(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】静電誘導型変換器、静電誘導型変換器の製造方法
(51)【国際特許分類】
H02N 1/08 20060101AFI20220523BHJP
【FI】
H02N1/08
(21)【出願番号】P 2018206824
(22)【出願日】2018-11-01
【審査請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 俊成
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 真
(72)【発明者】
【氏名】北嶋 泰夫
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-186424(JP,A)
【文献】特表2017-538393(JP,A)
【文献】特開2009-94918(JP,A)
【文献】特開平8-50917(JP,A)
【文献】特開2018-157658(JP,A)
【文献】特開2018-157663(JP,A)
【文献】国際公開第2018/174077(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 1/08
H02N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電基板と、前記導電基板の第1の面に設けられると共に電荷を帯びた第1のエレクトレット膜と、前記導電基板の第2の面に設けられると共に電荷を帯びた第2のエレクトレット膜と、を有するエレクトレット基板と、
前記導電基板に導通されるように前記エレクトレット基板に取り付けられると共に、前記エレクトレット基板の面内方向の運動を許容するように支持される、導電性の被支持部材と、
前記第1のエレクトレット膜に対向して配置される第1の対向電極と、
前記第2のエレクトレット膜に対向して配置される第2の対向電極と、
を含み、
前記導電基板は、その縁部に前記第1の面側に突出するカエリを有し、
前記被支持部材は、前記導電基板に対して垂直な方向における、前記第1の面側の突出量よりも、前記第2の面側における突出量が大きくなるように設けられている、
静電誘導型変換器。
【請求項2】
前記エレクトレット基板は、円板状であって、周方向に互いに間隔を空けて並ぶ複数の貫通孔を有し、該複数の貫通孔間に前記第1のエレクトレット膜及び前記第2のエレクトレット膜が設けられており、
前記第1の面側に突出するカエリを有する縁部は、前記貫通孔の縁部を含む、
請求項1に記載の静電誘導型変換器。
【請求項3】
前記第1の対向電極及び前記第2の対向電極は、円板状であって、周方向に互いに間隔を空けて並ぶ複数の貫通孔を有する、
請求項1又は2に記載の静電誘導型変換器。
【請求項4】
前記第1のエレクトレット膜に対向して配置される円板状の第1の対向基板と、
前記第2のエレクトレット膜に対向して配置される円板状の第2の対向基板と、
を含み、
前記第1の対向電極は、前記第1の対向基板に周方向に互いに間隔を空けて並ぶように複数設けられており、
前記第2の対向電極は、前記第2の対向基板に周方向に互いに間隔を空けて並ぶように複数設けられている、
請求項1又は2に記載の静電誘導型変換器。
【請求項5】
前記第1の対向基板と前記第2の対向基板のうち少なくとも一方は、透明基板であり、
前記第1の対向電極と前記第2の対向電極のうち少なくとも前記透明基板に設けられる対向電極は、透明電極である、
請求項4に記載の静電誘導型変換器。
【請求項6】
前記第1の対向電極と前記第2の対向電極とは、平面視において互いに少なくとも一部が重なると共に、前記エレクトレット基板の運動方向についての位相が互いに異なるように配置される、
請求項1~5のいずれか項に記載の静電誘導型変換器。
【請求項7】
前記被支持部材は、前記エレクトレット基板の回転軸であり、
前記導電基板は、前記回転軸が挿通される軸孔を有し、
前記第1の面側に突出するカエリを有する縁部は、前記軸孔の縁部を含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の静電誘導型変換器。
【請求項8】
前記第2の面側に、前記回転軸を駆動させる駆動機構が設けられる、
請求項7に記載の静電誘導型変換器。
【請求項9】
前記被支持部材は、前記エレクトレット基板の並進運動を許容するように前記エレクトレット基板に取り付けられており、
前記エレクトレット基板は、前記並進運動の方向に互いに間隔を空けて並ぶ複数の貫通孔を有し、該複数の貫通孔間に前記第1のエレクトレット膜及び前記第2のエレクトレット膜が設けられており、
前記第1の面側に突出するカエリを有する縁部は、前記貫通孔の縁部を含む、
請求項1に記載の静電誘導型変換器。
【請求項10】
導電基板を用意する工程と、
前記導電基板の第1の面及び第2の面にエレクトレット材料膜を設ける工程と、
