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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】通信管理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20220523BHJP
   H04W 76/11 20180101ALI20220523BHJP
   H04W 76/38 20180101ALI20220523BHJP
【FI】
H04M11/00 302
H04W76/11
H04W76/38
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021114032
(22)【出願日】2021-07-09
(62)【分割の表示】P 2019073623の分割
【原出願日】2019-04-08
(65)【公開番号】P2021166407
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2021-07-09
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】小野 佑大
(72)【発明者】
【氏名】泉川 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】小峯 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 渡
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-167858(JP,A)
【文献】特開2019-009586(JP,A)
【文献】特許第6388702(JP,B1)
【文献】特開2018-010529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00-15/00
H04W 4/00-99/00
G06Q 30/00-50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信を管理する通信管理システムであって、
前記移動体通信を行う通信端末においてチケットを購入する操作が行われたことに応じて、前記移動体通信を管理する通信管理装置に設定する通信設定と、前記通信設定を維持する期間と、前記チケットを識別可能なチケット識別情報とを関連付けた情報を記憶する記憶部と、
前記通信端末を識別可能な端末識別情報と、前記チケット識別情報とを含む前記チケットの利用要求を受信する受信部と、
前記通信端末のユーザと、前記移動体通信のサービスを提供する事業者と、の間の契約に関する契約情報が、前記チケットを利用可能にする契約を示すか否かを判定する判定部と、
前記契約情報が前記チケットを利用可能にする契約を示すと前記判定部が判定したことを条件として、前記利用要求に含まれる前記端末識別情報に対応する前記通信端末が行う前記移動体通信において、前記利用要求に含まれる前記チケット識別情報に関連付けられた前記期間の間だけ前記通信設定を前記通信管理装置にて維持するための制御情報を、前記通信管理装置に送信する制御部と、
を備える通信管理システム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記チケット識別情報に関連付けられた、前記チケットを利用可能なサービスのカテゴリを示す情報を予め記憶しており、
前記制御部は、前記移動体通信により送受信されるデータの内容が、前記利用要求に含まれる前記チケット識別情報に関連付けられた前記カテゴリに該当する前記移動体通信において、前記通信設定を行うように制御する、
請求項1に記載の通信管理システム。
【請求項3】
前記記憶部は、前記チケットを利用可能とする領域を示す領域情報を、前記チケット識別情報に関連付けてさらに記憶し、
前記受信部は、前記利用要求とともに、前記通信端末の位置を示す位置情報を受信し、
前記判定部は、前記通信端末の位置を取得し、取得した前記位置が、前記利用要求に含まれる前記チケット識別情報に関連付けられた前記領域情報が示す前記領域内であるか否かを判定し、
前記制御部は、前記位置が前記領域内であると前記判定部が判定した場合に、前記通信設定を行うように制御する、請求項1又は2に記載の通信管理システム。
【請求項4】
前記記憶部は、前記チケットの開始条件を、前記チケット識別情報に関連付けてさらに記憶し、
前記制御部は、前記利用要求に含まれる前記チケット識別情報に関連付けられた前記開始条件が満たされた際に、前記通信設定の維持を開始するように制御する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の通信管理システム。
【請求項5】
前記記憶部は、前記チケットの終了条件を、前記チケット識別情報に関連付けてさらに記憶し、
前記制御部は、前記利用要求に含まれる前記チケット識別情報に関連付けられた前記終了条件が満たされた際に、前記通信設定を解除するように制御する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の通信管理システム。
【請求項6】
前記記憶部は、前記終了条件が満たされたことによって前記通信設定が解除された場合に、前記チケットを利用可能な残り期間を示す情報を記憶し、
前記記憶部が前記残り期間を記憶した後に前記受信部が前記利用要求を受信した場合に、前記制御部は、前記移動体通信において前記残り期間の間だけ前記通信設定を維持するように制御する、
請求項5に記載の通信管理システム。
【請求項7】
移動体通信を管理する通信管理システムのプロセッサが実行する、
前記移動体通信を行う通信端末においてチケットを購入する操作が行われたことに応じて、前記移動体通信を管理する通信管理装置に設定する通信設定と、前記通信設定を維持する期間と、前記チケットを識別可能なチケット識別情報とを関連付けた情報を記憶部に記憶させるステップと、
前記通信端末を識別可能な端末識別情報と、前記チケット識別情報とを含む前記チケットの利用要求を受信するステップと、
前記通信端末のユーザと、前記移動体通信のサービスを提供する事業者と、の間の契約に関する契約情報が、前記チケットを利用可能にする契約を示すか否かを判定するステップと、
前記判定するステップにおいて前記契約情報が前記チケットを利用可能にする契約を示すと判定されたことを条件として、前記利用要求に含まれる前記端末識別情報に対応する前記通信端末が行う前記移動体通信において、前記利用要求に含まれる前記チケット識別情報に関連付けられた前記期間の間だけ前記通信設定を前記通信管理装置にて維持するための制御情報を、前記通信管理装置に送信するステップと、
を備える情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザによる指示に基づいて移動体通信の通信設定を行うための通信管理システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信(モバイル通信)において、通信速度に何ら制限が設けられていない場合には、ユーザの通信端末が無制限に通信を行うことによって通信回線が混雑する。そのため、従来ユーザの通信端末には、ユーザと通信事業者との間の料金プラン等の通信契約に従って、通信速度及びデータ容量の少なくとも一方の制限が課されていることが多い。
