(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】足存在信号処理システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A43C 11/00 20060101AFI20220523BHJP
A43B 23/02 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
A43C11/00
A43B23/02 104
(21)【出願番号】P 2018549150
(86)(22)【出願日】2017-03-15
(86)【国際出願番号】 US2017022548
(87)【国際公開番号】W WO2017161014
(87)【国際公開日】2017-09-21
【審査請求日】2020-03-12
(32)【優先日】2016-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー、スティーブン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ムノー、フィリップ
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-500141(JP,A)
【文献】国際公開第2014/188350(WO,A1)
【文献】米国特許第07032448(US,B2)
【文献】特表2011-519611(JP,A)
【文献】米国特許第07614166(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43C 11/00 - 11/24
A43B 23/00 - 23/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
時間変化するセンサ信号を、履物に結合されたセンサから受信することであって、前記センサは、前記センサに対する足の近接性に関する情報を感知するように構成されている、前記受信すること、
プロセッサ回路を使用して、
前記時間変化するセンサ信号の特性を識別し、
識別された前記特性に基づいて、
前記履物に関する、又は前記足に関するデータ収集を、前記履物に結合された同じ、又は異なるセンサを用いて開始すること、及び
前記履物の自動機能を更新すること
のうちの少なくとも1つを行うこと
を含
み、
前記時間変化するセンサ信号の特性を識別することは、前記足が前記履物の中に完全に収容されたか否かを判定することを含む、方法。
【請求項2】
前記時間変化するセンサ信号の特性を識別することは、前記時間変化するセンサ信号の中の一連の信号変化イベントを識別することを含み、前記信号変化イベントは、信号の大きさ又は周波数が所定の閾値変化量より大きい量だけ変化することに対応している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロセッサ回路を使用して、前記一連の信号変化イベントを用いて歩数を判定することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プロセッサ回路を使用して、前記一連の信号変化イベントを用いて足着地力特性を判定することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
環境特性の変化に応答して、前記所定の閾値変化量を変化させることをさらに含み、前記環境特性は前記履物が使用される環境に対応している、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記時間変化するセンサ信号の特性を識別することは、前記プロセッサ回路を使用して、
前記時間変化するセンサ信号のうち、足着地に対応する第1の部分を識別し、前記時間変化するセンサ信号のうち、足離地に対応する他の第2の部分を識別すること、
前記時間変化するセンサ信号の第1の部分及び第2の部分のタイミングに関する情報を用いて、歩数、移動速度、又は移動距離を判定すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記時間変化するセンサ信号の特性を識別することは、前記プロセッサ回路を使用して、
前記時間変化するセンサ信号のうち、足着地に対応する第1の部分を識別し、前記時間変化するセンサ信号のうち、足離地に対応する他の第2の部分を識別すること、
前記時間変化するセンサ信号の前記第1の部分を用いて足着地力特性を判定すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記時間変化するセンサ信号の特性を識別することは、前記プロセッサ回路を使用して、
前記時間変化するセンサ信号のうち、足着地に対応する第1の部分を識別し、前記時間変化するセンサ信号のうち、足離地に対応する他の第2の部分を識別すること、
前記時間変化するセンサ信号の前記第1の部分を用いて前記履物のインソール部材のライフサイクル状態を判定すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
インソールが使用者に十分な緩衝を提供していないことを、前記判定されたライフサイクル状態が示した場合、使用者に対し履物状態標示を報告することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
同じ、又は異なるセンサを用いてデータ収集を開始することは、前記履物に結合された加速度計から履物活動情報を受信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記履物の自動機能を更新することは、自動紐締めエンジンの動作を開始又は阻止することを含み、前記紐締めエンジンは、前記足の周囲で前記履物をきつくし、又は緩めるように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記センサから前記時間変化するセンサ信号を受信することは、容量性センサから時間変化する容量表示信号を受信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記センサから前記時間変化するセンサ信号を受信することは、磁力計から時間変化する磁界表示信号を受信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記時間変化するセンサ信号を受信することは、足が前記履物に挿入され、又は前記履物から抜かれている間を含み、前記時間変化するセンサ信号の特性を識別することは、前記足の爪先、土踏まず、及び踵部分が前記履物の中の前記センサに近付く際の前記足の変化する近接性特性を識別することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
履物のための足近接センサシステムであって、
履物に結合され、センサに対する足の近接性を示す時間変化するセンサ信号を供給するように構成された近接センサと、
前記近接センサに結合されたプロセッサ回路であって、前記時間変化するセンサ信号の特性を識別し、識別された前記特性に基づいて、
同じ近接センサを用いて、又は前記履物に結合された異なるセンサを用いて、前記履物に関する、又は前記足に関するデータ収集を開始すること、及び
前記履物の自動機能を更新すること
のうちの少なくとも1つを行うように構成された前記プロセッサ回路と
を備え
、
前記時間変化するセンサ信号の特性を識別することは、前記足が前記履物の中に完全に収容されたか否かを判定することを含む、システム。
【請求項16】
前記近接センサは、前記履物のインソールに、又はインソールの付近に提供された複数の電極を含む容量性センサである、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記近接センサは、前記履物のインソールに、又はインソールの付近に提供され、前記履物の中に配置された1つ又は複数の磁性体の位置変化に基づく磁界変化を検出するように構成された磁力計である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサ回路は、時間と共に前記時間変化するセンサ信号の複数の特性を識別するように構成され、前記特性の各々は、所定の閾値変化量より大きい信号大きさ変化に対応し、前記プロセッサ回路は、前記特性を用いて、歩数、足着地力、又は移動速度を判定するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサ回路は、前記時間変化するセンサ信号のうち、足着地に対応する第1の部分を識別し、前記時間変化するセンサ信号のうち、足離地に対応する他の第2の部分を識別するように構成され、前記プロセッサ回路は、前記時間変化するセンサ信号の前記第1の部分及び第2の部分のタイミングに関する情報を用いて、歩数、移動速度、又は移動距離を判定するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
履物製品で使用するための自動履物システムであって、
前記製品内に配置されるように構成された紐締めエンジン及び紐締めエンジン筐体と、
前記筐体内に提供されたプロセッサ回路と、
前記プロセッサ回路、及び前記筐体内の1つ又は複数のポートに結合された電気相互接続部と、
少なくとも部分的に前記筐体の外部に提供され、前記電気相互接続部を用いて前記プロセッサ回路に結合された複数の電極を含む容量性センサであって、前記電極に対する体の近接性を感知して、前記電極に対する前記体の変化する近接性を示す時間変化するセンサ信号を供給するように構成されている前記容量性センサと
を含み、
前記プロセッサ回路は、
前記時間変化するセンサ信号の特性を識別し、
識別された前記特性に基づいて、
同じ容量性センサを用いて、又は履物に結合された異なるセンサを用いて、前記履物に関する、又は足に関するデータ収集を開始すること、及び
前記紐締めエンジンの自動機能を更新すること
のうちの少なくとも1つを行うように構成されて
おり、
前記時間変化するセンサ信号の特性を識別することは、前記足が前記履物の中に完全に収容されたか否かを判定することを含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
様々な状態をモニタするために、各種の靴型センサが提案されている。例えば、ブラウン(Brown)は、「足の状態をモニタするためのセンサシューズ(Sensor shoe for monitoring the condition of a foot)」と題する特許文献1において、靴型センサの幾つかの例を提案している。ブラウンは、足力センサが、比較的薄く、平坦で、柔軟で、弾力的な誘電材料の層からなるインソールを含むことができると述べている。この足力センサは、加えられる圧縮力に基づいて変化する電気抵抗を有する導電性相互接続手段を含むことができる。
【0002】
ブラウンはさらに、糖尿病患者、又は足の一部に過剰な圧力が加わると潰瘍を生じさせる傾向のある様々な種類の足の病気を患う人が着用すべき靴について論じている。靴本体は力感知抵抗器(FSR:force sensing resistor)を含むことができ、抵抗器に結合されたスイッチ回路は、閾値圧力レベルに到達した、又はそれを超えたことを着用者に警告するためにアラームユニットを作動させることができる。
【0003】
履物製品を自動的に締め付ける装置が過去に提案されている。リウ(Liu)は、「自動締付け靴(Automatic tightening shoe)」と題する特許文献2において、靴の上側部分に取り付けられた第1のファスナと、開閉部材に接続され、第1のファスナと取り外し可能に係合して開閉部材を締め付けられた状態に保持することのできる第2のファスナとを提供する。リウは、靴底の踵部分に取り付けられた駆動ユニットを教示している。駆動ユニットは、筐体と、筐体に回転可能に取り付けられたスプールと、引き紐の対と、モニタユニットとを含む。各紐はスプールに接続された第1の端と、第2のファスナの紐穴に対応する第2の端を有する。モータユニットはスプールに結合されている。リウは、モータユニットが、筐体内のスプールの回転を駆動して、引き紐がスプールに巻き付けられて、第2のファスナが第1のファスナに向かって引かれるように動作可能であることを教示している。リウはまた、引き紐をその中に通すことのできる案内管ユニットも教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第5,929,332号明細書
【文献】米国特許第6,691,433号明細書
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】例示的な実施形態によるアクティブな履物製品の構成要素の概略的分解図である。
【
図2A】例示的な実施形態によるセンサシステムと電動紐締めエンジンの概略図である。
【
図2B】例示的な実施形態によるセンサシステムと電動紐締めエンジンの概略図である。
【
図2C】例示的な実施形態によるセンサシステムと電動紐締めエンジンの概略図である。
【
図3】例示的な実施形態による電動紐締めシステムの構成要素の概略的ブロック図である。
【
図4】履物製品の使用者が立っているときの履物製品の中の標準的な又は平均的な足(左)と凹足(右)に関する圧力分布データを示す図である。
【
図5A】例示的な実施形態による履物製品のインソールの中の容量型足存在センサの概略図である。
【
図5B】例示的な実施形態による履物製品のインソールの中の容量型足存在センサの概略図である。
【
図6】例示的な実施形態による足存在検出のための容量性センサシステムの概略図である。
【
図7】例示的な実施形態による第1の容量型足存在センサの概略図である。
【
図8】例示的な実施形態による第2の容量型足存在センサの概略図である。
【
図9A】例示的な実施形態による容量型足存在センサ電極の例の概略図である。
【
図9B】例示的な実施形態による容量型足存在センサ電極の例の概略図である。
【
図9C】例示的な実施形態による容量型足存在センサ電極の例の概略図である。
【
図10】履物センサからの足存在情報の使用の例を示すフローチャートである。
【
図11】履物センサからの足存在情報の使用の第2の例を示すフローチャートである。
【
図12】容量性足存在センサからの第1の時間変化する情報の概略的なグラフである。
【
図13】容量性足存在センサからの第2の時間変化する情報の概略的なグラフである。
【
図14】容量性足存在センサからの第3の時間変化する情報の概略的なグラフである。
【
図15】容量性足存在センサからの第4の時間変化する情報の概略的なグラフである。
【
図16】例示的な実施形態による容量性足存在センサからの時間変化する情報及び信号形態限界の概略的なグラフである。
【
図17】履物製品のミッドソールの中の、誘電体スタックの下にある容量型足存在センサの一例の概略図である。
【
図18】容量性足存在センサからの容量表示信号に対する誘電体充填材の影響を示すグラフを含む一例の概略図である。
【
図19】履物の中の容量型足存在センサからの第3の容量表示信号の一部を示すグラフの一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
必ずしも正確な縮尺で描かれているとはかぎらない図面中、同様の番号は別の図の類似の構成要素を表していることがある。異なる文字が末尾に付されている同様の番号は、同様の構成要素の別の例を表していることがある。図面は、限定ではなく例として、本文書中で論じられている各種の実施形態を概略的に示している。
【0007】
自動締付け靴紐の概念が初めて広く人気を博したのは、1989年に公開された映画、「バック・トゥ・ザ・フューチャII(Back to the Future II)」の中でマーティ・マクフライ(Marty McFly)が履いた架空の電動紐締め(パワーレース:power-laced)Nike(登録商標)スニーカーからである。Nike(登録商標)はそれ以降、「バック・トゥ・ザ・フューチャII」の映画の小道具バージョンに外観が似ているパワーレーススニーカーのバージョンを少なくとも1つ発表したが、使用されていた内部の機械的システムとその周囲の履物プラットフォームから、必ずしもこれらが大量生産又は日常的な使用に向くものとは言えなかった。それに加えて、電動紐締め(motorized lacing)システムのための過去の設計は比較的、製造コストの高さ、複雑さ、組立ての難しさ、有用性の欠如、及び脆弱な又は壊れやすい機械的機構等の課題を伴っており、これらは多くの問題のうちの幾つかを挙げたにすぎない。本発明者らは、とりわけ、上述の問題の一部又は全部を解決する電動及び非電動紐締めエンジンを収容するためのモジュール式履物プラットフォームを開発した。後述の構成要素は様々な利点を提供し、これには有用な構成要素、互換的な自動紐締めエンジン、頑丈な機械的設計、ロバストな制御アルゴリズム、信頼性の高い動作、効率的な組立てプロセス、小売レベルのカスタム化が含まれるが、これらに限定されない。後述の構成要素の様々なその他の利点は、当業者にとって明らかであろう。
【0008】
ある例において、モジュール式自動紐締め履物プラットフォームは、紐締めエンジンを受容するための、履物製品の中のミッドソールに固定されたミッドソールプレートを含む。ミッドソールプレートの設計により、購入時という遅い段階で紐締めエンジンを履物プラットフォームに追加できる。ミッドソールプレート、及びモジュール式自動履物プラットフォームのその他の態様により、異なるタイプの紐締めエンジンを互換的に使用できる。例えば、後述の自動紐締めエンジンは、人力紐締めエンジンに取り換えることもできる。あるいは、足存在感知又はその他の機能を有する全自動電動紐締めエンジンを標準的なミッドソールプレート内に収容できる。
【0009】
本明細書で論じる自動履物プラットフォームはアウトソールアクチュエータインタフェースを含むことができ、これは最終使用者に締付け制御のほか、例えば透明な保護用アウトソール材料を通じて投影されるLED照明を用いて視覚的フィードバックを提供する。アクチュエータは、紐締めエンジン又はその他の自動履物プラットフォーム構成要素の状態を示すために、触覚的及び視覚的フィードバックを使用者に提供できる。
