(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】車両用ゲートリフター
(51)【国際特許分類】
E05F 15/614 20150101AFI20220523BHJP
E05F 15/63 20150101ALI20220523BHJP
E05D 3/02 20060101ALI20220523BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
E05F15/614
E05F15/63
E05D3/02
B60J5/10 K
(21)【出願番号】P 2017229267
(22)【出願日】2017-11-29
【審査請求日】2020-11-09
(31)【優先権主張番号】10-2016-0172996
(32)【優先日】2016-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドク、ヨン
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-105480(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0255185(US,A1)
【文献】特開2005-082019(JP,A)
【文献】国際公開第2015/032892(WO,A1)
【文献】特開2001-280000(JP,A)
【文献】特開2010-084470(JP,A)
【文献】特表2016-507675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/614
E05F 15/63
B60J 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動力を提供する駆動モーター;
車両に備えられたゲートを回動させるためのヒンジ軸を形成するヒンジ部材;及び、
前記駆動モーターの回転駆動力が前記ヒンジ部材に選択的に伝達されるよう、前記ヒンジ部材と前記駆動モーターを接続または接続解除可能な電子クラッチを含
み、
前記ヒンジ部材と分離可能に軸結合されるアダプタをさらに含み、
前記電子クラッチは前記駆動モーターと前記アダプタを接続または接続解除し、
前記アダプタは、前記ヒンジ軸の軸方向と平行に形成される出力ピンを備え、
前記ヒンジ部材は、前記出力ピンが分離可能に挿入できるように形成される入力ホールを備え、
前記アダプタは、一端に形成される接続ヘッドと、前記接続ヘッドと前記出力ピンを連結する連結ピンとをさらに備え、
前記電子クラッチは、前記連結ピンが回転可能に支持するように前記連結ピンに装着されるドライブベアリングと、前記駆動モーターと軸結合され、電流によって磁化される場合、前記ドライブベアリング側に移動されて前記接続ヘッドと選択的に接続される電磁石とを備えることを特徴とする車両用ゲートリフター。
【請求項2】
前記アダプタは、前記出力ピンの外周面に前記軸方向に沿って形成される少なくとも一つの締結突起をさらに備え、
前記ヒンジ部材は、前記締結突起を挿入できるように前記入力ホールの内周面に形成される少なくとも一つの締結溝をさらに備えることを特徴とする請求項
1に記載の車両用ゲートリフター。
【請求項3】
前記駆動モーターと前記電磁石の間に介在され、前記駆動モーターの回転駆動力を予め定められた減速比だけ減速して出力する減速機をさらに含み、
前記電磁石は前記減速機と軸結合されることを特徴とする請求項
1に記載の車両用ゲートリフター。
【請求項4】
前記減速機は、前記ヒンジ軸の軸方向に沿って形成され、前記回転駆動力が前記減速比だけ減速されて出力される出力溝を備え、
前記電磁石は、前記軸方向に沿って移動可能になるように前記出力溝に軸結合される入力ピンを備えることを特徴とする請求項
3に記載の車両用ゲートリフター。
【請求項5】
前記接続ヘッドと前記電磁石の間に配置され、前記電磁石が磁化された場合は前記接続ヘッドと前記電磁石を摩擦接続し、前記電磁石が磁化されていない場合は、前記接続ヘッドと前記電磁石の間に予め定められた間隔を形成する弾性部材をさらに含むことを特徴とする請求項
1に記載の車両用ゲートリフター。
【請求項6】
