(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】振動素子及びそれを備えた振動子
(51)【国際特許分類】
H03H 9/19 20060101AFI20220523BHJP
H03H 9/215 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
H03H9/19 J
H03H9/215
(21)【出願番号】P 2018067424
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】崔 弘毅
【審査官】橋本 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-200043(JP,A)
【文献】特開2015-159367(JP,A)
【文献】特開2014-057236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/19
H03H 9/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部から延出する第1振動腕部及び第2振動腕部と、
前記基部から延出し、互いに対向する第1主面及び第2主面を有する支持腕部と、
前記第1振動腕部及び前記第2振動腕部に設けられた第1励振電極及び第2励振電極と、
前記支持腕部の前記第1主面に設けられた第1接続電極及び第2接続電極と、
前記支持腕部の前記第1主面に設けられ、前記第1励振電極と前記第1接続電極とを電気的に接続する第1引出電極と、
前記支持腕部の前記第2主面に設けられ、前記第2励振電極と前記第2接続電極とを電気的に接続する第2引出電極と、
を備え、
前記支持腕部の前記第1主面及び前記第2主面の少なくとも一方の主面には切欠き部が形成され、
前記支持腕部の前記第1主面を平面視したとき、前記切欠き部は前記第1引出電極又は前記第2引出電極の一部と重なって
おり、
前記切欠き部は、前記支持腕部の前記基部からの延出方向に沿って延在する、前記第1主面又は前記第2主面の両端部に形成されている、振動素子。
【請求項2】
前記第1引出電極又は前記第2引出電極は、前記支持腕部の前記第1主面を平面視したとき、前記両端部の前記切欠き部にそれぞれ重なる2つの分岐部を有している、
請求項
1に記載の振動素子。
【請求項3】
前記支持腕部の前記2つの分岐部が設けられた主面には、前記2つの分岐部の間に穴部が形成されている、
請求項
2に記載の振動素子。
【請求項4】
前記支持腕部の前記第1主面及び前記第2主面の両方に前記切欠き部が形成され、
前記支持腕部の前記基部からの延出方向と直交する断面視において、前記切欠き部は、前記支持腕部の対角部にそれぞれ形成されている、
請求項
1に記載の振動素子。
【請求項5】
前記第1引出電極と前記第2引出電極は、前記切欠き部を挟んで対向している、
請求項1から
4のいずれか1項に記載の振動素子。
【請求項6】
前記切欠き部は、前記支持腕部よりも比誘電率の小さい材料によって埋められている、
請求項1から
5のいずれか1項に記載の振動素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動素子及びそれを備えた振動子に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイルコンピュータ、携帯ゲーム機、携帯電話、ICカード、通信基地局、などの電子機器において、タイミングデバイスや振動ジャイロセンサなどの電子機器として振動子が広く使用されている。電子機器の小型化や高性能化に伴い、振動子も、小型化及び高性能化が求められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、基部と、基部から延出する振動腕部と、基部に接続された連結部及び連結部に接続された保持部を有し連結部において括れている支持腕部と、一対の振動腕部に設けられた励振電極と、保持部に設けられた接続電極と、連結部に設けられ励振電極と接続電極とを電気的に接続する引出電極と、を備えている振動素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された振動素子では、振動素子を小型化しようとすると、支持腕部において電極が接近又は対向する。特に、電気抵抗を低減するために引出電極を広幅化しようとすると、引出電極間で発生する浮遊容量が増大し、実効抵抗Re(Re=R1×(1+C0/CL)、R1:等価直列抵抗、C0:浮遊容量、CL:負荷容量)が増大する恐れがある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は浮遊容量を低減できる振動素子および振動子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る振動素子は、基部と、基部から延出する第1振動腕部及び第2振動腕部と、基部から延出し、互いに対向する第1主面及び第2主面を有する支持腕部と、第1振動腕部及び第2振動腕部に設けられた第1励振電極及び第2励振電極と、支持腕部の第1主面に設けられた第1接続電極及び第2接続電極と、支持腕部の第1主面に設けられ、第1励振電極と第1接続電極とを電気的に接続する第1引出電極と、支持腕部の第2主面に設けられ、第2励振電極と第2接続電極とを電気的に接続する第2引出電極と、を備え、支持腕部の第1主面及び第2主面の少なくとも一方の主面には切欠き部が形成され、支持腕部の第1主面を平面視したとき、切欠き部は第1引出電極又は第2引出電極の一部と重なっている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、浮遊容量を低減できる振動素子および振動子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る音叉型水晶振動子の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した音叉型水晶振動子のII-II線に沿った断面の構成を概略的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る音叉型水晶振動素子の第1主面側の構成を概略的に示す平面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る音叉型水晶振動素子の第2主面側の構成を概略的に示す平面図である。
【
図5】
図5は、
図3に示した音叉型水晶振動素子のV-V線に沿った断面の構成を概略的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図3に示した音叉型水晶振動素子のVI-VI線に沿った断面の構成を概略的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図5に示した支持腕部の断面の構成を概略的に示す拡大断面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る支持腕部の構成を概略的に示す平面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る支持腕部の連結部の構成を概略的に示す断面図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る支持腕部の構成を概略的に示す平面図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態に係る支持腕部の連結部の構成を概略的に示す断面図である。
