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  • 特許-集じん装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】集じん装置
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/155 20060101AFI20220523BHJP
   B03C 3/40 20060101ALI20220523BHJP
   B03C 3/68 20060101ALI20220523BHJP
   B03C 3/82 20060101ALI20220523BHJP
   B01D 50/00 20220101ALI20220523BHJP
   B01D 46/00 20220101ALI20220523BHJP
   F24F 8/192 20210101ALI20220523BHJP
【FI】
B03C3/155 A
B03C3/40 A
B03C3/68 Z
B03C3/82
B01D50/00 501A
B01D50/00 501Q
B01D46/00 F
F24F8/192
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018000684
(22)【出願日】2018-01-05
(65)【公開番号】P2019118885
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】315016723
【氏名又は名称】三菱重工パワー環境ソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】富松 一隆
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅也
(72)【発明者】
【氏名】上田 泰稔
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-064604(JP,A)
【文献】特開平07-069046(JP,A)
【文献】特開2010-022901(JP,A)
【文献】特開平07-284689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 3/00 - 3/88
B01D 50/00
B01D 46/00 - 46/90
G21F 9/02
B64D 33/02
F02M 35/00
F24F 1/0353
F24F 8/192
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧が印加される放電電極と、前記放電電極に対向して設置される集じん電極と、前記放電電極及び前記集じん電極を収容する第1ケーシングと、を有する電気集じん装置と、
前記電気集じん装置の前記第1ケーシングのガス流れ下流側の開口部に設置され、前記電気集じん装置から排出される空気に含まれる粒子を除去するエアフィルタと、
前記エアフィルタよりもガス流れの下流側に設けられ、前記エアフィルタから供給される空気を排気口へ流通させる空間を有する第2ケーシングと、
を備え
前記第2ケーシングの内部に設置され、前記電気集じん装置に電力を供給する発電機、前記発電機を制御する制御盤、及び、前記電気集じん装置及び/又は前記電気集じん装置の補機類を制御する制御盤の少なくとも一つを更に備える集じん装置。
【請求項2】
前記エアフィルタは、前記第2ケーシングの内部側から着脱可能である請求項1に記載の集じん装置。
【請求項3】
電圧が印加される放電電極と、前記放電電極に対向して設置される集じん電極と、前記放電電極及び前記集じん電極を収容する第1ケーシングと、を有する電気集じん装置と、
前記電気集じん装置の前記第1ケーシングのガス流れ下流側の開口部に設置され、前記電気集じん装置から排出される空気に含まれる粒子を除去するエアフィルタと、
前記エアフィルタよりもガス流れの下流側に設けられ、前記エアフィルタから供給される空気を排気口へ流通させる空間を有する第2ケーシングと、
を備え
前記エアフィルタは、前記第2ケーシングの内部空間に接しており、前記第2ケーシングの内部側から着脱可能である集じん装置。
【請求項4】
前記エアフィルタが設置される前記開口部における空気の通過面積は、前記電気集じん装置の内部の空気の通過面積と同一である請求項1から3のいずれか1項に記載の集じん装置。
【請求項5】
前記エアフィルタの前記電気集じん装置側の面に設置された金網を更に備える請求項1から4のいずれか1項に記載の集じん装置。
【請求項6】
