
のカテーテル前進組立品140をさらに含む。前進組立品140は、最初に上部筐体112Aと底部筐体112Bとの間に滑動可能に配置されてカテーテル42のハブ46に着脱可能に取り付けられる柄146を含む。
図12Aおよび12Bで最もよく見られるように、柄146は、使用者がカテーテル42を前進させるために柄を選択的に滑動させることを可能にするための2つの腕部150を含む。柄146は、針がカテーテル42から引き出されるときに針116の遠位先端を隔離するための針安全構成要素156が内部に配置される凹部152をさらに含む。針安全構成要素に関するさらなる詳細は、参照によりそれぞれ組み込まれる米国特許第第6,595,955号、第6,796,962号、第6,902,546号、第7,179,244号、第7,611,485号および第7,618,395号に開示されている。
【0036】
[00068]挿入器具110は、針116を筐体112の遠位端付近で安定させるための支
持構造170をさらに含む。本実施形態の支持構造170は、底部筐体部分112Bの遠位部に蝶番式に接続される2つの垂れ部172を含む。
図11Dおよび12Aに見られる
ように閉じられた場合、垂れ部172は、針を患者に挿入するときに挿入器具110の使用者を支援するように針116を安定させるように機能する。開いたとき(
図14D)、垂れ部172は、以下でさらに詳述するように、カテーテルハブ46を筐体112の遠位端から除去することができるようにするための開口部を提供する。底部筐体部分112Bが上部筐体部分112Aに対して滑動される前に、垂れ部172は、上部筐体部分によって画定される通路174内に配置される。支持構造の他の形式および構成を用いることもできる。挿入器具110は、以下に詳述する、カテーテル挿入手順中に器具の使用を支援するために、筐体112の両側上に掴み面176をさらに含む。
【0037】
[00069]
図14A~14Eは、カテーテルを患者内に挿入する際の、挿入器具110の
使用の種々の段階を示す。
図14Aに示す構成の挿入器具110では、使用者による挿入部位における患者内への針の挿入によって、針116による血管への接近が達成される。血管への接近の確認は、前の実施形態で説明したように、針116内の遠位切欠を介した血液の逆流の観察によって、または他の適切な方法で行うことができる。
【0038】
[00070]針116の遠位部が患者の血管内に配置されると、案内ワイヤ122は、底部
筐体部分112Bを遠位方向に前進させることによって、針の遠位端を越えて、血管内に延ばされる。このような前進は、本実施形態では、使用者の指を底部筐体部分112Bの折り畳まれた垂れ部172上に置き、垂れ部を遠位方向に押し、したがって案内ワイヤ122を延ばすことによって達成される。案内ワイヤ122は、完全に延ばされるまで前進させられる。このとき針ハブ114の閉鎖腕部136は、底部筐体部分112Bの後板124と係合し、案内ワイヤ122の引き戻しを防ぐ。
【0039】
[00071]この段階では、カテーテル前進組立品140の柄146は、その腕部150の
一方または両方を把持する使用者によって、カテーテル42を、挿入部位を経て患者の血管系内に前進させるように、遠位方向に前進させられる。これは
図14Cに示され、
図14Cでは、針116および案内ワイヤ122をおおって遠位に前進するカテーテル管44が示される。
【0040】
[00072]
図14Dに示すように、カテーテル42の継続される遠位方向への前進は、カ
テーテルハブ146に、垂れ部172に開くように促させ、したがって、ハブが挿入器具筐体112から通過することができる適切な開口部を形成する。垂れ部172は、
図14Dに示すように、カテーテルハブ46との接触が各垂れ部に外側に折るように促すように成形されることに注意されたい。垂れ部172は、上記のように、垂れ部172に加えられる指の圧力による案内ワイヤ122の完全な遠位方向への前進によって、もはや通路174内に配置されないことにも注意されたい。
【0041】
[00073]
図14Eは、もはや通路174内に係合されていない垂れ部と共に、カテーテ
ルハブ46に取り付けられたままの柄146が筐体112から分離できるように、上部筐体部分112Aおよび底部筐体部分112Bがそれらの遠位端で分離することができることを示す。この段階では示されないが、柄146の凹部152内に配置される針安全構成要素156は、針116の遠位端を隔離する。このとき、柄146をカテーテルハブ46から手動で取り除くことができ(
図14F)、カテーテル42の配置およびドレッシングを完了することができる。柄146の針安全構成要素156によって隔離された針116を含む挿入器具110を、安全に廃棄することができる。
【0042】
[00074]ここで、一実施形態によるカテーテル挿入器具210を説明する上で、
図15
A~18を参照する。挿入器具210は、共にカテーテル42を部分的に取り囲む上部筐体部分212Aおよび底部筐体部分212Bによって画定される筐体212を含む。遠位方向に延在する中空針216を支持する滑動針ハブ214が、筐体212に滑動可能に取
り付けられる。具体的には、針ハブ214は、さらに後述する方法で上部筐体部分212Aおよび底部筐体部分212B上に画定される対応する軌条218と滑動可能に係合する通路214Aを含む。
図15Aに示すように、針が
図15Aに示すように配置されるように、針216が針経路224を経て(
図18)、上部筐体部分212Aの遠位端に画定される孔から出て延在するように、針ハブ214は、筐体212に対して遠位方向に配置される。
【0043】
[00075]
図15Aに見られるように、挿入器具210の筐体212はカテーテル42の
一部を取り囲む。
