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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】軽量かつ多色の圧縮成形体のグリップ
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/14 20150101AFI20220520BHJP
   A63B 60/08 20150101ALI20220520BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20220520BHJP
【FI】
A63B53/14 Z
A63B60/08
A63B102:32
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2020207673
(22)【出願日】2020-12-15
(62)【分割の表示】P 2016239638の分割
【原出願日】2016-12-09
(65)【公開番号】P2021049387
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2020-12-18
(31)【優先権主張番号】14/964,384
(32)【優先日】2015-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジェームズ デイビス
(72)【発明者】
【氏名】アレックス リー ウォールズ
(72)【発明者】
【氏名】ウェンチェン スー
(72)【発明者】
【氏名】アーロン ジョセフ ミショー
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ワン
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-105398(JP,A)
【文献】特開2015-29744(JP,A)
【文献】特開2010-246913(JP,A)
【文献】特開平4-329124(JP,A)
【文献】特開平7-204303(JP,A)
【文献】特表2009-502591(JP,A)
【文献】特表2011-502000(JP,A)
【文献】実開昭59-162(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0252571(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/14
A63B 60/06-60/08
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽量かつ多色の圧縮成形体のゴルフグリップであって、
外面、内面、末端部、及び先端部を有する縦長管状の本体部を含み、
縦長管状の本体部は、第1の色を有する第1の部分、及び第1の接触面縁部と、第1の色とは異なる第2の色を有する第2の部分、及び第2の接触面縁部とを含み、
第1の部分及び第2の部分は、ゴム化合物から構成され、第1の部分と第2の部分は、明瞭に形成された色間接触面にわたる架橋部によって連結され、色間接触面は、第1の接触面縁部と第2の接触面縁部とが当接する位置の両側の3.81mm(0.150インチ)の範囲内に位置する接触面遷移領域を有し、第1の色と第2の色の接触面遷移領域を越える混合はなく、
第1の部分は、第1の化合物の密度を有する第1のゴム化合物から構成され、第2の部分は、第2の化合物の密度を有する第2のゴム化合物から構成され、第1の化合物の密度及び第2の化合物の密度のうちの少なくとも1つは、0.90g/cmよりも小さく、第1のゴム化合物及び第2ゴム化合物のうちの少なくとも1つは、発泡剤を含有し、第1の接触面縁部の一部は、第1の接触面縁部と第2の接触面にわたる架橋を生成し、かつ明瞭に形成された色間接触面を形成するために、圧縮成形型内で第2の接触面縁部の一部に当接し、
第1の接触面縁部は、第1の部分の縁部形状を有し、第2の接触面縁部は、第2の部分の縁部形状を有し、第1の部分の縁部形状は、第2の部分の縁部形状と協働し、
第1の接触面縁部と第2の接触面縁部は、互いに重なり合わず、
接触面遷移領域の一部は、接触面遷移領域に隣接する外面から窪んだ遷移領域の深さを有する窪み部を有し、この窪み部は、第1の接触面縁部と第2の接触面縁部にわたって延び、遷移領域の深さは、0.0762mmから0.3048mm(0.003インチから0.012インチ)であり、
ゴルフグリップの全体的な密度は、0.89g/cm以下である、
ことを特徴とするゴルフグリップ。
【請求項2】
発泡剤を含有するゴム化合物は、1phrから10phrの発泡剤の量を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のゴルフグリップ。
【請求項3】
第1の化合物の密度と第2の化合物の密度の両方は、0.90g/cmよりも小さく、ゴルフグリップの全体的な密度は、少なくとも0.45g/cmである、ことを特徴とする請求項1に記載のゴルフグリップ。
【請求項4】
第1のゴム化合物は、1phrから10phrである第1の量の第1の発泡剤を含有し、第2のゴム化合物は、1phrから10phrである第2の量の第2の発泡剤を含有する、ことを特徴とする請求項1に記載のゴルフグリップ。
【請求項5】
第1のゴム化合物は、0.85g/cmよりも小さい密度を有し、第1の発泡剤の第1の量は、1phrから5phrである、ことを特徴とする請求項4に記載のゴルフグリップ。
【請求項6】
第2の発泡剤の第2の量は、1phrから5phrであり、第2のゴム化合物は、0.85g/cmよりも小さい密度を有する、ことを特徴とする請求項に記載のゴルフグリップ。
【請求項7】
第1のゴム化合物の第1の化合物の密度及び第2のゴム化合物の第2の化合物の密度のうちの少なくとも1つは、0.75g/cmよりも小さい、ことを特徴とする請求項に記載のゴルフグリップ。
【請求項8】
窪み部は、第1の部分の縁部形状に沿って延び、かつ第1の接触面縁部をわたって延び、第2の接触面縁部の一部を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のゴルフグリップ。
【請求項9】
窪み部の一部は、テクスチャ領域を含む、ことを特徴とする請求項に記載のゴルフグリップ。
【請求項10】
第1のゴム化合物は、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)混合物を含み、第1の発泡剤は、第1の膨張性発泡剤であり、第2のゴム化合物は、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)混合物を含み、第2の発泡剤は、第2の膨張性発泡剤である、ことを特徴とする請求項4に記載のゴルフグリップ。
【請求項11】
完成品のゴルフグリップの密度は、遷移領域内で、ゴルフグリップの全体的な密度よりも少なくとも2.5%大きい、ことを特徴とする請求項1に記載のゴルフグリップ。
【請求項12】
第1の部分と第2の部分は、ゴルフグリップを縦方向に分割するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のゴルフグリップ。
【請求項13】
軽量かつ多色の圧縮成形体のゴルフグリップであって、
外面、内面、末端部、及び先端部を有する縦長管状の本体部を含み、
縦長管状の本体部は、第1の色を有する第1の部分、及び第1の接触面縁部と、第1の色とは異なる第2の色を有する第2の部分、及び第2の接触面縁部とを含み、
第1の部分及び第2の部分は、0.90g/cmよりも小さい密度を有するゴム化合物から構成され、第1の部分と第2の部分は、明瞭に形成された色間接触面にわたる架橋部によって連結され、色間接触面は、第1の接触面縁部と第2の接触面縁部とが当接する位置の両側の3.81mm(0.150インチ)の範囲内に位置する接触面遷移領域を有し、第1の色と第2の色の接触面遷移領域を越える混合はなく、
第1の部分は、第1のゴム化合物から構成され、第2の部分は、第2のゴム化合物から構成され、第1のゴム化合物は、1phrから10phrである第1の量の第1の発泡剤を含有し、第2のゴム化合物は、1phrから10phrである第2の量の第2の発泡剤を含有し、第1の接触面縁部の一部は、第1の接触面縁部と第2の接触面にわたる架橋を生成し、かつ明瞭に形成された色間接触面を形成するために、圧縮成形型内で第2の接触面縁部の一部に当接し、
第1の接触面縁部は、第1の部分の縁部形状を有し、第2の接触面縁部は、第2の部分の縁部形状を有し、第1の部分の縁部形状は、第2の部分の縁部形状と協働し、
第1の接触面縁部と第2の接触面縁部は、互いに重なり合わず、
接触面遷移領域の一部は、遷移面接触領域に隣接する外面から窪んだ遷移領域の深さを有する窪み部を有する、ことを特徴とするゴルフグリップ。
【請求項14】
遷移領域の深さは、0.0762mmから0.3048mm(0.003インチから0.012インチ)である、ことを特徴とする請求項13に記載のゴルフグリップ。
【請求項15】
窪み部は、第1の部分の縁部形状と平行であり、第1の部分の縁部形状の一部に沿って延び、かつ第1の接触面縁部をわたって延び、第2の接触面縁部の一部を含む、ことを特徴とする請求項14に記載のゴルフグリップ。
【請求項16】
窪み部は、第1の接触面縁部及び第2の接触面縁部に沿って連続的に延びる、ことを特徴とする請求項15に記載のゴルフグリップ。
【請求項17】
ゴルフグリップの全体的な密度は、0.45g/cmから0.89g/cmである、ことを特徴とする請求項15に記載のゴルフグリップ。
【請求項18】
第1のゴム化合物は、0.85g/cmよりも小さい密度を有し、第1の発泡剤の第1の量は、1phrから5phrである、ことを特徴とする請求項17に記載のゴルフグリップ。
【請求項19】
第2の発泡剤の第2の量は、1phrから5phrであり、第2のゴム化合物は、0.85g/cmよりも小さい密度を有する、ことを特徴とする請求項18に記載のゴルフグリップ。
【請求項20】
第1のゴム化合物の第1の化合物の密度は、0.75g/cmよりも小さく、第2のゴム化合物の第2の化合物の密度は、0.75g/cmよりも小さい、ことを特徴とする請求項17に記載のゴルフグリップ。
【請求項21】
第1のゴム化合物は、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)混合物を含み、第1の発泡剤は、第1の膨張性発泡剤であり、第2のゴム化合物は、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)混合物を含み、第2の発泡剤は、第2の膨張性発泡剤である、ことを特徴とする請求項17に記載のゴルフグリップ。
【請求項22】
