(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】蒸着方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/50 20060101AFI20220523BHJP
C23C 14/04 20060101ALI20220523BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20220523BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
C23C14/50 F
C23C14/04 A
H05B33/10
H05B33/14 A
(21)【出願番号】P 2018199475
(22)【出願日】2018-10-23
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】寺田 茂樹
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-538864(JP,A)
【文献】特開2018-127705(JP,A)
【文献】特開2010-209459(JP,A)
【文献】特開2005-281746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
H05B 33/10
H01L 51/50
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクを用いて基板に蒸着材料を蒸着する蒸着方法であって、
前記マスクが設けられるマスクフレームであって、互いに対向する第1辺および第2辺を含むマスクフレームを、重力方向において前記第1辺が前記第2辺よりも高い位置に存在するように前記基板に対向して配置し、
前記マスクフレームを配置した後、
第1移動部材と、前記マスクフレームと接触する位置に設けられた第2移動部材と、前記第1移動部材が第1変位量で移動した場合に、前記第1変位量よりも小さい第2変位量で前記第2移動部材を移動させる縮小機構とを含む補正機構を用いて、前記マスクフレームに生じる重力方向の撓みを補正する
蒸着方法。
【請求項2】
前記補正は、前記マスクフレームの前記撓みが生じる位置に力を与えることを含む
請求項1に記載の蒸着方法。
【請求項3】
前記補正は、前記第1辺の中心または前記第2辺の中心に力を与えることを含む
請求項1または請求項2に記載の蒸着方法。
【請求項4】
前記補正は、前記第1辺の中心および前記第2辺の中心を通過する軸を挟んだ両側の位置に力を与えることを含む
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の蒸着方法。
【請求項5】
前記マスクフレームは、前記マスクフレームの内側の空間を複数に区分する隔壁であって、前記第1辺および前記第2辺と交差する隔壁を含み、
前記補正は、前記第2辺と前記隔壁とが交差する位置に力を与えることを含む
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の蒸着方法。
【請求項6】
前記補正は、前記第1辺上の位置に力を与えることを含む
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の蒸着方法。
【請求項7】
前記マスクフレームは、前記マスクフレームの内側の空間を複数に区分する隔壁であって、前記第1辺および前記第2辺と交差する隔壁を含み、
前記補正は、前記第1辺と前記隔壁とが交差する位置以外の位置に力を与えることを含む
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の蒸着方法。
【請求項8】
前記縮小機構に含まれる摺動面の少なくとも一部に摩擦係数を減じるためのコーティングがされている
請求項
1から請求項7のいずれか1項に記載の蒸着方法。
【請求項9】
前記縮小機構は、前記基板と対向するベースフレームに設けられる
請求項
1から請求項8のいずれか1項に記載の蒸着方法。
【請求項10】
前記マスクフレームを前記基板に対向して配置する場合に、前記マスクフレームにおける第1位置と、前記基板における第2位置との位置合わせをし、
前記位置合わせをした後、前記マスクフレームのうちの前記第1位置と異なる第3位置における重力方向の撓みの大きさを特定し、
前記補正は、前記撓みの大きさに基づいて前記第3位置における重力方向の撓みを補正することを含む
請求項1から請求項
9のいずれか1項に記載の蒸着方法。
【請求項11】
前記蒸着材料は、有機EL材料である
請求項1から請求項