【0010】
ある例において、履物プラットフォームは、足が靴の中にあることを検出するように構成された足存在センサ(foot presence sensor)を含む。足が検出されると、1つ又は複数の履物機能又はプロセスを、例えば自動的に、使用者によるさらなる入力又はコマンドがなくても開始できる。例えば、足が履物の中でインソールに対して正しく収容される(seated)のが検出されると、制御回路が紐締め、データ収集、履物診断、又はその他のプロセスを自動的に開始することができる。
【0011】
自動紐締め又は履物締付け機構を作動させる、又は開始させるのが早すぎると、その履物に対するユーザーの使用感が悪くなりうる。例えば、足がインソールに対して完全に収容されていないうちに紐締めエンジンが作動されると、使用者は足の残りの部分を履物の中に入れにくくなる可能性があり、また使用者は紐締めの張力を手で調整しなければならない可能性もある。本発明者らはそれゆえ、解決すべき課題は、足が適正に、又は完全に履物製品の中に収容されたか否か、例えば爪先とミッドソールと踵部分がそれらに対応するインソールの部分と適正に位置合わせされたか否かを特定することを含むと認識した。発明者らはさらに、課題は、例えばセンサのコストと組立てコストを下げ、装置の複雑さを軽減するためにできるだけ少ないセンサを用いて足の位置又は足の向きを正確に特定することを含むと認識した。
【0012】
これらの課題の解決策は、履物の土踏まず及び踵のうちの少なくとも一方の領域にセンサを提供することを含む。ある例において、センサは付近の電界の変化を感知するように構成された容量性センサである。電界の変化、又は容量の変化は、足が履物の中に入る時又は出る時に実現され、これには足の一部分が足の他の部分よりセンサから遠くにある時を含む。ある例では、容量性センサは、紐締めエンジンの筐体と一体化されるか、又はその中に格納される。ある例において、容量性センサの少なくとも一部は、紐締めエンジンの筐体の外側に提供され、筐体の中の電源又は処理回路との1つ又は複数の導電性相互接続部を含む。
【0013】
足存在検出で使用するのに適した容量性センサは、様々な構成を有することができる。容量性センサは平板キャパシタを含むことができ、この場合、1つのプレート(電極)が、例えばプレートの1つ又は複数にかかる圧力又は圧力の変化に応答して移動するように構成される。ある例において、容量性センサは複数のトレース(trace)を含み、これは例えば、インソールの上面と平行な、又はそれと一致する平面内に実質的に配置される。このようなトレース(配線)は、エアギャップ(又はその他の材料、例えばスタイロフォーム(Styrofoam)(登録商標))によって横方向に分離でき、励起回路により供給されるAC駆動信号によって選択的に、又は周期的に駆動できる。ある例において、電極は交互に配置された櫛形構成を有することができる。このような容量性センサは、電極自体の相互の移動に基づいて、及び、足又はその他の物体の有無又は移動による電極付近の電界の干渉に基づいて変化する容量信号を供給できる。
【0014】
ある例において、容量型センサ(capacitance-based sensor)は、機械的センサより信頼性が高い可能性があり、これは例えば、容量型センサは可動部品を含む必要がないからである。容量型センサの電極は耐久性のある電界透過性材料でコーティング又は被覆でき、それゆえ、電極は環境変化、濡れ、漏れ、塵埃、又はその他の汚染剤への直接的な曝露から保護でき、人間又はその他の物質がセンサの電極と直接接触しない。
【0015】
ある例において、容量性センサは、センサにより検出された容量の大きさを示す、又は容量の変化を示すアナログ出力信号を供給する。出力信号は足がセンサの付近にあるときに第1の値(例えば、低い容量に対応する)を有することができ、出力信号は足がないときに異なる第2の値(例えば、高い容量に対応する)を有することができる。
【0016】
ある例において、足があるときの出力信号は、さらなる情報を提供できる。例えば、歩行ステップイベントに相関する容量信号の検出可能な変化が起こりうる。それに加えて、容量信号における検出可能な長期のドリフトが発生する可能性があり、これは靴の構成要素、例えばインソール、矯正器具(orthotic)、又はその他の構成要素の摩耗損耗及び残りの寿命のうちの少なくとも一方を示すことができる。
【0017】
ある例において、容量性センサは、センサにより感知される容量の大きさを示すデジタル信号を供給するように構成された容量-デジタル変換回路を含み、又はそれに結合される。ある例において、容量性センサは、感知された容量値が所定の閾値容量条件を満たすか否かを示す割込み信号又は論理信号を供給するように構成されたプロセッサ回路を含む。ある例において、容量性センサは、ベースライン又は基準容量値に関する容量特性を測定し、ベースライン又は基準は、環境変化又は感知される容量値に影響を与える可能性のあるその他の変化に対応するように更新又は調整できる。
【0018】
ある例において、容量性センサは、靴のインソールの土踏まず又は踵領域付近の足の下に提供される。容量性センサは、実質的に平坦又は扁平とすることができる。容量性センサは、硬質でも柔軟でもよく、足の輪郭に適合するように構成できる。場合によっては、比較的低い誘電率、又は低い比誘電率を有し得るエアギャップが、容量性センサの一部と靴を履いた時の足との間に存在する可能性がある。容量性センサと足部表面との間の空隙を埋めるために、容量性センサの上方に、比較的高い誘電率、又は空気よりも高い比誘電率を有することができるギャップ充填材を設けることができる。ギャップ充填材は圧縮可能でも圧縮不能でもよい。ある例において、ギャップ充填材は、誘電率の値と履物用としての適合性との間で適当な妥協を提供し、センサの十分な感度と足下での使用者にとっての快適さを提供するように選択される。
【0019】
以下に、電動紐締めエンジン、足存在センサ、ミッドソールプレート、及びプラットフォームの他の各種の構成要素を含む自動履物プラットフォームの様々な構成要素について論じる。この開示のほとんどが電動紐締めエンジンのためのトリガとして足の存在の感知に焦点を当てているが、論じられている設計の多くの態様が人力紐締めエンジン、又は例えばデータ収集や生理学的モニタ等の他の履物機能を自動化する足存在センサと接続可能な他の回路もしくは機能にも応用可能である。例えば「自動履物プラットフォーム」で使用されているような「自動」という用語は、所定の使用者入力を用いずに動作するシステムだけをカバーするとは意図されていない。むしろ、「自動履物プラットフォーム」という用語は、様々な電力式及び人力式の、自動的に作動され、及び人により作動される、履物の紐又は保持システムを締め付けるための、又はアクティブな履物の他の態様を制御するための機構を含むことができる。
【0020】
図1は、ある例示的な実施形態によるアクティブな履物製品の構成要素の分解図の概略を示す。
図1の例は、紐締めエンジン110と、蓋120と、アクチュエータ130と、ミッドソールプレート140と、ミッドソール155と、アウトソール165とを有する電動紐締めシステム100を含む。システム100において、紐締めエンジン110は、使用者により交換可能な構成要素を含むことができ、1つ又は複数の足存在センサを含むことができるか、又はそれに結合され得る。ある例において、紐締めエンジン110は、容量性足存在センサを含むか、またはそれに結合されている。容量性足存在センサは、
図1の例には示されていないが、紐締めエンジン110の、足と対面する側に配置された複数の電極を含むことができる。ある例において、容量性足存在センサの電極は、紐締めエンジン110内に格納できるか、紐締めエンジン110の筐体と一体化できるか、又は紐締めエンジン110の付近の他の箇所に配置して、紐締めエンジン110の内側の電源又は処理回路に1つ又は複数の電気導体を用いて結合できる。
【0021】
図1の例における電動紐締めシステム100の組立ては、ミッドソールプレート140をミッドソール155内に固定することから始まる。次に、アクチュエータ130は、ミッドソールプレート140の側面の開口部の中に挿入でき、これは、例えばアウトソール165の中に埋め込むことのできるインタフェースボタンの反対側である。次に、紐締めエンジン110が、ミッドソールプレート140の中に挿入される。ある例において、紐締めエンジン110は、履物の他の箇所に配置される1つ又は複数のセンサと結合され得る。その他の組立て方法も同様に実行して、電動紐締めシステム100を構成できる。
【0022】
ある例において、紐締めシステム100は、締め紐(lacing cable)の連続ループの下に挿入され、締め紐は、紐締めエンジン110の中のスプールに位置合わせされる。組立てを完了させるために、蓋120は、ミッドソールプレート140の固定手段の中に挿入され、閉位置に固定され、ミッドソールプレート140のくぼみの中に引っ掛けることができる。蓋120は、紐締めエンジン110をとらえて、動作中に締め紐の位置合わせの維持を助けることができる。
【0023】
ミッドソールプレート140は、紐締めエンジンキャビティ141と、内側及び外側紐ガイド142と、前方フランジ143と、後方フランジ144と、上側(上)面及び下側(底)面と、アクチュエータ用切り欠き145とを含む。紐締めエンジンキャビティ141は、紐締めエンジン110を受容するように構成されている。この例では、紐締めエンジンキャビティ141は、紐締めエンジン110を側方及び前後方向に保持するが、紐締めエンジン110をキャビティ141内にロックするための機構を含まない。任意選択により、紐締めエンジンキャビティ141は、紐締めエンジン110を紐締めエンジンキャビティ141の中により確実に保持するために、1つ又は複数の側壁に沿って戻り止め(detent)、つめ(tab)、又はその他の機械的機構を含む。
【0024】
紐ガイド142は、締め紐を、紐締めエンジン110に対して所定の位置に案内するのを助けることができる。紐ガイド142は、面取りされた縁部と下方に傾く傾斜部とを含み、締め紐を紐締めエンジン110に対して所望の位置に案内するのを助けることができる。この例では、紐ガイド142は、ミッドソールプレート140の側面に開口部を含み、これらは典型的な締め紐の直径よりも何倍も広いが、他の寸法も使用できる。
【0025】
図1の例において、ミッドソールプレート140は、成形された又は曲線を付けられた前方フランジ143を含み、これはミッドソールプレート140の内側でさらに延在する。例示的な前方フランジ143は、履物プラットフォームのアーチの下に追加の支持を提供するように設計される。しかしながら、他の例では、前方フランジ143は内側ではあまり目立たなくてもよい。この例では、後方フランジ144が、内側と外側の両方に延長部分を有する外径を含む。図示された後方フランジ144は、紐締めエンジン110にとって強化された側方安定性を提供できる。
【0026】
ある例において、1つ又は複数の電極をミッドソールプレート140の中に埋め込み、又はそこに配置でき、足存在センサの一部、例えば容量性足存在センサの一部を形成できる。ある例において、紐締めエンジン110はセンサ回路を含み、これはミッドソールプレート140上の1つ又は複数の電極に電気的に結合されている。センサ回路は、電極からの感知された電界又は容量情報を用いて、ミッドソールプレート140の隣接領域内の足の有無を特定するように構成できる。ある例において、電極は前方フランジ143の最前縁から後方フランジ144の最後縁まで延在し、他の例では、電極はフランジの一方又は両方の一部のみにわたって延在する。
【0027】
ある例において、履物又は電動紐締めシステム100は、1つ又は複数のセンサを含むか、これと接続し、これらは履物内に足があること、履物内に足がないこと、又は履物内の足位置の特性をモニタし、又は特定できる。1つ又は複数のこのような足存在センサからの情報に基づき、電動紐締めシステム100を含む履物は、様々な機能を実行するように構成できる。例えば、足存在センサは、履物の中の足の有無に関する二値情報を提供するように構成できる。ある例において足存在センサに結合されたプロセッサ回路は、デジタル又はアナログ信号情報を受信して解釈し、履物内の足の有無に関する二値情報を提供する。足存在センサからの二値信号が、足があることを示す場合、電動紐締めシステム100の中の紐締めエンジン110を作動させることができ、例えば締め紐又はその他の履物締め付け手段に対する張力を自動的に増減して、例えば足の周囲で履物をきつくし、又は緩める。ある例において、紐締めエンジン110、又は履物製品のその他の部分は、足存在センサからの信号を受信するか、解釈できるプロセッサ回路を含む。
【0028】
ある例において、足存在センサは、足を履物に入れる時の足の位置に関する情報を提供するように構成できる。電動紐締めシステム100は一般に、足が履物の中で、例えば履物製品のインソールの全部又は一部に対して適切に位置付けられ、収容されたときにのみ、例えば締め紐を締めるように作動させることができる。足の移動又は位置に関する情報を感知する足存在センサは、足が、例えばインソールに関して、又は履物製品の他のある機構に関して完全に又は部分的に収容されたか否かに関する情報を提供できる。自動紐締め手順は、センサからの情報が、足が正しい位置にあることを示すまで、中断又は遅延できる。
【0029】
ある例において、足存在センサは、履物の中の足の相対位置に関する情報を提供するように構成できる。例えば、足存在センサは、履物がある足にとって良好な「フィット」であるか否かを、例えば足の土踏まず、踵、爪先、又はその他の構成部分のうちの1つ又は複数の、例えばこのような足の構成部分を受容するように構成された履物の対応する位置に関する相対位置を特定することによって感知するように構成できる。ある例において、足存在センサは、足又は足の構成部分の位置が時間の経過により、所定の、又は以前に記録された基準位置に関して、例えば時間の経過による締め紐の緩み、又は足そのものの自然の膨張と収縮によって変化したか否かを感知するように構成できる。
【0030】
ある例において、足存在センサは、電気、磁気、熱、容量、圧力、光、又はその他のセンサ装置を含むことができ、これは体の存在に関する情報を感知し、又は受信するように構成できる。例えば、電気センサは、少なくとも2つの電極間のインピーダンス特性を測定するように構成されたインピーダンスセンサを含むことができる。足等の体が電極の付近に、又はそれに隣接してあると、電気センサは第1の値を有するセンサ信号を供給でき、足が電極から離れたところにあると、電気センサは異なる第2の値を有するセンサ信号を供給できる。例えば、第1のインピーダンス値は、何も入っていない履物の状態に関連付けることができ、より小さい第2のインピーダンス値は、占有されている履物の状態に関連付けることができる。
【0031】
電気センサは、AC信号生成器回路と、例えば無線周波数情報を含む高周波信号情報を発信し、又は受信するように構成されるアンテナを含むことができる。アンテナに対する体の近接性に基づき、1つ又は複数の電気信号特性、例えばインピーダンス、周波数、又は信号振幅を受信して分析し、体が存在するか否かを特定できる。ある例において、受信信号強度インジケータ(RSSI:received signal strength indicator)は、受信した無線信号のパワーレベルに関する情報を提供する。例えばあるベースライン又は基準値に対するRSSIの変化は、体の有無を識別するために使用できる。ある例において、例えば2.4GHz、3.6GHz、4.9GHz、5GHz、及び5.9GHzバンドのうちの1つ又は複数のWiFi周波数を使用できる。ある例において、キロヘルツ範囲、例えば約400kHzの周波数を使用できる。ある例において、パワー信号の変化は、ミリワット又はマイクロワットのレンジで検出できる。
【0032】
足存在センサは、磁気センサを含むことができる。第1の磁気センサは、磁石と磁力計を含むことができる。ある例において、磁力計は、紐締めエンジン110又はその付近に配置できる。磁石は、紐締めエンジン110から離れた場所、例えば第2のソール、又はアウトソール165の上に着用されるように構成されたインソール等の中に配置できる。ある例において、磁石は、発泡材、又は第2のソールの他の圧縮可能な材料の中に埋め込まれる。使用者が、例えば立っているか、歩いているとき等に第2のソールを押し下げると、磁力計に対する磁石の位置の対応する変化が感知され、センサ信号を介して報告されることが可能である。
【0033】
第2の磁気センサは、磁界の変化又は干渉(例えば、ホール効果による)を感知するように構成された磁界センサを含むことができる。体が第2の磁気センサの付近にあると、センサは、周辺磁界に対する変化を示す信号を生成することができる。例えば、第2の磁気センサは、検出された磁界の変化に応答して電圧出力信号を変化させるホール効果センサを含むことができる。出力信号の電圧変化は、例えば導体内の電流、及び電流に垂直な磁界を横切る方向などに、電気信号導体にわたる電圧差が生成されることに起因するものであり得る。
【0034】
ある例において、第2の磁気センサは体からの電磁界信号を受信するように構成される。例えば、ワルシャフスキー(Varshavsky)らは、「磁界に基づく識別情報を用いるセキュリティのための装置、システム、及び方法(Devices, systems and methods for security using magnetic field based identification)」と題する米国特許第8,752,200号明細書において、体の固有の電磁署名を認証に使用することを教示している。ある例において、履物製品の中の磁気センサは、現在の使用者が靴の所有者であることを、検出された電磁署名を介して認証又は検証し、例えば所有者の1つ又は複数の指定された紐締めの選好(例えば、締め付けのプロファイル)に応じて、その製品を自動的に紐締めすべきであることを認証又は検証するために使用できる。
【0035】
