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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20220523BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220523BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220523BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20220523BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20220523BHJP
   G02F 1/1345 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
G09F9/30 348Z
G09F9/30 308Z
G09F9/30 330
G09F9/30 349E
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/02
H05B33/22 Z
G02F1/1345
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2017240552
(22)【出願日】2017-12-15
(65)【公開番号】P2019109291
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 安
(72)【発明者】
【氏名】山口 一
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-128006(JP,A)
【文献】特開2017-187580(JP,A)
【文献】特開2017-111435(JP,A)
【文献】特開2015-143846(JP,A)
【文献】特開2017-187581(JP,A)
【文献】特開2014-153711(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0040406(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0301266(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0066409(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 - 9/46
H01L 27/32
H01L 51/50
H05B 33/00 - 33/28
G02F 1/1345
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域を含む第1領域と、実装領域を含む第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間に位置する第3領域と、を有する基板と、
前記第3領域において、前記基板上に設けられた第1有機膜と、
前記第1有機膜上に第1方向に間隔をおいて配置され、前記第1方向と交差する第2方向に延出した複数の配線と、
前記第3領域において、前記第1有機膜と前記複数の配線を覆う第2有機膜と、
前記第2有機膜上に設けられた第1無機膜と、
前記第1無機膜を覆う第3有機膜と、
前記第3有機膜上において前記第1無機膜と重畳する位置に設けられた第2無機膜と、
前記第2無機膜上に設けられた第4有機膜と、
を備えている、表示装置。
【請求項2】
前記第2有機膜の一部は、前記第1領域及び前記第2領域に重畳している、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1無機膜は、前記第1領域及び前記第2領域に形成された無機膜と重畳しない、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第3有機膜は、前記第1無機膜より前記第1領域側及び前記第1無機膜より前記第2領域側で、前記第2有機膜と接している、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第3有機膜の一部は、前記第1方向において、前記第2有機膜の一部と接している、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1無機膜は、前記第2方向に沿って延出した帯状に形成されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1無機膜は、格子状に形成されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第4有機膜は、前記第2無機膜より前記第1領域側及び前記第2無機膜より前記第2領域側で、前記第3有機膜と接している、請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第4有機膜の一部は、前記第1方向において、前記第3有機膜の一部と接している、請求項1又は8に記載の表示装置。
【請求項10】
さらに、前記第1領域上に設けられた光学部材と、
前記実装領域に接続された配線基板と、
前記光学部材の端部から前記配線基板の端部に亘って設けられた樹脂層と、を備える、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
さらに、前記第1領域上に設けられた光学部材と、
前記実装領域に接続された配線基板と、
前記光学部材の端部から前記配線基板の端部に亘って設けられた樹脂層と、
を備え、
前記樹脂層は、前記第4有機膜を覆い、前記第3有機膜の一部と接している、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1有機膜のヤング率と前記第2有機膜のヤング率とは、前記樹脂層のヤング率より大きい、請求項10に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第1有機膜と前記第2有機膜とは、フッ素を含んでいる、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記基板は、前記第1領域と前記第2領域とが対向するように、前記第3領域で折り曲げられている、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やPDA(personal digital assistant)等に用いられる表示装置では、性能面や、デザイン性等の観点から、狭額縁化が要求されている。狭額縁化の一例として、他の配線基板などが実装される実装部が表示面の下側に位置するように、表示パネルの一部を折り曲げる方法が知られている。しかしながら、折り曲げ領域に設けられた配線は、折り曲げによる応力の影響を受けて断線する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-68926号公報
【文献】特開2017-98020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、折り曲げによる断線の発生を抑制し、信頼性を向上することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、
表示領域を含む第1領域と、実装領域を含む第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間に位置する第3領域と、を有する基板と、前記第3領域において、前記基板上に設けられた第1有機膜と、前記第1有機膜上に第1方向に間隔をおいて配置され、前記第1方向と交差する第2方向に延出した複数の配線と、前記第3領域において、前記第1有機膜と前記複数の配線を覆う第2有機膜と、前記第2有機膜上に設けられた第1無機膜と、を備えている、表示装置が提供される。
