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特許7077221N-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミド及びその中間体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】N-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミド及びその中間体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 231/12 20060101AFI20220523BHJP
   C07C 235/06 20060101ALI20220523BHJP
   C07C 57/055 20060101ALN20220523BHJP
   C07C 51/56 20060101ALN20220523BHJP
   C07C 267/00 20060101ALN20220523BHJP
【FI】
C07C231/12
C07C235/06
C07C57/055 A
C07C51/56
C07C267/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018516197
(86)(22)【出願日】2017-11-21
(86)【国際出願番号】 JP2017041899
(87)【国際公開番号】W WO2018159028
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2020-11-20
(31)【優先権主張番号】P 2017038574
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】396020464
【氏名又は名称】株式会社エーピーアイ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】長濱 正樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 健太
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/069855(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/175665(WO,A1)
【文献】特開2002-363129(JP,A)
【文献】特開2000-191590(JP,A)
【文献】特開2005-170908(JP,A)
【文献】国際公開第2013/072933(WO,A1)
【文献】Macromolecular Rapid Communications,2004年02月10日,Volume 25, Issue 3,pp. 513-516
【文献】CHEMISCHE BERICHTE,1976年,Volume 109, Issue 6,pp. 1967-1975
【文献】Beilstein J. Org. Chem.,2014年10月24日,Volume 10,pp. 2480-2483
【文献】SYNTHESIS,2013年02月10日,Volume 45, Issue 24,pp. 3383-3386
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 231/12
C07C 235/06
C07C 57/055
C07C 51/56
C07C 267/00
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアクリル酸無水物とベンジルアミンとを、疎水性有機溶媒と水との混合溶媒中で反応させて、N-ベンジルアクリルアミドを得るアミド化工程;
N-ベンジルアクリルアミドと臭素とを溶媒中で反応させて、N-ベンジル-2,3-ジブロモプロピオン酸アミドを得る臭素化工程;及び
N-ベンジル-2,3-ジブロモプロピオン酸アミドとメタノールとを、塩基存在下、反応させて、N-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミドを得るメトキシ化工程;
をこの順に有することを特徴とするN-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミドの製造方法。
【請求項2】
前記アミド化工程に供するジアクリル酸無水物が、アクリル酸と縮合剤とを溶媒中で反応させて得られたものであることを特徴とする請求項1に記載のN-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミドの製造方法。
【請求項3】
前記アミド化工程において用いる前記の疎水性有機溶媒と水との混合溶媒中に塩基を存在させることを特徴とする、請求項1又は2に記載のN-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミドの製造方法。
【請求項4】
前記の疎水性有機溶媒と水との混合溶媒の水相に塩基を存在させることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のN-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミドの製造方法。
【請求項5】
ジアクリル酸無水物とベンジルアミンとを、疎水性有機溶媒と水との混合溶媒中で反応させて、N-ベンジルアクリルアミドを得るアミド化工程;及び
N-ベンジルアクリルアミドと臭素とを溶媒中で反応させて、N-ベンジル-2,3-ジブロモプロピオン酸アミドを得る臭素化工程;
をこの順に有することを特徴とするN-ベンジル-2,3-ジブロモプロピオン酸アミドの製造方法。
【請求項6】
前記アミド化工程に供するジアクリル酸無水物が、アクリル酸と縮合剤とを溶媒中で反応させて得られたものであることを特徴とする、請求項5に記載のN-ベンジル-2,3-ジブロモプロピオン酸アミドの製造方法。
【請求項7】
前記縮合剤が、カルボジイミド系縮合剤であることを特徴とする、請求項6に記載のN-ベンジル-2,3-ジブロモプロピオン酸アミドの製造方法。
【請求項8】
前記アミド化工程において用いる前記の疎水性有機溶媒と水との混合溶媒中に塩基を存在させることを特徴とする、請求項5~のいずれか1項に記載のN-ベンジル-2,3-ジブロモプロピオン酸アミドの製造方法。
【請求項9】
前記の疎水性有機溶媒と水との混合溶媒の水相に塩基を存在させることを特徴とする、請求項5~8のいずれか1項に記載のN-ベンジル-2,3-ジブロモプロピオン酸アミドの製造方法。
【請求項10】
ジアクリル酸無水物とベンジルアミンとを、疎水性有機溶媒と水との混合溶媒中で反応させて、N-ベンジルアクリルアミドを得るアミド化工程;
を有することを特徴とする、N-ベンジルアクリルアミドの製造方法。
【請求項11】
前記アミド化工程に供するジアクリル酸無水物が、アクリル酸と縮合剤とを溶媒中で反応させて得られたものであることを特徴とする、請求項10に記載のN-ベンジルアクリルアミドの製造方法。
【請求項12】
