(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】赤色硬化性樹脂組成物、カラーフィルタ、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
C09B 67/20 20060101AFI20220523BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20220523BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20220523BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20220523BHJP
C09B 47/00 20060101ALI20220523BHJP
C09B 1/16 20060101ALI20220523BHJP
C09B 57/00 20060101ALI20220523BHJP
C09D 17/00 20060101ALI20220523BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20220523BHJP
C07D 487/22 20060101ALN20220523BHJP
【FI】
C09B67/20 F
G02B5/20 101
G03F7/004 505
G03F7/027
C09B47/00
C09B1/16
C09B57/00 Z
C09D17/00
C08F2/44 Z
C07D487/22
(21)【出願番号】P 2017250683
(22)【出願日】2017-12-27
【審査請求日】2020-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075409
【氏名又は名称】植木 久一
(74)【代理人】
【識別番号】100129757
【氏名又は名称】植木 久彦
(74)【代理人】
【識別番号】100115082
【氏名又は名称】菅河 忠志
(74)【代理人】
【識別番号】100125243
【氏名又は名称】伊藤 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼石 悠
(72)【発明者】
【氏名】中山 智博
【審査官】岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-005451(JP,A)
【文献】特開2013-083916(JP,A)
【文献】特開2013-210577(JP,A)
【文献】特開2011-178942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B67
G02B5
G03F7
C09B47
C09B1
C09B57
C09D17
C08F2
C07D487
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含み、
着色剤
として、テトラアザポルフィリン化合物と赤色色素とを含む赤色硬化性樹脂組成物
であって、赤色硬化性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタは、膜厚3μm以下でCIE1931表色系によるxy色度座標がx=0.688、0.298≦y≦0.310であることを満たす、赤色硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1記載の赤色硬化性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
【請求項3】
請求項2記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤色硬化性樹脂組成物、カラーフィルタ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置及びプラズマディスプレイ等の表示装置やCCDやCMOSセンサなどの固体撮像素子に使用されるカラーフィルタは、着色硬化性樹脂組成物から製造される。このような着色硬化性樹脂組成物としては、着色剤としてC.I.ピグメントレッド177を含む組成物が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、表示装置等では色域を拡大する検討が行われており、それらに使用されるカラーフィルタはさらに濃色(高彩度)であることが求められている。カラーフィルタの膜厚を厚くすれば濃色(高彩度)にはなるが、カラーフィルタには濃色(高彩度)化と同時に薄膜化も求められている。従来から知られる上記の着色硬化性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタは、濃色(高彩度)領域における薄膜化が満足できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1] 着色剤、樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含み、
着色剤が、テトラアザポルフィリン化合物と赤色色素とを含む赤色硬化性樹脂組成物。
[2] [1]記載の赤色硬化性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
[3] [2]記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の赤色硬化性樹脂組成物によれば、濃色(高彩度)かつ薄膜なカラーフィルタを形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の赤色硬化性樹脂組成物は、着色剤(以下、着色剤(A)という場合がある)、樹脂(以下、樹脂(B)という場合がある)、重合性化合物(以下、重合性化合物(C)という場合がある)、及び重合開始剤(以下、重合開始剤(D)という場合がある)を含む。
本発明の赤色硬化性樹脂組成物は、さらに溶剤(以下、溶剤(E)という場合がある)を含むことが好ましい。
本発明の赤色硬化性樹脂組成物は、さらにレベリング剤を含んでいてもよい。
本明細書において、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は複数種を組合せて使用することができる。
【0008】
<着色剤(A)>
着色剤(A)は、テトラアザポルフィリン化合物および赤色色素を含む。テトラアザポルフィリン化合物は、分子内にテトラアザポルフィリン骨格を有する化合物である。また、テトラアザポルフィリン化合物が塩である場合、任意のカチオン又はアニオンと塩を形成していてもよい。
【0009】
