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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20220523BHJP
   B60R 1/20 20220101ALI20220523BHJP
   B60R 1/25 20220101ALI20220523BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20220523BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R1/20 100
B60R1/25
B60R1/26 100
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017196559
(22)【出願日】2017-10-10
(65)【公開番号】P2019071542
(43)【公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000147660
【氏名又は名称】株式会社石▲崎▼本店
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100059959
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】松葉 慶暁
(72)【発明者】
【氏名】大坪 智範
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠之
(72)【発明者】
【氏名】川野 喜代蔵
(72)【発明者】
【氏名】岡本 浩明
(72)【発明者】
【氏名】清水 貴行
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-200018(JP,A)
【文献】特開2003-067735(JP,A)
【文献】特開2008-181330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
B60R 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周辺の画像を表示する車両用表示装置であって、
画像を表示する表示手段と、
車両の後方を撮影する後方カメラと、
車両の側方及び後方を撮影する側方カメラと、
前記後方カメラにより撮影された後方画像と前記側方カメラにより撮影された後側方画像とを合成して単一画像を生成し、前記単一画像において合成された前記後方画像と前記後側方画像との境界に重なる位置にマスク画像を重畳して表示画像を生成し、前記表示画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備え
前記表示手段は、車両のフロントウインドシールド上端の車幅方向中央部に設けられ車両後方に向けられたディスプレイであり、
前記マスク画像は、鏡が前記ディスプレイの位置に設けられていると仮定した場合にドライバの視点から見て当該鏡に映って見える車両の最後部のピラーを模擬した不透明の部分を含み、前記最後部のピラーを模擬した部分が、前記単一画像において合成された前記後方画像と前記後側方画像との境界に重なる位置に配置される、
車両用表示装置。
【請求項2】
前記マスク画像は、鏡が前記ディスプレイの位置に設けられていると仮定した場合にドライバの視点から見て当該鏡に映って見える車両の天井を模擬した不透明の部分と車両の後端部の構造を模擬した不透明の部分とを含む、請求項に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記側方カメラは、車両のドアミラーに取り付けられ、
前記マスク画像は、鏡が前記ディスプレイの位置に設けられていると仮定した場合にドライバの視点から見て当該鏡に映って見える車両の側面の構造を模擬した半透明の部分を含む、請求項に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記後方カメラ及び前記側方カメラは魚眼レンズを有し、
