(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】ボールの画像の明るさを補正するための方法、システム、及び非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06T 5/00 20060101AFI20220523BHJP
A63B 69/36 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
G06T5/00 735
A63B69/36 541P
A63B69/36 541W
(21)【出願番号】P 2017126195
(22)【出願日】2017-06-28
【審査請求日】2020-06-24
(31)【優先権主張番号】10-2016-0081874
(32)【優先日】2016-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514072872
【氏名又は名称】クリエイツ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CREATZ INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】スク ヨン ホ
(72)【発明者】
【氏名】スク ジェイ ホ
【審査官】小池 正彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-505292(JP,A)
【文献】特開2005-129017(JP,A)
【文献】特表2013-535715(JP,A)
【文献】特開2014-199584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 5/00
A63B 69/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールの画像の明るさを補正するための方法であって、
物理量測定の対象となるボールを撮影した複数の画像それぞれにおいて、前記ボールに該当する領域の撮影された明るさの分布を算出するステップと、
及び基準の明るさの分布を参照にして、前記複数の画像のうち少なくとも一つの画像の前記ボールに該当する領域の撮影された明るさの分布を補正するステップとを含
み、
前記算出ステップにおいて、
線形回帰モデル(Linear Riguresshon Model)とノンパラメトリックモデル(Non-Parametric Model)のうちの少なくとも一つを用いて、前記撮影された明るさの分布を算出するボールの画像の明るさを補正するための方法。
【請求項2】
前記算出ステップにおいて、
前記複数の画像それぞれにおいて、前記ボールに該当する領域の中心座標及び最大の明るさの座標のうちの少なくとも一つを基準として、前記撮影された明るさの分布を算出する請求項1に記載のボールの画像の明るさを補正するための方法。
【請求項3】
前記補正ステップにおいて、
前記少なくとも一つの画像の前記ボールに該当する領域の撮影された明るさの分布の均一性が既に設定されてあるレベル以上になるように前記補正を実行する請求項1に記載のボールの画像の明るさを補正するための方法。
【請求項4】
前記補正ステップにおいて、
第1画像の前記ボールに該当する領域の第1に撮影された明るさの分布と前記基準の明るさの分布を比較することにより、前記第1に撮影された明るさの分布を補正するための補正モデルを算出するステップ、
及び前記算出された補正モデルを参照にして、前記第1に撮影された明るさの分布を補正するステップとを含む請求項1に記載のボールの画像の明るさを補正するための方法。
【請求項5】
前記補正モデルは、少なくとも一つの補正係数に基づいて特定される請求項
4に記載のボールの画像の明るさを補正するための方法。
【請求項6】
請求項1による方法を実行するためのコンピュータプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項7】
ボールの画像の明るさを補正するためのシステムであって、
物理量測定の対象となるボールを撮影した複数の画像を取得する画像取得部、及び
前記複数の画像それぞれにおいて、前記ボールに該当する領域の撮影された明るさの分布を算出し、基準の明るさの分布を参照にして、前記複数の画像のうち少なくとも一つの画像の前記ボールに該当する領域の撮影された明るさの分布を補正する画像補正部とを含
み、
前記画像補正部は、線形回帰モデル(Linear Riguresshon Model)とノンパラメトリックモデル(Non-Parametric Model)のうちの少なくとも一つを用いて、前記撮影された明るさの分布を算出する、ボールの画像の明るさを補正するためのシステム。
【請求項8】
前記画像補正部は、前記複数の画像それぞれにおいて、前記ボールに該当する領域の中心座標及び最大の明るさの座標のうちの少なくとも一つに基づいて、前記撮影された明るさの分布を算出する請求項
