(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】カラーマッピング装置、カラーマッピング方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/60 20060101AFI20220523BHJP
G09G 5/02 20060101ALI20220523BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20220523BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20220523BHJP
G06F 3/04845 20220101ALI20220523BHJP
【FI】
H04N1/60
G09G5/02 B
G06T1/00 510
G06F3/0481
G09G5/02 F
G06F3/0484 150
(21)【出願番号】P 2018160209
(22)【出願日】2018-08-29
【審査請求日】2021-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100133592
【氏名又は名称】山口 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100168114
【氏名又は名称】山中 生太
(72)【発明者】
【氏名】大塚 作一
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-062921(JP,A)
【文献】特開2010-068296(JP,A)
【文献】特開2010-062740(JP,A)
【文献】国際公開第2013/168517(WO,A1)
【文献】特開2005-346273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/46-62
G09G 5/02
G06T 1/00
G06F 3/0481
G06F 3/04845
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の領域から成る2次元画像の各領域に色を割り当てるカラーマッピングを行うカラーマッピング装置であって、
3色覚者及び2色覚者双方が同じ階調数で区別可能な少なくとも1つの配色パターンを用いて表示される連続領域に、前記複数の領域をグループ分けし、前記連続領域のグループを生成するグループ生成部と、
前記グループ同士を2色覚者でも3色覚者でも区別可能に表示するための付加情報を、生成された前記グループ毎に生成する付加情報生成部と、
前記グループ毎に生成された付加情報に従って、前記グループ毎に前記配色パターンを割り当てる配色パターン割り当て部と、
前記グループ毎に付与された付加情報と、前記グループ毎に割り当てられた前記配色パターンと、に基づいて、前記2次元画像のカラーマッピング画像データを生成する画像データ生成部と、
を備えるカラーマッピング装置。
【請求項2】
前記付加情報生成部は、
前記グループ毎に異なる前記配色パターンの表示シーケンスに関する情報を、前記付加情報として、前記グループ毎に付与する、
請求項1に記載のカラーマッピング装置。
【請求項3】
前記付加情報生成部は、
前記表示シーケンスに関する情報として、前記配色パターンを切り換え表示するか否かを示す情報と、前記配色パターンを切り換える場合の前記グループ毎に異なる切り換え周期とを、前記グループ毎に付与する、
請求項2に記載のカラーマッピング装置。
【請求項4】
前記付加情報生成部は、
前記表示シーケンスに関する情報として、前記配色パターンを点滅表示するか否かを示す情報と、前記配色パターンを切り換える場合の前記グループ毎に異なる点滅周期とを、前記グループ毎に付与する、
請求項2に記載のカラーマッピング装置。
【請求項5】
前記付加情報生成部は、
前記グループ毎に異なる前記配色パターンが形成される高さに関する情報を、前記付加情報として、前記グループ毎に付与する、
請求項1に記載のカラーマッピング装置。
【請求項6】
前記配色パターンでは、
有彩色と無彩色とが交互に配列されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載のカラーマッピング装置。
【請求項7】
前記配色パターンは、
明度及び彩度が異なり、色相が同系統である複数の色で構成される、
請求項1から5のいずれか一項に記載のカラーマッピング装置。
【請求項8】
前記配色パターン割り当て部は、
同じ領域において、有彩色と無彩色とが、切り換え表示されるように、前記配色パターンを割り当てる、
