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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】電池システム及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/578 20210101AFI20220520BHJP
   H01M 50/51 20210101ALI20220520BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20220520BHJP
   H01M 50/176 20210101ALI20220520BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20220520BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20220520BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20220520BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20220520BHJP
   H01M 50/133 20210101ALI20220520BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
H01M50/578
H01M50/51
H01M50/15
H01M50/176
H01M50/55 101
H01M50/531
H01M50/119
H01M50/121
H01M50/133
H01M10/48 301
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020532685
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2018120767
(87)【国際公開番号】W WO2019114776
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-08-11
(31)【優先権主張番号】201711330171.0
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】何▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】沈晞
(72)【発明者】
【氏名】▲蒋▼露霞
(72)【発明者】
【氏名】江文▲鋒▼
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-533099(JP,A)
【文献】特表2020-520063(JP,A)
【文献】特開2015-138672(JP,A)
【文献】特開2016-035900(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107123768(CN,A)
【文献】特開2014-229416(JP,A)
【文献】国際公開第2017/119421(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/10-50/198
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池システムであって、
少なくとも1つの直列回路と、
パウチ型電池と、
前記パウチ型電池に直列接続され、前記直列回路に配置され、かつ、電流遮断装置が設けられた少なくとも1つの第1の単電池と
前記パウチ型電池と前記第1の単電池を、電気的に接続する動力接続シートと
を含み、
前記第1の単電池は、
ケースと、
前記ケース内に収容されたセルと、
前記ケースを封止するカバープレートと、
前記カバープレートの内側に位置する電極内部端子と、
前記カバープレートの外側に位置する電極外部端子と
を含み、
前記電極内部端子は、前記セルに電気的に接続され、
前記電流遮断装置は、前記カバープレートに設けられ、かつ、それぞれ前記電極外部端子及び前記電極内部端子に電気的に接続され、
前記動力接続シートは、前記電極外部端子に電気的に接続され、かつ、電流遮断装置を覆い、
前記第1の単電池における前記電流遮断装置は、前記パウチ型電池、前記第1の単電池のうちの少なくとも1つに異常が発生したときに、前記第1の単電池の内部電流を遮断する、
電池システム。
【請求項2】
前記直列回路には、前記パウチ型電池に直列接続された複数の第1の単電池が含まれ、
前記複数の第1の単電池が互いに順に直列接続されるか又は間隔を隔てて直列接続される、
請求項1に記載の電池システム。
【請求項3】
前記直列回路には、前記パウチ型電池に直列接続された複数の第1の単電池が含まれ、
前記複数の第1の単電池が並列接続されて電池パックを構成して前記パウチ型電池に直列接続される、
請求項1に記載の電池システム。
【請求項4】
前記ケースは、アルミニウムケース、鋼ケース、プラスチックケースのうちの1種であり、前記ケースの厚さは0.4mm~1.5mmである、
請求項1~3のいずれかに記載の電池システム。
【請求項5】
前記電流遮断装置は、切り込み部材と、反転部材とを含み、
前記切り込み部材は、前記電極内部端子に電気的に接続され、
前記反転部材は、それぞれ前記切り込み部材及び前記電極外部端子に電気的に接続されるとともに、前記第1の単電池の内部ガスと連通する、
請求項1~4のいずれかに記載の電池システム。
【請求項6】
前記切り込み部材は、
切り込みが形成された切り込み領域と、
反転部材に電気的に接続するための第1の溶接領域と、
前記電極内部端子に電気的に接続するための第2の溶接領域と
を含み、
前記反転部材は、気圧作用下で動作して前記切り込みを引き裂くことができ、
前記切り込みは、前記第1の溶接領域の周囲に設けられ、