ある例において、足存在センサは、履物の一部の中又はその付近の温度変化を感知するように構成された熱センサを含む。着用者の足が履物製品の中に入ると、製品の内部温度は、着用者自身の体温が履物製品の周辺温度と異なると変化する。それゆえ、熱センサは温度変化に基づいて、足が存在する可能性があるか否かの標示(indication)を提供できる。
【0036】
ある例において、足存在センサは、容量変化を感知するように構成された容量性センサを含む。容量性センサは、1つのプレート又は電極を含むことができ、又は容量性センサは、複数プレート又は複数電極構成を含むことができる。容量型足存在センサの様々な例を本明細書でさらに説明する。
【0037】
ある例において、足存在センサは光学センサを含む。光学センサは、照準線が、例えば履物キャビティの両側面の間等で中断されるか否かを特定するように構成できる。ある例において、光学センサは、足を履物に挿入した時に足により覆われることができる光センサを含む。センサが感知された光又は明るさの状態の変化を示すと、足の存在又は位置の標示を提供できる。
【0038】
本明細書において論じられている様々なタイプの足存在センサの何れも、個別に使用することができ、2つ又はそれ以上の異なるセンサ又は異なるタイプのセンサからの情報を一緒に使用して、足があること、ないこと、足の向き、履物とのフィット具合に関するさらに多くの情報、又は足及びその履物との関係のうちの少なくとも一方に関する他の情報を提供できる。
【0039】
図2A~2Cは、幾つかの例示的な実施形態によるセンサシステムと電動紐締めエンジンの概略を示す。
図2Aは、ある例示的な紐締めエンジン110の各種の外部機構を紹介しており、これには筐体構造150、ケースねじ108、紐通路112(紐案内レリーフ112とも呼ばれる)、紐通路移行部114、スプールくぼみ115、ボタン開口部122、ボタン121、ボタン膜シール124、プログラミングヘッダ128、スプール131、及びスプール131内の紐溝132が含まれる。その他の設計も同様に使用できる。例えば、他のタイプのスイッチ、例えば密閉型ドームスイッチ等を使用でき、又は膜シール124をなくすこと等もできる。ある例において、紐締めエンジン110は、紐締めエンジン110の内部の回路を紐締めエンジン110の外部の回路、例えば外部足存在センサ(又はその構成要素)、スイッチもしくはボタン等の外部アクチュエータ、又はその他のデバイスもしくは構成要素と接続するための1つ又は複数の相互接続部又は電気コンタクトを含むことができる。
【0040】
紐締めエンジン110は、1つ又は複数のねじ、例えばケースねじ108によって保持できる。ケースねじ108は、第1の駆動機構の付近に配置して、紐締めエンジン110の構造的完全性を向上させることができる。ケースねじ108はまた、例えば外部シームの超音波溶接のために筐体構造150を一体に保持する等、組立てプロセスを助けるようにも機能する。
【0041】
図2Aの例において、紐締めエンジン110は、エンジンが自動履物プラットフォームに組み込まれた時点で、靴紐又は締め紐を受承する紐通路112を含む。紐通路112は、通路壁を含むことができ、これは面取り縁を有して、平滑な案内面を提供し、動作中、締め紐はそれに接触して、またその中で移動できる。紐通路112の平滑な案内面部分は、通路移行部114を含むことができ、これはスプールくぼみ115につながる紐通路112の幅広部分とすることができる。スプールくぼみ115は、通路移行部114から、スプール131の形状に密接に適合する概して円形の部分へと移行する。スプールくぼみ115は、スプールに巻かれた締め紐を保持することのほか、スプール131の位置を保持することを支援できる。設計の他の態様は、スプール131を保持するためのその他の手段を提供できる。
図2Aの例において、スプール131は、平坦な上面を通って延びる紐溝132と、反対側から下に向かって延在するスプールシャフト(
図2Aでは示されず)を有し、ヨーヨーの半分と似た形状である。
【0042】
紐締めエンジン110の外側は、自動履物プラットフォームの1つ又は複数の機構を作動させ、又は調整するように構成できるボタン121を格納するボタン開口部122を含む。ボタン121は、紐締めエンジン110に含まれる各種のスイッチを作動させるための外部インタフェースを提供できる。幾つかの例において、筐体構造150は、塵埃と水から保護するためのボタン膜シール124を含む。この例では、ボタン膜シール124は、厚さ最大数ミル(インチの千分の一)の透明なプラスチック(又は同様の材料)であり、これを筐体構造150の上面から、例えば角部を覆って下方の外側へと接着できる。他の例では、ボタン膜シール124は、ボタン121及びとボタン開口部122を覆う、接着剤が裏に塗布された厚さ約2ミルのビニル製の膜である。その他のタイプのボタン及びシーラントも同様に使用できる。
【0043】
図2Bは、上部102と下部104を含む筐体構造150を示す。この例では、上部102は、ケースねじ108、紐通路112、紐通路移行部114、スプールくぼみ115、ボタン開口部122、及びボタンシールくぼみ126等の機構を含む。ある例において、ボタンシールくぼみ126は、上部102のうち、ボタン膜シール124をはめ込むために起伏を付けた部分である。
【0044】
図2Bの例において、下部104は、無線充電器アクセス105、ジョイント106、及びグリース隔壁109等の機構を含む。また、明確に特定されていないが、ケースねじ108を受容するためのケースねじベースのほか、グリース隔壁109内の、駆動機構の一部を保持するための各種の機構も示されている。グリース隔壁109は、グリース又は駆動機構の周囲の同様の組成物を、紐締めエンジン110の各種の電気構成要素から離して保持するように設計される。
【0045】
筐体構造150は、上部102及び下部104の一方又は両方の中に、構造表面に埋め込まれた、又はそこに取り付けられた1つ又は複数の電極170を含むことができる。
図2Bの例における電極170は、下部104に結合されているように示されている。ある例において、電極170は、容量型足存在センサ回路の一部を含む(例えば、本明細書で論じられている足存在センサ310参照)。それに加えて、又はその代わりに、電極170は、上部102に結合できる。上部102又は下部104に結合された電極170は、無線電力伝送のために、又は容量型足存在センサ回路の一部として、又はその両方のために使用できる。ある例において、電極170は、筐体構造150の外面に配置された1つ又は複数の部分を含み、他の例では、電極170は、筐体構造150の内面に配置された1つ又は複数の部分を含む。
【0046】
図2Cは、ある例示的な実施形態による紐締めエンジン110の各種の内部構成要素を示す。この例では、紐締めエンジン110は、スプール磁石136、Oリングシール138、ウォーム駆動部140、ブッシュ141、ウォーム駆動キー、ギアボックス148、ギアモータ145、モータエンコーダ146、モータ回路基板147、ウォームギア151、回路基板160、モータヘッダ161、バッテリ接続部162、及び無線充電ヘッダ163をさらに含む。スプール磁石136は、磁力計(
図2Cでは示されず)による検出を通じてスプール131の移動を追跡するのを助ける。Oリングシール138は、スプールシャフトの周囲で紐締めエンジン110の中に侵入しうる塵埃及び水分を締め出すように機能する。回路基板160は、例えば後述の容量性足存在センサ310等の足存在センサのための1つ又は複数のインタフェース又は相互接続部を含むことができる。ある例において、回路基板160は、足存在センサ310の一部を提供する1つ又は複数のトレース又は導電面を含む。
【0047】
この例では、紐締めエンジン110の主要な駆動構成要素は、ウォーム駆動部140、ウォームギア151、ギアモータ145、及びギアボックス148を含む。ウォームギア151は、ウォーム駆動部140及びギアモータ145の逆方向への駆動を阻止するように設計され、これは、スプール131を介して締め紐から入力される主な力を比較的大型のウォームギアとウォーム駆動歯とで分解できることを意味する。この配置により、ギアボックス148は、履物プラットフォームをアクティブに使用することから生じる力学的負荷又は紐締めシステムの締付けから生じる締付け負荷の両方に耐えるのに十分な強度のギアを含める必要性から保護される。ウォーム駆動部140は、駆動システムの様々な壊れやすい部分を保護するのを助ける追加の機構、例えばウォーム駆動キーを含む。この例では、ウォーム駆動キーはウォーム駆動部140の、ギアボックス148から出るドライブシャフトを通るピンと接続するモータ端の半径方向のスロットである。この配置により、ウォーム駆動部140はウォーム駆動部140が軸方向に(ギアボックス148の反対に)自由に移動できるようにし、これらの軸方向の負荷をブッシュ141と筐体構造150に伝達することによって、ギアボックス148又はギアモータ145に不当な軸方向の力がかからない。
【0048】
図3は、ある例示的な実施形態による電動紐締めシステム300の構成要素のブロック図の概略を示す。システム300は、電動紐締めシステムの構成要素の、必ずしも全部ではないが幾つかを含み、例えば、インタフェースボタン301と、容量性足存在センサ310と、プロセッサ回路を有するプリント回路基板アセンブリ(PCA)320、バッテリ321、充電コイル322、エンコーダ325、モーションセンサ324、及び駆動機構340を包囲する筐体構造150とを含む。駆動機構340は、特に、モータ341、トランスミッション342、及び紐スプール343を含むことができる。モーションセンサ324は、特に、単一又は複数の軸加速度計、磁力計、ジャイロメータ、又は筐体構造150の動き、もしくは筐体構造150の中の、又はそこに結合された1つ又は複数の構成要素の動きを感知するように構成された他のセンサもしくは装置を含むことができる。
【0049】
図3の例において、プロセッサ回路320は、インタフェースボタン301、足存在センサ310、バッテリ321、充電コイル322、及び駆動機構340のうちの1つ又は複数とデータ又は電力信号を通信する。トランスミッション342は、モータ341をスプール343に結合して、駆動機構340を形成する。
図3の例において、ボタン301、足存在センサ310、及び環境センサ350は、筐体構造150の外部に、又は部分的に外部に示されている。
【0050】
代替的な実施形態において、ボタン301、足存在センサ310、及び環境センサ350のうちの1つ又は複数は、筐体構造150の中に入れることができる。ある例において、足存在センサ310は、筐体構造150の中に配置され、センサが汗や塵埃又はデブリ(debris)から保護される。筐体構造150の壁を通る接続を最少化又は排除することは、アセンブリの耐久性と信頼性を高めるのに役立ちうる。
【0051】
ある例において、プロセッサ回路320は、駆動機構340の1つ又は複数の態様を制御する。例えば、プロセッサ回路320は、ボタン301、足存在センサ310、及びモーションセンサ324のうちの少なくとも一つからの情報を受信し、それに応答して、例えば足の周囲の履物をきつくする、又は緩めるように駆動機構340を制御するように構成できる。ある例において、プロセッサ回路320は、それに加えて、又はその代わりに、他の機能のうち、足存在センサ310又はその他のセンサからセンサ情報を取得又は記録するための命令を発行するように構成される。ある例において、プロセッサ回路320は、足存在センサ310を用いて足の存在を検出すること、足存在センサ310を用いて足の向き又は位置を検出すること、又はモーションセンサ324を用いて所定のジェスチャを検出することのうちの1つ又は複数に駆動機構340の動作を条件付ける。
【0052】
ある例において、システム300は環境センサ350を含む。環境センサ350からの情報は、足存在センサ310のためのベースライン又は基準値を更新又は調整するために使用できる。後にさらに説明するように、容量性足存在センサにより測定された容量値は、例えばセンサ付近の周囲条件に応答して時間の経過と共に変化する可能性がある。したがって、環境センサ350からの情報を用いて、プロセッサ回路320及び足存在センサ310のうちの少なくとも一方は、測定又は感知された容量値を更新又は調整するように構成できる。
【0053】
図4は、履物製品の使用者が立っているときの、履物製品400の中の標準的又は平均的な足(左)と凹足(high arch foot)(右)に関する圧力分布データを示す図である。この例では、比較的大きい足底圧力区域が踵領域401、母指球領域402(例えば、土踏まずと爪先との間)、及び母指領域403(例えば、「足の親指」領域)に含まれることがわかる。しかしながら、前述のように、例えば土踏まず領域又はその付近等の中央領域に、各種のアクティブな構成要素(例えば、足存在センサ310を含む)を含めることが有利である可能性がある。一例においては、筐体構造150を含む履物製品を履いた使用者にとって、土踏まず領域では、一般に、筐体構造150があまり目立たないか、煩わしくない可能性がある。
【0054】
図4の例では、紐締めエンジンキャビティ141を土踏まず領域に提供できる。足存在センサ310に対応する1つ又は複数の電極は、第1の位置405に、又はその付近に配置できる。第1の位置405に配置された電極を用いて測定された容量値は、足が第1の位置405にどれだけ近いかに応じて違う可能性がある。例えば、平均的な足と凹足については異なる容量値が得られ、これは、足そのものの表面が第1の位置405から異なる距離にあるからである。ある例において、足存在センサ310及び紐締めエンジン110のうちの少なくとも一方の位置は、例えば異なる使用者の異なる足の特徴に対応し、足存在センサ310から得られる信号品質を向上させるように、(例えば、使用者が、又は販売時点で技術者が)履物に関して調整できる。ある例において、足存在センサ310の感度は、例えば駆動信号のレベルを高めることによって、又は足存在センサ310と足との間に配置された誘電材料を変えることによって調整できる。
【0055】
図5A及び5Bは、ある例示的な実施形態による履物製品のインソールの中の容量型足存在センサの概略図である。容量型足存在センサは、センサを取り入れた製品が着用されたときの物体又は体550、例えば足の、表面の下に提供できる。
【0056】
図5Aにおいて、容量型足存在センサは、容量感知コントローラ回路502に結合された第1の電極アセンブリ501Aを含むことができる。ある例において、コントローラ回路502は、プロセッサ回路320の中に含まれるか、またはプロセッサ回路320によって実行される機能を含む。
図5Aの例では、第1の電極アセンブリ501A及びコントローラ回路502のうちの少なくとも一方は、筐体構造150の内側部分の中に含めるか、又はそこに取り付けることができ、あるいは筐体構造150の中のPCAに結合できる。ある例において、第1の電極アセンブリ501Aは、筐体構造150の足対向表面に、又はそれに隣接して配置できる。ある例において、第1の電極アセンブリ501Aは、筐体構造150の内側上面領域の全体に広がる複数のトレースを含む。
【0057】
図5Bにおいて、容量型足存在センサは、容量感知コントローラ回路502に結合された第2の電極アセンブリ501Bを含むことができる。第2の電極アセンブリ501Bは、筐体構造150の外側部分において、又はその付近に取り付けることができ、例えばフレキシブルコネクタ511を用いて筐体構造150の内側のPCAに電気的に結合できる。ある例において、第2の電極アセンブリ501Bは、筐体構造150の足対向表面に、又はそれに隣接して配置できる。ある例において、第2の電極アセンブリ501Bはフレキシブル回路を含み、これは筐体構造150の内面又は外面に固定され、1つ又は複数の導体を介してプロセッサ回路320に結合される。
【0058】
ある例において、コントローラ回路502は、アトメル(Atmel)のATSAML21E18B-MU、STマイクロエレクトロニクス(ST Microelectronics)のSTM32L476M、又は他の同様のデバイスを含む。コントローラ回路502は、特に、第1の電極アセンブリ501A又は第2の電極アセンブリ501Bの中の少なくとも1つの電極ペアにAC駆動信号を供給し、それに応じて、電極ペアに対する物体又は体550の近接性の、対応する変化に基づく電界の変化を感知するように構成でき、これについては後でより詳しく説明する。ある例において、コントローラ回路502は、足存在センサ310又はプロセッサ回路320を含むか、これを使用する。
【0059】
各種の材料を、電極アセンブリ501と感知される物体又は体550との間に提供できる。例えば、電極絶縁筐体構造150の材料、インソールの材料、インサートの材料510、ソックスもしくはその他の足カバー、ボディテープ、キネシオロジーテープ(kinesiology tape)、又はその他の材料を、例えば履物の誘電特性を変化させ、それによって電極アセンブリ501を含むか又は使用するセンサの容量検出感度に影響を与えるために、体550と電極アセンブリ501との間に介在させることができる。コントローラ回路502は、例えば電極アセンブリ501を用いて感知された容量値の感度又は信号対ノイズ比を向上させるために、介在材料の数又はタイプに基づいて励起又は感知パラメータを更新又は調整するように構成できる。
【0060】
図5A又は