【
図12】
図12は、第4実施形態に係る支持腕部の構成を概略的に示す平面図である。
【
図13】
図13は、第4実施形態に係る支持腕部の連結部の構成を概略的に示す断面図である。
【
図14】
図14は、第5実施形態に係る支持腕部の連結部の構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。但し、第2実施形態以降において、第1実施形態と同一又は類似の構成要素は、第1実施形態と同一又は類似の符号で表し、詳細な説明を適宜省略する。また、第2実施形態以降の実施形態において得られる効果について、第1実施形態と同様のものについては説明を適宜省略する。各実施形態の図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本願発明の技術的範囲を当該実施形態に限定して解するべきではない。
【0011】
各々の図面には、各々の図面相互の関係を明確にし、各部材の位置関係を理解する助けとするために、便宜的に第1方向D1、第2方向D2、及び第3方向D3からなる直交座標系を付すことがある。第1方向D1、第2方向D2、及び第3方向D3とは、
図1に示す3つの基準となる方向を意味し、それぞれ正方向(矢印の方向)及び負方向(矢印とは反対の方向)を含むものとする。また、図中に示す第1方向D1、第2方向D2、及び第3方向D3は、例えばそれぞれ互いに直交する方向であるが、それぞれ互いに交差する方向であればこれに限定されるものではなく、互いに90°以外の角度で交差する方向であってもよい。
【0012】
以下の説明において、圧電振動子(Piezoelctric Resonator Unit)の一例として、水晶振動素子(Quartz Crystal Resonator)を備えた水晶振動子(Quartz Crystal Resonator Unit)を例に挙げて説明する。水晶振動素子は、印加電圧に応じて振動する圧電体として、水晶によって形成された水晶片(Quartz Crystal Element)を利用するものである。水晶振動子は振動子の一例に相当し、水晶振動素子は振動素子の一例に相当し、水晶片は振動基板の一例に相当する。
【0013】
なお、本発明の実施形態に係る振動基板は水晶片に限定されるものではない。振動基板は、圧電単結晶、圧電セラミック、圧電薄膜、圧電高分子膜、などの任意の圧電材料によって形成された圧電片であってもよい。一例として、圧電単結晶は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)を挙げることができる。同様に、圧電セラミックは、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(ZrxTi1-x)O3;PZT)、窒化アルミニウム(AlN)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、メタニオブ酸リチウム(LiNb2O6)、チタン酸ビスマス(Bi4Ti3O12)タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)、ランガサイト(La3Ga5SiO14)、五酸化タンタル(Ta2O5)、などを挙げることができる。圧電薄膜は、石英、サファイアなどの基板上に上記の圧電セラミックをスパッタリング法などによって成膜したものを挙げることができる。圧電高分子膜は、ポリ乳酸(PLA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン/三フッ化エチレン(VDF/TrFE)共重合体、などを挙げることができる。上記の各種圧電材料は、互いに積層して用いられてもよく、他の部材に積層されてもよい。また、本発明の実施形態に係る振動素子は、圧電振動素子に限定されるものではない。このとき、振動基板は、圧電性を有しない絶縁性材料又は圧電性の小さい絶縁性材料によって形成されてもよく、半導体材料、導電性材料、などによって形成されてもよい。
【0014】
<第1実施形態>
まず、
図1から
図6を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る音叉型水晶振動子(Tuning-Fork Quartz Crystal Resonator Unit)1の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る音叉型水晶振動子の構成を概略的に示す分解斜視図である。
図2は、
図1に示した音叉型水晶振動子のII-II線に沿った断面の構成を概略的に示す断面図である。
図3は、第1実施形態に係る音叉型水晶振動素子の第1主面側の構成を概略的に示す平面図である。
図4は、第1実施形態に係る音叉型水晶振動素子の第2主面側の構成を概略的に示す平面図である。
図5は、
図3に示した音叉型水晶振動素子のV-V線に沿った断面の構成を概略的に示す断面図である。
図6は、
図3に示した音叉型水晶振動素子のVI-VI線に沿った断面の構成を概略的に示す断面図である。
図7は、
図5に示した支持腕部の断面の構成を概略的に示す拡大断面図である。なお、
図1及び
図2において、音叉型水晶振動素子10に備えられる励振電極、接続電極、引出電極、などの電極群については、一部又は全部の図示を省略している。
【0015】
音叉型水晶振動子1は、圧電振動子の一種であり、振動子の一例に相当する。
図1に示すように、音叉型水晶振動子1は、音叉型水晶振動素子10と、蓋部材20と、ベース部材30と、接合部材40と、を備えている。音叉型水晶振動素子10は、振動素子の一種であり、圧電駆動型の振動素子に相当する。ベース部材30及び蓋部材20は、音叉型水晶振動素子10を収容するための保持器である。ここで図示した例では、蓋部材20は凹状、具体的には開口部を有する箱状、をなしており、ベース部材30は平板状をなしている。蓋部材20及びベース部材30の形状は、上記に限定されるものではなく、例えばベース部材が凹状をなしていてもよく、蓋部材及びベース部材の両方が互いに対向する側に開口部を有する凹状であってもよい。
【0016】
音叉型水晶振動素子10は、水晶片11、第1励振電極82a、第2励振電極82b、第1引出電極84a、第2引出電極84b、第1接続電極86a、及び第2接続電極86bを備えている。水晶片11は、X軸、Y´軸、及びZ´軸からなる直交座標系において、X軸及びY´軸によって特定される面と平行な面(以下、「XY´面」と呼ぶ。他の軸又は他の方向によって特定される面についても同様である。)が主面となり、Z´軸と平行な方向が厚さとなるように、例えば人工水晶(Synthetic Quartz Crystal)のインゴットを切断及び研磨加工して水晶基板とし、当該水晶基板を音叉型に加工したものである。水晶片11は、振動基板の一種であり、圧電効果によって励振される圧電片の一例に相当する。
【0017】
なお、Y´軸は、X軸を回転軸としたとき、Y軸を、+Y側をZ軸の+側に傾けるように回転させてなる軸である。Z´軸は、Z軸を、+Z側をY軸の-側に傾けるように回転させてなる軸である。X軸、Y軸、及びZ軸は、それぞれ水晶の結晶軸であり、X軸が電気軸(極性軸)、Y軸が機械軸、Z軸が光学軸に相当する。なお、温度変化による共振周波数変化を小さくする観点から、前記回転させる傾きは-5度以上15度以下の範囲で行われるものとする。したがって、本発明の実施形態においては、Y´軸及びZ´軸がそれぞれY軸及びZ軸となる構成も含むものとする。
【0018】