【0003】
特許文献1には、ユーザが広告等のコンテンツをダウンロード又は再生すること、ユーザが特定のエリアに滞在すること等のユーザのアクティビティに基づいて、ユーザが通信速度の制限を受けずに利用可能な通信量を増加又は減少させるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-10529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザは、高画質の動画を視聴する際や、イベント会場でデータ通信を利用するイベントに参加する際に、特定の期間の間だけ通信速度及びデータ容量の制限を受けずに通信を行いたい場合がある。しかしながら、ユーザが特定の期間の間だけ一時的に通信事業者との契約(すなわち通信設定)を変更するためには、大きな手間が掛かる。特許文献1に記載されたシステムは、ユーザが特定のアクティビティを行った場合に通信量を増減させるものであるため、ユーザは特定の期間に制限を受けずに通信を行うことはできない。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、ユーザが特定の期間の間だけ通信設定を変更するための手間を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様の通信管理システムは、移動体通信を管理する通信管理システムであって、通信設定と、チケット識別情報とを関連付けたチケットを示す情報を記憶する記憶部と、前記移動体通信を行う通信端末を識別可能な端末識別情報と、前記チケット識別情報とを含む前記チケットの利用要求を受信する受信部と、前記通信端末のユーザと、前記移動体通信のサービスを提供する事業者と、の間の契約に関する契約情報が、前記チケットを利用可能にする契約を示すか否かを判定する判定部と、前記契約情報が前記チケットを利用可能にする契約を示すと前記判定部が判定したことを条件として、前記利用要求に含まれる前記端末識別情報に対応する前記通信端末が行う前記移動体通信において、前記利用要求に含まれる前記チケット識別情報に関連付けられた前記通信設定を行う制御部と、を備える。
【0008】
前記記憶部は、前記チケット識別情報に関連付けられた、前記チケットを利用可能なサービスのカテゴリを示す情報を予め記憶しており、前記制御部は、前記移動体通信により送受信されるデータの内容が、前記利用要求に含まれる前記チケット識別情報に関連付けられた前記カテゴリに該当する前記移動体通信において、前記通信設定を行うように制御してもよい。
【0009】
前記記憶部は、前記チケットを利用可能とする領域を示す領域情報を、前記チケット識別情報に関連付けてさらに記憶し、前記受信部は、前記利用要求とともに、前記通信端末の位置を示す位置情報を受信し、前記判定部は、前記通信端末の位置を取得し、取得した前記位置が、前記利用要求に含まれる前記チケット識別情報に関連付けられた前記領域情報が示す前記領域内であるか否かを判定し、前記制御部は、前記位置が前記領域内であると前記判定部が判定した場合に、前記通信設定を行うように制御してもよい。
【0010】
前記記憶部は、前記通信設定を維持する期間を、前記チケット識別情報に関連付けてさらに記憶し、前記制御部は、前記移動体通信において、前記利用要求に含まれる前記チケット識別情報に関連付けられた前記期間の間だけ前記通信設定を維持するように制御してもよい。
【0011】
前記記憶部は、前記チケットの開始条件を、前記チケット識別情報に関連付けてさらに記憶し、前記制御部は、前記利用要求に含まれる前記チケット識別情報に関連付けられた前記開始条件が満たされた際に、前記通信設定の維持を開始するように制御してもよい。
【0012】
前記記憶部は、前記チケットの終了条件を、前記チケット識別情報に関連付けてさらに記憶し、前記制御部は、前記利用要求に含まれる前記チケット識別情報に関連付けられた前記終了条件が満たされた際に、前記通信設定を解除するように制御してもよい。
【0013】
前記記憶部は、前記終了条件が満たされたことによって前記通信設定が解除された場合に、前記チケットを利用可能な残り期間を示す情報を記憶し、前記記憶部が前記残り期間を記憶した後に前記受信部が前記利用要求を受信した場合に、前記制御部は、前記移動体通信において前記残り期間の間だけ前記通信設定を維持するように制御してもよい。
【0014】
本発明の第1の態様の情報処理方法は、移動体通信を管理する通信管理システムのプロセッサが実行する、通信設定と、チケット識別情報とを関連付けたチケットを示す情報を記憶部に記憶させるステップと、前記移動体通信を行う通信端末を識別可能な端末識別情報と、前記チケット識別情報とを含む前記チケットの利用要求を受信するステップと、前記通信端末のユーザと、前記移動体通信のサービスを提供する事業者と、の間の契約に関する契約情報が、前記チケットを利用可能にする契約を示すか否かを判定するステップと、前記判定するステップにおいて前記契約情報が前記チケットを利用可能にする契約を示すと判定されたことを条件として、前記利用要求に含まれる前記端末識別情報に対応する前記通信端末が行う前記移動体通信において、前記利用要求に含まれる前記チケット識別情報に関連付けられた前記通信設定を行うステップと、を備える。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザが特定の期間の間だけ通信設定を変更するための手間を削減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る通信管理システムの模式図である。
図2】実施形態に係る通信管理システムのブロック図である。
図3】チケット情報及び利用情報の模式図である。
図4】利用条件判定部が位置情報に基づいてチケットの利用条件が満たされているか否かを判定する処理を示す模式図である。
図5】通信設定選択部が通信設定を選択する処理を示す模式図である。
図6】制御情報送信部が通信管理装置へ制御情報を送信する処理を示す模式図である。
図7】開始条件又は終了条件が満たされた際の処理を示す模式図である。
図8】通信設定を過去に遡って適用する処理を示す模式図である。
図9】実施形態に係る通信管理システムが実行する通信管理方法のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[通信管理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る通信管理システムS(情報処理システム)の模式図である。通信管理システムSは、チケット管理装置1(情報処理装置)と、通信管理装置2と、通信端末3とを含む。通信管理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0023】
通信管理システムSは、ユーザが有する通信端末3がインターネット等のネットワークNとの間で行う移動体通信を管理するシステムである。移動体通信は、例えば3G(3rd Generation)、4G(4th Generation)/LTE(Long Term Evolution)又は5G(5th Generation)による通信である。また、移動体通信は、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)(登録商標)、又は無線LAN(Local Area Network)であってもよい。ユーザは、移動体通信のサービスを提供する通信事業者との間で、通信端末3が移動体通信を行うための契約を行っている。
