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特許7076896表示制御装置、表示制御方法及びカメラモニタリングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示制御方法及びカメラモニタリングシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20220523BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20220523BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R1/26 200
B60R11/02 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018018434
(22)【出願日】2018-02-05
(65)【公開番号】P2019135816
(43)【公開日】2019-08-15
【審査請求日】2020-08-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】谷口 敬大
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-248384(JP,A)
【文献】特開2017-188744(JP,A)
【文献】特開2018-058521(JP,A)
【文献】特開2018-055075(JP,A)
【文献】特開2008-141574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
B60R 1/00
B60R 11/00
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のサイドミラーの取り付け位置に設置される撮像装置に接続される表示制御装置であって、
前記撮像装置により撮影される画像データの各画素の座標を変換する変換部と、
前記変換部により座標が変換されることで生成される表示画像データを表示部に出力する出力部と、を有し、
前記変換部は、
前記表示部において表示される前記表示画像データが、光学部材を介して虚像として視認される、前記サイドミラーの鏡面部分に相当する位置で前記撮像装置が撮影した場合の画像データの各画素の座標と、前記撮像装置が設置される前記車両のサイドミラーの取り付け位置で前記撮像装置が撮影した場合の画像データの各画素の座標との対応関係に基づいて、前記車両のサイドミラーの取り付け位置で前記撮像装置により撮影される画像データの各画素の座標を変換することを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記対応関係を示す変換情報を格納する格納部を更に有し、
前記変換部は、前記格納部より前記変換情報を読み込み、前記車両のサイドミラーの取り付け位置で前記撮像装置により撮影される画像データの各画素の座標を変換することを特徴とする請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記対応関係を変更する指示を受け付ける受付部を更に有し、
前記変換部は、前記受付部が受け付けた指示に応じた前記変換情報を、前記格納部より読み込むことを特徴とする請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
車両のサイドミラーの取り付け位置に設置される撮像装置に接続される表示制御装置の表示制御方法であって、
前記撮像装置により撮影される画像データの各画素の座標を変換する変換工程と、
前記変換工程において座標が変換されることで生成される表示画像データを表示部に出力する出力工程と、を有し、
前記変換工程は、
前記表示部において表示される前記表示画像データが、光学部材を介して虚像として視認される、前記サイドミラーの鏡面部分に相当する位置で前記撮像装置が撮影した場合の画像データの各画素の座標と、前記撮像装置が設置される前記車両のサイドミラーの取り付け位置で前記撮像装置が撮影した場合の画像データの各画素の座標との対応関係に基づいて、前記車両のサイドミラーの取り付け位置で前記撮像装置により撮影される画像データの各画素の座標を変換することを特徴とする表示制御方法。
【請求項5】
車両のサイドミラーの取り付け位置に設置され、前記車両の後方を撮影する撮像装置と、
前記撮像装置に接続される表示制御装置と、
前記表示制御装置より出力される表示画像データを表示する表示装置と、
前記表示装置の出射光を反射する光学部材と、を有するカメラモニタリングシステムであって、
前記表示制御装置は、
前記撮像装置により撮影される画像データの各画素の座標を変換する変換部と、
前記変換部により座標が変換されることで生成される表示画像データを前記表示装置に出力する出力部と、を有し、
