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特許7077210圧力検出装置、回路内蔵部材、圧力検出装置の製造方法
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  • 特許-圧力検出装置、回路内蔵部材、圧力検出装置の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】圧力検出装置、回路内蔵部材、圧力検出装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 23/22 20060101AFI20220523BHJP
【FI】
G01L23/22
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018219384
(22)【出願日】2018-11-22
(65)【公開番号】P2020085624
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】饗場 哲也
(72)【発明者】
【氏名】四方山 正徳
(72)【発明者】
【氏名】吉成 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】藤並 康暁
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-173122(JP,A)
【文献】特開2018-179613(JP,A)
【文献】特開2008-146920(JP,A)
【文献】特開2008-286721(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0056097(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00-23/32
G01L 27/00-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から受けた圧力に応じた電気信号を出力する圧電素子と、
導電性を有し、前記圧電素子の一端が接続される収容部材と、
前記圧電素子の他端が接続され且つ前記電気信号に処理を施す処理回路と、絶縁性を有し且つ当該処理回路を封止する封止部と、導電性を有し且つ一方が当該処理回路に接続されるとともに他方が当該封止部における側面の外側に露出する導電部とを有し、前記収容部材に収容されることで当該導電部が当該収容部材に突き当たる回路内蔵部材と
を含む圧力検出装置。
【請求項2】
前記回路内蔵部材における前記導電部は、前記封止部の前記側面から前記収容部材に向かう復元力を有する板ばねで構成されること
を特徴とする請求項1記載の圧力検出装置。
【請求項3】
前記回路内蔵部材における前記封止部は、前記導電部の背後に設けられ、当該封止部の前記側面から前記収容部材に向かって突出する突起を有すること
を特徴とする請求項1または2記載の圧力検出装置。
【請求項4】
前記回路内蔵部材における前記封止部は、当該封止部における前記突起の裏側に設けられ、当該封止部の前記側面から前記収容部材に向かって突出する他の突起をさらに有すること
を特徴とする請求項3記載の圧力検出装置。
【請求項5】
前記収容部材には、当該収容部材の内面と外面とを貫く穴が設けられ、当該穴の形成部位には、前記回路内蔵部材に設けられた前記導電部が配置され、当該穴の形成部位にて当該収容部材と当該導電部とが接合されていること
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の圧力検出装置。
【請求項6】
前記圧電素子は、前記収容部材の内部に収容され、
導電性を有するとともに前記収容部材の内部に収容され、前記圧電素子と前記処理回路とに接続されることで、前記電気信号を当該処理回路に伝導する伝導部材をさらに有し、
前記伝導部材には、前記圧電素子の一方の極側が接続され、
前記収容部材には、前記圧電素子の他方の極側が接続されること
を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の圧力検出装置。
【請求項7】
前記収容部材を内部に収容し、当該収容部材と電気的に絶縁される筐体部をさらに備えること
を特徴とする請求項6記載の圧力検出装置。
【請求項8】
外部から受けた圧力に応じた電気信号を出力する圧電素子の一端が接続されるとともに当該電気信号に処理を施す処理回路と、
絶縁性を有し且つ前記処理回路を封止する封止部と、
導電性を有し且つ一方が前記処理回路に接続されるとともに他方が前記封止部の側面に露出する導電部と
を有する回路内蔵部材。
【請求項9】
圧電素子の一方の極側から供給される電気信号に処理を施す処理回路と、絶縁性を有し且つ当該処理回路を封止する封止部と、導電性を有し且つ一方が当該処理回路に接続されるとともに他方が当該封止部における側面の外側に露出する導電部とを有する回路内蔵部材を準備する工程と、
導電性を有し、前記圧電素子の他方の極側に接続される収容部材に対し、前記回路内蔵部材を収容する工程と
を含む圧力検出装置の製造方法。
【請求項10】
前記回路内蔵部材における前記導電部は、前記封止部の前記側面から前記収容部材に向かう復元力を有する板ばねで構成されていること
を特徴とする請求項9記載の圧力検出装置の製造方法。
【請求項11】
前記回路内蔵部材における前記封止部は、前記導電部の背後に設けられ、当該封止部の前記側面から前記収容部材に向かって突出する突起を有すること
を特徴とする請求項9または10記載の圧力検出装置の製造方法。
【請求項12】
前記回路内蔵部材における前記封止部は、当該封止部における前記突起の裏側に設けられ、当該封止部の前記側面から前記収容部材に向かって突出する他の突起をさらに有すること
を特徴とする請求項11記載の圧力検出装置の製造方法。
【請求項13】
前記収容部材には、当該収容部材の内面と外面とを貫く穴が設けられ、当該穴の形成部位には、前記回路内蔵部材に設けられた前記導電部が配置されており、
前記収容部材に前記回路内蔵部材を収容した後、前記穴の形成部位にて当該収容部材と前記導電部とを接合する工程をさらに含むこと
を特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項記載の圧力検出装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力検出装置、回路内蔵部材、圧力検出装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば内燃機関を有する自動車等の装置では、装置内に、圧力や温度等を検出する複数の検出装置が搭載されている。そして、これらの検出装置による検出結果に基づき、ECU(Engine Control Unit)と呼ばれる制御装置が、内燃機関の動作等に関する制御を行っている。
【0003】
特許文献1には、圧力の変化を検出する圧電素子と、圧電素子の正極側に接続されるとともに圧電素子の出力信号に処理を施す処理回路が設けられた回路基板と、導電性を有し且つ回路基板を覆うように配置され、圧電素子の負極側に接続されるとともに回路基板側に設けられた接地板を介して処理回路のグランドに接続される収容部材と、圧電素子、回路基板および収容部材を内部に収容し、検出素子、回路基板および収容部材と電気的に絶縁される筐体とを備えた圧力検出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-173122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、収容部材と回路基板側に設けられた接地板とを、単に接触させる構成を採用した場合には、例えば外部から圧力検出装置に衝撃が加えられたときに、接地板と収容部材とが離隔してしまい、電気的な経路が切断されるおそれがあった。
本発明は、圧電素子と処理回路との電気的な接続の信頼性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の圧力検出装置は、外部から受けた圧力に応じた電気信号を出力する圧電素子と、導電性を有し、前記圧電素子の一端が接続される収容部材と、前記圧電素子の他端が接続され且つ前記電気信号に処理を施す処理回路と、絶縁性を有し且つ当該処理回路を封止する封止部と、導電性を有し且つ一方が当該処理回路に接続されるとともに他方が当該封止部における側面の外側に露出する導電部とを有し、前記収容部材に収容されることで当該導電部が当該収容部材に突き当たる回路内蔵部材とを含んでいる。
このような圧力検出装置において、前記回路内蔵部材における前記導電部は、前記封止部の前記側面から前記収容部材に向かう復元力を有する板ばねで構成されることを特徴とすることができる。
また、前記回路内蔵部材における前記封止部は、前記導電部の背後に設けられ、当該封止部の前記側面から前記収容部材に向かって突出する突起を有することを特徴とすることができる。
また、前記回路内蔵部材における前記封止部は、当該封止部における前記突起の裏側に設けられ、当該封止部の前記側面から前記収容部材に向かって突出する他の突起をさらに有することを特徴とすることができる。
また、前記収容部材には、当該収容部材の内面と外面とを貫く穴が設けられ、当該穴の形成部位には、前記回路内蔵部材に設けられた前記導電部が配置され、当該穴の形成部位にて当該収容部材と当該導電部とが接合されていることを特徴とすることができる。
また、前記圧電素子は、前記収容部材の内部に収容され、導電性を有するとともに前記収容部材の内部に収容され、前記圧電素子と前記処理回路とに接続されることで、前記電気信号を当該処理回路に伝導する伝導部材をさらに有し、前記伝導部材には、前記圧電素子の一方の極側が接続され、前記収容部材には、前記圧電素子の他方の極側が接続されることを特徴とすることができる。
また、前記収容部材を内部に収容し、当該収容部材と電気的に絶縁される筐体部をさらに備えることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明の回路内蔵部材は、外部から受けた圧力に応じた電気信号を出力する圧電素子の一端が接続されるとともに当該電気信号に処理を施す処理回路と、絶縁性を有し且つ前記処理回路を封止する封止部と、導電性を有し且つ一方が前記処理回路に接続されるとともに他方が前記封止部の側面に露出する導電部とを有している。
また、他の観点から捉えると、本発明の圧力検出装置の製造方法は、圧電素子の一方の極側から供給される電気信号に処理を施す処理回路と、絶縁性を有し且つ当該処理回路を封止する封止部と、導電性を有し且つ一方が当該処理回路に接続されるとともに他方が当該封止部における側面の外側に露出する導電部とを有する回路内蔵部材を準備する工程と、導電性を有し、前記圧電素子の他方の極側に接続される収容部材に対し、前記回路内蔵部材を収容する工程とを含んでいる。
このような圧力検出装置の製造方法において、前記回路内蔵部材における前記導電部は、前記封止部の前記側面から前記収容部材に向かう復元力を有する板ばねで構成されていることを特徴とすることができる。