前記縮合剤がカルボジイミド系縮合剤であることを特徴とする、請求項11に記載のN-ベンジルアクリルアミドの製造方法。
【請求項13】
前記アミド化工程において用いる前記の疎水性有機溶媒と水との混合溶媒中に塩基を存在させることを特徴とする、請求項10~12のいずれか1項に記載のN-ベンジルアクリルアミドの製造方法。
【請求項14】
前記の疎水性有機溶媒と水との混合溶媒水相に塩基を存在させることを特徴とする、請求項10~13のいずれか1項に記載のN-ベンジルアクリルアミドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミド、及びその中間体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
N-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミド(以下、「BMBA」と称する場合がある。)は、抗てんかん剤の医薬として有用なラコサミドの合成中間体として利用されており、各種の製造方法が知られている。
【0003】
特許文献1には、2,3-ジブロモプロピオン酸アルキル又はその誘導体を出発原料として、中間体である2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸を合成している。更に、クロロギ酸アルキルを使用して、2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸から混合酸無水物を合成した後に、ベンジルアミンと反応させてBMBAを得る製造方法が開示されている。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の方法では、高価な2,3-ジブロモプロピオン酸アルキル又はその誘導体、及びクロロギ酸アルキルを使用しているため、工業的により安価な製造方法が望まれている。また、中間体である2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸は水への溶解度が高いため、その回収率を高くするためには、反応液を濃縮した後に、強酸性条件下、酢酸イソブチルを用いて、水相から複数回、抽出操作を行う必要があり、生産効率の面から工業的な製造方法として満足できるものではない。
【0005】
特許文献2には、アクリロニトリルを硫酸存在下でアクリルアミドへ誘導し、ベンジルアルコールと反応させて、中間体であるN-ベンジルアクリルアミドを合成している。そして、N-ベンジルアクリルアミドをBMBAへと誘導する製造方法が開示されている。
【0006】
しかし、特許文献2に記載の方法では、アクリロニトリルを原料兼溶媒として使用しなければならないため、工業的にバッチ反応プロセスで実施する場合には、アクリロニトリル及び生成するアクリルアミドの滞留時間が長くなり、意図しない重合反応が起きやすく、重合反応に伴う反応熱の制御が困難である。更に、余剰のアクリロニトリルを減圧濃縮によって留去する際に、無酸素状態や加熱条件下では重合反応が進みやすく、粘性の高い重合反応物によるコンデンサーの閉塞が起こるおそれがある。このため、工業的により安全な製造方法が望まれている。また、特許文献2の実施例1の結果から算出すると、ベンジルアルコールに対するN-ベンジル-2,3-ジブロモプロピオン酸アミドの収率は64%、ベンジルアルコールに対するBMBAの収率は62%に留まる。加えて、特許文献2に記載の方法では、濃硫酸を大量に使用するため、高級材質の反応器が必要となり、大量の強酸性の廃液の処理が必要となるため、より環境にやさしい製造方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2010/052011号
【文献】国際公開第2012/069855号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、N-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミドを、高収率で、安価且つ安全に製造可能な、工業的に優れた合成ルートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ジアクリル酸無水物とベンジルアミンと反応させて、N-ベンジルアクリルアミドを得る工程を経ることにより、高収率で、安価且つ安全にN-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミドを製造し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の具体的態様を提供する。
[1]ジアクリル酸無水物とベンジルアミンとを、疎水性有機溶媒と水との混合溶媒中で反応させて、N-ベンジルアクリルアミドを得るアミド化工程;N-ベンジルアクリルアミドと臭素とを溶媒中で反応させて、N-ベンジル-2,3-ジブロモプロピオン酸アミドを得る臭素化工程;及びN-ベンジル-2,3-ジブロモプロピオン酸アミドとメタノールとを、塩基存在下、反応させて、N-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミドを得るメトキシ化工程;をこの順に有することを特徴とするN-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミドの製造方法。
【0011】
[2]前記アミド化工程に供するジアクリル酸無水物が、アクリル酸と縮合剤とを溶媒中で反応させて得られたものであることを特徴とする[1]に記載のN-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミドの製造方法。
[3]前記アミド化工程において用いる前記の疎水性有機溶媒と水との混合溶媒中に塩基を存在させることを特徴とする、[1]又は[2]に記載のN-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミドの製造方法。
[4]前記の疎水性有機溶媒と水との混合溶媒の水相に塩基を存在させることを特徴とする、[1]~[3]のいずれか1項に記載のN-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミドの製造方法。
【0012】
[5]ジアクリル酸無水物とベンジルアミンとを、疎水性有機溶媒と水との混合溶媒中で反応させて、N-ベンジルアクリルアミドを得るアミド化工程;及びN-ベンジルアクリルアミドと臭素とを溶媒中で反応させて、N-ベンジル-2,3-ジブロモプロピオン酸アミドを得る臭素化工程;をこの順に有することを特徴とするN-ベンジル-2,3-ジブロモプロピオン酸アミドの製造方法。
【0013】
[6]前記アミド化工程に供するジアクリル酸無水物が、アクリル酸と縮合剤とを溶媒中で反応させて得られたものであることを特徴とする[5]に記載のN-ベンジル-2,3-ジブロモプロピオン酸アミドの製造方法。
[7]前記縮合剤が、カルボジイミド系縮合剤であることを特徴とする、[6]に記載のN-ベンジル-2,3-ジブロモプロピオン酸アミドの製造方法。