図5Bの例では、第1の電極アセンブリ501A及び第2の電極アセンブリ501Bのうちの少なくとも一方は、コントローラ回路502の信号生成器により励起することができ、その結果、電界を電極アセンブリの上側の足対向面から放射させることができる。ある例において、電極アセンブリの下の電界は、少なくとも一部に、感知電極の下に配置されたドリブンシールド(driven shield)を用いてブロックできる。ドリブンシールド及び電極アセンブリは、相互に電気的に絶縁できる。例えば、第1の電極アセンブリ501AがPCAの一つの面にあると、ドリブンシールドはPCAの下層、又は多層PCAの複数の内側層の何れか1つにあるようにすることができる。ある例において、ドリブンシールドは、第1の電極アセンブリ501Aの表面積と同じか、又はそれより大きくすることができ、第1の電極アセンブリ501Aの直下で中心合わせすることができる。ドリブンシールドは、駆動信号を受信し、それに応答して第1の電極アセンブリ501Aにより生成された電界のX軸レッグ(X axis leg)と同じ極性、位相、及び振幅の電界、またはそのうちの少なくとも一つが同じ電界を生成することができる。ドリブンシールドの電界は、第1の電極アセンブリ501Aの電界と反発し、それによってセンサフィールドを、例えばPCAのアース面との不要な結合等、各種の寄生効果から絶縁することができる。ドリブンシールドは、第2の電極アセンブリ501Bで使用するために同様に提供できる。例えば、第2の電極アセンブリ501Bは、
図5Bの例に示されているように筐体構造150の上方に提供でき、筐体構造150の一部はドリブンシールドとして使用される導電性フィルムを含むことができる。それに加えて、又はその代わりに、ドリブンシールドは、第2の電極アセンブリ501Bが筐体構造150の上以外の位置に提供されている場合、履物製品の他の箇所に提供できる。
【0061】
筐体構造150を配置するのに好ましい位置は履物の土踏まず区域であり、それは、そこが着用者により感じとられにくく、着用者にとって不快の原因となりにくい区域だからである。履物内の足の存在を検出するために容量感知を使用する1つの利点は、容量性センサが土踏まず領域内にあり、使用者が比較的又は異常に高い土踏まずを有していても容量性センサが適正に機能できることを含む。例えば、センサ駆動信号の振幅又は形態的特徴(morphology characteristic)は、容量性センサから受信した信号の、検出された信号対ノイズ比に基づいて変化させ、又は選択することができる。ある例において、センサ駆動信号は、例えば第1の電極アセンブリ501A又は第2の電極アセンブリ501Bと体550との間に配置された1つ又は複数の材料(例えば、ソックス、インソール等)の変化に対応するために、履物が使用されるたびに更新又は調整できる。
【0062】
ある例において、容量性センサの電極アセンブリ、例えば第1の電極アセンブリ501A又は第2の電極アセンブリ501Bは、例えばX及びY軸の方向を向く電極間のような、複数の電極間の信号の差を感知するように構成できる。ある例において、適当なサンプリング周波数は約2~50Hzの間とすることができる。幾つかの例において、容量型足感知技術は、インソール又は足を包むソックスの汗(湿り気)に対して比較的不変である可能性がある。このような水分の影響は、検出のダイナミックレンジの減少となる可能性があり、これは、水分の存在が、測定される容量を増大させる可能性があるからである。しかしながら、幾つかの例において、ダイナミックレンジは、履物の水分の予想レベル内においては、この効果に対応するのに十分である。
【0063】
図6は、ある例示的な実施形態による足存在検出のための容量性センサシステム600の概略を示す。システム600は、体550(例えば、アクティブな履物製品の中又はその付近の足を表す)と、第1の電極601及び第2の電極602を含む。電極601及び電極602は、例えば足存在センサ310の一部を含む、
図5A又は
図5Bの例の第1の電極アセンブリ501A及び第2の電極アセンブリ501Bの全部又は一部を形成できる。
図6の例では、第1の電極601及び第2の電極602は、相互に、及び体550に関して垂直に離間されているように示されているが、電極は、例えば
図7~
図9Cの例において詳細に示されているように、同様に水平にも離間できる。すなわち、ある例において、電極は体550の下面に平行な平面内に配置できる。
図6の例では、第1の電極601は、送信電極として構成され、信号生成器610に結合される。ある例において、信号生成器610は、
図3の例のプロセッサ回路320の一部を含む。すなわち、プロセッサ回路320は、駆動信号を生成し、それを第1の電極601に印加するように構成できる。
【0064】
信号生成器610からの駆動信号で第1の電極601を励起した結果として、電界615が主に第1の電極601及び第2の電極602間に生成されることができる。すなわち、生成された電界615の各種の成分は、第1の電極601及び第2の電極602間に延在することができ、生成された電界615のその他のフリンジ成分は他の方向に延在することができる。例えば、フリンジ成分は、筐体構造150(
図6の例では示されていない)から離れる方向に、送信電極又は第1の電極601から延び、受信電極又は第2の電極602に戻って終端することができる。
【0065】
電界615に関する情報は、体550の近接性による電界615の変化に関する情報を含め、第2の電極602によって感知され、又は受信されることができる。第2の電極602からの感知信号は、様々な回路を用いて処理され、体550の有無を示すアナログ又はデジタル信号を提供するために使用できる。
【0066】
例えば、第2の電極602が受信した電界615の電界強度は、アナログ容量表示信号をデジタル信号に変換するよう構成されたシグマ-デルタ・アナログ-デジタル変換回路(ADC)620を用いて測定できる。電極付近の電気環境は、体550等の物体が、そのフリンジ成分を含む電界615に侵入する場合に変化する。体550が電界内に入ると、電界615の一部が、第2の電極602で受信及び終端される代わりに、アースに短絡されるか、又は(例えば、空気中を通る代わりに)体550を通過してから第2の電極602で受信される。その結果、容量の変化が生じ、これは足存在センサ310及びプロセッサ回路320のうちの少なくとも一方によって検出されることが可能である。
【0067】
ある例において、第2の電極602は、電界情報を実質的に連続的に受信することができ、情報は、ADC620により連続的又は周期的にサンプリングされることが可能である。ADC620からの情報は、オフセット621にしたがって処理又は更新でき、その後、デジタル出力信号622を供給できる。ある例において、オフセット621は、容量オフセットであり、これは、(例えば、プロセッサ回路320の内部で)指定又はプログラムできるか、又は時間の経過による環境の変化、温度、又はその他の可変的な環境特性を追跡するために使用される別のキャパシタに基づくようにすることができる。
【0068】
ある例において、デジタル出力信号622は、例えば測定された容量値を所定の閾値と比較することにより判定された、体550の有無に関する二値情報を含むことができる。ある例において、デジタル出力信号622は、測定された容量に関する定性的情報を含み、例えば(例えば、プロセッサ回路320により)体550がある、又はない可能性の標示を提供するために使用できる。
【0069】
周期的に、又は(例えばモーションセンサ324からの情報を使用した判定により)足存在センサ310がアクティブでないときにはいつでも、容量値を測定し、基準値、ベースライン値、又は環境値として保存できる。足又は体が、足存在センサ310、第1の電極601、及び第2の電極602に近付くと、測定された容量は、例えば保存された基準値に関して減少又は増大する可能性がある。ある例において、1つ又は複数の閾値容量レベルを、例えばプロセッサ回路320を有するオンチップレジスタに保存できる。測定された容量値が所定の閾値を超えた場合、体550が足存在センサ310を含む履物に存在する(又は存在しない)と判定されることが可能である。
【0070】
足存在センサ310と、足存在センサ310の一部を含む電極601及び602は、以下の幾つかの非限定的な例に示されているように、複数の異なる形態を取ることができる。ある例において、足存在センサ310は、複数の電極又はプレート間の相互容量に関する情報を感知又は使用するように構成される。
【0071】
ある例において、電極601及び602は、電極グリッドに配置される。グリッドを使用する容量性センサは、グリッドの各行と各列の各交叉点において可変キャパシタを含むことができる。任意選択により、電極グリッドは、1つ又は複数の行又は列に配置された電極を含む。電圧信号は、行又は列に印加でき、センサの表面に近い体又は足は、局所的電界に影響を与えることができ、今度は相互容量効果を低減できる。ある例において、グリッド上の複数の点における容量変化は、例えば各軸の電圧を測定することによって、測定され、体の位置を判定できる。ある例において、相互容量測定技術は、グリッドの方々の複数の位置からの情報を同時に提供できる。
【0072】
ある例において、相互容量測定は、送信電極及び受信電極の直交グリッドを使用する。このようなグリッド型センサシステムにおいて、測定値は、複数の離散的なX-Y座標ペアの各々について検出できる。ある例において、複数のキャパシタからの容量情報は、履物の中の足の存在又は足の向きを判定するために使用できる。他の例において、1つ又は複数のキャパシタからの容量情報は、ある時間にわたり取得され、分析されて、足の存在又は足の向きを判定できる。ある例において、X検出座標及びY検出座標のうちの少なくとも一方に関する変化率情報は、足が履物の中のインソールに関していつ適正又は完全に収容されたか、又は収容されたか否かを判定するために使用できる。
【0073】
ある例において、自己容量型足存在センサは、相互容量センサと同じX-Yグリッドを有することができるが、列と行は独立して動作できる。自己容量センサでは、各列又は行における体の容量性負荷を独立して検出できる。
【0074】
図7は、ある例示的な実施形態による第1の容量型足存在センサの概略図を示す。
図7の例では、第1の容量性センサ700は複数の平行な容量性プレートを含む。複数のプレートは、筐体150の上又は中に配置され、例えば第1の容量性センサ700を含む履物製品が着用されたときに足の裏に、又はその付近に配置される。ある例において、容量性足存在センサ310は、第1の容量性センサ700を含むか、使用する。
【0075】
図7の例では、4つの導電性キャパシタプレートが701~704として示されている。プレートは、導電性フォイル等の導電材料で製作できる。フォイルは柔軟とすることができ、任意選択により、筐体構造150自体のプラスチックの中に埋め込むことができ、又は筐体150とは独立させることができる。フィルム、インク、溶着金属、又はその他の材料等、何れの導電材料も使用できると理解すべきである。
図7の例では、プレート701~704は共通平面内に配置され、相互に離間されて、個別の導電素子又は電極を形成する。
【0076】
キャパシタの容量値は、キャパシタを形成する2枚のプレート間の材料の誘電率に機能的に関連付けられている。第1の容量性センサ700の中で、キャパシタは、2つ又はそれ以上のキャパシタプレート701~704の各ペア間に形成できる。したがって、
図7においてキャパシタA、B、C、D、E、及びFとして指定されているように、キャパシタプレート701~704の6つの固有の組合せペアにより形成される6つの有効なキャパシタがある。任意選択により、プレートの2つ又はそれ以上を電気的に結合して、1つのプレートを形成できる。すなわち、ある例において、キャパシタは、電気的に結合されて第1の導体を提供する第1のキャパシタプレート701及び第2のキャパシタプレート702と、電気的に結合されて第2の導体を提供する第3及び第4のキャパシタプレート703及び704とを用いて形成できる。
【0077】
ある例において、第1のキャパシタプレート701及び第2のキャパシタプレート702間の容量性効果は、
図7において文字Aで示される疑似キャパシタにより表される。第1のキャパシタプレート701及び第3のキャパシタプレート703間の容量性効果は、文字Bで示される疑似キャパシタにより表される。第2のキャパシタプレート702及び第4のキャパシタプレート704間の容量性効果は、文字Cで示される疑似キャパシタにより表される、等々である。当業者であれば、各疑似キャパシタがキャパシタプレートのそれぞれのペア間に延びる電界を表すことを理解するであろう。以下、識別しやすくするために、容量性プレートの各ペアにより形成されるキャパシタを、
図7で使用される文字(例えば、「A」、「B」等)で呼ぶことにより、疑似的に描かれたキャパシタを識別する。
【0078】
図7の例におけるキャパシタプレートの各ペアについて、プレート間の有効誘電体は、プレート間に配置されたエアギャップ(又はその他の材料)を含む。キャパシタプレートの各ペアについて、容量性プレートのそれぞれのペアに近接する体又は足のどの部分も、その容量性プレートのペアのための有効誘電体の一部となることができるか、又はそれに影響を与えることができる。すなわち、キャパシタプレートの各ペア間に、それぞれのプレートペアまでの体の近接性に応じて可変誘電体を提供できる。例えば、体又は足があるプレートペアに近いほど、有効誘電体の値は大きくなるかもしれない。誘電率の値が増えるにつれて、容量値は増大する。このような容量値の変化は、プロセッサ回路320によって受信され、体が第1の容量センサ700に、又はその付近にあるか否かを示すために使用できる。
【0079】
第1の容量性センサ700を含む足存在センサ310の例において、複数の容量性センサ駆動/モニタ回路を、プレート701~704に結合できる。例えば、別個の駆動/モニタ回路を
図7の例のキャパシタプレートの各ペアに関連付けることができる。例えば、駆動/モニタ回路は、キャパシタプレートペアに駆動信号(例えば、時間的に変化する電気励起信号)をキャパシタプレートペアに供給でき、それに応答して、容量表示値を受信することができる。各駆動/モニタ回路は、関連するキャパシタ(例えば、第1のプレート701及び第2のプレート702に対応するキャパシタ「A」)の可変容量値を測定するように構成でき、さらに、測定された容量値を示す信号を供給するように構成できる。駆動/モニタ回路は、容量を測定するための何れの適当な構造を有することもできる。ある例において、例えば異なるキャパシタを用いて測定された容量値間の差の標示を提供するために、2つ又はそれ以上の駆動/モニタ回路を一緒に使用することができる。
【0080】
図8は、ある例示的な実施形態による第2の容量型足存在センサの概略図を示す。
図8の例は、第1の電極801及び第2の電極802を含む第2の容量性センサ800を含む。足存在センサ310は、第2の容量性センサ800を含むか、又はそれを使用できる。
図8の例では、第1の電極801及び第2の電極802は、実質的に平坦な面に沿って、例えば櫛状に配置される。ある例において、プロセッサ回路320等の駆動回路は、第1の電極801及び第2の電極802に印加される励起又は刺激信号を生成するように構成できる。同じ又は異なる回路は、第1の電極801及び第2の電極802間の容量の変化を示す応答信号を感知するように構成できる。容量は、電極に対する体又は足の存在により影響を受け得る。例えば、第1の電極801及び第2の電極802は、筐体構造150の表面上又はその付近に配置でき、これは、例えば足が筐体構造150を含む履物内にある場合の、足の付近である。
【0081】
ある例において、第2の容量性センサ800は、例えばX-Yグリッドで電極パターンを形成するエッチングされた導電層を含む。それに加えて、又はその代わりに、第2の容量性センサ800の電極は、導電材料の複数の別々の平行な層をエッチングすることにより、例えば垂直な線又はトラックを有するように提供され、グリッドを形成することができる。この、又は他の容量性センサにおいて、体又は足と導電層又は電極との間の直接的な接触は不要である。例えば、導電層又は電極は、筐体150の中に埋め込むことができ、又は保護又は絶縁層でコーティングできる。その代わりに、検出対象の体又は足は、電極の付近の電界特性と連動し、又はそれに影響を与えるようにすることができ、電界の変化を検出できる。
【0082】
ある例において、アース又は基準に対する第1の電極801に関して、及びアース又は基準に対する第2の電極802に関して別々の容量値を測定できる。足存在検出で使用される信号は、第1の電極801及び第2の電極802に関して測定された別々の容量値の差に基づくものとすることができる。すなわち、足存在又は足検出信号は、第1の電極801及び第2の電極802を用いて測定された別個の容量信号間の差に基づくものとすることができる。
【0083】
図9A及び
図9Bは、ある例による第3の容量性センサ900の例の概略を示す。
図9Cは、第4の容量性センサ902の例の概略を示す。
図9Aは、第3の容量性センサ900の概略上面図を示す。
図9Bは、第3の容量性センサ900を含むセンサアセンブリ901の斜視図を示す。
図9Cは、第4の容量性センサ902の概略上面図を示す。
【0084】
図9Aの例では、第3の容量性センサ900は、第1の電極トレース911及び第2の電極トレース912を有する電極領域を含む。第1の電極トレース911及び第2の電極トレース912は、絶縁体トレース913により分離される。ある例において、第1の電極トレース911及び第2の電極トレース912は、銅、炭素、もしくは銀又はその他の導電材料とすることができ、FR4、フレックス、PET、もしくはITO又はその他の材料等で製作された基板上に堆積させることができる。第3の容量性センサ900の基板とトレースは、1つ又は複数の柔軟部分を含むことができる。
【0085】
第1の電極トレース911及び第2の電極トレース912は、第3の容量性センサ900の基板の表面積の実質的に全体にわたって分布させることができる。電極トレースは、第3の容量性センサ900が取り付けられたときに、筐体構造150の上側又は上面に接触するように配置できる。ある例において、第1の電極トレース911及び第2の電極トレース912の一方又は両方は、幅約2mmとすることができる。絶縁体トレース913は、ほぼ同じ幅とすることができる。ある例において、トレースの幅は、とりわけ、履物の大きさもしくはインソールのタイプに基づいて選択できる。例として、例えば第3の容量性センサ900を用いて測定される容量値の信号対ノイズ比を最大化するために、第1の電極トレース911及び第2の電極トレース912について、又は絶縁体トレース913について、又はその両方について、例えばトレースと感知対象の体との間の距離、インソールの材料、ギャップ充填材、筐体構造150の材料、又は履物内で使用されるその他の材料に応じて異なるトレース幅を選択できる。