また、前記回路内蔵部材における前記封止部は、前記導電部の背後に設けられ、当該封止部の前記側面から前記収容部材に向かって突出する突起を有することを特徴とすることができる。
また、前記回路内蔵部材における前記封止部は、当該封止部における前記突起の裏側に設けられ、当該封止部の前記側面から前記収容部材に向かって突出する他の突起をさらに有することを特徴とすることができる。
また、前記収容部材には、当該収容部材の内面と外面とを貫く穴が設けられ、当該穴の形成部位には、前記回路内蔵部材に設けられた前記導電部が配置されており、前記収容部材に前記回路内蔵部材を収容した後、前記穴の形成部位にて当該収容部材と前記導電部とを接合する工程をさらに含むことを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、圧電素子と処理回路との電気的な接続の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る圧力検出システムの概略構成図である。
図2】圧力検出装置の側面図である。
図3】圧力検出装置の断面図(図2のIII-III断面図)である。
図4】圧力検出装置の先端側(図3のIV領域)の拡大断面図である。
図5】圧力検出装置を構成する第1内部筐体、第2内部筐体、加圧部材、第1絶縁部材および第2絶縁部材の分解断面図である。
図6】(a)は圧力検出装置に設けられた第1収容部材の斜視図であり、(b)は圧力検出装置に設けられた第2収容部材の斜視図である。
図7】圧力検出装置に設けられた回路内蔵部材の斜視図である。
図8】金属板に折り曲げ加工が施される前の回路内蔵部材の斜視図である。
図9】回路内蔵部材の断面図(図7のIX-IX断面図)である。
図10】回路内蔵部材に設けられた回路基板の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[圧力検出システムの構成]
図1は、実施の形態に係る圧力検出システム1の概略構成図である。
この圧力検出システム1は、内燃機関10における燃焼室C内の圧力(燃焼圧)を検出する圧力検出装置20と、圧力検出装置20に対する給電を行うとともに圧力検出装置20が検出した圧力に基づいて内燃機関10の動作を制御する制御装置100と、圧力検出装置20と制御装置100とを電気的に接続する接続ケーブル80とを備えている。
【0010】
ここで、圧力の検出対象となる内燃機関10は、内部にシリンダが形成されたシリンダブロック11と、シリンダ内を往復運動するピストン12と、シリンダブロック11に締結されてピストン12等とともに燃焼室Cを構成するシリンダヘッド13とを有している。また、シリンダヘッド13には、燃焼室Cと外部とを連通する連通孔13aが設けられている。そして、この連通孔13aに圧力検出装置20の先端側を挿入するとともに、圧力検出装置20をシリンダヘッド13に固定することで、内燃機関10に対して圧力検出装置20を取り付けている。ここで、内燃機関10を構成するシリンダブロック11、ピストン12およびシリンダヘッド13は、鋳鉄やアルミニウム等、導電性を有する金属材料で構成されている。
【0011】
[圧力検出装置の構成]
図2は、圧力検出装置20の側面図である。また、図3は、圧力検出装置20の断面図(図2のIII-III断面図)である。さらに、図4は、圧力検出装置20の先端側(図3のIV領域)の拡大断面図である。さらにまた、図5は、圧力検出装置20を構成する第1内部筐体35、第2内部筐体36、加圧部材49、第1絶縁部材51および第2絶縁部材52(それぞれの詳細については後述する)の分解断面図である。
【0012】
圧力検出装置20は、全体として筒状を呈するとともに外部に露出するように設けられる筐体部30と、圧力を検出するための各種機構を含み、ほぼ全体が筐体部30の内部に収容されるとともに一部が外部に露出するように設けられる検出機構部40と、筐体部30の外周面に取り付けられるシール部70とを有している。そして、圧力検出装置20は、図1に示す内燃機関10に対し、図2における左側が燃焼室C(図1では下側)を向くとともに、図2における右側が外部(図1では上側)を向くように取り付けられる。なお、以下の説明では、図2において、図中左に向かう側を圧力検出装置20の「先端側」と称し、図中右に向かう側を圧力検出装置20の「後端側」と称する。また、以下の説明では、図2等に一点鎖線で示す圧力検出装置20の中心線方向を、単に「中心線方向」と称する。
【0013】
(筐体部の構成)
筐体部30は、先端外部筐体31と、先端外部筐体31の先端側に取り付けられたダイアフラムヘッド32と、先端外部筐体31の後端側に取り付けられた中間外部筐体33と、中間外部筐体33の後端側に取り付けられた後端外部筐体34とを備えている。また、筐体部30は、先端外部筐体31の内側であってダイアフラムヘッド32の後端側に取り付けられた第1内部筐体35と、先端外部筐体31の内側であって第1内部筐体35の後端側に取り付けられた第2内部筐体36とをさらに備えている。
【0014】
〔先端外部筐体〕
先端外部筐体31は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。先端外部筐体31は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。
【0015】
〔ダイアフラムヘッド〕
ダイアフラムヘッド32は、全体として円板状を呈する部材である。ダイアフラムヘッド32は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。この例では、ダイアフラムヘッド32および先端外部筐体31を、同じ材料で構成している。
【0016】
ダイアフラムヘッド32は、特に図4に示すように、先端側における中央部に表面中央凹部32bが形成されるとともに、外部(燃焼室C側)に露出することで圧力を受ける圧力受面(表面)32aを有している。また、ダイアフラムヘッド32は、圧力受面32aの裏側となる裏面を環状に切り欠くことによって形成された裏面環状凹部32cと、裏面環状凹部32cの存在により、結果として圧力受面32aの中央部(表面中央凹部32bの形成部位)から後端側に突出する裏面中央凸部32dとを有している。さらに、ダイアフラムヘッド32は、圧力受面32aの裏面における周縁部を環状に切り欠くことによって形成された裏面環状平坦部32eと、裏面環状凹部32cおよび裏面環状平坦部32eの存在により、結果として裏面中央凸部32dの周囲から後端側に突出する裏面環状凸部32fとを有している。
【0017】
ダイアフラムヘッド32は、先端外部筐体31における先端側の開口部を塞ぐように設けられている。より具体的に説明すると、ダイアフラムヘッド32の裏面環状平坦部32eに、先端外部筐体31の先端側が突き当たっている。そして、ダイアフラムヘッド32と先端外部筐体31との境界部には、外周面の一周にわたってレーザ溶接が施されている。
【0018】
〔中間外部筐体〕
中間外部筐体33は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。中間外部筐体33は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス等の金属材料で構成されている。
【0019】
中間外部筐体33の先端側は、先端外部筐体31の後端側にはめ込まれるようになっている。そして、中間外部筐体33と先端外部筐体31との境界部には、外周面の一周にわたってレーザ溶接が施されている。
【0020】
〔後端外部筐体〕
後端外部筐体34は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。後端外部筐体34は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス等の金属材料で構成されている。
【0021】
後端外部筐体34の先端側は、中間外部筐体33の後端側にはめ込まれるようになっている。なお、後端外部筐体34と中間外部筐体33との境界部には、レーザ溶接が施されていない。
【0022】
〔第1内部筐体〕
第1内部筐体35は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。第1内部筐体35は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス等の金属材料で構成されている。
【0023】
第1内部筐体35は、特に図5に示すように、最も先端側に位置する第1先端筒状部351と、第1先端筒状部351の後端側に位置する第1後端筒状部352とを有している。第1内部筐体35では、第1先端筒状部351よりも第1後端筒状部352の外径が大きくなっており、両者の境界部には、第1外側段差部353が設けられている。また、第1内部筐体35の内部に設けられた貫通孔は、先端側から後端側に向かって段階的に内径が増加するようになっており、第1後端筒状部352の内側となる部位には、第1内側段差部354が設けられている。
【0024】
第1内部筐体35の先端側は、ダイアフラムヘッド32の後端側に突き当たるようになっている。より具体的に説明すると、第1内部筐体35における第1外側段差部353の先端側の面が、ダイアフラムヘッド32における裏面環状凸部32fの後端側の面に突き当たるようになっている。このとき、第1内部筐体35における第1先端筒状部351は、ダイアフラムヘッド32における裏面環状凹部32cの内部に位置している。そして、第1内部筐体35とダイアフラムヘッド32との境界部には、外周面の一周にわたってレーザ溶接が施されている。
【0025】
〔第2内部筐体〕
第2内部筐体36は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。第2内部筐体36は、導電性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いステンレス等の金属材料で構成されている。
【0026】
第2内部筐体36は、特に図5に示すように、最も先端側に位置する第2先端筒状部361と、第2先端筒状部361の後端側に位置する第2後端筒状部362とを有している。第2内部筐体36では、第2先端筒状部361よりも第2後端筒状部362の外径が大きくなっており、両者の境界部には、第2外側段差部363が形成されている。また、第1内部筐体35の内部に設けられた貫通孔は、その内径が略一定となっている。
【0027】
第2内部筐体36の先端側すなわち第2先端筒状部361の先端側は、第1内部筐体35における第1後端筒状部352の内部に収容されるようになっている。また、第2内部筐体36の先端側の面が、第2絶縁部材52(詳細は後述する)の後端側の面に突き当たるようになっている。このとき、第2先端筒状部361の後端側および第2後端筒状部362は、第1内部筐体35の後端側に露出するようになっている。そして、第2内部筐体36と第1内部筐体35との境界部には、外周面の一周にわたってレーザ溶接が施されている。
【0028】
(検出機構部の構成)
