(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】シロリムスを含む、改善された含量均一性を有する薬剤学的製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/436 20060101AFI20220520BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220520BHJP
A61K 9/36 20060101ALI20220520BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20220520BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
A61K31/436
A61P37/06
A61K9/36
A61K47/02
A61K47/26
(21)【出願番号】P 2020564882
(86)(22)【出願日】2019-05-21
(86)【国際出願番号】 KR2019006098
(87)【国際公開番号】W WO2019225954
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】10-2018-0058753
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518208484
【氏名又は名称】チョン クン ダン ファーマシューティカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100154988
【氏名又は名称】小林 真知
(72)【発明者】
【氏名】リー デロ
(72)【発明者】
【氏名】キム ミンスー
(72)【発明者】
【氏名】パク シンジュン
(72)【発明者】
【氏名】リム ジョン レ
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0068266(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0130210(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0098770(US,A1)
【文献】米国特許第05985325(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0041426(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0016301(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シロリムスを活性成分として含み、
糖類及び炭酸カルシウムをさらに含
み、
糖類と炭酸カルシウムが10:1~1:1の質量比で含まれる、薬剤学的製剤。
【請求項2】
前記糖類が、スクロース、ブドウ糖、乳糖、ソルビトール、マンニトール、及びキシリトールからなる群から選択される1つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤学的製剤。
【請求項3】
前記糖類がスクロースであることを特徴とする、請求項2に記載の薬剤学的製剤。
【請求項4】
糖類と炭酸カルシウムが9:1~2:1の質量比で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の薬剤学的製剤。
【請求項5】
(1)コア錠剤及び(2)糖衣層を含み、
前記糖衣層がシロリムスを活性成分として含み、糖類及び炭酸カルシウムをさらに含
み、糖類と炭酸カルシウムが10:1~1:1の質量比で含まれることを特徴とする、薬剤学的製剤。
【請求項6】
糖類と炭酸カルシウムが9:1~2:1の質量比で含まれることを特徴とする、請求項
5に記載の薬剤学的製剤。
【請求項7】
シロリムスが、糖衣層の総質量に対して、0.1~10質量%の量で含まれることを特徴とする、請求項
5に記載の薬剤学的製剤。
【請求項8】
シロリムスが、糖衣層の総質量に対して、0.5~5質量%の量で含まれることを特徴とする、請求項
7に記載の薬剤学的製剤。
【請求項9】
以下のステップを含
む、シロリムスを活性成分として含
み、さらに糖類と炭酸カルシウムを10:1~1:1の質量比で含む、薬剤学的製剤の製造方法;
糖類、炭酸カルシウム、及びシロリムス懸濁液を添加してコーティング液を調製するステップ、及び
コア錠剤をコーティングパンに入れ、前記コーティング液を塗布及び乾燥させるステップ。
【請求項10】
前記糖類が、スクロース、ブドウ糖、乳糖、ソルビトール、マンニトール、及びキシリトールからなる群から選択される1つ以上であることを特徴とする、請求項
9に記載の薬剤学的製剤の製造方法。
【請求項11】
前記糖類がスクロースであることを特徴とする、請求項
10に記載の薬剤学的製剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロリムスを含む、改善された含量均一性を有する薬剤学的製剤に関する。具体的には、本発明は、シロリムスを活性成分として含み、スクロース及び炭酸カルシウムをさらに含むことで、改善された質量偏差及び含量均一性を有する薬剤学的製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