また、一実施形態によれば、
表示領域を含む第1領域と、実装領域を含む第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間に位置する第3領域と、を有し、前記第1領域と前記第2領域とが対向するように前記第3領域で折り曲げられている基板と、前記第3領域において、前記基板上に形成された第1有機膜と、前記第1有機膜上に第1方向に間隔をおいて配置された配線と、前記配線と前記第1有機膜とを覆う第2有機膜と、前記第2有機膜上に形成された第1無機膜と、を備えている、表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態に係る表示装置1の構成を示す平面図である。
図2図2は、図1に示す折り曲げ領域BAが折り曲げられた状態を示す図である。
図3図3は、図1に示す表示装置1の表示領域DAを示す断面図である。
図4図4は、図1に示すA-A’線に沿った断面図である。
図5図5は、図1に示すB-B’線に沿った断面図である。
図6図6は、図5に示す表示装置1の製造方法の一例を示す断面図である。
図7図7は、図6に続く製造工程を示す断面図である。
図8図8は、図7に続く製造工程を示す断面図である。
図9図9は、図8に続く製造工程を示す断面図である。
図10図10は、図9に続く製造工程を示す断面図である。
図11図11は、図10に続く製造工程を示す断面図である。
図12図12は、図11に続く製造工程を示す断面図である。
図13図13は、図4に示す第1無機膜IL1の一例を示す平面図である。
図14図14は、第1無機膜IL1の他の例を示す図である。
図15図15は、第1無機膜IL1の他の例を示す図である。
図16図16は、第1無機膜IL1の他の例を示す図である。
図17図17は、第1無機膜IL1の他の例を示す図である。
図18図18は、比較例としての折り曲げ領域BAを示す断面図である。
図19図19は、本実施形態の変形例に係る、図1に示すB-B’線に沿った断面図である。
図20図20は、折り曲げ領域BAの他の例を示す断面図である。
図21図21は、折り曲げ領域BAの他の例を示す断面図である。
図22図22は、折り曲げ領域BAの他の例を示す断面図である。
図23図23は、折り曲げ領域BAの他の例を示す断面図である。
図24図24は、折り曲げ領域BAの他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
図1は、本実施形態に係る表示装置1の構成を示す平面図である。本実施形態において、表示装置1は、一例として、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を有する有機EL表示装置である。しかしながら、表示装置1は、液晶層を有する液晶表示装置、あるいは電気泳動型素子等を有する電子ペーパー型表示装置等、他の表示装置であってもよい。
【0009】
図1は、第1方向Xと、第1方向Xに垂直な第2方向Yと、第1方向X及び第2方向Yに垂直な第3方向Zによって規定される三次元空間を示している。なお、第1方向Xと第2方向Yとは、90度以外の角度で交差していてもよい。また、本実施形態において、第3方向Zを上と定義し、第3方向Zと反対側の方向を下と定義する。「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、第1部材から離れて位置していてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。
【0010】
表示装置1は、表示パネル2、配線基板3などを備えている。
【0011】
表示パネル2は、一例では、四角形であり、図示した例では矩形状である。図示した例では、表示パネル2の短辺EXは、第1方向Xと平行であり、表示パネル2の長辺EYは、第2方向Yと平行である。第3方向Zは、表示パネル2の厚さ方向に相当する。表示パネル2の主面は、第1方向Xと第2方向Yとにより規定されるX-Y平面に平行である。なお、表示パネル2は、矩形以外の形状でもよく、例えば角部が曲線状に形成されていてもよい。
【0012】
表示パネル2は、表示領域DAと、非表示領域NDAと、実装領域MTとを有している。表示領域DAは、画像を表示する領域であり、例えばマトリクス状に配置された複数の画素PXを備えている。画素PXは、後述する有機EL素子と、有機EL素子を駆動するためのスイッチング素子などを含んでいる。非表示領域NDAは、表示領域DAの外側に位置し、表示領域DAを囲んでいる。実装領域MTは、表示パネル2の短辺EXに沿って設けられている。実装領域MTは、表示パネル2を外部装置等と電気的に接続するための複数の端子TEを含んでいる。
【0013】
表示パネル2は、画素PXと電気的に接続された複数の配線WLを備えている。配線WLは、表示領域DAから実装領域MTへ向かって引き出され、端子TEと接続されている。図示した例では、配線WLは、第2方向Yに沿って延出し、第1方向Xに沿って並んでいる。外部装置から供給される電源電位や信号電位は、端子TE及び配線WLを介して画素PXに供給される。
【0014】
配線基板3は、実装領域MTに実装され、表示パネル2と電気的に接続されている。配線基板3は、例えばフレキシブルプリント回路基板である。配線基板3は、表示パネル2を駆動する駆動ICチップ4などを備えている。駆動ICチップ4は、端子TE及び配線WLを介して、画素PXと電気的に接続されている。なお、駆動ICチップ4は、表示パネル2に実装されていてもよい。図示した例では、配線基板3の第1方向Xに平行な側縁の長さは、短辺EXの長さと比べて小さいが、同等であってもよい。
【0015】
本実施形態において、表示パネル2は、可撓性を有している。すなわち、表示パネル2は、図において斜線を付して示したように、非表示領域NDAにおいて、折り曲げ領域BA有している。折り曲げ領域BAは、表示装置1が電子機器等の筐体に収容される際に表示パネル2が折り曲げられる領域である。上述の配線WLは、折り曲げ領域BAを通って画素PXと端子TEとを接続している。
【0016】
本実施形態において、表示領域DAを含む領域を第1領域A1と称し、実装領域MTを含む領域を第2領域A2と称し、折り曲げ領域BAを含む領域を第3領域A3と称する。
【0017】
図2は、図1に示す折り曲げ領域BAが折り曲げられた状態を示す図である。図2は、Y-Z平面に平行な面を示している。ここでは、説明に必要な構成のみを示している。
【0018】
表示装置1は、表示パネル2及び配線基板3に加え、支持基板PP及び支持部材50を備えている。
【0019】
支持基板PPは、表示パネル2の表示面とは反対側の面に設けられている。ただし、支持基板PPは、折り曲げ領域BAには設けられていない。支持基板PPは、例えば表示領域DAにおいて表示パネル2が湾曲するのを抑制する支持層として機能する。また、支持基板PPは、表示パネル2への水分等の侵入を抑制する防湿性、及びガスの侵入を抑制するガス遮断性を有し、バリア層としても機能する。支持基板PPは、一例では、ポリエチレンテレフタラートを用いて形成されたフィルムである。なお、支持基板PPと表示パネル2との間に他の薄膜が介在していてもよい。
【0020】
表示パネル2は、支持部材50を挟み込むように折り曲げられ、接着剤51によって支持部材50と貼り付けられている。図示した例では、支持基板PPと接着剤51とが接している。折り曲げ領域BAが折り曲げられた状態において、配線基板3は、表示パネル2の下側に位置し、表示パネル2及び支持部材50とほぼ平行に対向している。なお、支持部材50は、省略されてもよい。
【0021】
