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特許7076890成形研磨材粒子、その製造方法、及びそれを含む研磨材物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】成形研磨材粒子、その製造方法、及びそれを含む研磨材物品
(51)【国際特許分類】
   B24D 3/00 20060101AFI20220523BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
B24D3/00 340
B24D3/00 320A
B24D3/00 330E
C09K3/14 550D
【請求項の数】 3
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020136551
(22)【出願日】2020-08-13
(62)【分割の表示】P 2018090311の分割
【原出願日】2013-10-17
(65)【公開番号】P2021000721
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2020-09-11
(31)【優先権主張番号】61/720,721
(32)【優先日】2012-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンフランツ,アナトリー ゼット.
(72)【発明者】
【氏名】アデフリス,ニーガス ビー.
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/060213(WO,A1)
【文献】特表平09-505101(JP,A)
【文献】特表2003-505262(JP,A)
【文献】特開2001-079773(JP,A)
【文献】国際公開第1997/027156(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24D 3/00
C09K 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形研磨材粒子の製造方法であって、
非コロイド固体粒子及び液体ビヒクルを含むスラリーを提供する工程であって、少なくともいくつかの前記非コロイド固体粒子は、酸化アルミニウム粉末を含み、前記非コロイド固体粒子は、前記スラリーの少なくとも30体積%を構成する、工程と、
前記スラリーの少なくとも一部を、基材と接触する成形体に形成する工程であって、前記成形体は規定形状に実質的にしたがって形成される、工程と、
前記成形体を少なくとも部分的に乾燥させて、成形研磨材前駆体粒子を得る工程と、
前記基材から前記成形研磨材前駆体粒子の少なくとも一部を分離する工程と、
前記成形研磨材前駆体粒子の少なくとも一部を成形研磨材粒子に変換する工程であって、前記成形研磨材粒子はαアルミナを含み、前記αアルミナは、2.7~8マイクロメートルの平均結晶粒径を有し、各成形研磨材粒子は、少なくとも真密度の92%である見かけ密度を有し、前記成形研磨材粒子の総重量に対して0.03~0.08%の酸化ナトリウムを含有する、工程と、を含む製造方法。
【請求項2】
αアルミナを含む成形研磨材粒子であって、前記αアルミナは、2.7~8マイクロメートルの平均結晶粒径を有し、各成形研磨材粒子は、公称の規定形状に一致し、前記成形研磨材粒子は、少なくとも真密度の92%である見かけ密度を有し、前記成形研磨材粒子の総重量に対して0.03~0.08%の酸化ナトリウムを含有する、成形研磨材粒子。
【請求項3】
バインダーに保持された成形研磨材粒子を含む研磨材物品であって、前記成形研磨材粒子はαアルミナを含み、前記αアルミナは、2.7~8マイクロメートルの平均結晶粒径を有し、前記成形研磨材粒子は、少なくとも真密度の92%である見かけ密度を有し、公称の規定形状に一致し、前記成形研磨材粒子は、前記成形研磨材粒子の総重量に対して0.03~0.08%の酸化ナトリウムを含有する研磨材物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アルミナ系研磨材粒子、その作製方法及びそれを含む研磨材物品に幅広く関連する。
【背景技術】
【0002】
アルミナ(すなわち、Al)は、コストバランス、良好な熱伝導率、強度、強靭性、及び化学的不活性によって研磨布紙及び固定砥粒における優れた研削特性がもたらされるため、研磨材工業で既知の最も重要な研磨材鉱物の1つである。微細構造の改良によって、研磨特性が改善されることは旧来から知られている。したがって、化学的ゾル-ゲル法によって生成され、非常に細かい微細構造体(<0.5マイクロメートル)を有する完全な緻密焼結構造をもたらす高級なアルミナ粒子が開発され(米国特許第4,314,827号(Leitheiserら)、研磨材市場に導入されている。αアルミナ由来のゾル-ゲルにより形成される成形研磨粒子の導入は、研磨工業に革命をもたらしてきた。これらの研磨材粒子は、典型的には、研磨用途において同じ材料から作製される破砕粒子よりも優れている。しかしながら、かかるゾル-ゲル法由来の研磨材粒子は、約20メッシュ(米国メッシュサイズ)未満の寸法でしか得ることができない。ゾル-ゲル技術を使用してより大きな研磨材粒子を生成する試みは、乾燥中に大量の揮発性物質を除去する必要があるために起こるクラックのために、一般的には成功しない。
【0003】
したがって、制限はされないが、ゾル-ゲル粒子よりと同等以上の研削特性を有する、粗粒寸法の粉末由来アルミナ研磨材を提供することが望ましい。粉末由来のAl研磨材は市販されてもいるが(例えば、Treibacher Schleifmittel AG,Villach,AustriaのCCC粒子、又はShowaDenko KK,Tokyo,Japanの焼結アルミナ)、一般的に粉末焼結法によって生じる微細構造は粗いために、これらの有用性は制限されている。
【0004】
αアルミナの機械的特性は、不純物の存在にしばしば影響される。特に、ナトリウムなどの不純物は、アルミナ前駆体からαアルミナを形成するのに悪影響を及ぼすことが広く知られている。例えば、酸化ナトリウムの存在によって焼結後のαアルミナの結晶粒径が増加し、それによって焼結プロセス中の硬度及び/又は破断が減少する。現在、研磨材工業において、約1~2マイクロメートルの結晶αアルミナ粒径範囲を大幅に超えて微細構造を粗大化することは、研磨布紙及び精密な研削用途で使用する研磨材粒子で使用するのに実用的ではないと考えられている。
【0005】
したがって、成形α研磨材粒子の生成においては、高純度αアルミナ前駆体が商業的に使用されている。これらの前駆体は、その分高価である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、本開示は研磨材粒子を作製する方法を提供し、この方法は、
非コロイド固体粒子及び液体ビヒクルを含むスラリーを提供する工程であって、少なくともいくつかの非コロイド固体粒子は、αアルミナ又はαアルミナ前駆体のうちの少なくとも1つを含み、非コロイド固体粒子は、スラリーの少なくとも30体積%を構成する、工程と、
スラリーの少なくとも一部を、基材と接触する成形体に形成する工程であって、成形体は規定形状に実質的にしたがって形成される、工程と、
成形体を少なくとも部分的に乾燥させて、成形研磨材前駆体粒子を得る工程と、
基材から成形研磨材前駆体粒子の少なくとも一部を分離する工程と、
成形研磨材前駆体粒子の少なくとも一部を成形研磨材粒子に変換する工程であって、成形研磨材粒子はαアルミナを含み、αアルミナは、0.8~8マイクロメートルの平均結晶粒径を有し、αアルミナは、少なくとも真密度の92%である見かけ密度を有し、各成形研磨材粒子は、それぞれが複数の辺及び少なくとも4つの頂点を含む表面を有し、成形研磨材粒子は、公称の規定形状に一致する、工程と、を含む。
【0007】
別の態様において、本開示は、上述の方法によって作製された成形研磨材粒子を提供する。
【0008】
更に別の実施形態において、本開示は、αアルミナを含む成形研磨材粒子を提供し、αアルミナは、0.8~8マイクロメートルの平均結晶粒径を有し、αアルミナは、少なくとも真密度の92%である見かけ密度を有し、各成形研磨材粒子は、それぞれが複数の辺及び少なくとも4つの頂点を含む表面を有し、成形研磨材粒子は、公称の規定形状に一致する。
【0009】
本開示による成形研磨材粒子は、例えば、研磨材物品(例えば、研磨布紙、固定砥粒、研磨ブラシ、及び/又は不織布研磨材)の製造において有用である。
【0010】
したがって、更に別の態様において、本開示は、バインダーに保持された成形研磨材粒子を含む研磨材物品を提供し、成形研磨材粒子はαアルミナを含み、αアルミナは、0.8~8マイクロメートルの平均結晶粒径を有し、αアルミナは、少なくとも真密度の92%である見かけ密度を有し、成形研磨材粒子は、公称の規定形状に一致する。
【0011】
本開示による研磨材粒子及び研磨材物品は、例えば工作物を研磨するのに有用である。
【0012】
更に別の態様において、本開示は、工作物を研磨する方法を提供し、この方法は、本開示による研磨材物品に含まれる少なくとも1つの成形研磨材粒子と工作物とを接触させる工程、及び研磨材物品又は工作物のうちの少なくとも1つを他方に対して動かし、工作物の少なくとも一部を研磨する工程、を含む。
【0013】
本明細書で使用するとき、
用語「見かけ密度」は、材料の質量をその見かけ体積で割る(すなわち、内部の空隙を含む体積)を指し、