前記エアフィルタの上流側と下流側の圧力差を検出する差圧計を更に備える請求項1からのいずれか1項に記載の集じん装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集じん装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外気を施設の屋内に取り入れたり、又は、外気をガスタービンなどの機器類に取り入れたりする場合、空気調和装置の吸気口やガスタービンの燃焼空気用吸気部にエアフィルタを設置する場合がある。そして、エアフィルタによって、外気に含まれる粒子(じん埃)などが除去された清浄空気が、屋内又は機器類に取り入れられる。
【0003】
下記の特許文献1では、送風機に取り込まれる火山灰を抑制する方策として、火山灰を除去可能な火山灰フィルタを送風機の上流側に設置することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-223860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
火山噴火などの非常時においては、火山灰が降ることによって、一時的ではあるが、多量の火山灰が空気中に含まれる。この場合、特許文献1に記載された技術のようにエアフィルタによって火山灰を除去することが考えられる。しかし、所定濃度以下の清浄空気を確保するために、エアフィルタを用いると、目詰まりによって圧力損失が短時間で上昇する。また、灰の付着量が増大し、圧力損失の許容値を超えるとフィルタ本体の形状を維持できなくなる可能性がある。
【0006】
さらに、噴火による降灰量が異常に多く、非常に高濃度の火山灰が空気中に含まれる条件(例えば1m当たりg単位(g/m3オーダー))を想定した場合、繊維状又は多孔質の濾材に空気を通過させるフィルタでは、圧力損失の上昇等によって、清浄性能を確保できなくなるおそれがある。
【0007】
またさらに、フィルタではなく電気集じん装置によって、空気中の高濃度の火山灰を除去する方法が考えられるが、具体的な検討がなされていないのが現状である。例えば、電気集じん装置を設置する場合、非常時においても運転可能なように電源を確保する必要がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、空気中に含まれる高濃度の粒子を確実かつ継続的に除去することが可能な集じん装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の集じん装置は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る集じん装置は、電圧が印加される放電電極と、前記放電電極に対向して設置される集じん電極と、前記放電電極及び前記集じん電極を収容する第1ケーシングと、を有する電気集じん装置と、前記電気集じん装置の前記第1ケーシングのガス流れ下流側の開口部に設置され、前記電気集じん装置から排出される空気に含まれる粒子を除去するエアフィルタとを備える。
【0010】
この構成によれば、電気集じん装置は、放電電極と集じん電極を備え、放電電極に電圧が印加されることによってコロナ放電が生じ、コロナ放電によって帯電された粒子が集じん電極上に捕集される。外部からの空気に含まれる粒子は、まず、電気集じん装置で除去される。
電気集じん装置の第1ケーシングのガス流れ下流側の開口部には、エアフィルタが設置される。そして、エアフィルタによって、電気集じん装置から排出される空気に含まれる粒子が除去される。エアフィルタには、電気集じん装置で粒子の一部が除去された空気が供給されることから、電気集じん装置の入り口における粒子濃度よりも低い濃度となった空気がエアフィルタに到達する。
したがって、電気集じん装置では、構造上、圧力損失の上昇が生じにくいことから、高濃度に粒子が含まれる空気が取り込まれる場合であっても、圧力損失の上昇を伴うことなく、エアフィルタにおいて、通常の清浄性能を発揮させることができる。
本発明に係る集じん装置を通過した空気は、空気の供給を必要とする施設又は設備、例えば大風量の清浄空気の確保が要求される公共施設や、発電機の燃焼用空気の確保が要求される発電設備などへ送られる。
【0011】
上記発明において、前記エアフィルタが設置される前記開口部における空気の通過面積は、前記電気集じん装置の内部の空気の通過面積とほぼ同一でもよい。
【0012】
この構成によれば、電気集じん装置の内部の空気の通過面積と、エアフィルタが設置される開口部における空気の通過面積とがほぼ同一であるため、装置全体において、圧力損失の上昇が生じにくい。
【0013】
上記発明において、前記エアフィルタよりもガス流れの下流側に設けられ、前記エアフィルタから供給される空気を排気口へ流通させる空間を有する第2ケーシングを更に備えてもよい。
【0014】
この構成によれば、エアフィルタを通過した空気は、エアフィルタよりもガス流れの下流側に設けられた第2ケーシングに供給され、第2ケーシング内の空間を流通して、排気口から排出される。
