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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】穿孔用医療装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20220523BHJP
【FI】
A61B18/14
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020169896
(22)【出願日】2020-10-07
(65)【公開番号】P2021065698
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2020-10-07
(31)【優先権主張番号】10-2019-0132864
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515223411
【氏名又は名称】スターメド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン、キョン・フーン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドン・ウン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヨ・ハン
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-072522(JP,A)
【文献】米国特許第09743984(US,B1)
【文献】特表2011-500156(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0161795(US,A1)
【文献】特表2017-512569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れ得るチューブと、
前記チューブの近位端部に結合されるハンドル部と、
前記チューブの遠位端部に結合される電極チップと、
前記チューブ内に流体を注入するための流体注入部と、
前記チューブに形成される1つ以上の開口部と、
前記チューブ内に配置され、前記電極チップと一体に形成されるガイド部材とを含み、
前記ガイド部材は、前記チューブの遠位端部の内部直径に対応する外部直径を有する円筒部と、直径が前記円筒部から小さくなるとともに前記円筒部の端部で終端するように前記円筒部から形成される傾斜部とを含み、
前記円筒部の端部は、前記開口部の中心部に位置している、医療装置。
【請求項2】
前記ガイド部材の傾斜部は、円錐状あることを特徴とする、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記ガイド部材の傾斜部は、前記チューブの中心軸線に対して20~60゜の傾斜を有することを特徴とする、請求項1に記載の医療装置。
【請求項4】
前記電極チップは、X線不透過性物質で形成されることを特徴とする、請求項1に記載の医療装置。
【請求項5】
前記チューブは、絶縁体でコーティングされるが、ディップコーティングたはスプレーコーティングたは熱収縮チューブコーティングれることを特徴とする、請求項1に記載の医療装置。
【請求項6】
一端が前記電極チップまたは前記チューブの遠位端部に連結され、他端が前記ハンドル部まで延びるワイヤをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の医療装置。
【請求項7】
前記ハンドル部にスライド移動または回転可能に設けられるワイヤ操作部をさらに含み、
前記ワイヤの他端は、前記ワイヤ操作部に連結されることを特徴とする、請求項に記載の医療装置。
【請求項8】
前記チューブは、近位端部の厚さよりも、遠位端部の厚さがより薄く形成されるように、少なくとも一部の区間がテーパに形成されることを特徴とする、請求項に記載の医療装置。
【請求項9】
前記チューブは、前記ハンドル部が結合される第1チューブと、前記電極チップが結合される第2チューブとを含み、
前記第1チューブは、剛性材質で形成され、前記第2チューブは、可撓性有する材質で形成されることを特徴とする、請求項に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置に関し、より詳しくは、穿孔(puncturing)および流体の注入が可能な医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
組織を通して穿孔部またはチャンネルを形成するために多様な形態の穿孔(puncturing)装置が用いられる。前記装置は多様な穿孔手段、例えば、機械的、電気的または光学的穿孔手段を用いることができる。典型的に、前記装置が、拡張器(dilator)またはシース(sheath)のような管状装置を介して患者の体内に挿入される。複数の適用例において、使用者は、穿孔作業前、後または穿孔作業の間に前記装置を介して流体を挿入したり抜き取ることを希望することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開第2016-152938号公報(2016.08.25.公開)