前記弾性部材は、ウェーブ形状を有するワッシャースプリングであることを特徴とする請求項
5に記載の車両用ゲートリフター。
【請求項7】
前記車両の予め定められた位置に固定され、前記ヒンジ部材が回転可能に支持するヒンジブラケットをさらに含むことを特徴とする請求項
1に記載の車両用ゲートリフター。
【請求項8】
前記ドライブベアリングを固定する固定リングと、前記電磁石と前記駆動モーターの間に設けられ、前記電磁石の移動を遮断するストッパーリングを備えるハウジングをさらに含み、
前記接続ヘッドと前記電磁石は、それぞれ前記固定リングと前記ストッパーリングの間に位置するように前記ハウジングの内部に設けられることを特徴とする請求項
7に記載の車両用ゲートリフター。
【請求項9】
前記ドライブベアリングは、前記固定リングを嵌め込むことができるよう周りに沿って形成される固定溝を備えることを特徴とする請求項
8に記載の車両用ゲートリフター。
【請求項10】
前記ハウジングは、前記ヒンジブラケットに締結される少なくとも一つの固定リブをさらに備えることを特徴とする請求項
8に記載の車両用ゲートリフター。
【請求項11】
前記ヒンジブラケットと前記固定リブのうちいずれか一つは固定ホールを備え、
前記ヒンジブラケットと前記固定リブのうち他の一つは前記固定ホールに嵌め込まれる固定突起を備えることを特徴とする請求項
10に記載の車両用ゲートリフター。
【請求項12】
前記ヒンジ部材と前記ゲートを結合するヒンジアームをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用ゲートリフター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ゲートリフターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、乗合自動車またはRV車は、車両の後尾に開閉可能に設けられるテールゲートと、このようなテールゲートの開閉を補助するための車両用ゲートリフターが設けられる。
【0003】
従来の車両用ゲートリフターは、一端が車体のボディーに締結されて他端がテールゲートに締結されるスピンドルタイプのドライブを含む。スピンドルタイプのドライブは、モーターと、モーターの回転力を増大させる遊星ギヤと、増大された回転力で軸回転するスピンドルと、スピンドルが回転する時に前記スピンドルに従って移動するナットと、テールゲートの荷重を弾性力で支持するスプリングなどを含む。このようなスピンドルタイプのドライブは、一対が設けられ、車体ボディーの両側端部にそれぞれ一つずつ設けられる。
【0004】
このような従来の車両用ゲートリフターは、次のような欠点を有する。
第一、従来の車両用ゲートリフターは、スピンドルの適用によって、テールゲートの開口幅が相対的に小さいという問題点がある。
第二、従来の車両用ゲートリフターは、スピンドルの設置に必要なリンク部材によって、動力損失(スリップ、摩擦、モーメントなど)が発生するという問題点がある。
第三、従来の車両用ゲートリフターは、個別的に動力を提供可能な一対のスピンドルタイプのドライブ等が設けられることによって、騷音が大きいという問題点と、重量が重いという問題点がある。
第四、従来の車両用ゲートリフターは、スピンドルタイプのドライブが外部に露出されるように設けられるので、運転手がスピンドルタイプのドライブによって負傷を負うか、スピンドルタイプのドライブが破損される恐れが大きいという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前述した従来の技術の問題点を解決するためのものであって、スピンドルとリンク部材が省略可能になるように構造を改善した車両用ゲートリフターを提供することにその目的がある。
【0006】
さらに、本発明は、単一動力源を利用してテールゲートが開閉可能になるように構造を改善した車両用ゲートリフターを提供することにその目的がある。
【0007】
