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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】排泄物処理方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 11/04 20060101AFI20220523BHJP
   A47K 11/06 20060101ALI20220523BHJP
   A61F 5/44 20060101ALI20220523BHJP
   A61G 9/00 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
A47K11/04
A47K11/06
A61F5/44 S
A61G9/00 N
A61G9/00 R
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020551073
(86)(22)【出願日】2018-10-09
(86)【国際出願番号】 JP2018037543
(87)【国際公開番号】W WO2020075217
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】515016684
【氏名又は名称】株式会社プロモート
(74)【代理人】
【識別番号】100076255
【弁理士】
【氏名又は名称】古澤 俊明
(72)【発明者】
【氏名】菅原 良彦
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/139424(WO,A1)
【文献】特許第5254498(JP,B1)
【文献】特開2016-032552(JP,A)
【文献】特開2014-062410(JP,A)
【文献】特開平11-244193(JP,A)
【文献】特開2002-045307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 11/04
A47K 11/06
A61F 5/44
A61G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の股間にセットされるカップ15を制御するカップ制御部10と、前記カップ制御部10からの吸引を制御する吸引・圧送制御部11とを具備し、前記カップ15を、おむつ100を介在して装着した時のカップ15の内部から前記カップ15の排便吸引管19、配管44、吸引弁31、汚水タンク25の内部、吸引・圧送口30、空気配管43、臭気フィルタボックス41、圧力センサー42、切換え弁27の送風側Aの一方、サクションモーター26、切換え弁27の送風側Aの他方、送風管65、冷却ボックス66、リターンボックス67、カップ15の送風管20、カップの内部に戻るというエアー循環路を形成し、循環するエアの一部を前記リターンボックス67に設けたフィルター69を経て排気絞り弁68から外気に排気し、その排気量を前記おむつ100の隙間から吸引して臭気を外気に放出しないようにし、
前記圧力センサー42によりエアー循環路における前記おむつ100の隙間からのエアーの吸引に伴う圧力変化を検出し、この圧力の高低によりおむつ100の装着が正常かどうかを判定するようにしたことを特徴とする排泄物処理方法。
【請求項2】
利用者の股間にセットされるカップ15を制御するカップ制御部10と、前記カップ制御部10からの吸引を制御する吸引・圧送制御部11とを具備し、
前記カップ15に接続された汚水タンク25の吸引側の吸引弁31は、弁取り付け板81に吸排孔82が設けられ、この吸排孔82に汚水タンク25の配管44を気密に取り付け、この弁取り付け板81の一端に設けた回転軸88に弾性を有する揺動アーム84を揺動自在に取り付け、この揺動アーム84に押圧調節ねじ89を進退自在に設け、この押圧調節ねじ89の下端部をスライダー83に圧接し、前記吸排孔82の全周囲に内側に膨出縁86を形成し、この膨出縁86に連続して同一高さのガイドレール87を前記スライダー83の揺動方向に設け、前記弁取り付け板81に、前記回転軸88と反対側に弧状のガイド溝85を形成し、このガイド溝85に前記揺動アーム84の先端部84aを摺動自在に嵌合したことを特徴とする排泄物処理装置。
【請求項3】
前記膨出縁86に接して摺動する前記スライダー83の縁部に刃形部92を形成したことを特徴とする請求項2記載の排泄物処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝たきりの又は歩行の不自由な利用者が股間に差し込み便器(カップ)をセットして排便をしたときに処理をする排泄物処理装置であって、この排泄物処理装置に貯留した汚水を汚水タンクから直接外部へ排出するようにした排泄物処理方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種の排泄物処理装置は、種々提案されているがいずれも汚水タンクを排泄物本体から取り出して水洗便器等まで運んで流し込むものである。
特許文献1には、高い消臭効果を得るため、便器の周囲に浄化剤生成供給手段として、オゾン発生器、タンクアッセンブリ、泡発生タンク、圧縮エア供給部が設けられ、アッパカバーが開放されると、オゾン含有泡の集合体である浄化剤が便器内に供給されるようにしたものが記載されている。
前記オゾン発生器は、オゾンガスを発生させる装置であり、清浄な乾燥空気又は酸素中で無声放電を行わせるもの(オゾナイザ)やO3ランプを利用するものなどからなる。
前記タンクアッセンブリは、メインタンク、ウォッシャタンク、ウォータタンク、定量混合タンク、A液(水)タンク、B液(界面活性剤溶液)タンクで構成されている。
前記泡発生タンクは、ハウジング本体と、ハウジング底部を備えている。