前記第1の溶接領域、第2の溶接領域のうちの少なくとも1つは、前記切り込みの配置されている面とは異なる面に配置されている、
請求項に記載の電池システム。
【請求項7】
前記切り込みは、第1の溶接領域及び第2の溶接領域が配置される面と異なる面に設けられる、
請求項に記載の電池システム。
【請求項8】
前記切り込み部材に該切り込み領域から突出するボスが形成され、
前記第1の溶接領域は、前記ボスの上表面に形成され、かつ前記切り込み領域と平行であり、
該上表面の外周縁に環状の溶接接合点が設けられる、
請求項に記載の電池システム。
【請求項9】
前記切り込み領域の外周縁に前記ボスと同じ方向に突出する環状壁が形成され、
前記環状壁の上周縁と前記ボスの上縁部とが高さ方向に面一であり、
前記環状壁の外壁は、前記電極内部端子に電気的に接続される、
請求項に記載の電池システム。
【請求項10】
前記第2の溶接領域、前記切り込み領域、前記第1の溶接領域は、径方向に沿って外から内へ順に配置されているとともに、外から内に前記反転部材に徐々に近づく段差構造に形成され、前記切り込みは、前記第1の溶接領域の周囲に設けられる、
請求項8又は9に記載の電池システム。
【請求項11】
前記切り込み領域の外周縁に前記ボスとは逆方向に突出する環状壁が形成され、
前記第2の溶接領域は、前記環状壁の外周縁に形成され、かつ前記切り込み領域と平行であり、前記第2の溶接領域の外周縁に環状の溶接接合点が形成される、
請求項10に記載の電池システム。
【請求項12】
前記ボスの側壁と前記環状壁は、それぞれ前記切り込み領域に垂直である、
請求項11に記載の電池システム。
【請求項13】
前記第1の溶接領域、前記切り込み領域及び前記第2の溶接領域は、それぞれ環状構造を形成する、
請求項6~12のいずれか1項に記載の電池システム。
【請求項14】
前記反転部材には、前記切り込み部材に電気的に接続するための第1の接続領域と前記電極外部端子に電気的に接続するための第2の接続領域とが形成され、さらに、前記第1の接続領域に設けられる変形緩衝領域が形成される、
請求項5~13のいずれか1項に記載の電池システム。
【請求項15】
前記反転部材は、円錐台形状に形成されたシート状構造であり、前記円錐台形状の上底側部分は前記第1の接続領域として形成され、下底側部分は前記切り込み部材から離れて前記第2の接続領域として形成される、
請求項14に記載の電池システム。
【請求項16】
前記変形緩衝領域は、前記第1の接続領域を囲む環状溝構造を形成する、
請求項14又は15に記載の電池システム。
【請求項17】
前記環状溝構造の径方向断面は、円弧状又は角型である、
請求項16に記載の電池システム。
【請求項18】
前記反転部材の外周縁の下側と前記カバープレートとの間に支持環が密封接続され、
前記電極外部端子の外周縁が前記反転部材の外周縁の上側に電気的に接続される、
請求項5~17のいずれか1項に記載の電池システム。
【請求項19】
前記支持環の内壁に支持フランジが形成され、
前記反転部材及び前記電極外部端子の外周縁が前記支持フランジの上表面に支持される、
請求項18に記載の電池システム。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載の電池システムを含む、
電気自動車。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池の分野に関し、電池システム及び電気自動車に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディー カンパニー リミテッドが2017年12月13日に提出した、発明の名称「電池システム及び電気自動車」の中国特許出願第「201711330171.0」号の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【背景技術】
【0003】
近年、地球環境汚染と石油エネルギー不足の背景において、電気自動車は時運に応じて現れた。電気自動車の主要な動力源となる電池としては、パウチ型電池は、体積が小さく、重量が軽く、比エネルギーが高く、安全性が高いなどの様々な利点を有するため、電気自動車に広く応用されている。
【0004】
しかしながら、パウチ型電池は、充電中に過充電などの異常現象が発生して、パウチ型電池の爆発等の問題を引き起こしやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、パウチ型電池の過充電の技術的課題を解決するために、電池システム及び電気自動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示は、パウチ型電池と、前記パウチ型電池に直列接続され、かつ電流遮断装置が設けられた少なくとも1つの第1の単電池とが設けられた少なくとも1つの直列回路を含み、前記第1の単電池における電流遮断装置が、前記パウチ型電池、前記第1の単電池のうちの少なくとも1つに異常が発生したときに、該第1の単電池の内部電流を遮断する、電池システムを提供する。
【0007】
いくつかの実施例では、前記直列回路には、前記パウチ型電池に直列接続された複数の第1の単電池が含まれ、前記複数の第1の単電池が互いに順に直列接続されるか又は間隔を隔てて直列接続される。
【0008】
いくつかの実施例では、前記直列回路には、前記パウチ型電池に直列接続された複数の第1の単電池が含まれ、前記複数の第1の単電池が並列接続されて電池パックを構成して前記パウチ型電池に直列接続される。
【0009】
いくつかの実施例では、前記第1の単電池は、ケースと、前記ケース内に収容されたセルと、前記ケースを封止するカバープレートと、前記セルに電気的に接続され前記カバープレートの内側に位置する電極内部端子と、前記カバープレートの外側に位置する電極外部端子とを含み、前記電流遮断装置は、前記カバープレートに設けられ、かつそれぞれ前記電極外部端子及び前記電極内部端子に電気的に接続される。
【0010】