さらに、本発明は、車両の外部に露出されないように構造を改善した車両用ゲートリフターを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決するための本発明の好ましい実施形態に係る車両用ゲートリフターは、回転駆動力を提供する駆動モーター;車両に備えられたゲートを回動させるためのヒンジ軸を形成するヒンジ部材;及び、前記駆動モーターの回転駆動力が前記ヒンジ部材に選択的に伝達されるよう、前記ヒンジ部材と前記駆動モーターを接続または接続解除可能な電子クラッチを含む。
【0009】
好ましくは、前記ヒンジ部材と分離可能に軸結合されるアダプタをさらに含み、前記電子クラッチは前記駆動モーターと前記アダプタを接続または接続解除する。
【0010】
好ましくは、前記アダプタは、前記ヒンジ軸の軸方向と平行に形成される出力ピンを備え、前記ヒンジ部材は、前記出力ピンが分離可能に挿入できるように形成される入力ホールを備える。
【0011】
好ましくは、前記アダプタは、前記出力ピンの外周面に前記軸方向に沿って形成される少なくとも一つの締結突起をさらに備え、前記ヒンジ部材は、前記締結突起を挿入できるように前記入力ホールの内周面に形成される少なくとも一つの締結溝をさらに備える。
【0012】
好ましくは、前記アダプタは、一端に形成される接続ヘッドと、前記接続ヘッドと前記出力ピンを連結する連結ピンとをさらに備え、前記電子クラッチは、前記連結ピンが回転可能に支持するように前記連結ピンに装着されるドライブベアリングと、前記駆動モーターと軸結合され、電流によって磁化される場合、前記ドライブベアリング側に移動されて前記接続ヘッドと選択的に接続される電磁石とを備える。
【0013】
好ましくは、前記駆動モーターと前記電磁石の間に介在され、前記駆動モーターの回転駆動力を予め定められた減速比だけ減速して出力する減速機をさらに含み、前記電磁石は前記減速機と軸結合される。
【0014】
好ましくは、前記減速機は、前記ヒンジ軸の軸方向に沿って形成され、前記回転駆動力が前記減速比だけ減速されて出力される出力溝を備え、前記電磁石は、前記軸方向に沿って移動可能になるように前記出力溝に軸結合される入力ピンを備える。
【0015】
好ましくは、前記接続ヘッドと前記電磁石の間に配置され、前記電磁石が磁化された場合は前記接続ヘッドと前記電磁石を摩擦接続し、前記電磁石が磁化されていない場合は、前記接続ヘッドと前記電磁石の間に予め定められた間隔を形成する弾性部材をさらに含む。
【0016】
好ましくは、前記弾性部材は、ウェーブ形状を有するワッシャースプリングである。
【0017】
好ましくは、前記車両の予め定められた位置に固定され、前記ヒンジ部材が回転可能に支持するヒンジブラケットをさらに含む。
【0018】
好ましくは、前記ドライブベアリングを固定する固定リングと、前記電磁石と前記駆動モーターの間に設けられ、前記電磁石の移動を遮断するストッパーリングを備えるハウジングをさらに含み、前記接続ヘッドと前記電磁石は、それぞれ前記固定リングと前記ストッパーリングの間に位置するように前記ハウジングの内部に設けられる。
【0019】
好ましくは、前記ドライブベアリングは、前記固定リングを嵌め込むことができるよう周りに沿って形成される固定溝を備える。
【0020】
好ましくは、前記ハウジングは、前記ヒンジブラケットに締結される少なくとも一つの固定リブをさらに備える。
【0021】
好ましくは、前記ヒンジブラケットと前記固定リブのうちいずれか一つは固定ホールを備え、前記ヒンジブラケットと前記固定リブのうち他の一つは前記固定ホールに嵌め込まれる固定突起を備える。
【0022】
好ましくは、前記ヒンジ部材と前記ゲートを結合するヒンジアームをさらに含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る車両用ゲートリフターは、次のような効果を有する。
第一、本発明は、別途のリンク部材を用いることなく駆動モーターとヒンジ部材を連結可能なので、リンク部材による動力損失を減らすことができ、駆動モーターのRPMを減らして駆動モーターの作動騷音を低減することができる。
第二、本発明は、一つのゲートリフターだけでもテールゲートを円滑に開閉可能なので、テールゲートの開閉に必要な部品数を減らして車両の製造費用、組立工数及び重量などを減少させることができる。
第三、本発明は、車体のボディーに埋設可能なので、運転手が駆動モーターと動力伝達部材等によって負傷を負うか、駆動モーターと動力部材が破損されることを防止することができる。