図15Bおよび16に示すように、一体型案内ワイヤ/拡張器220が、カテーテル管44の内腔内に含まれ、配置される。案内ワイヤ/拡張器220は、遠位案内ワイヤ部分220Aおよび近位拡張器部分220Bを含む。このように構成されていると、案内ワイヤ/拡張器220は、カテーテル管44を、患者の挿入部位を経て、接近される血管中に向ける際の案内ワイヤとして機能することができるだけでなく、挿入部位を通るカテーテル挿入の前進の際に挿入部位を拡張することができる。他の実施形態は、案内ワイヤ/拡張器を使用する必要はない。一実施形態では、案内ワイヤ/拡張器220は、カテーテル42全体を貫通して近位方向に延在することができ、その近位端上に、カテーテルの近位ルアー継手に接続可能なルアー口金を含むことができることを理解されたい。
図15Aは、カテーテル42の近位部をおおい、隔離するために筐体212に取り付けられた無菌袋217を示すことにも注意されたい。明確にするために、袋217は
図15Aにのみ含まれるが、カテーテルの部分を保護し、隔離するために、種々の構成の挿入器具に含まれてもよい。
【0044】
[00076]
図17A~17Cに見られるように、針216は、針の始点から針の長さに沿
って針の遠位端まで延在する、長手方向に延在する針溝226を含む。
図17Bは、溝226が、より遠位の溝部分と比較してその近位部で、任意により広くなってもよいことを示す。このように構成されると、針溝226は、案内ワイヤ/拡張器220が、後述する挿入器具210の動作中、針216内に挿入され、針216に対して滑動され、針216から除去されることを可能にする。針溝は、一実施形態では、針の長さ全体に延在してもよいことに注意されたい。
【0045】
[00077]
図18は、一実施形態による針216の溝226中への案内ワイヤ/拡張器2
20の進入の方法を示し、案内ワイヤ/拡張器は、遠位方向に上部筐体部分212A内に画定される案内経路222に沿って、針溝を経て、針経路224内に配置される中空針216中まで延在する。(案内経路222は、
図15Bにも見られる。)このようにして、いずれ分かるであろう案内ワイヤ/拡張器および針が互いに分離されているときに、案内ワイヤ/拡張器220を、依然として針から溝226を経て除去できるようにしながら、中空針216を経て遠位方向に滑動させることができる。
【0046】
[00078]
図18は、針が貫通して延在する孔のあたりの上部筐体部分212Aの一部お
よび底部筐体部分212Bの一部によって画定される境界面272を含む、針216を安定化させるための支持構造270も示す。もちろん、針を患者の血管系内に挿入する際に支援するために針に安定性を提供するために、他の支持構造を用いることができる。
図19は、底部筐体部分212B上に含まれる、後述するように退避された後の針ハブのさらなる移動を防止するための、針ハブ214用の閉鎖部230の詳細を示す。
【0047】
[00079]
図19~24は、カテーテルを患者に挿入する際の、挿入器具210の使用の
種々の段階を示す。
図19に示す構成の挿入器具210では、使用者による挿入部位における患者内への針の挿入によって、針216による血管への接近が達成される。
【0048】
[00080]針116の遠位部が患者の血管内に配置されると、案内ワイヤ/拡張器220
は、針の遠位端を越えて血管内まで延びるように、中空針216を貫通して手動で送り込まれる。このような前進は、一実施形態では、針ハブ214を静止させたまま、筐体212およびカテーテル42を一緒に遠位方向に移動させることによって達成される。案内ワイヤ122は、本実施形態では、筐体212の遠位端が皮膚挿入部位に達するまでの前進を含む適切な距離だけ遠位方向に前進させられる。
【0049】
[00081]
図20Aおよび20Bは、案内ワイヤ/拡張器220が血管内まで遠位に延ば
された後、上部筐体部分212A上に配置される軌条部分218Aに沿って針ハブ214を近位に滑動させることによって、針216が血管から引き戻されることを示す。針ハブ214の近位方向への滑動は、
図21Aおよび21Bに示すように、ハブが底部筐体部分212Bの軌条部分218Bに係合し、筐体212の近位端まで完全に滑動されるまで続く。針ハブ214は、針ハブまたは針216のさらなる遠位方向への移動を防ぐために、閉鎖部230と係合する(
図20B)。この位置では、針216は、針の遠位端が使用者から安全に隔離されるように、挿入器具筐体212内に完全に退避される(
図21B)。一実施形態では、針の先端をさらに隔離するために、針安全構成要素を挿入器具に加えることができることに注意されたい。針ハブ226を介した針216の引き戻しの間に針216から分離することができた案内ワイヤ/拡張器220の遠位部は、患者の血管内に残ることに注意されたい。
【0050】
[00082]この段階で、底部筐体部分212B(
図22)および上部筐体部分212A(
図23)は、カテーテル42から取り除かれる。このとき、カテーテル42を、挿入部位を経て患者の血管内に挿入することができる。案内ワイヤ/拡張器220がカテーテル管44内に依然として配置されることと、拡張器部分は、挿入部位とが血管進入点とを徐々に係合させることによって、カテーテル管の遠位端が血管に入るのを支援することとに注意されたい。
【0051】
[00083]前述のように、一実施形態では、ハブ46および接続された拡張脚部を含むカ
テーテル42の近位部は、筐体212に取り付けられる無菌袋によっておおわれる。無菌袋を、カテーテルが患者の血管内に完全に挿入された後に取り除くことができ、あるいは、筐体部分212Aおよび212Bが取り除かれた場合に取り除くことができる。
図24では、次に案内ワイヤ/拡張器220がカテーテル42から取り除かれ、カテーテルは使用のためにドレッシングされ、完成される。案内ワイヤ/拡張器220および挿入器具210の他の部分は廃棄される。
【0052】
[00084]
図25Aおよび25Bは、一実施形態による、中空針316の遠位端316A