【0086】
第3の容量性センサ900は、コネクタ915を含むことができる。コネクタ915は、適合するコネクタと結合でき、例えば筐体構造150の中のPCAに結合できる。適合するコネクタは、第1の電極トレース911及び第2の電極トレース912をプロセッサ回路320に電気的に結合するための1つ又は複数の導体を含むことができる。
【0087】
ある例において、第3の容量性センサ900は、入力信号導体920A及び入力信号導体920Bを含む。入力信号導体920A及び入力信号導体920Bは、1つ又は複数の入力デバイス、例えば
図2Aの例のボタン121に対応するような、例えばドームボタン又はその他のスイッチに結合されるように構成できる。
【0088】
図9Bはセンサアセンブリ901を示し、これは第3の容量性センサ900、ボタン121A及びボタン121B、及び膜シール124A及び膜シール124Bを含む。ある例において、接着剤が、入力信号導体920A及び入力信号導体920Bの対応する導電表面を、ボタン121A及びボタン121Bと結合する。膜シール124A及び膜シール124Bは、例えばボタン121A及びボタン121Bをデブリから保護するために、ボタン121A及びボタン121Bを覆うように接着されることが可能である。
【0089】
図9Cの例では、第4の容量性センサ902は、第1の電極トレース921及び第2の電極トレース922を有する電極領域を含む。第1の電極トレース921及び第2の電極トレース922は、絶縁体トレース923により分離される。電極トレースは、各種の導電材料を含むことができ、第4の容量性センサ902は、1つ又は複数の柔軟部分を含むことができる。第4の容量性センサ902は、コネクタ925を含むことができ、当該コネクタ915は、適合するコネクタに結合でき、例えば筐体構造150内のPCAに結合できる。
【0090】
本発明者らは、解決すべき課題が、例えば足存在センサの全部又は一部が検出対象の足又は体から、例えばエアギャップ又はその他の介在材料により分離されているときに、容量性足存在センサの適切な感度又は容量性足存在センサからの適切な応答を取得することを含むと認識した。本発明者らは、解決策が、特定の形状、大きさ、及び向きの複数の電極を使用して、電極にエネルギー供給されたときに生成される電界の向きと相対強度を向上させることを含むと認識した。すなわち、本発明者らは、容量性足存在感知において使用するための最適な電極構成を特定した。
【0091】
ある例において、第4の容量性センサ902の複数の電極は、第1の電極トレース921及び第2の電極トレース922を含み、第1の電極トレース921及び第2の電極トレース922の各々は、相互に実質的に平行に延びる複数の別個の指状部(finger)又はトレースを含む。例えば、第1の電極トレース921及び第2の電極トレース922は、
図9Cに示されているように、交互に配置された複数の導電性指状部分を含むことができる。
【0092】
ある例において、第2の電極トレース922は、境界線又は周辺部分を含むことができ、これは実質的に第4の容量性センサ902の外周縁又は表面部分の周囲に延在し、実質的に第1の電極トレース921を取り囲む。
図9Cの例では、第2の電極トレース922を含む境界線は、第4の容量性センサ902のアセンブリの上面の実質的に全部の周囲に延在するが、他の幾つかの例では、境界線はセンサのより少ない部分の周囲に延在することができる。本発明者らはさらに、足の存在を検出するための最適な電界が、平行でない1つ又は複数のトレース又は指状部分を含む代わりに、第1の電極トレース921及び第2の電極トレース922の指状部のほとんど又は全部が相互に実質的に平行に配置されたときに生成されると認識した。例えば、第4の容量性センサ902と異なり、
図9Aの第3の容量性センサ900は、例えば垂直に延びる指状部分を含む第1の電極トレース911の上側部分及び水平に延びる指状部分を含む第1の電極トレース911の下側部分等、平行でない指状部を含む。第1の電極トレース921及び第2の電極トレース922の相対的な厚さは、センサの感度をさらに高めるために調整できる。ある例において、第2の電極トレース922は、第1の電極トレース921より3倍又はそれ以上厚い。
【0093】
ある例において、例えば第1の容量性センサ700、第2の容量性センサ800、第3の容量性センサ900、及び第4の容量性センサ902を使用する足存在センサ310により測定された容量値は、
図3のプロセッサ回路320等のコントローラ又はプロセッサ回路に供給できる。測定された容量に応答して、プロセッサ回路320は、例えば足の周囲の履物の張力を調整するために、駆動機構340を作動させることができる。調整作業は任意選択により、少なくとも一部に、別個の「配線接続された(hard-wired)」構成要素により実行でき、ソフトウェアを実行するプロセッサにより実行でき、又は配線接続された構成要素とソフトウェアとの組合せにより実行できる。ある例において、駆動機構340を作動させることは、(1)1つ又は複数の駆動/モニタ回路を用いて、例えばプロセッサ回路320を用いて足存在センサ310からの信号をモニタすること、(2)受信した容量信号のうち、(例えば、プロセッサ回路320のメモリレジスタ、及びプロセッサ回路320とデータ通信するメモリ回路のうちの少なくとも一方の中に格納された)所定の閾値と一致するか、それを超える容量を示すものがあれば、それはどれかを判定すること、(3)足存在センサ310の付近の体又は足の位置、大きさ、向き、又はその他の特性を、例えば超過された各種の所定の閾値に基づいて特徴付けること、及び(4)その特性に応じて、駆動機構340の作動を許可し、可能にし、調整し、又は抑制することを含む。
【0094】
図10は、履物センサからの足存在情報を使用することを含む方法1000の例を示すフローチャートを示す。動作1010で、この例は、足存在センサ310からの足存在情報を受信することを含む。足存在情報は、足が履物の中にあるか否かに関する二値情報(例えば、
図12~14の例において論じられる割込み信号参照)を含むことができ、又は足が履物製品の中にある可能性の標示を含むことができる。情報は、足存在センサ310からプロセッサ回路320に供給される電気信号を含むことができる。ある例において、足存在情報は、履物の中の1つ又は複数のセンサに関する足の位置に関する定性的情報を含む。
【0095】
動作1020で、この例は、足が履物の中に完全に収容されたか否かを判定することを含む。センサ信号が、足が完全に収容されたことを示す場合、この例は、動作1030において、駆動機構340を作動させることに続くことができる。例えば、動作1020で、例えば足存在センサ310からの情報に基づいて足が完全に収容されたと判定されると、前述のように駆動機構340を係合させてスプール131を介して靴紐を締めることができる。センサ信号が、足が完全に収容されていないことを示す場合、この例は、動作1022において、ある所定の間隔(例えば、1~2秒又はそれ以上)にわたり遅延又は待機することにより続くことができる。所定の遅延時間が経過すると、この例は動作1010に戻ることができ、プロセッサ回路は、足存在センサ310からの情報を再度サンプリングして、足が完全に収容されたか否かを再び判定することができる。
【0096】
動作1030で駆動機構340が作動された後、プロセッサ回路320は、動作1040で足位置情報をモニタするように構成されることができる。例えば、プロセッサ回路は、履物の中の足の絶対位置又は相対位置に関する足存在センサ310からの情報を定期的に、又は間欠的にモニタするように構成されることができる。ある例において、動作1040で足位置情報をモニタすること、及び動作1010で足存在情報を受信することは、同じ又は異なる足存在センサ310からの情報を受信することを含むことができる。例えば、動作1010及び1040において、足存在又は位置情報をモニタするために、異なる電極を使用できる。
【0097】
動作1040で、この例は、履物に関連付けられる1つ又は複数のボタン、例えばボタン121からの情報をモニタすることを含む。ボタン121からの情報に基づいて、駆動機構340には、例えば使用者が履物を脱ぎたいときに、紐をほどく、又は緩めるように指示できる。
【0098】
ある例において、上記に加えて、又はその代わりに、駆動機構340を作動させるため、又は紐を引っ張るためのフィードバック情報として紐張力情報をモニタ又は使用できる。例えば、紐張力情報は、モータ341に供給される駆動電流を測定することによってモニタできる。張力は、製造時に特徴付けることができ、又は使用者が事前設定もしくは調整でき、及びモニタもしくは測定された駆動電流レベルに相関させることができる。
【0099】
動作1050で、この例は、履物の中で足位置が変化したか否かを判定することを含む。足位置の変化が足存在センサ310とプロセッサ回路320により検出されない場合、この例は動作1052での遅延へと続くことができる。動作1052での所定の遅延間隔の後、この例は動作1040に戻ることができ、足存在センサ310からの情報を再度サンプリングして、足位置が変化したか否かを再び判定する。動作1052での遅延は、数ミリ秒から数秒の範囲とすることができ、任意選択により、使用者が指定できる。
【0100】
ある例において、動作1052での遅延は、例えば履物の使用の特性を判定することに応答して、プロセッサ回路320により自動的に判定されることができる。例えば、プロセッサ回路320が、着用者が激しい活動(例えば、ランニング、ジャンピング等)を行っていると判定した場合、プロセッサ回路320は、動作1052で提供される遅延継続時間を短縮できる。プロセッサ回路が、着用者が激しくない活動(例えば、ウォーキング又は座っていること)に従事していると判断した場合、プロセッサ回路は、動作1052で提供される遅延継続時間を延長できる。遅延継続時間を延長することにより、センサのサンプリングイベントと、プロセッサ回路320及び足存在センサ310のうちの少なくとも一方による対応する電力消費を遅らせることにより、バッテリの寿命を維持することができる。ある例において、動作1050で位置変化が検出されると、この例は動作1030に戻ることにより、例えば駆動機構340を作動させて、足の周囲の履物をきつくし、又は緩めることに続くことができる。ある例において、プロセッサ回路320は、駆動機構340のためヒステリシスコントローラを含むか、又は内蔵し、例えばわずかな足位置変化が検出された場合に、不要な紐の巻上げを回避するのを助ける。
【0101】
図11は、履物センサからの足存在情報を使用する方法1100の例を示すフローチャートを示す。
図11の例は、一例において、例えばプロセッサ回路320及び足存在センサ310を用いて実装できるような、ステートマシンの動作を参照するものとすることができる。
【0102】
状態1110は、アクティブな履物製品に関するデフォルト又はベースライン状態を表す「出荷」状態を含むことができ、製品は、足存在センサ310からの情報により影響を受けることのできる1つ又は複数の機構を含む。出荷状態1110で、履物の各種のアクティブな構成要素のスイッチを切るか、動作を停止させて、履物のバッテリ寿命を保つことができる。
【0103】
「電源投入」イベント1115に応答して、この例は「ディスエーブル」、すなわち非アクティブ状態1120に移行できる。駆動機構340又はアクティブな履物の他の機構は、ディスエーブル状態1120でスタンバイのままとすることができる。各種の入力を、ディスエーブル状態1120から脱するためのトリガイベントとして使用できる。例えば、ボタン121のうちの1つからの使用者入力を用いて、ディスエーブル状態1120からの移行を示すことができる。ある例において、モーションセンサ324からの情報は起動信号として使用できる。モーションセンサ324からの情報は、履物の移動に関する情報を含むことができ、例えば使用者が靴を準備位置に置くこと、又は使用者が足を履物に入れ始めたことに対応できる。
【0104】
ステートマシンは、電源投入イベント1115の後、自動紐締めイネーブルイベント1123に遭遇し、又はそれが受信されるまで、ディスエーブル状態1120のままとすることができる。自動紐締めイネーブルイベント1123は、使用者が手で(例えば、駆動機構340への使用者の入力又はインタフェースデバイスを使用して)トリガでき、又は例えばモーションセンサ324から受信したジェスチャ情報に応答して自動的にトリガされることができる。自動紐締めイネーブルイベント1123に続き、較正イベント1125が起こり得る。較正イベント1125は、例えばセンサに対する環境の影響を考慮するために、足存在センサ310の容量に関する基準又はベースライン値を設定することを含むことができる。較正は、足存在センサ310自体から感知された情報に基づいて実行でき、又はプログラムされ、もしくは指定された基準情報に基づくことができる。
【0105】
自動紐締めイネーブルイベント1123の後、ステートマシンは保持状態1130に入り、「足存在信号を待機する」。状態1130で、ステートマシンは、足存在センサ310及びモーションセンサ324のうちの少なくとも一方からの割込み信号を待機できる。例えば足が存在することを示す、又は足が存在する可能性が十分にあることを示す割込み信号を受信すると、イベントレジスタはイベント1135で「足検出」を示すことができる。
【0106】
ステートマシンは、足検出イベント1135が発生すると、各種の機能へと移行し、又はそれを開始できる。例えば、履物は、足検出イベント1135に応答して、駆動機構340を用いて張力特性をきつくし、又は調整するように構成できる。ある例において、プロセッサ回路320は、検出イベント1135に応答して駆動機構340を作動させ、初期の量だけ紐の張力を調整し、プロセッサ回路320は、さらに別の制御ジェスチャが検出されるか、使用者入力を受信しないかぎり、又はそれまで、履物をさらにきつくするのを遅延させる。すなわち、ステートマシンは「動作待機」状態1140へと移行できる。ある例において、プロセッサ回路320は、足検出イベント1135の後、駆動機構340をイネーブルするが駆動機構を作動させない。状態1140で、ステートマシンは、感知された追加の履物移動情報があるまで状態を保持するか、休止してから、初期調整又はさらなる張力調整を開始できる。移動待機状態1140の後、ストンプ(stomp)/歩行/起立イベント1145を検出でき、それに応答して、プロセッサ回路320は履物の張力特性をさらに調整できる。
【0107】
ストンプ/歩行/起立イベント1145は、例えばアクティブな履物の中の1つ又は複数のセンサからの各種の個別の感知入力を含むことができる。例えば、ストンプイベントは、(例えば、指定された、又は一般的な方向への)積極的加速と「上」又は「直立」方向を示すモーションセンサ324からの情報を含むことができる。ある例において、ストンプイベントは、使用者が片方の膝を実質的に垂直かつ前方に持ち上げる「腿上げ」又はキック型イベントを含む。モーションセンサ324からの加速度特性は、例えば加速度が所定の閾値と一致し、又はそれを超えるか否かを判定するために分析できる。例えば、ゆっくりとした膝上げイベントは、ストンプイベントの応答をトリガしない可能性があり、急激又は素早い膝上げイベントは、ストンプイベントの応答をトリガする可能性がある。
【0108】
歩行イベントは、積極的歩行ステップパターンと「上」又は「直立」方向を示すモーションセンサ324からの情報を含むことができる。ある例において、モーションセンサ324及びプロセッサ回路320のうちの少なくとも一方は、歩行ステップイベントを識別するように構成され、歩行イベントは、歩行ステップイベントが識別されたとき、及び(例えば、モーションセンサ324と共に含まれるか、それから分離されている)加速度計が、履物が直立状態となったことを示したときに認めることができる。
【0109】
起立イベントは、例えばモーションセンサから加速度又は履物の方向変化に関するさらなる情報がなく、「上」又は「直立」方向を示すモーションセンサからの情報を含むことができる。ある例において、起立イベントは、例えば以下でさらに説明するような容量性足存在センサ310からの容量信号の変化に関する情報を用いて識別できる。すなわち、足存在センサ310からの容量信号は、例えば使用者の足が履物に下方の圧力を加えている時等、使用者が立っているか否かを示すことのできる信号変化を含むことができる。
【0110】
ストンプ/歩行/起立イベント1145の具体的な例は限定的と考えられるものではなく、その他の様々なジェスチャ、時間ベースの入力、又は使用者入力によるコントロールを提供して、例えば足検出イベント1135で足が検出された後に履物の挙動をさらに制御し、又はそれに影響を与えることができる。
【0111】
ストンプ/歩行/起立イベント1145に続き、ステートマシンは「紐解き待機」状態1150を含むことができる。紐解き待機状態1150は、履物を弛緩させ、張力を緩め、又は靴紐を解く命令のための、使用者の入力及びジェスチャ情報のうちの少なくとも一方を(例えばモーションセンサ324を使用して)モニタすることを含むことができる。紐解き待機状態1150において、プロセッサ回路320等のステートマネージャは、紐締めエンジン又は駆動機構340の紐が解かれ、足存在信号待機状態1130に戻るべきであることを表示できる。すなわち、第1の例において、紐解きイベント1155は(例えば、使用者入力に応答して)発生し、ステートマシンは履物を紐解き状態に移行させることができ、ステートマシンは足存在信号待機状態1130に戻ることができる。第2の例では、自動紐締めディスエーブルイベント1153が起こり、履物をディスエーブル状態1120に移行させることができる。
【0112】
図12は、容量性足存在センサからの第1の時間変化する情報のグラフ1200の概略を示す。
