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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】電池パック及び推進装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/213 20210101AFI20220523BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20220523BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20220523BHJP
   H01M 10/617 20140101ALI20220523BHJP
【FI】
H01M50/213
H01M50/204 401H
H01M50/249
H01M10/617
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018080266
(22)【出願日】2018-04-18
(65)【公開番号】P2019192352
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】青木 英明
(72)【発明者】
【氏名】岡松 太郎
【審査官】藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3188744(JP,U)
【文献】特表2016-507872(JP,A)
【文献】特開2013-218931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20 - 50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に垂直な方向に並べて配置された複数の筒状電池と、
複数の前記筒状電池の軸方向の第1端部を保持する第1保持部が複数形成されている第1ホルダと、
複数の前記筒状電池の軸方向の第2端部を保持する第2保持部が、前記第1保持部とは間隔を空けて、かつ、当該第1保持部と同じレイアウトで複数形成されている第2ホルダと、
前記第1ホルダ及び前記第2ホルダを備えるホルダを収容する電池ケーシングと、
を備え、
前記第1ホルダと前記第2ホルダにより内部空間が形成されており、
前記ホルダは、前記筒状電池の軸方向に並べて複数配置されており、
前記ホルダ単位で前記内部空間が封止されていることを特徴とする電池パック。
を備えることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックであって、
記内部空間には、絶縁性充填材が充填されていることを特徴とする電池パック。
【請求項3】
請求項2に記載の電池パックであって、
前記内部空間に充填された前記絶縁性充填材は使用時において固化しておらず流動性を有していることを特徴とする電池パック。
【請求項4】
請求項1からまでの何れか一項に記載の電池パックであって、
前記ホルダは、前記筒状電池の軸方向に並べて複数配置されており、
前記筒状電池の軸方向の前記第1端部及び前記第2端部は前記ホルダから露出しており、
隣り合う前記ホルダの間には、前記ホルダから露出している前記筒状電池を覆う仕切板が配置されていることを特徴とする電池パック。
【請求項5】
請求項1からまでの何れか一項に記載の電池パックであって、
前記ホルダには、前記筒状電池の軸方向と平行に延びる経路が形成されていることを特徴とする電池パック。
【請求項6】
請求項1からまでの何れか一項に記載の電池パックであって、
前記ホルダには、当該ホルダの外表面の一部から前記電池ケーシングに向かって突出するとともに、当該電池ケーシングと接触する突出部が形成されていることを特徴とする電池パック。
【請求項7】
請求項1からまでの何れか一項に記載の電池パックであって、
前記第1ホルダの形状と前記第2ホルダの形状が同じであることを特徴とする電池パック。
【請求項8】
請求項1からまでの何れか一項に記載の電池パックと、
前記電池パックから供給された電力により駆動される駆動源と、
前記駆動源が発生させた駆動力を用いて移動体を移動させる推進力を発生させる推進部と、
を備えることを特徴とする推進装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、複数の筒状電池を保持するホルダを備える電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に開示されているように、複数の電池が保持される熱可塑性樹脂製のホルダを備える電池パックが知られている。特許文献1のホルダは、複数の保持筒を備えている、これらの保持筒に電池が収容される。この構成により、ホルダは、筒状電池の軸方向の端面以外の側面を覆う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6242799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、筒状電池の側面全体が熱可塑性樹脂製のホルダで覆われているため、筒状電池で発生した熱の放熱性が悪くなる可能性がある。その結果、複数の筒状電池の温度が不均一になって不安定となり、筒状電池の異常が発生し易くなる可能性があった。