を隔離するための針鈍化機構に関する詳細を示す。図示のように、針遠位端316Aは、その切断面が針316の内径318に配置されるように構成される斜面を含む。したがって、適切に寸法を設定された案内ワイヤ320は、針316の遠位端316Aを越えて遠位方向に延在し、針の切断面は、案内ワイヤの切断面への近接によって塞がれ、したがって針端部を使用者から安全に隔離する。加えて、このような針316の遠位端316Aの鈍化は、針先端が血管の内壁に挿入された後、針端部が血管の傷つきやすい内壁を傷つけるのを防ぐ。この時点で、次にカテーテル管44の遠位端44Aを、針316および案内ワイヤ320を越えて遠位方向に前進させることができる。
図26は、追加の面取構成要素319を含む他の実施形態による針端部斜面316Aを示す。このような鈍化機構を、本明細書に記載の1つまたは複数の挿入器具で用いることができる。
【0053】
[00085]ここで、一実施形態によるカテーテル挿入器具410を説明する上で、
図27
を参照する。挿入器具410は、カテーテル42を部分的に取り囲む筐体412を含む。遠位方向に延在する中空針416は、針が筐体412の遠位端から外に延びるように、筐体412に配置される。
【0054】
[00086]案内ワイヤ前進組立品420は、筐体412内に画定される通路430に沿っ
て滑動する滑動体428を含み、案内ワイヤ422を選択的に前進させるように示される。案内ワイヤ422は、滑動体428に取り付けられ、案内ワイヤ422が筐体の遠位端に向かって曲がって案内ワイヤ曲がり部422Aを形成するまで筐体412内で近位方向に延び、使用者による滑動体の作動による針の遠位端を越える選択的な遠位方向への前進のため、中空針の近位端416Aを経て中空針416内に入り込む。針416の遠位端から出る案内ワイヤ422の遠位方向への前進は、案内ワイヤ曲がり部422Aが針近位端416Aに係合すると停止する。
【0055】
[00087]カテーテル前進組立品440は、通路430に沿って滑動する滑動体448と
、筐体412内に配置され滑動体448に作動的に接続される搬器450とを含み、針416をおおうカテーテル管44を選択的に前進させるように示される。搬器450は、最初に、滑動体448の遠位方向への滑動がカテーテルを遠位筐体端部に向けて遠位方向に前進させるように、カテーテルハブ46に係合される。
【0056】
[00088]挿入器具410は、針416を安定させるための支持構造470をさらに含み
、支持構造470は、筐体412の遠位端にピンによって蝶番式に取り付けられる2つの扉472を含む。扉472は、針416を患者に挿入する間、安定させるように機能する。その後、カテーテル管44およびカテーテルハブ46が滑動体448によって遠位方向に前進させられるとき、扉472が開かれ、カテーテル42が扉を通過することを可能にし、使用者によって挿入器具410から分離されることを可能にする。本実施形態では、くさび特徴部が滑動体428の底面上に含まれ、くさび特徴部は、本明細書に記載のように滑動体が遠位に滑動されるときに扉472を開くように構成される。このようなくさびまたは他の適切な特徴部は、本明細書に記載の他の実施形態に同様に含まれてもよい。
【0057】
[00089]挿入器具410からの分離後、次にカテーテル42は、必要に応じて使用者に
よって患者内に前進させられ、配置されることができる。図示されていないが、針416の遠位先端を隔離するために針安全構成要素が含まれてもよいことに注意されたい。一実施形態では、案内ワイヤ滑動体428の遠位方向への滑動は、カテーテルの前進の準備のために扉472を部分的に開くことができる。
【0058】
[00090]
図28は、他の実施形態による支持構造480を含む挿入器具410を示し、
2つの半円錐形扉482が筐体412に(存在する蝶番または他の適切な接続方式によって)蝶番式に接続され、針416を安定させるように構成される。
図28の挿入器具410の搬器は、
図27の搬器と比較してもより長い。したがって、挿入器具筐体からの出口点またはその付近で針を安定させるために、種々の異なった支持構造および構成を用いることができることを理解されたい。
【0059】
[00091]ここで、一実施形態によるカテーテル挿入器具510を説明する上で
図29A
および29Bを参照する。挿入器具510は、カテーテル42を部分的に取り囲む筐体512を含む。中空針516は針ハブ514から遠位方向に延在し、針ハブ514は、針が筐体512の遠位端から出て延びるように筐体512の近位端にかぶさる。
【0060】
[00092]案内ワイヤ前進組立品520は、筐体512内に画定される通路530に沿っ
て滑動する滑動体528を含み、案内ワイヤ522を選択的に前進させるように示される。案内ワイヤ522は、滑動体528に取り付けられ、筐体512内で近位方向に延び、針ハブ514内に画定される2つの孔514Aのうち上の1つを介して、筐体512の近位端に取り付けられるピグテール部524を通って外に延びる。滑動体528が使用者によって選択的に作動されると、案内ワイヤ522は、ピグテール部524の近位端付近で、U字形案内ワイヤ曲がり部522Aを形成するように曲がり、筐体512中に戻って遠位方向に延び、針の遠位端から出る最終的な遠位方向への前進のために、2つの針ハブ孔514Aのうち下の孔を経て中空針516に入り込む。針416の遠位端を出る案内ワイヤ522のこのような遠位方向への前進は、案内ワイヤ曲がり部522Aが針ハブ514内に画定される孔514Aに当接すると停止する。
【0061】
[00093]カテーテル前進組立品540は、通路530に沿って滑動する滑動体548と