10のいずれか1項に記載の蒸着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に蒸着材料を蒸着する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置が備える有機EL素子は、アノード(陽極)とカソード(陰極)との間に、有機EL材料で構成された発光層が設けられた構成を含む。有機EL材料は、例えば、高分子材料または低分子材料であるが、現在は低分子の有機EL材料を用いることが多い。
【0003】
低分子の有機EL材料を用いた発光層は、通常、蒸着法を用いて基板に形成される。すなわち、有機EL材料に対して熱を加えて蒸発させ、蒸発した有機EL材料を基板上に付着させることにより薄膜を形成する。このような蒸着装置の一つとして、蒸着装置内に基板を立てて配置する縦型蒸着装置が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2)。縦型蒸着装置によれば、大型基板を立てて処理することができるため、占有面積を小さくすることができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-84544号公報
【文献】特開2014-70239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
縦型蒸着装置を用いた場合、基板に合わせて、蒸着マスクも立てて配置する必要がある。このとき、基板の大型化に伴い蒸着マスクも大型になるため、自重による蒸着マスクの撓みが問題となることがある。
【0006】
本発明の課題の一つは、マスクの撓みに起因する蒸着不良を抑えるための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態の蒸着方法は、マスクを用いて基板に蒸着材料を蒸着する蒸着方法であって、前記マスクが設けられるマスクフレームであって、互いに対向する第1辺および第2辺を含むマスクフレームを、重力方向において前記第1辺が前記第2辺よりも高い位置に存在するように前記基板に対向して配置し、前記マスクフレームを配置した後、前記マスクフレームに生じる重力方向の撓みを補正する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る蒸着マスクの正面図である。
【
図2】第1実施形態に係る蒸着装置内の構成を示す正面図である。
【
図3】第1実施形態における補正機構およびその周辺を拡大して示した図である。
【
図4】第1実施形態における補正機構およびその周辺を拡大して示した図である。
【
図5】第2実施形態の蒸着装置内の構成を示す正面図である。
【
図7】第2実施形態の蒸着装置内の構成を示す正面図である。
【
図8】第2実施形態の蒸着マスクと基板との位置合わせの方法の一例を示す図である。
【
図9】第2実施形態の蒸着マスクの撓みの補正の方法の一例を示す図である。
【
図10】第2実施形態の補正機構とマスクフレームとの接続方法の一例を説明する図である。
【
図11】第2実施形態の補正機構とマスクフレームとの接続方法の一例を説明する図である。
【
図12】第2実施形態の有機EL表示装置の断面図である。
【
図14】蒸着マスクを立てて配置したときの外観の一例を示す正面図である。
【
図15】蒸着マスクに撓みが生じていない場合における蒸着マスクの位置合わせの様子を示す平面図である。
【
図16】蒸着マスクに撓みが生じた場合における蒸着マスクの位置合わせの様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図面において、既出の図面に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0010】
本明細書および特許請求の範囲において、「上」および「下」とは、基板における発光素子が形成される側の面(以下、単に「表面」という。)を基準とした相対的な位置関係を指す。例えば、本明細書では、基板の表面から発光素子に向かう方向を「上」といい、その逆の方向を「下」という。また、本明細書および特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0011】
以下の説明において方向を説明する場合、重力方向を「-D1方向」とし、重力方向の反対方向を「+D1方向」とする。また、水平方向における一方向を「-D2方向」とし、-D2方向の反対方向を「+D2方向」とする。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る蒸着マスク10の正面図である。蒸着マスク10は、縦型蒸着装置に用いられる蒸着用のマスクである。有機EL表示装置の発光層を形成するための蒸着材料は、有機EL材料である。蒸着マスク10は、マスクフレーム12と、複数のマスク14とを含む。マスクフレーム12は、複数の開口部を有する枠体である。このため、マスクフレーム12は、マスクフレーム12の内側の空間を複数の開口部に区分するための隔壁を含む。本実施形態では、マスクフレーム12の外縁および複数の開口部は、正面から見て矩形である。複数の開口部の各々は、マスク14に対向する位置に設けられている。マスクフレーム12は、蒸着工程を通じて比較的温度変化の大きい環境に置かれるため、熱膨張係数の小さい材料で構成されることが好ましい。
