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  • 特許-支持装置およびそれを用いた免震足場 図1
  • 特許-支持装置およびそれを用いた免震足場 図2
  • 特許-支持装置およびそれを用いた免震足場 図3
  • 特許-支持装置およびそれを用いた免震足場 図4
  • 特許-支持装置およびそれを用いた免震足場 図5
  • 特許-支持装置およびそれを用いた免震足場 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】支持装置およびそれを用いた免震足場
(51)【国際特許分類】
   E04G 3/20 20060101AFI20220523BHJP
   E04G 5/02 20060101ALI20220523BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
E04G3/20 Z
E04G5/02 Z
E04H9/02 331A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018042422
(22)【出願日】2018-03-08
(65)【公開番号】P2018150795
(43)【公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-03
(31)【優先権主張番号】P 2017047386
(32)【優先日】2017-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517088997
【氏名又は名称】株式会社テイエム技建
(73)【特許権者】
【識別番号】517089008
【氏名又は名称】最上 公彦
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100129137
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 ゆみ
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】最上 公彦
(72)【発明者】
【氏名】松茂良 武
(72)【発明者】
【氏名】梅本 大勝
(72)【発明者】
【氏名】杉原 彰
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-004571(JP,A)
【文献】特開2003-004097(JP,A)
【文献】実開昭52-167218(JP,U)
【文献】特開平07-217187(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0059951(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/00-7/34、27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
免震構造物用の外部仮設構造体を支持する支持装置であって、
支持板と、複数の支柱と、地面固定部材と、連結弾性体と、連結固定部材とを含み、
前記支持板は、その上面に前記外部仮設構造体を載せて支持可能であり、
前記複数の支柱の各上端部が、前記連結弾性体を介して、前記支持板の下面に連結されており、
前記複数の支柱の各下端部が、前記連結弾性体を介して前記地面固定部材に連結されており、
前記支持板が、前記連結固定部材によって前記免震構造物に固定可能であり、
さらに、筋交いを含み、
前記筋交いの一端は、前記支柱の上端部と連結し、前記筋交いの他端は、前記支柱と隣接する支柱の下端部と連結し、
前記筋交いは、前記隣接する支柱間の対角線距離の変化に応じて変形可能である
ことを特徴とする支持装置。
【請求項2】
前記筋交いは、二つの線状部材の端部同士が回動可能な状態で連結されたものであることを特徴とする請求項記載の支持装置。
【請求項3】
前記連結弾性体が、バネであることを特徴とする請求項1または2記載の支持装置。
【請求項4】
前記連結固定部材が、弾性体であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の支持装置。
【請求項5】
免震構造物用の免震足場であって、
請求項1からのいずれか一項に記載の支持装置の支持板の上に、足場本体が搭載されており、
前記支持装置が前記連結固定部材により前記免震構造物に連結固定されることによって、
前記免震構造物の動きと連動して動くことが可能な免震足場。
【請求項6】
前記足場本体が、前記連結固定部材により前記免震構造物に連結固定可能である請求項記載の免震足場。
【請求項7】
前記連結固定部材が、弾性体であることを特徴とする請求項記載の免震足場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免震構造物用の外部仮設構造体を支持する支持装置およびそれを用いた免震足場に関する。
【背景技術】
【0002】