前記第2の面側から、打ち抜き加工により、前記導電基板の縁部を形成する工程と、
前記導電基板の面内方向の運動を許容すると共に、前記導電基板に導通されるように前記導電基板に導電性の被支持部材を取り付ける工程と、
前記導電基板を接地すると共に、帯電処理により前記エレクトレット材料膜に電荷を与える工程と、
を含み、
前記導電基板に前記被支持部材を取り付ける工程において、前記被支持部材を、前記導電基板に対して垂直な方向における、前記第1の面側の突出量よりも、前記第2の面側における突出量が大きくなるように取り付ける、
静電誘導型変換器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電誘導型変換器、及び静電誘導型変換器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転する第2基板の両面にそれぞれ第1エレクトレット膜及び第2エレクトレット膜を設け、第2基板の回転に伴い、第1エレクトレット膜に対向して配置された第1の対向電極と、第2エレクトレット膜に対向して配置された第2の対向電極に誘導される電荷を、整流回路を介して取り出す静電誘導型発電機が記載されている。また、エレクトレット膜が両面に形成される基板は、その面内方向の運動が許容され、その法線方向の運動は拘束されるように設けられている。静電誘導型変換器の作動効率の向上や長寿命化のため、当該基板の法線方向に作用する力は小さい方が望ましいが、当該力は、同基板のそれぞれの面に形成されたエレクトレット膜の電荷に依存する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、エレクトレット膜が両面に形成される基板は、抜き打ち加工により所望の形状に加工される。抜き打ち加工により形成される縁部には、抜き打ち方向に突出するカエリが発生することとなる。コロナ放電加工により帯電処理を行う場合、基板のうちカエリが突出する側の面において電気力線がカエリに集中し、カエリが突出する側の面上に設けられるエレクトレット膜に付与される電荷の量が減少してしまう。そのため、基板において、カエリが突出する側の面と、その反対側の面とで、エレクトレット膜に付与される電荷の量が異なることとなってしまう。一の面と他の面とで電荷の量が異なることとなると、基板の動作に抵抗が生じることとなり、エネルギー変換効率が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、エネルギー変換効率の低下を抑制する静電誘導型変換器、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく本出願において開示される発明は種々の側面を有しており、それら側面の代表的なものの概要は以下の通りである。
【0007】
(1)導電基板と、前記導電基板の第1の面に設けられると共に電荷を帯びた第1のエレクトレット膜と、前記導電基板の第2の面に設けられると共に電荷を帯びた第2のエレクトレット膜と、を有するエレクトレット基板と、前記導電基板に導通されるように前記エレクトレット基板に取り付けられると共に、前記エレクトレット基板の面内方向の運動を許容するように支持される、導電性の被支持部材と、前記第1のエレクトレット膜に対向して配置される第1の対向電極と、前記第2のエレクトレット膜に対向して配置される第2の対向電極と、を含み、前記導電基板は、その縁部に前記第1の面側に突出するカエリを有し、前記被支持部材は、前記導電基板に対して垂直な方向における、前記第1の面側の突出量よりも、前記第2の面側における突出量が大きくなるように設けられている、静電誘導型変換器。
【0008】
(2)(1)において、前記エレクトレット基板は、円板状であって、周方向に互いに間隔を空けて並ぶ複数の貫通孔を有し、該複数の貫通孔間に前記第1のエレクトレット膜及び前記第2のエレクトレット膜が設けられており、前記第1の面側に突出するカエリを有する縁部は、前記貫通孔の縁部を含む、静電誘導型変換器。
【0009】
(3)(1)又は(2)において、前記第1の対向電極及び前記第2の対向電極は、円板状であって、周方向に互いに間隔を空けて並ぶ複数の貫通孔を有する、静電誘導型変換器。
【0010】
(4)(1)又は(2)において、前記第1のエレクトレット膜に対向して配置される円板状の第1の対向基板と、前記第2のエレクトレット膜に対向して配置される円板状の第2の対向基板と、を含み、前記第1の対向電極は、前記第1の対向基板に周方向に互いに間隔を空けて並ぶように複数設けられており、前記第2の対向電極は、前記第2の対向基板に周方向に互いに間隔を空けて並ぶように複数設けられている、静電誘導型変換器。
【0011】
(5)(4)において、前記第1の対向基板と前記第2の対向基板のうち少なくとも一方は、透明基板であり、前記第1の対向電極と前記第2の対向電極のうち少なくとも前記透明基板に設けられる対向電極は、透明電極である、静電誘導型変換器。