用語「コロイド」は、約10~10,000オングストロームの寸法である超微粒子状粒子が、これらが容易に濾過されるか又は迅速に沈降するのを防ぐような方法で、連続液体媒体内に分散される系を指し、
用語「結晶粒」は、個別の結晶における結晶格子が連続し、結晶粒界を内部に含まずにその端部まで破壊されていな単一結晶又は単結晶物質における個別の結晶を指し、
用語「結晶粒界」は、多結晶材料において、2つの結晶粒又は結晶子の間に境界面を形成する結晶粒の結晶構造における欠損を指し、
粒径に関して使用される用語「メッシュ」は、別途記載のない限り、米国メッシュサイズを指し、
用語「非コロイド状」は、コロイドの特性を有さないことを意味し、
用語「成形(された)」は、製造中、規定形状にしたがって意図的に成形した結果の形状を意味し、
表面に関する用語「滑らか」は、表面に不規則性、粗さ、又は突起部、それを作製するのに使用される製造プロセスに起因する不規則性によってもたらされ得るもの以外を含まないことを意味し、
用語「真密度」は、所定の圧力及び温度(例えば、大気圧及び25℃の温度)において測定される、物質の任意の内部空隙を除いた所定の物質の密度を指し、
語句「成形研磨材粒子は、公称の規定形状に一致する」とは、成形研磨材粒子の形状が、意図された(規定の)公称形状に一致することを意味し、これは、乾燥中、焼成中、及び焼結中の縮小、及びプロセスの変動性によって起こり得る無作為な偏差(例えば、若干の反り又は欠陥)を考慮に入れて、それらが作製される方法(例えば、成形、押出し、又はスクリーン印刷)によって判断される。
【0014】
有利なことに、本開示による成形研磨材粒子は、例えば、ディスク及び/又はベルトの形態の研磨布紙、固定砥粒、及び/又は不織布研磨材に組み込まれる際に、優れた研磨材特性を示し得る。更に、成形研磨材粒子(すなわち、結晶粒径)内のアルミナ微細構造が、約1~2マイクロメートルの範囲(研磨布紙及び精密研削に適用するのに有用であるボーダーラインとして当該技術分野において一般的に許容される結晶粒径のレベル)を著しく超えて粗大化する際においてでも成形研磨材粒子の研削特性は、実質的に保持される。これは、市販のゾル-ゲル法由来の研磨材粒子におけるアルミナ微細構造とは対照的である。
【0015】
有利なことに、本開示による研磨材粒子は、典型的なゾル-ゲルプロセスにおいて使用されうるよりも安価な原料を用いて作製することができるが、実質的に同等(又はそれより優れた)な研磨性能が達成される。
【0016】
本開示の特徴及び利点は、発明を実施するための形態、及び添付の特許請求の範囲を考慮することで更に深い理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示による例示的な成形研磨材粒子100の概略透視図である。
図2】本開示による例示的な研磨布紙物品200の概略側面図である。
図3】本開示による別の例示的な研磨布紙物品300の概略側面図である。
図4】本開示による例示的な研削砥石400の概略斜視図である。
図5】本開示による例示的な不織布研磨材物品500を約100倍拡大した概略図である。
図6】実施例5の成形研磨材粒子の破断面の走査電子顕微鏡(SEM)マイクログラフである。
図7】1550℃で焼成した実施例6の成形研磨材粒子の角部のSEMマイクログラフである。
図8】1575℃で焼成した実施例6の成形研磨材粒子の縁部のSEMマイクログラフである。
図9】実施例8cの成形研磨材粒子の破断面のSEMマイクログラフである。
図10】実施例8eの成形研磨材粒子の破断面のSEMマイクログラフである。
【0018】
上記の図面には本開示のいくつかの実施形態が記載されているが、例えば、考察の中で記述したように、その他の実施形態も考えられる。いかなる場合も、本開示は代表して提示されるものであって、限定するものではない。本開示の原理の範囲及び趣旨の範囲内に含まれる他の多くの改変例及び実施形態が、当業者によって考案され得る点は理解されるはずである。図は、縮尺どおりに描かれていない場合もある。同様の参照番号が、同様の部分を示すために複数の図を通じて使用されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示による成形研磨材粒子は、非コロイド固体粒子及び液体ビヒクルを含むスラリーを使用する多段階プロセスによって作製され得る。典型的には、非コロイド固体粒子は液体ビヒクル中に懸濁されるが、若干の非コロイド固体粒子の沈降も受け入れられる。非コロイド固体粒子のうちの少なくとも一部は、αアルミナ又はその前駆体のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、非コロイド固体粒子は、αアルミナ粒子、αアルミナ前駆体粒子、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、非コロイド固体粒子のうちの実質的に全て(例えば、少なくとも95重量%又は少なくとも99重量%)、又は全ては、αアルミナ粒子、αアルミナ前駆体粒子、又はこれらの組み合わせを含む。
【0020】
αアルミナ粒子及び非コロイドαアルミナ前駆体粒子は、どちらも存在する場合、個々に見て、又は集団的に、スラリーの少なくとも30、35、40、50、更には少なくとも55体積%を構成することができる。スラリーは更に、例えば、増粘剤、チキソトロープ剤、分散剤、湿潤剤、消泡剤、カップリング剤、変性剤又はこれらの前駆体、成核剤、解膠剤、及び/又は離型剤などの1つ以上の任意の添加剤を含み得る。有用な増粘剤としては、例えば、グアーガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はカルボマーなどの有機増粘剤;及び、例えば、コロイド状ベーマイトなどの無機増粘剤が挙げられる。
【0021】
変性添加剤は、研磨材粒子のいくつかの望ましい特性を強化するか、又はそれに続く焼結工程の有効性を増加させるために機能し得る。変性添加剤又は変性添加剤の前駆体は、マイクロメートル規模及びサブマイクロメートル規模の粒子、ナノコロイド(すなわち、ナノメートル規模のコロイド)、可溶性塩(典型的には水溶性塩)及び不溶性塩の形態であり得る。これらは、典型的には、金属含有化合物からなり、マグネシウム、亜鉛、鉄、シリコン、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、イットリウム、プラセオジウム、サマリウム、イッテルビウム、ネオジム、ランタン、ガドリニウム、セリウム、ジスプロシウム、エルビウム、チタン、及びこれらの混合物の酸化物の前駆体であり得る。かかる添加剤の特定の濃度の決定は、当業者の能力の範囲内である。
【0022】
スラリーに含まれるのに好適な成核剤としては、例えば、αアルミナ、α酸化鉄又はその前駆体、酸化チタン及びチタン酸塩、酸化クロム、又はこの変換の核形成をする他の任意の物質の微粒子が挙げられる。使用される場合、成核剤の量は、典型的にはαアルミナの変換に影響するのに十分な量である。成核αアルミナ前駆体分散体は、米国特許第4,744,802号(Schwabel)に開示されている。
【0023】
コロイド状ベーマイト増粘剤がスラリー中に含まれる場合、解膠剤は、安定性をもたらすのに有用であり得る。好適な解膠剤としては、酢酸、塩酸、ギ酸、及び硝酸などの一塩基酸又は酸化合物が挙げられるである。多塩基酸を用いてもよいが、多塩基酸はスラリーを急速にゲル化し、取り扱い又は追加成分の導入を困難にする。
【0024】
いくつかの実施形態において、非コロイド固体粒子は、αアルミナ粒子を含む。αアルミナ粒子は、例えば、破砕されるか又は成形され得る。本明細書で使用するとき、用語「αアルミナ粒子」は、αアルミナを含む粒子を指す。いくつかの実施形態において、αアルミナ粒子は、少なくとも95重量%又は少なくとも99重量%のαアルミナを含む。いくつかの実施形態において、αアルミナ粒子はαアルミナからなる。有用なαアルミナ粒子は、アルミニウムイオン(例えば、Fe3+イオン)以外の金属イオンを含有し得る。好適なαアルミナの例としては、αアルミナ(白色溶融アルミナ)、及びαアルミナ(褐色溶融アルミナ)が挙げられる。
【0025】
いくつかの実施形態において、非コロイド固体粒子は、αアルミナ前駆体粒子を含む。本明細書で使用するとき、「αアルミナ前駆体」は、十分な加熱によって、少なくとも部分的に(例えば完全に)αアルミナに変換され得るαアルミナ以外の物質を指す。好適なαアルミナ前駆体としては、ベーマイト(γ-AlO(OH))、ダイアスポア(α-AlO(OH))、バイヤライト(すなわち、α-Al(OH))、及びギブサイト及びその多形体(例えば、ドイライト及びノルトストランダイト)が挙げられる。
【0026】
非コロイド固体粒子は、単峰性又は多峰性(例えば、二峰性)であり得る。例えば、非コロイド固体粒子は二峰性分布を有し、非コロイド固体粒子の約95%は約0.7マイクロメートルのモードを有し、非コロイド固体粒子の約5%は約2~3マイクロメートルのモードを有し得る。
【0027】
有利なことに、本開示による方法及び成形研磨材粒子は、適度な濃度のナトリウムイオンでさえナトリウムイオンを含有する研磨材粒子の研磨特性を著しく減少させる傾向がある典型的なゾル-ゲル法とは対照的に、スラリー成分中の適度な濃度のナトリウムイオン及び生じる成形研磨材粒子を許容する。例えば、成形研磨材粒子が、等量ベースで、成形研磨材粒子の総重量に対して、最大で約2.5重量%の酸化ナトリウム、好ましくは0.03~2.5重量%の酸化ナトリウム、より好ましくは0.05~2.5重量%の酸化ナトリウムを含有する際であっても、良好な研磨特性が得られる。いくつかの実施形態において、成形研磨材粒子は、等量ベースで、成形研磨材粒子の総重量に対して、0.05~0.5重量%の酸化ナトリウムを含有する。