第1実施形態において、音叉型水晶振動素子10は、Y´軸が第1方向D1と平行となり、X軸が第2方向D2と平行となり、Z´軸が第3方向D3と平行となるように定めた。以下において、X軸、Y´軸、及びZ´軸と平行な方向を、それぞれ、X軸方向、Y´軸方向、及びZ´軸方向と呼称する。さらに、X軸方向においては、+X軸方向を第2方向D2の正方向とし、-X軸方向を第2方向D2の負方向とする。同様に、Y´軸方向においては、+Y´軸方向を第1方向D1の正方向とし、-Y´軸方向を第1方向D1の負方向とする。Z´軸方向においては、+Z´軸方向を第3方向D3の正方向とし、-Z´軸方向を第3方向D3の負方向とする。
【0019】
図1に示すように、水晶片11は、基部50と、第1振動腕部60aと、第2振動腕部60bと、支持腕部70とを有している。
図2に示すように、水晶片11は、互いに対向する第1主面12A及び第2主面12Bを有している。第1主面12Aは、ベース部材30側に位置し、第2主面12Bは、蓋部材20側に位置している。
【0020】
まず、基部50について説明する。
基部50は、水晶片11の-Y´軸方向(第1方向D1負方向)側の端部において、略平板状に設けられている。基部50は、第1振動腕部60a、第2振動腕部60b、及び支持腕部70を連結している。基部50のY´軸方向に沿った長さは、例えば、50μm以上300μm以下である。
【0021】
次に、第1振動腕部60a及び第2振動腕部60bについて説明する。
第1振動腕部60a及び第2振動腕部60bは、基部50から+Y´軸方向(第1方向D1正方向)に延出している。一対の第1振動腕部60a及び第2振動腕部60bは並んでおり、第1振動腕部60aは、第2振動腕部60bの+X軸方向(第2方向D2正方向)側に設けられている。
図3及び
図4に示すように、第1振動腕部60aは、腕部62a及び錘部64aを有し、第2振動腕部60bは、腕部62b及び錘部64bを有している。腕部62a及び腕部62bは基部50に接続されており、錘部64a及び錘部64bはそれぞれ腕部62a及び腕部62bに接続されている。つまり、水晶片11の第1主面12Aを平面視したとき、水晶片11の外形は、基部50と一対の第1振動腕部60a及び第2振動腕部60bとによって、略U字状に設けられている。
【0022】
第1振動腕部60aの腕部62aには、第1主面12A側及び第2主面12B側に開口する有底の溝部63aが形成されている。第2振動腕部60bの腕部62bには、第1主面12A側及び第2主面12B側に開口する有底の溝部63bが形成されている。溝部63a及び溝部63bは、Y´軸方向(第1方向D1)に沿って延在している。
図3及び
図4に示すように、溝部63aの先端は、腕部62aと錘部64aとの境界に位置し、溝部63aの基端は、基部50と腕部62aとの境界に位置している。溝部63bの先端及び基端も同様である。腕部62a及び腕部62bは、
図5及び
図6に示すように、略H字状の断面形状を有している。このように溝部63a及び溝部63bを設けることで、音叉型水晶振動素子10では、第1振動腕部60a及び第2振動腕部60bの動きやすさが向上され、第1振動腕部60a及び第2振動腕部60bから基部50への振動漏れが抑制できる。また、音叉型水晶振動素子10では、等価直列抵抗、CI(Crystal Impedance)値が小さくでき、消費電力が低減できる。なお、溝部63a及び溝部63bの長さは特に限定されるものではなく、それぞれ、錘部64a及び錘部64bにも形成されてもよく、基部50にも形成されてもよい。
【0023】
第1振動腕部60aの錘部64aは、略平板状の形状を有している。
図3及び
図4に示すように、錘部64aのX軸方向(第2方向D2)に沿った幅W1は、腕部62aのX軸方向(第2方向D2)に沿った幅W2よりも大きい。幅W2に対する幅W1の比(W1/W2)は、2以上10以下であることが望ましく、5以上7以下であることがさらに望ましい。第2振動腕部60bの錘部64bについても同様である。これにより、音叉型水晶振動素子10では、屈曲振動する水晶振動素子の圧縮部と伸張部との間で発生する熱伝導により生じる振動エネルギの損失などに起因する熱弾性損失が低減され、さらに錘部64a及び錘部64bの捻じれなどに起因する振動漏れが抑制できる。
【0024】
なお、錘部は、それぞれ、腕部よりも単位長さ当たりの質量が大きければ、その形状を上記に限定されるものではない。例えば、錘部は、腕部の幅と同じ大きさの幅を有しており、腕部よりも厚い形状であってもよい。また、錘部は、錘部に該当する振動腕の表面や、凹部を形成してそこに金などの金属を設けることによって構成されていてもよい。さらに、錘部は、腕部よりも質量密度の高い物質から構成されていてもよい。
【0025】
次に、支持腕部70について説明する。
支持腕部70は、基部50から+Y´軸方向(第1方向D1正方向)に延出しており、第1振動腕部60aと第2振動腕部60bとの間に設けられている。支持腕部70、第1振動腕部60a、及び第2振動腕部60bは、X軸方向に沿って互いに並んでいる。支持腕部70のY´軸方向に沿った長さは、第1振動腕部60a及び第2振動腕部60bのY´軸方向に沿った長さよりも小さい。
図3及び
図4に示すように、支持腕部70の先端は、錘部64a及び錘部64bよりも基部50側に位置している。これによれば、音叉型水晶振動素子10では、錘部64a,64bが支持腕部70に接触することに起因した振動特性の劣化が抑制できる。
【0026】
支持腕部70は、保持部74と、基部50と保持部74とを連結する連結部72と、を有している。支持腕部70は、Z´軸方向(第3方向D3)で互いに対向する主面70A及び主面70Bを有している。主面70Aは、水晶片11の第1主面12Aの一部に相当し、主面70Bは、水晶片11の第2主面12Bの一部に相当する。主面70A及び主面70Bは、連結部72及び保持部74に亘って設けられている。支持腕部70の主面70Aを平面視したとき、連結部72及び保持部74はY´軸方向(第1方向D1)に並んでいる。そして、連結部72は、主面70A及び主面70Bの少なくとも一方の主面が括れている部分である。
【0027】
図6に示すように、支持腕部70の保持部74は、主面70Aと主面70Bとを繋ぐ互いに対向する側面74C及び側面74Dを有している。側面74Cは第1振動腕部60a側に設けられ、側面74Dは第2振動腕部60b側に設けられている。支持腕部70の主面70Aを平面視したとき、主面70Aの側面74C側の端部は、主面74Bの側面74C側の端部と重なっている。また、主面70Aの側面74D側の端部は、主面74Bの側面74D側の端部と重なっている。
【0028】
図5に示すように、支持腕部70の連結部72は、主面70Bに切欠き部71a及び切欠き部71bが形成されている。切欠き部71a及び切欠き部71bは、支持腕部70の主面70Bを平面視したとき、主面70Aと重なっている。支持腕部70の主面70Bを平面視したとき、保持部74では、主面70Aの端部と主面70Bの端部が重なっている。連結部72では、主面70Bの端部が主面70Aの内側に設けられている。
【0029】
これによれば、主面を平面視したときに連結部が括れている構成と比較して、音叉型水晶振動素子10の連結部72における主面70Aの幅が広げられる。つまり、音叉型水晶振動素子10の主面70Aに設けられる第1引出電極84aの配置設計の自由度が高くできる。これにより、主面70Aに設けられる第1引出電極84aと、主面70Bに設けられる第2引出電極84bとの間の距離の大きい配置設計を用いることができる。また、第1引出電極84aと第2引出電極84bとの対向面積の小さな音叉型水晶振動素子10が得られる。したがって、音叉型水晶振動素子10の引出電極間に発生する浮遊容量が低減できるため、引出電極の実効抵抗が低減できる。
【0030】