いくつかの実施例では、前記ケースは、アルミニウムケース、鋼ケース、プラスチックケースのうちの1種であり、前記ケースの厚さは0.4mm~1.5mmである。
【0011】
いくつかの実施例では、前記電流遮断装置は、前記電極内部端子に電気的に接続された切り込み部材と、それぞれ前記切り込み部材及び前記電極外部端子に電気的に接続されるとともに、前記第1の単電池の内部ガスと連通する反転部材とを含む。
【0012】
いくつかの実施例では、前記切り込み部材は、切り込みが形成された切り込み領域と、反転部材に電気的に接続するための第1の溶接領域と、前記電極内部端子に電気的に接続するための第2の溶接領域とを含み、前記反転部材は、気圧作用下で動作して前記切り込みを引き裂くことができ、前記切り込みは、前記第1の溶接領域の周囲に設けられ、かつ前記第1の溶接領域、第2の溶接領域のうちの少なくとも1つは、前記切り込みとは異なる面に設けられる。
【0013】
いくつかの実施例では、前記切り込みは、第1の溶接領域及び第2の溶接領域と異なる面に設けられる。
【0014】
いくつかの実施例では、前記切り込み部材に該切り込み領域から突出するボスが形成され、前記第1の溶接領域は、前記ボスの上表面によって形成され、かつ前記切り込み領域と平行であり、該上表面の外周縁に環状の溶接接合点が設けられる。
【0015】
いくつかの実施例では、前記切り込み領域の外周縁に前記ボスと同じ方向に突出する環状壁が形成され、前記環状壁の上周縁と前記ボスの上縁部とが高さ方向に面一であり、該環状壁の外壁は、前記電極内部端子に電気的に接続される。
【0016】
いくつかの実施例では、前記第2の溶接領域、前記切り込み領域、前記第1の溶接領域は、径方向に沿って外から内へ順に配置されているとともに、外から内に前記反転部材に徐々に近づく段差構造に形成され、前記切り込みは、前記第1の溶接領域の周囲に設けられる。
【0017】
いくつかの実施例では、前記切り込み領域の外周縁に前記ボスとは逆方向に突出する環状壁が形成され、前記第2の溶接領域は、前記環状壁の外周縁に形成され、かつ前記切り込み領域と平行であり、前記第2の溶接領域の外周縁に環状の溶接接合点が形成される。
【0018】
いくつかの実施例では、前記ボスの側壁と前記環状壁は、それぞれ前記切り込み領域に垂直である。
【0019】
いくつかの実施例では、前記第1の溶接領域、前記切り込み領域及び前記第2の溶接領域は、それぞれ環状構造に形成される。
【0020】
いくつかの実施例では、前記反転部材には、前記切り込み部材に電気的に接続するための第1の接続領域と前記電極外部端子に電気的に接続するための第2の接続領域とが形成され、さらに、前記第1の接続領域に設けられる変形緩衝領域が形成される。
【0021】
いくつかの実施例では、前記反転部材は、円錐台形状に形成されたシート状構造であり、前記円錐台形状の上底側端部は前記第1の接続領域として形成され、下底側端部は前記切り込み部材から離れて前記第2の接続領域として形成される。
【0022】
いくつかの実施例では、前記変形緩衝領域は、前記第1の接続領域を囲む環状溝構造に形成される。
【0023】
いくつかの実施例では、前記環状溝構造の径方向断面は、円弧状又は角型である。
【0024】
いくつかの実施例では、前記反転部材の外周縁の下側と前記カバープレートとの間に支持環が密封接続され、前記電極外部端子の外周縁が前記反転部材の外周縁の上側に電気的に接続される。
【0025】
いくつかの実施例では、前記支持環の内壁に支持フランジが形成され、前記反転部材及び前記電極外部端子の外周縁が前記支持フランジの上表面に支持される。
【0026】
本開示は、本開示に係る電池システムを含む電気自動車をさらに提供する。
【0027】
上記技術手段によれば、パウチ型電池に直列接続された少なくとも1つの第1の単電池を直列回路に設け、かつ第1の単電池に電流遮断装置を設けることにより、パウチ型電池の充電中に発生した過充電などの異常による爆発を回避し、パウチ型電池動作の安全性を向上させることができる。
【0028】
本開示の他の特徴及び利点を以下の具体的な実施形態部分に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図面は、本開示のさらなる理解を提供し、かつ本明細書の一部を構成するものであり、以下の実施形態とともに本開示を説明するものであり、本開示を限定するものではない。図面において、
図1】本開示の一実施形態に係る電池システムの構造概略図であり、第1の単電池中の電流遮断装置が作動されておらず、直列回路が正常動作状態にある。
図2】本開示の一実施形態に係る電池システムの構造概略図であり、第1の単電池中の電流遮断装置が正常に作動され、直列回路が遮断状態にある。
図3】本開示の他の実施形態に係る電池システムの構造概略図であり、第1の単電池中の電流遮断装置が作動されておらず、直列回路が正常動作状態にある。
図4】本開示の他の実施形態に係る電池システムの構造概略図であり、第1の単電池中の電流遮断装置が正常に作動され、直列回路が遮断状態にある。
図5】本開示の他の実施形態に係る電池システムの構造概略図であり、電池パックのうちの1つの第1の単電池中の電流遮断装置が誤って作動され、直列回路が依然として正常動作状態にある。
図6】本開示の一実施形態に係る電池システムの一部の分解立体概略図である。
図7】本開示の一実施形態に係る電池システムの一部の分解立体概略図である。
図8】本開示の他の実施形態に係る電池システムの一部の分解立体概略図である。
図9】本開示の他の実施形態に係る電池システムの一部の分解立体概略図である。
図10】本開示の第1の実施形態に係る電流遮断装置の断面図である。
図11】本開示の第2の実施形態に係る電流遮断装置の断面図である。
図12】本開示の第2の実施形態に係る切り込み部材の立体構造概略図である。
