(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】印刷システム及びジョブリスト作成用のコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20220523BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220523BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
G06F3/12 360
G06F3/12 304
G06F3/12 311
G06F3/12 353
G06F3/12 362
B41J29/38 201
B41J29/42 F
B41J29/42 E
(21)【出願番号】P 2018031217
(22)【出願日】2018-02-23
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 佳彦
【審査官】白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0253130(US,A1)
【文献】特開2006-079393(JP,A)
【文献】特開平10-286998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09 - 3/12
H04N 1/00
H04N 1/38 - 1/393
B41J 29/00 - 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印刷ジョブが実行順に並べられたジョブリストを作成する印刷管理装置と、
前記ジョブリストに基づいて被印刷物に対して印刷を行うプリンタと、
を備える印刷システムであって、
前記印刷管理装置は、前記印刷ジョブのそれぞれに、次の
印刷ジョブを連続印刷するか否かを指定した連続印刷情報を付与するように構成されている連続印刷情報付与部を備え、
前記プリンタは、
前記印刷ジョブとして第1の印刷ジョブと前記第1の印刷ジョブの次の第2の印刷ジョブとを含んだジョブリストに基づいて印刷を行う際に、前記
第1の印刷ジョブの前記連続印刷情報
において連続印刷することが指定されている場合
は、
前記第1の印刷ジョブの印刷が完了した後、連続して
前記第2の印刷ジョブの印刷を開始する一方、前記
第1の印刷ジョブの前記連続印刷情報
において連続印刷しないことが指定されている場合
は、前記第1の印刷ジョブの印刷が完了した後、
前記第2の前記印刷ジョブの印刷を開始しないように構成されている連続印刷判定部を備える、印刷システム。
【請求項2】
前記印刷管理装置は、
前記ジョブリストに含まれる前記印刷ジョブを順次グループ化して、1つまたは複数のジョブ群に区分けするように構成されているジョブ群構築部をさらに備え、
前記連続印刷情報付与部は、前記ジョブ群
に含まれる最後の印刷ジョブ以外の印刷ジョブに対して、連続印刷することを指定し、前記ジョブ群
に含まれる最後の印刷ジョブに対して、連続印刷しないことを指定するように構成されている、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記ジョブリストは、複数の
被印刷物に対して順次印刷を行う複数の
印刷ジョブを含み、
前記ジョブ群構築部は、
前記複数の印刷ジョブを
、それぞれ前記被印刷物毎の印刷ジョブからなる複数のジョブ群に区分けするように構成されている、
請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記ジョブリストは、複数の
被印刷物に対して順次印刷を行う複数の
印刷ジョブを含み、
前記複数の印刷ジョブには、被印刷物を入れ替えずに行われる印刷ジョブと、被印刷物を入れ替えて行われる印刷ジョブとが含まれ、
前記ジョブ群構築部は、
前記複数の印刷ジョブを、前記被印刷物を入れ替えて行われる印刷ジョブを最初の印刷ジョブとするジョブ群に区分けするように構成されている、
請求項2に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記印刷管理装置は、前記被印刷物の情報と、1つの印刷処理として実行される印刷モードの情報と、前記連続印刷情報と、が紐付けされた印刷条件ファイルを記憶する記憶部をさらに備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記印刷管理装置の前記記憶部は、前記印刷条件ファイルとして、前記被印刷物の情報が同じで、かつ、前記印刷モードの情報が相互に異なる複数のバリエーションファイルを記憶している、
請求項5に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記プリンタは、前記連続印刷判定部の判定結果をユーザに通知する通知部をさらに備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の印刷システム。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1から7のいずれか一項に記載の印刷管理装置として動作させるように構成されている、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム及びジョブリスト作成用のコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷物の高品質化や意匠性の向上などを目的として、複数種類のインクを用いて被印刷物上に複数のインク層を重ね印刷する印刷システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の印刷システムは、プリンタと、当該プリンタに通信可能に接続された印刷要求端末と、を備えている。