完成品のゴルフグリップの密度は、遷移領域内で、ゴルフグリップの全体的な密度よりも少なくとも2.5%大きく、明瞭に形成された色間接触面の引張強度は、少なくとも2.068MPa(300psi)である、ことを特徴とする請求項17に記載のゴルフグリップ。
【請求項23】
窪み部の一部は、テクスチャ領域を含む、ことを特徴とする請求項17に記載のゴルフグリップ。
【請求項24】
軽量かつ多色の圧縮成形体のゴルフグリップであって、
外面、内面、末端部、先端部、及び末端部から先端部までの長さを有する縦長管状の本体部を含み、該長さに沿った各点が、断面積、断面外半径、及び断面内半径を有する断面を有しており、
縦長管状の本体部は、第1の色を有する第1の部分、及び第1の接触面縁部と、第1の色とは異なる第2の色を有する第2の部分、及び第2の接触面縁部とを含み、
第1の部分及び第2の部分は、0.90g/cmよりも小さい密度を有するゴム化合物から構成され、第1の部分と第2の部分は、明瞭に形成された色間接触面にわたる架橋部によって連結され、色間接触面は、第1の接触面縁部と第2の接触面縁部とが当接する位置の両側の3.81mm(0.150インチ)の範囲内に位置する接触面遷移領域を有し、第1の色と第2の色の接触面遷移領域を越える混合はなく、
第1の部分は、少なくとも1つの第1の部分のプリフォームから構成され、第2の部分は、少なくとも1つの第2の部分のプリフォームから構成され、第1の部分のプリフォームは、第1のゴム化合物から構成され、第2の部分のプリフォームは、第2のゴム化合物から構成され、第1の部分のプリフォームは、第1のプリフォームの接触面縁部を有し、第2の部分のプリフォームは、第2のプリフォームの接触面縁部を有しており、接触面縁部同士にわたる架橋を生成し、かつ明瞭に形成された色間接触面を形成するために、第1のプリフォームの接触面縁部は、圧縮成形型内で第2のプリフォームの接触面縁部に当接し、第1の部分のプリフォームは、第1のプリフォームの厚さを有し、第2の部分のプリフォームは、第2のプリフォームの厚さを有しており、第1の部分のプリフォームの一部の第1のプリフォームの厚さは、第2の部分のプリフォームの一部の第2のプリフォームの厚さと異なり、第1のプリフォームの接触面縁部は、第1の部分の縁部形状を有し、第2のプリフォームの接触面縁部は、第2の部分の縁部形状を有し、第1の部分の縁部形状は、第2の部分の縁部形状と協働し、
第2のプリフォームの接触面縁部に接触する第1のプリフォームの接触面縁部の一部は、基準の接触面積よりも少なくとも15%大きい接触面積を構成する、
ことを特徴とするゴルフグリップ。
【請求項25】
第1のゴム化合物は、第1の量の第1の発泡剤を含有する、ことを特徴とする請求項2に記載のゴルフグリップ。
【請求項26】
第1の部分のプリフォームは、0.90g/cmよりも小さい密度を有し、第1の発泡剤の第1の量は、1phrから10phrである、ことを特徴とする請求項25に記載のゴルフグリップ。
【請求項27】
第2のゴム化合物は、1phrから10phrである第2の量の第2の発泡剤を含有し、第2の部分のプリフォームは、0.90g/cmよりも小さい密度を有する、ことを特徴とする請求項26に記載のゴルフグリップ。
【請求項28】
第1の発泡剤の第1の量は、5phr以下であり、第2の発泡剤の第2の量は、5phr以下である、ことを特徴とする請求項27に記載のゴルフグリップ。
【請求項29】
第1のプリフォームの接触面縁部と第2のプリフォームの接触面縁部は、互いに重なり合わない、ことを特徴とする請求項24に記載のゴルフグリップ。
【請求項30】
完成品のゴルフグリップの密度は、遷移領域内で、ゴルフグリップの全体的な密度よりも少なくとも2.5%大きい、ことを特徴とする請求項24に記載のゴルフグリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
グリップに関する関連出願は、米国特許出願第14/882797号であり、この出願の全体は、参照により本明細書に援用される。本発明は、連邦政府資金による研究開発計画の一部としてなされたものではない。
本開示は、一般には、グリップに関し、より詳細には、スポーツ用具のハンドグリップに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、様々な物品に多くの種類のグリップが使用されている。これらの物品には、ゴルフクラブ、工具(ハンマーの取っ手、ネジ回し、等々)、ラケット(ラケットボール、スカッシュ、バドミントン、またはテニスのラケット)、バット(野球またはソフトボール)、ビリヤードのキュー、傘、釣り竿、等々が含まれるが、これらに限定されるものではない。本開示は、ゴルフクラブのグリップへの適用に特に言及するものであるが、本開示が他のグリップにも同様に適用可能であることは明らかである。
【0003】
ゴルフ産業において、成形されたゴム材料または合成樹脂材料からなるスリップオン式のゴルフクラブグリップは周知であり、広く使用されている。本明細書において、「スリップオン式」という用語は、シャフトまたはハンドル上を摺動させて、接着剤、テープ、またはその他によって固定されるグリップを指すものである。多様な意匠及び形状のスリップオン式のグリップが市販されている。
【0004】
ゴルフクラブのグリップは、歴史的に、ハンドル上に直接巻き付けられた革、ハンドル上を摺動させて取り付けられたスリーブまたはアンダーリスティング上に巻き付けられた革のような、様々な材料から形成されてきた。最近では、ゴム、ポリウレタン、または他の合成材料が使用されている。現在までに、全体的な材料密度を低くするために様々な構成方法が使用されてきた。最も一般的には、軽量の発泡材料(多くの場合、EVAフォーム)を使用して内部構造が形成される。この構造にかぶせてグリップ層が配置され、接着剤または何らかの他の結合方法によって定位置に保持される。最も一般的には、このグリップ層はフェルト材料から形成され、より滑らかでより耐久性の高い外部層を提供するために、外部がポリウレタンで被覆される。グリップを形成する軽量の構造を製造するための別の既存の方法は、成形または研磨された発泡/スポンジ材料のチューブ(EVA、ニトリルゴム等)を使用することである。これらの発泡/スポンジ材料は、耐摩耗性及び耐UV性が比較的低く、従来のゴム製のグリップよりも損耗が速い傾向がある。また、時間の経過とともに圧縮永久歪みを帯びて、ゴルフグリップに恒久的な窪みを残す可能性があり、それによって、ゴルフの規則に違反するおそれがある。
【0005】
ゴルフにおいて、軽量化の傾向がある。ウッドやアイアンといったクラブで使用される軽量のスインググリップは、通常はクラブヘッドのスピードの高速化を促進することによって、ゴルファーのパフォーマンスを向上させる。さらに、非スインググリップまたはパターグリップにおいては、握りの安定性を向上させ、パッティングのストロークの間に手首が動き過ぎることを防止するために、オーバーサイズグリップに向かう傾向がある。このようなグリップのサイズが増大する一方、グリップの重量は、パターのバランスやスイング重量を維持するために、非オーバーサイズグリップと同程度に維持されることが望ましい。
【0006】
また、ゴルフグリップを多色化することが望ましい。多色のゴルフグリップは、より魅力的であり、瞬時のブランド認知のための識別性がブランドに付与される。ゴルフグリップを多色で成形する場合、色間に、位置と形状において一貫した明瞭な境界を形成することが望ましい。明瞭な境界は、直線、角度付き線、曲線、または任意の望ましい形状であってもよい。色間の明瞭な境界によって、知覚される製品品質及びブランド識別性が向上する。しかしながら、所望のグリップ重量を達成するために必要な低密度において材料が安定していないため、軽量のゴム成形を使用してこのような明瞭な境界を達成することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ゴム化合物を使用した軽量かつ多色の圧縮成形体のグリップを製造することが望ましい。ゴムは、良好な感触を有しており、ゴルファーに好まれている。しかしながら、ゴムは、約1.2g/cm3の密度を有する重い材料である。密度を低減するために、ゴム材料に軽量材料を添加する必要があり、これによって、明瞭な境界を達成することが一層困難になる。したがって、色間に明瞭に形成された接触面を有する軽量かつ多色の圧縮成形体のグリップ、特に、柔軟で、弾性を有し、永久変形及びそれに関連する危険性に対して耐性を有する軽量かつ多色の圧縮成形体のグリップに対する要望は、依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
軽量かつ多色の圧縮成形体のゴルフグリップは、異なる色の第1の部分及び第2の部分を有する。第1の部分及び第2の部分は、0.90g/cmも小さい密度を有するエラストマー化合物からなり、明瞭に形成された色間接触面にわたる架橋部によって連結される。明瞭に形成された色間接触面は、接触面遷移領域を有し、接触面遷移領域を越える異なる色の混合はない。
【0009】
このグリップは、柔軟な感触と固有の圧縮特性を有する。これは、EPDM混合物を含むゴム化合物中への膨張性発泡剤の制御された使用によって、幾つかの実施形態において達成される。
【0010】
明瞭に形成された色間接触面の達成は、部分的には、対向する接触縁部における相補的な形状の使用によるものである。これによって、接触面の安定性が増大し、低密度のゴム化合物の増大した粘度に関連する成形の間の流れが低減し、部分同士の架橋が促進され、圧密圧力の分布及び制御が改善される。
【0011】
従来、圧縮成形されたエラストマー化合物のグリップの感触は、硬いまたはしっかりしたものであった。これは、例えばパターグリップのような幾つかのグリップでは望ましくない。グリップ圧力に関して、ゴルファーにとって最良のフィードバックは、比較的一貫しかつ比較的平坦な圧縮力-圧縮深さのグラフ線を備える握りを提供することである。これによって、ゴルファーの握りが、追加の撓みを感知することなくグリップを強く押圧する点に達することがなくなる。同様に、必要な弾性を依然として備えつつ、圧縮深さに対する圧縮力の比の圧縮深さの範囲にわたる一貫性により、フィードバックが改善される。
【0012】
添付請求項に記載された本発明の範囲を限定することなく、添付図面を説明すれば、次の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ゴルフグリップの一実施形態の、縮尺通りではない平面図である。
図2】ゴルフグリップの一実施形態の縮尺通りではない正面図である。
図3】ゴルフグリップの一実施形態の縮尺通りではない側面図である。
図4】ゴルフグリップの一実施形態の縮尺通りではない上面図である。
図5】ゴルフグリップの一実施形態を図2の切断線5-5に沿って示す、縮尺通りではない横断面図である。
図6】ゴルフグリップの一実施形態の縮尺通りではない正面図である。