[8]前記アミド化工程において用いる前記の疎水性有機溶媒と水との混合溶媒中に塩基を存在させることを特徴とする、[5]~[]のいずれか1項に記載のN-ベンジル-2,3-ジブロモプロピオン酸アミドの製造方法。
[9]前記の疎水性有機溶媒と水との混合溶媒の水相に塩基を存在させることを特徴とする、[5]~[8]のいずれか1項に記載のN-ベンジル-2,3-ジブロモプロピオン酸アミドの製造方法。
【0014】
[10]ジアクリル酸無水物とベンジルアミンとを、疎水性有機溶媒と水との混合溶媒中で反応させて、N-ベンジルアクリルアミドを得るアミド化工程;を有することを特徴とする、N-ベンジルアクリルアミドの製造方法。
【0015】
[11]前記アミド化工程に供するジアクリル酸無水物が、アクリル酸と縮合剤とを溶媒中で反応させて得られたものであることを特徴とする、[10]に記載のN-ベンジルアクリルアミドの製造方法。
[12]前記縮合剤がカルボジイミド系縮合剤であることを特徴とする、[11]に記載のN-ベンジルアクリルアミドの製造方法。
[13]前記アミド化工程において用いる前記の疎水性有機溶媒と水との混合溶媒中に塩基を存在させることを特徴とする、[10]~[12]のいずれか1項に記載のN-ベンジルアクリルアミドの製造方法。
14前記の疎水性有機溶媒と水との混合溶媒水相に塩基を存在させることを特徴とする、[10]~[13]のいずれか1項に記載のN-ベンジルアクリルアミドの製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、N-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミドを高収率で、安価且つ安全に製造することができ、工業的に有利である。また、N-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミドの製造において有用な中間体についても、高収率で、安価且つ安全に製造する方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明の実施態様の例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。なお、本明細書において、例えば「1~100」との数値範囲の表記は、その下限値「1」及び上限値「100」の双方を包含するものとする。また、他の数値範囲の表記も同様である。
【0018】
[1.N-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミドの製造方法]
本発明のBMBAの製造方法は、下記の合成スキームに示すとおりである。すなわち、式(2)で表されるジアクリル酸無水物とベンジルアミンとから、式(3)で表されるN-ベンジルアクリルアミド(以下、「NBA」と称する場合がある。)を得るアミド化工程、NBAと臭素とから、式(4)で表されるN-ベンジル-2,3-ジブロモプロピオン酸アミド(以下、「BBA」と称する場合がある。)を得る臭素化工程、BBAとメタノールと塩基とから、式(5)で表されるN-ベンジル-2-ブロモ-3-メトキシプロピオン酸アミド(以下、「BMBA」と称する場合がある。)を得るメトキシ化工程の少なくとも3つの工程をこの順に含むものである。さらに、本発明のBMBAの製造方法は、アミド化工程の前に、式(1)で表されるアクリル酸と縮合剤とから、ジアクリル酸無水物を得る縮合工程を有するものであってもよい。
【0019】
【化1】
【0020】
<縮合工程>
まず、縮合工程について説明する。縮合工程は、アクリル酸と縮合剤とを溶媒中で反応させて、ジアクリル酸無水物を得る工程である。
【0021】
(原料)
縮合工程に用いられるアクリル酸は、市販品のアクリル酸を用いることができる。アクリル酸の純度は、工業的に使用可能であれば特に限定されないが、通常90%以上、好ましくは99%以上である。
【0022】
縮合工程に用いられる縮合剤は、アクリル酸を縮合して二量化させるためのものであって、好ましくは脱水縮合剤である。縮合剤としては、カルボジイミド系縮合剤、イミダゾール系縮合剤、トリアジン系縮合剤、ホスホニウム系縮合剤、ハロニウム系縮合剤、ウロニウム系縮合剤、ハロウロニウム系縮合剤等が挙げられる。カルボジイミド系縮合剤の具体例としては、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド等が挙げられ、好ましくはN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドである。イミダゾール系縮合剤の具体例としては、N,N’-カルボニルジイミダゾール、1,1’-カルボニルジ(1,2,4-トリアゾール)、N,N’-カルボニルジイミダゾール等が挙げられる。トリアジン系縮合剤の具体例としては、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウム=クロリド等が挙げられる。ホスホニウム系縮合剤の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-(2-オクトキシ-2-オキソエチル)ジメチルアンモニウム等が挙げられる。ハロニウム系縮合剤の具体例としては、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホ二ウムヘキサフルオロリン酸塩、(7-アザベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、クロロトリピロリジノホスホ二ウムヘキサフルオロリン酸塩、ブロモトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、3-(ジエトキシホスホリルオキシ)-1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オン等が挙げられる。ウロニウム系縮合剤の具体例としては、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロほう酸塩、O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩、O-(3,4-ジヒドロ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン-3-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロほう酸塩、S-(1-オキシド-2-ピリジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルチウロニウムテトラフルオロほう酸塩、O-[2-オキソ-1(2H)-ピリジル]-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロほう酸塩、{{[(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデン)アミノ]オキシ}-4-モルホリノメチレン}ジメチルアンモニウムヘキサフルオロリン酸塩等が挙げられる。ハロウロニウム系縮合剤の具体例としては、2-クロロ-1,3-ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロリン酸塩、1-(クロロ-1-ピロリジニルメチレン)ピロリジニウムヘキサフルオロリン酸塩、2-フルオロ-1,3-ジメチルイミダゾリニウムヘキサフルオロリン酸塩、フルオロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロリン酸塩等が挙げられる。これらの中でも、カルボジイミド系縮合剤、イミダゾール系縮合剤、トリアジン系縮合剤が好ましく、カルボジイミド系縮合剤がより好ましい。縮合工程に用いられる縮合剤は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせと比率で用いてもよい。
