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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】力センサ用低コスト板ばね
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20220523BHJP
【FI】
A61B18/14
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018040498
(22)【出願日】2018-03-07
(65)【公開番号】P2018143772
(43)【公開日】2018-09-20
【審査請求日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】15/452,865
(32)【優先日】2017-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・トーマス・ビークラー
(72)【発明者】
【氏名】イェフダ・アルガウィ
(72)【発明者】
【氏名】イリヤ・シットニツキー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・トーマス・キース
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-090114(JP,A)
【文献】特開2014-128680(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0130648(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/367
A61B 5/287
A61B 18/12 -18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
近位部分及び遠位端部を有する可撓性プローブであって、前記プローブは、生体の体腔への挿入に対して適合されており、前記プローブは、前記プローブの前記遠位端部に遠位先端部を有する、可撓性プローブと、
前記プローブの前記遠位端部にある接触力センサと、を備え、前記接触力センサは、
送信機と、
受信機であって、前記送信機から信号を受信することにより前記送信機に対する前記受信機の位置を感知する受信機と、
前記送信機と前記受信機との間に配設された弾力性要素であって、前記弾力性要素は、前記遠位先端部が前記体腔の壁を係合するときに、前記遠位先端部に作用させられた圧力に応じて変形するように構成されており、前記弾力性要素は、平面金属薄板からカッティングまたは打抜きで形成された1対の板ばねコイルである、弾力性要素と、
前記1対の板ばねコイルの間のスペーサと、
前記接触力センサの両端部にあって前記1対の板ばねコイルとそれぞれ接触している2つの保持器と、を備える、装置。
【請求項2】
前記送信機及び前記受信機は、平面プリント回路基板を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
透磁性材料が、前記平面プリント回路基板のそれぞれの最上部に置かれている、請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記透磁性材料は、前記平面プリント回路基板のそれぞれの上に少なくとも1つのミューメタルの平板を備える、請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記送信機、前記受信機、前記弾力性要素、前記スペーサ、及び、前記2つの保持器を備える前記接触力センサは、一体的なモジュールとして構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記受信機は、3個の受信コイルを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記送信機は、3個の送信コイルを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記3個の送信コイルは、直列に接続されており、ちょうど1個の発生器によって電力供給されている、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記3個の送信コイルは、異なる周波数でそれぞれの発生器によって電力供給されている、請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許文献の開示の一部には、著作権保護の対象となる資料が含まれる。著作権者は、特許文献又は特許情報開示のうちの任意のものによる複製に対して、それが特許商標庁特許出願又は記録において明らかであるとき、異議を唱えないが、そうでなければ、たとえ何であってもすべての著作権を保有する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、診断及び手術を目的とする器具に関する。より具体的には、本発明は、心臓における診断及び外科手技用カテーテルを使用して、力、圧力、又は機械的引張力若しくは圧縮力を測定することに関する。
【背景技術】
