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特許7077237グルカゴン受容体選択的ポリペプチド及びその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】グルカゴン受容体選択的ポリペプチド及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/605 20060101AFI20220523BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 3/08 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220523BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20220523BHJP
   A61K 38/26 20060101ALI20220523BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220523BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20220523BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20220523BHJP
   A61K 9/00 20060101ALI20220523BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220523BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220523BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220523BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20220523BHJP
【FI】
C07K14/605 ZNA
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61P3/10
A61P3/00
A61P3/04
A61P5/00
A61P7/00
A61P7/04
A61P3/08
A61P13/12
A61P11/00
A61P1/16
A61P25/28
A61P25/04
A61P35/00
A61P29/00
A61P37/02
A61P9/00
A61P25/00
A61P31/00
A61K38/26
A61K45/00
A61K9/16
A61K9/10
A61K9/00
A61K47/26
A61K47/18
A61K47/02
A61K47/54
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018560659
(86)(22)【出願日】2017-05-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 US2017032714
(87)【国際公開番号】W WO2017200943
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-05-15
(31)【優先権主張番号】62/337,005
(32)【優先日】2016-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/414,146
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/420,937
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516361587
【氏名又は名称】インターシア セラピューティクス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ブラックウェル
(72)【発明者】
【氏名】ヴェド・ピー・スリヴァスタヴァ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エー・ポーリク
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ヤング
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ニール・ハンター・ザ・サード
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・トーマス・ドック
【審査官】坂崎 恵美子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-520789(JP,A)
【文献】国際公開第2013/074910(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/152460(WO,A2)
【文献】Journal of Medicinal Chemistry,2001年,Vol.44,p.3109-3116
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 14/605
A61K 38/26
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸配列:XGTFTSDX10111213LX15161718AQEFX232425LEDE-Z尾部(配列番号1)を含む単離ポリペプチドであって、
式中、
はYまたはWであり、
はS、GまたはTであり、
はQまたはHであり、
10はYまたはHであり、
11はSまたはTであり、
12はKまたはRであり、
13はY、LまたはWであり、
15はDまたはEであり、
16はS、2-アミノイソ酪酸(Aib)、A、E、L、Q、KまたはIであり、
17はK、E、S、TまたはAであり、
18はA、R、S、E、L、TまたはYであり、
23はTまたはVであり、
24はK、I、LまたはAibであり、
25はHまたはWであり、ならびに、
Z尾部は存在しないか、EEPSSGAPPPS-OH(配列番号4)、EPSSGAPPPS-OH(配列番号5)、GAPPPS-OH(配列番号6)、GGPSSGAPPPS-OH(配列番号7)、GPSSGAPPPS-OH(配列番号8)、KRNKNPPPS-OH(配列番号9)、KRNKNPPS-OH(配列番号10)、KRNKPPIA-OH(配列番号11)、KRNKPPPA-OH(配列番号150)、KRNKPPPS-OH(配列番号12)、KSSGKPPPS-OH(配列番号13)、PESGAPPPS-OH(配列番号14)、PKSGAPPPS-OH(配列番号15)、PKSKAPPPS-NH(配列番号16)、PKSKAPPPS-OH(配列番号17)、PKSKEPPPS-NH(配列番号18)、PKSKEPPPS-OH(配列番号19)、PKSKQPPPS-OH(配列番号20)、PKSKSPPPS-NH(配列番号21)、PKSKSPPPS-OH(配列番号22)、PRNKNNPPS-OH(配列番号23)、PSKGAPPPS-OH(配列番号24)、PSSGAPPPSE-OH(配列番号25)、PSSGAPPPS-NH(配列番号26)、PSSGAPPPS-OH(配列番号27)、PSSGAPPPSS-OH(配列番号28)、PSSGEPPPS-OH(配列番号29)、PSSGKKPPS-OH(配列番号30)、PSSGKPPPS-NH(配列番号31)、PSSGKPPPS-OH(配列番号32)、PSSGSPPPS-OH(配列番号33)、PSSKAPPPS-OH(配列番号34)、PSSKEPPPS-OH(配列番号35)、PSSKGAPPPS-OH(配列番号36)、PSSKQPPPS-OH(配列番号37)、PSSKSPPPS-OH(配列番号38)、SGAPPPS-OH(配列番号39)及びSSGAPPPS-OH(配列番号40)から成る群から選択される、単離ポリペプチド。
【請求項2】
アミノ酸配列:XGTFTSDX10111213LX15161718AQEFVX24WLEDE-Z尾部(配列番号2)を含む、請求項1に記載の単離ポリペプチドであって、
式中、
はYまたはWであり、
はSまたはGであり、
はQまたはHであり、
10はYまたはHであり、
11はSまたはTであり、
12はKまたはRであり、
13はY、LまたはWであり、
15はDまたはEであり、
16は2-アミノイソ酪酸(Aib)、AまたはSであり、
17はAまたはKであり、
18はR、S、LまたはYであり、
24はK、IまたはAibであり、ならびに、
Z尾部は存在しないか、PSSGAPPPS-NH(配列番号26)、PSSGAPPPS-OH(配列番号27)及びPKSKSPPPS-NH(配列番号21)から成る群から選択される、単離ポリペプチド。
【請求項3】
アミノ酸配列:YSXGTFTSDYSKYLDX161718AQEFVX24WLEDE-Z尾部(配列番号3)を含む、請求項1に記載の単離ポリペプチドであって、
式中、
はQまたはHであり、
16は2-アミノイソ酪酸(Aib)またはAであり、
17はAまたはKであり、
18はR、SまたはYであり、
24はKまたはAibであり、
Z尾部は、PSSGAPPPS-OH(配列番号27)及びPKSKSPPPS-NH(配列番号21)から成る群から選択される、単離ポリペプチド。
【請求項4】
配列番号41(化合物A1)によって表されるアミノ酸配列を含む、請求項3に記載の単離ポリペプチド。
【請求項5】
配列番号42(化合物A2)によって表されるアミノ酸配列を含む、請求項3に記載の単離ポリペプチド。
【請求項6】
アミノ酸配列:XSXGTFTSDX10SKYLDX161718AQX21FVX24WLEDEPX31SX3334PPPS-OH(配列番号151)を含む単離ポリペプチドであって
式中、
=YまたはWであり、
=HまたはQであり、
10 =Y、KまたはK*** あり、
16 =A、S、Aib、KまたはK***であり、
17 =A、K、AibまたはK***であり、
18 =Y、SまたはRであり、
21 =E、KまたはK***であり、
24 =I、Aib、KまたはK***であり、
31 =S、KまたはK***であり、
33 =G、KまたはK***であり、
34 =AまたはSであり、
***はリジンであり、リジン側鎖のε-アミノ基は場合によりスペーサーを介して親油性置換基に共有結合している、単離ポリペプチド。
【請求項7】
前記親油性置換基のそれぞれがスペーサーを介して前記ペプチドに共有結合しており、前記親油性置換基及びスペーサーが式II:
【化1】
または式III
【化2】
のものである、
請求項6に記載の単離ポリペプチド。
【請求項8】
アミノ酸配列YSQGTFTSDYSKYLDSX 17 RAQX 21 FVX 24 WLX 27 28 T-OH(配列番号137)
を含む、単離ポリペプチドであって、
式中、
17 はK であり、K はX 21 におけるE とのラクタム架橋中にあり、
21 はE であり、E はX 17 におけるK とのラクタム架橋中にあり、
24 はKまたはK ** であり、K ** はX 28 におけるE ** とのラクタム架橋中にあり、
27 はQまたはDであり、
28 はEまたはE ** であり、E ** はX 24 におけるK ** とのラクタム架橋中にある、
単離ポリペプチド
【請求項9】
配列番号138(化合物A104)、または、配列番号139(化合物A105)のアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の単離ポリペプチド。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ポリペプチド、または、その医薬的に許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項11】
エクセナチド、エクセナチドの誘導体、エクセナチドの類似体、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、GLP-1の誘導体及びGLP-1の類似体から成る群から場合により選択される、第2のポリペプチドをさらに含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ポリペプチド、または、請求項10もしくは11に記載の医薬組成物、ならびに、場合により、1種もしくは複数の炭水化物、1種もしくは複数の抗酸化剤、1種もしくは複数のアミノ酸、1種もしくは複数の緩衝液、1種もしくは複数の無機化合物、1種もしくは複数の界面活性剤、及び、それらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の安定化成分を含む、粒子製剤。
【請求項13】
請求項12に記載の粒子製剤、及び、懸濁ビヒクルを含む懸濁製剤であって、前記懸濁ビヒクルが、場合により、1種又は複数のポリマー及び1種または複数の溶媒を含む、懸濁製剤。
【請求項14】
請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ポリペプチド、請求項10もしくは11に記載の医薬組成物、請求項12に記載の粒子製剤、または、請求項13に記載の懸濁製剤を含む、浸透圧性送達装置
【請求項15】
内面及び外面ならびに第1及び第2の開口端を含む不浸透性リザーバー、
前記リザーバーの前記第1の開口端と密封関係の半透膜、
前記リザーバー内の浸透圧性エンジン及び隣接する前記半透膜、
前記浸透圧性エンジンに隣接するピストンであって、前記ピストンは前記リザーバーの前記内面と可動性の密閉を形成し、前記ピストンは前記リザーバーを第1のチャンバーと第2のチャンバーに分け、前記第1のチャンバーは浸透圧性エンジンを含む前記ピストン、
懸濁製剤であって、前記第2のチャンバーは前記懸濁製剤を含み、前記懸濁製剤は流動可能であり、前記単離ポリペプチドを含む前記懸濁製剤、及び
前記リザーバーの前記第2の開口端に挿入された拡散モデレーターであって、前記拡散モデレーターは前記懸濁製剤に隣接する、前記拡散モデレーター
さらに含む、請求項14に記載の浸透圧性送達装置。
【請求項16】
それを必要とする対象において、糖尿病、肥満、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、及び、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から成る群から選択される疾患または障害の症状を治療または緩和する方法において使用するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ポリペプチド、請求項10もしくは11に記載の医薬組成物、請求項12に記載の粒子製剤、または、請求項13に記載の懸濁製剤。
【請求項17】
(i)血中グルコースの上昇と関連する代謝疾患もしくは障害の治療、
(ii)グルカゴンとGLP-1受容体の両方での共アゴニズムが所望される疾患もしくは障害の治療、そうした疾患もしくは障害の発症の遅延、そうした疾患もしくは障害の進行の遅延、またはそうした疾患もしくは障害の症状の緩和、あるいは、
(iii)肥満の治療
の方法における使用のための、請求項1から9のいずれか一項に記載の単離ポリペプチド、請求項10もしくは11に記載の医薬組成物、請求項12に記載の粒子製剤、または請求項13に記載の懸濁製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年5月16日に出願された米国特許仮出願第62/337,005号、2016年10月28日に出願された米国特許仮出願第62/414,146号及び2016年11月11日に出願された米国特許仮出願第62/420,937号の利益を主張し、これらのそれぞれの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、グルカゴン受容体選択的類似体である単離ポリペプチド及びそのペプチド誘導体に関する。これらの類似体及びペプチド誘導体は、ネイティブの内在性グルカゴンと比較して、溶解性、熱安定性及び物理化学的特性が向上している。本発明は、様々な治療的及び診断的徴候におけるそのようなポリペプチドの使用方法ならびにそのようなポリペプチドの生成方法にも関する。これらの類似体は、肥満、糖尿病、代謝障害及び他の疾患または障害の治療方法で有用である。
