IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社神戸製鋼所の特許一覧

<>
  • 特許-測距装置及び測距方法 図1
  • 特許-測距装置及び測距方法 図2
  • 特許-測距装置及び測距方法 図3
  • 特許-測距装置及び測距方法 図4
  • 特許-測距装置及び測距方法 図5
  • 特許-測距装置及び測距方法 図6
  • 特許-測距装置及び測距方法 図7
  • 特許-測距装置及び測距方法 図8
  • 特許-測距装置及び測距方法 図9
  • 特許-測距装置及び測距方法 図10
  • 特許-測距装置及び測距方法 図11
  • 特許-測距装置及び測距方法 図12
  • 特許-測距装置及び測距方法 図13
  • 特許-測距装置及び測距方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】測距装置及び測距方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 3/06 20060101AFI20220523BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
G01C3/06 110A
G01B11/00 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018097732
(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公開番号】P2019203735
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】迫田 尚和
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 圭太
【審査官】飯村 悠斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-215200(JP,A)
【文献】特開2009-041929(JP,A)
【文献】特開2012-207468(JP,A)
【文献】特開2017-044392(JP,A)
【文献】特開2007-240387(JP,A)
【文献】特開2012-117896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 3/06
G01B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定点の位置をパラメータにして、三角測量方式で前記測定点までの距離を測定する測距装置であって、
前記測定点に光ビームを照射する発光部と、
前記測定点に照射された光ビームの反射光を受光して前記反射光の明るさを示す第1信号、及び、背景光を受光して背景の明るさを示す第2信号を生成する撮像部と、
前記第1信号と前記第2信号との差分を基にして、前記撮像部が撮像した画像中の、前記反射光の像の端点の位置を求め、前記端点の位置を基にして、前記測定点の位置を演算する演算部と、
前記発光部が前記測定点に光ビームを照射していない状態にする制御部とを備え、
前記演算部は、前記状態下で、前記撮像部で前記背景光が受光されて生成され、前記反射光の像と同じ位置の明るさを示す信号を前記第2信号と見なして、前記測定点の位置を演算する、測距装置。
【請求項2】
測定点の位置をパラメータにして、三角測量方式で前記測定点までの距離を測定する測距装置であって
前記測定点に光ビームを照射する発光部と
前記測定点に照射された光ビームの反射光を受光して前記反射光の明るさを示す第1信号、及び、背景光を受光して背景の明るさを示す第2信号を生成する撮像部と
前記第1信号と前記第2信号との差分を基にして、前記測定点の位置を演算する演算部とを備え
前記演算部は、前記発光部が前記測定点に光ビームを照射した状態において、前記撮像部で前記背景光が受光されて生成され、前記反射光の像と異なる位置の明るさを示す信号を前記第2信号と見なして、前記測定点の位置を演算する、距装置。
【請求項3】
測定点の位置をパラメータにして、三角測量方式で前記測定点までの距離を測定する測距装置であって
前記測定点に光ビームを照射する発光部と
前記測定点に照射された光ビームの反射光を受光して前記反射光の明るさを示す第1信号、及び、背景光を受光して背景の明るさを示す第2信号を生成する撮像部と
前記第1信号と前記第2信号との差分を基にして、前記撮像部が撮像した画像中の、前記反射光の像の端点の位置を求め、前記端点の位置を基にして、前記測定点の位置を演算する演算部と
前記発光部が前記測定点に光ビームを照射した状態で、前記撮像部が撮像した時系列に並ぶ複数の画像において、同じ順番に位置する画素が示す値の中から、当該画素が示す値の平均値より大きく、かつ、当該画素が示す値の最大値以下の要件を満たす値を選択し、選択した値を、補正画像の前記順番に位置する画素の値に設定して前記補正画像を生成する画像生成部とを備え、
前記演算部は、前記補正画像に写された、前記反射光の像を示す信号を前記第1信号と見なして、前記測定点の位置を演算する、距装置。
【請求項4】
測定点の位置をパラメータにして、三角測量方式で前記測定点までの距離を測定する測距装置であって
前記測定点に光ビームを照射する発光部と
前記測定点に照射された光ビームの反射光を受光して前記反射光の明るさを示す第1信号、及び、背景光を受光して背景の明るさを示す第2信号を生成する撮像部と
