(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】光導波路、光電気混載基板および光電気混載モジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 6/122 20060101AFI20220523BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
G02B6/122 311
G02B6/42
(21)【出願番号】P 2017159297
(22)【出願日】2017-08-22
【審査請求日】2020-08-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】古根川 直人
(72)【発明者】
【氏名】辻田 雄一
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-012930(JP,A)
【文献】国際公開第2016/021505(WO,A1)
【文献】特開2011-039489(JP,A)
【文献】特開2012-181428(JP,A)
【文献】特開2015-004799(JP,A)
【文献】特許第4096988(JP,B1)
【文献】特開2010-060669(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0192735(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12-6/14
6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔を隔てて隣接する第1コアおよび第2コアと、前記第1コアおよび前記第2コアの間に位置するダミーコアとを備える光導波路であって、
前記第1コアおよび前記第2コアは、前記隣接方向に直交する伝送方向において光を伝送し、
前記ダミーコアは、前記第1コアに対向する対向面と、前記対向面に対して前記第1コアの反対側に位置する反対面とを有し、
前記反対面は、前記伝送方向下流側に向かうに従って、前記第1コアから遠ざかるように傾斜する傾斜面を有
し、
前記伝送方向における前記第1コアの上流側端縁と、前記伝送方向における前記第2コアの上流側端縁と、前記伝送方向における前記ダミーコアの上流側端縁とは、前記隣接方向において面一であり、
前記傾斜面は、前記伝送方向における前記第1コアの上流側端縁から傾斜していることを特徴とする、光導波路。
【請求項2】
前記傾斜面の前記伝送方向に対する傾斜角が、0.005度以上、1度以下であることを特徴とする、請求項1に記載の光導波路。
【請求項3】
前記ダミーコアの前記伝送方向における長さが、前記第1コアの前記伝送方向の全長に対して、75%以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の光導波路。
【請求項4】
前記対向面の前記伝送方向上流側端縁の、前記第1コアに対する隣接方向距離が、5μm以上、40μm以下であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の光導波路。
【請求項5】
前記反対面における前記伝送方向の全部が、前記傾斜面であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の光導波路。
【請求項6】
前記対向面は、前記伝送方向下流側に向かうに従って、前記第1コアに近づくように傾斜する第2傾斜面を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の光導波路。
【請求項7】
前記第2傾斜面の前記伝送方向に対する傾斜角が、0.005度以上、1度以下であることを特徴とする、請求項6に記載の光導波路。
【請求項8】
前記反対面における前記伝送方向の全部が、前記第2傾斜面であることを特徴とする、請求項6または7に記載の光導波路。
【請求項9】
前記ダミーコアが、前記隣接方向において、互いに間隔を隔てて複数設けられていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の光導波路。
【請求項10】
前記ダミーコアを被覆するクラッドをさらに備え、
前記ダミーコアと前記クラッドとの界面において、前記ダミーコアの材料および前記クラッドの材料を含有する混合層を有し、
前記混合層の厚みが、前記
ダミーコアの前記クラッドとの前記界面の最大谷深さZvを超過することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の光導波路。
【請求項11】
前記第1コアは、前記隣接方向において互いに対向する2つの第1対向面を有し、
前記2つの第1対向面の前記伝送方向上流側端縁の間の距離が、前記2つの第1対向面の前記伝送方向下流側端縁の間の距離に対して、長いことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の光導波路。
【請求項12】
前記2つの第1対向面の少なく一方は、前記2つの第1対向面の間の距離が、前記伝送方向下流側に向かうに従って、短くなる第1コア傾斜面を有することを特徴とする、請求
項11に記載の光導波路。
【請求項13】
前記第1コア傾斜面の前記伝送方向に対する傾斜角が、0.002度以上、0.1度以下であることを特徴とする、請求項12に記載の光導波路。
【請求項14】
前記2つの第1対向面における伝送方向の全部が、前記第1コア傾斜面であることを特徴とする、請求項12または13に記載の光導波路。
【請求項15】
前記第2コアは、前記隣接方向において互いに対向する2つの第2対向面を有し、
前記2つの第2対向面は、前記2つの第2対向面の前記伝送方向上流側端縁の間の距離が、前記2つの第
2対向面の前記伝送方向下流側端縁の間の距離に対して、長くなるように、前記伝送方向に対して傾斜する、第2コア傾斜面であることを特徴とする、請求項11~14のいずれか一項に記載の光導波路。
【請求項16】
前記第2コア傾斜面の前記伝送方向に対する傾斜角が、0.002度以上、0.1度以下であることを特徴とする、請求項15に記載の光導波路。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の光導波路と、電気回路基板とを備えることを特徴とする、光電気混載基板。
【請求項18】
前記第1コアおよび前記第2コアの前記伝送方向上流側端縁と光学的に結合する光素子をさらに備えることを特徴とする、請求項17に記載の光電気混載基板。
【請求項19】
請求項17または18に記載の光電気混載基板と、外部光回路とを備え、
前記外部光回路は、前記第1コアおよび前記第2コアの前記伝送方向下流側端縁と光学的に結合することを特徴とする、光電気混載モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路、光電気混載基板および光電気混載モジュール、詳しくは、光導波路、それを備える光電気混載基板、および、それを備える光電気混載モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のコアと、それらを被覆するクラッドとを備える光導波路が知られている。
【0003】
例えば、並列する第1コアおよび第2コアと、それらの間に配置されるダミーコアと、それらを被覆するクラッド部とを備える光導波路が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1の光導波路では、第1コアおよび第2コアは、平行しており、ダミーコアの2つの側面は、第1コアおよび第2コアに平行な直行面である。
【0004】
特許文献1では、第1コアと第2コアとの間のクロストークを抑制している。クロストークは、第1コアにおいて伝送される光、および/または、第1コアの入射部に対応する入射装置からの光が、意図せずに、第1コアに留まらず、第2コアに至り、その後、意図しない光が第2コア内において伝送され、第2コアの出射部に対応する受光装置に受光される現象である。従って、クロストークの発生は、光導波路では不適である。
【0005】
特許文献1の光導波路では、ダミーコアによって、第1コアおよび/または入射装置からの第2コアに至るような光を捕捉することによって、クロストークを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、クロストークのより一層の抑制が要求されている。
【0008】