図13】本開示の第1の実施形態に係る反転部材の立体構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本開示の具体的な実施形態を詳細に説明する。理解すべきことは、ここで記述した具体的な実施形態が本開示を説明し解釈するためのものにすぎず、本発明を限定するものではないことである。
【0031】
本開示において、逆に説明しない場合に、使用される「上、下、左、右」のような方位詞は、一般的には対応する図面の図面方向を基準として定義され、「内、外」とは、対応する部材輪郭の内と外を意味する。
【0032】
図1図9は、本開示の電池システムの構造概略図であり、図10及び図11は、本開示に係る電流遮断装置の構造概略図であり、図12は、本開示に係る切り込み部材であり、図13は、本開示に係る反転部材である。図1図5に示すように、該電池システムは、パウチ型電池10と、該パウチ型電池10に直列接続され、かつ電流遮断装置30が設けられた少なくとも1つの第1の単電池20とが設けられた少なくとも1つの直列回路を含む。前記第1の単電池20上の電流遮断装置30は、直列回路中のいずれか又はいくつかの電池に異常が発生したときに、該第1の単電池20の内部電流を遮断することにより直列回路全体を遮断する。いずれか又はいくつかの電池とは、パウチ型電池10及び第1の単電池20のうちの少なくとも1つを意味する。
【0033】
本開示の一実施形態では、パウチ型電池10は、1つのパウチ型単電池11を含んでもよいし、複数のパウチ型単電池11を含んでもよく、該複数のパウチ型単電池11は、直列接続された複数のパウチ型単電池11、又は並列接続された複数のパウチ型単電池11、又は直並列接続された複数のパウチ型単電池11であってもよく、パウチ型単電池11は、パウチセルと、該パウチセルに直列接続された電極とを含み、該パウチ型単電池11のケースはアルミラミネートフィルムである。
【0034】
本開示では、直列回路には、パウチ型電池10に直列接続された1つの第1の単電池20を含んでもよいし、パウチ型電池10に直列接続された複数の第1の単電池を含んでもよく、該複数の第1の単電池20は、互いに並列接続されて電池パック(図3図5に示すような電池パック60)を構成した後に、パウチ型電池10に直列接続されてもよく、該複数の第1の単電池20の間は、順に直列接続された後に、パウチ型電池10に直列接続されてもよく、本技術手段では、該複数の第1の単電池20と複数のパウチ型単電池11は、間隔を隔てて直列回路に直列接続されてもよい。
【0035】
本開示では、第1の単電池20は、ケース21と、ケース内に収容されたセルと、ケース21を封止するカバープレート22と、カバープレート22の内側に位置する電極内部端子24と、カバープレート22の外側に位置する電極外部端子23とを含む。電極内部端子24は、セルに電気的に接続され、電極外部端子23は、様々な電極リードにより電流の入出力を完了することができる。電流遮断装置30は、カバープレートに設けられ、かつそれぞれ電極外部端子23及び電極内部端子24に電気的に接続されて電極端子の電流の入出力を制御することができ、いくつかの実施例では、前記ケースは、アルミニウムケース、鋼ケース、プラスチックケースのうちの1種であり、前記ケースの厚さは0.4mm~1.5mmである。
【0036】
いくつかの実施例では、図1に示すように、電流遮断装置30は、非作動状態において、セルと電極端子とが導通した状態にあり、すなわち、電極外部端子23と電極内部端子24との間の電気的な接続が正常であり、電流の入出力を正常に行って電池システムの充放電動作を完了することができる。
【0037】
図2に示すように、直列回路中のいずれか又はいくつかの電池に異常が発生したときに、該第1の単電池20は、受熱して温度が高くなり、電池内部の気圧が増大して、該第1の単電池20に設けられた電流遮断装置30を作動させて、電極外部端子23と電極内部端子24との電気的な接続を遮断し、さらに電極端子の電流入力と電流出力を遮断して、直列回路を遮断状態にさせることにより、電池システムの熱暴走を防止する。
【0038】
なお、図1及び図2は、第1の単電池が1つだけ設けられた1つの直列回路を含む電池システムのみを例として示すものである。本開示の他の実施形態では、該電池システムは、複数の直列回路を有してもよく、直列回路毎に複数の第1の単電池が設けられてもよく、複数の第1の単電池は、直列回路の任意の位置に直列接続されてもよく、並列接続されて電池パックを構成してパウチ型電池に直列接続されてもよい。
【0039】
例えば、図3図5は、2つの第1の単電池が並列接続されて電池パック60を構成してパウチ型電池10に直列接続されることを例として示すものであり、図3に示すように、直列回路が正常状態にある場合、電池パック60の各第1の単電池20中の電流遮断装置30は、いずれも動作せず、このとき、各第1の単電池20の電極内部端子24及び電極外部端子23が正常に電気的に接続され、すなわち各第1の単電池20の内部電流が導通し、このとき、直列回路全体が正常である。
【0040】
図4に示すように、直列回路中のいずれか又はいくつかの電池に異常が発生したときに、電池パック60の第1の単電池20中の電流遮断装置30を作動させるようにトリガーして、第1の単電池20(第1の単電池Cn(a)及びCn(b))の内部は、いずれも遮断状態にあり、さらに直列回路全体が遮断状態とされることにより、パウチ型電池10の過充電を回避して、パウチ型電池10への保護を実現する。
【0041】
図5に示すように、電池パック60のうちのいずれかの第1の単電池20中の電流遮断装置30(第1の単電池Cn(b)中の電流遮断装置)が異常に作動する場合に、該第1の単電池Cn(b)の内部電流が遮断されるが、並列接続された他の第1の単電池Cn(a)の内部電流が依然として導通状態にあるため、直列回路は、正常動作状態を保持し、容量のみが小さくなる。これにより、電流遮断装置が異常に作動して直列回路を断電させるリスクを低減できて、該電池システムに基づく外部制御システムは、十分な時間で関連処理を行うことができる。
【0042】