図12の例は容量対時間のグラフを含み、第1の時間変化する容量信号1201がグラフ上でプロットされている。ある例において、第1の時間変化する容量信号1201は、本明細書に記載の足存在センサ310を用いて取得できる。第1の時間変化する容量信号1201は、測定された容量、又は前述のように足存在センサ310内の複数の電極間の電界に与える体の影響の標示に対応できる。ある例において、第1の時間変化する容量信号1201は、絶対又は相対容量値を表し、他の例では、信号は複数の異なる容量信号間の差を表す。
【0113】
ある例において、第1の容量信号1201は、所定の第1の閾値容量値1211と比較できる。足存在センサ310は、当該比較を実行するように構成でき、又はプロセッサ回路320は、足存在センサ310からの容量情報を受信して比較を実行するように構成できる。
図12の例では、第1の閾値容量値1211は、一定の非ゼロ値であると示されている。第1の容量信号1201が、例えば時間T
1で第1の閾値容量値1211と一致する、又はそれを超えると、足存在センサ310及びプロセッサ回路320のうちの少なくとも一方は、第1の割込み信号INT
1を供給できる。第1の割込み信号INT
1は、足存在センサ310により示される容量値が第1の閾値容量値1211と一致し、又はそれを超える限り高いままとすることができる。
【0114】
ある例において、第1の割込み信号INT
1は、
図10の例の中の、例えば動作1010又は1020で使用できる。動作1010で、足存在センサ310から足存在情報を受信することは、例えばプロセッサ回路320において第1の割込み信号INT
1を受信することを含むことができる。ある例において、動作1020は、割込み信号情報を用いて、足が履物の中に完全に収容されたか、又はその可能性が高いか否かを判定することを含むことができる。例えば、プロセッサ回路320は、第1の割込み信号INT
1の持続時間をモニタし、足存在センサ310がどれだけの時間にわたり、第1の閾値容量値1211を超える容量値を供給するかを判定できる。持続時間が所定の基準持続時間を超えた場合、プロセッサ回路320は、足が完全に収容された、又はその可能性が高いと判定できる。
【0115】
ある例において、第1の割込み信号INT
1は、
図11の中の、例えば状態1130又はイベント1135で使用できる。状態1130において、ステートマシンは、プロセッサ回路320からの、又は足存在センサ310からのINT
1等の割込み信号を待機するように構成されることができる。イベント1135で、ステートマシンは、第1の割込み信号INT
1を受信することができ、それに応答して、1つ又は複数の以下の状態を開始できる。
【0116】
ある例において、第1の閾値容量値1211は調整可能である。閾値は、例えば環境変化による容量ベースライン又は基準の測定又は検出された変化に基づいて変更できる。ある例において、第1の閾値容量値1211は使用者が指定できる。使用者による閾値の指定は、履物の感度に影響を与えることができる。ある例において、第1の閾値容量値1211は、足存在センサ310の中の、又はその周囲の感知された環境又は材料の変化に応答して自動的に調整できる。
【0117】
図13は、容量性足存在センサからの第2の時間変化する情報のグラフ1300の概略を示す。
図13の例は、第1の閾値容量値1211に近い第2の容量信号1202の変動をどのように扱い、又は使用して、履物の中の足の存在又は向きに関するさらに多くの情報を判定できるかを示す。
【0118】
ある例において、第2の容量信号1202は、足存在センサ310から受信され、第2の容量信号1202は、第1の閾値容量値1211と比較される。とりわけ、使用者、使用者の選好、履物のタイプ、又は環境もしくは環境特性に応じて、他の閾値も同様に使用できる。
図13の例では、第2の容量信号1202は、時間T
2、T
3、及びT
4で第1の閾値容量値1211と交差する可能性がある。ある例において、複数回の閾値との交差は、例えば足が履物に入る時の移動経路を示すことにより、足存在センサ310によって足存在を明確に識別するために使用できる。例えば、時間T
2での第1の閾値交差及びT
3での第2の閾値交差を境界とする時間間隔は、足の爪先又は指節骨が足存在センサ310の電極に、又はその付近にある時の持続時間を示すことができる。第2の容量が第1の閾値容量値1211より低いT
3とT
4との間の間隔は、足の中足骨関節又は中足骨が足存在センサ310の電極の上又はその付近を移動するときの時間に対応することができる。中足骨関節又は中足骨は、指節骨が履物の中へと移動するときに指節骨から足存在センサ310までの距離より長い距離だけ足存在センサ310から離間することができ、したがって、その結果として測定されたT
1とT
4との間の容量はより小さくなり得る。時間T
4で、足の踵又は距骨は適所にスライドでき、土踏まずは足存在センサ310の電極の上に収容されるようになり、それによって感知された容量は再び高い値に戻り、第1の閾値容量値1211を超える。したがって、足存在センサ310又はプロセッサ回路320は、時間T
2とT
3との間で第2の割込み信号INT
2を供給し、時間T
4の後に第3の割込み信号INT
3を供給するように構成できる。
【0119】
ある例において、プロセッサ回路320は、割込み信号のシーケンスに基づいて足の存在を明確に識別するように構成できる。例えば、プロセッサ回路320は、受信した割込み信号に関する、及び受信した割込み信号間の1つ又は複数の間隔又は持続時間に関する情報を使用できる。例えば、プロセッサ回路は、指定された持続時間により分離される割込み信号のペアを探し、足の存在の明確な標示を提供するように構成できる。
図13では、例えば、T
3とT
4との間の持続時間は、例えばある程度の調整可能又は指定された許容誤差で足の存在の標示を提供するために使用できる。ある例において、プロセッサ回路320は、割込み信号をデータとして受信し、このデータを、例えばジェスチャによる使用者入力の一部としての他の使用者入力信号と共に処理できる。ある例において、割込み信号の有無に関する情報は、1つ又は複数の他の信号を有効にするか、又は却下するために使用できる。例えば、加速度計の信号は、割込み信号が現在受信されているか、最近受信された場合に、プロセッサ回路320によって有効化されて、処理されることが可能であり、あるいは、加速度計の信号は、足存在センサに対応する割込み信号がない場合に、プロセッサ回路320によって却下されることが可能である。
【0120】
図12及び
図13の例は、足存在センサ310からの測定された容量値が、環境条件の変化が存在する場合を含め、時間が経過しても確実に一定又は再現可能であるような実施形態を示している。しかしながら、履物を使用する多くの場合、埋め込まれた電極における周囲容量変化が、例えば温度、湿度、又はその他の環境要因の変化により、常に、又は予想外に発生する可能性がある。周囲容量の大きな変化は、例えばセンサのベースライン又は基準容量特性を変化させることにより、足存在センサ310の作動に不利な影響を与える可能性がある。
【0121】
図14は、容量性足存在センサからの第3の時間変化する情報のグラフ1400の概略を示す。
図14の例は、例えば各種の周囲条件の変化、使用シナリオの変化、又は履物の構成要素の摩耗損耗もしくは劣化による基準容量の変化をどのように説明できるかを示す。この例は、第2の閾値容量1212及び時間変化する基準容量1213と共にグラフ1400上でプロットされた第3の容量信号1203を含む。
図14の例では、時間変化する基準容量1213は時間が経つと増大する。他の例では、基準容量は時間と共に減少することがあるか、又は履物の利用イベントの過程にわたり(例えば、1日、プレイされた1つのゲーム、1人の使用者の設定又は選好等にわたり)変動しうる。ある例において、基準容量は、履物そのものの各種の構成要素、例えばインソール、アウトソール、ソックスライナ、矯正用インサート、又は履物のその他の構成要素のライフサイクルにわたり変化し得る。
【0122】
ある例において、第3の容量信号1203は、足存在センサ310から受信され、第3の容量信号1203は、例えば足存在センサ310上の処理回路を使用するか、プロセッサ回路320を使用して、第2の閾値容量1212と比較される。時間変化する基準容量1213を考慮又は使用しない例では、第3の容量信号1203の閾値との交差は、時間T5、T6、及びT8で観察できる。しかしながら、第2の閾値容量1212は、例えば足存在センサ310からの感知された情報によりリアルタイムで調整できる。第2の閾値容量1212に合わせた調整は、時間変化する基準容量1213に基づくものとすることができる。
【0123】
ある例において、第2の閾値容量1212は連続的に、時間変化する基準容量1213の変化に対応する量だけ調整される。代替的な例では、第2の閾値容量1212は段階的な増分で、例えば時間変化する基準容量1213の所定の閾値変化量に応答して調整される。段階式調整法は、
図14において、図示された間隔にわたる第2の閾値容量1212の段階的な増加により示されている。例えば、第2の閾値容量1212は、時間変化する基準容量1213における所定の容量閾値増加ΔCに応答して、時間T
7とT
10で増加する。
図14の例では、第3の容量信号1203は基準補償された第2の閾値容量1212と時間T
5、T
6、及びT
9で交差する。それゆえ、閾値が基準補償されているか否かに応じて、異なる割込み信号又は割込み信号タイミングを提供できる。例えば、時間T
5とT
6との間では第4の割込み信号INT
4を生成し、供給できる。第2の閾値容量1212が基準補償されずに使用された場合、時間T
8で第5の割込み信号INT
5を生成し、供給できる。しかしながら、基準補償された第2の閾値容量1212が使用されると、第5の割込み信号INT
5は第3の容量信号1203が補償済みの第2の閾値容量1212と交差した時、図示されたように時間T
9で生成され、供給される。
【0124】
閾値容量値をモニタし、更新するには論理回路を使用できる。このような論理回路は、足存在センサ310に、又はプロセッサ回路320に組み込むことができる。更新された閾値レベルは、自動的に供給されて、オンチップRAMに保存されうる。ある例において、閾値更新を行うために使用者からの入力又は確認は不要である。
【0125】
図15は、容量性足存在センサからの第4の時間変化する情報のグラフ1500の概略を示す。
図15の例は、例えば各種の周囲条件の変化、使用シナリオの変化、又は履物の構成要素の摩耗損耗もしくは劣化による基準容量の変化をどのように説明できるかを示す。この例は、適応的閾値容量1214と共にグラフ1500上でプロットされた第4の容量信号1204を含む。第4の容量信号1204は、足存在センサ310により供給できる。適応的閾値容量1214は、足存在センサ310により測定される容量の環境又は使用ケース関連の変化を補償するのを助けるために使用できる。
【0126】
ある例において、足存在センサ310又はプロセッサ回路320は、信号の大きさの変化、例えば特定の大きさの閾値量より大きい変化について、第4の容量信号1204をモニタするように構成されている。すなわち、第4の容量信号1204が、所定の閾値容量大きさΔCと一致するか、又はそれを超える大きさ変化を含む場合、足存在センサ310又プロセッサ回路320は割込み信号を供給できる。
【0127】
ある例において、第4の容量信号1204の感知又は測定された容量値は、基準容量又はベースラインと比較され、この基準又はベースラインは、所定の、又は時間変化する間隔で更新できる。
図15の例では、基準更新は、図のように時間T
11、T
12、T
13等で定期的に行われる。それに加えて、又はその代わりに、他の間隔、又は他のトリガイベントに応答した更新も使用できる。
【0128】
図15の例では、初期基準容量は0とすることができ、又はx軸により表すことができる。第6の割込み信号INT
6は、第4の容量信号1204が、以前に指定された基準に対して所定の閾値容量大きさΔCより多い量だけ増大した後の時間T
11で供給できる。
図15の例では、割込み信号は定期的に提供できるが、他の例では、容量の閾値変化を識別するのと同時に割込み信号を提供できる。
【0129】
例えば時間T11におけるような、識別された閾値の変化の後、基準又はベースライン容量を第1の容量基準C1に更新できる。時間T11に続いて、足存在センサ310又はプロセッサ回路320は、信号の少なくともΔCの後続の変化、すなわちC1+ΔC又はC1-ΔCの容量値を探すために第4の容量信号1204をモニタするように構成されることができる。
【0130】
最初に容量の増大を識別することを含む例では、割込み信号の状態は、その後の容量低下を識別したことに応じて変化しうる。しかしながら、その後の時間にさらに容量増大が識別された場合、基準容量を更新でき、その後の比較は更新された基準容量に基づいて行うことができる。このシナリオは
図15に示されている。例えば、時間T
12で、第4の容量信号1204の容量増大が検出され、基準は第2の容量基準C
2に更新できる。第1の容量変化及びその後の第2の容量変化が増大を表すため、第6の割込み信号INT
6の状態は変化しない可能性がある。時間T
13で第4の容量信号1204の容量低下が検出され、基準を第3の容量基準C
3に更新できる。時間T
13での容量変化は所定の閾値容量大きさΔCより大きいため、第6の割込み信号INT
6の状態は(例えば、割込みアサート状態から非アサート状態に)変化しうる。
【0131】
ある例において、時間T11で検出された第1の変化とそれに対応する割込み信号INT6は、足が、足存在センサ310により感知され、履物の中にあると判定されたことを表す。その後の基準容量の増大は、例えばセンサの、又はその周囲の環境変化による、足存在センサ310により測定されたベースライン容量の変化を表す。時間T13で検出された変化は、足が履物から抜かれ、足存在センサ310の付近で感知されなくなったことを表すことができる。その後の容量変化(例えば時間T16)は、足が再び履物の中に入れられたことを表すことができる。
【0132】
図16は、ある例示的な実施形態による容量性足存在センサからの時間変化する情報と信号形態限界(signal morphology limit)のグラフ1600の概略を示す。この例は、グラフ1600上でプロットされた第5の容量信号1205及び第6の容量信号1206を含む。グラフ1600は、形態限界1601をさらに含む。形態限界1601は、足存在センサ310からの容量信号の中のサンプリングされたセグメントと比較できる。比較は、足存在センサ310又はプロセッサ回路320を用いて実行され、サンプリングされた特定のセグメントが形態限界1601に適合するか否かを判定できる。
図16の例では、形態限界は、それを超過すると、容量信号セグメントが、足存在センサ310の付近の足の存在を表していない、又は表している可能性が低いことを示す下限を定める。
【0133】
第5の容量信号1205の図示されたサンプリング部分は、形態限界1601に適合する。
図16の例では、形態限界1601は、容量信号の大きさの変化、すなわち落ち込み、ドウェル(dwell)、及び回復を含む形態を定める。第5の容量信号1205が形態限界1601の全部又は一部に適合したと識別された後、足の存在又は検出の成功を示す割込み信号を供給できる。
【0134】
第6の容量信号1206の図示されたサンプリング部分は、形態限界1601に適合しない。例えば、第6の容量信号1206の急峻な減少と長いドウェル時間は、形態限界1601により画定される境界の外にあり、したがって、例えば足が足存在センサ310により検出されないことを示すために、割込み信号は差し控えられる。
【0135】
形態限界1601は、一定又は可変とすることができる。例えば、形態限界は、基準容量、環境、履物の使用ケース、使用者、感度の選好に関する情報、又はその他の情報に基づいて調整できる。例えば、形態限界1601は、使用される履物のタイプによって異なるようにすることができる。すなわち、バスケットボールシューズはランニングシューズとは異なる形態限界1601を有する可能性があり、これは少なくとも一部に、シューズの形状もしくは材料の違い、又は使用者が特定の履物製品を着脱するのにかかると予想される時間による。ある例において、形態限界1601は、例えば履物の着脱に関する使用者の固有の選好又は手順に対応するために、使用者がプログラムできる。
【0136】
前述のように、足存在センサ310は、関連する固定又は可変のベースライン又は基準容量値を有することができる。基準容量値は、電極表面積、又は他の履物構成要素に関する電極の配置、又は履物の向き、又はセンサもしくは履物自体が使用される環境の関数とすることができる。すなわち、センサは、足が履物の中にないときに、幾つかの関連する容量値を有することができ、その値は、1つ又は複数の材料の誘電効果、又はセンサの、もしくはその付近の環境要因の関数とすることができる。ある例において、履物内の矯正用インサート(例えば、インソール)は、容量性センサ、又はその付近の履物の誘電特性を変化させる可能性がある。プロセッサ回路320は、任意選択により、ベースライン又は基準特性が変化した時、例えばインソールが交換されたときに、足存在センサ310を較正するように構成できる。ある例において、プロセッサ回路320は、ベースラインもしくは基準容量の変化を自動的に検出するように構成でき、又は使用者入力又はコマンドに応じてベースラインもしくは基準容量を更新するように構成できる。
【0137】
図17は、履物製品のミッドソールの中の、誘電体スタックの下に配置された容量型足存在センサの図の例1700の概略を示す。例1700は、例えば、容量性足存在センサ1701からの情報に少なくとも部分的に基づいて作動する紐締めエンジン又は駆動機構340を含むか、又は使用することができるような、筐体構造150を含む。容量性足存在センサ1701は、センサの付近の体550の有無に基づいて容量又は容量表示信号を供給するように構成できる。
【0138】