【0012】
(6)(1)~(5)において、前記第1の対向電極と前記第2の対向電極とは、平面視において互いに少なくとも一部が重なると共に、前記エレクトレット基板の運動方向についての位相が互いに異なるように配置される、静電誘導型変換器。
【0013】
(7)(1)~(6)において前記被支持部材は、前記エレクトレット基板の回転軸であり、前記導電基板は、前記回転軸が挿通される軸孔を有し、前記第1の面側に突出するカエリを有する縁部は、前記軸孔の縁部を含む、静電誘導型変換器。
【0014】
(8)(7)において、前記第2の面側に、前記回転軸を駆動させる駆動機構が設けられる、静電誘導型変換器。
【0015】
(9)(1)において、前記被支持部材は、前記エレクトレット基板の並進運動を許容するように前記エレクトレット基板に取り付けられており、前記エレクトレット基板は、前記並進運動の方向に互いに間隔を空けて並ぶ複数の貫通孔を有し、該複数の貫通孔間に前記第1のエレクトレット膜及び前記第2のエレクトレット膜が設けられており、前記第1の面側に突出するカエリを有する縁部は、前記貫通孔の縁部を含む、静電誘導型変換器。
【0016】
(10)導電基板を用意する工程と、前記導電基板の第1の面及び第2の面にエレクトレット材料膜を設ける工程と、前記第2の面側から、打ち抜き加工により、前記導電基板の縁部を形成する工程と、前記導電基板の面内方向の運動を許容すると共に、前記導電基板に導通されるように前記導電基板に導電性の被支持部材を取り付ける工程と、前記導電基板を接地すると共に、帯電処理により前記エレクトレット材料膜に電荷を与える工程と、を含み、前記導電基板に前記被支持部材を取り付ける工程において、前記被支持部材を、前記導電基板に対して垂直な方向における、前記第1の面側の突出量よりも、前記第2の面側における突出量が大きくなるように取り付ける、静電誘導型変換器の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
上記本発明の(1)~(10)の側面によれば、エネルギー変換効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る静電誘導型変換器の概略斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る静電誘導型変換器が備えるエレクトレット基板及び回転軸の概略端面図である。
【
図3】静電誘導型変換器が発電機として用いられる際の作動原理を説明する概略回路図である。
【
図4】静電誘導型変換器が電動機として用いられる際の作動原理を説明する概略回路図である。
【
図5】エレクトレット基板の製造工程を説明する図である。
【
図6】エレクトレット材料膜が両面に設けられた導電基板に、
図5(b)に示す打ち抜き加工を施した直後の切断端面の様子を模式的に示す部分拡大図である。
【
図7】カエリ及び回転軸が帯電処理に与える影響を説明する図である。
【
図9】本実施形態の第1の変形例の導電基板の平面図である。
【
図10】本実施形態の第2の変形例の導電基板の平面図である。
【
図11】
図10のXI-XI切断線で切り取った面の断面図である。
【
図12】本実施形態の第3の変形例における、静電誘導型変換器が発電機として用いられる際の作動原理を説明する概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態(以下、本実施形態という)について図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る静電誘導型変換器の概略斜視図である。
図2は、本実施形態に係る静電誘導型変換器が備えるエレクトレット基板及び回転軸の概略端面図である。
図2においては、エレクトレット基板3の縁部を通る面で切り取った端面を示しており、エレクトレット基板3の外形を二点鎖線で示している。
【0021】
ここで、静電誘導型変換器とは、静電誘導を用いて、運動エネルギーと電気エネルギーとを相互に変換する機器を意味しており、発電機又は電動機を指している。その原理は後述するが、静電誘導型変換器100に外力を作用させ、運動エネルギーを与えるとそのエネルギーを電気エネルギーに変換して取り出すことができ、これはすなわち発電機である。また、静電誘導型変換器100に電気エネルギーを与えると、そのエネルギーを運動エネルギーとして取り出すことができ、これはすなわち、電動機である。
【0022】
図1に示した静電誘導型変換器100は、機械的な回転運動を電気エネルギーに変え、又は電気エネルギーを機械的な回転運動として取り出す静電誘導型変換器の例である。以下、本例の静電誘導型変換器100の基本的な構造を説明する。
【0023】
