(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 9/013 20060101AFI20220523BHJP
【FI】
F28F9/013 F
(21)【出願番号】P 2018086675
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】390002886
【氏名又は名称】株式会社長府製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】武長 勇
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-151474(JP,A)
【文献】実開昭59-113686(JP,U)
【文献】特開昭60-086393(JP,A)
【文献】特開平06-074683(JP,A)
【文献】特表2010-539425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ複数の流路部を筺体内に有する複数の管と前記流路部を位置決めする位置決め手段とを備え、前記筺体内に取り込まれた燃焼ガスで前記管内の液体を加熱する熱交換器において、
それぞれ水平な又は水平に対して傾斜するX方向に前記流路部を並列配置してなる3個以上の流路部群が、鉛直な又は鉛直に対して傾斜するZ方向に隙間を有して並列に配置され、
前記位置決め手段は、前記Z方向一端位置に配された前記流路部群及び前記Z方向一端位置から2つ目の前記流路部群の間に差し込まれた前記X方向に長い棒状片Eと、前記Z方向他端位置に配された前記流路部群及び前記Z方向他端位置から2つ目の前記流路部群の間に差し込まれた前記X方向に長い棒状片E’と、前記棒状片E、E’それぞれの前記X方向一端が連結された支持片とを有する位置決め部材を具備し、
前記棒状片Eは、前記Z方向一側に、前記Z方向一端位置に配された前記流路部群の前記Z方向他側の凹凸形状に合わせて形成された波状領域Wを有し、前記Z方向他側に直線領域Sを有
し、
前記棒状片E、E’の前記X方向他端は、何らの部材にも非連結であることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
請求項1記載の熱交換器において、前記棒状片E’は、前記Z方向一側に直線領域S’を有し、前記Z方向他側に、前記Z方向他端位置に配された前記流路部群の前記Z方向一側の凹凸形状に合わせて形成された波状領域W’を有することを特徴とする熱交換器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の熱交換器において、前記棒状片Eには、前記Z方向他側に突出した突出部Pが、前記直線領域Sに連続して形成されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項4】
請求項2記載の熱交換器において、前記棒状片Eには、前記Z方向他側に突出した突出部Pが、前記直線領域Sに連続して形成され、前記棒状片E’には、前記Z方向一側に突出した突出部P’が、前記直線領域S’に連続して形成されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の熱交換器において、前記位置決め手段は、前記Z方向一端位置に配された流路部群に前記Z方向一側から接触する屈曲部Dと、前記Z方向他端位置に配された流路部群に前記Z方向他側から接触する屈曲部D’とを具備することを特徴とする熱交換器。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の熱交換器において、前記位置決め手段は、前記X方向及び前記Z方向に垂直なY方向に間隔を空けて配置された複数の前記位置決め部材と、該各位置決め部材の前記支持片を連結する接続体とを具備することを特徴とする熱交換器。
【請求項7】
請求項6記載の熱交換器において、前記接続体は、前記Z方向に間隔を空けて配された、それぞれ前記Y方向に長い複数の長尺片を有することを特徴とする熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筺体内に取り込んだ燃焼ガスで管内を流れる液体を加熱する熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