図7】ゴルフグリップの一実施形態の縮尺通りではない側面図である。
図8】ゴルフグリップの一実施形態の縮尺通りではない正面図である。
図9】ゴルフグリップの一実施形態の縮尺通りではない側面図である。
図10】ゴルフグリップの一実施形態を図2の切断線10-10に沿って示す、縮尺通りではない縦断面図である。
図11】ゴルフグリップの一実施形態を図6の切断線11-11に沿って示す、縮尺通りではない縦断面図である。
図12】ゴルフグリップの一実施形態を図8の切断線12-12に沿って示す、縮尺通りではない縦断面図である。
図13】ゴルフグリップの一実施形態の製造工程の一実施形態の、縮尺通りではない部分模式図である。
図14】ゴルフグリップの一実施形態の製造工程の一実施形態の、縮尺通りではない部分模式図である。
図15】型内のゴルフグリップの幾つかの部品の一実施形態を図14の切断線15-15に沿って示す、縮尺通りではない部分縦断面図である。
図16】ゴルフグリップの一実施形態の縮尺通りではない正面図である。
図17】ゴルフグリップの一実施形態の縮尺通りではない側面図である。
図18】ゴルフグリップの一実施形態を図16の切断線18-18に沿って示す、縮尺通りではない横断面図である。
図19】ゴルフグリップの一実施形態の縮尺通りではない正面図である。
図20】ゴルフグリップの一実施形態の縮尺通りではない側面図である。
図21】試験サンプルの縮尺通りではない正面図である。
図22】試験サンプルの縮尺通りではない正面図である。
図23】試験サンプルの縮尺通りではない正面図である。
図24】試験サンプルの縮尺通りではない正面図である。
図25】ゴルフグリップの一実施形態の縮尺通りではない正面図である。
図26】ゴルフグリップの一実施形態の縮尺通りではない正面図である。
図27】試験装置の縮尺通りではない図である。
図28】3つの部分に均等に分割されたゴルフグリップを示す縮尺通りではない図である。
図29図27のゴルフグリップの中間部分を、圧縮空気を使用してマンドレルに設置した状態で示す、縮尺通りではない図である。
図30】マンドレルの中間部に設置された図27のゴルフグリップの中間部分を示す、縮尺通りではない図である。
図31】試験装置のV字ブロックに設置されたマンドレルの拡大図である。
図32】ゴルフグリップの中間部分に接触する試験装置の力ゲージ及びプローブを示す、縮尺通りではない図である。
図33】プローブがゴルフグリップの中間部分に最初に接触したときにゼロに設定される試験装置の深さゲージを示す、縮尺通りではない図である。
図34】プローブがゴルフグリップの中間部分に対して押圧されて、ゴルフグリップの中間部分を深さゲージの測定値で0.254mm(0.01インチ)圧縮するときの力ゲージの測定値を示す、縮尺通りではない図である。
図35】プローブをゴルフグリップの中間部分に0.254mm(0.01インチ)、0.508mm(0.02インチ)、0.762mm(0.03インチ)、1.016mm(0.04インチ)、1.27mm(0.05インチ)、及び1.524mm(0.06インチ)の圧縮深さに押し込むために必要な圧縮力を示す表及びグラフである。
図36】丸い点付きの線によって表される、ポリウレタン外部層で覆われた発泡体からなる、競合他社の軽量オーバーサイズパターグリップについて収集されたデータと、四角い点付きの線によって表される、本発明の実施形態について収集されたデータとを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面は、以下に詳細の説明される本発明の例示的な実施形態の理解を助けるために添付されたものであり、本発明を不当に限定するものとして見なされるべきではない。特に、図示された様々な要素の相対的な間隔、位置、サイズ、及び寸法は、縮尺通りに描かれたものではなく、明確性の向上を目的として、過大に、過小に、または修正されて描かれている場合がある。単に明確性を向上させ、かつ図面の数を減らすために、様々な別の構成が省略されていることは、当業者には明らかである。
【0015】
本発明は、当該技術分野に大きな進歩をもたらすことが可能なものである。本発明の好適な実施形態は、固有の新規な方法で構成された新規な要素、材料、及び方法によって、これを達成する。これらの要素、材料、及び方法は、以前は利用不能であった、好ましくかつ望ましい機能を示すものである。図面と関連させた以下の説明は、単に、本発明の現時点で好適な実施形態の説明であることが意図されており、本発明が構築または使用され得る唯一の形態を示すことが意図されたものではない。以下の説明は、例示された実施形態によって本発明を実施する形状、材料、機能、手段、及び方法を明らかにするものである。但し、同一のまたは均等な機能、特徴、及び材料特性は、異なる実施形態によっても達成可能であり、このような実施形態は、本発明の思想及び範囲に含まれる。本開示は、添付図面に図示されかつ以下に説明される好適な実施形態とともに添付図面を参照して説明される。しかし、本開示は、多くの異なる形で実施可能なものであり、本明細書で説明される実施形態に限定されるものと見なされるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が完全であり、かつ本開示の範囲を当業者に対して十分に伝達することを目的として用意されたものである。
【0016】
以下の説明及び図面を通じて、同様の数字は、同様の要素を示す。各図面において、特定の線、層、部品、要素、または特徴の太さは、明確性のため誇張されている場合がある。破線は、そうでないことが明記されていない限り、任意選択で付加される特徴または動作を示す。本明細書で言及される全ての出版物、特許出願、特許、及び他の参照文献は、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される。本開示の実施形態が特にゴルフクラブのグリップに適しており、それに対して特に言及されていたとしても、本開示の実施形態がゴルフクラブ以外を実施するための他のグリップに適用可能であることは明らかである。
【0017】
図1を参照すると、ゴルフグリップ10が、右利きのゴルファーの開いた手の上に通常の握り方で配置されている。本明細書において「右利き」という用語は、様々な活動における主要なまたは優位な手の最適な選択として右手を使用する人を意味する。様々な活動における主要なまたは優位な手には、ボールを投げる、書く、並びに、ラケット、バット、もしくはゴルフクラブをスイングするために使用される手が含まれるが、これらに限定されるものではない。本明細書で使用される「左利き」という用語は、この種の活動において、反対の手を使用する人を意味する。図2に示すように、ゴルフグリップ10は、外面110、内面120、末端部130、及び先端部140を備えた中空管状の本体部100を含む構造を有する。
【0018】
図1に示す通常の握り方では、ゴルファーの開いた左手がグリップ10の末端部130側に位置し、開いた右手はグリップ10の先端部140(または、開放端部)側に位置する。この握り方では、ゴルフグリップ10に対して閉じた握りを形成するとき、数本の指が組み合う場合もある。但し、当業者であれば、他の非標準的な握り方(ほんの数例を挙げれば、クロスハンドグリップ、クローグリップ、ソーグリップ、ペンシルグリップ等)も使用できることは理解されるであろう。勿論、それぞれの個人的な最良の手の位置は、これらの握り方、及び、天候やゴルフコースのようなゴルフをする際の様々な条件に応じて、ゴルファーによって変化する。他の要因には、グリップの感触、ゴルフクラブ、シャフトの組成、クラブヘッドの重量、及びゴルファーの手の大きさが含まれるが、これらによって限定されるものではない。当然のことながら、左利きの人の場合、手の位置は一般的には右利きの人の反対である。ゴルフグリップに対する手の置き方は、フルスイングであるかパッティングのストロークであるかにかかわらず、ゴルフスイングにおける重要な因子である。手の置き方は、ゴルフボールの飛距離及び方向に影響を及ぼす可能性がある。
【0019】
ゴルフグリップ10は、色が異なる少なくとも2つの圧縮成形された部分からなる。これらの部分は、第1の部分300及び第2の部分400であり、色間接触面500に沿って連結されている。ゴルフグリップ10の全体の密度は、0.90g/cm3よりも小さい。第1の部分300及び第2の部分400は、任意の態様で互いに隣接するように構成されるものであってもよい。これらの態様には、図2に示すような、ゴルフグリップ10を横方向に分割する態様、図25及び図26に示すような、ゴルフグリップ10を縦方向に分割する態様、図19及び図20に示すような、1つの部分が挿入されて他の部分によって少なくとも部分的に囲まれる態様、またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらによって限定されるものではない。
【0020】
第1の部分300及び第2の部分400は、圧縮成形の間に色間接触面500にわたって架橋(加硫とも呼ばれる)可能なエラストマー化合物、または長鎖ポリマーからなる。加硫工程は、ポリマー鎖を化学結合により架橋し、弾性特性を生じさせるものである。エラストマー化合物は、典型的には、形成に使用される基本高分子に基づく種類または族によって記述される。第1及び第2の部分300、400は、アクリロニトリルブタジエンゴム、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素化シリコーンゴム、ポリアクリルゴム、エチレンアクリルゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリエステルウレタン/ポリエーテルウレタン、及び/または、天然ゴム、及びこれらの組み合わせ、から形成されるものであってもよい。第1及び第2の部分300、400の一実施形態は、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、または天然ゴムとEPDMの混合物のいずれかからなるゴム化合物である。第1及び第2の部分300、400の一実施形態は、高いエチレン含有量、高い分子量、及び、架橋のための非常に高いジエン含有率のEPDMを有する。
【0021】
ゴルフグリップ10の全体的な密度を0.90g/cmよりも小さくするために、圧縮成形工程の一実施形態が使用される。ゴムベースの化合物の射出成形では、一般に、0.96g/cmよりも小さい密度を達成できないことがその理由の一部である。圧縮成形では、エラストマー化合物に発泡剤が混合され、所望の厚さのシートにカレンダー加工される。例えば、図13及び図14に模式的に示す工程は、第1の部分の貯蔵品320及び第2の部分の貯蔵品420を使用して開始される。これらの貯蔵品は、幾らかの発泡剤を含み、カレンダー加工されたシート状のエラストマー化合物である。この実施形態において、第1の部分の貯蔵品320及び第2の部分の貯蔵品420は、次いで、第1の部分の上部プリフォーム330、第の部分の下部プリフォーム340、第2の部分の上部プリフォーム430、及び第2の部分の下部プリフォーム440を形成するように切断される。但し、4つのプリフォームは必須ではない。カレンダー加工されたシートのうちの少なくとも1つは、シート同士が同じ色とはならないように、顔料または染料を含有している。これによって、第1の部分と第2の部分のプリフォームは同じ色ではなくなり、したがって、第1の部分と第2の部分300、400は同じ色ではない。