【0013】
蒸着マスク10は、蒸着の際には立てて配置される。このときのマスクフレーム12の上辺が第1辺122であり、下辺が第2辺124である。第1辺122と第2辺124とは互いに対向する。第1辺122は、第2辺124よりも高い位置、すなわち+D1方向に存在する。撓みがない状態では、第1辺122および第2辺124は水平方向に延びる。第1辺122の-D2方向側の一端は隅部122A、+D2方向側の一端は隅部122Bである。第2辺124の-D2方向側の一端は隅部124A、+D2方向側の一端は隅部124Bである。マスクフレーム12の隔壁のうち、第1辺122と第2辺124とに交差する隔壁を、隔壁126とする。マスクフレーム12の第1辺122の中心および第2辺124の中心を通過する軸を、軸Cとする。軸Cは、隔壁126の位置を通過する。
図1に示すように、本実施形態では、マスクフレーム12を正面からみたとき線対称な図形であり、軸Cはこの図形の対称軸の位置に存在する。
【0014】
複数のマスク14は、マスクフレーム12に設けられる。マスク14は、電鋳で形成された金属膜で構成される電鋳マスクである。マスク14は、溶接によりマスクフレーム12に対して固定されている。マスク14は、それぞれ1枚の有機EL表示装置に対応していてもよいし、小型の有機EL表示装置の製造に用いられる場合は、マスク14がそれぞれ複数の有機EL表示装置に対応していてもよい。
図1では省略しているが、マスク14は、金属膜に複数の開口部(図示略)を設けた構成である。具体的には、マスク14は、有機EL表示装置の各画素の位置に対応して配置された複数の開口部を有する。
【0015】
図14は、蒸着マスク10を立てて配置したときの外観の一例を示す正面図である。
図14に示すように、蒸着マスク10は、自重により-D1方向に撓んでいる。その結果、第1辺122は、隅部122A,122Bに比べて中央付近が-D1方向に湾曲している。また、第2辺124は、隅部124A,124Bに比べて中央付近が-D1方向に湾曲している。例えばマスクフレーム12が左右対称の構成である場合、隔壁126の存在する位置において撓みが最大となる。
【0016】
図15は、蒸着マスク10に撓みが生じていない場合における蒸着マスクの位置合わせの様子を示す平面図である。ここでは、実際に有機EL材料を蒸着するためにマスク14に設けられた開口部を模式的に示した拡大図として示している。
図15には、赤色に発光する発光領域20Ra、緑色に発光する発光領域20Gaおよび青色に発光する発光領域20Baが示されている。ここで、「発光領域」とは、画素のうち実際に発光する領域を指す。具体的には、後述する画素電極の上面のうち、バンクの内側に位置する領域を指す。
【0017】
また、
図15に示す例では、マスク14を構成する金属膜142に設けられた複数の開口部144が、発光領域20Raに対して位置合わせされている。したがって、
図14に示される状態で赤色に発光する有機EL材料の蒸着を行えば、発光領域20Raに対して赤色に発光する発光層が形成される。
【0018】
図16は、マスク14に撓みが生じた場合における蒸着マスクの位置合わせの様子を示す正面図である。この場合、自重によるマスク14の撓みによって開口部144の位置が-D1方向にずれてしまい、発光領域20Raと開口部144の位置が合わなくなってしまっている。その結果、
図16では、赤色に発光する発光層が、発光領域20Raと発光領域20Gaに跨って形成されてしまう場合がある。このような発光層の形成不良は、画素の混色の発生、又は、製造プロセスの歩留まりの低下の原因となる。以下に説明する蒸着装置1は、かかる課題を解決するための構成を有している。
【0019】
図2は、第1実施形態に係る蒸着装置1内の構成を示す正面図である。蒸着装置1は、有機ELデバイス製造のための薄膜を真空の環境下で蒸着する有機ELデバイス製造装置である。蒸着装置1は、蒸着マスク10と、ベースフレーム20と、補正機構30と、制御機構40とを含む。蒸着の際には、蒸着マスク10は、ベースフレーム20に対向して配置される。マスクフレーム12は、例えば、隅部122A,122B,124A,124Bの四点でベースフレーム20にピンを用いて固定される。蒸着の際には、蒸着材料が蒸着される基板60が、蒸着マスク10に対向するように配置される。ベースフレーム20は、剛性の高い材料で形成されている。ベースフレーム20は、少なくともマスクフレーム12よりも剛性が高く、マスクフレーム12よりも変形しにくい。基板60は、代表的には、ガラス基板、又はガラス基板を支持基板としてその表面に樹脂基板層が形成された構成である。