下記一般式(1)の構造を有するシロリムス(Sirolimus)は、バクテリアの一種であるストレプトマイセス(Streptomyces)属から発見されたマクロライドであり、ラパマイシン(Rapamycin)とも呼ばれ、臓器移植後の拒絶反応を防ぐために用いられる薬物である。現在、ラパミューン(Rapamune(登録商標))という商品名で販売されている。
【0003】
【0004】
シロリムスは、細胞内の特異受容体であるイムノフィリン(FK506-BP)と複合体を形成し、サイトカインによる細胞増殖に核心的な役割を果たすタンパク質キナーゼmTOR(mammalian target of Rapamycin)を抑制する。このような作用により、細胞周期が抑制され、T細胞の増殖を阻害し、免疫抑制をもたらすことが知られている。
【0005】
エベロリムス(everolimus)は、シロリムスの40-O-にヒドロキシエチル基を追加したシロリムスの誘導体であり、米国ではZortress(登録商標)、韓国及び欧州ではCertican(登録商標)という商品名で、臓器移植拒絶反応を防ぐ目的でノバルティスにより市販されている。その他にも、多くのシロリムス誘導体が公知となっており、特定の16-O-置換シロリムス誘導体が、特許文献1に開示されている。
【0006】
ヒトに経口投与する際において、固体状のシロリムスとその誘導体は、水への溶解度が非常に低い反面、分子量が大きいので、胃腸管膜を透過することが困難であり、また、P-糖タンパク質(glycoprotein)のような排出ポンプ(efflux pump)の基質としても作用し、血流に有効量で吸収されることが容易ではない。
【0007】
シロリムスは、特許文献2に開示されている。1997年の論文には、アレルギー性脳炎及びアジュバント関節炎(adjuvant arthritis)に対するシロリムスの免疫抑制特性が記載されている(The Canadian Journal of Physiological Pharmacology、55、48-51(1997))。それ以来、多くの文献において、シロリムスの免疫抑制及び移植拒絶抑制の特性が記載されている。
【0008】
さらに、特許文献3は、シロリムスの抗腫瘍活性を開示している。特許文献4は、シロリムス、その誘導体、またはそのプロドラッグが肺動脈炎症に有効であることを開示している。さらに、特許文献5は、シロリムスが全身性エリテマトーデス及び乾癬のような 免疫炎症性皮膚疾患に有効であることを開示している。
【0009】
さらに、特許文献6及び7には、静脈内投与用のシロリムス製剤が記載されており、特許文献8及び9には、液状の経口投与用のシロリムス製剤が記載されている。
【0010】
シロリムスまたはその誘導体、例えば、エベロリムスと通常の医薬賦形剤との単純な混合物は知られているが、これらの製剤は、予測できない溶解速度、不均一な生体利用率、及び不安定性などの欠点を有することが知られている。
【0011】
シロリムスは、1日2mgの維持用量で経口投与し、正常な腎機能を有する患者であれば、初期誘導用量は6mgであることが知られている。さらに、シクロスポリン(Cyclosporine)と併用する場合、相互作用のリスクを減らすために、それらの薬物の間に4時間間隔を置いて投与するようにしている。従って、通常のシロリムスの経口投与製剤では、活性成分の含量が非常に少ない。
【0012】
シロリムスは非常に不安定な薬物として広く知られており、経口投与用錠剤を調製する際には、糖衣層内に薬物を配置することで、水分などの安定性に影響を与える外的要因から薬物を保護し、自己酸化を防ぐことで安定性を確保することができる。
【0013】
特許文献10は、シロリムスの糖衣錠を開示している。前記特許は、シロリムス、表面改質剤、及び糖類を含有する糖衣錠を開示している。しかしながら、糖衣錠は、薬剤学的側面から被膜質量に偏差が生じやすい剤型であり、このような糖衣錠のコーティング層にシロリムスのような微量の主成分が含有される場合、質量偏差を低減して含量均一性を保つことは非常に困難である。
【0014】
そこで、本発明者らは、微量のシロリムスを活性成分として含み、主成分の含量均一性を維持しつつ、質量偏差を低減し、活性成分を安定化させることのできる糖衣錠を提供するために、長い間研究及び実験を重ねてきた結果、本発明を完成させた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】国際特許公開第94/02136号公報
【文献】米国登録特許第3,929,992号
【文献】米国登録特許第4,885,171号
【文献】米国登録特許第5,080,899号
【文献】米国登録特許第5,286,730号
【文献】米国登録特許第5,516,770号
【文献】米国登録特許第5,530,006号
【文献】米国登録特許第5,536,729号
【文献】米国登録特許第5,559,121号
【文献】韓国登録特許第513919号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、シロリムスを活性成分として含み、主成分の含量均一性及び製剤の質量偏差が改善された薬剤学的製剤を提供することを目的とする。