【文献】米国公開特許第2016-0158509号公報(2016.06.09.公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、穿孔(puncturing)および流体の注入が可能な医療装置を提供することを目的とする。
【0005】
本発明がなそうとする技術的課題は以上に述べた技術的課題に限定されず、述べていないさらに他の技術的課題は以下の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための、本発明の一実施例は、流体が流れ得るチューブと、前記チューブの近位端部に結合されるハンドル部と、前記チューブの遠位端部に結合される電極チップと、前記チューブ内に流体を注入するための流体注入部と、前記チューブに形成される1つ以上の開口部と、前記チューブ内に配置され、前記開口部を通して噴射される流体の方向をガイドするために傾斜部を有するガイド部材とを含む、医療装置を提供する。
【0007】
本発明の一実施例によれば、前記ガイド部材は、前記電極チップから前記開口部が形成された位置まで延びることができる。
【0008】
本発明の一実施例によれば、前記ガイド部材は、前記電極チップと一体に形成される。
【0009】
本発明の一実施例によれば、前記ガイド部材の傾斜部は、円錐状(conical)であってもよい。
【0010】
本発明の一実施例によれば、前記ガイド部材の傾斜部は、前記チューブの中心軸線に対して20~60゜の傾斜を有することができる。
【0011】
本発明の一実施例によれば、前記ガイド部材は、円筒部と、前記円筒部から直径が小さくなるように形成される前記傾斜部とを含むことができる。
【0012】
本発明の一実施例によれば、前記傾斜部は、前記開口部の一端部から中心部まで延びることができる。
【0013】
本発明の一実施例によれば、前記電極チップは、X線不透過性物質で形成される。
【0014】
本発明の一実施例によれば、前記チューブは、絶縁体でコーティングされるが、ディップコーティング(dip coating)またはスプレーコーティング(spray coating)または熱収縮チューブコーティング(heat shrink tubing)されてもよい。
【0015】
本発明の一実施例によれば、一端が前記電極チップまたは前記チューブの遠位端部に連結され、他端が前記ハンドル部まで延びるワイヤをさらに含んでもよい。
【0016】
本発明の一実施例によれば、前記ハンドル部にスライド移動または回転可能に設けられるワイヤ操作部をさらに含み、前記ワイヤの他端は、前記ワイヤ操作部に連結される。
【0017】
本発明の一実施例によれば、前記チューブは、近位端部の厚さよりも、遠位端部の厚さがより薄く形成されるように、少なくとも一部の区間がテーパに形成される。
【0018】
本発明の一実施例によれば、前記チューブは、前記ハンドル部が結合される第1チューブと、前記電極チップが結合される第2チューブとを含み、前記第1チューブは、剛性(rigidity)の材質で形成され、前記第2チューブは、可撓性(flexibility)を有する材質で形成される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、穿孔(puncturing)作業とともに流体の注入が可能であるが、流体の噴射方向がガイド部材によってガイド可能なため、流体が前方に向かって妨げられることなく効果的に噴射できる。
【0020】
また、電極チップの位置を確認できるように視認性を確保して穿孔(puncturing)作業を容易に行うことができる。
【0021】
さらに、チューブが絶縁体でコーティングされるが、ディップコーティングまたはスプレーコーティングまたは熱収縮チューブコーティングされることにより、外部衝撃または焼灼時に発生する熱によってコーティングが破損するのを防止可能で、仕上げ完成度および耐久性が強化できる。
【0022】
本発明の効果は上記の効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載の発明の構成から推論可能なあらゆる効果を含むことが理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施例による医療装置を示す正面図。
図2図1の遠位端部側の一部を拡大して示す正面図。
図3図2の断面図。
図4】本発明の他の実施例による医療装置を示す正面図。
図5図4の近位端部側の一部を拡大して示す正面図。
図6図4の遠位端部側の一部を拡大して示す正面図。
図7図6の断面図。
図8】本発明のさらに他の実施例による医療装置の遠位端部側の一部を拡大して示す断面図。
図9】本発明の一実施例による医療装置を用いる方法を示す図。
図10】本発明の一実施例による医療装置を用いる方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の医療装置に対する望ましい実施例を、添付した図面を参照して説明する。
【0025】