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、複数の筒状電池の温度が均一化されており、筒状電池を安定させることが可能なホルダを備える電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の電池パックが提供される。即ち、この電池パックは、筒状電池と、第1ホルダと、第2ホルダと、電池ケーシングと、を備える。前記筒状電池は、軸方向に垂直な方向に並べて複数配置される。前記第1ホルダには、複数の前記筒状電池の軸方向の第1端部を保持する第1保持部が複数形成されている。前記第2ホルダには、複数の前記筒状電池の軸方向の第2端部を保持する第2保持部が、前記第1保持部とは間隔を空けて、かつ、当該第1保持部と同じレイアウトで複数形成されている。前記電池ケーシングは、前記第1ホルダ及び前記第2ホルダを備えるホルダを収容する。前記第1ホルダと前記第2ホルダにより内部空間が形成されている。前記ホルダは、前記筒状電池の軸方向に並べて複数配置されている。前記ホルダ単位で前記内部空間が封止されている。
【0008】
これにより、筒状電池が全体ではなく両端部で保持されるため、筒状電池の中途部からの放熱を効果的に行うことができる。そのため、筒状電池同士の熱が伝わり易くなるので、複数の筒状電池の温度を均一化することができる。また、複数の筒状電池がそれぞれ第1保持部及び第2保持部に保持されるため、筒状電池同士の間隔が変化しにくい。そのため、筒状電池同士の熱の伝わり易さが局所的に変化することを防止できる。また、複数のホルダをまとめて封止する構造、及び、ホルダ間を封止する構造が必須ではないため、構造を単純にできるとともに、製造工程を簡略化できる。
【0009】
前記の電池パックにおいては、前記内部空間には、絶縁性充填材が充填されていることが好ましい。
【0010】
これにより、絶縁性充填材を充填することで、筒状電池同士の伝熱が促進される。特に、筒状電池同士の間だけでなく、筒状電池とホルダの間にも絶縁性充填材が入り込むため、筒状電池と絶縁性充填材との密着性が高くなることから、筒状電池同士の伝熱が一層促進される。その結果、複数の筒状電池の温度をより均一化することができる。
【0011】
前記の電池パックにおいては、前記内部空間に充填された前記絶縁性充填材は使用時において固化しておらず流動性を有していることが好ましい。
【0012】
これにより、筒状電池同士の伝熱を促進しつつ、筒状電池から気体が発生した場合であっても、この気体を絶縁性充填材を介して排出できる。
【0015】
前記の電池パックにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ホルダは、前記筒状電池の軸方向に並べて複数配置されている。前記筒状電池の軸方向の前記第1端部及び前記第2端部は前記ホルダから露出している。隣り合う前記ホルダの間には、前記ホルダから露出している前記筒状電池を覆う仕切板が配置されている。
【0016】
これにより、筒状電池から気体が軸方向に噴出した場合であっても、軸方向に並べて配置された他の筒状電池にこの気体が直接当たって影響を及ぼすことを抑制できる。
【0017】
前記の電池パックにおいては、前記ホルダには、前記筒状電池の軸方向と平行に延びる経路が形成されていることが好ましい。
【0018】
これにより、この経路を用いて電池パックに関する部材(例えば電線)を配置することができる。
【0019】
前記の電池パックにおいては、前記ホルダには、当該ホルダの外表面の一部から前記電池ケーシングに向かって突出するとともに、当該電池ケーシングと接触する突出部が形成されていることが好ましい。
【0020】
これにより、電池ケーシングが受けた衝撃が筒状電池に伝わりにくくなる。また、電池ケーシングとホルダとの間で熱が伝わりにくくなる。そのため、筒状電池が電池ケーシングの外部の温度の影響を受けにくいため、複数の筒状電池の温度をより均一化することができる。
【0021】
前記の電池パックにおいては、前記第1ホルダの形状と前記第2ホルダの形状が同じであることが好ましい。
【0022】
これにより、同じ型で2つのホルダを作成することができるので、製造コスト(特に初期コスト)を低減できる。
【0023】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の推進装置が提供される。即ち、この推進装置は、前記の電池パックと、駆動源と、推進部と、を備える。前記駆動源は、前記電池パックから供給された電力により駆動される。前記推進部は、前記駆動源が発生させた駆動力を用いて移動体を移動させる推進力を発生させる。
【0024】
これにより、幅広い使用温度環境の中でも複数の筒状電池の温度が均一化された構成の推進装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態に係る推進装置を備える電動滑走体の構成を示す斜視図。
図2】電池パックの斜視図。
図3】ホルダ、導電板、及び仕切板の斜視図。
図4】第1ホルダ、筒状電池、及び第2ホルダの斜視図。
図5】筒状電池の正極端子及び側面から噴出した気体の流れを示す模式断面図。