【0024】
通信端末3は、ユーザの操作を受け付けるとともに、様々な情報を表示するコンピュータである。例えば通信端末3は、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末、又はパーソナルコンピュータである。通信端末3は、ユーザによる操作を受け付け可能なタッチパネル等の操作部と、情報を表示可能な液晶ディスプレイ等の表示部とを有する。
【0025】
通信管理装置2は、通信端末3が行う移動体通信を制御し、又は通信端末3に対する課金情報を出力するコンピュータである。通信管理装置2は、例えば通信ポリシ及び課金情報を管理するPCRF(Policy and Charging Rules Function)/OCS(Online Charging System)、及び通信のパケットを管理するDPI(Deep Packet Inspection)等の2つ以上の装置により構成されてもよい。
【0026】
チケット管理装置1は、ユーザが利用するチケットを管理するコンピュータである。チケットは、データとして管理される仮想的なチケットであり、通信管理装置2に設定する通信設定と、該通信設定を維持する期間と、チケットを識別可能なチケット識別情報とを関連付けた情報である。通信設定は、移動体通信の通信速度と、移動体通信の通信チャネル(周波数帯)と、移動体通信の遅延時間と、移動体通信を行う際の課金条件とのうち、少なくとも1つである。チケットは、ユーザが利用指示を行ったタイミングに応じた開始時刻からチケットの期間の間だけ通信端末3が行う移動体通信に対して適用され、チケットの期間が満了する終了時刻に適用が終了される。
【0027】
本実施形態に係る通信管理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。チケット管理装置1は、ユーザが利用可能なチケットの情報を予め記憶する。ユーザは、通信端末3において、利用するチケットを指定する。通信端末3は、ユーザによって指定されたチケットの利用指示を、チケット管理装置1へ送信する(a)。ここで、通信端末3とは異なる端末やサーバ等の装置が、利用指示を送信してもよい。
【0028】
チケット管理装置1は、利用指示を受信する。チケット管理装置1は、受信した利用指示が示すチケットを特定する。そしてチケット管理装置1は、チケットの期間の間だけチケットの通信設定が通信管理装置2にて維持されるように、制御情報を通信管理装置2へ送信する(b)。
【0029】
通信管理装置2は、チケット管理装置1から、制御情報を受信する。通信管理装置2は、受信した制御情報に従って、チケットの通信設定を通信端末3が行う移動体通信に対して設定する(c)。通信端末3は、ネットワークNとの間で、設定された通信設定に従って移動体通信を行う(d)。通信管理装置2は、チケットの通信設定を設定してから、チケットの期間が経過した場合に、通信設定を解除する(e)。これにより、通信管理装置2は、チケットの期間の間だけ、チケットの通信設定を維持することができる。
【0030】
このように本実施形態に係る通信管理システムSでは、ユーザがチケットの利用指示を行うことによって、通信管理装置2においてチケットの期間の間だけチケットの通信設定が維持される。そのため、ユーザは、一時的に高い通信速度や多くのデータ容量が必要になった場合であっても、通信事業者との契約を変更する必要がないため、特定の期間の間だけ通信設定を変更するための手間を削減できる。
【0031】
[通信管理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る通信管理システムSのブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示したもの以外のデータの流れがあってよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0032】
チケット管理装置1は、制御部11と、記憶部12とを有する。制御部11は、利用指示受信部111と、利用条件判定部112と、通信設定選択部113と、制御情報送信部114とを有する。記憶部12は、チケット情報記憶部121と、利用情報記憶部122とを有する。
【0033】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部11が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部12は、チケット管理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部11との間でデータの授受を行ってもよい。チケット情報記憶部121は、チケットに関する情報を示すチケット情報を記憶する。利用情報記憶部122は、通信端末3によるチケットの利用状態を示す利用情報を記憶する。チケット情報記憶部121及び利用情報記憶部122は、それぞれ記憶部12上の記憶領域であってもよく、あるいは記憶部12上で構成されたデータベースであってもよい。
【0034】
制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、利用指示受信部111、利用条件判定部112、通信設定選択部113及び制御情報送信部114として機能する。制御部11の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部11の機能の少なくとも一部はネットワーク経由で実行されるプログラムによって実行されてもよい。
【0035】
通信管理装置2は、制御部21と、記憶部22とを有する。制御部21は、制御情報受信部211と、設定部212と、通信制御部213と、課金情報出力部214とを有する。記憶部22は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部22は、制御部21が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部22は、通信管理装置2の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部21との間でデータの授受を行ってもよい。
【0036】
制御部21は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、制御情報受信部211、設定部212、通信制御部213及び課金情報出力部214として機能する。制御部21の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部21の機能の少なくとも一部はネットワーク経由で実行されるプログラムによって実行されてもよい。
【0037】
本実施形態に係る通信管理システムSは、図2に示す具体的な構成に限定されない。チケット管理装置1、通信管理装置2及び通信端末3は、それぞれ2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、チケット管理装置1及び通信管理装置2は、統合されて1つの装置として構成されてもよい。
【0038】
[通信管理方法の説明]