第四、本発明は、ヒンジと駆動装置が一体化された構造を有するので、ヒンジと駆動装置が個別的に設けられ、駆動装置を固定するための構成が別に求められる従来のゲートリフターに比べて重量及びコストを節減することができる。
第五、本発明は、ヒンジに駆動装置が脱着可能に設けられるので、ゲートリフターを利用したテールゲートの自動開閉機能を容易に追加または除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の好ましい実施形態に係る車両用ゲートリフターの部分縦断面図である。
【
図2】
図1に示されているゲートリフターの分離斜視図である。
【
図3】
図1に示されている電磁石と接続ヘッドが接続された状態を示す図である。
【
図4】
図1に示されている電磁石と接続ヘッドが接続解除された状態を示す図である。
【
図5】
図1に示されているヒンジ部材とヒンジブラケットの結合関係を説明するための図である。
【
図6】
図1に示されているヒンジブラケットとハウジングの結合関係を説明するための図である。
【
図7】
図1に示されているゲートリフターが車両に設けられた状態を示す車両の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に即し、本発明の技術的思想に適合する意味と概念として解釈されなければならない。よって、本明細書に記載された実施形態と図面に示されている構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないので、本出願時点において、これらを代替することができる多様な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0026】
図面で各構成要素またはその構成要素をなす特定の部分の大きさは、説明の便宜及び明確性のために誇張或いは省略されるか、または概略的に示されている。よって、各構成要素の大きさは、実際の大きさを全的に反映するものではない。関連した公知機能或いは構成に対する具体的な説明が、本発明の要旨を不要にぼやかし得ると判断される場合、かかる説明は省略する。
【0027】
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る車両用ゲートリフターの縦断面図であり、
図2は、
図1に示されているゲートリフターの分離斜視図である。
【0028】
図1及び
図2に示す通り、本発明の好ましい実施形態に係る車両用ゲートリフター(以下、「ゲートリフター1」と記す)は、ハウジング10と、駆動モーター20と、減速機30と、電子クラッチ40と、アダプタ50と、ヒンジ部材60と、ヒンジブラケット70などを含むことができる。このようなゲートリフター1は、
図1に示されているところのように、ヒンジ部材60によって形成されたヒンジ軸(C)を中心に車両のテールゲート(T)が回転駆動するように設けられる。
【0029】
先ず、ハウジング10は、駆動モーター20、及びこのような駆動モーター20の回転駆動力をテールゲート(T)に伝達するための動力伝達部材等が収容可能になるように設けられる。ハウジング10は、
図1に示されているところのように、第1収容空間11、第2収容空間12、ストッパーリング13、固定リング14などを備えることができる。
【0030】
第1収容空間11は、
図1に示されているところのように、駆動モーター20と減速機30の収容空間を提供する。第1収容空間11は、駆動モーター20及び減速機30が第1収容空間11の内部で流動しないように駆動モーター20及び減速機30と対応する大きさを有する。第1収容空間11の一端は閉鎖され、第1収容空間11の他端はストッパーリング13によって部分的に開放される。
【0031】
第2収容空間12は、
図1に示されているところのように、後述する電子クラッチ40の電磁石42と後述するアダプタ50の接続ヘッド56との収容空間を提供する。第2収容空間12は、電磁石42が第2収容空間12の内部で往復移動できるよう、接続ヘッド56と電磁石42との合計長さに比べて予め定められた間隔ほど長い長さを有する。第2収容空間12の一端はストッパーリング13によって部分的に開放され、第2収容空間12の他端は固定リング14によって部分的に開放される。
