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  • 特許-ブロックの施工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】ブロックの施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20220523BHJP
   B25B 27/08 20060101ALI20220523BHJP
   E04G 21/16 20060101ALI20220523BHJP
   E04G 21/14 20060101ALI20220523BHJP
   E01F 13/02 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
E04H6/42 A
B25B27/08
E04G21/16
E04G21/14
E01F13/02 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020025188
(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公開番号】P2021130908
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2020-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】592136635
【氏名又は名称】株式会社オーイケ
(74)【代理人】
【識別番号】100102934
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 彰
(72)【発明者】
【氏名】大池 秀実
(72)【発明者】
【氏名】大池 悦二
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-159182(JP,A)
【文献】特開2002-309526(JP,A)
【文献】特開2013-194480(JP,A)
【文献】特開2006-200336(JP,A)
【文献】特開2006-083629(JP,A)
【文献】特開2008-106587(JP,A)
【文献】登録実用新案第3112462(JP,U)
【文献】実開平07-019525(JP,U)
【文献】実開平06-085871(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/42
E04G 21/14-21/22
E01F 1/00
E01F 13/00-15/14
B25B 25/00-29/02
B25B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックを貫通するアンカーピンを用いて前記ブロックを床に固定することを有するブロックの施工方法であって、
前記ブロックは前記アンカーピンが通るガイド孔を備えており、
前記固定することは、前記ガイド孔に前記アンカーピンを通した状態で前記ブロックを前記床の所定の場所に設置することと、
前記アンカーピンをハンマードリルにより前記床に打設することとを含
前記ハンマードリルには先端が細くなったビットが装着されており、
前記アンカーピンは、中央に凹みが形成されたヘッドを含み、
前記打設することは、前記ビットの先端を前記ヘッドの凹みに合わせて打設することを含む、施工方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記打設することは、前記ビットの先端を前記ヘッドの凹みに合わせて、前記アンカーピンのヘッドが前記ブロックの上面に達するまで打設することを含む、施工方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記ブロックは、コンクリート製のブロックである、施工方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記ブロックは、車止めブロックである、施工方法。
【請求項5】
本体を貫通するアンカーピンを用いて床に固定されたブロックであって、
前記アンカーピンが通るガイド孔を備え、
前記アンカーピンは、ハンマードリルに装着された先端が細くなったビットの先端に合わせた凹みが形成されたヘッドを含む、アンカーピンを用いて床に固定されたブロック。
【請求項6】
請求項5において、
前記凹みは、直径が少なくとも2mm、深さが少なくとも2.5mmである、アンカーピンを用いて床に固定されたブロック。
【請求項7】
請求項5または6において、
前記アンカーピンのヘッドが前記ブロックの上面に達するまで打設されている、アンカーピンを用いて床に固定されたブロック。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれかにおいて、
当該ブロックは、コンクリート製である、アンカーピンを用いて床に固定されたブロック。
【請求項9】
請求項5ないし8のいずれかにおいて、
当該ブロックは、車止め用である、アンカーピンを用いて床に固定されたブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車止めブロックなどのブロックを床に固定する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、安全衛生管理面及び作業効率の面から手作業によるホールインアンカー打設作業を無くすために、ホールインアンカー用打設ホルダーを用いハンマードリルを使用する方法を提供することが記載されている。この方法においては、ホールインアンカーの端部に開口した螺孔と着脱自在に係合する突部と、この突部に続く外周の段部が前記螺孔の開口端と当接すると共にハンマードリルに取り外し自在の係止部を有する棒桿状体を形成してなるホールインアンカー用打設ホルダーを用い所望の打設個所にホールインアンカーを挿し通し、このホールインアンカーの端面に開口した螺孔内にハンマードリルの一端に取り外し自在に係止させた棒桿状の打設ホルダーの先端を着脱自在に係入させてハンマードリルの打撃作用でホールインアンカーを打設できるようにしたことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-195988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アンカーを打設する際にハンマードリルにアンカー打設専用の治具を取り付けて作業をすることにより作業スピードを大幅に改善できる。その一方、アンカーに加わる衝撃が大きくなるので、アンカーを手で保持することが難しく、アンカーの取り付け位置精度を向上することが困難となる。