【0003】
心房細動等の心不整脈は、心臓組織の諸領域が、隣接組織に電気信号を異常に伝導することによって正常な心周期を阻害し、非同期的な律動を引き起こす場合に発生する。
【0004】
不整脈を治療するための手技としては、不整脈を発生させている信号の発生源を外科的に破壊することと、そのような信号の伝導路を破壊することが挙げられる。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は変更することが時に可能である。アブレーション法は、非伝導性の損傷部位を形成することによって望ましくない電気経路を破壊するものである。
【0005】
標的組織との物理的な電極の接触を実証することは、アブレーションエネルギーの送達を制御するために重要である。当該技術分野において、組織と電極との接触を実証する試みはこれまで広範に行われ、様々な技法が提案されてきた。例えば、米国特許第6,695,808号は、選択された患者の組織又は器官領域を処置するための装置を記載している。プローブは、その領域に押しつけられ得る接触面を有し、それにより接触圧力を生じさせる。圧力変換器が接触圧力を測定する。この構成は、接触力の存在及び規模の指標となる情報を機器のユーザーに提供することにより、医療機器を、解剖学的表面と過剰には接触しないが、しっかりと定置しなければならないという、処置の必要性を満たすと言われている。
【0006】
別の例として、米国特許第6,241,724号は、分割された電極アセンブリを使用して、体内組織中に損傷部を作成するための方法を記載している。一実施形態では、カテーテル上の電極アセンブリは圧力変換器を有し、これは組織との接触を感知して、圧力接触モジュールに信号を伝達する。モジュールは、圧力変換器信号と関連する電極要素を特定し、エネルギー発生器がこれらの要素にRFエネルギーを伝達し、血液のみと接触する他の要素には伝達しないように指示する。
【0007】
米国特許第6,915,149号に、更なる例が記載されている。この特許は、局所的な電気的活性を測定するための先端電極を有するカテーテルを使用して、心臓をマッピングするための方法を記載している。先端部と組織との接触不良から生じ得るアーチファクトを回避するために、先端部と組織との間の接触圧力が圧力センサを使用して測定され、安定的な接触を確保する。
【0008】
米国特許出願公開第2007/0100332号は、組織アブレーションのための、電極-組織間接触を評価するためのシステム及び方法を記載している。カテーテルのシャフト内の電子機械的センサは、カテーテルシャフトの遠位部分内の電極の運動量に対応する電気信号を発生する。出力機器は、電極と組織間の接触のレベルを評価するために、この電気信号を受け取る。
【0009】
参照により本明細書に組み込まれる、Govariらの本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2009/0093806号は、カテーテルの遠位端部にある弾力性部材での圧力に応じた変形がセンサを使用して測定される、接触圧力測定についての別の適用を記載している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態によれば、生体の体腔への挿入に対して適合された可撓性プローブが提供される。プローブは、その遠位端部に接触力センサを有し、この接触力センサは、送信機と、受信機であって、送信機から信号を受信することにより送信機に対する受信機の位置を感知する受信機と、を含む。送信機と受信機との間に配設された弾力性要素は、遠位先端部が体腔の壁を係合するときに、遠位先端部に作用させられた圧力に応じて変形するように構成されている。弾力性要素は、1対の板ばねコイルである。
【0011】
装置の一態様によれば、接触力センサは、1対の板ばねコイルの間のスペーサと、接触力センサの両端部にあって板ばねコイルとそれぞれ接触する2つの保持器と、を含む。
【0012】
装置の一態様によれば、接触力センサは、プローブの近位部分と遠位端部との間に変形可能な接合部を含む。
【0013】
装置の別の一態様によれば、送信機及び受信機は、平面プリント回路基板を備える。
【0014】
装置の更に別の一態様によれば、透磁性材料が、平面プリント回路基板のそれぞれの最上部に置かれている。
【0015】
装置の更なる一態様によれば、その材料は、平面プリント回路基板のそれぞれの上に少なくとも1つのミューメタルの平板を備える。
【0016】
装置の追加の一態様によれば、接触力センサ、送信機、及び受信機は、一体的なサブアセンブリを構成する。
【0017】
装置の別の一態様によれば、受信機は、3個の受信コイルを備える。
【0018】
装置の追加の一態様によれば、送信機は、3個の送信コイルを備える。
【0019】
装置の更に別の一態様によれば、3個の送信コイルは、直列に接続されており、ちょうど1個の発生器によって電力供給されている。
【0020】
装置の更に別の一態様によれば、3個の送信コイルは、異なる周波数でそれぞれの発生器によって電力供給されている。
【0021】
装置の更なる一態様によれば、接触力センサ、送信機、及び受信機は、一体的なサブアセンブリを構成する。
【0022】