【0032】
ストッパーリング13は、
図1に示されているところのように、第1収容空間11の他端と第2収容空間12の一端の境界点に設けられる。ストッパーリング13は、後述する電子クラッチ40の電磁石42に比べて小さい直径を有し、後述する電磁石42の入力ピン45に比べて大きい直径を有する中空15を備える。このような中空15は、後述する電磁石42の入力ピン45のみ中空15を通過し、電磁石42自体は中空15を通過できないよう、第1収容空間11と第2収容空間12の間を部分的に開放する。よって、ストッパーリング13は、電磁石42が第1収容空間11に進入して駆動モーター20側に移動できないよう、電磁石42の移動を遮断することができる。
【0033】
固定リング14は、
図1に示されているところのように、第2収容空間12の他端に設けられる。固定リング14は、後述するドライブベアリング41の固定溝44と対応する直径を有する中空16を備える。このような固定リング14にはドライブベアリング41が固定される。固定リング14とドライブベアリング41との結合関係に対するさらに詳しい内容は後述する。
【0034】
次いで、駆動モーター20は、
図1に示されているところのように、第1収容空間11に設けられる。駆動モーター20は、ヒンジ軸(C)の軸方向(以下、「軸方向」と記す)に沿って形成され、テールゲート(T)を回転駆動するための回転駆動力が出力される出力ピン22を備えることができる。
【0035】
次いで、減速機30は、
図1に示されているところのように、駆動モーター20に比べてヒンジ部材60側に位置するよう第1収容空間11に設けられる。減速機30は、一端に軸方向に沿って形成される入力溝32と、前記一端と反対側の他端に、軸方向に沿って形成される出力溝34を備えることができる。入力溝32には駆動モーター20の出力ピン22が軸結合され、出力溝34には電磁石42の入力ピン45が軸結合される。減速機30は、出力ピン22を介して伝達された駆動モーター20の回転駆動力を予め定められた減速比で減速し、出力溝34を介して電磁石42に伝達する。このような減速機30は遊星ギヤを有することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0036】
図3は、
図1に示されている電磁石42と接続ヘッド56が接続された状態を示す図であり、
図4は、
図1に示されている電磁石と接続ヘッドが接続解除された状態を示す図であり、
図5は、
図1に示されているヒンジ部材とヒンジブラケットの結合関係を説明するための図である。
【0037】
次いで、電子クラッチ40は、減速機30を媒介に伝達された駆動モーター20の回転駆動力を、アダプタ50に選択的に伝達できるように設けられる。電子クラッチ40は、
図1に示されているところのように、ドライブベアリング41と、電磁石42などを備えることができる。
【0038】
ドライブベアリング41は、
図1及び
図2に示されているところのように、後述するアダプタ50の連結ピン58が挿入される中空43と、ハウジング10の固定リング14を嵌め込むことができるよう周りに沿って形成される固定溝44を備える。ドライブベアリング41は、中空43に挿入された連結ピン58を回転支持可能なラジアルベアリングでなる。
【0039】
ドライブベアリング41は、後述する電磁石42が磁化される場合、ドライブベアリング41と電磁石42の間に引力または斥力が作用できるよう、少なくとも一部分が磁性を有する素材で形成される。例えば、ドライブベアリング41は、少なくとも一部分が永久磁石でなってよい。
【0040】
このようなドライブベアリング41は、
図1に示されているところのように、連結ピン58が中空43に挿入されるように連結ピン58に装着されるとともに、固定リング14が固定溝44に嵌め込まれるようハウジング10に固定される。
【0041】
電磁石42は、
図1に示されているところのように、後述するアダプタ50の接続ヘッド56とストッパーリング13の間に位置するよう第2収容空間12に収容される。電磁石42は、軸方向に沿って往復移動できるように設けられる。電磁石42は、外部から印加された電流によって磁化できるように形成され、電磁石42の極性は電流の方向に従って変わる。よって、電磁石42は、