図6】第2実施形態に係る推進装置を備える不整地走行車両の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、図面を参照して本発明の第1実施形態を説明する。図1は、第1実施形態に係る推進装置13を備える電動滑走体1の構成を示す斜視図である。また、以下の説明では、電動滑走体1の前進方向を前として、前後左右を定義する。図1に示す電動滑走体1は、電動滑走体1は、電力により推力を得ることで水上を滑走する乗物である。図1に示すように、電動滑走体1は、サーフボード11と、支柱12と、推進装置13と、を備える。
【0027】
サーフボード11は、上面が平坦状の板状の部材である。サーフボード11の上面に人が乗った状態で推進装置13が推進力を発生させることで、サーフボード11が水上を滑走する。なお、サーフボード11に代えて、水上又は水中を進行する別の部材を設けることもできる。また、サーフボード11の下面には支柱12が接続されている。支柱12は、サーフボード11の下面から下方に延びており、推進装置13の上面に接続されている。
【0028】
推進装置13は、サーフボード11を推進するための推進力を発生させる。推進装置13は、ヘッド部20と、電池パック30と、推進力発生部90と、を備える。
【0029】
ヘッド部20は、推進装置13の前部を構成している部分である。ヘッド部20は前方に近づくに連れて外径が小さくなる形状である。ヘッド部20には、フロントフォイル21が接続されている。フロントフォイル21は、ヘッド部20から左右方向に延びるように配置されている。フロントフォイル21は、推進時において、電動滑走体1に浮揚力を発生させたり、電動滑走体1の挙動を安定させたりする。
【0030】
電池パック30は、推進力の発生に用いる電力を蓄積する部分である。電池パック30は、ヘッド部20の後方に着脱可能に取り付けられている。電池パック30は複数の筒状電池33を含んで構成されている。更に、電池パック30は、推進力発生部90へ電力を伝達するための図略の端子を備えている。この構成により推進力発生部90に電力を供給することができる。また、電池パック30には、筒状電池33の電圧値及び周囲温度を検出するセンサ、及び、これらのセンサの検出結果に基づいて筒状電池33の状態を判定するBMS(バッテリーマネジメントシステム)基板が配置されている。なお、電池パック30の詳細な構成は後述する。
【0031】
推進力発生部90は、電池パック30の後方に着脱可能に取り付けられている。このように、本実施形態の電池パック30は、ヘッド部20及び推進力発生部90のそれぞれに対して分離可能に構成されている。推進力発生部90は、駆動ケーシング91と、インバータ92と、電動モータ(駆動源)93と、スクリュー(推進部)94と、リアフォイル95と、を備える。
【0032】
インバータ92、電動モータ93、及びスクリュー94は駆動ケーシング91の内部に配置されている。電池パック30から供給された直流の電流は、インバータ92によって所定の周波数の交流に変換されて電動モータ93に供給される。電動モータ93は、インバータ92から供給された交流の電流により駆動力を発生させてスクリュー94を回転させる。以上の構成により、推進力発生部90は推進力を発生させる。また、リアフォイル95は、フロントフォイル21と同様に、電動滑走体1に浮揚力を発生させたり、電動滑走体1の挙動を安定させたりする。
【0033】
次に、図2から図4を参照して、電池パック30の構成について説明する。図2は、電池パック30の斜視図である。図3は、ホルダ32、導電板60、及び仕切板70の斜視図である。図4は、第1ホルダ32a、筒状電池33、及び第2ホルダ32bの斜視図である。また、以下の説明では、電池ケーシング31又は筒状電池33等の軸方向を単に「軸方向」と称することがある。また、軸方向に垂直な方向を「径方向」と称することがある。
【0034】
図2に示すように、電池パック30は、電池ケーシング31と、ホルダ32と、連結ボルト34と、導電板60と、仕切板70と、を備える。
【0035】
電池ケーシング31は、電池パック30を構成する各部を収容するための部材である。電池ケーシング31は、実質的に円筒状に形成されている。本実施形態の電池ケーシング31は、軸方向の長さが径方向の長さよりも短い(即ち細長い)形状である。このように電池ケーシング31を円筒状にすることで、電池ケーシング31に掛かる水圧が均一になるため、簡単な構造で高い耐圧性を実現できる。電池ケーシング31と駆動ケーシング91とは着脱可能に構成されている。
【0036】
また、本実施形態の電池ケーシング31は、推進装置13の外郭を構成するとともに、電池パック30のケーシングとして構成されている。言い換えれば、電池ケーシング31は、水等の外部環境から内部を保護するためのケーシングとしての機能と、筒状電池33等を収容して配置するための機能と、の両方を有している。従って、2つのケーシングを備える構成と比較して、空間を効率的に活用することができる。
【0037】
また、本実施形態の電池ケーシング31は、半円筒状の2つの部材を接合して製造されるのではなく、初めから円筒状に成形されている。従って、電池ケーシング31の外周面には接合痕等は形成されていない。そのため、接合部分にシール材を設ける等の作業を行うことなく、簡単な構成で外周面からの浸水を防止できる。また、本実施形態では、電池ケーシング31内に配置される部材を予め組み立てた後に、この組立体を電池ケーシング31に挿入することで電池パック30が製造される。
【0038】