この印刷システムでは、まず、印刷要求端末で、印刷ジョブのリスト(ジョブリスト)が生成され、プリンタに送信される。ジョブリストは、インク層毎の印刷処理を表す印刷ジョブが実行順に並べられた印刷データである。プリンタは、印刷要求端末からジョブリストを受信し、ジョブリストに基づいて順次印刷を実行する。これにより、複数のインク層が被印刷物に重ね印刷された印刷成果物が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の印刷システムでは、連続印刷のON・OFFの設定がプリンタの側でなされている。本発明者によれば、このことに起因して、印刷成果物を大量生産(量産)したい場合に、ユーザの作業が煩雑になったり生産効率が低下したりする課題がある。一例として、下表1のジョブリストを用い、計4回続けて同じ印刷成果物を得る場合を想定する。下表1のジョブリストは、印刷ジョブ1~12を包含し、ホワイトインクとプロセスカラーインクとコーティングインクとをこの順に重ね印刷する印刷モードの繰り返しで構成されている。この場合、ユーザは、プリンタで各3つの印刷ジョブ(ジョブ1~3、4~6、7~9、10~12)を実行して被印刷物上に3層のインク層を形成するごとに、被印刷物の入れ替えを行う必要がある。
【0005】
ここで、連続印刷の設定をOFFにした状態のプリンタに、上記ジョブ1~12を含むジョブリストを送信して印刷を開始させると、複数の印刷ジョブが連続して実行されることなく、ひとつの印刷ジョブが終了するたびに印刷動作が一時停止する。このため、ユーザは、都度プリンタの操作パネルを操作して、プリンタに印刷の再開を指示し、次の印刷ジョブの印刷を実行させる必要があった。その結果、プリンタで印刷を行っている間、ユーザはその場から離れられず、プリンタの近くに常駐する必要があった。
【0006】
また、連続印刷の設定をONにした状態のプリンタに、上記ジョブ1~12を含むジョブリストを送信して印刷を開始させると、全ての印刷ジョブが連続で実行される。言い換えれば、全ての印刷ジョブが連続印刷される。なお、ここで「連続印刷」とは、一つの印刷ジョブの終了後、ユーザがプリンタの操作パネルを操作してプリンタに次の印刷ジョブの実行を指示することなく、プリンタが続けて次の印刷ジョブを開始することをいう。しかし、連続印刷中は、ユーザが被印刷物を入れ替えるタイミングがない。このため、ユーザが被印刷物を入れ替えるタイミングを確保するためには、印刷成果物ごとにジョブリストを分割し、複数回にわけてプリンタに送信する手間があった。すなわち、ユーザは、まずジョブ1~3を含む第1のジョブリストをプリンタに送信して、第1印刷成果物の印刷を行った後、被印刷物を入れ替え、次に、ジョブ4~6を含む第2のジョブリストをプリンタに送信して、第2印刷成果物の印刷を行う必要があった。その結果、ユーザの作業が煩雑になり、生産効率が低下していた。また、例えば、印刷要求端末とプリンタとが離れた場所に配置されている場合などには、装置間の往復移動もユーザにとって大きな負担となっていた。
【0007】
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、量産に適した印刷システム及びジョブリスト作成用のコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る印刷システムは、複数の印刷ジョブが実行順に並べられたジョブリストを作成する印刷管理装置と、前記ジョブリストに基づいて被印刷物に対して印刷を行うプリンタと、を備える。前記印刷管理装置は、前記印刷ジョブのそれぞれに、次の印刷ジョブを連続印刷するか否かを指定した連続印刷情報を付与するように構成されている連続印刷情報付与部を備える。前記プリンタは、前記印刷ジョブとして第1の印刷ジョブと前記第1の印刷ジョブの次の第2の印刷ジョブとを含んだジョブリストに基づいて印刷を行う際に、前記第1の印刷ジョブの前記連続印刷情報において連続印刷することが指定されている場合は、前記第1の印刷ジョブの印刷が完了した後、連続して前記第2の印刷ジョブの印刷を開始する一方、前記第1の印刷ジョブの前記連続印刷情報において連続印刷しないことが指定されている場合は、前記第1の印刷ジョブの印刷が完了した後、前記第2の前記印刷ジョブの印刷を開始しないように構成されている連続印刷判定部を備える。
【0010】
上記印刷管理装置で作成されるジョブリストは、各印刷ジョブに連続印刷情報を含んでいる。上記プリンタは、上記ジョブリストに基づき、印刷ジョブごとに次の印刷ジョブを連続印刷するか否かを判定する。このことにより、例えば、被印刷物を入れ替える必要がない印刷ジョブなどは連続して実行する一方、被印刷物を入れ替えるタイミングなどでは印刷処理を一時停止することが可能となる。したがって、上記印刷システムでは、複数の印刷成果物の印刷ジョブをまとめたジョブリストを一度の出力でプリンタに送信することができる。言い換えれば、ジョブリストの途中で被印刷物を入れ替える必要がある場合にも、ジョブリストを細切れにすることなく、1つに纏めることができる。このことにより、ユーザの負担を軽減することができ、印刷の作業を円滑に行うことができる。その結果、印刷を効率化することができ、大量の印刷成果物を低コストで量産することができる。
【0011】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを、上記印刷管理装置として動作させるように構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、量産に適した印刷システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】ジョブリストを作成する手順を示したフローチャートの一例である。