、筐体512内に配置され滑動体に作動的に接続される搬器550とを含み、針516をおおうカテーテル管44を選択的に前進させるようにも示される。搬器550は、滑動体548の遠位方向への滑動がカテーテルを遠位筐体端部へ向けて遠位方向に前進させるように、最初にカテーテルハブ46に係合されてもよい。本実施形態では、ふくれ522Bが案内ワイヤ522上に含まれ、案内ワイヤが使用者による(案内ワイヤ前進)滑動体528の作動によって遠位方向に前進させられるとき、ふくれが前進し、(カテーテル前進)滑動体548に係合する。これは、滑動体548を同様に前進させ、結果として、カテーテル42の遠位方向への前進を生じる。したがって、一実施形態では、カテーテルを、滑動体548を介して直接前進させることができ、あるいは、滑動体528を介して間接的に前進させることができる。
【0062】
[00094]挿入器具510は、針516が通過して延在する栓孔574が画定された栓5
72を含む、針516を安定させるための支持構造570をさらに含む。栓572は、通路530を介して滑動体528に取り付けられ、筐体512の遠位端を閉塞し、したがって、患者への針の挿入中に栓572を通過する針516を安定させるように機能する。その後、案内ワイヤ522が滑動体528によって遠位方向に前進させられると、栓572も筐体512の外に遠位方向に前進させられ、したがって、筐体の遠位端を開き、カテーテル42が通過できるようにする。次いでカテーテル42は、使用者によって挿入器具510から分離させることができ、使用者によって最終的な位置に前進させることができる。図示されていないが、針516の遠位先端を隔離するために、針安全構成要素を含めることができることに注意されたい。一実施形態では、栓572が筐体512内のその最初の位置から取り除かれた後、もはや支持構造栓孔574によって拘束されていないカテーテル管44および針516は、筐体の中心に向かって軸方向に再配置することができることにも注意されたい。これは、
図30および31の実施形態にも同様に当てはまる。
【0063】
[00095]ここで、一実施形態によるカテーテル挿入器具610を説明する上で
図30を
参照する。挿入器具610は、カテーテル42を部分的に取り囲む筐体612を含む。中空針616は針ハブ614から遠位方向に延在し、針ハブ614は、針が筐体612の遠位端から出て延びるように筐体612の近位端にかぶさる。針616は長手方向に延在する近位溝616Aを含み、近位溝616Aは針616の近位端から溝の遠位端616Bまで延在する。
【0064】
[00096]筐体612内に画定される通路630に沿って滑動する滑動体628を含めて
、案内ワイヤ622を選択的に前進させるための案内ワイヤ前進組立品620を示す。案内ワイヤ622は、滑動体628に取り付けられ、案内ワイヤ622が筐体の遠位端に向かって曲がって案内ワイヤ曲がり部622Aを形成するまで筐体612内で近位方向に延び、使用者による滑動体の作動を介した針の遠位端を越える選択的な遠位方向への前進のため、中空針の近位溝616Aを経て中空針616内に入り込む。滑動体628の遠位方向への前進は、滑動体を筐体612から、依然として案内ワイヤ622に取り付けられたまま分離させることに注意されたい。針616の遠位端から出る案内ワイヤ622の遠位方向への前進は、案内ワイヤ曲がり部622Aが針の近位溝616Aの遠位端616Bに係合すると停止する。
【0065】
[00097]カテーテル前進組立品640は、搬器650を含み、針616をおおうカテー
テル管44を選択的に前進させるようにも示され、搬器650は、筐体612内に配置され、滑動体の作動が案内ワイヤ622および搬器650の両方を遠位方向に前進させるように滑動体628に作動的に接続される。搬器650は、最初にカテーテルハブ46と係合されないが、ある量の遠位方向への前進後、カテーテルハブ46に係合する。これは、カテーテル42を遠位筐体端部に向けて遠位方向に前進させる。
【0066】
[00098]挿入器具610は、針616を安定させるための支持構造670をさらに含み
、支持構造670は、針616が通過して延在する栓孔674が画定された栓672を含む。栓672は、通路630を介して滑動体628に取り付けられ、筐体612の遠位端をふさぎ、したがって、患者内への針の挿入中、栓672を通過する針616を安定させるように機能する。その後、案内ワイヤ622が滑動体628によって遠位方向に進行させられると、栓672も筐体612から出て遠位方向に前進し、したがって、筐体の遠位端を開き、カテーテル42が筐体の遠位端を通過するのを可能にする。このときカテーテル42は、使用者によって挿入器具610から分離させることができ、使用者によって最終的な位置に前進させることができる。一実施形態では、搬器650は、針616の遠位端を隔離するために針安全構成要素を含むことができる。
【0067】
[00099]ここで、一実施形態によるカテーテル挿入器具710を説明する上で
図31を
参照する。挿入器具710は、カテーテル42を部分的に取り囲む筐体712を含む。中空針716は針ハブ714から遠位方向に延在し、針ハブ714は、針が筐体712の遠位端から出て延びるように筐体712の近位端にかぶさる。
【0068】
[000100]案内ワイヤ722およびカテーテル42を選択的に前進させるための前進組立品720が示される。前進組立品720は、使用者によって選択的に回転可能な大歯車730を含み、大歯車730は、糸状体726または他の適切な構成要素を介して搬器750に取り付けられる。案内ワイヤ722は、搬器750に取り付けられ、筐体712内を近位方向に延びてピグテール部724を通って外へ延び、ピグテール部724は、針ハブ514内に画定される2つの穴のうち一方(