検出機構部40は、圧電素子41と、先端電極部材42と、先端絶縁部材43と、後端電極部材44と、後端絶縁部材45とを備えている。また、検出機構部40は、第1コイルバネ46と、伝導部材47と、保持部材48と、加圧部材49と、絶縁パイプ50とを備えている。さらに、検出機構部40は、第1絶縁部材51と、第2絶縁部材52と、支持部材53と、第2コイルバネ54とを備えている。さらにまた、検出機構部40は、第1収容部材55と、第2収容部材56と、回路内蔵部材57と、接続部材58と、閉塞部材59と、第3絶縁部材60とを備えている。
【0029】
〔圧電素子〕
圧電素子41は、全体として円柱状を呈する部材である。圧電素子41は、圧電縦効果の圧電作用を示す圧電体を備えている。圧電素子41は、先端外部筐体31(および第1内部筐体35)の内側に配置されている。
【0030】
ここで、圧電縦効果とは、圧電体の電荷発生軸と同一方向の応力印加軸に外力を加えると、電荷発生軸方向の圧電体の表面に電荷が発生することをいう。したがって、この例では、中心線方向に沿う圧力の変化に応じて、圧電素子41の先端側の面と後端側の面とに、発生した電荷による信号(電荷信号)が出力されることになる。
【0031】
次に、圧電素子41に圧電横効果を利用した場合を例示する。圧電横効果とは、圧電体の電荷発生軸に対して直交する位置にある応力印加軸に外力を加えると、電荷発生軸方向の圧電体の表面に電荷が発生することをいう。薄板状に薄く形成した圧電体を複数枚積層して構成しても良く、このように積層することで、圧電体に発生する電荷を効率的に集めてセンサの感度を上げることができる。圧電素子41で使用可能な圧電体としては、圧電縦効果及び圧電横効果を有するランガサイト系結晶(ランガサイト、ランガテイト、ランガナイト、LTGA)や水晶、ガリウムリン酸塩などを使用することを例示することができる。
【0032】
〔先端電極部材〕
先端電極部材42は、全体として円柱状を呈する部材である。先端電極部材42は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。先端電極部材42は、先端外部筐体31の内側且つ圧電素子41の先端側に配置されており、先端電極部材42の後端側の面が、圧電素子41の先端側の面と接触するようになっている。また、先端電極部材42の外径は、圧電素子41の外径よりも大きくなっている。
【0033】
〔先端絶縁部材〕
先端絶縁部材43は、全体として円柱状を呈する部材である。先端絶縁部材43は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。先端絶縁部材43は、先端外部筐体31の内側且つ先端電極部材42の先端側に配置されており、先端絶縁部材43の後端側の面が、先端電極部材42の先端側の面と接触するようになっている。一方、先端絶縁部材43の先端側の面は、ダイアフラムヘッド32に設けられた裏面中央凸部32dの後端側の面と接触するようになっている。また、先端絶縁部材43の外径は、先端電極部材42の外径よりも小さく、且つ、ダイアフラムヘッド32における裏面中央凸部32dの外径よりも大きくなっている。
【0034】
〔後端電極部材〕
後端電極部材44は、全体として円柱状を呈する部材である。後端電極部材44は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。後端電極部材44は、先端外部筐体31の内側且つ圧電素子41の後端側に配置されており、後端電極部材44の先端側の面が、圧電素子41の後端側の面と接触するようになっている。また、後端電極部材44の外径は、圧電素子41の外径よりも大きくなっている。
【0035】
〔後端絶縁部材〕
後端絶縁部材45は、中空構造を有し且つ全体として環状(円筒状)を呈する部材である。後端絶縁部材45は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。後端絶縁部材45は、先端外部筐体31の内側且つ後端電極部材44の後端側に配置されており、後端絶縁部材45の先端側の面が、後端電極部材44の後端側の面と接触するようになっている。また、後端絶縁部材45の外径は、圧電素子41、先端電極部材42および後端電極部材44の各外径よりも大きくなっている。
【0036】
〔第1コイルバネ〕
第1コイルバネ46は、全体として螺旋状を呈する部材であって、中心線方向に伸縮するようになっている。第1コイルバネ46は、導電性を有する真ちゅう等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。第1コイルバネ46は、先端外部筐体31の内側に配置されている。より具体的に説明すると、第1コイルバネ46の先端側は、後端絶縁部材45に設けられた貫通孔の内部に配置されており、その先端が、後端電極部材44の後端側の面と接触するようになっている。一方、第1コイルバネ46の後端側は、後端絶縁部材45の後端側に飛び出している。また、第1コイルバネ46の外径は、後端絶縁部材45に設けられた貫通孔の内径よりも小さくなっている。
【0037】
〔伝導部材〕
伝導部材47は、全体として棒状を呈する部材である。伝導部材47は、導電性を有する真ちゅう等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。伝導部材47は、最も先端側に位置する先端棒状部471と、先端棒状部471の後端側に位置する中間棒状部472と、中間棒状部472の後端側に位置する後端棒状部473とを有している。また、伝導部材47では、先端棒状部471、中間棒状部472および後端棒状部473の順で、外径が大きくなっている。伝導部材47は、先端外部筐体31の内側に配置されている。より具体的に説明すると、伝導部材47の先端側すなわち先端棒状部471の先端側は、第1コイルバネ46の後端側に挿入されており、後端絶縁部材45の内部に配置されている。ただし、先端棒状部471の先端は、第1コイルバネ46とは異なり、後端電極部材44の後端側の面と接触していない。このとき、第1コイルバネ46の後端は、伝導部材47における先端棒状部471と中間棒状部472との境界部(段差部)に突き当たっている。その結果、第1コイルバネ46は、後端電極部材44と伝導部材47とに挟まれることで、中心線方向に圧縮された状態となっている。一方、伝導部材47のうちの中間棒状部472および後端棒状部473は、後端絶縁部材45の後端側に飛び出している。また、先端棒状部471の外径は、第1コイルバネ46の内径よりも小さくなっており、中間棒状部472の外径は、第1コイルバネ46の内径よりも大きくなっている。
【0038】
〔保持部材〕
保持部材48は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。保持部材48は、絶縁性を有するPPT(Polypropylene Terephthalate:ポリプロピレンテレフタレート)等の合成樹脂材料によって構成されている。保持部材48は、最も先端側に位置する先端部と、先端部の後端側に位置する中間部と、中間部の後端側に位置する後端部とを有している。保持部材48では、先端部、中間部および後端部の順で、外径が大きくなっている。保持部材48は、先端外部筐体31の内側と中間外部筐体33の内側とに跨がって配置されている。そして、保持部材48の内部には、上記伝導部材47が収容され、保持されている。より具体的に説明すると、保持部材48は、伝導部材47の後端側すなわち後端棒状部473の後端側を内部に収容している。その結果、伝導部材47のうち、先端棒状部471および中間棒状部472と、後端棒状部473の先端側とが、保持部材48の先端側に飛び出している。一方、保持部材48の後端には、後端側から先端側に向かう凹部が形成されている。また、保持部材48に設けられた孔の内径は、伝導部材47における後端棒状部473の外径よりもわずかに大きくなっており、伝導部材47と保持部材48とは、圧入(すきまばめ)により一体化している。
【0039】
〔加圧部材〕
加圧部材49は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。加圧部材49は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料で構成されている。加圧部材49は、先端外部筐体31の内側であって、第1内部筐体35の内側と第2内部筐体36の内側とに跨がって配置されている。
【0040】
加圧部材49は、特に図5に示すように、最も先端側に位置する第1筒状部491と、第1筒状部491の後端側に位置する第2筒状部492と、第2筒状部492の後端側に位置する第3筒状部493と、第3筒状部493の後端側に位置する第4筒状部494とを有している。加圧部材49では、第1筒状部491よりも第2筒状部492の外径が大きくなっており、両者の境界部には、第1段差部495が形成されている。また、第2筒状部492よりも第3筒状部493の外径が大きくなっており、両者の境界部には、第2段差部496が形成されている。さらに、第3筒状部493よりも第4筒状部494の外径が小さくなっており、両者の境界部には、第3段差部497が形成されている。なお、この例では、第2筒状部492および第4筒状部494の外径が、略同一に設定されている。また、加圧部材49の内部に設けられた貫通孔は、先端側から後端側に向かって段階的に内径が増加するようになっており、第1筒状部491の内側となる部位には、第4段差部498が設けられている。
【0041】
加圧部材49に設けられた貫通孔の内部には、圧電素子41、先端電極部材42、後端電極部材44、後端絶縁部材45、第1コイルバネ46等が収容されている。そして、加圧部材49に設けられた第4段差部498の後端側の面が、先端電極部材42の先端側の面と接触するようになっている。また、加圧部材49に設けられた貫通孔の先端側の開口部には、先端絶縁部材43が配置されている。
【0042】
加圧部材49における第1筒状部491の外径は、第1内部筐体35の第1内側段差部354よりも先端側の内径よりも小さくなっている。また、第2筒状部492、第3筒状部493および第4筒状部494の各外径は、第1内部筐体35の第1内側段差部354よりも後端側の内径よりも小さくなっている。さらに、第4筒状部494の外径は、第2内部筐体36の内径よりも小さくなっている。
【0043】
一方、加圧部材49に設けられた貫通孔の内径は、圧電素子41、先端電極部材42、後端電極部材44および後端絶縁部材45の各外径よりも大きくなっている。また、加圧部材49に設けられた貫通孔の先端側の開口部の内径は、先端絶縁部材43の外径よりも大きくなっている。
【0044】
〔絶縁パイプ〕
絶縁パイプ50は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。絶縁パイプ50は、絶縁性を有するLCP(Liquid Crystal Polymer:液晶ポリマ)等の合成樹脂材料によって構成されている。絶縁パイプ50は、先端外部筐体31の内側であって、加圧部材49の内側に配置されている。そして、絶縁パイプ50の先端側の面が、加圧部材49に設けられた第4段差部498の後端側の面と接触するようになっている。絶縁パイプ50の内部には、圧電素子41、先端電極部材42および後端電極部材44と、後端絶縁部材45の先端側とが収容されている。絶縁パイプ50の外径は、加圧部材49に設けられた貫通孔の内径よりも小さく、且つ、この貫通孔の先端側に設けられた開口部の内径よりも大きくなっている。また、絶縁パイプ50の内径は、圧電素子41、先端電極部材42、後端電極部材44および後端絶縁部材45の各外径よりも大きくなっている。