本開示では、図6図9に示すように、パウチ型電池10は、1つ又は複数のパウチ型単電池11を含んでもよく、パウチ型電池10が複数のパウチ型単電池11を含む場合、前記複数のパウチ型単電池11は、導電性接続部材50を介して、直列接続されるか、又は並列接続されるか、又は直並列接続され、各パウチ型単電池11は、パウチセルと、パウチセルに電気的に接続された電極とを含み、2つの隣接したパウチ型単電池の間の電極は、導電性接続部材50を介して直列接続されるか又は並列接続される。
【0043】
本開示では、パウチ型電池10中の1つのパウチ型単電池11は、第1の単電池20又は電池パック60に直列接続され、或いは、パウチ型電池10中の複数のパウチ型単電池11は、それぞれ、複数の第1の単電池20又は複数の電池パック60に直列接続され、いくつかの実施例では、動力接続シート40を介してパウチ型電池10中の1つのパウチ型単電池11の正極(負極)と第1の単電池20の負極(正極)とを溶接して直列接続を形成するか、又はパウチ型電池10中の1つのパウチ型単電池11の正極(負極)と電池パックの負極リード(正極リード)とを溶接して直列接続を形成することができ、第1の単電池20又は電池パックに直列接続された該パウチ型単電池11は、パウチ型電池10の端部に位置してもよいし、パウチ型電池10の中間部位に位置してもよく、本開示によれば、パウチ型電池10の一側又は両側の端部に位置するパウチ型単電池11の正極(負極)と第1の単電池20の負極(正極)とを動力接続シート40により溶接するか、又はパウチ型電池10の一側又は両側の端部に位置するパウチ型単電池11の正極(負極)と電池パックの負極リード(正極リード)を動力接続シート40により溶接する。
【0044】
一実施形態として、図6及び図7に示すように、第1の単電池20の正極(負極)が動力接続シート40を介してパウチ型電池10の一側の端部のパウチ型単電池11の負極(正極)に電気的に接続されることにより、第1の単電池20とパウチ型電池10は直列接続され、パウチ型単電池11の間は導電性接続部材50を介して直列接続されるか又は並列接続されてパウチ型電池10を形成する。
【0045】
別の実施形態として、図8及び図9に示すように、パウチ型電池10の両側の端部のパウチ型単電池11の電極は、動力接続シート40を介してそれぞれ第1の単電池20に電気的に接続されることにより、前記直列回路においてパウチ型電池10と2つの第1の単電池との直列接続を完了する。
【0046】
本開示に係る電池システムによれば、前記パウチ型電池10の端部のパウチ型単電池11も動力接続シート40を介して電池パックの正極リード又は電池パックの負極リードに電気的に接続されてもよく、これにより、パウチ型電池10と複数の前記第1の単電池20で並列接続して構成された電池パック60との直列接続を完了し、本開示に係る電池システムによれば、前記パウチ型電池10が直列又は並列接続された複数のパウチ型単電池を含む場合、第1の単電池20をパウチ型電池10の中間部位に直列接続してもよいし、電池パック60をパウチ型電池10の中間部位に直列接続してもよい。
【0047】
本開示では、電流遮断装置30は、カバープレート22上の任意の適切な位置に設けられてよい。いくつかの実施例では、一実施形態として、図6図9に示すように、電流遮断装置30は、第1の単電池20の1つの電極外部端子23に取り付けられ、かつ動力接続シート40の一部が電流遮断装置30に覆い、他の一部が突出してもよい。
【0048】
重要な安全対策として、電流遮断装置の信頼性が非常に重要となり、即ち、電流遮断装置は、速やかに応答する必要がある。
【0049】
本開示では、各実施形態における電流遮断装置は、いずれも気圧を感知する機械的構造であり、いくつかの実施例では、電流遮断装置は、単電池の内部ガスと連通し、かつ気圧の作用下で単電池の内部電流を遮断することができる。いくつかの実施例では、内部の部材接続を切断して電流の伝達を遮断することにより、単電池の充放電をタイムリーに遮断することができる。利用される気圧は、例えば、単電池が過充電等の異常状態にある場合、単電池の内部にガスが発生してケース内部の気圧が上昇するか、又は単電池が使用中に異常が発生して温度が上昇して単電池の内部の気圧が上昇することにより、電流遮断装置を駆動する気圧動力が発生することに由来する。
【0050】
図10及び図11に示す実施形態を例として、該電流遮断装置30は、切り込み部材31と、該切り込み部材31に互いに電気的に接続される反転部材32とを有し、かつ気圧の作用下で反転部材32が切り込み部材31から電気的に切り離すことができる。本開示の実施形態では、対応する部材に脆弱な切り込みを加工して自体構造の切断を実現することにより、電気的な接続の切断を実現することができ、いくつかの実施例では、切り込み部材31に切り込み311が形成される。即ち、内部の気圧の作用下で、反転部材32の反転動作によって切り込み311を引き裂き両者の電気的な接続の切断を実現することにより、電流の伝達を切断するという目的を達成することができる。
【0051】
このような方式を用いる原因として、例えば動力電池の分野では、通過する電流が大きいことが考えられるため、切り込み部材31と反転部材32との溶接構造の安定性を保証し、大電流による溶接構造の溶断を回避する必要がある。このように、切り込み部材31に切り込み311を設け、即ち、対応する部分に他の領域よりも強度が小さい脆弱部を加工することにより、切り込み部材31と反転部材32の完全な切断を完了することができ、切り込みが一般的には切り込み部材と反転部材との溶接領域の周囲に設けられて、両者の完全な切断を保証する。
【0052】
以下、図10及び図11を参照しながら本開示の2つの実施形態における切り込み部材31及び反転部材32を説明する。
【0053】