前記第1信号と前記第2信号との差分を基にして、前記撮像部が撮像した画像中の、前記反射光の像の端点の位置を求め、前記端点の位置を基にして、前記測定点の位置を演算する演算部と
前記発光部が前記測定点に光ビームを照射した状態で、前記撮像部が撮像した時系列に並ぶ複数の画像のそれぞれについて、前記背景の画像との差分を示す複数の差分画像を生成し、複数の前記差分画像において、同じ順番に位置する画素が示す値の中から、当該画素が示す値の平均値より大きく、かつ、当該画素が示す値の最大値以下の要件を満たす値を選択し、選択した値を、補正画像の前記順番に位置する画素の値に設定して前記補正画像を生成する画像生成部とを備え、
前記演算部は、前記補正画像に写された、前記反射光の像を示す信号を前記第1信号と前記第2信号との差分と見なして、前記測定点の位置を演算する、距装置。
【請求項5】
測定点の位置をパラメータにして、三角測量方式で前記測定点までの距離を測定する測距方法であって、
発光部が、前記測定点に光ビームを照射する照射ステップと、
撮像部が、前記測定点に照射された光ビームの反射光を受光して前記反射光の明るさを示す第1信号、及び、背景光を受光して背景の明るさを示す第2信号を生成する生成ステップと、
演算部が、前記第1信号と前記第2信号との差分を基にして、前記撮像部が撮像した画像中の、前記反射光の像の端点の位置を求め、前記端点の位置を基にして、前記測定点の位置を演算する演算工程と、
前記発光部が、前記測定点に光ビームを照射していない状態にする制御工程とを備え、
前記演算工程は、前記状態下で、前記撮像部で前記背景光が受光されて生成され、前記反射光の像と同じ位置の明るさを示す信号を前記第2信号と見なして、前記測定点の位置を演算する、測距方法。
【請求項6】
測定点の位置をパラメータにして、三角測量方式で前記測定点までの距離を測定する測距方法であって
発光部が、前記測定点に光ビームを照射する照射ステップと
撮像部が、前記測定点に照射された光ビームの反射光を受光して前記反射光の明るさを示す第1信号、及び、背景光を受光して背景の明るさを示す第2信号を生成する生成ステップと
演算部が、前記第1信号と前記第2信号との差分を基にして、前記測定点の位置を演算する演算工程とを備え
前記演算工程は、前記発光部が前記測定点に光ビームを照射した状態において、前記撮像部で前記背景光が受光されて生成され、前記反射光の像と異なる位置の明るさを示す信号を前記第2信号と見なして、前記測定点の位置を演算する、測距方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三角測量方式の測距技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴミ焼却施設において、ゴミ焼却炉と通じる配管には、ゴミ焼却によって発生した塵埃等が堆積した堆積物が付着し、堆積物が徐々に成長する。堆積物が成長すると、配管を通る気体(例えば、高温の空気)の流れが悪くなり、最悪、配管が詰まる。このため、配管の内壁に付着した堆積物の厚みを監視する必要がある。
【0003】
堆積物までの距離の測定を繰り返すことにより、堆積物の厚みを監視することができる。この距離を測定する技術の1つとして、光ビームを用いた三角測量方式の測距技術がある。しかし、三角測量方式の測距技術を用いた場合、配管内を浮遊し、光を散乱させる散乱体(例えば、塵埃)の存在が、測距精度を低下させる。
【0004】
これを解決するための技術として、例えば、特許文献1は、散乱体を含む空間内に存在する測定対象物に向けて光を照射する光照射手段と、前記測定対象物で反射した反射光を受光する受光手段とを備えておき、前記受光手段で得られた前記反射光の受光強度情報に基づいて、三角測量法で前記散乱体を含む空間内に存在する前記測定対象物の測定距離の算出を行うことを特徴とする散乱体中における測定対象物の距離計測方法を開示する。
【0005】
特許文献1の測定対象物とは、例えば、上記堆積物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-219440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
配管内は、位置的、時間的に明るさが異なる。例えば、配管内を浮遊する塵埃が燃焼することにより炎が発生する。これにより、同じ時刻でも配管内の位置に応じて明るさが異なり、配管内の同じ位置でも時刻が異なれば明るさが異なる。本発明者は、測距期間中に配管内が位置的、時間的に明るさが異なると、測距精度に悪影響を与えることを見出した。測定点が配管内に付着した堆積物を例にして説明したが、測定点が存在する空間において、位置的、時間的に明るさが異なると測距精度に悪影響を与えることになる。
【0008】
本発明の目的は、測定点が存在する空間において、位置的、時間的に明るさが異なっても測距精度に悪影響を与えることを防止できる測距装置及び測距方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る測距装置は、測定点の位置をパラメータにして、三角測量方式で前記測定点までの距離を測定する測距装置であって、前記測定点に光ビームを照射する発光部と、前記測定点に照射された光ビームの反射光を受光して前記反射光の明るさを示す第1信号、及び、背景光を受光して背景の明るさを示す第2信号を生成する撮像部と、前記第1信号と前記第2信号との差分を基にして、前記撮像部が撮像した画像中の、前記反射光の像の端点の位置を求め、前記端点の位置を基にして、前記測定点の位置を演算する演算部と、前記発光部が前記測定点に光ビームを照射していない状態にする制御部とを備え、前記演算部は、前記状態下で、前記撮像部で前記背景光が受光されて生成され、前記反射光の像と同じ位置の明るさを示す信号を前記第2信号と見なして、前記測定点の位置を演算する