基板60は、開口部144を有し、当該開口部144に電鋳にて形成されたマスク14が設けられた蒸着マスク10に比べて、立てて配置された際、蒸着マスク10よりも重力方向に変形しにくい。補正機構30は、マスクフレーム12に生じる重力方向の撓みを補正するための機構である。マスクフレーム12の撓みは、マスクフレーム12の自重によって生じるマスクフレーム12の変形をいう。補正機構30は、マスクフレーム12の所定の位置に力を与えることにより、撓みを補正する。撓みの補正は、マスクフレーム12のうちの撓みが生じる位置に、撓みを減じる方向である+D1方向の力を与えることを含む。本実施形態では、補正機構30は、マスクフレーム12の第2辺124上の位置のうち、軸Cが通過する位置に力を与える。補正機構30は、本実施形態では一つであるが、複数存在してもよい。制御機構40は、補正機構30の駆動を制御する。
【0020】
図3は、補正機構30およびその周辺を拡大して示した図である。補正機構30は、第1移動部材32と、縮小機構34と、第2移動部材36とを含む。補正機構30は、ベースフレーム20に対して固定されている。第1移動部材32は、制御機構40の制御により与えられた外力に応じて、+D2方向または-D2方向に移動する。第1移動部材32は、マイクロメータヘッドであってもよい。第2移動部材36は、マスクフレーム12と接触する位置に設けられている。本実施形態では、第2移動部材36は、第2辺124のうち軸C上の位置と接触する。縮小機構34は、第1移動部材32が第1変位量で移動した場合に、第1変位量よりも小さい第2変位量で第2移動部材36を移動させる。
【0021】
縮小機構34は、第1部材342および第2部材344を含む。第1部材342は、上面に傾斜面342Aを有する。第2部材344は、下面に傾斜面344Aを有する。第1部材342の傾斜面342Aと第2部材344の傾斜面344Aとは、互いに接触する。第2部材344は、第1移動部材32が移動したことに応じて、第1部材342の傾斜面342Aに沿って移動する。第2移動部材36は、第2部材344が移動したことに応じて移動する。傾斜面342Aおよび傾斜面344Aの勾配に応じて、第1移動部材32の+D2方向または-D2方向における変位量と、第2移動部材36の+D1方向または-D1方向における変位量との関係が定まる。
【0022】
図4に示すように、第1移動部材32が+D2方向に距離L1だけ移動した場合、第2移動部材36は、+D1方向に距離L2(ただし、L2<L1)だけ移動する。これにより、第2移動部材36は、マスクフレーム12を+D1方向に押し上げる力を与える。すなわち、第2移動部材36は、マスクフレーム12の撓みを減じる。逆に、第1移動部材32が-D2方向に距離L1だけ移動した場合には、第2移動部材36は、-D1方向に距離L2だけ移動する。これにより、第2移動部材36に支持されたマスクフレーム12は、-D1方向に距離L2だけ下がる。
【0023】
縮小機構34を用いる理由は、マスクフレーム12に生じる微小な撓みを精度良く補正するためである。例えば、第1移動部材32の移動量は1/50に縮小されて、第2移動部材36に伝達する。これにより、第2移動部材36の変位をより細かく制御することが可能となる。また、補正機構30が第2辺124のうちの隔壁126と交差する位置に力を与える理由は、マスクフレーム12に力を与えたときにマスクフレーム12が撓んでしまうのを抑制しつつ、これを+D1方向に持ち上げるためである。
【0024】
また、傾斜面342Aおよび傾斜面344Aは、互いに接触する摺動面である。傾斜面342Aおよび傾斜面344Aには、オイルなどの潤滑材は塗布されていない。その理由は、補正機構30が真空の環境下で用いられるためである。この場合でも、第1部材342に対する第2部材362の移動が円滑となるように、傾斜面342Aおよび344Aの少なくとも一部には、摩擦係数を減じさせる材料を用いたコーティングがされていることが望ましい。また、傾斜面342Aおよび344Aの摺動により、ダストが発生しないような材料のコーティングがさらに望ましい。コーティングの材料は、二硫化モリブデン、テフロン(登録商標)、ダイヤモンドライクカーボン、またはこれら以外の材料である。
【0025】
制御機構40は、蒸着の前に、マスクフレーム12の-D1方向の撓みの大きさを特定し、その撓みの大きさに基づいて、マスクフレーム12を+D1方向に持ち上げるように、補正機構30の駆動を制御する。撓みの大きさの特定の方法は特に問わないが、例えばアライメントカメラを用いて、基板におけるあらかじめ決められた位置と、マスクフレーム12におけるあらかじめ決められた位置との-D1方向における距離(すなわち、位置ずれ量)を、撓みの大きさとして特定する方法がある。
【0026】
以上説明した第1実施形態によれば、蒸着装置1が補正機構30を有しない場合に比べて、マスクフレーム12の自重による撓みが減じられる。その結果、蒸着装置1において、蒸着マスクの撓みに起因する蒸着不良を抑えることができる。
【0027】