また、後述する用語は本発明における機能を考慮して定義された用語であって、これは使用者、運用者の意図または慣例によって異なり、以下の実施例は本発明の権利範囲を限定するものではなく、本発明の請求の範囲に提示された構成要素の例示的な事項に過ぎない。
【0026】
本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに備えることができることを意味する。
【0027】
まず、図1~3を参照して、本発明の第1実施例による医療装置1に関して説明する。
【0028】
本発明の第1実施例による医療装置1は、大きく、チューブ100と、ハンドル部200と、電極チップ300と、流体注入部500と、電気エネルギー供給部600と、ガイド部材とを含むことができる。
【0029】
チューブ100は、流体を伝達するための部分で内部を通して流体が流れることができ、近位端部102と遠位端部104とを有するように延びる。ここで、近位端部102は、医療装置を使う使用者に近い端部をいい、遠位端部104は、使用者から遠い端部をいう。ここで、チューブ100は、1つの管からなってもよいことはもちろん、複数の管が互いに連結されて1つのチューブをなしてもよい。例えば、チューブ100は、2つの管からなるが、1つの管が他の1つの管に一定部分挿入されることにより連結されてもよい。
【0030】
チューブの近位端部102にはハンドル部200が結合されており、チューブの遠位端部104には電極チップ300が結合されている。ハンドル部200は、医療装置を使う時、体外に位置して使用者が掴んだり操作するための部分に相当する。電極チップ300は、電気エネルギーを受けて体内部位を焼灼して穿孔を形成するための部分で、少なくとも一部がチューブの遠位端部104から突出するように結合される。本実施例において、電極チップ300は、丸いヘッドを有し、チューブの遠位端部104から丸いヘッドが突出するように結合されている。
【0031】
流体注入部500は、チューブ100内に流体を注入するための部分に相当するもので、使用者が流体注入部500に注射器などを連結して流体を注入することができる。本実施例において、チューブ100はハンドル部200の内部まで延び、流体注入部500もハンドル部200の内部まで延びてチューブ100と連通する。
【0032】
電気エネルギー供給部600は、電極チップ300に電気エネルギーを供給するための部分に相当するもので、無線周波数(RF)発生器から発生する無線周波数(RF)電気エネルギーが供給部600を介して電極チップ300に供給できる。無線周波数発生器は、患者の体内部位を穿孔するのに適した程度の無線周波数を発生させ、例えば、200kHz~3.3MHzの範囲で作動できる。
【0033】
具体的には、電気エネルギー供給部600は、ハンドル部200の内部まで延びてチューブ100と電気的に連結される。例えば、電気エネルギー供給部600は、無線周波数発生器に電気的に連結されたプラグ(plug)と電気的に連結可能なジャック(jack)であってもよいし、ジャックとチューブ100とは直接的に連結されてもよく、別の導電性ワイヤで連結されてもよい。これによって、無線周波数電気エネルギーが供給部600からチューブ100を経て電極チップ300まで伝達可能であり、電極チップ300を介して患者の体内部位に加えられて体内部位を貫通する穿孔を形成するのである。このために、本実施例において、前記チューブ100は、生体適合性を有し、電極チップ300と同じく、電気伝導性材料で形成される。ここで、生体適合性(biocompatibility)とは、外科的治療過程の間に身体内で利用するのに適した材料を指す。前記チューブ100の材料は、例えば、ステンレス鋼、銅、チタンおよびニッケルチタン合金(例えば、ニチノール(NITINOL))を含む。しかし、これに限定されるものではなく、チューブが電気伝導性材料で形成されていない場合(例えば、チューブがプラスチックで形成された場合)には、電気エネルギー供給部から電極チップまで電気エネルギーを伝達するための別のワイヤがさらに備えられてもよい。
【0034】
チューブ100が電気伝導性材料で形成された場合、チューブ100は、絶縁体でコーティングされるが、ディップコーティング(dip coating)またはスプレーコーティング(spray coating)または熱収縮チューブコーティング(heat shrink tubing)されてもよい。
【0035】
ここで、ディップコーティングとは、被コーティング物(チューブ)をコーティング液(solution)に浸してから再度一定速度で取り出して硬化させるコーティング方法をいい、スプレーコーティングとは、噴霧器ノズルを介してコーティング液を被コーティング物の表面に噴霧状態で噴出してコーティングする方法をいう。また、熱収縮チューブコーティングとは、コーティング液ではない熱によって収縮可能なチューブを用いた方式で、被コーティング物に熱収縮チューブを被せて熱風機(heat gun)を用いて一定温度で熱を加えてチューブを収縮させることによりコーティングする方法をいう。前記コーティング方法は、すべて表面が均一で絶縁性に優れるという利点がある。
【0036】