本発明の実施形態によれば、方法が更に提供され、この方法は、生体の体腔への挿入に対して適合されている可撓性のものを提供することによって実行される。プローブは、それの遠位端部に接触力センサを有する。接触力センサは、送信機と、受信機と、送信機と受信機との間に配設された弾力性要素と、を含む。弾力性要素は、1対の板ばねコイルである。方法は、遠位先端部が体腔の壁を係合するときに、遠位先端部に圧力を作用させることにより弾力性要素を変形させることと、弾力性要素を変形させる間に、送信機から信号を発することと、信号を受信機に受信することと、送信機に対する受信機の位置を決定するために信号を処理することと、によって更に実行される。
【0023】
方法の一態様によれば、送信機と受信機との間の距離は、受信機での信号の振幅に基づいて測定される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明をより深く理解するため、本発明の詳細な説明を実例として参照するが、この説明は以下の図面と併せて読むべきものである。図中、同様の要素には同様の参照数字を付してある。
図1】本発明の一実施形態に従う、生体の心臓における電気的活動を評価するためのシステムの描図である。
図2】本発明の一実施形態に従う、カテーテルの遠位部分の部分破断図である。
図3】本発明の一実施形態に従う、図3に示すカテーテルでの使用に適したサブアセンブリである。
図4】本発明の一実施形態に従う心臓カテーテルの遠位部分の立面図である。
図5】本発明の一代替実施形態に従う心臓カテーテルの遠位部分にあるアセンブリの拡大立面図である。
図6】本発明の一代替実施形態に従うカテーテルの遠位端部の略断面図である。
図7】本発明の一実施形態に従う、わずかに斜視的に示された、図6に示すアセンブリの分解図である。
図8】本発明の一実施形態に従う、一体化位置コイルを有する接触力センサの平面アセンブリの平面図である。
図9】本発明の一実施形態に従う、ばねアセンブリの斜視図である。
図10】本発明の一実施形態に従う、図9に示すアセンブリの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明では、本発明の様々な原理が十分に理解されるように、多くの具体的な詳細について記載する。しかしながら、これらの詳細のすべてが本発明を実施するうえで必ずしも必要であるとは限らない点は当業者には明らかであろう。この場合、一般的な概念を無用に分かりにくくすることのないよう、周知の回路、制御論理、並びに従来のアルゴリズム及びプロセスに対するコンピュータプログラム命令の詳細については、詳しく示していない。
【0026】
参照により本明細書に援用される文書は本出願の一体部分と見なされるべきであり、いずれかの用語が、それらの援用された文書内で、本明細書で明示的又は暗示的に行われる定義と相反するように定義される場合を除き、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。
【0027】
システムの概要
次に図面に移り、図1を最初に参照すると、同図は、本発明の開示される実施形態に従って構成され、かつ動作可能である、電気的活動を評価して生きている対象の心臓12にアブレーション処置を実施するためのシステム10の図である。このシステムは、患者の脈管系を通って心臓12の腔又は脈管構造内に操作者16によって経皮挿入されるカテーテル14を備えている。通常は医師である操作者16は、カテーテルの遠位先端18を、心臓壁、例えば、アブレーション標的部位と接触させる。その開示が参照により本明細書に援用される、米国特許第6,226,542号及び同第6,301,496号、並びに本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,892,091号に開示される方法に従って、電気的活動マップが作成され得る。システム10の要素を具現化する1つの市販品は、Biosense Webster,Inc.(3333 Diamond Canyon Road,Diamond Bar,CA 91765)から市販されているCARTO(登録商標)3 Systemとして入手可能である。このシステムは、本明細書に説明される本発明の原理を具現化するように、当業者によって変更されてもよい。
【0028】
例えば電気的活動マップの評価によって異常と判定された領域は、熱エネルギーの印加によって、例えば、心筋に高周波エネルギーを印加する、遠位先端18での1つ又は2つ以上の電極に、高周波電流をカテーテル内のワイヤを介して流すことによって、アブレーションすることができる。エネルギーは、組織に吸収されて、この組織をその電気興奮性が永久に失われる点(通常は50℃超)まで加熱する。成功裏に行われた場合、この処置によって心臓組織に非伝導性の損傷部が形成され、この損傷部が、不整脈を引き起こす異常な電気経路を遮断する。本発明の原理は、異なる心室に適用されて、多数の異なる心不整脈を診断及び治療することができる。
【0029】
カテーテル14は、通常、アブレーションを行うために、操作者16がカテーテルの遠位端の操舵、位置決め、及び方向付けを所望のとおりに行うことを可能にする、好適な制御部を有するハンドル20を備えている。操作者16を補助するために、カテーテル14の遠位部分には、コンソール24内に配置された、プロセッサ22に信号を供給する位置センサ(図示せず)が収容されている。プロセッサ22は、後述のようないくつかの処理機能を果たすことができる。