前記変換部は、
前記表示装置において表示される前記表示画像データが、前記光学部材を介して虚像として視認される、前記サイドミラーの鏡面部分に相当する位置で前記撮像装置が撮影した場合の画像データの各画素の座標と、前記撮像装置が設置される前記車両のサイドミラーの取り付け位置で前記撮像装置が撮影した場合の画像データの各画素の座標との対応関係に基づいて、前記車両のサイドミラーの取り付け位置で前記撮像装置により撮影される画像データの各画素の座標を変換することを特徴とするカメラモニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置、表示制御方法及びカメラモニタリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両にカメラモニタリングシステムを搭載し、車両後方の撮影画像を車内の表示装置等に表示することで、電子化したミラーとして機能させる表示制御技術が知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、車両のサイドミラーの位置に撮像装置を設置し、撮影画像を表示装置に表示することで、電子化したサイドミラーとして機能するカメラモニタリングシステムが開示されている。また、下記特許文献1には、更に、表示装置に表示する撮影画像を、凹面鏡を介して虚像として運転者に視認させることで、運転者からの焦点距離を長くし、運転者の目の負担を軽減させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-329768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記カメラモニタリングシステムの場合、運転者が視認する虚像の位置と、撮像装置が設置される位置とが一致していない。このため、運転者は、視認した虚像に対して違和感を感じることが考えられる。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、カメラモニタリングシステムにおいて視認される虚像に対する違和感を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、表示制御装置は以下のような構成を有する。すなわち、
車両のサイドミラーの取り付け位置に設置される撮像装置に接続される表示制御装置であって、
前記撮像装置により撮影される画像データの各画素の座標を変換する変換部と、
前記変換部により座標が変換されることで生成される表示画像データを表示部に出力する出力部と、を有し、
前記変換部は、
前記表示部において表示される前記表示画像データが、光学部材を介して虚像として視認される、前記サイドミラーの鏡面部分に相当する位置で前記撮像装置が撮影した場合の画像データの各画素の座標と、前記撮像装置が設置される前記車両のサイドミラーの取り付け位置で前記撮像装置が撮影した場合の画像データの各画素の座標との対応関係に基づいて、前記車両のサイドミラーの取り付け位置で前記撮像装置により撮影される画像データの各画素の座標を変換することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
カメラモニタリングシステムにおいて視認される虚像に対する違和感を低減させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態におけるカメラモニタリングシステムのシステム構成の一例を示す図である。
図2】撮像装置が設置される位置、撮像装置の撮影範囲及び撮影方向を示す図である。
図3】光学部材の機能を説明するための図である。
図4】撮像装置が設置される位置と、運転者により視認される虚像の位置との位置関係を示す図である。
図5】変換情報の一例を示す図である。
図6】表示制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図7】第1の実施形態における表示制御装置の視点変換部の機能構成の一例を示す図である。
図8】第1の実施形態における表示制御装置の視点変換部による視点変換処理の流れを示すフローチャートである。
図9】第2の実施形態における表示制御装置の視点変換部の機能構成の一例を示す図である。
図10】第2の実施形態における表示制御装置の視点変換部による視点変換処理の流れを示すフローチャートである。
図11】第3の実施形態におけるカメラモニタリングシステムのシステム構成の一例を示す図である。
図12】第3の実施形態におけるカメラモニタリングシステムにおいて、撮像装置が設置される位置、撮像装置の撮影範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0011】
[第1の実施形態]
<カメラモニタリングシステムのシステム構成>