なお、電池ケーシング31は円筒状以外の形状であってもよい。また、推進装置13のケーシングと電池パック30のケーシングとが別部材であってもよい。また、複数の部材を接合することで電池ケーシング31が製造される構成であってもよい。
【0039】
ホルダ32には図3及び図4に示すように、複数の筒状電池33が保持されている。筒状電池33は、例えばリチウムイオン電池であり、円筒状の外装缶の内部に正極、セパレータ、及び負極等が配置された構造を有する。筒状電池33の軸方向の両端には、軸方向においてホルダ32からそれぞれ露出している正極端子及び負極端子が配置されている。筒状電池33は、円筒に限られず、断面が多角形の筒状であってもよい。複数の筒状電池33は、ホルダ32に保持されることで、軸方向の向きを揃えた状態であって、かつ、径方向に並べられた状態となる。
【0040】
ホルダ32は、図2に示すように、軸方向に複数(本実施形態では4つ)並べて配置されている。ホルダ32は難燃性樹脂を主成分として含む材料で構成されている。それぞれのホルダ32は、第1ホルダ32aと、第2ホルダ32bと、を備える。図4に示すように、第1ホルダ32a及び第2ホルダ32bは、軸方向の向きを反転させた状態で互いに係合される。本実施形態では、第1ホルダ32aと第2ホルダ32bとは同じ金型から作成されているため、同じ形状である。第1ホルダ32aと第2ホルダ32bは同じ形状であるため、保持部41のレイアウト(配置及び個数)は同じである。図4等に示すように、保持部41は、連結筒42の周りに正六角形状に配置されるとともに、その径方向外側にも正六角形状に配置されている。
【0041】
なお、保持部41のレイアウトは一例であり、正六角形以外の多角形状に配置されていてもよいし、多角形状でなくてもよい。また、保持部41のレイアウトが同じであれば、第1ホルダ32aと第2ホルダ32bの形状は異なっていてもよいし、製造方法が異なっていてもよい。また、同じ金型で第1ホルダ32a及び第2ホルダ32bを作成した後に、一方と他方とで異なる加工を行ってもよい。本実施形態では、筒状電池33の正極側の端部(第1端部)を保持する方が第1ホルダ32aであり、筒状電池33の負極側の端部(第2端部)を保持する方が第2ホルダ32bである。なお、筒状電池33の端部とは、筒状電池33の側面のうち端面に近い部分である。
【0042】
次に、第1ホルダ32a及び第2ホルダ32bの具体的な構成について説明する。なお、上述のように第1ホルダ32a及び第2ホルダ32bは同じ形状であるため、第1ホルダ32a又は第2ホルダ32bの各部には同じ符号を付して説明する。また、第1ホルダ32aの保持部41等と第2ホルダ32bの保持部41等を合わせて、一対の保持部41等と称することがある。
【0043】
図4に示すように、第1ホルダ32a及び第2ホルダ32bは、それぞれ、保持部41と、連結筒42と、突出部43と、円周部44と、を備える。
【0044】
保持部41は、筒状電池33の軸方向の端部を保持する筒状の部分である。本実施形態では筒状電池33が円筒状であるため、保持部41は、内径が筒状電池33の外径と同じである円筒状の部分である。保持部41は径方向に並べて複数形成されている。保持部41は、筒状電池33の軸方向の端部を保持する構成であるため、保持部41の軸方向の長さは筒状電池33の軸方向の長さの半分より短い。言い換えれば、一対の保持部41は、軸方向に間隔を空けて配置されている。そのため、筒状電池33は、保持部41によって保持されていない箇所(保持部41によって筒状電池33の側面同士が仕切られていない箇所)が存在する。なお、第1ホルダ32aの保持部41が「第1保持部」に相当し、第2ホルダ32bの保持部41が「第2保持部」に相当する。保持部41は、筒状電池33の端部を保持可能であれば、筒状以外であってもよい。言い換えれば、保持部41は筒状電池33の側面の全周部分を保持する必要はなく、側面の一部のみを保持していてもよい。
【0045】
保持部41の端部(軸方向の外側の端部)には、抜止め部材41aが形成されている。抜止め部材41aは、筒状電池33が保持部41から軸方向の外側に抜けないように規制する部材である。抜止め部材41aは、保持部41の軸方向の外側であって、かつ、隣り合う保持部41の間に形成されることで、この2つの保持部41の一部ずつを塞ぐ構成である。なお、1つの保持部41に対し、最低1つの抜止め部材41aが形成されていれば十分であり、全ての保持部41の間に抜止め部材41aが形成されている必要はない。
【0046】
連結筒42は、第1ホルダ32a及び第2ホルダ32bの径方向の中心に形成されている。連結筒42は円筒状であるが、筒状電池33が配置される訳ではないので、形状及び大きさは保持部41と異なっていてもよい。第1ホルダ32aに形成されている連結筒42は、第1ホルダ32aの一端から他端まで形成されている。従って、一対の連結筒42により、ホルダ32を軸方向に貫通する経路が形成されている。この経路には、ハーネス80が挿通されている。ハーネス80は、例えば上記の筒状電池33の電圧値及び周囲温度を検出するセンサと、BMS基板と、を電気的に接続する。
【0047】
また、連結筒42には、排出弁42aが形成されている。排出弁42aは通常時は閉鎖されており、気体を通過させることができない。排出弁42aは、ある値以上の圧力が掛かった場合に開放して、気体を通過させることができるようになる。本実施形態の排出弁42aは、圧力差が閾値を超えた場合に例えば破れが発生する等して不可逆的に開放する構成である。なお、排出弁42aは、圧力差が閾値を超えた場合に開放して圧力差が閾値以下になった場合に再び閉鎖する構成であってもよい。排出弁42aは、筒状電池33から発生した気体を上記の経路を介して外部に排出するために用いられる(詳細は後述)。なお、一対の連結筒42の両方に排出弁42aが形成されていてもよいが、一方の連結筒42のみに排出弁42aが形成されていれば十分である。