【0028】
液体ビヒクルは、水及び/又は有機溶媒を含み得る。液体ビヒクルは、液体ビヒクルの少なくとも50、60、70、80、90、又は更には少なくとも95重量%の量で水を含む。好ましくは、液体ビヒクル中の任意の有機溶媒は、水溶性であって、より好ましくは水混和性である。例としては、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)、エーテル(例えば、グリム、及びジグリム)、及びラクタム(例えば、2-ピロリドン)が挙げられる。
【0029】
好ましくは、スラリーに含まれるαアルミナ及び/又はαアルミナ前駆体の粒子は、0.4~2.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.4~0.8マイクロメートルの範囲の平均粒径を有するが、これは必須ではない。いくつかの実施形態において、二峰性又は更には三峰性の粒径分布が有用である。この場合、微粒子の他に、著しく大きな寸法のものが存在し得る(例えば、0.7の平均粒径は、2~5マイクロメートルの粒子を数%有するのが好ましい)。
【0030】
次に、スラリーの少なくとも一部は基材と接触して成形体を形成する。これは、少なくとも数種の方法で達成され得る。
【0031】
例えば、ゾル-ゲルの代わりにスラリーを使用することを除いては、ゾル-ゲル分散体において開発されたプロセスに概ねしたがって、製造工具(例えば、金型)を使用してスラリーを成形することで成形体は作製され得る。この方法においては、米国特許出願公開第2010/0146867(A1)号(Bodenら);同第2010/0151195(A1)号(Cullerら);同第2010/0151196(A1)号(Adefrisら);同第2009/0165394(A1)号(Cullerら);及び同第2010/0151201(A1)号(Ericksonら)に記載されるように、スラリーは、基材の主表面上の精密に成形された金型キャビティに押入(例えば、ナイフ塗布装置、バー塗布装置、又はドクターブレードを使用して)される。この場合、乾燥中の縮小を考慮に入れ、成形体は、金型キャビティの形状を実質的に保持するのが望ましい。
【0032】
好適な製造工具は、例えば、ベルト、シート、連続ウェブ、輪転グラビアロールなどのコーティングロール、コーティングロールに取り付けられたスリーブ、又はダイであり得る。1つの実施形態において、製造工具は高分子材料を含む。好適な高分子材料の例としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらの組み合わせなどの熱可塑性樹脂、あるいは熱硬化性材料が挙げられる。1つの実施形態において、全ての製造工具は、高分子材料又は熱可塑性材料から作製されている。
【0033】
高分子又は熱可塑性製造工具は、金属製のマスター工具から複製され得る。マスター工具は、製造工具に所望の逆パターンを有する。マスター工具は、製造工具と同様の方法で作製され得る。1つの実施形態において、マスター工具は、例えばニッケルのような金属から作製され、ダイヤモンドターニング加工することができる。1つの実施形態において、マスター工具は、少なくとも部分的にステレオリソグラフィを用いて形成される。高分子シート材料をマスター工具と共に加熱して、2つを一緒に加圧成形することにより、マスター工具パターンで高分子材料がエンボス加工されるようにすることができる。高分子又は熱可塑性材料はまた、マスター工具上へと押出又はキャスティングされ、次に加圧成形され得る。熱可塑性材料を冷却して固化し、製造工具が製造される。熱可塑性製造工具が使用される場合、熱可塑性製造工具を変形し、その寿命を制限し得る過度の熱を生成しないよう注意が必要である。製造工具又はマスター工具の設計及び製作に関する更なる情報は、米国特許第5,152,917号(Pieperら)、同第5,435,816号(Spurgeonら)、同第5,672,097号(Hoopmanら)、同第5,946,991号(Hoopmanら)、同第5,975,987号(Hoopmanら)、及び同第6,129,540号(Hoopmanら)に見出すことができる。
【0034】
スクレーパ又はならし棒は、製造工具のキャビティにスラリーを完全に押入するのに使用され得る。キャビティに入らないスラリーの残存分は、製造工具の上面から除去され、再利用され得る。いくつかの実施形態において、少量のスラリーが製造工具の上面に残る場合があるが、他の実施形態においては、上面には分散体が実質的に存在しない。スクレーパ又はならし棒により適用される圧力は、典型的には、100psi(0.6MPa)未満、50psi(0.3MPa)未満、又は更には10psi(60kPa)未満である。いくつかの実施形態において、スラリーは、上面を越えて外側に延在しない。いくつかの実施形態において、成形研磨材粒子の平面となるキャビティの露出面を有するのが望ましい場合、キャビティを過充填し(例えば、マイクロノズル配列を使用する)、スラリーをゆっくりと乾燥するのが望ましい。
【0035】
金型の上面又は底面の開口部から、製造工具のキャビティに接することができる。場合によっては、キャビティは、金型の全厚まで延在することができる。あるいは、キャビティは、金型の厚さの一部分のみにわたって延在することができる。1つの実施形態において、上面は実質的に均一の深さを有するキャビティを含む金型の底面と実質的に平行である。金型の少なくとも1つの面、すなわちキャビティが形成される面は、揮発性成分の除去工程の間、周囲の外気に曝露したままにされ得る。
【0036】
キャビティは、セラミック成形研磨粒子を作製するための特定の三次元形状を有する。深さ寸法は、上面から底面までの垂直距離と等しい。所定のキャビティの深さは、均一であってよく、又はその長さ及び/又は幅に沿って変化してもよい。所定の金型のキャビティは、同じ形状であってよく、又は異なる形状であってもよい。
【0037】
あるいは、スラリーは、スクリーン又は有孔基材の開口部を通して、(例えば、スクリーン印刷によって)押入される。この場合、スラリーが、成形体が乾燥中に形状を実質的に保持するのに十分な粘度を有することが望ましい。
【0038】
これらの方法のいずれかにおいて、所望であれば、基材から成形研磨材前駆体粒子を除去するのを助けるために、スラリー中に離型剤を含むか、金型表面上に離型剤をコーティングするのが望ましい。典型的な離型剤としては、ピーナッツ油又は鉱油、魚油、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン(ptfe)、ステアリン酸亜鉛、及びグラファイトが挙げられる。一般的には、剥型が望ましい場合、ピーナッツ油などの離型剤は、水又はアルコールなどの液体中、約0.1mg/インチ(0.6mg/cm)~約3.0mg/インチ(20mg/cm)、又は約0.1mg/インチ(0.6mg/cm)~約5.0mg/インチ(30mg/cm)の剥離剤が存在するようにスラリーと接触する製造工具の表面に適用される。
【0039】
基材は、例えば、シート、ロール、ベルト、又はウェブの形状、ベルト、シート、連続ウェブ、輪転グラビアロールなどのコーティングロール、コーティングロールに取り付けられたスリーブであり得る。基材は、金属(ベルト又はロールの場合)、又は有機増粘剤(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン)を含み得る。
【0040】
成形体中にスラリーを形成した後、成形体が少なくとも部分的に乾燥されて成形研磨材前駆体粒子を提供する。これは、例えば、炉、加熱プラテン、ヒートガン、又は赤外線ヒーターを使用して達成され得る。本明細書で使用するとき、「乾燥」は、液体ビヒクルの少なくとも一部の除去を指し、これは水の除去を具体的に指していても、いなくてもよい。
【0041】
望ましくは、液体ビヒクルは、急速な蒸発速度で除去される。いくつかの実施形態において、蒸発による液体ビヒクルの除去は、液体ビヒクルの沸点を超える温度で生じる。乾燥温度の上限は、金型が作製される材料によって異なり得る。ポリプロピレン工具において、温度は一般的にポリプロピレンの融点未満であって、好ましくは軟化点未満であるべきである。
【0042】
乾燥中、スラリーは収縮し、それによってキャビティ壁からの退縮が引き起こされ得る。例えば、キャビティが平坦壁を有する場合には、得られるセラミック成形研磨材粒子は、少なくとも3つの凹状の主面を有する傾向があり得る。キャビティ壁を凹状にすることで(これによってキャビティ容積が増加する)、少なくとも3つの実質的に平坦な主面を有するセラミック成形研磨材粒子を得ることが可能であることが現在見出されている。必要な凹型の程度は、一般的に、スラリーの固形分によって異なる。
【0043】
次に、成形研磨材前駆体粒子の少なくとも一部は、基材から分離される。典型的には、これは、例えば、重力、真空、加圧空気、又は、例えば振動(例えば超音波振動)、屈曲及び/又は叩解などの機械的方法によって達成され得るが、他の方法も使用され得る。
【0044】
基材から分離されると、成形研磨材前駆体粒子の少なくとも一部は、成形研磨材粒子に変換される。
【0045】
成形研磨材前駆体粒子は、基材から分離されると、外部で更に乾燥され得る。スラリーを、金型内で望ましいレベルまで乾燥させる場合には、この追加的な乾燥工程は必要ない。しかしながら、場合によっては、この追加的な乾燥工程を採用して、金型内にスラリーが存在する時間を最低限にすることが経済的であり得る。典型的には、成形研磨材前駆体粒子は、10~480分、又は120~400分、50℃~160℃、又は120℃~150℃の温度において乾燥される。
