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7076884走行する金属ストリップの横方向のストリップ輪郭またはストリップ縁部の位置を確認するための方法および装置
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  • -走行する金属ストリップの横方向のストリップ輪郭またはストリップ縁部の位置を確認するための方法および装置 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】走行する金属ストリップの横方向のストリップ輪郭またはストリップ縁部の位置を確認するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B21B 38/04 20060101AFI20220523BHJP
   B21B 39/00 20060101ALI20220523BHJP
   B21B 39/14 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
B21B38/04 A
B21B39/00 J
B21B39/14 H
B21B39/14 D
B21B39/14 C
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021503766
(86)(22)【出願日】2019-07-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019068406
(87)【国際公開番号】W WO2020020633
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-03-15
(31)【優先権主張番号】18185390.4
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515153152
【氏名又は名称】プライメタルズ・テクノロジーズ・オーストリア・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】フリードリヒ・モーザー
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-539074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 38/04
B21B 39/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延機の金属ストリップコンベヤ装置を走行する金属ストリップ(1)の少なくとも一部分の横方向のストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置を決定するための装置であって、
前記装置は、前記横方向のストリップ輪郭および/または前記ストリップ縁部の位置を決定するのに適した測定データを収集するために、走行中の金属ストリップの横方向縁部と接触させるのに適した少なくとも1つの検知要素(3)を有し、
前記少なくとも1つの検知要素(3)は、前記金属ストリップコンベヤ装置の横方向ガイド(17)に組み込まれ、前記横方向ガイド(17)は、磨耗部材調整装置(9)を有する少なくとも1つの磨耗部材(8)を備え、前記磨耗部材(8)は、前記横方向ガイドの主部材モジュールに配置され、かつ走行中の前記金属ストリップのストリップ平面に略垂直である前記横方向ガイドのガイド平面に略垂直の回転軸回りに回転可能であり、
前記磨耗部材調整装置(9)を有する前記磨耗部材(8)は、検知要素として具体化されていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記圧延機が、熱間圧延機である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記磨耗部材が、略平面であるとともに、すべての回転位置において前記ガイド平面に略平行な磨耗面を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
開始時に、事前選択された開始接触力によって接触を確立するための装置が存在することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの検知要素が基準に対する経路を測定するのに適していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの検知要素が、前記検知要素に加えられた力を測定するのに適していることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記金属ストリップによって前記検知要素に加えられた力が、0より大きく制限値より小さく留まる限り、開始時に、前記検知要素によって想定される位置を維持するための装置が存在することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