図3に示されているところのように、ドライブベアリング41と反対極性を有するように磁化された場合は、ドライブベアリング41と電磁石42の間に作用する引力によってドライブベアリング41側に移動されてよい。さらに、電磁石42は、
図4に示されているところのように、ドライブベアリング41と同じ極性を有するように磁化された場合は、ドライブベアリング41と電磁石42の間に作用する斥力によって減速機30側に移動されてよい。
【0042】
電磁石42は、軸方向と平行に一端に形成する入力ピン45を備える。入力ピン45は、
図1に示されているところのように、軸方向に沿って移動できるよう、減速機30の出力溝34に軸結合されてよい。よって、電磁石42は、減速機30の出力溝34から出力された駆動モーター20の回転駆動力が入力ピン45を介して伝達され得る。一方、電磁石は、
図3に示されているところのように、電磁石ケース46の内部に設けられ、入力ピン45はこのような電磁石ケースに設けられてもよい。
【0043】
このような電磁石42は、
図3及び
図4に示されているところのように、第2収容空間12に沿って往復移動され、アダプタ50の接続ヘッド56と接続または接続解除されることによって、駆動モーター20の回転駆動力をアダプタ50に選択的に伝達することができる。電磁石42とアダプタ50の接続に対するさらに詳しい内容は後述する。
【0044】
次いで、アダプタ50は、ヒンジ部材60と分離可能に軸結合され、電磁石42を媒介に伝達された駆動モーター20の回転駆動力をヒンジ部材60に伝達できるように設けられる。アダプタ50は、電磁石42とアダプタ50の間に引力または斥力が作用しないよう非磁性素材で形成される。このようなアダプタ50は、
図2に示されているところのように、出力ピン52、締結突起54、接続ヘッド56、連結ピン58などを備えることができる。
【0045】
出力ピン52は軸方向と平行に形成され、後述するヒンジ部材60の入力ホール62に分離可能に挿入される。このような出力ピン52は、接続ヘッド56と電磁石42が接続される場合、電磁石42を媒介に伝達された駆動モーター20の回転駆動力をヒンジ部材60に伝達することができる。
【0046】
締結突起54は、出力ピン52の外周面に軸方向に沿って形成され、後述するヒンジ部材60の締結溝64に挿入される。締結突起54は、
図2に示されているところのように、予め定められた角度間隔を置いて複数個が形成されることが好ましいが、これに限定されるものではない。このような締結突起54は、出力ピン52と入力ホール62の間にスリップが発生しないよう、入力ホール62に対する出力ピン52の締結力を補強することができる。
【0047】
接続ヘッド56は、駆動モーター20側を向いたアダプタ50の一端に形成され、電磁石42と対面するように第2収容空間12に収容される。このような接続ヘッド56と電磁石42の間には、
図1に示されているところのように、接続ヘッド56と電磁石42を摩擦接続するか、接続ヘッド56と電磁石42の間に間隔を形成可能な弾性部材80が配置されてよい。弾性部材80は、
図2に示されているところのように、ウェーブ形状を有するワッシャースプリングであることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0048】
連結ピン58は、このような接続ヘッド56と出力ピン52を連結し、ドライブベアリング41によって回転支持されるようドライブベアリング41の中空43に挿入される。連結ピン58は、
図2に示されているところのように、接続ヘッド56と出力ピン52に比べて小さい直径を有することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0049】
以下では、
図3を参照しながら、電磁石42と接続ヘッド56を接続する方法を説明する。
【0050】
先ず、電磁石42がドライブベアリング41と反対極性に磁化されるよう電磁石42に電流を印加する。そうすると、電磁石42は、