前記圧縮エア供給部は、エアタンクと、このエアタンク内に弾性支持体でフローティング支持されたコンプレッサ及びモータによって構成されている。
【0003】
特許文献2には、便鉢の洗浄水が少なくて済むことを目的としたポータブルトイレが記載されている。
このポータブルトイレは、移動可能な稼動ベースと、この稼動ベースに設置された便鉢と、この便鉢の下側に配置されたバケットと、前記便鉢の上側に配置された便座と、前記便鉢に鉢洗浄水を供給する手段とを有し、前記便鉢洗浄水供給手段は、前記便鉢の後部に配置され、便鉢内部に向かって水をスプレーするスプレーノズルを備え、タンク内の水は、配管、ポンプ、三方切替え弁、配管、を介してスプレーノズルへ供給し、また、タンク内の水は、この三方切替え弁から分岐した配管、ヒータを介して温水とされ、温水洗浄ノズルへ供給する。便座に着座して用便を行った後、温水洗浄ノズルによって臀部を乾燥させる。その後、スプレーノズルから水をスプレーし、便鉢の洗浄を行う。スプレーノズルから水をスプレーして便鉢を洗浄するため、水の使用量が少なく、バケットの洗浄やタンクへの注水回数が少なくて済む、としている。
【0004】
特許文献3には、上部の便鉢部と下部の汚物貯留槽とを有する汚物ポットであって、便鉢部の下端部の蓋体で閉鎖するに際し、シールを確実にして臭気の漏れを防止するものが記載されている。
この目的を達成するため、汚物ポットに上部の便鉢部と、容器状を成す下部の汚物貯留槽と、便鉢部の下端部の開口を閉鎖する蓋体とを設ける。そして開口の内周面には、テーパ形状の雌嵌合面を形成するとともに、蓋体には雌嵌合面に嵌合する雄嵌合面を形成してそれらを嵌合させるようになし、且蓋体の雄嵌合面は開口の雌嵌合面のテーパ角度よりきつい急角度の面となすように構成されている。
【0005】
特許文献4には、移動可能なトイレの本体の上に開閉可能な便座があり、この便座の上に蓋が被せられ、前記便座の下には、排泄物を受け取る取り出し可能なバケツが設けられ、このバケツの下には、泡水タンクが配置され、この泡水タンク内で発生した泡を定期的に筒管を通って前記バケツの上端側方からバケツ内に排出してバケツ内の排泄物を常に泡で覆うようにした装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-244193号公報
【文献】特開2002-45307号公報
【文献】特開2002-200005号公報
【文献】特開2008-18188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示される装置は、便器の周囲に浄化剤生成供給手段として、オゾン発生器、タンクアッセンブリ、泡発生タンク、圧縮エア供給部が設けられ、アッパカバーが開放されると、オゾン含有泡の集合体である浄化剤が便器内に供給されるようにしたものが記載され、高い消臭効果が得られるとしているが、構造が極めて複雑で、高価になるという問題があった。
特許文献2に示される装置は、排泄後は、臀部と鉢部をスプレーノズルで洗浄するが、排泄物は、便鉢の下に設置したバケットに収納し、蓋をするだけであるため、臭いが外部に発散するのを抑制することができないという問題があった。
特許文献3に示される装置は、汚物ポットを構成する便鉢部と、その下部の汚物貯留槽との開口をテーパ形状の雌雄嵌合面の蓋体で蓋をすることが記載されているが、排便中の臭いの発散を抑えることができないという問題があった。
特許文献4に示される装置は、バケツの中に所定時間毎に泡を供給することが記載されているが、排泄物がバケツに直接貯めておくために用便後に時間の経過とともに泡が消えて臭いが発散するという問題があった。
特に、水洗式の装置は、節水型とはいえ1回につき少なくとも4~5リットルの洗浄水を使用しないと、便器内の汚物がタンクやバケツ内に流れていかず、部屋の中に臭気が充満することになる。また、1回に付き4~5リットルの洗浄水を使用するため、洗浄水タンクと汚物を収納するタンクもともに40~50リットルの大容量のものを使用しなければならず、装置全体の小型化が困難であった。
【0008】
本発明は、排泄物処理装置の本体内の汚水タンクに貯留した汚水を直接空気圧で外部へ排出するようにして汚水タンクから発生する臭いの問題点をなくした排泄物処理方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による排泄物処理装置は、
本体カバー73の内部一端側に汚水タンク25を配置し、この汚水タンク25の天板部に、吸引弁31を介して配管44を結合し、また、前記天板部に、前記汚水タンク25から外部の空気配管43に連通する吸引・圧送口30を形成し、さらに、前記天板部に、汚水粉砕装置33の粉砕モーター34を取り付け、この粉砕モーター34の回転軸34aを前記汚水タンク25の内部に垂下して粉砕羽根35を設け、前記汚水タンク25の底部に圧送弁32を介して外部排出部13に結合するための外部圧送管45に結合してなることを特徴とする。
【0010】
本発明による排泄物処理装置は、
内部の汚水タンク25に対峙した本体カバー73の外側に、前記配管44とカップ15の排便吸引管19を着脱自在に連結するためのジョイント盤23を設け、このジョイント盤23には、さらに、前記カップ15への送風管20と送水管21が着脱自在に設けられるとともに、前記カップ15への電気コード22が着脱自在に接続されるワイヤレス給電部24が設けられ、前記ジョイント盤23の下方部の前記本体カバー73に、外部圧送管45と外部排出部13を結合するための外部接続ジョイント48を設けてなることを特徴とする。
【0011】
本発明による排泄物処理装置は、
本体カバー73の内部他端側に、下部にサクションモーター26を配置し、このサクションモーター26の上部に、洗浄水タンク53を着脱自在に設け、前記本体カバー73の内部の前記サクションモーター26と汚水タンク25の間に、サクションモーター26による吸引と圧送の切換えをする切換え弁27、前記空気配管43に設けられたミストフィルター40、臭気フィルター41、圧力センサー42、前記切換え弁27と前記カップ15との間を結合する送風管65に設けられた冷却ボックス66、リターンボックス67を配置したことを特徴とする。