圧延機の金属ストリップコンベヤ装置を走行する金属ストリップ(1)の少なくとも一部分の横方向のストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置を請求項1~6のいずれか一項に記載の装置によって決定する方法であって、
開始時に、少なくとも1つの検知要素(3)が前記金属ストリップ(1)の横方向縁部(4)に接触し、前記金属ストリップ(1)の部分が前記検知要素(3)を通過する間に前記横方向のストリップ輪郭を決定するために適した測定データが前記検知要素(3)によって収集されることを特徴とする方法。
【請求項9】
前記圧延機が、熱間圧延機である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記測定データは、前記金属ストリップ(1)の前記横方向縁部(4)と接触する際の基準からの前記検知要素(3)の間隔に関連することを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記測定データは、前記金属ストリップ(1)によって前記検知要素(3)に加えられた力に関連することを特徴とする請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
開始時の後で、前記金属ストリップ(1)の部分が前記検知要素(3)を通過する際に、前記金属ストリップ(1)によって前記検知要素(3)に加えられた力の測定データが収集され、前記金属ストリップ(1)によって前記検知要素(3)に加えられた力が0より大きく制限値より小さくとどまる限り前記開始時に想定される前記検知要素(3)の位置が維持されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
事前に決定された開始接触力によって前記開始時の接触が確立され、前記開始時の後、前記金属ストリップ(1)の部分が前記検知要素(3)を通過する間、前記開始接触力での前記横方向縁部(4)および前記検知要素(3)の間の接触が維持され、測定データが目的のために必要な基準からの間隔の変化から収集されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
圧延機の金属ストリップコンベヤ装置を走行する金属ストリップ(1)の走行を請求項1~7のいずれか一項に記載の装置によって修正する方法であって、
請求項8~13のいずれか一項に記載の横方向のストリップ輪郭を決定する方法によって収集された測定データに基づいて、および/または決定された横方向のストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置に基づいて、1つ、または複数のロールスタンドおよび/または前記圧延機の1つ、または複数の横方向ガイドに対して修正措置が実行されることを特徴とする方法。
【請求項15】
前記測定データに基づいて、および/または前記横方向のストリップ輪郭および/または前記ストリップ縁部の位置に基づいて、ロールスタンドおよび/または横方向ガイドに対する前記修正措置の閉ループ制御が実行されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
プログラムコードが請求項8~15のいずれか一項に記載の方法を実行するための閉ループ制御コマンドを有することを特徴とする、機械可読プログラムコードを有する信号処理設備。
【請求項17】
前記プログラムコードが、前記信号処理設備が請求項8~15のいずれか一項に記載の方法を実行するよう促す閉ループ制御コマンドを有することを特徴とする、請求項16に記載の信号処理設備のための機械可読プログラムコード。
【請求項18】
請求項17に記載の機械可読プログラムコードが格納された記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延機の金属ストリップコンベヤ装置上を走る金属ストリップの横方向ストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置を決定するための方法および装置、ならびにストリップの走行を修正するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧延機で圧延する場合、ロールスタンドを通過する金属ストリップの厚さは徐々に減少し、厚さの減少は幅の変動にもつながる。横方向縁部の向きは、本明細書では、横方向のストリップ輪郭とも呼ばれ、金属ストリップの長手方向軸に対して、金属ストリップの長さ全体で異なる場合がある。これは、例えば、一方の横方向縁部が長手方向軸の方向にそれる一方で、他方の横方向縁部が長手方向軸から離れる方向にそれる、いわゆるサーベルの形成につながる可能性がある。長手方向軸に対して横方向縁部をほぼ平行に配置することが好ましい。対策を開始できるように、この望ましい理想的な状態からの逸脱を早い段階で特定する試みがなされている。たとえば、横方向のストリップ輪郭がカメラによって監視され、ロールスタンド内のローラーの位置を変えることによって、不利な展開が選択的に打ち消される。しかし、この目的のために必要なカメラを備えた機器は、スペースを必要とし、圧延機の複雑さを増し、高価でメンテナンスが多く、光学的検出に不利な環境条件下でエラーが発生しやすい。