7に記載のボールの画像の明るさを補正するためのシステム。
【請求項9】
前記画像補正部は、前記少なくとも一つの画像の前記ボールに該当する領域の撮影された明るさの分布の均一性が既に設定されてあるレベル以上になるように前記補正を実行する請求項
7に記載のボールの画像の明るさを補正するためのシステム。
【請求項10】
前記画像補正部は、第1画像の前記ボールに該当する領域の第1に撮影された明るさの分布と前記基準の明るさの分布を比較することにより、前記第1に撮影された明るさの分布を補正するための補正モデルを算出し、前記算出されている補正モデルを参照にして、前記第1に撮影された明るさの分布を補正する請求項
7に記載のボールの画像の明るさを補正するためのシステム。
【請求項11】
前記補正モデルは、少なくとも一つの補正係数に基づいて特定される請求項
10に記載のボールの画像の明るさを補正するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールの画像の明るさを補正するための方法、システム、及び非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体{METHOD、SYSTEM AND NON-TRANSITORY COMPUTER-READABLE RECORDING MEDIUM FOR COMPENSATING BRIGHTNESS OF BALL IMAGES}に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[発明の背景となる技術]
ゴルファーが都心などでも低コストで仮想的にゴルフを楽しむことができるようにするシミュレーションゴルフシステムが広く普及されている。このようなシミュレーションゴルフシステムは、ゴルファーがゴルフボールを打ったら、ゴルフボールを撮影した画像を多数獲得し、その軌跡、間隔、サイズなどに基づいて、ゴルフボールの物理量を測定し、シミュレーションを行い、ショットのシミュレーション結果をスクリーン上に表示することを基本コンセプトとすることができる。これらのシミュレーションゴルフのシステムでは、ゴルフボールの撮影された画像を可能な限り良好な状態で獲得することが重要である。
【0003】
これに関連し、特許文献1(発明の名称:照明制御を利用したゴルフ映像獲得装置、及び、それを利用した画像処理ベースのゴルフ練習システム)は、照明の位置や色を調節しながらゴルフ練習シーンを撮影することにより、ゴルフボールの画像をより多様に獲得する技術について開示されている(前記韓国公開特許公報の明細書は、その全体として本明細書に編入されたものとみなされるべきである)。しかし、この技術を含むいくつかの従来技術は、ゴルフボールの物理量を正確に測定するのに必要なゴルフボールの画像を効率的に獲得するのに必要な技術や複数のゴルフボールの画像から得られるマークシーケンス(Mark Sequence)を利用してゴルフ ボールの物理量を測定する技術について関心を示していないことは事実である。
【0004】
したがって、本発明者(ら)は、短い時間の間に多くのフレームの画像を撮影できる高速カメラからゴルフボールの画像を効率的に獲得し、その獲得されたゴルフボールの画像で表示されるマークシーケンスを分析することにより、ゴルフボールの物理量を正確に測定するための新しい技術について提案するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国公開特許公報第10-2009-0112538号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、複数のゴルフボールの画像で表示されるマークシーケンスを分析して、ゴルフボールの回転速度と回転方向を測定することをその目的とする。
また、本発明は複数のゴルフボール画像の明るさ(具体的には、明るさの分布)を補正することにより、複数のゴルフボール画像の明るさの分布が均一になるようにすることを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明の代表的な構成は、以下の通りである。
本発明の一態様によると、ボールの画像の明るさを補正するための方法であって、物理量測定の対象となるボールを撮影した複数の画像それぞれにおいて、前記ボールに該当する領域の撮影された明るさの分布を算出するステップ、
及び基準の明るさの分布を参照にして、前記複数の画像のうち少なくとも一つの画像の前記ボールに該当する領域の撮影された明るさの分布を補正するステップとを含む方法が提供される。
【0008】
本発明の他の態様によると、ボールの画像の明るさを補正するためのシステムであって、物理量測定の対象となるボールを撮影した複数の画像を取得する画像取得部、及び前記複数の画像それぞれにおいて、前記ボールに該当する領域の撮影された明るさの分布を算出し、基準の明るさの分布を参照にして、前記複数の画像のうち少なくとも一つの画像の前記ボールに該当する領域の撮影された明るさの分布を補正する画像補正部とを含むシステムが提供される。