管内を流れる液体と筺体内に取り込んだ燃焼ガスとを筺体内で熱交換する熱交換器は、筺体内に配置される管の合計表面積を大きくし、かつ、管の各領域が接触しないようにして、熱交換効率の向上を図っている。なお、管の各領域が接触しないようにするとは、一の管において一の領域と他の領域とが接触しないようにすること、及び、一の管が他の管と接触しないようにすることを意味する。
特許文献1には、管の各領域が接触しないようにする具体例として、線材を曲げ加工したスペーサを用いる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のスペーサは、管を安定的に位置決めすることができず、例えば、スペーサで複数の管を位置決めした状態でろう付けによって各管を筺体に固定すると、各管が所定の配置で固定されないという問題が発生する。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、複数の管を安定的に位置決め可能な熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う本発明に係る熱交換器は、それぞれ複数の流路部を筺体内に有する複数の管と前記流路部を位置決めする位置決め手段とを備え、前記筺体内に取り込まれた燃焼ガスで前記管内の液体を加熱する熱交換器において、それぞれ水平な又は水平に対して傾斜するX方向に前記流路部を並列配置してなる3個以上の流路部群が、鉛直な又は鉛直に対して傾斜するZ方向に隙間を有して並列に配置され、前記位置決め手段は、前記Z方向一端位置に配された前記流路部群及び前記Z方向一端位置から2つ目の前記流路部群の間に差し込まれた前記X方向に長い棒状片Eと、前記Z方向他端位置に配された前記流路部群及び前記Z方向他端位置から2つ目の前記流路部群の間に差し込まれた前記X方向に長い棒状片E’と、前記棒状片E、E’それぞれの前記X方向一端が連結された支持片とを有する位置決め部材を具備し、前記棒状片Eは、前記Z方向一側に、前記Z方向一端位置に配された前記流路部群の前記Z方向他側の凹凸形状に合わせて形成された波状領域Wを有し、前記Z方向他側に直線領域Sを有し、前記棒状片E、E’の前記X方向他端は、何らの部材にも非連結である。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る熱交換器は、位置決め手段が、Z方向一端位置に配された流路部群及びZ方向一端位置から2つ目の流路部群の間に差し込まれたX方向に長い棒状片Eと、Z方向他端位置に配された流路部群及びZ方向他端位置から2つ目の流路部群の間に差し込まれたX方向に長い棒状片E’と、棒状片E、E’それぞれのX方向一端が連結された支持片とを有する位置決め部材を具備し、棒状片Eが、Z方向一側に、Z方向一端位置に配された流路部群のZ方向他側の凹凸形状に合わせて形成された波状領域Wを有し、Z方向他側に直線領域Sを有するので、棒状片Eによって、Z方向一端位置に配された流路部群の各流路部のX方向の位置決め及びZ方向の位置決めを確実に行うことができ、複数の管を安定的に位置決めすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る熱交換器の一部省略平面図である。
【
図2】同熱交換器に備えられた第1、第2の位置決め手段による流路部の位置決めを示す説明図である。
【
図3】(A)は第1の位置決め手段の側面図であり、(B)は未屈曲手段の側面図である。
【
図4】(A)、(B)はそれぞれ、第1の位置決め手段の平面図及び正面図である。
【
図5】別の複数の管に取り付けられた位置決め手段による流路部の位置決めを示す説明図である。
【
図6】(A)は同位置決め手段の側面図であり、(B)は未屈曲手段の側面図である。
【
図7】変形例に係る位置決め手段による流路部の位置決めを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1、
図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る熱交換器10は、それぞれ複数の流路部11を筺体12内に有する複数の管13と、流路部11を位置決めする位置決め手段(第1、第2の位置決め手段)27、28とを備え、筺体12内に取り込まれた燃焼ガスで管13内の液体を加熱する。以下、詳細に説明する。
【0009】
筺体12は、
図1に示すように、箱状であり、燃焼ガスを取り込む図示しない開口が形成された底部15と、底部15及び図示しない天井部に固定され、対向配置された側壁部16、17と、側壁部16、17に対し垂直で対向配置された側壁部18、19を備えている。