【0046】
好ましくはあるが任意で、次に、成形研磨材前駆体粒子は焼成される。焼成工程の間に、本質的に全ての揮発性材料が除去され、スラリーに存在していた様々な成分が形質転換されて酸化金属になる。成形研磨材前駆体粒子は、一般的には、400℃~800℃の温度に加熱され、遊離水及び90重量%を超える任意の結合揮発性材料が除去されるまで、この温度範囲内に維持される。任意の工程において、所望により、含浸プロセスによって変性添加剤が導入され得る。焼成された成形研磨材前駆体粒子の孔に、含浸によって水溶性塩が導入され得る。次に、成形研磨材前駆体粒子は、再び予備焼成される。この選択肢は、米国特許第5,164,348号(Wood)に更に記載されている。
【0047】
焼成されていてもいなくても、成形研磨材前駆体粒子(又は焼成された成形研磨材前駆体粒子)は焼結されて、αアルミナを含む成形研磨材粒子を形成する。成形研磨材粒子は、典型的には、焼結後のセラミックである。焼結前は、(任意で焼成された)成形研磨材前駆体粒子は完全には緻密化されていないので、セラミック成形研磨材粒子として使用するのに必要な硬度が足りない。焼結は、典型的には、(任意で焼成された)成形研磨材前駆体粒子を1000℃~1650℃の温度まで加熱することで起こる。緻密化を達成するのに必要な加熱時間は、様々な要因によって異なるが、5秒~48時間の時間は典型的である。
【0048】
別の実施形態において、焼結工程の持続時間は1分間~90分間の範囲である。焼結後、セラミック成形研磨材粒子は、10GPa(ギガパスカル)、16GPa、18GPa、20GPa、又はそれ以上のビッカース硬度を有し得る。
【0049】
記載されるプロセスを修正するために、例えば、材料を焼成温度から焼結温度まで急激に加熱する、又は、スラリーを遠心分離して、スラッジ及び/又は廃物を除去するなどの他の工程が使用され得る。更に、所望であれば、2つ以上のプロセス工程を組み合わせることによってこのプロセスを変更することができる。本開示のプロセスを修正するために使用され得る従来のプロセス工程は、米国特許第4,314,827号(Leitheiser)により完全に記載されている。
【0050】
本開示にしたがって調製した成形研磨材粒子は、0.8~8マイクロメートル(好ましくは0.8~6マイクロメートル、及びより好ましくは0.8~5マイクロメートル)の平均結晶粒径、及び、少なくとも真密度の92、93、94、95、96、97、98、又は更には少なくとも真密度の99%である見かけ密度(例えば、αアルミナにおいて、25℃で真密度=3.97g/cm)を有するαアルミナを含む。)
【0051】
本開示による成形研磨材粒子は、広範囲の粒径において使用すされてよく典型的には、約10~約10000マイクロメートル、好ましくは約100~約10000マイクロメートル、より好ましくは約500~約10000マイクロメートルの寸法範囲であるが、これは必須ではない。いくつかの実施形態において、成形研磨材粒子は、少なくとも20米国メッシュ(すなわち、≧約840マイクロメートル)の平均粒径を有する。本開示による成形研磨材粒子、例えば、ANSI(米国規格協会)、FEPA(欧州研磨材製造業者連盟)、及びJIS(日本工業規格)などの業界で認識されている等級分けの基準を使用するなどの当該技術分野で周知の技術を使用して、スクリーニングし、等級分けすることができる。ANSI等級表記の例としては、ANSI 4、ANSI 6、ANSI 8、ANSI 16、ANSI 24、ANSI 36、ANSI 40、ANSI 50、ANSI 60、ANSI 80、ANSI 100、ANSI 120、ANSI 150、ANSI 180、ANSI 220、ANSI 240、ANSI 280、ANSI 320、ANSI 360、ANSI 400、及びANSI 600が挙げられる。FEPA等級表記としては、P8、P12、P16、P24、P36、P40、P50、P60、P80、P100、P120、P150、P180、P220、P320、P400、P500、P600、P800、P1000、及びP1200が挙げられる。JIS等級表記としては、JIS8、JIS12、JIS16、JIS24、JIS36、JIS46、JIS54、JIS60、JIS80、JIS100、JIS150、JIS180、JIS220、JIS240、JIS280、JIS320、JIS360、JIS400、JIS400、JIS600、JIS800、JIS1000、JIS1500、JIS2500、JIS4000、JIS6000、JIS8000、及びJIS10,000が挙げられる。
【0052】
本開示による成形研磨材粒子は、それらを成形するために用いられる方法により一般的に付与される非ランダム形状を有する。例えば、成形研磨材粒子は、ピラミッド、切頭ピラミッド、ロッド、又は円錐体の形状であり得る。いくつかの実施形態において、成形研磨材粒子は、少なくとも4つの頂点を形成する複数の辺を含む外側表面を有する。側壁は、典型的には、実質的に平滑であるか平滑であるが、これは必須ではない。
【0053】
いくつかの実施形態において、各成形研磨材粒子は、複数の側壁と当接する底面を含んでよく、この底面は少なくとも3つの頂点を含む。
【0054】
いくつかの実施形態において、各成形研磨材粒子は、それぞれが複数の側壁と当接する上面を含んでよく、この上面及び底面は互いに接触しない。いくつかの実施形態において、側壁は、底面から内側に向かって細くなっている。
【0055】
図1を参照すると、本開示による代表的な成形研磨材粒子100には、頂点110、側壁120、縁部130、底面140、及び上面150(底面140と接触しない)を有する切頭三角錐を含む。側壁120は、底面140から内側に向かって細くなっている。隣接する側壁は、縁部130及び少なくとも2つの頂点110で互いに接触する。
【0056】
別の態様において、本開示は、研磨材物品(例えば、研磨布紙物品、固定砥粒物品(ビトリファイド砥石、ガラス質砥石、レジノイド砥石、メタルボンド研削砥石、切断砥石、軸付砥石、及びホーニング砥石など)、不織布研磨材物品、及び研磨ブラシなど)を提供し、それらの研磨材物品は、バインダー及びそのバインダーに保持される本開示による成形研磨材粒子を含む。かかる研磨材物品の作製方法及び研磨材物品の使用方法は、当業者に周知である。加えて、本開示による成形研磨材粒子は、研磨化合物(例えば、研磨剤)、ミリング媒体、ショットブラスト媒体、振動ミル媒体などのスラリーなどの、研磨材粒子を使用する研磨用途に使用され得る。
【0057】
研磨布紙物品は、一般的には、裏材と、研磨材粒子と、及び裏材上に研磨粒子を保持するための少なくとも1つのバインダー、とを含む。好適な裏材材料の例としては、織布、ポリマーフィルム、バルカンファイバー、不織布、編布、紙、これらの組合せ、及びこれらの処理された形態が挙げられる。バインダーは、無機又は有機バインダー(熱硬化性樹脂及び放射線硬化性樹脂など)などの任意の好適なバインダーであり得る。研磨材粒子は、研磨布紙物品の1つの層又は2つの層中に存在し得る。
【0058】
本開示による研磨布紙物品の代表的な実施形態を図2に示す。図2を参照すると、研磨布紙物品200は、裏材220及び研磨層230を有する。研磨層230は、メイクコート250及びサイズコート260により裏材220(基材)の主表面270に固定された、本開示による成形研磨材粒子240を含む。成形研磨材粒子240は、メイクコート250と接触している。サイズコート260は、メイクコート250の少なくとも一部上及び成形研磨材粒子240の少なくとも一部上に配置される。メイクコート250及びサイズコート260の各々は、それぞれが同じであっても異なっていてもよいバインダーを含む。
【0059】
本開示による別の代表的な研磨布紙物品を図3に示す。図3を参照すると、代表的な研磨布紙物品300は、裏材320(基材)と構造化研磨層330とを有する。構造化研磨層330は、裏材320の主表面370に固定されたバインダー350内に分散された、本開示による成形研磨材粒子340を含む複数の成形研磨材複合体335を含む。
【0060】
本開示による研磨布紙物品は、所望であれば、例えば、研磨層上に重ねられる任意のスーパーサイズ層などの追加層を含み得るか、又は、帯電防止処置及び/又は層は、研磨層と対向する裏材上に配置され得る。
【0061】
研磨布紙物品及びその製造方法に関する更なる詳細は、例えば、米国特許第4,734,104号(Broberg)、同第4,737,163号(Larkey)、同第5,203,884号(Buchananら)、同第5,152,917号(Pieperら)、同第5,378,251号(Cullerら)、同第5,436,063号(Follettら)、同第5,496,386号(Brobergら)、同第5,609,706号(Benedictら)、同第5,520,711号(Helmin)、同第5,961,674号(Gagliardiら)、及び同第5,975,988号(Christianson)に見出すことができる。
【0062】