このように、チューブがコーティングされることにより、外部衝撃または焼灼時に発生する熱によってコーティングが破損するのを防止可能で、仕上げ完成度および耐久性が強化できる。例えば、絶縁体は、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)、パリレン(parylene)、ポリイミド(polyimides)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terepthalate、PET)、ポリエーテルブロックアミド(polyether block amide)、およびポリエーテルエーテルケトン(Polyether ether ketone)のうちのいずれか1つまたはこれらの組み合わせであってもよい。
【0037】
次に、図2および3を参照して、流体注入部500を通してチューブ100内に注入された流体がチューブ100の外に噴射される構造を説明する。
【0038】
チューブ100には開口部120が1つ以上形成され、開口部120を通してチューブ100内の流体が外に噴射できる。本実施例では、2つの開口部120がチューブの遠位端部104に互いに向かい合うように形成されており、チューブの近位端部102から注入されてチューブの遠位端部104まで流れた流体が2つの開口部120を通して両側に噴射できる。
【0039】
この時、開口部120を通して噴射される流体の方向をガイドするために、傾斜部を有するガイド部材がチューブ100内に配置される。ガイド部材の傾斜部が開口部120を通して噴射される流体が特に前方に向かって、すなわち遠位側に向かって噴射されるようにする。
【0040】
ガイド部材は、電極チップ300から開口部120が形成された位置まで延びることができ、本実施例において、ガイド部材は、電極チップ300と一体に形成されている。しかし、これに限定されるものではなく、別のガイド部材が電極チップ300に結合されてもよいことはもちろんである。
【0041】
具体的には、ガイド部材は、円筒部310と、円筒部310から直径が小さくなるように形成される傾斜部320とを含むことができる。円筒部310は、チューブ100の遠位側端部から開口部120の遠位側端部まで延びることができ、特にチューブの遠位端部104の内部直径に対応する外部直径を有し、流体が開口部120を越えて遠位側に流動しないようにできる。傾斜部320は、開口部120の遠位側端部から開口部120の中心部まで延びることができる。傾斜部320は、円錐状(conical)であることが好ましく、特に、傾斜部320は、チューブ100の中心軸線に対して20~60゜の傾斜を有することが好ましい。しかし、これに限定されるものではなく、前記傾斜部は、多角軸など傾斜が形成された多様な実施例を含むことができる。
【0042】
これによって、チューブの近位端部102から注入されてチューブの遠位端部104まで流れた流体が開口部120を通して噴射されるが、傾斜部320に沿ってスムーズに前方へ方向がガイドされる。すなわち、本発明は、従来のように流体が電極チップに衝突して速度が減少しながら不規則に噴射されず、傾斜部320によって流体が前方外側に向かってスムーズにガイドされて、妨げられることなく流体が加圧されただけ高い速度で噴射できるのである。
【0043】
次に、図4~7を参照して、本発明の第2実施例による医療装置2に関して説明する。
【0044】
本発明の第2実施例による医療装置2は、大きく、チューブ2100と、ハンドル部2200と、電極チップ2300と、流体注入部2500と、電気エネルギー供給部2600と、ガイド部材と、ワイヤ操作部2700と、ワイヤ2800とを含むことができる。
【0045】
チューブ2100は、流体を伝達するための部分で内部を通して流体が流れることができ、近位端部2102と遠位端部2104とを有するように延びる。チューブの近位端部2102にはハンドル部2200が結合されており、チューブの遠位端部2104には電極チップ2300が結合されている。電極チップ2300は、電気エネルギーを受けて体内部位を焼灼して穿孔を形成するための部分で、少なくとも一部がチューブの遠位端部2104から突出するように結合される。
【0046】
本実施例において、ハンドル部2200には、ワイヤ操作部2700がスライド移動可能に設けられている。ワイヤ操作部2700は、以下に説明するように、ワイヤ2800を操作するための部分に相当するもので、ワイヤ2800の近位側端部が連結されていて、ワイヤ2800を引いたり押すことができる。具体的には、ハンドル部2200には一定長さのホールが形成され、前記ホールを介してワイヤ操作部2700がスライド移動可能に設けられる。しかし、これに限定されるものではないし、ワイヤ操作部は、ハンドル部に回転可能に設けられてもよい。
【0047】
流体注入部2500は、チューブ2100内に流体を注入するための部分に相当するもので、図5に示されるように、本実施例において、チューブ2100はハンドル部2200の内部まで延び、流体注入部2500もハンドル部2200の内部まで延びてチューブ2100と連通する。
【0048】