図10及び図11に示すように、本開示は、電流遮断装置の切り込み部材を提供し、該切り込み部材31は、切り込み311が形成された切り込み領域312と、反転部材32に電気的に接続するための第1の溶接領域313と、電極内部端子に電気的に接続するための第2の溶接領域314とを含み、反転部材32は、気圧作用下で動作して切り込み311を引き裂くことにより切り込み部材31から電気的に切り離すことができ、反転部材32が切り込み311を引き裂いた後、反転部材32が第2の溶接領域314から電気的に切り離され、さらに電極内部端子24から電気的に切り離され、本開示では、切り込み311は、第1の溶接領域313の周囲に設けられ、第1の溶接領域313を囲む環状であってよく、かつ第1の溶接領域313、第2の溶接領域314のうちの少なくとも1つと異なる面に設けられる。すなわち、切り込み311の所在する平面と第1の溶接領域313及び/又は第2の溶接領域314は一平面上に位置せず、このように反転部材32からの外力による切り込み部材31上の切り込み311への機械的な衝撃を効果的に解消し、かつ第1の溶接領域313及び第2の溶接領域314の溶接応力による切り込み311の所在する領域への熱影響を解消することができる。本開示に係る電流遮断装置の信頼性を向上させる。第1の溶接領域313の周囲での切り込み311は、電池の内部気圧の作用下で切断されてよく、この場合、反転部材32と切り込み部材31との電気的な接続を全体的に切断することにより電流遮断の作用を果たす。
【0054】
図10及び図11に示すように、切り込み311は、第1の溶接領域313及び第2の溶接領域314と異なる面に設けられ、すなわち、切り込み311が所在する平面と第1の溶接領域313とが同一平面にはなく、かつ切り込み311が所在する平面と第2の溶接領域314とも同一平面にはなく、より好ましくは、切り込み部材31は、切り込み領域312と、該切り込み領域312から突出するボス106とを含み、第1の溶接領域313は、前記ボス315に形成され、切り込み311は、前記切り込み領域312に形成され、かつ前記ボス315の周囲に設けられて、切り込みが所在する平面と、第1の溶接領域が所在する平面とが異なる面に設けられ、切り込みと第2の溶接領域が所在する平面とが異なる面に設けられることを実現し、いくつかの実施例では、前記第1の溶接領域313は、前記ボス315の上表面によって形成され、かつ前記切り込み領域312と平行であり、該上表面の外周縁に環状の溶接接合点が設けられる。
【0055】
図11及び図12に示すように、第2の実施形態では、第2の溶接領域314、切り込み領域312、第1の溶接領域313は、径方向に沿って外から内へ順に配置されているとともに、外から内に反転部材32に徐々に近づく段差構造に形成され、第2の溶接領域314も切り込み領域312と異なる面に設けられ、かつ三者で構成された段差構造は、緩衝作用を有し、2つの溶接領域の溶接応力による切り込み311への熱影響を回避し、かつ電極内部端子の方向からの外力を緩衝することができることにより、電流遮断装置の信頼性をさらに向上させる。
【0056】
本開示の2つの実施形態では、図10及び図11に示すように、切り込み部材31は、切り込み領域312と、該切り込み領域312から突出するボス315とを含み、第1の溶接領域313は、ボス315に形成され、切り込み311は、切り込み領域312に形成されるとともに、ボス315の周囲に設けられる。これにより、両者の所在する領域が異なる面に設けられることを実現し、いくつかの実施例では、第1の溶接領域313は、ボス315の上表面によって形成され、かつ切り込み領域312と平行であり、該上表面の外周縁に環状の溶接接合点が設けられる。これに対応して、反転部材32の第1の接続領域321は、該ボス315を収容する接続孔として形成されてよい。これにより、環状の溶接接合点によりボス315の外周縁と接続孔の内壁とを強固に溶接する。ボス315は、円柱状構造であってもよく、図4に示すように、さらに円柱状構造の軸方向に貫通孔が設けられてもよく、他の実施形態では、さらに様々な突起又は窪み構造により、両者の領域が異なる面に設けられることを実現することができる。
【0057】
図10に示すように、第1の実施形態では、電池の電極内部端子24に電気的に接続するために、一般的には電極内部端子24の先端に収容溝を設け、そのため、切り込み領域312の外周縁にボス315と同方向に突出する環状壁316が形成され、環状壁316の上縁部とボス315の上縁部とは高さ方向に面一であり、かつ該環状壁の外壁が電池の電極内部端子24に電気的に接続されて第1の溶接領域313を形成し、電極内部端子24の収容溝の溝壁形状に合わせて環状の溶接接合点で溶接され、また、このような実施形態では、切り込み部材31は、電極内部端子24の収容溝に完全に収容されてよく、構造が安定する。
【0058】
図11に示すように、第2の実施形態では、電極内部端子24に依然として収容溝が設けられるが、切り込み部材31のボス315は、該収容溝から突出し、いくつかの実施例では、切り込み領域312の外周縁にボス315とは逆方向に突出する環状壁316が形成され、第2の溶接領域314は、環状壁316の外周縁に形成され、かつ切り込み領域312と平行であることにより、切り込み部材31は上記段差構造に形成され、第2の溶接領域314の外周縁に電池の電極内部端子24に電気的に接続するための環状の溶接接合点が形成され、いくつかの実施例では、第2の溶接領域314の下表面が収容溝の底壁に配置され、外周縁と収容溝の側壁とが環状の溶接接合点により溶接されてよく、構造が同様に安定する。
【0059】
第2の実施形態では、図11に示すように、ボス315の側壁と環状壁316は、それぞれ切り込み領域312と垂直であり、他の実施形態では、一定の角度を有し、例えばZ字形の段差を形成してよい。また、第1の溶接領域313、切り込み領域312及び第2の溶接領域314は、それぞれ環状構造であってもよく、すなわち第1の溶接領域313は、中心孔を有し、他の実施形態では、第1の溶接領域313は、中心孔を有しなくてもよい。
【0060】
以上、2つの実施形態に係る切り込み部材31について説明しており、以下、2つの実施形態に係る反転部材32について説明する。
【0061】