本発明は、クロストークの抑制効果に優れる、光導波路、それを備える光電気混載基板、および、それを備える光電気混載モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明(1)は、互いに間隔を隔てて隣接する第1コアおよび第2コアと、前記第1コアおよび前記第2コアの間に位置するダミーコアとを備える光導波路であって、前記第1コアおよび前記第2コアは、前記隣接方向に直交する伝送方向において光を伝送し、前記ダミーコアは、前記第1コアに対向する対向面と、前記対向面に対して前記第1コアの反対側に位置する反対面とを有し、前記反対面は、前記伝送方向下流側に向かうに従って、前記第1コアから遠ざかるように傾斜する傾斜面を有する、光導波路を含む。
【0010】
この光導波路では、第1コアに対応する入力装置から漏れ出た光の伝送方向上流側端縁(
図3参照)、および/または、第1コアから漏れ出た光(
図4および
図5参照)は、ダミーコアの対向面からダミーコアの内部に進入する。
【0011】
続いて、ダミーコアの内部に進入した光は、反対面に至るが、反対面は、伝送方向下流側に向かうに従って、第1コアから遠ざかるように傾斜する傾斜面を有する。そのため、かかる光の進行方向と、傾斜面の法線との成す角、つまり、光の入射角β(
図3のβ1、
図4のβ2、
図5のβ3参照)を、特許文献1に記載されるような直行面に対する光の入射角(
図3のγ1、
図4のγ2、
図5のγ3参照)に比べて、大きくすることができる。そのため、臨界角以上で傾斜面に至る光の割合を、特許文献1の光導波路に比べて、多くすることができる。
【0012】
その結果、反対面において、全反射する光の割合を多くすることができる。換言すれば、反対面を透過して、第2コアに向かう光の割合を少なくすることができる。
【0013】
従って、この光導波路は、クロストークの抑制効果に優れる。そのため、この光導波路は、伝送信頼性に優れる。
【0014】
本発明(2)は、前記傾斜面の前記伝送方向に対する傾斜角が、0.005度以上、1度以下である、(1)に記載の光導波路を含む。
【0015】
本発明(3)は、前記ダミーコアの前記伝送方向における長さが、前記第1コアの前記伝送方向の全長に対して、75%以上である、(1)または(2)に記載の光導波路を含む。
【0016】
本発明(4)は、前記対向面の前記伝送方向上流側端縁の、前記第1コアに対する隣接方向距離が、5μm以上、40μm以下である、(1)~(3)のいずれか一項に記載の光導波路を含む。
【0017】
本発明(5)は、前記反対面における前記伝送方向の全部が、前記傾斜面である、(1)~(4)のいずれか一項に記載の光導波路を含む。
【0018】
本発明(6)は、前記対向面は、前記伝送方向下流側に向かうに従って、前記第1コアに近づくように傾斜する第2傾斜面を有する、(1)~(5)のいずれか一項に記載の光導波路を含む。
【0019】
本発明(6)の光導波路では、反対面において反射した光は、再度、対向面に至るが、対向面は、伝送方向下流側に向かうに従って、前記第1コアに近づくように傾斜する第2傾斜面を有する。そのため、かかる光の進行方向と、第2傾斜面の法線との成す角、つまり、光の入射角を、特許文献1に記載されるような直行面に対する光の入射角に比べて、大きくすることができる。そのため、臨界角以上で第2傾斜面に至る光の割合を、特許文献1の光導波路に比べて、多くすることができる。
【0020】
そのため、この光導波路では、ダミーコアの内部に進入した光を、ダミーコアの内部に有効に閉じ込めることができる。
【0021】
なお、第1コアから漏れた後、ダミーコアに一旦取り込まれた光が、第1コアに再び戻ることは、かかる光の光学特性(例えば、位相など)がすでに変動していることから、好ましくない。
【0022】
従って、この光導波路は、上記した光をダミーコアの内部に有効に閉じ込めるので、光の伝送信頼性により一層優れる。
【0023】
本発明(7)は、前記第2傾斜面の前記伝送方向に対する傾斜角が、0.005度以上、1度以下である、(6)に記載の光導波路を含む。
【0024】
本発明(8)は、前記反対面における前記伝送方向の全部が、前記第2傾斜面である、(6)または(7)に記載の光導波路を含む。
【0025】
本発明(9)は、前記ダミーコアが、前記隣接方向において、互いに間隔を隔てて複数設けられている、(1)~(8)のいずれか一項に記載の光導波路を含む。
【0026】
この光導波路では、ダミーコアが複数設けられているので、クロストークをより一層有効に抑制することができる。
【0027】
本発明(10)は、前記ダミーコアを被覆するクラッドをさらに備え、前記ダミーコアと前記クラッドとの界面において、前記ダミーコアの材料および前記クラッドの材料を含有する混合層を有し、前記混合層の厚みが、前記ダミーコアの前記クラッドとの前記界面の最大谷深さZvを超過する、(1)~(9)のいずれか一項に記載の光導波路を含む。
【0028】
上記した界面が、微細な凹凸を有する場合には、かかる界面において、光が散乱してしまい、そのため、ダミーコアによるクロストークの抑制効果が低減する傾向にある。
【0029】
この光導波路では、混合層の厚みが、界面の最大谷深さZvを超過するので、ダミーコアの内部における光が、上記した界面に至る前に、ダミーコアの材料およびクラッドの材料を含有し、ダミーコアの屈折率より高い屈折率を有する混合層によって、閉じ込めることができる。そのため、この光導波路では、依然として、クロストークの抑制効果に優れる。
【0030】
本発明(11)は、前記第1コアは、前記隣接方向において互いに対向する2つの第1対向面を有し、前記2つの第1対向面の前記伝送方向上流側端縁の間の距離が、前記2つの第1対向面の前記伝送方向下流側端縁の間の距離に対して、長い、(1)~(10)のいずれか一項に記載の光導波路を含む。
【0031】
入射装置を、第1コアにおける伝送方向上流側端縁に配置すれば、2つの第1対向面の伝送方向上流側端縁の距離が、2つの第1対向面の伝送方向下流側端縁の間の距離に対して、長いので、入射装置からの光が、第1コアの伝送方向上流側端縁から漏れにくく、第1コアの伝送方向上流側端縁に効率的に入射させることができる。そのため、第1コアの伝送方向上流側端縁からの漏れに起因するクロストークを予め抑制することができる。
【0032】
2つの第1対向面の少なく一方が第1コア傾斜面を有すれば、かかる第1コア傾斜面から第1コアの外部に漏れ易い。
【0033】
しかし、この光導波路では、上記したダミーコアを有するので、かかる光をダミーコアに進入させ、ダミーコア内に閉じ込めて、第2コアに向かう光の割合を少なくすることができる。
【0034】
本発明(13)は、前記第1コア傾斜面の前記伝送方向に対する傾斜角が、0.002度以上、0.1度以下である、(12)に記載の光導波路を含む。
【0035】
本発明(14)は、前記2つの第1対向面における伝送方向の全部が、前記第1コア傾斜面である、(12)または(13)に記載の光導波路を含む。
【0036】
本発明(15)は、前記第2コアは、前記隣接方向において互いに対向する2つの第2対向面を有し、前記2つの第2対向面は、前記2つの第2対向面の前記伝送方向上流側端縁の間の距離が、前記2つの第2対向面の前記伝送方向下流側端縁の間の距離に対して、長くなるように、前記伝送方向に対して傾斜する、第2コア傾斜面である、(11)~(14)のいずれか一項に記載の光導波路を含む。
【0037】
本発明(16)は、前記第2コア傾斜面の前記伝送方向に対する傾斜角が、0.002度以上、0.1度以下である、(15)に記載の光導波路を含む。
【0038】
本発明(17)は、(1)~(16)のいずれか一項に記載の光導波路と、電気回路基板とを備える、光電気混載基板を含む。
【0039】
この光電気混載基板は、伝送信頼性に優れる光導波路を備えるので、光の伝送信頼性に優れる。
【0040】
本発明(18)は、前記第1コアおよび前記第2コアの前記伝送方向上流側端縁と光学的に結合する光素子をさらに備える(17)に記載の光電気混載基板を含む。
【0041】
本発明(19)は、(17)または(18)に記載の光電気混載基板と、外部光回路とを備え、前記外部光回路は、前記第1コアおよび前記第2コアの前記伝送方向下流側端縁と光学的に結合する、光電気混載モジュールを含む。
【0042】
この光電気混載モジュールは、光の伝送信頼性に優れる光電気混載基板を備えるので、信頼性に優れる。
【発明の効果】
【0043】
本発明の光導波路は、クロストークの抑制効果に優れ、そのため、伝送信頼性に優れる。
【0044】
本発明の光電気混載基板および光電気混載モジュールは、光の伝送信頼性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1は、本発明の光導波路の一実施形態の平面図を示す。
【
図2】
図2は、
図1に示す光導波路の幅方向に沿い、A-A線の断面図を示す。
【
図3】
図3は、
