(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-19
(45)【発行日】2022-05-27
(54)【発明の名称】レンズの組み合わせを有する超音波流量計
(51)【国際特許分類】
G01F 1/667 20220101AFI20220520BHJP
H04R 17/00 20060101ALI20220520BHJP
【FI】
G01F1/667 A
H04R17/00 330J
(21)【出願番号】P 2021517956
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(86)【国際出願番号】 US2019054640
(87)【国際公開番号】W WO2020072868
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-05-12
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】サイ、ビン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ、トン
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-37219(JP,A)
【文献】国際公開第2007/063020(WO,A1)
【文献】国際公開第96/24029(WO,A1)
【文献】英国特許出願公開第2521661(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/66-1/667
H04R17/00
H04R17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波流量計であって、
下側ハウジング部分に取り付けられた上側ハウジング部分を有する外側ハウジングであって、前記上側ハウジング部分が、内部を流れる流体を有するように適合されているパイプに取り付けるための取り付け特徴部を有する、外側ハウジングと、
送信機及び受信機に連結された水平平面を画定する平面状の表面を有する少なくとも第1の圧電素子であって、前記第1の圧電素子が、前記水平平面に垂直である軸方向において、動作波長(λ)の超音波を放出するように構成されている、少なくとも第1の圧電素子と、
前記下側ハウジング部分内のレンズの組み合わせであって、
前記第1の圧電素子の径方向外側に位置付けられた再集束レンズであって、前記再集束レンズが、信号損失を低減させるために、前記超音波のうちの受信された径方向の超音波を、前記軸方向において移動するように方向転換するように構成されたリング形状であり、前記下側ハウジング部分内の多重反射を低減するための整合層として機能するように構成された厚さプロファイルを有する、再集束レンズ、及び
前記超音波のうちの前記径方向の超音波を、前記軸方向に移動するように方向転換させるように構成された、前記第1の圧電素子の径方向外側にある、外側部分を含む、前記再集束レンズの下方に位置付けられた、平坦な円盤形状である、第2のレンズ、を含むレンズの組み合わせと、を備える、超音波流量計。
【請求項2】
内側封入チャンバを更に備え、前記第1の圧電素子及び前記再集束レンズが、両方とも前記封入チャンバ内にある、請求項1に記載の超音波流量計。
【請求項3】
前記第1の圧電素子が円盤形状であり、前記下側ハウジング部分が、λ/8+/-20%の厚さを有する、前記水平平面に対して45°±5度で角度付けされた、壁領域を有する、請求項1に記載の超音波流量計。
【請求項4】
前記第1の圧電素子が、少なくとも10の直径対厚さ比を有する円盤形状である圧電セラミックを含む、請求項1に記載の超音波流量計。
【請求項5】
前記第2のレンズが、λ/2±20%の中心直径を有する、請求項1に記載の超音波流量計。
【請求項6】
超音波流体流検知の方法であって、
下側ハウジング部分に取り付けられた上側ハウジング部分を有するハウジングを含む超音波流量計を提供することを含み、前記上側ハウジング部分が、内部に流れる流体を有するためのパイプに取り付けられた取り付け特徴部を有し、前記超音波流量計が、送信機及び受信機に連結された水平平面を画定する平面状の表面を有する、少なくとも第1の圧電素子と、前記第1の圧電素子の径方向外側に位置付けられたリング形状の再集束レンズを含む前記下側ハウジング部分内のレンズの組み合わせレンズと、前記第1の圧電素子の径方向外側にある外側部分を含む、前記再集束レンズの下方に位置付けられた平坦な円盤形状の第2のレンズと、を含み、
前記送信機が、前記第1の圧電素子に、強制的に、主に前記水平平面に垂直である軸方向において、動作波長(λ)の超音波を放出させ、
前記再集束レンズが、信号損失を低減するために、前記超音波のうちの受信された径方向の超音波を、前記軸方向に移動するように方向転換させるように構成されており、前記下側ハウジング部分内の多重反射を低減するための整合層として機能するように構成された厚さプロファイルを有し、
前記第2のレンズの前記外側部分が、前記超音波のうちの前記径方向の超音波を、前記軸方向に移動するように方向転換させるように構成されている、方法。
【請求項7】