請求項3に記載のカラーマッピング装置。
【請求項9】
複数の領域から成る2次元画像の各領域に色を割り当てるカラーマッピングを行うカラーマッピング方法であって、
3色覚者及び2色覚者双方が同じ階調数で区別可能な少なくとも1つの配色パターンを用いて表示される連続領域に、前記複数の領域をグループ分けし、前記連続領域のグループを生成するグループ生成ステップと、
前記グループ同士を2色覚者でも3色覚者でも区別可能に表示するための付加情報を、生成された前記グループ毎に生成する付加情報生成ステップと、
前記グループ毎に生成された付加情報に従って、前記グループ毎に前記配色パターンを割り当てる配色パターン割り当てステップと、
前記グループ毎に付与された付加情報と、前記グループ毎に割り当てられた前記配色パターンと、に基づいて、前記2次元画像のカラーマッピング画像データを生成する画像データ生成ステップと、
を含むカラーマッピング方法。
【請求項10】
複数の領域から成る2次元画像の各領域に色を割り当てるカラーマッピングを行うコンピュータを、
3色覚者及び2色覚者双方が同じ階調数で区別可能な少なくとも1つの配色パターンを用いて表示される連続領域に、前記複数の領域をグループ分けし、前記連続領域のグループを生成するグループ生成部、
前記グループ同士を2色覚者でも3色覚者でも区別可能に表示するための付加情報を、生成された前記グループ毎に生成する付加情報生成部、
前記グループ毎に生成された付加情報に従って、前記グループ毎に前記配色パターンを割り当てる配色パターン割り当て部、
前記グループ毎に付与された付加情報と、前記グループ毎に割り当てられた前記配色パターンと、に基づいて、前記2次元画像のカラーマッピング画像データを生成する画像データ生成部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーマッピング装置、カラーマッピング方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、気象解析・予測技術の高度化や詳細化により、短時間雨量などのきめ細かい情報が広く提供されるようになっている。これらの情報は、人命にかかわる重要な情報であるにも拘らず、多数の色を用いたカラーマッピング形式の画像で表示されている。
【0003】
多数の色を用いてカラーマッピング形式で表示された画像は、3色覚者であっても赤と紫などの情報の区別が難しく、とりわけ2色覚者には非常に弁別困難な状況(例えば青と紫)になっている。また、2色覚者には見分けのつかない緑と赤が同時に使用されている画像を表示するサイトも存在する。そこで、オリジナル画像から、2色覚者でも認識可能な画像を生成する装置等が開示されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-000300号公報
【文献】特開2010-264777号公報
【文献】特開2005-346273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1~3に記載の装置等は、いずれも、3色覚者向けのオリジナル画像があり、その後、それに加工を加えた2色覚者向けの画像を生成し、両者を切替え表示するものである。これらの装置は、3色覚者であっても、2色覚者であっても、同一の画像を同一の階調数で同じように区別可能なカラーユニバーサルデザインを提供するものではない。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、3色覚者であっても、2色覚者であっても、同一の画像を同一の階調数で区別することができるカラーユニバーサルデザインで配色されたカラーマッピング画像を表示することができるカラーマッピング装置、カラーマッピング方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るカラーマッピング装置は、
複数の領域から成る2次元画像の各領域に色を割り当てるカラーマッピングを行うカラーマッピング装置であって、
3色覚者及び2色覚者双方が同じ階調数で区別可能な少なくとも1つの配色パターンを用いて表示される連続領域に、前記複数の領域をグループ分けし、前記連続領域のグループを生成するグループ生成部と、
前記グループ同士を2色覚者でも3色覚者でも区別可能に表示するための付加情報を、生成された前記グループ毎に生成する付加情報生成部と、
前記グループ毎に生成された付加情報に従って、前記グループ毎に前記配色パターンを割り当てる配色パターン割り当て部と、
前記グループ毎に付与された付加情報と、前記グループ毎に割り当てられた前記配色パターンと、に基づいて、前記2次元画像のカラーマッピング画像データを生成する画像データ生成部と、