本実施形態において、折り曲げ領域BAは、第1方向Xに沿った折り曲げ軸AXを中心として折り曲げられている。折り曲げ領域BAは、曲面状である。図示した例では、折り曲げ領域BAは、円周に沿って湾曲している。折り曲げ領域BAが形成する曲面の母線は、折り曲げ軸AXと平行である。すなわち、折り曲げ領域BAの母線は、第1方向Xと平行である。ここで、折り曲げ領域BAの曲面に沿って第1領域A1側から第2領域A2側へ向かう方向を周方向Cと定義する。また、折り曲げ領域BAの曲率半径R1は、例えば折り曲げ軸AXから表示パネル2の内面までの距離として定義される。一例では、曲率半径R1は、0.3mmである。
【0022】
図3は、図1に示す表示装置1の表示領域DAを示す断面図である。表示パネル2は、絶縁基板10、絶縁膜11乃至16、スイッチング素子SW(SW1、SW2、SW3)、有機EL素子OLED(OLED1、OLED2、OLED3)、封止膜17、などを備えている。図示した例では、支持基板PPは、絶縁基板10の下に貼り付けられている。
【0023】
絶縁基板10は、例えばポリイミド等の有機絶縁材料によって形成されている。絶縁膜11は、絶縁基板10の上に形成されている。絶縁膜11は、絶縁基板10から有機EL素子OLEDへ向かう水分等の侵入を抑制するためのバリア層を含んでいてもよい。なお、絶縁膜11は、省略されてもよい。また、後述するように絶縁基板10は、有機絶縁材料によって無機絶縁材料を挟んだ積層構造でもよい。
【0024】
スイッチング素子SWは、絶縁膜11の上に形成されている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT;thin-film-transistor)により構成されている。図示した例では、スイッチング素子SWはトップゲート型であるが、ボトムゲート型であってもよい。以下では、スイッチング素子SW1を例として、その構成を説明する。
【0025】
スイッチング素子SW1は、半導体層SC、ゲート電極GE、ソース電極SE、及び、ドレイン電極DEを備えている。
【0026】
半導体層SCは、絶縁膜11の上に形成され、絶縁膜12により覆われている。ゲート電極GEは、絶縁膜12の上に形成され、絶縁膜13により覆われている。ソース電極SE及びドレイン電極DEは、それぞれ絶縁膜13の上に形成されている。ソース電極SE及びドレイン電極DEは、絶縁膜13を半導体層SCまで貫通するコンタクトホールにおいて、半導体層SCにそれぞれ接触している。
【0027】
ゲート電極GEは、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、銅(Cu)、クロム(Cr)などの金属材料や、これらの金属材料を組み合わせた合金などによって形成され、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。ソース電極SE及びドレイン電極DEを形成する材料は、上記の金属材料が適用可能である。
【0028】
スイッチング素子SWは、絶縁膜14により覆われている。絶縁膜14は、絶縁膜15により覆われている。絶縁膜11乃至13、及び絶縁膜15は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン等の無機絶縁材料により形成されている。絶縁膜14は、例えばポリイミド等の有機絶縁材料により形成されている。
【0029】
有機EL素子OLEDは、絶縁膜15の上に形成されている。図示した例では、有機EL素子OLEDは、絶縁基板10とは反対側に光を出射する所謂トップエミッションタイプであるが、この例に限らず、絶縁基板10の側に光を出射する所謂ボトムエミッションタイプであってもよい。一例では、有機EL素子OLED1は、赤色に発光する有機発光層ORG1を備え、有機EL素子OLED2は、青色に発光する有機発光層ORG2を備え、有機EL素子OLED3は、緑色に発光する有機発光層ORG3を備えている。以下では、有機EL素子OLED1を例として、その構成を説明する。
【0030】
有機EL素子OLED1は、画素電極PE1、共通電極CE、及び有機発光層ORG1により構成されている。
【0031】
画素電極PE1は、絶縁膜15の上に設けられている。画素電極PE1は、絶縁膜15及び絶縁膜14内に設けられたコンタクトホールにおいて、スイッチング素子SW1のドレイン電極DEと接触している。これにより、画素電極PE1とスイッチング素子SW1とは、互いに電気的に接続される。有機発光層ORG1は、画素電極PE1の上に形成されている。有機発光層ORG1は、発光効率を向上するために、電子注入層、正孔注入層、電子輸送層、正孔輸送層等をさらに含んでいてもよい。共通電極CEは、有機発光層ORG1の上に形成されている。共通電極CEと画素電極PEとは、例えばインジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)等の透明な導電材料によって形成されている。
【0032】
以上のように構成された有機EL素子OLED1は、画素電極PE1と共通電極CEとの間に印加される電圧(あるいは電流)に応じた輝度で発光する。なお、図示は省略するが、トップエミッションタイプの場合には、有機EL素子OLED1は、絶縁膜15と画素電極PE1との間に反射層を含んでいることが望ましい。反射層は、例えばアルミニウム、銀等の反射率の高い金属材料により形成されている。なお、反射層の反射面、すなわち有機発光層ORG1側の面は、平坦であってもよいし、光散乱性を付与するために凹凸が形成されていてもよい。
【0033】
各有機EL素子OLEDは、有機絶縁材料からなる絶縁膜(リブ)16により、画素PXごとに区画されている。絶縁膜16は、画素電極PEの上に形成されている。図示した例では、絶縁膜16は、絶縁膜15とも接している。絶縁膜16は、例えばポリイミドによって形成されている。
【0034】
有機発光層ORG1、ORG2、及びORG3は、絶縁膜16が設けられていない領域、すなわち絶縁膜16と絶縁膜16との間において、画素電極PE1、PE2、及びPE3とそれぞれ接している。図示した例では、共通電極CEは、表示領域DAの全体に亘って形成されている。すなわち、共通電極CEは、有機発光層ORG1、ORG2、及びORG3と接するとともに、絶縁膜16を覆っている。
【0035】
なお、表示パネル2は、複数の画素PXに亘って共通の有機発光層を有していてもよい。このような構成においては、表示パネル2は、有機EL素子OLEDと対向する位置にカラーフィルタを備える。カラーフィルタは、例えば赤色、緑色、青色等に着色された樹脂材料によって形成される。
【0036】
封止膜17は、有機EL素子OLEDを覆っている。封止膜17は、有機EL素子OLEDへの水分や酸素の侵入を抑制し、有機EL素子OLEDの劣化を抑制する。封止膜17は、無機膜171、有機膜172、及び無機膜173を備えている。
【0037】
無機膜171は、有機EL素子OLEDの上に形成されている。図示した例では、無機膜171は、共通電極CEと接している。無機膜173は、無機膜171の上方に位置している。有機膜172は、無機膜171と無機膜173の間に位置し、無機膜171及び無機膜173と接している。
【0038】
無機膜171及び無機膜173は、有機EL素子OLED側への水分の侵入を遮断する機能を有している。無機膜171及び無機膜173は、透明であり、例えば窒化シリコンによって形成されている。有機膜172は、透明な有機材料によって形成されている。なお、ここでの透明とは、透過光が表示に影響のない範囲で着色されることを許容するものである。
【0039】
図4は、図1に示すA-A’線に沿った断面図である。図4は、第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面と平行な面を示している。折り曲げ領域BAにおいて、表示パネル2は、絶縁基板10、配線WL、第1有機膜OL1、第2有機膜OL2、第3有機膜OL3、第4有機膜OL4、第1無機膜IL1、第2無機膜IL2、及び樹脂層RSNを備えている。