【0010】
測定点が存在する空間の明るさは、背景(背景は、測定点の背景と言うこともできるし、反射光の背景と言うこともできる)の明るさに反映される。演算部は、反射光の明るさを示す第1信号と背景の明るさを示す第2信号との差分を基にして、測距装置から測定点までの距離を測定する。これにより、測定点が存在する空間の背景の明るさを打ち消すことができる。従って、本発明の一態様に係る測距装置によれば、測定点が存在する空間において、位置的、時間的に明るさが異なっても測距精度に悪影響を与えることを防止できる。
【0012】
測定点が存在する空間の明るさは、空間上の位置に応じて異なるので、反射光の像の位置(測定点の位置)と背景の位置とが同じであることが好ましい。この構成によれば、反射光の像の位置と背景の位置とを同じにすることができる。
【0013】
本発明の他の一態様に係る測距装置は、測定点の位置をパラメータにして、三角測量方式で前記測定点までの距離を測定する測距装置であって、前記測定点に光ビームを照射する発光部と、前記測定点に照射された光ビームの反射光を受光して前記反射光の明るさを示す第1信号、及び、背景光を受光して背景の明るさを示す第2信号を生成する撮像部と、前記第1信号と前記第2信号との差分を基にして、前記測定点の位置を演算する演算部とを備え、前記演算部は、前記発光部が前記測定点に光ビームを照射した状態において、前記撮像部で前記背景光が受光されて生成され、前記反射光の像と異なる位置の明るさを示す信号を前記第2信号と見なして、前記測定点の位置を演算する。
【0014】
測定点が存在する空間の明るさは、時系列で変動するので、反射光の明るさと背景の明るさとは同時に測定することが好ましい。この構成によれば、これらの明るさを同時に測定することができる。
【0017】
本発明の他の一態様に係る測距装置は、測定点の位置をパラメータにして、三角測量方式で前記測定点までの距離を測定する測距装置であって、前記測定点に光ビームを照射する発光部と、前記測定点に照射された光ビームの反射光を受光して前記反射光の明るさを示す第1信号、及び、背景光を受光して背景の明るさを示す第2信号を生成する撮像部と、前記第1信号と前記第2信号との差分を基にして、前記撮像部が撮像した画像中の、前記反射光の像の端点の位置を求め、前記端点の位置を基にして、前記測定点の位置を演算する演算部と、前記発光部が前記測定点に光ビームを照射した状態で、前記撮像部が撮像した時系列に並ぶ複数の画像において、同じ順番に位置する画素が示す値の中から、当該画素が示す値の平均値より大きく、かつ、当該画素が示す値の最大値以下の要件を満たす値を選択し、選択した値を、補正画像の前記順番に位置する画素の値に設定して前記補正画像を生成する画像生成部とを備え、前記演算部は、前記補正画像に写された、前記反射光の像を示す信号を前記第1信号と見なして、前記測定点の位置を演算する。本発明の他の一態様に係る測距装置は、測定点の位置をパラメータにして、三角測量方式で前記測定点までの距離を測定する測距装置であって、前記測定点に光ビームを照射する発光部と、前記測定点に照射された光ビームの反射光を受光して前記反射光の明るさを示す第1信号、及び、背景光を受光して背景の明るさを示す第2信号を生成する撮像部と、前記第1信号と前記第2信号との差分を基にして、前記撮像部が撮像した画像中の、前記反射光の像の端点の位置を求め、前記端点の位置を基にして、前記測定点の位置を演算する演算部と、前記発光部が前記測定点に光ビームを照射した状態で、前記撮像部が撮像した時系列に並ぶ複数の画像のそれぞれについて、前記背景の画像との差分を示す複数の差分画像を生成し、複数の前記差分画像において、同じ順番に位置する画素が示す値の中から、当該画素が示す値の平均値より大きく、かつ、当該画素が示す値の最大値以下の要件を満たす値を選択し、選択した値を、補正画像の前記順番に位置する画素の値に設定して前記補正画像を生成する画像生成部とを備え、前記演算部は、前記補正画像に写された、前記反射光の像を示す信号を前記第1信号と前記第2信号との差分と見なして、前記測定点の位置を演算する
【0018】
測距装置と測定点との間の空間中に浮遊し、測定点に照射する光ビームを散乱させる散乱体が存在する環境下、反射光の像(以下、反射光像)は、撮像部が撮像した画像にライン状に写る。反射光像は、発光部が測定点に照射した光ビームの経路を二次元で示している。反射光像の一方の端から他方の端に向かうに従って、光ビームの経路上の位置は、測距装置から遠くなり、他方の端が測定点となる。演算部は、反射光像の他方の端を示す画素の位置を測定点の位置として、距離を演算する。
【0019】
測距装置と測定点との間の空間中に浮遊する散乱体のサイズ等が原因で、反射光像に欠損が生じ、反射光像が不連続なライン状に写ることがある(ラインが途中で分断されている)。このような場合、反射光像の他方の端を特定できないので、測定点を特定することができない。
【0020】
そこで、画像生成部は、発光部が測定点に光ビームを照射した状態で、撮像部が撮像した時系列に並ぶ複数の画像を用いて補正画像を生成する。これにより、複数の画像のそれぞれでは、反射光像が不連続なライン状に写されていても、補正画像では、反射光像が1つのライン状に写される。
【0021】
