(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】油回路および油回路を備えた機械
(51)【国際特許分類】
F04B 39/02 20060101AFI20220523BHJP
F04B 39/06 20060101ALI20220523BHJP
F04B 39/12 20060101ALI20220523BHJP
F15B 21/045 20190101ALI20220523BHJP
F16K 17/196 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
F04B39/02 M
F04B39/06 P
F04B39/12 101A
F15B21/045
F16K17/196 Z
(21)【出願番号】P 2017196834
(22)【出願日】2017-10-10
【審査請求日】2018-04-12
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-21
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2017/052855
(32)【優先日】2017-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】WO
(73)【特許権者】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】トマス デ ボントリデル
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】窪田 治彦
【審判官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-80717(JP,A)
【文献】米国特許第3186630(US,A)
【文献】特開2002-155879(JP,A)
【文献】特開2014-9602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B39/02,39/06,39/12
F15B21/04
F16K17/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変速式の
モータ(4)を有する機械(1)を潤滑するとともに冷却する油回路であって、前記油回路(5)が油(11)の入った油リザーバ(10)および油(11)を前記油リザーバ(10)から油パイプ(12)経由で前記機械(1)に圧送することができる油ポンプ(13)を備え、前記油ポンプ(13)が前記機械(1)のモータ(4)によって駆動され、前記油回路(5)が前記圧送された油(11)を案内して前記油リザーバ(10)に戻すことができるバイパスパイプ(15)およびバイパス弁(14)を更に備え、前記油回路(5)が単一の油冷却器(16)を更に備えている、油回路において、前記油冷却器(16)は、前記バイパスパイプ(15)内に配置され、前記油冷却器(16)は、前記油冷却器(16)を通る油及び冷却剤の所定の流れに対して固定の冷却能力を備えて
おり、前記油回路(5)は、前記機械(1)からの油(11)を案内して該油を前記油リザーバ(10)に戻すことができるよう還流パイプ(19)を更に備えている、油回路。
【請求項2】
前記バイパス弁(14)は、前記バイパス弁(14)の後に前記油パイプ(12)内であらかじめ設定された圧力(9)に達するよう制御される、請求項1記載の油回路。
【請求項3】
前記バイパス弁(14)は、機械式
弁である、請求項
1又は2に記載の油回路。
【請求項4】
前記バイパス弁(14)は、前記油パイプ(12)内に配置されている、請求項1~
3のうちいずれか一に記載の油回路。
【請求項5】
可変速式のモータ(4)付き機械であって、前記機械(1)は、請求項1~
4のうちいずれか一に記載の油回路(5)を備えている、機械。
【請求項6】
前記機械(1)は、圧縮機装置、膨張器装置または真空ポンプ装置である、請求項
5記載の機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油回路に関する。
【0002】
特に、本発明は、可変rpmまたは可変速方式の、すなわちVSD(可変速駆動)制御方式の機械のための改良型油回路を提供するようになっている。
【0003】
この機械は、例えば、圧縮機、膨張器または真空ポンプであるのが良い。
【背景技術】
【0004】
かかる機械は、機械内のコンポーネントを潤滑することができる油回路を備えていることが知られている。
【0005】