【0040】
第1有機膜OL1は、絶縁基板10の上に位置している。配線WLは、第1有機膜OL1の上に位置し、第2有機膜OL2によって覆われている。第1方向Xにおいて、第1有機膜OL1の第1端部E11と第2端部E12とは、第2有機膜OL2によって覆われている。換言すると、第2有機膜OL2は、配線WL及び第1有機膜OL1と接するとともに、第1有機膜OL1を挟んで絶縁基板10とも接している。
【0041】
第1無機膜IL1は、第2有機膜OL2の上に位置している。図示した例では、第1無機膜IL1は、第2有機膜OL2の上面全体を覆っている。第3有機膜OL3は、第1無機膜IL1の上に位置している。図示した例では、第3有機膜OL3は、第1無機膜IL1の上面全体を覆っている。第2無機膜IL2は、第3有機膜OL3の上に位置している。図示した例では、第2無機膜IL2は、第3有機膜OL3の上面全体を覆っている。第4有機膜OL4は、第2無機膜IL2の上に位置している。図示した例では、第4有機膜OL4は、第2無機膜IL2の上面全体を覆っている。
【0042】
樹脂層RSNは、第4有機膜OL4の上に位置している。樹脂層RSNは、第2無機膜IL2、第3有機膜OL3、第1無機膜IL1、及び第2有機膜OL2を覆うとともに、絶縁基板10とも接している。
【0043】
第1有機膜OL1、第2有機膜OL2、及び第3有機膜OL3は、例えばポリイミド等の有機絶縁材料によって形成されている。密着性を向上するために、第1有機膜OL1と第2有機膜OL2とは、同一材料で形成されることが好ましい。また、ポリイミドによって形成される場合、第1有機膜OL1、第2有機膜OL2、及び第3有機膜OL3のうち、少なくとも第1有機膜OL1と第2有機膜OL2とは、フッ素を含んでいる。第3有機膜OL3は、フッ素を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。第4有機膜OL4は、一例では、レジスト膜である。樹脂層RSNは、一例では、アクリル系の樹脂であり、紫外線の照射によって硬化される。このような樹脂層RSNは、配線WLを保護する保護層として機能する。また、第1無機膜IL1及び第2無機膜IL2は、酸化シリコン又は窒化シリコン等の無機絶縁材料によって形成されている。
【0044】
第1有機膜OL1、第2有機膜OL2、第3有機膜OL3、及び第4有機膜OL4のヤング率は、いずれも樹脂層RSNのヤング率より大きい。さらに、第1無機膜IL1及び第2無機膜IL2のヤング率は、いずれも第1乃至第4有機膜OL1乃至OL4のヤング率より大きい。
【0045】
上記の構成において、折り曲げ領域BAが折り曲げられた際の中立面NPは、破線で示すように、絶縁基板10と第1有機膜OL1との境界近傍に位置している。ここで、中立面NPとは、折り曲げ領域BAが折り曲げられた際の引っ張り応力と圧縮応力とがつり合う面である。
【0046】
図5は、図1に示すB-B’線に沿った断面図である。図5は、第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面と平行な面を示している。第1領域A1、第3領域A3、及び第2領域A2は、この順で第2方向Yに沿って並んでいる。
【0047】
表示パネル2は、絶縁基板10、配線WL、絶縁膜11乃至16、有機EL素子OLED、封止膜17、第1乃至第4有機膜OL1乃至OL4、第1無機膜IL1、第2無機膜IL2、及び樹脂層RSNに加え、配線GL、レジスト膜18、粘着層19、光学素子OD1及びOD2、導電層CL、及び端子TEを備えている。
【0048】
第1領域A1は、絶縁基板10に支持基板PP1が貼り付けられた領域に相当する。支持基板PP1は、有機EL素子OLEDと重なる支持基板PPである。実装領域MTは、絶縁基板10に支持基板PP2が貼り付けられた領域に相当する。支持基板PP2は、端子TEと重なる支持基板PPである。折り曲げ領域BAは、支持基板PPが設けられていない領域、すなわち支持基板PP1と支持基板PP2との間の領域に相当する。なお、支持基板PP1は第1支持基板に相当し、支持基板PP2は第2支持基板に相当する。
【0049】
絶縁基板10は、第1領域A1、第2領域A2、及び、第3領域A3に亘って位置している。絶縁膜11乃至13は、第1領域A1と第2領域A2のほぼ全体に亘って形成されているが、第3領域A3には設けられていない。図示した例では、絶縁膜11乃至13は、第3領域A3よりも若干広い領域において除去されている。
【0050】
配線GLは、第1領域A1において、絶縁膜12の上に位置し、絶縁膜13によって覆われている。このような配線GLは、図3に示すスイッチング素子SWのゲート電極GEと同時に形成することができる。
【0051】
絶縁膜14は、第1領域A1に形成されている。絶縁膜14は、絶縁膜13を露出する溝14Tを有している。これにより、実装領域MT側から表示領域DA側への絶縁膜14を介した水分の浸入が抑制され、有機EL素子OLEDの劣化が抑制される。このような溝14Tは、表示領域DAを囲む環状に形成されていることが望ましい。第1領域A1において、上述の配線GLと絶縁膜11乃至13とは、絶縁膜14よりも実装領域MT側へ延出している。
【0052】
絶縁膜15は、絶縁膜14の上に位置している。絶縁膜15は、溝14Tにおいて、絶縁膜13と接している。また、絶縁膜15は、絶縁膜14よりも実装領域MT側に延出し、絶縁膜13とも接している。絶縁膜16は、溝14Tよりも内側の領域、すなわち溝14Tよりも実装領域MTから離間した側(もしくは表示領域DA側)に位置している。有機EL素子OLEDは、絶縁膜15の上で、且つ絶縁膜16と絶縁膜16との間に位置している。
【0053】
第1有機膜OL1は、第3領域A3の全体に位置するとともに、第1領域A1及び第2領域A2にも位置している。第1有機膜OL1は、第3領域A3において、絶縁基板10と接している。また、第1有機膜OL1は、第1領域A1及び第2領域A2において、絶縁基板10と接するとともに、絶縁膜11乃至13の少なくとも一部を覆っている。第1領域A1及び第2領域A2において、第1有機膜OL1が絶縁膜11乃至13を覆うことにより、絶縁膜11乃至13よって形成される段差が緩和される。
【0054】
配線WLは、第1領域A1の端部から第2領域A2まで延出している。配線WLは、第3領域A3において、第1有機膜OL1の上に形成されている。また、配線WLは、第1領域A1及び第2領域A2において、絶縁膜13の上に形成されている。配線WLは、第1領域A1において、絶縁膜13に形成されたコンタクトホールCH1において、配線GLと接している。配線WLは、図3に示すスイッチング素子SWのソース電極SE及びドレイン電極DEと同時に形成することができる。
【0055】
第2有機膜OL2は、配線WLのすべてを覆っている。第2有機膜OL2は、第3領域A3の全体に位置するとともに、一部が第1領域A1及び第2領域A2にも位置している。図示した例では、第2有機膜OL2は、第1領域A1において配線WL及び絶縁膜13と接するとともに、配線GLとも接している。第2有機膜OL2は、第2領域A2において、配線WLと接するとともに、絶縁膜13とも接している。第2有機膜OL2は、絶縁膜14と同時に形成することができる。
【0056】
第2有機膜OL2は、第2領域A2において、配線WLを露出するコンタクトホールCH2を有している。導電層CLは、このコンタクトホールCH2内に設けられ、配線WLと接している。導電層CLは、有機EL素子OLEDの画素電極PEと同時に形成することができる。
【0057】
第1無機膜IL1は、第3領域A3において、第2有機膜OL2の上に位置している。図示した例では、第1無機膜IL1は、第3領域A3の範囲を覆っているが、第1有機膜OL1及び第2有機膜OL2の両端部を覆っていない。すなわち、第1無機膜IL1は、第3方向Zにおいて、第1領域A1及び第2領域A2に位置する絶縁膜11乃至13と重なっていない。第1無機膜IL1は、絶縁膜15と同時に形成することができる。