前記表示制御手段は、前記後方カメラにより撮影された前記後方画像を車両の前後方向に垂直な仮想平面に展開し、前記側方カメラにより撮影された前記後側方画像を、中心軸線が車両上下方向に延びる仮想円筒面に展開し、前記平面に展開した前記後方画像と前記円筒面に展開した前記後側方画像とを合成して前記単一画像を生成する、請求項1からの何れか1項に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に係わり、特に、自車両周辺の画像を表示する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両後部のカメラで撮影した画像と車両左右のカメラで撮影した画像とを合成することにより、1つの仮想的な視点から自車両後方を見たときの後方画像を表示する表示装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、自車の車幅方向の中央部から自車の後方を撮像する撮像カメラと、自車のサイドミラーに設置され自車の後方を撮像する撮像カメラと、それらの撮像カメラで撮像された画像データを合成して後方画像を生成する出力制御部と、生成された後方画像を表示するディスプレイと、自車の後方車両を検出するセンサーとを有する車載用画像表示装置が開示されている。この車載用画像表示装置は、検出された後方車両の位置に応じて画像データが合成される境界を可変する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-287163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来の表示装置においては、異なる位置に設置された複数のカメラから得られた画像を合成して後方画像を生成しているので、合成した画像間の境界近傍で二重像や歪みが生じる。したがって、画像間の境界を跨ぐ位置に後方車両が表示されたときに、その後方車両と自車両との位置関係や後方車両までの距離を把握しにくいという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、複数のカメラから得られた画像を合成して単一画像を生成し表示するときに、後方車両や後方障害物との位置関係や距離をドライバがより直観的に認識可能な自車両周辺の画像を表示することができる、車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の車両用表示装置は、車両周辺の画像を表示する車両用表示装置であって、画像を表示する表示手段と、車両の後方を撮影する後方カメラと、車両の側方及び後方を撮影する側方カメラと、後方カメラにより撮影された後方画像と側方カメラにより撮影された後側方画像とを合成して単一画像を生成し、単一画像において合成された後方画像と後側方画像との境界に重なる位置にマスク画像を重畳して表示画像を生成し、表示画像を表示手段に表示させる表示制御手段とを備え、表示手段は、車両のフロントウインドシールド上端の車幅方向中央部に設けられ車両後方に向けられたディスプレイであり、マスク画像は、鏡がディスプレイの位置に設けられていると仮定した場合にドライバの視点から見て当該鏡に映って見える車両の最後部のピラーを模擬した不透明の部分を含み、最後部のピラーを模擬した部分が、単一画像において合成された後方画像と後側方画像との境界に重なる位置に配置される
このように構成された本発明においては、後方カメラにより撮影された後方画像と側方カメラにより撮影された後側方画像とを合成して単一画像を生成し、単一画像において合成された後方画像と後側方画像との境界に重なる位置にマスク画像を重畳して表示画像を生成するので、後方画像と後側方画像との境界を跨ぐ位置に後方車両や後方障害物が位置した場合でも、境界近傍における後方車両や後方障害物の二重像や歪みをマスク画像により隠すことができる。これにより、二重像や歪みのために後方車両や後方障害物と自車両との位置関係や距離をドライバが誤って把握することを防止でき、ドライバがより直観的に認識可能な自車両周辺の画像を表示することができる。
また、従来鏡が設けられていた位置にディスプレイが設けられており、そのディスプレイに後方カメラにより撮影された後方画像と側方カメラにより撮影された後側方画像とを合成してマスク画像を重畳した表示画像を表示させるので、従来の鏡により車両後方を確認するのと同様の感覚で、車両後方から側方にわたる広い範囲をドライバがより直観的に認識可能な自車両周辺の画像を表示することができる。