【0009】
この他にも、本発明を実施するための他の方法、システム、及び非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、それぞれのゴルフボール画像内だけでなく、複数のゴルフボールの画像に渡って明るさの分布を均一化することができるので、複数のゴルフボールの画像で表示されるマークシーケンスをより正確に検出する効果を達成することができる。
【0011】
本発明によれば、複数のゴルフボールの画像にわたって表示されるマーク(Mark)の時系列的な集合(つまり、マークシーケンス)を利用して、ゴルフボールの回転速度と回転方向を正確に測定する効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るシミュレーションゴルフシステムの全体的な構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る撮影装置(100)の内部構成を詳細に示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係るシミュレータ(200)の内部構成を詳細に示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例に基づいて実際に撮影されたゴルフボールの画像を例示的に示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例に基づいてゴルフボールの画像に適用することができる補正モデルを視覚的に示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施例に基づいて明るさが補正されたゴルフボールの画像を例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[発明を実施するための具体的な内容]
後述する本発明の詳細な説明は、本発明が実施されることができる特定の実施例を例示として示す添付図面を参照する。これらの実施例は、当業者が本発明を実施できるよう十分に詳細に説明される。本発明の様々な実施例は、互いに異なるが、相互に排他的である必要はないことが理解されるべきである。例えば、本明細書に記載されている特定の形状、構造、及び特性は、本発明の精神と範囲を逸脱しないのに一実施例から、他の実施例に変更されて実装されることができる。また、それぞれの実施例内の個々の構成要素の位置または配置も、本発明の精神と範囲を逸脱しなく変更できることが理解されるべきである。したがって、後述する詳細な説明は、限定的な意味として行われるものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲の請求項が請求する範囲とその均等なすべての範囲を網羅するものとして受け入れられなければならない。図面で同様の参照符号は、いくつかの側面に亘って同一または類似の構成要素を示す。
【0014】
以下では、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明のいくつかの好ましい実施形態について添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
[本発明の好ましい実施例]
システム全体の構成
図1は、本発明の一実施形態に係るシミュレーションゴルフシステムの全体的な構成を概略的に示す図である。
【0016】
図1に示すように、シミュレーションゴルフシステムは打撃部(10)、照明装置(20)、撮影装置(100)、シミュレータ(200)と表示装置(300)を含んで構成されることがある。
【0017】
まず、本発明の一実施形態に係る打撃部(10)は、ゴルファーが、シミュレーションゴルフシステムを利用する際に足を掛け、上がってゴルフボールを置いて打つ部分であることがある。このような打撃部(10)は、その傾斜角が調節されることがある公知のスイングプレートを含むことができる。ちなみに、当業者は、本発明は他の種類の仮想スポーツシステムに適用される場合には、打撃部(10)の構成を、必要に応じてそれと一緒に連動する他の構成要素の構成と共に当該スポーツの特性に合わせ適切に変更することができる。
【0018】
次に、本発明の一実施形態に係る照明装置(20)は、ゴルファーが室内や屋外でのシミュレーションゴルフを楽しむ場合に人為的に光を照射することができる装置であることがある。このようなの照明装置(20)は、必要に応じてオンまたはオフになったり、その明るさが調節されることができる。好ましくは、照明装置(20)は光の震え現象によるゴルフボールの画像の自然な劣化を防ぐための赤外線照明であることがある。
【0019】
次に、本発明の一実施形態に係る撮影装置(100)は、少なくとも一つのカメラ(例えば、高速カメラ)(未図示)を含み、ゴルフボールの画像(例えば、運動しているゴルフボールの画像)を複数の獲得する機能を実行することができる。これらの撮影装置(100)は、