【0058】
第3有機膜OL3は、第1無機膜IL1のすべてを覆っている。第3有機膜OL3は、第3領域A3の全体に位置するとともに、一部が第1領域A1及び第2領域A2にも位置している。第3有機膜OL3は、第1領域A1及び第2領域A2において、第2有機膜OL2と接している。第3有機膜OL3は、絶縁膜16と同時に形成することができる。すなわち、表示パネル2を折り曲げる際に、特に応力が加わりやすい第1領域A1の第3領域A3側の端部には、第1無機膜IL1は形成されていない。第2有機膜OL2と第1無機膜IL1との密着性、及び、第3有機膜OL3と第1無機膜IL1との密着性は、第2有機膜OL2と第3有機膜OL3との密着性に比べて悪い。このため、表示パネル2を折り曲げた際に、第3領域A3の第1無機膜IL1の剥離が発生しやすい。第1領域A1の第3領域A3側の端部に第1無機膜IL1が形成されていた場合、応力が加わりやすい領域で第2有機膜OL2と第3有機膜OL3とが接しないこととなる。それゆえ、当該領域で第1無機膜IL1が剥離し、第1無機膜IL1の剥離に伴って無機膜171等の剥離を招き、さらには、表示領域DA内における部材の剥離を招くおそれがある。
【0059】
本実施形態においては、第1無機膜IL1は第2有機膜OL2及び第3有機膜OL3よりも小さく形成されている。そのため、第1領域A1は、その第3領域A3側で、第2有機膜OL2と第3有機膜OL3とが接する部分を有することで、表示パネル2を折り曲げる際に第3領域A3の第1無機膜IL1が剥離したとしても、第2有機膜OL2と第3有機膜OL3とが十分に密着しているため、剥離の影響の伝播を抑制することができる。
【0060】
第3有機膜OL3は、第2領域A2において、導電層CLを露出するコンタクトホールCH3を有している。端子TEは、このコンタクトホールCH3内に設けられ、導電層CLと接している。これにより、端子TEと配線WLとは、導電層CLを介して電気的に接続される。端子TEは、有機EL素子OLEDの共通電極CEと同時に形成することができる。
【0061】
封止膜17は、第1領域A1において有機EL素子OLEDを覆うとともに、一部が第2有機膜OL2及び第3有機膜OL3の端面も覆っている。具体的には、無機膜171は、絶縁膜14よりも実装領域MT側へ延出し、第2有機膜OL2及び第3有機膜OL3の端面と接している。図示した例では、絶縁膜14と第2有機膜OL2との間において、無機膜171は、絶縁膜15、絶縁膜13、及び配線GLと接している。有機膜172は、絶縁膜14が設けられた領域内に位置している。無機膜173は、有機膜172よりも実装領域MT側に延出し、無機膜171と接している。
【0062】
第2無機膜IL2は、第3領域A3の第3有機膜OL3の上で、第1無機膜IL1とほぼ重なる領域に設けられている。すなわち、第2無機膜IL2は、第3領域A3の範囲を覆っているが、第3有機膜OL3の両端部を覆っていない。また、第2無機膜IL2は、第3方向Zにおいて、第1領域A1及び第2領域A2に位置する絶縁膜11乃至13と重なっていない。第2無機膜IL2は、一例では、封止膜17を構成する無機膜171と無機膜173とによって形成される。なお、第2無機膜IL2は、無機膜171及び173のいずれか一方によって形成されてもよく、他の無機膜によって形成されてもよい。
【0063】
レジスト膜18は、封止膜17の上に形成されている。図示した例では、第1領域A1におけるレジスト膜18の端部の位置は、無機膜171の端部及び無機膜173の端部の位置とほぼ揃っている。
【0064】
第4有機膜OL4は、第3領域A3の第2無機膜IL2の直上に位置している。換言すると、第2無機膜IL2は、第4有機膜OL4が設けられた領域に形成されている。第4有機膜OL4は、レジスト膜18と同時に形成することができる。
【0065】
光学素子OD1及びOD2は、粘着層19によってレジスト膜18と接着されている。光学素子OD1は、一例では、位相差板等の光学部材であり、光学素子OD2は、一例では、偏光板等の光学部材である。
【0066】
以上のように構成された表示パネル2は、第2領域A2において、異方性導電膜ACFを介して、配線基板3と接着されている。異方性導電膜ACFは、接着剤中に導電性粒子CPを含んでいる。端子TEと配線基板3との間に異方性導電膜ACFを介在させた状態で、表示パネル2と配線基板3とを互いに近づくように加圧し、加熱することで、両者が電気的及び物理的に接続される。樹脂層RSNは、少なくとも第3領域A3に設けられ、第4有機膜OL4を覆っている。図示した例では、樹脂層RSNは、光学素子OD1及びOD2の端部から配線基板3の端部に亘って設けられており、粘着層19、レジスト膜18、無機膜171及び173、第3有機膜OL3、第2無機膜IL2、第4有機膜OL4に接するとともに、配線基板3の端部を覆っている。
【0067】
すなわち、表示パネル2を折り曲げる際に、特に応力が加わりやすい第1領域A1の第3領域A3側の端部には、第2無機膜IL2は形成されていない。第3有機膜OL3と第2無機膜IL2との密着性、及び、第4有機膜OL4と第2無機膜IL2との密着性は、第3有機膜OL3と樹脂層RSNとの密着性に比べて悪い。このため、表示パネル2を折り曲げた際に、第3領域A3の第2無機膜IL2の剥離が発生しやすい。第2無機膜IL2が、封止膜17を構成する無機膜171と無機膜173とによって第1領域A1から第3領域A3に亘って連続して形成されていた場合、第3領域A3で発生した第2無機膜IL2の剥離が無機膜171及び無機膜173の剥離を招き、さらには、表示領域DA内においても部材の剥離を招くおそれがある。また、表示パネル2を折り曲げる際に、第2無機膜IL2にクラックが発生した場合、クラックも伝播し、表示領域DA内にクラックが伝播するおそれがある。
【0068】
本実施形態においては、第2無機膜IL2は、封止膜17を構成する無機膜171と無機膜173とによって形成されているが、第1領域A1から第3領域A3に亘って連続して形成されていない。そのため、表示パネル2を折り曲げる際に、第2無機膜IL2が剥離したりクラックが発生したりしたとしても、他の部材の剥離及びクラックの伝播を抑制することができる。
【0069】
次に、図6乃至図12を参照して、図5に示す表示装置1の製造方法の一例について説明する。
【0070】
図6に示すように、ガラス基板GSの上に、たとえばポリイミド等の有機絶縁材料からなる絶縁基板10が形成される。次いで、絶縁基板10の上の全体に亘って、例えばプラズマ化学的気相成長法(プラズマCVD)によって、例えば酸化シリコン又は窒化シリコンからなる絶縁膜11が形成される。その後、第3領域A3において、絶縁膜11が例えばエッチングによって除去される。
【0071】
次いで、絶縁膜11及び絶縁基板10の上に、例えばプラズマCVDによって、例えば酸化シリコン又は窒化シリコンからなる絶縁膜12が形成される。次いで、絶縁膜12の上に、例えばスパッタによって、配線GLが形成される。配線GLは、第1領域A1内に形成される。配線GLは、図3に示すスイッチング素子SWのゲート電極GEと同一材料で同時に形成することができる。次いで、配線GL及び絶縁膜12の上に、例えばプラズマCVDによって、例えば酸化シリコン又は窒化シリコンからなる絶縁膜13が形成される。
【0072】
次いで、第3領域A3において、絶縁膜12及び絶縁膜13がエッチングによって除去される。このとき、配線GLの端部を露出するコンタクトホールCH1も同時に形成される。絶縁膜12及び絶縁膜13の除去は、図3に示すスイッチング素子SWのソース電極SE及びドレイン電極DEを半導体層SCと接続させるためのコンタクトホールの形成と同時に行うことができる。
【0073】