また、マスク画像は車両の最後部のピラーを模擬した不透明の部分を含み、最後部のピラーを模擬した部分が、単一画像において合成された後方画像と後側方画像との境界に重なる位置に配置されているので、後方画像と後側方画像との境界を跨ぐ位置に後方車両や後方障害物が位置した場合でも、境界近傍における後方車両や後方障害物の二重像や歪みを、最後部のピラーを模擬したマスク画像の部分により隠すことができる。これにより、二重像や歪みのために後方車両や後方障害物と自車両との位置関係や距離をドライバが誤って把握することを防止できるだけでなく、後方車両や後方障害物と自車両との位置関係を、最後部のピラーを模擬したマスク画像との関係で表すことができ、後方車両や後方障害物との位置関係や距離をドライバがより直観的に認識可能な自車両周辺の画像を表示することができる。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、マスク画像は、鏡を有する鏡がディスプレイの位置に設けられていると仮定した場合にドライバの視点から見て当該鏡に映って見える車両の天井を模擬した不透明の部分と車両の後端部の構造を模擬した不透明の部分とを含む。
このように構成された本発明においては、マスク画像は車両の天井を模擬した不透明の部分と車両の後端部の構造(例えばリアゲート又はトランク)を模擬した不透明の部分とを含むので、車両の上方等、ドライバが後方を確認する際に不要な領域をマスク画像によって違和感なく隠すことができる。これにより、ドライバが認識すべき情報量を低減することができ、後方車両や後方障害物との位置関係や距離をドライバがより直観的に認識可能な自車両周辺の画像を表示することができる。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、側方カメラは、車両のドアミラーに取り付けられ、マスク画像は、鏡がディスプレイの位置に設けられていると仮定した場合にドライバの視点から見て当該鏡に映って見える車両の側面の構造を模擬した半透明の部分を含む。
このように構成された本発明においては、マスク画像は車両の側面の構造(例えばリアクォーターパネル)を模擬した半透明の部分を含むので、車両側方の他車両や障害物を表示しつつ、それらの他車両や障害物と自車両との位置関係を、車両の側面の構造を模擬したマスク画像との関係で表すことができ、後方車両や後方障害物との位置関係や距離をドライバがより直観的に認識可能な自車両周辺の画像を表示することができる。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、後方カメラ及び側方カメラは魚眼レンズを有し、表示制御手段は、後方カメラにより撮影された後方画像を車両の前後方向に垂直な仮想平面に展開し、側方カメラにより撮影された後側方画像を、中心軸線が車両上下方向に延びる仮想円筒面に展開し、平面に展開した後方画像と円筒面に展開した後側方画像とを合成して単一画像を生成する。
このように構成された本発明においては、魚眼レンズを有する後方カメラにより撮影された後方画像を車両の前後方向に垂直な仮想平面に展開し、魚眼レンズを有する側方カメラにより撮影された後側方画像を中心軸線が車両上下方向に延びる仮想円筒面に展開するので、後方画像については実際の空間における直線が画像中でも直線として表示されるようにし、後側方画像については画角全体にわたって距離感が均一になるようにすることができる。そして、これらの後方画像と後側方画像とを合成して単一画像を生成することにより、見た目の自然さと適切な距離感とを両立した単一画像を表示することができ、後方車両や後方障害物との位置関係や距離をドライバがより直観的に認識可能な自車両周辺の画像を表示することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明による車両用表示装置によれば、複数のカメラから得られた画像を合成して単一画像を生成し表示するときに、後方車両や後方障害物との位置関係や距離をドライバがより直観的に認識可能な自車両周辺の画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態による車両用表示装置が備える複数のカメラの配置を示す平面図である。
図2】本発明の実施形態による車両用表示装置が適用された車両のインストルメントパネル周辺を示す正面図である。
図3】本発明の実施形態による車両用表示装置の電気的構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態による車両用表示装置が実行する表示処理のフローチャートである。
図5】複数のカメラから得られた画像を合成して単一画像を生成する過程における画像を例示した図である。
図6】複数のカメラから得られた画像を合成した単一画像と、その単一画像にマスク画像を重畳した表示画像とを例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態による車両用表示装置を説明する。