【0048】
突出部43は、第1ホルダ32a及び第2ホルダ32bの外表面(本実施形態では、径方向の外側に配置される保持部41の外表面)に形成されている。突出部43は、この外表面から径方向の外側(電池ケーシング31側)に突出するように形成されている。突出部43の径方向の外側の端部は、電池ケーシング31の内壁に接触している。突出部43は、リブ状(線状)であり、長手方向が軸方向と同じである。突出部43の形状は一例であり、軸方向に対して交差する方向に沿って延びていてもよいし、ある程度の幅を持つ形状(面状)であってもよい。
【0049】
仮に突出部43が形成されておらず、保持部41の外表面が電池ケーシング31に接触する場合、電池パック30とホルダ32との間で熱が伝わり易くなる。具体的には、電池ケーシング31は外部の水の影響で温度が低くなる傾向にある。そのため、径方向の外側に配置される筒状電池33は、径方向の内側に配置される筒状電池33と比較して、電池ケーシング31の影響で温度が低くなり易い。その結果、筒状電池33の温度が不均一になる。この点、本実施形態のように線状(リブ状)の突出部43が電池ケーシング31に接触することで、電池ケーシング31とホルダ32の接触面積が小さくなるため、電池パック30とホルダ32との間で熱が伝わりにくくなるため、筒状電池33の温度を均一化できる。
【0050】
更に、突出部43が形成されておらず、保持部41の外表面が電池ケーシング31に接触する場合、電池パック30の外部からの衝撃が直接的にホルダ32及び筒状電池33に伝達され易くなるため耐衝撃性が低くなる。この点、本実施形態のように線状(リブ状)の突出部43が電池ケーシング31に接触することで、接触面積が小さくなるとともに、外部から衝撃が加わった場合に突出部43が変形することで衝撃が軽減される。その結果、ホルダ32及び筒状電池33に衝撃が伝わりにくくなり、耐衝撃性を高くすることができる。
【0051】
円周部44は、第1ホルダ32a及び第2ホルダ32bのうち、軸方向において、保持部41の反対側の端部に形成されている。円周部44は、径方向において保持部41の外側に形成されており、外形が円状であってかつ板状の部分である。第1ホルダ32aと第2ホルダ32bは、円周部44同士を接触させるようにして接続される。円周部44には、係合凸部45と、係合孔46と、貫通孔47と、が形成されている。
【0052】
係合凸部45は、円周部44から軸方向であって保持部41とは反対側に突出した部分である。係合凸部45は、円周部44の縁に沿って一定間隔で形成されている。係合孔46は、円周部44に形成された孔である。係合孔46は、円周部44の縁に沿って一定間隔で形成されている。係合凸部45と係合孔46が形成される間隔は同じである。従って、第1ホルダ32aの係合凸部45を第2ホルダ32bの係合孔46に挿入することで、第1ホルダ32aの係合凸部45が第2ホルダ32bの係合孔46に挿入される。これにより、同じ形状の第1ホルダ32aと第2ホルダ32bを互いに接続できる。
【0053】
貫通孔47は、円周部44に縁に沿って一定間隔で形成されている。第1ホルダ32aに形成されている貫通孔47は、第1ホルダ32aの一端から他端まで形成されている。一対の貫通孔47は、第1ホルダ32aと第2ホルダ32bを接続したときに、同じ位置となるように形成されている。従って、第1ホルダ32aの貫通孔47と第2ホルダ32bの貫通孔47とにより、ホルダ32を軸方向に貫通する孔が形成されている。貫通孔47には、連結ボルト34が挿入される。これにより、軸方向に並べて配置される複数の保持部41が連結される。
【0054】
上記のホルダ32を用いることで、筒状電池33は、軸方向の両端がそれぞれ保持されるとともに、軸方向の中途部は保持されない。ここで、筒状電池33の軸方向の全体が保持される構成のホルダでは、一般的に難燃性樹脂は熱伝導率が低いため、ある筒状電池33で発生した熱が他の筒状電池33に伝達されにくい。そのため、ある筒状電池33で発生した熱がこもってしまい、この筒状電池33のみの温度が上昇する。その結果、筒状電池33に異常が発生し易くなる。この点、本実施形態では、筒状電池33の軸方向の中途部がホルダ32に接触しておらず開放されている。そのため、ある筒状電池33で発生した熱が他の筒状電池33等に伝達され易くなる。その結果、複数の筒状電池33の温度が均一化され易くなって安定するため、異常の発生を抑制できる。
【0055】
更に、本実施形態では、第1ホルダ32aと第2ホルダ32bの間に形成される内部空間に、図5に示すように、絶縁性充填材が充填されている。絶縁性充填材は、導電性を有していないため、不要な部分が通電されることはない。また、絶縁性充填材は空気よりも熱が伝わり易いため、複数の筒状電池33の温度が一層均一化される。本実施形態の絶縁性充填材は充填後に固化させない(言い換えれば固化しない性質を有している)ゲル状の物質である。従って、絶縁性充填材は、電池パック30の使用時においても流動性を有している。そのため、保持部41と筒状電池33の間に隙間があった場合は、この隙間に絶縁性充填材が入り込む。これにより、筒状電池33間でより一層伝熱を促進することができる。なお、絶縁性充填材は充填時には流動性を有しており、その後に固化させるポッティング材であってもよい。