はじめに、車両に搭載されるカメラモニタリングシステムのシステム構成について説明する。図1は、第1の実施形態におけるカメラモニタリングシステムのシステム構成の一例を示す図である。図1に示すように、カメラモニタリングシステム100は、撮像装置110、111と、表示制御装置120と、表示装置130、131と、光学部材140、141とを有する。なお、本実施形態において、カメラモニタリングシステム100は、車両のイグニッションスイッチがON状態になることで起動し、OFF状態になることで停止するものとする。ただし、カメラモニタリングシステム100は、車両の運転者の指示に基づいて起動、停止するように構成してもよい。
【0012】
撮像装置110、111は、車両のサイドミラーの位置に設置され、車両後方を撮影する。撮像装置110、111は、撮影した撮影画像を左右反転することで得られる画像データ(左側画像データ、右側画像データ)を、表示制御装置120に送信する。
【0013】
表示制御装置120には、視点変換プログラムがインストールされており、当該視点変換プログラムが実行されることで、表示制御装置120は、視点変換部121として機能する。視点変換部121は、変換情報格納部122より変換情報を読み出し、左側画像データ及び右側画像データを変換することで、左側表示画像データ及び右側表示画像データを生成する。更に、視点変換部121は、生成した左側表示画像データ及び右側表示画像データを、それぞれ、表示装置130、131に出力する。
【0014】
表示装置130、131は、それぞれ、左側表示画像データまたは右側表示画像データを表示する。なお、表示装置130により表示された左側表示画像データは、光学部材140を介して、虚像として車両の運転者により視認される。また、表示装置131により表示された右側表示画像データは、光学部材141を介して、虚像として車両の運転者により視認される。
【0015】
<撮像装置の設置例>
次に、撮像装置110、111の設置例(撮像装置110、111が設置される位置、撮像装置110、111の撮影範囲及び撮影方向)について説明する。図2は、撮像装置が設置される位置、撮像装置の撮影範囲及び撮影方向を示す図である。
【0016】
図2に示すように、撮像装置110は、車両200の左側のサイドミラーが本来取り付けられる位置またはその近傍に設置される。撮像装置110は、車両200後方の網掛け領域210を撮影範囲として撮影を行う。このときの撮影方向は、矢印220に示すとおりである。同様に、撮像装置111は、車両200の右側のサイドミラーが本来取り付けられる位置またはその近傍に設置される。撮像装置111は、車両200後方の網掛け領域211を撮影範囲として撮影を行う。このときの撮影方向は、矢印221に示すとおりである。
【0017】
<光学部材の機能>
次に、表示装置130、131に表示された左側表示画像データまたは右側表示画像データを、虚像として車両200の運転者に視認させるための光学部材140、141の機能について説明する。なお、光学部材140の機能と光学部材141の機能とは基本的に同じであるため、ここでは、光学部材141の機能について説明する。
【0018】
図3は、光学部材の機能を説明するための図である。図3に示すように、光学部材141は、凹面鏡301と凹面鏡302とを含む。凹面鏡301は、表示装置131により出射された右側表示画像データの出射光を反射する。凹面鏡302は、凹面鏡301で反射した右側表示画像データの出射光を更に反射する。凹面鏡302で反射した右側表示画像データの出射光は、車両200の運転者300の視覚によってとらえられる。
【0019】
ここで、凹面鏡301は、表示装置131が設置された位置から距離L1だけ離れた位置に設置されている。このため、凹面鏡301で反射した右側表示画像データの出射光は、凹面鏡301の反射側の位置において、凹面鏡301の後方の距離L1の位置にある虚像311として視認されることになる。
【0020】
同様に、凹面鏡302は、虚像311の位置から距離L2だけ離れた位置に設置されている。このため、凹面鏡302で反射した右側表示画像データの出射光は、凹面鏡302の反射側の位置において(つまり、車両200の運転者300により)、凹面鏡302の後方の距離L2の位置にある虚像312として視認されることになる。
【0021】
<撮像装置が設置される位置と虚像の位置との位置関係>
次に、撮像装置110、111が設置される位置と、車両200の運転者300により視認される虚像の位置との位置関係について説明する。図4は、撮像装置が設置される位置と、運転者により視認される虚像の位置との位置関係を示す図である。
【0022】
上述したように、表示装置130により表示された左側表示画像データは、光学部材140を介して運転者300により虚像として視認される。また、表示装置131により表示された右側表示画像データは、光学部材141を介して運転者300により虚像として視認される。
【0023】