図1に示す光導波路のダミーコアによるクロストークの抑制(入射装置から出射された光の一部が漏れる態様)を説明する図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す光導波路のダミーコアによるクロストークの抑制(第1コアに取り込まれた光が、第1コアの第1他側面から漏れる態様)を説明する図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す光導波路のダミーコアによるクロストークの抑制(第1コアに取り込まれた光が、第1コアの第1一側面で反射した後、第1コアの第1他側面から漏れる態様)を説明する図である。
【
図6】
図6A~
図6Dは、
図1に示す光導波路の変形例であり、
図6Aが、ダミーコアが、第1コアおよび第2コアに比べて、短い変形例(ダミーコアの長手方向一方面が長手方向他方側に退避する態様)、
図6Bが、ダミーコアが、第1コアおよび第2コアに比べて、短い変形例(ダミーコアの長手方向他方面が長手方向一方側に退避する態様)、
図6Cが、ダミーコアが、第1コアおよび第2コアに比べて、長い変形例(ダミーコアの長手方向他方面が長手方向他方側に進出する態様)、
図6Dが、ダミーコアが、第1コアおよび第2コアに比べて、長い変形例(ダミーコアの長手方向一方面が長手方向一方側に進出する態様)を示す。
【
図7】
図7E~
図7Hは、
図6Dに引き続き、
図1に示す光導波路の変形例であり、
図7Eが、ダミー一側面が直行面である変形例、
図7Fが、ダミー一側面およびダミー他側面のそれぞれでは、長手方向一端部および他端部が、直行面である変形例、
図7Gが、ダミー一側面およびダミー他側面において、長手方向他方側半分が、直行面である変形例、
図7Hが、ダミー一側面およびダミー他側面において、長手方向一方側半分が、直行面である変形例を示す。
【
図8】
図8I~
図8Mは、
図7Hに引き続き、
図1に示す光導波路の変形例であり、
図8Iが、ダミー一側面およびダミー他側面のそれぞれが、湾曲面である変形例、
図8Jが、ダミー一側面およびダミー他側面のそれぞれが、直行面および2種類の傾斜面を有する変形例、
図8Kが、ダミー一側面およびダミー他側面のそれぞれが、2種類の傾斜面を有する変形例、
図8Lが、ダミー一側面およびダミー他側面のそれぞれが、直行面、傾斜面および湾曲面を有する変形例、
図8Mが、ダミーコアが複数設けられる変形例を示す。
【
図9】
図9は、光導波路におけるダミーコアおよびオーバークラッド層の界面が凹凸面であり、混合層が設けられる変形例を示す。
【
図11】
図10に示す光導波路のダミーコアによるクロストークの抑制を説明する図である。
【
図12】
図12は、
図1に示す光導波路を備える光電気混載基板の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
(光導波路)
本発明の光導波路の一実施形態を
図1~
図5を参照して説明する。
【0047】
図1において、紙面左右方向は、後述する光導波路1の長手方向(光の伝送方向、第1方向)である。紙面右側は、長手方向一方側(伝送方向下流側、第1方向一方側)であり、紙面左側は、長手方向他方側(伝送方向上流側、第1方向他方側)である。
【0048】
図1において、紙面上下方向は、光導波路の幅方向(伝送方向に直交する方向、後述する第1コア5および第2コア6の隣接方向の一例、第1方向に直交する第2方向)である。紙面上側は、幅方向一方側(第2方向一方側)であり、紙面下側は、幅方向他方側(第2方向他方側)である。
【0049】
具体的には、方向は、各図の方向矢印に準拠する。
【0050】
これらの方向の定義により、光導波路1、光電気混載基板30、光電気混載モジュール55(後述)の製造時および使用時の向きを限定する意図はない。
【0051】
また、以降の各図は、各部材の角度、寸法などが、本願発明を容易に理解するために誇張して描画され、正確に表されていない場合を含む。
【0052】
なお、
図1、
図3~
図5において、オーバークラッド層4(後述)は、第1コア5、第2コア6およびダミーコア7(後述)の相対配置を明確に示すため、省略している。
【0053】
図1および
図2に示すように、この光導波路1は、長手方向に延びる平面視(「厚み方向に投影したときに」と同義)略矩形平板形状を有する。光導波路1は、光を長手方向一方側から他方側に伝送する。
【0054】
光導波路1は、例えば、ストリップ型光導波路である。また、光導波路1は、クラッドの一例としてのアンダークラッド層2と、コア層3と、クラッドの一例としてのオーバークラッド層4とを上側に向かって順に備える。詳しくは、光導波路1は、アンダークラッド層2と、アンダークラッド層2の上面に配置されるコア層3と、アンダークラッド層2の上面に、コア層3を被覆するように配置されるオーバークラッド層4とを備える。光導波路1は、好ましくは、アンダークラッド層2と、コア層3と、オーバークラッド層4とのみからなる。
【0055】
アンダークラッド層2は、長手方向に延びる略矩形板形状を有する。具体的には、アンダークラッド層2は、長手方向に互いに間隔を隔てて対向するアンダー側長手方向一方面22およびアンダー側長手方向他方面21と、アンダー側長手方向他方面22およびアンダー側長手方向一方面21の幅方向一端縁を連結するアンダー側幅方向一方面23と、アンダー側長手方向他方面22およびアンダー側長手方向一方面21の幅方向他端縁を連結するアンダー側幅方向他方面24とを有する。
【0056】
アンダークラッド層2の材料としては、例えば、透明性を有する樹脂、好ましくは、絶縁性および透明性を有する樹脂が挙げられ、具体的には、エポキシ樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ノルボルネン樹脂などが挙げられる。アンダークラッド層2の厚みは、例えば、2μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、600μm以下、好ましくは、40μm以下である。
【0057】
コア層3は、アンダークラッド層2の上面に接触している。コア層3は、幅方向(長手方向および厚み方向に直交する方向)に互いに間隔を隔てて複数並列配置されている。具体的には、コア層3は、幅方向に互いに間隔を隔てて隣接する第1コア5および第2コア6と、第1コア5および第2コア6の間に位置するダミーコア7とを備える。
【0058】
第1コア5は、第1コア5および第2コア6のうち、幅方向一方側に位置する。第1コア5は、正断面視(長手方向に直交する面で切断した断面視)略矩形状を有する。また、第1コア5は、長手方向に沿う平面視略直線形状(より具体的には、矩形状)を有する。具体的には、第1コア5は、第1下面51と、第1上面52と、第1対向面の一例としての第1一側面53と、第1対向面の一例としての第1他側面54とを連続して有する。
【0059】
第1下面51は、第1コア5の下面であって、平面である。第1下面51は、アンダークラッド層2の上面に接触する。
【0060】
第1上面52は、第1コア5の上面であって、平面である。第1上面52は、第1下面51の上側に間隔を隔てて対向配置されている。第1上面52は、第1下面51に平行する。
【0061】
第1一側面53は、第1下面51および第1上面52の幅方向一端縁を連結する。第1一側面53は、長手方向に沿う平面である。
【0062】
第1他側面54は、第1下面51および第1上面52の幅方向他端縁を連結する。第1他側面54は、第1一側面53に平行し、長手方向に沿う平面である。第1他側面54は、第1一側面53に対して対向配置される。
【0063】
第2コア6は、第1コア5の幅方向他方側に、少なくともダミーコア7が配置される領域を隔てて配置される。第2コア6は、第1コア5と同一の正断面視形状を有する。また、第2コア6は、第1コア5に変更する平面視略直線形状(より具体的には、矩形状)を有する。具体的には、第2コア6は、第2下面61と、第2上面62と、第2対向面の一例としての第2一側面63と、第2対向面の一例としての第2他側面64とを連続して有する。第2下面61は、第1下面51と同一平面上にある。第2上面62は、幅方向に投影したときに、第1上面52と重複する。第2一側面63は、幅方向において、第1他側面54に面する。第2他側面64は、第2一側面63に対向配置される。
【0064】
また、第1コア5および第2コア6のそれぞれの長手方向一方面は、アンダークラッド層2のアンダー側長手方向一方面22と面一である。また、第1コア5および第2コア6のそれぞれの長手方向他方面は、アンダークラッド層2のアンダー側長手方向他方面21と面一である。
【0065】
ダミーコア7は、第1コア5および第2コア6の間に位置する。具体的には、ダミーコア7は、第1コア5および第2コア6の間において、それらと幅方向(第1コア5および第2コア6の隣接方向)に間隔を隔てて配置されている。ダミーコア7は、正断面視略矩形状を有する。ダミーコア7は、平面視において、長手方向他方側から一方側に向かって次第に幅方向長さが増大するテーパ形状を有する。