【0005】
そこで、本発明においては、アンカーの打ち込み速度を向上できるとともに、位置精度も保持できる方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ブロックを貫通するアンカーピンを用いてブロックを床に固定することを有するブロックの施工方法である。ブロックはアンカーピンが通るガイド孔を備えており、固定することは、ガイド孔にアンカーピンを通した状態でブロックを床の所定の場所に設置することと、アンカーピンをハンマードリルにより床に打設することとを含む。ブロックの一例はコンクリート製のブロックであり、例えば、車止めブロック(パーキングブロック)である。厚みのあるブロックをアンカーピンでコンクリート製などの床に固定する場合、ブロックに、予め、アンカーピンが貫通するための、有底の、またはブロックを貫通する孔を、ガイド孔として設けておくことが可能である。このため、アンカーピンをガイド孔に装着した状態で、ブロックを床の所定の場所に治具などで保持したり、モルタルなどにより仮止めすることにより、床の所定の位置にアンカーピンを位置合わせできる。このため、アンカーピンを直に把持しなくてもアンカーピンをハンマードリルで打設することが可能であり、ハンマードリルで打設する際の衝撃によりアンカーピンの位置がずれることを抑制できる。したがって、アンカーピンの打ち込み速度を向上できるとともに、打設位置精度の劣化を抑制できる。
【0007】
ハンマードリルには先端が細くなったビットを装着してもよく、アンカーピンは、中央に凹みが形成されたヘッドを含んでもいてもよい。打設する際に、ビットの先端をヘッドの凹みに合わせて、アンカーピンのヘッドがブロックの上面に達するまで打設してもよい。ビットでアンカーピン以外の場所、例えば、ブロック本体や、ガイド孔のカバーなどを打つ可能性が少なく、ブロックを床に固定する際に、ブロックなどに傷がついたり損傷したりすることを防止できる。
【0008】
本発明の他の態様の1つは、本体を貫通するアンカーピンを用いて床に固定されブロックである。本体は、アンカーピンが貫通するガイド孔を備え、アンカーピンは、ハンマードリルに装着された先端が細くなったビットの先端に合わせた凹みが形成されたヘッドを含む。凹み(窪み)は、直径が少なくとも2mm、深さが少なくとも2.5mmであってもよい。アンカーピンのヘッドがブロックの上面に達するまで打設されていてもよい。ブロックは、典型的にはコンクリート製である。ブロックは、車止め用であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車止め用のブロックを床に設置する様子を示す図。
図2】ブロックを設定する様子を示す断面図。
図3】アンカーピンを打ち込む様子を示す断面図。
図4】アンカーピンを打ち込んだ様子を示す断面図。
図5】床に施工された車止め用ブロックを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に、コンクリート製の車止めブロック10をコンクリート製の床30に固定する様子を示している。車止めブロック10は、全体が片台形の断面を備えた直方体状の本体11を含み、長手方向の2か所に設けられたガイド孔12にアンカーピン20を差し込んで、床30に打設し、床30の取り付け予定の位置32に固定することができる。ガイド孔12には、反射部14を備えた樹脂製のカバー13が設けられており、アンカーピン20により本体11と一体となって床30に固定される。
【0011】
アンカーピン20は、上端に周囲に広がるヘッド22を備えており、そのヘッド22をハンマードリル50により叩くことにより、床30に打設される。ハンマードリル50は、ハンマーのような打撃と、ドリルの回転とを併用した動きを行う電動工具であり、コンクリート製の床や壁などに穴を開けるためなどに用いられる。ハンマードリル50の先端51には、用途によりドリル状のビットや先端が平らになったコールドチゼルと呼ばれるビットなどの、異なる種類のビットを交換して装着できるようになっており、本例においては、ブルポイントなどと称される先端55が細くなり、尖ったビット54が装着されている。ブルポイントタイプのビット54は、コンクリート表面をはつったり削ったりするためにも用いられる。
【0012】
アンカーピン20は、ステンレススチールなどの金属製であってもよく、上端に設けられたヘッド22は、ビット54の先端55が入る程度の凹み(窪み)25を備えている。凹み25の典型的なサイズは、直径が2mm以上、深さ2.5mm以上の円錐状または角錐状のものである。アンカーピン20の先端27には、らせん状に加工されたネジ部28が設けられていてもよい。ハンマードリル50により打撃と回転とを与えられることにより、アンカーピン20の先端27が床30に叩き込まれ、先端27のネジ部28が床30に入ることによりアンカーピン20が床30に強固に固定され、それによりブロック10が床30に強固に固定される。
【0013】
図2図4に、ブロック10を床30に固定する様子を示している。図2に示すように、ブロック10は、アンカーピン20が通る程度の直径のガイド孔12を含む。ガイド孔12はブロック10の本体11の上面16から底面15に至る貫通孔であってもよく、アンカーピン20が叩き込まれることにより底が粉砕されるような有底の穴であってもよい。また、ガイド孔12は本体11に成型された孔であってもよく、本体11に予め埋設された筒状の部材により形成されていてもよい。