[第2実施形態]
第2実施形態は、有機EL表示装置の製造方法を説明する。
図5、および
図7~
図9は、蒸着装置1内の構成を示す正面図である。まず、
図5に示すように、ベースフレーム20に対向するように基板60を配置する。基板60は、ベースフレーム20に対して固定されてもよいし、別に設けられた基板保持部(図示略)により基板60が保持されてもよい。基板60は、発光層を形成するために有機EL材料が蒸着される基板である。基板60は、前工程の処理により、例えば
図6に示す構成を有する。
【0028】
図6は、基板60の断面図である。支持基板602の上には、下地膜604を介して薄膜トランジスタ606が設けられている。支持基板602は、例えばガラス基板であるが、アクリル、ポリイミド、その他の樹脂材料で構成された基板でもよい。下地膜604は、例えば、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜などの無機絶縁膜である。
【0029】
薄膜トランジスタ606は、いわゆるトップゲート型の薄膜トランジスタである。しかし、これに限らず、どのようなタイプの薄膜トランジスタでもよい。薄膜トランジスタ606は、有機EL素子640に対して電流を供給する駆動用トランジスタとして機能する。また、本実施形態では、薄膜トランジスタ606として、Nチャネル型トランジスタを用いる。なお、薄膜トランジスタ606の構造は、公知の構造であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0030】
薄膜トランジスタ606には、保持容量608が電気的に接続される。保持容量608は、薄膜トランジスタ606を構成する2つの導電膜とその間に設けられた絶縁膜とを利用して構成することができる。例えば、本実施形態の保持容量608は、薄膜トランジスタ606の活性層を構成する半導体層、ゲート絶縁膜、および容量電極(ゲート電極と同時に形成される電極)を用いて形成することができる。ただし、保持容量608の構造は、これに限られない。
【0031】
薄膜トランジスタ606は、有機絶縁膜620で覆われている。有機絶縁膜620は、薄膜トランジスタ606の形状に起因する起伏を平坦化する平坦化膜として機能する。有機絶縁膜620は、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの樹脂材料を含む絶縁膜である。
【0032】
有機絶縁膜620には、開口部610が設けられる。開口部610は、酸化物導電膜612で覆われる。酸化物導電膜612は、例えば、ITO(Indium Tin Oixde)、IZO(Indium Zinc Oixde)等の金属酸化物材料で構成される薄膜をパターン化した構成である。酸化物導電膜612は、開口部610によって露出した薄膜トランジスタ606の一部(具体的には、ソース電極)に電気的に接続されている。
【0033】
有機絶縁膜620の上面には、酸化物導電膜612と同時に形成された酸化物導電膜を用いて保持容量628の下部電極614が形成されている。下部電極614は、有機EL素子の下方に設けられる。後述するように、本実施形態の有機EL素子640は、上方に向かって光を出射する構成であるため、有機EL素子の下方の空間を利用して保持容量628を形成することが可能である。
【0034】
酸化物導電膜612および下部電極614の上には、無機絶縁膜616が設けられている。無機絶縁膜616は、例えば窒化シリコン膜であるが、これに限らず、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などの他の無機絶縁膜でもよい。無機絶縁膜616には、有機絶縁膜620を露出させる開口部622が設けられている。開口部622は、水抜き領域624として機能する。水抜き領域624は、有機絶縁膜620を形成した後の加熱工程により有機絶縁膜620から発生した水分等を外部に逃がす役割を果たす。
【0035】
無機絶縁膜616の上には、画素電極626が設けられる。画素電極626は、無機絶縁膜616に設けられた開口部618を介して酸化物導電膜612に接続される。すなわち、画素電極626は、酸化物導電膜612を介して薄膜トランジスタ606に接続される。また、画素電極626は、保持容量628の上部電極としても機能するとともに、有機EL素子の陽極(アノード電極)としても機能する。
【0036】
画素電極626は、例えば、酸化物導電膜で銀を含む層を挟んだ積層構造の導電膜を用いる。具体的には、画素電極626は、IZO層、銀層およびIZO層で構成される。ただし、IZO層に代えてITO層を用いることも可能である。有機EL素子から発した光が上方に出射するように構成するためには、画素電極626は、反射性を有する導電膜を含むことが望ましい。そのため、本実施形態では、画素電極626の一部に、反射率の高い銀又は銀合金を含む金属材料で構成された層を用いている。また、本実施形態では、保持容量628の誘電体として用いられる無機絶縁膜616には、窒化シリコン膜が用いられている。窒化シリコン膜は酸化シリコン膜等に比べて誘電率が大きいため、大きな容量を確保しやすいという利点を有する。さらに、有機EL素子の下方の空間を有効活用して配置することができるため、保持容量628の占有面積を大きく確保しやすい。