【0022】
図13に示すように、この実施形態において、第1の部分の上部プリフォーム330は、第1の部分の上部プリフォームの左縁部332、第1の部分の上部プリフォームの右縁部334、及び第1の部分の上部プリフォームの接触面縁部336を有する。同様に、第1の部分の下部プリフォーム340は、第1の部分の下部プリフォームの左縁部342、第1の部分の下部プリフォームの右縁部344、及び第1の部分の下部プリフォームの接触面縁部346を有する。さらに、この実施形態において、第2の部分の上部プリフォーム430は、第2の部分の上部プリフォームの左縁部432、第2の部分の上部プリフォームの右縁部434、及び第2の部分の上部プリフォームの接触面縁部436を有する。同様に、第2の部分の下部プリフォーム440は、第2の部分の下部プリフォームの左縁部442、第2の部分の下部プリフォームの右縁部444、及び第2の部分の下部プリフォームの接触面縁部446を有する。
【0023】
次いで、第1の部分の下部プリフォーム340及び第2の部分の下部プリフォーム440が、接触面縁部346、446同士を隣接または当接させて、下部型BM内に配置される。次いで、コアロッドCRが配置され、第1の部分の上部プリフォーム330及び第2の部分の上部プリフォーム430は、接触面縁部336、436同士を隣接または当接させて、図14に示すように、コアロッドCRを覆うように、あるいは、図13に示すように、上部型TM内に、配置される。この実施形態では、第1の部分の左縁部332、342同士も隣接または当接しており、第1の部分の右縁部334、344同士、第2の部分の左縁部432、442同士、及び、第2の部分の右縁部434、444同士も同様である。上部型及び下部型TM、BMに熱及び圧力が印加され、幾つかの実施形態では、コアロッドCRが加熱される。これによって、左縁部332、342、432、442及び右縁部334、344、434、444にわたる架橋に加えて、接触面縁部346、447にわたる架橋が生成され、色間接触面500が形成される。
【0024】
再度述べれば、図13及び図14に示す例は一実施形態に過ぎず、第1の部分300及び第2の部分400は、任意の態様で互いに隣接するように構成されるものであってもよい。これらの態様には、図2に示すような、グリップ10を横方向に分割する態様、図25及び図26に示すような、ゴルフグリップ10を縦方向に分割する態様、図19及び図20に示すような、1つの部分が挿入されて他の部分によって少なくとも部分的に囲まれる態様、またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらによって限定されるものではない。これは、幾つかの実施形態は、左縁部332、342、432、442及び/または右縁部334、344、434、444を有しないものであってもよいことを意味する。
【0025】
第1の部分300と第2の部分400の異なる色の交差箇所に沿って明瞭に形成された色間接触面500を達成することは、特に、ゴルフグリップ10の全体的な密度を0.90g/cm3よりも小さくするために、それぞれのプリフォームの密度を0.90g/cm3よりも小さくする場合、難しい。これは、非対称的な断面を有するゴルフグリップ10(すなわち、円形の断面を有しないゴルフグリップ)のオーバーサイズ形の実施形態では、さらに困難になる。非対称的な断面は、さらなる実施形態において、図17に示すように、長さに沿って形成されていてもよい。このような困難性の1つの理由は、低密度を達成するためにエラストマー化合物に必要な発泡剤に関連する。
【0026】
一実施形態には、成分を膨張させるための膨張性発泡剤が組み込まれている。膨張性発泡剤は、ジニトロソペンタジエンテトラミン(DPT)、アゾジカーボンアミド(AZC)、p-トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)等、並びに、炭酸水素ナトリウムのような無機発泡剤を含むものであってもよいが、これらによって限定されるものではない。さらに、発泡剤は、高温でN2ガスを放出するジアゾ化合物、発泡工程の間に導入されるN2ガス、化学発泡剤の分解からのCO2、及び/または、内部に揮散液体を含むコアシェルを有する膨張セルシステム(しばしば可膨張微小球またはマイクロカプセルと呼ばれる)を含むものであってもよい。発泡剤の量は、ゴム重量100に対する重量部(parts per hundered rubber:phr)で測られる。
【0027】
圧縮成形を使用すると射出成形よりも軽量化できる主な理由は、圧縮成形工程では、射出成形工程と比較して、プリフォーム内の発泡剤の量を増大させることができることである。これは、射出成形とは異なり、発泡剤が、特に膨張性発泡剤の形の場合、圧縮成形工程の間に損壊を受けないからである。しかし、膨張性発泡剤は、圧縮成形工程に新規の複雑さをもたらす。具体的には、膨張性発泡剤は、エラストマー化合物のせん断を低減させ、粘度を低下させる。これによって、明瞭に形成された色間接触面500を達成することが難しくなる。これは、膨張性発泡剤が一般に低摩擦面を有するからである。低粘度のエラストマー化合物を圧縮成形することが難しいのは、膨張性発泡剤に起因する粘度の低減及び/または膨張によって、成形工程の間にプリフォームがずれる可能性があり、また、部分300と部分400の接触面が、大量の膨張性発泡剤が接触面における不安定性を高めることによって、構造的及び/または審美的に損なわれる可能性があるからである。全てのこのような困難は、柔軟な低密度かつ多色の圧縮成形されたグリップ、特に、非対称的な断面を有するとともに厚さに顕著な変化があり得るオーバーサイズグリップを製造する場合、さらに増大する。
【0028】
本明細書で使用される、明瞭に形成された色間接触面500という用語は、ゴルグリップ10上の、異なる色のプリフォームの対向する接触面縁部(例えば、336と436、または、346と446)が元々当接している位置を意味する。接触面遷移領域510は、図2及び図3に示すように、これらの接触面縁部の両側の3.81mm(0.150インチ)内の領域であり、これは、遷移領域の幅520は、7.62mm(0.300インチ)であることを意味する。したがって、明瞭に形成された色間接触面500は、ゴルフグリップ10の完成された圧縮成形体において、1つのプリフォームからの顔料を、接触面縁部の位置の反対側の接触面遷移領域510の外側では、光学的に検出し得ない接触面である。
【0029】
一実施形態では、この明瞭に形成された色間接触面500は、プリフォーム中の発泡剤の量を、所望の密度を達成するために十分な量を含みつつ、選択的に限定することによって達成される。例えば、対称的なスインググリップの一実施形態において、プリフォーム中の発泡剤の量は、少なくとも1phrであり、かつ10phrよりも少ない。別の実施形態において、プリフォーム中の発泡剤の量は、少なくとも2phrであり、かつ8phrよりも少ない。さらに別の実施形態において、プリフォーム中の発泡剤の量は、少なくとも3phrであり、かつ7phrよりも少ない。
【0030】
柔軟かつ低密度の非対称的なパターグリップを製造する場合、明瞭に形成された色間接触面500を達成することは、さらに難しい。それは、このような非対称的なパターグリップの厚さが通常の対称的なスインググリップの厚さよりも数倍大きいためであり、また、厚さが変化する場合があり、それによって、型を充填して所望の形状を達成するためのプリフォームまたは部分プリフォームの層を追加する必要が生じることが多いためである。このような層の追加、及び、グリップの長さに沿った厚さの変化は、成形の間の低減された粘度のプリフォームの制御、並びに、非常に大きい対向する色接触面縁部(例えば、336と436、または、346と446)の安定性の制御にさらなる複雑性をもたらす。したがって、非対称的なパターグリップの実施形態において、発泡剤の量は、少なくとも1phrであり、かつ5phrよりも少ない。非対称的なパターグリップの別の実施形態において、発泡剤の量は、少なくとも2phrであり、かつ4phrよりも少ない。非対称的なパターグリップのさらに別の実施形態において、発泡剤の量は、少なくとも2.5phrであり、かつ3.5phrよりも少ない。一方、プリフォーム及び完成品のグリップの密度が0.90g/cm3よりも小さいことは、確実に維持される。
【0031】
発泡剤は、成形の間のプリフォームの粘度を低減させるだけでなく、成形の間の接触面縁部における圧密圧力を増大させ、それによって、明瞭に形成された色間接触面500を得ることの困難性をさらに増大させる。この困難性の増大は、特に、プリフォーム(例えば、第1の部分の上部プリフォーム330及び第2の部分の上部プリフォーム430)の色間接触面縁部(例えば、第1の部分の上部プリフォームの接触面縁部336及び第2の部分の上部プリフォームの接触面縁部436)に沿った厚さの少なくとも一部が、3.175mm(0.125インチ)よりも大きいときに生じる。
【0032】
さらなる実施形態において、図8図9、及び図12に示すように、接触面遷移領域410内に遷移領域の深さ530を付与する型を使用することによって、色間接触面500の完全性が一層向上する。遷移領域の深さ530は、0.0762mm(0.003インチ)から0.3048mm(0.012インチ)である。別の実施形態において、遷移領域の深さ530は、0.1524mm(0.006インチ)から0.3048mm(0.012インチ)である。さらに別の実施形態において、遷移領域の深さ530は、0.2286mm(0.009インチ)から0.3048mm(0.012インチ)である。遷移領域510の形成を容易にするための型の突出部は、膨張性発泡剤に起因する膨張及び追加される圧密圧力を制御するとともに、接触面縁部の中間部分の領域を安定化させるために、プリフォーム中の膨張性発泡剤のうちの幾らかを接触面縁部の近傍で損壊させるものであってもよい。図8図9、及び図12に示すように、遷移領域の深さ530は、外面110からグリップ内に延びるものであってもよい。または、図示は省略するが当業者には理解されるように、遷移領域の深さ530は、コアロッドCRの突出部によって内面120からグリップ内に延びるものであってもよい。さらに別の実施形態において、遷移領域の深さ530は、外面110及び内面120の両方からグリップ内に延びるものであってもよい。
【0033】