【背景技術】
【0003】
膵臓のアルファ細胞が産生するペプチドホルモンであるグルカゴン及び神経ペプチドであるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、プレ-プログルカゴン、すなわち、様々な組織でプロセッシングを受けていくつかの異なるプログルカゴン由来ペプチドを形成する158アミノ酸の前駆ポリペプチドに由来する。例えば、グルカゴン、GLP-1、グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)及びオキシントモジュリン(OXM)を含めたこれらのプログルカゴン由来ペプチドは、グルコース恒常性、インスリン分泌、胃内容排出及び腸の成長ならびに食物摂取の調節を含めた多種多様の生理機能に関与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許仮出願第62/337,005号
【文献】米国特許仮出願第62/414,146号
【文献】米国特許仮出願第62/420,937号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、GLP-1及び/またはグルカゴン活性を模倣する治療剤及び療法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、グルカゴン受容体選択的類似体である単離ポリペプチド及びそのペプチド誘導体に関する。グルカゴンは、膵臓でアルファ細胞が産生し、グルカゴン受容体(「GCGR」)と相互作用する、29アミノ酸のペプチドホルモンである。
【0007】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、グルカゴン受容体(GCGR)に結合し、選択的グルカゴン受容体アゴニストである、グルカゴン類似体である。本開示のこれらの単離ポリペプチドは、強力であり、安定的であり、可溶性である。この単離ポリペプチドは、ネイティブのグルカゴン、例えばヒトグルカゴンと比較して、及びGLP-1受容体に結合する能力と比較して、グルカゴン受容体に選択的に結合する。この単離ポリペプチドは、代謝安定性の向上及びネイティブのグルカゴン、例えばヒトグルカゴンに対する糸球体濾過速度に近い速度での腎臓からの薬物のクリアランスを示す。この単離ポリペプチドは、ネイティブのグルカゴン、例えばヒトグルカゴンと比較して、溶解性の向上を示す、好ましい実施形態では、この単離ポリペプチドは、少なくとも200mg/mlの溶解性の向上を示す。この単離ポリペプチドは、室温で及びより高い温度、例えば37℃またはそれ以上で、化学的安定性の向上を示す。
【0008】
本開示の単離ポリペプチドは、選択性、溶解性及び腎臓からの分子のクリアランスの向上を与える部類に由来する。この部類は、(a)グルカゴン受容体に対する選択性に必要とされる重要な構造の決定、(b)溶解性の向上をもたらす一方で、ヒトグルカゴンの効能を増強するまたは少なくとも維持する重要なアミノ酸及び二次構造モチーフの特定ならびに(c)選択的グルカゴン受容体アゴニストに対して化学的安定性を与えるアミノ酸置換の特定に基づく。
【0009】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、ヒトグルカゴンのアミノ酸配列:HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNT-OH(配列番号140)に基づく改変アミノ酸配列を含み、ここでは、改変アミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸置換、少なくとも2つのアミノ酸置換、少なくとも3つのアミノ酸置換、少なくとも4つのアミノ酸置換、少なくとも5つのアミノ酸置換、少なくとも6つのアミノ酸置換、少なくとも7つのアミノ酸置換、少なくとも8つのアミノ酸置換、少なくとも9つのアミノ酸置換、少なくとも10個のアミノ酸置換、少なくとも11個のアミノ酸置換、少なくとも12個のアミノ酸置換、少なくとも13個のアミノ酸置換、少なくとも14個のアミノ酸置換、少なくとも15個のアミノ酸置換、少なくとも16個のアミノ酸置換、少なくとも17個のアミノ酸置換、少なくとも18個のアミノ酸置換、少なくとも19個のアミノ酸置換、少なくとも20個のアミノ酸置換、少なくとも21個のアミノ酸置換、少なくとも22個のアミノ酸置換、少なくとも23個のアミノ酸置換、少なくとも24個のアミノ酸置換、少なくとも25個のアミノ酸置換、少なくとも26個のアミノ酸置換、少なくとも27個のアミノ酸置換、少なくとも28個のアミノ酸置換及び/または少なくとも29個のアミノ酸置換を含み、但し、改変アミノ酸配列を有する単離ポリペプチドが選択的グルカゴン類似体として機能する能力を保持するという条件である。
【0010】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、ヒトグルカゴンのアミノ酸配列:HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNT-OH(配列番号140)に基づく改変アミノ酸配列を含み、ここでは、改変アミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸置換、少なくとも2つのアミノ酸置換、少なくとも3つのアミノ酸置換、少なくとも4つのアミノ酸置換、少なくとも5つのアミノ酸置換、少なくとも6つのアミノ酸置換、少なくとも7つのアミノ酸置換、少なくとも8つのアミノ酸置換、少なくとも9つのアミノ酸置換、少なくとも10個のアミノ酸置換、少なくとも11個のアミノ酸置換、少なくとも12個のアミノ酸置換、少なくとも13個のアミノ酸置換、少なくとも14個のアミノ酸置換、少なくとも15個のアミノ酸置換または少なくとも16個のアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換(複数可)は、以下から成る群から選択される:
(i)Y及びWから成る群から選択される位置1におけるアミノ酸置換、
(ii)G及びTから成る群から選択される位置2におけるアミノ酸置換、
(iii)Hとの位置3におけるアミノ酸置換、
(iv)Hとの位置10におけるアミノ酸置換、
(v)Tとの位置11におけるアミノ酸置換、
(vi)Rとの位置12におけるアミノ酸置換、
(vii)L及びWから成る群から選択される位置13におけるアミノ酸置換、
(viii)Eとの位置15におけるアミノ酸置換、
(ix)2-アミノイソ酪酸(Aib)、A、E、I、K、L及びQから成る群から選択される位置16におけるアミノ酸置換、
(x)A、E、K、S及びTから成る群から選択される位置17におけるアミノ酸置換、
(xi)A、E、L及びTから成る群から選択される位置18におけるアミノ酸置換、
(xii)Eとの位置21におけるアミノ酸置換、
(xiii)Tとの位置23におけるアミノ酸置換、
(xiv)2-アミノイソ酪酸(Aib)、K及びLから成る群から選択される位置24におけるアミノ酸置換、
(xv)Hとの位置25におけるアミノ酸置換及び
(xvi)EEPSSGAPPPS-OH(配列番号4)、EPSSGAPPPS-OH(配列番号5)、GAPPPS-OH(配列番号6)、GGPSSGAPPPS-OH(配列番号7)、GPSSGAPPPS-OH(配列番号8)、KRNKNPPPS-OH(配列番号9)、KRNKNPPS-OH(配列番号10)、KRNKPPIA-OH(配列番号11)、KRNKPPPA-OH(配列番号150)、KRNKPPPS-OH(配列番号12)、KSSGKPPPS-OH(配列番号13)、PESGAPPPS-OH(配列番号14)、PKSGAPPPS-OH(配列番号15)、PKSKAPPPS-NH(配列番号16)、PKSKAPPPS-OH(配列番号17)、PKSKEPPPS-NH(配列番号18)、PKSKEPPPS-OH(配列番号19)、PKSKQPPPS-OH(配列番号20)、PKSKSPPPS-NH(配列番号21)、PKSKSPPPS-OH(配列番号22)、PRNKNNPPS-OH(配列番号23)、PSKGAPPPS-OH(配列番号24)、PSSGAPPPSE-OH(配列番号25)、PSSGAPPPS-NH(配列番号26)、PSSGAPPPS-OH(配列番号27)、PSSGAPPPSS-OH(配列番号28)、PSSGEPPPS-OH(配列番号29)、PSSGKKPPS-OH(配列番号30)、PSSGKPPPS-NH(配列番号31)、PSSGKPPPS-OH(配列番号32)、PSSGSPPPS-OH(配列番号33)、PSSKAPPPS-OH(配列番号34)、PSSKEPPPS-OH(配列番号35)、PSSKGAPPPS-OH(配列番号36)、PSSKQPPPS-OH(配列番号37)、PSSKSPPPS-OH(配列番号38)、SGAPPPS-OH(配列番号39)及びSSGAPPPS-OH(配列番号40)から成る群から選択されるZ尾部との位置30におけるアミノ酸置換、ならびに
(xvii)これらの組み合わせ
(但し、改変アミノ酸配列を有する単離ポリペプチドが選択的グルカゴン受容体アゴニストとして機能する能力を保持するという条件である)。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、配列番号1:
GTFTSDX10111213LX15161718AQEFX232425LEDE-Z尾部-(OH/NH)(配列番号1)のコンセンサス配列によって代表されるアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含み、ここでは、
はYまたはWであり、
はS、GまたはTであり、
はQまたはHであり、
10はYまたはHであり、
11はSまたはTであり、
12はKまたはRであり、
13はY、LまたはWであり、
15はDまたはEであり、
16はS、2-アミノイソ酪酸(Aib)、A、E、L、Q、KまたはIであり、
17はK、E、S、TまたはAであり、
18はA、R、S、E、L、TまたはYであり、
23はTまたはVであり、
24はK、I、LまたはAibであり、
25はHまたはWであり、
Z尾部は存在しないか、EEPSSGAPPPS-OH(配列番号4)、EPSSGAPPPS-OH(配列番号5)、GAPPPS-OH(配列番号6)、GGPSSGAPPPS-OH(配列番号7)、GPSSGAPPPS-OH(配列番号8)、KRNKNPPPS-OH(配列番号9)、KRNKNPPS-OH(配列番号10)、KRNKPPIA-OH(配列番号11)、KRNKPPPA-OH(配列番号150)、KRNKPPPS-OH(配列番号12)、KSSGKPPPS-OH(配列番号13)、PESGAPPPS-OH(配列番号14)、PKSGAPPPS-OH(配列番号15)、PKSKAPPPS-NH(配列番号16)、PKSKAPPPS-OH(配列番号17)、PKSKEPPPS-NH(配列番号18)、PKSKEPPPS-OH(配列番号19)、PKSKQPPPS-OH(配列番号20)、PKSKSPPPS-NH(配列番号21)、PKSKSPPPS-OH(配列番号22)、PRNKNNPPS-OH(配列番号23)、PSKGAPPPS-OH(配列番号24)、PSSGAPPPSE-OH(配列番号25)、PSSGAPPPS-NH(配列番号26)、PSSGAPPPS-OH(配列番号27)、PSSGAPPPSS-OH(配列番号28)、PSSGEPPPS-OH(配列番号29)、PSSGKKPPS-OH(配列番号30)、PSSGKPPPS-NH(配列番号31)、PSSGKPPPS-OH(配列番号32)、PSSGSPPPS-OH(配列番号33)、PSSKAPPPS-OH(配列番号34)、PSSKEPPPS-OH(配列番号35)、PSSKGAPPPS-OH(配列番号36)、PSSKQPPPS-OH(配列番号37)、PSSKSPPPS-OH(配列番号38)、SGAPPPS-OH(配列番号39)及びSSGAPPPS-OH(配列番号40)から成る群から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、配列番号2:
GTFTSDX10111213LX15161718AQEFVX24WLEDE-Z尾部-(OH/NH)(配列番号2)のコンセンサス配列によって代表されるアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含み、ここでは、
はYまたはWであり、
はSまたはGであり、
はQまたはHであり、
10はYまたはHであり、
11はSまたはTであり、
12はKまたはRであり、
13はY、LまたはWであり、
15はDまたはEであり、
16は2-アミノイソ酪酸(Aib)、AまたはSであり、
17はAまたはKであり、
18はR、S、LまたはYであり、
24はK、IまたはAibであり、
25はHまたはWであり、
Z尾部は存在しないか、PSSGAPPPS-NH(配列番号26)、PSSGAPPPS-OH(配列番号27)及びPKSKSPPPS-NH(配列番号21)から成る群から選択される。
【0013】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、配列番号3:
YSXGTFTSDYSKYLDX161718AQEFVX24WLEDE-Z尾部-(OH/NH)(配列番号3)のコンセンサス配列によって代表されるアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含み、ここでは、
はQまたはHであり、
16は2-アミノイソ酪酸(Aib)またはAであり、
17はAまたはKであり、
18はR、SまたはYであり、
24はKまたはAibであり、
Z尾部は、PSSGAPPPS-OH(配列番号27)及びPKSKSPPPS-NH(配列番号21)から成る群から選択される。
【0014】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KYAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号41)(本明細書では、化合物A1とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KSAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号42)(本明細書では、化合物A2とも称される)、
YSQGTFTSDYSKYLDAARAQEFVKWLEDEPKSKSPPPS-NH(配列番号43)(本明細書では、化合物A3とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFVIWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号44)(本明細書では、化合物A4とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-NH(配列番号45)(本明細書では、化合物A5とも称される)及び
WSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号46)(本明細書では、化合物A6とも称される)