これらコンポーネントは、例えば、圧縮機要素、膨張器要素または真空ポンプ要素、モータおよび伝動装置の軸受および歯車であるが、これらには限定されない。
【0006】
油は、モータ、圧縮機要素および伝動装置のある特定のコンポーネントを冷却するためにも使用できる。
【0007】
伝統的に、かかる機械の油回路は、次のように配置されている。
【0008】
油は、油ポンプを用いて油リザーバから圧送されまたは送り進められ、その後、油は、油冷却器(オイルクーラ)まで案内される。
【0009】
この冷却器は、油が機械の潤滑されるべきコンポーネントおよび機械の冷却されるべき任意のコンポーネントにもたらされる前に油を冷却する。
【0010】
潤滑および冷却中、油の温度が上昇する。
【0011】
油が機械を通過した後、油は、還流パイプ経由で案内されて油リザーバに戻される。
【0012】
高温油は、油ポンプによって油冷却器に案内され、ここで、油は、冷却され、その後再び機械に案内される。
【0013】
油ポンプを駆動するため、要素もまた駆動するモータが用いられる。
【0014】
このことは、機械の高い速度または高いrpmでは、より多くの油が必要される場合、より多くの油が圧送されて油冷却器に、次に機械まで案内される。
【0015】
しかしながら、油圧力は、機械の高い速度または高いrpmでは高すぎるほど増大することはなく、油ポンプは、非常に多量の油を圧送するので圧力は高すぎるようになる。油圧力が高すぎることは、例えば、この場合、多量すぎるほどの油が軸受潤滑のために用いられて軸受中での損失が増えるので、許容されない。
【0016】
これは、弁を備えたバイパスパイプが油冷却器の後に油回路内に取り付けられている理由であり、この油回路は、ある特定の速度の時点では、圧送された油のうちの一部を駆動して油リザーバに戻す。
【0017】
モータの速度およびかくして油ポンプの速度が高ければ高いほど、弁がバイパスパイプ経由で油リザーバに案内して戻す油の量がそれだけ一層多くなる。
【0018】
このように、油回路内の油圧力は、高すぎるほどは増大しない。
【0019】
従来型油回路によれば、機械に圧送される油の全ては、油冷却器を通る。
【0020】
かくして、かかる公知の油回路はまた、機械の速度が低い場合、機械が非常に冷却され過ぎるという欠点をもたらし、と言うのは、油冷却器は、油が回転中の部品内の損失に起因して最高度まで昇温したときに機械の最大速度で油を冷却するよう設計されているからである。
【0021】
その結果、これらの低い速度では、油は、高い粘度を有し、それにより、軸受内での油の損失が生じる。
【0022】
さらに、大きな温度差が低速および高速において油中に起こる。
【0023】
これら大きな温度差は、機械にとって有害である。
【0024】
この結果として、冷却能力が調節可能である冷却器が選択される場合が多く、これは、当然のことながら、費用が高くつきしかも複雑である。
【0025】
さらに、最大速度での油の流れ全体向きに設計された大型冷却器を用いることが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明の目的は、上述の欠点および他の欠点のうちの少なくとも1つに対する解決策を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の目的は、可変速式の機械を潤滑するとともに冷却する油回路であって、油回路が油の入った油リザーバおよび油を油リザーバから油パイプ経由で機械に圧送することができる油ポンプを備え、油ポンプが機械のモータによって駆動され、油回路が圧送された油を案内して油リザーバに戻すことができるバイパスパイプおよびバイパス弁を更に備え、油回路が油冷却器を更に備えている、油回路において、油冷却器は、バイパスパイプ内に配置されていることを特徴とする油回路によって達成される。
【0028】
利点は、機械の低い速度においてより低い冷却度が必要とされる場合、少ない油がバイパスパイプを経て案内され、かくして冷却され、他方、高い速度では、高い冷却度が必要とされる場合、多量の油がバイパスパイプを経て案内され、かくして一層冷却されることになる。
【0029】
低速での冷却度を低くするとともに高速での冷却度を高くすることによって、油の温度は、より一定のままとなり、かくして公知の冷却回路と比較して温度差が小さくなる。
【0030】
さらに、平均油温度もまた高くなり、その結果、油は、低い粘度を有することになり、それにより軸受中でのかつ油が潤滑のために用いられる他の場所での油の損失量が少なくなる。
【0031】
別の利点は、低い速度では、油が冷却されないことであり、その理由は、バイパスパイプおよび油冷却器を経て案内される油がないからである。このように、油は、低い速度では高すぎるほどの粘度を有することはない。