【0023】
アクリル酸と縮合剤との使用量の割合は、アクリル酸1モルに対して縮合剤が、通常0.3モル以上、好ましくは0.4モル以上、より好ましくは0.45モル以上であり、また、通常1モル以下、好ましくは0.8モル以下、より好ましくは0.6モル以下である。縮合剤の使用量が少なすぎると、反応が良好に行われないことがあり、一方、多すぎると、未反応の縮合剤の残留量が多くなり、縮合工程での反応終了後に得られる反応液をそのままアミド化工程に用いる場合において、反応液とベンジルアミンとがうまく混ざらず、反応に影響を与えることがある。
【0024】
縮合工程では、通常、溶媒を使用する。縮合工程に用いられる溶媒としては、アクリル酸と縮合剤とを溶解又は分散でき、これらの原料の反応が進行する限り特に限定されないが、疎水性又は親水性の有機溶媒を用いることができる。これらの有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル;メチル-t-ブチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;等が挙げられる。これらの中でも、疎水性の有機溶媒である芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素が好ましく、コスト及び生産性の観点から、トルエン、n-ヘキサン、n-ヘプタンがより好ましく、トルエンがさらに好ましい。
【0025】
溶媒の使用量は、アクリル酸に1gに対して、下限としては通常1mL以上、好ましくは2mL以上、より好ましくは3mL以上であり、また、上限としては通常20mL以下、好ましくは15mL以下、より好ましくは10mL以下である。
【0026】
(反応条件)
縮合工程の反応温度は、下限としては通常-30℃以上、好ましくは-10℃以上、より好ましくは-5℃以上であり、また、上限としては通常30℃以下、好ましくは10℃以下、より好ましくは5℃以下である。
反応温度が低すぎると、反応が十分に進行しない場合があり、一方、反応温度が高すぎると、生成物が分解することがある。
【0027】
反応時の圧力は、常圧又は加圧で行うことができるが、通常、常圧でよい。
反応時間は、適宜設定することができ特に限定されないが、通常0.5時間~24時間である。
【0028】
縮合工程においては、アクリル酸及び縮合剤の供給順序は、ジアクリル酸無水物が生成する限り特に限定されないが、例えば、反応器内にアクリル酸及び縮合剤のいずれかの一方の成分を溶媒と共に仕込んでこれを敷液として、反応条件下にて、他方の成分を供給することで行うことができる。中でも、反応器内に縮合剤と溶媒との混合液を仕込んでこれを敷液とし、これに対して内温を制御しながらアクリル酸を供給することが好ましい。
【0029】
反応系にアクリル酸を供給する際には、アクリル酸を溶媒と混合したものを供給してもよく、アクリル酸単独で供給してもよく、これらを組み合わせた方法で供給してもよい。同様に、反応系に縮合剤を供給する際には、縮合剤を溶媒と混合したものを供給してもよく、縮合剤単独で供給してもよく、これらを組み合わせた方法で供給してもよい。アクリル酸又は縮合剤を溶媒と混合するときの溶媒は、縮合工程において用いる溶媒と同様のものを用いることができる。
【0030】
縮合工程においては、反応時に発熱を伴うため、内温を制御しながら反応を行うことが好ましい。このため、縮合工程は例えば、撹拌槽及び加熱・冷却が可能なジャケット等の温調設備を有する反応器を用いることが好ましい。
【0031】
縮合工程は、不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。不活性ガスとしては、特に制限されないが、窒素、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。中でも、窒素が好ましい。
【0032】
上記のように、アクリル酸と縮合剤とを反応させる縮合工程によって、ジアクリル酸無水物を含む反応液を得ることができる。縮合工程によって得られたジアクリル酸無水物は、アミド化工程に用いることができる。また、縮合工程による反応後、ジアクリル酸無水物を含む反応液をアミド化工程に用いることができる。このとき、反応液は、反応中に生成する縮合剤由来の副生成物を含んでいる場合があるため、この副生成物を分液や固液分離等によって適宜除去してもよい。例えば、縮合剤としてN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドを使用した場合には、ジシクロヘキシル尿素が副生成物として析出するため、この副生成物を固液分離することが好ましい。この際、固液分離の際の温度を5℃以下とするのが、析出した副生成物の分離上好ましい。なお、分離した副生成物を洗浄して、付着しているジアクリル酸無水物を回収してもよい。洗浄に用いる溶媒は特に限定されないが、上述した縮合工程に用いられる溶媒を用いることができる。副生成物を固液分離した後の反応液に含まれるジアクリル酸無水物を、抽出、濃縮、留去、クロマトグラフィー等の公知の手段により、単離精製することができる。
【0033】
<アミド化工程>
次に、アミド化工程について説明する。アミド化工程は、ジアクリル酸無水物とベンジルアミンを溶媒中で反応させて、NBAを得る工程である。
【0034】
(原料)
アミド化工程で用いられるジアクリル酸無水物は、縮合工程で得られた反応液をそのまま用いてもよく、縮合工程で得られた反応液に対して固液分離をした後の反応液を用いてもよく、縮合工程で得られた反応液から単離したジアクリル酸無水物を用いてもよく、市販のジアクリル酸無水物を用いてもよい。中でも、縮合工程で得られた反応液を用いることが好ましく、縮合工程で得られた反応液に対して固液分離をした後の反応液を用いることがより好ましい。
【0035】
ベンジルアミンの使用量は、ジアクリル酸無水物1モルに対して、下限としては、通常0.2モル以上、好ましくは0.5モル以上、より好ましくは0.7モル以上、特に好ましくは0.9モル以上であり、また、上限としては、通常3モル以下、好ましくは1.5モル以下、より好ましくは1.3モル以下、特に好ましくは1.1モル以下である。
ベンジルアミンの使用量が少なすぎると、収率が低下することがあり、一方、多すぎると、副生成物が生成することがある。
【0036】