から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KYAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号41)を含む。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KSAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号42)を含む。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSQGTFTSDYSKYLDAARAQEFVKWLEDEPKSKSPPPS-NH(配列番号43)を含む。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFVIWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号44)を含む。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-NH(配列番号45)を含む。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列WSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号46)を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KYAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号41)から成る。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KSAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号42)から成る。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSQGTFTSDYSKYLDAARAQEFVKWLEDEPKSKSPPPS-NH(配列番号43)から成る。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFVIWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号44)から成る。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-NH(配列番号45)から成る。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列WSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号46)から成る。
【0017】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、
YSHGTFTSDYSKYLDAARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号143)(本明細書では、化合物A97とも称される)、
YSHGTFTSDYTRLLESKRAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号144)(本明細書では、化合物A98とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号145)(本明細書では、化合物A99とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDE-OH(配列番号146)(本明細書では、化合物A100とも称される)、
YGHGTFTSDHSKYLD(Aib)KRAQEFVKWLEDE-OH(配列番号147)(本明細書では、化合物A101とも称される)、
YSHGTFTSDYSKWLD(Aib)KRAQEFVKWLEDE-OH(配列番号148)(本明細書では、化合物A102とも称される)及び
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)ARAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号149)(本明細書では、化合物A103とも称される)
から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLDAARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号143)(本明細書では、化合物A97とも称される)を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYTRLLESKRAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号144)(本明細書では、化合物A98とも称される)を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号145)(本明細書では、化合物A99とも称される)を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDE-OH(配列番号146)(本明細書では、化合物A100とも称される)を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YGHGTFTSDHSKYLD(Aib)KRAQEFVKWLEDE-OH(配列番号147)(本明細書では、化合物A101とも称される)を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKWLD(Aib)KRAQEFVKWLEDE-OH(配列番号148)(本明細書では、化合物A102とも称される)を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)ARAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号149)(本明細書では、化合物A103とも称される)を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号143~149から成る群から選択されるアミノ酸配列から成る。
【0026】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、以下から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む:
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)ARAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号47)(本明細書では、化合物A7とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-NH(配列番号48)(本明細書では、化合物A8とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEEEPSSGAPPPS-OH(配列番号49)(本明細書では、化合物A9とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEEPSSGAPPPS-OH(配列番号50)(本明細書では、化合物A10とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEEEPSSGAPPPS-OH(配列番号51)(本明細書では、化合物A11とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEGAPPPS-OH(配列番号52)(本明細書では、化合物A12とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDESGAPPPS-OH(配列番号53)(本明細書では、化合物A13とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDESSGAPPPS-OH(配列番号54)(本明細書では、化合物A14とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)SRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号55)(本明細書では、化合物A15とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)TRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号56)(本明細書では、化合物A16とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)ERAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号57)(本明細書では、化合物A17とも称される)、
YSHGTFTSDYSKWLD(Aib)ARAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号58)(本明細書では、化合物A18とも称される)、
YSHGTFTSDYSKWLD(Aib)SRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号59)(本明細書では、化合物A19とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGKPPPS-OH(配列番号60)(本明細書では、化合物A20とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGEPPPS-OH(配列番号61)(本明細書では、化合物A21とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGSPPPS-OH(配列番号62)(本明細書では、化合物A22とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSKAPPPS-OH(配列番号63)(本明細書では、化合物A23とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSKGAPPPS-OH(配列番号64)(本明細書では、化合物A24とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPSS-OH(配列番号65)(本明細書では、化合物A25とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPSE-OH(配列番号66)(本明細書では、化合物A26とも称される)、
SHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEGGPSSGAPPPS-OH(配列番号67)(本明細書では、化合物A27とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEGPSSGAPPPS-OH(配列番号68)(本明細書では、化合物A28とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPKSGAPPPS-OH(配列番号69)(本明細書では、化合物A29とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSKGAPPPS-OH(配列番号70)(本明細書では、化合物A30とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPESGAPPPS-OH(配列番号71)(本明細書では、化合物A31とも称される)、
YTHGTFTSDYSKWLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号72)(本明細書では、化合物A32とも称される)、
YSHGTFTSDHSKWLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号73)(本明細書では、化合物A33とも称される)、
YTHGTFTSDHSKWLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号74)(本明細書では、化合物A34とも称される)、
YTHGTFTSDYSKWLD(Aib)ARAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号75)(本明細書では、化合物A35とも称される)、
YSHGTFTSDHSKWLD(Aib)ARAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号76)(本明細書では、化合物A36とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号77)(本明細書では、化合物A37とも称される)、
YSHGTFTSDYSKWLDSARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号78)(本明細書では、化合物A38とも称される)、
YTHGTFTSDYSKWLDSARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号79)(本明細書では、化合物A39とも称される)、
YSHGTFTSDHSKWLDSARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号80)(本明細書では、化合物A40とも称される)、
YTHGTFTSDHSKWLDEARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号81)(本明細書では、化合物A41とも称される)、
YTHGTFTSDYSKWLDSKRAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号82)(本明細書では、化合物A42とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDKARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号83)(本明細書では、化合物A43とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDQARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号84)(本明細書では、化合物A44とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEKRNKPPPA-OH(配列番号85)(本明細書では、化合物A45とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEKRNKPPIA-OH(配列番号86)(本明細書では、化合物A46とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEKRNKNPPS-OH(配列番号87)(本明細書では、化合物A47とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEKRNKNPPPS-OH(配列番号88)(本明細書では、化合物A48とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPRNKNNPPS-OH(配列番号89)(本明細書では、化合物A49とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEKRNKPPPS-OH(配列番号90)(本明細書では、化合物A50とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDLKRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号91)(本明細書では、化合物A51とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDIKRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号92)(本明細書では、化合物A52とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFVLWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号93)(本明細書では、化合物A53とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSKEPPPS-OH(配列番号94)(本明細書では、化合物A54とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSKSPPPS-OH(配列番号95)(本明細書では、化合物A55とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPKSKAPPPS-OH(配列番号96)(本明細書では、化合物A56とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPKSKQPPPS-OH(配列番号97)(本明細書では、化合物A57とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPKSKSPPPS-OH(配列番号98)(本明細書では、化合物A58とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSKQPPPS-OH(配列番号99)(本明細書では、化合物A59とも称される)、
YTHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGKPPPS-OH(配列番号100)(本明細書では、化合物A60とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPSSGKPPPS-OH(配列番号101)(本明細書では、化合物A61とも称される)、
YTHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号102)(本明細書では、化合物A62とも称される)、
YTHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号103)(本明細書では、化合物A63とも称される)、
YTHGTFTSDYSKYLD(Aib)ARAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号104)(本明細書では、化合物A64とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPKSKEPPPS-NH2(配列番号105)(本明細書では、化合物A65とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPKSKSPPPS-NH(配列番号106)(本明細書では、化合物A66とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)ARAQEFV(Aib)WLEDEPKSKSPPPS-NH2(配列番号107)(本明細書では、化合物A67とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)ARAQEFV(Aib)WLEDEPKSKEPPPS-NH(配列番号108)(本明細書では、化合物A68とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPKSKEPPPS-OH(配列番号109)(本明細書では、化合物A69とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPKSKSPPPS-OH(配列番号110)(本明細書では、化合物A70とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPKSKAPPPS-OH(配列番号111)(本明細書では、化合物A71とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPKSKEPPPS-NH(配列番号112)(本明細書では、化合物A72とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPKSKSPPPS-NH(配列番号113)(本明細書では、化合物A73とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPKSKAPPPS-NH(配列番号114)(本明細書では、化合物A74とも称される)、
WSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号115)(本明細書では、化合物A75とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KAAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号116)(本明細書では、化合物A76とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KTAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号117)(本明細書では、化合物A77とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KLAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号118)(本明細書では、化合物A78とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KEAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号119)(本明細書では、化合物A79とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDAARAQEFVKWLEDEPKSKSPPPS-NH(配列番号120)(本明細書では、化合物A80とも称される)、
YSQGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPKSKSPPPS-OH(配列番号121)(本明細書では、化合物A81とも称される)、
YSQGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPKSKAPPPS-OH(配列番号122)(本明細書では、化合物A82とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFTKWLEDEPKSKSPPPS-OH(配列番号123)(本明細書では、化合物A83とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKHLEDEPKSKSPPPS-OH(配列番号124)(本明細書では、化合物A84とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGKPPPS-NH(配列番号125)(本明細書では、化合物A85とも称される)、
YSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGKPPPS-OH(配列番号126)(本明細書では、化合物A86とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEKSSGKPPPS-OH(配列番号127)(本明細書では、化合物A87とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGKKPPS-OH(配列番号128)(本明細書では、化合物A88とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)HLEDEPSSGKPPPS-OH(配列番号129)(本明細書では、化合物A89とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KAAQEFV(Aib)WLEDEPSSGKPPPS-OH(配列番号130)(本明細書では、化合物A90とも称される)、
WSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGKPPPS-OH(配列番号131)(本明細書では、化合物A91とも称される)、
WSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KAAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号132)(本明細書では、化合物A92とも称される)、
WSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KAAQEFV(Aib)WLEDEPSSGKPPPS-OH(配列番号133)(本明細書では、化合物A93とも称される)、
YSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号134)(本明細書では、化合物A94とも称される)、
YSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KAAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号135)(本明細書では、化合物A95とも称される)及び
YSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KAAQEFV(Aib)WLEDEPSSGKPPPS-OH(配列番号136)(本明細書では、化合物A96と称される)。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号47~136から成る群から選択されるアミノ酸配列から成る。
【0027】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、配列番号137:YSQGTFTSDYSKYLDSX17RAQX21FVX24WLX2728T-OH(配列番号137)のコンセンサス配列によって代表されるアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含み、ここでは、
17はKであり、KはX21におけるEとのラクタム架橋中にあり、
21はEであり、EはX17におけるKとのラクタム架橋中にあり、
24はKまたはK**であり、K**はX28におけるE**とのラクタム架橋中にあり、
27はQまたはDであり、
28はEまたはE**であり、E**はX24におけるK**とのラクタム架橋中にある。
【0028】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、YSQGTFTSDYSKYLDSKRAQEFVK**WLDE**T-OH(配列番号138)(本明細書では、化合物A104と称される)及びYSQGTFTSDYSKYLDSKRAQEFVK**WLQE**T-OH(配列番号139)(本明細書では、化合物A105と称される)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号138及び139から成る群から選択されるアミノ酸配列から成る。
【0029】
本開示の単離ポリペプチドは、ネイティブのヒトグルカゴン分子と比較した場合のグルカゴン受容体選択的類似体の溶解性及び/または安定性、例えば代謝安定性などの特性の維持を可能にするアミノ酸モチーフ、ならびにGLP-1を超えるグルカゴン選択性などのさらなる特性維持を可能にするアミノ酸モチーフを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドのC末端は、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミンに結合する配列を用いて延長される。いくつかの実施形態で本開示の単離ポリペプチドのC末端は、EEPSSGAPPPS-OH(配列番号4)、EPSSGAPPPS-OH(配列番号5)、GAPPPS-OH(配列番号6)、GGPSSGAPPPS-OH(配列番号7)、GPSSGAPPPS-OH(配列番号8)、KRNKNPPPS-OH(配列番号9)、KRNKNPPS-OH(配列番号10)、KRNKPPIA-OH(配列番号11)、KRNKPPPA-OH(配列番号150)、KRNKPPPS-OH(配列番号12)、KSSGKPPPS-OH(配列番号13)、PESGAPPPS-OH(配列番号14)、PKSGAPPPS-OH(配列番号15)、PKSKAPPPS-NH(配列番号16)、PKSKAPPPS-OH(配列番号17)、PKSKEPPPS-NH(配列番号18)、PKSKEPPPS-OH(配列番号19)、PKSKQPPPS-OH(配列番号20)、PKSKSPPPS-NH(配列番号21)、PKSKSPPPS-OH(配列番号22)、PRNKNNPPS-OH(配列番号23)、PSKGAPPPS-OH(配列番号24)、PSSGAPPPSE-OH(配列番号25)、PSSGAPPPS-NH(配列番号26)、PSSGAPPPS-OH(配列番号27)、PSSGAPPPSS-OH(配列番号28)、PSSGEPPPS-OH(配列番号29)、PSSGKKPPS-OH(配列番号30)、PSSGKPPPS-NH(配列番号31)、PSSGKPPPS-OH(配列番号32)、PSSGSPPPS-OH(配列番号33)、PSSKAPPPS-OH(配列番号34)、PSSKEPPPS-OH(配列番号35)、PSSKGAPPPS-OH(配列番号36)、PSSKQPPPS-OH(配列番号37)、PSSKSPPPS-OH(配列番号38)、SGAPPPS-OH(配列番号39)及びSSGAPPPS-OH(配列番号40)から成る群から選択される配列を用いて延長される。
【0031】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドのC末端アミノ酸残基のカルボキシル基はアミド化される。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドのC末端アミノ酸残基のカルボキシル基は修飾されていない。
【0032】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される単離ポリペプチドは、グルカゴン活性のアゴニストである。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される単離ポリペプチドは、グルカゴン受容体に結合することができる。いくつかの実施形態では、グルカゴン受容体はヒトグルカゴン受容体である。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、(本明細書に記載の)1nM~500マイクロモル範囲で開始する11点の曲線を使用するcAMPアッセイにおいて、約9.0を越える範囲のpEC50でヒトグルカゴン受容体に結合する。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、(本明細書に記載の)1nM~500マイクロモル範囲で開始する11点の曲線を使用するcAMPアッセイにおいて、約11.0を越える範囲のpEC50でヒトグルカゴン受容体に結合する。
【0033】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドはヒトグルカゴン受容体に結合するが、ヒトGLP-1受容体に実質的に結合しない。本明細書で使用する場合、用語「実質的に結合しない」及びその変形形態は、ヒトGLP-1受容体に対して低い親和性から親和性なしを示すポリペプチドを指す。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、ヒトGLP-1受容体に対する同じ単離ポリペプチドの親和性よりも少なくとも100倍大きい親和性で、ヒトグルカゴン受容体に結合する。好ましい実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、ヒトGLP-1受容体に対する同じ単離ポリペプチドの親和性よりも少なくとも1,000倍大きい親和性で、ヒトグルカゴン受容体に結合する。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、1nM~500マイクロモル範囲で開始する11点の曲線を使用するcAMPアッセイにおいて、約9.0を越える範囲のpEC50でヒトグルカゴン受容体に結合し、本開示の単離ポリペプチドは、cAMPアッセイにおいて、約10.0未満であるpEC50でヒトGLP-1受容体に結合する。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、1nM~500マイクロモル範囲で開始する11点の曲線を使用するcAMPアッセイにおいて、約11.0を越える範囲のpEC50でヒトグルカゴン受容体に結合し、本開示の単離ポリペプチドは、cAMPアッセイにおいて、約9.0未満のpEC50でヒトGLP-1受容体に結合する。