テトラアザポルフィリン化合物としては、式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)という場合がある。)が好ましい。
【0010】
【0011】
(式(1)中、R1a~R1d及びR2a~R2dは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい飽和炭化水素基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
xは1又は2を表す。
xが1の時、M1は2価の金属原子、置換金属原子又は酸化金属原子を表す。
xが2の時、M1は水素原子又は1価の金属原子を表す。)
【0012】
式(1)において、R1a~R1d及びR2a~R2dはテトラアザポルフィリン骨格に結合する基である。
R1a~R1dはそれぞれ同じであってもよく異なっていてもよく、同じであることが好ましく、また、R2a~R2dはそれぞれ同じであってもよく異なっていてもよく、同じであることが好ましい。R1a~R1dが同じであり、かつ、R2a~R2dが同じであることがより好ましい。
【0013】
R1a~R1d及びR2a~R2dを表す飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、2-メチルブチル基、1-メチルブチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、4-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1-メチルペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、3-エチルブチル基、2-エチルブチル基、1-エチルブチル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、1-エチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、2-エチルヘキシル基、2,5-ジメチルヘキシル基、2,5,5-トリメチルペンチル基、2,4-ジメチルヘキシル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、1,1-ジメチルヘキシル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、4-エチルオクチル基、4-エチル-4,5-ジメチルヘキシル基、1,3,5,7-テトラメチルオクチル基、4-ブチルオクチル基、6,6-ジエチルオクチル基、6-メチル-4-ブチルオクチル基、3,5-ジメチルヘプタデシル基、2,6-ジメチルヘプタデシル基、2,4-ジメチルヘプタデシル基、2,2,5,5-テトラメチルヘキシル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-シクロペンチル-2,2-ジメチルプロピル基、1-シクロヘキシル-2,2-ジメチルプロピル基等のシクロアルキル基;が挙げられる。
飽和炭化水素基の炭素数は、1~20であることが好ましく、1~15であることがより好ましく、1~10であることがさらに好ましく、1~5であることがさらにより好ましい。
これらの中でも、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、炭素数1~5のアルキル基がより好ましい。
【0014】
該飽和炭化水素基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子が好ましい。ハロゲン原子を有する飽和炭化水素基としては、クロロメチル基、ジクロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ノナフルオロブチル基、ペルフルオロシクロブチル基、ペルフルオロシクロペンチル基等が挙げられる。
【0015】
R1a~R1d及びR2a~R2dを表すアリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基等が挙げられる。
該アリール基が有していてもよい置換基としては、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数1~8のアルキル基で置換されていてもよいアミノ基等が挙げられる。
置換基を有するアリール基としては、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、テトラクロロフェニル基、ペンタクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、トリブロモフェニル基、テトラブロモフェニル基、ペンタブロモフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ビストリフルオロメチルフェニル基、トリストリフルオロメチルフェニル基、テトラキストリフルオロメチルフェニル基、ペンタキスフルオロメチルフェニル基、フルオロナフチル基、クロロナフチル基、ブロモナフチル基、トリフルオロメチルナフチル基等のハロゲン原子で置換されたアリール基;ニトロフェニル基、ニトロナフチル基;シアノフェニル基、シアノナフチル基;ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基;カルボキシフェニル基;メトキシフェニル基、エトキシフェニル基;N,N-ジメチルアミノフェニル基等が挙げられる。
アリール基の炭素数は、例えば6~20であり、好ましくは6~18であり、より好ましくは6~15であり、さらに好ましくは6~10である。
置換基を有していてもよいアリール基としては、無置換のアリール基又はハロゲン原子で置換されたアリール基が好ましい。
【0016】
R1a~R1dは、好ましくは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~10の飽和炭化水素基であり、より好ましくは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、さらに好ましくは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である。R1a~R1dは、いずれもtert-ブチル基であることが特に好ましい。
【0017】
R2a~R2dは、好ましくは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数6~20のアリール基であり、より好ましくは、それぞれ独立に、置換基を有する炭素数6~20のアリール基であり、さらに好ましくは、それぞれ独立に、ハロゲン原子で置換された炭素数6~20のアリール基であり、とりわけ好ましくは、それぞれ独立に、フッ素原子で置換された炭素数6~20のアリール基である。R2a~R2dは、2-フルオロフェニル基であることが特に好ましい。