【0030】
アブレーションエネルギー及び電気信号を、遠位先端部18にあるいはその遠位先端部の付近に配置される1つ又は2つ以上のアブレーション電極32を通して、コンソール24に至るケーブル34を介し、心臓12との間で搬送することができる。ペーシング信号及び他の制御信号は、コンソール24から、ケーブル34及び電極32を介して、心臓12へと伝達され得る。また、コンソール24に接続されている検知電極33は、アブレーション電極32の間に配設されて、ケーブル34への接続部を有する。
【0031】
ワイヤ接続部35は、コンソール24を、体表面電極30、並びにカテーテル14の位置座標及び方向座標を測定するための位置決めサブシステムの他の構成要素と連結する。プロセッサ22又は別のプロセッサ(図示せず)は、位置決めサブシステムの要素であってよい。参照により本明細書に援用される、Govariらに付与された米国特許第7,536,218号において教示されているように、電極32及び体表面電極30を使用して、アブレーション部位における組織インピーダンスを測定してもよい。温度センサ(図示せず)、典型的には、熱電対又はサーミスタを、電極32のそれぞれの上に、又は電極32のそれぞれの付近に、載置することができる。
【0032】
コンソール24には通常、1つ又は2つ以上のアブレーション電力発生装置25が収容されている。カテーテル14は、任意の公知のアブレーション技術、例えば、高周波エネルギー、超音波エネルギー、低温エネルギー、及びレーザー生成光エネルギー等を使用して、アブレーションエネルギーを心臓に伝導するように適合されてもよい。そのような方法は、参照により本明細書に援用される、本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,814,733号、同第6,997,924号、及び同第7,156,816号に開示されている。
【0033】
一実施形態では、位置決めサブシステムは、磁場生成コイル28を使用して、所定の作業体積内に磁場を生成し、カテーテルにおけるこれらの磁場を検知することによって、カテーテル14の位置及び方向を判定する磁気位置追跡配置を備える。位置決めサブシステムは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,756,576号、及び上記の同第7,536,218号に記載されている。
【0034】
上述のように、カテーテル14は、コンソール24に連結されており、これにより操作者16は、カテーテル14を観察し、その機能を調節することができる。コンソール24は、プロセッサ、好ましくは、適切な信号処理回路を有するコンピュータを含む。プロセッサは、モニタ29を駆動するように連結される。信号処理回路は、典型的には、例えば、カテーテル14内の遠位に配置された電気、温度、及び接触力センサ等のセンサ、並びに複数の位置検知電極(図示せず)によって生成される信号を含む、カテーテル14からの信号を受信、増幅、フィルタリング、及びデジタル化する。デジタル化された信号は、コンソール24及び位置決めシステムによって受信され、カテーテル14の位置及び向きを計算し、電極からの電気信号を解析するために使用される。
【0035】
電気解剖学的マップを生成するために、プロセッサ22は、典型的に、電気解剖学的マップ生成器と、画像位置合わせプログラムと、画像又はデータ解析プログラムと、モニタ29上にグラフィカル情報を提示するように構成されたグラフィカルユーザインタフェースと、を備える。
【0036】
簡略化のために図示されないが、通常、システム10は、他の要素を含む。例えば、システム10は、心電図(ECG)モニタを含んでもよく、このECGモニタは、ECG同期信号をコンソール24に供給するために、1つ又は2つ以上の体表面電極から信号を受信するように連結される。また、上に述べたように、システム10は通常、基準位置センサをも含むが、基準位置センサは、患者の身体の外側に取り付けられた、体位外貼付式基準パッチ上、又は心臓12に挿入され、心臓12に対して固定位置に維持された、体内配置式カテーテル上のいずれかに配置される。アブレーション部位を冷却するための液体をカテーテル14を通して循環させるための従来のポンプ及びラインが設けられている。システム10は、MRIユニットなどのような外部の画像診断法からの画像データを受信することができ、プロセッサ22によって取リ込み又は呼び出し、画像を生成及び表示することができる画像プロセッサを含む。
【0037】
第1の実施形態
ここで、図2及び図3を参照するが、これらの図は、それぞれ、本発明の実施形態に従う、カテーテルの遠位部分41の部分破断図、及び遠位部分41のアセンブリ109の略部分分解図である。図2に示すように、遠位部分41は、アブレーション電極43を有する。温度センサ57が遠位部分41に存在することにより、アブレーション部位での温度を監視してもよい。可撓性ばねであるヘリックス63は、弾性材料の管状部品であり、この部品は、その部品長さの一部分に沿って走る複数の絡み合った螺旋状カットを有し、そして、カテーテルと組織との間の接触力が変化するとき、対称軸51に沿って短縮及び拡張する。