図1に示すように運動するゴルフボールを上から下に見下ろす位置に配置されることもあるが、その他の別の場所に配置することもできる。
【0020】
また、本発明の一実施形態に係る撮影装置(100)は、ショットの準備が完了した状態での物理量測定の対象となる球の位置を認識し、球の予想移動方向と球を撮影するカメラの位置のうちの少なくとも一つと、球の位置を参照にして、球の様子を含む画像を取得するために実行される撮影の対象となる関心領域(Region Of Interest)を動的に決定することで、球の物理量を正確に測定するのに必要な複数のゴルフボールの画像を効率的に獲得(つまり、撮影)する機能を実行することができる。
【0021】
本発明の一実施例によると、ゴルフボールの画像は、そのゴルフボールの表面に表示されている所定のマークが鮮明に現れていて、そのマークの形状や位置を特定するのに良いものほど、より良好なものとすることができる。例えば、ゴルフボールの画像の球に該当する領域に表示されたマークがより鮮明な場合、後述するようなシミュレータ(200)が多数のゴルフボールの画像にわたって表示されるマークの時系列的な集合であるマークシーケンスをより正確にキャッチしてゴルフボールの回転速度と回転方向をより正確に計算することができる。
【0022】
前記のような撮影装置(100)の具体的な構成については、
図2を参照して、下で更に説明することにする。
次に、本発明の一実施形態に係るシミュレータ(200)は、物理量測定の対象となる球を撮影した複数の画像を撮影装置(100)から取得して、複数のゴルフボールの画像にわたって表示されるマークの時系列的な集合(つまり、マークシーケンス)を分析することにより、ゴルフボールの回転速度と回転方向を測定する機能をさらに実行することができる。
【0023】
また、本発明の一実施形態に係るシミュレータ(200)は、前記のように測定されるゴルフボールの回転速度と回転方向に関する情報に基づいて、仮想現実でゴルフボールの運動を実現することができる。
【0024】
一方、本発明の一実施形態に係るシミュレータ(200)は、撮影装置(100)と表示装置(300)との通信をすることができ、シミュレーションゴルフのシミュレーションのための専用のプロセッサを含むことがある。これらの専用プロセッサは、メモリ手段を備えて数値演算能力とグラフィックス処理能力を備えたものであることがある。
【0025】
前記のようなシミュレータ(200)の構成については、
図3を参照して、下で更に説明することにする。
最後に、本発明の一実施形態に係る表示装置(300)は、シミュレータ(200)の物理量の測定、仮想現実の実装の結果を表示してくれる機能を実行することができる。これらの表示装置(300)は、所定のディスプレイ手段を介して所定の映像を表示することができるが、例えば、打撃されたゴルフボールの衝撃を吸収する一方、直接発光しないスクリーンと、このようなスクリーンに映像を出力するプロジェクターで構成されることができる。
【0026】
撮影装置の構成
下では、本発明の一実施形態に係る撮影装置(100)の内部構成と、各構成要素の機能について見てみることにする。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態に係る撮影装置(100)の内部構成を詳細に示す図である。
図2に示すように、撮影装置(100)は、カメラ部(110)、通信部(120)、制御部(130)とを含んで構成されることができる。
【0028】
本発明の一実施例によると、カメラ部(110)、通信部(120)と制御部(130)は、そのうちの少なくとも一部がシミュレータ(200)と通信するためのプログラムモジュールであることがある。これらのプログラムモジュールは、オペレーティングシステム、アプリケーション、モジュール、または他のプログラムモジュールの形で撮影装置(100)に含まれることがあり、物理的には、いくつか公知の記憶装置に保存されることがある。また、これらのプログラムモジュールは、撮影装置(100)と通信可能なリモート記憶装置に保存されることもある。一方、これらのプログラムモジュールは、本発明に基づいて、後述する特定の業務を実行したり、特定の抽象データ型を実行するルーチン、サブルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを包括するが、これに限定されない。
【0029】
まず、本発明の一実施形態に係るカメラ部(110)は、光学的に複数の画像を取得することができる少なくとも一つのカメラを含むことがある。例えば、本発明の一実施形態に係るカメラ部(110)は、1秒あたりの数十フレームの画像を撮影できる高速カメラや超高速カメラを含むことができる。
【0030】
次に、本発明の一実施形態に係る通信部(120)は、必要に応じて制御部(130)とシミュレータ(200)との間のデータ送受信を媒介する機能を実行することがある。本発明の一実施例によると、通信部(120)が取ることができる通信方式に特別な制限はないが、有線LAN通信、ケーブル通信などの有線通信方式や無線LAN通信、赤外線通信、RF通信、ブルートゥース通信などのような無線通信方式が好ましいことがある。