【0045】
〔第1絶縁部材〕
第1絶縁部材51は、全体として環状を呈する部材である。第1絶縁部材51は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。第1絶縁部材51は、先端外部筐体31の内側であって、第1内部筐体35の内側且つ加圧部材49の外側に配置されている。そして、第1絶縁部材51における先端側の面が、第1内部筐体35における第1内側段差部354の後端側の面と接触し、第1絶縁部材51における後端側の面が、加圧部材49における第2段差部496の先端側の面と接触するようになっている。第1絶縁部材51の外径は、第1内部筐体35の第1内側段差部354よりも後端側の内径と比べて小さくなっている。また、第1絶縁部材51の内径は、加圧部材49における第2筒状部492の外径よりも大きくなっている。
【0046】
〔第2絶縁部材〕
第2絶縁部材52は、全体として環状を呈する部材である。第2絶縁部材52は、上記第1絶縁部材51と同様に、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。第2絶縁部材52は、先端外部筐体31の内側であって、第1内部筐体35の内側且つ加圧部材49の外側に配置されている。また、第2絶縁部材52は、第1絶縁部材51の後端側に配置される。そして、第2絶縁部材52における先端側の面が、加圧部材49における第3段差部497の後端側の面と接触し、第2絶縁部材52における後端側の面が、第2内部筐体36における第2先端筒状部361の先端側の面と接触するようになっている。第2絶縁部材52の外径は、第1内部筐体35の第1内側段差部354よりも後端側の内径と比べて小さくなっている。また、第2絶縁部材52の内径は、加圧部材49における第4筒状部494の外径よりも大きくなっている。なお、本実施の形態では、第2絶縁部材52として、上記第1絶縁部材51と同一寸法のものを用いている。
【0047】
〔支持部材〕
支持部材53は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。支持部材53は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されている。支持部材53は、先端外部筐体31の内側であって、その先端側が加圧部材49の内側に配置されている。ただし、支持部材53の後端側は、加圧部材49の後端から飛び出した状態となっている。そして、支持部材53の先端側の面が、後端絶縁部材45の後端側の面と接触するようになっている。また、支持部材53と加圧部材49との境界部には、外周面の一周にわたってレーザ溶接が施されている。支持部材53の内部には、第1コイルバネ46の後端側と、伝導部材47および保持部材48の各先端側とが収容されている。支持部材53の外径は、加圧部材49に設けられた貫通孔の内径よりもわずかに小さい。また、支持部材53に設けられた貫通孔の内径は、保持部材48における先端部の外径よりもわずかに大きい。
【0048】
〔第2コイルバネ〕
第2コイルバネ54は、全体として螺旋状を呈する部材であって、中心線方向に伸縮するようになっている。第2コイルバネ54は、導電性を有するとともに耐熱性が高いステンレス等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。このように、本実施の形態では、第1コイルバネ46と第2コイルバネ54とで、材質を異ならせている。第2コイルバネ54は、先端外部筐体31の内側に配置されている。より具体的に説明すると、第2コイルバネ54の先端側は、支持部材53の後端側且つ外周面の外側に配置されており、その先端が、加圧部材49における第4筒状部494の後端側の面と接触するようになっている。第2コイルバネ54の内側には、伝導部材47、保持部材48および支持部材53と、第1収容部材55の先端側とが配置されている。第2コイルバネ54の外径は、先端外部筐体31の内径よりも小さくなっている。また、第2コイルバネ54の内径は、支持部材53の外径よりも大きくなっている。
【0049】
〔第1収容部材〕
図6(a)は、圧力検出装置20に設けられた第1収容部材55の斜視図を示している。図6(a)では、図中左下側が先端側であり、図中右上側が後端側である。ここでは、図2乃至図5に加えて図6(a)も参照しながら、第1収容部材55に関する説明を行う。
【0050】
第1収容部材55は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。第1収容部材55は、導電性を有する真ちゅうやステンレス等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。
【0051】
第1収容部材55は、最も先端側に位置する第1先端部551と、第1先端部551の後端側に位置する第1中間部552と、第1中間部552の後端側に位置する第1後端部553とを有している。第1収容部材55では、第1先端部551よりも第1中間部552の外径が大きくなっており、両者の境界部には、第1先端段差部554が形成されている。また、第1中間部552よりも第1後端部553の外径が大きくなっており、両者の境界部には、第1後端段差部555が形成されている。第1収容部材55は、先端外部筐体31の内側に配置されている。より具体的に説明すると、第1収容部材55の先端側すなわち第1先端部551の先端側は、支持部材53の後端側と対峙しており、第1先端部551の外周面の外側には、第2コイルバネ54が対峙している。そして、第1収容部材55における第1先端段差部554の先端側の面には、第2コイルバネ54の後端が突き当たっている。その結果、第2コイルバネ54は、加圧部材49と第1収容部材55とに挟まれることで、中心線方向に圧縮された状態となっている。第1収容部材55に設けられた貫通孔の内部には、伝導部材47および保持部材48の先端部が収容されている。第1収容部材55における第1先端部551、第1中間部552および第1後端部553の各外径は、先端外部筐体31の内径よりも小さくなっている。また、第1先端部551の外径は、第2コイルバネ54の内径よりも小さくなっており、第1中間部552の外径は、第2コイルバネ54の内径よりも大きくなっている。さらに、第1収容部材55の内径は、保持部材48の外径よりも大きくなっている。
【0052】
〔第2収容部材〕
図6(b)は、圧力検出装置20に設けられた第2収容部材56の斜視図を示している。図6(b)では、図中左下側が先端側であり、図中右上側が後端側である。ここでは、図2乃至図5に加えて図6(b)も参照しながら、第2収容部材56に関する説明を行う。
【0053】
第2収容部材56は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。第2収容部材56は、上記第1収容部材55と同様に、導電性を有する真ちゅうやステンレス等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。
【0054】
第2収容部材56は、最も先端側に位置する第2先端部561と、第2先端部561の後端側に位置する第2中間部562と、第2中間部562の後端側に位置する第2後端部563とを有している。第2収容部材56では、第2先端部561よりも第2中間部562の外径が大きくなっており、両者の境界部には、第2先端段差部564が形成されている。また、第2中間部562よりも第2後端部563の外径が大きくなっており、両者の境界部には、第2後端段差部565が形成されている。さらに、第2後端部563には、その外周面(外面の一例)と内周面(内面の一例)とを貫く円形状の丸穴566(穴の一例)が形成されている。第2収容部材56は、先端外部筐体31の内側と中間外部筐体33の内側とに跨がって配置されている。より具体的に説明すると、第2収容部材56の先端側すなわち第2先端部561の先端側は、第1収容部材55の第1後端部553内に収容されており、第2先端段差部564の先端側の面が、第1後端部553の後端側の面と接触するようになっている。また、第2収容部材56に設けられた貫通孔の内部には、保持部材48の中間部および後端部が収容されている。第2収容部材56における第2先端部561、第2中間部562および第2後端部563の各外径は、それぞれに対峙する先端外部筐体31および中間外部筐体33の内径よりも小さくなっている。また、第2収容部材56の内径は、保持部材48の外径よりも大きくなっている。さらに、第2収容部材56における第2先端部561の外径は、第1収容部材55における第1後端部553の内径よりもわずかに大きくなっており、第1収容部材55と第2収容部材56とは、圧入(しまりばめ)により一体化している。なお、第2収容部材56は、単独で収容部材として機能する場合と、第1収容部材55とともに収容部材として機能する場合とがある。
【0055】
〔回路内蔵部材〕
回路内蔵部材57は、特に図3に示すように、圧電素子41が出力する微弱な電荷による電気信号に、電子回路を用いた各種処理を施す回路基板91と、回路基板91を内部に収容することで回路基板91を封止する封止部92とを備えている。回路内蔵部材57は、中間外部筐体33の内側であって、後端側の一部を除くほぼ全域が、第2収容部材56の内側に配置されている。また、回路内蔵部材57の先端側は、保持部材48の後端側に設けられた凹部にはめ込まれるようになっている。そして、回路内蔵部材57の先端側に設けられた金属板(詳細は後述する)が、伝導部材47の後端側と接触するようになっている。また、回路内蔵部材57の外周面に設けられた金属板(詳細は後述する)が、第2収容部材56の内周面と接触するようになっている。なお、回路内蔵部材57の詳細については後述する。
【0056】
〔接続部材〕
接続部材58は、全体として柱状を呈する部材である。接続部材58は、絶縁性を有するPPT等の合成樹脂材料によって構成された基材と、導電性を有する銅等の金属材料で構成された配線および端子等を含んでいる。接続部材58は、中間外部筐体33の内側と後端外部筐体34の内側とに跨がって配置されている。なお、接続部材58のうち、中間外部筐体33あるいは後端外部筐体34と対峙する部位(外周面)は、合成樹脂材料で構成されており、この部位に金属材料を露出させないようにしている。接続部材58の先端側には、回路内蔵部材57の後端側が対峙しており、回路内蔵部材57に設けられた金属板(詳細は後述する)が、接続部材58に設けられた端子にはめ込まれるようになっている。また、接続部材58の後端側には、接続ケーブル80を構成する電源線81、信号線82および接地線83(これらの詳細は後述する)の先端側に露出するそれぞれの導体部が挿入されている。接続部材58の外径は、中間外部筐体33の後端側の内径よりもわずかに大きくなっており、中間外部筐体33と接続部材58とは、圧入(しまりばめ)により一体化している。