アミド化工程では、通常、溶媒を使用する。アミド化工程に用いられる溶媒としては、ジアクリル酸無水物とベンジルアミンとを溶解又は分散でき、これらの原料の反応が進行する限り特に限定されないが、通常、有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、疎水性有機溶媒及び親水性有機溶媒のいずれでもよいが、特には疎水性有機溶媒を含むことが好ましい。
【0037】
疎水性有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル等が挙げられる。これらの中でも、コスト及び生産性の観点から、トルエン、n-ヘキサン、n-ヘプタンが好ましく、トルエンがさらに好ましい。
【0038】
親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの中でも、エーテルが好ましく、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサンがさらに好ましい。
【0039】
本発明においては、アミド化工程の溶媒として、水を有機溶媒と併用して用いることができる。すなわち、アミド化工程では、溶媒として、上記有機溶媒と水、特に疎水性有機溶媒と水との混合溶媒を用いることが好ましい。この場合、有機溶媒相と水相との二相系でアミド化工程を行うこととなる。アミド化工程を二相系で行うことにより、ベンジルアミンの使用量を抑えることができ、生産コストを下げることができる。また、アミド化工程において副生するアクリル酸を有機溶媒相から水相に除去することで、ベンジルアミンの反応性を向上させて、NBAの収率を高めることができる。
【0040】
アミド化工程を二相系で行う場合、有機溶媒に対する水の使用割合は、有機溶媒に対して、下限としては、通常0.1質量倍以上、好ましくは0.2質量倍以上、さらに好ましくは0.3質量倍以上であり、上限としては、通常1質量倍以下、好ましくは0.9質量倍以下、さらに好ましくは0.8質量倍以下である。
【0041】
溶媒の使用量は、ジアクリル酸無水物1gに対して、下限としては、通常1mL以上、好ましくは2mL以上、より好ましくは3mL以上であり、また、上限としては、通常25mL以下、好ましくは20mL以下、より好ましくは15mL以下である。
【0042】
アミド化工程は、塩基の存在下で行うことが、反応性を高める観点から好ましい。すなわち、溶媒中に塩基を存在させることが好ましい。中でも、溶媒が有機溶媒と水との混合溶媒であり、溶媒中に塩基を存在させることが好ましい。特には、溶媒が疎水性有機溶媒と水との混合溶媒であり、水相に塩基を存在させることが好ましい。これは例えば、溶媒が、疎水性有機溶媒を含む有機溶媒と塩基を含む水溶液との混合溶媒であって、有機溶媒相と水相との二相系で反応させることで行うことができる。この場合、アミド化工程において副生するアクリル酸を有機溶媒相から水相に除去するとともに、水相に含まれるアクリル酸を塩基で中和することで、ベンジルアミンの反応性を向上させて、NBAの収率をさらに高めることができる。
【0043】
塩基としては、無機塩基及び有機塩基からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることができるが、通常、無機塩基が一般的に使用される。無機塩基としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属酢酸塩、等の無機塩基系化合物が挙げられる。有機塩基としては、特に限定されないが、例えば、ピロリジン、ピロール、ピペリジン、ピリジン等の複素環式アミン;ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等の有機アミン、等の有機塩系化合物が挙げられる。これらの中でも、好ましくは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基であり、より好ましくは水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムである。アミド化工程に用いられる塩基は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせと比率で用いてもよい。
【0044】
上記塩基は溶媒中に存在し、生成するアクリル酸を中和するが、塩基強度が強すぎると原料ジアクリル酸無水物が分解する可能性があるので、通常、弱塩基を用いることが好ましい。但し、溶媒として疎水性有機溶媒と水との混合溶媒を用いて反応を二相系で行う場合には、強塩基を用いても良好な結果が得られる。
反応混合物中における水相のpHは、下限としては、通常7.2以上であり、特に、弱塩基を用いた場合には、通常7.2以上、好ましくは7.5以上、より好ましくは8以上であり、上限としては、通常11以下、好ましくは10.5以下、より好ましくは10以下である。また、強塩基を用いた場合には、通常11以上、好ましくは11.5以上、より好ましくは12以上である。なお、溶媒として疎水性有機溶媒のみを用いる場合には、疎水性有機溶媒を10質量倍の水と混合して、分離した水相のpHが上記範囲内であればよい。
【0045】
塩基の使用量としては、用いる塩基の種類によって多少異なるが、ジアクリル酸無水物1モルに対して、下限としては、通常0.5モル以上、好ましくは0.7モル以上、より好ましくは0.9モル以上であり、また、上限としては、通常3モル以下、好ましくは2モル以下、より好ましくは1.2モル以下である。使用量がこれらの範囲内であることにより、分解生成物の生成を抑えることができる。
【0046】
(反応条件)
アミド化工程の反応温度は、反応が進行する限り特に限定されないが、下限としては、通常0℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上であり、また、上限としては、通常50℃以下、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下である。
反応温度が低すぎると、反応が十分に進行しない場合があり、一方、反応温度が高すぎると、生成物の分解が生じることがある。なお、反応中における反応混合物の温度は、一定に保つことが好ましい。
【0047】
反応時の圧力は、常圧又は加圧で行うことができるが、通常、常圧でよい。
反応時間は、適宜設定することができ特に限定されないが、通常0.5時間~24時間である。
【0048】
アミド化工程においては、ジアクリル酸無水物及びベンジルアミンの供給順序は特に限定されないが、例えば、反応器内にジアクリル酸無水物及びベンジルアミンのいずれかの一方の成分を溶媒と共に仕込んでこれを敷液として、反応条件下にて、他方の成分を供給することで行うことができる。中でも、反応器内にベンジルアミンと溶媒との混合液と、塩基を含む水溶液と攪拌してこれを敷液とし、これに対してジアクリル酸無水物を供給することが好ましい。これにより、ジアクリル酸無水物の分解を抑えて、NBAの収率を高めることができる。また、敷液の内温を制御しながらジアクリル酸無水物を供給することがより好ましい。
【0049】