【0056】
また、ホルダ32の内部から外部へ絶縁性充填材が漏れないように、ホルダ32は封止されている。本実施形態では並べて配置される複数のホルダ32をまとめて封止するのではなく、ホルダ32単位で(ホルダ32毎に)封止されている。具体的には、ホルダ32の側面には開口部は設けられていない。また、保持部41は筒状電池33によって塞がれている。また、連結筒42は排出弁42aによって通常時は塞がれている。また、第1ホルダ32aと第2ホルダ32bは円周部44によって隙間無く接続されている。なお、係合孔46及び貫通孔47は、内部空間の外側に形成されているため、絶縁性充填材の漏れの原因とはならない。また、上述した各部材の隙間にシール材を挟み込むことで、内部空間をより確実に封止してもよい。なお、筒状電池33を保持していない保持部41が存在する場合、この保持部41は別途封止される。
【0057】
導電板60は金属製であって導電性を有する板状の部材である。導電板60は、ホルダ32の軸方向の一端に径方向に並べて複数枚配置されているとともに、ホルダ32の軸方向の他端にも径方向に並べて複数枚配置されている。導電板60は、平板状の部分である導電部61に、電池接続部62と、抜止め挿入孔63と、導電板固定部64と、が形成された構成である。
【0058】
導電部61は、径方向に並べられた筒状電池33のうち複数個を並列に接続する。また、導電部61は、互いに隣り合うホルダ32に配置された筒状電池33同士を直列に接続する。
【0059】
電池接続部62は、筒状電池33の正極端子又は負極端子と導電板60とを電気的に接続するために用いられる部分である。本実施形態の電池接続部62は、図3に示すように、筒状電池33の接続前においては平板状の部分であり、筒状電池33が接続される位置を示す目印やその他の加工は施されていない。この構成に代えて、電池接続部62は、筒状電池33が接続される位置を示す目印が形成されている構成であってもよい。あるいは、筒状電池33の接続後に筒状電池33との接続部分に掛かる応力を低減するために電池接続部62の周囲が切り欠かれていてもよい。筒状電池33の両端(正極端子及び負極端子)はホルダ32からそれぞれ露出しており、この露出している部分と電池接続部62とが機械的に接続される。これにより、筒状電池33とと導電板60とが電気的に接続される。本実施形態では、筒状電池33と導電板60は溶接で接続されているが、異なる方法で接続されていてもよい。溶接で接続を行う場合、スポット溶接又は超音波溶接を採用することが更に好ましい。
【0060】
抜止め挿入孔63は、抜止め部材41aのレイアウトに合わせて形成された貫通孔である。導電板60をホルダ32に接続する際に、抜止め部材41aが抜止め挿入孔63に入り込む。導電板60に電池接続部62と抜止め挿入孔63を形成することで、導電部61を筒状電池33の正極端子又は負極端子(導電板60と電気的に接続される部分)に密着させることができる。
【0061】
本実施形態の複数の導電板60は何れも同じ形状である。詳細に説明すると、本実施形態の保持部41及び抜止め部材41aはN回回転対称(更に詳細にはN=3)であるため、軸方向を回転軸として360/N°回転させる毎に同じ形状となる。また、本実施形態ではN枚の導電板60が配置されている。従って、同じ形状の導電板60を用いた場合であっても、電池接続部62及び抜止め挿入孔63の位置がズレることはない。
【0062】
導電板固定部64は、隣り合う導電板60同士を接続して固定するために用いられる部分である。また、導電板固定部64には接続用の孔が形成されていてもよい。接続方法としては、上記と同様に、スポット溶接又は超音波溶接等の溶接を用いることができ、また溶接とは異なる方法を用いることもできる。また、本実施形態では、隣接する導電板60同士の間に仕切板70が配置されているため、互いに接続される導電板固定部64同士は間隔を空けて配置される。そのため、導電板固定部64同士の接続を容易にするために、例えば導電板固定部64に軸方向に突出する部分を形成してもよいし、導電性を有するスペーサを介して導電板固定部64同士を接続してもよい。また、本実施形態では、導電板固定部64が形成されている部分の近傍には、図2に示すように、突出部43が形成されていない。
【0063】
なお、導電板60は、連結筒42及び貫通孔47を避けた位置に配置されている。これにより、導電板60は、連結筒42により構成される経路及び連結ボルト34と干渉しない。
【0064】
仕切板70は金属製であって導電性を有する板状の部材である。仕切板70は、隣り合うホルダ32の間、更に詳細には、隣り合う導電板60の間に配置される。仕切板70は、平板状の部分である仕切部71に、開口部72と、切欠き部73と、ボルト挿入孔74と、が形成された構成である。
【0065】
仕切部71は、少なくとも電池接続部62が形成されている部分(即ち、筒状電池33の正極端子が存在する部分)には存在している。なお、仕切部71の機能について後述する。
【0066】
開口部72は、仕切部71の径方向の中央であって連結筒42に対応する位置に形成されている。この構成により、連結筒42により構成される経路に干渉することを防止できる。従って、隣り合うホルダ32でこの経路を繋げることができる。