【0015】
上記発明において、前記第2ケーシングの内部に設置され、前記電気集じん装置に電力を供給する発電機、前記発電機を制御する制御盤、及び、前記電気集じん装置及び/又は前記電気集じん装置の補機類を制御する制御盤の少なくとも一つを更に備えてもよい。
【0016】
この構成によれば、第2ケーシングの内部に、発電機及び/又は制御盤が設置され、第2ケーシングには、電気集じん装置及びエアフィルタを通過した空気が供給される。ここで、制御盤は、発電機を制御する制御盤、又は、電気集じん装置及び/又は電気集じん装置の補機類を制御する制御盤である。そのため、発電機及び/又は制御盤は、粒子を含む外部の空気ではなく、清浄空気を取り入れることができ、安定して運転できる。また、第2ケーシングの内部は空気が流通しており、発電機及び/又は制御盤の温度上昇を抑制できる。さらに、燃料を燃焼して発電する発電機の場合、発電機で発生する排ガスが第2ケーシングの排気口から外部へ排出されるため、発電機が設置された空間の二酸化炭素濃度の上昇を防止できる。
【0017】
上記発明において、前記エアフィルタは、前記第2ケーシングの内部側から着脱可能でもよい。
【0018】
この構成によれば、第1ケーシングのガス流れ下流側の開口部に設置されたエアフィルタは、第2ケーシングの内部側から取り外したり、取り付けたりすることが可能である。
【0019】
上記発明において、前記エアフィルタの前記電気集じん装置側の面に設置された金網を更に備えてもよい。
【0020】
この構成によれば、エアフィルタは金網によって電気集じん装置側へ倒れることなく支持されるため、電気集じん装置を運転させた状態で、エアフィルタの下流側からエアフィルタを安全に交換できる。
【0021】
上記発明において、前記エアフィルタの上流側と下流側の圧力差を検出する差圧計を更に備えてもよい。
【0022】
この構成によれば、差圧計によってエアフィルタの上流側と下流側の圧力差(差圧)を検出でき、エアフィルタの目詰まり状況を確認できることから、エアフィルタの交換タイミングを適切に判定できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、空気中に含まれる高濃度の粒子を確実かつ継続的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る集じん装置を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の一実施形態に係る集じん装置1について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る集じん装置1は、例えば、空気の供給を必要とする施設又は設備、例えば大風量の清浄空気の確保が要求される公共施設や、発電機の燃焼用空気の確保が要求される発電設備などの空気取り入れ側に設置される。集じん装置1によって、外部の空気に含まれるじん埃などの粒子が除去されて、粒子が除去された清浄空気が空気の供給を必要とする施設又は設備へ送られる。
【0026】
本実施形態に係る集じん装置1によれば、火山噴火などの非常時において多量の火山灰が空気中に含まれる場合であっても、空気取り入れ側にエアフィルタ6のみが設置される場合に比べて、エアフィルタ6の負荷が低いままとなり、低圧力損失で長時間の高集じん性能を確保できる。
【0027】
図1に示すように、集じん装置1は、第1ケーシング2と、第2ケーシング3を備え、第1ケーシング2と第2ケーシング3は1枚の分割壁4と開口部14を介して一体的な構造を有する。集じん装置1は、例えば、第1ケーシング2と第2ケーシング3によって、例えば直方体形状を有する。
【0028】
集じん装置1は、第1ケーシング2の内部に設置された電気集じん装置5と、第1ケーシング2と第2ケーシング3の間の開口部14に設置されたエアフィルタ6などを更に備える。
【0029】
集じん装置1の吸気口7は、第1ケーシング2の一面に形成される。吸気口7には、例えば複数の羽根板が斜めに配置されたルーバー(ガラリ)18が設置され、ルーバー18によって、雨水の水滴、落葉やごみ、鳥などの動物の侵入が防止される。吸気口7から取り入れられた後、第1ケーシング2内部の電気集じん装置5を流通した空気は、エアフィルタ6を通過し、第2ケーシング3へ供給される。そして、エアフィルタ6を通過した清浄空気は、第2ケーシング3を流通した後、第2ケーシング3の他面に形成された排気口8から外部へ供給される。
【0030】
電気集じん装置5は、ダストやミスト等の粒子を除去するため、コロナ放電を行い、粒子を帯電させる放電電極と、放電電極に対向して配置される集じん電極から構成される電極部9などを備える。電極部9は、電気導体10を介して、外部の高圧電源20と接続される。電気導体10は、例えば金属部品などであり、一端が電極部9と接続され、他端が碍子12と接続される。碍子12は、第1ケーシング2の上面に設置された碍子箱11の内部に設置される。碍子12は、外部の電源と接続されるケーブル又はバスバー21などと接続されている。