【0017】
本発明は、特に、微量のシロリムスを安定化するための糖衣錠剤を提供するにあたって、糖衣錠剤の含量均一性及び質量偏差の問題を解決した薬剤学的製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、シロリムスを活性成分として含み、糖類及び炭酸カルシウムをさらに含む薬剤学的製剤に関する。
【0019】
具体的には、本発明は、(1)コア錠剤及び(2)糖衣層を含み、前記糖衣層は、シロリムスを活性成分として含み、糖類及び炭酸カルシウムをさらに含む薬剤学的製剤に関する。
【0020】
前記糖衣層は、ポロキサマー、ポビドン、微結晶セルロース、及びトコフェロールからなる群から選択される1つ以上の添加剤をさらに含んでもよい。
【0021】
前記糖衣層は、シロリムスを安定化する役割を果たす。
【0022】
本発明の糖類は、スクロース、ブドウ糖、乳糖、ソルビトール、マンニトール、またはキシリトールであってもよいが、これらに限定されるものではない。本発明の糖類は、スクロースであることが好ましい。
【0023】
本発明の炭酸カルシウムは、充填材として使用され、沈降炭酸カルシウム(Precipitated Calcium Carbonate)を含む。
【0024】
糖衣液中の充填材の含有量は非常に重要である。充填材の含有量が十分でない場合、糖をコーティングする際に錠剤の質量が円滑に増加せず、コーティング時間も長くなる。逆に、充填材の適切な含有量を超えて使用すると、糖衣液の粘度が高くなり、糖衣層の表面が平滑でなくなる。
【0025】
本発明者らは、充填材としての炭酸カルシウムがその適切な含有量を超えて使用されると、驚くべきことに、被膜の質量偏差が増加することを研究によってさらに確認し、糖をコーティングする際に、糖類と充填材の質量比が非常に重要であることを見出した。特に、糖衣層にシロリムスのような微量の主成分を含有する経口投与用の錠剤剤型の場合、被膜の質量偏差が含量不均一を招きかねないため、さらに重要である。
【0026】
従って、本発明の薬剤学的製剤においては、スクロース及び炭酸カルシウムが10:1~1:1の質量比で含まれることが好ましく、9:1~2:1の質量比で含まれることがより好ましい。
【0027】
本発明の薬剤学的製剤において、シロリムスは、0.05~25mgであってよく、好ましくは0.5~10mgであってもよい。また、シロリムスの一日投与量は、単回治療に用いられる場合、0.5~15mgであることが好ましい。
【0028】
一般的に、治療では、化合物の最適投与量よりも少ない投与量から開始される。その後、状況に応じて最適な効果が得られるまで投与量を増やす。正確な投与量は、治療を受ける患者の病歴に基づいて、それを投与する医師によって決定され得る。
【0029】
本発明の薬剤学的製剤において、シロリムスは、糖衣層の総質量に対して、0.1~10質量%の量で含まれてよく、0.5~5質量%の量で含まれることが好ましい。
【0030】
本発明の薬剤学的製剤は、(i)糖類、炭酸カルシウム、及びシロリムス懸濁液を添加して、コーティング液を調製するステップ、及び(ii)コア錠剤をコーティングパンに入れ、前記コーティング液を塗布及び乾燥させるステップを含む方法で調製することができる。
【0031】
本発明の薬剤学的製剤は、結合剤、希釈剤、滑沢剤などをさらに含んでもよい。
【0032】
前記結合剤は、剤型の形状を維持することを可能にする添加剤であり、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフト共重合体、ポリビニルピロリドンビニルアセテート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ゼラチン、プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、及びそれらの混合物から構成される群から選択されるいずれか1つ以上であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0033】
また、前記希釈剤は、希釈または増量のために用いられる添加剤であり、糖類、乳糖類、セルロース類、でんぷん類から構成される群から選択されるいずれか1つ以上であることが好ましい。より好ましくは、乳糖水和物、微結晶セルロース、微結晶セルロース-乳糖、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、その他の置換及び非置換のセルロース、トウモロコシでんぷん、こ化でんぷん、乳糖、アクリレート重合体及び共重合体、デキストレート、デキストリン、デキストロース、マルトデキストリン、ペクチン、ゼラチン、及び当業界で既知のその他の希釈剤が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0034】
さらに、前記滑沢剤は、顆粒体の圧縮操作を円滑にするための添加剤であり、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、及びベヘン酸グリセリルから構成される群から選択されるいずれか1つ以上であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0035】