ここで、光学部材140は、虚像400が車両200の左側側面から少し離れた位置において視認されるよう構成されている。同様に、光学部材141は、虚像401が車両200の右側側面から少し離れた位置において視認されるよう構成されている。これは、一般的な車両におけるサイドミラーの鏡面部分が、車両の左側側面(または右側側面)から少し離れた位置にあることを考慮したものである。
【0024】
仮に、一般的な車両におけるサイドミラーの鏡面部分が、虚像400の位置にあるとすると、当該サイドミラーを介して、車両の運転者300により車両後方が視認される際の方向及び領域は、矢印420で示す方向及び網掛け領域410で示す領域となる。換言すると、車両200の運転者300により虚像400として視認される左側表示画像データは、撮像装置110を、虚像400の位置に設置し、矢印420を撮影方向、網掛け領域410を撮影範囲として撮影されたものであることが望ましい。
【0025】
しかしながら、実際には、図2を用いて説明したとおり、撮像装置110は車両200の左側側面に設置され、矢印220を撮影方向、網掛け領域210を撮影範囲としている。つまり、一般的な車両において、虚像400の位置と、撮像装置110が設置された位置とは一致していない。このため、車両200の運転者300は、虚像400として視認する方向及び領域に違和感を感じることになる。そこで、視点変換部121では、当該違和感を低減させるように、左側画像データを変換して、左側表示画像データを生成する。
【0026】
同様に、一般的な車両におけるサイドミラーの鏡面部分が、虚像401の位置にあるとすると、当該サイドミラーを介して、車両の運転者300により車両後方が視認される際の方向及び領域は、矢印421で示す方向及び網掛け領域411で示す領域となる。換言すると、車両200の運転者300により虚像401として視認される右側表示画像データは、撮像装置111を、虚像401の位置に設置し、矢印421を撮影方向、網掛け領域411を撮影範囲として撮影されたものであることが望ましい。
【0027】
しかしながら、実際には、図2を用いて説明したとおり、撮像装置111は車両200の右側側面に設置され、矢印221を撮影方向、網掛け領域211を撮影範囲としている。つまり、一般的な車両において、虚像401の位置と、撮像装置110が設置された位置とが一致していない。このため、車両200の運転者300は、虚像401として視認する方向及び領域に違和感を感じることになる。そこで、視点変換部121では、当該違和感を低減させるように、右側画像データを変換して、右側表示画像データを生成する。
【0028】
<変換情報の詳細>
次に、視点変換部121が左側画像データ及び右側画像データを、左側表示画像データ及び右側表示画像データに変換する際に参照する、変換情報格納部122の変換情報について説明する。図5は、変換情報の一例を示す図である。
【0029】
このうち、図5(a)は、視点変換部121が左側画像データを左側表示画像データに変換する際に参照する変換情報510の一例を示す図である。図5(a)に示すように、変換情報510は、情報の項目として、撮像装置の"視点位置"、"視点方向"、"画像座標"と、虚像の"視点位置"、"視点方向"、"画像座標"とを含む。
【0030】
変換情報510において、撮像装置の"視点位置"には、撮像装置110が設置された位置を示す座標("座標PLC")が格納される。また、撮像装置の"視点方向"には、撮像装置110の撮影方向を示す6軸のレンズパラメータ("レンズパラメータDLC")が格納される。更に、撮像装置の"画像座標"には、対応する視点位置、視点方向で撮像装置110が撮影した左側画像データの各画素の座標が格納される。
【0031】
また、変換情報510において、虚像の"視点位置"には、虚像400の位置を示す座標("座標PLI")が格納される。また、撮像装置の"視点方向"には、虚像400の位置に撮像装置110を設置した場合の、撮影方向を示す6軸のレンズパラメータ("レンズパラメータDLC")が格納される。更に、虚像の"画像座標"には、対応する視点位置、視点方向で撮像装置110が撮影した画像データの各画素の座標が格納される。
【0032】
図5(a)では、撮像装置の"画像座標"="xL1,yL1"、・・・"xLn,yLm"と、虚像の"画像座標"="XL1,YL1"、・・・"XLn,YLm"とが対応付けられている。なお、撮像装置の"画像座標"と虚像の"画像座標"が対応付けられているとは、例えば、"xL1、yL1"と"XL1、YL1"の場合、以下のような関係にある。
・車両200の後方を、視点位置="座標PLC"、視点方向="レンズパラメータDLC"で、撮像装置110が撮影した場合の、車両200の後方にある被写体Aの画像データ上での座標が、"xL1、yL1"である。
・車両200の後方を、視点位置="座標PLI"、視点方向="レンズパラメータDLI"で、撮像装置110が撮影した場合の、車両200の後方にある被写体Aの画像データ上での座標が、"XL1、YL1"である。