なお、図1に示した電気集じん装置5は、電極部9の放電電極と集じん電極を省略して示したものであり、放電電極及び集じん電極は、電気集じん装置において通常用いられるものを適用することができる。
【0031】
放電電極と集じん電極は互いに離隔され、電気的に絶縁されている。放電電極は、高圧電源20から電力が供給される。放電電極に高電圧が印加されることによって、放電電極でコロナ放電が生じる。コロナ放電によって、排ガス中に含まれる粒子が帯電され、帯電された粒子は、集じん電極にクーロン力で引き寄せられ、集じん電極上に捕集される。
【0032】
電気集じん装置5は、火山噴火などの非常時において降灰量が多い条件、例えば、0.3g/m~5.0g/mの火山灰を、下流側のエアフィルタ6の手前付近において30mg/m以下まで低減させる。
【0033】
第1ケーシング2の下部にはホッパー13が取付けられる。ホッパー13は、槌打によって電気集じん装置5の集じん電極から剥離した粒子を受け止める。ホッパー13には溜まった粒子(内部堆積灰)を排出する粒子排出装置(図示せず。)が設けられてもよいし、バキュームカーなどを使って間欠的に内部堆積灰を排出してホッパー13を清掃してもよい。
【0034】
電気集じん装置5において、電気集じん装置5を通過するガス流れに対して垂直方向に切断した断面積(空気の通過面積)は、ガスの流れに沿って一定である。なお、ここで、空気の通過面積は、ホッパー13を含まない。
【0035】
分割壁4には、開口部14が形成され、開口部14にエアフィルタ6が設置される。開口部14の開口面積、すなわち、開口部14における空気の通過面積は、電気集じん装置5の内部の空気の通過面積とほぼ同一である。そのため、集じん装置1の内部において空気が流通する通過面積は、拡大又は縮小を伴わず、集じん装置1の内部は、ほぼ直線状の筒形形状である。したがって、集じん装置1全体において、圧力損失の上昇が生じにくい。
【0036】
たとえば、清浄空気を供給する先が、燃料を燃焼して発電するディーゼル発電機などの発電機15の場合、発電機入口までの圧力損失を1000Pa~2000Pa以下とどめないと、必要な発電出力を得ることができない。本実施形態では、エアフィルタのみが設置され、エアフィルタが目詰まりするおそれのある従来の構成と異なり、電気集じん装置5を通過した空気がエアフィルタ6へ供給される。そのため、エアフィルタ6の圧力損失の上昇速度が相対的に低下し、結果として発電機15を長時間安定的に運転することが可能になる。
【0037】
なお、電気集じん装置5の内部の空気の通過面積に対する開口部14における空気の通過面積は、例えば0.5倍以上1.5倍以下の範囲に設定され、好ましくは0.8倍以上1.2倍以下の範囲に設定される。
【0038】
エアフィルタ6は、繊維状又は多孔質の濾材を有し、空気中の粒子を除去する一般的なものを用いることができる。エアフィルタ6は、例えば、粗じんフィルタ、高性能又は中性能フィルタなどである。エアフィルタ6は、開口部14の全面にわたって設置される。エアフィルタ6によって、電気集じん装置5から排出される空気に含まれる未捕集の微量の粒子が除去される。エアフィルタ6には、電気集じん装置5で粒子の大部分が除去された空気が供給されることから、電気集じん装置5の上流側の吸気口7における粒子濃度よりも低い濃度となった空気がエアフィルタ6に到達する。
【0039】
電気集じん装置5では、構造上、圧力損失の上昇が生じにくいことから、高濃度に粒子が含まれる空気が取り込まれる場合であっても、圧力損失の上昇を伴うことなく、エアフィルタ6において、通常の清浄性能を発揮させることができる。
【0040】
第2ケーシング3は、エアフィルタ6よりもガス流れの下流側に設けられ、エアフィルタ6から供給される空気を排気口8へ流通させる空間を有する。
【0041】
第2ケーシング3の内部の空気の通過面積は、開口部14における空気の通過面積、又は、電気集じん装置5の内部の空気の通過面積とほぼ同一か、それ以上である。したがって、第2ケーシング3によって、集じん装置1における圧力損失の上昇が生じにくい。第2ケーシング3は、空気が通過するダクトの機能を果たすとともに、発電機15及び制御盤16が設置される空間でもあり電気室としての機能も果たす。
【0042】
第2ケーシング3の内部に、発電機15及び制御盤16が設置される。発電機15は、非常用自家発電機であり、例えばディーゼル発電機などである。外部からの電気が供給されないとき、発電機15が駆動し、非常時等において発電機15で発電された電気は、電気集じん装置5などへ供給される。制御盤16は、発電機15、電気集じん装置5及び電気集じん装置5の補機類を制御する電気制御盤である。