【0012】
本発明による排泄物処理装置は、
利用者の股間にセットされるカップ15を制御するカップ制御部10と、前記カップ制御部10からの吸引を制御する吸引・圧送制御部11とを具備し、前記カップ15をおむつ100を介在して装着した時のカップ15の内部から前記カップ15の排便吸引管19、配管44、吸引弁31、汚水タンク25の内部、吸引・圧送口30、空気配管43、臭気フィルタボックス41、圧力センサー42、切換え弁27の送風側Aの一方、サクションモーター26、切換え弁27の送風側Aの他方、送風管65、冷却ボックス66、リターンボックス67、カップ15の送風管20、カップの内部に戻るというエアー循環路を形成し、循環するエアの一部を前記リターンボックス67に設けたフィルター69を経て排気絞り弁68から外気に排気し、その排気量を前記おむつ100の隙間から吸引して臭気を外気に放出しないようにしたことを特徴とする。
【0013】
本発明による排泄物処理装置は、
前記圧力センサー42によりエアー循環路における前記おむつ100の隙間からのエアーの吸引に伴う圧力変化を検出し、この圧力の高低によりおむつ100の装着が正常かどうかを判定するようにしたことを特徴とする。
【0014】
本発明による排泄物処理装置は、
利用者の股間にセットされるカップ15を制御するカップ制御部10と、前記カップ制御部10からの吸引と汚水タンク25からの外部排出部13への圧送とを制御する吸引・圧送制御部11と、前記汚水タンク25に貯留した汚水を圧送排出する外部排出部13とを具備し、
前記外部排出部13は、外部接続ジョイント48に排水管50を延長し水洗便器49の排出トラップ51に挿入して下水配管52に流し込むようにしたことを特徴とする。
【0015】
本発明による排泄物処理装置は、
利用者の股間にセットされるカップ15を制御するカップ制御部10と、前記カップ制御部10からの吸引と汚水タンク25からの外部排出部13への圧送とを制御する吸引・圧送制御部11と、前記汚水タンク25に貯留した汚水を圧送排出する外部排出部13とを具備し、
前記外部排出部13は、下水配管52の床上掃除口110に、連結具111によって排水管50を連結して流し込むようにしたことを特徴とする。
【0016】
本発明による排泄物処理装置は、
利用者の股間にセットされるカップ15を制御するカップ制御部10と、前記カップ制御部10からの吸引と汚水タンク25からの外部排出部13への圧送とを制御する吸引・圧送制御部11と、前記汚水タンク25に貯留した汚水を圧送排出する外部排出部13とを具備し、
前記外部排出部13は、洗面台112等の雑排水管113のトラップ114の後に逆流防止管115を形成して連結して流し込むようにしたことを特徴とする。
【0017】
本発明による排泄物処理装置は、
利用者の股間にセットされるカップ15を制御するカップ制御部10と、前記カップ制御部10からの吸引を制御する吸引・圧送制御部11とを具備し、
前記汚水タンク25の吸引側の吸引弁31は、弁取り付け板81に吸排孔82が設けられ、この吸排孔82に汚水タンク25の配管44を気密に取り付け、この弁取り付け板81の一端に設けた回転軸88に弾性を有する揺動アーム84を揺動自在に取り付け、この揺動アーム84に押圧調節ねじ89を進退自在に設け、この押圧調節ねじ89の下端部をスライダー83に圧接し、前記吸排孔82の全周囲に内側に膨出縁86を形成し、この膨出縁86に連続して同一高さのガイドレール87を前記スライダー83の揺動方向に設け、前記弁取り付け板81に、前記回転軸88と反対側に弧状のガイド溝85を形成し、このガイド溝85に前記揺動アーム84の先端部84aを摺動自在に嵌合したことを特徴とする。
【0018】
本発明による排泄物処理装置は、
前記膨出縁86に接して摺動する前記スライダー83の縁部に刃形部92を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の発明によれば、
利用者の股間にセットされるカップ15を制御するカップ制御部10と、前記カップ制御部10からの吸引を制御する吸引・圧送制御部11とを具備し、前記カップ15をおむつ100を介在して装着した時のカップ15の内部から前記カップ15の排便吸引管19、配管44、吸引弁31、汚水タンク25の内部、吸引・圧送口30、空気配管43、臭気フィルタボックス41、圧力センサー42、切換え弁27の送風側Aの一方、サクションモーター26、切換え弁27の送風側Aの他方、送風管65、冷却ボックス66、リターンボックス67、カップ15の送風管20、カップの内部に戻るというエアー循環路を形成し、循環するエアの一部を前記リターンボックス67に設けたフィルター69を経て排気絞り弁68から外気に排気し、その排気量を前記おむつ100の隙間から吸引して臭気を外気に放出しないようにしたので、カップ15とエアー循環路における臭気の排出を防止することができる。
また、前記圧力センサー42によりエアー循環路における前記おむつ100の隙間からのエアーの吸引に伴う圧力変化を検出し、この圧力の高低によりおむつ100の装着が正常かどうかを判定するようにしたので、おむつ100の装着の熟練の程度にかかわらず、常に正常な状態に装着することができる。
【0027】
請求項2記載の発明によれば、
利用者の股間にセットされるカップ15を制御するカップ制御部10と、前記カップ制御部10からの吸引を制御する吸引・圧送制御部11とを具備し、