【0033】
つまり、変換情報510において、撮像装置の"画像座標"及び虚像の"画像座標"には、同一の被写体を異なる視点位置、視点方向で撮影した際の画像データ上の対応点の座標が格納される。
【0034】
同様に、図5(b)は、右側画像データを右側表示画像データに変換する際に参照される変換情報520の一例を示す図である。図5(b)に示すように、変換情報520は、情報の項目として、撮像装置の"視点位置"、"視点方向"、"画像座標"と、虚像の"視点位置"、"視点方向"、"画像座標"とを含む。
【0035】
変換情報520において、撮像装置の"視点位置"には、撮像装置111が設置された位置を示す座標("座標PRC")が格納される。また、撮像装置の"視点方向"には、撮像装置111の撮影方向を示す6軸のレンズパラメータ("レンズパラメータDRC")が格納される。更に、撮像装置の"画像座標"には、対応する視点位置、視点方向で撮像装置111が撮影した右側画像データの各画素の座標が格納される。
【0036】
また、変換情報520において、虚像の"視点位置"には、虚像401の位置を示す座標("座標PRI")が格納される。また、撮像装置の"視点方向"には、虚像401の位置に撮像装置111を設置した場合の、撮影方向を示す6軸のレンズパラメータ("レンズパラメータDRC")が格納される。更に、虚像の"画像座標"には、対応する視点位置、視点方向で撮像装置111が撮影した画像データの各画素の座標が格納される。
【0037】
図5(b)では、撮像装置の"画像座標"="xR1,yR1"、・・・"xRn,yRm"と、虚像の"画像座標"="XR1,YR1"、・・・"XRn,YRm"とが対応付けられている。なお、撮像装置の"画像座標"と虚像の"画像座標"が対応付けられているとは、例えば、"xR1、yR1"と"XR1、YR1"の場合、以下のような関係にある。
・車両200の後方を、視点位置="座標PRC"、視点方向="レンズパラメータDRC"で、撮像装置111が撮影した場合の、車両200の後方にある被写体Bの画像データ上での座標が、"xR1、yR1"である。
・車両200の後方を、視点位置="座標PRI"、視点方向="レンズパラメータDRI"で、撮像装置111が撮影した場合の、車両200の後方にある被写体Bの画像データ上での座標が、"XR1、YR1"である。
【0038】
つまり、変換情報520において、撮像装置の"画像座標"及び虚像の"画像座標"には、同一の被写体を異なる視点位置、視点方向で撮影した際の画像データ上の対応点の座標が格納される。
【0039】
<表示制御装置のハードウェア構成>
次に、表示制御装置120のハードウェア構成について説明する。図6は、表示制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図6に示すように、表示制御装置120は、CPU(Central Processing Unit)601、ROM(Read Only Memory)602、RAM(Random Access Memory)603を有する。また、表示制御装置120は、GPU(Graphic Processing Unit)604、I/F(Interface)装置605を有する。なお、表示制御装置120の各部は、バス606を介して相互に接続されている。
【0040】
CPU601は、ROM602にインストールされている各種プログラム(例えば、視点変換プログラム等)を実行するデバイスである。ROM602は、不揮発性メモリであり、CPU601によって実行される各種プログラムを格納する、主記憶デバイスとして機能する。RAM603は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリである。RAM603は、ROM602にインストールされている各種プログラムがCPU601によって実行される際に展開される作業領域を提供する、主記憶デバイスとして機能する。
【0041】
GPU604は、画像処理を行う専用の集積回路であり、本実施形態では、視点変換プログラムを実行するCPU601からの指示に基づき、表示装置130、131に表示される左側表示画像データ、右側表示画像データの生成等を行う。I/F装置605は、撮像装置110、111及び表示装置130、131と、表示制御装置120とを接続するための接続デバイスである。
【0042】
<表示制御装置の機能構成>
次に、表示制御装置120の機能構成について説明する。図7は、第1の実施形態における表示制御装置の視点変換部の機能構成の一例を示す図である。上述したとおり、表示制御装置120には、視点変換プログラムがインストールされており、カメラモニタリングシステム100が起動することで、表示制御装置120は、当該視点変換プログラムを実行する。これにより、表示制御装置120は、左側画像データ取得部701、右側画像データ取得部711、左側画像データ変換部702、右側画像データ変換部712、左側表示画像データ生成部703、右側表示画像データ生成部713として機能する。