【0003】
特許文献1から、金属ストリップの縁部の位置および/または圧縮力を測定することにより、特別な装置でサーベルの形成を識別し、それに応じてローリングギャップ形状の変化を開始することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第102004043790号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記装置を操作するための装置および方法を提案することを意図し、前記装置および方法は、圧延機内を走行する金属ストリップの横方向ストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置が、構造の面でより簡単な方法で決定されることを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、圧延機、好ましくは熱間圧延機の金属ストリップコンベヤ装置を走行する金属ストリップ(1)の少なくとも一部の横方向ストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置を決定するための装置によって達成され、前記装置は、横方向ストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置を決定するのに適した測定データを収集するために、走行中の金属ストリップの横方向縁部と接触させるのに適した少なくとも1つの検知要素(3)を有し、
少なくとも1つの検知要素(3)は、金属ストリップコンベヤ装置の横方向ガイド(17)に組み込まれ、横方向ガイド(17)は、摩耗部材調整装置(9)を有する少なくとも1つの摩耗部材(8)を備え、前記摩耗部材(8)は、横方向ガイドの主部材モジュール内に配置され、横方向ガイドのガイド平面に略垂直な回転軸回りで回転可能であり、
摩耗部材調整装置(9)を有する摩耗部材(8)は、検知要素として具体化されることを特徴とする。
【0007】
圧延機の金属ストリップは、ローラーテーブルなどの金属ストリップコンベヤ装置上を走行する。
【0008】
横方向のストリップ輪郭および/または少なくともストリップ縁部の位置は、例えば、ロールスタンドの前、ロールスタンドの後、異なるロールスタンドの間で決定することができる。
【0009】
金属ストリップ全体または金属ストリップの一部の横方向のストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置を決定することができる。
【0010】
横方向ガイドは、前記金属ストリップの横方向縁部との接触によって金属ストリップをガイドするのに役立つ。
【0011】
本発明によれば、少なくとも1つの検知要素は、金属ストリップコンベヤ装置の横方向ガイドに組み込まれている。少なくとも1つの検知要素はまた、それぞれの場合において、複数の横方向ガイド、例えば、金属ストリップの両側の横方向ガイドに統合され得る。複数の検知要素はまた、1つまたは複数の横方向ガイドに存在することができる。横方向のストリップ輪郭および/または少なくともストリップの縁部の位置を決定するのに適した測定データを収集するための少なくとも1つの検知要素が金属ストリップの各長手方向側で使用できるように、少なくとも2つの検知要素が好ましくは設置される。検知要素は、横方向のストリップ輪郭および/またはストリップの縁部の位置を決定するのに適した測定データを収集するのに適しており、走行中の金属ストリップの横方向縁部と接触させることができる。
【0012】
本発明によれば、横方向ガイドは、摩耗部材調整装置を有する少なくとも1つの摩耗部材を含み、前記摩耗部材は、横方向ガイドの主部材モジュール内に配置されている。摩耗部材調整装置を有する摩耗部材は、検知要素として具現化されている。
【0013】
開示内容が本出願に含まれるWO2015043926A1に記載されているように、横方向ガイドは、ガイド平面、例えば、横方向ガイドの主部材モジュールのガイド平面を有する。摩耗部材は、回転軸回りに回転可能であり、回転軸は、例えば、前記横方向ガイドの主部材モジュールのガイド平面である、横方向ガイドのガイド平面に略垂直である。例えば、前記横方向ガイドの主部材モジュールのガイド平面である横方向ガイドのガイド平面は、動作中、好ましくは略垂直であり、好ましくは走行中の金属ストリップのストリップ表面にも略垂直である。回転することができるため、摩耗部材は異なる回転位置をとることができる。回転は、比較的長い時間にわたって維持される特定の離散的な位置に行われることができ、開始位置に対して8°または8°の整数倍で回転し、摩耗が進行して新しい位置が必要になるまで維持される。回転も連続して行うことができる。摩耗部材は、好ましくは、略平面であり、すべての回転位置においてガイド平面に略平行である摩耗面を有する。