以下、本実施形態に係る通信管理システムSが実行する通信管理方法(情報処理方法)を詳細に説明する。チケット管理装置1において、チケット情報記憶部121にはチケット情報が予め記憶されているとともに、利用情報記憶部122には利用情報が予め記憶されている。例えばユーザが通信端末3を用いて通信事業者からチケットを購入する操作を行うことによって、あるいは通信事業者が所定の条件を満たしたユーザの通信端末3に対してチケットを提供することによって、チケット管理装置1はユーザの通信端末3が利用可能なチケットに関するチケット情報をチケット情報記憶部121に記憶させるとともに、該チケットに関する利用情報を利用情報記憶部122に記憶させる。
【0039】
図3(a)は、チケット情報記憶部121が記憶するチケット情報D1の模式図である。チケット情報D1は、互いに関連付けられた、チケットIDと、通信設定と、チケット期間と、開始条件と、終了条件と、対象エリアと、対象サービスとを含む。チケットIDは、チケットを識別可能なチケット識別情報である。チケットIDは、例えばチケット管理装置1によってチケットごとに割り振られる文字列又は数字である。
【0040】
通信設定は、移動体通信の通信速度と、移動体通信の通信チャネルと、移動体通信の遅延時間と、移動体通信を行う際の課金条件とのうち、少なくとも1つを示す情報である。例えば通信速度の通信設定は、通信速度(通信帯域幅)の設定、又は通信を不可とする設定を示す。例えば通信チャネルの通信設定は、利用可能とする通信チャネル(周波数帯)の設定を示す。通信端末3が行う移動体通信に通信チャネルの通信設定が適用されると、通信端末3は該通信チャネルを優先的に利用できるようになる。例えば遅延時間の通信設定は、遅延時間を増減させる設定を示す。例えば課金条件の通信設定は、通信料金を増減させる値(増減の比率や数値)の設定、又は通信料金を無料とする設定を示す。
【0041】
チケット期間は、通信管理装置2が通信設定を維持する期間(時間)を示す情報である。チケット期間は、分数、時間数、日数等の任意の時間単位によって表される。開始条件は、通信管理装置2が通信設定の維持を開始する条件(トリガ)を示す情報である。終了条件は、通信管理装置2が維持している通信設定を解除する条件(トリガ)を示す情報である。例えば開始条件及び終了条件は、時刻、通信端末3の位置(特定の領域への進入等)、通信端末3が利用するサービス(特定のWebサービスやアプリケーションの利用等)、又は通信端末3の通信状況(無線LANへの接続や通信の混雑等)である。
【0042】
対象エリアは、通信端末3がチケットを利用可能になる領域を示す領域情報である。すなわち、チケットが示す対象エリア内に通信端末3が位置する場合に、通信端末3はチケットの利用指示を行うことができるようになる。例えば対象エリアは、緯度及び経度によって表される。また、対象エリアは、通信端末3が移動体通信によって接続される基地局の位置情報や、該位置情報に対応する住所情報によって表されてもよい。
【0043】
対象サービスは、通信端末3がチケットを利用可能なサービスを示すサービス情報である。すなわち、通信端末3が行っている移動体通信のうち、チケットが示す対象サービスのデータ通信について、チケットが示す通信設定が適用される。例えば対象サービスは、Webサービス又はアプリケーションの識別情報によって表される。また、対象サービスは、動画配信やオンラインゲーム等、サービスのカテゴリ(種別)によって表されてもよい。また、対象サービスは、移動体通信のうち、上り通信又は下り通信の移動体通信の向きであってもよい。また、対象サービスは、通信端末3であるスマートフォン等自体による通信、通信端末3とは異なる端末から通信端末3を介したテザリングによる通信等、移動体通信の利用手段であってもよい。
【0044】
図3(b)は、利用情報記憶部122が記憶する利用情報D2の模式図である。利用情報D2は、互いに関連付けられた、端末IDと、チケットIDと、利用状態とを含む。利用情報D2のチケットIDは、チケット情報D1のチケットIDのうちいずれか1つである。これにより、利用情報D2は、チケット情報D1と関連付けられている。端末IDは、通信端末3を識別可能な端末識別情報である。端末IDは、例えば電話番号やIMSI(International Mobile Subscriber Identity)等の通信回線を識別する情報や、IMEI(International Mobile Equipment Identity)や製造番号等の通信端末を識別する情報である。端末IDは、通信端末3を有するユーザを識別可能なユーザ識別情報(ユーザID)であってもよい。
【0045】
利用状態は、通信端末3によるチケットの利用状態を示す情報である。利用状態は、通信端末3がチケットを利用可能である(すなわち、未利用である)状態、通信端末3がチケットを利用している最中である(すなわち、利用中である)状態、及び通信端末3がチケットを利用した(すなわち、利用済である)状態のうちいずれか1つを示す。利用状態は、その他の状態を示してもよい。例えば利用状態は、チケットの利用が一時停止中であることを示してもよく、この場合には一時停止されたチケットの残り期間を示してもよい。
【0046】
チケット情報D1及び利用情報D2は、図3(a)、図3(b)に例示した内容に限られず、その他の情報を含んでもよい。図3(a)、図3(b)においてチケット情報D1及び利用情報D2は視認性のために文字列の表で表されているが、各データは任意の形式で記録されてもよく、例えば文字列データ、数値データおよびバイナリデータのいずれでもよい。チケット情報D1及び利用情報D2は、データベースとして記録されてもよく、あるいはデータを列挙したリストとして記録されてもよい。
【0047】
通信設定のチケットを利用する際に、ユーザは、通信端末3の操作部を操作して、利用対象のチケットを指定する。通信端末3は、ユーザによって指定されたチケットのチケットIDと、通信端末3の端末IDとを含む利用指示を、チケット管理装置1へ送信する。また、通信端末3とは異なる端末やサーバ等の装置が、通信端末3が行う移動体通信に対してチケットを利用するための上述の利用指示を送信してもよい。
【0048】
チケット管理装置1において、利用指示受信部111は、通信端末3又は通信端末3とは異なる装置から、利用指示を受信する。利用指示受信部111は、受信した利用指示が含むチケットIDに関連付けられたチケット情報をチケット情報記憶部121から取得する。また、利用指示受信部111は、受信した利用指示が含むチケットID及び端末IDに関連付けられた利用情報を利用情報記憶部122から取得する。
【0049】
[利用条件の判定]
利用条件判定部112は、利用指示受信部111が取得したチケット情報及び利用情報に基づいて、チケットの利用条件が満たされているか否かを判定する。まず利用条件判定部112は、受信した利用指示が含むチケットID及び端末IDに関連付けられた利用情報が利用情報記憶部122に記憶されている場合であって、かつ利用情報が含む利用状態が未利用である場合に、チケットの利用条件が満たされていると判定し、そうでない場合にチケットの利用条件が満たされていないと判定する。これにより、チケット管理装置1は、ユーザに提供された未利用のチケットのみを利用可能にできる。
【0050】