その後、第3領域A3において、フッ素を含むポリイミドからなる第1有機膜OL1が形成される。次いで、例えばスパッタによって、配線GLの端部から第2領域A2まで延在した配線WLが形成される。配線WLは、第3領域A3において、第1有機膜OL1の上に形成される。配線WLの両端部は、絶縁膜13の上に形成される。第1領域A1において、配線WLは、コンタクトホールCH1において、配線GLと接触される。
【0074】
次に、図7に示すように、絶縁基板10の上の全体に亘って、例えばフッ素を含むポリイミドからなる絶縁膜14が形成される。その後、リソグラフィによって、絶縁膜14は、部分的に除去される。すなわち、第1領域A1において、絶縁膜14内に、絶縁膜13を露出する溝14Tが形成される。溝14Tが形成されることより、第2領域A2側から第1領域A1側への絶縁膜14を介した水分等の浸入を抑制することができる。これにより、有機EL素子OLEDの劣化を抑制することができる。
【0075】
一方、第3領域A3の全体において、絶縁膜14は、除去されない。すなわち、第3領域A3における絶縁膜14は、第2有機膜OL2に相当する。図示した例では、第2有機膜OL2は、第1領域A1まで延在し、配線WLの端部を覆っている。また、第2有機膜OL2は、第2領域A2まで延在している。第2領域A2において、第2有機膜OL2には、配線WLの端部を露出するコンタクトホールCH2が形成される。
【0076】
次に、図8に示すように、絶縁基板10の上の全体に亘って、例えばプラズマCVDによって、例えば酸化シリコン又は窒化シリコンからなる絶縁膜15が形成される。その後、エッチングによって、第1領域A1及び第2領域A2において、絶縁膜15が部分的に除去される。これにより、第1領域A1及び第2領域A2において、第2有機膜OL2が部分的に露出される。換言すると、絶縁膜15は、第3領域A3に形成される。第3領域A3における絶縁膜15は、第1無機膜IL1に相当する。図示した例では、第1無機膜IL1は、第1領域A1の近傍まで延出しているが、コンタクトホールCH1と重なっていない。また、第1無機膜IL1は、第2領域A2の近傍まで延出しているが、コンタクトホールCH2を覆っていない。なお、絶縁膜15は、第1領域A1において、絶縁膜14を覆うとともに、絶縁膜13とも接している。第1領域A1における絶縁膜15は、第1無機膜IL1と連続していない。そのため、折り曲げた際に、第1無機膜IL1にクラックが発生したとしても、表示領域DAまで伝播することを抑制できる。
【0077】
次いで、例えばスパッタによって、絶縁膜15の上に画素電極PEが形成される。このとき、第2領域A2において、導電層CLが形成される。導電層CLは、コンタクトホールCH2に形成され、配線WLと接触する。
【0078】
次に、図9に示すように、絶縁基板10の上の全体に亘って、例えばポリイミドからなる絶縁膜16が形成される。絶縁膜16がポリイミドから形成される場合、フッ素を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。その後、リソグラフィによって、絶縁膜16は、部分的に除去される。これにより、第1領域A1において、リブとしての絶縁膜16が形成される。一方、第3領域A3において、絶縁膜16は、除去されず、第3有機膜OL3が形成される。すなわち、第3領域A3における絶縁膜16は、第3有機膜OL3に相当する。第3有機膜OL3は、第1無機膜IL1を覆うとともに、第2有機膜OL2とも接している。第2領域A2において、導電層CLを露出するコンタクトホールCH3が形成される。
【0079】
その後、第1領域A1において、リブとリブとの間に、例えばマスク蒸着法や印刷法によって有機発光層ORGが形成される。次いで、例えばスパッタによって、共通電極CEが形成される。共通電極CEは、第1領域A1において、リブとしての絶縁膜16と絶縁膜16との間において、有機発光層ORGと接している。これにより、有機EL素子OLEDが形成される。図示した例では、共通電極CEは、絶縁膜16も覆っている。また、このとき、第2領域A2において、端子TEが形成される。端子TEは、コンタクトホールCH3内に形成され、導電層CLと接している。これにより、配線WLと端子TEとが電気的に接続される。
【0080】
次に、図10に示すように、絶縁基板10の上の全体に亘って、封止膜17が形成される。具体的には、まず、例えばプラズマCVDによって、例えば窒化シリコンからなる無機膜171が形成される。無機膜171は、絶縁基板10の上の全体に亘って形成される。次いで、透明な有機絶縁材料からなる有機膜172が無機膜171の上に形成される。有機膜172は、第1領域A1内に形成される。図示した例では、有機膜172は、絶縁膜14と重なっているが、第2有機膜OL2と重なっていない。次いで、例えばプラズマCVDによって、例えば窒化シリコンからなる無機膜173が形成される。無機膜173は、絶縁基板10の上の全体に亘って形成される。すなわち、無機膜173は、有機膜172を覆うとともに、無機膜171とも接している。
【0081】
次に、図11に示すように、レジスト膜18が、無機膜173の上に選択的に塗布される。レジスト膜18は、配線WLよりも有機EL素子OLED側の領域全体に設けられている。また、レジスト膜18は、第3領域A3の全体に亘って設けられ、第4有機膜OL4を形成している。すなわち、第3領域A3におけるレジスト膜18は、第4有機膜OL4に相当する。図示した例では、第4有機膜OL4は、第1無機膜IL1とほぼ重なる領域に位置している。
【0082】
次に、このレジスト膜18をマスクとして、エッチングが行われる。これにより、第3領域A3において、第4有機膜OL4によって覆われた第2無機膜IL2が形成される。すなわち、第3領域A3における無機膜171及び173は、第2無機膜IL2に相当する。すなわち、第2無機膜IL2は、無機膜171及び173と連続していない。そのため、折り曲げた際に、第2無機膜IL2にクラックが発生したとしても、表示領域DAまで伝播することを抑制できる。なお、図示した例では、第2無機膜IL2は、無機膜171及び173の双方を含んでいるが、無機膜171及び173のいずれか一方によって形成されてもよい。
【0083】
次に、図12に示すように、ガラス基板GSが剥離された後、絶縁基板10の下面に支持基板PPが貼り付けられる。一例では、支持基板PPは、第3領域A3に相当する領域に開口APを有している。なお、絶縁基板10の下面の全体に亘って支持基板PPが貼り付けられた後、例えばレーザー光の照射によって第3領域A3に相当する領域の支持基板PPが除去されてもよい。
【0084】
次いで、第1領域A1において、レジスト膜18の上に粘着層19を介して光学素子OD1及びOD2が貼り付けられる。光学素子OD1は、例えば位相差板であり、光学素子OD2は、例えば偏光板である。その後、図5に示すように、異方性導電膜ACFを介して、端子TEに配線基板3が接着された後、光学素子OD2の側面から第2領域A2までを覆う樹脂層RSNが塗布される。樹脂層RSNは、例えば紫外線を照射することによって硬化される。
【0085】
なお、表示装置1の製造方法は、上記の方法に限定されない。例えば、後述するように、第1無機膜IL1、第3有機膜OL3、第2無機膜IL2、及び第4有機膜OL4のうち少なくとも一つは、形成されなくてもよい。
【0086】
図13は、図4に示す第1無機膜IL1の一例を示す平面図である。図13は、便宜的に第1方向X及び第2方向Yによって規定されるX-Y平面を示しているが、第3領域A3が折り曲げられた状態においては、第2方向Yは、周方向Cに相当する。なお、ここでは、第1無機膜IL1を代表して示しているが、第2無機膜IL2が同様の形状を有していてもよい。
【0087】
第1無機膜IL1は、一例では、略矩形状に形成されている。第1無機膜IL1は、第2方向Y(又は周方向C)において、第3領域A3の全体に亘って形成されている。一方、第1無機膜IL1は、第1方向Xにおいて、絶縁基板10の幅W10より小さい幅WIL1を有している。図示した例では、第1無機膜IL1は、第1方向Xにおいて、絶縁基板10の略中央に位置している。