前記第1の圧電素子が、円盤形状であり、前記下側ハウジング部分が、前記水平平面に対して45°±5度で角度付けされた壁領域、及びλ/8+/-20%の厚さを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の圧電素子が、少なくとも10の直径対厚さ比を有する円盤形状である圧電セラミックを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記再集束レンズが、三角形の断面を有し、前記第2のレンズが、前記下側ハウジング部分の底部区分を利用する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記流体の圧力が、1~20バールである、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される実施形態は、超音波流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波計測器(Ultrasonic meter、USM)は、超音波流量計(Ultrasonic flow meter、UFM)としても既知であり、広範囲の異なる流量を測定するそれらの能力により、圧力低下を最小限にし、かつ可動部品を有しないことから、より少ない機械的メンテナンス及びより高い信頼性を提供する流体の流量測定用に普及しつつある。USMの主要なハードウェア構成要素は、圧電結晶又は圧電セラミックを備える圧電素子である。物理学において既知であるように、圧電効果は、印加された機械的応力に応じて電荷を発生させるための特定の材料の能力である。
【0003】
流量計測の用途では、2つ以上の圧電素子に基づく変換器は、完全に又は部分的に封入された筐体のいずれかを通じて、パイプ内を流れる流体との間で超音波信号を送信及び受信する。このような石油及びガス産業に残っている、高い超音波信号品質及び信頼性を得ることの課題が存在する。高圧(ゲージ圧)の流れは、工業用途では200バール以上に達することがあり、一方、低圧及び中圧は、通常、商業用途では0.1~40バール、例えば、1~20バールである。
【0004】
商業用及び/又は都市ガス分配ネットワークは、低圧及び中圧で従来のUSMを使用すると、圧力が低いほどガスの密度が低くなり、また超音波信号の減衰が大きくなるため、性能低下の問題に直面することが多い。結果として、USMが比較的低い圧力で動作する場合、信号対雑音比(signal to noise ratio、SNR)が低くなり、USMの検出性、信頼性、及び/又は安定性が低下する。現在のタービン計測器は、USMに対して次善の代替案(next best alternative、NBA)であるが、機械的な動き、及びより狭いターンダウン比又は測定範囲は、タービン計測器が商業用ガス分配市場に対応することを困難にするが、これは、ガスの速度(velocity of gas、VoG)が一般に0.1m/秒~25m/秒で変化する、都市部のレストラン及びホテルなどの、ビジネス用ガス使用量の高いピークと低い谷間の大きい差があり得るからである。したがって、都市ガス又は商業用ガス分配ネットワーク用のUSMに対する高い需要が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本概要は、提示される図面を含む以下の「発明を実施するための形態」で更に詳述される、簡潔に選定された開示の概念を単純な形態で紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の範囲を限定することを意図するものではない。
【0006】
開示される態様では、一般に、USM信号品質が複数の異なる要因によって劣化され得ることが分かる。これらのUSM信号の劣化要因としては、圧電素子の動作モードが挙げられ、周囲のハウジング(又は筐体)は、有用な信号検出性及びシステム感度を低下させ得る大きな振幅及び長時間続くリンギング効果を作り出す。長時間続くリンギング効果は、最小測定範囲(不感帯)を増加させ、これは、特に小さいサイズのUSMにおいて、短距離測定に不利であると認識され、一方、整合及び不整合処理メカニズムは、信号損失及び多重反射を引き起こす。不適切な充填材料及び裏当て材料は、雑音レベルを増加させる逆結合を引き起こす場合があり、これによりSNRが低下する。低圧又は中圧流体は、信号振幅の激しい減衰効果を引き起こす可能性があり、圧電振動子にある埃及び汚れは、ノイズレベルの上昇に起因するSNRの低下を引き起こす可能性があり、強力な望ましくない信号は、受信機の低雑音増幅器(low-noise amplifier、LNA)を飽和させて、一般に弱い受信超音波信号を増幅する可能性がある。
【0007】
開示されるUSMは、上で説明される全てのこれらのUSMの信号品質劣化要因に1つの設計で対処することができる特徴を有し、とりわけ、上述のような一般に0.1~40バールである低圧及び中圧流体の流れ感知に対する比較的より困難な用途のために構成されていることに重点が置かれるが、これは、高圧用途ではより低い減衰(attenuation)/減衰(damping)効果に起因して、受信信号品質が向上するため、困難であり得るか又はあまり困難でなくなるからである。結果として、従来の高圧変換器設計は、一般に、信号品質の観点から、このような低圧及び中圧用途に適合せず、特に、天然ガスなどの圧縮性流体の場合は、それを通って移動する信号にかなりの減衰(attenuation)/減衰(damping)を引き起こす可能性があるため、変換器経路が適切に機能せず、信号品質の低下又はUSMの流量測定の失敗をもたらすことになる。
【0008】