反転部材32には、切り込み部材31に電気的に接続するための第1の接続領域321と、電池の電極外部端子23に電気的に接続するための第2の接続領域322とが形成され、また、反転部材32には、第1の接続領域321と第2の接続領域322との間に第1の接続領域321の周囲に設けられる変形緩衝領域323がさらに形成されている。変形緩衝領域とは、外力作用下で該領域が反転部材32自体、第1の接続領域321、第2の接続領域322及び切り込み部材31自体よりも先に変形することにより該外力を緩衝する領域を指す。さらに外力による第1の接続領域321及び切り込み部材31上の切り込み311への衝撃を緩和して、電流遮断装置の信頼性を向上させる。
【0062】
本開示の2つの実施形態では、反転部材32は、円錐台形状に形成されたシート状構造であり、円錐台形状の上底側端部は第1の接続領域321として形成され、円錐台形状の下底側端部は切り込み部材31から離れて第2の接続領域322として形成される。円錐台形状構造により、2つの接続領域を異なる面に設けることができ、かつ反転部材32が力を受けるときに上向きに反転するスペースを提供して、切り込み311を引き裂くことができる。他の可能な実施形態では、反転部材は、弾性を有する平面部材等であってもよい。
【0063】
図10及び図11に示すように、本開示における変形緩衝領域323は、第1の接続領域321を囲む環状溝構造に形成される。このように、外力作用下で、環状溝の溝壁の間の相対運動により変形緩衝の作用を実現することができる。他の可能な実施形態では、変形緩衝領域323は、変形チャンバなどの構造又は弾性材料により実現されてもよい。
【0064】
図10及び図13に示すように、第1の実施形態では、環状溝構造の径方向断面は、円弧状であり、例えば、電極外部端子23に向かって突出した半円形状である。このように、第2の接続領域322からの外力は、円弧状の溝壁の変形によって吸収されて、第1の接続領域321及び切り込み部材31への衝撃を低減することができる。
【0065】
図11に示すように、第2の実施形態では、環状溝構造の径方向断面は、角型であってもよく、このように、角型の両辺が2つの溝壁であり、同様に外力作用下で変形することができる。いくつかの実施例では、第2の実施形態では、切り込み部材31のボス315は、電極内部端子の収容溝に突出し、このとき、スペースを節約するために、該角型の環状溝が切り込み部材31に向かって突出し、かつ溝底がボスの一側に形成されるように設計することができ、このように、反転部材32全体は、Z字状に形成され、外力への緩衝を実現することができる。
【0066】
図10及び図11に示すように、本開示の2つの実施形態では、電池内部のガスにより作用できることを保証するために、反転部材32の外周縁の下側とカバープレート22との間に支持環26が密封接続され、電極外部端子23の外周縁が反転部材32の外周縁の上側に電気的に接続され、このように、電池内部から発生したガスは、反転部材32に作用して外部に漏れないようにすることができる。反転部材32を正常に動作させることができるために、電極外部端子23は、キャップ構造に形成され、かつ反転部材32の動作時にガスを排出するための貫通孔231が形成されることにより、気圧の作用下で反転部材の動作に影響を与えることを回避する。また、カバープレート22の帯電と絶縁との2つの実施形態では、支持環26は、絶縁材料又は導電性材料を用いて支持されてよい。一般的には、支持環26は、カバープレート22が絶縁されて帯電しないように、セラミック環であってよい。いくつかの実施例では、支持環26の内壁に支持フランジ261が形成され、反転部材32及び電極外部端子23の外周縁が支持フランジ261の上表面に支持されることにより、電流遮断装置の安定動作を保証する。
【0067】
本開示に係る第1の単電池は、セルが収容されたケースと、ケースを封止するカバープレートアセンブリとをさらに含み、電極内部端子がセルに電気的に接続され、反転部材がケースの内部ガスと連通し、前記カバープレートアセンブリは、カバープレートと、該カバープレートの内側に位置する電極内部端子213と、該カバープレートの外側に位置する電極外部端子214とを含み、電極内部端子213と電極外部端子214とが上記電流遮断装置によって電気的に接続され、電極外部端子214が反転部材222に電気的に接続され、切り込み部材221が電極内部端子213に電気的に接続される。
【0068】
電極内部端子213と、セルに電気的に接続されたインナーリードとが溶接され、いくつかの実施例では、インナーリードに溶接孔を形成することができ、電極内部端子213は、柱状構造に形成され、かつ溶接孔に嵌め込まれてインナーリードと溶接される。カバープレートが帯電することを回避するために、カバープレートとインナーリードとの間にカバープレート絶縁部材が設けられ、電極内部端子は、隙間を有して該カバープレート絶縁部材を貫通して切り込み部材と溶接することができ、また、密封性を保証するために、支持環をさらに含み、支持環の下端がカバープレートに溶接され、セラミックを材料として選択して、電流遮断装置とカバープレートとの絶縁を保証することができ、カバープレートに孔路が形成されて、電流遮断装置の取り付けに役立つ。また、電池内部のガスが反転部材222に作用できることを保証するために、インナーリードに気孔が形成されることにより、ガスは該気孔により反転部材222に作用することができる。
【0069】
電池システムは、パウチ型電池と、前記パウチ型電池に直列接続され、かつ電流遮断装置が設けられた少なくとも1つの第1の単電池とが設けられた少なくとも1つの直列回路を含み、前記第1の単電池における電流遮断装置は、前記パウチ型電池、第1の単電池のうちの少なくとも1つに異常が発生したときに、該第1の単電池の内部電流を遮断する。
【0070】
いくつかの実施例では、前記直列回路には、前記パウチ型電池に直列接続された複数の第1の単電池が含まれ、前記複数の第1の単電池が互いに順に直列接続されるか又は間隔を隔てて直列接続される。