一実施形態において、完成されたゴルフグリップ10の遷移領域510内の密度は、ゴルフグリップ10の全体的な密度よりも、少なくとも2.5%大きい。別の実施形態において、完成されたゴルフグリップ10の遷移領域510内の密度は、ゴルフグリップ10の全体的な密度よりも、2.5%から10%大きい。さらに別の実施形態において、完成されたゴルフグリップ10の遷移領域510内の密度は、ゴルフグリップ10の全体的な密度よりも、2.5%から7.5%大きい。
【0034】
さらに別の実施形態において、遷移領域510は、テクスチャ領域を含み、テクスチャ領域は、複数のテクスチャ領域窪み部を含む。幾つかのまたは全てのテクスチャ領域窪み部は、接触面縁部にわたって連続的に延びる。テクスチャ領域窪み部は、0.3048mm(0.012インチ)よりも小さい深さを有する。一実施形態において、遷移領域510の四分円のそれぞれは、接触面縁部にわたって連続的に延びる少なくとも2つのテクスチャ領域窪み部を含む。別の実施形態において、四分円のそれぞれにおける少なくとも1つのテクスチャ領域窪み部は、2.54mm(0.100インチ)から7.62mm(0.300インチ)の長さ及び0.0762mm(0.003インチ)から0.3048mm(0.012インチ)の深さを有する。さらに別の実施形態において、遷移領域510の四分円のそれぞれは、平行ではない少なくとも2つのテクスチャ領域窪み部を含み、一実施形態において、それらのうちの少なくとも1つは、ゴルフグリップ10の長手軸と平行ではない。別の実施形態において、四分円のそれぞれの少なくとも2つのテクスチャ領域窪み部は、少なくとも30度だけ変化している。別の実施形態では、四分円のそれぞれの少なくとも2つのテクスチャ領域窪み部は、少なくとも45度だけ変化している。さらに別の実施形態では、四分円のそれぞれの少なくとも2つのテクスチャ領域窪み部は、少なくとも60度だけ変化している。
【0035】
このようなテクスチャ領域窪み部は、膨張性発泡剤に起因する膨張及び追加の圧密圧力をさらに制御し、接触面の中間部の領域を安定化するために、プリフォーム中の膨張性発泡剤のうちの幾らかを接触面縁部の近傍で損壊するように構成され、また、接触面縁部におけるプリフォームの動きをさらに低減するために、遷移領域510における型との接触面積を付加するものである。
【0036】
別の実施形態において、膨張性発泡剤の実施形態に関連する圧密圧力の分布を改善するとともに、接触面の安定性を増大させ、また、増大した粘度に関連する成形の間の流れを低減させるために、当接するプリフォームの対向する色接触面縁部(例えば、336と436、または、346と446)の接触面積を増大させることによって、色間接触面400の完全性が向上する。この接触面積の増大を定量化するために、まず比較のための基準の接触面積を定める必要がある。基準の接触面積は、まず、2つの態様に従って定義される。すなわち、(a)図2に示すように、第1の部分300と第2の部分400が、ゴルフグリップ10を横方向に分割するように互いに隣接して構成される態様、及び、(b)図26に示すように、第1の部分300と第2の部分400が、ゴルフグリップ10を縦方向に分割するように、互いに隣接して構成される態様である。態様(a)の場合、基準の接触面積は、図5に示すように、ゴルフグリップ10の軸に直交する断面内で取られた平均の断面積152として定義される。これは、ゴルフグリップ10の長さに沿って末端部130から先端部140まで切断線5-5を移動させながら、その各点で断面積152を決定し、そして、これらの断面積の平均値を基準の接触面積として使用することと考えられる。同様に、態様(b)の場合、基準の接触面積は、ゴルフグリップ10の軸に平行な断面の、ゴルフグリップ10の全360度にわたって10度の増分毎に取られたときの平均の断面積として定義される。
【0037】
ここで、図13に示す実施形態において、当接するプリフォームの接触面積は、第1の部分の上部プリフォームの接触面縁部336の長さに、第1の部分の上部プリフォーム330の縁部に沿った厚さ(変化する場合もある)を乗算したものに、第1の部分の下部プリフォームの接触面縁部346の長さに、第1の部分の下部プリフォーム340の縁部に沿った厚さ(変化する場合もある)を乗算したものを加えたものである。第2の部分を使用しても、当接する縁部における厚さが同一であると仮定すれば、同じ接触面積が得られることは、当業者には理解されるであろう。同様に、図26に示す実施形態のような縦方向に分割されたゴルフグリップ10に対しても、同じ手順が使用される。この手順は、当接する縁部が直線状の断面、曲線状の断面、または、直線状の断面と曲線状の断面の組み合わせのいずれであるかにかかわらず、同じである。
【0038】
ここで、一実施形態において、明瞭に形成された色間接触面500は、当接するプリフォームの接触面積を、基準の接触面積よりも少なくとも5%大きくすることによって得られる。別の実施形態において、当接するプリフォームの接触面積は、基準の接触面積よりも少なくとも15%大きい。さらに別の実施形態において、当接するプリフォームの接触面積は、基準の接触面積よりも少なくとも30%大きい。別の一連の実施形態において、明瞭に形成された色間接触面500は、当接するプリフォームの接触面積を、基準の接触面積よりも5%から60%大きくすることによって得られる。別の実施形態において、当接するプリフォームの接触面積は、基準の接触面積よりも10%から50%大きい。さらに別の実施形態において、当接するプリフォームの接触面積は、基準の接触面積よりも15%から45%大きい。当接するプリフォームの対向する色接触面縁部(例えば、336と436、または、346と446)が増大すると、接触面の安定性が増大し、増大した粘度に関連する成形の間の流れが低減し、膨張性発泡剤の実施形態に関連する圧密圧力の分布が改善される。
【0039】
さらに別の実施形態において、接触面の安定性を増大させ、増大した粘度に関連する成形の間の流れを低減し、膨張性発泡剤の実施形態に関連する圧密圧力の分布を改善するために、対向する色接触面縁部(例えば、336と436、または、345と446)に相補的な形状を導入することにより、色間接触面500の完全性が向上する。したがって、一実施形態において、接触面をさらに安定化するために、第1の部分のプリフォーム330、340の接触面縁部336、346のうちの少なくとも1つは、第2の部分のプリフォームの接触面縁部436、446のうちの少なくとも1つの第2の部分の縁部形状と協働する、第1の部分の縁部形状を有している。このような協働する縁部形状の一例は、図13に示すように、第1の部分の頂点形状360及び第2の部分の頂点形状460として示される1つの縁部の頂点形状と、第2の部分の受け入れ形状470及び第1の部分の受け入れ形状370として示される当接する縁部の協働する受け入れ形状である。
【0040】
そのような一実施形態において、頂点形状360または460は、2つの集束側面を有しており、これらの集束側面は、120度以下の集束角度で、別の実施形態において90度以下の集束角度で、さらに別の実施形態において60度以下の集束角度で、互いに近づくものである。集束角度は、第1の部分の集束角度362または第2の部分の集束角度462として示されている。別の実施形態において、それぞれの側面は、少なくとも6.35mm(0.250インチ)の長さの直線部分を有している。別の実施形態において、それぞれの直線部分は、少なくとも9.525mm(0.375インチ)の長さである。さらに別の実施形態において、ゴルフグリップ10の長手軸に沿った頂点形状の長さは、頂点形状の最大の横幅の少なくとも70%である。図13に示す実施形態において、ゴルフグリップ10の長手軸に沿った頂点形状の長さは、第1の部分の頂点形状の長さ362または第2の部分の頂点形状の長さ462であり、頂点形状の最大の横幅は、第1の部分の頂点形状の横幅364または第2の部分の頂点形状の横幅464である。
【0041】
この特定の実施形態では、頂点形状の幅364、464は、プリフォームの全幅であるが、鋸歯状パターンのような複数の頂点形状を有する実施形態における対応する幅は、当業者には理解されるであろう。1つの特定の有効な頂点形状は、90度以下の角度で集束する少なくとも6.35mm(0.250インチ)の少なくとも2つの直線部分を備える1つの頂点、または、尖った第1の部分の頂点366または尖った第2の部分の頂点466、に集束するものである。別の実施形態は、接触面縁部に鋸歯状のパターンを呈する一連の頂点を含んでおり、一実施形態において、一連の頂点は、ゴルフグリップ10の周縁全体にわたって延びるものである。
【0042】
図6及び図7に示すように、別の実施形態において、協働する縁部形状は、縁部に曲線の凹部を含み、当接する縁部に協働する曲線の凸部を含んでおり、これらの実施形態においても、頂点形状は維持されている。さらに別の実施形態において、それぞれの当接接触面縁部は、凹部と凸部の両方を含む。図示は省略するが、図7を参照すれば容易に理解されるように、さらに別の実施形態において、頂点形状の一部は、頂点形状の先端に向かって、近くに位置する少なくとも1点よりも大きい幅を有している。これによって、パズルのピースのように、当接する部分と組み合うものである。
【0043】
図2から図5に示すように、一実施形態において、頂点形状の先端は、ゴルフグリップ10のパターの実施形態の平坦部分に配置される。この平坦部分は、パターグリップを握るときに、通常、一方または両方の親指が置かれるものである。頂点形状の先端の位置を定める別の方法は、図5に示すように、断面を参照することである。この断面には、仮想的なx軸とy軸が存在し、x軸がゴルフグリップ10の外面と交差する点は、x軸外面点159である。一般に、x軸外面点159は、半型同士が一致する箇所、または型割線に対応する。一実施形態において、頂点形状の先端は、x軸から少なくとも60度の範囲角度710から開始する60度以下の頂点位置範囲700内に位置する。別の実施形態において、頂点形状の先端は、x軸から少なくとも75度の範囲角度710から開始する30度以下の頂点位置範囲700内に位置する。さらに別の実施形態において、頂点形状の先端は、x軸から少なくとも80度の範囲角度710から開始する20度以下の頂点位置範囲700内に位置する。さらに別の実施形態において、頂点形状の先端は、x軸から少なくとも85度の範囲角度710から開始する10度以下の頂点位置範囲700内に位置する。
【0044】
図2に示すような一実施形態において、少なくとも1つの頂点形状の先端は、x軸から約90度に位置する。別の実施形態には、2つの頂点形状が組み込まれており、それぞれの頂点形状の先端は、ゴルフグリップ10の反対側の半分上に位置する。図2から図5図13、及び図14に示すように、さらに別の実施形態において、それぞれの頂点形状の先端は、互いに約180度、かつx軸から約90度に位置する。図13に示すように、別の実施形態は、ゴルフグリップ10の前方の半分に位置する第1の部分の頂点形状360と、ゴルフグリップ10の後方の半分に位置する第2の部分の頂点形状460を含む。この際、2つの頂点形状は、約180度離れて、異なる色のプリフォームに位置しており、したがって、前方の1つの色中の集束する頂点形状と、後方の別の色中の第2の集束する頂点形状を備えるものである。