【
図3】連続印刷情報を含んだ印刷モードの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0015】
図1は、印刷システム1の構成を示すブロック図である。印刷システム1は、印刷管理装置10と、プリンタ20と、を備えている。印刷管理装置10とプリンタ20とは、有線または無線で通信可能に接続されている。印刷管理装置10は、1つまたは複数の印刷ジョブが実行順に並べられたジョブリストを作成し、プリンタ20に送信するように構成されている。プリンタ20は、印刷管理装置10から送られたジョブリストを受信し、当該ジョブリストに基づいて、被印刷物に画像を印刷するように構成されている。なお、ここで言う「画像」とは、文字、数字、記号、絵柄、模様、写真等を含む総称である。
【0016】
被印刷物の種類は、特に限定されない。被印刷物は、例えば、印刷紙や転写紙、カードなどのシートであってもよいし、携帯電話ケースなどの各種ケース、電子タバコなどの小型電子機器、キーホルダやフォトフレーム、ウエルカムボードなどの部品小物、日用品、アクセサリなどの立体物であってもよい。また、被印刷物の素材は、普通紙やインクジェット用印刷紙などの紙類はもちろんのこと、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)共重合体などの樹脂類、アルミニウムやステンレス鋼などの金属類、カーボン、陶器、セラミック、ガラス、ゴム、皮革などであってもよい。
【0017】
プリンタ20は、ここでは光硬化型のインクジェットプリンタである。ただし、プリンタ20は、これに限定されるものではない。なお、本明細書において「インクジェットプリンタ」とは、従来公知のインクジェット技術による印刷方法、例えば、二値偏向方式あるいは連続偏向方式などの連続方式や、サーマル方式、あるいは圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式を利用したプリンタ全般をいう。
【0018】
プリンタ20は、例えばフラットベッドタイプである。プリンタ20は、テーブル21と、インクカートリッジ22,23と、インクヘッド24と、紫外線ランプ25と、制御部26と、操作パネル27と、を備えている。プリンタ20は、被印刷物をカットするように構成されたカッティング機構をさらに備えていてもよい。プリンタ20の各部は、相互に通信可能に構成されている。
【0019】
テーブル21は、被印刷物の支持部材の一例である。テーブル21には、被印刷物が載置される。印刷を施す被印刷物の大きさがテーブル21に比べて十分に小さいときは、量産性や生産効率の観点から、複数の被印刷物を同時にテーブル21に載置してもよい。同時にテーブル21に載置される被印刷物は、形状が同じであってもよいし異なっていてもよい。複数の被印刷物を同時にテーブル21に載置する場合、複数の被印刷物を、例えば形状の同じものをひとまとめにして、1つの印刷成果物とみなすこともできる。なお、テーブル21に複数の被印刷物を載置する場合は、複数の被印刷物の互いの位置がずれないように、複数の被印刷物を収納する配置孔を複数有する印刷用治具を使用してもよい。この場合、複数の被印刷物を、例えば印刷用治具の単位でひとまとめにして、1つの印刷成果物とみなすこともできる。テーブル21は、図示しないテーブル移動機構によって、インクヘッド24に対して相対移動が可能なように構成されている。
【0020】
インクカートリッジ22,23は、紫外線硬化型のインクを貯留している。紫外線硬化型のインクは、典型的には重合性化合物と重合開始剤とを含んでいる。インクカートリッジ22は、プロセスカラーインクを貯留している。プロセスカラーインクは、画像形成に用いられるインクである。インクカートリッジ22は、例えば、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)、イエローインク(Y)、ブラックインク(K)のCMYKの合計4つを有している。インクカートリッジ23は、特色インクを貯留している。特色インクは、インクカートリッジ22に貯留されているプロセスカラーインクとは異なる色および/または特性を有している。インクカートリッジ23は、例えば、プライマインク、ホワイトインク、コーティングインクの合計3つを有している。
【0021】
プライマインクは、例えば撥インク性の高い被印刷物に印刷を行う場合に、被印刷物へのインクの乗りを良くするための前処理用のインクである。プライマインクは、被印刷物に他のインクを印刷する前の下地処理で用いられるインクである。プライマインクは、典型的には透明である。ホワイトインクは、画像形成の他に、プロセスカラーインクの発色性を向上するための下地処理で用いられるインクである。コーティングインクは、表面加工用のインクである。コーティングインクは、例えばプロセスカラーインクやホワイトインクを用いて画像を印刷した後の表面仕上げに用いられるインクである。コーティングインクは、典型的には透明である。
【0022】
なお、本実施形態では、プリンタ20が、4つのインクカートリッジ22と、3つのインクカートリッジ23とを有しているが、これには限定されない。プリンタ20は、インクカートリッジ22またはインクカートリッジ23を有していなくてもよい。また、インクカートリッジ22,23は、それぞれ独立して、1つであってもよいし、2つであってもよいし、3つであってもよいし、4つであってもよいし、5つ以上であってもよい。インクカートリッジ23は、例えば、プライマインク、ホワイトインクおよびコーティングインクのうちの少なくとも1つを有していなくてもよい。
【0023】