を備える。
【0008】
この場合、前記付加情報生成部は、
前記グループ毎に異なる前記配色パターンの表示シーケンスに関する情報を、前記付加情報として、前記グループ毎に付与する、
こととしてもよい。
【0009】
また、前記付加情報生成部は、
前記表示シーケンスに関する情報として、前記配色パターンを切り換え表示するか否かを示す情報と、前記配色パターンを切り換える場合の前記グループ毎に異なる切り換え周期とを、前記グループ毎に付与する、
こととしてもよい。
【0010】
前記付加情報生成部は、
前記表示シーケンスに関する情報として、前記配色パターンを点滅表示するか否かを示す情報と、前記配色パターンを切り換える場合の前記グループ毎に異なる点滅周期とを、前記グループ毎に付与する、
こととしてもよい。
【0011】
前記付加情報生成部は、
前記グループ毎に異なる前記配色パターンが形成される高さに関する情報を、前記付加情報として、前記グループ毎に付与する、
こととしてもよい。
【0012】
前記配色パターンでは、
有彩色と無彩色とが交互に配列されている、
こととしてもよい。
【0013】
前記配色パターンは、
明度及び彩度が異なり、色相が同系統である複数の色で構成される、
こととしてもよい。
【0014】
前記配色パターン割り当て部は、
同じ領域において、有彩色と無彩色とが、切り換え表示されるように、前記配色パターンを割り当てる、
こととしてもよい。
【0015】
本発明の第2の観点に係るカラーマッピング方法は、
複数の領域から成る2次元画像の各領域に色を割り当てるカラーマッピングを行うカラーマッピング方法であって、
3色覚者及び2色覚者双方が同じ階調数で区別可能な少なくとも1つの配色パターンを用いて表示される連続領域に、前記複数の領域をグループ分けし、前記連続領域のグループを生成するグループ生成ステップと、
前記グループ同士を2色覚者でも3色覚者でも区別可能に表示するための付加情報を、生成された前記グループ毎に生成する付加情報生成ステップと、
前記グループ毎に生成された付加情報に従って、前記グループ毎に前記配色パターンを割り当てる配色パターン割り当てステップと、
前記グループ毎に付与された付加情報と、前記グループ毎に割り当てられた前記配色パターンと、に基づいて、前記2次元画像のカラーマッピング画像データを生成する画像データ生成ステップと、
を含む。
【0016】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、
複数の領域から成る2次元画像の各領域に色を割り当てるカラーマッピングを行うコンピュータを、
3色覚者及び2色覚者双方が同じ階調数で区別可能な少なくとも1つの配色パターンを用いて表示される連続領域に、前記複数の領域をグループ分けし、前記連続領域のグループを生成するグループ生成部、
前記グループ同士を2色覚者でも3色覚者でも区別可能に表示するための付加情報を、生成された前記グループ毎に生成する付加情報生成部、
前記グループ毎に生成された付加情報に従って、前記グループ毎に前記配色パターンを割り当てる配色パターン割り当て部、
前記グループ毎に付与された付加情報と、前記グループ毎に割り当てられた前記配色パターンと、に基づいて、前記2次元画像のカラーマッピング画像データを生成する画像データ生成部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、2色覚者でも3色覚者でも区別可能な配色パターンで表示された連続領域のグループに、グループ同士を2色覚者でも3色覚者でも区別可能に表示する付加情報を付与する。このため、各グループの領域を、配色パターン及び付加情報に従って表示すれば、区別可能な配色パターンでグループ内の領域を表示しつつ、グループ同士も区別可能な方法で2次元画像を表示することができる。これにより、区別可能な配色の階調数を実質的に増やすことができるので、2色覚者であっても3色覚者であっても、同一の画像を、同一の階調数で区別することができるカラーユニバーサルデザインで配色されたカラーマッピング画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るカラーマッピング装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】表示される2次元画像における複数の領域の一例を示す図である。
【
図4】(A)~(C)は、配色パターンにおける具体的な配色の一例を示す図である。
【
図6】配色パターンの表示シーケンスを示す図である。
【