1つ又は複数の材料を、体550と容量性足存在センサ1701との間に提供でき、1つ又は複数の材料は、センサの感度に影響を与えることができるか、又はセンサからの信号の、信号対ノイズ比に影響を与えることができる。ある例において、1つ又は複数の材料は、誘電体スタックを形成する。1つ又は複数の材料は、とりわけ、ソックス1751、センサ、又はその付近における体550の土踏まずの高さによるエアギャップ、中敷き1750、ベルクロ(登録商標)等のファスナ1730、又は誘電体充填材1720を含むことができる。ある例において、容量性足存在センサ1701が筐体構造150の中に提供されている場合、筐体構造150自体の上壁は誘電体スタックの一部である。ある例において、矯正用インサートは、誘電体スタックの一部とすることができる。
【0139】
本発明者らは、高い比誘電率、又は高いk値を持つ誘電体スタックを提供することにより、容量性足存在センサ1701の入力感度を向上できると認識した。高いk値を持つ様々な材料をテストし、履物での有効性と適当さを評価した。ある例において、誘電体充填材1720は、ネオプレン部材を含むことができる。ネオプレン部材は、履物の中で足の下に使用するのに快適であり、かつ、例えばその代わりにエアギャップ又はその他の低いk値の材料を有する場合と比較して、容量性足存在センサ1701の感度を高めるのに十分な誘電効果を提供する硬さ又はデュロメータ特性(durometer characteristic)を有するように特定することができる。ある例において、ネオプレン部材は、約30ショアA硬度値を有する独立気泡(closed-cell foam)材料を含む。
【0140】
図18は、容量性足存在センサ1701からの容量表示信号に与える誘電体充填材1720の影響を示すグラフ1800を含む例の概略を示す。グラフ1800において、x軸はデジタルサンプルの数を示し、かつ経過時間に対応し、y軸は容量性足存在センサ1701により検出される相対容量値を示す。グラフ1800は、誘電体充填材1720の第1のタイプの材料に対応する第1の容量表示信号1801、及び誘電体充填材1720の第2の異なるタイプの材料に対応する第2の容量表示信号1802の時間的に整合された重ね合わせを含む。
【0141】
この例では、第1の信号1801は、誘電体充填材1720として第1の誘電部材が提供された履物に対応する。第1の誘電部材は、例えば、第1の誘電k値(dielectric k-value)を有するポリウレタン発泡材を含むことができる。グラフ1800は、第1の誘電部材と足存在センサ1701とを含む履物製品の中に体550が挿入され、その後抜かれたことについての複数のインスタンスを示している。例えば、第1の信号1801の第1の部分1820は、容量性足存在センサ1701により測定される基準又はベースライン容量を示す。
図18の例では、基準又はベースラインは0の値に規格化される。基準又はベースライン状態は、足が履物の中にないことに対応しうる。すなわち、第1の信号1801の第1の部分1820は、足が履物の中にないことを示す。サンプル600付近に対応する時間に、体550は履物の中に挿入された可能性があり、容量性足存在センサ1701及び第1の誘電部材、又はその付近に位置している可能性がある。挿入後、第1の信号1801の大きさは、例えば第1の量1811だけ変化し、足(又はその他の体の部位)が履物の中にあることを示す。
図18の例では、体550は、例えばサンプル600から1400付近に対応するような、第1の信号1801の第2の部分1821に対応する持続時間にわたり、履物の中に存在する。サンプル1400付近に対応する時間に、体550は履物から抜かれた可能性がある。体550が抜かれると、第1の信号1801は、その基準値又はベースライン値に戻ることができる。
【0142】
図18の例では、第2の信号1802は、第2の誘電部材が誘電体充填材1720として提供された履物に対応する。第2の誘電部材は、例えば、上述の第1の誘電部材の第1の誘電k値を超える第2の誘電k値を有するネオプレン発泡材を含むことができる。グラフ1800は、体550が第2の誘電部材及び足存在センサ1701を含む履物製品の中に挿入され、その後、抜かれた複数のインスタンスを示している。第2の信号1802の第1の部分1820は、容量性足存在センサ1701により測定された基準又はベースライン容量を示し、
図18の例では、第2の信号1802の第1の部分1820は、足が履物の中にないことを示す。サンプル600付近に対応する時間に、体550は履物の中に挿入された可能性があり、容量性足存在センサ1701及び第2の誘電部材、又はその付近に位置している可能性がある。挿入後、第2の信号1802の大きさは、例えば第2の量1812だけ変化し、足(又はその他の体の部位)が履物の中にあることを示す。この例では、第2の量1812は第1の量1811を超える。大きさ変化の差は、誘電体充填材1720に使用される材料のタイプに起因する。すなわち、第1の容量表示信号1801及び第2の容量表示信号1802の大きさは、異なる誘電体スタックが使用されていると異なる可能性がある。誘電体スタックが高いk値の誘電体充填材1720を含む場合、大きさの差、すなわちベースラインからの差は、誘電体スタックが低いk値の誘電体充填材1720を有する場合より大きい。
【0143】
ある例において、矯正用インサートは、履物の中の誘電体スタックの一部を含む。本発明者らは、様々なテストを行って、各種の矯正用インサートが容量性足感知方式に与える影響を評価した。全長型の、又は部分的長さの矯正用インソールをテストした。通常の(部分的な長さの)矯正器具を履物に追加すると、スタックの全体的な誘電効果が増大し、足の存在に対する電界感度が低下した。感知された信号振幅(例えば、感知された容量変化に対応する)もまた、矯正器具があると低下した。しかしながら、ノイズフロアのRMS振幅は、矯正器具があってもなくても同様であった。負荷又は無負荷条件での応答もまた同様であった。
【0144】
矯正器具のテスト結果に基づき、通常の、又は全長型の矯正器具を用いて足が存在することを検出するために容量感知を使用することは、信号対ノイズ分解能の点で実現可能である。部分的長さ、又は全長型の矯正器具を使用した場合、約6dBという所望の最低値を超えるSNRを、足の存在を分析するために使用でき、また低負荷と高負荷の両方の負荷条件で使用できる。ある例において、足存在センサ310は、矯正器具により追加された誘電効果を補償するために、容量オフセット範囲を含むか、又は使用することができる。
【0145】
全長型の矯正器具と足存在センサ310の電極との間のエアギャップの変化は、加わる負荷に応じたSNRの測定可能な変化に対応しうる。例えば、
図18の例で説明されているように、高いk値の誘電材料が容量性足存在センサ、又はその付近に提供されると、低いk値の誘電材料を含むか使用する例よりSNRを改善できる。
【0146】
足の様々なゾーンが低負荷条件では同様に挙動することがわかり、例えば矯正器具の下のギャップ距離の大きな変形は見られなかった。しかしながら、例えば使用者が立っているとき等、高負荷条件では、矯正器具の土踏まず領域は圧縮される可能性があり、エアギャップは実質的に縮小し、又はなくなる。それゆえ、感知条件下で、矯正器具がある場合に測定される電界は、大きさの点で、量産又はOEMインソールを用いて測定された電界と同様である可能性がある。足存在センサ310と検出対象の体との間にエアギャップを生じさせる矯正器具又はOEM生産インソールの例では、エアギャップを補償するため、又はそれを埋めるために様々な材料を提供又は追加できる。例えば、ネオプレン等のギャップ充填発泡材を全長型矯正器具の裏側に提供できる。
【0147】
ある例において、インソールに矯正器具を含めると、誘電体スタックの全体的な誘電体の厚さが増大し、足の存在に対する電界感度が低下する。信号の振幅は矯正器具により小さくなる。ノイズ特性のRMS振幅は、矯正器具があってもなくても同様であった。また、容量性センサの感知電極と矯正器具の下面との間の空間を占有する誘電部材は、容量性センサの感度に大きな影響を与える可能性があることもわかった。例えばk値が1.28のポリウレタン発泡材は、誘電率、すなわちk値が約5.6のネオプレン発泡材を使用して測定された場合より、約70%小さい信号振幅を有する可能性がある。ノイズ振幅が等しいとすると、これは約4.6dBのSNR差に相当する。
【0148】
それゆえ、カーボンファイバ製矯正器具を伴う足の存在を検出するために容量感知を使用することは、信号対ノイズの点で実現可能である。足の存在を分析するのに必要な6dBの最低値を超えるSNRが測定された。
【0149】
図19は、履物内の容量型足存在センサからの第3の容量表示信号1803の一部を示すグラフ1900の例の概略を示す。グラフ1900において、x軸はデジタルサンプルの数を示し、かつ経過時間に対応し、y軸は容量性足存在センサ1701により検出された相対容量測定値を示す。第3の信号1803からの情報は、とりわけ、例えば使用者が座っている、又は立っているか否かを識別できる等、使用者が履物に下方の力を加えているか否かを判定するため、又は歩数を判定するため、又は使用者の足取りの特性を判定するために使用できる。
【0150】
例えばx軸上のサンプル「0」に対応する初期時間に、第3の信号1803は、相対容量スケール上の約0の基準又はベースライン値を有する可能性がある。1901で、すなわちx軸上のサンプル175付近で、第3の信号1803は、例えば体550が履物の中に挿入されていることに対応する履物を履くイベントを含む。第3の信号1803は、1910で、又はサンプル10000付近で、履物を脱ぐイベントを含み、その後、第3の信号1803はベースライン値に戻る。
【0151】
図19の例は、閾値1920をさらに含む。閾値1920は、体550が履物の中にあることを示す相対容量値に対応させることができる。例えば、足又は体550が履物の中にあると、第3の信号1803により示される相対容量は閾値1920を超え、足又は体550が履物の中にないと、相対容量は閾値1920より低くなる可能性がある。後でさらに説明するように、各種の方法又は技術を用いて閾値1920を動的に調整でき、例えば、環境変化又は履物の材料の変化が考慮される。
【0152】
例えばサンプル175と1000との間の間隔に対応する、それぞれ1901と1910での履物を履くイベントと脱ぐイベントとの間で、履物製品の着用者は座位と立位との間で複数回移行する可能性がある。座位と立位との間の移行は、例えば第3の信号1803を供給する容量性センサの上の誘電体スタックを形成する履物材料の圧縮と弛緩による第3の信号1803の変動に対応しうる。すなわち、使用者が立って誘電体スタックに下方の力をかけると、誘電体スタック中の1つ又は複数の材料は圧縮される可能性があり、使用者の足は容量性センサに近付く可能性があり、それによってセンサを用いて測定される相対容量が変化する。使用者が座り、誘電体スタックにかかる下方の力が軽減されると、誘電体スタック材料は弛緩又は伸長し、使用者の足は容量性センサから離れる可能性がある。
【0153】
履くイベント1901は、第3の信号1803の動揺部分を含む。すなわち、スムーズ又は静かな移行を示す代わりに、第3の信号1803は、使用者が足を履物の中の所定の位置に収容する際に急激かつ不規則に変動する。ある例において、履くイベント1901は、例えば自動又は手動の紐締め等の紐締めを含み、これは使用者が、誘電体スタックに対するものを含め、履物の材料に様々な力を加えること、及び使用者が自分の足の周囲の履物の張力を調整することに対応する可能性がある。
図19の例では、1901での履くイベントの後、使用者は、例えばサンプル200から275に対応する第1の持続時間1931にわたり座る可能性がある。第1の持続時間1931にわたり、第3の信号1803は約220の相対容量ユニットの平均値を有することができる。
【0154】
第1の持続時間1931の後、使用者は立つ可能性があり、それによって誘電体スタックの材料は圧縮され、使用者の足がスタックの下の容量性センサに近付く可能性がある。使用者が完全に立ち上り、誘電体スタックを圧縮すると、第3の信号1803は第2の持続時間1932にわたり、約120の相対容量ユニットの平均値を有する可能性がある。すなわち、第3の信号1803の大きさは、使用者が座位から立位に移行する際、又は使用者が誘電体スタックに最小の力を加える状態から誘電体スタックに最大の力を加える状態まで移行し、誘電体スタックそのものの誘電特性が変化する際、第1の大きさ変化量1951だけ変化しうる。ある例において、第1の大きさ変化量1951は、誘電体スタックにかかる力の大きさに対応しうる。すなわち、第1の大きさ変化量1951は、とりわけ、使用者の体重、又は例えば使用者が走っている時には歩いている時と比較してより大きい力を誘電体スタックにかけると予想されることから、使用者が走っているか歩いているかを判定するために使用できる。
【0155】
図19の例では、サンプル375の付近で、第3の信号1803は、使用者が座った姿勢に戻ると約220の相対容量ユニットの値に戻る。使用者は、第3の持続時間1933にわたって座り、その後次の相対容量変化が生じる。
【0156】
第3の信号1803の(
図19の例のサンプル500付近の後の)破線部分は、時間の経過とx軸の目盛りの変更部分を示す。ある例において、サンプル0から500は、容量性センサを内蔵する履物が新品である時、又はその履物に新しい誘電体スタックが使用された時に対応する。サンプル9,800付近以降のサンプルは、履物が古くなったか、部分的に擦り切れたとき、又は誘電体スタックがつぶれて、弛緩した、もしくは使用されていない状態でも復元もしくは膨張しない時に対応する。
【0157】
図19の例では、第3の信号1803は、使用者の座った姿勢と立った姿勢との間の複数回の移行を示す。この例では、第4の持続時間1934と第6の持続時間1936は履物の中の誘電体スタックに最小の力又は圧力がかかる座った姿勢に対応する。第5の持続時間1935は、誘電体スタックにかかる力が増大する立った位姿勢に対応する。この例では、第4の持続時間1934及び第6の持続時間1936は、約240の相対容量ユニットの平均値に対応しうる。すなわち、第4の持続時間1934及び第6の持続時間1936の平均は、約220ユニットであった第1の持続時間1931及び第3の持続時間1933の平均を超える可能性がある。ある例において、平均値間の差は、誘電体スタック、又は履物の使用により時間が経つと変化するその他の履物材料の1つ又は複数の部分の摩耗損耗に起因する可能性がある。この例では、第5の持続時間1935は、約150の相対容量ユニットの平均値に対応する可能性があり、これは第3の持続時間1933の約120ユニットの平均値を上回る。さらに、座った姿勢と立った姿勢との間、すなわち誘電体スタックに力がかかっている、又はかかっていない時の間の差は、新品の履物の場合と使用済みの履物について異なる可能性がある。第1の大きさ変化量1951は、新品の履物に関する立った姿勢と座った姿勢との間の相対容量の約200ユニットの変化を示し、第2の大きさ変化量1952は、より古い、又は使用済みの履物についての立った姿勢と座った姿勢との間の相対容量の約150ユニットの変化を示す。
図19の例では、第4の持続時間1934から第6の持続時間1936はさらに、第1の持続時間1931から第3の持続時間1933と比較して、比較的ノイズの多い信号を示し、これはさらに履物又はセンサ構成要素の摩耗に起因する可能性がある。
【0158】
図19はそれゆえ、第3の信号1803からの情報を、とりわけ、履物のライフサイクルの状態又は履物の利用特性を示すために使用できることを示している。情報は、例えば、1つ又は複数の履物構成要素が摩耗した、又は消耗しており、最適又は十分な緩衝又は足の保持を提供するのに利用できなくなっているかもしれないことを使用者に報告し、又は警告することにより、使用者の怪我の防止に役立てるために使用できる。
【0159】
ある例において、容量性足センサからの情報は、歩行ステップ頻度情報を得るか、又は判定するために使用でき、これは、例えば使用者の歩幅がわかっているか判定可能である場合等に、ステップ計数器又は歩数計として使用することができる。再び
図19を参照すると、第3の信号1803の変動は、異なる歩行ステップイベントに対応する可能性がある。例えば、第2の持続時間1932は、例えば使用者の第1の足が地面についており、その使用者の体重が使用者の履物に力を加えている時の使用者の歩行ステップの第1の部分を含む間隔に対応する可能性があり、履物は第3の信号1803を供給する容量型足存在センサを含む。第2の持続時間1932の後に、使用者はその体重を使用者の第1の足からその第2の足に移動させる可能性がある。その結果、使用者が履物にかける圧力又は力は軽減する可能性があり、それに対応する第3の信号1803の変化を観察できる。例えば、第3の信号1803の大きさは、例えば第1の大きさ変化量1951だけ増大する可能性がある。使用者がもう一歩進み、第1の足に戻ると、第3の信号1803の大きさは、例えば同じ、又は同様の第1の大きさ変化量1951だけ軽減する可能性がある。ある例において、大きさ変化は、使用者が履物にかける力に依存する可能性があり、又はそれに関連する可能性があり、それは、今度は使用者がどれだけ速く歩いているか、又は走っているかに対応する可能性がある。例えば、より大きい大きさ変化量は走るペースに対応する可能性があり、より小さい変化量は歩くペースに対応する可能性がある。
【0160】
ある例において、第3の信号1803の所定の部分の持続時間、間隔、又はサンプル数は、歩行ステップ間隔又は歩数を判定するために使用できる。例えば、第1の持続時間1931は、約75サンプルのサンプル数を有する可能性があり、第2の持続時間1932は約50サンプルのサンプル数を有する可能性がある。第1の持続時間1931が使用者の歩き又は歩行ステップサイクルのうち、第1の足が地面から離れている第1の部分に対応し、第2の持続時間1932が使用者の歩き又は歩行ステップサイクルのうち、第1の足が地面についている後半の第2の部分に対応する場合、使用者の歩行ステップ間隔は約125サンプルとなり得る。サンプルレートに応じて、歩行ステップ間隔は、例えばプロセッサ回路320を用いてサンプル数情報を処理する等、歩く又は走るペースに相関させることができる。
【0161】
