IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 合資会社GS工事の特許一覧

特許7076743屋外に設置される給電装置乃至通信装置における内部に備えられる機器の性能を維持する方法
<>
  • 特許-屋外に設置される給電装置乃至通信装置における内部に備えられる機器の性能を維持する方法 図1
  • 特許-屋外に設置される給電装置乃至通信装置における内部に備えられる機器の性能を維持する方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】屋外に設置される給電装置乃至通信装置における内部に備えられる機器の性能を維持する方法
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/56 20060101AFI20220523BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
H02B1/56 A
H05K7/20 Y
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019104254
(22)【出願日】2019-06-04
(65)【公開番号】P2020198721
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】514007966
【氏名又は名称】合資会社GS工事
(74)【代理人】
【識別番号】100181940
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 禎浩
(74)【代理人】
【識別番号】100083884
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】成田 明
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特許第6519047(JP,B1)
【文献】登録実用新案第3057972(JP,U)
【文献】特開2017-011250(JP,A)
【文献】特開2016-189362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/00 - 1/38
H02B 1/46 - 7/08
H05K 5/00 - 5/06
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に設置される給電装置乃至通信装置の表面の一部又は全部に中空ビーズを鱗片状にした鱗片配合塗料を塗布して、内部に装備された各種機器の性能を維持する方法。
【請求項2】
給電装置がキュービクル、各種制御盤、トランス、パワーコンディショナー施設である請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記鱗片配合塗が溶剤系又は水性系の中空ビーズ配合塗料である請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に設置される給電装置乃至通信装置における内部に備えられる機器の性能を維持する方法に関するものである。
【0002】
屋外に設置される給電装置としては、キュービクル、各種制御盤、トランス、太陽光発電システムなどパワーコンディショナー施設等を上げることができる。
【背景技術】
【0003】
キュービクルは電力会社の発電所、変電所から供給される高電圧の電気を、ビルや住宅の需要家で使用される低い電圧に変圧する設備であり、各種の保護装置や計測装置、配電装置を内蔵している受変電設備の一つである。
【0004】
受変電設備は通常「区分開閉器、断路器、遮断器、変圧器、保護継電器、制御装置、計測機器、低圧配電設備」で構成されるが、これらを全て鉄箱に一括して収容したパッケージ製品が「キュービック式」の受変電設備であり、一般には屋上乃至屋外に設置される(特開2010-17012、特開2015-201332)。
【0005】
その他、内部に無線通信ユニットを設け、キュービクル外には無線通信用のアンテナを装備したものも提案されている(特開2013-247504)。
【0006】
一方、NTT、KDDIなどの通信基地は全国にあるが、これら基地内にある通信装置内には蓄電池、ルーター等が装備されている。
【0007】
しかし、キュービック内に配備される制御装置、計測機器、無線通信ユニット等の各種機器或いは通信装置内に配備されている蓄電池及びルーター等はいずれも高温に対して脆弱であり、一般に45℃以上ではその性能が維持できない。
【0008】
これに対して、内部温度の上昇を抑えるため、キュービクル内に空調システムを設ける(特開2001-237580)、排気装置を設ける(特開2009-71906、特開2000-26196)、放熱装置を設ける(特開2009-81171)等が提案されている。
【0009】
また、通信装置内にはエアコンが備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2010-17012号公報
【文献】特開2015-201332号公報
【文献】特開2013-247504号公報
【文献】特開2001-237580号公報
【文献】特開2009-71906号
【文献】特開2000-26196号公報
【文献】特開2009-81171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、これらキュービックル等の給電装置、通信基地内にある通信装置は一般には屋外に設置されており、夏季においては上述の排気装置、放熱装置を設けただけでは内部の温度上昇を抑えることができない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、屋外に設置される給電装置乃至通信装置の表面の一部又は全部に遮熱塗料を塗布して内部の温度上昇を抑えて夏季においても内部に装備された機器の性能を維持するものである。
【0013】
ここで、屋外に設置される給電装置としては、キュービクル、各種制御盤、トランス、太陽光発電所などパワーコンディショナー施設を挙げることができる。
【0014】
ここで、通信装置としては、内部に蓄電池、ルーター等を装備して通信基地等に設けられる通信設備を挙げることができる。
【0015】
給電装置乃至通信装置表面の一部又は全部に塗布する遮熱塗料としては、溶剤系又は水性系の反射型塗料、溶剤系又は水性系の中空ビーズ配合塗料、溶剤系又は水性系の中空ビーズを鱗片状にした鱗片配合塗料等を挙げることができる。
【0016】
この中で最も遮熱効果を発揮するのが溶剤系又は水性系の反射型塗料、次いで溶剤系又は水性系鱗片配合塗料、溶剤系又は水性系の中空ビーズ配合塗料の順である。
【0017】
反射型塗料は酸化チタンやアルミナおよび酸化ケイ素等の熱反射機能を持つセラミックや無機化合物を混入したものであるが、断熱性と熱反射性に富んでおり、狭所等への施工性にも優れた可撓性にも優れている。
【0018】
なお、中空ビーズ配合塗料については、ビーズ内部に熱を溜め込む欠点があるため、遮熱効果については反射型塗料、鱗片配合塗料より劣る。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、給電装置乃至通信装置表面の全部又は一部に遮熱塗料を塗布することにより夏季においても内部の温度上昇を抑えることができ、内部に配備される制御装置、計測機器、無線通信ユニット乃至蓄電池、ルーター等の各種機器の性能を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は本発明の実施態様を塗布することにより示すキュービクルの斜面図
図2】外気温度に対する制御盤内の温度分布を示す図で、(a)は屋外制御盤表面に反射型塗料を塗装しない場合、(b)屋外制御盤表面に反射型塗料を塗装した場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
キュービクル、各種制御盤、トランス、パワーコンディショナー施設など屋外に設置される給電装置の表面に反射型塗料を塗装して内部の温度上昇を抑えることができ、内部に配備される制御装置、計測機器、無線通信ユニット等の各種機器の性能が維持される。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の実施態様を図面に基づいて説明する。図1に示すキュービックル1は1面のキュービクルであり、金属製の筺体2を備え、筺体2の前面扉3に窓ガラス4が装着されている。窓ガラス4の全域には補強用の金属が埋設される。
【0023】
使用する遮熱塗料としてアルミナを配合した溶剤系反射型塗料を使用し、キュービクル1の表面の全面に遮熱塗料を塗布した。
【実施例2】
【0024】
更に、大容量のキュービクルとして、2面、4面、6面、9面、12面、16面、18面、21面、24面のキュービクルの表面に同様に遮熱塗装を施した。
【実施例3】
【0025】
ショッピングセンター屋上にある屋外制御盤に上記溶剤系反射型塗料を遮熱塗装を施し、日照量と温度変化の相関関係を調べた。
【0026】
図2(a)は遮熱塗装を施さない状態での外気温度に対する制御盤内の温度分布である。この場合、外気との空気交換ができている状態であり、外気温度と内部温度が同じように推移している。
【0027】
図2(b)は遮熱塗装を施した状態における外気温度に対する制御盤内の温度分布である。これによれば日照量の変化に対して制御盤の内部温度が影響を受けていないことが見て取れる。これは日射を効率良く反射する遮熱塗装の性能が存分に発揮されたためである。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上要するに、本発明によれば屋上に設置される給電装置乃至通信装置表面に遮熱塗装を施すことにより、夏季においても内部機器の性能が維持される。
【符号の説明】
【0029】
1 キュービクル
2 筺体
3 前面扉
4 窓ガラス
図1
図2