補正画像の生成方法として、第1方法と第2方法とがある。第1方法から説明する。画像生成部は、撮像部が撮像した時系列に並ぶ複数の画像において、同じ順番に位置する画素が示す値(値は、輝度でもよいし、画素値でもよい)の中から、当該画素が示す値の平均値より大きく、かつ、当該画素が示す値の最大値以下の要件を満たす値を選択する。画像生成部は、選択した値を、補正画像のその順番に位置する画素の値に設定して補正画像を生成する。選択する値が、最大値を例にして、具体的に説明する。この場合、時系列に並ぶ複数の画像において、1番目の画素の値における最大値がα1のとき、補正画像において、1番目の画素の値がα1とされ、2番目の画素の値における最大値がα2のとき、補正画像において、2番目の画素の値がα2とされる。補正画像の残りの画素の値についても同様にして決められる。
【0022】
第1方法で生成された補正画像に写された反射光像は、測定点が存在する空間の背景の明るさが打ち消されていない。よって、演算部は、補正画像に写された反射光像を示す信号を第1信号と見なして、測定点の位置を演算する。
【0023】
第2方法を説明する。画像生成部は、撮像部が撮像した時系列に並ぶ複数の画像のそれぞれについて、背景の画像との差分を示す複数の差分画像を生成する。差分画像は、測定点が存在する空間の背景の明るさの変動が打ち消された画像である。
【0024】
画像生成部は、複数の差分画像において、同じ順番に位置する画素が示す値の中から(値は、輝度でもよいし、画素値でもよい)、当該画素が示す値の平均値より大きく、かつ、当該画素が示す値の最大値以下の要件を満たす値を選択する。画像生成部は、選択した値を、補正画像のその順番に位置する画素の値に設定して補正画像を生成する。
【0025】
第2方法で生成された補正画像に写された反射光像は、測定点が存在する空間の背景の明るさが打ち消されている。よって、演算部は、補正画像に写された反射光像を示す信号を第1信号と第2信号との差分と見なして、測定点の位置を演算する。
【0026】
本発明の他の態様に係る測距方法は、測定点の位置をパラメータにして、三角測量方式で前記測定点までの距離を測定する測距方法であって、発光部が、前記測定点に光ビームを照射する照射ステップと、撮像部が、前記測定点に照射された光ビームの反射光を受光して前記反射光の明るさを示す第1信号、及び、背景光を受光して背景の明るさを示す第2信号を生成する生成ステップと、演算部が、前記第1信号と前記第2信号との差分を基にして、前記撮像部が撮像した画像中の、前記反射光の像の端点の位置を求め、前記端点の位置を基にして、前記測定点の位置を演算する演算工程と、前記発光部が、前記測定点に光ビームを照射していない状態にする制御工程とを備え、前記演算工程は、前記状態下で、前記撮像部で前記背景光が受光されて生成され、前記反射光の像と同じ位置の明るさを示す信号を前記第2信号と見なして、前記測定点の位置を演算する本発明の他の一態様に係る測距方法は、測定点の位置をパラメータにして、三角測量方式で前記測定点までの距離を測定する測距方法であって、発光部が、前記測定点に光ビームを照射する照射ステップと、撮像部が、前記測定点に照射された光ビームの反射光を受光して前記反射光の明るさを示す第1信号、及び、背景光を受光して背景の明るさを示す第2信号を生成する生成ステップと、演算部が、前記第1信号と前記第2信号との差分を基にして、前記測定点の位置を演算する演算工程とを備え、前記演算工程は、前記発光部が前記測定点に光ビームを照射した状態において、前記撮像部で前記背景光が受光されて生成され、前記反射光の像と異なる位置の明るさを示す信号を前記第2信号と見なして、前記測定点の位置を演算する
【0027】
本発明の他の態様に係る測距方法は、本発明の一態様に係る測距装置を方法の観点から規定しており、本発明の一態様に係る測距装置と同様の作用効果を有する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、測定点が存在する空間において、位置的、時間的に明るさが異なっても測距精度に悪影響を与えることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態に係る測距装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る測距装置と、この測距装置が配置された配管との関係を示す模式図である。
図3】発光部が光を測定点に照射していない状態で撮像部が撮像した画像と輝度グとの関係の例を示す模式図である。
図4】発光部が光を測定点に照射している状態で撮像部が撮像した画像と輝度グラフとの関係の例を示す模式図である。
図5】第1信号と第2信号との差分を示す輝度グラフを示すグラフ図である。
図6】実施形態に係る測距装置の動作を説明するフローチャートである。
図7】変形例に適用される画像の一例の模式図である。
図8】変形例1の動作を説明するフローチャートである。
図9】不連続なライン状の反射光像が写された画像と輝度グラフとの関係の例を示す模式図である。
図10】第1信号と第2信号との差分を示す輝度グラフを示すグラフ図である。
図11】変形例2に係る測距装置の構成を示すブロック図である。
図12】変形例2において、第1方法を用いる補正画像の生成を説明する説明図である。
図13】変形例2において、第2方法を用いる補正画像の生成を説明する説明図である。