まず、図1~3により、本発明の実施形態による車両用表示装置の構成を説明する。図1は、本発明の実施形態による車両用表示装置が備える複数のカメラの配置を示す平面図であり、図2は、本発明の実施形態による車両用表示装置が適用された車両のインストルメントパネル周辺を示す正面図であり、図3は、本発明の実施形態による車両用表示装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0016】
図1において、符号1は本発明の実施形態による車両用表示装置を示し、車両用表示装置1は、車両2の右側サイドミラーの下部に取り付けられた右側カメラ4、車両2の左側サイドミラーの下部に取り付けられた左側カメラ6及び車両2の後端部に取り付けられた後方カメラ8を備えている。これらのカメラ4、6、8は、魚眼レンズを使用しており、右側カメラ4及び左側カメラ6は車両2の側方に向けられ、後方カメラ8は車両2後方に向けられている。これにより、右側カメラ4及び左側カメラ6は車両2の前方、側方及び後方を撮影し、後方カメラ8は車両2の後方を撮影する。これらのカメラ4、6、8により、車両2の後方からサイドミラーの側方にわたる広い範囲を撮像することができ、車両2前方を向いたドライバの視界に含まれない範囲を漏れなく撮像することができる。
【0017】
次に、図2に示すように、車両2の車室の前部には、フロントウインドシールド10と、フロントウインドシールド10の下方において車幅方向に延びるインストルメントパネル12とが設けられている。
車両用表示装置1は、フロントウインドシールド10上端の車幅方向中央部に設けられ車両2後方に向けられたディスプレイ14aを有する電子ルームミラー14と、インストルメントパネル12の車幅方向中央部に設けられ車両2後方に向けられたディスプレイ16aを有するセンターディスプレイ16とを備えている。
【0018】
また、図3に示すように、車両用表示装置1は、各カメラ4、6、8により撮影された画像から単一画像を生成して電子ルームミラー14やセンターディスプレイ16に表示させる、表示制御部18を備えている。
表示制御部18は、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのROMやRAMの如き内部メモリを備えるコンピュータにより構成される。
【0019】
次に、図4~6により、車両用表示装置1が実行する表示処理を説明する。
図4は、本発明の実施形態による車両用表示装置1が実行する表示処理のフローチャートである。図5は、複数のカメラ4、6、8から得られた画像を合成して単一画像を生成する過程における画像を例示した図であり、(a)は魚眼レンズを用いた各カメラ4、6、8により撮影された画像を示す図、(b)は(a)に示した各画像を展開した画像を示す図、(c)は(b)に示した画像をトリミングした画像を示す図、(d)は(c)に示した画像を合成した単一画像を示す図である。図6は、複数のカメラ4、6、8から得られた画像を合成した単一画像と、その単一画像にマスク画像を重畳した表示画像とを例示した図であり、(a)は図5(d)に示した単一画像を示す図、(b)はマスク画像を単一画像に重畳して電子ルームミラー14に表示した画像を示す図である。
【0020】
図4に示す表示処理は、車両2のイグニッションがオンにされたときに起動され、所定周期(例えば200ms毎)で繰り返し実行される。
【0021】
図4に示すように、表示処理が開始されると、ステップS1において、表示制御部18は、右側カメラ4及び左側カメラ6により撮影された車両2の側方及び後方の画像(後側方画像SV)と、後方カメラ8により撮影された車両2後方の画像(後方画像RV)を取得する。上述したように各カメラ4、6、8は魚眼レンズを使用しているので、取得された画像は図5(a)に示すように歪んでいる。また、表示制御部18は、図5(a)に示すように、各カメラ4、6、8の設置位置から実際に見える景色を左右反転した画像を取得する。
【0022】
次に、ステップS2において、表示制御部18は、取得した各画像の補正を行う。具体的には、表示制御部18は、右側カメラ4及び左側カメラ6により撮影された後側方画像SVを、中心軸線が車両2上下方向に延びる仮想円筒面C(図1において円弧により示す)に展開する処理(円筒面展開)を行うと共に、後方カメラ8により撮影された後方画像RVを、車両2の前後方向に垂直な仮想平面P(図1において直線により示す)に展開する処理(平面展開)を行う。これにより、図5(b)に示すように、各画像の歪みが補正される。