静電誘導型変換器100は、主要な部品として、円板形状の第1の対向電極1と、円板形状の第2の対向電極2と、第1の対向電極1と第2の対向電極2に所定の間隔を空けて挟まれるように配置されるエレクトレット基板3と、被支持部材としての回転軸4と、を有している。ここで、円板形状とは、その部材が全体としておおむね平坦な円板形状をしていることを指しており、その面内に、
図1に示されるような適宜の貫通孔33dが設けられたり、外周部に切り欠きや凸部その他の加工が施されたりすることは差し支えない。
【0024】
図2に示すように、エレクトレット基板3は、導電基板33と、導電基板33の第1の面33aに設けられる第1のエレクトレット膜31と、導電基板33の第2の面33bに設けられる第2のエレクトレット膜32と、を含む。
【0025】
また、導電基板33は、周方向に互いに間隔を空けて並ぶ、平面形状が略扇形状の複数の貫通孔33dを有する。第1のエレクトレット膜31と、第2のエレクトレット膜32は、導電基板33のうち貫通孔33dが形成されていない領域に設けられている。すなわち、第1のエレクトレット膜31は、周方向に互いに間隔を空けて並ぶように第1の面33aに設けられており、第2のエレクトレット膜32は、周方向に互いに間隔を空けて並ぶように第2の面33bに設けられている。
【0026】
第1の対向電極1は、エレクトレット基板3の第1の面33aに設けられる第1のエレクトレット膜31に対向するように配置される。第2の対向電極2は、エレクトレット基板3の第2の面33bに設けられる第2のエレクトレット膜32に対向するように配置される。第1の対向電極1と第2の対向電極2は、図示されない適宜のハウジングなどに固定されているとよい。
【0027】
また、第1の対向電極1及び第2の対向電極2は、周方向に互いに間隔を空けて並ぶ、平面形状が略扇形状の複数の貫通孔を有する。すなわち、第1の対向電極1及び第2の対向電極2は、電極が設けられる領域と、電極が設けられない領域とが周方向に交互に配置される構成である。ただし、第1の対向電極1及び第2の対向電極2の構成は、これに限られるものではなく、例えば、円板状の第1の対向基板の表面に、周方向に互いに間隔を空けて並ぶように、導電膜である第1の対向電極1が複数設けられており、円板状の第2の対向基板の表面に、周方向に互いに間隔を空けて並ぶように、導電膜である第2の対向電極2が複数設けられる構成であってもよい。また、そのような構成を採用する場合、第1の対向基板、第2の対向基板として透明基板を用いて、その透明基板の表面に、第1の対向電極1、第2の対向電極2である透明導電膜を形成してもよい。それにより、例えば、静電誘導型変換器100を収容するハウジング等に透明領域や貫通孔からなる視認領域を形成することにより静電誘導型変換器100を外部から視認可能な構成とした場合、透明基板及び透明導電膜を介して、ユーザはエレクトレット基板3を視認することができる。例えば、腕時計等に静電誘導型変換器100を組み込んだ場合、ユーザはエレクトレット基板3の形状及び回転動作を視認することで、そのデザインを楽しむことができる。
【0028】
回転軸4は、導電基板33の軸孔33cに挿通されており、導電基板33に導通されるように導電基板33に取り付けられている。また、回転軸4は、エレクトレット基板3の回転運動を許容するように、図示されない適宜のハウジングなどに形成される支持部に、その両端が支持されている。この回転軸4の回転に伴ってエレクトレット基板3が回転するように、回転軸4はエレクトレット基板3に支持されると共に固定されている。エレクトレット基板3は、回転軸4の延伸する方向における動作は制限されている。すなわち、エレクトレット基板3は、回転軸4の延伸する方向において、第1の対向電極1と第2の対向電極2に対する距離は一定に保持されている。
【0029】
図1に示すように、回転軸4にはカナ5が取り付けられており、このカナ5と噛み合う図示しない歯車等を含む駆動機構を介して、静電誘導型変換器100に運動エネルギーを与え、又は静電誘導型変換器100から運動エネルギーを取り出すことができるようになっている。本実施形態では、静電誘導型変換器100は発電機であり、カナ5と噛み合う歯車を介して設けられた懸垂錘の回転が回転軸4に入力されるようになっている。
【0030】
本実施形態に係る静電誘導型変換器100は、例えば、腕時計内に組み込まれる小型軽量の発電機として使用できる。あるいは、振動その他の外部の運動により発電し、電力を供給する屋外センサーや小型照明用の発電機として使用してもよく、その他の用途に用いてもよい。
【0031】
図3は、静電誘導型変換器が発電機として用いられる際の作動原理を説明する概略回路図である。
図3に示すように、エレクトレット基板3と第1の対向電極1、第2の対向電極2とは、所定のわずかな間隔を空けて平行となるように対向して配置されている。
【0032】