固定砥粒物品は、典型的には、有機、金属、又はビトリファイドバインダーによって一緒に保持される研磨材粒子の成形塊(本開示による成形研磨材粒子及び任意で破砕研磨材粒子を含む)を含む。かかる成形塊は、例えば、研削砥石又は切削砥石などの砥石の形態であり得る。研削砥石の直径は、典型的には、約1cm~1メートル以上であり、切断砥石の直径は、約1cm~80cm以上(より典型的には3cm~約50cm)である。切断砥石の厚さは、典型的には約0.5mm~約5cm、より典型的には、約0.5mm~約2cmである。成形塊は、例えば、ホーニング砥石、セグメント、軸付砥石、ディスク(例えば、ダブルディスク研削盤)、又は他の従来の固定砥粒形状であってもよい。固定砥粒物品は、典型的には、固定砥粒物品の総体積に対して、約3~50体積%の結合材料、約30~90体積%の研磨粒子(又は研磨粒子ブレンド)、最高50体積%までの添加剤(研削助剤を含む)、及び最高70体積%までの孔で構成される。
【0063】
代表的な形態は研削砥石である。図4を参照すると、本開示による切削砥石400は、バインダー430により保持され、砥石に成形され、ハブ420に取り付けられた、本開示による成形研磨材粒子440を含む。
【0064】
固定砥粒物品に関する更なる詳細は、例えば、米国特許第4,543,107号(Rue)、米国特許第4,741,743号(Narayananら)、米国特許第4,800,685号(Haynesら)、米国特許第4,898,597号(Hayら)、同第4,997,461号(Markhoff-Mathenyら)、同第5,037,453号(Narayananら)、及び米国特許第5,863,308号(Qiら)に見出すことができる。
【0065】
不織布研磨材物品は、典型的には、本開示による研磨材粒子を有する開孔質の嵩高なポリマーフィラメント構造を含み、この研磨材粒子は、構造全体に分配され、有機バインダーにより構造内に粘着結合されている。フィラメントの例としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維が挙げられる。図5には、本開示による代表的な不織布研磨材物品500を約100倍拡大した概略図が提供されている。本開示によるかかる不織布研磨材物品は、本開示による成形研磨材粒子540がバインダー材料560によりその上に接着されている、嵩高な開放型の不織布繊維ウェブ550(基材)を含む。
【0066】
不織布研磨材物品及びその製造方法に関する詳細は、例えば、米国特許第2,958,593号(Hooverら)、同第4,227,350号(Fitzer)、同第4,991,362号(Heyerら)、同第5,712,210号(Windischら)、同第5,591,239号(Edblomら)、同第5,681,361号(Sanders)、同第5,858,140号(Bergerら)、同第5,928,070号(Lux)、及び米国特許第6,017,831号(Beardsleyら)に見出すことができる。
【0067】
研磨ブラシ及びその製造方法に関する詳細は、例えば、裏材が一体化されている複数の剛毛を有するものを含む研磨ブラシ(例えば、米国特許第5,443,906号(Pihlら);同第5,679,067号(Johnsonら);及び同第5,903,951号(Iontaら)において見出すことができる。好ましくは、かかるブラシは、ポリマーと研磨材粒子の混合物を射出成形することにより作製される。
【0068】
好適なバインダー(すなわち、バインダー材料)は、例えば、熱硬化性有機バインダーなどの有機バインダーを含む。好適な熱硬化性有機バインダーの例としては、フェノール樹脂、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ペンダントα、β-不飽和カルボニル基を有するアミノプラスト樹脂、エポキシ樹脂、アクリル化ウレタン、アクリル化エポキシ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。バインダー及び/又は研磨材物品は、繊維、潤滑剤、湿潤剤、揺変性材料、界面活性剤、顔料、染料、帯電防止剤(例えば、カーボンブラック、酸化バナジウム、又はグラファイト)、カップリング剤(例えば、シラン、チタネート、又はジルコアルミネート)、可塑剤、懸濁化剤などの添加剤を含むこともできる。これらの任意の添加剤の量は、好ましい特性がもたらされるように選択する。カップリング剤は、研磨材粒子及び/又はフィラーとの接着力を改善することができる。バインダーの化学的性質は、熱硬化、放射線硬化、又はそれらの組み合わせにより硬化させ得る。バインダーの化学的性質についての更なる詳細は、米国特許第4,588,419号(Caulら)、米国特許第4,751,138号(Tumeyら)、及び米国特許第5,436,063号(Follettら)に見出すことができる。
【0069】
ビトリファイド固定砥粒に関して、より具体的には、ガラス質結合材料は、アモルファス構造を呈し、典型的には硬質であり、これは当該技術分野において周知である。場合によっては、ガラス質結合材料は結晶相を含む。本開示による、ビトリファイド固定砥粒物品は、砥石、ホーニング砥石、軸付砥石又は他の従来の固定砥粒の形状を有し得る。本開示による代表的なビトリファイド固定砥粒物品は、切削砥石である。
【0070】
ガラス質結合材料を形成するために使用される金属酸化物の例としては、シリカ、ケイ酸塩、アルミナ、ソーダ、カルシア、ポタシア、チタニア、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化リチウム、マグネシア、ボリア、ケイ酸アルミニウム、ホウケイ酸ガラス、リチウムアルミニウムシリケート、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。典型的には、ガラス質結合材料は、10~100重量%のガラスフリットを含む組成物から形成され得るが、より典型的には、組成物は20~80重量%のガラスフリット、又は30~70重量%のガラスフリットを含む。ガラス質結合材料の残りの部分は、非フリット材料であり得る。あるいは、ガラス質の結合剤は、非フリット含有組成物に由来してもよい。ガラス質結合材料は、典型的には、約700℃~約1500℃の範囲の温度で、通常は約800℃~約1300℃の範囲、場合によっては約900℃~約1200℃の範囲、又は更には約950℃~約1100℃の範囲の温度で熟成される。結合が熟成する実際の温度は、例えば、特定の結合化学に依存する。
【0071】
いくつかの実施形態において、ビトリファイド結合材料は、シリカ、アルミナ(好ましくは、少なくとも10重量%のアルミナ)、及びボリア(好ましくは、少なくとも10重量%のボリア)を含むもの含み得る。ほとんどの場合、ビトリファイド結合材料は、アルカリ金属酸化物(例えば、NaO及びKO)(場合によっては、少なくとも10重量%のアルカリ金属酸化物)を更に含む。
【0072】
バインダー材料は、典型的には粒子状物質の形態のフィラー材料又は研削助剤も含有し得る。典型的には、粒子状物質は無機材料である。本開示に有用なフィラーとしては、金属炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム(例えば、チョーク、方解石、マール、トラバーチン、大理石、及び石灰石)、炭酸カルシウムマグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム)、シリカ(例えば、石英、ガラスビーズ、ガラスバブル、及びガラス繊維)ケイ酸塩(例えば、タルク、粘土(モンモリロナイト)長石、雲母、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム)、金属硫酸塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸アルミニウム)、石膏、バーミキュライト、木粉、アルミニウム三水和物、カーボンブラック、金属酸化物(例えば、酸化カルシウム(石灰)、酸化アルミニウム、二酸化チタン)、及び金属亜硫酸塩(例えば、亜硫酸カルシウム)が挙げられる。
【0073】
一般に、研削助剤を添加すると、研磨材物品の耐用寿命が延びる。研削助剤は、研磨の化学及び/又は物理プロセスに著しい影響を有し、改善された性能をもたらす材料である。研削助剤は、幅広い材料を包含しており、無機系であっても有機系であってもよい。研削助剤の薬品群の例としては、ワックス、有機ハロゲン化物化合物、ハロゲン化物塩、並びに金属及びその合金が挙げられる。有機ハロゲン化物化合物は、典型的には、研磨時に分解し、ハロゲン酸又はガス状ハロゲン化物化合物を放出する。このような材料の例としては、テトラクロロナフタレン、ペンタクロロナフタレン、及びポリ塩化ビニルのような塩素化ワックスが挙げられる。ハロゲン化物塩の例としては、塩化ナトリウム、カリウムクライオライト、ナトリウムクライオライト、アンモニウムクライオライト、テトラフルオロホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、フッ化ケイ素、塩化カリウム、及び塩化マグネシウムが挙げられる。金属の例としては、スズ、鉛、ビスマス、コバルト、アンチモン、カドミウム、鉄、及びチタンが挙げられる。他の種々の研削助剤としては、イオウ、有機イオウ化合物、グラファイト、及び金属硫化物が挙げられる。異なる研削助剤の組み合わせを使用してもよく、場合によっては、これは相乗効果をもたらし得る。
【0074】
研削助剤は、研磨布紙物品及び固定砥粒物品に特に有用であり得る。研磨布紙物品では、研削助剤は、典型的には、研磨材粒子の表面上に適用されるスーパーサイズコートに使用される。しかしながら、場合によっては、研削助剤は、サイズコートに添加される。典型的には、研磨布紙物品に組み込まれる研削助剤の量は、約50~300グラム毎平方メートル(g/m)、好ましくは約80~160g/mである。ビトリファイド固定砥粒物品において、研削助剤は、典型的には、物品の孔に含浸される。