その他にも、製剤に導入することができる他の添加剤には、潤滑剤、保存剤、界面活性剤、抗酸化剤、着色剤、着香剤、香味増強剤、または当業界で通常用いられる他の添加剤を含んでもよい。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、シロリムスを活性成分として含み、スクロース及び炭酸カルシウムを添加剤として含む糖衣錠製剤に関し、その糖衣錠製剤によって活性成分を安定化し、スクロース及び炭酸カルシウムを同時に含むことで、微量のシロリムスの含量均一性及び製剤の質量偏差を改善する効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提供する。しかしながら、以下の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、実施例により本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0038】
[実施例1~4]
糖衣層を含むシロリムス錠剤を、以下の方法で調製した。
【0039】
ステップ1:コア錠剤の調製
賦形剤を混合して最終混合物を調製した後、打錠機を用いて打錠してコア錠剤を調製した。
【0040】
ステップ2:糖衣錠の調製
活性成分であるシロリムス、ポロキサマー、及び精製水を粉砕機に投入し、懸濁液を調製した。調剤容器に精製水を入れて加温した後、スクロース、ポビドン、主成分懸濁液、沈降炭酸カルシウム、微結晶セルロース、及びトコフェロールを加えてコーティング液を調製した。
【0041】
その後、コーティングパンにステップ1で得られた錠剤を入れ、前記コーティング液を塗布して乾燥する工程を繰り返して、糖衣錠を得た。
【0042】
以下の表1の含量に応じて、炭酸カルシウムに対するスクロースの比率をそれぞれ異ならせて、実施例1~4の糖衣錠を調製した。
【0043】
【0044】
[試験例1]
実施例1~4の質量偏差試験
以下の方法で質量偏差を測定した。
【0045】
実施例1~4の各錠剤から検体10錠の質量を測定し、これを3回繰り返して測定した。測定から得られた標準偏差値に決定係数(n=10の場合は2.4)を掛けて判定値を算出した。
【0046】
前記質量偏差の測定結果を以下の表2に示す。
【0047】
【0048】
糖衣層にスクロースのみを含み、炭酸カルシウムを含まない実施例1の錠剤は、糖コーティング工程における糖衣層の強度が低いために摩損が生じて糖コーティングを行うことができず、質量偏差を測定することができなかった。
【0049】
実施例2及び3の錠剤の質量偏差の判定値は15以下であり、質量偏差が小さいことを確認できた。それに対して、実施例4では、15以上の質量偏差の判定値を有するので、製剤均一性を確保できなかったことが確認された。
【0050】
従って、糖衣層にスクロースと炭酸カルシウムを同時に含む錠剤(実施例2~4)は、糖衣層の適切な強度により、糖衣層のコーティングが可能であり、適切な質量比のスクロース及び炭酸カルシウムを含む錠剤(実施例2及び3)は、質量偏差が小さいことを確認できた。
【0051】
[試験例2]
市販の糖衣錠の質量偏差試験
以下の方法で、市販品である正露丸、ビサコジル錠、及びアクティナム錠に対する質量偏差を測定した。
【0052】
市販の各糖衣錠製品から検体10錠の質量を測定し、それを3回繰り返して測定した。測定から得られた標準偏差値に決定係数(n=10の場合は2.4)を掛けて、判定値を算出した。
【0053】
前記質量偏差の測定結果を以下の表3に示す。
【0054】
【0055】
前記表3から分かるように、糖衣錠である市販品の場合、20以上の高い判定値が得られることを確認した。
【0056】
従って、本発明の実施例2及び3は、それぞれ5.0及び6.8の判定値を示すので、市販品と比較して質量偏差が非常に低いことを確認できる。
【0057】
[試験例3]
含量均一性試験
韓国薬局方の一般試験法のうち、製剤均一性試験における含量均一性の試験方法に従って、実施例1~4の錠剤に対する含量均一性試験を行った。
【0058】
含量均一性試験の分析条件は以下の通りである。
【0059】
<含量均一性試験の分析条件>
1)検出器:紫外部吸光光度計(検出波長277nm)
2)カラム:Inertsil ODS-4(4.6×150mm、5μm)またはそれと同等のカラム
3)移動相:アセトニトリルと精製水の混合液(90:10)
4)カラム温度:50℃前後の一定温度
5)サンプル温度:10℃前後の一定温度
6)注入量:10μL
7)流量:1.5mL/分
【0060】
前記試験結果を以下の表4に示す。
【0061】
【0062】
糖衣層にスクロースのみを含み、炭酸カルシウムを含まない実施例1の錠剤は、糖コーティング工程における糖衣層の強度が低いために摩損が生じて糖コーティングを行うことができず、含量均一性試験を行うことができなかった。
【0063】
質量偏差試験だけでなく、含量均一性試験の結果もまた、実施例2及び3の錠剤は15以下の判定値を示しており、製剤均一性が確保されていることを確認できた。それに対して、実施例4の錠剤は、15以上の判定値を示し、製剤均一性を確保できなかったことが確認された。
【0064】
従って、適切な質量比のスクロース及び炭酸カルシウムを含む錠剤(実施例2及び3)は、含量均一性を有することが分かる。