開示される態様は、流体パイプに取り付けるための上側ハウジング部分及び下側ハウジング部分を含むハウジングを含む超音波流量計を含む。送信機及び受信機に連結された圧電素子は、圧電素子によって画定される水平平面に垂直な軸方向において、超音波を放出するように構成される。レンズの組み合わせは、第1の圧電素子の径方向外側に位置付けられた、再集束レンズを含む下側ハウジング部分内にあり、再集束レンズは、受信された径方向の超音波を、軸方向に移動するように方向転換させるように構成されたリング形状であり、下側ハウジング部分内の多重反射を低減するための整合層として機能するように構成された厚さプロファイルを有する。平坦な円盤形状である第2のレンズは、径方向の超音波を軸方向において移動するように方向転換させるように構成されている、第1の圧電素子の径方向外側にある、外側部分を含む再集束レンズの下方にある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】例示的な実施形態による、パイプ内を流れる流体の流量測定のために設置された例示的なUSMのブロック図であり、USMは、間接経路(反射経路)検知を実装する第1及び第2の圧電素子を含む。
【0010】
【
図1B】開示される再集束レンズ及び第2のレンズの、下側ハウジング部分の内部の圧電素子に対する例示的な配置を示す。
【0011】
【
図2A】第1の圧電素子を有する第1のUSM及び第2の圧電素子を有する第2のUSMにより実装された直接経路構成を示しており、それぞれのUSMは、パイプの両側上に位置しており、それぞれの圧電素子の面が互いに向いている。
【0012】
【
図2B】第1の圧電素子を有する第1のUSMと、第2の圧電素子を有する第2のUSMと、を有する間接経路構成を示しており、それぞれのUSMは、パイプの同じ側上に位置している。
【0013】
【
図3】例示的な実施形態による、再集束レンズと半波長レンズとを有する例示的なUSMの切り欠き図を示す。
【0014】
【
図4】例示的な実施形態による、再集束レンズと半波長レンズとを有する例示的なUSMの切り欠き図を、外側ハウジング変形形態と共に示す。図示されるUSMは、減衰材料で充填された大きい内部空間を有する。
【0015】
【
図5】例示的な実施形態による、再集束レンズと、第2のレンズと、を有する例示的なUSMの切り欠き図を示しており、更に別の外側ハウジング変形形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
開示される実施形態は、添付の図面を参照して説明され、同様の参照番号は、類似又は同等の要素を示すために図面全体にわたって使用される。図面は、縮尺どおりに描かれておらず、それらは、本明細書に開示される態様を単に例示するために提供される。いくつかの開示される態様は、例証のための例示的な用途を言及しながら以下に記載される。本明細書に開示される実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細、関係、及び方法が記載されることを理解されたい。
【0017】
しかしながら、当業者であれば、開示される実施形態は、特定の詳細のうちの1つ以上を伴わずに、又は他の方法を伴って実施することができることを容易に認識するであろう。他の例では、本明細書に開示される態様を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造又は動作は詳細に示されない。開示される実施形態は、いくつかの行為が異なる順序で、及び/又は他の行為若しくは事象と同時に発生し得るため、行為又は事象の例示される順序によって限定されない。更に、全ての例示される行為又は事象は、本開示による方法論を実装するために必要とされない。
【0018】
また、本明細書で更なる修飾を伴わずに使用される「に連結された」又は「と連結する」(及び同様の)用語は、間接的又は直接的な電気的接続のいずれかを説明することを意図する。したがって、第1の装置が第2の装置に「連結する」場合、その接続は、経路内に寄生体のみが存在する直接的な電気的接続を通じているか、又は他の装置及び接続を含む介在物を介した間接的な電気的接続を通じてもよい。間接的な連結のために、介在物は、一般に信号の情報を修正しないが、その電流レベル、電圧レベル、及び/又は電力レベルを調整してもよい。
【0019】
図1Aは、USM 100のブロック図であり、USM 100は、少なくとも再集束レンズ130と、第2のレンズ140と、を備える、少なくとも開示されたレンズの組み合わせを含み、また一般に、USM信号品質劣化要因を克服するための複数の上述した特徴部を含み、この特徴部は、パイプ160の区分内を流れる流体の超音波に基づく流量測定のための計測器本体内に設置される。その内部に図示される圧電素子対を有する計測器本体を提供する筐体としても既知である、外側ハウジング108を含むUSM 100が示され圧電素子対は、パイプ160の同じ側にある、T
1として示される第1の圧電素子と第2の圧電素子T
2とを備え、これらの圧電素子は、dとして示される距離だけ互いから離間配置されており、反射経路(間接経路)検知構成を実装する。開示されるUSMのはまた、以下に説明する
図2Aに示されるような単一の圧電素子のみを有してもよい。ハウジング108は、マグネシウム及びケイ素を、その主要な合金元素として含む、アルミニウム6061などの黄銅、チタン、又はアルミニウム合金を含むことができる。
【0020】
USM 100は、反射経路検知構成を実装することが示されるが、