【0043】
発電機15及び制御盤16によって、外部からの電気が供給されない非常時においても、電気集じん装置5の運転を継続させることができる。また、第2ケーシング3には、電気集じん装置5及びエアフィルタ6を通過した空気が供給されるため、発電機15及び制御盤16が集じん装置1の外側に設置されている場合と異なり、発電機15及び制御盤16は、粒子を含む外部の空気ではなく、清浄空気を取り入れることができる。そのため、火山噴火などの非常時において降灰量が多い場合であっても、発電機15及び制御盤16を安定して運転できる。
【0044】
また、第2ケーシング3の内部は空気が流通しており、空気による冷却効果によって発電機15及び制御盤16の温度上昇を抑制できる。さらに、発電機15が、燃料を燃焼して発電するディーゼル発電機などの場合、発電機15で発生する排ガスが第2ケーシング3の排気口8から外部へ排出されるため、発電機15が設置された空間の二酸化炭素濃度の上昇を防止できる。
【0045】
なお、上述した実施形態では、発電機15と制御盤16の両方が設置される場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、第2ケーシング3の内部において、発電機15及び制御盤16が必ずしも設置されなくてもよく、また、いずれか一方のみが設置されてもよい。
【0046】
エアフィルタ6は、第2ケーシング3の内部側から着脱可能に設置される。すなわち、第1ケーシング2のガス流れ下流側の開口部14に設置されたエアフィルタ6は、第2ケーシング3の内部側から取り外したり、取り付けたりすることが可能である。また、エアフィルタ6の電気集じん装置5側の面には、金網17が設置される。金網17は、開口部14の全面にわたって設置される。これにより、エアフィルタ6は金網17によって電気集じん装置5側へ倒れることなく支持されるため、電気集じん装置5を運転させた状態で、エアフィルタ6の下流側からエアフィルタ6を安全に交換できる。
【0047】
本実施形態において、エアフィルタ6の上流側と下流側の圧力差を検出する差圧計が更に設置されてもよい。これにより、差圧計によって、エアフィルタ6の上流側と下流側の圧力差(差圧)を検出でき、エアフィルタ6の目詰まり状況を確認できる。したがって、作業員が目視によってエアフィルタ6を確認することなく、エアフィルタ6の交換タイミングを適切に判定できる。
【0048】
以上、本実施形態によれば、電気集じん装置5によって粒子が除去された空気がエアフィルタ6へ供給されることから、火山噴火において火山灰が降り、非常に高濃度の火山灰が空気中に含まれるなど、外部の空気中の粒子濃度が高い条件下であっても、高い集じん性能を維持できる。また、電気集じん装置5は、構造上、圧力損失が生じにくく、かつ、電気集じん装置5の下流側に設置されたエアフィルタ6は、粒子によって目詰まりしにくいため、圧力損失の上昇を抑制できる。したがって、本実施形態に係る集じん装置1によれば、低圧力損失のまま、長時間にわたって清浄性能を確保できる。
【0049】
さらに、第2ケーシング3の内部に発電機15や制御盤16が設置されることによって、外部の空気中の粒子濃度が高い条件下であっても、発電機15や制御盤16の機能が妨げられることがない。その結果、非常時においても電源を確保でき、電気集じん装置5の運転を継続させることも可能になる。
【0050】
なお、上述した実施形態では、エアフィルタ6は、ガス流れに沿って1段のみ設置される場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、ガス流れに沿って2段以上の複数段でエアフィルタ6が設置されてもよい。この場合、上流側又は下流側のエアフィルタ6を交換している間でも、交換を行っていないエアフィルタ6の方で、集じん装置1の排気口8から排出される空気の清浄度を確保できる。
【0051】
また、上述した実施形態では、開口部14が一つ設置され、そこにエアフィルタ6が設置される場合について説明したが、例えば開口部14を複数の領域に分けて、それぞれの領域にダンパーを設置してもよい。この場合、一部の領域のダンパーを閉めた状態で、ダンパーを閉めた領域に設置されたエアフィルタ6の交換作業を行うことができる。これにより、エアフィルタ6を交換するときの安全性を確保できる。
【符号の説明】
【0052】
1 :集じん装置
2 :第1ケーシング
3 :第2ケーシング
4 :分割壁
5 :電気集じん装置
6 :エアフィルタ
7 :吸気口
8 :排気口
9 :電極部
10 :電気導体
11 :碍子箱
12 :碍子
13 :ホッパー
14 :開口部
15 :発電機
16 :制御盤
17 :金網
18 :ルーバー
20 :高圧電源
21 :ケーブル又はバスバー
図1