次に利用条件判定部112は、ユーザと通信事業者との間の移動体通信に関する契約を示す契約情報を取得する。例えば利用条件判定部112は、予め記憶部12に記憶された契約情報を取得し、あるいは契約情報を管理する別のサーバから契約情報を取得する。そして利用条件判定部112は、取得した契約情報が、チケットを利用可能にする契約を示している場合に、チケットの利用条件が満たされていると判定し、そうでない場合にチケットの利用条件が満たされていないと判定する。これにより、チケット管理装置1は、特定の契約(例えばチケット利用オプションの契約)をしているユーザのみに対してチケットを利用可能にできる。
【0051】
次に利用条件判定部112は、通信端末3の位置(例えば緯度及び経度)を示す位置情報を取得する。利用条件判定部112は、利用指示とともに送信された通信端末3の位置情報を取得してもよく、利用指示とは独立して送信された通信端末3の位置情報を取得してもよい。利用条件判定部112は、取得した位置情報に基づいて、チケットの利用条件が満たされているか否かを判定する。
【0052】
図4は、利用条件判定部112が位置情報に基づいてチケットの利用条件が満たされているか否かを判定する処理を示す模式図である。利用条件判定部112は、取得した位置情報が示す通信端末3の位置が、チケット情報が含む領域情報(対象エリア)が示す領域R内であるか否かを判定し、領域R内であると判定した場合にチケットの利用条件が満たされていると判定し、そうでない場合にチケットの利用条件が満たされていないと判定する。これにより、通信端末3が特定の領域内に入ったことを条件としてチケットを利用可能にできる。
【0053】
利用条件判定部112が上述の全ての判定においてチケットの利用条件が満たされていると判定した場合に、チケット管理装置1は該チケットについて以降の処理を実行する。一方、利用条件判定部112が上述のいずれかの判定においてチケットの利用条件が満たされていないと判定した場合に、チケット管理装置1は該チケットについての処理を終了する。利用条件判定部112は、上述の判定のうち一部のみを行ってもよい。
【0054】
[通信設定の選択]
利用指示受信部111が同時期に(すなわち、複数のチケット期間が重複するように)複数の利用指示を受信し、該複数の利用指示が示す複数のチケットの利用条件が満たされていると利用条件判定部112が判定した場合に、通信設定選択部113は、複数の利用指示が示す複数のチケットの複数の通信設定のうち、通信端末3にとって最も有利な通信設定を選択する。利用指示受信部111が同時期に1つの利用指示を受信した場合には、通信設定選択部113は、該利用指示が示す1つのチケットの通信設定を選択する。
【0055】
また、通信設定選択部113は、チケットの通信設定と、チケットが利用されていない場合に適用される通信設定とのうち、通信端末3にとってより有利な通信設定を選択する。チケットが利用されていない場合に適用される通信設定は、例えばユーザと通信事業者との間の料金プラン等の通信契約に従って決定され、予め記憶部12に記憶されている。
【0056】
通信設定選択部113は、予め定められた有利な通信設定を判定する基準に従って、通信設定を選択する。具体的には、通信設定選択部113は、通信速度がより高いこと、特定の通信チャネルが指定されていること、遅延時間がより短いこと、通信料金がより安いこと等の基準に従って、通信設定を選択する。これにより、チケット管理装置1は、ユーザにとってより有利なチケットを自動的に選択して適用できる。
【0057】
図5(a)は、通信設定選択部113が複数の利用指示に対応する複数の通信設定のうち1つの通信設定を選択する処理を示す模式図である。図5(a)の例は、利用指示受信部111が、チケットαに係る第1の利用指示と、チケットβに係る第2の利用指示とを同時期に受信した状態を表している。チケットαの通信設定は、通信料金を無料にすることであり、チケットβの通信設定は、通信料金を半額にすることである。この場合に、通信設定選択部113は、チケットαの通信設定とチケットβの通信設定とを比較し、より有利なチケットαの通信設定を選択する。また、通信設定選択部113は、複数のチケットの通信設定が同一の場合には、より長いチケット期間に関連付けられた通信設定を選択する。また、通信設定選択部113は、複数のチケットの通信設定及びチケット期間が同一の場合には、いずれか1つの通信設定を選択する。
【0058】
図5(b)は、通信設定選択部113が利用指示に対応する通信設定と、チケットが利用されていない場合に適用される通信設定とのうち1つの通信設定を選択する処理を示す模式図である。図5(b)の例は、利用指示受信部111が受信した利用指示に係るチケットγの通信設定と、ユーザと通信事業者との間の通信契約による通信設定とを表している。チケットγの通信設定は、通信速度を50Mbpsにすることであり、通信契約による通信設定は、通信速度を100Mbpsにすることである。この場合に、通信設定選択部113は、チケットγの通信設定と通信契約による通信設定とを比較し、より有利な通信契約による通信設定を選択する。また、通信設定選択部113は、チケットの通信設定と通信契約による通信設定とが同一の場合には、通信契約による通信設定を選択する。これにより、チケット管理装置1は、ユーザが無駄にチケットを消費しないようにできる。
【0059】
通信設定選択部113は、複数の利用指示に対応する複数の通信設定の中から、又は利用指示に対応する通信設定と通信契約による通信設定との中から、ユーザによる選択を受け付けてもよい。この場合に、通信設定選択部113は、通信端末3に、ユーザによる通信設定の選択を受け付ける画面を表示させる。ユーザは、通信端末3の操作部を操作して、いずれかの通信設定を選択する。通信端末3は、ユーザによって選択された通信設定を示す情報を、チケット管理装置1へ送信する。そして通信設定選択部113は、複数の利用指示に対応する複数の通信設定の中から、又は利用指示に対応する通信設定と通信契約による通信設定との中から、ユーザが選択した通信設定を選択する。通信設定選択部113は、通信設定の適用を開始する前のタイミングでユーザによる選択を受け付けてもよく、あるいは通信設定を適用している途中にユーザによる選択(変更)を受け付けてもよい。
【0060】
通信設定選択部113がいずれかの通信設定を選択した後に、通信設定選択部113が選択した通信設定のチケットを対象として、制御情報送信部114の処理に遷移する。通信設定選択部113は、選択しなかった通信設定のチケットについては、利用指示を受信しなかったものとみなし、未利用の状態のままにする。これにより、チケット管理装置1は、ユーザが利用指示を行ったチケットの中で利用されなかったチケットを無駄に消費しないようにできる。
【0061】
本実施形態では、チケット管理装置1において、通信設定選択部113が通信設定を選択しているが、通信管理装置2が通信設定を選択してもよい。この場合には、チケット管理装置1の制御部11は、通信設定選択部113の機能を有さず、制御情報送信部114を用いて、複数の通信設定を設定するための制御情報を通信管理装置2へ送信する。通信管理装置2の制御部21は、通信設定選択部113の機能を有しており、チケット管理装置1から受信した複数の通信設定を設定するための制御情報に基づいて、通信端末3にとって最も有利な通信設定を選択し、選択した通信設定を設定する。このように、通信管理装置2が通信設定を選択するように構成することも可能である。
【0062】
通信設定選択部113による通信設定の選択は、省略されてもよい。この場合には、ユーザが利用指示を行ったチケットの通信設定が、そのまま制御情報送信部114の処理に用いられる。
【0063】