図7】(A)及び(B)は、切り換え表示されるカラーマッピング画像データを示す図である。
【
図8】
図1のデータマッピング装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【
図9】
図1のカラーマッピング装置の動作を示すフローチャートである。
【
図10】グループが3つ形成された場合の配色パターンの表示シーケンスを示す図である。
【
図11】本発明の実施の形態2に係るカラーマッピング装置の構成を示すブロック図である。
【
図13】3次元プリンタで形成される印刷物を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。全図において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号が付されている。
【0020】
実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1について説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態に係るカラーマッピング装置1Aは、情報処理を行う情報処理部2と、データを記憶する記憶部3と、表示ディスプレイである表示装置4Aと、を備える。表示装置4Aは、カラーマッピング装置1Aによりカラーマッピングされた2次元画像を画面に表示する。
【0022】
本実施の形態では、
図2に示す2次元画像Pをカラーマッピングする場合について説明する。
図2に示すように、2次元画像Pは、複数の領域A1~A8から成る2次元画像である。領域A1は、円形の領域であり、領域A2~A8は、領域A1を中心とする円環状の領域である。本実施の形態では、カラーマッピング装置1Aは、2次元画像Pの各領域A1~A8にそれぞれ色を割り当てるカラーマッピングを行う場合について説明する。
【0023】
図1に戻り、情報処理部2は、グループ生成部10と、付加情報生成部11と、配色パターン割り当て部12と、画像データ生成部13と、を備える。
【0024】
グループ生成部10は、3色覚者及び2色覚者双方が同じ階調数で区別可能な少なくとも1つの配色パターンを用いて表示される連続領域に、複数の領域A1~A8をグループ分けし、連続領域のグループを生成する。ここで、配色パターンとは、複数の色の組み合わせをいう。
【0025】
本実施の形態では、
図3に示すように、3色覚者及び2色覚者双方が同じ階調数で区別可能な配色パターンが、4つの色C1~C4から構成されているものとする。この4つの色C1~C4は、3色覚者であっても、2色覚者であっても、同一の階調度4で区別可能な配色パターンである。
【0026】
4つの色C1~C4による配色パターンには、様々なものがある。例えば、
図4(A)に示すように、C1=赤色、C2=濃灰色、C3=濃青色、C4=やや濃い灰色のような配色パターン用いることができる。このパターンを配色パターンP1とする。また、
図4(B)に示すように、C1=やや濃い灰色、C2=黄色、C3=薄灰色、C4=水色のような配色パターンを用いることができる。このパターンを配色パターンP2とする。また、
図4(C)に示すように、C1=赤色、C2=黄色、C3=濃青色、C4=水色のような配色パターンを用いることができる。このパターンを配色パターンP3とする。なお、配色パターンはこれには限られない。例えば、2色覚者は、赤と緑を区別することができない。したがって、配色パターンでは、赤と緑とが同時に使われることはない。
【0027】
これらの配色パターンP1~P3では、すべて、有彩色と無彩色とが交互に配列されている。このような配色パターンを採用することにより、2次元画像Pにおける複数の領域A1~A8を見分け易くすることができる。
【0028】
これらの配色パターンP1~P3では、色は4つであるため、複数の領域A1~A8は、連続する4つの領域毎にグループ分けされる。例えば、
図2に示す2次元画像Pであれば、領域A1~A4のグループG1と、領域A5~A8のグループG2とにグループ分けされる。
【0029】
図1に戻り、2次元画像Pのデータである2次元画像データ20と、配色パターンP1~P3を含む配色パターン21とは、予め記憶部3に記憶されている。グループ生成部10は、記憶部3から2次元画像データ20を読み込んで、2次元画像Pから、配色されるべき複数の領域A1~A8を抽出する。さらに、グループ生成部10は、記憶部3に記憶されている配色パターン21に基づいて、複数の領域A1~A8を、隣接する領域A1~A4、A5~A8にグループ分けする。領域A1~A8のグループ分けを示す情報は、グループ情報22として記憶部3に記憶される。
図5には、グループ情報22の一例が示されている。