図2Aに示される直接経路構成は、第1の圧電素子を有する第1のUSM 100aと、第2の圧電素子を有する第2のUSM 100bと、が存在する場合に実装することもでき、それぞれのUSMは、代わりに、パイプ160の両側上にそれぞれの圧電素子128の面が互いに向いた状態で位置する。当該技術分野において既知であるように、圧電素子128は、一般に、平坦で薄い円形の物体である円盤形状を有しており、それらの薄い性質のために、USMでは径方向、つまり、超音波がUSMによって放出される実際の方向に垂直である水平平面を提供すると考えることができる。
図2Bの反射(間接)経路構成は、第1の圧電素子128を有する第1のUSM 100c、及び第2の圧電素子128を有する第2のUSM 100dにより実装されて示されており、ここで、それぞれのUSMがパイプ160の同じ側上に位置することが示される。
【0021】
USM 100は、パイプ160に取り付けられ、一般に、気密及び高圧抵抗メカニズムを使用してパイプ160に挿入されるか、又はパイプ160の外側に設置されたクランプ式装置として構成される。
図1Aには示されないが、圧電素子T
1及びT
2は各々、それ自体の別個の封入チャンバを有してもよい(圧電素子を封入する、以下に記載する
図3に示される内側封入(隔離)チャンバ129を参照、また、再集束レンズ130を封入することも示される。
【0022】
圧電素子T1及びT2は、パルス電圧信号(送信機からの受信)がそれらの圧電素子に印加され、それによって超音波を発生させるときに振動するように設定される圧電結晶又は圧電セラミックを用いる。動作中、超音波パルスは、対の圧電素子のうちの1つによって交互に送信され、流量測定に必要な対の他の圧電素子によって受信される。
【0023】
角度付けされた軸方向信号経路は、パイプ160の内部の破線によって
図1Aに示される。当該技術分野において既知であるように、USMは、
図1Aに示される2つ超の圧電素子T
1及びT
2、通常、2個~16個までの圧電素子を含むことができる。USM 100は、送信機(Tx)111及び受信機(Rx)112を含むか、又は図示されるように別個のTx及びRxの代替物として、単一の送受信機であり得、単一の送受信機は、ある瞬間にTx 111がオンになり、別の瞬間にRx 112がオンになるように、圧電素子T
2及びT
1が送信及び受信役割を交換(代替)することができるデジタル制御マルチプレクサ(MUX)115によって、圧電素子T
2及びT
1にそれぞれ連結される。動作中のパイプ160は、その中に、天然ガスなどの液体又は気体である流体を有する。流体は、1~20バールなどの、通常0.1~40バールである低圧又は中圧にあることができる。
【0024】
USM 100はまた、一般に、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、又はマイクロコントローラユニット(microcontroller unit、MCU)を備えるコントローラ120も含み、コントローラ120は、開示される流体速度測定方法を実装するためのアルゴリズムを含むアルゴリズムのためのコードを記憶することができる「MEM」124として示される関連するメモリを有する。コントローラ120は、Tx 111及びRx 112に連結され、MUX 115を制御するようにも連結される。コントローラ120はまた、指定されたタイミング間隔でTx及びRxの役割を切り替えるようにも構成される。
【0025】
しかしながら、当該技術分野において既知であるように、コントローラ120によって実行されるアルゴリズムは、ハードウェアによって実装されてもよく、及び/又はソフトウェアによって実装されてもよい。ハードウェアベースの実装に関して、アルゴリズム方程式をVHDL(Hardware Description Language、ハードウェア記述言語)などを使用してデジタルの論理ゲートパターンに変換することができ、この実装は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)
若しくは複合プログラマブル論理回路(complex programmable logic device、CPLD)、又は専用の特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)などのプログラマブル素子を使用して実現され、論理ゲートパターンを実装することができる。ソフトウェアに基づく実装に関して、アルゴリズムのためのコードは、一般に、コントローラ120によって実装され得るメモリ124などのメモリに記憶される。
【0026】
必要に応じて、キーボード及びディスプレイを含み得るコントローラ120に連結された、
図1Aに示されるヒューマン-マシンインタフェース(human-machine interface、HMI)126も存在する。操作者は、HMI 126を使用して、USMの動作パラメータを調整することができる。
【0027】
USM 100は、開示されたレンズ配置も含み、レンズ配置は、以下に記載される
図1Bでより良く見ることができ、圧電素子は、ここでは128として示される。
図1Bは、下側ハウジング部分108b内の例示的な構成を示す切り欠き図であり、開示された再集束レンズ130と下側ハウジング部分108bの底部区分とを一般に備える開示された第2のレンズ140、及びこれらが互いに対して、及び圧電素子128に対してどのように位置付けられているかを示す。軸方向及び径方向は、両方とも示される。径方向は、圧電素子128によって画定される水平平面と同じ方向であり、上記のような圧電素子128は、略円盤形状である。