【0014】
「略、実質的に」という表現は、それぞれ、垂直または垂直または平行または平面からのわずかな逸脱を含み、これは、たとえば、偏差最大+/-5°の製造公差によって引き起こされる。
【0015】
摩耗部材は、例えば、円盤状になるように構成することができる。
【0016】
摩耗部材調整装置は、回転軸回りの回転に関して摩耗部材の回転位置を変化させるための回転駆動部を備えることができる。前記摩耗部材調整装置はまた、摩耗部材を回転軸の方向に変位させるためのスラスト駆動部を備えることができる。摩耗部材調整装置はまた、回転軸回りの回転に関して摩耗部材の回転位置を変化させるための回転駆動部と、摩耗部材を回転軸の方向に変位させるためのスラスト駆動部とを備えることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による構築モードは、それぞれ、ストリップ輪郭決定または縁部位置決定を省スペースの方法で具体化することを可能にし、別の目的のためにすでに存在する横方向ガイドの要素を経済的に有利な方法で検知要素として利用することを可能にする。
【0018】
本発明によれば、摩耗部材調整装置を有する少なくとも1つの摩耗部材は、検知要素として具体化される。金属ストリップの横方向縁部への接触は、摩耗部材の摩耗面を介して行われる。これは、いずれの場合も、摩耗部材を介して横方向ガイドのガイド機能を果たすために行われる。摩耗部材調整装置は、例えば、基準に対する経路を測定するため、および/または摩耗部材に加えられる力を測定するために適している。横方向ガイドのガイド機能を発揮している間も、摩耗部材調整装置を備えた摩耗部材が検知要素として機能する。
【0019】
摩耗部材がガイド平面に略垂直な回転軸回りで回転可能である場合、特に前記摩耗部材が、略平面であり、すべての回転位置で主部材モジュールのガイド平面に平行である摩耗面を有する場合、交換を必要とせずにガイド機能だけでなく、検知要素としての機能も長期間使用することができる。摩耗部材を異なる回転位置に回転させることができるため、ガイド動作の結果としての摩耗を分散させることができ、摩耗部材の耐用年数を延ばすことができる。特許文献1では、たとえば、横方向ガイドのガイド定規の摩耗は大幅に早い。検知要素をガイド要素として利用する場合、ガイド定規などの検知要素は、頻繁かつ複雑に交換する必要がある。このようなプラントでこの一連の問題を回避するために、検知要素はガイド要素として同時に利用されないため、摩耗が少なくなる。上記のように耐用年数が延長された構造モードでは、摩耗部材を検知要素としても利用することができ、そのために検知要素を改修する必要性が高くなることはない。摩耗部材とは別の検知要素が不要なため、構造とメンテナンスが簡単になる。
【0020】
複数の検知要素が存在することが有利である。そのため、金属ストリップの複数の場所で同時に測定データを収集できるため、金属ストリップの測定が容易になる。
【0021】
開始時に事前に選択された開始接触力によって接触を確立するための装置が好ましくは存在する。これは、機械的または油圧的に、たとえば、ばね要素を使用して、または油圧システムまたは油圧シリンダをそれぞれ使用して行うことができる。
【0022】
少なくとも1つの検知要素は、好ましくは、基準に対する経路を測定するのに適している。
【0023】
少なくとも1つの検知要素は、好ましくは、検知要素に加えられる力を測定するのに適している。
【0024】
横方向のストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置を決定するための摩耗部材を有する本発明による装置は、原則として、例えば、WO2015043926A1に示されるように具現化することができ、その内容は、本出願に含まれる。
【0025】
少なくとも1つの検知要素は、好ましくは、金属ストリップの2つの横方向縁部のそれぞれに接触させられるであろう。複数の検知要素はまた、各横方向縁部に存在することができる。
【0026】
金属ストリップによって検知要素に加えられる力が0より上で制限値より下に留まる限り、開始時に検知要素によって想定される位置を維持するための装置が存在することが好ましい。
【0027】
1つの好ましい実施形態によれば、横方向のストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置を決定するための装置はまた、収集された測定データおよび/または横方向ストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置をロールスタンドおよび/または圧延機の横方向ガイド用の開ループおよび/または閉ループ制御設備に送信するのに適している。