【0066】
ダミーコア7は、ダミー下面71と、ダミー上面72と、対向面の一例としてのダミー一側面73と、反対面の一例としてのダミー他側面74とを連続して有する。
【0067】
ダミー下面71は、第1下面51および第2下面61と同一平面上にある。ダミー下面71は、ダミーコア7の下面であって、平面である。ダミー下面71は、アンダークラッド層2の上面に接触する。
【0068】
ダミー上面72は、幅方向に投影したときに、第1上面52および第2上面62と重複する。ダミー上面72は、ダミーコア7の上面であって、平面である。ダミー上面72は、ダミー下面71の上側に間隔を隔てて対向配置されている。ダミー上面72は、ダミー下面71に平行する。
【0069】
ダミー一側面73は、ダミー下面71およびダミー上面72の幅方向一端縁を連結する。ダミー一側面73は、第1コア5に対向する。より具体的には、ダミー一側面73は、第1他側面54に面する。ダミー一側面73は、長手方向一方側に向かうに従って、幅方向一方側に傾斜する第2傾斜面75である。つまり、ダミー一側面73は、長手方向一方側に向かうに従って、第1コア5に近づく。ダミー一側面73は、平面である。
【0070】
ダミー一側面73の長手方向に対する傾斜角α1は、例えば、0.005度以上、好ましくは、0.007度以上であり、また、例えば、1度以下、好ましくは、0.05度以下である。傾斜角α1は、ダミー一側面73の長手方向一端縁から他方側に直行する(第1他側面54と平行する)仮想平面I1とダミー一側面73とが成す角であり、また、ダミー一側面73の長手方向他端縁から一方側に直行する(第1他側面54と平行する)仮想平面I2とダミー一側面73とが成す角である。
【0071】
ダミー一側面73の傾斜角α1が上記した下限以上であれば、ダミー一側面73における光の入射角(後述)を確実に大きくすることができる。
【0072】
ダミー一側面73の傾斜角α1が上記した上限以下であれば、ダミーコア7および第1コア5の幅方向における間隔を確実に確保することができる。
【0073】
なお、ダミー一側面73は、その延長仮想面(図示せず)が、第1他側面54および第2一側面63の両方の延長仮想面(図示せず)に交差する。
【0074】
ダミー他側面74は、ダミー下面71およびダミー上面72の幅方向他端縁を連結する。ダミー他側面74は、第2コア6に対向する。また、ダミー他側面74は、ダミー一側面73に対して第1コア5の反対側に位置する。ダミー他側面74は、長手方向一方側に向かうに従って、幅方向他方側に傾斜する傾斜面の一例としての第1傾斜面76である。つまり、ダミー他側面74は、長手方向一方側に向かうに従って、第1コア5から遠ざかる。換言すれば、ダミー他側面74は、長手方向一方側に向かうに従って、第2コア6に近づく。ダミー他側面74は、平面である。なお、ダミー他側面74は、その延長仮想面(図示せず)が、第1他側面54および第2一側面63の両方の延長仮想面(図示せず)に交差する。
【0075】
ダミー他側面74の長手方向に対する傾斜角α2は、例えば、0.005度以上、好ましくは、0.007度以上であり、また、例えば、1度以下、好ましくは、0.05度以下である。傾斜角α2は、ダミー他側面74の長手方向一端縁から他方側に直行する(第2一側面63に平行する)仮想平面I3とダミー他側面74とが成す角であり、また、ダミー他側面74の長手方向他端縁から一方側に直行する(第2一側面63に平行する)仮想平面I4とダミー他側面74とが成す角である。
【0076】
ダミー他側面74の傾斜角α2が上記した下限以上であれば、ダミー他側面74における入射角β(後述する臨界角β1(
図3参照)、β2(
図4参照)、β3(
図5参照)など)を確実に大きくすることができる。
【0077】
ダミー他側面74の傾斜角α2が上記した上限以下であれば、ダミーコア7および第2コア6の幅方向における間隔を確実に確保することができる。
【0078】
また、ダミーコア7の長手方向一方面は、第1コア5および第2コア6の長手方向一方面と幅方向において面一である。また、ダミーコア7の長手方向他方面は、第1コア5および第2コア6の長手方向他方面と幅方向において面一である。そのため、ダミーコア7の長手方向長さL1は、第1コア5および第2コア6の長手方向長さL0と同一である。
【0079】
コア層3の厚みは、第1コア5における第1下面51および第1上面52間の距離であり、また、第2コア6における第2下面61および第2上面62間の距離であり、さらに、ダミーコア7におけるダミー下面71およびダミー上面72間の距離Tである。
【0080】
また、ダミー下面71およびダミー上面72間の距離Tは、ダミー一側面73の上端縁および下端縁間の長さT、および、ダミー他側面74の上端縁および下端縁間の長さTであって、要するに、ダミーコア7の厚みTである。ダミーコア7の厚みTは、例えば、長手方向にわたって、同一である。
【0081】
コア層3の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、30μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、70μm以下である。
【0082】
ダミー一側面73およびダミー他側面74の長手方向他端縁間の距離L6(対向長さ)は、ダミー上面72(ダミー下面71)の長手方向他端縁の幅方向長さであって、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、また、例えば、20μm以下、好ましくは、10μm以下である。
【0083】
ダミー一側面73およびダミー他側面74の長手方向一端縁間の距離L7(対向長さ)は、ダミー上面72(ダミー下面71)の長手方向一端縁の幅方向長さであって、ダミー上面72(ダミー下面71)の長手方向他端縁の幅方向長さに比べて長く、ダミー上面72(ダミー下面71)の長手方向他端縁の幅方向長さに対して、例えば、101%以上、好ましくは、103%以上であり、また、例えば、125%以下、好ましくは、110%以下である。
【0084】
ダミー一側面73の長手方向他端縁と、第1コア5との距離(最短距離)(対向面の伝送方向上流側端縁の、第1コアに対する隣接方向距離の一例)L2は、例えば、5μm以上であり、また、例えば、40μm以下である。L2が上記した下限以上であれば、ダミー一側面73の長手方向他端縁が、第1コア5が過度に近づくことを防止できる。L2が上記した上限以下であれば、第1コア5から漏れる光をダミー一側面73を介してダミーコア7の内部に効率的に迎え入れることができる。
【0085】
ダミー他側面74の長手方向他端縁と、第2コア6との距離(最短距離)L3は、上記したL2と同一である。
【0086】
ダミー一側面73の長手方向一端縁と、第1コア5との距離(最短距離)L4は、上記したL2および傾斜角α1に応じて適宜設定される。ダミー他側面74の長手方向一端縁と、第2コア6との距離(最短距離)L5は、上記したL3および傾斜角α2に応じて適宜設定される。
【0087】
コア層3の屈折率は、アンダークラッド層2の屈折率に対して高く設定されている。コア層3の材料は、上記した屈折率を満足する材料から選択され、具体的には高い屈折率と、優れた絶縁性および透明性を有する樹脂が選択され、具体的には、アンダークラッド層2で例示した樹脂から選択される。
【0088】
オーバークラッド層4は、コア層3を被覆する。具体的には、オーバークラッド層4は、第1コア5の第1上面52、第1一側面53および第1他側面54と、第2コア6の第2上面62、第2一側面63および第2他側面64と、ダミーコア7のダミー上面72、ダミー一側面73およびダミー他側面74とを被覆する。また、オーバークラッド層4は、平面視において、コア層3と重複しないアンダークラッド層2の上面を被覆する。さらに、オーバークラッド層4は、第1コア5およびダミーコア7と、ダミーコア7および第2コア6の間に充填されている。
【0089】
オーバークラッド層4は、平面視において、アンダークラッド層2の外形形状と同一の外形形状を有する。オーバークラッド層4は、先後方向に延びる略シート(平板)形状を有する。具体的には、オーバークラッド層4は、長手方向に互いに間隔を隔てて対向するオーバー側長手方向一方面42およびオーバー側長手方向他方面41を有する。
【0090】
オーバークラッド層4の屈折率は、コア層3の屈折率に対して低く設定されている。好ましくは、オーバークラッド層4の屈折率は、アンダークラッド層2の屈折率と同一である。オーバークラッド層4の材料は、上記した屈折率を満足する材料から選択され、具体的には低い屈折率と、優れた絶縁性および透明性とを有する樹脂が選択され、具体的には、アンダークラッド層2と同一の樹脂が選択される。オーバークラッド層4の厚みは、例えば、2μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、600μm以下、好ましくは、40μm以下である。