【0018】
xが2の時のM1を表す1価の金属原子としては、Na、K及びLi等のアルカリ金属原子が挙げられる。この場合、式(1)中の>N-、-N<は、橋渡しされることなく、それぞれの1価の金属原子と結合して存在する。
【0019】
xが1の時のM1を表す2価の金属原子としては、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Pt、Mn、Mg、Ti、Be、Ca、Ba、Cd、Hg、Pb及びSn等が挙げられる。
置換金属原子としては、Al-Cl、Ga-Br、Ga-I、In-Cl、Al-C6H5、In-C6H5、Mn(OH)、Mn[OSi(CH3)3]及びFe-Cl等が挙げられる。
酸化金属原子としては、V(=O)、Mn(=O)及びTi(=O)等が挙げられる。
【0020】
M1は、好ましくは、2価の金属原子又は酸化金属原子であり、より好ましくは、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Pd、Mn、Mg、V(=O)又はTi(=O)であり、さらに好ましくは、Cu、Zn、Ni、Pd又はV(=O)であり、とりわけ好ましくは、Cu、Pd又はV(=O)である。
【0021】
化合物(1)において、xが1であり、M1が2価の金属原子もしくは酸化金属原子である化合物が好ましい。
【0022】
化合物(1)の具体例としては、式(2-1)~式(2-38)で表される化合物等が挙げられる。
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
他の具体例としては、式(2-39)~式(2-45)で表される化合物等が挙げられる。
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
このうち、式(2-29)、(2-38)、(2-39)~(2-45)で表される化合物が特に好ましい。
【0034】
化合物(1)は、通常、590nm付近のオレンジ色を示す光を吸収する化合物であり、その吸収極大波長(λmax)が570nm以上620nm以下であることが好ましく、575nm以上615nm以下であることがより好ましい。
【0035】
着色剤(A)は、赤色色素を含む。赤色色素としては、赤色顔料及び赤色染料が挙げられる。
【0036】
赤色顔料としては、公知の顔料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている顔料のうち、赤色に分類されるものが挙げられる。2種以上を組合せてもよい。但し、化合物(1)を除く。
【0037】
具体的には、C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、179、180、192、202、208、209、215、216、224、242、254、255、264、265、266、268、269、273等が挙げられる。
【0038】
赤色顔料の中でも、アントラキノン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料が好ましく、C.I.ピグメントレッド177、179、202、208、242、254、269、臭素化ジケトピロロピロール顔料が好ましく、C.I.ピグメントレッド177、254、臭素化ジケトピロロピロール顔料がより好ましい。
【0039】
赤色染料としては、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料、直接染料、媒染染料、酸性染料のアミン塩や酸性染料のスルホンアミド誘導体などの染料が挙げられ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)で染料、すなわちピグメント以外に分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。また、化学構造によれば、アゾ染料、アントラキノン染料、キサンテン染料、シアニン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料及びアクリジン染料等が挙げられる。これらのうち、有機溶剤可溶性染料が好ましい。これらの染料は、2種以上を併用してもよい。
【0040】
具体的には、C.I.ソルベントレッド24、49、90、91、111、118、119、122、124、125、127、130、132、143、145、146、150、151、155、160、168、169、172、175、181、207、218、222、227、230、245、247;
C.I.アシッドレッド73、80、91、92、97、138、151、211、274、289;等が挙げられる。
【0041】
本発明の赤色硬化性樹脂組成物は、着色剤(A)として、化合物(1)及び赤色色素とともに、化合物(1)以外の着色剤(以下、着色剤(A1)という場合がある)を含んでいてもよい。
【0042】
着色剤(A1)は、染料であっても顔料であってもよい。染料としては、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists 出版)及び染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料(ただし、赤色染料を除く。)が挙げられる。また、化学構造によれば、アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、シアニン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、スクアリリウム染料、アクリジン染料、スチリル染料、クマリン染料、キノリン染料、ニトロ染料及びフタロシアニン染料等が挙げられる。これらのうち、有機溶剤可溶性染料が好ましい。これらの染料は、2種以上を併用してもよい。
【0043】
具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.)番号の染料が挙げられる。C.I.ソルベントイエロー14、15、23、24、25、38、62、63、68、
79、81、82、83、89、94、98、99、162;
C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251;
C.I.リアクティブイエロー2、76、116;
C.I.ダイレクトイエロー2、4、28、33、34、35、38、39、43、44、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、132、136、138、141;
C.I.ディスパースイエロー51、54、76;