【0045】
頂点形状の先端の開示される位置、並びに、組み込まれた角度付きのまたは集束する側面、及び/または、凹部/凸部によって、当接するプリフォーム対向する色接触面縁部(例えば、336と436、または、346と446)の接触面積が増大し、接触面の安定性が増大し、かつ増大した粘度に関連する成形の間の流れが低減するだけでなく、縁部で直接対向する圧密力が低減されることによって、圧密圧力が増大するときの成形の間の材料の膨張が案内及び制御され、接触面の完全性が促進される。さらに、これらの特徴によって、成形の間の、特に、成形工程の初期の間に型が数回開閉される脱ガス段階の間の、ゴムのマイグレーションが低減する。
【0046】
図19及び図20に示すように、1つの部分が挿入されて、他の部分によって少なくとも部分的に囲まれるものであってもよい。このような実施形態は、本明細書の他の箇所で説明したものと同じ困難さを呈し、図2に示す横方向に分割されたゴルフグリップ10、並びに、図25及び図26に示す縦方向に分割されたゴルフグリップ10に関連して本明細書に開示される技術を使用して、所望の明瞭に形成された色間接触面500を達成するものである。末端部側挿入部、または図25及び図26の上側に示す第2の部分400は、少なくとも1つの、接触面縁部に沿って集束する頂点形状を含む。実際、この実施形態は、第2の部分400の頂部に2つの尖った頂点形状を含み、第2の部分400の底部に1つの頂点形状を含む。さらに、先端部側挿入部、または図25及び図26の下側に示す第2の部分400は、接触面縁部に沿って複数の凹部を含む。
【0047】
これらの、対向する色接触面縁部(例えば、336と436、または、346と446)において相補的な形状である実施形態の全ては、接触面の安定性を増大させ、増大した粘度に関連する成形の間の流れを低減し、部分同士の架橋を促進し、膨張性発泡剤の実施形態に関連する圧密圧力の分布を改善し、それによって、明瞭に形成された色間接触面500の達成が改善される。これは、特に、例えば第1の部分の上部プリフォームの接触面縁部336及び第2の部分の上部プリフォームの接触面縁部436のような色間接触面に沿った、例えば第1の部分の上部プリフォーム330及び第2の部分の上部プリフォーム430のようなプリフォームの厚さの少なくとも一部が、3.175mm(0.125インチ)よりも大きい場合に生じる。
【0048】
したがって、一実施形態において、例えば第1の部分の上部プリフォームの接触面縁部336及び第2の部分の上部プリフォームの接触面縁部436のような色間接触面に沿った、例えば第1の部分の上部プリフォーム330及び第2の部分の上部プリフォーム430のようなプリフォームの厚さの少なくとも一部は、3.175mm(0.125インチ)よりも大きい。別の実施形態において、色間接触面に沿った厚さの少なくとも一部は、少なくとも5.08mm(0.200インチ)であり、さらに別の実施形態において、少なくとも6.35mm(0.250インチ)である。これは、接触面縁部における単一層のプリフォームを使用して達成されるものであってもよく、または、幾つかの実施形態において、接触面縁部において複数のプリフォーム層を含むものであってもよい。接触面縁部において複数のプリフォーム層を含む実施形態、または、図5及び図18に示すような、接触面縁部における外面の断面半径154の大きな変化は、明瞭に形成された色間接触面500を達成する上での困難性を増大させる。しかし、本明細書に開示された実施形態は、成形の間のプリフォームの動き及び膨張を制御し、所望の明瞭に形成された色間接触面500を実現するものである。
【0049】
従来の、対向するまたは色間の接触面縁部は、通常、削り取られた構成を備えており、言い換えれば、それらはある程度重なり合っている。このような接触面における重なり合いは、特に、本明細書に記載された柔軟かつ低密度の材料に関連するものである場合、成形の間に高い粘度を呈し、接触面の不安定性及び動き、並びに顔料のマイグレーションを促進させる。図10から図12、及び図15に示すように、本発明に係るゴルフグリップ10の一実施形態では、対向する色接触面縁部(例えば、336と436、または、346と446)が、当接されたときに90度プラスマイナス5度の突き合わせ接合をなすように切断されたプリフォームが使用される。実際、一実施形態において、プリフォームは、対向する色接触面縁部(例えば、336と436、または、346と446)が、当接されたときに90度以下の突き合わせ接合をなすように切断される。実際、一実施形態において、対向する色接触面縁部(例えば、336と436、または、346と446)は、80度から90度である。さらに別の実施形態において、これは、85度から90度であり、さらに別の実施形態において、80度から89度である。このような90度以下の突き合わせ接合は、所望の明瞭な色間接触面500を達成するために、膨張性発泡剤の実施形態に関連する増大した圧密圧力に適応させることによって接触面における安定性を増大させることに役立つ。
【0050】
さらなる実施形態において、少なくとも1つのプリフォームの密度は、0.85g/cm3よりも小さく、かつゴルフグリップ10の全体の密度は、0.90g/cm3よりも小さい。別の実施形態において、少なくとも1つのプリフォームの密度は、0.80g/cm3よりも小さく、かつゴルフグリップ10の全体の密度は、0.85g/cm3よりも小さい。さらに別の実施形態において、全てのプリフォームの密度は、0.60g/cm3から0.90g/cm3であり、かつゴルフグリップ10の全体の密度は、0.75g/cm3から0.90g/cm3である。さらに別の実施形態において、任意の部分は、当業者には理解されるように、コードグリップ構造を形成する材料をさらに含むものであってもよい。
【0051】
ここで、本明細書に記載された、第1の部分300及び第2の部分400に関連する実施形態は、2つの部分に限定されるものではない。例えば、図2に示す横方向に分割されたゴルフグリップ10を、ゴルフグリップ10のいずれかの端部に第3の部分、さらには第4の部分を有するものと想像することは、容易である。これは、図25に示す縦方向に分割されたゴルフグリップ10でも同様であり、任意の数の部分を接合してゴルフグリップ10を形成し、周縁の1/3毎に、四分円毎に、八分円毎に、またはこれらの中間の任意の分円毎に異なる色の部分による所望の意匠を達成するものであってもよい。
【0052】
上述した実施形態は、第1の部分300と第2の部分400の異なる色の交差箇所に沿って、所望の明瞭に形成された色間接触面500を達成するだけでなく、色間接触面500の強い耐破損性を保証するために必要な接触面の安定性を備えるものである。例えば、引張試験を実行するために、本明細書に開示された材料、構成及び方法を使用して製造及び硬化された試験用スラブから、同一のサイズの図21に示す第1の部分の試験サンプル350、図22に示す第2の部分の試験サンプル450、並びに、図23に示す、接触面の試験サンプルの第1の部分552及び接触面の試験サンプルの第2の部分554を有する接触面の試験サンプル550が切り出された。実際には、それぞれについて3つの試験サンプルが作成された。各試験サンプルは、TechPro社製TesnsiTech+引張試験機に設置され、試験サンプルが破損するまで引張負荷が印加された。この引張試験の結果は、表1にまとめられている。
【0053】
【表1】
【0054】
3つの接触面試験サンプル550のそれぞれは、図24に示すように、明瞭に形成された色間接触面500から離れた箇所で破損した。これは、接触面が、少なくとも第1の部分300及び第2の部分400のうちの少なくとも1つよりも高い引張強度を有することを示している。一実施形態において、明瞭に形成された色間接触面500は、少なくとも2.068MPa(300psi)の引張強度を有する。
【0055】
上述したように、図2及び図3に示すような接触面遷移領域510は、接触面縁部の両側の3.81mm(0.150インチ)の範囲内と定義された。これは、遷移領域の幅520は、7.62mm(0.300インチ)であることを意味する。また、上述したように、明瞭に形成された色間接触面500は、ゴルフグリップ10の完成された圧縮成形体において、1つのプリフォームからの顔料を、接触面縁部の位置の反対側の接触面遷移領域510の外側では、光学的に検出し得ない接触面であるとして定義された。但し、別の実施形態において、開示された材料及び構成は、図2及び図3に示すように、接触面縁部の両側の2.54mm(0.100インチ)内の領域である接触面遷移領域510を備えた、明瞭に形成された色間接触面500を達成する。これは、この実施形態において、接触面遷移領域の幅520は、5.08mm(0.200インチ)であることを意味する。さらに別の実施形態において、図2及び図3に示すように、接触面遷移領域510は、接触面縁部の両側の1.27mm(0.050インチ)内の領域であり、これは、この実施形態において、接触面遷移領域の幅520は、2.54mm(0.100インチ)であることを意味する。
【0056】
本発明に係るゴルフグリップ10のさらなる利点は、感触が向上することである。従来の圧縮成形されたエラストマー化合物からなるグリップの感触は、硬いまたはしっかりしたものであり、これは、パターグリップには望ましくない。さらに、ゴルフグリップの硬さまたは柔らかさは、材料特性試験のみに基づくよりも、グリップがクラブに取り付けられたときにプレイヤーが実際に感じる感触を模倣した圧縮試験を使用することにより、最適に示される。このように、一実施形態の目的は、好ましい感触を備える柔軟な圧縮成形体のゴルフグリップ10を製造することである。指または手によって押圧されたときに圧縮される、柔軟かつ低密度の圧縮成形されたエラストマー化合物のゴルフグリップ10は、ゴルファーにとって心地よくかつ練習の補助となり得るものである。
【0057】