インクヘッド24は、被印刷物にインクを吐出するためのものである。インクヘッド24は、テーブル21に載置された被印刷物に向かってインクを吐出可能なように構成されている。インクヘッド24は、典型的にはインクカートリッジ22,23と同じ数で設けられている。本実施形態では、合計7つ設けられている。インクヘッド24は、それぞれ、インクチューブなどのインク供給経路を介して、インクカートリッジ22,23と連通されている。インクヘッド24は、図示しないキャリッジ移動機構によって、テーブル21に対して相対移動が可能なように構成されている。
【0024】
紫外線ランプ25は、被印刷物上のインクに対して紫外線を照射し、当該被印刷物上のインクを硬化させるためのものである。紫外線ランプ25は、インクを硬化可能な紫外線波長を有している。紫外線ランプ25は、例えばLEDであってもよいし、蛍光灯(低圧水銀灯)や高圧水銀灯であってもよい。紫外線ランプ25は、1つであってもよいし、2つ以上の複数であってもよい。また、紫外線ランプ25は必須ではなく、省略することもできる。その場合、インクカートリッジ22,23には、それぞれ、紫外線硬化型以外のインクが貯留されていてもよい。
【0025】
制御部26は、印刷管理装置10から送信されたジョブリストの各印刷ジョブに基づいて、プリンタ20の各部の動作を制御するように構成されている。制御部26は、メイン制御部26aと連続印刷判定部26bとを有している。メイン制御部26aは、印刷ジョブに基づいて、被印刷物上に1層または2層以上のインク層を形成するように構成されている。メイン制御部26aは、テーブル移動機構とキャリッジ移動機構とに通信可能に接続されており、テーブル21に載置された被印刷物とインクヘッド24との相対的な位置関係を制御する。メイン制御部26aは、インクヘッド24と通信可能に接続されており、被印刷物に対するインクの吐出を制御する。メイン制御部26aは、紫外線ランプ25と通信可能に接続され、紫外線ランプ25の起動と停止を制御する。
【0026】
連続印刷判定部26bは、ジョブリストの各印刷ジョブに含まれる連続印刷情報を判定する。具体的には、連続印刷判定部26bは、連続印刷情報として連続印刷することが指定されている場合(連続印刷情報が「ON」である場合)に、第1の印刷ジョブの印刷が完了した後、連続して次の(第2の)印刷ジョブの印刷を開始するように構成されている。また、連続印刷判定部26bは、連続印刷情報として連続印刷しないことが指定されている場合(印刷ジョブの連続印刷情報が「OFF」である)場合に、第1の印刷ジョブの印刷が完了した後、連続して次の(第2の)印刷ジョブの印刷を開始しないように構成されている。言い換えれば、たとえジョブリストに次の印刷ジョブを含んでいるとしても、印刷を一時停止するように構成されている。ユーザは、印刷が一時停止している間に、例えば被印刷物を入れ替えたり被印刷物の印刷状態を確認したりすることができる。
【0027】
連続印刷判定部26bは、印刷ジョブの連続印刷情報が「ON」である場合に、操作パネル27の表示部27aに連続印刷中である旨を表示するように構成されていてもよい。連続印刷判定部26bは、印刷ジョブの連続印刷情報が「OFF」である場合に、印刷を一時停止すると共に、ユーザに印刷停止中である旨を通知するように構成されていてもよい。ユーザへの通知は、例えば、操作パネル27の表示部27aに印刷停止中である旨を表示したり、プリンタ20の図示しないスピーカーから所定の音を発生させたり、プリンタ20の図示しない照明の色を変更したりすることで行うことができる。このことにより、ユーザは、印刷が一時停止したときに、直ぐさま被印刷物の入れ替え作業などを行うことができる。そのため、生産効率をより良く向上することができる。制御部26は、例えば、ユーザによって印刷停止状態の解除が指示されたときには、次の印刷ジョブの印刷処理を再開するように構成されている。
【0028】
制御部26は、典型的にはコンピュータである。制御部26は、例えば、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置とを備えている。
【0029】
操作パネル27は、例えば、ユーザが印刷の進捗状況を確認したり、印刷に関する操作を行ったりするためのものである。操作パネル27は、表示部27aと入力部27bとを備えている。操作パネル27は、例えば、ユーザが表示画面に直接触れて操作することができるタッチパネルである。表示部27aには、例えば、ジョブリストの情報や、プリンタ20のステータス、例えば印刷実行中であるか印刷停止中であるか、が表示される。すなわち、表示部27aは、連続印刷判定部26bの判定結果をユーザに通知する通知部としても機能する。入力部27bは、ユーザーインターフェイスである。入力部27bには、ユーザによって印刷に関する情報が入力される。例えば、ユーザによって印刷停止状態を解除する指示が入力される。
【0030】
プリンタ20は、印刷管理装置10と通信を行うためのインターフェイス(I/F)28をさらに備えている。
図1に矢印で示すように、プリンタ20は、インターフェイス28を介して印刷管理装置10からジョブリストを受信する。受信したジョブリストは、プリンタ20の制御部26に送られる。
【0031】
印刷管理装置10は、プリンタ20で用いられるジョブリストを作成および送信する機能を有する。ジョブリストは、1つまたは複数の印刷ジョブを印刷処理の実行順に並べた印刷データとして構成されている。各印刷ジョブは、印刷条件の情報と、被印刷物に印刷される画像のデータと、を含んでいる。印刷条件の情報は、通常の印刷条件の情報、例えば、1つの被印刷物に対する印刷処理として実行される印刷モードの情報、印刷解像度の情報、印刷範囲の情報、被印刷物の情報などに加え、さらに、次の印刷ジョブを連続印刷するか否かを指定した連続印刷情報を含んでいる。
【0032】