電気エネルギー供給部2600は、電極チップ2300に電気エネルギーを供給するための部分に相当するもので、無線周波数(RF)発生器から発生する無線周波数(RF)電気エネルギーが供給部2600を介して電極チップ2300に供給できる。図5に示されるように、本実施例において、電気エネルギー供給部2600は、ハンドル部2200の内部まで延びてチューブ2100と電気的に連結できる。これによって、無線周波数電気エネルギーが供給部2600からチューブ2100を経て電極チップ2300まで伝達可能であり、電極チップ2300を介して患者の体内部位に加えられて体内部位を貫通する穿孔を形成するのである。
【0049】
図6および7を参照して、流体注入部2500を通してチューブ2100内に注入された流体がチューブ2100の外に噴射される構造を説明すれば、前記第1実施例で説明した通りである。
【0050】
チューブ2100には開口部2120が1つ以上形成され、開口部2120を通してチューブ2100内の流体が外に噴射できる。この時、開口部2120を通して噴射される流体の方向をガイドするために傾斜部を有するガイド部材がチューブ2100内に配置される。ガイド部材は、電極チップ2300から開口部2120が形成された位置まで延びることができ、本実施例において、ガイド部材は、電極チップ2300と一体に形成されている。ガイド部材は、円筒部2310と、円筒部2310から直径が小さくなるように形成される傾斜部2320とを含むことができる。これによって、チューブの近位端部2102から注入されてチューブの遠位端部2104まで流れた流体が開口部2120を通して噴射されるが、傾斜部2320に沿ってスムーズに前方へ方向がガイドされる。
【0051】
また、本実施例による医療装置2は、ステアリング(steering)機能のために一端が電極チップ2300またはチューブの遠位端部2104に連結され、他端がハンドル部2200まで延びるワイヤ2800をさらに含む。本実施例において、ワイヤ2800は、近位側端部がワイヤ操作部2700に連結され、遠位側端部が電極チップ2300の末端、すなわち傾斜部2320の末端に連結されている。これによって、使用者がワイヤ操作部2700を使用者側に引くと、電極チップ2300の末端に連結されたワイヤ2800がともに引かれ、チューブの遠位端部2104が使用者側により湾曲するようになる。
【0052】
このために、図7に示されるように、チューブ2100は、近位端部2102の厚さよりも、遠位端部2104の厚さがより薄く形成されるように、少なくとも一部の区間2106がテーパに形成される。これに限定されるものではないが、図7では、チューブの近位端部2102の厚さが、チューブの遠位端部2104の厚さの約2倍に相当するように示されている。これによって、チューブの近位端部2102は剛性を維持しながらも、チューブの遠位端部2104は湾曲可能に可撓性が高くなるのである。
【0053】
次に、図8を参照して、本発明の第3実施例による医療装置を説明する。本発明の第3実施例による医療装置は、上記で説明した第2実施例による医療装置2とチューブの構造のみ異なり、残りはすべて同一であるので、チューブを重点的に説明する。
【0054】
本実施例において、チューブ3100は、ハンドル部が結合される第1チューブ3102と、電極チップ3300が結合される第2チューブ3104とを含み、第1チューブ3102は、剛性(rigidity)の材質で形成され、第2チューブ3104は、可撓性(flexibility)を有する材質で形成される。この時、第1チューブ3102は、チューブの近位端部に相当するものであり、第2チューブ3104は、チューブの遠位端部に相当するものである。これによって、チューブの近位端部は剛性を維持して柱強度(column strength)を提供しながらも、チューブの遠位端部は湾曲可能に可撓性を提供することができ、使用者がワイヤ操作部を使用者側に引くと、電極チップ3300の末端に連結されたワイヤ3800がともに引かれ、第2チューブ3104が使用者側により湾曲可能になる。例えば、前記第1チューブ3102は、ステンレス鋼で製造可能であり、前記第2チューブ3104は、ニチノール(NITINOL)のようなニッケルチタン合金から製造可能である。
【0055】
以下では、図9および10を参照して、本発明の第1実施例による医療装置1を用いる方法に関して説明する。本実施例において、穿孔を形成するための体内部位は、患者の心臓内にある組織、例えば、心臓の心房中隔10に相当する。このような目標部位は、下大静脈(IVC)を通して、例えば大腿静脈を通して接近できる。
【0056】
まず、図9を参照すれば、使用者が下大静脈20を通してシース50および拡張器60を心臓の右心房中に挿入することができる。具体的には、使用者はガイドワイヤを大腿静脈、一般的に右側大腿静脈に導入して心臓内部に挿入させた後、シース50と拡張器60をガイドワイヤに沿って心臓内部に挿入させることができる。その後、ガイドワイヤは除去され、シース50および拡張器60の内部に本発明の医療装置1が挿入され、使用者は拡張器60の遠位端部が目標部位の心房中隔10に接するように位置決定可能である。この時、医療装置1の電極チップ300は、拡張器60の遠位端部と位置合わせられる。これを容易に行うために、電極チップ300は、白金(Pt)またはイリジウム(Ir)で形成される。白金、イリジウムはX線不透過性物質に相当するので、X線透視法下で使用者が電極チップ300の位置を容易に確認できるからである。このように、視認性が確保可能なため、使用者が電極チップ300の位置決定を容易に行うことができる。