また、上述のように、第1の対向電極1及び第2の対向電極2は、電極が存在する領域と存在しない領域とが周方向に交互に配置される構成であり、エレクトレット基板3は、エレクトレット膜が設けられる領域と設けられない領域とが周方向に交互に配置される構成である。さらに、エレクトレット基板3は、回転軸4を中心として回転可能に設けられている。そのため、エレクトレット基板3の回転に伴い、第1のエレクトレット膜31及び第2のエレクトレット膜32と、第1の対向電極1及び第2の対向電極2が正対する状態とそうでない状態が入れ替わる。
【0033】
第1のエレクトレット膜31及び第2のエレクトレット膜32は、所定の帯電状態となるように形成されている。本実施形態においては、第1のエレクトレット膜31及び第2のエレクトレット膜32は、共に負電荷を持つように帯電している。
【0034】
第1の対向電極1及び第2の対向電極2が第1のエレクトレット膜31及び第2のエレクトレット膜32に正対している状態では、第1のエレクトレット膜31及び第2のエレクトレット膜32の表面電荷に誘導されて第1の対向電極1及び第2の対向電極2に反対極性の電荷が蓄積される(本実施形態においては、正電荷が第1の対向電極1及び第2の対向電極2に蓄積される)。その後、エレクトレット基板3が移動し、第1のエレクトレット膜31及び第2のエレクトレット膜32が第1の対向電極1及び第2の対向電極2に正対しない状態となると、第1の対向電極1及び第2の対向電極2に誘導され蓄積された電荷が掃き出され、整流回路6により整流されて電気エネルギーとして取り出される。
【0035】
なお、
図3においては、第1の対向電極1と第2の対向電極2が、エレクトレット基板3の運動方向についての位相が異なるように固定して配置される例について示す。ただし、これに限られるものではなく、
図1に示すように、第1の対向電極1と第2の対向電極2は、エレクトレット基板3の運動方向についての位相が同じになるように固定して配置されていてもよい。
【0036】
図4は、静電誘導型変換器が電動機として用いられる際の作動原理を説明する概略回路図である。この場合においても、エレクトレット基板3と第1の対向電極1、第2の対向電極2とは、所定のわずかな間隔を空けて平行となるように対向して配置されている。また、エレクトレット基板3の回転に伴い、第1のエレクトレット膜31及び第2のエレクトレット膜32と第1の対向電極1及び第2の対向電極2が正対する状態とそうでない状態が入れ替わる。なお、
図4においては、第1の対向電極1と第2の対向電極2が、エレクトレット基板3の運動方向についての位相が異なるように固定して配置される例について示すが、
図1に示すように、第1の対向電極1と第2の対向電極2は、エレクトレット基板3の運動方向についての位相が同じになるように固定して配置されていてもよい。
【0037】
第1のエレクトレット膜31及び第2のエレクトレット膜32は、所定の帯電状態となるように形成されている。本実施形態においては、第1のエレクトレット膜31及び第2のエレクトレット膜32は、共に負電荷を持つように帯電している。
【0038】
また、第1の対向電極1と第2の対向電極2は、エレクトレット基板3の運動方向についての位相が異なるように配置されており、それぞれ、スイッチ回路7により、第1のエレクトレット膜31、第2のエレクトレット膜32の帯電状態の逆電荷を所定のタイミングで印可できるようになされている。
【0039】
この時、第1の対向電極1と第2の対向電極2のいずれか片方に第1のエレクトレット膜31、第2のエレクトレット膜32の帯電状態の逆電荷を印可すると、静電気力により、第1のエレクトレット膜31又は第2のエレクトレット膜32が、逆電荷が印可された対向電極に正対するようエレクトレット基板3が運動する。スイッチ回路7を適宜切り替えて第1の対向電極1と第2の対向電極2の逆電荷の印加の有無を交互にタイミングよく切り替えると、エレクトレット基板3に連続的な運動を与えることができ、直線運動、回転運動、振動運動その他の運動が取り出される。
【0040】
ここで、エレクトレット膜の材料には、帯電しやすい材料を用い、例えば負電荷に帯電する材料としては酸化珪素や、フッ素樹脂等がある。かかる材料の具体的な一例として、旭硝子株式会社製のフッ素樹脂であるCYTOP(登録商標)が挙げられる。さらに、その他にもエレクトレット膜の材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルデンジフルオライド、ポリビニルフルオライド等の高分子材料や、前述の酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素等の無機材料も使用することができる。
【0041】
もちろん、以上説明した静電誘導型変換器100を発電機あるいは電動機として使用するための回路構成は一例であり、各種部材の配置を含め、他の構成を採用してもよい。
【0042】