【0028】
本出願のさらなる主題は、本発明による装置を操作するための方法に関する。これは、圧延機、好ましくは熱間圧延機の金属ストリップコンベヤ装置上を走行する金属ストリップの少なくとも一部の横方向ストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置を決定するための方法であり、
開始時に、少なくとも1つの検知要素が金属ストリップの縁部と接触させられ、
金属ストリップの一部が検知要素を通過する間に、横方向のストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置を決定するための適切な測定データが検知要素によって収集されることを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、検知要素と金属ストリップの横方向縁部との間の接触は、ストリップ輪郭、または基準に対するストリップ縁部の位置をそれぞれ決定するために利用される。金属ストリップに直接接触して直接測定するため、カメラによる観察よりも正確で環境条件の誤差が少ない方法で行うことができる。
【0030】
金属ストリップの2つの横方向縁部のそれぞれに、少なくとも1つの検知要素を接触させることができる。複数の検知要素はまた、各横方向縁部に存在することができる。
【0031】
開始時の接触は、検知要素が横方向縁部に押し付けられる事前に選択された開始接触力によって、好ましくは横方向縁部への損傷を回避しながら理想的に穏やかな方法で行われる。
【0032】
検知要素は、開始時に走行中の金属ストリップの横方向縁部と接触させられる。ここでの開始時とは、横方向のストリップ輪郭を決定する方法の開始を指し、この方法は、検知要素と横方向縁部との間の接触を確立することから始まる。横方向のストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置を決定するのに適した測定データは、金属ストリップまたは測定される金属ストリップの部分がそれぞれ検知要素を通過する間に、検知要素によって収集される。前記測定データは、例えば、経路または間隔にそれぞれ関連する測定データ、または力に関連する測定データであり得る。例えば、油圧システムまたは油圧シリンダがそれぞれ、作動とも呼ばれる接触を確立するために利用される場合、前記測定データは、それぞれ、金属ストリップの走行中の油圧システムまたは油圧シリンダ内の可変圧力に関する測定データでもあり得る。
【0033】
測定データは、接触を維持しながら測定することができ、または接触が中断される可能性があることに関連することができる。
【0034】
結果として、横方向のストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置は、収集された測定データに基づいて決定される。
【0035】
1つの好ましい変形によれば、測定データは、金属ストリップの横方向縁部に接触するときの基準からの検知要素の間隔に関係する。たとえば、間隔の変化、つまり経路、または間隔の大きさを測定することができる。例えば、基準からの検知要素の間隔(基準は原則として操作者が任意に確立することができる)は、検知要素と金属ストリップ横方向縁部との間に接触がある時点で確立される。基準が対応して選択されている場合、ここでの間隔も0にすることができる。基準は、例えば、圧延機内の基準点、または複数の位置をとることができる検知要素の基準位置であり得る。
【0036】
基準からの検知要素の間隔は、簡単に測定することができる。
【0037】
1つの好ましい変形によれば、測定データは、金属ストリップによって検知要素に加えられる力に関する。力の変化や力の大きさなどを測定することができる。力は、たとえば、金属ストリップの横方向縁部と検知要素との間の接触がサーベルの形成によって失われた場合にも、0になる可能性がある。金属ストリップが検知要素に及ぼす力は簡単に測定することができる。
【0038】
1つの好ましい変形によれば、開始時の後、金属ストリップの一部が検知要素を通過する間に、金属ストリップによって検知要素に及ぼされる力の測定データが収集され、開始時に想定された検知要素の位置は、金属ストリップによって検知要素に加えられる力が0を超えかつ制限値を下回る限り維持される。制限値は、方法のオペレーターが選択することができる。制限値を超えると、力が減少するように位置が変化し、これにより、横方向縁部への損傷が回避される。このようにして、その部分にサーベルがあるかどうかを簡単に確認することができる。検知要素の位置は開始時と比較して変化しないため、サーベルの形成は、凸状のために金属ストリップが検知要素をより強く押すため、力の増加につながる可能性がある。
【0039】