反応系にジアクリル酸無水物を供給する際には、ジアクリル酸無水物を溶媒と混合したものを供給してもよく、ジアクリル酸無水物単独で供給してもよく、これらを組み合わせた方法で供給してもよい。同様に、反応系にベンジルアミンを供給する際には、ベンジルアミンを溶媒と混合したものを供給してもよく、ベンジルアミン単独で供給してもよく、これらを組み合わせた方法で供給してもよい。ジアクリル酸無水物酸又はベンジルアミンを溶媒と混合するときの溶媒は、アミド化工程において用いる溶媒と同様のものを用いることができ、疎水性有機溶媒を用いることが好ましい。
【0050】
アミド化工程において、塩基は、溶媒と混合したものを供給してもよく、塩基単独で供給してもよく、これらを組み合わせた方法で供給してもよい。中でも、塩基と水とを混合した水溶液を供給することが好ましい。塩基を水と混合して供給する場合、例えば、塩基の濃度を5質量%~20質量%に調整した水溶液を用いることができる。溶媒が有機溶媒と水との混合溶媒である場合には、水中に塩基を存在させることができる。このとき、攪拌条件下で反応を行うことが好ましい。
【0051】
アミド化工程は、不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。不活性ガスとしては、特に制限されないが、窒素、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。中でも、窒素が好ましい。
【0052】
アミド化工程によって得られたNBAは、臭素化工程に用いることができる。アミド化工程による反応後、通常、NBAを含む反応液を臭素化工程にそのまま用いることができる。または、反応液からNBAを単離して、単離したNBAを臭素化工程に用いてもよい。工業生産的な観点からは、アミド化工程によって得られた反応液を臭素化工程にそのまま用いることが好ましい。
【0053】
アミド化工程を有機溶媒相のみの単相系で、且つ塩基の非存在下で反応を行った場合には、反応液を臭素化工程にそのまま用いることができる。有機溶媒相のみの単相系で、且つ塩基存在下で反応を行った場合は、反応終了後、例えば塩酸などの酸性水溶液で洗浄することで残留塩基を中和し、水相を分液操作によって除いて、有機溶媒相を臭素化工程に用いることができる。有機溶媒相と水相との二相系で反応を行った場合は、反応終了後、水相を分液操作によって除いて、有機溶媒相を臭素化工程に用いることができる。有機溶媒相に含まれるNBAは、抽出、濃縮、留去、晶析、カラムクロマトグラフィー等の公知の手段により、単離精製することができる。例えば、反応終了後の反応液を減圧濃縮して有機溶媒を留去し、減圧乾燥することにより、NBAを得ることができる。
【0054】
<臭素化工程>
続いて、臭素化工程について説明する。臭素化工程は、NBAと臭素とを溶媒中で反応させて、BBAを得る工程である。
【0055】
(原料)
臭素化工程で用いられるNBAは、アミド化工程で得られた反応液をそのまま用いてもよく、アミド化工程で得られた反応液から単離したNBAを用いてもよく、市販のNBAを用いてもよい。中でも、工業生産的な観点からは、アミド化工程で得られた反応液をそのまま用いることが好ましい。また、アミド化工程を有機溶媒相と水相との二相系で反応を行った場合は、水相を除いた有機溶媒相を用いることが好ましい。
【0056】
臭素の使用量は、NBA1モルに対して、下限としては、通常0.3モル以上、好ましくは0.5モル以上、より好ましくは0.7モル以上であり、また、上限としては、通常3モル以下、好ましくは2モル以下、より好ましくは1.5モル以下である。
【0057】
臭素化工程では、通常、溶媒を使用する。臭素化工程に用いられる溶媒としては、NBAと臭素とを溶解又は分散でき、これらの原料の反応が進行する限り特に限定されないが、縮合工程と同様の有機溶媒を用いることができる。また、有機溶媒を水と混合して反応に用いてもよい。
【0058】
溶媒の使用量は、NBA1gに対して、下限としては、通常1mL以上、好ましくは3mL以上、より好ましくは5mL以上であり、また、上限としては、通常25mL以下、好ましくは20mL以下、より好ましくは15mL以下である。
【0059】
臭素化反応は、酸性条件下で行うことが好ましい。これにより、NBAの分解を抑えることができる。臭素反応の際の反応系内のpHは、下限としては、通常pH2以上、好ましくはpH3以上、上限としては、通常pH7未満、好ましくはpH6以下である。pHの調整は、特に限定されないが、例えば酢酸、塩酸、硫酸等の酸を混合することで行うことができる。
【0060】
(反応条件)
臭素化工程の反応温度は、下限としては、通常0℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上であり、また、上限としては、通常50℃以下、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下である。
【0061】
反応時の圧力は、常圧又は加圧で行うことができるが、通常、常圧でよい。
反応時間は、適宜設定することができ特に限定されないが、通常0.5時間~24時間である。
【0062】
臭素化工程の反応は、NBAと溶媒とを含む混合液を敷液とし、これに対して臭素を供給することにより行うことが好ましい。反応系に臭素を供給する際には、臭素を溶媒と混合したものを供給してもよく、臭素単独で供給してもよく、これらを組み合わせた方法で供給してもよい。
【0063】
臭素化工程において、酸は、酸を水と混合した水溶液を供給してもよく、酸単独で供給してもよく、これらを組み合わせた方法で供給してもよいが、通常、水溶液として供給する。これにより、臭素化工程は、有機溶媒相と水相との二相系で臭素化の反応が行われてもよい。このとき、攪拌条件下で反応を行うことが好ましい。
【0064】
反応終了後は、通常、脱ハロゲン化剤を用いて、未反応の臭素を不活性化する脱ハロゲン処理を行うことが好ましい。
脱ハロゲン剤としては、特に限定されないが、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸鉄等の亜硫酸塩;チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸カルシウム、チオ硫酸アンモニウム等のチオ硫酸塩、等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは亜硫酸塩、中でも亜硫酸ナトリウムである。
【0065】
脱ハロゲン剤の使用量は、使用した臭素1モルに対して、下限としては、通常0.1モル以上、好ましくは0.3モル以上であり、また、上限としては、通常1モル以下、好ましくは0.7モル以下である。
脱ハロゲン剤の使用量が多すぎると、液性が強塩基性となり、副生成物が増加することがある。
【0066】
脱ハロゲン剤の反応系への供給方法としては、単独で供給してもよく、あらかじめ水と混合したものを供給してもよいが、通常、水溶液を使用する。脱ハロゲン剤は通常、臭素とNBAが反応した後に供給する。
【0067】
なお、脱ハロゲン処理は、酸性条件下で行うことが好ましい。これにより、BBAの分解を抑えることができる。脱ハロゲン処理を行う際の反応系内のpHは、下限としては、通常pH2以上、好ましくはpH3以上、また、上限としては、通常pH7未満、好ましくはpH6以下である。pHの調整は、特に限定されないが、例えば酢酸、塩酸、硫酸等の酸を混合することで行うことができる。酸、及び脱ハロゲン剤の供給順序は特に限定されず、酸の供給後に脱ハロゲン剤を供給してもよく、脱ハロゲン剤の供給後に酸を供給してもよいが、酸の供給後に脱ハロゲン剤を供給することが好ましい。