【0043】
左側画像データ取得部701、右側画像データ取得部711は、撮像装置110、111より送信された左側画像データ、右側画像データを取得する。左側画像データ取得部701、右側画像データ取得部711は、取得した左側画像データ、右側画像データをフレーム単位で左側画像データ変換部702、右側画像データ変換部712に送信する。
【0044】
左側画像データ変換部702、右側画像データ変換部712は、変換部の一例であり、変換情報格納部122に格納された変換情報510、520に基づいて、左側画像データ、右側画像データの各画素の座標を変換する。なお、左側画像データ、右側画像データの変換は、変換情報510、520を参照する代わりに、一般的な変換方法(例えば、投影面の座標変換、アフィン変換等)を用いて、計算により求めてもよい。
【0045】
左側表示画像データ生成部703、右側表示画像データ生成部713は、出力部の一例である。左側表示画像データ生成部703、右側表示画像データ生成部713は、各画素の座標が変換された左側画像データ、右側画像データから、表示装置131、132に表示するのに適した領域を抽出し、左側表示画像データ、右側表示画像データを生成する。また、左側表示画像データ生成部703、右側表示画像データ生成部713は、生成した左側表示画像データ、右側表示画像データを表示装置130、表示装置131に出力する。
【0046】
<視点変換部による視点変換処理の流れ>
次に、表示制御装置120の視点変換部121による視点変換処理の流れについて説明する。図8は、第1の実施形態における表示制御装置の視点変換部による視点変換処理の流れを示すフローチャートである。
【0047】
このうち、図8(a)は、左側画像データについての視点変換処理の流れを示すフローチャートである。ステップS801において、左側画像データ取得部701は、変換情報格納部122より、変換情報510を読み込む。ステップS802において、左側画像データ取得部701は、撮像装置110より左側画像データを取得する。
【0048】
ステップS803において、左側画像データ変換部702は、変換情報510に基づいて、左側画像データの各画素の座標を変換する。ステップS804において、左側表示画像データ生成部703は、各画素の座標が変換された左側画像データに基づいて、左側表示画像データを生成し、表示装置130に出力する。
【0049】
ステップS805において、左側画像データ取得部701は、視点変換処理を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合には(ステップS805においてNoの場合には)、ステップS802に戻る。一方、ステップS805において、終了すると判定した場合には(ステップS805においてYesの場合には)、左側画像データ取得部701は、左側画像データについての視点変換処理を終了する。
【0050】
一方、図8(b)は、右側画像データについての視点変換処理の流れを示すフローチャートである。ステップS811において、右側画像データ取得部711は、変換情報格納部122より、変換情報520を読み込む。ステップS812において、右側画像データ取得部711は、撮像装置111より右側画像データを取得する。
【0051】
ステップS813において、右側画像データ変換部712は、変換情報520に基づいて、右側画像データの各画素の座標を変換する。ステップS814において、右側表示画像データ生成部713は、各画素の座標が変換された右側画像データに基づいて、右側表示画像データを生成し、表示装置131に出力する。
【0052】
ステップS815において、右側画像データ取得部711は、視点変換処理を終了するか否かを判定し、終了しないと判定した場合には(ステップS815においてNoの場合には)、ステップS812に戻る。一方、ステップS815において、終了すると判定した場合には(ステップS815においてYesの場合には)、右側画像データ取得部711は、右側画像データについての視点変換処理を終了する。
【0053】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態における表示制御装置は、
・撮像装置により撮影された画像データの各画素の座標を変換し、表示装置(表示部)に表示する。
・その際、表示装置により表示される表示画像データが、光学部材を介して虚像として視認される位置と、撮像装置が設置される位置との位置関係(視点位置、視点方向)に基づいて、画像データの各画素の座標を変換する。
【0054】