上述のように、エレクトレット基板3は、回転が許容され、一方でその法線方向(エレクトレット基板3の面に対して垂直方向)の移動は制限されるように設けられている。また、エレクトレット基板3に作用する静電気力は、第1のエレクトレット膜31及び第2のエレクトレット膜32と第1の対向電極1及び第2の対向電極2間に働く引力(又は斥力)であるから、エレクトレット基板3には、その法線方向に力が作用する。
【0043】
この力は、エレクトレット基板3の両面にそれぞれ第1のエレクトレット膜31及び第2のエレクトレット膜32が形成されており、それらエレクトレット膜に作用する静電気力は、エレクトレット基板3の法線方向について逆向きとなるから、第1のエレクトレット膜31と第2のエレクトレット膜32それぞれに作用する力がバランスしていれば、法線方向の力は互いに打ち消しあうことになる。両者のバランスがとれていなければ、法線方向の力が残存することとなる。
【0044】
エレクトレット基板3に生じ、残存する法線方向の力は、回転軸4の延伸する方向に作用する力となる。したがって、残存する法線方向の力が大きいほど、エレクトレット基板3の回転抵抗となり、エネルギーのロスが生じて静電誘導型変換器100の変換効率を低下させるほか、回転軸4等の摩耗を引き起こし、静電誘導型変換器100の寿命を低下させる一因となる可能性がある。したがって、第1のエレクトレット膜31と第2のエレクトレット膜32それぞれに作用する静電気力は、バランスしていることが望ましい。
【0045】
第1のエレクトレット膜31と第2のエレクトレット膜32に作用する静電気力をバランスさせるためには、それぞれのエレクトレット膜が保持する電荷量をバランスさせればよいことになる。しかしながら、これは単純には実現できない。
【0046】
この理由を、
図5~
図7を参照しつつ説明する。
図5は、エレクトレット基板の製造工程を説明する図である。まず、導電基板33を用意し、その両面にエレクトレット材料膜34を設ける(
図5(a))。導電基板33の材質は、導電性を有し、生じる静電気力に対して十分な剛性を持つものであれば特に限定はないが、本実施形態では金属であり、特に、アルミニウムを使用している。なお、導電基板33に導電性を要求するのは、後述するエレクトレット材料膜34への帯電工程において接地するためである。導電基板33は、静電誘導型変換器100に組み込む際に接地される構成としてもよく、整流回路に接続される構成としてもよい。
【0047】
エレクトレット材料膜34の形成方法は、その材料に応じて選択してよく、特に限定はされないが、導電基板33の両面全面に製膜する方法が簡便であるため、採用に適している。そのような方法としては、例えば、エレクトレット材料が液体でありいわゆるウェットプロセスが使用できるのであれば、ディップコート、スピンコート、カーテンフローコート、スプレーコート、グラビアコートなど適宜のコーティング方法によってよい。その他の方法としては、スパッタリングやイオンプレーティング等のPVD、あるいはCVD、などの蒸着や、エレクトレット材料のフィルムを導電基板33に貼付する方法などによってよい。
【0048】
その後、プレスによる打ち抜き加工により、導電基板33を所望の形状に加工する(
図5(b)及び(c))。この時、導電基板33に、回転軸4が挿通される軸孔33cと略扇形状を構成する複数の貫通孔33dとが同時に形成されるとよい。ただし、それに限られるものではなく、複数の貫通孔33dと、軸孔33cとは、打ち抜き加工により順次形成されるものであってもよい。
【0049】
さらに、回転軸4が導電基板33に導通するように取り付けられる。(
図5(d))。
【0050】
最後に、導電基板33を接地し、両面のエレクトレット材料膜34に帯電処理を行い、エレクトレット材料膜34を帯電させる。この帯電処理も特に限定はないが、ここでは、コロナ放電処理を用いている。これにより、導電基板33の第1の面33aのエレクトレット材料膜34及び、第2の面33bのエレクトレット材料膜34はそれぞれ同電位に帯電して第1のエレクトレット膜31及び第2のエレクトレット膜32となり、エレクトレット基板3が製造される(
図5(e))。同図には、コロナ放電電極35と、コロナ放電により電荷が付与される様子が模式的に示されている。
【0051】
なお、製造されたエレクトレット基板3は、さらに、第1のエレクトレット膜31が適宜のハウジングに固定的に設けられた第1の対向電極1に対向し、第2のエレクトレット膜32が適宜のハウジングに固定的に設けられた第2の対向電極2に対向するように、面内方向の運動を許容するよう組み立てられる。その他、適切な回路等を配線・接続するなどの工程を経て、静電誘導型変換器100が作成される。
【0052】
以上の工程によりエレクトレット基板3と、エレクトレット基板3が組み込まれた静電誘導型変換器100が作成されるが、この時、第1のエレクトレット膜31と第2のエレクトレット膜32の帯電量は必ずしも同等でなく、アンバランスとなる場合がある。その理由を
図6を参照しつつ示す。
【0053】