【0038】
ヘリックス63を含む接触力センサ53は、アブレーション電極43に対して近位の遠位部分に配設されている。接触力センサ53は、高周波受信機-送信機組合せ(図2に示さず)を備える。この実施形態では、受信機は、送信機に対して近位にある。しかしながら、これらの順序は逆に配置されてもよい。接触力センサ53は、遠位部分41内に変形可能な結合部材を形成する。二部分実装は、磁界発生器と磁気位置センサとの部材への組立てを単純化する。
【0039】
アセンブリ109は、一般に可撓性プラスチックシース87によって覆われる。カテーテル69が、例えば、電極89を通して高周波電気エネルギーを送達することによって、心臓組織をアブレーションする際に使用されるとき、かなりの熱が、遠位先端部49の領域に生成される。この理由で、プラスチックシース87は、ポリウレタン等の耐熱性プラスチック材料を含み、このシースの形状及び弾性は、熱に対する曝露によって実質的に影響を受けないことが望ましい。最も重要なことに、プラスチックシース87は、血液がカテーテルの内部に入らないように維持するのに役立つ。
【0040】
図3で最もよくわかるように、接触力センサ53は、対になった高周波送信機と受信機を備える。受信機は、信号強調のための内部フェライトコア111を任意選択的に備える1組の3個のコイル94である。コイル94は、送信コイル113に面し、この送信コイルは、コイル94に受信される高周波信号を発する単一周波数ループアンテナである。3個のコイル94は、送信コイル113によって発生された入射高周波放射から信号を生成する。受信される高周波信号の振幅は、一般に、コイル94と送信コイル113との間の距離に反比例して変化し、したがって、ヘリックス63の接触力依存性変形の測定値を提供する。
【0041】
下記の実施形態についての説明からわかるように、送信機及び受信機は、平面プリント回路基板(PCB)としてそれぞれ実装されてもよい。これにより、接触力センサ53の全体サイズを低減する。
【0042】
アセンブリ109は、ローカライザコイル115を備え、このコイルは、外部の磁場生成コイル28(図1)によって発生された入射RF放射から位置依存性信号を生成することによって位置検出器として機能する。磁場生成コイル28(一般に9個)は、患者の下方に配置されている位置パッドに固定されている。ローカライザコイル115は、3個のコイル94によって外接されている。
【0043】
いくつかの実施形態では、3個のコイル94に受信された信号は、送信コイル113で異なる周波数を使用することによって識別されてもよい。力依存性信号の分析により、遠位先端部での力の大きさが得られる。分析は、また、ヘリックス63の近位端部の軸に対する遠位先端部の向き、すなわち、対称軸51の周りのヘリックス63の曲げの量を明らかにしてもよい。
【0044】
これらの構成要素を使用する力センサのより完全な説明が、Ben Haimの国際公開第96/05768号、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2011/0130648号及び同第2009/0093806号、並びに本発明の譲受人に譲渡された特許出願第14/974,731号において与えられており、これらは、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0045】
ここで、本発明の実施形態に従う心臓カテーテル117の遠位部分の立面図である図4を参照する。カテーテル117は、それの遠位端部にあるアブレーション電極119と、接触力センサを含む弾力性接触力センサアセンブリ121と、を有する。アブレーション電極119の近位部分に延在するプラスチックシース123が見られる。螺旋状ばね125は、管状プラスチック材料127のカットアウトとして形成されている。ローカライザコイル129は、ばね125に対して近位に配設されている。図3に示す送信機及び受信機は、存在しているが、図4には見られない。
【0046】
第2の実施形態
ここで、本発明の代替実施形態に従う心臓カテーテルの遠位部分にあるアセンブリ131の拡大図である図5を参照する。アセンブリ131は、ここではニチノールばね133が接触力センサに使用されていることを除いて、アセンブリ121(図3)と同様である。プラスチックシース135は、ばね133を覆っている。ばね133は、シース135に対して滑動する。シース135の内径は、ばね133の外径よりも大きい。受信コイル137及び送信コイル141の縁部は、ばね133の下方に見られる。透磁性材料139は、送信コイル及び受信コイルの両方の最上部にある。
【0047】
第3の実施形態
ここで、本発明の代替実施形態に従う、カテーテル143の遠位端部の略断面図である図6を参照する。この実施形態では、アセンブリ145は、2個の板ばねコイル147を具備する。一般に、アセンブリ145は、2.5mmの直径、及び1mmの長さを有する。送信機91、及び受信機93の受信コイル94は、アセンブリ145の両側に配設され、そして、プリント回路基板を備えてもよい。導体95、97が、送信機91及び受信機93に供給する。
【0048】