なお、切欠き部71a及び切欠き部71bが音叉型水晶振動素子10の連結部72に形成されることによって、第1振動腕部60a及び第2振動腕部60bから連結部72を介して保持部74に漏れる屈曲振動が抑制できる。
【0031】
以上のことから、振動漏れが低減し、かつ実効抵抗が低減することにより、音叉型水晶振動素子10の消費電力が低減できる。また、主面70Bを平面視したときに連結部72が括れている従来の構成と比較して、音叉型水晶振動素子10における支持腕部70の機械的強度が向上できる。例えば、落下などの衝撃によって支持腕部70に負荷がかかったときに、連結部72の損傷の発生が低減される。
【0032】
切欠き部71a及び切欠き部71bは、主面70Bの両端部に形成されている。つまり、支持腕部70の主面70Bを平面視したとき、連結部72では、主面70Bの両端部が主面70Aの内側に設けられている。言い換えると、切欠き部71aは、主面70B及び側面72Cに開口し、切欠き部71bは、主面70B及び側面72Dに開口している。側面72Cは、連結部72の第1振動腕部60a側の面であり、主面70Aと繋がっている。側面72Dは、連結部72の第2振動腕部60b側の面であり、主面70Aと繋がっている。側面72C及び側面74Cは、同じ方向に延在し、X軸方向(第1方向D1)において隣接している。側面72D及び側面74Dは、同じ方向に延在し、X軸方向(第1方向D1)において隣接している。
【0033】
これによれば、音叉型水晶振動素子10の構成は、1つだけ切欠き部が形成される構成より、振動漏れが効果的に低減できる。また、音叉型水晶振動素子10の構成は、一方の端部に切欠き部が形成される構成より、支持腕部70の機械的強度のアンバランスが解消できる。つまり、支持腕部70の第1振動腕部60a側への変位に対する機械的強度と、第2振動腕部60b側への変位に対する機械的強度とのバランスが容易に調整できる。
【0034】
支持腕部70の主面70Aには切欠き部が形成されていない。
図5に示すように、支持腕部70の連結部72において、主面70Aは、側面72Cと共に凸状の角部を形成し、側面72Dと共に凸状の角部を形成している。
図7に示すように、切欠き部71aは、内面71aA及び内面71aDを有している。内面71aAは、側面72Cに繋がり、主面70Bと平行な方向に沿って延在している。内面71aDは、主面70Bと内面71aAとを繋ぎ、側面72Cと平行な方向に沿って延在している。同様に、切欠き部71bは、内面71bA及び内面71bCを有している。内面71bAは、側面72Dに繋がり、主面70Bと平行な方向に沿って延在している。内面71bCは、主面70Bと内面71bAとを繋ぎ、側面72Dと平行な方向に沿って延在している。支持腕部70の主面70Bを平面視したとき、内面71aA及び内面71bAは主面70Aと重なっており、内面71aD及び内面71bCは主面70Aの内側に設けられている。
【0035】
切欠き部71aの内面71aA及び内面71aD、並びに切欠き部71bの内面71bA及び内面71bCは、露出しており、導電性材料が設けられていない。これによれば、引出電極と他の導電性材料との間に発生する浮遊容量が低減できる。
【0036】
先端部である保持部74と基端部である連結部72とで主面の幅を比較すると、連結部72の主面70Bの幅は保持部74の主面70Bの幅よりも小さいが、連結部72の主面70Aの幅は保持部74の主面70Aの幅と略等しい。保持部74の主面70Aの幅は保持部74の主面70Bの幅と略等しく、連結部72の主面70Aの幅は連結部72の主面70Bの幅よりも大きい。なお、ここでいう「幅」とはX軸方向に沿った幅である。保持部74の主面70Aの幅は側面74Cと側面74Dとの間の最小距離に相当し、保持部74の主面70Bの幅も同様である。連結部72の主面70Aの幅は側面72Cと側面72Dとの最小距離に相当し、連結部72の主面70Bの幅は内面71bCと内面71aDとの間の最小距離に相当する。
【0037】
主面70Aの幅が保持部74と連結部72とで略等しいことによって、主面70Aに設けられる第1引出電極84aの配置設計の自由度が高くできる。保持部74の主面70Bの幅が連結部72の主面70Bの幅よりも小さいことによって、音叉型水晶振動素子10では、振動漏れが低減し、且つ実効抵抗が低減できる。これにより、音叉型水晶振動素子10の消費電力が低減できる。また、音叉型水晶振動素子10では、支持腕部70の機械的強度が高くできる。保持部74の主面70Aの幅が連結部72の主面70Bの幅よりも大きいことによって、音叉型水晶振動子1では、音叉型水晶振動素子10のベース部材30との接合面積が大きくできる。したがって、音叉型水晶振動素子10とベース部材30との接合強度が向上することにより、音叉型水晶振動素子10がベース部材30に安定して実装できるようになる。
【0038】
なお、上記においては、主面70Bの両端部に2つの切欠き部71a,71bが形成された構成例について説明したが、切欠き部の構成は上記に限定されるものではない。切欠き部は1つであってもよく、3つであってもよい。また、切欠き部は、第1主面及び第2主面の両方に形成されてもよい。
【0039】
次に、第1励振電極82a及び第2励振電極82bについて説明する。
第1励振電極82a及び第2励振電極82bは、供給された印加電圧によって第1振動腕部60a及び第2振動腕部60b中に電場を形成し、圧電効果によって第1振動腕部60a及び第2振動腕部60bを励振させる。
【0040】
第1励振電極82a及び第2励振電極82bは、
図3及び
図4に示すように、第1振動腕部60a及び第2振動腕部60bに設けられている。
図5及び
図6に示すように、第1振動腕部60aの腕部62aにおいて、第1励振電極82aは、溝部63aの内部における腕部62aの表面に設けられている。また、第2励振電極82bは、X軸方向(第2方向D2)において第1励振電極82aと対向するように、腕部62aの外側の側面に設けられている。第2振動腕部60bの腕部62bでは、第2励振電極82bが溝部63bの内部における腕部62bの表面に設けられ、第1励振電極82aが腕部62bの外側の側面に設けられている。また、
図3及び
図4に示すように、第1振動腕部60aの錘部64aの第1主面12A及び第2主面12Bには、第2励振電極82bが設けられている。第2振動腕部60bの錘部64bの第1主面12A及び第2主面12Bには、第1励振電極82aが設けられている。
【0041】
次に、第1引出電極84a及び第2引出電極84bについて説明する。
第1引出電極84aは、第1振動腕部60aに設けられた第1励振電極82aと、第2振動腕部60bに設けられた第1励振電極82aと、を電気的に接続している。さらに、第1引出電極84aは、第1励振電極82aと第1接続電極86aとを電気的に接続している。第2引出電極84bは、第1振動腕部60aに設けられた第2励振電極82bと、第2振動腕部60bに設けられた第2励振電極82bと、を電気的に接続している。さらに、第2引出電極84bは、音叉型水晶振動素子10の表裏主面を結ぶ表裏導通電極を介して、第2励振電極82bと第2接続電極86bとを電気的に接続している。なお、図示しないが、表裏導通電極は音叉型水晶振動素子10の表裏主面を結ぶ側面に設けられている。
【0042】
第1引出電極84a及び第2引出電極84bは、基部50及び支持腕部70に設けられている。基部50において、第1引出電極84a及び第2引出電極84bは、第1主面12A側及び第2主面12B側の両方に設けられている。支持腕部70において、第1引出電極84aは第1主面12A(主面70A)側に設けられ、第2引出電極84bは、第2主面12B(主面70B)側に設けられている。