図3に示されているところのように、ドライブベアリング41と電磁石42の間に作用する引力によってドライブベアリング41側に移動し、弾性部材80を加圧する。弾性部材80は、このような電磁石42によって接続ヘッド56及び電磁石42とそれぞれ密着されるように弾性変形されることにより、電磁石42と接続ヘッド56を摩擦接続する。つまり、電磁石42と接続ヘッド56は、電磁石42と弾性部材80の間に作用する摩擦力、及び接続ヘッド56と弾性部材80の間に作用する摩擦力によって接続されるのである。これを介し、接続ヘッド56は、電磁石42を媒介に駆動モーター20の回転駆動力の伝達を受けることができる。
【0051】
以下では、
図4を参照しながら、電磁石42と接続ヘッド56を接続解除する方法を説明する。
【0052】
先ず、電磁石42が磁化されないよう電磁石42に印加される電流を遮断し、電磁石42とドライブベアリング41の間の引力を除去する。そうすると、弾性部材80は、ウェーブ形状を有するように弾性復元されて電磁石42と接続ヘッド56の間に間隔を形成することにより、電磁石42と接続ヘッド56を接続解除することができる。
【0053】
図5は、
図1に示されているヒンジ部材とヒンジブラケットの結合関係を説明するための図である。
【0054】
次いで、ヒンジ部材60は、駆動モーター20の回転駆動力を利用して、テールゲート(T)を回動させるためのテールゲート(T)のヒンジ軸(C)を形成するように設けられる。ヒンジ部材60は、
図2に示されているところのように、円筒状を有し、一側に結合されたヒンジアーム90によってテールゲート(T)と連結される。
【0055】
ヒンジ部材60は、
図5に示されているところのように、ヒンジ部材60の両側端部がそれぞれ後述するヒンジブラケット70のヒンジベアリング77等によって回転可能なように支持されるよう、ヒンジブラケット70に装着される。このようなヒンジ部材60は、
図2に示されているところのように、入力ホール62と、締結溝64を備えることができる。
【0056】
入力ホール62は、アダプタ50の出力ピン52が分離可能に挿入できるよう、軸方向に沿って形成される。締結溝64は、アダプタ50の締結突起54を挿入できるよう、入力ホール62の内周面に軸方向に沿って形成される。締結溝64の形成個数は特に限定されず、締結突起54と同一個数の締結溝64が、締結突起54の形成間隔と同一の間隔を置いて形成されてよい。このような入力ホール62と締結溝64にはアダプタ50の出力ピン52と締結突起54がそれぞれ挿入され、これによってヒンジ部材60はアダプタ50と接続される。そうすると、ヒンジ部材60は、電磁石42と接続ヘッド56が接続された場合、駆動モーター20の回転駆動力を利用してテールゲート(T)を回転駆動し、テールゲート(T)を自動で開閉することができる。よって、ヒンジ部材60は、駆動モーター20の回転駆動力をテールゲート(T)に伝達するための動力伝達部材として、また、テールゲート(T)のヒンジ軸(C)を形成する軸部材として機能することができる。
【0057】
一方、電磁石42と接続ヘッド56が接続された状態で、運転手がテールゲート(T)を手動で開閉する場合、前述した動力伝達部材等と駆動モーター20は、運転手が印加した回転駆動力(以下、「手動作動力」と記す)によって手動で回動される。そうすると、動力伝達部材等と駆動モーター20が回転負荷として作用し、テールゲート(T)の手動開閉に必要な手動作動力が増加し、駆動モーター20に逆起電力が発生する。車両のECUなどの制御装置(図示省略)は、前記逆起電力によって発生した電流を測定し、テールゲート(T)が手動で開閉中であることを感知することができる。このような制御装置は、逆起電力による電流が予め定められた基準値に到達すれば、電磁石42を非磁化にさせるか、電磁石42とドライブベアリング41の間に斥力が作用するように電磁石42を磁化させる。そうすると、電磁石42と接続ヘッド56が互いに離隔して接続解除されることにより、テールゲート(T)の手動開閉時に必要な手動作動力を減らすことができる。
【0058】
図6は、
図1に示されているヒンジブラケットとハウジングの結合関係を説明するための図である。
【0059】
次いで、ヒンジブラケット70は、ヒンジ部材60を回転支持するとともに、ハウジング10を予め定められた位置に固定することができるように設けられる。ヒンジブラケット70は、