図14】n枚の差分画像のそれぞれに写された反射光像の輝度グラフと、補正画像に写された反射光像の輝度グラフと、を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。各図において、同一符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その構成について、既に説明している内容については、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し(例えば、画像Im)、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す(例えば、画像Im-1)。
【0031】
図1は、実施形態に係る測距装置100-1の構成を示すブロック図である。図2は、実施形態に係る測距装置100-1と、測距装置100-1が配置された配管6との関係を示す模式図である。図2には、配管6の一部が示されており、配管6は、ゴミ焼却炉(不図示)と通じている。ゴミ焼却による排熱で暖められた高温の空気が、配管6を通る。配管6内には、ゴミ焼却によって発生した塵埃等が浮遊しており、配管6の内壁には、この塵埃等が堆積した堆積物7が付着する。
【0032】
図1及び図2を参照して、測距装置100-1は、本体部1と、発光部2と、撮像部3と、筐体4と、を備える。本体部1、発光部2及び撮像部3は、筐体4の内部に配置されている。筐体4の前面には、ガラス窓部41が形成されている。配管6には、配管6の内部を観察できるポート61が形成されている。ガラス窓部41をポート61の開口部と対向させて、測距装置100-1がポート61に取り付けられている。配管6内は、高温なので、発光部2、撮像部3及び本体部1が高温によりダメージを受けることを防止するために、筐体4内は空冷式で冷却されている。
【0033】
測定点Pは、測距装置100-1によって距離が測定される点であり、ポート61と対向した位置にある。この位置に堆積物7がなければ、配管6の内壁(例えば、点Q)が測定点Pとなり、配管6の内壁に堆積物7が付着していれば、堆積物7が測定点Pとなる。堆積物7が成長し、堆積物7の厚みが大きくなるにしたがって、測距装置100-1と堆積物7との距離が短くなる。
【0034】
発光部2は、測定点Pに光ビームLを照射する。発光部2は、例えば、レーザダイオード、発光ダイオードによって実現される。発光部2は、高出力(例えば、100mW以上)、かつ、出力調整機能を有することが好ましい。発光部2が出射する光ビームLの波長は、配管6内を浮遊する塵埃等の粒径より長い波長であることが好ましい。
【0035】
発光部2の光軸21は、測定点Pに対して斜め方向に設定されている。発光部2が出射した光ビームLは、ガラス窓部41を透過し、斜め方向から測定点Pに照射される。測定点Pに発光部2からの光ビームLが照射されると、光ビームLは測定点Pで反射され、反射光RLが生じる。反射光RLの進行方向に撮像部3が配置されている。撮像部3の光軸31は、測定点Pに対して垂直方向に設定されている。なお、発光部2の光軸21が、測定点Pに対して垂直方向に設定され、撮像部3の光軸31が、測定点Pに対して斜め方向に設定されていてもよい。撮像部3は、例えば、デジタルカメラ、ラインセンサによって実現される。
【0036】
撮像部3は、ガラス窓部41を介して、反射光RLを受光することにより、反射光RLの明るさを示す第1信号S1を生成する。第1信号S1は、輝度値を示す信号でもよいし、画素値(例えば、8ビットの場合、256階調)を示す信号でもよい。撮像部3は、第1信号S1を本体部1へ送信する。
【0037】
撮像部3は、第1信号S1を生成する機能に加えて、背景光を受光することにより、背景(測定点Pの背景、反射光RLの背景)の明るさを示す第2信号S2を生成する機能を有する。第2信号S2は、輝度値を示す信号でもよいし、画素値を示す信号でもよい。撮像部3は、第2信号S2を本体部1へ送信する。
【0038】
発光部2と撮像部3とは、発光部2が測定点Pに照射した光ビームLに対して、撮像部3が感度を有する関係でなければならない。例えば、撮像部3が可視光カメラのとき、発光部2が出射する光ビームLは、可視光でなければならない。例えば、撮像部3が赤外線カメラのとき、発光部2が出射する光ビームLは、赤外光でなければならない。
【0039】
配管6内を浮遊する塵埃等は、発光部2が測定点Pに照射する光ビームLを散乱させる散乱体(光散乱体)となる。このため、配管6内は、ガラス窓部41と測定点Pとの間の空間中に浮遊し、測定点Pに照射する光ビームLを散乱させる散乱体が存在する環境である。また、配管6内は、浮遊する塵埃等が燃焼して発生する炎により、測距期間中に位置的、時間的に明るさが異なる環境である。
【0040】
本体部1は、機能ブロックとして、制御処理部11と、通信部12と、演算部13と、を備えるコンピュータ装置である。制御処理部11及び演算部13は、ハードウェアプロセッサである。詳しくは、これらは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び、HDD(Hard Disk Drive)等のハードウェア、上記機能ブロックの機能を実行するためのプログラム及びデータ等によって実現される。以上説明したことは、後述する画像生成部14(図11)についても同様である。
【0041】
制御処理部11は、本体部1の各部(通信部12、演算部13)を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するための装置である。
【0042】