【0028】
図1Bはまた、減衰及び相殺層168の上部の裏込め及び減衰材料135、圧電素子128の下方及び側面上の整合及び温度絶縁層155、下側ハウジング部分と整合及び温度絶縁層155との間を含む側部減衰172、並びに減衰及び相殺層168も示す。
【0029】
レンズ配置は、再集束レンズ130と第2のレンズ140とを含み、これらは、両方とも下側ハウジング部分108b内に位置付けられ、ここで再集束レンズ130は、第1の圧電素子128の径方向外側にあり、第2のレンズ140の外側部分は、第1の圧電素子128の径方向外側にある。第2のレンズ140は、略円盤形状であり、一般に、中実円盤であり、再集束レンズ130の下方に位置付けられており、ここで超音波信号は、第2のレンズ140の内側部分を通って送信される(例えば、放出され、任意選択的に受信もされる)。
【0030】
当該技術分野において既知であるように、圧電素子128が振動するときのUSM 100の動作中に、p波及びs波の両方は径方向を含む変曲傾斜で生成される。再集束レンズ130は、信号損失を低減するために、第1の圧電素子128からの径方向超音波を方向転換させて、これらの径方向超音波を軸方向に方向転換させるために回折又は変曲を提供するように構成される。
【0031】
音響において既知であるように、整合層の厚さは、通常、送信された波に有利なように、整合層の前側での反射を最小化するように吸音波長の1/4(λ/4)に等しい。最適インピーダンス値を発見した場合、次の決定は、その特定のインピーダンスを有する材料を見つけるためのものである。理論的な整合層モデリングアルゴリズムである、既知のMasonモデルを使用することができる。コンピュータ数値シミュレーション又は比較試験を使用することによって、最も好適な厚さを見出すことも可能である。
【0032】
第2のレンズ140はまた、それが受信した径方向の超音波を、軸方向により方向性を持って移動するように方向転換させるためのものでもある。第2のレンズ140の公称中心直径は、一般に±20%であり得る略λ/2であり、第2のレンズ140の公称厚さは、音響インピーダンス整合の考慮によって一般に決定されて整合層を提供する、再集束レンズ130と同様でもある。第2のレンズ140は、特定の動作条件のセットに対して発明者らが実施した比較試験の結果に従って、最良の音響整合厚さであると決定されたインピーダンス整合層を提供するために、一般に±20%であり得る公称厚さλ/20を有してもよい。
【0033】
第2のレンズ140の直径が、一般に約λ/2であると指定されたハウジングの最下部を利用する円板表面であり、その厚さは、これらの2つの定義された幾何学的パラメータを有する、約λ/20であり、ハウジングの最下部は、同じ圧電素子が一対の送信機又は受信機と交互になるように、USMで受信される音響波を方向転換させるためのレンズとして機能する。したがって、ハウジングの最下部の平坦面は、音響レンズとしての更なる新たな機能を提供する。
【0034】
当該技術分野において既知であるように、圧電素子128が振動するように制御される動作中、p波(圧縮波としても既知である)及びs波(二次波としても既知である)の両方が、径方向を含む変曲傾斜で生成されるが、径方向間隔(圧電素子128の外径から下側ハウジング部分108bの内壁までの距離)が狭すぎると共振が発生する可能性があり、その結果、定在波が生成され得る。
【0035】
再集束レンズ130は、直角三角形を有する略リング形状であり(断面(以下に記載する
図1Bを参照)、受信された超音波を、上述したように圧電素子128の水平平面に垂直な軸方向で遠ざけるように方向転換するように構成されており、その結果、定在音響波が発生しない。具体的には、再集束レンズ130によって提供される受信された径方向超音波の変曲傾斜及び回折/変曲は、ハウジングとの音響インピーダンス不整合を克服するためのものであり、このハウジングは、圧電素子128と再集束レンズ130と第2のレンズ140との間に位置付けられた図示される温度絶縁層155と比較してインピーダンスの差が大きい、空気、天然ガス、又は窒素などのガスに対して金属又は金属合金を一般に含む。
【0036】
流速測定に関して、圧電素子T
1及びT
2からの音響パルスは、川を渡る渡し守のようにパイプ160を横断する。パイプ160内を流れる流体がないと、音響パルスは両方向に同じ速度で伝播する。パイプ160内の流体がゼロとは異なる流速を有する場合、流体の流れの下流(T
1~T
2)を移動する音響パルスは、より速く移動することになるが、流体の流れに対して上流(T
2~T
1)を移動する流体の流れは遅くなるであろう。したがって、下流移動時間「t
AB」はより短くなり、一方、上流移動時間「t
BA」は、流体が移動していないときと比較してより長くなる。本明細書では、信号の移動時間を直接測定することを指す飛行時間(time of flight、TOF)、又は、Tx信号に基づくシステム相互相関若しくは後処理に基づく相互相関などの間接的な測定方法もまた、移動時間を決定するために使用され得る。以下の式は、計算原理を示しており、移動時間と、流体の速度及び流体中の音速とを、パイプ160に対する経路長さ及び経路角度の関数として表している。
【数1】
式中、t
ABnは、式中Aで示される圧電素子T
1と式中Bで示される圧電素子T
2との間の経路nの下流移動時間である。
t
BAnは、圧電素子AとBとの間の経路nの上流移動時間である。