[通信設定の維持]
利用条件判定部112及び通信設定選択部113の処理が終了した後に、制御情報送信部114は、通信端末3が行う移動体通信において、通信設定選択部113が選択した通信設定が、該通信設定に関連付けられたチケット期間の間だけ通信管理装置2にて維持されるように、制御情報を通信管理装置2へ送信する。
【0064】
図6(a)、図6(b)は、制御情報送信部114が通信管理装置2へ制御情報を送信する処理を示す模式図である。図6(a)は、制御情報送信部114が、通信設定の維持を開始する開始時と、通信設定を解除する終了時との両方に、通信管理装置2へ制御情報を送信する構成を示している。具体的には、制御情報送信部114は、通信設定選択部113が選択した通信設定と、利用指示が含む通信端末3の端末IDとを含む開始情報を、制御情報として通信管理装置2へ送信する。このとき、制御情報送信部114は、利用情報記憶部122に記憶された利用情報が含む利用状態を利用中に設定する。
【0065】
通信管理装置2において、制御情報受信部211は、チケット管理装置1から開始情報を受信する。そして設定部212は、制御情報受信部211が開始情報を受信した際に、開始情報が示す通信設定を、開始情報が示す端末IDの通信端末3が行う移動体通信に対して設定する。すなわち、制御情報受信部211が開始情報を受信した時刻に、通信管理装置2は開始情報が含む通信設定の維持を開始する。
【0066】
具体的には、設定部212は、ユーザと通信事業者との間の通信契約と、開始情報が含む通信設定とに基づいて、開始情報が示す端末IDの通信端末3に関連付けられた通信速度及び課金条件を含む通信ポリシを生成する。このとき、設定部212は、通信契約の通信速度及び課金条件よりも、通信設定の通信速度及び課金条件を優先するように、通信ポリシを生成する。また、通信事業者がユーザに対して一時的に制限(例えば短時間に大量のデータ通信を行ったユーザに対するヘビーユーザ規制)を課している場合に、設定部212は、該制限の通信速度及び課金条件よりも、通信設定の通信速度及び課金条件を優先するように、通信ポリシを生成してもよい。そして設定部212は、生成した通信ポリシを、通信制御部213及び課金情報出力部214に入力することによって、通信設定を設定する。
【0067】
また、開始情報が示す通信設定が遅延時間を示す場合に、設定部212は、通信端末3の通信経路を制御する制御装置へ通信設定を送信する。制御装置は、受信した通信設定に基づいて、遅延時間が短く又は長くなるように、通信端末3の通信経路を制御する。また、開始情報が示す通信設定が通信チャネルを示す場合に、設定部212は、通信端末3の通信チャネルを制御する制御装置へ通信設定を送信する。制御装置は、受信した通信設定に基づいて、通信端末3が移動体通信で用いる通信チャネルを制御する。
【0068】
通信制御部213は、設定された通信設定に従って、通信端末3とネットワークNとの間の移動体通信を制御する。また、課金情報出力部214は、設定された通信設定に従って、通信端末3が行った移動体通信に対する料金を算出するための課金情報(例えば通信端末3が移動体通信を行ったデータ容量、及び該データ容量に対応する金額)を出力する。通信管理装置2は、出力した課金情報を、ユーザに対して料金の決済を行うサーバへ送信する。
【0069】
開始情報を送信した後に、制御情報送信部114は、開始情報を送信した開始時刻にチケット期間を加算することによって、終了時刻を算出する。現在時刻が終了時刻に到達した場合に、制御情報送信部114は、利用指示が含む通信端末3の端末IDを含む終了情報を、制御情報として通信管理装置2へ送信する。このとき、制御情報送信部114は、利用情報記憶部122に記憶された利用情報が含む利用状態を利用済に設定する。
【0070】
通信管理装置2において、制御情報受信部211は、チケット管理装置1から終了情報を受信する。そして設定部212は、制御情報受信部211が終了情報を受信した際に、終了情報が示す端末IDの通信端末3が行う移動体通信に対して設定された通信設定を解除する。すなわち、制御情報受信部211が終了情報を受信した時刻に、通信管理装置2は通信設定の維持を終了する。
【0071】
具体的には、設定部212は、ユーザと通信事業者との間の通信契約に基づいて、終了情報が示す端末IDの通信端末3に関連付けられた通信速度及び課金条件を含む通信ポリシを生成する。このとき、設定部212は、通信契約の通信速度及び課金条件に戻すように、通信ポリシを生成する。そして設定部212は、生成した通信ポリシを、通信制御部213及び課金情報出力部214に入力することによって、通信設定を解除する。また、設定部212は、開始情報に基づいて制御装置に対して遅延時間又は通信チャネルの設定を行った場合に、該制御装置に対して遅延時間又は通信チャネルの設定を解除する解除情報を送信する。制御装置は、受信した解除情報に基づいて、通信端末3が移動体通信で用いる通信経路又は通信チャネルを元に戻す。
【0072】
このように、チケット管理装置1がチケット期間の開始と終了のタイミングで制御情報を通信管理装置2へ送信することによって、利用指示が含むチケットIDに関連付けられたチケット期間の間だけ、利用指示が含むチケットIDに関連付けられた通信設定が通信管理装置2にて維持される。
【0073】
図6(b)は、制御情報送信部114が、通信設定の維持を開始する開始時のみに、通信管理装置2へ制御情報を送信する構成を示している。この場合には、通信管理装置2がチケット期間に基づいて通信設定を解除するタイミングを決定する。具体的には、制御情報送信部114は、通信設定選択部113が選択した通信設定と、該通信設定に関連付けられたチケット期間と、利用指示が含む通信端末3の端末IDとを含む開始情報を、制御情報として通信管理装置2へ送信する。このとき、制御情報送信部114は、利用情報記憶部122に記憶された利用情報が含む利用状態を利用中に設定する。
【0074】
通信管理装置2において、制御情報受信部211は、チケット管理装置1から開始情報を受信する。そして設定部212は、制御情報受信部211が開始情報を受信した際に、開始情報が示す通信設定を、開始情報が示す端末IDの通信端末3が行う移動体通信に対して設定する。すなわち、制御情報受信部211が開始情報を受信した時刻に、通信管理装置2は開始情報が含む通信設定の維持を開始する。設定部212が通信設定を設定する具体的な方法は、図6(a)と同様である。
【0075】
通信制御部213は、設定された通信設定に従って、通信端末3とネットワークNとの間の移動体通信を制御する。また、課金情報出力部214は、設定された通信設定に従って、通信端末3が行った移動体通信に対する料金を算出するための課金情報(例えば通信端末3が移動体通信を行ったデータ容量、及び該データ容量に対応する金額)を出力する。通信管理装置2は、出力した課金情報を、ユーザに対して料金の決済を行うサーバへ送信する。
【0076】
制御情報受信部211が開始情報を受信した後に、設定部212は、開始情報を受信した開始時刻に開始情報が含むチケット期間を加算することによって、終了時刻を算出する。現在時刻が終了時刻に到達した場合に、設定部212は、終了情報が示す端末IDの通信端末3が行う移動体通信に対して設定された通信設定を解除する。すなわち、制御情報受信部211が開始情報を受信した時刻からチケット期間が経過した時刻に、通信管理装置2は通信設定の維持を終了する。このとき、設定部212が通信設定を解除したことを示す情報をチケット管理装置1へ送信することによって、チケット管理装置1は、利用情報記憶部122に記憶された利用情報が含む利用状態を利用済に設定する。設定部212が通信設定を解除する具体的な方法は、図6(a)と同様である。