通信部12は、制御処理部11の制御に従って通信を行うための通信回路である。通信部12は、ゴミ処理施設の中央制御室5に配置されたコンピュータ装置51と通信する。通信部12は、通信インターフェース回路によって実現される。ゴミ処理施設は、焼却炉(不図示)と、これと接続されている配管6と、中央制御室5と、を備え、例えば、家庭用のゴミを処理する。
【0043】
演算部13は、第1信号S1と第2信号S2との差分を基にして、測定点Pの位置を演算する。演算部13は、測定点Pの位置をパラメータの1つとして、三角測量方式(三角測距方式)によって、測定点Pまでの距離を演算する。制御処理部11は、コンピュータ装置51を宛先として、演算部13が演算した距離を示す距離情報を、通信部12に送信させる。コンピュータ装置51は、受信した距離情報が示す距離を、コンピュータ装置51のディスプレイに表示させる。
【0044】
以下からは、発光部2が、可視光を出射するレーザダイオードであり、撮像部3が、可視光カメラであるとして実施形態の説明を続ける。
【0045】
図3は、発光部2が光ビームLを測定点Pに照射していない状態で撮像部3が撮像した画像Im-1と輝度グラフG-1との関係の例を示す模式図である。図4は、発光部2が光ビームLを測定点Pに照射している状態で撮像部3が撮像した画像Im-2と輝度グラフG-2との関係の例を示す模式図である。
【0046】
図2図3及び図4を参照して、画像Imの中央には、x軸が表示されている。x軸について説明する。発光部2の光軸21は、発光部2が測定点Pへ向けて出射する光ビームLの経路を示している。発光部2の光軸21は、三次元空間を規定する軸である。x軸は、発光部2の光軸21を三次元から二次元に変換した軸である。
【0047】
画像Im-2のx軸上に重ねられているラインは、画像Im-2に写された反射光RLの像(以下、反射光像im)を示している。上述したように、反射光RLは、発光部2が測定点Pに光ビームLを照射することにより発生する光である。配管6内に塵埃等がなければ、反射光像imは一点の像となる。配管6内に塵埃等があれば、反射光像imはライン状の像となる。この理由は、発光部2が測定点Pへ向けて出射した光ビームLは、光ビームLの経路に浮遊している塵埃等によっても反射され、反射された光が撮像部3で受光されるからである。
【0048】
反射光像imの左端から右端(一方の端から他方の端)に向かうに従って、光ビームLの経路上の位置は、測距装置100-1から遠くなる。反射光像imの右端(他方の端)が測定点Pとなる。堆積物7の厚みを大きくなるに従って、反射光像imの右端(他方の端)は、x軸上において、左側へ移動する。演算部13は、撮像部3が撮像した画像Im-2を構成する画素のうち、反射光像imの右端(他方の端)を示す画素の位置x0を測定点Pの位置として、測定点Pまでの距離を演算する。
【0049】
輝度グラフGは、画像Imのx軸上の輝度を示すグラフである。グラフ線g-1は、発光部2が測定点Pに光ビームLを照射していない状態において、x軸上の画素の輝度を示す。グラフ線g-2は、発光部2が測定点Pに光ビームLを照射している状態において、x軸上の画素の輝度を示す。グラフ線g-2は、反射光RL(反射光像im)の輝度を示しており、第1信号S1を用いて生成される。グラフ線g-1は、反射光RLの背景の輝度を示しており、第2信号S2を用いて生成される。なお、輝度の替わりにに画素値でもよい。
【0050】
グラフ線g-1が示すように、発光部2が測定点Pに光ビームLを照射していない状態でも、輝度は、一様でなく、x軸上の位置に応じて異なる。これは、配管6内の明るさが、配管6内の位置に応じて異なるからである。このため、反射光RLの輝度と背景の輝度とが近い値になることがある。この場合、グラフ線g-2から反射光像imの右端(他方の端)を特定することが難しくなる。
【0051】
本発明者は、グラフ線g-2とグラフ線g-1との差分(第1信号S1と第2信号S2との差分)によれば、反射光像imの右端(他方の端)を特定できることを見出した。図5は、グラフ線g-2とグラフ線g-1との差分(第1信号S1と第2信号S2との差分)を示す輝度グラフG-3である。グラフ線g-3が、グラフ線g-2とグラフ線g-1との差分である。これにより、配管6内の背景の明るさが打ち消されるので、反射光像imの右端(他方の端)、すなわち、測定点Pを特定することが可能となる。
【0052】
実施形態に係る測距装置100-1の動作について説明する。図6は、これを説明するフローチャートである。図1図2及び図6を参照して、制御処理部11は、発光部2に光ビームLを出射させる制御をする(ステップS1)。光ビームLは、測定点Pで反射されて反射光RLが生じる。
【0053】
撮像部3は、反射光RLの画像を撮像する(ステップS2)。すなわち、撮像部3は、発光部2からの光ビームLが測定点Pに照射されている状態の画像を撮像する。この画像は、反射光像im(第1信号S1)を含み、例えば、図4に示す画像Im-2である。以下、この画像を反射光画像と記載する。撮像部3は、反射光画像を本体部1に送信する。制御処理部11は、送信されてきた反射光画像を記憶する(ステップS3)。
【0054】
制御処理部11(制御部)は、発光部2に光ビームLの出射を停止させる制御をする(ステップS4)。これにより、発光部2が測定点Pに光Pを照射していない状態にする。なお、発光部2とガラス窓部41との間にシャッタが設けられ、制御処理部11は、発光部2に光ビームLを出射させる制御を継続し、シャッタを閉じる制御をしてもよい。
【0055】