図29A、29Bの針ハブ514内の孔514Aと同様の)を介して筐体712の近位端に取り付けられる。大歯車730が使用者によって選択的に作動されると、案内ワイヤ722は、ピグテール部724の近位端付近で、U字形案内ワイヤ曲がり部722Aを形成するように曲がり、筐体712中に戻って遠位方向に延び、針の遠位端から出る最終的な遠位方向への前進のために、針ハブ714内に画定される2つの穴のうち他方を経て中空針716に入り込む。針716の遠位端を出る案内ワイヤ722のこのような遠位方向への前進は、案内ワイヤ曲がり部722Aが針ハブ714内に画定される上記の孔に当接すると停止する。
【0069】
[000101]前進組立品720は、針716をおおうカテーテル管44を選択的に前進させ、上記の搬器750を含み、搬器750は、筐体712内に配置され、大歯車の回転が搬器750を遠位方向に前進させるように、糸状体726を介して大歯車730に取り付けられる。上記のように、近位端が搬器750に取り付けられている案内ワイヤ722も、針を通って遠位方向に前進させられる。一実施形態では、大歯車730は、大歯車を搬器750に接続する非剛体の糸状体726のため、案内ワイヤ722が遠位方向にのみ前進させられ、近位方向に引き戻され得ないことを確実にすることに注意されたい。
【0070】
[000102]搬器750の遠位方向への前進は、ある量の遠位方向への前進の後、最初にはカテーテルハブ46に係合されない搬器をハブに係合させる。これは、カテーテル42を、遠位筐体端部に向けて遠位方向に前進させる。
【0071】
[000103]挿入器具710は、針716を安定させるための支持構造770をさらに含み
、支持構造770は、筐体712の遠位端に蝶番式に取り付けられる扉772を含み、扉772は、針716の通過を可能にする孔774を含む。扉772は、患者内への挿入中に針716を安定させるように機能する。その後、カテーテル管44およびカテーテルハブ46が大歯車730および搬器750によって遠位方向に前進させられると、扉772はハブによって押し開けられ、カテーテル42が使用者によって挿入器具710から分離されるのを可能にする。このときカテーテル42を、使用者によって患者内での最終的な配置のために前進させることができる。図示されていないが、針716の遠位先端を隔離するために針安全構成要素が含まれてもよいことに注意されたい。
【0072】
[000104]ここで、一実施形態によるカテーテル挿入器具810を説明する上で
図32A~32Iを参照する。挿入器具810は、カテーテル42を少なくとも部分的に取り囲む筐体812を含む。中空針816が、最初に筐体812の遠位端から出て延びるように、筐体812内に含まれる針ハブ814から遠位方向に延在する。針816は、前述の案内ワイヤ/拡張器220(
図16)に類似した案内ワイヤ/拡張器822が針816に着脱可能に挿入されるのを可能にするための、前述の針溝226(
図17A~17C)に類似した遠位溝816Aを含む。カテーテル42は、案内ワイヤ/拡張器822をおおって配置される。
【0073】
[000105]針ハブ814は、針の遠位先端を使用者から安全な方法で隔離するために、針816を筐体812内に選択的に退避させるための針退避機構818をさらに含む。退避機構818は、針の退避を行うための、針816に作動的に結合されるばね819または他の適切な退避装置を含む。
【0074】
[000106]前進組立品820は、カテーテル42並びに案内ワイヤ/拡張器822を選択的に前進させるように示される。前進組立品820は、筐体812内に画定される通路830内で移動する滑動体828を含む。滑動体828は、筐体812内に滑動可能に配置されるラチェット棒824に作動的に取り付けられる。ラチェット棒824は、選択的なカテーテルの前進のための複数の上歯826と、後述するように針退避機構818の退避引金880を作動するための少なくとも1つの下歯826Aとを含む。筐体812内に配置されるカテーテル42のハブ46は、ハブに着脱可能に取り付けられる口金834を有し、口金834は、ラチェット棒824の上歯826に係合するための突起836を含む。
【0075】
[000107]挿入器具810は、針816を安定させるための支持構造870をさらに含み、支持構造870は、筐体812の遠位端によって画定される筐体孔872を含む。筐体孔872は、筐体から出る地点で針816に安定性を提供するように大きさを設定される。
【0076】
[000108]
図32A~32Iは、カテーテルを患者内に挿入する際の、挿入器具810の使用の種々の段階を示す。
図32Aに示す構成の挿入器具810では、挿入部位における患者内への針の使用者による挿入によって、針816による血管への接近が達成される。患者の血管内での、針の遠位端の適切な位置決めを確認するために、血液の逆流を、針816の遠位溝816Aを介して観察することができる。
図32Bに示すように、遠位端が遠位溝816Aを介して針816内に予め配置される案内ワイヤ/拡張器822を、針の遠位端から出て患者の血管内に遠位方向に前進させるために、滑動体828は遠位方向に滑動される。図示されるように、案内ワイヤ/拡張器822は、滑動体828によって移動されるラチェット棒824によって間接的に前進させられる。具体的には、ラチェット棒824の上歯826の近位の1つは、カテーテルハブ46をおおって取り付けられる口金834の突起836と係合する。これにより、
図32Bに示すように、滑動体828およびラチェット棒824が遠位方向に移動されるとき、カテーテル42と、その中に配置される案内ワイヤ/拡張器822も、遠位方向に移動される。同様のラチェットによる移動が、連続的な段階で同様に生じる。
【0077】
[000109]
図32Bに示す段階での滑動体828の滑動は、また、ラチェット棒824の下歯826Aを針退避機構818の退避引金880に係合させる。これは、ばね819が伸び、針の遠位先端が使用者から筐体内に隔離されるように針816および退避機構818を筐体812内に退避させることを可能にする。
【0078】
[000110]