結局、最良のパッティングのストロークは、ゴルファーがリラックス状態にあるときに行われるものである。この状態は、パターグリップを押圧するグリップ圧力が軽いときに生じる。柔軟で圧縮可能なパターグリップを有することによって、ゴルファーは、グリップ圧力を緩めることを思い出すだろう。ゴルフグリップ10が圧縮可能である場合、ゴルファーは、自分がかけているグリップ圧力が高すぎることに思い至る。しかし、柔軟かつ低密度の圧縮成形されたエラストマー化合物のゴルフグリップ10は、弾性的でもある必要がある。言い換えれば、グリップ圧力が低減した場合、圧縮された材料は、その元の形状及び体積に復帰しなければならない。そうでなければ、ゴルフの規則に適合していないと見なされる。したがって、ゴルフグリップは、永久変形可能なものではあってはならない。さもなければ、ゴルファーは、手を配置して並べるための顧客仕様の形状を有するグリップを作成することができるが、これは、禁止されている。本発明に係るエラストマー化合物は、熱硬化性樹脂に基づくものである。硫化工程によって、強くかつ弾性的なポリマー鎖の架橋が生成される。したがって、熱硬化性エラストマー化合物は、低いデュロメータ硬さの処方で成形し、かつ熱可塑性材料よりも良好な弾性を維持することができる。
【0058】
次に、圧縮成形されたゴルフグリップ10の柔軟性を、圧縮の様々な深さまたは状態で定めるための圧縮試験の手順を説明する。図27図31図32図33、及び図34に示すように、試験装置600は、マンドレル610、プローブ630を備えた力ゲージ620、深さゲージ640、及び、試験スタンド650を含む。第1ステップにおいて、図28に示すように、ゴルフグリップ10を3つの等しい長さの部分に切断する。第2ステップにおいて、ゴルフグリップ10の中間部分12を、14.732mm(0.580インチ)の一定の直径を有する固体鋼製のマンドレル610に、グリップテープ及び溶剤を用いることなく取り付ける。この際、図29及び図30に示すように、ゴルフグリップ10の中間部分12のマンドレル610の中間部への配置を補助するために、圧縮空気が使用されるものであってもよい。第3ステップにおいて、中間部分12を、材料が緩和され、補足された空気が抜けられるように、1時間放置することができる。第4ステップにおいて、ゴルフグリップ10の中間部分12の中間部が力ゲージ620のプローブ630の直下となるように、マンドレル610を試験スタンド650に配置する。試験スタンドは、この例では、V字ブロックからなる。力ゲージ620は、Extech社製の型式475044と同等のディジタル力ゲージである。プローブ630は、金属製であり、10.16mm(0.40インチ)の直径を有する球状の先端を備えている。
【0059】
第5ステップにおいて、図32に示すように、プローブ630がゴルフグリップ10に接触し、力ゲージ620に最初に測定値が表示されるまで、装置600のレバー660をゆっくりと作動させる。第6ステップにおいて、図33に示すように、中間部12にプローブ630が接触し、力ゲージ620の測定値が0.25N以下の状態で、深さゲージ640をゼロに設定する。深さゲージ640は、Fowler社製のUltra-Llogicと同等のディジタル深さゲージである。第7ステップにおいて、図34に示すように、深さゲージ640が0.254mm(0.01インチ)の深さを検知するまで、ゴルフグリップ10に対してプローブ630をゆっくりと押圧し、力ゲージ620によって検知された力を読み取る。第8ステップにおいて、第7ステップを繰り返し、プローブが0.508mm(0.02インチ)、0.762mm(0.03インチ)、1.016mm(0.04インチ)、1.27mm(0.05インチ)、及び1.524mm(0.06インチ)の深さを達成するために必要な力を記録する。最後のステップにおいて、測定された力を、図35に示すような表またはグラフに記録する。この手順に添付された図面には、簡単のため、対称的な丸いスインググリップが図示されているが、非対称的なパターグリップについても同じ手順が使用される。非対称的なパターグリップは、グリップの親指用平坦面がプロープ630の下で水平になり、プローブ630が親指用平坦面に90度の角度で接触するように、試験スタンドに配置される。
【0060】
図36は、上記の試験手順を使用して収集されたデータを示すグラフであり、ポリウレタンの外層で覆われた発泡体からなる、競合他社の軽量オーバーサイズパターグリップは、丸いドット付きの線で示され、本発明の実施形態は、四角いドット付きの線で示されている。両方のグリップは、およそ同じサイズ及び体積である。0.508mm(0.02インチ)、0.762mm(0.03インチ)、1.016mm(0.04インチ)、1.27mm(0.05インチ)、及び1.524mm(0.06インチ)の撓みを達成するために必要な圧縮力を比較すると、同じ撓みを得るために、競合他社のグリップは、本発明よりも50%から100%大きい圧縮力を要することが容易に分かる。あるいは、図36の意味を理解するための別の方法は、2つのグリップの同一の圧縮力における撓みを見ることである。例えば、5Nの圧縮力において、本発明の実施形態は、競合他社のグリップよりも50%大きく撓んでいる。10Nにおいても同様である。
【0061】
グリップ圧力に関して、ゴルファーにとって最良のフィードバックは、比較的一貫しかつ比較的平坦なグラフ線を備える握りを提供し、これによって、ゴルファーの握りが、付加的な撓みを何ら感知することなく、ゴルフグリップを強く押圧するポイントに達することがないことである。同様に、必要な弾性を備えつつ、圧縮深さの範囲にわたる圧縮深さに対する圧縮力の比の一貫性により、ゴルファーに対して彼らのグリップ圧力が高すぎることを示すフィードバックが改善される。
【0062】
したがって、一実施形態において、圧縮距離(cm(インチ))に対する圧縮力(N)の比である圧縮率は、0.254mm(0.01インチ)から1.27mm(0.05インチ)の範囲の圧縮深さにわたって、118.11N/cm(300N/インチ)を超えない。別の実施形態において、圧縮率は、0.254mm(0.01インチ)から1.27mm(0.05インチ)の範囲の圧縮深さにわたって、88.58N/cm(225N/インチ)を超えない。さらに別の実施形態において、圧縮率は、0.254mm(0.01インチ)から1.016mm(0.04インチ)の範囲の圧縮深さにわたって、80.71N/cm(205N/インチ)を超えない。さらに別の実施形態において、Y軸の圧縮力とX軸の圧縮深さを示す線の勾配は、0.254mm(0.01インチ)から1.27mm(0.05インチ)の圧縮深さの範囲にわたって157.48(400)を超えない。別の実施形態において、この勾配は、0.254mm(0.01インチ)から1.27mm(0.05インチ)の圧縮深さの範囲にわたって127.95(325)を超えない。さらに別の実施形態において、圧縮力は、0.254mm(0.01インチ)から1.016mm(0.04インチ)の範囲の圧縮深さにわたって、10Nを超えない。さらに別の実施形態において、圧縮力は、0.254mm(0.01インチ)から1.016mm(0.04インチ)の範囲の圧縮深さにわたって、8Nを超えない。さらに別の実施形態において、圧縮力は、0.254mm(0.01インチ)から1.016mm(0.04インチ)の範囲の圧縮深さにわたって、7.5Nを超えない。
【0063】
さらに別の実施形態において、圧縮率は、0.254mm(0.01インチ)から1.27mm(0.05インチ)の圧縮深さの範囲にわたって、39.37N/cm(100N/インチ)から118.11N/cm(300N/インチ)である。別の実施形態において、圧縮率は、0.254mm(0.01インチ)から1.27mm(0.05インチ)の圧縮深さの範囲にわたって、49.21N/cm(125N/インチ)から98.43N/cm(250N/インチ)である。別の実施形態において、圧縮率は、0.254mm(0.01インチ)から1.27mm(0.05インチ)の圧縮深さの範囲にわたって、50.06N/cm(150N/インチ)から88.58N/cm(225N/インチ)である。さらに別の実施軽チアにおいて、圧縮率は、0.254mm(0.01インチ)から1.016mm(0.04インチ)の圧縮深さの範囲にわたって、49.21N/cm(125N/インチ)から80.71N/cm(205N/インチ)である。さらに別の実施形態において、Y軸の圧縮力とX軸の圧縮深さを示す線の勾配は、図36に示すように、0.254mm(0.01インチ)から1.27mm(0.05インチ)の圧縮深さの範囲にわたって、39.37(100)から157.48(400)である。別の実施形態において、Y軸の圧縮力とX軸の圧縮深さを示す線の勾配は、0.254mm(0.01インチ)から1.27mm(0.05インチ)の圧縮深さの範囲にわたって、49.21(125)から137.80(350)である。さらに別の実施形態において、Y軸の圧縮力とX軸の圧縮深さを示す線の勾配は、0.254mm(0.01インチ)から1.27mm(0.05インチ)の圧縮深さの範囲にわたって、59.06(150)から127.95(325)である。さらに別の実施形態において、圧縮力は、0.254mm(0.01インチ)から1.016mm(0.04インチ)の範囲の圧縮深さにわたって、1Nから10Nである。別の実施形態において、圧縮力は、0.254mm(0.01インチ)から1.016mm(0.04インチ)の範囲の圧縮深さにわたって、1Nから8Nである。別の実施形態において、圧縮力は、0.254mm(0.01インチ)から1.016mm(0.04インチ)の範囲の圧縮深さにわたって、1.5Nから7.5Nである。
【0064】
ゴルフスイングにおける別の重要な因子は、適切な感覚を持つ能力である。図5に示すように、ゴルフグリップ10の長さに沿った各点は、各点に固有の断面積152及び断面半径154によって特徴づけられる断面を有している。特にパターグリップに適した一実施形態において、ゴルフグリップ10の長さに沿った少なくとも1つの点は、少なくとも3.75cm2の断面積152を有する。別の実施形態において、ゴルフグリップ10の長さの少なくとも50%は、少なくとも3.75cm2の断面積152を有する断面を有する。さらに別の実施形態において、ゴルフグリップ10の長さの85%は、少なくとも3.75cm2の断面積152を有する。
【0065】
断面半径154は、ゴルフグリップ10の中央開口部の中心から外面100への半径である。特にパターグリップに適した一実施形態において、ゴルフグリップ10の長さに沿った少なくとも1つの点は、少なくとも11.684mm(0.46インチ)の断面半径154を有し、別の実施形態では、ゴルフグリップ10の長さの少なくとも85%にわたってこれが成り立つ。別の実施形態において、ゴルフグリップ10の長さに沿った少なくとも1つの点は、少なくとも13.335mm(0.525インチ)の断面半径154を有する。別の実施形態において、ゴルフグリップ10は、ゴルフグリップ10の長さの少なくとも50%にわたって、少なくとも13.335mm(0.525インチ)の断面半径154を有する。別の実施形態において、ゴルフグリップ10の長さの少なくとも85%にわたるそれぞれの断面は、少なくとも13.335mm(0.525インチ)の断面半径154を有する。別の比較的非テーパ形の実施形態において、ゴルフグリップの長さの少なくとも50%は、11.684mm(0.46インチ)から20.32mm(0.80インチ)の断面半径154を有する断面を有する。別の実施形態において、ゴルフグリップの長さの少なくとも85%は、11.684mm(0.46インチ)から20.32mm(0.80インチ)の断面半径154を有する断面を有する。