【0031】
最後に、本発明の一実施形態に係る制御部(130)は、カメラ部(110)と通信部(120)との間のデータの流れを制御する機能を実行することができる。すなわち、本発明に係る制御部(130)は、撮影装置(100)の外部からの/へのデータフローや撮影装置(100)の各構成要素間のデータフローを制御することにより、カメラ部(110)と通信部(120 )で、それぞれ固有の機能を実行するように制御することができる。
【0032】
シミュレータの構成
下では、本発明の一実施形態に係るシミュレータ(200)の内部構成と、各構成要素の機能について見てみることにする。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態に係るシミュレータ(200)の内部構成を詳細に示す図である。
図3に示すように、本発明の一実施形態に係るシミュレータ(200)は、画像処理部(210)、物理量測定部(220)、シミュレーション部(230)、データベース(240)、通信部(250)、制御部(260)とを含んで構成されることができる。また、本発明の一実施例によると、画像処理部(210)は、画像取得部(未図示)と画像補正部(未図示)を含むことができる。本発明の一実施例によると、画像処理部(210)、物理量測定部(220)、シミュレーション部(230)、データベース(240)、通信部(250)、制御部(260)は、そのうちの少なくとも一部が撮影装置(100)や表示装置(300)と通信するプログラムモジュールであることがある。これらのプログラムモジュールは、オペレーティングシステム、アプリケーション、モジュール、または他のプログラムモジュールの形でシミュレータ(200)に含まれることがあり、物理的にはいくつかの公知の記憶装置に保存されることがある。また、これらのプログラムモジュールはシミュレータ(200)と通信可能なリモート記憶装置に保存することもある。一方、これらのプログラムモジュールは、本発明に基づいて、後述する特定の業務を実行したり、特定の抽象データ型を実行するルーチン、サブルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを包括するが、これに限定されない。
【0034】
一方、シミュレータ(200)について前記のように説明したが、これらの説明は、例示的なものであり、シミュレータ(200)に要求される機能や構成要素の一部または全てが必要に応じて、撮影装置(100)で実現されるか含まれる場合があるとのことは当業者に自明である。
【0035】
まず、本発明の一実施例によると、画像処理部(210)(具体的には、画像取得部)は、前記の撮影装置(100)から、物理量測定の対象となる球を撮影した複数の画像を獲得する機能を実行することができる。
【0036】
図4は、本発明の一実施例に基づいて実際に撮影されたゴルフボールの画像を例示的に示す図である。
図4を参照すると、照明の位置、光照射の方向や光の光度、カメラの位置、仕様や設定、ボールの位置や色などの様々な環境要因のために、複数の画像からボールに該当する領域の明るさの分布がイメージごとに異なることがある。例えば、ボールに該当する領域の明るさが全体的に暗いことがあり、(
図4の(a)参照)、ボールに該当する領域のうちの中央部の明るさが他の部分に比べて過度に明るいことがある(
図4の(b)を参照)。
【0037】
まず、本発明の一実施例によると、画像処理部(210)(具体的には、画像補正部)は、物理量の測定の対象となるボールを撮影した複数の画像それぞれからボールに該当する領域の撮影された明るさ分布を算出する機能を実行することができる。
【0038】
具体的には、本発明の一実施形態に係る画像補正部は、複数の画像それぞれからボールに該当する領域の中心点、最大の明るさ地点、半径などを算出することにより、各画像内のボールに該当する領域を特定することができる。また、本発明の一実施形態に係る画像補正部は、複数の画像それぞれからボールに該当する領域内の所定の地点(例えば、中心点、最大の明るさ地点など)を基準にして、ボールに該当する領域の明るさの分布を算出することができる。
【0039】
より具体的には、本発明の一実施形態に係る画像補正部は、線形回帰モデル(Linear Riguresshon Model)、ノンパラメトリックモデル(Non-Parametric Model)などの推定モデルまたは統計学的モデルを利用して、複数の画像それぞれからボールに該当する領域の明るさの分布を算出することができる。
【0040】
例えば、線形回帰モデルに基づいて、複数の画像それぞれからボールに該当する領域内で最大の明るさ地点と任意の点の間の距離とその任意の点の明るさとの間の関係が導出されることができる。別の例として、ブラーフィルタ(Blurring Filter)、ローパスフィルタ(Low Pass Filter)、ガウシアンフィルタ(Gaussian Filter)などのノンパラメトリックモデルに基づいて、複数の画像それぞれからボールに該当する領域内の任意の地点の明るさが算出されることができる。