L
nは、2つの圧電素子T
1(A)とT
2(B)との間の音響経路nの直線長さである。
φ
nは、パイプに対する経路nの角度である。
v
nは、経路nの圧電素子によって測定される補正されていない流体の生速度である。
c
nは、経路nの圧電素子によって測定される流体の音速である。
【0037】
図3は、例示的な実施形態による、開示された再集束レンズ130及び第2のレンズ140を有する例示的なUSM 300の切り欠き図を示す。USMの動作波長は、一般に、10mm~30mmの範囲である。外側ハウジング108は、下側ハウジング部分108bに取り付けられた上側ハウジング部分108aを有する、
図3に示される
図1Aのようなものである。
図3には、上側ハウジング部分108aを下側ハウジング部分108bに連結するチャンバ接続ねじ117が示される。ハウジング108は、別個の上側ハウジング部分108a及び下側ハウジング部分108bとして構成されているので、減衰層165、減衰及び相殺層168、並びに裏込め及び減衰材料135などの一般に液体の形態で添加される充填材料を、従来の長いチューブを使用してハウジング108の内部に添加する際に導入される気泡の量、ハウジング108の内部を製造中に充填する際の困難さを低減する。更に、上側ハウジング部分108aと下側ハウジング部分108bとの間の空域(空気界面)における接合部を調整して、USM 300の前方から後方への、次いで再び前方への信号の望ましくない逆結合を軽減することができる。
【0038】
ハウジング108は、金属材料又は非金属材料を備えることができる。上側ハウジング部分108aは、本明細書の流体を有するパイプに取り付けるための装着接続ねじ109として示される取り付け特徴部を有する。用語に関して、USM 300の上部は、
図3に示されるようなねじ山109を有するUSMの側面であり、Oリング113は、圧電素子128に対して反対側にあるねじ山109の下にあり、一方、USM 300の底部は、所望の音響送信及び受信方向のための前側音響活性端部である圧電素子128を有する端部であるが、USM 300の底部(前側端部)は、
図2A及び
図2Bに示されるように、計測器本体のパイプの内部に位置付けられるように設計される。圧電素子128は、下側ハウジング部分108bに示される。しかしながら、圧電素子128はまた、上側ハウジング部分108aと下側ハウジング部分108bとの間の境界領域にあってもよい。圧電素子128は、
図1に示されるように、コントローラ120と共に電子機器ハウジング(図示せず)内にあり得る送受信機(Tx 111/Rx 112)に連結される。
【0039】
圧電素子128の上方には、一般に多孔質発泡体又はポリマーなどの低密度の材料を備える減衰層165と、同じく、一般に多孔質発泡体又はポリマーなどの低密度の材料を備える減衰及び相殺層168である。減衰層165の層厚は、一般に、上側ハウジング部分108aに向かって軸方向後方方向に約λ/2である。圧電素子128は、エポキシガラスなどの低熱伝導率を有する複合材料、又は熱可塑性化合物発泡体を一般に備える、整合及び温度絶縁層155によって囲まれる。また、減衰及び相殺層168の外側で、圧電素子128及び減衰層165の上方の整合及び温度絶縁層155部分の上方に、側面減衰層172も存在する。
【0040】
再集束レンズ130は、圧電素子128の振動モード、並びにハウジング(下側ハウジング部分108b)内の圧電素子128の配置に従って構成される。再集束レンズ130は、整合及び温度絶縁層155と下側ハウジング部分108bとの間の三角形の空間に示されており、金属製下側ハウジング108bと整合及び温度絶縁層155との間の間隙を充填するために、硬化剤と混合された接着剤エポキシ樹脂を備えることができる。接着剤化合物を使用した充填材料は、空隙を伴わずに2つの異なる材料を接合するだけでなく、間隙を指定された形状で封止し、これにより、再集束レンズ130を間隙内に形成することができる。
【0041】
上記のように、直角三角形として成形され得る再集束レンズ130は、構造内に存在する間隙によって画定される、略20度以上の斜辺の角度を提供することができ、その中心幅(厚さ)は約1/50波長であり、これは、通常、1mm未満である。結果として、再集束レンズ130と下側ハウジング部分108bのλ/8壁との間のUSM 300の側面に向かって漏れた超音波信号の大部分は、その音響的に活性化された前側端部であるUSM 300の底部で前方に移動する信号と干渉しないように、再集束レンズ130及びλ/8の厚いハウジング壁によって反射されることになる。
【0042】
また
図3には、圧電素子128を封入する内側封入チャンバ129も示されており、この内側封入チャンバ129は、再集束レンズ130を封入することも示される。第2のレンズ140は、一般に、ハウジングの一部分(底部)が封入チャンバ129の外側にある。
【0043】
再集束レンズ130の向きは略リング形状であり、圧電素子128の径方向外側に位置付けられるが、第2のレンズ140は、一般に再集束レンズ140の下方にある間、圧電素子128に対して下側ハウジング部分108b内で下側に位置付けられる。上記の第2のレンズ140は、一般に、下側ハウジング部分108bの領域であり、別個の構成要素ではない。第2のレンズ140を提供するためのこのハウジング領域は、λ/2の公称中心直径及び約λ/20の厚さを有する円盤形状であり得る。したがって、再集束レンズ130及び第2のレンズ140は、それ自体の音響からの反射及び屈折超音波が、パイプ内の流体媒体に向かって軸方向に方向付けられ、かつ/又は方向転換されるように構成されており、異なる媒体の音響インピーダンスのいわゆる不整合は、圧電素子128への望ましくない反射を引き起こすことが既知である。