印刷管理装置10は、典型的にはコンピュータであり、例えばCPUとROMとRAMとを備えている。なお、印刷管理装置10は、ここではプリンタ20に接続された外部装置である。ただし、印刷管理装置10は、プリンタ20の制御部26に内蔵されていてもよい。また、印刷管理装置10は、コンピュータのCPUを印刷管理装置10として動作させるコンピュータプログラムであってもよい。かかるコンピュータプログラムは、印刷管理装置10の動作が書き込まれ、コンピュータで読み取り可能な記録媒体であっていてもよい。記録媒体としては、例えば、半導体記録媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリーカード)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク)などが例示される。上記コンピュータプログラムは、上記記録媒体あるいはインターネットなどのネットワークを介して、サーバーコンピュータに送信することができる。この場合、サーバーコンピュータもまた、ここに開示される発明の一形態である。
【0033】
印刷管理装置10は、入力部11と、ジョブリスト作成部12と、記憶部13と、表示部14と、出力部15と、を備えている。印刷管理装置10の各部は、相互に通信可能に構成されている。印刷管理装置10の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。印刷管理装置10の各部は、プロセッサによって行われるものであってもよいし、回路に組み込まれたものであってもよい。
【0034】
入力部11は、ユーザーインターフェイスである。入力部11には、ジョブリストの作成に必要な情報、例えば、被印刷物に印刷される画像の情報、印刷モードの情報、被印刷物の情報、連続印刷情報などが入力される。これらの情報は、典型的にはユーザによって手動で入力される。入力部11は、例えば、カーソルキーや数字入力キーなどを備えたキーボードと、マウスなどのポインティングデバイスと、を備えている。ただし、入力部11は、ホストコンピュータなどの外部機器や、有線または無線で接続されたネットワークから、必要な情報を取り込み可能なように構成されていてもよい。入力部11に入力された情報は、例えば印刷ジョブごとまたは被印刷物ごとに相互に紐付けされて、ジョブリスト作成部12に送信される。
【0035】
ジョブリスト作成部12は、入力部11に入力された情報を受信する。ジョブリスト作成部12は、ユーザの指示で、ジョブリストを作成するように構成されている。作成されたジョブリストは、出力部15に送られる。ジョブリスト作成部12は、例えば、印刷管理装置10にインストールされたラスタイメージプロセッサ(RIP:Raster Image Processor)のコンピュータプログラムで構成されている。ジョブリスト作成部12は、画像作成部12aと、印刷モード設定部12bと、ジョブ群構築部12cと、連続印刷情報付与部12dと、を備えている。以下、ジョブリストの作成手順に沿って各部の構成や機能を説明する。
【0036】
図2は、ジョブリストを作成する手順を示したフローチャートの一例である。本実施形態ではまず、ステップS1において、画像作成部12aにより、ユーザの指示で、被印刷物に印刷される画像のデータ(画像データ)が作成される。複数の被印刷物に対して印刷を行う場合には、複数の画像データが作成される。なお、画像作成部12aの構成は、従来と同様でよい。画像作成部12aは、例えば、印刷管理装置10にインストールされ、ポストスクリプトデータとしての画像データを作成するコンピュータプログラム(所謂、画像作成ソフトウェア)で構成されている。画像作成部12aで作成されたポストスクリプトデータは、RIPで点情報にラスタライズされる。ただし、被印刷物に印刷される画像のデータは、例えば印刷管理装置10とは異なるコンピュータを用いて作成され、あるいは、インターネットなどのネットワークを介して取得され、記憶部13に予め記憶されていてもよい。画像データは、例えば入力部11から入力された被印刷物の情報と紐づけされ、例えば被印刷物単位で、1つの作業ファイルとして記憶部13に記憶される。
【0037】
次に、ステップS2において、印刷モード設定部12bにより、各被印刷物に対して印刷モードが設定される。複数の被印刷物に対して印刷を行う場合には、それぞれの被印刷物に対して印刷モードが設定される。なお、印刷モード設定部12bの構成は、従来と同様でよい。印刷モードは、例えば、1つの印刷ジョブからなる単層印刷モードと、2つの印刷ジョブからなる2層印刷モードと、3つ以上の印刷ジョブからなる多層印刷モードと、のなかから、ユーザによって選択される。単層印刷モードは、例えば、インクヘッド24からプロセスカラーインクを吐出させて、被印刷物上に、1つのプロセスカラーインク層を形成する印刷モードである。2層印刷モードは、例えば、インクヘッド24からプロセスカラーインクと特色インクとを順次吐出させて、被印刷物上に、1つのプロセスカラーインク層と1つの特色インク層との合計2層を積層形成する印刷モードである。多層印刷モードは、被印刷物上に、例えば、プロセスカラーインク層と特色インク層とを合計3層以上、例えば3~5層を積層形成する印刷モードである。設定された印刷モードは、入力部11に入力された情報と紐付けされ、1つの作業ファイルとして記憶部13に記憶される。
【0038】
印刷モードは、例えば、プロセスカラーインクを印刷する前の下地層の形成の要否や、プロセスカラーインクを印刷した後の表面仕上げの要否などによって決定される。好適な一態様では、印刷モード設定部12bにより、入力部11に入力された被印刷物の情報に基づいて、印刷モードが自動的に選択される。あるいは、ユーザが比較および選択可能なように、1つまたは複数の印刷モードが表示部14に表示される。例えば、印刷モード設定部12bは、入力部11に入力された被印刷物の情報に基づいて、プライマインクおよび/またはホワイトインクを用いた下地処理の要否と、コーティングインクを用いた表面仕上げの要否とを自動判定し、それらの結果から印刷モードを1つまたは複数選択して、表示部14に表示するように構成されている。