金属ストリップによって検知要素に加えられる力の測定データが収集される。金属ストリップが検知要素に及ぼす力が0を超えかつ制限値を下回る限り、開始時に検知要素がとる位置は維持される。開始時に検知要素がとる位置を維持することは、次のように行うことができる。たとえば、開始時に接触を確立するために、油圧シリンダによる検知要素が、開始接触力によって金属ストリップに対して作動し、次に、この位置にある油圧シリンダは、前記シリンダのチャンバ間の油圧流体の流れに関してロックされる。金属ストリップが油圧シリンダに及ぼす力の制限値を超えないように、対応して設定されたバルブを設けることができる。
【0040】
サーベルの形成が接触の喪失につながる場合、力は0に戻る。この場合、抵抗がないために検知要素の位置が多少変化することがある。
【0041】
1つの好ましい変形によれば、開始時の接触は、事前に選択された開始接触力によって確立され、開始時後の横方向縁部と検知要素との間の接触は、金属ストリップの一部が検知要素を通過する間、開始接触力で維持され、測定データは、必要な基準からの間隔の変化から収集される。このようにして、その部分にサーベルがあるかどうかを簡単に確認することができる。サーベルが存在する場合、接触を維持するための検知要素は、開始接触力を維持するために、開始時に想定された位置を離れなければならない。
【0042】
測定が行われる金属ストリップまたは金属ストリップの一部の横方向のストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置は、それぞれ、上記の測定データに基づいて決定される。例えば、上記横方向ストリップ輪郭は、ストリップ速度および測定データを決定する時点を含めながら、簡単な方法で測定データから計算することができる。たとえば、開始接触力での接触を維持するために必要な検知要素の位置の変化は、その時点に関連する対応する情報項目と併せて、サーベルの凹みまたは凸部が測定された金属ストリップの長手方向の範囲のどの位置にあるかを示し、したがって、ストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置を決定することができる。
【0043】
基準に対するストリップ縁部の位置を決定することにより、所望のストリップ走行からの逸脱があるかどうかを識別することができる。たとえば、サーベルのない所望の幅の金属ストリップが、所望のストリップの走行方向に対して斜めにロールスタンドに出入りする場合に識別することができる。
【0044】
サーベルの形成と同様に、これはいくぶん望ましくなく、ストリップ縁部の位置を決定することによって、本発明に従って簡単に識別し、その結果、任意選択で修正することができる。
【0045】
本出願のさらなる主題は、圧延機、好ましくは熱間圧延機の金属ストリップコンベヤ装置上を走行する金属ストリップの走行を、本発明による装置によって修正する方法に関し、本発明による方法に従って収集された測定データに基づいて、および/または決定された横方向のストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置に基づいて、修正措置が1つまたは複数のロールスタンドおよび/または圧延機の1つまたは複数の横方向ガイドに対して実行されることを特徴とする。
【0046】
本発明に従って収集された測定データおよび/または本発明に従って決定された横方向ストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置に基づいて実行される、ロールスタンドおよび/または横方向ガイドの修正措置の閉ループ制御が好ましい。
【0047】
圧延機は、とりわけ、ロールスタンド、金属ストリップコンベヤ装置、および金属ストリップ用の横方向ガイドを備える。収集された測定データおよび/または本発明による方法に従って決定された横方向のストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置に基づいて、潜在的に望ましくないストリップ輪郭またはストリップ走行がそれぞれ現在発生していることを確立することができる。ロールスタンド内のローラーの調整や横方向ガイドの位置の変位などの修正措置は、それに応じて選択的に実行することができる。
【0048】
例えば、アクティブ要素、例えば、走行方向における次のアクティブ要素からの検知要素の間隔は、横方向のストリップ輪郭に影響を与えることができ、例えば、次のロールスタンドのローリングギャップからの間隔が知られている。ストリップ速度がわかっている場合、所望の横方向ストリップ輪郭または所望のストリップ走行からの確立された偏差がそれぞれ修正されるために、アクティブ要素においてどの時点で修正措置が行われるか、およびどのような修正措置が行われるかを計算することができる。
【0049】