C.I.ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、41、54、56、99;
C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、149、162、169、173;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.ダイレクトオレンジ26、34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107;
C.I.アシッドバイオレット34、102;
C.I.ディスパースバイオレット26、27;
C.I.ソルベントバイオレット11、13、14、26、31、36、37、38、45、47、48、51、59、60;
C.I.ソルベントブルー14、18、35、36、45、58、59、59:1、63、68、69、78、79、83、94、97、98、100、101、102、104、105、111、112、122、128、132、136、139;
C.I.アシッドブルー25、27、40、45、78、80、112;
C.I.ダイレクトブルー40;
C.I.ディスパースブルー1、14、56、60;
C.I.ソルベントグリーン1、3、5、28、29、32、33;
C.I.アシッドグリーン3、5、9、25、27、28、41;
C.I.ベーシックグリーン1;
C.I.バットグリーン1等。
【0044】
顔料としては、公知の顔料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている顔料が挙げられる。2種以上を組合せてもよい。
【0045】
具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、129、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、185、194、214等の黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73等のオレンジ色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60等の青色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38等のバイオレット色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59等の緑色顔料が挙げられる。
【0046】
中でも、着色剤(A1)は、黄色色素及びオレンジ色素の一方又は両方であることが好ましく、黄色色素であることがより好ましい。すなわち、着色剤(A)は、テトラアザポルフィリン化合物、赤色色素以外に、黄色色素を更に含むことがさらに好ましい。
着色剤(A1)としての顔料としては、黄色顔料及び/又はオレンジ色顔料が好ましく、黄色顔料がより好ましい。
【0047】
赤色顔料及び着色剤(A1)としての顔料(総称して、顔料という場合がある。)は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された着色剤誘導体等を用いた表面処理、高分子化合物等による顔料等表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法等による微粒化処理、不純物を除去するための有機溶剤や水等による洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理等が施されていてもよい。顔料等の粒径は、それぞれ略均一であることが好ましい。顔料は、分散剤を含有させて分散処理を行うことで、分散液の中で均一に分散された状態となる。
【0048】
分散剤としては、界面活性剤等が挙げられ、カチオン系、アニオン系、ノニオン系及び両性のいずれの界面活性剤であってもよい。具体的にはポリエステル系、ポリアミン系及びアクリル系等の界面活性剤等が挙げられる。他の分散剤として、後述する樹脂(B)を使用してもよい。これらの分散剤は、単独で又は二種以上を組合せて用いてもよい。分散剤としては、商品名で表すと、KP(信越化学工業(株)製)、フローレン(共栄社化学(株)製)、ソルスパース(登録商標)(ゼネカ(株)製)、EFKA(登録商標)(BASF社製)、アジスパー(登録商標)(味の素ファインテクノ(株)製)及びDisperbyk(登録商標)(ビックケミー社製)、BYK(登録商標)(ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0049】
分散剤を用いる場合、分散剤の使用量は、顔料100質量部に対して、好ましくは100質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上50質量部以下である。分散剤の使用量が前記の範囲にあると、より均一な分散状態の顔料分散液が得られる傾向がある。
【0050】
化合物(1)の含有率は、固形分全量に対して、0.2質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上12質量%以下であることがさらに好ましい。
【0051】
赤色色素の含有率は、着色剤100質量%中、45~80質量%であることが好ましく、47~75質量%であることがより好ましく、50~70質量%であることがさらに好ましい。
【0052】
赤色色素の含有率は、固形分全量に対して、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。
【0053】
化合物(1)の含有量は、赤色色素の100質量部に対して、0.1質量部以上200質量部以下であることが好ましく、1質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上70質量部以下であることがさらに好ましい。
【0054】
着色剤(A1)(好ましくは黄色色素)の含有率は、固形分全量に対して、通常0質量%以上50質量%以下であり、好ましくは0質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは0質量%以上30質量%以下である。
【0055】
黄色色素を含む場合、赤色色素及び黄色色素の合計含有率は、着色剤中、65質量%以上97質量%以下であることが好ましく、70質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、75質量%以上93質量%以下であることがさらに好ましい。
【0056】
着色剤(A)の含有率は、固形分全量に対して、5質量%以上60質量%以下であることが好ましく、8質量%以上55質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上50質量%以下であることがさらに好ましい。