【0041】
また、本発明の一実施例によると、画像処理部(210)(具体的には、画像補正部)は、基準の明るさ分布を参照して、複数の画像のうち少なくとも一つの画像のボールに該当する領域の撮影された明るさの分布を補正する機能を実行することができる。ここで、本発明の一実施例によると、基準の明るさの分布は、ボールの表面上に表示されているマークを検出して認識することに適切なものに既に設定されてある明るさの分布としては、データベース(240)内に格納されていることがある。
【0042】
具体的には、本発明の一実施形態に係る画像補正部は、補正の対象となる画像のボールに該当する領域の撮影された明るさの分布の均一性が既に設定されてあるレベル以上になるよう、その画像のボールに該当する領域の撮影された明るさの分布を補正することができる。
【0043】
より具体的には、本発明の一実施形態に係る画像補正部は、第1画像のボールに該当する領域の第1に撮影された明るさの分布と基準の明るさの分布を比較すると、第1に撮影された明るさの分布を補正するための補正モデルを算出し、前記の算出された補正モデルを参照して、第1に撮影された明るさの分布を補正することができる。
【0044】
例えば、本発明の一実施形態に係る補正モデルは、下の数式1と数式2のように表すことができる。
<数式 1>
E(P) = c * b(P) + d
<数式 2>
F(P) = b(P) + E(P) 又は F(P) = b(P) * E(P)
前記の数式1及び数式2で、b(P)は、任意の地点である点Pの明るさを示し、E(P)は、点Pの明るさに対する補正モデルを示し、c及びdは補正モデルE(P)を特定する補正係数を示し、F(P)は、補正モデルE(P)によって補正された(つまり、均一化された)点Pの明るさを示す。
【0045】
図5は、本発明の一実施例に基づいてゴルフボールの画像に適用することができる補正モデルを視覚的に示す図である。
図5の(a)と(b)は、それぞれ
図4の(a)と(b)の画像に適用することができる補正モデルを視覚化したものに相当する。
【0046】
図6は、本発明の一実施例に基づいて明るさが補正されたゴルフボールの画像を例示的に示す図である。
図6を参照すると、
図4の(a)と(b)それぞれ示されているゴルフボールの画像のボールに該当する領域の明るさの分布が均一化されたことを確認することができる。
【0047】
以上で説明したように、本発明の一実施例によると、それぞれのゴルフボールの画像内だけでなく、複数のゴルフボールの画像にわたってボールに該当する領域の明るさの分布を補正(つまり、均一化)することにより、複数の画像にわたって共通して表示されるマークを検出及び認識するにあたり、明るさの差に起因するエラーが発生する可能性を低減、その検出と認識の精度を向上させることができるようになる。
【0048】
ただし、本発明に基づいてゴルフボールの画像の明るさの分布を補正する方法が必ず前記列挙されたアルゴリズムに限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内でいくらでも変更されることがあることを明らかにしておく。
【0049】
一方、本発明の一実施形態に係る物理量測定部(220)は、前記のように補正された(つまり、明るさの分布が均一化された)複数のゴルフボールの画像(より具体的には、時間的に隣接する複数のゴルフボールの画像)に表示されるマークシーケンスを分析することにより、ゴルフボールの回転速度と回転方向を測定する機能を実行することができる。具体的には、本発明の一実施形態に係る物理量測定部(220)は、上のマークシーケンスから観察されるマークのゴルフボールの表面上での移動速度と移動方向を参照にしてゴルフボールの回転速度と回転方向を推定することができる。また、本発明の一実施形態に係る物理量測定部(220)は、ゴルフボールの運動軌跡を演算、ゴルフボールの運動速度を演算したり、ゴルフボールの高さを演算する機能とをさらに実行することができる。
【0050】
次に、本発明の一実施形態に係るシミュレーション部(230)は、前記のように測定されるゴルフボールの物理量に関する様々な情報に基づいて、仮想現実でゴルフボールの運動(例えば、回転速度、回転方向、移動速度、移動方向、発射角度など)を実装することができる。また、本発明の一実施形態に係るシミュレーション部(230)は、ゴルフボールの運動をグラフィックオブジェクトに反映したり、映像信号を含む制御信号を表示装置(300)に送信してゴルフボールの運動が表示装置(300)でリアルに表現されるようにすることができる。
【0051】
次に、本発明の一実施形態に係るデータベース(240)には、ゴルフボールの撮影された画像は、マークシーケンス、演算された物理量等に関する情報やシミュレーションに必要な情報(例えば、仮想現実の実装に必要なデータなど)が保存されることがある。たとえ