【0068】
有機溶媒相と水相との二相系で反応した場合は、反応終了後、水相を分液操作によって除く。有機溶媒相に含まれるBBAを、抽出、濃縮、留去、晶析、カラムクロマトグラフィー等の公知の手段により、単離精製することができる。例えば、反応終了後の反応系を冷却することで結晶を析出させて、析出した結晶を固液分離し、さらにトルエンで洗浄して、減圧乾燥することにより、BBAを得ることができる。
【0069】
<メトキシ化工程>
更に続いて、メトキシ化工程について説明する。メトキシ化工程は、BBAとメタノールとを、塩基存在下で反応させて、BMBAを得る工程である。
【0070】
(原料)
メトキシ化工程で用いられるBBAは、臭素化工程で得られたBBAを用いることができる。
【0071】
メトキシ化工程に用いられる塩基としては、特に限定されないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属酢酸塩等の無機塩基系化合物;リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド等のアルカリ金属メトキシド、等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムであり、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0072】
塩基の使用量は、BBA1モルに対して、下限としては、通常1モル以上、好ましくは2モル以上であり、また、上限としては、通常10モル以下、好ましくは5モル以下である。
【0073】
メトキシ化工程は、塩基として無機塩系化合物を用いる場合には、メタノール中で反応を行う。塩基としてアルカリ金属メトキシドを用いる場合には、通常、メタノール中で反応を行うが、メトキシ化の反応が進行する限り、他の溶媒をさらに用いてもよい。この溶媒としては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、tert-ブチルアルコール等のアルコール;テトラヒドロフラン等のエーテル;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン含有炭化水素;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素、等が挙げられる。
【0074】
メタノールの使用量は、BBA1gに対して、下限としては、通常1mL以上、好ましくは1.5mL以上、より好ましくは2mL以上であり、また、上限としては、通常20mL以下、好ましくは15mL以下、より好ましくは10mL以下である。
【0075】
(反応条件)
メトキシ化工程の反応温度は、下限としては、通常-20℃以上、好ましくは-10℃以上、より好ましくは0℃以上であり、また、上限としては、通常80℃以下、好ましくは70℃以下、より好ましくは50℃以下である。
反応時の圧力は、常圧又は加圧で行うことができるが、通常、常圧でよい。
反応時間は、適宜設定することができ特に限定されないが、通常0.1時間~100時間、好ましくは0.2時間~80時間、より好ましくは0.3時間~24時間である。
【0076】
BBA、塩基、及びメタノールの供給順序は、BMBAが生成する限り特に限定されないが、例えば、反応器内にBBA及び塩基のいずれかの一方の成分をメタノールと共に仕込んでこれを敷液として、反応条件下にて、他方の成分を供給することで行うことができる。中でも、反応器内にBBAとメタノールとの混合液を仕込んでこれを敷液とし、これに対して内温を制御しながら塩基を供給することが好ましい。
【0077】
反応系にBBAを供給する際には、BBAをメタノールと混合したものを供給してもよく、BBA単独で供給してもよく、これらを組み合わせた方法で供給してもよい。同様に、反応系に塩基を供給する際には、塩基をメタノールと混合したものを供給してもよく、塩基単独で供給してもよく、これらを組み合わせた方法で供給してもよい。
【0078】
BBAは、一括して供給してもよいし、複数回に分けて供給してもよい。また、塩基は、一括して供給してもよいし、複数回に分けて供給してもよい。
【0079】
メトキシ化工程は、不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。不活性ガスとしては、特に制限されないが、窒素、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。中でも、窒素が好ましい。
【0080】
反応終了後は、反応液に含まれるBMBAを、抽出、濃縮、留去、晶析、カラムクロマトグラフィー等の公知の手段により、単離精製することができる。例えば、反応終了後にメタノールを減圧留去又は水を供給して、反応系を冷却することで結晶を析出させて、析出した結晶を固液分離し、さらに水で洗浄して、減圧乾燥することにより、BMBAを得ることができる。
【0081】
上記説明の通り、本発明のBMBAの製造方法は、アミド化工程、臭素化工程、及びメトキシ化工程を含み、ラコサミドの合成中間体として利用されるBMBAを得ることができる。本製造方法では、ジアクリル酸無水物とベンジルアミンとを反応させてNBAを得るアミド化工程を経ることにより、アクリロニトリル及びベンジルアルコールを用いてNBAを合成する場合(例えば、特許文献2)と比べて、BBA及びBMBAを高収率で得ることができる。また、本製造方法では、市場に広く流通するアクリル酸を出発原料として用いることができ、また大量の濃硫酸を用いることもないので、強酸性の廃液の処理の必要が無く、生産効率に優れるとともに環境負荷が少ない工業的に優れた製造方法を提供するものである。
【0082】
[2.N-ベンジル-2,3-ジブロモプロピオン酸アミドの製造方法]
本発明のBBAの製造方法は、上述したアミド化工程、及び臭素化工程を少なくとも含むものである。さらに、本発明のBBAの製造方法は、アミド化工程の前に、上述した縮合工程を有するものであってもよい。
【0083】
本発明の製造方法によれば、上述したBMBAの製造方法と同様に、BBAを、高収率で、安価且つ安全に製造することができる。また、BBAは、BMBA、及びラコサミドの合成中間体として利用することができる。本製造方法によって得られたBBAを用いて、例えば、続くメトキシ化工程を経ることで、BMBAを得ることが可能である。
【0084】
[3.N-ベンジルアクリルアミドの製造方法]
本発明のNBAの製造方法は、上述したアミド化工程を少なくとも含むものである。さらに、本発明のNBAの製造方法は、アミド化工程の前に、上述した縮合工程を有するものであってもよい。
【0085】
本製造方法によれば、ジアクリル酸無水物とベンジルアミンとを反応させてNBAを得るため、アクリロニトリルを出発原料とする場合(例えば、特許文献2)に生じる、重合反応及び重合反応に伴う重合反応熱の発生を抑えて、NBAを高収率で、安全に製造することができる。また、NBAは、BBA、BMBA、及びラコサミドの合成中間体として利用することができる。本製造方法によって得られたNBAを用いて、例えば、続く臭素化工程、及びメトキシ化工程を経ることで、BMBAを得ることが可能である。