【0091】
次に、この光導波路1を製造する方法を説明する。光導波路1を製造するには、例えば、上記した樹脂を含む感光性樹脂組成物を、図示しない剥離シートの表面に塗布し、その後、フォトリソグラフィ法によって、アンダークラッド層2を形成する。
【0092】
続いて、上記した樹脂を含む感光性樹脂組成物を、アンダークラッド層2の上面に塗布し、その後、フォトリソグラフィ法によって、第1コア5、第2コア6およびダミーコア7を備えるコア層3を形成する。
【0093】
その後、上記した樹脂を含む感光性樹脂組成物を、アンダークラッド層2の上面に、コア層3を被覆するように塗布し、その後、フォトリソグラフィ法によって、オーバークラッド層4を形成する。
【0094】
その後、剥離シートをアンダークラッド層2から剥離する。
【0095】
これによって、光導波路1を製造する。
【0096】
図1の仮想線で示されるように、この光導波路1は、光素子の一例としての入射装置8、および、受光装置9と光学的に接続される。
【0097】
入射装置8は、第1コア5および第2コア6の長手方向他端面に対向するように配置される。受光装置9は、第1コア5および第2コア6の長手方向一端面と対向するように配置される。
【0098】
入射装置8から出た光は、第1コア5および第2コア6の長手方向他端面から、第1コア5および第2コア6内に進入し、第1コア5および第2コア6のそれぞれを長手方向他方側から一方側に向かって伝送され、第1コア5および第2コア6の長手方向一端面から出射され、受光装置9に受光される。
【0099】
詳しくは、第1コア5の屈折率は、アンダークラッド層2およびオーバークラッド層4の屈折率に比べて高いことから、第1下面51、第1上面52、第1一側面53および第1他側面54で全反射し易く、そのため、光は、第1コア5の内部を長手方向一方側に向かって進み、受光装置9に至る。このことは、第2コア6についても同様である。
【0100】
一方、
図3に示すように、入射装置8から出射された光の一部は、第1コア5に至ることなく、オーバークラッド層4を、長手方向一方側斜め幅方向他方に向かう場合がある。そのような光は、オーバークラッド層4からダミーコア7内に進入する。
【0101】
具体的には、入射装置8から出射された光は、第1コア5およびダミーコア7の間のオーバークラッド層4を透過し、続いて、ダミーコア7のダミー一側面73を透過して、ダミーコア7の内部に至る。続いて、かかる光は、ダミー他側面74に至るが、ダミー他側面74は、長手方向一方側に向かうに従って、第1コア5から遠ざかるように傾斜する第1傾斜面76である。そのため、かかる光の進行方向(破線)と、第1傾斜面76の法線(一点破線)との成す角β1、つまり、光の入射角β1を、特許文献1に記載されるような平行面90(仮想線)の法線と光の進行方向との成す角γ1に比べて、大きくすることができる。そのため、臨界角以上でダミー他側面74に至る光の割合を、特許文献1の光導波路に比べて、多くすることができる。
【0102】
また、
図4に示すように、入射装置8から出射され、第1コア5に進入したものの、第1他側面54を透過して、長手方向一方側斜め幅方向他方に向かう場合がある。そのような光も、上記と同様にして、オーバークラッド層4からダミーコア7内に取り込まれる。詳しくは、第1他側面54を透過した光の進行方向(破線)と、傾斜面の法線(1点破線)との成す角β2、つまり、光の入射角β2を、特許文献1に記載されるような平行面90(仮想線)の法線と光の進行方向との成す角γ2に比べて、大きくすることができる。そのため、臨界角以上で傾斜面(ダミー他側面74)に至る光の割合を、特許文献1の光導波路に比べて、多くすることができる。
【0103】
さらには、
図5に示すように、入射装置8から出射され、第1コア5において、第1一側面53で反射しても、その後、第1他側面54を透過して、第1コア5を長手方向一方側斜め幅方向他方に向かう場合もある。そのような光も、上記と同様にして、ダミーコア7内に取り込まれる。詳しくは、第1一側面53で反射し、その後、第1他側面54を透過した光の進行方向(破線)と、傾斜面の法線(1点破線)との成す角β3、つまり、光の入射角β3を、特許文献1に記載されるような平行面90(仮想線)の法線と光の進行方向との成す角γ3に比べて、大きくすることができる。そのため、臨界角以上で傾斜面(ダミー他側面74)に至る光の割合を、特許文献1の光導波路に比べて、多くすることができる。
【0104】
その結果、ダミー他側面74において、全反射する光の割合を多くすることができる。換言すれば、ダミー他側面74を透過して、第2コア6に向かう光の割合を少なくすることができる。
【0105】
従って、この光導波路1は、クロストークの抑制効果に優れる。そのため、この光導波路1は、伝送信頼性に優れる。
【0106】
さらに、ダミー他側面74において反射した光は、再度、ダミー一側面73に至るが、ダミー一側面73は、長手方向一方側に向かうに従って、第1コア5に近づくように傾斜する第2傾斜面75である。そのため、かかる光の進行方向と、第2傾斜面75の法線との成す角、つまり、光の入射角を、特許文献1に記載されるような平行面に比べて、大きくすることができる。そのため、臨界角以上でダミー一側面73に至る光の割合を、特許文献1の光導波路に比べて、多くすることができる。
【0107】
そのため、この光導波路1では、ダミーコア7の内部に進入した光を、ダミーコア7の内部に有効に閉じ込めることができる。
【0108】
なお、第1コア5や入射装置8から漏れた後、ダミーコア7に一旦取り込まれた光が、第1コア5に再び戻ることは、かかる光は、光学特性(例えば、位相など)が変動していることから、好ましくない。
【0109】
従って、この光導波路1では、上記した光が第1コア5に戻らず、ダミーコア7に閉じ込めるので、光学特性に優れる。
【0110】
(光導波路の変形例)
以下の各変形例において、上記した一実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、各変形例を適宜組み合わせることができる。さらに、各変形例は、特記する以外、一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0111】
図6A~
図8Mおよび
図10~
図13において、オーバークラッド層4は、第1コア5、第2コア6およびダミーコア7の相対配置を明確に示すため、省略している。
【0112】
なお、
図7F~
図7Hおよび
図8J~
図8Lに示される黒丸(黒点)は、種類の異なる2面の境界を示すものであり、黒丸自体がその形状を表すものではない。
【0113】
ダミーコア7は、第1傾斜面76を有していれば、その形状、寸法および数は、特に限定されず、例えば、
図6A~
図8Mに示す形状、寸法および数を有することができる。
【0114】
図6Aおよび
図6Bに示すように、ダミーコア7の長さ(長手方向長さ)L1は、第1コア5および第2コア6の長さ(長手方向長さ)L0に比べて、短い。
【0115】
図6Bに示すように、ダミーコア7の長手方向他方面は、第1コア5および第2コア6の長手方向他方面に比べて、長手方向一方側に後退(退避)している。
【0116】
図6Aに示すように、ダミーコア7の長手方向一方面は、第1コア5および第2コア6の長手方向一方面に比べて、長手方向他方側に後退(退避)している。
【0117】
ダミーコア7の長さL1の、第1コア5および第2コア6の長さL0に対する(割合)百分率は、例えば、50%超過、好ましくは、75%以上、より好ましくは、90%以上であり、また、例えば、100%未満である。L1のL0に対する割合が上記した下限を上回れば、ダミーコア7によるクロストークの抑制効果をより一層向上させることができる。
【0118】
なお、
図6Aおよび
図6Bでは、ダミーコア7の長さL1が、第1コア5および第2コア6の長さL0に比べて短い例を示すが、例えば、
図6Cおよび
図6Dに示す変形例では、第1コア5および第2コア6の長さL0より長い。
【0119】
図6Cに示すように、例えば、ダミーコア7の長手方向他方面を、第1コア5および第2コア6の長手方向他方面に対して、長手方向他方側に進出させる。一方、第1コア5および第2コア6の長手方向他方面は、オーバークラッド層4に被覆されている。つまり、第1コア5および第2コア6の長手方向他方面は、オーバークラッド層4のアンダー側長手方向他方面21に対して、長手方向一方側に配置される。なお、第1コア5および第2コア6の長手方向他方面は、ミラー面27(後述)である。
【0120】
一方、