【0071】
いくつかの実施例では、前記直列回路には、前記パウチ型電池に直列接続された複数の第1の単電池が含まれ、前記複数の第1の単電池が並列接続されて電池パックを構成して前記パウチ型電池に直列接続される。
【0072】
いくつかの実施例では、前記第1の単電池は、ケースと、前記ケース内に収容されたセルと、前記ケースを封止するカバープレートと、前記セルに電気的に接続され前記カバープレートの内側に位置する電極内部端子と、前記カバープレートの外側に位置する電極外部端子とを含み、前記電流遮断装置は、前記カバープレートに設けられ、かつそれぞれ前記電極外部端子及び前記電極内部端子に電気的に接続される。
【0073】
いくつかの実施例では、前記ケースは、アルミニウムケース、鋼ケース、プラスチックケースのうちの1種であり、前記ケースの厚さは0.4mm~1.5mmである。
【0074】
いくつかの実施例では、前記電流遮断装置は、前記電極内部端子に電気的に接続された切り込み部材と、それぞれ前記切り込み部材及び前記電極外部端子に電気的に接続されるとともに、前記第1の単電池の内部ガスと連通する反転部材とを含む。
【0075】
いくつかの実施例では、前記切り込み部材は、切り込みが形成された切り込み領域と、反転部材に電気的に接続するための第1の溶接領域と、前記電極内部端子に電気的に接続するための第2の溶接領域とを含み、前記反転部材は、気圧作用下で動作して前記切り込みを引き裂き、かつ切り込みを引き裂いた後に電極内部端子との電気的な接続を遮断することができ、前記切り込みは、前記第1の溶接領域の周囲に設けられ、かつ前記第1の溶接領域、第2の溶接領域のうちの少なくとも1つは、前記切り込みとは異なる面に設けられる。
【0076】
いくつかの実施例では、前記切り込みは、第1の溶接領域及び第2の溶接領域と異なる面に設けられる。
【0077】
いくつかの実施例では、前記切り込み部材に該切り込み領域から突出するボスが形成され、前記第1の溶接領域は、前記ボスの上表面によって形成され、かつ前記切り込み領域と平行であり、該上表面の外周縁に環状の溶接接合点が設けられる。
【0078】
いくつかの実施例では、前記切り込み領域の外周縁に前記ボスと同じ方向に突出する環状壁が形成され、前記環状壁の上周縁と前記ボスの上縁部とが高さ方向に面一であり、該環状壁の外壁は、前記電極内部端子に電気的に接続される。
【0079】
いくつかの実施例では、前記第2の溶接領域、前記切り込み領域、前記第1の溶接領域は、径方向に沿って外から内へ順に配置されているとともに、外から内に前記反転部材に徐々に近づく段差構造に形成され、前記切り込みは、前記第1の溶接領域の周囲に設けられる。
【0080】
いくつかの実施例では、前記切り込み領域の外周縁に前記ボスとは逆方向に突出する環状壁が形成され、前記第2の溶接領域は、前記環状壁の外周縁に形成され、かつ前記切り込み領域と平行であり、前記第2の溶接領域の外周縁に環状の溶接接合点が形成される。
【0081】
いくつかの実施例では、前記ボスの側壁と前記環状壁は、それぞれ前記切り込み領域に垂直である。
【0082】
いくつかの実施例では、前記第1の溶接領域、前記切り込み領域及び前記第2の溶接領域は、それぞれ環状構造に形成される。
【0083】
いくつかの実施例では、前記反転部材には、前記切り込み部材に電気的に接続するための第1の接続領域と前記電極外部端子に電気的に接続するための第2の接続領域とが形成され、さらに、前記第1の接続領域に設けられる変形緩衝領域が形成される。
【0084】
いくつかの実施例では、前記反転部材は、円錐台形状に形成されたシート状構造であり、円錐台形状の上底側端部は前記第1の接続領域として形成され、下底側端部は前記切り込み部材から離れて前記第2の接続領域として形成される。
【0085】
いくつかの実施例では、前記変形緩衝領域は、前記第1の接続領域を囲む環状溝構造に形成される。
【0086】
いくつかの実施例では、前記環状溝構造の径方向断面は、円弧状又は角型である。
【0087】
いくつかの実施例では、前記反転部材の外周縁の下側と前記カバープレートとの間に支持環が密封接続され、前記電極外部端子の外周縁が前記反転部材の外周縁の上側に電気的に接続される。
【0088】
いくつかの実施例では、前記支持環の内壁に支持フランジが形成され、前記反転部材及び前記電極外部端子の外周縁が前記支持フランジの上表面に支持される。
【0089】
それに応じて、本開示は、上記のような電池システムを含む電気自動車をさらに提供する。
【0090】
以上、図面を参照しながら本開示のいくつかの実施形態を詳細に説明したが、本開示は、上記実施形態の具体的な内容に限定されるものではなく、本開示の技術的思想の範囲内に、本開示の技術手段に対して複数の簡単な変更を行うことができ、これらの簡単な変更がいずれも本開示の保護範囲に属する。
【0091】
また、説明すべきところとして、上記具体的な実施形態に説明された各具体的な技術的特徴は、矛盾しない場合に、任意適切な方式で組み合わせることができる。不要な重複を回避するために、本開示は、可能なあらゆる組み合わせ方式を別途に説明しない。
【0092】
また、本開示の様々な実施形態は、任意に組み合わせることができ、本開示の思想を逸脱しない限り、本開示に開示されている内容に属すべきである。
【符号の説明】
【0093】
10 パウチ型電池、11 パウチ型単電池、20 第1の単電池、21 ケース、22 カバープレート、23 電極外部端子、231 貫通孔、24 電極内部端子、26 支持環、261 支持フランジ、30 電流遮断装置、31 切り込み部材、311 切り込み、312 切り込み領域、313 第1の溶接領域、314 第2の溶接領域、315 ボス、316 環状壁、32 反転部材、321 第1の接続領域、322 第2の接続領域、323 変形緩衝領域、40 動力接続シート、50 導電性接続部材、60 電池パック。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13