【0067】
切欠き部73は、仕切部71の径方向の端部であって導電板固定部64に対応する位置に形成されている。導電板60は仕切板70を挟むように配置されているため、切欠き部73を設けることで、導電板60同士を容易に接続することができる。
【0068】
ボルト挿入孔74は、仕切部71の径方向の端部であって貫通孔47に対応する位置に形成されている。この構成により、仕切板70が連結ボルト34に干渉しなくなるため、複数のホルダ32を連結ボルト34で連結できる。
【0069】
次に、図5を参照して、筒状電池33から気体が発生したときの気体の流れについて説明する。図5は、筒状電池33の正極端子及び側面から噴出した気体の流れを示す模式断面図である。なお、筒状電池33で発生した気体の流れ及び各部の構成を判り易くするため、図5は他の図よりも単純な形状で電池パック30の各部を記載している。
【0070】
筒状電池33から気体が発生する場合、一般的には正極端子から気体が発生して噴出する確率が高い。本実施形態では正極端子はホルダ32から露出しているため、この正極端子から噴出した気体は第1ホルダ32aと第2ホルダ32bで囲まれる内部空間内には入らない。この気体は、図5に示すように、ホルダ32の間の導電板60及び仕切板70が配置される空間を通り、径方向外側に流れた後に、電池ケーシング31の内壁に案内されて軸方向の端部に向かって流れる。あるいは、この気体は、ホルダ32の間から連結筒42に流れ、この連結筒42で構成される経路に沿って、電池パック30の軸方向の端部に向かって流れる。つまり、上記の内部空間以外の空間は互いに繋がっているため、正極端子から噴出した気体は、この内部空間以外の空間を通って電池パック30の軸方向の端部に向かって流れる。
【0071】
電池パック30の軸方向の端部には、気体の圧力が高くなった場合に開放する弁が配置されている。これにより、筒状電池33から発生した気体が電池パック30内で高圧になる前に、この気体を外部へ排出できる。
【0072】
また、筒状電池33から噴出した気体は高温であるため、この気体が他の筒状電池33の当たった場合、筒状電池33の異常が連鎖する可能性がある。この点、本実施形態では上述したように筒状電池33の軸方向の端部を覆うように仕切板70(仕切部71)が配置されている。そのため、筒状電池33の正極端子から噴出した気体が、軸方向に並べられた他の筒状電池33に直接当たることを抑制できる。その結果、筒状電池33の異常の連鎖を抑制できる。このように、仕切板70は高温の気体を受け止めるため、耐熱性が高い素材にする必要がある。本実施形態では、仕切板70は、アルミ等の金属で構成されている。そのため、導電板60と仕切板70は接触しないように配置されている。
【0073】
また、正極端子ではなく、筒状電池33の側面から気体が発生して噴出する可能性もある。この場合、筒状電池33の側面から噴出した気体は、第1ホルダ32aと第2ホルダ32bで囲まれる内部空間内に充満する。
【0074】
その後、気体の発生量が多くなって内部空間内の圧力が上昇することで、排出弁42aが開放する。本実施形態では、絶縁性充填材が流動性を有しているため、図5に示すように、筒状電池33の側面から噴出した気体は連結筒42により構成される経路に流れる。また、上述したように、この経路はホルダ32間で接続されている。従って、どのホルダ32で気体が発生した場合であっても、この気体を軸方向の端部まで運ぶことができる。そして、この経路の軸方向の端部には、上述したようにこの気体を電池パック30の外部に排出するための弁が配置されているため、筒状電池33から発生した気体が電池パック30内で高圧になる前に、この気体を外部へ排出できる。
【0075】
次に、第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態に係る推進装置101を備える不整地走行車両100の側面図である。
【0076】
不整地走行車両100は、主に舗装されていない道を走行するための車両である。不整地走行車両100は、推進装置101と、車体105と、を備える。推進装置101は、電池パック102と、油圧ポンプ(駆動源)103と、クローラ(推進部)104と、を備える。
【0077】
第2実施形態の電池パック102は、第1実施形態と同様の構成である。油圧ポンプ103は、電池パック102から電力が供給されることで作動油を送出する。クローラ104は、油圧ポンプ103が送出した作動油によって駆動されることで、電池パック102を移動させる。なお、油圧ポンプ103ではなく電動モータによってクローラ104を駆動することもできる。
【0078】
以上に説明したように、上記実施形態の電池パック30,102は、筒状電池33と、第1ホルダ32aと、第2ホルダ32bと、電池ケーシング31と、を備える。筒状電池33は、軸方向に垂直な方向に並べて複数配置される。第1ホルダ32aには、複数の筒状電池33の軸方向の第1端部を保持する保持部41(第1保持部)が複数形成されている。第2ホルダ32bには、複数の筒状電池33の軸方向の第2端部を保持する保持部41(第2保持部)が、第1ホルダ32aの保持部41とは間隔を空けて、かつ、同じレイアウトで複数形成されている。電池ケーシング31は、第1ホルダ32a及び第2ホルダ32bを備えるホルダ32を収容する。
【0079】