従来の圧延機工場では、生産ラインは、5~7メートルの間隔で配置された5~7本のロールスタンドで構成されている。各ロールスタンドの前には、横方向ガイドとしてのストリップ進入定規がある。これらのストリップ進入定規は、ストリップの先端を中心的にロールスタンドまたはロールスタンドのローリングギャップにそれぞれ導入するタスクを有する。検知要素が横方向ガイド、例えば様々なストリップ進入定規に組み込まれる場合、本発明による一実施形態によれば、ストリップ輪郭は、延長ストリップ長さにわたる複数の測定点によって測定することができる。最初の検知要素の後、当該検知要素に従ってロールスタンドによって取られた修正措置は、このロールスタンドの直後にある別の検知要素を使用してチェックすることもできる。したがって、追加の検知要素によって測定された値による追加の修正は、選択的に、追加の修正ステップによって、次のロールスタンドで再び行うことができる。可能な修正ステップの数は、たとえば、ロールスタンドの数と検知要素の数、または検知要素を有する横方向ガイドの数、またはストリップ進入定規の関数である。
【0050】
原則として、横方向ガイドの位置を調整することで修正措置を講じることもできる。
【0051】
例えば、圧延機の横方向ガイドは、原則として、WO2015043926A1に示されるように具体化することができ、その内容は、本出願に含まれる。
【0052】
本出願のさらなる主題は、プログラムコードが本発明による方法を実行するための閉ループ制御コマンドを有することを特徴とする、機械可読プログラムコードを有する信号処理設備に関する。
【0053】
本出願のさらなる主題は、信号処理設備が本発明による方法を実行するように信号処理設備に促す閉ループ制御コマンドを有することを特徴とする、信号処理設備のための機械可読プログラムコードに関する。
【0054】
本出願のさらなる主題は、本発明による機械可読プログラムコードが格納された記憶媒体に関する。
【0055】
本発明は、実施形態の概略的な例示的な図によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1a】圧延機の金属ストリップコンベヤ装置上を走行する金属ストリップの一部の横方向ストリップ輪郭を決定するための方法が、本発明による装置でどのように使用されるかを概略的に示す。
図1b】圧延機の金属ストリップコンベヤ装置上を走行する金属ストリップの一部の横方向ストリップ輪郭を決定するための方法が、本発明による装置でどのように使用されるかを概略的に示す。
図1c】圧延機の金属ストリップコンベヤ装置上を走行する金属ストリップの一部の横方向ストリップ輪郭を決定するための方法が、本発明による装置でどのように使用されるかを概略的に示す。
図2a】横方向縁部と検知要素との間の接触を維持しながら、サーベルに関連する測定データがどのように収集されるかを概略的に示している。
図2b】横方向縁部と検知要素との間の接触を維持しながら、サーベルに関連する測定データがどのように収集されるかを概略的に示している。
図2c】横方向縁部と検知要素との間の接触を維持しながら、サーベルに関連する測定データがどのように収集されるかを概略的に示している。
図3】検知要素の実施形態を概略的に示す。
図4】横方向ガイドへの検知要素の統合を概略的に示す。
図5】所望のストリップ走行からの偏差を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】

図1a、図1b、図1cは、圧延機の金属ストリップコンベヤ装置上を走行する金属ストリップの一部の横方向ストリップ輪郭を決定するための本発明による方法がどのように使用されるかを概略的に示す。
【0058】
図1aに、金属ストリップ1が金属ストリップコンベヤーデバイス(ここではローラーテーブルローラー2を備えたローラーテーブル)上をどのように通過するかを示す。走行方向は矢印で示される。検知要素3が存在するが、金属ストリップ1の横方向縁部4には接触していない。検知要素が横方向縁部の方向に移動していることがブロック矢印で示されている。
【0059】
本発明による方法の開始時は、図1bに示されている。検知要素3と横方向縁部4との接触が確立される。横方向のストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置を決定するのに適した測定データの収集が開始され、金属ストリップの一部が検知要素を通過し、接触が維持される。これを図1cに示す。
【0060】
結果として、横方向のストリップ輪郭および/またはストリップ縁部の位置は、収集された測定データに基づいて決定される。
【0061】
図2a、図2b、図2cは、サーベルを有する金属ストリップ5が、横方向縁部7と接触している検知要素6をどのように通過するかを概略的に示している。走行方向は、矢印で示される。金属ストリップ5の1つの横方向縁部7のみが示され、金属ストリップ5はその全幅で示されていない。
【0062】