【0037】
画素電極626は、その一部が、有機材料で構成されるバンク632に覆われている。具体的には、バンク632は、画素電極626の端部を覆うと共に、画素電極626の上面の一部を露出させる開口部634を有している。このようにして露出した画素電極626の上面の一部(すなわち、画素電極626の上面のうち、バンク632の開口部634の内側に位置する領域)が、画素20aの実質的な発光領域となる。つまり、バンク632は、画素20aの発光領域を規定する。バンク632を構成する有機材料は、例えば、感光性アクリル樹脂又はポリイミド樹脂等の樹脂材料であるが、これに限られない。
【0038】
画素電極626の上面のうちバンク632に重畳しない領域(すなわち、開口部634の内側の領域)には、発光層(後述する発光層636)が形成される。本実施形態では、発光層の形成に、蒸着装置1を用いた蒸着方法を用い、画素ごとに分けて形成する。発光層は、例えば赤色、青色、緑色のいずれかに発光する有機EL材料を用いることができる。なお、発光層以外の電子輸送層又は正孔輸送層などの機能層については、複数の画素に対して共通に設けてもよい。本実施形態において使用し得る発光層については特に制限はなく、公知の材料を用いることが可能である。基板60の構成の説明は以上である。
【0039】
次に、
図7に示すように、マスクフレーム12(換言すると、蒸着マスク10)を基板60に対向して配置する。マスクフレーム12を基板60に対向して配置する場合に、基板60におけるあらかじめ決められた第1位置と、マスクフレーム12におけるあらかじめ決められた第2位置との位置合わせをする。
図8は、マスクフレーム12と基板60との位置合わせの方法の一例を示す図である。この例では、マスクフレーム12の隅部122A,122B,124A,124Bの近傍のあらかじめ決められた各位置(第1位置)には、それぞれアライメントマーク128A,128B,128C,128Dが設けられている。隅部122A,122B,124A,124Bの近傍にアライメントマークが設けられる理由は、マスクフレーム12のうちの撓みが比較的小さい位置で、位置合わせを行うためである。
【0040】
基板60の上面のあらかじめ決められた各位置(第2位置)には、アライメントマーク64A,64B,64C,64Dが設けられている。4つのアライメントカメラが、隅部122A,122B,124A,124Bのそれぞれの近傍を撮像するように設けられている。アライメントカメラ100Aは、アライメントマーク128Aおよびアライメントマーク64Aを撮像する。アライメントカメラ100Bは、アライメントマーク128Bおよびアライメントマーク64Bを撮像する。アライメントカメラ100Cは、アライメントマーク128Cおよびアライメントマーク64Cを撮像する。アライメントカメラ100Dは、アライメントマーク128Dおよびアライメントマーク64Dを撮像する。これらの撮像結果に基づいて、蒸着マスク10よりも-D1方向に設けられた位置合わせ機構70A,70Bは、蒸着マスク10の+D1方向または-D1方向の位置および傾斜を制御する。また、蒸着マスク10の+D2方向側に位置する位置合わせ機構80は、蒸着マスク10の+D2方向または-D2方向における位置を調整する。位置合わせの方法はこれに限られず、他の方法が用いられてもよい。また、アライメント位置は、3つ以下または5つ以上であってもよい。
【0041】
次に、
図9に示すように、マスクフレーム12の撓みを補正する。この例では、上述した第1実施形態で説明した補正機構30に加え、補正機構30A,30B,30Cが設けられている。補正機構30A,30B,30Cは、それぞれマスクフレーム12よりも+D1方向側に設けられている。補正機構30A,30B,30Cは、マスクフレーム12の撓みが生じる位置に力を与えることにより、この撓みを補正する。補正機構30Bは、マスクフレーム12の第1辺122上の位置うち、軸C上の位置に力を与える。補正機構30Bは、第1辺122と隔壁126とが交差する位置において、マスクフレーム12に力を与える。補正機構30A,30Cは、マスクフレーム12の第1辺122のうち、軸Cを挟んだ両側の位置に力を与えることにより、撓みを補正する。例えば、補正機構30A,30B,30Cは、マスクフレーム12の水平方向における寸法の1/4の距離ずつ離れた位置に配置されてもよい。補正機構30A,30B,30Cは、ベースフレーム20に対して固定されていてもよい。マスクフレーム12を+D1方向側から引っ張る場合には、-D1方向側から持ち上げる場合に比べて、補正機構の配置位置の自由度は高い。