【0057】
〔閉塞部材〕
閉塞部材59は、全体として柱状を呈する部材である。ただし、閉塞部材59には、中心線方向に沿って3つの貫通孔が形成されている。閉塞部材59は、絶縁性を有するゴム材料で構成されている。閉塞部材59は、その先端側が後端外部筐体34の内側に配置され、その後端側が後端外部筐体34の後端よりも外側に飛び出している。閉塞部材59の先端側は、接続部材58の後端側と対峙している。また、閉塞部材59に設けられた3つの貫通孔には、上述した電源線81、信号線82および接地線83が挿入されている。閉塞部材59の外径は、後端外部筐体34の後端側の内径よりもわずかに大きくなっており、後端外部筐体34と閉塞部材59とは、圧入(しまりばめ)により一体化している。
【0058】
〔第3絶縁部材〕
第3絶縁部材60は、中空構造を有し且つ全体として筒状を呈する部材である。ただし、第3絶縁部材60は、先端側に設けられた円筒状の部位と、後端側に設けられた円環状部の部位とを一体化した構造を有している。第3絶縁部材60は、絶縁性を有するとともに耐熱性が高いアルミナ等のセラミックス材料によって構成されている。第3絶縁部材60は、先端外部筐体31の内側と中間外部筐体33の内側とに跨がって配置されている。より具体的に説明すると、第3絶縁部材60の先端側は、先端外部筐体31の内側に配置されており、第3絶縁部材60の後端側は、中間外部筐体33の内側に配置されている。そして、第3絶縁部材60における円筒状の部位の外周面は、先端外部筐体31における後端側の内周面と対峙している。また、第3絶縁部材60における円環状の部位の先端側の面は、先端外部筐体31の後端側の面と接触するようになっている。一方、第3絶縁部材60における円筒状部の部位の内周面は、第1収容部材55における第1後端部553の外周面と、第2収容部材56における第2中間部562の外周面とに対峙している。また、第3絶縁部材60における円環状の部位の後端側の面は、第2収容部材56における第2後端段差部565の先端側の面と接触するようになっている。第3絶縁部材60における円筒状の部位の外径は、先端外部筐体31における後端側の内径よりも小さくなっている。また、第3絶縁部材60における円環状の部位の外径は、中間外部筐体33の先端側の内径よりも小さくなっている。一方、第3絶縁部材60における円筒状の部位の内径は、第1収容部材55における第1後端部553の外径および第2収容部材56における第2中間部562の外径よりも大きくなっている。また、第3絶縁部材60における円環状の部位の内径は、第2収容部材56における第2中間部562の外径よりも大きくなっている。
【0059】
(シール部の構成)
シール部70は、特に図2および図3に示すように、相対的に先端側に位置する第1シール部材71と、相対的に後端側に位置する第2シール部材72とを備えている。
【0060】
〔第1シール部材〕
第1シール部材71は、全体として環状を呈する部材であり、この例では、断面が四角形状を呈する角リングで構成されている。第1シール部材71は、絶縁性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いPTFE等の合成樹脂材料によって構成されている。そして、第1シール部材71は、筐体部30を構成する先端外部筐体31の外周面に取り付けられている。
【0061】
〔第2シール部材〕
第2シール部材72は、全体として環状を呈する部材であり、この例では、断面が円形状を呈するOリングで構成されている。第2シール部材72も、絶縁性を有するとともに耐熱性および耐酸性が高いPTFE等の合成樹脂材料によって構成されている。そして、第2シール部材72は、筐体部30を構成する後端外部筐体34の外周面に取り付けられている。
【0062】
[接続ケーブルの構成]
接続ケーブル80は、撚り合わせられた電源線81、信号線82および接地線83と、これら電源線81、信号線82および接地線83の外周を覆う被覆部材(図示せず)とを備えている。ここで、電源線81、信号線82および接地線83は、それぞれ、錫メッキ軟銅撚り線で構成された導体部と、シリコンゴム等で構成されるとともに導体部の外周を被覆して絶縁する絶縁部とを有している。また、被覆部材は、絶縁性を有するゴム材料または樹脂材料で構成されている。なお、接続ケーブル80には、必要に応じて、電源線81、信号線82および接地線83を遮へいする遮へい体を設けてもかまわない。
【0063】
[回路内蔵部材の構成]
次に、上述した回路内蔵部材57の詳細について説明を行う。
図7は、圧力検出装置20に設けられた回路内蔵部材57の斜視図である。また、図8は、金属板に折り曲げ加工が施される前(詳細は後述する)の回路内蔵部材57の斜視図である。さらに、図9は、回路内蔵部材57の断面図(図7のIX-IX断面図)である。図7および図8では、図中左下側が先端側であり、図中右上側が後端側である。また、図9では、図中左側が先端側であり、図中右側が後端側である。
【0064】
回路内蔵部材57は、上述したように、回路基板91と封止部92とを備えている。また、回路内蔵部材57は、入力信号板93と、入力接地板94と、受電板95と、出力信号板96と、出力接地板97とをさらに備えている。
【0065】
(回路基板)
図10は、回路内蔵部材57に設けられた回路基板91の概略構成図である。ただし、図10は、回路基板91と、入力信号板93、入力接地板94、受電板95、出力信号板96および出力接地板97との接続関係も、併せて示している。
【0066】
回路基板91は、全体として矩形の板状を呈する部材である。回路基板91は、各種電子部品(回路素子)を実装するための配線パターンが形成されたプリント配線基板911と、プリント配線基板911に実装された処理回路912とを有している。
【0067】
本実施の形態では、プリント配線基板911として、ガラス布基材エポキシ樹脂をベースとした所謂ガラエポ基板を用いている。そして、プリント配線基板911には、入出力用の端子として、入力信号端子91a、入力接地端子91b、受電端子91c、出力信号端子91dおよび出力接地端子91eが設けられている。
【0068】
ここで、入力信号端子91aには、入力信号板93を介して、圧力検出装置20における正の経路(詳細は後述する)が接続され、入力接地端子91bには、入力接地板94を介して、圧力検出装置20における負の経路(詳細は後述する)が接続される。これに対し、受電端子91cには、受電板95を介して電源線81が接続され、出力信号端子91dには、出力信号板96を介して信号線82が接続され、出力接地端子91eには、出力接地板97を介して接地線83が接続される。なお、プリント配線基板911では、入力接地端子91bと出力接地端子91eとが、内部で接続されている。
【0069】
また、処理回路912は、圧電素子41から入力信号端子91aを介して入力されてくる電荷信号を積分して電圧信号に変換する積分回路912aと、変換後の電圧信号を増幅して出力信号端子91dに出力する増幅回路912bとを有している。ここで、積分回路912aおよび増幅回路912bには、受電端子91cを介して、これらを動作させるための電源電圧が供給される。また、積分回路912aおよび増幅回路912bのグランドは、入力接地端子91bおよび出力接地端子91eに接続される。なお、この例において、処理回路912は、所謂集積回路(IC)で構成されている。
【0070】
(封止部)
封止部92は、全体として柱状を呈する部材である。封止部92は、絶縁性を有するエポキシ等の合成樹脂材料によって構成されている。封止部92は、最も先端側に位置する小径部921と、小径部921の後端側に位置する中径部922と、中径部922の後端側に位置する大径部923とを備えている。封止部92では、小径部921、中径部922および大径部923の順で、外径が大きくなっている。また、小径部921、中径部922および大径部923は、それぞれ、多角形状(例えば八角形)の断面形状を有している。ここで、本実施の形態では、封止部92における中径部922の内部に、回路基板91が収容されている。
【0071】
また、中径部922には、表面922aと、表面922aの裏側に位置する裏面922bとが設けられている。ここで、これら表面922aおよび裏面922bは、回路基板91におけるプリント配線基板911の表面および裏面と、ほぼ平行な位置関係を有している。そして、表面922aにおける後端側には、複数の突起を連ねてなる表面突起群924が設けられている。一方、裏面922bにおける後端側にも、複数の突起を連ねてなる裏面突起群925が設けられている。表面突起群924は、表面第1突起924a(突起の一例)と、表面第1突起924aの後端側に位置する表面第2突起924bとを備えている。また、裏面突起群925は、裏面第1突起925a(他の突起の一例)と、裏面第1突起925aの後端側に位置する裏面第2突起925bとを備えている。ここで、裏面第1突起925aは、表面第1突起924aの裏側に位置しており、裏面第2突起925bは、表面第2突起924bの裏側に位置している。そして、表面第1突起924a、表面第2突起924b、裏面第1突起925aおよび裏面第2突起925bは、それぞれ、先端側から後端側に向かって外径を増大させるように傾斜する傾斜面と、傾斜面の後端側にて、先端側から後端側に向かって外径を一定にする平坦面とを連ねた形状を有している。ここで、表面922aに対する表面第1突起924aおよび表面第2突起924bの各高さと、裏面922bに対する裏面第1突起925aおよび裏面第2突起925bの各高さとは、同じ大きさに設定されている。そして、中径部922における、表面第2突起924bから裏面第2突起925bに至る外径の大きさは、大径部923の外径よりも小さくなっている。また、小径部921および中径部922における先端側の各外径の大きさは、第2収容部材56における第2後端部563の内径の大きさよりも小さくなっている。さらに、中径部922における表面第1突起924aから裏面第1突起925aに至る外径の大きさも、上記第2後端部563の内径の大きさよりも小さくなっている。これに対し、大径部923の外径の大きさは、上記第2後端部563の内径の大きさよりもわずかに大きくなっている。
【0072】
(入力信号板)
入力信号板93は、全体として板状(短冊状)を呈する部材である。入力信号板93は、導電性および弾性を有する真ちゅう等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。入力信号板93は、封止部92における小径部921の先端側の面から、先端側に突出して配置されている。ただし、入力信号板93の後端側は、封止部92の内部に配置され、封止部92を用いて固定されている。そして、入力信号板93の先端側は、図7において上方を向くように折り曲げられている。入力信号板93は、伝導部材47の後端側と接触するようになっている。
【0073】
(入力接地板)