【0010】
液体が流れる複数(本実施の形態では5本)の管13はそれぞれ、
図1、
図2に示すように、筺体12内に設けられた水平方向に長い複数(本実施の形態では16個)の流路部11と、筺体12内に設けられ、それぞれ2つの流路部11を接続する複数(本実施の形態では15個)の連結部20とを有して、螺旋状に形成されている。以下、流路部11の長手方向をY方向とし、Y方向に実質的に直交し実質的に水平な方向をX方向とし、XY平面に実質的に垂直で実質的に鉛直な方向をZ方向とする(本実施の形態では、X方向、Y方向及びZ方向は実質的に垂直である)。なお、
図2には、XZ平面で切断した複数の管13を、側壁部17側から見た様子が記されている。
【0011】
複数の管13は、同じ高さ位置に並列に配置された状態で螺旋状に巻回され、それぞれの管13の巻回半径は異なっている。そのため、一の管13の外側に他の管13が配置され、更にその外側に他の管13が配置されている。
一の管13は、
図2に示すように、各流路部11のZ方向位置が異なり、並列配置された複数の管13の流路部11同士は並列に配置され、隣り合う流路部11はZ方向位置が同じである。
【0012】
Z方向位置が同じでX方向に複数(本実施の形態では5つ)の流路部11を並列配置してなる流路部群21が、筺体12内のX方向一側にZ方向にN個、隙間を有して並列に配置され、Z方向位置が同じでX方向に複数(本実施の形態では5つ)の流路部11を並列配置してなる流路部群23が、筺体12内のX方向他側にZ方向にN個、隙間を有して並列に配置されている。ここで、Nは3以上の整数であり、本実施の形態ではN=8である。
【0013】
各管13は、
図1に示すように、両端部が側壁部16を貫通した状態でろう付けによって側壁部16に固定され、筐体12外に配された管13の一端が水道管に接続されたヘッダ25に連結されている。本実施の形態において、各管13を流れる液体は、水道管からヘッダ25経由で供給される水道水であり、筐体12内に取り込まれた燃焼ガスとの熱交換によって、各管13を通過の際に昇温し、各管13の他端が接続されたヘッダ26経由で台所や浴槽に向かって送られる。
【0014】
また、筺体12内には、
図1、
図2に示すように、それぞれ複数の流路部11を位置決めする金属製の位置決め手段27、28が設けられている。
位置決め手段27は、
図1、
図2、
図3(A)、
図4(A)、(B)に示すように、1)それぞれX方向に長い1本の棒状片29(棒状片E)、N-3本の棒状片30、1本の棒状片31(棒状片E’)、及び、棒状片29、30、31の各基端(X方向一端)が連結された支持片32を有する位置決め部材24と、2)それぞれX方向に長い1本の棒状片33(棒状片E)、N-3本の棒状片34、1本の棒状片35(棒状片E’)、及び、棒状片33、34、35の各基端(X方向一端)が連結され、支持片32からY方向に間隔を空けて配置された支持片36を有する位置決め部材24aと、3)Y方向両端がそれぞれ支持片32、36に連結されて、2つの位置決め部材24、24aを接続して一体化する接続体37とを具備している。
【0015】
位置決め手段27は、
図1、
図2に示すように、N-1本の棒状片29、30、31がN個の流路部群21の各間にそれぞれ差し込まれた状態、かつ、N-1本の棒状片33、34、35がN個の流路部群21の各間にそれぞれ差し込まれた状態で複数の管13に取り付けられている。従って、棒状片29(棒状片33についても同じ)はZ方向一端位置に配された流路部群21及びZ方向一端位置から2つ目の流路部群21の間に差し込まれており、棒状片31(棒状片35についても同じ)はZ方向他端位置に配された流路部群21及びZ方向他端位置から2つ目の流路部群21の間に差し込まれている。
【0016】
図2、
図3(A)に示すように、Z方向一端位置(
図2、
図3(A)で最も高い位置)に配された棒状片29と、Z方向他端位置(
図2、
図3(A)で最も低い位置)に配された棒状片31と、棒状片29、31の間に設けられたN-3本の棒状片30とは形状が異なり、Z方向一端位置に配された棒状片33と、Z方向他端位置に配された棒状片35と、棒状片33、35の間に設けられたN-3本の棒状片34とは形状が異なる。
【0017】