【0066】
さらなるオーバーサイズパターグリップの実施形態において、ゴルフグリップ10の長さに沿った少なくとも1つの点は、少なくとも5.25cm2の断面積152を有する断面を有する。別の実施形態においてゴルフグリップ10の長さの少なくとも50%は、少なくとも5.25cm2の断面積152を有する断面を有する。さらに別の実施形態では、ゴルフグリップ10の長さの85%が、少なくとも5.25cm2の断面積152を有する断面を有する。特にオーバーサイズパターグリップに適した一実施形態において、ゴルフグリップ10の長さに沿った少なくとも1つの点は、少なくとも13.97mm(0.55インチ)の断面半径を有する。別の実施形態において、ゴルフグリップ10の長さの少なくとも50%は、少なくとも13.97mm(0.55インチ)の断面半径154を有する断面を有する。さらに別の実施形態において、ゴルフグリップ10の長さの少なくとも85%は、少なくとも13.97mm(0.55インチ)の断面半径154を有する断面を有する。別の比較的非テーパ形の実施形態において、ゴルフグリップの長さの少なくとも50%は、13.97mm(0.55インチ)から22.86mm(0.90インチ)の最大断面半径を有する断面を有する。別の実施形態において、ゴルフグリップの長さの少なくとも85%は、13.97mm(0.55インチ)から22.86mm(0.90インチ)の最大断面半径を有する断面を有する。さらに、別の実施形態において、外面110上の少なくとも1つの点は、少なくとも16.51mm(0.65インチ)の断面半径を有する。別の実施形態において、外面110上の少なくとも1つの点は、少なくとも19.05mm(0.75インチ)の断面半径を有する。
【0067】
さらに、別のパターグリップの実施形態は、少なくとも100cm3の体積及び50gから145gの重量を有する。別の実施形態は、100cm3から130cm3の体積及び55gから120gの重量を有する。別の実施形態は、135cm3の体積及び90gから160gの重量を有する。さらに別の実施形態は、135cm3から160cm3の体積及び120gから145gの重量を有する。一実施形態において、ゴルフグリップ10の全体の密度は、0.45g/cm3から0.89g/cm3である。別の実施形態においてゴルフグリップ10の全体の密度は、0.60g/cm3から0.89g/cm3である。さらに別の実施形態においてゴルフグリップ10の全体の密度は、0.70g/cm3から0.89g/cm3である。
【0068】
上述したように、ゴルフグリップ10は、1つまたは両方の部分300、400が、少なくとも第1の層及び第2の層を含む複数の層から形成されるものであってもよい。個々の層は、互いに接着されるものであってもよく、または、圧縮成形において接合されるものであってもよい。そのような一実施形態において、第1の層は、第1の層の厚さを有し、第2の層は、第2の層の厚さを有する。それらの両方は、実際の製造工程の前に測定される厚さであり、したがって未硬化の厚さである。別の実施形態において、第1の層の厚さは、第2の層の厚さよりも少なくとも25%大きい。一実施形態において、第1の層の厚さは、1.50mmから3.00mmであり、第2の層の厚さは、1.25mmから2.50mmである。別の実施形態において、第1の層の厚さは、2.00mmから2.80mmであり、第2の層の厚さは、1.70mmから2.25mmである。さらに別の実施形態において、第1の層の厚さは、2.30mmから2.70mmであり、第2の層の厚さは、1.80mmから2.00mmである。
【0069】
さらに、第1の層及び第2の層は、異なる量の発泡剤を含有するものであってもよい。これによって、圧縮成形の硬化工程の間に異なる膨張が生じる。例えば、一例において、第1の層は、第2の層中の発泡剤の量の少なくとも2倍の量の発泡剤を有している。別の実施形態において、第1の層は、第2の層中の発泡剤の量の少なくとも2.5倍の量の発泡剤を有している。さらに別の実施形態において、第1の層は、第2の層中の発泡剤の量の少なくとも3倍の量の発泡剤を有している。
【0070】
上述した2つの層の実施形態に加えて、別の実施形態は、第1の層と第2の層との間に配置され、第3の層の厚さを有する第3の層を含むものであってもよい。第3の層を含めることによって、製造工程の精度が増大する。2つの層の実施形態と同様に、個々の層は、互いに接着されるものであってもよく、または、圧縮成形工程において接合されるものであってもよい。再度述べれば、本明細に記載された個々の層の厚さは、実際の製造工程の前に測定される厚さであり、したがって未硬化の厚さである。一実施形態において、第1の層の厚さ及び第3の層の厚さの両方は、第2の層の厚さよりも小さい。実際、別の実施形態において、第1の層の厚さ及び第3の層の厚さは、第2の層の厚さよりも少なくとも20%小さい。さらに別の実施形態において、第1の層の厚さ及び第3の層の厚さの両方は、第2の層の厚さよりも少なくとも50%から75%小さい。
【0071】
さらに別の実施形態において、第1の層の厚さ及び第3の層の厚さは、1.00mmから1.50mmであり、第2の層の厚さは、1.25mmから2.50mmである。別の実施形態において、第1の層の厚さ及び第3の層の厚さは、1.25mmから1.40mmであり、第2の層の厚さは、1.70mmから2.25mmである。さらに別の実施形態において、第1の層の厚さ及び第3の層の厚さは、1.30mmから1.35mmであり、第2の層の厚さは、1.80mmから2.00mmである。一実施形態において、第3の層は、第2の層中の発泡剤の量の少なくとも2倍の量の発泡剤を有している。別の実施形態において、第3の層は、第2の層中の発泡剤の量の少なくとも2.5倍の量の発泡剤を有している。さらに別の実施形態において、第3の層は、第2の層中の発泡剤の量の少なくとも3倍の量の発泡剤を有している。
【0072】
別の実施形態において、第1の層の厚さ及び第2の層の厚さの両方は、第3の層の厚さよりも小さい。実際、別の実施形態において、第1の層の厚さ及び第2の層の厚さは、第3の層の厚さよりも少なくとも20%小さい。さらに別の実施形態において、第1の層の厚さ及び第2の層の厚さの両方は、第3の層の最大の厚さの半分よりも小さい。さらに別の実施形態において、第1の層の厚さ及び第2の層の厚さは、1.50mmよりも小さく、第3の層の厚さは、少なくとも2.00mmである。別の実施形態において、第1の層の厚さは、第3の層の最大の厚さの20%よりも小さく、かつ、第1の層の厚さは、第2の層の最大の厚さの50%よりも小さい。さらに別の実施形態において、第1の層の厚さは、0.50mmよりも小さく、第2の層の厚さは、0.75mmよりも小さく、第3の層の厚さは1.5mmから8.0mmである。
【0073】
さらに、これらの3つの層の実施形態において、第1の層、第2の層、及び第3の層は、異なる量の発泡剤を含有するものであってもよい。これによって、圧縮成形の硬化工程の間に異なる膨張が生じる。例えば、一例において、第1の層及び第3の層のそれぞれは、第2の層中の発泡剤の量の少なくとも2倍の量の発泡剤を有している。別の実施形態において、第1の層及び第3の層のそれぞれは、第2の層中の発泡剤の量の少なくとも2.5倍の量の発泡剤を有している。さらに別の実施形態において、第1の層及び第3の層のそれぞれは、第2の層中の発泡剤の量の少なくとも3倍の量の発泡剤を有している。さらに別の実施形態において、第1の層及び第3の層のそれぞれは、第2の層中の発泡剤の量の3倍から6倍の量の発泡剤を有している。さらに別の実施形態において、第1の層及び第3の層のそれぞれは、第2の層中の発泡剤の量の4倍から5.5倍の量の発泡剤を有している。上述した発泡剤は、第1の層の材料組成及び特性と同様に、この第3の層にも適用可能である。
【0074】
発泡剤の量及び圧縮成形工程のパラメータは、ゴルフグリップ10の各領域の密度、気孔率、及び硬度に影響を及ぼす。ゴルフグリップ10は、上述した複数の層を使用して圧縮成形されるものであってもよい。層の帯状片は、圧縮成形型Mの両方の半型内のコアロッドRの周りに、所望の完成品のグリップに対応する配置構成で、配置される。コアロッドR(または、マンドレル)は、中空管状のゴルフグリップ10を形成しやすくするため、半型内に配置される。圧縮成形用の半型は、一体に締め付けられ、そして、硫化が生じて各層が一体に接合されて管状の完成品のゴルフグリップ10となる温度にまで加熱される。幾つかの実施形態において、コアロッドCRは、少なくとも120℃の温度まで加熱されるか、または温められる。これによって、内面120からの硬化も促進される。
【0075】
本明細書に開示されたゴルフグリップ10の実施形態は、図10から図12に示すように、末端キャップ600及び/または先端キャップ700を含むものであってもよい。末端キャップ600または先端キャップ700は、隣接する第1の部分300または第2の部分400とは異なる色を有するものであってもよい。末端キャップ600または先端キャップ700は、ゴルフグリップ10と一体に圧縮成形されるものであってもよく、または、分離可能に取り付けられるものであってもよい。一実施形態において、末端キャップ600及び先端キャップ700も、熱硬化性エラストマー化合物から形成され、ゴルフグリップ10とともに圧縮成形される。別の実施形態において、末端キャップ600及び先端キャップ700のうちの少なくとも1つは、第1の部分300及び第2の部分400の両方に含有されている量よりも少ない量の発泡剤を有している。
【0076】
本明細書に開示された好ましい実施形態の多くの変更、修正、及び変形は、当業者には明らかであり、その全ては本発明の思想及び範囲内であるものと想定される。例えば、特定の実施形態が詳細に説明されたが、当業者は、先行する実施形態及び変形例を、様々な種類の代替品、及び/または、追加の及び代わりの材料、要素の相対的配置、並びに、寸法構成を組み込むことによって修正することができる。したがって、本明細書では、本発明の幾つかの変形例が記載されているのみであるものの、そのような追加の修正例及び変形例、並びにそれらの均等物は、添付請求項に定義される本発明の思想及び範囲内のものである。さらに、全体にわたる外面110の使用は、外面110の構造を覆う1mm以下の厚さの化粧用または装飾用のコーティングを除外するものではない。添付請求項における対応する構造、材料、動作、及び機能要素を加えた全ての手段またはステップの同等の要素は、他の請求された要素と組み合わせて特に請求されているように、任意の構造、材料、または機能を実行するための動作を含むことが意図されている。
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