図32Cは、滑動体828のその最初の位置への復帰を示し、これはラチェット棒824もその最初の位置に戻す。しかしながら、カテーテルハブ46に取り付けられる口金834の突起836が遠位方向に曲げられているため、ラチェット棒の歯826は、カテーテルが所定の位置に残るように、カテーテル42を退避させることなく滑動して通り過ぎる。
【0079】
[000111]
図32Dでは、滑動体828は再び遠位方向に前進させられ、これは、ラチェット棒824の近位の上歯826を口金突起836に係合させ、案内ワイヤ/拡張器822を遠位方向に血管内までさらに前進させる。案内ワイヤ/拡張器822をおおって配置されるため、この段階または連続した段階でのカテーテル42も、カテーテルの長さ、挿入部位までの距離などに応じて、血管内に前進させられる。
図32Eに示すように、滑動体828はその後、最初の位置に後退させられる。ラチェットの引き戻しは、使用者によって作動させることができ、または、挿入器具810に含まれる適切な機構によって自動的に作動させることができることに注意されたい。
【0080】
[000112]
図32Fでは、滑動体828およびラチェット棒824は再び遠位方向に前進させられ、結果として、筐体812から出る案内ワイヤ/拡張器822およびカテーテル42のさらに遠位方向への前進が生じる。
図32Gに示すように、滑動体828はその後、その最初の位置に後退させられる。
図32Hでは、滑動体828およびラチェット棒824は、最後に遠位方向に前進させられ、結果として、挿入器具810の筐体812からの案内ワイヤ/拡張器822および取り付けられたカテーテル42の完全に近い遠位方向への前進が生じる。この段階では、カテーテル42のハブ46を把持することができ、カテーテルを挿入器具810から取り除くことができ、次にカテーテルを廃棄することができる。このとき、血管内のカテーテル43の最終的な位置決めを、使用者によって手動で行うことができる。口金834も、カテーテルハブ46から取り除かれる。
【0081】
[000113]
図33A~33Cは、一実施形態による、針16の遠位端16Aを隔離するための針安全構成要素の詳細を示し、針は
図1A~10Cに関連して述べた遠位切欠18を含む。図示されるように、針16上に乗せるために、蝶番式扉を含む安全筐体954が含まれる。2つの針安全構成要素956が、安全筐体954内に向い合って配置され、各々の針安全構成要素956は針16上に乗せられる。各針安全構成要素は、針16が通過する孔を画定する基部958と、複数の腕部960とを含む。腕部960は、基部958から延び、各腕部の端部が針表面に当接するように、円錐状に互いに向かって収束する。腕部960は、針16の遠位部に画定される切欠18に係合するように構成され、針安全構成要素956に対する針16のさらなる移動を防ぐ。具体的には、各腕部960は、針16を針安全構成要素956に対して所定の位置に固定するために、腕部の1つが針の切欠18衝突すると腕部が切欠内にわずかに降りるように、針16の外側面に圧縮的に係合する。2つの針安全構成要素956は、遠位方向または近位方向のどちらの方向のさらなる針の移動も防ぐために、安全筐体954内に配置される。したがって、針16の遠位端16Aは、
図33A~33Cに見られるように、安全筐体954内に安全に隔離される。ここで説明される針安全構成要素は、例えば
図33Cに見られるように、案内ワイヤ22が依然として針を通って延在する場合でも、針を隔離するために有用であることに注意されたい。
【0082】
[000114]他の実施形態では、上記のような針安全構成要素が1つのみ使用されてもよい。したがって、ここで説明される針安全構成要素は、本開示に関連して使用することができる種々の針安全構成要素の一例として機能する。
【0083】
[000115]一実施形態では、挿入器具は、カテーテルを隔離するために、挿入器具筐体から遠位方向に延在するカテーテルの遠位部をおおって配置される無菌被覆または袋を含むことができることを理解されたい。カテーテル内に予め配置され、挿入器具筐体内に退避可能な針は、導管への接近を得るために袋から延びることができる。その後、カテーテルが導管内に前進させられるにつれて、袋を筐体に向けて圧縮することができ、カテーテルが完全に挿入されたら廃棄することができる。一実施形態では、袋は、挿入中に袋を介してカテーテルまたは針を把持するのを助ける把持翼部または他の装置を含むことができる。本明細書に記載される挿入器具は、針またはカテーテルの無菌状態を維持するために、使用前に挿入器具に着脱可能に取り付けられる口金または他の保護装置を含むことができることにさらに注意されたい。
【0084】
[000116]本発明の実施形態は、本開示の趣旨から逸脱することなく他の特定の形態で実施することができる。記載された実施形態は、すべての点で限定ではなく例示としてのみみなされるべきである。したがって、実施形態の範囲は、前述の説明によるよりもむしろ、添付した特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲と同等の意味および範囲に入るすべての変更は、特許請求の範囲内に含まれるものである。
以上説明したように、本発明は以下の形態を有する。
[形態1]
カテーテルを患者の体内に挿入するための挿入器具であって、
最初に前記カテーテルの少なくとも一部が中に配置される筐体と、
前記筐体から遠位方向に延在する少なくとも部分的に中空の針であって、前記カテーテルの少なくとも一部が前記針をおおって予め配置される、針と、
前記針内に予め配置される案内ワイヤと、
前記カテーテルの遠位方向への前進の準備のために、前記案内ワイヤを、前記針の遠位端を越えて遠位方向に選択的に前進させるための前進組立品とを備える、挿入器具。
[形態2]
前記前進組立品は、少なくとも1つの使用者が動かすことができる作動装置を含む、形態1記載の挿入器具。