図5に示すように、グループG1に領域A1~A4が対応付けられ、グループG2に領域A5~A8が対応付けられている。
【0030】
付加情報生成部11は、グループ同士を3色覚者であっても2色覚者であっても区別可能に表示するための付加情報を、生成されたグループ毎に生成する。本実施の形態では、付加情報生成部11は、グループ毎に異なる配色パターンの表示シーケンスに関する情報を、付加情報として、各グループに付与する。この情報は、記憶部3に付加情報23として記憶される。
【0031】
本実施の形態では、配色パターンの表示シーケンスとして、一方のグループでは、1つの配色パターンを常時表示するものとし、残りのグループでは、2つの配色パターンを周期で切り換え表示するものとする。例えば、付加情報生成部11は、
図5に示すように、グループG1(領域A1~A4)では、2つの配色パターンを切り換え表示するように設定し(切り換えフラグ「オン」)、グループG2(領域A5~A8)では、1つの配色パターンを常時表示するように設定する(切り換えフラグ「オフ」)。
【0032】
ここで、付加情報生成部11は、グループG1、G2では、どちらを切り換え表示するように設定してもよい。ただし、一般的には、切り換え表示されるグループの方が目立つため、グループG1、G2のうち、注目させたいグループを切り換え表示するのが望ましい。例えば、2次元画像Pがヒートマップであり、グループG1の数値範囲が、グループG2の数値範囲よりも注目すべき数値範囲である場合には、グループG1が、切り換え表示されるグループとして選択されるようにするのが望ましい。
【0033】
付加情報生成部11は、
図5に示すように、表示切り替えを行うグループG1については、周期T1を設定する。
【0034】
このように、付加情報生成部11は、表示シーケンスに関する情報として、配色パターンを切り換え表示するか否かを示す情報(切り換えフラグ)と、切り換え周期とを、グループ毎に付与する。これらの情報は付加情報23として記憶部3に記憶される。
【0035】
配色パターン割り当て部12は、グループ毎に生成された付加情報23に従って、グループ毎に配色パターンを割り当てる。本実施の形態では、
図5に示すように、グループG1に対しては、2つの配色パターンP1,P2が割り当てられ、グループG2に対しては、配色パターンP3が割り当てられる。
【0036】
ここで、切り換え表示される領域A1~A4において、領域A1は赤色とやや濃い灰色とに切り換え表示させ、領域A2は濃灰色と黄色とに切り換え表示され、領域A3は濃青色と薄灰色とに切り換え表示され、領域A4はやや濃い灰色と水色とに切り換え表示される。すなわち、配色パターン割り当て部12は、同じ領域において、有彩色と無彩色とが、切り換え表示されるように、配色パターンを割り当てている。
【0037】
なお、配色パターンP1では、有彩色が赤色と濃青色と濃くなっているため、無彩色も濃灰色とやや濃い灰色となっている。また、配色パターンP2では、有彩色が黄色と水色と薄くなっているため、無彩色もやや濃い灰色と薄灰色と薄くなっている。このような配色により、切り換え表示した場合の配色パターンのコントラストを際立たせ、そのグループを目立たせることができる。
【0038】
画像データ生成部13は、グループ毎に付与された付加情報23と、グループ毎に割り当てられた配色パターン割り当て情報24と、に基づいて、2次元画像Pのカラーマッピング画像データを生成する。生成された画像データは、カラーマッピング画像データ25として記憶部3に記憶される。
【0039】
例えば、
図6に示すように、2次元画像Pにおいて、領域A1~A4については、周期T1で、配色パターンP1と配色パターンP2とで切り換え表示される。さらに、領域A5~A8については、配色パターンP3を表示する。これにより、表示装置4Aによって表示される画像は、
図7(A)に示す配色の画像と、
図7(B)に示す配色の画像とを繰り返し表示するようになる。
【0040】
ここで、
図7(A)に示すように、領域A1と領域A5とでは、同じ黄色で表示されるが、
図7(B)に示すように、領域A1は、黄色からやや濃い灰色に切り換えられるため、領域A1と領域A5とを明確に区別することができる。
【0041】
表示装置4Aは、記憶部3からカラーマッピング画像データ25を読み込んで表示する。これにより、表示装置4Aにおいて、
図7(A)に示すカラーマッピング画像データ25と、
図7(B)に示すカラーマッピング画像データ25とが周期T1で切り換え表示される。領域A5~A8では、配色パターンが切り換え表示されて、領域A1~A4と区別可能となる。
【0042】
なお、