前記カップ15に接続された汚水タンク25の吸引側の吸引弁31は、弁取り付け板81に吸排孔82が設けられ、この吸排孔82に汚水タンク25の配管44を気密に取り付け、この弁取り付け板81の一端に設けた回転軸88に弾性を有する揺動アーム84を揺動自在に取り付け、この揺動アーム84に押圧調節ねじ89を進退自在に設け、この押圧調節ねじ89の下端部をスライダー83に圧接し、前記吸排孔82の全周囲に内側に膨出縁86を形成し、この膨出縁86に連続して同一高さのガイドレール87を前記スライダー83の揺動方向に設け、前記弁取り付け板81に、前記回転軸88と反対側に弧状のガイド溝85を形成し、このガイド溝85に前記揺動アーム84の先端部84aを摺動自在に嵌合したので、スライダー83が弾性を有する揺動アーム84で膨出縁86に密接し、かつ、スライダー83の全周囲に膨出縁86が形成されることで、弁取り付け板81に汚物等が付着しても常に密接して摺動して漏れを防止することができる。
【0028】
請求項3記載の発明によれば、
前記膨出縁86に接して摺動する前記スライダー83の縁部に刃形部92を形成したので、弁取り付け板81の吸排孔82に汚物等が引っかかっても刃形部92で切断して円滑に汚水を通過させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明による排泄物処理方法及びその装置の実施例1を示すブロック図である。
図2】本発明による排泄物処理装置の制御回路の実施例1を示すブロック図である。
図3】本発明による排泄物処理装置の実施例1を示す正面から見た斜視図である。
図4】本発明による排泄物処理装置の実施例1を示す本体カバーを外した右側面図である。
図5】本発明による排泄物処理装置の実施例1を示す本体カバーを外した後面から見た斜視図である。
図6】本発明による排泄物処理装置に用いた吸引弁(又は圧送弁)の斜視図である。
図7図6に示した吸引弁(又は圧送弁)の詳細図で、(a)は、正面図、(b)は、(a)のA-A線断面図、(c)は、(a)のB-B線断面図である。
図8】おむつ付き差し込み便器の分解斜視図で、(a)は、インナーの斜視図、(b)は、おむつの斜視図、(c)は、アウターの斜視図、(d)は、おむつ付き差し込み便器を利用者の股間部にセットした説明図である。
図9】(a)は、汚水タンクから排水管の先端部を下水配管の床上掃除口に連結具で連結した例を示す断面図、(b)は、汚水タンクから排水管の先端部を洗面台の排水管に連結した例を示す説明図である。
図10】汚水タンクから汚水を外部へ圧送する動作のフローチャートである。
図11】使用に先立ち差し込み便器(カップ)を洗浄する動作のフローチャートである。
図12】差し込み便器(カップ)を小便検知後に洗浄する動作のフローチャートである。
図13】差し込み便器(カップ)を大便検知後に洗浄する動作のフローチャートである。
図14】介護者によるおむつを正常にセットしているかどうかを判断する動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、
本体カバー73の内部一端側に汚水タンク25を配置し、この汚水タンク25の天板部に、吸引弁31を介して配管44を結合し、また、前記天板部に、前記汚水タンク25から外部の空気配管43に連通する吸引・圧送口30を形成し、さらに、前記天板部に、汚水粉砕装置33の粉砕モーター34を取り付け、この粉砕モーター34の回転軸34aを前記汚水タンク25の内部に垂下して粉砕羽根35を設け、前記汚水タンク25の底部に圧送弁32を介して外部排出部13に結合するための外部圧送管45に結合してなる。
【0031】
上記構成において、
内部の汚水タンク25に対峙した本体カバー73の外側に、前記配管44とカップ15の排便吸引管19を着脱自在に連結するためのジョイント盤23を設け、このジョイント盤23には、さらに、前記カップ15への送風管20と送水管21が着脱自在に設けられるとともに、前記カップ15への電気コード22が着脱自在に接続されるワイヤレス給電部24が設けられ、前記ジョイント盤23の下方部の前記本体カバー73に、外部圧送管45と外部排出部13を結合するための外部接続ジョイント48を設けてなる。
【0032】
また、上記構成において、本体カバー73の内部他端側に、下部にサクションモーター26を配置し、このサクションモーター26の上部に、洗浄水タンク53を着脱自在に設け、前記本体カバー73の内部の前記サクションモーター26と汚水タンク25の間に、サクションモーター26による吸引と圧送の切換えをする切換え弁27、前記空気配管43に設けられたミストフィルター40、臭気フィルター41、圧力センサー42、前記切換え弁27と前記カップ15との間を結合する送風管65に設けられた冷却ボックス66、リターンボックス67を配置する。
【0033】
利用者の股間にセットされるカップ15を制御するカップ制御部10と、前記カップ制御部10からの吸引を制御する吸引・圧送制御部11とを具備し、前記カップ15をおむつ100を介在して装着した時のカップ15の内部から前記カップ15の排便吸引管19、配管44、吸引弁31、汚水タンク25の内部、吸引・圧送口30、空気配管43、臭気フィルタボックス41、圧力センサー42、切換え弁27の送風側Aの一方、サクションモーター26、切換え弁27の送風側Aの他方、送風管65、冷却ボックス66、リターンボックス67、カップ15の送風管20、カップの内部に戻るというエアー循環路を形成し、循環するエアの一部を前記リターンボックス67に設けたフィルター69を経て排気絞り弁68から外気に排気し、その排気量を前記おむつ100の隙間から吸引して臭気を外気に放出しないようにする。
【0034】
前記圧力センサー42によりエアー循環路における前記おむつ100の隙間からのエアーの吸引に伴う圧力変化を検出し、この圧力の高低によりおむつ100の装着が正常かどうかを判定することで熟練度にかかわらず、常に正常におむつ100を装着することができる。。
【0035】
利用者の股間にセットされるカップ15を制御するカップ制御部10と、前記カップ制御部10からの吸引と汚水タンク25からの外部排出部13への圧送とを制御する吸引・圧送制御部11と、前記汚水タンク25に貯留した汚水を圧送排出する外部排出部13とを具備し、