【0057】
ここで、本明細書における「固形分全量」とは、赤色硬化性樹脂組成物全量から溶剤の含有量を除いた量のことをいう。固形分全量及びこれに対する各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0058】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(a)(以下「(a)」という場合がある)に由来する構造単位を有する樹脂がより好ましい。樹脂(B)は、さらに、炭素数2~4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)(以下「(b)」という場合がある)に由来する構造単位、(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる。)(以下「(c)」という場合がある)に由来する構造単位、並びに、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構造単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構造単位を有することが好ましい。
【0059】
(a)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、こはく酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等が挙げられ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸である。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
【0060】
(b)は、炭素数2~4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群から選ばれる少なくとも1種)と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
(b)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルベンジルグリシジルエーテル、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート、3-エチル-3-(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられ、好ましくは、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート、3-エチル-3-(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタンである。
【0061】
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレートベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、スチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、好ましくは、スチレン、ビニルトルエン、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド等が好ましい。
【0062】
側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構造単位を有する樹脂は、(a)と(c)との共重合体に(b)を付加させるか、(b)と(c)との共重合体に(a)を付加させることにより製造することができる。該樹脂は、(b)と(c)との共重合体に(a)を付加させさらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂であってもよい。
【0063】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000~100,000であり、より好ましくは5,000~50,000であり、さらに好ましくは5,000~30,000である。
樹脂(B)の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1~6であり、より好ましくは1.2~4である。
【0064】
樹脂(B)の酸価は、固形分換算で、好ましくは50~170mg-KOH/gであり、より好ましくは60~150mg-KOH/g、さらに好ましくは70~135mg-KOH/gである。ここで酸価は樹脂(B)1gを中和するために必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0065】
樹脂(B)の含有率は、固形分全量に対して、好ましくは10~70質量%であり、より好ましくは15~65質量%であり、さらに好ましくは20~60質量%である。
【0066】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び/又は酸によって重合しうる化合物であり、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0067】
中でも、重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0068】
重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは150以上2,900以下、より好ましくは250以上1,500以下である。
【0069】
重合性化合物(C)の含有率は、固形分全量に対して、3~60質量%であることが好ましく、より好ましくは5~50質量%であり、さらに好ましくは11~40質量%である。
【0070】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。
活性ラジカルを発生する重合開始剤としては、例えば、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0071】
重合開始剤は、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、アルキルフェノン化合物、O-アシルオキシム化合物及びビイミダゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む重合開始剤が好ましく、O-アシルオキシム化合物を含む重合開始剤がより好ましい。
【0072】
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部であり、より好ましくは1~20質量部である。重合開始剤(D)の含有量が、前記の範囲内にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるためカラーフィルタの生産性が向上する。