撮像部3は、発光部2からの光ビームLが測定点Pに照射されていない状態の画像(背景光の画像)を撮像する(ステップS5)。この画像は、反射光RLの背景(第2信号S2)を含み、例えば、図3に示す画像Im-1である。以下、この画像を背景光画像と記載する。撮像部3は、背景光画像を本体部1に送信する。制御処理部11は、送信されてきた背景光画像を記憶する(ステップS6)。
【0056】
演算部13は、制御処理部11に記憶されている反射光画像から反射光像im(第1信号S1)を抽出する。演算部13は、制御処理部11に記憶されている背景光画像のうち、反射光像imと同じ位置にある像(第2信号S2)を抽出する(ステップS7)。演算部13は、第1信号S1と第2信号S2との差分を演算し、この差分を用いて、測定点Pの位置を演算する(ステップS8)。このように、演算部13は、発光部2が測定点Pに光ビームLを照射していない状態下で、撮像部3で背景光が受光されて生成され、反射光像imと同じ位置の明るさを示す信号を第2信号S2と見なして、測定点Pの位置を演算する。演算部13は、演算した測定点Pの位置をパラメータの1つとして、測定点Pまでの距離を演算する(ステップS9)。
【0057】
実施形態の主な効果を説明する。図1及び図2を参照して、配管6内の明るさは、背景(背景は、測定点Pの背景と言うこともできるし、反射光RLの背景と言うこともできる)の明るさに反映される。演算部13は、反射光RLの明るさを示す第1信号S1と背景の明るさを示す第2信号S2との差分を基にして、測距装置100-1から測定点Pまでの距離を測定する。これにより、配管6内の背景の明るさを打ち消すことができる。従って、実施形態によれば、配管6内において、位置的、時間的に明るさが異なっても測距精度に悪影響を与えることを防止できる。
【0058】
配管6内の明るさは、配管6内の位置に応じて異なるので、反射光像imの位置(測定点Pの位置)と背景の位置とが同じであることが好ましい。図3及び図4に示すように、実施形態では、反射光像imの位置と背景の位置とを同じにしている。
【0059】
実施形態の変形例を説明する。図6で説明したように、実施形態は、反射光画像から第1信号S1を抽出し、背景光画像から第2信号S2を抽出する(ステップS7)。これに対して、変形例1は、反射光画像から第1信号S1及び第2信号S2を抽出する。変形例1に係る測距装置の機能ブロック図は、図1と同じである。
【0060】
図7は、変形例1に適用される画像Im-3の一例の模式図である。画像Im-3は、反射光画像であり、x軸上に反射光像imがある。画像Im-3において、反射光像imと異なる位置の領域rが背景となる。
【0061】
演算部13は、画像Im-3において、x座標が反射光像imと同じ位置に、領域rを設定する。領域rは、反射光像imの近傍であることが好ましい。配管6内の明るさは、距離が近いと似ているからである。演算部13は、領域rにおいて、x座標が同じ位置にある画素の輝度の平均値を算出し(例えば、x1の位置にある画素の輝度の平均値、x2の位置にある画素の輝度の平均値、・・・)、これを第2信号S2とする。このように、演算部13は、発光部2が測定点Pに光を照射した状態において、撮像部3で背景光が受光されて生成され、反射光像imと異なる位置の明るさを示す信号を第2信号S2と見なす。
【0062】
変形例1の動作を説明する。図8は、変形例1の動作を説明するフローチャートである。ステップS1~ステップS3までは、図6のステップS1~ステップ3と同じである。図1図7及び図8を参照して、演算部13は、ステップS3で制御処理部11が記憶した反射光画像(例えば、画像Im-3)を読み出し、反射光画像から第1信号S1及び第2信号S2を抽出する(ステップS11)。ステップS11後のステップS8及びステップS9の処理は、図6に示すステップS8及びステップS9の処理と同じである。
【0063】
測定点Pが存在する空間の明るさは、時系列で変動するので、反射光RLの明るさと背景の明るさとは同時に測定することが好ましい。変形例1によれば、これらの明るさを同時に測定することができる。
【0064】
変形例2を説明する。図4及び図7に示す反射光像imは、1つのライン状の像である。しかし、反射光像imが1つのライン状の像でなく、不連続なライン状の像となる場合がある。例えば、図2に示す光ビームLの経路に比較的大きな塵埃があると、この塵埃により反射光像imが不連続なライン状の像となる。
【0065】
図9は、不連続なライン状の反射光像imが写された画像Im-4と輝度グラフG-4との関係の例を示す模式図である。反射光像imは、2つに分断され、不連続になっている。反射光像imが、2つに分断される例で説明したが、これより多い数に分断されることもある。
【0066】
グラフ線g-4は、図4に示すグラフ線g-2と同じく、反射光RL(反射光像im)の輝度を示しており、第1信号S1を用いて生成される。グラフ線g-4は、反射光像imが分断されている箇所において、輝度が大きく低下している。グラフ線g-5は、変形例1で説明した領域r(背景)の輝度を示す。
【0067】
図10は、グラフ線g-4とグラフ線g-5との差分(第1信号S1と第2信号S2との差分)を示す輝度グラフG-5である。グラフ線g-6が、グラフ線g-4とグラフ線g-5との差分である。グラフ線g-6の場合、輝度が大きく低下する箇所が複数ある。このため、反射光像imの右端の位置(測定点Pの位置)を特定することが難しくなる。変形例2は、これを解決することができる。
【0068】
図11は、変形例2に係る測距装置100-2の構成を示すブロック図である。図11は、図1と比較して、本体部1に画像生成部14が追加されている。画像生成部14は、補正画像を生成する。補正画像の生成方法には、第1方法と第2方法とがある。