これにより、第1の実施形態における表示制御装置によれば、運転者により視認される虚像の位置と、撮像装置が設定された位置との違いを吸収することができる。この結果、電子化したサイドミラーとして機能するカメラモニタリングシステムにおいて、虚像に対する運転者の違和感を低減させることができる。
【0055】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、虚像の視点方向が固定であるとして説明した。これに対して、第2の実施形態では、虚像の視点方向を、車両の運転者の指示に基づいて可変とする場合について説明する。一般的な車両におけるサイドミラーの鏡面部分も、車両の運転者の指示に基づいて、視点方向を変更させることができるからである。以下、第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0056】
<表示制御装置の機能構成>
図9は、第2の実施形態における表示制御装置の視点変換部の機能構成の一例を示す図である。図7との相違点は、左側指示受付部901、左側画像データ変換部902、右側指示受付部911、右側画像データ変換部912を有する点である。
【0057】
左側指示受付部901は、車両200の運転者300より、左側表示画像データについて、視点方向を変更する指示を受け付ける。また、左側指示受付部901は、受け付けた指示を、左側画像データ変換部902に通知する。
【0058】
左側画像データ変換部902は、変換情報格納部122より変換情報510を読み込み、読み込んだ変換情報510に基づいて、左側画像データの各画素の座標を変換する。なお、変換情報格納部122には、虚像の"視点方向"が異なる複数の変換情報が格納されており、左側画像データ変換部702は、左側指示受付部901より通知された指示に応じた、虚像の"視点方向"を有する変換情報を読み込む。
【0059】
右側指示受付部911は、車両200の運転者300より、右側表示画像データについて、視点方向を変更する指示を受け付ける。また、右側指示受付部911は、受け付けた指示を、右側画像データ変換部912に通知する。
【0060】
右側画像データ変換部912は、変換情報格納部122より変換情報520を読み込み、読み込んだ変換情報520に基づいて、右側画像データの各画素の座標を変換する。なお、変換情報格納部122には、虚像の"視点方向"が異なる複数の変換情報が格納されており、右側画像データ変換部912は、右側指示受付部911より通知された指示に応じた、虚像の"視点方向"を有する変換情報を読み込む。
【0061】
<視点変換部による視点変換処理の流れ>
次に、表示制御装置120の視点変換部121による視点変換処理の流れについて説明する。図10は、第2の実施形態における表示制御装置の視点変換部による視点変換処理の流れを示すフローチャートである。
【0062】
このうち、図10(a)は、左側画像データについての視点変換処理の流れを示すフローチャートであり、図8(a)との相違点は、ステップS1001である。ステップS1001において、左側指示受付部901は、車両200の運転者300より、左側の視点方向を変更する旨の指示があったか否かを判定する。ステップS1001において、指示がなかったと判定した場合には(ステップS1001においてNoの場合には)、ステップS805に進む。
【0063】
一方、ステップS1001において、指示があったと判定した場合には(ステップS1001においてYesの場合には)、当該指示を受け付け、左側画像データ変換部902に通知した後、ステップS801に戻る。これにより、左側画像データ変換部902では、通知された指示に応じた、虚像の"視点方向"を有する変換情報を、変換情報格納部122より読み込む。この結果、左側画像データ変換部902では、左側画像データについて、車両200の運転者300の指示に応じた変換を実現することができる。
【0064】
図10(b)は、右側画像データについての視点変換処理の流れを示すフローチャートであり、図8(b)との相違点は、ステップS1011である。ステップS1011において、右側指示受付部911は、車両200の運転者300より、右側の視点方向を変更する旨の指示があったか否かを判定する。ステップS1011において、指示がなかったと判定した場合には(ステップS1011においてNoの場合には)、ステップS815に進む。
【0065】
一方、ステップS1011において、指示があったと判定した場合には(ステップS1011においてYesの場合には)、当該指示を受け付け、右側画像データ変換部912に通知した後、ステップS811に戻る。これにより、右側画像データ変換部912では、通知された指示に応じた、虚像の"視点方向"を有する変換情報を、変換情報格納部122より読み込む。この結果、右側画像データ変換部912では、右側画像データについて、車両200の運転者300の指示に応じた変換を実現することができる。
【0066】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第2の実施形態における表示制御装置は、