図6Dに示すように、ダミーコア7の長手方向一方面を、第1コア5および第2コア6の長手方向一方面に対して、長手方向一方側に進出させる。一方、第1コア5および第2コア6の長手方向一方面は、オーバークラッド層4に被覆されている。つまり、第1コア5および第2コア6の長手方向一方面は、オーバークラッド層4のアンダー側長手方向他方面22に対して、長手方向他方側に配置される。なお、第1コア5および第2コア6の長手方向一方面は、ミラー面27(後述)である。
【0121】
図6Cおよび
図6Dに示す変形例において、ダミーコア7の長さL1の、第1コア5および第2コア6の長さL0に対する百分率は、例えば、150%以下、好ましくは、125%以下、より好ましくは、110%以下であり、また、例えば、100%超過である。
【0122】
図7Eに示すように、ダミーコア7において、ダミー一側面73は、第2傾斜面75(
図1参照)ではなく、第1コア5に平行する直行面77である。
【0123】
一方、
図1に示す一実施形態は、
図7Eに示す変形例に比べて、好適である。
図1に示す一実施形態は、ダミーコア7の内部において伝送方向下流側に進行する光において、第2傾斜面75であるダミー一側面73における全反射する光の割合を、ダミー一側面73が直行面77である
図7Eの変形例に比べて、高めることができる。
【0124】
そのため、
図1に示す一実施形態は、
図7Eに示す変形例に比べて、光がダミーコア7から第1コア5に戻ることによる光学特性(位相など)の変動を抑制して、光学信頼性に優れる。
【0125】
図7F~
図7Hに示すように、ダミー一側面73およびダミー他側面74のそれぞれは、第2傾斜面75および第1傾斜面76のそれぞれを部分的に有する。
【0126】
図7Fに示すように、ダミー他側面74の長手方向中央部が、第1傾斜面76である。ダミー他側面74の長手方向一端部および他端部のそれぞれは、第1傾斜面76の長手方向一端および他端に連続し、第2コア6に平行する直行面77である。
【0127】
また、ダミー一側面73の長手方向中央部が、第2傾斜面75である。ダミー一側面73の長手方向一端部および他端部のそれぞれは、第2傾斜面75の長手方向一端および他端に連続し、第1コア5に平行する直行面77である。
【0128】
図7Gに示すように、ダミー他側面74において、長手方向他方側半分は、直行面77であり、長手方向一方側半分は、第1傾斜面76である。ダミー一側面73において、長手方向他方側半分は、直行面77であり、長手方向一方側半分は、第2傾斜面75である。
【0129】
図7Hに示すように、ダミー他側面74において、長手方向一方側半分は、第1傾斜面76であり、長手方向他方側半分は、直行面77である。ダミー一側面73において、長手方向一方側半分は、第2傾斜面75であり、長手方向他方側半分は、直行面77である。
【0130】
図7Gおよび
図7Hでは、ダミー他側面74において、直行面77および第1傾斜面76の交線は、1つである。一方、
図7Fでは、ダミー他側面74において、直行面77および第2傾斜面75の交線は、2つである。
【0131】
図7Gおよび
図7Hでは、ダミー一側面73において、直行面77および第2傾斜面75の交線は、1つである。一方、
図7Fでは、ダミー一側面73において、直行面77および第2傾斜面75の交線は、2つである。
【0132】
図1に示す一実施形態は、
図7F~
図7Hに示す変形例に比べて好適である。
図1に示す一実施形態のダミー他側面74では、長手方向の全部が第1傾斜面76であり、また、ダミー一側面73では、長手方向の全部が第2傾斜面75である。さらに、
図1のダミーコア7では、ダミー他側面74およびダミー一側面73のそれぞれにおいて交線がない一方、
図7F~
図7Hでは、交線がある。
【0133】
そのため、
図1に示す一実施形態は、
図7F~
図7Hに示す変形例に比べて、ダミーコア7の構成が簡単であり、製造方法が簡便である。
【0134】
図8Iに示すように、ダミー一側面73およびダミー他側面74のそれぞれは、湾曲面78である。
【0135】
なお、湾曲面78は、長手方向に対する傾斜度が長手方向において連続的に変化する面である。例えば、湾曲面78は、長手方向一方側に進むに従って傾斜度が増大する。なお、ダミー他側面74の湾曲面78、および、ダミー一側面73の湾曲面78のそれぞれは、本発明の「傾斜面」および「第2傾斜面」に含まれる。
【0136】
図8Jに示すように、ダミー他側面74は、直行面77と、2種類の第1傾斜面76とを、長手方向一方側に向かって順に有する。2種類の第1傾斜面76は、直行面77に連結し、長手方向他方側に位置する他方側第1傾斜面81と、その長手方向一方側に位置する一方側第1傾斜面82とを有する。一方側第1傾斜面82の長手方向に対する傾斜角は、他方側第1傾斜面81の長手方向に対する傾斜角に比べて、例えば、大きい。
【0137】
ダミー一側面73は、直行面77と、2種類の第2傾斜面75とを、長手方向一方側に向かって順に有する。2種類の第2傾斜面75は、直行面77に連結し、長手方向他方側に位置する他方側第2傾斜面79と、その長手方向一方側に位置する一方側第2傾斜面80とを有する。一方側第2傾斜面80の長手方向に対する傾斜角は、他方側第2傾斜面79の長手方向に対する傾斜角に比べて、例えば、大きい。
【0138】
図8Kに示すように、ダミー他側面74は、2種類の第1傾斜面76(他方側第1傾斜面81および一方側第1傾斜面82)のみからなる。ダミー一側面73は、直行面77(
図8J参照)を有さず、2種類の第2傾斜面75(他方側第2傾斜面79および一方側第2傾斜面80)のみからなる。
【0139】
図8Kの変形例は、
図8Jの変形例に比べて、好適である。
図8Kの変形例のダミー他側面74では、長手方向の全部が第1傾斜面76である。さらに、
図8Kのダミーコア7では、ダミー他側面74およびダミー一側面73のそれぞれにおいて交線が1つである一方、
図8Jでは、交線が2つである。
【0140】
そのため、
図8Kの変形例は、
図8Jの変形例に比べて、ダミーコア7の構成が簡単であり、製造方法が簡便である。
【0141】
図8Lに示すように、ダミー他側面74は、直行面77、第1傾斜面76および湾曲面78を長手方向一方側に向かって順に有する。ダミー一側面73は、直行面77、第2傾斜面75および湾曲面78を長手方向一方側に向かって順に有する。
【0142】
図8Mに示すように、ダミーコア7を複数(例えば、2つ)設けることもできる。
【0143】
複数のダミーコア7のそれぞれは、第1コア5および第2コア6の間に位置する。複数のダミーコア7は、幅方向(第1コア5および第2コア6の隣接方向)に互いに間隔を隔てて配置されている。
【0144】
図8Mに示す変形例では、第1コア5および第2コア6の間隔が広い場合、具体的には、上記したL2~L5が大きい場合であり、この場合には、第1コア5から漏れ出た光に起因するクロストークを、複数のダミーコア7によって、より一層有効に抑制することができる。
【0145】
図2に示すように、一実施形態では、ダミーコア7のオーバークラッド層4に対する界面(具体的には、ダミー上面72、ダミー一側面73、ダミー他側面74)は、平面である。しかし、
図9に示すように、この変形例では、ダミーコア7において、オーバークラッド層4に対する界面が微細な凹凸を有する(凹凸面である)。界面の最大谷深さZv(JIS B 0601)は、適宜設定される。
【0146】
そして、この場合には、ダミーコア7は、コア層3の材料とオーバークラッド層4の材料とを含有する混合層25を備える。
【0147】
そして、混合層25は、ダミーコア7のオーバークラッド層4に対する界面において設けられている。具体的には、混合層25は、ダミー上面72、ダミー一側面73およびダミー他側面74の内側に薄層として形成されている。混合層25の材料は、ダミーコア7の材料とオーバークラッド層4の材料との混合物である。混合層25の屈折率は、コア層3の内部の屈折率と、オーバークラッド層4の屈折率との間の範囲にある。なお、ダミーコア7の内部(混合層25より内部)の屈折率は、オーバークラッド層4の屈折率より高く、具体的には、オーバークラッド層4の屈折率100%に対して、例えば、100.1%以上、好ましくは、101%以上である。
【0148】
そして、混合層25の厚みは、上記した界面の最大谷深さZvを超過する。
【0149】
上記した界面が、微細な凹凸を有する場合には、かかる界面において、光が散乱してしまい、そのため、ダミーコア7によるクロストークの抑制効果が低減する傾向にある。
【0150】
しかし、
図9に示す光導波路1では、混合層25の厚みが、界面の最大谷深さZvを超過する。そのため、ダミーコア7の内部における光が、上記した界面に至る前に、アンダークラッド層2の材料およびオーバークラッド層4の材料を含有し、コア層3の屈折率より高い屈折率を有する混合層25によって、閉じ込めることができる。そのため、この光導波路1では、依然として、クロストークの抑制効果に優れる。