【0034】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される単離ポリペプチドは、ポリペプチドに結合した異種部分をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、異種部分は、タンパク質、ペプチド、タンパク質ドメイン、リンカー、有機ポリマー、無機ポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、ビオチン、アルブミン、ヒト血清アルブミン(HSA)、HSA FcRn結合部分、抗体、抗体のドメイン、抗体断片、単鎖抗体、ドメイン抗体、アルブミン結合ドメイン、酵素、リガンド、受容体、結合ペプチド、非FnIIIスキャフォールド、エピトープタグ、組換えポリペプチドポリマー、サイトカインまたはそのような部分の2つ以上の任意の組み合わせである。
【0035】
本明細書で提供される単離ポリペプチドは、例えばグルカゴン受容体に結合することによって、グルカゴン受容体アゴニスト活性を示す。本明細書で提供される単離ポリペプチドは、グルカゴン受容体と結合または相互作用する際に、グルカゴン活性を完全にまたは部分的にアゴナイズまたは刺激する。グルカゴン受容体アゴニストとグルカゴン受容体の間の相互作用の際に、グルカゴンによる生物機能の刺激またはモジュレーションは、完全であるか、部分的である。
【0036】
選択的グルカゴン受容体アゴニストである本開示のこれらの単離ポリペプチドは、単体で、または少なくとも第2の薬剤と組み合わせで、有用である。好ましい実施形態では、第2の薬剤はポリペプチドである。好ましい実施形態では、第2のポリペプチドはインスリン分泌性ペプチドである。例えば、インスリン分泌性ポリペプチドは、エクセナチド、エクセナチドの誘導体、エクセナチドの類似体、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、GLP-1の誘導体及びGLP-1の類似体から成る群から選択される。
【0037】
好ましい実施形態では、インスリン分泌性ポリペプチドは、エクセナチド、エクセナチドの誘導体またはエクセナチドの類似体である。好ましい実施形態では、エクセナチドは合成エクセナチドである。好ましい実施形態では、合成エクセナチドは、アミノ酸配列H-His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-NH(配列番号142)を含む。
【0038】
併用療法では、選択的グルカゴン類似体の使用は、グルカゴン及び任意のGLP-1受容体アゴニストの適切な治療量の用量設定を可能にする。これは、血中グルコースの有害なスパイクなしで、グルカゴン/GLP-1アゴニズムの所望の効果(すなわち、体重減少、エネルギー消費の増大)を可能にする。
【0039】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される単離ポリペプチド及びさらなる薬剤は、単一の治療用組成物に製剤化され、単離ポリペプチド及びさらなる薬剤は同時に投与される。いくつかの実施形態では、単離ポリペプチド及びさらなる薬剤は互いに分離され、例えば、それぞれが別々の治療用組成物に製剤化され、単離ポリペプチド及びさらなる薬剤は同時に投与されるか、単離ポリペプチド及びさらなる薬剤は治療レジメン中の異なる時間に投与される。例えば、単離ポリペプチドはさらなる薬剤の投与より前に投与されるか、単離ポリペプチドはさらなる薬剤の投与の後に投与されるか、単離ポリペプチド及びさらなる薬剤は交互に投与される。本明細書に記載のように、単離ポリペプチド及びさらなる薬剤は単回用量または複数回用量で投与される。
【0040】
異常なグルカゴン活性によって引き起こされる、異常なグルカゴン活性を特徴とする、もしくは異常なグルカゴン活性と関連する疾患もしくは状態を治療する、そうした疾患もしくは状態の発症を遅らせる、そうした疾患もしくは状態の進行を遅らせる、またはそうした疾患もしくは状態の症状を改善する方法も本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、疾患または状態は2型糖尿病である。
【0041】
本開示の単離ポリペプチドまたは本明細書に記載の任意の医薬組成物をそれらを必要とする対象に投与することによる、代謝障害の治療方法も本明細書で提供される。
【0042】
本開示の単離ポリペプチドまたは本明細書に記載の任意の医薬組成物をそれらを必要とする対象に投与することによる、肥満の治療方法も本明細書で提供される。
【0043】
本開示の単離ポリペプチドまたは本明細書に記載の任意の医薬組成物をそれらを必要とする患者に投与することによって、患者における血中グルコースの上昇と関連する代謝疾患もしくは障害を治療する、そうした代謝疾患もしくは障害を予防する、そうした代謝疾患もしくは障害の発症を遅らせる、そうした代謝疾患もしくは障害の進行を遅らせる及び/またはそうした代謝疾患もしくは障害の症状改善する方法も本明細書で提供される。
【0044】
グルカゴン受容体におけるアゴニズムが所望される疾患もしくは障害を治療する、そうした疾患もしくは障害を予防する、そうした疾患もしくは障害の発症を遅らせる、そうした疾患もしくは障害の進行を遅らせる、及び/またはそうした疾患もしくは障害の症状を改善する方法も本明細書で提供され、そうした疾患もしくは障害は、例えば、非限定例として、慢性疼痛、血友病及び他の血液障害、内分泌障害、代謝障害、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルツハイマー病、心血管疾患、無自覚性低血糖、拘束性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患、脂肪萎縮症、メタボリックシンドローム、白血病、肝炎、腎不全、自己免疫疾患(例えば、グレーブス病、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症及び関節リウマチ)、ショック及び/または消耗性障害、膵炎ならびに神経性の障害及び疾患、例えばパーキンソン病である。
【0045】
長期にわたる治療(複数可)を必要とする感染症を治療する、そうした感染症を予防する、そうした感染症の発症を遅らせる、そうした感染症の進行を遅らせる、及び/またはそうした感染症の症状を改善する方法も本明細書で提供される。
【0046】
本明細書に開示される方法では、本開示の単離ポリペプチド及び/または本明細書に記載の医薬組成物は、単回または複数回用量のいずれかで、単体で、または医薬的に許容される担体及び/または賦形剤及び/またはポリマー及び/または有機溶媒と組み合わせて投与される。
【0047】
本発明による医薬組成物は、適切な担体とともに本開示のポリペプチドを含むことができる。これらの医薬組成物を、キット、例えば診断キットなどに含めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】ヒトグルカゴン、GLP-1(7-37)及び2つのグルカゴン受容体選択的ペプチドアゴニストによる、ヒトグルカゴン受容体(GCGR)及びヒトGLP-1受容体(GLP-1R)におけるペプチド受容体活性化プロファイルを示す、一連のグラフである。図1Aは、化合物A2及び化合物A1と本明細書で言及するペプチドならびにグルカゴンはGCGRに対してほぼ等効能であるが、GLP-1(7-37)ははるかに低い効能でGCGRを活性化することを示す。図1Bは、図1Aの結果と対照的に、ペプチド化合物A2及び化合物A1はGLP-1Rに対して不活性であることを示し、これは、GCGR選択的アゴニストとしてのペプチド化合物A2及び化合物A1のプロファイルを示すものである。
図2A】0.3mg/kg用量での3時間の静脈内注入後の雄のラットにおける様々なグルカゴン類似体の平均血漿濃度対時間のプロットを示す一連のグラフ及び表である。図2Aは、化合物A99(配列番号145)、化合物A102(配列番号148)、化合物A98(配列番号144)、化合物A100(配列番号146)及び化合物A101(配列番号147)と本明細書で言及するグルカゴン類似体を示し、n=3~6であり、グラフ中のエラーバーは標準誤差を示し、表中のCL値を平均±標準誤差(n=3~6)として示す。
図2B】0.3mg/kg用量での3時間の静脈内注入後の雄のラットにおける様々なグルカゴン類似体の平均血漿濃度対時間のプロットを示す一連のグラフ及び表である。図2Bは、化合物A2、化合物A1、化合物A5、化合物A6、化合物A4及び化合物A3と本明細書で言及するグルカゴン類似体を示し、n=3~5であり、グラフ中のエラーバーは標準誤差を示し、表中のCL値を平均±標準誤差(n=3~5)として示す。
図3A】13日後のDIOラットの体重変化によって測定した場合の様々なグルカゴン類似体の効力を示す一連のグラフである。具体的には、図3Aは、単体で(すなわち単独で)またはエキセンディン-4と組み合わせて投与される場合の、本明細書で化合物A104と称されるグルカゴン類似体の効力を示す。すべてのグラフについて、ビヒクル対照と比較してp<0.05である。
図3B】13日後のDIOラットの体重変化によって測定した場合の様々なグルカゴン類似体の効力を示す一連のグラフである。図3Bは、化合物A2と本明細書で言及するグルカゴン類似体の効力を示す。すべてのグラフについて、ビヒクル対照と比較してp<0.05である。
図3C】13日後のDIOラットの体重変化によって測定した場合の様々なグルカゴン類似体の効力を示す一連のグラフである。図3Cは、化合物A1と本明細書で言及するグルカゴン類似体の効力を示す。すべてのグラフについて、ビヒクル対照と比較してp<0.05である。
図4A】本明細書で化合物A104と称される循環ペプチドグルカゴンの類似体の化学構造の概略図である。
図4B】本明細書で化合物A105と称される循環ペプチドグルカゴンの類似体の化学構造の概略図である。
図5】エクセナチド(丸)及びGLP-1(三角形)のX軸の静脈内注入速度に対してY軸に定常状態の血漿濃度をプロットし、これらの相関をイヌリン(糸球体濾過によってクリアランスされる)のものと比較するグラフである。図5のデータはエクセナチドの定常状態の血漿濃度がイヌリンのものに近づき、エクセナチドが主に糸球体濾過によってクリアランスされることと矛盾がないことを示す。
図6】エクセナチド(丸)及びGLP-1(三角形)に加えてグルカゴン(逆三角形)ならびに化合物A1及びA2(グルカゴン類似体、正方形)のX軸の静脈内注入速度に対してY軸に定常状態血漿濃度をさらにプロットする図5のグラフである。これらの相関は、(糸球体濾過速度の推定値として)イヌリンに対するものと比較して示される。図6のデータは、化合物A1及びA2の定常状態の血漿濃度がイヌリンのものに近づき、これらの化合物が主に糸球体濾過によってクリアランスされることと矛盾がないことを示す。
図7】グルカゴン、化合物A1、A2及びA3(GFRに最も近い3点)ならびに他のグルカゴン類似体に対するクリアランス値をプロットする図である。クリアランス値がy軸に沿って減少することに注意されたい。比較のために、上の破線(GFRに近い)はエクセナチドに対するクリアランス速度を示し、下の破線(GFRから遠い)はグルカゴンに対するクリアランス速度を示す。図7は、化合物A1、A2及びA3を含めたある種のグルカゴン類似体のクリアランスがエクセナチド及びグルカゴンのものより低いことを示す。
図8】エクセナチドまたは化合物A1のいずれかの皮下投与際の雄のSprague-Dawley系ラットについての体重減少の用量依存性を比較するグラフである。
図9】化合物A1、A2またはA3の皮下投与の際の雄のSprague-Dawley系ラットについての体重減少の用量依存性を比較するグラフである。
図10】様々な用量で27日間にわたるエクセナチド、グルカゴン(「GCG」)類似体、化合物A1またはエクセナチドとGCG類似体の組み合わせの投与後のDIO LEラットにおける体重減少を比較するグラフである。
図11図10に示すデータを別の方法として示す棒グラフである。
図12】化合物A104を単体でまたはエクセナチドと組み合わせて投与してから14日後のズッカー糖尿病肥満(ZDF)ラットにおける血清トリグリセリドレベルを比較するグラフである。
図13】様々な用量の化合物A104を投与してから14日後のズッカー糖尿病肥満(ZDF)ラットにおける血清肝脂肪量及び肝重量を比較するグラフである。肝重量は白丸として左Y軸にプロットされることに注意されたい。肝脂肪は黒三角形として右Y軸にプロットされる。
図14】エクセナチドまたはグルカゴン類似体の継続投与の際のDIO LEラットにおける体重減少の3-D描写を示す図である。
図15】エクセナチド/グルカゴン類似体の組み合わせの継続投与の際のDIO LEラットにおける体重減少の3-D評価を示す図である。
図16】固定比率のエクセナチド/グルカゴン類似体の組み合わせの継続投与の際のDIO LEラットにおける体重減少の3-D評価を示す図である。
図17】様々な固定比率のエクセナチド/グルカゴン類似体の組み合わせの、薬物の単位総量あたりの効果と定義されるインビボ効能のグラフ的評価を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明は、グルカゴン受容体選択的類似体である単離ポリペプチド及びそのペプチド誘導体に関する。グルカゴンは膵臓で生成され、グルカゴン受容体(「GCGR」)と相互作用する。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは選択的グルカゴン受容体アゴニストである。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、グルカゴン受容体に結合する。
【0050】
定義
本明細書で使用される術語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、制限することを意図したものではないことを理解されたい。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈において別段明記しない限り、複数の指示物を含む。したがって、例えば、「1つの溶媒(a solvent)」への言及は、2つ以上のそのような溶媒の組み合わせを含み、「1つのペプチド(a peptide)」への言及は、1つまたは複数のペプチドまたはペプチドの混合物を含み、「1つの薬物(a drug)」への言及は、1つまたは複数の薬物を含み、「浸透圧性送達装置(an osmotic delivery device)」への言及は、1つまたは複数の浸透圧性送達装置を含むなどである。特に記載のない限り、または文脈から明らかでない限り、本明細書で使用する場合、用語「または」は、包括的であり、「または」と「及び」の両方をカバーすると理解される。
【0051】
特に記載のない限り、または文脈から明らかでない限り、本明細書で使用する場合、用語「約」は、当技術分野で通常の許容誤差の範囲内、例えば、平均の2標準偏差内と理解される。約は、記載される値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%または0.01%内と理解され得る。文脈から特に明らかでない限り、本明細書で提供されるすべての数値は、用語「約」によって修飾される。
【0052】
特に記載のない限り、または文脈から明らかでない限り、本明細書で使用する場合、用語「実質的に」は、狭い範囲内の変動または当技術分野で通常の許容誤差と理解される。実質的には、記載される値の5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%または0.001%内と理解され得る。
【0053】