棒状片29(棒状片33についても同じ)は、Z方向一側に、基端から先端(X方向一端から他端)に亘って波状領域38(波状領域W)が設けられ、Z方向他側に、基端から先端に亘って直線領域39(直線領域S)が設けられている。波状領域38は、
図2に示すように、Z方向一端位置に配された流路部群21のZ方向他側の凹凸形状に合わせて形成され、当該流路部群21を構成する5つの流路部11にそれぞれ対応した5つの窪み部を有している。各窪み部はX方向に等ピッチで形成され、各流路部11は各窪み部によって位置決めされて等間隔に配されている。
【0018】
直線領域39は、Z方向一端位置から2つ目の流路部群21の各流路部11にZ方向一側から接触(又は、当該流路部群21の各流路部11に近接)している。
そして、棒状片29(棒状片33についても同じ)には、X方向他端に、Z方向他側に突出した突出部40(突出部P)が、直線領域39に連続して形成されている。突出部40は、Z方向一端位置から2つ目の流路部群21のX方向他端に配された流路部11にX方向他側から接触することによって、棒状片29(棒状片33)が2つの流路部群21の間から抜けるのを防止する。
【0019】
棒状片31(棒状片35についても同じ)は、Z方向一側に、基端から先端に亘って直線領域42(直線領域S’)が設けられ、Z方向他側に、基端から先端に亘って波状領域43(波状領域W’)が設けられている。波状領域43は、Z方向他端位置に配された流路部群21のZ方向一側の凹凸形状に合わせて形成され、当該流路部群21を構成する5つの流路部11にそれぞれ対応した5つの窪み部を有している。各窪み部はX方向に等ピッチで形成され、各流路部11は各窪み部によって位置決めされて等間隔に配されている。
【0020】
直線領域42は、Z方向他端位置から2つ目の流路部群21の各流路部11にZ方向他側から接触し(又は、当該流路部群21の各流路部11の近傍に配置され)ている。
棒状片31(棒状片35についても同じ)には、先端(X方向他端)に、Z方向一側に突出した突出部44(突出部P’)が、直線領域42に連続して形成されている。突出部44は、Z方向他端位置から2つ目の流路部群21のX方向他端に配された流路部11にX方向他側から接触することによって、棒状片31(棒状片35)が2つの流路部群21の間から抜けるのを防止する。
【0021】
支持片32、36はそれぞれZ方向に長く、支持片32のZ方向一端及びZ方向他端には、
図2、
図3(A)、
図4(A)、(B)に示すように、Z方向一端位置の流路部群21にZ方向一側から接触する屈曲部45(屈曲部D)及びZ方向他端位置の流路部群21にZ方向他側から接触する屈曲部46(屈曲部D’)がそれぞれ連結されている。そして、支持片36のZ方向一端及びZ方向他端には、Z方向一端位置の流路部群21にZ方向一側から接触する屈曲部47(屈曲部D)及びZ方向他端位置の流路部群21にZ方向他側から接触する屈曲部48(屈曲部D’)がそれぞれ連結されている。即ち、位置決め手段27は、屈曲部45、46、47、48を具備している。
【0022】
本実施の形態では、Z方向一端位置の流路部群21のX方向一端位置の流路部11が、
図1、
図2に示すように、屈曲部45と棒状片29及び屈曲部47と棒状片33によってそれぞれ挟まれ、Z方向他端位置の流路部群21のX方向一端位置の流路部11が、屈曲部46と棒状片31及び屈曲部48と棒状片35によってそれぞれ挟まれている。
【0023】
屈曲部45(屈曲部47についても同じ)は、
図3(A)、(B)に示すように、支持片32(屈曲部47については支持片36)の一端に設けられた、支持片32(屈曲部47については支持片36)に沿って長い直線部50(屈曲部47については直線部51)が折り曲げられて形成され、屈曲部46(屈曲部48についても同じ)は、支持片32(屈曲部48については支持片36)の他端に設けられた、支持片32(屈曲部48については支持片36)に沿って長い直線部52(屈曲部48については直線部53)が折り曲げられて形成されている。
以下、屈曲部45、46、47、48が形成される前の位置決め手段27に対応するもの(即ち、直線部50、51、52、53を有するもの)を未屈曲手段54と言う。
【0024】
N-3本の棒状片30及びN-3本の棒状片34はそれぞれ、Z方向幅が一定であり、棒状片29、31、33、35と共に、N個の流路部群21がZ方向に等ピッチで配されるように各流路部群21を位置決めしている。
接続体37は、