・表示装置により表示される表示画像データが、光学部材を介して虚像として視認される位置と、撮像装置が設置される位置との位置関係(視点位置、視点方向)に基づいて、画像データの各画素の座標を変換する。
・その際、車両の運転者の指示に応じた位置関係(視点方向)に基づいて、画像データの各画素の座標を変換する。
【0067】
これにより、第2の実施形態における表示制御装置によれば、一般的な車両においてサイドミラーの鏡面部分を動作させるのと同様の処理を、電子化したサイドミラーにおいて実現することが可能となる。
【0068】
[第3の実施形態]
上記第1及び第2の実施形態では、2台の撮像装置が車両200に設置されたカメラモニタリングシステムについて説明した。しかしながら、カメラモニタリングシステムのシステム構成はこれに限定されない。以下、図11及び図12を用いて、他のカメラモニタリングシステムのシステム構成について説明する。
【0069】
図11は、第3の実施形態におけるカメラモニタリングシステムのシステム構成の一例を示す図である。また、図12は、第3の実施形態におけるカメラモニタリングシステムにおいて、撮像装置が設置される位置、撮像装置の撮影範囲を示す図である。
【0070】
図11(a)は、1台の撮像装置1101を、図12(a)に示すように、車両200の後方中央位置に設置し、視点変換処理を、カメラモニタリングシステム1100において実現する様子を示している。この場合、カメラモニタリングシステム1100は、電子化したルームミラーとして機能する。
【0071】
図12(a)に示すように、撮像装置1101は、車両200後方の網掛け領域1210を撮影範囲として撮影を行う。そして、撮像装置1101により撮影された中央画像データに基づいて、表示制御装置120が中央表示画像データを生成し、表示装置1102が、当該中央表示画像データを表示する。なお、表示装置1102により表示される中央表示画像データは、光学部材1103を介して、虚像として、車室内の中央位置において運転者により視認される。
【0072】
一方、図11(b)は、3台の撮像装置110、111、1101を、図12(b)に示すように、車両200のサイドミラーの位置または後方中央位置に設置し、視点変換処理を、カメラモニタリングシステム1110において実現する様子を示している。なお、カメラモニタリングシステム1110は、電子化したサイドミラーとして機能するものとする。
【0073】
図12(b)に示すように、撮像装置1101は、撮像装置110、111の撮影範囲外の領域を撮影範囲として撮影を行う。このため、表示制御装置120では、撮像装置110により撮影された左側画像データに、撮像装置1101により撮影された中央画像データ(撮像装置110の撮影範囲外の領域の中央画像データ)を合成したうえで、左側表示画像データを生成する。
【0074】
同様に、表示制御装置120では、撮像装置111により撮影された右側画像データに、撮像装置1101により撮影された中央画像データ(撮像装置110の撮影範囲外の領域の中央画像データ)を合成したうえで、右側表示画像データを生成する。これにより、カメラモニタリングシステム1110によれば、車両200の運転者300は、撮像装置110、111の撮影範囲外の領域を含む左側表示画像データ及び右側表示画像データを、虚像として視認することができる。
【0075】
[その他の実施形態]
上記第1乃至第3の実施形態では、運転者により視認される虚像の位置と、撮像装置が設置される位置との違いを吸収するために、画像データの各画素の座標を変換するものとして説明した。しかしながら、運転者により視認される虚像の位置と、撮像装置が設置される位置との違いを吸収するための方法はこれに限定されず、運転者により視認される虚像の位置と、撮像装置が設置される位置とが一致するように、光学部材を設計してもよい。これにより、画像データの各画素の座標を変換する必要がなくなる。
【0076】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0077】
100 :カメラモニタリングシステム
110、111 :撮像装置
120 :表示制御装置
121 :視点変換部
130、131 :表示装置
140、141 :光学部材
200 :車両
300 :運転者
301、302 :凹面鏡
400、401 :虚像
510、520 :変換情報
701 :左側画像データ取得部
702 :左側画像データ変換部
703 :左側表示画像データ生成部
711 :右側画像データ取得部
712 :右側画像データ変換部
713 :右側表示画像データ生成部
901 :左側指示受付部
902 :左側画像データ変換部
911 :右側指示受付部
912 :右側画像データ変換部
図1
図2
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図12