【0151】
また、
図1に示すように、一実施形態では、第1コア5は、2つの対向面の一例である第1一側面53および第1他側面54が平行する平面視略矩形状を有し、第2コア6は、2つの対向面の一例である第2一側面63および第2他側面64が平行する平面視略矩形状を有する。
【0152】
一方、
図10に示すように、このの変形例では、第1コア5は、平面視において、長手方向他方側から一方側に向かって次第に幅方向長さが短くなるテーパ形状を有する。
【0153】
第1コア5において、第1一側面53および第1他側面54のそれぞれが、第1コア傾斜面の一例である一方側第1コア傾斜面56および他方側第1コア傾斜面57のそれぞれを有する。
【0154】
具体的には、第1一側面53の全部は、一方側第1コア傾斜面56である。一方側第1コア傾斜面56は、長手方向一方側に向かうに従って、アンダー側幅方向一方面23から遠ざかるように傾斜する。
【0155】
第1他側面54の全部は、他方側第1コア傾斜面57である。他方側第1コア傾斜面57は、長手方向一方側に向かうに従って、アンダー側幅方向一方面23に近づくように傾斜する。
【0156】
これによって、一方側第1コア傾斜面56および他方側第1コア傾斜面57のそれぞれの延長仮想面(図示せず)は、光導波路1の長手方向一方側において交差する。
【0157】
一方側第1コア傾斜面56の長手方向に対する傾斜角ε1は、例えば、0.002度以上、好ましくは、0.005度以上であり、また、例えば、0.1度以下、好ましくは、0.05度以下である。傾斜角ε1は、一方側第1コア傾斜面56の長手方向一端縁から他方側に直行する仮想平面I5と一方側第1コア傾斜面56との成す角であり、また、一方側第1コア傾斜面56の長手方向他端縁から一方側に直行する仮想平面I6と一方側第1コア傾斜面56との成す角である。
【0158】
他方側第1コア傾斜面57の長手方向に対する傾斜角ε2は、一方側第1コア傾斜面56の長手方向に対する傾斜角ε1と同一または相異なっていてもよい。他方側第1コア傾斜面57の長手方向に対する傾斜角ε2は、例えば、0.002度以上、好ましくは、0.005度以上であり、また、例えば、0.1度以下、好ましくは、0.05度以下である。傾斜角ε2は、他方側第1コア傾斜面57の長手方向一端縁から他方側に直行する仮想平面I7と他方側第1コア傾斜面57との成す角であり、また、他方側第1コア傾斜面57の長手方向他端縁から一方側に直行する仮想平面I8と他方側第1コア傾斜面57との成す角である。
【0159】
一方側第1コア傾斜面56および他方側第1コア傾斜面57の長手方向他端縁間の距離L8(対向長さ)は、一方側第1コア傾斜面56および他方側第1コア傾斜面57の長手方向一端縁間の距離L9(対向長さ)に対して、長い。L8のL9に対する百分率は、例えば、101%以上、好ましくは、103%以上であり、また、例えば、1000%以下、好ましくは、500%以下である。
【0160】
第2コア6は、第1コア5と同一の形状、面、寸法を有する。第2コア6において、第2対向面の一例としての第2一側面63および第2他側面64のそれぞれは、第2コア傾斜面の一例としての一方側第2コア傾斜面66および他方側第2コア傾斜面67のそれぞれである。
【0161】
他方側第2コア傾斜面67は、長手方向一方側に向かうに従って、アンダー側幅方向他方面24から遠ざかるように傾斜する。一方側第2コア傾斜面66は、長手方向一方側に向かうに従って、アンダー側幅方向他方面24に近づくように傾斜する。
【0162】
一方側第2コア傾斜面66の長手方向に対する傾斜角ε3は、一方側第1コア傾斜面56の長手方向に対する傾斜角ε1と同一または同一または相異なっていてもよい。一方側第2コア傾斜面66の長手方向に対する傾斜角ε3は、例えば、0.002度以上、好ましくは、0.005度以上であり、また、例えば、0.1度以下、好ましくは、0.05度以下である。傾斜角ε3は、一方側第2コア傾斜面66の長手方向一端縁から他方側に直行する仮想平面I9と一方側第2コア傾斜面66との成す角であり、また、一方側第2コア傾斜面66の長手方向他端縁から一方側に直行する仮想平面I10と一方側第2コア傾斜面66との成す角である。
【0163】
他方側第2コア傾斜面67の長手方向に対する傾斜角ε4は、一方側第2コア傾斜面66の長手方向に対する傾斜角ε3と同一または相異なっていてもよい。また、他方側第2コア傾斜面67の長手方向に対する傾斜角ε4は、他方側第1コア傾斜面57の長手方向に対する傾斜角ε2と同一または相異なっていてもよい。他方側第2コア傾斜面67の長手方向に対する傾斜角ε4は、例えば、0.002度以上、好ましくは、0.005度以上であり、また、例えば、0.1度以下、好ましくは、0.05度以下である。傾斜角ε4は、他方側第2コア傾斜面67の長手方向一端縁から他方側に直行する仮想平面I11と他方側第2コア傾斜面67との成す角であり、また、他方側第2コア傾斜面67の長手方向他端縁から一方側に直行する仮想平面I12と他方側第2コア傾斜面67との成す角である。
【0164】
一方側第2コア傾斜面66および他方側第2コア傾斜面67の長手方向他端縁間の距離L10(対向長さ)は、一方側第2コア傾斜面66および他方側第2コア傾斜面67の長手方向一端縁間の距離L11(対向長さ)に対して、長い。L10のL11に対する百分率は、例えば、101%以上、好ましくは、103%以上であり、また、例えば、1000%以下、好ましくは、500%以下である。L10のL11に対する百分率は、L8のL9に対する百分率と、同一または相異なっていてもよい。
【0165】
図10に示す光導波路1では、入射装置8を第1コア5における長手方向他端縁に配置し、一方側第1コア傾斜面56および他方側第1コア傾斜面57の長手方向他端縁間の距離L8(対向長さ)が、一方側第1コア傾斜面56および他方側第1コア傾斜面57の長手方向一端縁間の距離L9(対向長さ)に対して、長い。要するに、光の入口が、光の出口に対して、広い。そのため、
図11に示すように、入射装置8からの光が、第1コア5の長手方向他端縁から漏れにくく、第1コア5の長手方向他端縁に効率的に入射させることができる。そのため、第1コア5の長手方向他端縁からの漏れに起因するクロストークを予め抑制することができる。
【0166】
一方、第1他側面54が他方側第1コア傾斜面57であるので、かかる他方側第1コア傾斜面57から第1コア5の外部に漏れ易い。
【0167】
しかし、この光導波路1では、上記したダミーコア7を有するので、かかる光をダミーコア7に進入させ、ダミーコア7内に閉じ込めて、第2コア6に向かう光の割合を少なくすることができる。
【0168】
図10の変形例では、第1一側面53の全部および第1他側面54の全部のそれぞれが、一方側第1コア傾斜面56および他方側第1コア傾斜面57のそれぞれである。また、第2一側面63の全部および第2他側面64の全部のそれぞれが、一方側第2コア傾斜面66および他方側第2コア傾斜面67のそれぞれである。
【0169】
しかし、図示しないが、第1一側面53が、一方側第1コア傾斜面56を部分的に有することができる。第1他側面54が、他方側第1コア傾斜面57を部分的に有することができる。第2一側面63が、一方側第2コア傾斜面66を部分的に有することができる。第2他側面64が、他方側第2コア傾斜面67を部分的に有することができる。
【0170】
さらに、第1一側面53および第1他側面54のうち、いずれか一方を直行面にすることができる。また、第2一側面63および第2他側面64のうち、いずれか一方を直行面にすることができる。
【0171】
さらには、第1コア5を平面視テーパ形状にする一方、第2コア6を平面視略矩形状にすることもできる。
【0172】
(光導波路の用途)
光導波路1の用途は、特に限定されず、種々の装置、好ましくは、各種光学装置に適用される。
【0173】
(光電気混載基板および光電気混載モジュール)
上記した光導波路で説明した各部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0174】
次に、光導波路1を電気回路基板31に適用した光電気混載基板30について
図12~
図14Bを参照して説明する。
【0175】
図12および
図13において、オーバークラッド層4は、第1コア5、第2コア6およびダミーコア7の相対配置を明確に示すため、省略している。
【0176】
図12~
図14Bに示すように、光電気混載基板1は、先後方向に延びる略平板形状を有する。また、光電気混載基板30は、光を先後方向に伝送する。光電気混載基板1は、平面視において、略T字形状を有する。光電気混載基板1は、光素子実装部32と、光伝送部33とを連続して備える。