【0043】
支持腕部70の主面70Aを平面視したとき、第1引出電極84aの一部が、連結部72において切欠き部71a、71bと重なっている。これによれば、第1引出電極84aと第2引出電極84bとの間の誘電率が低減できる。したがって、音叉型水晶振動素子10の引出電極間に発生する浮遊容量が低減できる。
【0044】
図3及び
図6に示すように、第1引出電極84aは、基部50から支持腕部70に向かう位置で2本に分岐し、保持部74の第1接続電極86aに向かって並行して延出している。
図7に示すように、第1引出電極84aは、連結部72において、Y´軸方向に沿って並行する分岐部84a-1及び分岐部84a-2を有している。支持腕部70の主面70Aを平面視したとき、分岐部84a-1及び分岐部84a-2は、X軸方向に互いに離れている。これによれば、音叉型水晶振動素子10の引出電極の配置設計の自由度が高くできる。したがって、音叉型水晶振動素子10では、第1引出電極84aと第2引出電極84bとの対向面積が小さくなるように第1引出電極84aを配置できる。また、音叉型水晶振動素子10では、第1引出電極84aと第2引出電極84bとの間の距離が増大するように第2引出電極84bを配置できる。つまり、音叉型水晶振動素子10の引出電極間に発生する浮遊容量が低減できる。
【0045】
支持腕部70の主面70Aを平面視したとき、分岐部84a-1は切欠き部71aに重なり、分岐部84a-2は切欠き部71bに重なっている。つまり、分岐部84a-1は内面71aAと重なり、分岐部84a-2は内面71bAと重なっている。これによれば、第1引出電極84aと第2引出電極84bとの間の誘電率が低減できる。したがって、音叉型水晶振動素子10の引出電極間に発生する浮遊容量が低減できる。
【0046】
分岐部84a-1のX軸方向に沿った幅は、第2引出電極84bのX軸方向に沿った幅よりも小さい。同様に、分岐部84a-2のX軸方向に沿った幅は、第2引出電極84bのX軸方向に沿った幅よりも小さい。分岐部84a-1のX軸方向に沿った幅と分岐部84a-2のX軸方向に沿った幅との合計は、第2引出電極84bのX軸方向に沿った幅と略同等か、それ以上の大きさである。これによれば、音叉型水晶振動素子10の引出電極間に発生する浮遊容量が低減し、かつ第1励振電極82aと第1接続電極86aとの間の電気抵抗が低減できる。
【0047】
図7に示すように、支持腕部70の基部50からの延出方向と直交する断面視において、第1引出電極84aと第2引出電極84bは、切欠き部71a及び切欠き部71bを挟んで対向している。具体的には、分岐部84a-1は、+Z´軸方向が-X軸方向側に傾いた方向において、切欠き部71aを挟んで第2引出電極84bと対向している。分岐部84a-2は、+Z´軸方向が+X軸方向側に傾いた方向において、切欠き部71bを挟んで第2引出電極84bと対向している。
【0048】
言い換えると、分岐部84a-1と第2引出電極84bとの間の領域SP1にまで、切欠き部71aの内面71aA及び内面71aDが延在している。分岐部84a-2と第2引出電極84bとの間の領域SP2にまで、切欠き部71bの内面71bA及び内面71bCが延在している。なお、領域SP1は、分岐部84a-1及び第2引出電極84bそれぞれの側面72C側の端部同士を繋ぐ仮想線と、側面72D側の端部同士を繋ぐ仮想線と、に挟まれた領域である。領域SP2は、分岐部84a-2及び第2引出電極84bそれぞれの側面72C側の端部同士を繋ぐ仮想線と、側面72D側の端部同士を繋ぐ仮想線と、に挟まれた領域である。
【0049】
これによれば、第1引出電極84aと第2引出電極84bとの間の誘電率が低減できる。したがって、音叉型水晶振動素子10の引出電極間に発生する浮遊容量が低減できる。
【0050】
図4及び
図5に示すように、第2引出電極84bのX軸方向(第2方向D2)に沿った幅は、連結部72の主面70BのX軸方向(第2方向D2)に沿った幅と略等しい。そして、第2引出電極84bは、支持腕部70の延出方向であるY´軸方向(第1方向D1)に沿って略直線状に設けられている。支持腕部70の主面70Bを平面視したとき、連結部72において、第2引出電極84bは、第1引出電極84aの外側に設けられており、分岐部84a-1と分岐部84a-2とに挟まれている。
【0051】
次に、第1接続電極86a及び第2接続電極86bについて説明する。
第1接続電極86a及び第2接続電極86bに、印加電位が互いに異なる一対の駆動信号が、外部から供給される。一方の駆動信号は、第1接続電極86aから第1引出電極84aを通して第1励振電極82aに供給される。当該一方の駆動信号と対を成す他方の駆動信号は、第2接続電極86bから第2引出電極84bを通して第2励振電極82bに供給される。
【0052】
第1接続電極86a及び第2接続電極86bは、支持腕部70の主面70A(第1主面12A)に設けられている。第1接続電極86a及び第2接続電極86bは、支持腕部70の保持部74に設けられている。第1接続電極86a及び第2接続電極86bは、Y´軸方向(第1方向D1)に沿って並んでいる。第1接続電極86aは、保持部74の基端部、すなわち支持腕部70の基部50側に位置している。第2接続電極86bは、振動腕部60a,60bの錘部64a,64b側にある保持部74の先端部に位置している。支持腕部70の主面70Aを平面視したとき、第1接続電極86aが、第2接続電極86bと基部50との間に位置している。
【0053】
図6に示すように、第1接続電極86aのX軸方向(第2方向D2)に沿った幅は、支持腕部70における第1引出電極84aのX軸方向(第2方向D2)に沿った幅より大きい。第1接続電極86aのX軸方向(第2方向D2)に沿った幅は、保持部74のX軸方向(第2方向D2)に沿った幅と略等しい。第2接続電極86bのX軸方向(第2方向D2)に沿った幅は、支持腕部70における第2引出電極84bのX軸方向(第2方向D2)に沿った幅より大きい。第2接続電極86bのX軸方向(第2方向D2)に沿った幅は、保持部74のX軸方向(第2方向D2)に沿った幅と略等しい。例えば、第1接続電極86a及び第2接続電極86bは、第1主面12Aを平面視したとき、略四角形状である。このように、第1接続電極86a及び第2接続電極86bを第1引出電極84a及び第2引出電極84bよりも幅広に形成することで、音叉型水晶振動素子10が小型化したとしても、音叉型水晶振動素子10と、後述する導電性保持部材36a,36bとの接合面積の低減が抑制できる。すなわち、音叉型水晶振動子1の小型化にともなって発生する、ベース部材30に対する音叉型水晶振動素子10の接合強度の低下が抑制される。また、音叉型水晶振動素子10とベース部材30との電気的接続の安定性が増加する。
【0054】
なお、第1接続電極及び第2接続電極は、支持腕部の主面から側面に亘って延在してもよい。これによれば、音叉型水晶振動子は、音叉型水晶振動素子のベース部材との接合強度がさらに向上して、音叉型水晶振動素子とベース部材との電気的接続の安定性がさらに増加する。
【0055】
次に、蓋部材20について説明する。
蓋部材20の形状は、凹状をなしており、ベース部材30の第3主面32Aに向かって開口した箱状である。ベース部材30に接合されて蓋部材20及びベース部材30に囲まれた内部空間26が蓋部材20に設けられる。この内部空間26に音叉型水晶振動素子10が収容される。蓋部材20の形状は、例えば、第1方向D1に平行な長辺と、第2方向D2に平行な短辺と、第3方向D3に平行な高さとで定義される。蓋部材20の材質は特に限定されるものではないが、例えば金属などの導電性材料で構成される。導電性材料を含むことで、蓋部材20の内部空間26へ出入りする電磁波の少なくとも一部を遮蔽できる電磁シールド機能が得られる。