別段定義されない限り、本明細書で使用するすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または同等の他の方法及び材料を本発明の実施において使用することができるが、好ましい材料及び方法は本明細書に記載される。
【0054】
本発明の説明及び請求において、次の術語は、以下に述べる定義に従って使用される。
【0055】
用語「薬物」、「治療剤」及び「有益な薬剤」は、互換的に使用されて、対象に送達されて所望の有益効果をもたらす任意の治療的に活性な物質を指す。本発明の一実施形態では、薬物はポリペプチドである。本発明の別の実施形態では、薬物は小分子、例えば、アンドロゲンまたはエストロゲンなどのホルモンである。本発明の装置及び方法は、タンパク質、小分子及びこれらの組み合わせの送達によく適している。
【0056】
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」及び「タンパク質」は本明細書で互換的に使用され、典型的には、2つ以上のアミノ酸(例えば、最も典型的にはL-アミノ酸であるが、例えば、D-アミノ酸、修飾アミノ酸、アミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体も含める)の鎖を含む分子を指す。ペプチドは、天然に存在していてもよいし、合成的に生成されてもよいし組換えで発現されてもよい。ペプチドは、アミノ酸鎖を修飾するさらなる基、例えば、翻訳後修飾によって付加された官能基を含むこともできる。翻訳後修飾の例としては、限定されないが、アセチル化、アルキル化(メチル化を含める)、ビオチン化、グルタミル化、グリシル化、グリコシル化、イソプレニル化、リポイル化、ホスホパンテテイニル化、リン酸化、セレン化及びC末端アミド化が挙げられる。用語ペプチドは、アミノ末端及び/またはカルボキシ末端の修飾を含むペプチドも含む。末端アミノ基の修飾としては、限定されないが、デスアミノ、N-低級アルキル、N-ジ-低級アルキル及びN-アシル修飾が挙げられる。末端カルボキシ基の修飾としては、限定されないが、アミド、低級アルキルアミド、ジアルキルアミド及び低級アルキルエステル修飾(例えば、ここでは、低級アルキルはC1~アルキルである)が挙げられる。用語ペプチドは、限定されないが、上記のもののような、アミノ末端とカルボキシ末端の間にあるアミノ酸の修飾を含む。一実施形態では、ペプチドは、小分子薬物を付加することによって修飾することができる。
【0057】
ペプチド鎖の一方の端の末端アミノ酸は、典型的には、遊離アミノ基を有する(すなわち、アミノ末端)。この鎖の他方の端の末端アミノ酸は、典型的には、遊離カルボキシル基を有する(すなわち、カルボキシ末端)。典型的には、ペプチドを構成するアミノ酸は、ペプチドのアミノ末端で始まり、カルボキシ末端の方向に増加する順序で番号付けされる。
【0058】
本明細書で使用する場合、フレーズ「アミノ酸残基」は、アミド結合またはアミド結合の模倣型によってペプチド中に組み込まれるアミノ酸を指す。
【0059】
本明細書で使用する場合、用語「インスリン分泌性」は、典型的には、化合物、例えばペプチドが、インスリンの生成及び/または活性を刺激するか、これらに影響を及ぼす能力を指す(例えば、インスリン分泌性ホルモン)。そのような化合物は、典型的には、対象におけるインスリンの分泌または生合成を刺激するか、これらに影響を及ぼす。したがって、「インスリン分泌性ペプチド」は、インスリンの分泌または生合成に刺激するか、これらに影響を及ぼすことができるアミノ酸含有分子である。
【0060】
本明細書で使用する場合、用語「インスリン分泌性ペプチド」には、限定されないが、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)ならびにそれらの誘導体及び類似体、エクセナチド、配列番号1のアミノ酸配列を有するエクセナチドならびにそれらの誘導体及び類似体が含まれる。
【0061】
本明細書で使用する場合、フレーズ「インクレチン模倣物」には、限定されないが、GLP-1ペプチド、GLP-1のペプチド誘導体、GLP-1のペプチド類似体、エクセナチド、配列番号1のアミノ酸配列を有するエクセナチド、エクセナチドペプチド、エクセナチドのペプチド誘導体及びエクセナチドのペプチド類似体が含まれる。インクレチン模倣物の好ましい例としては、エクセナチド、エキセンディン-4(天然に存在する形態のエクセナチドであり、配列番号1のアミノ酸配列を有する)のアミノ酸配列を有するエクセナチド、エクセナチド-LAR、リキシセナチド、GLP-1(7-36)、リラグルチド、セマグルチド、デュラグルチド、アルビグルチド及びタスポグルチドが挙げられる。インクレチン模倣物は、本明細書では「インスリン分泌性ペプチド」とも称される。文献において、「GLP-1受容体アゴニスト」として、GLP-1受容体を標的にするインクレチン模倣物も知られている。
【0062】
本明細書で使用する場合、用語「エクセナチド」には、限定されないが、エクセナチド、配列番号1のアミノ酸配列を有するエクセナチド、ネイティブのエキセンディン-4、エクセナチドペプチド、エクセナチドペプチド類似体及びエクセナチドペプチド誘導体が含まれる。
【0063】
用語「GLP-1」は、主に回腸及び結腸に位置するL-細胞が産生し、程度は低いが十二指腸及び空腸のL-細胞が産生するポリペプチドを指す。GLP-1はβ細胞のG結合タンパク質受容体に対する調節ペプチドであり、アデニルシクラーゼ活性及びcAMPの産生を介して、腸から吸収される栄養素に対するインスリン応答を刺激する[Baggio 2007,“Biology of incretins:GLP-1 and GIP,”Gastroenterology,vol.132(6):2131-57、Holst 2008,“The incretin system and its role in type 2 diabetes mellitus,”Mol Cell Endocrinology,vol.297(1-2):127-36]。GLP-1Rアゴニズムの効果は多様である。GLP-1は、内在性グルコース依存性インスリン分泌を増強すること、β細胞にグルコース受容能力を与え、GLP-1に対して感受性にすること、グルカゴン放出を抑制すること、第1相及び第2相のインスリン分泌を回復させること、胃内容排出を遅くすること、食物摂取を低下させること、ならびに満腹度を増大させることによって、グルコース恒常性を維持する[Holst 2008 Mol.Cell Endocrinology、Kjems 2003“The influence of GLP-1 on glucose- stimulated insulin secretion:effects on beta-cell sensitivity in type 2 and nondiabetic subjects”,Diabetes,vol.52(2):380-86、Holst 2013“Incretin hormones and the satiation signal”,Int J Obes(Lond),vol.37(9):1161-69、Seufert 2014,“The extra-pancreatic effects of GLP-1 receptor agonists:a focus on the cardiovascular,gastrointestinal and central nervous systems”,Diabetes Obes Metab,vol.16(8):673-88]。GLP-1の作用様式を考慮すると、低血糖の危険性は最低限である。
【0064】
用語「グルカゴン」は、膵臓のアルファ細胞が産生し、GCGRと相互作用する29アミノ酸のペプチドホルモンを指す。グルカゴンのアミノ酸配列はHSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNT-OH(配列番号140)である。
【0065】
本明細書で使用する場合、用語「グルカゴン類似体」は、グルカゴンに対する構造的類似性を含意し、用語「グルカゴン受容体アゴニスト」は、機能的に、グルカゴン受容体のアゴニストである化合物を説明する。用語「グルカゴン類似体」及び「グルカゴン受容体アゴニスト」は二者択一的に使用されて、本明細書に開示されるペプチドを説明する。
【0066】
グルカゴンは、ペプチドホルモンGLP-1、GLP-2、オキシントモジュリン、グリセンチン及び組織特異的プロセシングによるグリセンチン関連膵臓ポリペプチドの前駆体としても作用する158アミノ酸のプレ-プログルカゴンペプチドから生じる。グルカゴンは、前駆体ペプチドのアミノ酸残基33~61に対応し、主に肝臓中に位置するクラスB7回膜貫通Gタンパク質結合受容体との相互作用を介して作用する。免疫染色によって、腎臓、消化管、心臓、脾臓、脳、脂肪細胞及びリンパ芽球においてグルカゴン受容体の存在が示された。低血中グルコースレベルに応答して、グルカゴンは放出され、グリコーゲン分解及び糖新生を介して、肝臓のグルコース生産を刺激する。グルカゴンはインスリンのグルコース低下効果の対立物として作用し、2つのホルモン間のフィードバックシステムによる厳密な調節によって、効果的なグルコース恒常性が可能になる。
【0067】
血中グルコースレベルに対するその効果に加えて、グルカゴンはエネルギー消費及び熱産生を増大させることも知られている。シグナリングの増大は、トリグリセリド、遊離脂肪酸、アポリポタンパク質及び胆汁酸代謝の調節に対して直接の効果がある。グルカゴンの現在の治療的使用は、低血糖エピソードに対するレスキュー剤としてのその使用に主に着目している。しかし、最近の研究は、エネルギーバランス及び脂質代謝に影響を及ぼすホルモンの能力を活用して、様々な代謝障害に対する潜在的な治療をもたらしている。
【0068】
グルカゴンの不十分な溶解性(水溶液または生理食塩水緩衝液中で<1.0mg/ml)が、連続注入による長期にわたる研究の機会を妨げてきた。グルカゴンの溶解性ならびにcAMPアッセイで決定したグルカゴン受容体(GLUR)及びGLP1に対するpEC50値の概要を以下の表1に示す:
【表1】
【0069】
本明細書で使用する場合、用語「ビヒクル」は化合物、例えば薬物または薬物を含む粒子を輸送するのに使用される媒体を指す。本発明のビヒクルは、典型的には、ポリマー及び溶媒などの成分を含む。本発明の懸濁ビヒクルは、典型的には、薬物粒子製剤をさらに含む懸濁製剤を調製するのに使用される溶媒及びポリマーを含む。
【0070】
本明細書で使用する場合、フレーズ「相分離」は、懸濁ビヒクルが水性環境に接触する場合のような、懸濁ビヒクルにおける複数の相(例えば、液相及びゲル相)の形成を指す。本発明のいくつかの実施形態では、懸濁ビヒクルは、およそ10%未満の水を有する水性環境に接触する際に相分離を示すように製剤化される。
【0071】
本明細書で使用する場合、フレーズ「単相」は、全体にわたって物理的及び化学的に均一な、固体、半固体または液体の均質な系を指す。
【0072】
本明細書で使用する場合、用語「分散される」は、化合物、例えば薬物粒子製剤を懸濁ビヒクル中に溶解すること、分散させること、懸濁させること、または分配することを指す。
【0073】
本明細書で使用する場合、フレーズ「化学的に安定的」は、化学的経路、例えば脱アミド(通常、加水分解による)、凝集または酸化によって一定期間にわたって生成される、許容されるパーセンテージの分解産物が製剤中に形成されることを指す。
【0074】
本明細書で使用する場合、フレーズ「物理的に安定」は、許容されるパーセンテージの凝集物(例えば、二量体及び他の高分子量生成物)が製剤中に形成されることを指す。さらに、物理的に安定な製剤は、例えば液体から固体または非結晶形から結晶形のように、その物理的状態を変えることがない。
【0075】
本明細書で使用する場合、用語「粘度」は、典型的には、ずり応力対ずり速度の比から決定される値(例えば、Considine,D.M.& Considine,G.D.,Encyclopedia of Chemistry,4th Edition,Van Nostrand,Reinhold,N.Y.,1984を参照されたい)を指し、本質的に以下の通りである:
F/A=μV/L (式1)
式中、F/A=ずり応力(単位面積あたりの力、
μ=比例定数(粘度)及び
V/L=層厚あたりの速度(ずり速度)。
【0076】
この関係から、ずり応力対ずり速度の比は粘度を定める。ずり応力及びずり速度の測定値は、典型的には、選択された条件(例えば、約37℃の温度)下で行われる平行板流動測定法を使用して決定される。粘度決定の他の方法としては、粘度計、例えば、キャノン・フェンスケ粘度計、キャノン・フェンスケ不透明溶液のためのウベローデ粘度計またはオストワルド粘度計を使用する動粘度の測定が挙げられる。一般に、本発明の懸濁ビヒクルは、その中に懸濁している粒子製剤が貯蔵の間に沈殿するのを防ぐのに十分であり、且つ送達方法で、例えば埋め込み式の薬物送達装置で使用するのに十分である粘度を有する。
【0077】
本明細書で使用する場合、用語「非水性」は、典型的には約10wt%以下、例えば、約7wt%以下、約5wt%以下及び/または約4wt%未満の、例えば懸濁製剤の全体の水分含量を指す。さらに、本発明の粒子製剤は約10wt%未満、例えば約5wt%未満の残留水分を含む。
【0078】
本明細書で使用する場合、用語「対象」は、限定されないが、ヒト及び他の霊長類、例えば非ヒト霊長類、例えば、アカゲザル及び他のサル種ならびにチンパンジー及び他の類人猿種;家畜、例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ及びウマ;飼育哺乳動物、例えば、イヌ及びネコ;実験動物、例えばげっ歯類、例えば、マウス、ラット及びモルモット;鳥、例えば、飼育鳥、野生の鳥及び猟鳥、例えば、ニワトリ、シチメンチョウ及び他のキジ目の鳥、アヒル、ガチョウなどを含めた、脊索動物亜門の任意のメンバーを指す。この用語は、特定の年齢または性別を意味しない。したがって、成体個体及び新生個体の両方がカバーされることが意図される。
【0079】
本明細書で使用する場合、用語「浸透圧性送達装置」は、典型的には、対象への薬物(例えば、単離されたグルカゴン特異的アゴニストポリペプチド)の送達に使用される装置を指し、ここでは、装置は、例えば、薬物(例えば、単離されたグルカゴン特異的アゴニストポリペプチド)及び浸透圧剤配合物を含む懸濁製剤を含む内腔を有する(例えばチタン合金から作られた)リザーバーを含む。内腔に位置するピストンアセンブリーは、浸透圧剤配合物から懸濁製剤を分離する。半透膜は、浸透圧剤配合物に隣接する、リザーバーの第1の遠位端に位置し、拡散モデレーター(これは懸濁製剤が装置から出る送達オリフィスを規定する)は、懸濁製剤に隣接する、リザーバーの第2の遠位端に位置する。典型的には、浸透圧性送達装置は、例えば、真皮下または皮下(例えば、上腕の内側、外側または後ろ側及び腹部領域)において対象内に埋め込まれる。例示的浸透圧性送達装置は、DUROS(登録商標)(ALZA Corporation、Mountain View、Calif.)送達装置である。「浸透圧性送達装置」に同義の用語の例としては、限定されないが、「浸透圧性薬物送達装置」、「浸透圧性薬物送達システム」、「浸透圧性装置」、「浸透圧性送達装置」、「浸透圧性送達システム」、「浸透圧ポンプ」、「埋め込み式薬物送達装置」、「薬物送達システム」、「薬物送達装置」、「埋め込み式浸透圧ポンプ」、「埋め込み式薬物送達システム」及び「埋め込み式送達システム」が挙げられる。「浸透圧性送達装置」に関する他の用語は当技術分野で既知である。
【0080】
本明細書で使用する場合、用語「連続送達」は、典型的には、浸透圧性送達装置から埋め込み部位の近くの組織、例えば、真皮下及び皮下組織への薬物の実質的に連続的な放出を指す。例えば、浸透圧性送達装置は、浸透の原理に基づいて本質的に所定の速度で薬物を放出する。細胞外の流体は、半透膜を通って浸透圧性送達装置に入り、浸透圧性エンジンに直接入り、この浸透圧性エンジンが拡張して、遅く且つ一定の速度の運動でピストンを動かす。ピストンの運動が、拡散モデレーターのオリフィスを介して薬物製剤を放出させる。したがって、浸透圧性送達装置からの薬物の放出は、ゆっくりとした、制御された、一定の速度である。
【0081】