【0075】
研磨材物品は、本発明の開示による成形研磨材粒子を100パーセント含有してもよく、あるいは、他の研磨材粒子及び/又は希釈剤粒子とかかる研磨材粒子のブレンドを含有してもよい。しかしながら、研磨材物品中、少なくとも約2重量%、好ましくは少なくとも約5重量%、及びより好ましくは約30~100重量%の研磨材粒子は、本開示による成形研磨材粒子であるべきである。
【0076】
場合によっては、本開示によって成形研磨材粒子は、他の研磨材粒子及び/又は希釈剤粒子と、5~75重量%の間の比率、約25対75重量%、約40対60重量%、又は約50対50重量%(すなわち、同量(重量比))でブレンドされ得る。
【0077】
好適な従来の研磨材粒子の例としては、溶融酸化アルミニウム(白色溶融アルミナ、熱処理された酸化アルミニウム、及び褐色酸化アルミニウムなど)、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、ガーネット、溶融アルミナ-ジルコニア、及びゾル-ゲル法由来の研磨材粒子などが挙げられる。従来のゾル-ゲル法由来研磨材粒子は、シードされていてもよく、シードされていなくてもよい。同様に、それらはランダムな形状であってもよく、あるいは、ロッド又は三角形など、それらに関連付けられた形状を有していてもよい。場合によっては、研磨材粒子のブレンドは、いずれかのタイプの研磨材粒子を100%含む研磨材物品と比較して改善された研削性能を示す研磨材物品をもたらすことができる。
【0078】
研磨材粒子のブレンドが存在する場合、そのブレンドを形成する研磨材粒子の種類は、同じ寸法のものであってもよい。あるいは、研磨材粒子の種類は、異なる粒径のものであってもよい。例えば、より大きい粒径の研磨材粒子が本開示による研磨材粒子であって、より小さい粒径の粒子が別の種類の研磨材粒子であってもよい。逆に、例えば、より小さい粒径の研磨材粒子が本発明による研磨材粒子であって、より大きい粒径の粒子が別の種類の研磨材粒子であってもよい。
【0079】
好適な希釈粒子の例としては、大理石、石膏、フリント、シリカ、酸化鉄、ケイ酸アルミニウム、ガラス(ガラスバブル及びガラスビーズを含む)、アルミナバブル、アルミナビーズ、及び希釈剤凝集体が挙げられる。
【0080】
本開示による成形研磨材粒子は、研磨材凝集体と組み合わせてもよい。研磨材凝集体の粒子は、典型的には、複数の研磨材粒子、バインダー、及び任意の添加剤を含む。バインダーは、有機及び/又は無機であってよい。研磨材凝集体は、無作為に成形されるか、又は研磨材凝集体に関連する既定形状を有し得る。その形状は、例えば、ブロック、円筒、ピラミッド、コイン、又は正方形であり得る。研磨凝集体の粒子は、約100~約5000マイクロメートル、典型的には約250~約2500マイクロメートルの範囲の粒径を有する。
【0081】
研磨材粒子は、研磨材物品に均一に分配されていてもよく、あるいは、研磨材物品の選択された区域又は部分に集中していてもよい。例えば、研磨布紙では、2層の研磨材粒子が存在してもよい。第1層は、本開示による成形研磨材粒子以外の研磨材粒子を含み、第2の(最も外側の)層は、本開示による成形研磨材粒子を含む。同様に、固定砥粒では、研削砥石の2つの異なるセクションがあってもよい。最も外側のセクションは、本開示による成形研磨材粒子を含んでもよく、最も内側のセクションは、本開示による研磨材粒子を含み得ない。あるいは、本開示による成形研磨材粒子は、固定砥粒物品全体に均一に分配され得る。
【0082】
本開示は、工作物を研磨する方法を提供する。この方法は、本開示による研磨材粒子と工作物の表面とを摩擦接触させる工程と、研磨材粒子及び工作物の表面のうちの少なくとも一方を、他方に対して動かして、工作物の表面の少なくとも一部を研磨する工程と、を含む。本開示による研磨材粒子で研磨する方法は、例えば、スナッギング(すなわち、高圧高研削量)から、ポリッシング(例えば、研磨布紙ベルトで医療用インプラントをポリッシングすること)までを含み、後者は、典型的には、より細かい等級(例えばANSI 220以上の細かさ)の研磨材粒子で行われる。研磨材粒子は、ビトリファイド結合研磨ホイールによるカムシャフトの研削のような精密な研磨用途にも使用され得る。特定の研磨用途に使用される研磨材粒子の大きさは、当業者には明らかであろう。
【0083】
研磨は、乾式又は湿式で行うことができる。湿式研磨においては、十分に浸すために軽い霧の形態で供給される液体を導入することができる。一般的に用いられる液体の例としては、水、水溶性油、有機潤滑剤、及び乳剤が挙げられる。液体は、研磨に伴う熱を下げる役割を果たすことができ、及び/又は潤滑剤として作用し得る。液体は、例えば殺菌剤、消泡剤などのような添加剤を少量含有し得る。
【0084】
工作物の例としては、アルミニウム金属、炭素鋼、軟鋼(例えば、1018軟鋼及び1045軟鋼)、工具鋼、ステンレス鋼、硬化鋼、チタン、ガラス、セラミックス、木材、木材様材料(例えば、合板及びパーティクルボード)、塗料、塗装面、有機被覆表面などが挙げられる。研磨中に付加される力は、典型的には、約1~約100キログラム(kg)の範囲であるが、他の圧力も使用され得る。
【0085】
本開示の選択された実施形態
第1の実施形態において、本開示は、研磨材粒子の作製方法を提供し、その方法は、
非コロイド固体粒子及び液体ビヒクルを含むスラリーを提供する工程であって、少なくともいくつかの非コロイド固体粒子は、αアルミナ又はαアルミナ前駆体のうちの少なくとも1つを含み、非コロイド固体粒子は、スラリーの少なくとも30体積%を構成する、工程と、
スラリーの少なくとも一部を、基材と接触する成形体に形成する工程であって、成形体は規定形状に実質的にしたがって形成される、工程と、
成形体を少なくとも部分的に乾燥させて、成形研磨材前駆体粒子を得る工程と、
基材から成形研磨材前駆体粒子の少なくとも一部を分離する工程と、
成形研磨材前駆体粒子の少なくとも一部を成形研磨材粒子に変換する工程であって、成形研磨材粒子はαアルミナを含み、αアルミナは、0.8~8マイクロメートルの平均結晶粒径、及び少なくとも真密度の92%である見かけ密度を有し、各成形研磨材粒子は、それぞれが複数の辺及び少なくとも4つの頂点を含む表面を有する、工程と、を含む。
【0086】
第2の実施形態において、本開示は、第1の実施形態による方法を提供し、基材はその表面にキャビティを有し、スラリーを、基材と接触する成形研磨材前駆体粒子に形成する工程は、スラリーをキャビティの少なくとも一部に押入する工程を含む。
【0087】
第3の実施形態において、本開示は、第1又は第2の実施形態による方法を提供し、スラリーを成形する工程は、スクリーンを通してスラリーを基材上に押入する工程を含む。
【0088】
第4の実施形態において、本開示は、第1~第3の実施形態のうちのいずれか1つによる方法を提供し、非コロイドαアルミナ前駆体粒子は、等量ベースで、成形研磨材前駆体粒子の総重量に対して、少なくとも0.03重量%の酸化ナトリウムを含有する。
【0089】
第5の実施形態において、本開示は、第1~第4の実施形態のうちのいずれか1つによる方法を提供し、成形研磨材前駆体粒子の少なくとも一部を成形研磨材粒子に変換する方法は、
成形研磨材前駆体粒子を焼結して成形研磨材粒子を得る工程を含む。
【0090】
第6の実施形態において、本開示は、第1~第4の実施形態のうちのいずれか1つによる方法を提供し、成形研磨材前駆体粒子の少なくとも一部を成形研磨材粒子に変換する方法は、
成形研磨材前駆体粒子を焼成して焼成された成形研磨材前駆体粒子を得る工程と、
焼成された成形研磨材前駆体粒子を焼結し、成形研磨材粒子を得る工程と、を含む。
【0091】
第7の実施形態において、本開示は、第1~第6の実施形態のうちのいずれか1つによる方法を提供し、成形研磨材前駆体粒子の少なくとも一部を成形研磨材粒子に変換する方法は、
成形研磨材前駆体粒子を金属塩溶液に含浸して、含浸された成形研磨材前駆体粒子を得る工程と、
含浸された成形研磨材前駆体粒子を焼結して成形研磨材粒子を得る工程と、を含む。
【0092】
第8の実施形態において、本開示は、第1~第6の実施形態のうちのいずれか1つによる方法を提供し、成形研磨材前駆体粒子の少なくとも一部を成形研磨材粒子に変換する工程は、
成形研磨材前駆体粒子を焼成して焼成された成形研磨材前駆体粒子を得る工程と、
焼成された成形研磨材前駆体粒子を金属塩溶液に含浸して含浸焼成された成形研磨材前駆体粒子を得る工程と、
含浸焼成された成形研磨材前駆体粒子を焼結して成形研磨材粒子を得る工程と、を含む。
【0093】
第9の実施形態において、本開示は、第1~第8の実施形態のうちのいずれか1つによる方法を提供し、非コロイドαアルミナ前駆体粒子は、酸化アルミニウム粉末を含む。
【0094】
第10の実施形態において、本開示は、第1~第9の実施形態のうちのいずれか1つによる方法を提供し、非コロイドαアルミナ前駆体粒子は、粉碎したアルミニウム三水和物粒子を含む。
【0095】
第11の実施形態において、本開示は、第1~第10の実施形態のうちのいずれか1つによる方法を提供し、非コロイドαアルミナ前駆体粒子は、等量ベースで、成形研磨材前駆体粒子の総重量に対して、0.03~0.25%の酸化ナトリウムを含有する。
【0096】
第12の実施形態において、本開示は、第1~第11の実施形態のうちのいずれか1つによる方法を提供し、非コロイドαアルミナ前駆体粒子は、少なくとも0.2マイクロメートルの平均粒径を有する。
【0097】