ある例において、第3の信号1803の信号大きさ変化間の持続時間、間隔、又はサンプル数は、歩行ステップ間隔又は歩数を判定するために使用できる。例えば特定の閾値大きさ変化量より大きい大きさの変化はプロセッサ回路320によって識別可能であり、その後、プロセッサ回路320は指定された大きさ変化間の間隔の長さを計算又は識別できる。例えば、第2の持続時間1932の開始は、プロセッサ回路320により、サンプル325付近であると識別され、これは例えば第3の信号1803の中で観察される、所定の閾値変化より大きい大きさ変化に対応する。第2の持続時間1932の終了は、プロセッサ回路320により、サンプル375付近であると識別され、これは例えば第3の信号1803の中で観察される、所定の閾値変化より大きい、次の大きさ変化に対応する。プロセッサ回路320は、サンプル数間の差を計算して、第2の持続時間1932が持続時間中約50サンプルであると判定できる。プロセッサ回路320は同様に、第3の信号1803の何れかの1つ又は複数のセグメントの持続時間又はサンプル長さを判定できる。すると、プロセッサ回路320は歩行ステップ間隔を判定でき、歩行ステップ間隔は、移動した距離又は使用者が移動する速度を判定するために使用できる。ある例において、使用者の歩幅に関する情報は、歩行ステップ間隔情報と共に、移動した距離を判定するために使用できる。
【0162】
ある例において、使用者の歩幅の長さは明示されず、又は不明である。使用者の歩幅の長さは、任意選択により、1つ又は複数のセンサ、例えば加速度計又は位置センサ(例えば、GPSセンサ)からの情報を足センサ情報と共に使用して判定できる。例えば、位置センサからの情報は、所定の持続時間にわたり使用者が移動した総距離を示すことができる。プロセッサ回路320、又は履物に付属するその他のプロセッサは、第3の信号1803を受信して、信号大きさ変化イベントの数を歩行ステップ及び移動距離と相関させて、使用者の平均歩行ステップ又は歩幅の長さを判定できる。例えば、使用者が100メートルを30秒で移動し、足存在センサからの容量表示信号が同じ30秒の間隔内に100回の信号大きさ変化イベントを示す場合、プロセッサ回路320又はその他のセンサは、使用者の歩幅が、約100メートル/大きさ変化イベント100回=大きさ変化イベント1回あたり1メートルであると判定できる。
【0163】
ある例において、第3の信号1803からの情報は、使用者の足取り特性、又は使用者の足取りの変化を判定するために使用できる。プロセッサ回路320は、例えば、時間を追って容量表示信号をモニタするように、例えば信号の変化を識別するように構成できる。例えば、プロセッサ回路320は、履くイベントが検出された後の最初の(又はその他の)持続時間又は最初の歩行ステップイベントをモニタできる。一般に、使用者は、使用者が履物を履くたびに、同様の足取り等で、同様の方法で歩き始め、又は走り始めると予想できる。プロセッサ回路320が、履物を履いた後の確立されたベースライン又は平均的信号特性からの逸脱を検出した場合、使用者は警告されることが可能である。同様に、プロセッサ回路320が怪我につながりかねないような、使用者の疲労に関連付けることのできる利用特性又は逸脱を検出するように構成できる。例えば、確立されたベースライン又は基準信号特性からの逸脱は、足又は足首が履物の中で回転又は滑ったことを示す可能性があり、それは例えば、足位置の変化がそれに対応して容量型足存在センサにおける、又はその付近の誘電特性を変化させる可能性があるからである。自動紐締めエンジンを含む例において、足位置変化に関する情報は、使用者の足の周囲で履物を自動的にきつくし、使用者の怪我の防止を助けるために使用できる。
【0164】
以下の態様は、本明細書で論じられている履物及びセンサの非限定的な概要を提供する。
態様1は、対象(例えば、装置、システム、デバイス、方法、動作を行う手段、又はデバイスにより実行されたときにデバイスに動作を実行させることのできる命令を含むデバイス可読媒体)を含むか、使用でき、例えば、時間変化するセンサ信号を、履物に結合されたセンサから受信することを含む方法を含むか、使用でき、センサは、センサに対する足の近接性(proximity)に関する情報を感知するように構成されている。態様1の方法は、プロセッサ回路を使用して、時間変化するセンサ信号の特性を識別し、識別された特性に基づいて、履物に関する、又は足に関するデータ収集を、履物に結合された同じ、又は異なるセンサを用いて開始すること、及び履物の自動機能を更新することのうちの少なくとも1つを行うことを含むことができる。
【0165】
態様2は、態様1の対象を含むか使用し、又は任意選択で組み合わせて、時間変化するセンサ信号の特性を識別することが、時間変化するセンサ信号の中の一連の信号変化イベントを識別することを含み、信号変化イベントは、信号の大きさ又は周波数が所定の閾値変化量より大きい量だけ変化することに対応していることを任意選択で含むことができる。
【0166】
態様3は、態様2の対象を含むか使用し、又は任意選択で組み合わせて、プロセッサ回路を使用して、一連の信号変化イベントを用いて歩数を判定することを含むことを任意選択で含むことができる。
【0167】
態様4は、態様2又は3のうちの1つ又は任意の組合せの対象を含むか使用し、又は任意選択で組み合わせて、プロセッサ回路を使用して、一連の信号変化イベントを用いて足着地力特性(foot strike force characteristic)を判定することを任意選択で含むことができる。
【0168】
態様5は、態様2乃至4のうちの1つ又は任意の組合せの対象を含むか使用し、又は任意選択で組み合わせて、環境特性の変化に応答して、所定の閾値変化量を変化させることを任意選択で含むことができ、環境特性は履物が使用される環境に対応している。
【0169】
態様6は、態様1乃至5のうちの1つ又は任意の組合せの対象を含むか使用し、又は任意選択で組み合わせて、時間変化するセンサ信号の特性を識別することが、プロセッサ回路を使用して、時間変化するセンサ信号のうち、足着地(foot strike)に対応する第1の部分を識別し、時間変化するセンサ信号のうち、足離地(foot lift)に対応する他の第2の部分を識別すること、時間変化するセンサ信号の第1の部分及び第2の部分のタイミングに関する情報を用いて、歩数、移動速度、又は移動距離を判定することを含むことを任意選択で含むことができる。
【0170】
態様7は、態様1乃至6のうちの1つ又は任意の組合せの対象を含むか使用し、又は任意選択で組み合わせて、時間変化するセンサ信号の特性を識別することが、プロセッサ回路を使用して、時間変化するセンサ信号のうち、足着地に対応する第1の部分を識別し、時間変化するセンサ信号のうち、足離地に対応する他の第2の部分を識別すること、時間変化するセンサ信号の第1の部分を用いて足着地力特性を判定することを含むことを任意選択で含むか使用することができる。
【0171】
態様8は、態様1乃至7のうちの1つ又は任意の組合せの対象を含むか使用し、又は任意選択で組み合わせて、時間変化するセンサ信号の特性を識別することが、プロセッサ回路を使用して、時間変化するセンサ信号のうち、足着地に対応する第1の部分を識別し、時間変化するセンサ信号のうち、足離地に対応する他の第2の部分を識別すること、時間変化するセンサ信号の第1の部分を用いて履物のインソール部材のライフサイクル状態を判定することを含むことを任意選択で含むことができる。
【0172】
態様9は、態様8の対象を含むか使用し、又は任意選択で組み合わせて、インソールが使用者に十分な緩衝を提供していないことを、判定されたライフサイクル状態が示した場合、使用者に対し履物状態標示(indication)を報告することを任意選択で含むことができる。
【0173】
態様10は、態様1乃至9のうちの1つ又は任意の組合せの対象を含むか使用し、又は任意選択で組み合わせて、同じ、又は異なるセンサを用いてデータ収集を開始することが、履物に結合された加速度計から履物活動情報を受信することを含むことを任意選択で含むか使用することができる。
【0174】
態様11は、態様1乃至10のうちの1つ又は任意の組合せの対象を含むか使用し、又は任意選択で組み合わせて、履物の自動機能を更新することが、自動紐締めエンジンの動作を開始又は阻止することを含み、紐締めエンジンは、足の周囲で履物をきつくし、又は緩めるように構成されていることを任意選択で含むか使用することができる。
【0175】
態様12は、態様1乃至11のうちの1つ又は任意の組合せの対象を含むか使用し、又は任意選択で組み合わせて、センサから時間変化するセンサ信号を受信することが、容量性センサから時間変化する容量表示信号を受信することを含むことを任意選択で含むことができる。
【0176】
態様13は、態様1乃至12のうちの1つ又は任意の組合せの対象を含むか使用し、又は任意選択で組み合わせて、センサから時間変化するセンサ信号を受信することが、磁力計から時間変化する磁界表示信号を受信することを含むことを任意選択で含むことができる。
【0177】
態様14は、態様1乃至13のうちの1つ又は任意の組合せの対象を含むか使用し、又は任意選択で組み合わせて、時間変化するセンサ信号を受信することが、足が履物に挿入され、又は履物から抜かれている間を含み、時間変化するセンサ信号の特性を識別することは、足の爪先、土踏まず、及び踵部分が履物の中のセンサに近付く際の足の変化する近接性特性(proximity characteristic)を識別することを含むことを任意選択で含むことができる。
【0178】
態様15は、対象(例えば、装置、システム、デバイス、方法、動作を行う手段、又はデバイスにより実行されたときにデバイスに動作を実行させることのできる命令を含むデバイス可読媒体)を含むか、使用でき、例えば、履物のための足近接センサシステムを含むか使用できる。態様15は、他の構成要素のうち、履物に結合され、センサに対する足の近接性を示す時間変化するセンサ信号を供給するように構成された近接センサと、近接センサに結合されたプロセッサ回路とを含むことができ、プロセッサ回路は、時間変化するセンサ信号の特性を識別し、識別された特性に基づいて、同じ近接センサを用いて、又は履物に結合された異なるセンサを用いて、履物に関する、又は足に関するデータ収集を開始すること、及び履物の自動機能を更新することのうちの少なくとも1つを行うように構成される。
【0179】
態様16は、態様15の対象を含むか使用し、又は任意選択で組み合わせて、履物のインソールに、又はインソールの付近に提供された複数の電極を含む容量性センサとしての近接センサを任意選択で含むことができる。
【0180】
態様17は、態様16の対象を含むか使用し、又は任意選択で組み合わせて、履物のインソールに、又はインソールの付近に提供され、履物の中に配置された1つ又は複数の磁性体の位置変化に基づく磁界変化を検出するように構成された磁力計としての近接センサを任意選択で含むか使用することができる。
【0181】
態様18は、態様15乃至17のうちの1つ又は任意の組合せの対象を含むか使用し、又は任意選択で組み合わせて、時間と共に時間変化するセンサ信号の複数の特性を識別するように構成されたプロセッサ回路を任意選択で含むか使用することができ、特性の各々は、所定の閾値変化量より大きい信号大きさ変化に対応し、プロセッサ回路は、特性を用いて、歩数、足着地力、又は移動速度を判定するように構成されている。
【0182】
態様19は、態様15乃至18のうちの1つ又は任意の組合せの対象を含むか使用し、又は任意選択で組み合わせて、時間変化するセンサ信号のうち、足着地に対応する第1の部分を識別し、時間変化するセンサ信号のうち、足離地に対応する他の第2の部分を識別するように構成されたプロセッサ回路を任意選択で含むか使用することができ、プロセッサ回路は、時間変化するセンサ信号の第1の部分及び第2の部分のタイミングに関する情報を用いて、歩数、移動速度、又は移動距離を判定するように構成されている。
【0183】
態様20は、対象(例えば、装置、システム、デバイス、方法、動作を行う手段、又はデバイスにより実行されたときにデバイスに動作を実行させることのできる命令を含むデバイス可読媒体)を含むか、使用でき、例えば、履物製品で使用するための自動履物システムを含むか使用でき、システムは、製品内に配置されるように構成された紐締めエンジン及び紐締めエンジン筐体と、筐体内に提供されたプロセッサ回路と、プロセッサ回路、及び筐体内の1つ又は複数のポートに結合された電気相互接続部と、少なくとも部分的に筐体の外部に提供され、電気相互接続部を用いてプロセッサ回路に結合された複数の電極を含む容量性センサとを含み、容量性センサは、電極に対する体の近接性を感知して、電極に対する体の変化する近接性を示す時間変化するセンサ信号を供給するように構成されている。態様20において、プロセッサ回路は、時間変化するセンサ信号の特性を識別し、識別された特性に基づいて、同じ容量性センサを用いて、又は履物に結合された異なるセンサを用いて、履物に関する、又は足に関するデータ収集を開始すること、及び紐締めエンジンの自動機能を更新することのうちの少なくとも1つを行うように構成されている。
【0184】
これらの非限定的な態様はそれぞれ独立でき、又は他の態様又は本明細書に記載されている例の1つ又は複数と様々な順列又は組合せで組み合わせることができる。
諸注意
上記の説明には、詳細な説明の一部をなす添付の図面への言及が含まれる。図面は、例示として、本発明を実施できる具体的な実施形態を示している。これらの実施形態はまた、本明細書において「例」と呼ばれる。このような例は、図示又は説明されたもの以外の要素を含むことができる。しかしながら、本発明者らはまた、図示又は説明された要素だけで提供された例も想定する。さらに、本発明者らはまた、特定の例(又はそのうちの1つ又は複数の態様)に関しても、本明細書で図示又は説明されたその他の例(又はそのうちの1つ又は複数の態様)に関しても、図示又は説明された要素(又はそのうちの1つ又は複数の態様)のあらゆる組合せ又は順列を使用した例も想定する。
【0185】
本書において、用語「1つの」は、特許文書において一般的であるように、「少なくとも1つの」又は「1つ又は複数の」という他の例又は利用とは別に、1つ又は1つより多いことを含むために使用される。本書において、「又は」という用語は、特にことわりがないかぎり、非排他的orを指すために使用され、例えば「A又はB」は「BではなくA」、「AではなくB」、及び「A及びB」を含む。また、以下の特許請求の範囲において、「~を含む」及び「~を備える」という用語はオープンエンド型であり、すなわち、ある請求項の中でその用語に続いて列挙されたもの以外の要素を含むシステム、デバイス、製品、組成物、調合物、又はプロセスも依然としてその請求項の範囲内に含まれるとみなされる。さらに、以下の特許を請求の範囲の中で、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」等の用語は単に表示名として使用され、その目的に対して数に関する要求事項を設定するものではない。
【0186】
「平行」、「垂直」、「丸」、又は「四角」等の幾何学用語は、文脈上他の解釈が必要でないかぎり、絶対的な数学的精度を求めるものではない。その代わりに、このような幾何学用語は、製造又はそれと同等の機能によるばらつきも許容する。例えば、ある例が「丸」又は「概して丸」と説明されている場合、正確に円形ではない構成要素(例えば、若干長丸、又は多数の辺を有する多角形のもの)も依然としてこの説明に包含される。
【0187】
本明細書に記載されている方法の例は、少なくとも部分的に機械又はコンピュータにより実装可能である。幾つかの例は、上の説明の中で説明されている方法を実行するように電子機器を構成するように動作可能な命令でコード化されたコンピュータ可読媒体又は機械可読媒体を含むことができる。このような方法の実行は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、より高レベルの言語コード、又はその他のコードを含むことができる。このようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含むことができる。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成してもよい。さらに、ある例において、コードは例えば実行時又はその他の時点で、1つ又は複数の揮発性、非一時的、又は不揮発性有形コンピュータ可読媒体に有形で保存可能である。これらの有形コンピュータ可読媒体の例としては、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えば、コンパクトディスク及びデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカード又はスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、及びその他を含めることができるが、これらに限定されない。
【0188】
上の説明は、限定的ではなく例示的であるものとする。例えば、上述の例(又はそのうちの1つ又は複数の態様)は相互に組み合わせて使用されてもよい。他の実施形態は、例えば上の説明を読んだ当業者により使用可能である。この「要約」は、読者が技術的開示の性質を素早く確認できるようにするために提供される。これは、それが特許請求項の範囲又は意味を解釈又は限定するために使用されないとの理解のもとで提供される。また、上記の「詳細な説明」において、開示を効率化するために、様々な特徴がグループ分けされているかもしれない。これは、開示されているが特許請求に含まれない特徴が何れかの請求項にとって不可欠であることを意図しているものとは解釈すべきでない。むしろ、発明性のある対象は、開示された特定の実施形態の特徴の一部の中にあるかもしれない。それゆえ、以下の特許請求項の範囲はここに、例又は実施形態として「詳細な説明」の中に組み込まれ、各請求項は別々の実施形態として独立し、このような実施形態は様々な組合せ又は順列で相互に組み合わせることができると想定される。本発明の範囲は、付属の特許請求の範囲を、かかる請求項が受ける等価物範囲全体と共に参照して判断されるべきである。