【0177】
光素子実装部32は、光電気混載基板1における後側に位置する。光素子実装部32は、幅方向に延びる略矩形平板形状を有する。光素子実装部32には、仮想線で示す光素子34が実装される。
【0178】
光伝送部33は、光電気混載基板1において、光素子実装部32の先側に連続して形成されている。具体的には、光伝送部33は、光素子実装部32の先端縁の略中央部から先側に向かって延びる略矩形平板(ストリップ)形状を有する。
【0179】
光電気混載基板30は、電気回路基板31と、光導波路1とを上側に向かって順に備える。
【0180】
電気回路基板31は、光電気混載基板30の下層を形成する。電気回路基板31は、光素子実装部32および光伝送部33の全てにおいて設けられている。
【0181】
電気回路基板31は、金属支持層35と、ベース絶縁層36と、導体層37と、カバー絶縁層38とを下側に向かって順に備える。具体的には、電気回路基板31は、金属支持層35と、金属支持層35の下面に配置されるベース絶縁層36と、ベース絶縁層36の下面に配置される導体層37と、ベース絶縁層36の下面に、導体層37の一部を被覆するように配置されるカバー絶縁層38とを備える。金属支持層35と、ベース絶縁層36と、導体層37と、カバー絶縁層38との材料、厚みなどは、例えば、特開2016-105160号公報、特開2015-87634号公報などに記載される。
【0182】
なお、金属支持層35は、光素子実装部32のみに位置する。金属支持層35は、複数の開口部39を有する。複数のそれぞれの開口部39は、平面視において、後述するミラー面27を含む。
【0183】
光導波路1は、光電気混載基板30における上層を形成する。光導波路1は、電気回路基板31の上面全面に配置されている。光導波路1は、
図1における長手方向が、
図12に示す先後方向に沿うように、光電気混載基板30に設けられている。詳しくは、光導波路1は、その長手方向一方側が先側に向き、長手方向他方側が後側に向くように、光電気混載基板30に配置される。
【0184】
光導波路1には、アンダークラッド層2、コア層3およびオーバークラッド層4が、上側に向かって順に配置されている。
【0185】
アンダークラッド層2は、金属支持層35およびベース絶縁層36の上面を被覆する。アンダークラッド層2の下面は、金属支持層35およびベース絶縁層36の上面に追従する形状を有する。
【0186】
コア層3は、複数(4つ)の信号コア26と、それらの間に位置する複数(3つ)のダミーコア7とを独立して備える。
【0187】
複数の信号コア26は、左右方向に間隔を隔てて並列配置されている。複数の信号コア26のそれぞれの後端面(光の伝送方向上流側端縁の一例)は、ミラー面27である。
【0188】
ミラー面27は、アンダークラッド層31の上面に対して45度の角度を成す斜面(
図13において傾斜が図示されず)である。また、ミラー面27は、光素子34から入射する光(光信号)の伝送方向を上下方向から先後方向に変更する光伝送方向変換部材(あるいは光路変換部材)である。つまり、ミラー面27は、仮想線で示す光素子34から上側に出射される光を受光する。
【0189】
複数の信号コア26は、上記した第1コア5および第2コア6に対応する。具体的には、複数の信号コア26のうち、例えば、最も右側に位置する信号コア26Aが、第1コア5に対応し、その左側に隣接する信号コア26Bが、第2コア6に対応する。この関係は、右から2番目に位置する信号コア26Bと、右から3番目に位置する信号コア26Cとに適用される。また、上記の関係は、右から3番目に位置する信号コア26Cと、右から4番目に位置する信号コア26Dとにも適用される。
【0190】
さらに、第1コア5および第2コア6の対応関係を逆転させることもできる。
【0191】
複数のダミーコア7は、信号コア26とダミーコア7とが、交互に配置されるように、複数の信号コア26の間に配置される。
【0192】
但し、ダミーコア7は、複数の信号コア26の外側に配置されず、信号コア26の内側に配置される。つまり、コア層3のうち幅方向最外側(最左側および最右側)には、信号コア26が配置される。
【0193】
ダミーコア7におけるダミー他側面74は、先側に向かうに従って、第1コア5(例えば、右側から一番目に位置する信号コア26A)から遠ざかる第1傾斜面76である。また、ダミーコア7における第1傾斜面76は、先側に向かうに従って、第1コア5(例えば、信号コア26A)に近づく第2傾斜面75である。
【0194】
この光電気混載基板30を製造するには、例えば、まず、電気回路基板31を製造する。次いで、電気回路基板31の上に、例えば、光導波路1を作り込む。具体的には、アンダークラッド層2を、金属支持層35およびベース絶縁層36の上面に設け、続いて、複数の信号コア26および複数のダミーコア7を有するコア層3をアンダークラッド層2の上面に設け、続いて、オーバークラッド層4を、コア層3を被覆するように、設ける。その後、信号コア26の後端部に対して、レーザ加工または切削加工を施して、ミラー面27を形成する。
【0195】
その後、光電気混載基板30に光素子34を実装する。
【0196】
複数の光素子34のそれぞれの出射口が、厚み方向において、複数のミラー面27と対向するように、複数の光素子34を光素子実装部32に実装する。これにより、光素子34と信号コア26とが光学的に結合する。
【0197】
これにより、電気回路基板31と、光導波路1と、光素子34とを備える光電気混載基板30を得る。
【0198】
この光電気混載基板30は、伝送信頼性に優れる光導波路1を備えるので、光の伝送信頼性に優れる。
【0199】
この光電気混載基板30は、さらに、外部光回路45と光学的にすることができる。光電気混載基板30は、外部光回路45とともに、光電気混載モジュール55に備えられる。つまり、光電気混載モジュール55は、光電気混載基板30と、外部光回路45とを備える。
【0200】
外部光回路45は、光電気混載基板30における複数の信号コア26の先端縁と、光学的に結合する。外部光回路45は、例えば、上記したアンダークラッド層2、信号コア26およびオーバークラッド層4と同じ部材を有する。
【0201】
この光電気混載モジュール55は、光の伝送信頼性に優れる光電気混載基板30を備えるので、信頼性に優れる。
【実施例】
【0202】
以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0203】
実施例1
図1に記載のアンダークラッド層2、コア層3およびオーバークラッド層4を順次形成して、光導波路1を作製した。
【0204】
第1コア5および第2コア6の長さL0と、ダミーコア7の長さL1は、いずれも50mmであった。
【0205】
また、ダミー一側面73の傾斜角α1と、ダミー他側面74の傾斜角α2とは、いずれも0.01度であった。
【0206】
比較例1
ダミーコア7のダミー一側面73およびダミー他側面74を、いずれも、第1コア5に平行する直行面90(
図3の仮想線参照)とした以外は、実施例1と同様に処理した。
【0207】
(評価)
光導波路1に、入射装置8および受光装置9を光学的に接続した。なお、入射装置8は、第1コア5に対して、幅方向にややずれるように配置して、意図的にクロストークを生じさせた。
【0208】
そして、入射装置8からの光が第2コア6に至り、第2コア6を介して受光装置9で受光される光量から、クロストークを評価した。
【0209】
その結果、実施例1で、-43dBであり、比較例1で、-35dBであった。
【0210】
上記測定により得られた数字(単位:dB)は、その値が小さい場合には、クロスコークの抑制が大きいことを示す。つまり、実施例1の方が、比較例1に比べて、クロスコークの抑制が大きいことが分かる。
【符号の説明】
【0211】
1 光導波路
2 アンダークラッド層
4 オーバークラッド層
5 第1コア
6 第2コア
7 ダミーコア
25 混合層
26 信号コア(第1コアおよび/または第2コアの一例)
30 光電気混載基板
31 電気回路基板
34 光素子
45 外部光回路
53 第1一側面(第1対向面の一例)
54 第1他側面(第1対向面の一例)
55 光電気混載モジュール
63 第2一側面(第2対向面の一例)
64 第2他側面(第2対向面の一例)
73 ダミー一側面(対向面の一例)
74 ダミー他側面(反対面の一例)
75 第2傾斜面
76 第1傾斜面(傾斜面の一例)
α1 傾斜角(ダミー一側面)
α2 傾斜角(ダミー他側面)
ε1 傾斜角(一方側第1コア傾斜面)
ε2 傾斜角(他方側第1コア傾斜面)
ε3 傾斜角(一方側第2コア傾斜面)
ε4 傾斜角(他方側第2コア傾斜面)
L0 第1コアの長さ
L1 ダミーコアの長さ
L2 ダミー一側面の長手方向他端縁と、第1コアとの間の距離
Zv 界面の最大谷深さ