【0056】
蓋部材20は、ベース部材30の第3主面32Aに対向する天面部21と、天面部21の外縁に接続されており且つ天面部21の主面に対して交差する方向に延在する側壁部22と、を有する。蓋部材20の形状は、音叉型水晶振動素子10を収容できれば特に限定されず、例えば、天面部21の主面の法線方向から平面視したときに略矩形状をなしている。
図2に示すように、蓋部材20は、内面24及び外面25を有している。内面24は、内部空間26側の面であり、外面25は、内面24とは反対側の面である。また、蓋部材20は、凹状の開口端部(側壁部22のベース部材30に近い側の端部)においてベース部材30の第3主面32Aに対向する対向面23を有する。この対向面23は、音叉型水晶振動素子10の周囲を囲むように枠状に延在している。
【0057】
次に、ベース部材30について説明する。
ベース部材30は、音叉型水晶振動素子10を励振可能に保持するものである。ベース部材30は平板状をなしている。ベース部材30は、第1方向D1方向に平行な長辺と、第2方向D2に平行な短辺と、第3方向D3に平行な厚さとを有する。ベース部材30は基体31を有する。基体31は、互いに対向する第3主面32A(表面)及び第4主面32B(裏面)を有する。基体31は、絶縁性セラミックなどの焼結材である。具体的には、基体31にアルミナの焼結材を用いる。基体31は耐熱性材料から構成されることが好ましい。
【0058】
ベース部材30は、第3主面32Aに設けられた第1電極パッド33a及び第2電極パッド33bと、第4主面32Bに設けられた第1外部電極35a及び第2外部電極35bと、を有する。第1電極パッド33a及び第2電極パッド33bは、ベース部材30と音叉型水晶振動素子10とを電気的に接続するための端子である。また、第1外部電極35a及び第2外部電極35bは、図示しない回路基板と音叉型水晶振動子1とを電気的に接続するための端子である。第1電極パッド33a及び第2電極パッド33bは、第1方向D1に沿って並んでいる。第1外部電極35a及び第2外部電極35bは、第1方向D1に沿って並んでいる。第1電極パッド33aは、第3方向D3に延在する第1ビア電極34aを介して第1外部電極35aに電気的に接続され、第1方向D1に沿って延在している。第2電極パッド33bは、第3方向D3に延在する第2ビア電極34bを介して第2外部電極35bに電気的に接続され、第1方向D1に沿って延在している。第1ビア電極34a及び第2ビア電極34bは、基体31を第3方向D3に貫通するビアホール内に形成される。なお、ベース部材30の第4主面32B側には、外部電極として、電気信号等が入出力されないダミー電極、蓋部材20に接地電位を供給して蓋部材20の電磁シールド機能を向上させる接地電極、等が設けられてもよい。
【0059】
次に、第1導電性保持部材36a及び第2導電性保持部材36bについて説明する。
第1導電性保持部材36a及び第2導電性保持部材36bは、ベース部材30の第3主面32Aと支持腕部70の主面70Aとの間に設けられている。第1導電性保持部材36aは、第1接続電極86aと第1電極パッド33aとを電気的に接続している。第2導電性保持部材36bは、第2接続電極86bと第2電極パッド33bとを電気的に接続している。また、第1導電性保持部材36a及び第2導電性保持部材36bは、第1振動腕部60a及び第2振動腕部60bが励振可能となるように、ベース部材30から間隔を空けて音叉型水晶振動素子10を保持している。第1導電性保持部材36a及び第2導電性保持部材36bは、例えば、エポキシ系樹脂あるいはシリコーン系樹脂を主剤とする熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂等を含む導電性接着剤によって構成されており、接着剤に導電性を与えるための導電性粒子、などの添加剤を含んでいる。第1導電性保持部材36a及び第2導電性保持部材36bは、前駆体である導電性接着剤ペーストが塗布された後に、加熱、紫外線照射などによって引き起こされる化学反応によって導電性接着剤ペーストを硬化させて設けられる。さらに、強度を増加させる目的、あるいはベース部材30と音叉型水晶振動素子10との間隔を保つ目的で、第1導電性保持部材36a及び第2導電性保持部材36bにフィラーが添加されてもよい。当該フィラーは、セラミックス、樹脂などによって形成された球状フィラーや繊維状フィラーであり、例えば導電性粒子よりも大きい。また、当該フィラーは、導電性を有してもよく、例えば金属フィラーである。なお、第1導電性保持部材36a及び第2導電性保持部材36bが、金属半田によって設けられてもよい。
【0060】
次に、封止部材37及び接合部材40について説明する。
封止部材37は、ベース部材30の第3主面32Aに設けられている。
図1に示す例では、封止部材37の形状が、第3主面32Aを平面視したときに矩形の枠状である。また、第3主面32Aを平面視したときに、封止部材37が音叉型水晶振動素子10を囲むように設けられており、第1電極パッド33a及び第2電極パッド33bが封止部材37の内側に配置されている。封止部材37は、導電性材料により構成されている。例えば、封止部材37の材料が第1電極パッド33a及び第2電極パッド33bと同じ材料で構成され、封止部材37の形成工程が第1電極パッド33a及び第2電極パッド33bの形成工程と同時に実施される。これにより、製造工程の簡略化が図れる。
【0061】
接合部材40は、蓋部材20及びベース部材30の各全周に亘って設けられている。具体的には、接合部材40は封止部材37上に設けられ、矩形の枠状に形成されている。封止部材37及び接合部材40は、蓋部材20の側壁部22の対向面23と、ベース部材30の第3主面32Aと、の間に挟まれる。
【0062】
蓋部材20及びベース部材30の両者が封止部材37及び接合部材40を挟んで接合されることによって、音叉型水晶振動素子10が、蓋部材20とベース部材30とによって囲まれた内部空間(キャビティ)26に封止される。内部空間26は、気圧が大気圧よりも低圧であることが好ましく、真空状態であることが更に好ましい。これによれば、第1励振電極82a及び第2励振電極82bなどの電極群の酸化を抑制することができる。したがって、音叉型水晶振動子1は、励振電極の厚みや質量の変化に起因した周波数特性の経時的な変動、引出電極の電気抵抗の増大に起因した消費電力の増加及び信号の遅延、などの動作不良の発生を低減できる。なお、封止部材は不連続な枠状に設けられていてもよく、接合部材は不連続な枠状に設けられていてもよい。
【0063】
次に、音叉型水晶振動素子10の動作について説明する。
駆動信号(交番電圧)が音叉型水晶振動素子10に電界を生じさせる。駆動信号は、外部から第1接続電極86a及び第2接続電極86bを介して第1励振電極82a及び第2励振電極82bに印加される。そして、水晶片11の圧電効果によって、第1振動腕部60a及び第2振動腕部60bの根元部を支点として、第1振動腕部60a及び第2振動腕部60bに
図3及び
図4に示す矢印A方向と矢印B方向とに交互に撓むように変位する屈曲振動が発生する。矢印A方向は、第1振動腕部60a及び第2振動腕部60bが互いに離れる方向であり、矢印B方向は、第1振動腕部60a及び第2振動腕部60bが互いに近づく方向である。すなわち、音叉型水晶振動素子10の第1振動腕部60a及び第2振動腕部60bが、X軸方向において逆相の屈曲振動モードで振動する。
【0064】