基準Rからの検知要素6の間隔Sは、図2aに示されている。金属ストリップ7のサーベルの凹面が検知要素6に近づく。凹面は、図2bの検知要素6に到達する。金属ストリップが進む間、検知要素6と横方向縁部7との間の接触は維持される。凹面での接触を維持するために、図2cに示すように、検知要素が凹面へ移動する。基準Rからの間隔S1は、それに応じて間隔Sよりも大きくなる。横方向縁部のサーベルに関連する凸面の場合、横方向輪郭との接触を維持しながら横方向輪郭に追従するように検知要素を移動すると、間隔も同様に変化する。
【0063】
図3は、摩耗部材調整装置9を有する摩耗部材8を概略的に示し、摩耗部材調整装置9を有する摩耗部材8は、検知要素として具現化され、圧延機の横方向ガイドの主部材モジュール10に配置することができる。金属ストリップの横方向縁部への接触は、摩耗部材8の摩耗面11を介して行われる。摩耗部材8の位置は、摩耗部材調整装置9を用いて調整することができ、これは二重矢印で示されている。摩耗部材調整装置9は、例えば、シリンダラム14、したがって摩耗部材8の位置の変化に関する測定データを収集することができる経路センサ13が存在する油圧シリンダ12を備える。摩耗部材8または摩耗部材調整装置9はまた、摩耗部材8に加えられる力を測定するのに適し得るが、これは、明確さを改善するために具体的に示されていない。横方向ガイドの摩耗部材が金属ストリップの横方向縁部に接触することでガイド作業を実行しながら、測定データを収集することができる。選択的に同様に存在する回転駆動部の図は、わかりやすくするために省略されている。
【0064】
図4は、摩耗部材調整装置16a、16b、16cを有する摩耗部材15a、15b、15cが、横方向ガイド17内の検知要素としてどのように統合されるかを概略的に示している。横方向ガイド17の主部材モジュールが示され、横方向ガイドのガイド平面18は、主部材モジュールのガイド平面である。摩耗部材は、略平面であり、すべての回転位置においてガイド平面18に略平行である摩耗面19を有する。前記摩耗面19は、丸い矢印で示される回転軸20回りに回転可能であり、前記回転軸20は、ガイド平面18に略垂直である。図示例の摩耗部材調整装置16a、16b、16cは、回転軸回りの回転に関して摩耗部材の回転位置を変化させるための回転駆動部と、摩耗部材を回転軸方向に変位させるためのスラスト駆動部とを備える。これは二重矢印で示されている。
【0065】
図5は、矢印の走行方向の金属ストリップ1がどのようにロールスタンド21に向かって進むかを概略的に示している。走行方向から見ると、ロールスタンド21の後ろのストリップは、所望のストリップ走行から外れている。所望のストリップ走行は、破線で縁取られるように描かれ、一方、それから望ましくなく逸脱している実際のストリップ走行は、実線の境界線で示されている。
【0066】
本発明の有利な実施形態のこれまでになされた説明は、場合によっては、個々の従属請求項においてグループで一緒に再現される多数の特徴を含む。ただし、これらの機能は、個別に検討され、他の意味のある組み合わせに組み合わせることができる。特に、これらの特徴は、本発明による方法において、個別に、および任意の適切な組み合わせで組み合わせることができる。
【0067】
いくつかの用語がそれぞれの場合に単数で、または説明および/または請求項で数量詞と組み合わせて使用されている場合でも、本発明の範囲をこれらの用語に関して単数またはそれぞれの数量詞に限定する意図はない。さらに、「a」と「an」という単語は、数量詞としてではなく、不定冠詞として解釈されるべきである。
【0068】
本発明の説明された特性、特徴および利点、ならびにこれらが達成される方法は、図面に関連してより詳細に説明される本発明の例示的な実施形態の説明と併せてより明りょうかつ明確に理解可能になるだろう。例示的な実施形態は、本発明を説明するのに役立ち、本発明をこれらに示される機能的特徴を含む特徴の組み合わせに限定するものではない。さらに、任意の例示的な実施形態の適切な特徴は、さらに、明示的に単独で考慮され、例示的な実施形態から削除され、例示的な実施形態を補足するために他の例示的な実施形態に導入され、請求項のいずれかと組み合わされ得る。
【0069】
本発明は、好ましい例示的な実施形態によって詳細に例示および説明されてきたが、本発明は、開示された例によって限定されず、他の変形は、特許請求の範囲による本発明の保護の範囲から逸脱することなく、そこから導き出され得るだろう。
【0070】
1 金属ストリップ
2 ローラーターブルローラー
3 検知要素
4 横方向縁部
5 金属ストリップ
6 検知要素
7 横方向縁部
8 摩耗部材
9 摩耗部材調整装置
10 主部材モジュール
11 摩耗面
12 油圧シリンダ
13 経路センサ
14 シリンダラム
15a、15b、15c 摩耗部材
16a、16b、16c 摩耗部材調整装置
17 横方向ガイド
18 摩耗面
19 ガイド平面
20 回転軸
21 ロールスタンド
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5