【0042】
補正機構30A,30B,30Cは、マスクフレーム12に対して+D1方向の力を与える点で補正機構30と共通するが、補正機構30A,30B,30Cを上方に引き上げる方向の力を与える点で異なる。すなわち、マスクフレーム12を+D1方向に引き上げる場合は、補正機構30A,30B,30Cの各々の第1移動部材32を、-D2方向に移動させる。マスクフレーム12を-D1方向に引き下げる場合は、補正機構30A,30B,30Cの各々の第1移動部材32を、+D2方向に移動させる。
【0043】
図10は、補正機構30A,30B,30Cの各々とマスクフレーム12との接続方法の一例を説明する図である。
図10の例では、マスクフレーム12の上端面に凹部127Aが形成されている。凹部127Aは、-D2方向に延びる部分を有しており、ここではL字形状である。凹部127Aは、マスクフレーム12の厚み方向、すなわち+D1方向および+D2方向に交差する方向に、マスクフレーム12の一端から他端にわたって設けられている。補正機構30A,30B,30Cは、補正機構30の構成に加えて、凹部127Aに挿入される挿入部38Aを有している。挿入部38Aは、第2移動部材36に設けられ、凹部127Aに引っ掛けることが可能な形状である。挿入部38Aは、凹部127Aと同様に-D2方向に延びる部分を有しており、ここではL字形状である。挿入部38Aは、凹部127Aに対応した形状および寸法である。挿入部38Aが凹部127Aに挿入されることによって、補正機構30A,30B,30Cに対してマスクフレーム12が固定される。マスクフレーム12を配置する場合、凹部127Aの一端側の開口から挿入部38Aが挿入されることにより、マスクフレーム12が補正機構30A,30B,30Cの各々と接続される。なお、挿入部38Aは、第2移動部材36と一体成形されてもよい。
【0044】
図11は、補正機構30A,30B,30Cの各々とマスクフレーム12との接続方法の他の例を説明する図である。
図11の例では、マスクフレーム12には表裏に貫通する孔127Bが形成されている。孔127Bは、ここでは円柱形状であるが、これ以外の形状でもよい。補正機構30A,30B,30Cは、孔127Bに挿入される挿入部38Bを有している。挿入部38Aは、孔127Bに挿入可能であるとともに、孔127Bに引っ掛けることが可能な形状であるマスクフレーム12を配置する場合、孔127Bの一端側の開口から挿入部38Bが挿入されることによって、マスクフレーム12が補正機構30A,30B,30Cの各々と接続される。なお。挿入部38Bは、上述した第2移動部材36と一体成形されてもよい。
図10および
図11で説明した補正機構30A,30B,30Cの各々とマスクフレーム12との接続の方法は一例に過ぎず、他の接続の方法が用いられてもよい。
【0045】
蒸着マスク10の撓みの補正方法を説明する。
図9に示すように、マスクフレーム12のうちの補正機構30の近傍のあらかじめ決められた位置(第3位置)には、アライメントマーク129が設けられている。基板60の上面のあらかじめ決められた位置(第4位置)には、アライメントマーク66が設けられている。マスクフレーム12のうちの補正機構30A,30B,30Cのそれぞれの近傍のあらかじめ決められた位置(第3位置)には、アライメントマーク129A,129B,129Dが設けられている。基板60の上面のあらかじめ決められた位置には、アライメントマーク66A,66B,66C(第4位置)が設けられている。アライメントマーク129,129A,129B,129Dは、少なくとも、アライメントマーク128A,128B,128C,128Dとは異なる位置に設けられる。このため、アライメントマーク129,129A,129B,129Dは、マスクフレーム12において自重による撓みが生じ得る位置に設けられる。アライメントカメラ200は、アライメントマーク129,129A,129B,129Cが形成された位置を少なくとも撮像する。ここでは、アライメントカメラ200は、図示せぬ移動機構により移動させられて蒸着マスク10の全体を撮像するが、アライメント位置の各々に対応してアライメントカメラが設けられてもよい。これらの撮像結果に基づいて、制御機構40は、各アライメント位置での撓みの大きさを特定して、その撓みの大きさに基づいて補正機構30,30A,30B,30Cの駆動を制御する。マスクフレーム12の各位置における撓みの大きさは、アライメントマーク129とアライメントマーク66との距離、アライメントマーク129Aとアライメントマーク66Aとの距離、アライメントマーク129Bとアライメントマーク66Bとの距離、アライメントマーク129Cとアライメントマーク66Cとの距離に基づいて特定される。制御機構40は、アライメントマーク129,129A,129B,129Dの各位置における撓みを減じるように、補正機構30,30A,30B,30Cの各々の駆動を制御する。この補正の後、蒸着装置1は、図示せぬ蒸着源を用いて蒸着材料である有機EL材料を、基板60に蒸着する。