【0073】
O-アシルオキシム化合物の含有率は、重合開始剤(D)の総量に対して、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。O-アシルオキシム化合物の含有率が前記の範囲内であると、着色パターンを形成する際の感度や現像性、着色剤含有率が高い場合でも高明度なカラーフィルタを作製できる傾向がある。
【0074】
本発明の赤色硬化性樹脂組成物は、重合開始助剤を含んでいてもよい。
【0075】
<重合開始助剤(D1)>
重合開始助剤(D1)は、重合開始剤によって重合が開始された重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。重合開始助剤(D1)を含む場合、通常、重合開始剤(D)と組み合わせて用いられる。
重合開始助剤(D1)としては、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10-ジメトキシアントラセン、2,4-ジエチルチオキサントンN-フェニルグリシン等が挙げられる。
【0076】
これらの重合開始助剤(D1)を用いる場合、その含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部、より好ましくは1~20質量部である。重合開始助剤(D1)の量がこの範囲内にあると、さらに高感度で着色パターンを形成することができ、カラーフィルタの生産性が向上する傾向にある。
【0077】
本発明の赤色硬化性樹脂組成物は、溶剤を含むことが好ましい。
【0078】
<溶剤(E)>
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-COO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0079】
溶剤としては、
乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸エチル、アセト酢酸メチル、シクロヘキサノールアセテート及びγ-ブチロラクトン等のエステル溶剤;
エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル溶剤;
3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル溶剤;
4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤;
ブタノール、シクロヘキサノール、プロピレングリコール等のアルコール溶剤;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤;
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドン等のアミド溶剤;等が挙げられる。
溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル及び3-エトキシプロピオン酸エチルがより好ましい。
【0080】
溶剤(E)を含む場合、溶剤(E)の含有率は、本発明の赤色硬化性樹脂組成物の総量に対して、好ましくは70~95質量%であり、より好ましくは75~92質量%である。言い換えると、赤色硬化性樹脂組成物の固形分の総量は、好ましくは5~30質量%、より好ましくは8~25質量%である。溶剤(E)の含有量が前記の範囲内にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
【0081】
<その他の成分>
本発明の赤色硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、レベリング剤、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤を含んでもよい。
【0082】
<赤色硬化性樹脂組成物の製造方法>
本発明の赤色硬化性樹脂組成物は、着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、必要に応じて溶剤(E)及びその他の成分を混合することにより調製できる。
【0083】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明の赤色硬化性樹脂組成物から着色パターンを製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。フォトリソグラフ法において、露光の際にフォトマスクを用いないこと、及び/又は現像しないことにより、上記着色樹脂組成物層の硬化物である着色塗膜を形成することができる。このように形成した着色パターンや着色塗膜が本発明のカラーフィルタである。
【0084】
本発明の赤色硬化性樹脂組成物によれば、濃色(高彩度)かつ薄膜のカラーフィルタを作製することができる。該カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)及び固体撮像素子に用いられるカラーフィルタとして有用である。
【実施例】
【0085】
以下、実施例によって本発明の赤色硬化性樹脂組成物について、より詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0086】
〔合成例1〕
(ジシアノエチレン誘導体の合成)
特許第3961078号公報に記載される合成法で、式(x)で表される化合物及び式(y)で表される化合物をそれぞれ得た。
【0087】
【0088】
(ジイミノイソピロール誘導体の合成)
式(x)で表される化合物から、特開平02-000665号公報に記載される合成法と同様にして、式(z)で表される化合物を得た。
【0089】
【0090】
(テトラアザポルフィリン化合物の合成)
式(x)で表される化合物から、特許第3961078号公報に記載される合成法で、式(a-1)で表される化合物を得た。
【0091】
【0092】
なお、式(a-1)で表される化合物は、式(a-1-1)~式(a-1-4)で表される化合物を表し、上記合成法で得られる生成物はこれら構造異性体の混合物である。
【0093】
【0094】
〔合成例2〕
冷却管、温度計、撹拌機を取り付けた反応器に、式(x)で表される化合物(4.6g)、ペンタノール(20ml)、ジアザビシクロウンデセン(4.6g)を仕込み、120℃で塩化亜鉛(0.82g)を加えた。4時間撹拌した後、メタノール-水混合液に排出して析出固体を濾別し式(a-2)で表される化合物を1.1g得た。
【0095】
【0096】
〔合成例3〕