【0032】
さらに、高い速度では、油は、高すぎる温度状態にはならず、と言うのは、この場合、多量の油が冷却器を経て案内されるからである。
【0033】
別の利点は、油冷却器が小さな寸法を有することができ、すなわち、油冷却器がバイパスパイプの前の油パイプ内に位置する公知の油回路と比較して少量の油の流れについて小型の油冷却器を選択することができるということにある。
【0034】
本発明はまた、可変速方式のモータ付きの機械であって、この機械が本発明の油回路を備えていることを特徴とする機械に関する。
【0035】
この機械は、圧縮機設備、膨張器設備または真空ポンプ設備であるのが良いが、本発明は、これには限定されない。
【0036】
本発明の特徴を良好に示す意図で、本発明の油回路およびかかる油回路を備えた機械の2、3の好ましい実施形態につき、添付の図面を参照して、性質上本発明を何ら限定することなく一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の油回路を備えた機械を概略的に示す図である。
【
図2】モータ速度の関数として油ポンプの流量の変化を概略的に示す図である。
【
図3】モータ速度の関数としてバイパス弁から見て下流側に位置する油パイプ内の圧力の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本件では、
図1に示されている機械1は、圧縮機装置1、特に、ねじ圧縮機要素2、伝動装置3(または「歯車箱」)および可変速方式のモータ4を備えたねじ圧縮機装置であり、機械1は、本発明の油回路5を備えている。
【0039】
本発明によれば、機械1が圧縮機装置1であることが要件ではなく、機械1は、例えば膨張器装置または真空ポンプ装置であっても良い。
【0040】
ねじ圧縮機要素は、ガスを引き込むための入口7および圧縮ガスのための出口8を備えたハウジング6を有する。2つのつがい関係をなす螺旋ロータ9がハウジング6内の軸受に取り付けられている。
【0041】
油回路5は、機械1のコンポーネントを潤滑し、必要ならば冷却する油を機械に供給する。
【0042】
これらコンポーネントは、例えば、伝動装置3内の歯車、螺旋モータ9をねじ圧縮機要素2内に設けるための軸受などである。
【0043】
油回路5は、油11および油11を潤滑されるべき機械1のコンポーネントにもたらすための油パイプ12を備えた油リザーバ10を有する。
【0044】
油11を油リザーバ10から圧送することができる油ポンプ13が油パイプ12内に設けられている。
【0045】
油ポンプ13は、機械1のモータ4によって駆動される。
【0046】
油ポンプ13は、モータ4のシャフトまたは駆動シャフトに直接連結されるのが良い。この駆動シャフトは、次に、カップリングによりモータ4に連結される。次に、歯車は、歯車箱によって駆動される駆動シャフトに取り付けられる。1つまたは2つ以上の圧縮機要素2が歯車箱を介して駆動されるのが良い。
【0047】
バイパス弁14および油パイプ12から油リザーバ10に戻るよう延びるバイパスパイプ15が油ポンプ13から見て下流側で油パイプ12内に設けられている。
【0048】
図示の実施例では、バイパス弁14が油パイプ12内に取り付けられているが、バイパス弁14がバイパスパイプ15内に取り付けられていることが排除されるわけではない。バイパスパイプ15への油パイプ12の連結場所のところに取り付けられる三方弁が用いられることも排除されるわけではない。
【0049】
バイパス弁14は、油ポンプ13によって圧送された油11を分布させ、一部は、油パイプ12を介して潤滑されるべき機械1のコンポーネントに圧送され、他の部分は、バイパスパイプ15を経て油リザーバ10に戻される。
【0050】
この場合、バイパス弁14は、機械式弁14であるが、このことが必ずしも必要ではない。
【0051】
好ましい実施形態では、弁14は、ばね押し弁であり、すなわち、弁14は、ばねまたはばね要素を有し、ばねは、弁14の前後の圧力pに応じて弁14を程度の差はあれ開く。
【0052】
この場合、弁は、弁14の後の圧力pに応じてバイパスパイプ15を開閉するばね押し弁14である。圧力pのある特定のしきい値を超えると、弁は、バイパスパイプ14を開いて圧送された油11の一部がバイパスパイプ15を経て油リザーバ10に流れるようになっている。
【0053】
本発明によれば、油冷却器16がバイパスパイプ15内に配置されている。このことは、バイパスパイプ15を経て流れる油11を冷却することができるが、油パイプ12を経て冷却されるべきコンポーネントまで流れる油11が冷却されないことを意味している。
【0054】