【0023】
次に、ステップS3において、表示制御部18は、ステップS2で補正した画像のトリミングを行う。後方カメラ8の撮像範囲と、右側カメラ4及び左側カメラ6の撮像範囲とは、一部重複しているので、その重複部分を取り除く必要がある。また、各画像には車両2の上方から下方にわたって広い範囲が含まれており、ドライバが車両2の後方を確認する際には不要な領域も含まれている。そこで、表示制御部18は、例えば座標情報を用いて予め定められた境界により、各画像をトリミングする。図5(b)の例では、表示制御部18は各画像から矩形の境界(図5(b)において一点鎖線で示す)に囲まれた領域を切り出す。ステップS3においてトリミングされた画像を図5(c)に示す。
【0024】
次に、ステップS4において、表示制御部18は、ステップS3においてトリミングされた画像を単一の画像に合成する。これにより、図5(d)に示すように、車両2の後方から側方にわたる広い範囲を示す単一画像ITが得られる。
【0025】
次に、ステップS5において、表示制御部18は、ステップS4において合成した単一画像ITに、予め作成されメモリ等に記憶されているマスク画像Mを重畳する。
マスク画像Mは、図6(b)に示すように、鏡を有するルームミラーが電子ルームミラー14の位置に設けられていると仮定した場合にドライバの視点から見てルームミラーに映って見える車両2の天井を模擬した部分M1、ピラーを模擬した部分M2、車両2の後端部にあるリアゲートを模擬した部分M3、リアクォーターパネルを模擬した部分M4を含む。この内、車両2の天井を模擬した部分M1、車両2の最後部のピラーを模擬した部分M2及びリアゲートを模擬した部分M3は不透明であり、その他の部分は半透明となっている。また、車両2の天井を模擬した部分M1及び車両2の最後部のピラーを模擬した部分M2は、ステップS4において合成された各画像の境界Bに重なる位置に配置される。
【0026】
次に、ステップS6において、表示制御部18は、ステップS5でマスク画像Mを重畳した表示画像Dを、電子ルームミラー14のディスプレイ14aに表示させる。これにより、ドライバは、従来の鏡を有するルームミラーにより車両2後方を確認するのと同様の感覚で、車両2後方から側方にわたる広い範囲を直観的に確認することができる。
また、マスク画像Mにおける車両2の天井を模擬した部分M1及び車両2の最後部のピラーを模擬した部分M2が、ステップS4において合成された各画像間の境界Bを覆っているので、各画像間の境界Bを跨ぐ位置に後方車両が位置した場合でも、境界B近傍における二重像や歪みはマスク画像Mにより隠される。したがって、境界B近傍で後方車両の二重像や歪みが発生することにより後方車両と自車両2との位置関係や後方車両までの距離をドライバが誤って把握することが防止される。
ステップS6の後、表示制御部18は処理を終了する。
【0027】
次に、本発明の実施形態のさらなる変形例を説明する。
上述した実施形態においては、表示制御部18は、画像を電子ルームミラー14のディスプレイ14aに表示させると説明したが、センターディスプレイ16に表示させるようにしてもよい。
【0028】
また、上述した実施形態においては、マスク画像Mは、車両2の天井を模擬した部分M1、車両2のピラーを模擬した部分M2、リアゲートを模擬した部分M3、リアクォーターパネルを模擬した部分M4を含むと説明したが、マスク画像Mの形状を車両2の構造に応じて適宜変更することができる。例えば、セダンタイプの車両2の場合には、リアゲートを模擬した部分M3に代えて車両2の後端部にあるトランクを模擬した部分を設けてもよい。また、前後のドアパネルを模擬した部分を加えてもよい。また、マスク画像Mは、必ずしも車両2の天井、ピラー、リアゲート、リアクォーターパネル等を模擬していなくてもよい。
【0029】
また、上述した実施形態においては、車両2の右側サイドミラーの下部に右側カメラ4が取り付けられ、左側サイドミラーの下部に左側カメラ6が取り付けられていると説明したが、サイドミラーの上部や端部に取り付けてもよく、車両2側面の他の場所に取り付けてもよい。
【0030】
また、上述した実施形態においては、各カメラ4、6、8は魚眼レンズを使用していると説明したが、魚眼レンズ以外の広角レンズを使用してもよい。
【0031】
次に、上述した本発明の実施形態及び本発明の実施形態の変形例による車両用表示装置1の効果を説明する。
【0032】