[形態3]
前記作動装置は、前記カテーテルの少なくとも一部も、前記針の遠位端を越えて、段階的に、あるいは、前記案内ワイヤの遠位方向への前進と同時に前進させ、前記案内ワイヤの遠位端は前記カテーテルの遠位端に対して位置がずらされている、形態2記載の挿入器具。
[形態4]
前記前進組立品は案内ワイヤ前進組立品およびカテーテル前進組立品を含み、各前進組立品は作動装置を含む、形態1記載の挿入器具。
[形態5]
前記カテーテル前進組立品は、前記筐体内で前記カテーテルのハブに最初にかつ着脱可能に取り付けられる柄を含み、前記柄の遠位方向への移動は、前記カテーテルを前記筐体から遠位方向に移動させ、前記柄は、前記針が前記カテーテルから取り除かれるとき前記針の遠位先端を隔離するための針安全構成要素を含む、形態4記載の挿入器具。
[形態6]
前記中空針の遠位先端は、前記針の内腔の外径に配置される切断面を、前記針の遠位先端を越えて遠位方向に延在する案内ワイヤが前記切断面を使用者から隔離するように機能するように含む、形態1記載の挿入器具。
[形態7]
前記筐体は、使用者が前記筐体の遠位端から前記針が出る地点付近で前記筐体を把持することを可能にし、前記前進組立品の作動装置は、滑動体、歯車およびラチェット機構のうち少なくとも1つを含む、形態1記載の挿入器具。
[形態8]
前記筐体は少なくとも第1の筐体部分および第2の筐体部分を含み、前記第1および第2の筐体部分は、前記カテーテルを前記筐体から取り外すことができるように分離可能である、形態1記載の挿入器具。
[形態9]
前記筐体から遠位方向に延在する前記針の一部を安定させるための針支持構造をさらに備え、前記針支持構造は、前記筐体の少なくとも1つの部分と、前記筐体に蝶番式に接続される構成要素と、着脱可能な栓とを含む、形態1記載の挿入器具。
[形態10]
前記案内ワイヤが遠位方向に前進された後に前記案内ワイヤの近位方向への移動を防ぐ閉鎖構成要素をさらに備える、形態1記載の挿入器具。
[形態11]
前記案内ワイヤの遠位方向への前進は、前記案内ワイヤの一部と前記針の溝部分との係合によって停止される、形態1記載の挿入器具。
[形態12]
前記針は、使用後に前記筐体内に退避可能である、形態1記載の挿入器具。
[形態13]
前記針安全構成要素は、前記針の遠位先端を機械的に隔離する、形態1記載の挿入器具。
[形態14]
カテーテルを患者の体内に挿入するためのカテーテル挿入器具であって、
最初に前記カテーテルの一部が中に配置される筐体と、
前記筐体の遠位端から遠位方向に延在する針であって、前記カテーテルの一部が前記針をおおって配置される、針と、
最初に前記針内に配置される案内ワイヤと、
前記案内ワイヤの一部を、前記針の遠位端を越えて遠位方向に選択的に前進させる案内ワイヤ前進組立品と、
前記案内ワイヤの遠位方向への前進後、前記針および前記案内ワイヤをおおう前記カテーテルを選択的に前進させるカテーテル前進組立品と、
前記筐体から遠位方向に延びる前記針を安定させるための支持構造とを備える、カテーテル挿入器具。
[形態15]
前記針は、前記針の遠位端の付近の切欠をさらに含み、前記切欠は血液の逆流が観察されるのを可能にする、形態14記載の挿入器具。
[形態16]
前記筐体は、互いに分離可能に取り付けられる上部筐体部分および底部筐体部分を含み、前記案内ワイヤ前進組立品は、上部筐体に滑動可能に取り付けられる使用者作動式の滑動体を含み、前記滑動体の遠位方向への滑動は、前記上部筐体部分および前記底部筐体部分の少なくとも部分的な分離を可能にする、形態14記載の挿入器具。
[形態17]
前記案内ワイヤ前進組立品の前記滑動体は、軌条を介して前記上部筐体部分および前記底部筐体部分の少なくとも一方に滑動可能に取り付けられ、前記滑動体は、梃子を介して前記案内ワイヤに作動的に取り付けられ、前記梃子は、前記案内ワイヤの遠位方向への前進後に前記滑動体の引き戻しを防ぐための閉鎖つまみをさらに含む、形態16記載の挿入器具。
[形態18]
前記カテーテル前進組立品は、前記上部筐体部分と前記底部筐体部分との間に滑動可能に配置される柄を含み、前記柄は、前記カテーテルおよび前記柄が前記針および前記挿入器具の筐体から分離できるように、前記カテーテルを遠位方向に前進させるように滑動可能である、形態16記載の挿入器具。
[形態19]
前記支持構造は、前記針の前記筐体から遠位方向に延在する部分付近に前記上部筐体部分および前記底部筐体部分によって画定される境界面を含み、前記カテーテル前進組立品の前記柄は、前記針の遠位先端を隔離するための針安全構成要素を含み、前記柄は、血液制御弁をさらに含む、形態18記載の挿入器具。
[形態20]
前記カテーテルは、カテーテル管およびハブを含み、前記ハブと前記カテーテル管の近位部分とは、最初に前記挿入器具の筐体内に配置される、形態14記載の挿入器具。
[形態21]
カテーテルを患者の体内に挿入するためのカテーテル挿入器具であって、
底部筐体部分に滑動可能に係合される上部筐体部分を含み、少なくとも前記カテーテルのハブと前記カテーテルのカテーテル管の近位部分とが中に配置される筐体と、
前記上部筐体部分に取り付けられ、前記筐体から遠位方向に延在し、前記カテーテルの内腔を通過する針と、
前記底部筐体部分に取り付けられ、前記針内に配置される案内ワイヤであって、前記底部筐体部分が遠位方向に選択的に移動されるとき、前記針の遠位先端を越える前記案内ワイヤの遠位方向への前進を可能にするように前記底部筐体部分が前記上部筐体部分に対して滑動可能である、案内ワイヤと、
前記カテーテルに作動的に取り付けられ、前記カテーテルの一部を患者の体内に挿入するために、前記案内ワイヤの遠位方向への延長後、前記針をおおう前記カテーテルを遠位方向に前進させるように構成されるカテーテル前進柄とを備える、カテーテル挿入器具。
[形態22]