図6は、エレクトレット材料膜が両面に設けられた導電基板に、
図5(b)に示す打ち抜き加工を施した直後の切断端面の様子を模式的に示す部分拡大図である。同図には、導電基板33が、第2の面33b側から第1の面33a側に向けて、打ち抜き型の刃により打ち抜かれた場合の端面の形状が示されている。図示されるように、導電基板33の縁部には、打ち抜き加工により、打ち抜き方向に突出するカエリ36が発生する。
【0054】
図7は、カエリ及び回転軸が帯電処理に与える影響を説明する図である。本例では第1の面33a側と第2の面33b側のそれぞれに対して同じ電圧を印加して帯電処理をする例として説明を行う。
【0055】
カエリ36を有する導電基板33を接地して帯電処理、本例ではコロナ放電加工を行うと、同図に示されるように、カエリ36が突出する側の面において、電気力線がカエリ36に集中し、放電電荷が導電基板33に流れてしまうため、カエリ36の近辺のエレクトレット材料膜34に付与される電荷の量が減少する。なお、同図中破線矢印は、電気力線と、かかる電気力線に沿って放出される電荷の動きを示したものである。
【0056】
この現象は、カエリ36が突出する側の面(
図7に示す第1の面33a)に生じ、その反対の面(
図7に示す第2の面33b)では生じない。そのため、導電基板33の面の上下でエレクトレット材料膜34の帯電量にアンバランスが生じる。
図7に示した例では、第2の面33bに設けられるエレクトレット材料膜34の帯電量が、第1の面33aに設けられるエレクトレット材料膜34の帯電量よりも多くなる。
【0057】
ここで、帯電処理における帯電量に影響を与えるのはカエリ36だけに限られない。回転軸4は、導電基板33の法線方向に突出しており、かつ接地された導電基板33と導通される導電性の部材である。そのため、帯電処理の際に電気力線が、回転軸4にも集中し、その近辺のエレクトレット材料膜34への帯電を妨げる。そして、その影響は、回転軸4が法線方向に突出する長さが長いほど、すなわち、回転軸4が放電電極に近づくほど顕著となる。
【0058】
回転軸4が導電基板33の第1の面33aの方向に突出する長さと、第2の面33bの方向に突出する長さが等しいならば、エレクトレット材料膜34への帯電の影響は、エレクトレット基板3の両面でおおむね等しく、第1のエレクトレット膜31と第2のエレクトレット膜32の帯電量がアンバランスとなる原因にはならない。しかしながら、回転軸4には、カナ5が組付けられており、カナ5と噛み合う図示しない歯車等を含む駆動機構が設けられているため、その分回転軸4が一方の面側で大きく突出することとなる。
【0059】
そこで、本実施形態においては、回転軸4の突出量が大きい側の反対側に、カエリ36が形成されることした。すなわち、導電基板33に対して垂直な方向における、第1の面33a側の突出量よりも、第2の面33b側における突出量が大きくなるように回転軸4を設けることにより、導電基板33の両面における帯電量のバランスを図る構成とした。回転軸4の突出量が大きい側においてエレクトレット膜の帯電量が小さくなってしまう一方で、カエリ36が形成される側においてエレクトレット膜の帯電量も小さくなるため、回転軸4の突出量の大きい側と、カエリ36が形成される側とが反対側に存在することにより、導電基板33の両面における帯電量のバランスを図ることができる。これにより、エレクトレット基板3における回転抵抗が小さくなり、エネルギーロスが生じにくくなる。すなわち、エネルギー変換効率が低下することを抑制することができる。さらに、回転抵抗が小さくなることにより、回転軸4等の摩耗が抑制され、静電誘導型変換器100の寿命の低下も抑制されることとなる。
【0060】
さらに、
図8~
図10を参照して、エレクトレット基板が有する導電基板の構成のパターンについて説明する。
図8は、本実施形態の導電基板の平面図である。全体として円板形状の導電基板33は、ここでは車輪型、すなわち、中心近傍と外周部で周方向に接続され、両者を多数のスポークで接続する形状となっている。また、導電基板33の中心には、回転軸4を取り付ける軸孔33cが設けられている。
【0061】
図9は、本実施形態の第1の変形例の導電基板の平面図である。第1の変形例の導電基板53は、全体として円板形状を保ちつつ、中心部分から放射状に延びる複数の舌部531を有する形状となっている。
【0062】
導電基板53においては、舌部531の縁部53dと、軸孔53cの縁部にカエリが発生することとなる。そのため、導電基板53を用いる場合は、舌部531の縁部53dと軸孔53cの縁部にカエリが突出する側の面と反対側の面において、突出量が大きくなるように回転軸4を設けるとよい。
【0063】
図10は、本実施形態の第2の変形例の導電基板の平面図である。
図11は、
図10のXI-XI切断線で切り取った面の断面図である。なお、
図10中の二点鎖線は、ハウジング等に形成される溝60を示す想像線である。なお、