図4(B)に示すように、Z方向に間隔を空けて配された、それぞれY方向に長い複数(本実施の形態では3本)の長尺片55を有している。長尺片55はそれぞれ間隔を空けて配されているため、燃焼ガスは長尺片55の各間(接続体37)を通過できる。よって、接続体37は燃焼ガスの流れの遮りを抑制する設計となっている。
【0025】
また、位置決め手段28は、
図1、
図2に示すように、位置決め手段27と同様の形状であり、1)それぞれX方向に長い1本の棒状片57(棒状片E)、N-3本の棒状片58、1本の棒状片59(棒状片E’)、及び、各棒状片57、58、59の基端(X方向他端)が連結された支持片60を有する位置決め部材69と、2)それぞれX方向に長い1本の棒状片61(棒状片E)、N-3本の棒状片62、1本の棒状片63(棒状片E’)、及び、各棒状片61、62、63の基端が連結され、支持片60からY方向に間隔を空けて配置された支持片64を有する位置決め部材69aと、3)Y方向両端がそれぞれ支持片60、64に連結されて、2つの位置決め部材69、69aを接続して一体化する接続体65を具備している。
【0026】
位置決め手段28は、N-1本の棒状片57、58、59がN個の流路部群23の各間にそれぞれ差し込まれた状態、かつ、N-1本の棒状片61、62、63がN個の流路部群23の各間にそれぞれ差し込まれた状態で管13に取り付けられている。従って、棒状片57(棒状片61についても同じ)はZ方向一端位置に配された流路部群23及びZ方向一端位置から2つ目の流路部群23の間に差し込まれており、棒状片59(棒状片63についても同じ)はZ方向他端位置に配された流路部群23及びZ方向他端位置から2つ目の流路部群23の間に差し込まれている。
【0027】
Z方向一端位置に配された棒状片57(Z方向一端位置に配された棒状片61についても同じ)は、
図2に示すように、Z方向一側に、基端から先端(X方向他端から一端)に亘って波状領域66(波状領域W)が設けられ、Z方向他側に、基端から先端に亘って直線領域67(直線領域S)が設けられている。
波状領域66は、Z方向一端位置に配された流路部群23のZ方向他側の凹凸形状に合わせて形成され、当該流路部群23を構成する5つの流路部11にそれぞれ対応した5つの窪み部を有している。直線領域67は、Z方向一端位置から2つ目の流路部群23の各流路部11にZ方向一側から接触(又は、当該流路部群23の各流路部11に近接)している。
【0028】
棒状片57(棒状片61についても同じ)には、X方向一端に、Z方向他側に突出した突出部68(突出部P)が、直線領域67に連続して形成されている。突出部68は、Z方向一端位置から2つ目の流路部群23のX方向一端に配された流路部11にX方向一側から接触することによって、棒状片57(棒状片61)が2つの流路部群23の間から抜けるのを防止する。
【0029】
Z方向他端位置に配された棒状片59(Z方向他端位置に配された棒状片63についても同じ)は、Z方向一側に、基端から先端に亘って直線領域70(直線領域S’)が設けられ、Z方向他側に、基端から先端に亘って波状領域71(波状領域W’)が設けられている。波状領域71は、Z方向他端位置に配された流路部群23のZ方向一側の凹凸形状に合わせて形成され、当該流路部群23を構成する5つの流路部11にそれぞれ対応した5つの窪み部を有している。直線領域70は、Z方向他端位置から2つ目の流路部群23の各流路部11にZ方向他側から接触(又は、当該流路部群23の各流路部11に近接)している。
【0030】
棒状片59(棒状片63についても同じ)には、先端(X方向一端)に、Z方向一側に突出した突出部72(突出部P’)が、直線領域70に連続して形成されている。突出部72は、Z方向他端位置から2つ目の流路部群23のX方向一端に配された流路部11にX方向一側から接触することによって、棒状片59(棒状片63)が2つの流路部群23の間から抜けるのを防止する。
【0031】
支持片60、64はそれぞれZ方向に長く、支持片60のZ方向一端及びZ方向他端には、Z方向一端位置の流路部群23にZ方向一側から接触する屈曲部73(屈曲部D)及びZ方向他端位置の流路部群23にZ方向他側から接触する屈曲部74(屈曲部D’)がそれぞれ連結されている。そして、支持片64のZ方向一端及びZ方向他端には、Z方向一端位置の流路部群23にZ方向一側から接触する屈曲部75(屈曲部D)及びZ方向他端位置の流路部群23にZ方向他側から接触する屈曲部76(屈曲部D’)がそれぞれ連結されている。
【0032】