第13の実施形態において、本開示は、第1~第12の実施形態のうちのいずれか1つによる方法を提供し、スラリーは増粘剤を更に含む。
【0098】
第14の実施形態において、本開示は、第12の実施形態による方法を提供し、増粘剤はコロイド状ベーマイトを含む。
【0099】
第15の実施形態において、本開示は、第12の実施形態による方法を提供し、増粘剤は有機増粘剤を含む。
【0100】
第16の実施形態において、本開示は、第1~第15の実施形態のうちのいずれか1つによる方法を提供し、成形研磨材粒子は20メッシュを超える平均粒径を有する。
【0101】
第17の実施形態において、本開示は、第1~第16の実施形態のうちのいずれか1つによる方法を提供し、非コロイドαアルミナ前駆体粒子は、スラリーの少なくとも40体積%を構成する。
【0102】
第18の実施形態において、本開示は、第1~第17の実施形態のうちのいずれか1つによる方法によって作製される成形研磨材粒子を提供する。
【0103】
第19の実施形態において、バインダーに保持された、第18の実施形態による成形研磨材粒子を含む研磨材物品を提供し、成形研磨材粒子はαアルミナを含み、αアルミナは、0.8~8マイクロメートルの平均結晶粒径を有し、αアルミナは、少なくとも真密度の92%である見かけ密度を有し、成形研磨材粒子は、公称の規定形状に一致する。
【0104】
第20の実施形態において、本開示は、第19の実施形態による研磨材物品を提供し、この研磨材物品は、
裏材と、
裏材の主表面に固定されたメイクコートであって、成形研磨材粒子はメイクコートに接触する、メイクコートと、
メイクコートの少なくとも一部及び成形研磨材粒子の少なくとも一部上に配設されるサイズコートと、を更に含む。
【0105】
第21の実施形態において、本開示は、第19又は第20の実施形態による成形研磨材粒子を含む研磨材物品を提供し、研磨材粒子は、裏材及び裏材の主表面と接触する研磨層を更に含み、研磨層は、バインダー及び成形研磨材粒子を含む。
【0106】
第22の実施形態において、本開示は、第19の実施形態による成形研磨材粒子を含む研磨材物品を提供し、研磨材物品は嵩高な開放型の繊維ウェブを更に含む。
【0107】
第23の実施形態において、本開示は、第19の実施形態による成形研磨材粒子を含む研磨材物品を提供し、研磨材物品は固定砥粒砥石を含む。
【0108】
第24の実施形態において、本開示は、工作物を研磨する方法を提供し、この方法は、第19~第23の実施形態のうちのいずれか1つによる研磨材物品に含まれる少なくとも1つの成形研磨材粒子と工作物とを接触させる工程と、研磨材物品又は工作物のうちの少なくとも1つを他方に対して動かして工作物の少なくとも一部を研磨する工程と、を含む。
【0109】
第25の実施形態において、本開示は、αアルミナを含む成形研磨材粒子を提供し、αアルミナは、0.8~8マイクロメートルの平均結晶粒径を有し、αアルミナは、少なくとも真密度の92%である見かけ密度を有し、各成形研磨材粒子は、それぞれが複数の辺及び少なくとも4つの頂点を含む表面を有し、成形研磨材粒子は、公称の規定形状に一致する。
【0110】
第26の実施形態において、本開示は、第25の実施形態による成形研磨材粒子を提供し、各表面はそれぞれが少なくとも4つの縁部を更に含み、各縁部の平均幅は、約5~20マイクロメートルの範囲であり、平均結晶粒径に対する各縁部の平均幅の比率は、1~25の範囲である。
【0111】
第27の実施形態において、本開示は、第25又は第26の実施形態による成形研磨材粒子を提供し、各成形研磨材粒子は、それぞれが複数の側壁に当接する底面を含み、底面は少なくとも3つの頂点を含む。
【0112】
第28の実施形態において、本開示は、第27の実施形態による成形研磨材粒子を提供し、各成形研磨材粒子は、それぞれが複数の側壁に当接する上面を含み、上面及び底面は互いに接触しない。
【0113】
第29の実施形態において、本開示は、第27~第29の実施形態による成形研磨材粒子を提供し、側壁は、底面から内側に向かって細くなっている。
【0114】
第30の実施形態において、本開示は、第25~第29の実施形態のうちのいずれか1つによる成形研磨材粒子を提供し、成形研磨材粒子は、等量ベースで、成形研磨材粒子の総重量に対して、少なくとも0.03重量%の酸化ナトリウムを含有する。
【0115】
第31の実施形態において、本開示は、第25~第29の実施形態のうちのいずれか1つによる成形研磨材粒子を提供し、成形研磨材粒子は、成形研磨材粒子の総重量に対して、0.03~0.25%の酸化ナトリウムを含有する。
【0116】
第32の実施形態において、本開示は、第25~第31の実施形態のうちのいずれか1つによる成形研磨材粒子を提供し、成形研磨材粒子は、6~80の範囲の米国メッシュサイズに一致する平均粒径を有する。
【0117】
第33の実施形態において、本開示は、バインダーに保持された成形研磨材粒子を含む研磨材物品を提供し、成形研磨材粒子はαアルミナを含み、αアルミナは、0.8~8マイクロメートルの平均結晶粒径を有し、αアルミナは、少なくとも真密度の92%である見かけ密度を有し、成形研磨材粒子は、公称の規定形状に一致する。
【0118】
第34の実施形態において、本開示は、第33の実施形態による研磨材物品を提供し、この研磨材物品が、
裏材と、
裏材の主表面に固定されたメイクコートであって、成形研磨材粒子はメイクコートに接触する、メイクコートと、
メイクコートの少なくとも一部及び成形研磨材粒子の少なくとも一部上に配設されるサイズコートと、を更に含む。
【0119】
第35の実施形態において、本開示は、第33の実施形態による成形研磨材粒子を提供し、研磨材粒子は、裏材及び裏材の主表面と接触する研磨層を更に含み、研磨層は、バインダー及び成形研磨材粒子を含む。
【0120】
第36の実施形態において、本開示は、第33の実施形態による研磨材物品を提供し、研磨材物品は、嵩高な開放型の繊維ウェブを更に含む。
【0121】
第37の実施形態において、本開示は、第33の実施形態による研磨材物品を提供し、研磨材物品は固定砥粒砥石を含む。
【0122】
第38の実施形態において、本開示は、工作物を研磨する方法を提供し、この方法は、第33~第37の実施形態のうちのいずれか1つによる研磨材物品と作物とを接触させる工程と、研磨材物品又は工作物のうちの少なくとも1つを他方に対して動かして工作物の少なくとも一部を研磨する工程と、を含む。
【0123】
以下の非限定的な実施例によって本開示の目的及び利点を更に例示するが、これらの実施例に記載する特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本開示を不当に限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例
【0124】
特に記載がない限り、実施例における部、パーセンテージ、比率、などは全て重量基準である。
【0125】
(実施例1~7)
ポリエチレンライニングボールミルジャーに、100グラム(g)の脱イオン水、0.5gのクエン酸アンモニウム分散剤、400gの様々な酸化アルミニウム粉末(表1で報告されており、表2には原料の供給源を報告している)を投入した。約700グラムのアルミナ粉砕媒体(直径:10mm、99.9%アルミナ、Union Process,Akron,Ohioから入手)をボトルに加え、混合物を120rpmで24時間粉砕した。粉砕後、粉砕媒体を取り除き、デシケータージャー中に載置し、機械式ポンプを使用して真空にかけて(真空下で約10分間保持)スラリーを脱気した。生じたスラリーを、約0.4mmの側長、0.1mmの深さを有する切頭三角錐の複製パターンを含み、5重量%のエタノール溶液から乾燥して残留した鉱油の局所コーティングを有するポリエチレンシートに注入した。スキージを使用して、スラリーをシートの約400cmの領域に広げて被覆させた。次に、セラミックスラリーを含有するシートをヒートガンで乾燥させた。乾燥後、シートを激しく振って、その時には切頭三角錐の形状になっていた生じた成形研磨材前駆体粒子を取り除いた。
【0126】
成形研磨材前駆体粒子をアルミナるつぼ中に載置し、空気中で700℃まで加熱(加熱速度10℃/分)することで焼成した。等温保持はしなかった。この工程の後、粒子はピラミッド型を残しており、追加操作に耐えられるほど十分な強度があった。
【0127】
300gの焼成した成形研磨材前駆体粒子をアルミナるつぼ中に載置し、25℃/分の加熱速度及び表1で示される最終温度で45分間の保持時間を使用して、モデルKKSK-666-3100電気加熱炉(Keith Furnaces of Pico Rivera,California)中で焼結した。
【0128】
生じた焼結した成形研磨材粒子をACCUPYC II 1330比重計(Micromeritics Instrument Corporation,Norcross,Georgia)を使用して、標準的な実施要領にしたがって測定した。結果を表1で記述する。
【0129】
平均結晶寸法を、ASTM E112-96試験方法「平均粒径を測定するための標準試験法」にしたがって線切片法によって決定した。約5gの成形研磨材粒子をプラスチック製の袋に載置し、ハンマーで破砕して破断粒子を生成した。破断した及び破断していない成形研磨材粒子を、金-パラジウムの薄層でコーティングされたステージに載せ、JEOLモデル7600F走査電子顕微鏡(SEM)を使用して観察した。サンプル中で見出された微細構造の典型的なSEM顕微鏡写真を使用して、以下(例えば、実施例5の成形研磨材粒子の破断面のSEM顕微鏡写真を示す図6を参照)のように平均結晶寸法を測定した。顕微鏡写真上に引いた無作為の線における単位長さ(N)当たりで交差する結晶の数を計測した。以下の等式を使用して、この数から平均結晶寸法を決定した:
【0130】
【数1】
式中、Nは、単位長さ当たりの交差した結晶の数であり、Mは顕微鏡写真の倍率である。サンプルにおける平均結晶寸法を以下の表1で報告する。
【0131】
【表1】
【0132】
【表2】
【0133】
実施例1~7及び比較例A~Cの研削性能
約17グラムの生じた成形研磨材粒子を研磨布紙ディスクに組み込んだ。従来の手順にしたがって研磨布紙ディスクを作製した。成形研磨材粒子を、従来の炭酸カルシウムを充填したフェノール性のメイクレジン(make resin)(48%のレゾール型樹脂及び52%の炭酸カルシウムを水及びグリコールエーテルで81%固体分に希釈したもの)、及び従来のクライオライトを充填したフェノール性のサイズレジン(size resin)(32%のレゾール型樹脂、2%の酸化鉄、66%のクライオライトを水及びグリコールエーテルで78%固体分に希釈したもの)を使用して17.8cmの直径及び0.8mm厚のバルカンファイバー裏材(直径2.2cmの中央穴を有する)に結合した。湿ったメイクレジンの重量は、約185g/mであった。メイクコートを適用した直後、成形研磨材粒子を静電塗装した。メイクレジンを120分間88℃で加熱した。次に、メイクコート及び研磨材粒子にクライオライトを充填したフェノール性のサイズコートをコーティングした。湿ったサイズの重量は、約850g/mであった。サイズレジンを12時間99℃で加熱した。研磨布紙ディスクを試験前に屈曲させた。
【0134】
実施例1の成形研磨材粒子の代わりに熱処理溶融アルミナ研磨材粒子(ALODUR BFRPL(36等級)(Treibacher,Villach,Austria)として入手)を使用する以外は、実施例1(上述)で記載したようにして、比較例Aの研磨布紙ディスクを調製した。
【0135】
実施例1の成形研磨材粒子の代わりに36等級のアルミナ-ジルコニア研磨材粒子(60%のAl及び39%のZrOである共晶組成物を有する、NORZON(Norton Company,Worcester,Massachusetts)として入手)を使用する以外は、実施例6(上述)で記載したようにして、比較例Bの研磨布紙ディスクを調整した。
【0136】
実施例1の成形研磨材粒子の代わりに従来の破砕したゾル-ゲル法由来研磨材粒子(3M CERAMIC ABRASIVE GRAIN 321(3M Company,St.Paul,Minnesota)として販売されている)を使用する以外は、上述のようにして、比較例Cの研磨布紙ディスクを調製した。
【0137】
実施例1の成形研磨材粒子の代わりに、36等級カットを提供するために実施例1の材料のスラリーをパン乾燥し、焼成し、破砕することで調製される無作為な成形研磨材粒子を使用する以外は、上述のようにして比較例Dの研磨布紙ディスクを調製した。
【0138】
実施例1~7及び比較例A~Dの研磨布紙ディスクの切削性能を以下のようにして評価した。各研磨節ディスクを面取りアルミニウムバックアップパッドに取り付け、前秤量した1.25cm×18cm×10cmの1018軟鋼の工作物の表面を研削するのに使用した。このディスクを5,000毎分回転数(rpm)で駆動しながら、バックアップパッドの面取りした縁部に重なるディスク部分は、8.6キログラムの荷重で工作物と接触させた。各ディスクを使用して、1分おきに連続して個別の工作物を研削した。総切削量は、試験期間を通して工作物から除去された材料の量の総計である。切削の12分後の各サンプルによる総切削量を以下の表3で報告し、2つのディスクの平均切削量が報告されている。
【0139】
【表3】
【0140】
(実施例8A~8F)
手順を数回繰り返して、より大量の材料を生成する以外は、実施例2に記載されるようにして、実施例8a~8eの成形研磨材粒子を調製した。続けて、焼成された成形粒子を結晶粒成長させ、室温から最高着火温度(表4で報告)までにおける25℃/分の傾斜率を含む熱処理を誘導する。実施例8a~8eの材料は、熱処理に使用される最高着火温度が異なる。
【0141】
水とアルミナ粉末との比率をそれぞれ100gと200gに変更した以外は、実施例2に記載されるようにして実施例8f材料を調製した。この変更によって、複製シート上で乾燥される際に、鋭い縁部がより少ない成形研磨材粒子を生成した、より流動性の高いスラリーがもたらされた。平均粒径及び切削特性は、実施例2において記載されるようにして分析した。
【0142】
微細構造縁部の尖鋭度(EMS)を、これらの実施例で精製した全成形研磨材粒子において測定した。このパラメータは、以下の手順による標準的なSEM観測結果を使用して得ることができる。約1グラムの成形研磨材粒子を、金-パラジウムの薄層でコーティングされたステージに載せ、JEOLモデル7600F走査電子顕微鏡(SEM)を使用して観察した。成形研磨材粒子の角部及び縁部の典型的なSEM顕微鏡写真を、それぞれ表7及び表8に示す。
【0143】
上述(図9及び10も参照)のようにして、材料の結晶粒径を得る。図7を参照すると、縁幅は12.8マイクロメートルであり、平均結晶粒径は約7.5マイクロメートルである。本明細書におけるEMSは、平均縁幅とその縁部における平均結晶粒径との比率として定義される。したがって、微細構造縁部の尖鋭度は約1.7である。
【0144】
実施例7の成形研磨材粒子のEMSを表4に示され、縁部に沿った6個の測定値の平均が報告されている。表4を参照すると、良好な切削特性は、一般的に、初期縁幅が大きすぎない限り、EMS数の増加に関連する。スラリーが三角形パターンに複製される加工手順中、結晶粒径、初期縁幅は独立して設定される。実施例8a~8eの各々において、初期縁幅を約9.3マイクロメートルにおいて測定した。しかしながら、実施例8fにおいて、初期縁幅は約13.8マイクロメートルであって、切削特性の減少が生じた。最終的には、良好な切削性能において、成形研磨材粒子は、約15~20マイクロメートル未満、好ましくは12、10又は更には8マイクロメートルの縁幅を有するべきであり、EMSパラメータは、1を超える、好ましくは1.5又は更には2を超えるべきである。
【0145】
【表4】
【0146】
(実施例9~13)
低温で様々な焼成添加剤を導入して緻密化を促進する以外は、実施例1に記載されるようにして実施例9~13を調製した。焼成添加剤及び96%の理論密度を達成するのに必要な最低着火温度を以下の表5にまとめた。
【0147】
【表5】
【0148】
(実施例14)
テフロンライニングアトライターミルジャーに、250gの脱イオン水、4gの硝酸(70%濃縮)、190gの水酸化アルミニウムSH-20(Dadco Aluminium and Chemicals,Lausanne,Switzerlandから入手)を投入した。この粉末は、約0.25重量%のNa2Oを含有していた。約700グラムのアルミナ粉砕媒体(直径:5mm、99.9%アルミナ、Union Processから入手)をジャーに加え、混合物を500rpmで24時間粉砕した。粉砕後、粉砕媒体を取り除き、デシケータージャー中に載置し、31gの硝酸マグネシウム水酸化物(Mg(NO・6HO)(Sigma-Aldrich Co.,Saint Louis,Missouri)をスラリーに加え、空気駆動の撹拌装備を用いて均質化した。生じたスラリーを、約0.4mmの側長、0.1mmの深さを有する切頭三角錐の複製パターンを含み、5重量%のエタノール溶液から乾燥して残留した鉱油の局所コーティングを有するポリエチレンシートに注入し、スキージを使用して、スラリーをシートの約400cmの領域に広げて被覆した。次に、スラリーを含有するシートをヒートガンで乾燥させた。乾燥後、ウェブを激しく振って、その時には切頭三角錐の形状になっている生じた成形研磨材前駆体粒子を取り除いた。
【0149】
成形研磨材前駆体粒子をアルミナるつぼ中に載置し、空気中で800℃まで加熱(加熱速度10℃/分)することで焼成した。等温保持は適用しなかった。この工程の後、粒子はピラミッド型を残しており、追加操作に耐えられるほど十分な強度があった。
【0150】
100gの焼成した成形研磨材前駆体粒子をアルミナるつぼ中に載置し、25℃/分の加熱速度及び1500℃の最終温度で45分間の保持時間を使用して、モデルKKSK-666-3100電気加熱炉(Keith Furnaces)中で焼結した。実施例1で記載されるようにして、密度及び粒径を測定し、それぞれ97.5%及び2.87マイクロメートルであった。これらの切削性能を、実施例1で記載されるように評価した。965gの総切削量が得られた。
【0151】
当業者は、より具体的に添付の請求項に記載した本開示の趣旨及び範囲から逸脱せずに、本開示への他の修正及び変更を行うことが可能である。異なる実施形態の態様を異なる実施形態の他の態様と部分的若しくは全体的に互換すること又は組み合わせることが可能である点は理解されるであろう。特許証のための上記の出願において引用された、参照文献、特許、又は特許出願はいずれも一貫性を有するようにそれらの全容を本明細書に援用する。これらの援用文献の一部と本明細書との間に不一致又は矛盾がある場合、上記の説明文における情報が優先するものとする。特許請求される開示内容を当業者が実行することを可能ならしめるために示される上記の説明文は、「特許請求の範囲」及びそのすべての均等物によって規定される本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10