なお、音叉型水晶振動素子10は、逆相の屈曲振動モードを主振動とするが、同相の屈曲振動モードでも振動し得る。当該同相の屈曲振動モードは、第1振動腕部60a及び第2振動腕部60bが同時に+X軸方向に変位し、次に-X軸方向に変位することを順次繰り返す屈曲振動モードである。当該逆相の屈曲振動モードは、第1振動腕部60a及び第2振動腕部60bの一方が+X軸方向に変位し且つ他方が-X軸方向に変位し、次に一方が-X軸方向に変位し且つ他方が+X軸方向に変位することを順次繰り返す屈曲振動モードである。音叉型水晶振動素子10では、逆相の屈曲振動モードの周波数と同相の屈曲振動モードの周波数とが、望ましくは離れている。これによれば、音叉型水晶振動素子10において、同相の屈曲振動モードと逆相の屈曲振動モードとの結合が抑制できる。つまり、音叉型水晶振動素子10の同相の屈曲振動モードの振動姿勢と逆相の屈曲振動モードの振動姿勢との混在が低減できる。
【0065】
なお、本発明の一実施形態に係る振動素子の振動(駆動)方式は、圧電駆動に限定されない。例えば、本発明の一実施形態に係る振動素子は、圧電基板を用いた圧電駆動型のもの以外に、静電気力を用いた静電駆動型や、磁力を利用したローレンツ駆動型などの振動素子であってもよい。
【0066】
以下に、本発明の他の実施形態に係る音叉型水晶振動素子の構成について説明する。なお、下記の実施形態では、上記の第1実施形態と共通の事柄については記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については逐次言及しない。また、第1実施形態と同様の符号が付された構成は、第1実施形態における構成と同様の構成及び機能を有するものとする。
【0067】
<第2実施形態>
図8及び
図9を参照しつつ、第2実施形態に係る音叉型水晶振動素子の支持腕部270の構成について説明する。
図8は、第2実施形態に係る支持腕部の構成を概略的に示す平面図である。
図9は、第2実施形態に係る支持腕部の連結部の構成を概略的に示す断面図である。
【0068】
第2実施形態に係る音叉型水晶振動素子の支持腕部270は、第1実施形態に係る音叉型水晶振動素子10と同様、保持部274及び連結部272を有しており、保持部274及び連結部272に亘って設けられた主面270A及び主面270Bを有している。保持部274は側面274C及び側面274Dを有し、連結部272は、側面272C及び側面272Dを有している。また、第2実施形態に係る音叉型水晶振動素子は、第1引出電極284a、第2引出電極284b、第1接続電極286a、及び第1接続電極286bを備えている。
【0069】
第2実施形態に係る音叉型水晶振動素子と第1実施形態に係る音叉型水晶振動素子10との相違点は、第1接続電極286a及び第1接続電極286bが設けられた主面270Aに切欠き部271c及び切欠き部271dが形成されている点である。なお、第2実施形態に係る音叉型水晶振動素子の支持腕部270には、主面270Bに切欠き部が形成されていない。
【0070】
図9に示すように、切欠き部271cは、主面270A及び側面272Cに開口し、内面271cB及び内面271cDを有している。内面271cBは、側面272Cに繋がり、主面270Aと平行な方向に沿って延在している。内面271cDは、主面270Aと内面271cBとを繋ぎ、側面272Cと平行な方向に沿って延在している。同様に、切欠き部271dは、主面270A及び側面272Dに開口し、内面271dB及び内面271dCを有している。内面271dBは、側面272Dに繋がり、主面270Aと平行な方向に沿って延在している。内面271dCは、主面270Aと内面271dBとを繋ぎ、側面272Dと平行な方向に沿って延在している。
【0071】
第1引出電極284aは、支持腕部270の主面270Aを平面視したとき、切欠き部271cと切欠き部271dとの間に設けられている。第2引出電極284bは、支持腕部270の主面270Bを平面視したとき、切欠き部271cに重なる分岐部284b-1と、切欠き部271dに重なる分岐部284b-2と、を有している。これによれば、第2実施形態に係る音叉型水晶振動素子は、第1実施形態に係る音叉型水晶振動素子10と同様の効果を得ることができる。また、屈曲及び分岐された第2引出電極284bに発生するインダクタンス成分の高い箇所が、ベース部材やベース部材が搭載される外部基板から遠ざけることができる。したがって、第2引出電極284bのインダクタンス成分の影響が低減できるため、音叉型水晶振動子の電気特性が安定する。
【0072】
<第3実施形態>
図10及び
図11を参照しつつ、第3実施形態に係る音叉型水晶振動素子の支持腕部370の構成について説明する。
図10は、第3実施形態に係る支持腕部の構成を概略的に示す平面図である。
図11は、第3実施形態に係る支持腕部の連結部の構成を概略的に示す断面図である。
【0073】
第3実施形態に係る音叉型水晶振動素子の支持腕部370は、第1実施形態に係る音叉型水晶振動素子10と同様、保持部374及び連結部372を有しており、保持部374及び連結部372に亘って設けられた主面370A及び主面370Bを有している。保持部374は側面374C及び側面374Dを有し、連結部372は、側面372C及び側面372Dを有している。また、第2実施形態に係る音叉型水晶振動素子は、第1引出電極384a、第2引出電極384b、第1接続電極386a、及び第1接続電極386bを備えている。
【0074】
第3実施形態に係る音叉型水晶振動素子と第1実施形態に係る音叉型水晶振動素子10との相違点は、第1接続電極386a及び第1接続電極386bが設けられた主面370Aに切欠き部371dが形成されている点である。なお、第3実施形態に係る音叉型水晶振動素子の支持腕部370は、主面270Aの側面372D側の端部には切欠き部が形成されていない。
【0075】
図11に示すように切欠き部371aは、主面370B及び側面372Cに開口し、切欠き部371dは、主面370A及び側面372Dに開口している。言い換えると、支持腕部370の基部からの延出方向と直交する断面視において、切欠き部371a,371dは、支持腕部370の対角部にそれぞれ形成されている。切欠き部371aは、内面371aA,371aDを有し、切欠き部371dは、内面371dB,371dCを有している。主面370Bを平面視したとき、切欠き部371dの内面371dCは主面370Bの内側に位置し、切欠き部371aの内面371aDは主面370Aの内側に位置している。言い換えると、支持腕部370の主面370Bを平面視したとき、連結部372において、主面370Aの一端部は主面370Bの内側に設けられ且つ主面370Aの他端部は主面370Bの外側に設けられている。
【0076】
第1引出電極384aは、主面370Aの側面372C側の端部に設けられ、主面370Aを平面視したときに切欠き部371aと重なっている。第2引出電極384bは、主面370Bの側面372D側の端部に設けられ、主面370Bを平面視したときに切欠き部371dと重なっている。これによれば、第1引出電極384aと第2引出電極384bとの間の距離が大きくできる。したがって、第3実施形態に係る音叉型水晶振動素子の引出電極間に発生する浮遊容量が低減できる。また、切欠き部が主面370A及び主面370Bの両方に形成されているため、第3実施形態に係る音叉型水晶振動素子の主面370Aを伝搬する振動と、主面370Bを伝搬する振動と、の両方が減衰させられる。したがって、音叉型水晶振動素子の振動漏れが効果的に低減できる。
【0077】
<第4実施形態>
図12及び
図13を参照しつつ、第4実施形態に係る音叉型水晶振動素子の支持腕部470の構成について説明する。
図12は、第4実施形態に係る支持腕部の構成を概略的に示す平面図である。