【実施例
【0086】
[実施例1(BBAの製造方法)]
<ステップ1:ジアクリル酸無水物の合成>
【化2】
窒素ガス供給管、温度計、攪拌機を備えた100mL反応器に、窒素雰囲気下、縮合剤としてN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下、「DCC」と称する場合がある。)(20.5g,0.10モル)、溶媒としてトルエン(64.8g,75mL)を供給し、反応液を500rpmで撹拌しながら、内温が-5℃~5℃の温度範囲になるように冷却した。冷却後、DCCのトルエン溶液を撹拌下、原料としてアクリル酸(15.1g,0.21モル)を、内温を前記温度範囲内に制御しながら滴下した。滴下終了後、更に、反応液を内温0℃で30分間撹拌し、反応を行った。
撹拌終了後、析出したジシクロヘキシル尿素の白色固体を、吸引濾過して濾別し、前記ジシクロヘキシル尿素をトルエン(25.9g,30mL)で洗浄し、洗浄液を得た。次に、濾液と洗浄液を1つに合わせて、ジアクリル酸無水物のトルエン溶液を得た。
【0087】
<ステップ2 NBAの合成>
【化3】
窒素ガス供給管、温度計、攪拌機を備えた500mL反応器に、窒素雰囲気下、原料としてベンジルアミン(11.7g,0.11モル)、溶媒としてトルエン(25.9g,30mL)、塩基として9%水酸化ナトリウム水溶液(87.9g,0.20モル)を供給し、反応液を300rpmで撹拌しながら、内温が0℃になるように冷却した。冷却後、前記反応液を敷液として、撹拌下、ステップ1で得られたジアクリル酸無水物のトルエン溶液を内温が5℃を超えないよう、0~5℃の温度範囲に制御しながら滴下した。滴下終了後、ジャケット温度を25℃に昇温し、30分間撹拌した。
撹拌終了後、反応液を5分間静置し、水相を分液操作によって除き、NBAのトルエン溶液を得た。
【0088】
<ステップ3 BBAの合成>
【化4】
ステップ2で得られたNBAのトルエン溶液に水(7.5g)を供給し、酸として2mol/L塩酸を加えて水相のpHが3になるように調整した。pH調整後、300rpmで撹拌しながら、臭素(17.9g,0.11モル)を30分間かけて滴下した。滴下終了後、更に内温25℃で2時間の撹拌下、反応を行った。
撹拌終了後、反応液に脱ハロゲン剤として15%亜硫酸ナトリウム水溶液(95.5g,0.11モル)を供給し、酸として2mol/L塩酸を加えて水相のpHが4になるように調整した。pH調整後、反応液の内温を65℃に昇温し、反応液を2分間静置し、水相を分液操作によって除いた。
水相を除いた後、BBAのトルエン溶液を300rpmで撹拌しながら、反応器のジャケット温度を52℃に冷却し、結晶の析出を確認した。結晶析出後、内温を0℃に冷却し、更に0℃でBBAのスラリーを2時間撹拌した。撹拌終了後、析出した固体を吸引濾過して濾別し、濾別した固体をトルエン13.0gで洗浄し、BBAの湿結晶を得た。得られた湿結晶を外温45℃で減圧乾燥することにより、白色固体としてBBA(23.4g,ベンジルアミンに対する収率67%)を得た。以下に示すBBAのNMR測定の結果、及び融点の測定の結果から、生成物がBBAであることが確認された。本明細書の実施例において、NMR測定はBruker社製 AV400Nを用いて行った。
1H-NMR(400MHz,CDCl3
δ;3.86(1H,dd,J=4.4Hz,5.8Hz),4.01(1H,dd,J=2.0Hz,8.3Hz),4.48-4.53(3H,m),6.40(1H,br),7.30-7.36(5H,m)
融点:120℃
【0089】
[実施例2(BMBAの製造方法)]
【化5】
窒素ガス供給管、温度計、攪拌機を備えた100mL反応器に、窒素雰囲気下、実施例1で得られたBBA(22.0g,0.069モル)と、メタノール(66.1g,83mL)を供給し、400rpmで撹拌しながら、内温が20℃になるように冷却した。冷却後、塩基として粉状の水酸化ナトリウム(5.50g,0.138モル)を、内温が30℃を超えないように6回に分けて供給した。供給後、内温20℃で30分間の撹拌下、反応を行った。撹拌終了後、水(66.0g)を滴下し、結晶の析出を確認した。結晶析出後、外温を-2℃に冷却した。冷却後、更に内温0℃で1.5時間撹拌した。
撹拌終了後、析出した固体を吸引濾過し、得られた結晶を水(22.0g)で洗浄した。洗浄後、得られた固体を45℃で減圧乾燥し、白色固体としてBMBA(18.0g,BBAに対する収率96%,化学純度97.6面積%)を得た。化学純度(面積%)の測定は、アジレント・テクノロジー社製のAgilent 1290を用いて、以下の条件でのHPLCにより行った。
カラム:Cadenza CD-C18(150mm×4.6mm、3μm)
移動相A:0.1%TFA水溶液
移動相B:アセトニトリル
グラジェント B液濃度:(15%/0分)→(50%/15分)→(50%/20分)
流量:1mL/分
注入量:5μL
検出波長:215nm
カラム温度:40℃
分析時間:20分
【0090】
以下に示すBMBAのNMR測定の結果、及び融点の測定の結果から、生成物がBMBAであることが確認された。
1H-NMR(400MHz,CDCl3
δ;3.43(3H,s),3.90(2H,ddd,J=14.4Hz,5.9Hz,4.8Hz),4.44(1H,t,J=4.8Hz),4.48(2H,d,J=5.6Hz),6.87(1H,br),7.26-7.32(5H,m)
融点:79℃
【0091】
[実施例3(NBAの製造方法)]
実施例1のステップ1において、各成分の使用量を、DCCを7.16g(0.035モル)、トルエンを41.5g、アクリル酸を5.04g(0.070モル)に変更し、ステップ2においてベンジルアミンを3.75g(0.035モル)に変更し、9%水酸化ナトリウム水溶液を炭酸水素ナトリウム3.00g(0.036モル)に変更した以外は同様に操作して、NBAのトルエン溶液を得た。
得られたNBAのトルエン溶液を減圧濃縮してトルエンを留去した。濃縮後、45℃で減圧乾燥し、白色固体としてNBA5.65g(化学純度97面積%)を得た。化学純度(面積%)の測定は、アジレント・テクノロジー社製のAgilent 1290を用いて、以下の条件でのHPLCにより行った。
カラム:Cadenza CD-C18(150mm×4.6mm、3μm)
移動相A:0.1%TFA水溶液
移動相B:アセトニトリル
グラジェント B液濃度:(15%/0分)→(50%/15分)→(50%/20分)
流量:1mL/分
注入量:5μL
検出波長:215nm
カラム温度:40℃
分析時間:20分
【0092】
以下に示すNBAのNMR測定の結果、及び融点の測定の結果から、生成物がNBAであることが確認された。
H-NMR(400MHz、CDCl3)δ7.25-7.33(m,5H),6.29(dd,1H,J=1.5,15.4Hz),6.25(1H,br),6.13(dd,1H,J=6.8,10.2Hz),5.64(dd,1H,J=1.6,8.7Hz),4.48(d,2H,J=5.8Hz)
融点:65℃