【0044】
したがって、45度の角度(
図3に示すように、第2のレンズ140の上方のハウジング壁によって設定される)は、横方向の波を前側音響活性端部に方向転換させることによって、USM 300の前面音響活性端部である下側ハウジング部分108bから圧電素子128によって送信される信号と干渉せず、比較的小さい空間内での多重反射を避け、定在共振波を相殺する。再集束レンズ130は、ハウジングの壁に到達する超音波の漏れを相殺するように構成されており、インピーダンス不連続部が下側ハウジングの外側表面においてより深刻である金属を一般に備えるであった。この不整合は、圧電素子128の領域と再集束レンズ130との間に多重反射(定在波)を更に生成する場合がある。したがって、λ/8ハウジング壁厚は、その空間内の定在波を抑制して、圧電素子128からの軸方向超音波を高めることを意味する。
【0045】
上述したように、第2のレンズ140は、その円盤形状の中心直径のλ/2±20%であり得、上記のλは、検知用途で使用される超音波信号の波長、例えば、10mm~30mmである。一般に、下側ハウジング部分の一部分である第2のレンズ140の材料は、金属又は非金属を含むことができるが、一般に、苛酷な環境条件に十分に適合されたハウジング材料であると認識されるステンレス鋼又はチタンなどの金属である。
図1Bに示される第2のレンズ140の外側領域は、軸方向に垂直な径方向の超音波伝播を低減し(すなわち、それらを位相反転で相殺し)、軸方向に超音波がより方向的に移動するようにするサイドローブを抑制する。
【0046】
再集束レンズ130及び第2のレンズ140は、一般に、再集束レンズの径方向外側に延在する第2のレンズ140と、互いに概ね部分的に同心であり、再集束レンズ130の下方に全体的に示される再集束レンズ130の少なくとも部分的に下方にある。上記のように、圧電素子128は、通常、円盤形状であり、再集束レンズ130は、圧電素子128の径方向外側にある略直角三角形形状のリングであり、また、上述のように、第2のレンズ140は、一般に、下側ハウジング部分108bの区分であり、この区分は、通常、円盤形状であり、圧電素子128の前面128aに対して圧電素子128の下方に位置付けられる。
【0047】
再集束レンズ130及び第2のレンズ140のためのレンズ材料は、上記のように最大40バールである低圧及び中圧条件に適用可能であるように一般に選択され、圧力条件に耐えることを可能にするために、柔らかすぎてはならない。例えば、チタン、SS304、316、アルミニウム合金、又はプラスチックなどの非金属材料を、流体測定条件、例えば、腐食又は埃の要件に応じて使用することができる。すなわちこれが、整合及び温度絶縁層155として示された1/4λ整合層、及び再集束レンズ130が、USM 300の前側にサイドローブ超音波を方向転換させ、一般に金属製の剛性ハウジング108a、108b内で起こり得る多重反射を抑制するように構成される理由である。
【0048】
したがって、再集束レンズ130及び第2のレンズ140は、受信された径方向超音波を方向転換させ、下側ハウジング部分108bの壁内での多重反射を防止する。再集束レンズ130及び第2のレンズ140は、受信された径方向超音波を、圧電素子対内のその対応する圧電素子に向かって軸方向に方向転換させる。
図4は、再集束レンズ130と第2のレンズ140とを有する外側ハウジングを有する、例示的なUSM 400の切り欠き図を示す。179として示される領域は、頑丈なゴムリングなどを備える締結具である。
【0049】
図5は、例示的な実施形態による、外側ハウジング変形形態と共に再集束レンズ130と、第2のレンズ140と、を有する例示的なUSM 500の切り欠き図を示す。図示される外側ハウジングの変形形態は、
図3及び
図4に示されるような外部工程を排除しており、ここで
図5は、直線状円筒であり、内部の後部構造は、エポキシ樹脂又は室温加硫(room temperature vulcanizing、RTV)ゴムを含み得る、裏込め及び減衰材料135及び136を備える。裏込め及び減衰材料135と減衰及び相殺層168との間の裏込め及び減衰材料136は、裏込め及び減衰材料135をより良好に充填し、後方信号結合を低減するために使用される。裏込め及び減衰材料領域136は、ゴムを備えるなど、予め形成されてもよい。
【0050】
要約すると、USM信号品質劣化要因に対処するための開示されたUSMの主な特徴は、以下のものである。
1. 再集束レンズ130を含むレンズの組み合わせは、圧電素子の径方向外側の下側ハウジング部分108bにある第2のレンズ140と共に、径方向の超音波を、変曲傾斜により、及び軸方向の回折/変曲により方向転換させて、一般に、下部ハウジング部分108bを備える金属と、インピーダンスの差が大きい可能性があるパイプ内の流体との不整合を克服する。音響インピーダンスは、材料密度及び音速の積である。従来は、厚さ1/4λのいわゆる整合層が使用されており、開示されているUSMの場合、再集束レンズ130及び第2のレンズ140が、
図3~
図5において整合及び温度絶縁層155として示される従来の1/4λ整合層の他に配置されており、ここで、整合層のインピーダンス比は
【数2】