【0039】
印刷モード設定部12bは、例えば、入力部11に入力された被印刷物の材質が、皮革やガラスなどの撥インク性の高い材質である場合に、プライマインクを使用した下地処理を行う印刷モードを選択する。また、印刷モード設定部12bは、例えば、入力部11に入力された被印刷物の材質が、樹脂やカーボンなどの親インク性の高い材質である場合に、プライマインクを使用した下地処理を行わない印刷モードを選択する。また、印刷モード設定部12bは、例えば、入力部11に入力された被印刷物の地色が、透明あるいは濃色(黒、紺、茶など)である場合に、ホワイトインクを使用した下地処理を行う印刷モードを選択する。また、印刷モード設定部12bは、例えば、入力部11に入力された被印刷物の地色が白色あるいは淡色である場合に、ホワイトインクを使用した下地処理を行わない印刷モードを選択する。また、印刷モード設定部12bは、例えば、入力部11に入力された被印刷物に光沢感がある場合に、コーティングインクを使用した表面仕上げを行う印刷モードを選択する。また、例えば、印刷モード設定部12bは、入力部11に入力された被印刷物に光沢感が無い場合に、コーティングインクを使用した表面仕上げを行わない印刷モードを選択する。
【0040】
次に、ステップS3において、ジョブ群構築部12cにより、予め定められた基準に基づいて、ジョブリストに含まれる印刷ジョブが順次グループ化され、1つまたは複数のジョブ群に区分けされる。グループ化の基準は、ユーザが任意に設定することができる。一例として、ジョブ群構築部12cは、ジョブリストの並び順に印刷成果物の単位で印刷ジョブをグループ化し、ジョブ群に区分けする。他の一例として、ジョブ群構築部12cは、ジョブリストの並び順に被印刷物を交換するタイミングである被印刷物入れ替え単位で印刷ジョブをグループ化し、ジョブ群に区分けする。被印刷物入れ替え単位は、ユーザが実際の印刷作業などを考慮して任意に設定することができる。ジョブ群構築部12cで構築されたジョブ群の情報は、記憶部13に記憶されている作業ファイルに追加され、印刷条件の情報、例えば印刷モードの情報に紐付けられる。なお、ステップS3は必須ではなく、省略することも可能である。この場合、ジョブリスト作成部12は、ジョブ群構築部12cを有していなくてもよい。
【0041】
次に、ステップS4において、連続印刷情報付与部12dにより、印刷モードの各印刷ジョブに、連続印刷情報が付与される。連続印刷情報は、ジョブリストの後続の印刷ジョブを連続して印刷するか否かを指定する情報である。連続印刷情報は、例えば、ON/OFFで表される。連続印刷が「ON」とは、後続の印刷ジョブを連続印刷することを意味する。連続印刷が「OFF」とは、後続の印刷ジョブを連続印刷しないことを意味する。連続印刷情報付与部12dで付与された連続印刷情報は、記憶部13に記憶されている作業ファイルに、印刷条件の情報として追加される。
【0042】
好適な一態様では、ジョブ群構築部12cで構築されたジョブ群の情報に基づき、連続印刷情報付与部12dが自動的に連続印刷情報を仮付与する。具体的には、連続印刷情報付与部12dは、ジョブ群の最後の印刷ジョブに対して、連続印刷「OFF」の属性を仮付与する。一方、ジョブ群の最後の印刷ジョブ以外、すなわち最初および途中の印刷ジョブに対して、連続印刷「ON」の属性を仮付与する。各印刷ジョブに付与された連続印刷情報は、ユーザが適宜変更してもよい。各印刷ジョブに付与された連続印刷情報は、例えばユーザによって最終的に決定される。また、ステップS3を省略する場合などには、各印刷ジョブに対して、ユーザがマニュアルで連続印刷情報を独自に付与することもできる。以上のようにして、ジョブリスト作成部12でジョブリストが作成される。
【0043】
記憶部13は、例えば、画像データ、印刷モード、ジョブ群、連続印刷情報等を含んだジョブリストの作業ファイルが保存される。また、記憶部13には、例えば、プリンタ20に送信されるジョブリストが保存される。
【0044】
好適な一態様において、記憶部13には、被印刷物の情報と印刷モードの情報と連続印刷情報とが紐付けされた印刷条件ファイルが記憶されている。例えば、記憶部13には、印刷成果物単位で印刷モードを異ならせた複数のバリエーションの印刷条件ファイル(以下、バリエーションファイルと適宜称する。)が記憶されている。すなわち、バリエーションファイルは、被印刷物の情報が同じで、かつ、印刷モードの情報が相互に異なる印刷条件ファイルである。バリエーションファイルは、例えば、(1)性状の異なる被印刷物に対応する、(2)おもて面および裏面を有する被印刷物の印刷面の変更に対応する、(3)印刷品質、印刷コスト、および印刷所要時間のうちの少なくとも1つを調整する、のうちの少なくとも1つの目的で、ユーザが任意に選択可能なように記憶されている。バリエーションファイルは、ユーザが比較および選択し易いように表示部14に表示される。
【0045】
図3には、バリエーションファイルの一例として、バリエーションファイルNo.1~23を示している。例えばバリエーションファイルNo.1は、印刷ジョブ1~3からなる多層印刷モードのファイルであり、ホワイトインクとプロセスカラーインクとコーティングインクとをこの順に重ね印刷して、被印刷物上に3層のインク層を形成するように構成されている。なお、「裏面印刷」とは、印刷される面が裏面であり、印刷成果物を印刷面(裏面)とは逆側の面(おもて面)から鑑賞することを想定して被印刷物に画像を印刷することをいう。また、