前記外部排出部13は、外部接続ジョイント48に排水管50を延長し水洗便器49の排出トラップ51に挿入して下水配管52に流し込む。
【0036】
また、利用者の股間にセットされるカップ15を制御するカップ制御部10と、前記カップ制御部10からの吸引と汚水タンク25からの外部排出部13への圧送とを制御する吸引・圧送制御部11と、前記汚水タンク25に貯留した汚水を圧送排出する外部排出部13とを具備し、
前記外部排出部13は、下水配管52の床上掃除口110に、連結具111によって排水管50を連結して流し込む。
【0037】
さらに、利用者の股間にセットされるカップ15を制御するカップ制御部10と、前記カップ制御部10からの吸引と汚水タンク25からの外部排出部13への圧送とを制御する吸引・圧送制御部11と、前記汚水タンク25に貯留した汚水を圧送排出する外部排出部13とを具備し、
前記外部排出部13は、洗面台112等の雑排水管113のトラップ114の後に逆流防止管115を形成して連結して流し込む。
【0038】
利用者の股間にセットされるカップ15を制御するカップ制御部10と、前記カップ制御部10からの吸引を制御する吸引・圧送制御部11とを具備し、
前記汚水タンク25の吸引側の吸引弁31は、弁取り付け板81に吸排孔82が設けられ、この吸排孔82に汚水タンク25の配管44を気密に取り付け、この弁取り付け板81の一端に設けた回転軸88に弾性を有する揺動アーム84を揺動自在に取り付け、この揺動アーム84に押圧調節ねじ89を進退自在に設け、この押圧調節ねじ89の下端部をスライダー83に圧接し、前記吸排孔82の全周囲に内側に膨出縁86を形成し、この膨出縁86に連続して同一高さのガイドレール87を前記スライダー83の揺動方向に設け、前記弁取り付け板81に、前記回転軸88と反対側に弧状のガイド溝85を形成し、このガイド溝85に前記揺動アーム84の先端部84aを摺動自在に嵌合する。
【0039】
上記構成において、前記膨出縁86に接して摺動する前記スライダー83の縁部に刃形部92を形成する。
【実施例1】
【0040】
本発明による排泄物処理装置9の実施例1を図面に基づき説明する。
図3乃至図5において、排泄物処理装置9は、ベッドや寝室に設置しても邪魔にならず、介護者が使い易いように、幅が約230mm、奥行きが約650mmで、本体ベース72の上に本体カバー73を載せた高さが約500mmの大きさでやや細幅の形状をなしている。
前記本体ベース72の前部両側には、直径約200mmのやや大き目のタイヤ付きの前輪79が設けられ、後部両側には、旋回可能な直径約50mmの小さ目の後輪80が設けられている。
前記本体カバー73の前面には上部に動作が正常(静止点灯)、エラー(点滅点灯)を表示する2個の表示灯78が設けられ、略中間部には、操作パネル75とリモコン76と電源コンセント77が導出されている。前記操作パネル75は、介護者が手に持って操作するようにしてもよいし、この操作パネル75を本体カバー73の上面に設置して操作するようにしてもよい。前記リモコン76は、ベッドの上の利用者が手に持ってナースコールスイッチ99や排泄物処理装置9のオン、オフなどの簡単な操作をする。
【0041】
前記本体カバー73の上面には、洗浄水タンク53の洗浄水の補給のときに開閉する蓋体74aが設けられるとともに、後述する汚水タンク25の上面の連結状態、その他のメンテナンスの検査のときに開閉する蓋体74bが設けられている。
前記本体ベース72の上面で、本体カバー73の内部には、前部の下側にサクションモーター26が防音と防振対策が施されて設置され、このサクションモーター26の上にサブタンク54が固定され、このサブタンク54に着脱自在に洗浄水タンク53が嵌合される。また、前記サクションモーター26の一端には、吸引と圧送の2位置を切り換える切換え弁27が設けられている。
【0042】
前記本体カバー73の後部側に汚水タンク25が取り付けられている。この汚水タンク25の前部には、リターンボックス67が配置され、このリターンボックス67の上部に、ジョイント盤23とワイヤレス給電部24が取り付けられ、このジョイント盤23には、上部に排便吸引管19の連結部が設けられ、下部に差し込み便器15への送風管20と送水管21が設けられ、前記ワイヤレス給電部24に電気コード22が設けられている。
前記サクションモーター26と汚水タンク25の間には、保温タンク60、水ポンプ57、ミストフィルター40、臭気フィルターボックス41、圧力センサー42、冷却ボックス66等が配置されている。
【0043】
前記図3乃至図5により各部の構成部位の概略の配置を説明したが、さらに空気の流れ、水の流れ、電気の流れについて、図1に基づき説明する。
図1において、本発明による排泄物処理装置9は、
利用者の股間にセットされる差し込み便器15(以下、カップ15ともいう)を制御するカップ制御部10と、
前記カップ制御部10からの吸引と後述する外部排出部13への圧送とを制御する吸引・圧送制御部11と、
前記カップ制御部10への洗浄水を制御する洗浄水制御部12と、
前記汚水タンク25に貯留した汚水を圧送排出する外部排出部13と、
CPU64を主体として装置全体の電気的制御する電気的制御部14とからなる。
【0044】
前記カップ制御部10において、前記カップ15は、おむつ100とともに図8(d)に示すように、利用者104の股間の排泄器官の位置に装着される。
図8(a)(b)(c)に示すように、前記カップ15は、おむつ100とアウター101とインナー102とからなる。
前記インナー102には、排便受け部16内に大便センサー17と小便センサー18を有し、排尿受け部105に洗浄ノズル20を有する。前記排便受け部16に連通する排便吸引管19が設けられ、前記排尿受け部105の後面に送風管20、送水管21、電気コード22か設けられる。