であり、Zcは圧電素子128の音響インピーダンスであり、Zpは、流体媒体の音響インピーダンスである。例えば、Zc=35MRaylであり、Zp=0.0004MRayl(空気のZp値)である場合、Zmは、空気に良好なインピーダンス整合を有するように、およそ0.11MRaylに等しい(天然ガスのインピーダンスは、同じ圧力及び密度において空気よりもおよそ1.3大きい)流体に適合することができるが、固体及び剛性材料ではこのようなインピーダンス比を達成するのは困難である。開示された再集束レンズ130は、開示された第2のレンズ140と共にこの問題を解決することができる。
2. 圧電素子128を封入する封入チャンバ129は、流体圧力に耐えながら、前方超音波放射効率を最大化する。封入チャンバ129は、発泡材料を備えることができる。発泡体の代替物としては、ポリマー、エポキシ、又は一般に、圧電素子128のインピーダンスと空気に対するインピーダンスとの密接な整合インピーダンスを有する任意の種類の材料が挙げられる。
3. 下側ハウジング部分108bの壁は、定在波を相殺するために、また45度±5度などの所定の角度(例えば、計算された角度及び許容値(範囲))で(部分的な)反射を方向転換するために、λ/8±15%(
図2~
図4に示される)の壁の厚さを有することができる。
4. 温度絶縁層155は、一般に、圧電素子128が圧電結晶を含む場合、圧電素子の従来の結晶材料(-20℃~+60℃)を、現場に存在し得る大きな温度変化、例えば、-40℃~+85℃から保護するための、熱伝導率の低い複合材料である。
5. 記載されるように、略円盤形状である圧電素子128は、複数のモードを低減しながら、その効率を高めるように径方向モード振動のために特別に構成された10を超える比較的大きな直径対厚さ比を有するセラミック材料を備えることができる。これにより、低電圧の使用を可能にして、固有の安全要件をより容易に満たし、低電力消費を提供することによって電池駆動されるように設計される、高いシステム感度及び信号効率を提供する。
6. 信号の励起及び受信回路のプリント回路基板(printed circuit board、PCB)への配線ピンと一緒に何かを備える、内壁又は外壁にねじ止めする特殊な配置。圧電素子128及びPCBは、一般に、正端子、負端子、及び接地端子を有するケーブルによって接続される。充填材料を裏込め及び減衰材料135の裏側から添加する場合は、一般に負圧が生成されるため、裏込め及び減衰材料135をハウジング内に押し込むことが困難な場合があり、材料がペースト形態又は液体形態である場合には、内部に気泡が発生するため、更に困難になる場合がある。ハウジングが2つの部分(
図1A、
図1B、及び
図3に108a及び108bとして示されるような上側及び下側部分)を有することは、裏込め及び減衰材料135の充填プロセスをより容易にして、より制御可能で柔軟なものにし、同様に起こり得る逆結合を軽減する。
【0051】
開示されたUSMを製造するための例示的な組み立てシーケンスが、次に提供される。第1の工程では、圧電素子128は、下部ハウジング部分108bを裏打ちする温度絶縁層155に接合することができ、この温度絶縁層155は、したがって、第2のレンズ140の上方にあり、これは一般に、温度、予荷重、埃、及び静電気などの動作条件に特別な注意を必要とする、中核的な組立工程の1つである。第2の工程では、液体形態である間の減衰層165を圧電素子128の上部に注ぐことができる。第3の工程では、上述した構成要素は、側面減衰層172共に組み立てられ得る一方で、液体形態をしている間の減衰及び相殺層168を注ぎ込むことができる。
【0052】
第4の工程では、上記の構成要素は、下側ハウジング部分108b内に組み立てられてもよく、これは中核的な組立工程のうちの1つであり、例えば、底部及び側面連結に特別な注意を払う必要があり、例えば、接合部が完全に適合することに注意し、空隙を残さないようにし、例えば、整合及び温度絶縁層155を使用して間隙を充填するようにする。第5の工程は、上側ハウジング108aを、チャンバ接続ねじ山117として上に示される下側ハウジング部分108bに組み立てることを含み得る。第6の工程では、中間位置にあるケーブル及び接合ウェルに注意しながら、液体形態のままの裏込め及び減衰材料135をハウジング内に注ぎ込むことができる。第6の工程では、液体材料は、気泡を避けながら、上述したように固体に変換されることになる。
【0053】
様々な開示された実施形態について上述してきたが、それらは単なる例として提示されており、限定するものではないことを理解されたい。開示された実施形態に対する多数の変更は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本開示に従ってなされ得る。したがって、本開示の広さ及び範囲は、上述した実施形態のいずれにも限定されるべきではない。むしろ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従って定義されるべきである。
【0054】
開示された実施形態は、1つ以上の実装形態に関して例示及び説明されてきたが、本明細書及び付属の図面の読み取り及び理解の際に当業者には同等の変更及び修正が生じるであろう。特定の特徴はいくつかの実装形態のうちの1つのみに関して開示されている場合があるが、かかる特徴は、任意の所定の又は特定の用途にとって所望され得る、及び有利であり得るように、他の実装形態のうちの1つ以上の他の特徴と組み合わされてもよい。