式(a-2)で表される化合物の合成(合成例2)における塩化亜鉛を、塩化ニッケルに変更した以外は同様にして、式(a-3)で表される化合物を0.7g得た。
【0097】
【0098】
〔合成例4〕
式(a-2)で表される化合物の合成(合成例2)における塩化亜鉛を、塩化パラジウムに変更した以外は同様にして、式(a-4)で表される化合物を0.6g得た。
【0099】
【0100】
〔合成例5〕
式(a-2)で表される化合物の合成(合成例2)における式(x)で表される化合物を式(y)で表される化合物に、塩化亜鉛を塩化バナジウム(III)に変更した以外は同様にして、式(a-5)で表される化合物を1.5g得た。
【0101】
【0102】
〔合成例6〕
特開2016-27075号公報に記載の合成法で、式(S-1)で表される化合物を得た。
【0103】
【0104】
〔合成例7〕
還流冷却器、滴下ロート及び攪拌機を備えたフラスコ内に窒素を適量流し窒素雰囲気に置換し、乳酸エチル141部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート178部を入れ、攪拌しながら85℃まで加熱した。次いで、アクリル酸38部、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-9-イルアクリレートの混合物(含有率は1:1)25部、シクロヘキシルマレイミド137部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート50部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート338部の混合溶液を5時間かけて滴下した。一方、2,2-アゾビスイソブチロニトリル5部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート88部に溶解した混合溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間同温度で保持した後、室温まで冷却して、B型粘度(23℃)23mPa・s、固形分25.6%の共重合体(樹脂(B-1))溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは8000、固形分酸価111mg-KOH/g、分散度2.1であった。樹脂(B-1)は下記構造単位を有する。
【0105】
【0106】
樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、GPC法により以下の条件で行った。
装置 ;HLC-8120GPC(東ソー(株)製)
カラム ;TSK-GELG2000HXL
カラム温度 ;40℃
溶媒 ;THF
流速 ;1.0mL/min
被検液固形分濃度;0.001~0.01質量%
注入量 ;50μL
検出器 ;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE
F-40、F-4、F-288、A-2500、A-500
(東ソー(株)製)
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分散度とした。
【0107】
<着色樹脂組成物の作製>
〔分散液1の作製〕
C.I.ピグメントレッド177(顔料)を13部、アクリル系顔料分散剤(固形分換算)を3.3部、樹脂として樹脂(B-1)(固形分換算)を5.2部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを76部、乳酸エチル3.0部を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させ分散液1を作製した。
【0108】
〔分散液2の作製〕
C.I.ピグメントレッド254(顔料)を14部、アクリル系顔料分散剤(固形分換算)を4.9部、樹脂として樹脂(B-1)(固形分換算)を4.2部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを74部、乳酸エチル2.5部を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させ分散液2を作製した。
【0109】
〔分散液3の作製〕
C.I.ピグメントイエロー139(顔料)を12部、アクリル系顔料分散剤(固形分換算)を4.2部、樹脂として樹脂(B-1)(固形分換算)を4.2部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを77部、乳酸エチル2.4部を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させ分散液3を作製した。
【0110】
〔分散液4の作製〕
C.I.ピグメントイエロー185(顔料)を5部、アクリル系顔料分散剤(固形分換算)を3.5部、樹脂として樹脂(B-1)(固形分換算)を3.5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを86部、乳酸エチル2.0部を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させ分散液4を作製した。
【0111】
<赤色硬化性樹脂組成物の作製>
〔実施例1〕
下記の成分を混合することにより、赤色硬化性樹脂組成物を得た。
テトラアザポルフィリン:式(a-1)で表される化合物 17部
赤色顔料:分散液1 435部
黄色顔料:分散液3 309部
樹脂(B):樹脂(B-1)(固形分換算) 29部
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 35部
重合開始剤(D):N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン(イルガキュア(登録商標)OXE01;BASF社製;O-アシルオキシム化合物) 7.0部
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 510部
乳酸エチル 17部
レベリング剤:ポリエーテル変性シリコーンオイル(固形分換算)(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.10部
【0112】
〔実施例2〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに、式(a-2)で表される化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして、赤色硬化性樹脂組成物を得た。
【0113】