図3では、視覚的に判りやすいように各バリエーションファイルに含まれる情報が表形式で表されているが、実際のバリエーションファイルは、例えば、プログラム言語によって記載されたソースコードで作成されている。この場合、ソースコードで作成されたバリエーションファイルは、テキスト形式のデータファイルである。
【0046】
図3のバリエーションファイルには、印刷成果物単位で連続印刷情報がすでに付与されている。ユーザは、このバリエーションファイルを適宜選択して援用することにより、上記したジョブリストの作成を簡便に行うことができる。具体的には、
図2のフローチャートにおけるステップS2の印刷モードの設定からステップS4の連続印刷情報の付与までの工程を簡便に行うことができる。
【0047】
好適な一実施形態では、まず、ステップS2の印刷モードの設定において、入力部11から入力された被印刷物の情報に基づき、表示部14に複数のバリエーションファイルが表示される。例えば、入力部11に入力された被印刷物の地色が透明あるいは濃色である場合には、ホワイトインクの使用の有無のみが異なる複数のバリエーションファイル、すなわち、ホワイトインクを使用する印刷ジョブを含んだ高品質タイプのファイルと、ホワイトインクを使用する印刷ジョブを含まない低コストタイプのファイルとが、並んで表示される。また、例えば、入力部11に入力された被印刷物が光沢感を有する場合には、コーティングインクの使用の有無のみが異なる複数のバリエーションファイル、すなわち、コーティングインクを使用する印刷ジョブを含む高品質タイプのファイルと、コーティングインクを使用する印刷ジョブを含まない低コストタイプのファイルとが、並んで表示される。ユーザは、バリエーションファイルのなかから1つまたは2つ以上を任意に選択し、印刷成果物単位で実行順に並べることで、連続印刷情報を含んだジョブリストを簡便に作成することができる。このことにより、印刷ジョブの設定ミスが生じにくくなり、印刷に習熟していないユーザであっても種々の印刷成果物を失敗なく得ることができる。
【0048】
表示部14は、記憶部13に記憶されている情報などを、ユーザが視認可能なように表示する。表示部14は、例えば液晶ディスプレイである。表示部14は、入力部11を兼ねたタッチパネルであってもよい。表示部14は、例えば印刷モードなどの印刷条件を、表形式で表示してもよい。表示部14は、例えば被印刷物に印刷される画像のデータを、プレビュー画面として表示してもよい。表示部14は、例えばユーザによって入力部11に被印刷物などの情報が入力された場合に、複数のバリエーションファイルを表示してもよい。
【0049】
出力部15は、ジョブリスト作成部12で作成されたジョブリストを受信する。出力部15は、ジョブリストに含まれる印刷条件の情報と画像のデータとをプリンタ20へ送信する。上述したように、プリンタ20の制御部26は、受信したジョブリストの印刷ジョブに基づいてテーブル21やインクヘッド24、紫外線ランプ25などを制御し、被印刷物に印刷を行う。
【0050】
以下、上述したジョブリスト作成手順にしたがってジョブリストを作成する幾つかの具体的な実施例を示す。
【0051】
(実施例1)実施例1では、ステップS1において、計3つの被印刷物に対する画像データが作成され、ステップS2において、被印刷物1~3のそれぞれに対し、ホワイトインクとプロセスカラーインクとコーティングインクとをこの順に重ね印刷する印刷モードが選択された場合を想定する。
【表2】
【0052】
本実施形態では、ステップS3において、ユーザにより、被印刷物の単位でジョブ群を区分けすることが設定されたとする。これにより、ジョブ群構築部12cでは、ジョブリストに含まれる印刷ジョブが被印刷物の単位で順次グループ化され、3つのジョブ群に区分けされる。次に、ステップS4において、連続印刷情報付与部12dにより、ジョブ群構築部12cで構築されたジョブ群の情報に基づいて、連続印刷情報が自動的に仮付与される。ここでは、各ジョブ群の最後の印刷ジョブのみに対して、連続印刷「OFF」の属性が仮付与される。ユーザは、仮付与された連続印刷情報を確認し、連続印刷情報を確定する。このジョブリストによれば、プリンタ20において、各被印刷物に対する印刷を終えた後に、それぞれ印刷が一時停止する。例えば、印刷ジョブ1~3が連続印刷された後に、印刷が一時停止する。そのため、ユーザは、印刷ジョブ3が終了してプリンタ20が一時停止したタイミングで、被印刷物を入れ替えることができる。また、被印刷物を入れ替えた後、ユーザがプリンタ20に印刷停止状態の解除を指示すると、印刷が再開され、次の印刷ジョブ4~6が連続印刷される。このように、実施例1では、1つのジョブリストで、3回の連続印刷と、2回の被印刷物の入れ替えとを交互に繰り返して、計3つの印刷成果物が得られる。
【0053】
(実施例2)実施例2では、ステップS1において、計3つの被印刷物に対する画像データが作成され、ステップS2において、被印刷物1~3のそれぞれに対し、下記の印刷モードが選択された場合を想定する。
【表3】
【0054】