本実施の形態では、Z方向一端位置の流路部群23のX方向他端位置の流路部11が、屈曲部73と棒状片57及び屈曲部75と棒状片61によってそれぞれ挟まれ、Z方向他端位置の流路部群23のX方向他端位置の流路部11が、屈曲部74と棒状片59及び屈曲部76と棒状片63によってそれぞれ挟まれている。
【0033】
屈曲部73(屈曲部75についても同じ)は、支持片60(屈曲部75については支持片64)の一端に設けられた直線部が折り曲げられて形成され、屈曲部74(屈曲部76についても同じ)は、支持片60(屈曲部76については支持片64)の他端に設けられた直線部が折り曲げられて形成されている。以下、屈曲部73、74、75、76が形成される前の位置決め手段28に対応するものを未屈曲手段αと言う。
【0034】
棒状片57、59の間に設けられたN-3本の棒状片58及び棒状片61、63の間に設けられたN-3本の棒状片62はそれぞれ、Z方向幅が一定であり、棒状片57、59、61、63と共に、N個の流路部群23がZ方向に等ピッチで配されるように各流路部群23を位置決めしている。
接続体65は、Z方向に間隔を空けて配された、それぞれY方向に長い複数の長尺片を有している。
【0035】
次に、各管13を側壁部16に固定する手順について説明する。
まず、側壁部16を貫通した状態の複数の管13に対し、X方向一側から未屈曲手段54を接近させ、未屈曲手段54のN-1本の棒状片29、30、31の各先端及びN-1本の棒状片33、34、35の各先端を、流路部群21の各間にX方向一側から挿入すると共に、未屈曲手段αをX方向他側から接近させ、当該未屈曲手段のN-1本の棒状片57、58、59の各先端及びN-1本の棒状片61、62、63の各先端を、流路部群23の各間にX方向他側から挿入する。このとき、各管13は、側壁部16に固定されておらず、側壁部16に対して一定範囲で変位可能な状態である。
【0036】
そして、未屈曲手段54をX方向他側に移動させ、未屈曲手段αをX方向一側に移動させる。未屈曲手段54が移動する際、棒状片29、33の各先端がZ方向一端位置の流路部11とその流路部11のZ方向他側に配された流路部11の間をX方向他側に移動し、棒状片31、35の各先端がZ方向他端位置の流路部11とその流路部11のZ方向一側に配された流路部11の間をX方向他側に移動する。このとき、棒状片29、33の各先端がZ方向に隣り合う2つの流路部11に接触し、接触しているZ方向一端位置の流路部11をZ方向一側に移動させて当該2つの流路部11間の間隔を広げ、棒状片31、35の各先端がZ方向に隣り合う2つの流路部11に接触し、接触しているZ方向他端位置の流路部11をZ方向他側に移動させて当該2つの流路部11間の間隔を広げることから、未屈曲手段54は未屈曲手段54の変形を抑制された状態でX方向他側に移動できる。
【0037】
この点、未屈曲手段αについても同様であり、未屈曲手段αが移動する際、棒状片57、61の各先端がZ方向に隣り合う2つの流路部11に接触し、接触しているZ方向一端位置の流路部11をZ方向一側に移動させて当該2つの流路部11間の間隔を広げ、棒状片59、63の各先端がZ方向に隣り合う2つの流路部11に接触し、接触しているZ方向他端位置の流路部11をZ方向他側に移動させて当該2つの流路部11間の間隔を広げることから、未屈曲手段αは当該未屈曲手段αの変形を抑制された状態でX方向一側に移動できる。
【0038】
そして、未屈曲手段54は、支持片32、36が流路部群21に接触するまでX方向他側に移動させられた後、直線部50、51、52、53が折り曲げられ位置決め手段27となって複数の管13に固定された状態となり、未屈曲手段αは、支持片60、64が流路部群23に接触するまでX方向一側に移動させられた後、4つの直線部が折り曲げられ位置決め手段28となって複数の管13に固定された状態となる。その後、位置決め手段27、28が固定された複数の管13は、ろう付けによって側壁部16に固定される。
【0039】
また、側壁部17には、
図1に示すように、浴槽から送り出されヘッダ79を通過した湯が流れ込む複数(本実施の形態では5本)の管80が固定されている。各管80は、
図1、
図5に示すように、筺体12内に設けられたY方向に長い複数(本実施の形態では4個)の流路部81と、それぞれ筺体12内に設けられ、2つの流路部81を接続する複数(本実施の形態では3個)のU字状部82とを有して、巻回された形状となっている。なお、
図5には、XZ平面で切断した複数の管80を、側壁部16側から見た様子が記されている。