〔実施例3〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに、式(a-3)で表される化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして、赤色硬化性樹脂組成物を得た。
【0114】
〔実施例4〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに、式(a-4)で表される化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして、赤色硬化性樹脂組成物を得た。
【0115】
〔実施例5〕
式(a-1)で表される化合物の代わりに、式(a-5)で表される化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして、赤色硬化性樹脂組成物を得た。
【0116】
〔実施例6〕
下記の成分を混合することにより、赤色硬化性樹脂組成物を得た。
テトラアザポルフィリン:式(a-1)で表される化合物 11部
赤色染料:式(S-1)で表される化合物 16部
赤色顔料:分散液1 293部
黄色顔料:分散液3 357部
樹脂(B):樹脂(B-1)(固形分換算) 35部
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 35部
重合開始剤(D):N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン(イルガキュア(登録商標)OXE01;BASF社製;O-アシルオキシム化合物) 7.0部
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 251部
ジアセトンアルコール 308部
乳酸エチル 20部
レベリング剤:ポリエーテル変性シリコーンオイル(固形分換算)(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.10部
【0117】
〔実施例7〕
下記の成分を混合することにより、赤色硬化性樹脂組成物を得た。
テトラアザポルフィリン:式(a-1)で表される化合物 17部
赤色顔料:分散液1 354部
赤色顔料:分散液2 80部
黄色顔料:分散液3 312部
樹脂(B):樹脂(B-1)(固形分換算) 30部
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 35部
重合開始剤(D):N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン(イルガキュア(登録商標)OXE01;BASF社製;O-アシルオキシム化合物) 7.0部
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 521部
乳酸エチル 25部
レベリング剤:ポリエーテル変性シリコーンオイル(固形分換算)(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.10部
【0118】
〔実施例8〕
下記の成分を混合することにより、赤色硬化性樹脂組成物を得た。
テトラアザポルフィリン:式(a-1)で表される化合物 19部
赤色顔料:分散液1 496部
黄色顔料:分散液4 854部
樹脂(B):樹脂(B-1)(固形分換算) 9部
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 35部
重合開始剤(D):N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン(イルガキュア(登録商標)OXE01;BASF社製;O-アシルオキシム化合物) 7.0部
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 124部
乳酸エチル 5部
レベリング剤:ポリエーテル変性シリコーンオイル(固形分換算)(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.10部
【0119】
〔比較例1〕
下記の成分を混合することにより、赤色硬化性樹脂組成物を得た。
赤色顔料:分散液1 859部
樹脂(B):樹脂(B-1)(固形分換算) 20部
重合性化合物(C):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(登録商標) DPHA;日本化薬(株)製) 35部
重合開始剤(D):N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン(イルガキュア(登録商標)OXE01;BASF社製;O-アシルオキシム化合物) 7.0部
溶剤(E):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 435部 乳酸エチル 12部
レベリング剤:ポリエーテル変性シリコーンオイル(固形分換算)(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.10部
【0120】
<カラーフィルタの作製>
5cm角のガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)上に、赤色硬化性樹脂組成物をスピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間プリベークして着色樹脂組成物層を形成した。放冷後、露光機(TME-150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、60mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射した。その後オーブン中、230℃で20分間ポストベークを行い、カラーフィルタを得た。
【0121】
<膜厚測定>
得られたカラーフィルタについて、膜厚を、膜厚測定装置(DEKTAK3;日本真空技術(株)製))を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0122】
<色度評価>
得られたカラーフィルタについて、測色機(OSP-SP-200;オリンパス(株)製)を用いて分光を測定し、C光源の特性関数を用いてCIE1931表色系におけるxy色度座標(x、y)を測定した。結果を表1に示す。同じxで比較したときの膜厚が薄いほど、濃色(高彩度)かつ薄膜なカラーフィルタであるといえる。
【0123】
【0124】
xが0.688となるのは濃色(高彩度)な赤色領域である。本発明の赤色硬化性樹脂組成物から形成されたカラーフィルタは膜厚が3μm以下であり、濃色(高彩度)でかつ薄膜なカラーフィルタであるといえる。一方、比較例の赤色硬化性樹脂組成物から形成されたカラーフィルタでは、濃色(高彩度)な赤色は再現できるものの薄膜化は達成できない。