図11においては、エレクトレット膜、導電基板63のカエリ、及び対向電極については図示を省略している。
【0064】
エレクトレット基板の運動は、これまで説明したような回転運動に限定されず、往復運動や並進運動であってもよく、その場合、
図10に示すような矩形形状の導電基板63を用いてよい。
【0065】
導電基板63は、複数のスリット63dが形成された矩形形状をしており、複数のスリット63dが並ぶ方向(図中X方向及びその反対方向)の運動を許容されるように設けられる。具体的には、導電基板63は孔63cを有し、その孔63cに被支持部材としての軸64が挿通されている。また、軸64は、軸64の移動に伴い導電基板63を移動させるように、導電基板63に支持されると共に固定されている。また、軸64は、その両端が適宜のハウジング等に形成されるX方向に延びる溝60に嵌められて、図中X方向及びその反対方向に摺動可能に設けられるとよい。そして、軸64が、スリット63dや孔63cの縁部にカエリが突出する側の面63a(第1の面)と反対側の面63b(第2の面)において、突出量が大きくなるように設けられているとよい。
【0066】
このような形状の導電基板63は、これを用いた静電誘導型変換器100が特定の方向の振動を拾って電力に変換する、いわゆる振動発電機である場合などに適している。もちろん、その他の用途にこれを用いてもよい。
【0067】
図12は、本実施形態の第3の変形例における、静電誘導型変換器が発電機として用いられる際の作動原理を説明する概略回路図である。静電誘導型変換器を発電機として用いる際の回路構成は、
図3で示したものに限られない。第3の変形例においては、
図12に示すように、第1の対向電極1のうち複数の第1の対向電極11を、周方向に互いに間隔を空けて並ぶように配置し、その間に複数の第1の対向電極12を配置する構成とした。そして、第1の対向電極11と第1の対向電極12を整流回路61に接続して、それぞれの電極から電気エネルギーを取り出せる構成とした。
【0068】
また、第2の対向電極2のうち複数の第2の対向電極21を、第1の対向電極1と位相を異ならせて、周方向に互いに間隔を空けて並ぶように配置し、その間に複数の第2の対向電極22を配置する構成とした。そして、第2の対向電極21と第2の対向電極22を整流回路62に接続して、それぞれの電極から電気エネルギーを取り出せる構成とした。
【0069】
第3の変形例の回路構成においては、エレクトレット基板3の回転に伴い、第2のエレクトレット膜32と第2の対向電極21とが正対することで第2の対向電極21に電荷が誘導される状態から、第2のエレクトレット膜32と第2の対向電極22とが正対することで第2の対向電極22に電荷が誘導される状態になる間に、第1のエレクトレット膜31と第1の対向電極11とが正対することで第1の対向電極11に電荷が誘導させることとなる。このため、エレクトレット基板3の回転に伴って第1の対向電極1及び第2の対向電極2に電荷が誘導される頻度が上がり、より効率よく電気エネルギーを取り出すことが可能となる。
【0070】
なお、
図12においては、第1の対向電極1と第2の対向電極2が、エレクトレット基板3の運動方向についての位相が異なるように固定して配置される例について示したが、これに限られるものではなく、
図1に示すように、第1の対向電極1と第2の対向電極2は、エレクトレット基板3の運動方向についての位相が同じになるように固定して配置されていてもよい。
【0071】
なお、上記実施形態及びその変形例においては、被支持部材として導電性の軸を示したが、これに限られるものではなく、導電基板に導通されると共に、導電基板に対して垂直な方向に突出するものであればよい。また、被支持部材は、ハウジング内において上下のいずれの側に突出量が大きくなるように設けられていてもよく、少なくともカエリ36が突出する側と反対側において、突出量が大きくなるように設けられるものであればよい。
【0072】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、この実施形態に示した具体的な構成は一例として示したものであり、本発明の技術的範囲をこれに限定することは意図されていない。当業者は、これら開示された実施形態を適宜変形してもよく、本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0073】
1 第1の対向電極、2 第2の対向電極、3 エレクトレット基板、4 回転軸、5 カナ、6 整流回路、7 スイッチ回路、31 第1のエレクトレット膜、32 第2のエレクトレット膜、33,53,63 導電基板、33a 第1の面、33b 第2の面、33c,53c 軸孔、33d 貫通孔、34 エレクトレット材料膜、35 コロナ放電電極、36 カエリ、100 静電誘導型変換器、531 舌部、53d 縁部、60 溝、63c 孔、63d スリット、64 軸。