【0040】
管80は、
図5に示すように、Z方向に並列配置されている。各管80には、X方向一側にZ方向に間隔を空けて2つの流路部81が配置され、X方向他側にZ方向に間隔を空けて2つの流路部81が配置され、全体で、X方向一側及び他側にそれぞれZ方向に間隔を空けて10個の流路部81が配置されている。そして、X方向一側のZ方向一端位置からM番目に配された流路部81とX方向他側のZ方向一端位置からM番目に配された流路部81とを並列配置してなる流路部群81aがZ方向に10個、隙間を有して並列に配置されている。なお、1≦M≦10である。
【0041】
各管80は、
図1に示すように、両端部が側壁部17を貫通した状態でろう付けによって側壁部17に固定され、ヘッダ79は筐体12外に配された一端に連結されている。浴槽から送り出された湯は、各管80を通過の際に、筐体12内に取り込まれた燃焼ガスとの熱交換によって昇温し(追い焚きされ)、各管80の他端が接続されたヘッダ83経由で浴槽に送られる。
【0042】
筐体12内には、
図1、
図5に示すように、複数の流路部81を位置決めする位置決め手段84が設けられている。位置決め手段84は、
図1、
図5、
図6(A)に示すように、それぞれX方向に傾斜する方向に長い1本の棒状片85、7本の棒状片86、1本の棒状片87と、棒状片85、86、87の各基端(X方向一端)が連結された支持片88と、それぞれX方向に傾斜する方向に長い1本の棒状片89、7本の棒状片90、1本の棒状片91と、棒状片89、90、91の各基端(X方向一端)が連結され、支持片88からY方向に間隔を空けて配置された支持片92と、Y方向両端がそれぞれ支持片88、92に連結された接続体93を具備している。
【0043】
位置決め手段84は、
図5に示すように、9本の棒状片85、86、87が10個の流路部群81aの各間に差し込まれた状態、かつ、9本の棒状片89、90、91が10個の流路部群81aの各間に差し込まれた状態で5本の管80に取り付けられ、各流路部81を位置決めしている。
棒状片85、87、89、91はそれぞれ、基端から先端に向かって形成された直線部94と先端に設けられた幅広部95を有し、棒状片86、90は基端から先端に亘って直線的に形成されている。
【0044】
棒状片85の直線部94(棒状片87、89、91の各直線部94についても同じ)には、Z方向一側及び他側からそれぞれ流路部群81aが接触し、各棒状片86(各棒状片90についても同じ)には、Z方向一側及び他側からそれぞれ流路部群81aが接触している。
棒状片85(棒状片87、89、91についても同じ)は、幅広部95がX方向他側から当該幅広部95のZ方向一側及び他側にそれぞれ配された流路部81に接触することによって、棒状片85(棒状片87、89、91)が当該2つの流路部81の間から抜けるのを防止する。
【0045】
支持片88、92はそれぞれZ方向に長く、支持片88のZ方向一端及びZ方向他端には、X方向一側でZ方向一端位置に配された流路部81にZ方向一側から接触する屈曲部96及びX方向一側でZ方向他端位置に配された流路部81にZ方向他側から接触する屈曲部97がそれぞれ連結されている。そして、支持片92のZ方向一端及びZ方向他端には、X方向一側でZ方向一端位置に配された流路部81にZ方向一側から接触する屈曲部98及びX方向一側でZ方向他端位置に配された流路部81にZ方向他側から接触する屈曲部99がそれぞれ連結されている。
【0046】
屈曲部96(屈曲部98についても同じ)は、
図6(A)、(B)に示すように、支持片88(屈曲部98については支持片92)のZ方向一端に設けられた、支持片88(屈曲部98については支持片92)に沿って長い直線部100(屈曲部98については直線部101)が折り曲げられて形成され、屈曲部97(屈曲部99についても同じ)は、支持片88(屈曲部99については支持片92)のZ方向他端に設けられた、支持片88(屈曲部99については支持片92)に沿って長い直線部102(屈曲部99については直線部103)が折り曲げられて形成されている。
【0047】
以下、屈曲部96、97、98、99が形成される前の位置決め手段84に対応する部材(即ち、直線部100、101、102、103を有する部材)を未屈曲手段104として、各管80を側壁部17に固定する手順を説明する。