【0014】
ブロック10は、ガイド孔12にアンカーピン20を通した状態で床30の所定の場所32に設置される。アンカーピン20がブロック10に差し込まれた状態で設置されてもよく、ブロック10を床30に設置した後に、アンカーピン20をガイド孔12に差し込んでもよい。ブロック10は、底面15を、接着剤あるいはモルタルで床30に一時的に固定してもよい。
【0015】
図3および図4に示すように、次に、アンカーピン20をハンマードリル50により床30に打設する。具体的には、ハンマードリル50に装着された、先端が細くなったビット54の先端55を、アンカーピン20のヘッド22の中央に設けられた凹み25に合わせて、アンカーピン20のヘッド22がブロック10の本体11の上面16に達するまで打設する。アンカーピン20は、ブロック10の本体11のガイド孔12に差し込まれているので、ハンマードリル50による打撃により、ガイド孔12に沿って動き、床30に打ち込まれる。アンカーピン20により床30に固定されるブロック10自体が、アンカーピン20を所定の位置にガイドする機能を含む。このため、アンカーピン20に対しハンマードリル50により強い衝撃が加えられても、アンカーピン20はブロック10でガイドされるために位置ずれが発生しにくく、アンカーピン20を床30の所定の位置に挿入または打設できる。このため、ブロック10を、ハンマードリル50により床30の所定の位置32に、短時間で精度よく設置することができる。
【0016】
本例の車止め用のブロック10は、上面16にガイド孔12の入り口をカバーするように樹脂製のカバー13が設けられており、アンカーピン20によりブロック10に固定される。樹脂製のカバー13は、前方に垂れ下がった反射部14と一体になっており、アンカーピン20により、反射部14がブロック10に固定される。カバー13は、アンカーピン20のヘッド22に抑え込まれ、金属製のヘッド22とコンクリート製のブロック10の上面16との間に位置し、緩衝材としての機能を果たすようになっている。このため、金属製のヘッド22がコンクリート製のブロック10に直に当たらず、ハンマードリル50による衝撃が金属製のヘッド22を介して直にコンクリート製のブロック10に伝わることがない。したがって、ハンマードリル50の衝撃によりコンクリート製のブロック10が割れたり、亀裂が入ったりすることを防止できる。
【0017】
さらに、本例では、先端55が尖ったビット54を、ヘッド22の凹み25に合わせて、アンカーピン20に対してハンマードリル50の衝撃を伝達するようにしている。したがって、ビット54がヘッド22から衝撃により外れにくく、確実にハンマードリル50の衝撃をアンカーピン20に伝達できる。さらに、ビット54がヘッド22から外れにくく、ヘッド22から外れた部分にビット54が当たらないようになっている。このため、ビット54により、コンクリート製のブロック10(ブロック本体11)が傷ついたり、樹脂製のカバー13が損傷することを防止できる。
【0018】
図5に示すように、上記のようにブロック10を施工することにより、車止めブロック(パーキングブロック)10を、駐車場35のコンクリートやアスファルトなどにより舗装された床30の所定の位置32に、ヘッド22の中央に凹み25を備えたアンカーピン20を用いて、短時間に、精度よく、固定できる。
【0019】
すなわち、車止めブロック10を、打ち込み用のアンカーピン20であって、そのヘッド部分22に、直径が2mm以上、深さが2.5mm以上の円錐形の窪み25に、コンクリートの破砕、ハツリ作業などにつかわれる先端55の尖ったハンマードリル50を使い、打ち込みピン20の窪み部分25にハンマードリル50を押し当ててピン20を打ちこむ。この方法により、車止めブロック10を床30の舗装面に固定するピン20の打ち込みの作業スピードを向上し、さらにブロック10を傷つけることなく施工できる。
【0020】
車止めブロック10を舗装された床30に固定する方法には、ブロック10の裏面15に接着剤を塗布して接着させる方法や、車止めブロックの表面から底面に向かってアンカーピン20を貫通させて固定する方法などがある。アンカーピン20を貫通させる方法では、ハンマーを使って叩き込む方法を採用してもよい。しかしながら、ハンマーでたたく場合にはかなりの力が必要になる上に、ピン20の先端(上端)22を上手く叩けない場合に、ブロック10を傷つけ破損させてしまう可能性がある。ピン20に樹脂の部品などを取付けて直接、コンクリートを叩いてしまわないようにする方法もあるがその場合でも、樹脂を叩いてしまい、部品に傷をつけてしまう可能性がある。このため、作業者は慎重に作業せざるを得ず、施工に時間を要する。また、アンカーピン20を、ハンマードリル50の先端が平面になっているツールを使って打込む方法もあるが、この場合も打ち込み時の振動でハンマードリル50の操作がぶれてしまいブロック10の表面を傷つけてしまう可能性がある。
【0021】
上述した本発明に係る施工方法およびブロック10においては、それらの問題を解決し、作業スピードと精確性の高い施工方法を提供している。アンカーピン20の表面(ヘッド)22に円錐状などの窪み25をつけ、そこにハンマードリル50のツール(ビット)54の先端55を押し当ててアンカーピン20を打込むことで、ハンマードリル50を使用してもしっかりとピン20とビット54が勘合してぶれることなく、しっかりと定位置までアンカーピン20を打ち込む事ができる。
【0022】
なお、上記においては、コンクリート製の車止めブロックを例に本発明を説明したが、ブロックは樹脂製であってもよく、アンカーピンで固定されるブロックであれば、車止めブロック以外の用途、例えば、歩車道境界ブロックなどの区域や地域の境界を示すブロックであってもよい。
【符号の説明】
【0023】
10 ブロック、 20 アンカーピン、 50 ハンマードリル
図1
図2
図3
図4
図5