換言すると、冷却状態の低温油11は、バイパスパイプ15を経て油リザーバ10まで案内される。
【0055】
この場合、上述した油冷却器16は、熱交換器18の一部をなす。油冷却器16は、例えばプレート形冷却器であるのが良いが、油11を冷却するのに適した任意形式の冷却器を本発明において使用することができる。
【0056】
この場合、油冷却器16は、油流量が所与でありかつ冷却剤の流れが所与である場合に固定されたまたは一定の冷却能力を有する。このことは、冷却能力を調節することができないということを意味している。冷却剤の流量を調節することによって、確かに、冷却能力を調節することが可能である。しかしながら、これは、要件ではない。
【0057】
バイパス弁14から、油パイプ12は、潤滑されるとともに必要ならば冷却されるべき機械1のコンポーネントまで延びている。この場合、油パイプ12は、機械1内に部分的に組み込まれるのが良いサブパイプ18に分割される。
【0058】
さらに、油回路5は、油がコンポーネントを潤滑し、必要に応じてこれらコンポーネントを冷却した後、油11を機械1から油リザーバ10に戻すための還流パイプ19を備えている。
【0059】
この油11は、高い温度状態にある。
【0060】
油リザーバ10内では、この高温油11は、バイパスパイプ15を経て油リザーバ10に案内された冷却状態の低温油11と混ぜ合わされる。
【0061】
油回路5を備えた機械1の作動は、極めて単純であり、次の通りである。
【0062】
機械1がモータ4によって駆動されると、つがい関係にある回転螺旋ロータ9が空気を引き込んでこれを圧縮する。
【0063】
作動中、要素2、伝動装置3およびモータ4の互いに異なるコンポーネントが潤滑されるとともに冷却される。
【0064】
油ポンプ13が圧縮機要素2のモータ4によって駆動されているとき、機械1の開始時点において、油ポンプは、油11を圧送してこれを油パイプ12およびサブパイプ18を介して潤滑されるとともに冷却されるべき機械1のコンポーネントに送り進める。
【0065】
モータ4の速度nの関数としての油ポンプ13の流量Qの変化が
図2に示されている。
【0066】
この図から理解できるように、低い速度nでは、油ポンプ13は、高い速度nと比較して圧送する油11の量が少ない。これは、低い速度nでは、必要とされる潤滑および冷却度が低く、高い速度nでは潤滑度および冷却度が高いので有利である。
【0067】
低い速度nでは、圧送された油11の全てが圧縮機装置1に送り進められ、すなわち、バイパス弁14は、バイパスパイプ15を閉じてバイパスパイプ15および油冷却器16に沿って油リザーバ10に流れて戻ることができる油11がないまたはゼロであるようになる。低い速度では、油11がかろうじてウォームアップするときに冷却が不要なので、これは、問題ではなく、これは、油11が低温過ぎるようにならないようにする。
【0068】
バイパス弁14から見て下流側に位置する油パイプ12内の圧力pの変化が
図3に示されている。
【0069】
圧力は、速度n′に対応した特定の圧力p′に達するまで速度nに比例して体系的に増大する。
【0070】
この速度n′の時点で、圧力p′に達し、その結果、バイパス弁14は、バイパスパイプ15に対して部分的に開かれるようになる。
【0071】
その結果、n′よりも高い速度では、圧送された油11の一部がバイパス弁14を通ってバイパスパイプ15を経て送り進められる。
【0072】
これは、
図2に概略的に示されており、曲線が2つの枝に分割され、すなわち、ゾーンIに対応した油流量Qの一部が油パイプ12経由で潤滑されるとともに冷却されるべき圧縮機装置1のコンポーネントに送り進められ、他方、ゾーンIIに対応した油流量Qの他の部分は、バイパスパイプ15経由で油リザーバ10に送り戻されることになる。
【0073】
バイパス弁14が開くので、速度n′の時点では、圧力pは、モータ4の速度nに比例してもはや増大せず、曲線は、
図3に示されているように平坦になる。
【0074】
速度nが高ければ高いほど、油パイプ12内のバイパス弁15から見て下流側の高い圧力pによってバイパス弁15が押されて開かれる度合いがそれだけ一層大きくなる。確かに、高い速度nでは、油ポンプ13の流量Qは、高くなり、したがって、この圧力pもまた増大し、その結果バイパス弁14が一層開くようになる。
【0075】
ばね押しバイパス弁14のばね特性は、バイパス弁14がばねによって制御されて
図3の曲線に一致して油パイプ12内のバイパス弁14の後であらかじめ設定された圧力pに達するように選択される。
【0076】
バイパスパイプ15を経て案内された油11は、油冷却器16を通ってこれによって冷却される。
【0077】