図3で、データベース(240)がシミュレータ(200)に含まれて構成されているものと示されているが、本発明を実施する当業者の必要性に応じて、データベース(240)はシミュレータ(200)とは別に構成することもできる。一方、本発明でのデータベース(240)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を含む概念であり、協議のデータベースだけでなく、ファイルシステムに基づいたデータ記録などを含む広義のデータベースであることもあり、単純なログの集まりでも、これを検索してデータを抽出することができる場合、本発明でのデータベース(240)になることがある。
【0052】
次に、本発明の一実施形態に係る通信部(250)は、シミュレータ(200)からの/へのデータ送受信を可能にする機能を実行することができる。本発明の一実施例によると、通信部(250)が取ることができる通信方式に特別な制限はないが、有線LAN通信、ケーブル通信などの有線通信方式や無線LAN通信、赤外線通信、RF通信、ブルートゥース通信などのような無線通信方式が好ましいことがある。
【0053】
最後に、本発明の一実施形態に係る制御部(260)は、画像処理部(210)、物理量測定部(220)、シミュレーション部(230)、データベース(240)、通信部(250)との間のデータの流れを制御する機能を実行することができる。すなわち、本発明に係る制御部(260)は、シミュレータ(200)の外部からの/へのデータフローまたはシミュレータ(200)の各構成要素間のデータフローを制御することにより、画像処理部(210)、物理量測定部(220 )、シミュレーション部(230)、データベース(240)、通信部(250)から、それぞれ固有の機能を実行するように制御することができる。
【0054】
上では、本発明の仮想スポーツシステムがシミュレーションゴルフシステムである場合を主に想定して説明したが、球の運動に関するシミュレーションが必要とされるすべての種類の仮想スポーツシステム(例えば、仮想野球システムや仮想サッカーシステム)に本発明の技術的原理と構成が適用されることがあることは当業者に自明である。
【0055】
以上説明した本発明に係る実施例は、様々なコンピュータの構成要素を介して実行されることができるプログラム命令の形で実装され、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されることができる。前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独または組み合わせて含むことができる。前記コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されるプログラム命令は、本発明のために特別に設計されて構成されたものか、またはコンピュータソフトウェア分野の当業者に公知されて使用可能なものであることがある。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例には、ハードディスク、フロッピーディスク(登録商標)、及び磁気テープのような磁気媒体、CD-ROMやDVDなどの光記録媒体、プティカルディスク(Floptical Disk)のような磁気 - 光媒体(Magneto-optical Medium)、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのような、プログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェアデバイスが含まれる。プログラムコマンドの例には、コンパイラによって作られるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを使用してコンピュータによって実行されることができる高級言語コードも含まれる。ハードウェアデバイスは、本発明に係る処理を実行するために複数のソフトウェアモジュールに変更することができ、その逆も同様である。
【0056】
以上で、本発明が具体的な構成要素などの特定の事項、限定された実施例と図面によって説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものであり、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正と変更を図ることができる。
【0057】
したがって、本発明の思想は、前記説明した実施例に限定されて決まってはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等な、またはこれから等価的に変更されたすべての範囲は、本発明の思想の範疇に属するとする。
【符号の説明】
【0058】
100:撮影装置
110:カメラ部
120:通信部
130:制御部
200:シミュレータ
210:画像処理部
220:物理量測定部
230:シミュレーション部
240:データベース
250:通信部
260:制御部