【0077】
このように、チケット管理装置1がチケット期間の開始のタイミングで、チケット期間の間だけ通信設定を通信管理装置2に維持させる制御情報(すなわちチケット期間を含む開始情報)を通信管理装置2へ送信することによって、利用指示が含むチケットIDに関連付けられたチケット期間の間だけ、利用指示が含むチケットIDに関連付けられた通信設定が通信管理装置2にて維持される。
【0078】
通信設定選択部113が通信契約による通信設定を選択した場合には、制御情報送信部114は、通信契約による通信設定を通信管理装置2に設定させる制御情報を送信する。通信管理装置2において、制御情報受信部211が該制御情報を受信すると、設定部212は、チケットによる通信設定が維持されている場合には該通信設定を解除し、チケットによる通信設定が維持されていない場合には何もせずに通信契約による通信設定のままとする。
【0079】
チケットによる通信設定が維持されている間に、利用条件判定部112は上述の利用条件の判定を行ってもよい。利用条件判定部112が上述のいずれかの判定においてチケットの利用条件が満たされていないと判定した場合(例えば通信端末3がチケットの対象エリアの外に出た場合)に、制御情報送信部114は、通信管理装置2にて維持されている通信設定が解除されるように制御情報を送信する。これによりチケット管理装置1は、チケット期間の途中でチケットの利用条件が満たされなくなった場合に、チケットの適用を中止できる。別の方法として、チケットによる通信設定が維持されている間にチケットの利用条件が満たされなくなった場合に、チケット管理装置1は通信設定の維持をそのまま継続してもよい。
【0080】
[サービスごとの通信設定の適用]
利用指示受信部111が取得したチケット情報において、対象サービス(すなわち、通信端末3がチケットを利用可能なサービスを示すサービス情報)が設定されている場合に、制御情報送信部114は、通信設定及び端末ID(又は通信設定、チケット期間及び端末ID)に加えて、対象サービスを含む開始情報を、制御情報として通信管理装置2へ送信する。通信管理装置2において、設定部212は、制御情報受信部211が受信した開始情報が含む対象サービスが示すサービスを利用するために通信端末3が行う移動体通信に対して、開始情報が示す通信設定を設定する。
【0081】
対象サービスがWebサービス又はアプリケーションの識別情報を示す場合には、設定部212は、通信端末3が行う移動体通信のうち、通信データの送信元又は送信先が該識別情報に該当する移動体通信のみに適用される通信設定を設定する。また、また、対象サービスが動画配信やオンラインゲーム等、サービスのカテゴリ(種別)を示す場合には、設定部212は、通信端末3が行う移動体通信のうち、通信データの内容が該カテゴリに該当する移動体通信のみに適用される通信設定を設定する。また、対象サービスが上り通信又は下り通信の移動体通信の向きを示す場合には、設定部212は、通信端末3が行う移動体通信のうち、該向きに該当する移動体通信のみに適用される通信設定を設定する。また、対象サービスがスマートフォン、テザリング等、移動体通信の利用手段を示す場合には、設定部212は、通信端末3が行う移動体通信のうち、該利用手段によって行われた移動体通信のみに適用される通信設定を設定する。これにより通信管理システムSは、チケットの通信設定を、特定のサービスに限定して適用することができる。
【0082】
[通信設定の開始条件及び終了条件]
利用指示受信部111が取得したチケット情報において、開始条件又は終了条件が設定されている場合に、制御情報送信部114は、該開始条件又は終了条件が満たされた際に、制御情報を通信管理装置2へ送信する。すなわち、開始条件が設定されているチケットについては、制御情報送信部114は、開始条件が満たされるまで制御情報を送信せず、開始条件が満たされたことを契機として、通信管理装置2にて通信設定の維持が開始されるように制御情報を送信する。一方、終了条件が設定されているチケットについては、制御情報送信部114は、チケット期間が経過する前であっても、終了条件が満たされたことを契機として、通信管理装置2にて維持されている通信設定が解除されるように制御情報を送信する。
【0083】
例えば制御情報送信部114は、チケット情報が含む開始条件及び終了条件として、時刻、通信端末3の位置(特定の領域への進入等)、通信端末3が利用するサービス(特定のWebサービスやアプリケーションの利用等)、又は通信端末3の通信状況(無線LANへの接続や通信の混雑等)を判定する。
【0084】
図7(a)は、開始条件が満たされた際の処理を示す模式図である。図7(a)の例は、通信端末3が、チケット情報が含む開始条件であるサービスの利用を開始した状態(ここではビデオ視聴)を表している。この場合に、制御情報送信部114は、開始条件が満たされたため、通信管理装置2にてチケット情報が含む通信設定の維持が開始されるように、制御情報(開始情報)を通信管理装置2へ送信する。
【0085】
図7(b)は、終了条件が満たされた際の処理を示す模式図である。図7(b)の例は、通信端末3が、チケット情報が含む終了条件である通信状況となった状態(ここでは無線LANへの接続)を表している。この場合に、制御情報送信部114は、終了条件が満たされたため、通信管理装置2にて維持されているチケット情報が含む通信設定が解除されるように、制御情報を通信管理装置2へ送信する。ここで送信される制御情報は、図6(a)における終了情報であってもよく、あるいは該終了情報とは異なる、通信管理装置2に通信設定を解除させるための解除情報であってもよい。
【0086】
さらに制御情報送信部114は、終了条件が満たされたことによって通信設定を解除した場合に、利用情報記憶部122に記憶されている利用情報が含む利用状態に、チケット期間からチケットの利用時間を減算した残り期間を設定することによって、チケットが一時停止中であることを記録してもよい。その後、チケットの利用指示が行われた場合、又はチケットの開始条件が満たされた場合に、チケット管理装置1は、利用情報に設定された残り期間をチケット期間として用いて、チケットを適用する。これにより、チケット管理装置1は、例えば通信端末3が無線LANに接続された場合に自動的にチケットの利用を一時停止し、後でチケットの利用を再開できるため、チケットの期間が無駄に消費されることを抑制できる。
【0087】
このような構成により、通信管理システムSは、通信端末3の移動体通信に対するチケットの通信設定の開始及び終了のタイミングを制御することができる。例えば通信管理システムSは、特定の時間や場所において、通信速度を向上させる、又は逆に通信不可(ジャミング)にすることができる。
【0088】
[通信設定の遡及適用]
チケットの通信設定が課金条件を示す場合に、通信管理システムSは、通信設定を過去に遡って適用してもよい。図8は、通信設定を過去に遡って適用する処理を示す模式図である。ユーザは、通信端末3の操作部を操作して、過去に遡って適用する、課金条件を示す通信設定のチケットを指定する。通信端末3は、過去に遡ってチケットを適用する旨と、ユーザによって指定されたチケットのチケットIDと、通信端末3の端末IDとを含む利用指示を、チケット管理装置1へ送信する。