図8に示すように、カラーマッピング装置1Aは、ハードウエア構成として、内部バス30と、制御部31、主記憶部32、外部記憶部33、操作部34、表示部35及び通信部36を備える。主記憶部32、外部記憶部33、操作部34、表示部35及び通信部36はいずれも内部バス30を介して制御部31に接続されている。
【0043】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)等から構成されている。このCPUが、外部記憶部33に記憶されているプログラム39を実行することにより、カラーマッピング装置1Aの各構成要素が実現される。
【0044】
主記憶部32は、RAM(Random-Access Memory)等から構成されている。主記憶部32には、外部記憶部33に記憶されているプログラム39がロードされる。この他、主記憶部32は、制御部31の作業領域(データの一時記憶領域)として用いられる。
【0045】
外部記憶部33は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD-RAM(Digital Versatile Disc Random-Access Memory)、DVD-RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等の不揮発性メモリから構成される。外部記憶部33には、制御部31に実行させるためのプログラム39があらかじめ記憶されている。また、外部記憶部33は、制御部31の指示に従って、このプログラム39の実行の際に用いられるデータを制御部31に供給し、制御部31から供給されたデータを記憶する。
【0046】
操作部34は、キーボード及びマウスなどのポインティングデバイス等と、キーボードおよびポインティングデバイス等を内部バス30に接続するインターフェイス装置から構成されている。操作部34を介して、操作者が操作した内容に関する情報が制御部31に入力される。
【0047】
表示部35は、CRT(Cathode Ray Tube)またはLCD(Liquid Crystal Display)などから構成され、操作者が操作情報を入力する場合は、操作用の画面が表示される。
【0048】
通信部36は、シリアルインターフェイスまたはパラレルインターフェイスから構成されている。
【0049】
カラーマッピング装置1Aの各種構成要素は、プログラム39が、制御部31、主記憶部32、外部記憶部33、操作部34、表示部35及び通信部36などをハードウエア資源として用いて実行されることによってその機能を発揮する。例えば、カラーマッピング装置1Aのグループ生成部10、付加情報生成部11、配色パターン割り当て部12及び画像データ生成部13、すなわち情報処理部2は、制御部31、主記憶部32、外部記憶部33を用いて実現されている。また、記憶部3は、外部記憶部33を用いて実現されている。さらに、表示装置4Aは、表示部35を用いて実現されている。
【0050】
次に、本発明の実施の形態に係るカラーマッピング装置1Aの動作について説明する。
【0051】
図9に示すように、まず、グループ生成部10は、3色覚者及び2色覚者双方が同じ階調数で区別可能な少なくとも1つの配色パターンP1~P3を用いて表示される連続領域に、複数の領域A1~A8をグループ分けし、連続領域のグループG1,G2を生成する(ステップS1;グループ生成ステップ)。
【0052】
続いて、付加情報生成部11は、グループ同士を2色覚者でも3色覚者でも区別可能に表示するための付加情報23を、生成されたグループ毎に生成する(ステップS2;付加情報生成ステップ)。
【0053】
続いて、配色パターン割り当て部12は、グループ毎に生成された付加情報23に従って、グループ毎に配色パターンを割り当てる(ステップS3;配色パターン割り当てステップ)。これにより、配色パターン割り当て情報24が生成される。
【0054】
続いて、画像データ生成部13は、グループ毎に付与された付加情報23と、グループ毎に割り当てられた配色パターン割り当て情報24と、に基づいて、2次元画像Pのカラーマッピング画像データ25を生成する(ステップS4;画像データ生成ステップ)。
【0055】
その後、表示装置4Aは、カラーマッピング画像データ25を表示する(ステップS5;表示ステップ)。
【0056】
本実施の形態では、2次元画像Pにおける領域を8つとしたが、本発明はこれには限られない。領域の数は、幾つであってもよい。また、本実施の形態では、配色パターンの色の数を4つとしたが、4つには限られない。配色パターンの色は、2つ以上であればよい。また、色の数が異なる配色パターンを複数用意するようにしてもよい。この場合には、領域の数をグループによって変更することができる。