本実施形態では、ステップS3において、ユーザにより、被印刷物入れ替え単位が指定され、当該被印刷物入れ替え単位でジョブ群を区分けすることが設定されたとする。すなわち、被印刷物1,2が同時にテーブル21に載置可能な場合、被印刷物1,2の間では被印刷物の交換が不要であり、連続印刷が可能となっている。これにより、ジョブ群構築部12cでは、ジョブリストに含まれる印刷ジョブが被印刷物入れ替え単位で順次グループ化され、2つのジョブ群に区分けされる。次に、ステップS4において、連続印刷情報付与部12dにより、ジョブ群構築部12cで構築されたジョブ群の情報に基づいて、連続印刷情報が自動的に仮付与される。ここでは、各ジョブ群の最後の印刷ジョブのみに対して、連続印刷「OFF」の属性が仮付与される。ユーザは、仮付与された連続印刷情報を確認し、連続印刷情報を確定する。このジョブリストによれば、プリンタ20において、印刷ジョブ1~5が連続印刷され、被印刷物1,2に対する印刷を終えた後に、印刷が一時停止する。そのため、ユーザは、印刷ジョブ5が終了してプリンタ20が一時停止したタイミングで、被印刷物を入れ替えることができる。また、被印刷物を入れ替えた後、ユーザがプリンタ20に印刷停止状態の解除を指示すると、印刷が再開され、残りの印刷ジョブ6,7が連続印刷される。このように、実施例2では、1つのジョブリストで、2回の連続印刷の間に1回の被印刷物の入れ替えを行い、計3つの印刷成果物が得られる。
【0055】
以上のように、本実施形態の印刷管理装置10では、各印刷ジョブに連続印刷情報が付与されたジョブリストが作成される。そのため、本実施形態では、ジョブリストの途中で被印刷物の入れ替えが必要になる場合にも、印刷ジョブを一度の出力でまとめてプリンタに送信することができる。また、本実施形態のプリンタ20は、連続印刷判定部26bを有しており、上記ジョブリストに基づき、印刷ジョブごとに、次の印刷ジョブを連続印刷するか否かを判定する。このことにより、被印刷物を入れ替える必要のない印刷ジョブなどは連続して実行する一方、被印刷物を入れ替える必要のあるタイミングなどでは次の印刷ジョブが実行されないように設定することが可能となる。かかる構成により、印刷システム1によれば、例えばジョブリストを複数回に分割してプリンタ20に出力する場合に比べて、ユーザの時間や手間を低減して、ユーザの作業を効率化することができる。また、大量の印刷成果物を低コストで量産することができる。
【0056】
また、量産の段階では、印刷管理装置10とプリンタ20とが離れた場所に配置されることがある。このような場合、従来の印刷システムでは、ユーザが装置間を往復移動する必要があった。これに対して、本実施形態の印刷システム1によれば、ユーザの移動距離を小さくして、ユーザの体力的な負担を軽減することができる。
【0057】
さらに量産の段階が進むと、印刷管理装置10とプリンタ20とで操作する人(オペレータ)が異なる場合がある。例えば、印刷管理装置10は、画像データの作成や印刷条件の設定に習熟した作業指示者によって操作され、プリンタ20の操作や被印刷物の入れ替え作業は、現場の作業者によって行われる場合がある。このような場合、従来の印刷システムでは、作業指示者が実行中の印刷が終わるのを見計らって、都度ジョブリストをプリンタに送信する必要があった。これに対して、本実施形態の印刷システム1によれば、一度の出力でジョブリストをプリンタ20に送信することができる。このため、作業指示者は空いた時間に他の作業を行うことができ、業務を大幅に効率化することができる。
【0058】
本実施形態において、印刷管理装置10は、予め定められた基準に基づいて、ジョブリストに含まれる印刷ジョブを順次グループ化して、1つまたは複数のジョブ群に区分けするように構成されているジョブ群構築部12cをさらに備える。連続印刷情報付与部12dは、上記ジョブ群の最初および途中の上記印刷ジョブに対して、連続印刷することを指定し、上記ジョブ群の最後の上記印刷ジョブに対して、連続印刷しないことを指定するように構成されている。これにより、連続印刷情報の入力ミスを未然防止することができ、ユーザの作業効率をより良く向上することができる。
【0059】
本実施形態において、ジョブリストは、複数の被印刷物に対して順次印刷を行う複数の印刷ジョブを含んでいる。ジョブ群構築部12cは、被印刷物の単位で、複数の印刷ジョブをジョブ群に区分けするように構成されていてもよい。ジョブ群構築部12cは、被印刷物を交換するタイミングである被印刷物入れ替え単位で、複数の印刷ジョブをジョブ群に区分けするように構成されていてもよい。これにより、連続印刷情報の入力ミスを未然防止することができ、ユーザの作業効率を格段に向上することができる。
【0060】
本実施形態において、印刷管理装置10は、被印刷物の情報と、1つの印刷処理として実行される印刷モードの情報と、上記連続印刷情報と、が紐付けされた印刷条件ファイルを記憶する記憶部13をさらに備える。印刷条件ファイルを利用することにより、連続印刷情報の入力ミスを未然防止することができる。また、ユーザは、ジョブリストを一から作成する必要がなくなり、簡便にジョブリストを作成することができる。したがって、ユーザの利便性を向上することができる。
【0061】
本実施形態において、印刷管理装置10の記憶部13は、印刷条件ファイルとして、被印刷物の情報が同じで、かつ、印刷モードの情報が相互に異なる複数のバリエーションファイルを記憶している。これにより、印刷に対する知識や経験の少ないユーザであっても、容易に印刷条件の設定を行うことができ、さまざまなバリエーションの印刷成果物を得ることができる。したがって、ユーザの利便性を向上することができる。
【0062】
本実施形態において、プリンタ20は、連続印刷判定部26dの判定結果をユーザに通知する通知部27aをさらに備える。これにより、作業者は、通知部27aを通じて、プリンタ20の状態、例えば連続印刷中であるか印刷停止中であるかを、容易に把握することができる。したがって、ユーザの作業効率や利便性を向上することができる。
【0063】
以上、本発明を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明はその主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【符号の説明】
【0064】
1 印刷システム
10 印刷管理装置
12 ジョブリスト作成部
12c ジョブ群構築部
12d 連続印刷情報付与部
20 プリンタ