導電部の一例としての入力接地板94は、全体として板状(F字状)を呈する部材である。入力接地板94も、導電性および弾性を有する真ちゅう等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。入力接地板94は、封止部92における中径部922の外周面(表面922aおよび裏面922b以外)から、それぞれ側方に突出して設けられる第1突出部941および第2突出部942と、これら第1突出部941および第2突出部942と連結される本体部943とを備えている。ただし、第1突出部941および第2突出部942の各一端側は、封止部92の内部に配置され、封止部92を用いて固定されている。ここで、第2突出部942は、第1突出部941の後端側に配置されている。また、本体部943は、先端側から後端側に向かって延びる短冊状の形状を有している。そして、第1突出部941および第2突出部942は、図7において上方側に向かい、中径部922の外周面の形状に沿って折り曲げられており、本体部943が、表面922aに設けられた表面突起群924と対峙するようになっている。ここで、中径部922における表面第1突起924aから裏面第1突起925aに至る外径に、入力接地板94における本体部943の厚さを加味した外径の大きさは、第2収容部材56における第2後端部563の内径の大きさよりもわずかに大きくなっている。また、この例において、図10に示す処理回路912は、実際には、電源に関する接地系統と、信号に関する接地系統等とが分離されており、電源に関する接地系統は第1突出部941に、信号に関する接地系統は第2突出部942に、それぞれ接続されている。入力接地板94の本体部943は、第2収容部材56の内周面と接触するようになっている。
【0074】
(受電板)
受電板95は、全体として板状(短冊状)を呈する部材である。受電板95も、導電性および弾性を有する真ちゅう等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。受電板95は、封止部92における大径部923の後端側の面から、後端側に突出して配置されている。ただし、受電板95の先端側は、封止部92の内部に配置され、封止部92を用いて固定されている。そして、受電板95の後端側は、図7において上方を向くように折り曲げられている。受電板95は、接続部材58を介して電源線81と接続されるようになっている。
【0075】
(出力信号板)
出力信号板96は、全体として板状(短冊状)を呈する部材である。出力信号板96も、導電性および弾性を有する真ちゅう等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。出力信号板96は、封止部92における大径部923の後端側の面から、後端側に突出して配置されている。ただし、出力信号板96の先端側は、封止部92の内部に配置され、封止部92を用いて固定されている。また、出力信号板96は、受電板95に隣接して配置されている。そして、出力信号板96の後端側は、図7において下方を向くように折り曲げられている。出力信号板96は、接続部材58を介して信号線82と接続されるようになっている。
【0076】
(出力接地板)
出力接地板97は、全体として板状(短冊状)を呈する部材である。出力接地板97も、導電性および弾性を有する真ちゅう等の金属材料によって構成されており、その表面には金めっきが施されている。出力接地板97は、封止部92における大径部923の後端側の面から、後端側に突出して配置されている。ただし、出力接地板97の先端側は、封止部92の内部に配置され、封止部92を用いて固定されている。また、出力接地板97は、出力信号板96に隣接して配置されている。そして、出力接地板97の後端側は、図7において上方を向くように折り曲げられている。出力接地板97は、接続部材58を介して接地線83と接続されるようになっている。
【0077】
[圧力検出装置における電気的な接続構造]
ここで、圧力検出装置20における電気的な接続構造について説明を行う。
(正の経路)
圧力検出装置20において、圧電素子41の後端側の端面(正極:一方の極の一例)は、後端電極部材44、第1コイルバネ46および伝導部材47と電気的に接続される。また、伝導部材47は、回路内蔵部材57に設けられた入力信号板93と電気的に接続される。そして、入力信号板93は、同じ回路内蔵部材57に設けられた回路基板91の入力信号端子91aと電気的に接続される。以下では、圧電素子41の後端側の面から、後端電極部材44、第1コイルバネ46、伝導部材47および入力信号板93を介して、回路基板91の入力信号端子91aに至る電気的な経路を、『正の経路』と称する。
【0078】
(負の経路)
一方、圧力検出装置20において、圧電素子41の先端側の端面(負極:他方の極の一例)は、先端電極部材42、加圧部材49および支持部材53と電気的に接続される。また、加圧部材49は、第2コイルバネ54、第1収容部材55、第2収容部材56および回路内蔵部材57に設けられた入力接地板94と電気的に接続される。そして、入力接地板94は、同じ回路内蔵部材57に設けられた回路基板91の入力接地端子91bと電気的に接続される。以下では、圧電素子41の先端側の面から、先端電極部材42、加圧部材49、支持部材53、第2コイルバネ54、第1収容部材55、第2収容部材56および入力接地板94を介して、回路基板91の入力接地端子91bに至る電気的な経路を、『負の経路』と称する。
【0079】
(筐体経路)
他方、圧力検出装置20において、ダイアフラムヘッド32は、先端外部筐体31、中間外部筐体33および後端外部筐体34と電気的に接続される。また、ダイアフラムヘッド32は、第1内部筐体35および第2内部筐体36と電気的に接続される。以下では、第2内部筐体36から、第1内部筐体35、ダイアフラムヘッド32、先端外部筐体31、中間外部筐体33および後端外部筐体34に至る電気的な経路を、『筐体経路』と称する。なお、圧力検出装置20を、図1に示す内燃機関10のシリンダヘッド13に取り付けた場合、例えば先端外部筐体31が、連通孔13aの内周面に接触する。このとき、シリンダヘッド13(およびシリンダブロック11)と筐体経路とは、略同電位となる。
【0080】
(正の経路と負の経路との関係)
ここで、本実施の形態の圧力検出装置20では、正の経路の外側に負の経路が存在している。換言すれば、負の経路の内部に正の経路が収容されている。そして、正の経路と負の経路とは、後端絶縁部材45、保持部材48、絶縁パイプ50および両経路の間に形成されるエアギャップによって、電気的に絶縁されている。
【0081】
(負の経路と筐体経路との関係)
また、圧力検出装置20では、負の経路の外側に筐体経路が存在している。換言すれば、筐体経路の内部に負の経路が収容されている。そして、負の経路と筐体経路とは、先端絶縁部材43、第1絶縁部材51、第2絶縁部材52、第3絶縁部材60および両経路の間に形成されるエアギャップによって、電気的に絶縁されている。
【0082】
(筐体経路と正の経路との関係)
さらに、圧力検出装置20では、結果として、正の経路の外側に筐体経路が存在している。換言すれば、筐体経路の内部に正の経路が収容されている。そして、上述したように、正の経路と負の経路とが電気的に絶縁され、且つ、負の経路と筐体経路とが電気的に絶縁されることにより、筐体経路と正の経路とが、電気的に絶縁されていることになる。
【0083】
[回路内蔵部材の製造手順]
では、図7乃至図9を参照しながら、回路内蔵部材57の製造手順について説明を行う。
最初に、回路基板91に対し、入力信号板93、入力接地板94、受電板95、出力信号板96および出力接地板97を位置決めし且つ接続することで、接続体を得る。
【0084】
次に、上記接続体を、トランスファモールド装置にセットし、絶縁性を有する合成樹脂材料(ここではエポキシ樹脂)にてトランスファモールドを行うことで、封止部92を形成し、その後トランスファモールド装置から取り出す。トランスファモールド装置から取り出された回路内蔵部材57は、図8に示す状態となっており、入力信号板93、入力接地板94、受電板95、出力信号板96および出力接地板97の各端部が、封止部92から平坦な状態で突出している。
【0085】
続いて、図8に示す回路内蔵部材57のうち、封止部92から突出している入力信号板93、入力接地板94、受電板95、出力信号板96および出力接地板97のそれぞれに対し、折り曲げ加工を施す。これにより、図7等に示す回路内蔵部材57が得られる。
【0086】
[圧力検出装置の製造手順]
続いて、図2乃至図10を参照しながら、上述した圧力検出装置20の製造手順について説明を行う。
(第1構造体の組立)
最初に、第1筒状部491を先端側とし、第4筒状部494を後端側とする加圧部材49内に、後端側から、絶縁パイプ50を挿入する。このとき、絶縁パイプ50の先端側の面が、加圧部材49の内部に設けられた第4段差部498の後端側の面に突き当たる。これにより、絶縁パイプ50の外周面は、加圧部材49の内周面と対峙する。
【0087】
次に、加圧部材49に対し、後端側から、先端電極部材42、圧電素子41、後端電極部材44および後端絶縁部材45を、この順で挿入する。このとき、先端電極部材42の先端側の面が、加圧部材49の内部に設けられた第4段差部498の後端側の面に突き当たる。また、先端電極部材42の後端側の面には圧電素子41の先端側の面が、圧電素子41の後端側の面には後端電極部材44の先端側の面が、後端電極部材44の後端側の面には後端絶縁部材45の先端側の面が、それぞれ突き当たる。これにより、先端電極部材42、圧電素子41、後端電極部材44および後端絶縁部材45のそれぞれの外周面は、絶縁パイプ50の内周面と対峙する。
【0088】
続いて、加圧部材49に対し、後端側から、支持部材53を挿入する。このとき、支持部材53の先端側の面が、後端絶縁部材45の後端側の面に突き当たる。これにより、支持部材53の先端側の外周面は、加圧部材49の内周面と対峙する。また、支持部材53の後端側は、加圧部材49の後端よりも外側(後端側)に飛び出している。
【0089】
次いで、加圧部材49に対し、中心線方向に沿って支持部材53を移動(進退)させることで、各部材を介して圧電素子41にかかる荷重を調整する。そして、荷重の調整がなされた状態で、加圧部材49と支持部材53との境界部に、一周にわたってレーザ溶接を行うことで、第1構造体を得る。
【0090】
(第2構造体の組立)
また、第1構造体の製造とは別工程にて、ダイアフラムヘッド32の裏面すなわち後端側と、第1内部筐体35の先端側とを対峙させる。続いて、ダイアフラムヘッド32における裏面環状凸部32fの後端側の面に、第1内部筐体35における第1外側段差部353の先端側の面を突き当てる。これに伴い、第1内部筐体35の第1先端筒状部351は、ダイアフラムヘッド32の裏面環状凹部32c内に配置される。そして、この状態で、ダイアフラムヘッド32と第1内部筐体35との境界部に、一周にわたってレーザ溶接を行うことで、第2構造体を得る。
【0091】
(第3構造体の組立)
次に、第2構造体の第1内部筐体35に、後端側から、先端絶縁部材43を挿入する。このとき、先端絶縁部材43の先端側の面が、ダイアフラムヘッド32における裏面中央凸部32dの後端側の面に突き当たる。
【0092】
続いて、第2構造体の第1内部筐体35に、後端側から、第1絶縁部材51を挿入する。このとき、第1絶縁部材51の先端側の面が、第1内部筐体35における第1内側段差部354の後端側の面に突き当たる。これにより、第1絶縁部材51の外周面は、第1内部筐体35における後端側の内周面と対峙する。