これにより、筒状電池33が全体ではなく両端部で保持されるため、筒状電池33の中途部からの放熱を効果的に行うことができる。そのため、筒状電池33同士の熱が伝わり易くなるので、複数の筒状電池33の温度を均一化することができる。また、複数の筒状電池33の両端部が一対の保持部41にそれぞれ保持されるため、筒状電池33同士の間隔が変化しにくい。そのため、筒状電池33同士の熱の伝わり易さが局所的に変化することを防止できる。
【0080】
また、上記実施形態の電池パック30,102において、第1ホルダ32aと第2ホルダ32bで形成される内部空間には、絶縁性充填材が充填されている。
【0081】
これにより、絶縁性充填材を充填することで、筒状電池33同士の伝熱が促進される。特に、筒状電池33同士の間だけでなく、筒状電池33とホルダ32の間にも絶縁性充填材が入り込むため、筒状電池33と絶縁性充填材との密着性が高くなることから、筒状電池33同士の伝熱が一層促進される。その結果、複数の筒状電池33の温度をより均一化することができる。
【0082】
また、上記実施形態の電池パック30,102において、内部空間に充填された絶縁性充填材は使用時において固化しておらず流動性を有している。
【0083】
これにより、筒状電池33同士の伝熱を促進しつつ、筒状電池33から気体が発生した場合であっても、この気体を絶縁性充填材を介して排出できる。
【0084】
また、上記実施形態の電池パック30,102において、ホルダ32は、筒状電池33の軸方向に並べて複数配置されている。ホルダ32単位で内部空間が封止されている。
【0085】
これにより、複数のホルダ32をまとめて封止する構造、及び、ホルダ32間を封止する構造が必須ではないため、構造を単純にできるとともに、製造工程を簡略化できる。
【0086】
また、上記実施形態の電池パック30,102において、ホルダ32は、筒状電池33の軸方向に並べて複数配置されている。筒状電池33の軸方向の第1端部及び第2端部はホルダ32から露出している。隣り合うホルダ32の間には、ホルダ32から露出している筒状電池33を覆う仕切板70が配置されている。
【0087】
これにより、筒状電池33から気体が軸方向に噴出した場合であっても、軸方向に並べて配置された他の筒状電池33にこの気体が直接当たって影響を及ぼすことを抑制できる。
【0088】
また、上記実施形態の電池パック30,102において、ホルダ32には、筒状電池33の軸方向と平行に延びる経路(連結筒42)が形成されている。
【0089】
これにより、この経路を用いて電池パック30,102に関する部材(例えばハーネス80)を配置することができる。
【0090】
また、上記実施形態の電池パック30,102において、ホルダ32には、当該ホルダ32の外表面の一部から電池ケーシング31に向かって突出するとともに、当該電池ケーシング31と接触する突出部43が形成されている。
【0091】
これにより、電池ケーシング31が受けた衝撃が筒状電池33に伝わりにくくなる。また、電池ケーシング31とホルダ32との間で熱が伝わりにくくなる。そのため、筒状電池33が電池ケーシング31の外部の温度の影響を受けにくいため、複数の筒状電池33の温度をより均一化することができる。
【0092】
また、上記実施形態の電池パック30,102において、第1ホルダ32aの形状と第2ホルダ32bの形状は同じである。
【0093】
これにより、第1ホルダ32a及び第2ホルダ32bの両方を同じ型で作成することができるので、製造コスト(特に初期コスト)を低減できる。
【0094】
また、上記実施形態の推進装置13,101は、電池パック30,102と、電動モータ93(油圧ポンプ103)と、スクリュー94(クローラ104)と、を備える。電動モータ93(油圧ポンプ103)は、電池パック30,102から供給された電力により駆動される。スクリュー94(クローラ104)は、電動モータ93(油圧ポンプ103)が発生させた駆動力を用いて移動体(電動滑走体1、不整地走行車両100)を移動させる推進力を発生させる。
【0095】
これにより、幅広い使用温度環境の中でも複数の筒状電池33の温度が均一化された構成の推進装置13,101が実現できる。
【0096】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0097】
上記実施形態では、連結筒42により構成される経路にハーネス80が配置されているが、ハーネス80以外の部材が配置されてもよい。この場合、ハーネス80が別の経路に配置されるか、あるいは、センサと基板が無線で通信する。また、連結筒42により構成される経路にハーネス80等の部材を配置せずに気体に排出のための専用の経路であってもよい。また、気体を別経路で排出する場合は、ハーネス80等の部材を配置するための専用の経路であってもよい。
【0098】
上記実施形態の電池パック30は、電動滑走体1及び不整地走行車両100以外の乗物に電力を供給するために用いることもできる。また、電池パック30は、乗物以外に電力を供給するために用いることもできる。
【符号の説明】
【0099】
13,101 推進装置
30,102 電池パック
31 電池ケーシング
32 ホルダ
32a 第1ホルダ
32b 第2ホルダ
33 筒状電池
41 保持部
42 連結筒
43 突出部
44 円周部
45 係合凸部
46 係合孔
47 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6