本明細書で使用する場合、用語「実質的な定常状態送達」は、典型的には、標的濃度で、または標的濃度近くでの一定期間にわたる薬物の送達を指し、ここでは、浸透圧性送達装置から送達される薬物の量は、実質的にゼロ次送達である。活性薬剤(例えば、単離されたグルカゴン特異的類似体)の実質的なゼロ次送達は、送達される薬物の速度が一定であり、送達システムで利用可能な薬物と無関係であることを意味し、例えば、ゼロ次送達については、送達される薬物の速度が時間に対してグラフ化され、ラインがデータに適合される場合、標準的な方法(例えば、線形回帰)によって決定した場合に、ラインはおよそゼロの傾きを有する。
【0082】
本明細書で使用する場合、フレーズ「薬物半減期」は、薬物がその濃度の半分まで血漿から排除されるのにどれくらい時間がかかるかを指す。薬物の半減期は、通常、注射によって、または静脈内に投与される場合に、薬物がどのように劣化するかをモニターすることによって測定される。薬物は、通常、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、クロマトグラフィー方法、電気化学発光(ECL)アッセイ、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)または免疫酵素サンドイッチアッセイ(IEMA)を使用して検出される。
【0083】
用語「μg」及び「mcg」及び「ug」は、「マイクログラム」を意味すると理解される。同様に、用語「μl」及び「uL」は「マイクロリットル」を意味すると理解され、用語「μM」及び「uM」は「マイクロモル」を意味すると理解される。
【0084】
用語「血清」は、物質が検出され得る任意の血液生成物を意味することが意図される。したがって、用語、血清には、少なくとも全血、血清及び血漿が含まれる。例えば、「対象の血清中の[物質]の量」は、「対象の血漿中の[物質]の量」をカバーするであろう。
【0085】
ベースラインは、(薬物またはプラセボを含む)浸透圧性送達装置の最初の設置の日または前日の最後の評価と定義される。
【0086】
2.0.0本発明の全体的概要
本発明を詳細に説明する前に、本発明は薬物送達装置の特定のタイプ、薬物の特定の供給源、特定の溶媒、特定のポリマーなどに限定されないことを理解されたい。これは、そのような個々の事柄の使用は、本明細書の教示を考慮して選択され得るからである。本明細書で使用される術語は特定の本発明の実施形態を説明する目的のためだけであり、制限することを意図したものではないことも理解されたい。
【0087】
第1の態様では、本発明は、グルカゴン受容体選択的類似体である単離ポリペプチド及びそのペプチド誘導体に関する。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは選択的グルカゴン受容体アゴニストである。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドはグルカゴン受容体(GCGR)に結合する。
【0088】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、ヒトグルカゴンのアミノ酸配列:HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNT-OH(配列番号140)に基づく改変アミノ酸配列を含み、ここでは、改変アミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸置換、少なくとも2つのアミノ酸置換、少なくとも3つのアミノ酸置換、少なくとも4つのアミノ酸置換、少なくとも5つのアミノ酸置換、少なくとも6つのアミノ酸置換、少なくとも7つのアミノ酸置換、少なくとも8つのアミノ酸置換、少なくとも9つのアミノ酸置換、少なくとも10個のアミノ酸置換、少なくとも11個のアミノ酸置換、少なくとも12個のアミノ酸置換、少なくとも13個のアミノ酸置換、少なくとも14個のアミノ酸置換、少なくとも15個のアミノ酸置換、少なくとも16個のアミノ酸置換、少なくとも17個のアミノ酸置換、少なくとも18個のアミノ酸置換、少なくとも19個のアミノ酸置換、少なくとも20個のアミノ酸置換、少なくとも21個のアミノ酸置換、少なくとも22個のアミノ酸置換、少なくとも23個のアミノ酸置換、少なくとも24個のアミノ酸置換、少なくとも25個のアミノ酸置換、少なくとも26個のアミノ酸置換、少なくとも27個のアミノ酸置換、少なくとも28個のアミノ酸置換及び/または少なくとも29個のアミノ酸置換を含み、但し、改変アミノ酸配列を有する単離ポリペプチドが選択的グルカゴン類似体として機能する能力を保持するという条件である。
【0089】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、ヒトグルカゴンのアミノ酸配列:HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNT-OH(配列番号140)に基づく改変アミノ酸配列を含み、ここでは、改変アミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸置換、少なくとも2つのアミノ酸置換、少なくとも3つのアミノ酸置換、少なくとも4つのアミノ酸置換、少なくとも5つのアミノ酸置換、少なくとも6つのアミノ酸置換、少なくとも7つのアミノ酸置換、少なくとも8つのアミノ酸置換、少なくとも9つのアミノ酸置換、少なくとも10個のアミノ酸置換、少なくとも11個のアミノ酸置換、少なくとも12個のアミノ酸置換、少なくとも13個のアミノ酸置換、少なくとも14個のアミノ酸置換、少なくとも15個のアミノ酸置換または少なくとも16個のアミノ酸置換含み、ここでは、アミノ酸置換(複数可)は、以下から成る群から選択される:
(i)Y及びWから成る群から選択される位置1におけるアミノ酸置換、
(ii)G及びTから成る群から選択される位置2におけるアミノ酸置換、
(iii)Hとの位置3におけるアミノ酸置換、
(iv)Hとの位置10におけるアミノ酸置換、
(v)Tとの位置11におけるアミノ酸置換、
(vi)Rとの位置12におけるアミノ酸置換、
(vii)L及びWから成る群から選択される位置13におけるアミノ酸置換、
(viii)Eとの位置15におけるアミノ酸置換、
(ix)2-アミノイソ酪酸(Aib)、A、E、I、K、L及びQから成る群から選択される位置16におけるアミノ酸置換、
(x)A、E、K、S及びTから成る群から選択される位置17におけるアミノ酸置換、
(xi)A、E、L及びTから成る群から選択される位置18におけるアミノ酸置換、
(xii)Eとの位置21におけるアミノ酸置換、
(xiii)Tとの位置23におけるアミノ酸置換、
(xiv)2-アミノイソ酪酸(Aib)、K及びLから成る群から選択される位置24におけるアミノ酸置換、
(xv)Hとの位置25におけるアミノ酸置換、
(xvi)EEPSSGAPPPS-OH(配列番号4)、EPSSGAPPPS-OH(配列番号5)、GAPPPS-OH(配列番号6)、GGPSSGAPPPS-OH(配列番号7)、GPSSGAPPPS-OH(配列番号8)、KRNKNPPPS-OH(配列番号9)、KRNKNPPS-OH(配列番号10)、KRNKPPIA-OH(配列番号11)、KRNKPPPA-OH(配列番号150)、KRNKPPPS-OH(配列番号12)、KSSGKPPPS-OH(配列番号13)、PESGAPPPS-OH(配列番号14)、PKSGAPPPS-OH(配列番号15)、PKSKAPPPS-NH(配列番号16)、PKSKAPPPS-OH(配列番号17)、PKSKEPPPS-NH(配列番号18)、PKSKEPPPS-OH(配列番号19)、PKSKQPPPS-OH(配列番号20)、PKSKSPPPS-NH(配列番号21)、PKSKSPPPS-OH(配列番号22)、PRNKNNPPS-OH(配列番号23)、PSKGAPPPS-OH(配列番号24)、PSSGAPPPSE-OH(配列番号25)、PSSGAPPPS-NH(配列番号26)、PSSGAPPPS-OH(配列番号27)、PSSGAPPPSS-OH(配列番号28)、PSSGEPPPS-OH(配列番号29)、PSSGKKPPS-OH(配列番号30)、PSSGKPPPS-NH(配列番号31)、PSSGKPPPS-OH(配列番号32)、PSSGSPPPS-OH(配列番号33)、PSSKAPPPS-OH(配列番号34)、PSSKEPPPS-OH(配列番号35)、PSSKGAPPPS-OH(配列番号36)、PSSKQPPPS-OH(配列番号37)、PSSKSPPPS-OH(配列番号38)、SGAPPPS-OH(配列番号39)及びSSGAPPPS-OH(配列番号40)から成る群から選択されるZ尾部との位置30におけるアミノ酸置換、ならびに
(xvii)これらの組み合わせ
(但し、改変アミノ酸配列を有する単離ポリペプチドが選択的グルカゴン受容体アゴニストとして機能する能力を保持するという条件である)。
【0090】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、配列番号1:
GTFTSDX10111213LX15161718AQEFX232425LEDE-Z尾部-(OH/NH)(配列番号1)のコンセンサス配列によって代表されるアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含み、ここでは、
はYまたはWであり、
はS、GまたはTであり、
はQまたはHであり、
10はYまたはHであり、
11はSまたはTであり、
12はKまたはRであり、
13はY、LまたはWであり、
15はDまたはEであり、
16はS、2-アミノイソ酪酸(Aib)、A、E、L、Q、KまたはIであり、
17はK、E、S、TまたはAであり、
18はA、R、S、E、L、TまたはYであり、
23はTまたはVであり、
24はK、I、LまたはAibであり、
25はHまたはWであり、
Z尾部は存在しないか、EEPSSGAPPPS-OH(配列番号4)、EPSSGAPPPS-OH(配列番号5)、GAPPPS-OH(配列番号6)、GGPSSGAPPPS-OH(配列番号7)、GPSSGAPPPS-OH(配列番号8)、KRNKNPPPS-OH(配列番号9)、KRNKNPPS-OH(配列番号10)、KRNKPPIA-OH(配列番号11)、KRNKPPPA-OH(配列番号150)、KRNKPPPS-OH(配列番号12)、KSSGKPPPS-OH(配列番号13)、PESGAPPPS-OH(配列番号14)、PKSGAPPPS-OH(配列番号15)、PKSKAPPPS-NH(配列番号16)、PKSKAPPPS-OH(配列番号17)、PKSKEPPPS-NH(配列番号18)、PKSKEPPPS-OH(配列番号19)、PKSKQPPPS-OH(配列番号20)、PKSKSPPPS-NH(配列番号21)、PKSKSPPPS-OH(配列番号22)、PRNKNNPPS-OH(配列番号23)、PSKGAPPPS-OH(配列番号24)、PSSGAPPPSE-OH(配列番号25)、PSSGAPPPS-NH(配列番号26)、PSSGAPPPS-OH(配列番号27)、PSSGAPPPSS-OH(配列番号28)、PSSGEPPPS-OH(配列番号29)、PSSGKKPPS-OH(配列番号30)、PSSGKPPPS-NH(配列番号31)、PSSGKPPPS-OH(配列番号32)、PSSGSPPPS-OH(配列番号33)、PSSKAPPPS-OH(配列番号34)、PSSKEPPPS-OH(配列番号35)、PSSKGAPPPS-OH(配列番号36)、PSSKQPPPS-OH(配列番号37)、PSSKSPPPS-OH(配列番号38)、SGAPPPS-OH(配列番号39)及びSSGAPPPS-OH(配列番号40)から成る群から選択される。
【0091】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、配列番号2:
GTFTSDX10111213LX15161718AQEFVX24WLEDE-Z尾部-(OH/NH)(配列番号2)のコンセンサス配列によって代表されるアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含み、ここでは、
はYまたはWであり、
はSまたはGであり、
はQまたはHであり、
10はYまたはHであり、
11はSまたはTであり、
12はKまたはRであり、
13はY、LまたはWであり、
15はDまたはEであり、
16は2-アミノイソ酪酸(Aib)、AまたはSであり、
17はAまたはKであり、
18はR、S、LまたはYであり、
24はK、IまたはAibであり、
25はHまたはWであり、
Z尾部は存在しないか、PSSGAPPPS-NH(配列番号26)、PSSGAPPPS-OH(配列番号27)及びPKSKSPPPS-NH(配列番号21)から成る群から選択される。
【0092】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、配列番号3:
YSXGTFTSDYSKYLDX161718AQEFVX24WLEDE-Z尾部-(OH/NH)(配列番号3)のコンセンサス配列によって代表されるアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含み、ここでは、
はQまたはHであり、
16は2-アミノイソ酪酸(Aib)またはAであり、
17はAまたはKであり、
18はR、SまたはYであり、
24はKまたはAibであり、
Z尾部は、PSSGAPPPS-OH(配列番号27)及びPKSKSPPPS-NH(配列番号21)から成る群から選択される。
【0093】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KYAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号41)(本明細書では、化合物A1とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KSAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号42)(本明細書では、化合物A2とも称される)、
YSQGTFTSDYSKYLDAARAQEFVKWLEDEPKSKSPPPS-NH(配列番号43)(本明細書では、化合物A3とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFVIWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号44)(本明細書では、化合物A4とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-NH(配列番号45)(本明細書では、化合物A5とも称される)及び
WSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号46)(本明細書では、化合物A6とも称される)