【0069】
第1方法を説明する。図12は、変形例2において、第1方法を用いる補正画像Im-2(c)の生成を説明する説明図である。撮像部3は、発光部2が測定点Pに光ビームLを照射した状態で、連続して、n枚の画像(画像Im-2(1)、画像Im-2(2)、・・・、画像Im-2(n))を撮像する。nは、2以上(複数)である。これにより、時系列に並ぶn枚の画像が得られる。
【0070】
画像Im-2(1)~画像Im-2(n)は、図4に示す画像Im-2と対応し、反射光像imが写されている。但し、反射光像imは、図9に示す反射光像imのように、不連続なライン状となっている。
【0071】
画像生成部14は、画像Im-2(1)~画像Im-2(n)において、同じ順番に位置する画素が示す値の中から、当該画素が示す値の平均値より大きく、かつ、当該画素が示す値の最大値以下の要件を満たす値を選択する。画像生成部14は、この選択した値を、補正画像Im-2(c)のその順番に位置する画素の値に設定して補正画像Im-2(c)を生成する。選択する値が最大値を例にして、具体的に説明する。画像生成部14は、画像Im-2(1)~画像Im-2(n)において、1番目の画素が示す値の最大値を決定し、この値を、補正画像Im-2(c)の1番目の画素の値とする。画像生成部14は、画像Im-2(1)~画像Im-2(n)において、2番目の画素が示す値の最大値を決定し、この値を、補正画像Im-2(c)の2番目の画素の値とする。画像生成部14は、3番目以降の画素についても同様の処理をする。
【0072】
補正画像Im-2(c)に反射光像imが1つのライン状に写る目的を達成できる値であれば、最大値に限らず、平均値より大きな値の中から選択できる(例えば、2番目に大きな値が選択されてもよいし、3番目に大きな値が選択されてもよい)。平均値より大きな値としたのは、平均値以下の値だと、反射光像imを1つのライン状にする補正の効果が得られないと考えられるからである。これは、第2方法でも言えることである。
【0073】
第1方法で生成された補正画像Im-2(c)に写された反射光像imは、測定点Pが存在する空間の背景の明るさが打ち消されていない。演算部13は、補正画像Im-2(c)に写された、反射光像imを示す信号を第1信号S1とする。測距装置100-2は、図6のステップS4~ステップS6の処理をした後、背景光画像から第2信号S2を抽出する。演算部13は、この第1信号S1とこの第2信号S2との差分を基にして、測定点Pの位置を演算する。
【0074】
第2方法を説明する。図13は、変形例2において、第2方法を用いる補正画像Im-2(c)の生成を説明する説明図である。画像Im-2(1)~画像Im-2(n)は、図12に示す画像Im-2(1)~画像Im-2(n)と同じである。画像Im-1は、図3に示す画像Im-1と同じである。
【0075】
画像生成部14は、画像Im-2(1)~画像Im-2(n)のそれぞれについて、画像Im-1(背景画像)との差分を示すn枚(複数)の差分画像を生成する。
【0076】
画像生成部14は、n枚の差分画像において、同じ順番に位置する画素が示す値の中から、当該画素が示す値の平均値より大きく、かつ、当該画素が示す値の最大値以下の要件を満たす値を選択する。画像生成部14は、この選択した値を、補正画像Im-2(c)のその順番に位置する画素の値に設定して補正画像Im-2(c)を生成する。選択する値が最大値を例にして、具体的に説明する。画像生成部14は、n枚の差分画像において、1番目の画素が示す値の最大値を決定し、この値を、補正画像Im-2(c)の1番目の画素の値とする。画像生成部14は、n枚の差分画像において、2番目の画素が示す値の最大値を決定し、この値を、補正画像Im-2(c)の2番目の画素の値とする。画像生成部14は、3番目以降の画素についても同様の処理をする。
【0077】
図14は、n枚の差分画像のそれぞれに写された反射光像imの輝度グラフと、補正画像Im-2(c)に写された反射光像imの輝度グラフと、を示すグラフ図である。グラフ線g-7は、図13に示す画像Im-2(1)と画像Im-1との差分画像に写された反射光像imの輝度を示す。グラフ線g-8は、画像Im-2(2)と画像Im-1との差分画像に写された反射光像imの輝度を示す。グラフ線g-9は、画像Im-2(n)と画像Im-1との差分画像に写された反射光像imの輝度を示す。グラフ線g-10は、補正画像Im-2(c)に写された反射光像imの輝度を示す。これらのグラフ線から、測定点Pが存在する空間の背景の明るさが打ち消されていることが分かる。
【0078】
第2方法で生成された補正画像Im-2(c)に写された反射光像imは、測定点Pが存在する空間の背景の明るさが打ち消されている。よって、演算部13は、補正画像Im-2(c)に写された反射光像imを示す信号を第1信号S1と第2信号S2との差分とする。演算部13は、この差分を基にして、測定点Pの位置を演算する。
【符号の説明】
【0079】
1 本体部
2 発光部
21 光軸
3 撮像部
31 光軸
4 筐体
41 ガラス窓部
6 配管
61 ポート
7 堆積物
100-1,100-2 測距装置
G-1~G-5 輝度グラフ
g-1~g-10 グラフ線
Im-1~Im-4 画像
Im-2(c) 補正画像
im 反射光像
L 光ビーム
P 測定点
Q 内壁上の点
r 領域
RL 反射光
S1 第1信号
S2 第2信号
x0 測定点Pの位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14