【0088】
なお、図5等を参照して説明したように、絶縁膜11は、図中に右上がりの斜線で示したように、第1領域A1及び第2領域A2にそれぞれ位置している。図示を省略するが、絶縁膜12及び13も同様に、第1領域A1及び第2領域A2にそれぞれ位置している。また、樹脂層RSNは、図中に右下がりの斜線で示したように、第3領域A3に位置し、且つ、第1領域A1の一部及び第2領域A2の一部にそれぞれ延在している。
【0089】
平面視において、第1無機膜IL1は、第1領域A1及び第2領域A2にそれぞれ位置する絶縁膜11と離間している。樹脂層RSNは、第3領域A3において第1無機膜IL1と重なり、第1領域A1及び第2領域A2においてそれぞれ絶縁膜11と重なっている。
【0090】
図14は、第1無機膜IL1の他の例を示す図である。図14に示す例は、第1無機膜IL1が第2方向Yに沿って延出した帯状に形成されている点で、図13に示す例と相違している。第1無機膜IL1は、ほぼ一定の幅WIを有し、間隔SIをおいて第1方向Xに沿って並んでいる。ここで、幅WI及び間隔SIは、第1方向Xに沿った長さに相当する。幅WIは、第1無機膜IL1の下方に位置する配線WLの幅WWLとほぼ等しい。また、間隔SIは、配線WLの間隔SWLとほぼ等しい。図示した例では、第1無機膜IL1は、配線WLとほぼ重なっているが、部分的に重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。
【0091】
本例によれば、図13に示す例と比較して、第1無機膜IL1の剛性が低くなるため、第1無機膜IL1におけるクラックの発生を抑制することができる。
【0092】
図15は、第1無機膜IL1の他の例を示す図である。図15に示す例は、第1無機膜IL1が格子状に形成されている点で、図13に示す例と相違している。一例では、第1無機膜IL1は、略正方形の開口部OPを有している。開口部OPは、第1方向X及び第2方向Yに沿ってマトリクス状に配置されている。開口部OPを構成する4辺の長さは、いずれも上述の間隔SIと等しい。また、第1方向Xに隣り合う開口部OPの間隔、及び第2方向Yに隣り合う開口部OPの間隔は、いずれも上述の幅WIと等しい。
【0093】
図15に示す第1無機膜IL1の構造は、図14に示す第1無機膜IL1を第2方向Yに沿って分割した構造とみなすことができる。すなわち、開口部OPを含む構造を基本パターンとして、この基本パターンが第2方向Yに沿って並んでいる。図15に示す例では、第1無機膜IL1の実効的な長さ、すなわち基本パターンの第2方向Yに沿った長さが図14に示す第1無機膜の長さよりも短い。このため、第3領域A3が折り曲げられた際、第1無機膜IL1の実効的な曲率半径は、図14に示す例よりも大きくなる。このため、応力の増大を緩和することができ、第1無機膜IL1におけるクラックの発生を抑制することができる。
【0094】
図16は、第1無機膜IL1の他の例を示す図である。図16に示す例は、第1無機膜IL1が第2方向Yと交差する方向に沿って延出している点で、図14に示す例と相違している。第1無機膜IL1は、ほぼ一定の幅WIを有し、間隔SIをおいて並んでいる。ここで、幅WI及び間隔SIは、第1無機膜IL1の延出方向と直交する方向に沿った長さに相当する。
【0095】
本例によれば、第1無機膜IL1が第2方向Yに対して傾いているため、第3領域A3が折り曲げられた際、第1無機膜IL1の実効的な曲率半径が大きくなる。このため、応力の増大を緩和することができ、第1無機膜IL1におけるクラックの発生を抑制することができる。
【0096】
図17は、第1無機膜IL1の他の例を示す図である。図17に示す例は、第1無機膜IL1が格子状に形成されている点で、図13に示す例と相違している。一例では、第1無機膜IL1は、略平行四辺形の開口部OPを有している。開口部OPは、図16に示す第1無機膜IL1の延出方向に沿って、等間隔で配置されている。開口部OPを構成する4辺の長さは、いずれも上述の間隔SIと等しい。また、隣り合う開口部OPの間隔は、上述の幅WIと等しい。
【0097】
図17に示す第1無機膜IL1の構造は、図16に示す第1無機膜IL1を第2方向Yに沿って分割した構造とみなすことができる。したがって、本例においても、第1無機膜IL1の実効的な長さが図16に示す第1無機膜の長さよりも短い。このため、第3領域A3が折り曲げられた際、第1無機膜IL1の実効的な曲率半径は、図16に示す例よりも大きくなる。このため、応力の増大を緩和することができ、第1無機膜IL1におけるクラックの発生を抑制することができる。
【0098】
図18は、比較例としての第3領域A3の構成を示す断面図である。図18に示す例は、配線WLが無機絶縁膜によって覆われている点で、図4に示す例と相違している。さらに、図18においては、配線WLの各々が無機膜によって覆われている。すなわち、隣り合う配線WLとの間で、樹脂層RSNは、絶縁基板10と接している。
【0099】
このような構成において、第3領域A3が折り曲げられた際に、中立面NPEは、破線で示すように、図4に示す中立面NPよりも下側に位置している。換言すると、比較例における中立面NPEは、図4に示す中立面NPよりも、配線WLから離間している。したがって、比較例において、配線WLの近傍には図4に示す例よりも大きな引っ張り応力が掛かる。
【0100】
一般に、無機膜は、有機膜よりも脆性が高いため、応力によってクラックが生じやすい。このようなクラックは、配線WLが無機膜上に直接形成されている場合、配線WLに伝播し、配線WLの断線を引き起すおそれがある。また、配線WLを覆う無機膜にクラックが生じた場合、水分が浸入し、配線WLが腐食するおそれがある。
【0101】
一方、本実施形態によれば、配線WLは、少なくとも第3領域A3において、有機絶縁材料からなる第1有機膜OL1と第2有機膜OL2とによって挟まれている。そのため、図18に示す比較例と比較して、配線WLを覆う有機膜におけるクラックの発生を抑制できる。また、配線WLは、直接第1無機膜IL1及び第2無機膜IL2と接していないため、無機膜にクラックが発生したとしても、配線WLと無機膜との間の有機膜がクラックの衝撃を吸収し、クラックの伝播を抑制できる。この結果、配線WLの断線が抑制され、信頼性を向上することができる表示装置が提供される。
【0102】
また、配線WLと接する第1有機膜OL1と第2有機膜OL2とは、フッ素を含むポリイミドによって形成されている。ポリイミドがフッ素を含む場合、透湿性及び吸湿性が低下するため、配線WLの腐食を抑制することができる。
【0103】
さらに本実施形態によれば、配線WLよりも上側(折り曲げた際の外周側)に、第1有機膜OL1及び第2有機膜OL2よりヤング率の大きい第1無機膜IL1及び第2無機膜IL2が設けられている。これにより、樹脂層RSNが塑性変形した場合であっても、中立面NPの位置が配線WLから離間する方向へ変動することを抑制することができる。より具体的には、最外周に位置する樹脂層RSNは、第3領域A3を折り曲げた際に、歪み(伸び率)が大きいために塑性変形される場合が多い。塑性変形が生じると、樹脂層RSNのヤング率が著しく減少する。このとき、樹脂層RSNの中立面への寄与は、ほとんどなくなる。しかしながら、本実施形態によれば、配線WLよりも上側に第1無機膜IL1及び第2無機膜IL2を設けることによって、中立面NPの位置を、配線WL側へ近づけることができる。したがって、配線WL近傍の応力の増大を抑制することができ、配線WLの破断を抑制することができる。
【0104】
また、図14乃至図17に示すように、第1無機膜IL1及び第2無機膜IL2を、配線WLのピッチとほぼ等しいピッチで配置された帯状又は格子状に形成することにより、第1無機膜IL1及び第2無機膜IL2におけるクラックの発生を抑制することができる。この結果、第3領域A3を折り曲げた際に、中立面の位置を維持することができる。したがって、配線WL近傍の応力の増大を抑制することができ、配線WLの破断を抑制することができる。