図2に示されているところのように、互いに対面するように設けられた一対の側板71、73と、このような側板71、73を連結する連結板75とでなる。
【0060】
側板71、73はそれぞれ、
図2に示されているところのように、ヒンジ部材60の両側端部等のうちいずれか一側の端部を回転支持可能なヒンジベアリング77を備えることができる。連結板75は、ボルトなどの締結部材によって車体ボディー(B)の予め定められた位置に締結され、ヒンジブラケット70及びヒンジ部材60を車体ボディー(B)に固定することができる。
【0061】
一方、ハウジング10は、上述のようなヒンジブラケット70に固定されてよい。例えば、
図2に示されているところのように、ハウジング10は、側板71、73のうちいずれか一つの側板71に向かうように延びるように形成され、前記いずれか一つの側板71に固定される固定リブ17をさらに備えることができる。固定リブ17は、
図2に示されているところのように、一対が予め定められた間隔ほど互いに離隔されるように設けられてよい。ただし、これに限定されるものではなく、固定リブ17は少なくとも一つが設けられてよい。
【0062】
固定リブ17をヒンジブラケット70に固定する方法は特に限定されない。例えば、固定リブ17は、固定リブ17の一側端部に穿孔された固定ホール18を備え、前記いずれか一つの側板71は、固定ホール18に嵌め込まれるように形成される固定突起79を備えることができる。固定突起79の設置個数は特に限定されず、固定突起79は固定リブ17と同一個数が設けられる。このような固定突起79と固定ホール18が設けられるに伴い、
図6に示されているところのように、ハウジング10は、固定突起79が固定ホール18に嵌め込まれるように設けられることによってヒンジブラケット70に固定される。これを介し、ハウジング10とヒンジブラケット70の間の間隔を一定に維持することができ、駆動モーター20の回転駆動力によりハウジング10が回動されて動力損失が発生することを防止することができる。
【0063】
図7は、
図1に示されているゲートリフターが車両に設けられた状態を示す車両の斜視図である。
【0064】
ゲートリフター1は、別途のリンク部材を用いることなく駆動モーター20とヒンジ部材60を連結する。よって、ゲートリフター1は、リンク部材による動力損失を減らすことができ、駆動モーター20のRPMを減らして駆動モーター20の作動騷音を低減することができる。
【0065】
ゲートリフター1は動力損失を低減可能な構造を有するので、一つのゲートリフター1だけでもテールゲート(T)を円滑に開閉することができる。例えば、
図6に示されているところのように、車体ボディー(B)の一側端部にはゲートリフター1を設け、車体ボディー(B)の他側端部にはヒンジアームとヒンジ部材などのみ備えて、駆動モーターと動力伝達部材などは備えない一般的なヒンジユニットを設けることができる。よって、ゲートリフター1は、テールゲート(T)の開閉に必要な部品数を減らすことができるので、車両の製造費用、組立工数及び重量などを減少させることができる。
【0066】
このようなゲートリフター1の設置位置は特に限定されない。例えば、
図6に示されているところのように、ゲートリフター1は、ヒンジアーム90だけが車両の外部に制限的に露出されるよう車体ボディー(B)に並列に埋設されてよい。よって、ゲートリフター1は、運転手が駆動モーター20と動力伝達部材等によって負傷を負うか、駆動モーター20と動力部材が破損されることを防止することができる。
【0067】
以上で、本発明は、一例としての限定された実施形態と図面によって説明されたが、本発明はこれによって限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を有した者によって、本発明の技術思想と下記に記載される特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0068】
1 車両用ゲートリフター
10 ハウジング
20 駆動モーター
30 減速機
40 電子クラッチ
50 アダプタ
60 ヒンジ部材
70 ヒンジブラケット
80 弾性部材
90 ヒンジアーム
T テールゲート
B 車体ボディー