【0046】
有機EL材料が蒸着されて発光層が形成され、さらに後工程の処理を経ると、有機EL表示装置300は完成する。
図12は、有機EL表示装置300の断面図である。
図12に示すように、発光層636の上には、1族元素または2族元素を含む導電膜で構成される共通電極638が設けられる。このような導電膜としては、例えばマグネシウム(Mg)膜、リチウム(Li)膜などを用いることができる。共通電極638は、有機EL素子640の陰極(カソード電極)として機能する。また、共通電極638は、複数の画素にわたって設けられる。
【0047】
発光層636からの出射光を上面側、つまり共通電極638側に取り出すトップエミッション型の表示装置とする場合、共通電極638には光に対する透過性が要求される。共通電極638として前述の1族元素または2族元素を含む導電膜を用いる場合、光に対する透過性を付与するために、共通電極638の膜厚を出射光が透過する程度に薄くする。上述の画素電極626、発光層636および共通電極638によって有機EL素子640が構成される。
【0048】
共通電極638の上(つまり、有機EL素子640の上)には、封止膜642が設けられる。本実施形態の封止膜642は、下方から順に、無機材料で構成される第1封止膜642A、有機材料で構成される第2封止膜642Bおよび無機材料で構成される第3封止膜642Cの三層で構成されている。これらの封止膜は、外部からの水分等の侵入を防ぎ、発光層636および共通電極638の劣化を防ぐ役割を果たす。第1封止膜642Aおよび第3封止膜642Cは、例えば、窒化シリコン膜であるが、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜であってもよい。つまり、第1封止膜642Aは、無機絶縁膜を用いることができる。無機絶縁膜としては、特にシリコン窒化物を含む絶縁膜を用いることが好ましい。第2封止膜642Bは、例えば、樹脂材料で構成された有機絶縁膜である。
【0049】
以上説明した第2実施形態によれば、マスクフレーム12の自重による撓みを補正して有機EL表示装置300の発光層360を形成することができる。
【0050】
[その他の実施形態]
補正機構30は、上述した構成に限られず、例えば
図13に示す構成であってもよい。この場合の補正機構30は、第1移動部材302、回転カム304、および第2移動部材306を備える。第1移動部材302は、外力に応じて移動する。第2移動部材306は、マスクフレーム12と接触する位置に設けられる。回転カム304は、第1移動部材302の直線運動を矢印A方向の回転運動に変換して、第2移動部材306に伝達する。これにより、回転カム304は、第1移動部材302が第1変位量で移動した場合に、第1変位量よりも小さい第2変位量で第2移動部材306を移動させる。また、回転カム304における摺動面においては潤滑剤が用いられず、摩擦係数を減じるコーティングがされていることが望ましい。
【0051】
補正機構30は、マスクフレーム12の撓みを補正することができるのであれば、縮小機構を有しなくてもよい。
【0052】
上述した実施形態で説明した補正機構の数、補正機構の位置、アライメント位置およびアライント位置の数は一例に過ぎず、マスクフレーム12の撓みを補正することができる限り様々な変形が可能である。
【0053】
また、本発明に係る蒸着方法は、有機EL材料以外の蒸着材料を基板に蒸着する縦型蒸着装置に適用することができる。
【0054】
上述した実施形態の蒸着マスクを基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0055】
また、上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0056】
1:蒸着装置、10:蒸着マスク、12:マスクフレーム、14:マスク、20:ベースフレーム、20a:画素、20Ba:発光領域、20Ga:発光領域、20Ra:発光領域、30,30A,30B,30C:補正機構、32:第1移動部材、34:縮小機構、36:第2移動部材、38A:挿入部、38B:挿入部、40:制御機構、60:基板、64A,64B,64C,64D,66,66A,66B,66C,66D,129A,129B,129C,129D:アライメントマーク、70A,70B,80:位置合わせ機構、100A,100B,100C,100D:アライメントカメラ,122:第1辺、122A、122B,124A,124B:隅部、124:第2辺、126:隔壁、127A:凹部、127B:孔、142:金属膜、144:開口部、200:アライメントカメラ、300:有機EL表示装置、302:第1移動部材、304:回転カム、306:第2移動部材、342:第1部材、342A:傾斜面、344:第2部材、344A:傾斜面、360:発光層、362:第2部材