図13は、第4実施形態に係る支持腕部の連結部の構成を概略的に示す断面図である。
【0078】
第4実施形態に係る音叉型水晶振動素子の支持腕部470は、第1実施形態に係る音叉型水晶振動素子10と同様、保持部474及び連結部472を有しており、保持部474及び連結部472に亘って設けられた主面470A及び主面470Bを有している。保持部474は側面474C及び側面474Dを有し、連結部472は、側面472C及び側面472Dを有している。また、第2実施形態に係る音叉型水晶振動素子は、第1引出電極484a、第2引出電極484b、第1接続電極486a、及び第1接続電極486bを備えている。支持腕部470の連結部472には、切欠き部471a及び切欠き部471bが形成されている。
【0079】
第4実施形態に係る音叉型水晶振動素子と第1実施形態に係る音叉型水晶振動素子10との相違点は、主面470Aに開口する穴部473が支持腕部470に形成されている点である。
【0080】
図13に示すように、穴部473の形状は、有底の溝部である。穴部473は、第1引出電極484aの分岐部484a-1と分岐部484a-2との間に形成されている。支持腕部470の主面470Aを平面視したとき、穴部473は、第2引出電極484bと重なっている。また、穴部473は、切欠き部471aの一部と重なり、切欠き部471bの一部と重なっている。これによれば第1引出電極484aと第2引出電極484bとの間の誘電率が低減できる。したがって、第4実施形態に係る音叉型水晶振動素子の引出電極間に発生する浮遊容量が低減できる。
【0081】
<第5実施形態>
図14を参照しつつ、第5実施形態に係る音叉型水晶振動素子の支持腕部570の構成について説明する。
図15は、第5実施形態に係る支持腕部の連結部の構成を概略的に示す断面図である。
【0082】
第5実施形態に係る音叉型水晶振動素子の支持腕部570は、第1実施形態に係る音叉型水晶振動素子10と同様、保持部574及び連結部572を有しており、保持部574及び連結部572に亘って設けられた主面570A及び主面570Bを有している。保持部574は側面574C及び側面574Dを有し、連結部572は、側面572C及び側面572Dを有している。また、第2実施形態に係る音叉型水晶振動素子は、第1引出電極584a、第2引出電極584b、第1接続電極586a、及び第1接続電極586bを備えている。支持腕部570の連結部572には、切欠き部571a及び切欠き部571bが形成されている。
【0083】
第5実施形態に係る音叉型水晶振動素子と第1実施形態に係る音叉型水晶振動素子10との相違点は、切欠き部571a及び切欠き部571bが支持腕部570よりも比誘電率の小さい低誘電材料LK51によって埋められている点である。これによれば、切欠き部571a及び切欠き部571bの内部への導電性材料の侵入が阻害できる。したがって、第5実施形態に係る音叉型水晶振動素子では、引出電極と他の導電性材料との間に発生する浮遊容量が低減できる。また、切欠き部の内面が露出する構成と比較して、第5実施形態に係る音叉型水晶振動素子の支持腕部570の機械的強度が向上する。なお、第2引出電極584bの一部は、低誘電材料LK51の表面に延在していてもよい。
【0084】
<付記>
以下に、本発明の実施形態の一部又は全部を付記として記載する。なお、本発明は以下の付記に限定されるものではない。
【0085】
本発明の一態様によれば、基部と、基部から延出する第1振動腕部及び第2振動腕部と、基部から延出し、互いに対向する第1主面及び第2主面を有する支持腕部と、第1振動腕部及び第2振動腕部に設けられた第1励振電極及び第2励振電極と、支持腕部の第1主面に設けられた第1接続電極及び第2接続電極と、支持腕部の第1主面に設けられ、第1励振電極と第1接続電極とを電気的に接続する第1引出電極と、支持腕部の第2主面に設けられ、第2励振電極と第2接続電極とを電気的に接続する第2引出電極と、を備え、支持腕部の第1主面及び第2主面の少なくとも一方の主面には切欠き部が形成され、支持腕部の第1主面を平面視したとき、切欠き部は第1引出電極又は第2引出電極の一部と重なっている、振動素子が提供される。
【0086】
切欠き部は、支持腕部の基部からの延出方向に沿って延在する第2主面の両端部に形成されていてもよい。
【0087】
切欠き部は、支持腕部の基部からの延出方向に沿って延在する第1主面の両端部に形成されていてもよい。
【0088】
第1引出電極は、支持腕部の第1主面を平面視したとき、両端部の切欠き部にそれぞれ重なる2つの分岐部を有していてもよい。
【0089】
第2引出電極は、支持腕部の第2主面を平面視したとき、両端部の切欠き部にそれぞれ重なる2つの分岐部を有していてもよい。
【0090】
支持腕部の2つの分岐部が設けられた主面には、2つの分岐部の間に穴部が形成されていてもよい。
【0091】
支持腕部の第1主面及び第2主面の両方に切欠き部が形成され、支持腕部の基部からの延出方向と直交する断面視において、切欠き部は、支持腕部の対角部にそれぞれ形成されていてもよい。
【0092】
第1引出電極と第2引出電極は、切欠き部を挟んで対向してもよい。
【0093】
切欠き部は、支持腕部よりも比誘電率の小さい材料によって埋められていてもよい。
【0094】
本発明の他の一態様によれば、基部と、基部から延出する第1振動腕部及び第2振動腕部と、基部から延出し、互いに対向する第1主面及び第2主面を有する支持腕部と、第1振動腕部及び第2振動腕部に設けられた第1励振電極及び第2励振電極と、支持腕部の第1主面に設けられた第1接続電極及び第2接続電極と、支持腕部の第1主面に設けられ、第1励振電極と第1接続電極とを電気的に接続する第1引出電極と、支持腕部の第2主面に設けられ、第2励振電極と第2接続電極とを電気的に接続する第2引出電極と、を備え、支持腕部の第2主面を平面視したとき、第1主面及び第2主面のうち、一方の主面の端部の少なくとも一部が他方の主面の内側に設けられ、支持腕部の第1主面を平面視したとき、他方の主面に設けられた方の引出電極の一部は一方の主面の外側に設けられている、振動素子が提供される。
【0095】
支持腕部の第2主面を平面視したとき、基部と第2接続電極との間の領域において、一方の主面の両端部が他方の主面の内側に設けられていてもよい。
【0096】
支持腕部の第2主面を平面視したとき、第1主面の幅は、先端部と基端部とで等しくてもよい。
【0097】
支持腕部の第2主面を平面視したとき、基部と第2接続電極との間の領域において、一方の主面の一端部は他方の主面の内側に設けられ且つ一方の主面の他端部は他方の主面の外側に設けられていてもよい。
【0098】
以上説明したように、本発明の一態様によれば、浮遊容量を低減できる振動素子および振動子が提供できる。
【0099】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。例えば、本発明の振動素子および振動子は、タイミングデバイスまたは荷重センサに用いることができる。また、各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0100】
1…音叉型水晶振動子(振動子)
10…音叉型水晶振動素子(振動素子)
11…水晶片
12A…第1主面
12B…第2主面
20…蓋部材
30…ベース部材
33a,33b…電極パッド
36a,36b…導電性保持部材
40…接合部材
50…基部
60a,60b…振動腕部
62a,62b…腕部
64a,64b…錘部
63a,63b…溝部
70…支持腕部
71a,71b…切欠き部
72…連結部
74…保持部
82a,82b…励振電極
84a,84b…引出電極
86a,86b…接続電極