まず、側壁部17を貫通した状態の5本の管80に対し、未屈曲手段104の棒状片85、86、87、89、90、91の各先端を、流路部群81aの各間にX方向一側から挿入させ、未屈曲手段104をX方向他側に移動させる。このとき、各管80は側壁部17に対して一定範囲で変位可能な状態である。
【0048】
未屈曲手段104が移動する際、棒状片85、89の幅広部95がZ方向一端位置の流路部81とその流路部81のZ方向他側に配された流路部81の間をX方向他側に移動し、棒状片87、91の幅広部95がZ方向他端位置の流路部81とその流路部81のZ方向一側に配された流路部81の間をX方向他側に移動する。このとき、棒状片85、89の幅広部95がZ方向に隣り合う2つの流路部81に接触し、接触しているZ方向一端の流路部81をZ方向一側に移動させて当該2つの流路部81間の間隔を広げ、棒状片87、91の幅広部95がZ方向に隣り合う2つの流路部81に接触し、接触しているZ方向他端位置の流路部81をZ方向他側に移動させて当該2つの流路部81間の間隔を広げることから、未屈曲手段104は変形を抑制された状態でX方向他側に移動できる。
【0049】
そして、未屈曲手段104は、支持片88、92が流路部81に接触するまでX方向他側に移動させられた後、直線部100、101、102、103が折り曲げられ位置決め手段84となって5本の管80に固定された状態となる。その後、位置決め手段84が固定された5本の管80は、ろう付けによって側壁部17に固定される。
【0050】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、
図7に示すように、各流路部群105は、流路部106が水平に対して傾斜(例えば、0°を超え30°未満の角度で傾斜)したX方向に並列配置していてもよく、その場合(X方向が水平に対して傾斜している場合)、1本の棒状片107、複数の棒状片108及び1本の棒状片109がそれぞれX方向(水平に対して傾斜した方向)に長い位置決め手段110を用いて、各流路部106が位置決めされる。
そして、Z方向は、鉛直でなく、鉛直に対して傾斜(例えば、0°を超え30°未満の角度で傾斜)した方向であってもよく、その場合、支持片がZ方向(鉛直に対して傾斜した方向)に長い位置決め手段を用いて、各流路部を位置決めすることができる。
【0051】
また、棒状片E、E’を有し、棒状片E、E’以外の棒状片を有さない位置決め手段を採用してもよい。
棒状片Eが波状領域を有する場合、Z方向他端位置には波状領域を有さない棒状片E’を設けてもよい。そして、棒状片E、E’は、突出部を有さなくてもよく、位置決め手段は屈曲部を具備していなくてもよい。なお、流路部を安定的に位置決めする観点では、棒状片E、E’が共に、波状領域及び突出部を有すること、及び、位置決め手段が屈曲部を具備することが好ましい。
【0052】
更に、位置決め手段が有する位置決め部材は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。なお、1つの位置決め部材を有する位置決め手段は、複数の位置決め部材を有する位置決め手段に比べて流路部の位置決め精度が低いため、複数の位置決め部材を有する位置決め手段を採用するのが好ましい。
【符号の説明】
【0053】
10:熱交換器、11:流路部、12:筺体、13:管、15:底部、16、17、18、19:側壁部、20:連結部、21:流路部群、23:流路部群、24、24a:位置決め部材、25、26:ヘッダ、27、28:位置決め手段、29、30、31:棒状片、32:支持片、33、34、35:棒状片、36:支持片、37:接続体、38:波状領域、39:直線領域、40:突出部、42:直線領域、43:波状領域、44:突出部、45、46、47、48:屈曲部、50、51、52、53:直線部、54:未屈曲手段、55:長尺片、57、58、59:棒状片、60:支持片、61、62、63:棒状片、64:支持片、65:接続体、66:波状領域、67:直線領域、68:突出部、69、69a:位置決め部材、70:直線領域、71:波状領域、72:突出部、73、74、75、76:屈曲部、79:ヘッダ、80:管、81:流路部、81a:流路部群、82:U字状部、83:ヘッダ、84:位置決め手段、85、86、87:棒状片、88:支持片、89、90、91:棒状片、92:支持片、93:接続体、94:直線部、95:幅広部、96、97、98、99:屈曲部、100、101、102、103:直線部、104:未屈曲手段、105:流路部群、106:流路部、107、108、109:棒状片、110:位置決め手段