【0105】
さらに、第2有機膜OL2、第1無機膜IL1、第3有機膜OL3、第2無機膜IL2、及び第4有機膜OL4は、第1領域A1における絶縁膜14、絶縁膜15、絶縁膜16、封止膜17、及びレジスト膜18と同時に形成することができる。したがって、製造工程の増加なく、容易に形成することができる。
【0106】
次いで、図19を参照して、本実施形態の変形例について説明する。
【0107】
図19は、図1に示すB-B’線に沿った断面図である。図示した変形例は、第4有機膜OL4が第3有機膜OL3上の全面に形成されている点で、図5に示す構成例と相違している。
【0108】
図5に示した構成例では、第2無機膜IL2は、封止膜17を構成する無機膜171と無機膜173とによって形成されていたが、本変形例においては、他の無機膜によって形成されている。
【0109】
この場合、封止膜17を形成する工程とは別工程で、第2無機膜IL2を例えばプラズマCVDにより形成する。その後、第4有機膜OL4を、第2無機膜IL2を覆うとともに、第3有機膜OL3とも接するように形成する。第2領域A2において、導電層CLを露出するように第4有機膜OL4及び第3有機膜OL3を貫通するコンタクトホールCH3が形成される。端子TEは、このコンタクトホールCH3内に設けられ、導電層CLと接している。これにより、端子TEと配線WLとは、導電層CLを介して電気的に接続される。なお、図示した例では、第3領域A3において、第4有機膜OL4まで形成した後に、封止膜17及びレジスト膜18を形成しているが、これに限定されない。
【0110】
前述の実施形態と同様に、表示パネル2を折り曲げる際に、特に応力が加わりやすい第1領域A1の第3領域A3側の端部には、第2無機膜IL2は形成されていない。第3有機膜OL3と第2無機膜IL2との密着性、及び、第4有機膜OL4と第2無機膜IL2との密着性は、第3有機膜OL3と第4有機膜OL4との密着性に比べて悪く、折り曲げた際に、第2無機膜IL2の剥離が発生しやすい。第2無機膜IL2が、封止膜17を構成する無機膜171等によって第1領域A1から第3領域A3に亘って連続して形成されていた場合、第3領域A3で発生した第2無機膜IL2の剥離が無機膜171等の剥離を招き、さらには、表示領域DA内においても部材の剥離を招くおそれがある。
【0111】
本変形例においても、第2無機膜IL2は、第3有機膜OL3及び第4有機膜OL4よりも小さく形成している。そのため、第1領域A1は、その第3領域A3側で、第3有機膜OL3と第4有機膜OL4とが接する部分を有することで、表示パネル2を折り曲げる際に第2無機膜IL2が剥離したとしても、第3有機膜OL3と第4有機膜OL4とが十分に密着しているため、剥離の影響の伝播を抑制することができる。
【0112】
以下では、図20乃至図24を参照して、第3領域A3の他の例について説明する。
【0113】
図20は、第3領域A3の他の例を示す断面図である。図20に示す例は、第3有機膜OL3の上に第2無機膜IL2及び第4有機膜OL4が設けられていない点で、図4に示す例と相違している。第1乃至第3有機膜OL1乃至OL3よりもヤング率の大きい第1無機膜IL1が配線WLよりも上側に位置しているため、中立面NPは、図18に示す比較例よりも、配線WL側に位置している。
【0114】
図21は、第3領域A3の他の例を示す断面図である。図21に示す例は、絶縁基板10内に無機膜102が設けられている点で、図20に示す例と相違している。すなわち、絶縁基板10は、有機膜101及び103と、有機膜101と有機膜103との間に位置する無機膜102とを有する積層構造となっている。有機膜101及び103は、例えばポリイミド等の有機絶縁材料によって形成されている。無機膜102は、例えば酸化シリコン又は窒化シリコン等の無機絶縁材料によって形成されている。
【0115】
ヤング率の大きい無機膜102が配線WLより下方に位置しているため、本例における中立面NPは、図20における中立面よりも若干配線WLから離間している。しかしながら、本例においても、中立面NPは、図18に示す比較例よりも配線WL側に位置している。
【0116】
図22は、第3領域A3の他の例を示す断面図である。図22に示す例は、第2有機膜OL2と第3有機膜OL3との間に第1無機膜IL1が設けられていない点及び第3有機膜OL3の上に第2無機膜IL2及び第4有機膜OL4が設けられている点で、図20に示す例と相違している。第2無機膜IL2は、図20に示す第1無機膜IL1と比較して、上側、言い換えると、折り曲げた際の外周側に配置されている。本例のような構成とすることで、図20に示す例よりも、中立面NPを配線WL側に位置させることができる。
【0117】
図23は、第3領域A3の他の例を示す断面図である。図23に示す例は、絶縁基板10内に無機膜102が設けられている点で、図22に示す例と相違している。ヤング率の大きい無機膜102が配線WLより下方に位置しているため、本例における中立面NPは、図22における中立面よりも若干配線WLから離間している。しかしながら、本例においても、中立面NPは、図18に示す比較例よりも配線WL側に位置している。
【0118】
図24は、第3領域A3の他の例を示す断面図である。図24に示す例は、絶縁基板10内に無機膜102が設けられている点で、図4に示す例と相違している。ヤング率の大きい無機膜102が配線WLより下方に位置しているため、本例における中立面NPは、図4における中立面NPよりも若干配線WLから離間している。しかしながら、本例においても、中立面NPは、図18に示す比較例よりも配線WL側に位置している。
【0119】
以上のように、図20乃至図24に示す例においても、中立面NPは、比較例における中立面NPEよりも配線WL側に位置している。したがって、配線WL近傍の応力の増大を抑制することができる。この結果、配線WLの破断を抑制することができ、信頼性を向上することができる表示装置が提供される。
【0120】
また、図22及び図23に示す例によれば、配線WLとより離間した上側(折り曲げた際の外周側)にのみ、有機膜よりヤング率の大きい無機膜が設けられている。これにより、樹脂層RSNが塑性変形した場合であっても、図20及び図21に示す例より、さらに中立面NPの位置が配線WLから離間する方向へ変動することを抑制することができる。具体的には、最外周に位置する樹脂層RSNは、第3領域A3を折り曲げた際に、歪み(伸び率)が大きいために塑性変形される場合が多い。塑性変形が生じると、樹脂層RSNのヤング率が著しく減少する。このとき、樹脂層RSNの中立面への寄与は、ほとんどなくなる。しかしながら、本実施形態によれば、配線WLとより離間した上側に第2無機膜IL2を設けることによって、配線WLと近い上側に第1無機膜IL1しか設けられていない場合と比べて、中立面NPの位置をより配線WL側へ近づけることができる。したがって、配線WL近傍の応力の増大を抑制することができ、配線WLの破断を抑制することができる。
【0121】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0122】
1…表示装置、2…表示パネル、3…配線基板、10…絶縁基板、11…絶縁膜、12…絶縁膜、13…絶縁膜、14…絶縁膜、15…絶縁膜、16…絶縁膜(リブ)、17…封止膜、18…レジスト膜、OL1…第1有機膜、OL2…第2有機膜、OL3…第3有機膜、OL4…第4有機膜、RSN…樹脂層、IL1…第1無機膜、IL2…第2無機膜、WL…配線、TE…端子、A1…第1領域、A2…第2領域、A3…第3領域、BA…折り曲げ領域、MT…実装領域。
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