前記針の近位端が針ハブ内に取り付けられ、前記針ハブは前記上部筐体部分に取り付けられ、前記針ハブは、前記案内ワイヤの遠位方向への前進のための前記上部筐体部分に対する前記底部筐体部分の遠位方向への移動のために、前記底部筐体部分内に画定される溝内に滑動可能に配置される拡張部を含む、形態21記載の挿入器具。
[形態23]
前記底部筐体部分は、前記筐体から遠位方向に延びる前記針を安定させるための支持構造を含む、形態21記載の挿入器具。
[形態24]
前記支持構造は、前記底部筐体部分に蝶番式に取り付けられる第1および第2の垂れ部を含み、各垂れ部は、前記垂れ部が前記針を安定させるように、前記案内ワイヤが遠位方向に前進させられる前に、前記上部筐体部分内に画定される通路内に受け入れられ、前記垂れ部は、前記カテーテルが前記筐体から分離できるようにするために、前記案内ワイヤおよびカテーテルが遠位方向に前進させられた後に、開くことができる、形態23記載の挿入器具。
[形態25]
前記第1および第2の垂れ部は、前記案内ワイヤを遠位方向に前進させるための使用者作動式の滑動体をさらに画定する、形態24記載の挿入器具。
[形態26]
前記カテーテル前進部分の柄は、前記針が前記カテーテルから取り除かれるときに前記針の遠位端を隔離するための針安全構成要素をさらに備える、形態21記載の挿入器具。
[形態27]
カテーテルを患者の体内に挿入するためのカテーテル挿入器具であって、
上部筐体部分および底部筐体部分を含み、前記カテーテルの少なくとも一部が中に配置される筐体と、
前記筐体に滑動可能に係合される針ハブと、
前記針ハブに取り付けられ、最初に前記筐体の遠位開口部から延在するように構成される少なくとも部分的に中空の針であって、その遠位端から予め決められた距離だけ近位方向に延在する溝を含む、針と、
前記カテーテル内に予め配置される近位部、および、前記針の溝を介して前記針内に予め配置される遠位部を含む案内ワイヤとを備え、
前記案内ワイヤは、前記針が患者内に挿入された後、前記針の遠位端を越えて遠位方向に前進させられることができ、前記カテーテルは、前記針が患者から引込まれた後、案内ワイヤをおおって患者内に遠位方向に前進させられることができる、カテーテル挿入器具。
[形態28]
前記針の溝は、その長さに沿って幅が変化し、前記案内ワイヤの近位部は、前記案内ワイヤの遠位部の直径より大きい直径の一体化された拡張器部分を含む、形態27記載の挿入器具。
[形態29]
前記針ハブは、前記針ハブの近位方向への滑動が、前記針を前記筐体内に退避させ、前記カテーテルが前記筐体から取り除かれることができるように前記上部筐体部分および前記底部筐体部分が互いに分離するのを可能にするように構成される、形態27記載の挿入器具。
[形態30]
前記底部筐体部分から前記針溝を経て前記中空針内への前記案内ワイヤの遠位部の移行を可能にするために、案内経路が前記底部筐体部分内に画定される、形態27記載の挿入器具。
[形態31]
前記針の溝の少なくとも一部は、針が前記針ハブによって引込まれたときに前記針の溝からの前記案内ワイヤの除去を可能にするように寸法を設定され、無菌袋が前記カテーテルの少なくとも一部をおおって配置される、形態27記載の挿入器具。
[形態32]
カテーテル挿入器具を使用してカテーテルを患者の体内に挿入する方法であって、
前記挿入器具は、最初に前記カテーテルの少なくとも一部が中に配置される筐体と、前記筐体から遠位方向に延在する少なくとも部分的に中空の針と、前記針内に最初に予め配置される案内ワイヤとを含み、前記方法は、
前記挿入器具から延在する針を患者内に挿入する工程と、
前記案内ワイヤを、前記挿入器具の案内ワイヤ前進組立品を介して、前記針の遠位端から外に、かつ患者内に前進させる工程と、
前記カテーテルを患者内に前進させる工程と、
前記挿入器具を前記カテーテルから取り外す工程とを備える、方法。
[形態33]
前記筐体は、上部筐体部分および底部筐体部分を含み、前記案内ワイヤを前進させる工程は、前記案内ワイヤに作動的に接続される滑動体を遠位方向に前進させる工程をさらに備え、前記滑動体は前記筐体に滑動可能に取り付けられ、前記滑動体の遠位方向への前進は、前記上部筐体部分および前記底部筐体部分の互いからの少なくとも部分的な分離を可能にする、形態32記載の方法。
[形態34]
前記挿入器具を取り外す工程は、前記針の遠位先端を使用者から隔離する工程をさらに備える、形態32記載の方法。
[形態35]
前記遠位先端を隔離する工程は、前記針を前記筐体内に退避させる工程を備える、形態34記載の方法。
[形態36]
前記カテーテルを前進させる工程は、前記カテーテルを、前記挿入器具のラチェット機構を介して段階的に前進させる工程を備える、形態32記載の方法。
[形態37]
前記挿入器具を取り外す工程は、前記筐体の前記カテーテルからの分離を経て前記針および前記案内ワイヤを前記カテーテルから取り除く工程を備える、形態32記載の方法。
[形態38]
前記カテーテルの少なくとも一部は、最初に前記針をおおって予め配置され、前記カテーテルを前進させる工程は、前記針をおおう前記カテーテルを患者内に前進させる工程をさらに備える、形態32記載の方法。
[形態39]
前記カテーテルを前進させる工程は、
最初に前記カテーテルに取り付けられる柄を遠位方向に前進させる工程と、
上部筐体部分を底部筐体部分から部分的に分離する工程と、
前記カテーテルおよび前記柄を前記筐体内から取り除く工程とを備える、形態38記載の方法。
[形態40]
前記挿入器具を前記カテーテルから取り外す工程は、
前記針の遠位端をおおう針安全構成要素を作動させるように、前記柄を介して前記カテーテルから前記針を退避させる工程であって、前記針安全構成要素は最初には前記柄に含まれる、工程と、
前記針および針安全構成要素を前記柄から分離する工程と、
前記柄を前記カテーテルから除去する工程とを備え、前記柄は前記カテーテルと動作可能に連絡する血液制御弁を含む、形態39記載の方法。