【0093】
次いで、第2構造体の第1内部筐体35に、後端側から、先端電極部材42を先端側として第1構造体を挿入する。このとき、先端絶縁部材43の後端側の面に、先端電極部材42の先端側の面が突き当たり、且つ、第1絶縁部材51の後端側の面に、加圧部材49における第2段差部496の先端側の面が突き当たる。これにより、加圧部材49における第2筒状部492の外周面は、第1絶縁部材51の内周面と対峙する。なお、このとき、加圧部材49における先端側(第1筒状部491側)の外周面と、ダイアフラムヘッド32および第1内部筐体35の内周面との間には、エアギャップが形成される。また、このとき、加圧部材49における第1段差部495の先端側の面と、第1内部筐体35における第1内側段差部354の後端側の面との間にも、エアギャップが形成される。さらに、このとき、加圧部材49における第3筒状部493の外周面と、第1内部筐体35の内周面との間にも、エアギャップが形成される。さらにまた、このとき、加圧部材49における第4筒状部494の後端側は、第1内部筐体35の後端よりも外側(後端側)に飛び出している。
【0094】
それから、第2構造体の第1内部筐体35内に、後端側から、第2絶縁部材52を挿入する。このとき、第2絶縁部材52の先端側の面が、加圧部材49における第3段差部497の後端側の面に突き当たる。これにより、第2絶縁部材52の内周面は、加圧部材49における第4筒状部494の外周面と対峙する。また、第2絶縁部材52の外周面は、第1内部筐体35の内周面と対峙する。
【0095】
次に、第2構造体の第1内部筐体35内に、後端側から、第2先端筒状部361を先端側として第2内部筐体36を挿入する。このとき、第2内部筐体36における第2先端筒状部361の先端側の面が、第2絶縁部材52の後端側の面に突き当たる。これにより、第2内部筐体36の内周面は、エアギャップを介して、加圧部材49における第4筒状部494の外周面と対峙する。また、第2内部筐体36における先端側の外周面は、第1内部筐体35における後端側の内周面と対峙する。さらに、第2内部筐体36の第2後端筒状部362は、第1内部筐体35の後端よりも外側(後端側)に飛び出している。これにより、第2内部筐体36における第2外側段差部363の先端側の面は、第1内部筐体35における第1後端筒状部352の後端側の面と、エアギャップを介して対峙する。
【0096】
続いて、第1内部筐体35に対し、中心線方向に沿って第2内部筐体36を移動(進退)させることで、各部材を介して圧電素子41にかかる荷重を調整する。そして、荷重の調整がなされた状態で、第1内部筐体35と第2内部筐体36との境界部に、一周にわたってレーザ溶接を行うことで、第3構造体を得る。
【0097】
(第4構造体の組立)
次いで、第3構造体に対し、後端側から、先端外部筐体31を挿入する。このとき、先端外部筐体31における先端側の面が、ダイアフラムヘッド32における裏面環状平坦部32eの後端側の面に突き当たる。また、このとき、第3構造体におけるダイアフラムヘッド32以外の各構成要素は、先端外部筐体31の内部に収容される。さらに、このとき、第3構造体を構成するダイアフラムヘッド32は、圧力受面32aおよび表面中央凹部32bを外側に向けた状態で、先端外部筐体31とともに外部に露出する。そして、この状態で、先端外部筐体31とダイアフラムヘッド32との境界部に、一周にわたってレーザ溶接を行うことで、第4構造体を得る。
【0098】
(第5構造体の組立)
また、第4構造体の製造とは別工程にて、保持部材48内に、後端側から、先端棒状部471を先端側として伝導部材47を挿入する。このとき、伝導部材47における先端棒状部471および中間棒状部472と、後端棒状部473の先端側とが、保持部材48の先端側に飛び出すようにする。これにより、伝導部材47における後端棒状部473の後端側は、保持部材48の内周面と対峙する。続いて、保持部材48の後端側に設けられた凹部に対し、後端側から、封止部92の小径部921を先端側として回路内蔵部材57をはめ込むことで、第5構造体を得る。このとき、伝導部材47における後端棒状部473の後端には、回路内蔵部材57に設けられた入力信号板93が接触する。
【0099】
(第6構造体の組立)
次に、第4構造体の先端外部筐体31に、後端側から、第3絶縁部材60を挿入する。このとき、第3絶縁部材60の後端側に設けられた円環状部の部位の先端側の面が、先端外部筐体31の後端側の面に突き当たる。これにより、第3絶縁部材60の先端側に設けられた円筒状の部位の外周面は、先端外部筐体31の内周面と対峙する。
【0100】
続いて、第4構造体の先端外部筐体31に、後端側から、第2コイルバネ54を挿入するとともに、第1先端部551を先端側として第1収容部材55を挿入する。このとき、第2コイルバネ54の先端は、加圧部材49における第4筒状部494の後端側の面に突き当たる。また、第1収容部材55の第1先端部551は、第2コイルバネ54の後端側の内部に収容され、第1先端段差部554の先端側の面に、第2コイルバネ54の後端が突き当たる。これに伴い、第2コイルバネ54は中心線方向に圧縮される。また、これにより、第2コイルバネ54および第1収容部材55の外周面は、エアギャップを介して、先端外部筐体31の内周面と対峙する。ただし、第1収容部材55における第1後端部553の外周面は、第3絶縁部材60を介して先端外部筐体31の内周面と対峙する。
【0101】
次いで、第4構造体の先端外部筐体31に、後端側から、第2先端部561を先端側として第2収容部材56を挿入する。このとき、第2収容部材56の先端側に位置する第2先端部561は、第1収容部材55の後端側に設けられた第1後端部553の内部にはまり込む。また、このとき、第2収容部材56における第2後端段差部565の先端側の面が、第3絶縁部材60における円環状の部位の後端側の面に突き当たる。これにより、第2収容部材56における第2中間部562の外周面が、第3絶縁部材60における円筒状部の部位の内周面と対峙する。
【0102】
次に、第4構造体の先端外部筐体31に、後端側から、第1コイルバネ46を挿入する。このとき、第1コイルバネ46の先端は、後端絶縁部材45に設けられた貫通孔を介して、後端電極部材44における後端側の面に突き当たる。
【0103】
続いて、第4構造体の先端外部筐体31に、後端側から、伝導部材47の先端棒状部471を先端側として第5構造体を挿入する。
【0104】
このとき、第5構造体の先端側に露出する伝導部材47は、支持部材53に収容される。ただし、伝導部材47の先端棒状部471は、支持部材53よりも先端側に飛び出して第1コイルバネ46に収容される。このとき、伝導部材47に設けられた先端棒状部471と中間棒状部472との段差部の先端側の面が、第1コイルバネ46の後端に突き当たる。これに伴い、第1コイルバネ46は中心線方向に圧縮される。これにより、伝導部材47の先端側は、エアギャップを介して支持部材53と対峙する。
【0105】
また、第5構造体の中間側に位置する保持部材48は、支持部材53と第1収容部材55と第2収容部材56とに跨がって収容される。このとき、保持部材48に設けられた一方の段差部が、第1収容部材55における第1後端段差部555の裏側に設けられた段差に突き当たり、その段差部の後端側に設けられた他方の段差部が、第2収容部材56の第2後端段差部565の裏側に設けられた段差に突き当たる。これにより、保持部材48の外周面は、支持部材53、第1収容部材55および第2収容部材56の各内周面と対峙する。
【0106】
さらに、第5構造体の後端側に位置する回路内蔵部材57は、封止部92の小径部921および中径部922が第2収容部材56に収容される一方、最後端側となる大径部923は、第2収容部材56の後端よりも外側(後端側)に飛び出す。
【0107】
ここで、第2収容部材56に対する回路内蔵部材57の取付手順を、より具体的に説明する。
第4構造体に第5構造体を挿入する際、第2収容部材56に対し、後端側から、小径部921を先端側として回路内蔵部材57を挿入すなわち押し込んでいく。このとき、回路内蔵部材57は、小径部921および中径部922の順で、第2収容部材56における第2後端部563の内部に収容されていく。また、回路内蔵部材57における中径部922の外周面に取り付けられた入力接地板94も、中径部922とともに上記第2後端部563の内部に収容されていく。
【0108】
そして、回路内蔵部材57とともに第5構造体を構成する保持部材48の外周面が、上述したように第2収容部材56の内周面に突き当たることにより、第2収容部材56に対して回路内蔵部材57をこれ以上押し込めない状態となる。このとき、回路内蔵部材57における小径部921および中径部922(入力接地板94も含む)は、第2収容部材56における第2後端部563の内部に収容される一方、大径部923は、第2後端部563の後端よりも外側(後端側)に飛び出す。ただし、中径部922および本体部943の各最後端部は、第2後端部563の後端よりも外側(後端側)に、わずかに飛び出している場合がある。
【0109】
第2収容部材56に回路内蔵部材57を挿入していくとき、入力接地板94の本体部943は、その背後に位置する、中径部922の表面922aに設けられた表面第1突起924aおよび表面第2突起924bの形状(それぞれの先端側に傾斜面且つ後端側に平坦面)により、円滑に案内されていく。また、第2収容部材56に回路内蔵部材57を挿入していくとき、中径部922の裏面922bに設けられた裏面第1突起925aおよび裏面第2突起925bも、その形状(それぞれの先端側に傾斜面且つ後端側に平坦面)により、回路内蔵部材57の挿入を妨げにくくしている。
【0110】
また、第2収容部材56に回路内蔵部材57を挿入していくとき、F字状の形状を有する入力接地板94は、第2収容部材56との摩擦により、後端側に引っ張られる。このとき、入力接地板94に設けられた本体部943の後端は、中径部922と大径部923との間に形成される段差に突き当たり、それ以上後端側に引っ張られないようになっている。そして、中径部922に設けられた表面第2突起924bは、中径部922と大径部923との間に形成される段差に対する、入力接地板94に設けられた本体部943の後端の突き当てを補助している。これにより、第2収容部材56に回路内蔵部材57を挿入していく際に、入力接地板94の本体部913が、第2収容部材56の内周面との接触によってよじれ、第1突出部941や第2突出部942にて入力接地板94が切断されるのを抑制している。
【0111】