前記おむつ100は、インナー102とアウター101の間の隙間に嵌合され、中央部分を内側防水紙106とし、この内側防水紙106の外周部をクッション材108とする。
前記インナー嵌合凹部107の外周縁の排便部嵌合壁と排尿部嵌合壁に、インナー102を嵌合したとき排便受け部17と排尿受け部105より外方に突出するような軟質材排泄物処理方法及びその装置を形成する。
前記アウター101には、インナー102の外周面と前記アウター101の内周囲の間の隙間におむつ100を密着して挟持するインナー嵌合凹部107を形成する。また、前記アウター101の前端部に尻受け部を取り付ける。
【0045】
前記おむつ100とアウター101とインナー102は、次の工程で組み付けられる。
最初の工程で、排便受け部16と排尿受け部105と排便吸引管19を有し、差し込み便器として機能するインナー102に、股間に装着するためのおむつ100を前記インナー102の背部に宛がう。
次の工程で、前記インナー102の前面が露出するように前記おむつ100の背後からアウター101を宛がって前記インナー102とで前記おむつ100の内側防水紙106部分を挟持する。
【0046】
図1において、前記吸引・圧送制御部11は、前記汚水タンク25とサクションモーター26を主体とする。
前記汚水タンク25の天板部には、配管44が開閉を制御する吸引弁31を介在して連結され、また、吸引・圧送口30と汚水粉砕装置33が設けられている。この汚水粉砕装置33を構成する粉砕モーター34の回転軸34aの下端部には、粉砕羽根35が設けられ、粉砕篭36の傾斜ガイド面で中央に集められた排便やトイレットペーパー等の固形物を粉砕し、小孔37から粉砕篭36の外へ汚水とともに排出する。前記汚水タンク25(例えば8リットル)の内部には、汚水の満水センサー39(例えば約3リットルで検知)と空センサー38(例えば0.2リットルで検知)が設けられ、底板の側部には、圧送弁32が設けられている。前記満水センサー39は、汚水タンク25の中央部かやや下方に取り付けることで、排泄物処理装置9の移動や傾きで汚水が汚水タンク25から漏れ出るのを防止している。
粉砕された汚物と汚水は、圧送弁32を開口したとき、後述する空気の圧送で逆止弁27と逆流防止トラップ46を経て汚水圧送管45に送られ、外部接続ジョイント48で結合された外部排出部13で排出される。この外部排出部13の具体例は、後述する。
【0047】
前記配管44の他端は、ジョイント盤23の位置で前記排便吸引管19に連結される。前記汚水タンク25の上面の吸引・圧送口30には、空気配管43が連結される。この空気配管43は、ミストフィルタ40と臭気フィルタ41と圧力センサー42を介して前記切換え弁27の一方に連結されている。この切換え弁27は、送風側Aと圧送側Bが弁モーター28により切り換えられ、圧送側Bの一端が外気29に連通されている。前記切換え弁27の送風側Aの他方に連結された送風管65は、冷却ボックス66とリターンボックス67を経てジョイント盤23で前記送風管20に連結される。
前記リターンボックス67には、HEPAフィルター69と送風温度センサー70と過昇温度監視センサー71とを有し、また、循環路を巡回する空気の10%程度を外気に逃がす排気絞り片68が設けられている。
【0048】
前記切換え弁27が送風側Aに連結されている場合に、前記カップ15の排便吸引管19、配管44、吸引弁31、汚水タンク25の内部、吸引・圧送口30、ミストフィルタ40、空気配管43、臭気フィルタボックス41、圧力センサー42、切換え弁27の送風側Aの一方、サクションモーター26、切換え弁27の送風側Aの他方、送風管65、冷却ボックス66、リターンボックス67、カップ15の送風管20、カップの内部を経て前記排便吸引管19に戻るというエアー循環路が形成される。
このエアー循環路の空気をサクションモーター26で吸引すると、利用者104の股間にセットされた状態でおむつ100と股間の隙間から外気を吸引して臭いが漏れるのを防止し、この吸引した空気量だけ排気絞り弁68から臭いを取り除いて外気に放出する。
おむつ100を付けたカップ15の股間への締め付け程度により、外気を吸引する空気量が異なると、安定した動作ができなくなるので、おむつ100を付けたカップ15の股間への取り付けを略一定にするため、エアー循環路内の圧力センサー42で監視する。この時の操作は、後述する。
【0049】
前記汚水タンク25に取り付けた吸引弁31と圧送弁32の具体的構造を図6及び図7に基づき説明する。
前記吸引弁31(圧送弁32も同一構造)は、弁取り付け板81に吸排孔82が設けられ、この吸排孔82を汚水タンク25の配管44の連結口内面に一致した状態で気密に取り付けられる。この弁取り付け板81の一端には、回転軸88の先端部が内方に突出し、この回転軸88に弾性を有する揺動アーム84が揺動自在に取り付けられる。この揺動アーム84には、2本の押圧調節ねじ89が進退自在に設けられ、この2本の押圧調節ねじ89の下端部がスライダー83の凹部91に嵌合している。前記吸排孔82の全周囲に内側に膨出縁86が形成され、この膨出縁86に連続して同一高さのガイドレール87が前記スライダー83の揺動方向に伸びて設けられている。前記弁取り付け板81は、前記回転軸88と反対側が弧状に屈曲し、この弧状部分の内側にガイド溝85が形成され、このガイド溝85に前記揺動アーム84の先端部84aが嵌合しながら摺動する。前記スライダー83の縁部には、刃形部92が形成されている。
前記回転軸88の汚水タンク25の外側には、2個のギア93を介在してモーター94のモーター軸95に連結されている。
【0050】
このような構成において、前記回転軸88に取り付けられた揺動アーム84は、先端部84aをガイド溝85に嵌合し、中間部に2個の押圧調節ねじ89でスライダー83を支持する。このスライダー83が揺動アーム84の弾性で所定の圧をもって膨出縁86とガイドレール87に接するように押圧調整ねじ89で調整して、摺動して吸排孔82を開閉制御する。このとき、スライダー83の刃形部92が、汚物その他の固形物を切断して確実に吸排孔82を遮断する。