【0089】
チケット管理装置1において、利用指示受信部111は、通信端末3から、利用指示を受信する。制御情報送信部114は、通信端末3が行う移動体通信において、通信設定選択部113が選択した通信設定が、利用指示受信部111が利用指示を受信した時点よりも前において、該通信設定に関連付けられたチケット期間の間だけ通信管理装置2にて維持されたとみなされるように、制御情報を通信管理装置2へ送信する。
【0090】
具体的には、制御情報送信部114は、通信設定選択部113が選択した通信設定と、利用指示が含む通信端末3の端末IDと、チケット期間と、チケット期間の開始時刻又は終了時刻とを含む制御情報を通信管理装置2へ送信する。
【0091】
図8の例では制御情報送信部114は、利用指示受信部111が利用指示を受信した時刻をチケット期間の終了時刻としているが、その他のタイミングをチケット期間の開始時刻又は終了時刻としてもよい。例えば制御情報送信部114は、ユーザが入力した過去の開始時刻又は終了時刻を、チケット期間の開始時刻又は終了時刻として含む制御情報を送信してもよい。
【0092】
通信管理装置2において、制御情報受信部211は、チケット管理装置1から制御情報を受信する。そして設定部212は、制御情報が示す端末IDの通信端末3が行う移動体通信において、制御情報が含む開始時刻から開始するチケット期間の間だけ、又は制御情報が含む終了時刻で終了するチケット期間の間だけ、制御情報が含む通信設定(課金条件)が維持されたとみなす情報を、課金情報出力部214に入力する。
【0093】
課金情報出力部214は、入力された情報に基づいて、通信端末3が行った移動体通信に対して、過去に遡ってチケット期間の間だけチケットの課金条件が適用されたものとみなして、課金情報を出力する。これにより通信管理システムSは、例えばユーザがチケットの利用指示を忘れた場合等に、チケットの通信設定を過去に遡って適用できる。
【0094】
[通信管理方法のシーケンス]
図9は、本実施形態に係る通信管理システムSが実行する通信管理方法のシーケンス図である。まずユーザは、通信端末3の操作部を操作して、利用対象のチケットを指定する。通信端末3又は通信端末3とは異なる装置は、ユーザによって指定されたチケットのチケットIDと、通信端末3の端末IDとを含む利用指示を、チケット管理装置1へ送信する(S11)。
【0095】
チケット管理装置1において、利用指示受信部111は、通信端末3又は通信端末3とは異なる装置から、利用指示を受信する。利用指示受信部111は、受信した利用指示が含むチケットIDに関連付けられたチケット情報をチケット情報記憶部121から取得する。また、利用指示受信部111は、受信した利用指示が含むチケットID及び端末IDに関連付けられた利用情報を利用情報記憶部122から取得する。利用条件判定部112は、利用指示受信部111が取得したチケット情報及び利用情報に基づいて、チケットの利用条件が満たされているか否かを判定する(S12)。利用条件が満たされていると利用条件判定部112が判定したチケットについて、これ以降の処理が行われる。
【0096】
通信設定選択部113は、複数の利用指示が示す複数のチケットの複数の通信設定のうち、通信端末3にとって最も有利な通信設定を選択する。また、通信設定選択部113は、チケットの通信設定と、チケットが利用されていない場合に適用される通信設定とのうち、通信端末3にとってより有利な通信設定を選択する(S13)。制御情報送信部114は、通信設定選択部113が選択した通信設定と、利用指示が含む通信端末3の端末IDとを含む開始情報を、制御情報として通信管理装置2へ送信する(S14)。
【0097】
通信管理装置2において、制御情報受信部211は、チケット管理装置1から開始情報を受信する。そして設定部212は、制御情報受信部211が開始情報を受信した際に、開始情報が示す通信設定を、開始情報が示す端末IDの通信端末3が行う移動体通信に対して設定する(S15)。すなわち、制御情報受信部211が開始情報を受信した時刻に、通信管理装置2は開始情報が含む通信設定の維持を開始する。
【0098】
通信端末3は、任意のタイミングで、ネットワークNとの間で通信データを授受するための移動体通信を行う(S16)。通信管理装置2において、通信制御部213は、設定された通信設定に従って、通信端末3とネットワークNとの間の移動体通信を制御する(S17)。
【0099】
開始情報を送信した後に、制御情報送信部114は、開始情報を送信した開始時刻にチケット期間を加算することによって、終了時刻を算出する。現在時刻が終了時刻に到達した場合に、制御情報送信部114は、利用指示が含む通信端末3の端末IDを含む終了情報を、制御情報として通信管理装置2へ送信する(S18)。図6(b)のようにチケット管理装置1が終了情報を送信しない場合には、ステップS18は省略される。
【0100】
通信管理装置2において、制御情報受信部211は、チケット管理装置1から終了情報を受信する。そして設定部212は、制御情報受信部211が終了情報を受信した際に、終了情報が示す端末IDの通信端末3に設定された通信設定を解除する(S19)。すなわち、制御情報受信部211が終了情報を受信した時刻に、通信管理装置2は通信設定の維持を終了する。図6(b)のようにチケット管理装置1が終了情報を送信しない場合には、通信管理装置2がチケット期間に基づいて通信設定を解除するタイミングを決定する。
【0101】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る通信管理システムSによれば、ユーザがチケットの利用指示を行うと、チケット管理装置1は、利用指示が示すチケットのチケット期間の間だけ、利用指示が示すチケットの通信設定が通信管理装置2にて維持されるように、制御情報を通信管理装置2へ送信する。そのため、ユーザは、一時的に高い通信速度や多くのデータ容量が必要になった場合であっても、通信事業者との契約を変更する必要がないため、特定の期間の間だけ通信設定を変更するための手間を削減できる。
【0102】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【0103】
チケット管理装置1、通信管理装置2及び通信端末3のプロセッサは、図9に示す通信管理方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、チケット管理装置1、通信管理装置2及び通信端末3のプロセッサは、図9に示す通信管理方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、該プログラムを実行して通信管理システムSの各部を制御することによって、図9に示す通信管理方法を実行する。図9に示す通信管理方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0104】
S 通信管理システム
1 チケット管理装置
11 制御部
111 利用指示受信部
112 利用条件判定部
113 通信設定選択部
114 制御情報送信部
12 記憶部
121 チケット情報記憶部
122 利用情報記憶部
2 通信管理装置
21 制御部
211 制御情報受信部
212 設定部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9