地震の揺れを緩和するために、高層ビルおよびタワーマンションでは免震装置が備え付けられている。高層ビルおよびタワーマンションのような免震建造物においても、外壁補修工事等では、工事期間中建物本体の免震装置にはロックをかけて地震時に免震装置が作動させないことが行われている。しかし、工事期間中と云えども大地震が発生する可能性はあり、この場合はロックがはずれ建物本体が大きく揺れることにより外部足場が崩壊する可能性がある。これに対応するために、足場の免震構造も提案されている。特許文献1および特許文献2では、足場の支持部材が免震構造物に連結され、足場の支持部材自体が免震構造物と一緒に水平方向にスライド可能な技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-4571号公報
【文献】特開2008-291859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、作業現場では、ホコリおよびゴミが多く発生するため、特許文献1および特許文献2のような支持板がスライドするような構造では、ホコリおよびゴミの付着によりスライドが妨げられる恐れがある。また、ホコリおよびゴミの付着を防止するためには、常に掃除等のメインテナンスが必要であり、これでは、作業効率が悪くなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、作業現場で発生するホコリおよびゴミに影響されることなく、地震の際には免震構造物と一緒に動いて外部仮設構造体を水平に保つことが出来る免震可能な支持装置およびそれを用いた免震足場を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の支持装置は、免震構造物用の外部仮設構造体を支持する支持装置であって、支持板と、複数の支柱と、地面固定部材と、連結弾性体と、連結固定部材とを含み、前記支持板は、その上面に前記外部仮設構造体を載せて支持可能であり、
前記複数の支柱の各上端部が、前記連結弾性体を介して、前記支持板の下面に連結されており、前記複数の支柱の各下端部が、前記連結弾性体を介して前記地面固定部材に連結されており、前記支持板が、前記連結固定部材によって前記免震構造物に固定可能であることを特徴とする。
【0007】
本発明の免震足場は、免震構造物用の免震足場であって、本発明の支持装置の支持板の上に、足場本体が搭載されており、前記支持装置が前記連結固定部材により前記免震構造物に連結固定されることによって、前記免震構造物の動きと連動して動くことが可能な免震足場である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スライド構造を採用せず、連結弾性体により動くことが可能なため、作業現場で発生するホコリおよびゴミの影響を受けることがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1のAからCは、本発明の支持装置および免震足場の構成を側面方向から見た場合の一例を示す図である。
図2図2のAからCは、図1のAからCにおいて、本発明の支持装置および免震足場の構成を正面方向から見た場合の一例を示す図である。
図3図3AとBは、筋交いの上部線状部材と下部線状部材の端部の連結構造の一例を示す図である。
図4図4Aは、支柱の下部の構造の一例を示す図であり、図4Bは、支柱の上部の構造の一例を示す図である。
図5図5AおよびBは、支持装置および足場本体の双方の連結固定部材を弾性体(コイルバネ)にした状態を示す図である。
図6図6は、支持装置および足場本体の双方の連結固定部材を弾性体(コイルバネ)にした状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の支持装置において、さらに、筋交いを含み、前記筋交いの一端は、前記支柱の上端部と連結し、前記筋交いの他端は、前記支柱と隣接する支柱の下端部と連結し、前記筋交いは、前記隣接する支柱間の対角線距離の変化に応じて変形可能であることが好ましい。
【0011】
前記筋交いは、二つの線状部材の端部同士が回動可能な状態で連結されたものであることが好ましい。ただし、本発明において筋交いの構造は限定されず、他の構造であってもよい。
【0012】
本発明において、前記連結弾性体は、例えば、バネであることが好ましい。なお、本発明において、前記連結弾性体は、バネに限定されず、例えば、ゴム等のような別の弾性体であってもよい。
【0013】
前記足場本体が、前記連結固定部材により前記免震構造物に連結固定可能であることが好ましい。
【0014】
前記支持装置および前記足場本体を免震構造物に連結固定する双方の連結固定部材は、すくなくとも一方が、弾性体であることが好ましい。前記弾性体としては、ゴム、コイルバネ等が好ましい。
【0015】
つぎに、本発明について、例を挙げて説明する。ただし、本発明は、以下の説明により、なんら限定されない。図1から図6に、本発明の支持装置の一例と、前記支持装置を用いた免震足場の一例を示す。図1から図6において、同一部分には同一符号を付している。
【0016】
図1AからCは、前記支持装置1に足場本体(外部仮設構造体)2を搭載した免震足場を、免震構造物3に設置した状態を側面方向から見た図であり、図2AからCは、正面から見た図である。図1および図2において、Aは、免震構造物3の揺れが無い状態を示し、Bは、矢印で示すように、免震構造物3が図面の左方向に揺れた状態を示し、Cは、矢印で示すように、免震構造物3が図面の右方向に揺れた状態を示す。図1AからCに示すように、免震構造物3は、免震装置4上に配置されており、免震装置4により地震の揺れを緩和することができる。