ここで、本発明の実施形態に従う、わずかに斜視的に示されたアセンブリ145(図5)の分解図である図7を参照する。アセンブリ145は、送信機保持器149と、受信機保持器151と、を有する。送信機91及び受信機93(図6に示さず)は、これらの保持器に取り付けられてもよい。送信機保持器149及び受信機保持器151は、第1の板ばねコイル153及び第2の板ばねコイル155の外側縁部とそれぞれ嵌合する。板ばねコイル153、155は、スペーサ157によって離れた状態に保持され、このスペーサは、板ばねコイル153、155の内側縁部と嵌合する。板ばねコイル153、155は、図6の矢印159が示すように、送信機保持器149と受信機保持器151とを互いの方へ強制的に動かす圧縮力に応じて変形する。板ばねコイル153、155は、圧縮力が除去されると、静止状態に戻る。
【0049】
板ばねコイル153、155は、量産されることにより単位コストを低減することができる。設計は、平坦なニチノールシート等の平面金属薄板からカッティング、打抜き、又は別の方法で形成されてもよく、それらの最終形へと形状調整されてもよい。ばねの弾性部分の厚さを最小化することは、心臓カテーテルにおいて重要であり、その理由は、送信機保持器149と受信機保持器151とが接触力センサの両端部にあって、接触力センサが送信機91と受信機93とを分離しているからである。(図5)。送信機91と受信機93とは、0.1~1.5mmの範囲内の距離によって分離されている。更に、金属薄板をあるパターンにレーザカットすることによって、溶接が不要になり、このことは、単位コストを低く維持するだけでなく、従来の溶接ばねと比較して信頼性を改善する。
【0050】
必要な変更を加えて板ばねコイル153、155に適したばねコイルを製造するための技術の更なる詳細が、本発明の譲受人に譲渡された、「Coils Formed in Folded Nitinol Sheet」という名称の係属中の出願第15/347,242号に開示されており、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
上記の実施形態におけるように、アセンブリ145と、送信機91と、受信機93とは、送受信区域の間の電気接続を有する一体的なモジュールとして構成されてもよい。
【0052】
第4の実施形態
この実施形態では、送信機と受信機とは、板ばねコイルの両端部に取り付けられた平面構造である。送受器と受信機との間の距離は、ばねコイルが変形及び弛緩するときに変化する。ここで、本発明の実施形態に従う、一体化位置コイルを有する接触力センサ内の平面アセンブリ161の平面図である図8を参照する。アセンブリ161は、板ばねコイル(図示せず)のいずれかの端部に装着されてもよく、そして、回路基板部品として配列され形成され、送信機又は受信機として構成された電子回路163を有する。回路基板は、高透磁率を有する材料によって覆われることにより、磁気的アライメントを改善してもよい。材料は、例えば、回路基板の形状に適合する台形形状のミューメタルであってもよい。電子回路部品163は、120度の角度で円形に配列された3個のコイル165に接続されている。この例では、コイル165は、受信コイルとして使用される。
【0053】
送信コイルについての配列も同様である。コイル165が送信コイルとして使用されるとき、送信機は、3個の別個の送信機を備える。下記の説明から、送信コイルがそれぞれの受信コイルと整列しており、このことが接触力センサの読取りの精度を向上させることがわかるであろう。3個の送信コイルが、直列であって1個の交流発生器によって電力供給され得るか、又は異なる交流発生器によって異なる周波数で動作させられ得る並列であるか、のいずれかであるように接続されてもよい。
【0054】
また、任意選択的な巻線167も示される。巻線167は、図1に示された位置決めサブシステムの構成要素であって、本開示の範囲外にある。
【0055】
ここで、本発明の実施形態に従うばねアセンブリ169の斜視図である図9を参照する。3個の平面送信コイル171は、少なくとも3個の巻線及び平坦面を有するヘリックスでのように配列された圧縮ばね175の反対側端部にある受信コイル173に対向している。
【0056】
ここで、本発明の実施形態に従うアセンブリ169の側面図である図10を参照する。送信コイル171及び受信コイル173は、可撓性であり、ばね175が上側及び下側の脚部181、183に対して作用する圧縮力に応じて変形するとき、ばね175の上側及び下側の平坦面177、179に当たった状態のままにある。用語「上側」及び「下側」とは、反対方向を識別するために本明細書で任意に使用される。これらの用語は、アセンブリ169の実際の構成に関する物理的な意味を有しない。
【0057】
当業者であれば、本発明が上記で具体的に図示及び記載されたものに限定されない点を理解するであろう。むしろ、本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組合せ及び部分的組合せ、並びに上記の説明を読むことで当業者には想到されるであろう、先行技術にはない上述の特徴の変形例及び改変例をも含むものである。
【0058】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