圧送弁32は、前記吸引弁31と同一構造であり、汚水タンク25の底部の内側に取り付けられて汚水を外部に圧送するときに確実に開閉する。
前記吸引弁31又は圧送弁32の開閉は、揺動アーム84のストッパー96の位置にホトセンサー等を設けて確実な開閉を制御をする。
【0051】
図1における前記洗浄水制御部12において、洗浄水タンク53は、1日10回程度の排便、排尿の使用量として3リットル程度の洗浄水を貯留する容量を有し、底部近くに水位センサー55を有するサブタンク54に嵌合する。このサブタンク54には、前記洗浄水タンク53から0.5リットル程度の洗浄水が自然落下して常時補充されている。この容量のサブタンク54には、フィルター26を介して水ポンプ57が連結され、この水ポンプ57は、タイマーによって駆動時間が制御される。前記サブタンク54には、必要に応じて水抜きする手動のドレイン59が連結されている。前記水ポンプ57には、リリーフ弁58が結合され、前記水ポンプ57に結合されたカップへの供給路が何らかの異常時に作動して圧力が高くなるのを防止して保護する。
【0052】
前記水ポンプ57は、温度ヒューズと温度センサーと満水センサーを有する保温タンク60、洗浄水の送り出しを制御する洗浄弁61、温度センサーと温度過昇センサーを有する安全タンク63を経てジョイント盤23に連結された送水管21に連結される。前記洗浄弁61と安全タンク63の間には、カップ15までの間の管路内洗浄水を排出する水抜きポンプ62が設けられている。
【0053】
前記外部排出部13は、第1例として、図1に示すように、外部接続ジョイント48に排水管50を延長し水洗便器49の排出トラップ51に挿入して下水配管52に流し込むようにする。この例では、既存の水洗便器49を使用するので新規工事を必要としない。しかし、水洗便器49に排水管50を差し込むので、水洗便器49のつまりのないようにする必要がある。また、常時排水管50を差し込んでおくと、水洗便器49の蓋が閉まらなかったり、水洗便器49が逆流することのないようにすることが必要である。
前記外部排出部13は、第2例として、図9(a)に示すように、下水配管52の床上掃除口110に、連結具111によって排水管50を連結する。この例では、下水配管52の床上掃除口110を有することが必要で、また、床上掃除口110の形状がメーカーによって異なるので、それぞれに合致する専用の連結具111を用意することが必要である。
第3例として、図9(b)に示すように、洗面台112等の雑排水管113のトラップ114の後に逆流防止管115を形成して連結する。この例では、雑排水管113は、飲料水を扱っている場合があるので、衛生面の処置が必要となる。
【0054】
前記電気的制御部14は、図2に示すように、CPU64に各種のスイッチ、センサー、ランプ等が接続されている。具体的には、操作パネル75のスイッチ類として、スタート、保温タンク60の洗浄温度設定、差し込み便器15からの吸引、汚水タンク25からの圧送、各種の表示灯の表示切替のスイッチを有する。前記操作パネル75のランプとして、電源、洗浄水不足、汚水満水、カップ接続、リモコン接続、2桁の数値表示、吸引圧の「高い」「低い」の表示ランプを有する。
前記CPU64には、サクションモーター26への出力、圧力センサー42の入力、リターンボックス67の温度センサー70と過昇温度センサー71の入力、汚水タンク25の満水センサー39と空センサー38の入力、保温タンク60への出力と満水センサー・温度センサー・過昇温度センサーの入力、水ポンプ57への出力、保温タンク60に水道水直結時の満水センサー・温度センサー・過昇温度センサーの入力、洗浄弁61への出力、水抜きエアポンプ62への出力、安全タンク63の温度センサー・過昇温度センサーの入力、カップ15の大便センサー17・小便センサー18の接続された受電基板24aと送電基板24bからなるワイヤレス給電部24の入出力、弁モーター28への出力と開センサー・閉センサーの入力、吸引弁31のモーター28への出力と開センサー・閉センサーの入力、圧送弁32のモーター28への出力と開ホトセンサー・閉ホトセンサーの入力、サブタンク54の水位センサー55の入力、看取りセンサ機能のためのバイタルセンサパット97の入力、Web・Wifiモジュール98のインターネット接続のための入出力、ナースコールスイッチ99への出力、AC電源77の漏電ブレーカの入力、リモコン76の入力などが接続されて制御される。
【0055】
以上のように構成された排泄物処理装置9の作用を説明する。
1.圧送動作(カップ15から吸引した汚水の圧送)
図10
・吸引弁31のスライダー83で吸排孔82を閉じるとともに、圧送弁32のスライダー83で汚水圧送管45を閉じ、切換え弁27をBにセットし、粉砕モーター34を5秒間回転して汚水タンク25内の汚物に混入する固形物を粉砕する。
・圧送弁32を開き、サクションモーター26を駆動して、外気29を空気配管43から吸引・圧送口30を通り汚水タンク25内に圧送し、汚水タンク25内の汚水を汚水圧送管45の逆止弁47と逆流防止トラップ46を介して外部接続ジョイント46から排出管50へ送り、水洗便器49の排出トラップ51から下水配管52に汚水を排出する。水洗便器49に排出する以外に、図9(a)に示すように、専用の連結具111で床上掃除口110から直接下水配管52に排出してもよいし、また、図9(b)に示すように、雑排水管113のトラップ114の後に逆流防止立上げ管115を介して接続して汚水を下水配管52に排出する。
・汚水タンク25の空センサー38からの空出力がYesになったら、さらにサクションモーター26を5秒間駆動して停止し、圧送弁32を閉じて圧送動作を終了する。
【0056】
2.カップ15の動作