【0057】
拡張器60の遠位端部が心房中隔10の卵円窩に対して配列されると、電極チップ300が心房中隔10と接触し、電極チップ300に電気エネルギーを供給する。すなわち、無線周波数発生器で発生する無線周波数電気エネルギーが供給部600からチューブ100を経て電極チップ300まで伝達されるようにする。これによって、電極チップ300によって心房中隔10にエネルギーが伝達されて焼灼可能であり、心房中隔10には穿孔が形成される。
【0058】
図10に示されるように、穿孔が形成されると、医療装置1のチューブ100の遠位端部が穿孔を通過して左心房に到達できる。その後、エネルギーの伝達は中止され、流体注入部500を通してチューブ100内に流体が注入可能である。流体は、例えば、造影剤であってもよいし、チューブ100内に注入された造影剤がチューブの遠位端部104に伝達され、開口部120を通して左心房内に噴射される。この時、開口部120を通して噴射される流体は、ガイド部材によって前方外側に向かってスムーズに誘導されて効果的に噴射される。
【0059】
本発明は、上述した特定の実施例および説明に限定されず、請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば誰でも多様な変形実施が可能であり、そのような変形は本発明の保護範囲内にある。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
流体が流れ得るチューブと、
前記チューブの近位端部に結合されるハンドル部と、
前記チューブの遠位端部に結合される電極チップと、
前記チューブ内に流体を注入するための流体注入部と、
前記チューブに形成される1つ以上の開口部と、
前記チューブ内に配置され、前記開口部を通して噴射される流体の方向をガイドするために傾斜部を有するガイド部材とを含む、医療装置。
[2]
前記ガイド部材は、前記電極チップから前記開口部が形成された位置まで延びることを特徴とする、[1]に記載の医療装置。
[3]
前記ガイド部材は、前記電極チップと一体に形成されることを特徴とする、[2]に記載の医療装置。
[4]
前記ガイド部材の傾斜部は、円錐状(conical)であることを特徴とする、[1]に記載の医療装置。
[5]
前記ガイド部材の傾斜部は、前記チューブの中心軸線に対して20~60゜の傾斜を有することを特徴とする、[1]に記載の医療装置。
[6]
前記ガイド部材は、
円筒部と、
前記円筒部から直径が小さくなるように形成される前記傾斜部とを含むことを特徴とする、[2]に記載の医療装置。
[7]
前記傾斜部は、前記開口部の一端部から中心部まで延びることを特徴とする、[6]に記載の医療装置。
[8]
前記電極チップは、X線不透過性物質で形成されることを特徴とする、[1]に記載の医療装置。
[9]
前記チューブは、絶縁体でコーティングされるが、ディップコーティング(dip coating)またはスプレーコーティング(spray coating)または熱収縮チューブコーティング(heat shrink tubing)されることを特徴とする、[1]に記載の医療装置。
[10]
一端が前記電極チップまたは前記チューブの遠位端部に連結され、他端が前記ハンドル部まで延びるワイヤをさらに含むことを特徴とする、[1]に記載の医療装置。
[11]
前記ハンドル部にスライド移動または回転可能に設けられるワイヤ操作部をさらに含み、
前記ワイヤの他端は、前記ワイヤ操作部に連結されることを特徴とする、[10]に記載の医療装置。
[12]
前記チューブは、近位端部の厚さよりも、遠位端部の厚さがより薄く形成されるように、少なくとも一部の区間がテーパに形成されることを特徴とする、[10]に記載の医療装置。
[13]
前記チューブは、前記ハンドル部が結合される第1チューブと、前記電極チップが結合される第2チューブとを含み、
前記第1チューブは、剛性(rigidity)の材質で形成され、前記第2チューブは、可撓性(flexibility)を有する材質で形成されることを特徴とする、[10]に記載の医療装置。
【符号の説明】
【0060】
1、2:医療装置
100、2100、3100:チューブ
102、2102、3102:近位端部、第1チューブ
104、2104、3104:遠位端部、第2チューブ
120、2120:開口部
200、2200:ハンドル部
300、2300、3300:電極チップ
310、2310:円筒部
320、2320:傾斜部
500、2500:流体注入部
600、2600:電気エネルギー供給部
2700:ワイヤ操作部
2800、3800:ワイヤ
図1
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図3
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図8
図9
図10