バイパスパイプ15を経て案内された冷却状態の油11は、油リザーバ10に至るので、油リザーバ10内の油11の温度は、低下することになる。この低温の油11は、次に、油ポンプ13によって圧送されて圧縮機装置1にもたらされる。
【0078】
高い速度nでは、圧縮機装置1内に多量の熱が生じるので、上述の方法によって正確に管理される高い冷却度が必要となる。
【0079】
速度nの増大時、油ポンプ13は、油リザーバ10から多量の油11を常時圧送する。バイパス弁14の後の圧力pが結果として常時高いので、このバイパス弁14は、多量の油11をバイパスパイプ15経由で常時案内することによってこれに対応し、その結果、圧力pは、高すぎるほどは増大せず、引き続き
図3の曲線を辿るようになっている。
【0080】
その結果、漸増する速度nの場合、更に多量の油11が冷却されることになり、その結果、圧縮機装置1の温度の上昇をこれら漸増する速度nで許容することができるようになっている。
【0081】
これは、
図2に示されており、ゾーンIIは、高い速度nでは常時大きくなる。
【0082】
上記内容は、低速nでは冷却される油11が少量でありまたは全くなく、他方、漸増する速度nでは、冷却される油11が一層多量であることを明確に示している。
【0083】
この結果、油温度は、平均で一定かつ高くなり、それにより、油11の粘度が平均で低くなり、その結果、油ポンプ13内および潤滑場所のところでの油損失が少なくなる。
【0084】
図2から更に理解できるように、あらゆる速度nでは、バイパスパイプ15および油冷却器16を経て流れる油の流量Q(ゾーンII)は、圧縮機装置1に送り進められる油の流量Q(ゾーンI)よりも少なくなる。
【0085】
このことは、油冷却器16が既知の冷却回路と比較して小さな寸法を有することができるということを意味している。
【0086】
圧縮機装置1の油11は、還流パイプ19を経て油リザーバ10に送り戻される。
【0087】
この油11は、油リザーバ10内の油11よりも温度が高い。
【0088】
この高温油11に加えて、冷却された油11はまた、バイパスパイプ15を経て油リザーバ10に至ることになる。
【0089】
これら2種類の油は、油リザーバ10内で互いに混ぜ合わされ、その結果、油11は、冷却状態の油11の温度と高温状態の油11との間のある特定の温度状態になる。
【0090】
油リザーバ10の時点では、油ポンプ13は、この場合もまた、油11を圧送し、上述した方法および制御に従う。
【0091】
図示の実施例では、ばね押し機械式弁がバイパス弁14として用いられているが、制御装置20によって制御される電子式バイパス弁14を用いることが可能である。
【0092】
図1では、制御装置20は、一例として点線で示されている。この制御装置20は、例えば油パイプ12内のバイパス弁14から見て下流側に配置された圧力センサ21からの信号に基づいてバイパス弁14を制御する。制御装置20は、圧力センサ21によって示される圧力pが
図3の曲線の経路を辿るようバイパス弁14を制御する。換言すると、バイパス弁14は、あらかじめ設定された圧力pが油パイプ12内のバイパス弁14の後で達成されるよう制御される。
【0093】
図示するとともに説明した実施例では、油回路5が機械1とは別体として示されているが、当然のことながら、油回路5が機械1に組み込まれまたは機械1の一部を物理的になすことが排除されるわけではない。
【0094】
ねじ圧縮機9を冷却するために油回路5からの油11の一部分もまた、圧縮機要素2のハウジング6中に注入することが可能である。この場合、油11は、圧縮空気中に入り込むので、ねじ圧縮機要素2の出口8内に油分離器が配置されることが好ましく、それにより、分離された油11を還流パイプ19によって油リザーバ10に案内することができる。
【0095】
図示するとともに説明した全ての実施形態では、油回路5が油フィルタを更に有することが可能である。この油フィルタは、例えば、バイパス弁14から見て下流側で油パイプ12内に設けるのが良いが、このことが、必ずしも必要であるわけではない。油フィルタは、油を機械1に送る前に油から汚染物があればこれらを集める。
【0096】
本発明は、一例として説明されるとともに図面に示された実施形態には何ら制限されず、本発明の油回路およびかかる油回路を備えた機械を本発明の範囲から逸脱することなく、あらゆる種類の形態および寸法で実現できる。
【符号の説明】
【0097】
1 機械
2 ねじ圧縮機
3 伝動装置
4 モータ
5 油回路
10 油リザーバ
11 油
12 油パイプ
13 油ポンプ
14 バイパス弁
15 バイパスパイプ
16 油冷却器
19 還流パイプ
20 制御装置