【0057】
また、本実施の形態では、
図4(A)~
図4(C)に示すように、各グループに割り当てる配色パターンP1~P3を配色が異なるパターンとしたが、これには限られない。グループ間で配色パターンを一部共通化するようにしてもよい。本実施の形態では、常時表示する配色パターンP3の配色と、切り換え表示する配色パターンP1,P2のいずれか一方の配色を、同一としてもよい。例えば、配色パターンP1,P3の配色を、色C1~C4が全て異なり、2色覚者及び3色覚者が共通して弁別可能な有彩色又は黒以外の無彩色とすることができる。この場合、配色パターンP1と切り換え表示される配色パターンP2は、色C1~C4を全て黒にするなど、完全に配色が異なるパターンとするのが望ましい。このように、同一の配色パターンの組み合わせをグループ間で用いても、グループ毎に配色パターンが変化する様子が異なるので、全ての領域を識別することができる。
【0058】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、2色覚者でも3色覚者でも区別可能な配色パターンP1~P3で表示された連続領域のグループG1,G2に、グループ同士を2色覚者でも3色覚者でも区別可能に表示する付加情報23を付与する。このため、各グループの領域を、配色パターンP1~P3及び付加情報23に従って表示すれば、区別可能な配色パターンP1~P3でグループ内の領域を表示しつつ、グループ同士も区別可能な方法で2次元画像Pを表示することができる。これにより、区別可能な配色の階調数を実質的に増やすことができるので、2色覚者であっても3色覚者であっても、同一の画像を、同一の階調数で区別することができるカラーユニバーサルデザインで配色されたカラーマッピング画像を表示することができる。
【0059】
なお、グループ生成部10が3つ以上のグループを生成した場合には、1つのグループについては1つの配色パターンを表示するが、残りのグループでは、複数の配色パターンを切り換え表示する。この場合、グループ毎に表示を切り替える周期を変更する必要がある。例えば、
図10に示すように、グループG1~G3が生成された場合、グループG3については配色パターンP3が表示され、グループG2については、周期T1で配色パターンP1,P2が切り換え表示され、グループG3については、配色パターンP4,P5が周期T1より短い周期T2で切り換え表示されるようにすればよい。このようにすれば、グループG2の領域と、グループG3の領域とを、簡単に見分けることができる。なお、この場合でも、グループ間で、配色パターンを共通化することができる。
【0060】
このように、本実施の形態では、グループ毎に異なる周期で、配色パターンP1、P2等を切り換え表示した。しかしながら、本発明はこれには限られない。付加情報生成部11は、表示シーケンスに関する情報として、配色パターンを点滅表示するか否かを示す情報と、点滅表示する周期に関する情報とを、グループ毎に付与するようにしてもよい。この場合、1つのグループに割り当てる配色パターンは1つでよい。この場合、グループを生成する際に割り当てる配色パターンを決定するようにしてもよい。なお、この場合でも、配色パターンはグループ間で共通化することができるが、配色パターンの点滅周期は、グループ毎に異なるようにする必要がある。
【0061】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
【0062】
図11に示すように、本実施の形態に係るカラーマッピング装置1Bの構成は、上記実施の形態1に係るカラーマッピング装置1Aと同じである。本実施の形態では、付加情報生成部11によって付加される付加情報23の内容が上記実施の形態1と異なる。
【0063】
付加情報生成部11は、グループ毎に異なる配色パターンが形成される高さに関する情報を、付加情報23として、グループ毎に付与する。ここで、高さとは、2次元画像Pの平面に直交する鉛直方向の位置をいう。
図12に示すように、配色パターンが形成される高さは、グループ毎に異なるようにする必要がある。
【0064】
この場合、3次元プリンタ4Bは、
図13に示す3次元の印刷物を印刷する。
図13に示すように、2次元画像の平面をXY平面とし、高さ方向をZ軸とする。この印刷物では、各グループがその高さH1,H2で区別可能となっている。なお、グループが3つ以上ある場合には、印刷物の高さは、3段階以上となる。
【0065】