回路内蔵部材57を構成する入力接地板94が、第2収容部材56の第2後端部563に収容された状態で、中径部922の表面922aに設けられた表面突起群924は、入力接地板94の本体部943を、第2収容部材56における第2後端部563の内周面に向かって押す。このとき、表面突起群924の真裏すなわち裏面922bに設けられた裏面突起群925は、第2収容部材56における第2後端部563の内周面に突き当たっており、表面突起群924による、第2収容部材56における第2後端部563の内周面への本体部943の押し付けを補助している。また、本体部943とともに入力接地板94を構成する第1突出部941および第2突出部942は、これら自身が板ばねとして機能することにより、本体部943を、第2収容部材56における第2後端部563の内周面に向かって押す。さらに、中径部922における表面第1突起924aから裏面第1突起925aに至る外径に、入力接地板94の本体部943の厚さを加味した外径の大きさは、第2収容部材56における第2後端部563の内周面の内径の大きさよりもわずかに大きくなっている。このため、回路内蔵部材57に設けられた入力接地板94における本体部943の外周面は、第2収容部材56における第2後端部563の内周面に、ある程度の圧力にて押し付けられた状態で接触することになる。
【0112】
また、第2収容部材56における第2後端部563の内部に、回路内蔵部材57の中径部922および入力接地板94が収容された状態で、入力接地板94に設けられた本体部943は、第2後端部563に設けられた丸穴566に対峙する。すなわち、第2収容部材56の第2後端部563に設けられた丸穴566と、回路内蔵部材57の入力接地板94に設けられた本体部943とが、重なるようにする。換言すれば、第2収容部材56の第2後端部563に設けられた丸穴566から、回路内蔵部材57の入力接地板94に設けられた本体部943が見える状態にする。このとき、本体部943のうち、丸穴566から見える部位の背後には、中径部922の表面922aに設けられた表面第1突起924aの平坦面が位置している。また、表面第1突起924aの平坦面の背後には、中径部922の裏面922bに設けられた裏面第1突起925aの平坦面が位置している。その結果、本体部943のうち、丸穴566から見える部位は、丸穴566から見えない部位に比べて、より大きな圧力にて、第2収容部材56における第2後端部563の内周面に押し付けられることになる。
【0113】
そして、この状態で、丸穴566の形成部位にて、丸穴566を介して、第2収容部材56の第2後端部563(より具体的には、丸穴566の内周面)と、入力接地板94の本体部943とをはんだ付けすることで、第6構造体を得る。このとき、回路内蔵部材57の中径部922に設けられた表面第1突起924aは、はんだごて等によって入力接地板94が押された際に、入力接地板94が奥側(封止部92側)に引き込むことによって、はんだ付けが阻害されるのを抑制する。なお、入力接地板94における本体部943の最後端部が、第2収容部材56における第2後端部563の後端よりも外側(後端側)に、わずかに飛び出している場合にあっては、この部位において、さらに、第2収容部材56と入力接地板94の本体部943とをはんだ付けしてもかまわない。ここで、第2収容部材56と、回路内蔵部材57の入力接地板94とを接合(はんだ付け)しているのは、圧力検出装置20の装着対象が、稼働に伴って振動する内燃機関10であることに起因している。
【0114】
(第7構造体の組立)
次に、第6構造体の先端外部筐体31に、後端側から、中間外部筐体33を挿入する。このとき、中間外部筐体33の先端側の面が、先端外部筐体31の後端側の面に突き当たる。そして、先端外部筐体31と中間外部筐体33との境界部に、一周にわたってレーザ溶接を行うことで、第7構造体を得る。
【0115】
(第8構造体の組立)
ここでは詳細な説明を省略するが、後端外部筐体34、接続部材58、閉塞部材59、第2シール部材72、接続ケーブル80(電源線81、信号線82および接地線83)の接続および組み立てを行い、第8構造体を得る。
【0116】
(第9構造体の組立)
第7構造体の中間外部筐体33に、後端側から、第8構造体を挿入することで、第9構造体を得る。このとき、中間外部筐体33の後端側は、後端外部筐体34の先端側に収容される。また、このとき、接続部材58内で電源線81と接続される端子には、回路内蔵部材57に設けられた受電板95が挿入され、接続部材58内で信号線82と接続される端子には、回路内蔵部材57に設けられた出力信号板96が挿入され、接続部材58内で接地線83と接続される端子には、回路内蔵部材57に設けられた出力接地板97が挿入される。
【0117】
(圧力検出装置の組立)
最後に、第9構造体の先端外部筐体31に対し、先端側から、第1シール部材71を挿入する。このとき、第1シール部材71の後端側の面は、先端外部筐体31の後端側に設けられた段差部の先端側の面に突き当たる。これにより、第1シール部材71の内周面は、先端外部筐体31の外周面に対峙する。
以上により、接続ケーブル80と一体化させた圧力検出装置20が得られる。
【0118】
[圧力検出装置による圧力検出動作]
では、圧力検出装置20による圧力検出動作について説明を行う。
内燃機関10が動作しているとき、ダイアフラムヘッド32の圧力受面32aに、燃焼室C内で発生した圧力(燃焼圧)が付与される。ダイアフラムヘッド32では、圧力受面32aが受けた圧力が裏側の裏面中央凸部32dに伝達され、さらに裏面中央凸部32dから先端絶縁部材43を介して先端電極部材42へと伝達される。そして、先端電極部材42に伝達された圧力は、先端電極部材42と後端電極部材44とに挟まれた圧電素子41に作用し、圧電素子41では、受けた圧力に応じた電荷が生じる。圧電素子41に生じた電荷は、正の経路および負の経路を介して、回路基板91の入力信号端子91aおよび入力接地端子91bに電荷信号として供給される。回路基板91に供給された電荷信号は、回路基板91に実装された処理回路912にて各種処理が施されることで出力信号とされる。そして、回路基板91の出力信号端子91dから出力された出力信号は、接続部材58および接続ケーブル80を介して、制御装置100に送信される。
【0119】
[本実施の形態の効果]
本実施の形態の圧力検出装置20では、圧電素子41の正極側と接続される処理回路912を備えた回路基板91を、封止部92内に内蔵し且つ封止してなる回路内蔵部材57を用いるようにした。また、回路内蔵部材57における封止部92の側面に、圧電素子41の負極側と接続するための入力接地板94を設けた。そして、圧電素子41の負極側と接続される筒状の第2収容部材56内に、回路内蔵部材57を挿入することに伴い、第2収容部材56の内周面に、回路内蔵部材57の外周面に設けられた入力接地板94を突き当てるようにした。これにより、例えば外部から圧力検出装置20に衝撃が加えられた場合であっても、第2収容部材56と入力接地板94との離隔を抑制することができる。したがって、圧力検出装置20における圧電素子41と処理回路912との電気的な接続の信頼性を高めることができる。
【0120】
また、本実施の形態では、入力接地板94を、封止部92の側面から突出する第1突出部941および第2突出部942と、第1突出部941および第2突出部942に連結される本体部943とによって構成した。そして、第1突出部941および第2突出部942を、封止部92の外周面に沿って折り曲げ加工するようにした。その結果、第1突出部941および第2突出部942が板ばねとして機能することになり、入力接地板94に板ばねの機能を持たせない場合と比べて、第2収容部材56の内周面に対して、入力接地板94の本体部943を、より大きな押し付け力で突き当てることが可能になる。
【0121】
また、本実施の形態では、封止部92における入力接地板94の背面側に、側方に向かって突出する表面突起群924(表面第1突起924aおよび表面第2突起924b)を設けた。これにより、表面突起群924を設けない場合と比べて、第2収容部材56の内周面に対して、入力接地板94の本体部943を、より大きな押し付け力で突き当てることが可能になる。
【0122】
また、本実施の形態では、封止部92における表面突起群924の裏側に、側方に向かって突出する裏面突起群925(裏面第1突起925aおよび裏面第2突起925b)を設けた。これにより、裏面突起群925を設けない場合と比べて、第2収容部材56の内周面に対して、入力接地板94の本体部943を、より大きな押し付け力で突き当てることが可能になる。
【0123】
また、本実施の形態では、回路内蔵部材57を収容する第2収容部材56の側面に丸穴566を設けるとともに、この丸穴566の形成位置に、回路内蔵部材57に設けられた入力接地板94の本体部943を配置させるようにした。そして、第2収容部材56に設けられた丸穴566を介して、第2収容部材56と入力接地板94の本体部943とを、はんだ付けによって接合するようにした。これにより、第2収容部材56と入力接地板94とをはんだ付けしない場合と比べて、両者の接合強度を高めることができ、外部から衝撃を受けた際の第2収容部材56と入力接地板94との離隔をより抑制することができる。
【0124】
また、本実施の形態では、圧電素子41と回路基板91に設けられた処理回路912とを、第2収容部材56および第2収容部材56と接続される第1収容部材55の内部に設けられた伝導部材47を介して接続するようにした。そして、圧力検出装置20に、第1収容部材55および第2収容部材56を内部に収容するとともに、これら第1収容部材55および第2収容部材56と電気的に絶縁される筐体部30を設けた。これにより、例えば圧力検出装置20を内燃機関10に取り付けたときに、内燃機関10から筐体部30(筐体経路)に侵入してくる各種ノイズが、圧電素子41の電気経路(正の経路および負の経路)に侵入するのを抑制することができる。
【0125】
[その他]
なお、本実施の形態では、第2収容部材56と、回路内蔵部材57の入力接地板94に設けられた本体部943とを、はんだ付けによって接合していたが、これに限られるものではなく、例えばレーザ溶接等の接合手法を用いてもかまわない。
【0126】
また、本実施の形態では、負の経路と筐体経路とを分離していたが、これに限られるものではなく、筐体経路を負の経路として機能させるようにしてもよい。この場合は、例えば、ダイアフラムヘッド32と先端電極部材42とを直接に接触させるようにし、中間外部筐体33の内周面に、回路内蔵部材57に設けられた入力接地板94の外周面を突き当てるようにすればよい。なお、この場合は、例えば第1収容部材55および第2収容部材56は不要となる。
【符号の説明】
【0127】
1…圧力検出システム、10…内燃機関、20…圧力検出装置、30…筐体部、31…先端外部筐体、32…ダイアフラムヘッド、33…中間外部筐体、34…後端外部筐体、35…第1内部筐体、36…第2内部筐体、40…検出機構部、41…圧電素子、42…先端電極部材、43…先端絶縁部材、44…後端電極部材、45…後端絶縁部材、46…第1コイルバネ、47…伝導部材、48…保持部材、49…加圧部材、50…絶縁パイプ、51…第1絶縁部材、52…第2絶縁部材、53…支持部材、54…第2コイルバネ、55…第1収容部材、56…第2収容部材、57…回路内蔵部材、58…接続部材、59…閉塞部材、60…第3絶縁部材、70…シール部、80…接続ケーブル、91…回路基板、92…封止部、93…入力信号板、94…入力接地板、95…受電板、96…出力信号板、97…出力接地板、100…制御装置
図1
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