以下のカップ15の動作説明において、カップ15のジョイント盤23とワイヤレス給電部24を結合すると、空気と水と電気の流れが連通する。
図11
・電源73aをオンし、水不足表示器が非点灯となり、アラーム発生がNoとなると、カップ動作に待機する。
・カップ小便センサー18がYesになると、後述する図12のカップ小吸引動作がスタートし、カウンターで+1を加算する。
・カップ小便センサー18がNoで、カップ大便センサー17がYesになると、後述する図13のカップ大吸引動作がスタートし、カウンターで+2を加算する。
・カウンターでは、小吸引が4を超えると(4回分の小モードの汚水が溜まり)、大吸引が2を超えると(2回分の小モードの汚水が溜まり)、前述した図10による圧送動作がスタートし、カウンターが0になると元に戻る。
【0057】
3.カップ15の小吸引動作
図12(a)
・切換え弁27がAであることを確認し、サクションモーター26を作動する。
図12(b)によるカップ洗浄動作をスタートし、洗浄弁61を開き、水ポンプ57を作動し、洗浄水を2秒間送り洗浄して、水ポンプ57を停止する。この時、保温タンク60で保温された洗浄水の温度を安全タンク63でチェックする。
・タイマーで2秒後、小吸引モードのパラメータとして、水ポンプ57の洗浄作業時間を2秒、洗浄回数3回、洗浄間隔18秒の各設定値をそれぞれのレジスタに設定する。
・再度、図12(b)によるカップ洗浄動作をスタートしてカップ15を洗浄する。
・温水ポンプ洗浄カウンタを+1とする。ついで、カップ大便センサー17が検出されなければ、洗浄カウンタが3回になるまで繰り返す。
・カップ大便センサー17が検出されれば、大吸引モードのパラメータとして、水ポンプ57の洗浄作業時間を4秒、洗浄回数5回、洗浄間隔16秒の各設定値をそれぞれのレジスタに設定する。なお、小吸引処理の洗浄時に、大便センサー17を検出したときは、大吸引モードに移行して小吸引モードには移行しない。
・洗浄カウンタが洗浄回数に達すると、配管内の水にある残圧の影響を避けるため、タイマーで5秒後に、水抜きポンプ62を5秒間作動し、カップ15の配管内の残水と空気を送り、カップ15内に排出する。
・水抜き動作の5秒後にサクションモーター26を停止して終了する。
【0058】
4.カップ15の大吸引動作
図13
・切換え弁27がAであることを確認し、サクションモーター26を作動する。
・前述の図12(b)によるカップ洗浄動作をスタートし、洗浄弁61を開き、水ポンプ57を作動し、洗浄水を2秒間送り洗浄して、水ポンプ57を停止する。この時、保温タンク60で保温された洗浄水の温度を安全タンク63でチェックする。
・タイマーで2秒後、大吸引モードのパラメータとして、水ポンプ57の洗浄作業時間を4秒、洗浄回数5回、洗浄間隔16秒の各設定値をそれぞれのレジスタに設定する。
・再度、図12(b)によるカップ洗浄動作をスタートしてカップ15を洗浄する。
・温水ポンプ洗浄カウンタを+1とする。ついで、カップ大便センサー17が検出されなければ、洗浄カウンタが5回になるまで繰り返す。
・洗浄カウンタが洗浄回数に達すると、配管内の水にある残圧の影響を避けるため、タイマーで5秒後に、水抜きポンプ62を5秒間作動し、カップ15の配管内の残水と空気を送り、カップ15内に排出する。
・水抜き動作の5秒後にサクションモーター26を停止して終了する。
【0059】
5.カップ装着の監視動作
前記カップ15のエアー循環路において、空気をサクションモーター26で吸引すると、利用者104の股間に装着されたおむつ100と股間の隙間から外気を吸引して臭いが漏れるのを防止し、この吸引した空気量だけ排気絞り弁68から臭いを取り除いて外気に放出する。
おむつ100の装着は、熟練度により股間への締め付け程度が異なり、外気を吸引する空気量が異なる。すると、安定した動作ができなくなるので、吸引状態を「吸引圧不足」「吸引圧過大」で表示することにより、おむつ100装着が適正かどうかを下記の動作で判定する。
図14
・カップ15を装着して小便又は大便の処理を開始する。
・処理の開始当初は、おむつ100からの吸引圧状態は、高低いずれでもないので、LEDは消灯している。
・前記エアー循環路の圧力センサー42で吸引圧力を処理する。
図14(b)に移行し、1秒毎に吸引圧力を取得し、例えば10回の移動平均値を演算し、メモリに格納して終了する。
図14(a)に戻り、その圧力値が設定した値より低いかがYesであれば、「低LED」点灯、「高LED」消灯となり元に戻り、圧力値が設定した値より低いかがNoで、圧力値が設定した値より高いかに移行し、Yesであれば、「低LED」消灯、「高LED」点灯となり元に戻る。
・その圧力値が設定した値より低いかがNoで、かつ、圧力値が設定した値より高いかがNoであれば、「低LED」と、「高LED」は、ともに消灯となり、正常であることを表す。
・正常な状態で、小便又は大便の処理中となる。
【符号の説明】
【0060】
9…排泄物処理装置、10…カップ制御部、11…吸引・圧送制御部、12…洗浄水制御部、13…外部排出部、14…電気的制御部、15…カップ、16…排便受け部、17…大便センサー、18…小便センサー、19…排便吸引管、20…送風管、21…送水管、22…電気コード、23…ジョイント盤、24…ワイヤレス給電部、25…汚水タンク、26…サクションモーター、27…切換え弁、28…弁モーター、29…外気、30…吸引・圧送口、31…吸引弁、32…圧送弁、33…汚水粉砕装置、34…粉砕モーター、40…ミストフィルター、41…臭気フィルター、42…圧力センサー、43…空気配管、44…配管、45…外部圧送管、16…、17…、48…外部接続ジョイント、49…水洗便器、50…排水管、53…洗浄水タンク、67…リターンボックス、68…排気絞り弁、73…本体カバー、100…おむつ、110…床上掃除口、113…雑排水管。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14