このように、本実施の形態によれば、2色覚者でも3色覚者でも区別可能な配色パターンP1~P3で表示された連続領域のグループG1,G2に、グループ同士を区別可能に表示する高さに関する付加情報23を付与する。このため、各グループG1,G2の領域を、配色パターンP1、P2及び付加情報23(高さH1,H2)に従って3次元プリンタ4Bで印刷すれば、区別可能な配色パターンP1~P3でグループ内の領域を表示しつつ、グループ同士も区別可能な方法で表示することができる。これにより、区別可能な配色の階調数を実質的に増やすことができるので、2色覚者であっても3色覚者であっても、同一の画像を、同一の階調数で区別することができるカラーユニバーサルデザインで配色されたカラーマッピング画像を表示することができる。
【0066】
なお、本実施の形態では、
図12及び
図13に示すように、配色パターンP1と配色パターンP2の配色を異なるようにしたが、これには限られない。高さの異なる(高さの違いを確実に識別可能な)配色パターンを共通化してもよい。このような配色パターンの組み合わせを用いても、グループ毎に高さが異なるので、全ての領域を識別することができる。
【0067】
なお、本実施の形態では、3次元プリンタ4Bで3次元物体を印刷する場合について説明したが、表示装置4Aで、
図13に示される立体物を表示するようにしてもよい。この場合、グループ毎に高さを異なるようにしつつ、グループ毎に異なる周期で、配色パターンの切り換え表示又は点滅表示を行うようにしてもよい。
【0068】
なお、3色覚者であっても、2色覚者であっても同一の解像度で区別可能な配色パターンは、上述のものでなくてもよい。配色パターンは、明度及び彩度が異なり、色相が同系統となる複数の色で構成されるようにしてもよい。例えば、色相が赤である複数の色だけで配色パターンを構成するようにしてもよい。また、
図3に示すように、グレースケールで配色パターンを構成するようにしてもよい。配色パターンをグレースケールとすれば、1色覚者でも、2色覚者、3色覚者と同じ階調度で、画像を認識することができる。
【0069】
さらには、明度及び彩度が異なり、色相が同系統となる色と、無彩色とで配色パターンを構成するようにしてもよい。例えば、薄赤色と濃赤色と濃灰色と薄灰色とで、配色パターンを構成するようにしてもよい。
【0070】
なお、上記各実施の形態に係るカラーマッピング装置1A,1Bでは、様々なカラーマッピング画像データ25を表示することができる。例えば、地図上に表示される気温分布などの各種気象データや、人口分布などの各種統計データがある。
【0071】
その他、カラーマッピング装置1A,1B(コンピュータ)のハードウエア構成やソフトウエア構成は一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0072】
コンピュータの処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行するコンピュータを構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することでコンピュータを構成してもよい。
【0073】
コンピュータの機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0074】
搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS, Bulletin Board System)にコンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介してコンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0075】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、複数の領域から成る2次元画像の各領域に色を割り当てるカラーマッピングを行う場合に適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1A,1B カラーマッピング装置、2 情報処理部、3 記憶部、4A 表示装置、4B 3次元プリンタ、10 グループ生成部、11 付加情報生成部、12 配色パターン割り当て部、13 画像データ生成部、20 2次元画像データ、21 配色パターン、22 グループ情報、23 付加情報、24 配色パターン割り当て情報、25 カラーマッピング画像データ、30 内部バス、31 制御部、32 主記憶部、33 外部記憶部、34 操作部、35 表示部、36 通信部、39 プログラム、A1~A8 領域、G1,G2,G3 グループ、P 2次元画像、C1,C2,C3,C4 色、P1,P2,P3,P4,P5 配色パターン