【0017】
図1および図2に示すように、前記支持装置1は、支持板11と、複数の支柱12と、地面固定部材13と、バネ(連結弾性体)14と、筋交い15と、連結固定部材16とから構成されている。支持板11は、その上面に足場本体2を載せて支持している。前記複数の支柱12の各上端部は、前記バネ14を介して、前記支持板11の下面に連結されている。前記複数の支柱12の各下端部は、前記バネ14を介して前記地面固定部材13に連結されている。前記地面固定部材13は、地面5に固定されている。また、前記支持板11は、その側部において前記連結固定部材16によって前記免震構造物3に連結固定されている。同様に、足場本体2も、前記連結固定部材16によって前記免震構造物3に連結固定されている。
【0018】
前記筋交い15の一端は、前記支柱12の上端部と連結し、前記筋交い15の他端は、前記支柱12と隣接する支柱12の下端部と連結し、2本の筋交い15によって、クロス状態で、隣接する2本の支柱12が連結している。前記筋交い15は、図3に示すように、上部線状部材15Aと下部線状部材15Bの端部同士がピン18によって回動可能な状態で連結されたものであり、この構造によって、前記筋交い15は、前記隣接する支柱12間の対角線距離の変化に応じて変形可能である。図3Aは、上部線状部材15Aと下部線状部材15Bが屈曲した状態を示し、図3Bは、上部線状部材15Aと下部線状部材15Bが直線状になった状態を示す。
【0019】
図1および図2に示すように、隣接する2本の支柱12間において、上端部同士は、支柱連結具17Aにより連結され、中央部同士は、支柱連結具17Cにより連結され、下端部同士は、支柱連結具17Bにより連結されている。
【0020】
図4は、図1Bに示すように、免震構造物3が図面の左方向に揺れた状態の支柱12の上端部および支柱12の下端部の構造を示す図である。図4Aに示すように、支柱連結具17Bの端部と筋交い15の下部線状部材15Bの端部が、支柱12の下端部の板材にピン18で回動可能な状態で連結している。また、図4Bに示すように、支柱連結具17Aの端部と筋交い15の上部線状部材15Aの端部が、支柱12の上端部の板材にピン18で回動可能な状態で連結している。さらに、図4には示していないが、支柱連結具17Cは、ピンにより支柱12の中央部に回動可能な状態で連結している。これら図4AとBに示すように、免震構造物3が揺れた場合は、その揺れ方向に応じてバネ14が変形して支柱12が傾き、この支柱12の傾きに応じて、筋交い15が変形することが可能で、かつ支柱連結具17AからCも支柱12の傾きに対応することが可能である。
【0021】
図1BおよびC並びに図2BおよびCに示すように、地震の際に、免震構造物3が揺れた場合は、免震構造物3の揺れと連動して本発明の支持装置1が変形して動くことができ、かつ、足場本体2も免震構造物3の揺れと連動して動くことができるので、足場が壊れることがなく安全である。
【0022】
次に、図5および図6において、免震構造物3に対し、コイルバネ(弾性体)の連結固定部材161により、支持装置1および足場本体2が連結固定されている状態を示す。図5(A)は、連結固定部材を除く他は、図1(A)と同じであり、図5(B)は、連結固定部材を除く他は、図4(B)と同じである。図6は、免震建物(免震構造物)3に対し、支持装置1および足場本体2の双方がコイルバネ(連結固定部材)161により連結固定されている状態の全体を示す図である。図5および図6に示すように、コイルバネ(連結固定部材)161により、支持装置1および足場本体2が免震構造物3に連結固定されていれば、地震が発生して免震構造物3が大きく揺れたとしても、自動車のショックアブソーバーと同様の原理により、免震構造物3の水平加速度を低減することができ、足場本体2からの人および資材の落下を防止することが可能となる。
【0023】
以上、本発明について、支持装置1に足場本体2を搭載した免震足場について説明した。ただし、本発明は足場に限定されず、その他の外部仮設構造体にも適用できる。また、本発明の実施形態において、例えば、本ばね支持構造は常に上下動が発生している場所において、計測機器あるいは撮影機器を設置し、安定的な計測および撮影が可能な架台としても利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上、説明したとおり、本発明によれば、作業現場で発生するホコリやゴミの影響を受けることなく、免震構造物と一緒に動くことができる支持装置およびそれを用いた免震足場を提供できる。本発明によれば、高層ビルおよびタワーマンションのような免震構造物の外壁補修工事等において、足場も免震可能であるから、地震時の安全性に優れるとともに、ホコリおよびゴミに起因するメインテナンスが不要であるため効率的かつ経済的でもある。
【符号の説明】
【0025】
1 支持装置
2 足場本体(外部仮設構造体)
3 免震構造物
4 免震装置
5 地面
11 支持板
12 支柱
13 地面固定部材
14 連結弾性体(バネ)
15 筋交い
15A 上部線状部材
15B 下部線状部材
16 連結固定部材
17A,B,C 支柱連結具
18 ピン
161 連結固定部材(弾性体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6