近位部分及び遠位端部を有する可撓性プローブであって、前記プローブは、生体の体腔への挿入に対して適合されており、前記プローブは、前記プローブの前記遠位端部に遠位先端部を有する、可撓性プローブと、
前記プローブの前記遠位端部にある接触力センサと、を備え、前記接触力センサは、
送信機と、
受信機であって、前記送信機から信号を受信することにより前記送信機に対する前記受信機の位置を感知する受信機と、
前記送信機と前記受信機との間に配設された弾力性要素であって、前記弾力性要素は、前記遠位先端部が前記体腔の壁を係合するときに、前記遠位先端部に作用させられた圧力に応じて変形するように構成されており、前記弾力性要素は、1対の板ばねコイルである、弾力性要素と、を備える、装置。
(2) 前記接触力センサは、前記1対の板ばねコイルと、前記1対の板ばねコイルの間のスペーサと、前記接触力センサの両端部にあって前記板ばねコイルとそれぞれ接触している2つの保持器と、を備える、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記接触力センサは、前記プローブの前記近位部分と前記遠位端部との間に変形可能な結合部を備える、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記送信機及び前記受信機は、平面プリント回路基板を備える、実施態様1に記載の装置。
(5) 透磁性材料が、前記平面プリント回路基板のそれぞれの最上部に置かれている、実施態様4に記載の装置。
【0059】
(6) 前記材料は、前記平面プリント回路基板のそれぞれの上に少なくとも1つのミューメタルの平板を備える、実施態様5に記載の装置。
(7) 前記接触力センサ、前記送信機、及び前記受信機は、一体的なサブアセンブリを構成する、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記受信機は、3個の受信コイルを備える、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記送信機は、3個の送信コイルを備える、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記3個の送信コイルは、直列に接続されており、ちょうど1個の発生器によって電力供給されている、実施態様9に記載の装置。
【0060】
(11) 前記3個の送信コイルは、異なる周波数でそれぞれの発生器によって電力供給されている、実施態様9に記載の装置。
(12) 前記接触力センサ、前記送信機、及び前記受信機は、一体的なサブアセンブリを構成する、実施態様1に記載の装置。
(13) 方法であって、
近位部分及び遠位端部を有する可撓性プローブを提供するステップであって、前記プローブは、生体の体腔への挿入に対して適合されており、前記プローブは、前記プローブの前記遠位端部に遠位先端部を有し、接触力センサが前記プローブの前記遠位端部にあり、前記接触力センサは、
送信機と、
受信機と、
前記送信機と前記受信機との間に配設された弾力性要素であって、前記弾力性要素は、1対の板ばねコイルである、弾力性要素と、を備える、ステップと、
前記遠位先端部が前記体腔の壁を係合するときに、前記遠位先端部に圧力を作用させることによって前記弾力性要素を変形させるステップと、
前記弾力性要素を変形させる間に、
前記送信機から信号を発するステップと、
前記信号を前記受信機に受信するステップと、
前記送信機に対する前記受信機の位置を決定するために前記信号を処理するステップと、を含む、方法。
(14) 前記接触力センサは、前記1対の板ばねコイルの間に配設されたスペーサと、前記接触力センサの両端部にある2つの保持器と、を備える、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記送信機及び前記受信機は、平面プリント回路基板を備える、実施態様13に記載の方法。
【0061】
(16) 高透磁率を有する材料が、前記平面プリント回路基板のそれぞれの最上部に置かれている、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記材料は、前記平面プリント回路基板のそれぞれに少なくとも1つのミューメタルの平板を備える、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記接触力センサ、前記送信機、及び前記受信機は、一体的なサブアセンブリを構成する、実施態様13に記載の方法。
(19) 前記受信機は、3個の受信コイルを備える、実施態様13に記載の方法。
(20) 前記送信機は、3個の送信コイルを備える、実施態様13に記載の方法。
【0062】
(21) 前記3個の送信コイルは、直列に接続されており、ちょうど1個の発生器によって電力供給されている、実施態様20に記載の方法。
(22) 前記3個の送信コイルは、異なる周波数でそれぞれの発生器によって電力供給されている、実施態様20に記載の方法。
(23) 前記送信機と前記受信機との間の距離を、前記受信機での前記信号の振幅に基づいて測定することを更に含む、実施態様13に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10