まず、表示制御部18は、後方カメラ8により撮影された後方画像RVと右側カメラ4及び左側カメラ6により撮影された後側方画像SVとを合成して単一画像ITを生成し、単一画像ITにおいて合成された後方画像RVと後側方画像SVとの境界Bに重なる位置にマスク画像Mを重畳して表示画像Dを生成するので、後方画像RVと後側方画像SVとの境界Bを跨ぐ位置に後方車両や後方障害物が位置した場合でも、境界B近傍における後方車両や後方障害物の二重像や歪みをマスク画像Mにより隠すことができる。これにより、二重像や歪みのために後方車両や後方障害物と自車両2との位置関係や距離をドライバが誤って把握することを防止でき、ドライバがより直観的に認識可能な自車両2周辺の画像を表示することができる。
【0033】
また、従来の鏡を有するルームミラーが設けられていた位置に電子ルームミラー14が設けられており、そのディスプレイ14aに後方カメラ8により撮影された後方画像RVと右側カメラ4及び左側カメラ6により撮影された後側方画像SVとを合成してマスク画像Mを重畳した表示画像Dを表示させるので、従来のルームミラーにより車両2後方を確認するのと同様の感覚で、車両2後方から側方にわたる広い範囲をドライバがより直観的に認識可能な自車両2周辺の画像を表示することができる。
【0034】
また、マスク画像Mは車両2の最後部のピラーを模擬した不透明の部分M2を含み、最後部のピラーを模擬した部分M2が、単一画像ITにおいて合成された後方画像RVと後側方画像SVとの境界Bに重なる位置に配置されているので、後方画像RVと後側方画像SVとの境界Bを跨ぐ位置に後方車両や後方障害物が位置した場合でも、境界B近傍における後方車両や後方障害物の二重像や歪みを、最後部のピラーを模擬したマスク画像Mの部分により隠すことができる。これにより、二重像や歪みのために後方車両や後方障害物と自車両2との位置関係や距離をドライバが誤って把握することを防止できだけでなく、後方車両や後方障害物と自車両2との位置関係を、最後部のピラーを模擬したマスク画像Mとの関係で表すことができ、後方車両や後方障害物との位置関係や距離をドライバがより直観的に認識可能な自車両2周辺の画像を表示することができる。
【0035】
また、マスク画像Mは車両2の天井を模擬した不透明の部分M1と車両2の後端部の構造(実施形態ではリアゲート)を模擬した不透明の部分M3とを含むので、車両2の上方等、ドライバが後方を確認する際に不要な領域をマスク画像Mによって違和感なく隠すことができる。これにより、ドライバが認識すべき情報量を低減することができ、後方車両や後方障害物との位置関係や距離をドライバがより直観的に認識可能な自車両2周辺の画像を表示することができる。
【0036】
また、マスク画像Mは車両2の側面の構造(実施形態ではリアクォーターパネル)を模擬した半透明の部分M4を含むので、車両2側方の他車両や障害物を表示しつつ、それらの他車両や障害物と自車両2との位置関係を、車両2の側面の構造を模擬したマスク画像Mとの関係で表すことができ、後方車両や後方障害物との位置関係や距離をドライバがより直観的に認識可能な自車両2周辺の画像を表示することができる。
【0037】
また、魚眼レンズを有する後方カメラ8により撮影された後方画像RVを車両2の前後方向に垂直な仮想平面Pに展開し、魚眼レンズを有する右側カメラ4及び左側カメラ6により撮影された後側方画像SVを中心軸線が車両2上下方向に延びる仮想円筒面Cに展開するので、後方画像RVについては実際の空間における直線が画像中でも直線として表示されるようにし、後側方画像SVについては画角全体にわたって距離感が均一になるようにすることができる。そして、これらの後方画像RVと後側方画像SVとを合成して単一画像ITを生成することにより、見た目の自然さと適切な距離感とを両立した単一画像ITを表示することができ、後方車両や後方障害物との位置関係や距離をドライバがより直観的に認識可能な自車両2周辺の画像を表示することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 車両用表示装置
2 車両
4 右側カメラ
6 左側カメラ
8 後方カメラ
10 フロントウインドシールド
12 インストルメントパネル
14 電子ルームミラー
14a、16a ディスプレイ
16 センターディスプレイ
18 表示制御部
SV 後側方画像
RV 後方画像
C 仮想円筒面
P 仮想平面
IT 単一画像
D 表示画像
M マスク画像
M1 天井を模擬した部分
M2 ピラーを模擬した部分
M3 リアゲートを模擬した部分
M4 リアクォーターパネルを模擬した部分
B 境界
図1
図2
図3
図4
図5
図6