から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KYAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号41)を含む。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KSAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号42)を含む。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSQGTFTSDYSKYLDAARAQEFVKWLEDEPKSKSPPPS-NH(配列番号43)を含む。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFVIWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号44)を含む。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-NH(配列番号45)を含む。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列WSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号46)を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KYAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号41)から成る。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KSAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号42)から成る。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSQGTFTSDYSKYLDAARAQEFVKWLEDEPKSKSPPPS-NH(配列番号43)から成る。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFVIWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号44)から成る。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-NH(配列番号45)から成る。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列WSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号46)から成る。
【0096】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、以下から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む:
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)ARAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号47)(本明細書では、化合物A7とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-NH(配列番号48)(本明細書では、化合物A8とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEEEPSSGAPPPS-OH(配列番号49)(本明細書では、化合物A9とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEEPSSGAPPPS-OH(配列番号50)(本明細書では、化合物A10とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEEEPSSGAPPPS-OH(配列番号51)(本明細書では、化合物A11とも称される)
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEGAPPPS-OH(配列番号52)(本明細書では、化合物A12とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDESGAPPPS-OH(配列番号53)(本明細書では、化合物A13とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDESSGAPPPS-OH(配列番号54)(本明細書では、化合物A14とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)SRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号55)(本明細書では、化合物A15とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)TRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号56)(本明細書では、化合物A16とも称される)
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)ERAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号57)(本明細書では、化合物A17とも称される)、
YSHGTFTSDYSKWLD(Aib)ARAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号58)(本明細書では、化合物A18とも称される)、
YSHGTFTSDYSKWLD(Aib)SRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号59)(本明細書では、化合物A19とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGKPPPS-OH(配列番号60)(本明細書では、化合物A20とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGEPPPS-OH(配列番号61)(本明細書では、化合物A21とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGSPPPS-OH(配列番号62)(本明細書では、化合物A22とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSKAPPPS-OH(配列番号63)(本明細書では、化合物A23とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSKGAPPPS-OH(配列番号64)(本明細書では、化合物A24とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPSS-OH(配列番号65)(本明細書では、化合物A25とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPSE-OH(配列番号66)(本明細書では、化合物A26とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEGGPSSGAPPPS-OH(配列番号67)(本明細書では、化合物A27とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEGPSSGAPPPS-OH(配列番号68)(本明細書では、化合物A28とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPKSGAPPPS-OH(配列番号69)(本明細書では、化合物A29とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSKGAPPPS-OH(配列番号70)(本明細書では、化合物A30とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPESGAPPPS-OH(配列番号71)(本明細書では、化合物A31とも称される)、
YTHGTFTSDYSKWLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号72)(本明細書では、化合物A32とも称される)、
YSHGTFTSDHSKWLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号73)(本明細書では、化合物A33とも称される)、
YTHGTFTSDHSKWLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号74)(本明細書では、化合物A34とも称される)、
YTHGTFTSDYSKWLD(Aib)ARAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号75)(本明細書では、化合物A35とも称される)、
YSHGTFTSDHSKWLD(Aib)ARAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号76)(本明細書では、化合物A36とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号77)(本明細書では、化合物A37とも称される)、
YSHGTFTSDYSKWLDSARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号78)(本明細書では、化合物A38とも称される)、
YTHGTFTSDYSKWLDSARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号79)(本明細書では、化合物A39とも称される)、
YSHGTFTSDHSKWLDSARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号80)(本明細書では、化合物A40とも称される)、
YTHGTFTSDHSKWLDEARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号81)(本明細書では、化合物A41とも称される)、
YTHGTFTSDYSKWLDSKRAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号82)(本明細書では、化合物A42とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDKARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号83)(本明細書では、化合物A43とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDQARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号84)(本明細書では、化合物A44とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEKRNKPPPA-OH(配列番号85)(本明細書では、化合物A45とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEKRNKPPIA-OH(配列番号86)(本明細書では、化合物A46とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEKRNKNPPS-OH(配列番号87)(本明細書では、化合物A47とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEKRNKNPPPS-OH(配列番号88)(本明細書では、化合物A48とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPRNKNNPPS-OH(配列番号89)(本明細書では、化合物A49とも称される)、YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEKRNKPPPS-OH(配列番号90)(本明細書では、化合物A50とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDLKRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号91)(本明細書では、化合物A51とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDIKRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号92)(本明細書では、化合物A52とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFVLWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号93)(本明細書では、化合物A53とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSKEPPPS-OH(配列番号94)(本明細書では、化合物A54とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSKSPPPS-OH(配列番号95)(本明細書では、化合物A55とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPKSKAPPPS-OH(配列番号96)(本明細書では、化合物A56とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPKSKQPPPS-OH(配列番号97)(本明細書では、化合物A57とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPKSKSPPPS-OH(配列番号98)(本明細書では、化合物A58とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSKQPPPS-OH(配列番号99)(本明細書では、化合物A59とも称される)、
YTHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGKPPPS-OH(配列番号100)(本明細書では、化合物A60とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPSSGKPPPS-OH(配列番号101)(本明細書では、化合物A61とも称される)、
YTHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号102)(本明細書では、化合物A62とも称される)、
YTHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号103)(本明細書では、化合物A63とも称される)、
YTHGTFTSDYSKYLD(Aib)ARAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号104)(本明細書では、化合物A64とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPKSKEPPPS-NH(配列番号105)(本明細書では、化合物A65とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPKSKSPPPS-NH(配列番号106)(本明細書では、化合物A66とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)ARAQEFV(Aib)WLEDEPKSKSPPPS-NH(配列番号107)(本明細書では、化合物A67とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)ARAQEFV(Aib)WLEDEPKSKEPPPS-NH(配列番号108)(本明細書では、化合物A68とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPKSKEPPPS-OH(配列番号109)(本明細書では、化合物A69とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPKSKSPPPS-OH(配列番号110)(本明細書では、化合物A70とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPKSKAPPPS-OH(配列番号111)(本明細書では、化合物A71とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPKSKEPPPS-NH(配列番号112)(本明細書では、化合物A72とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPKSKSPPPS-NH(配列番号113)(本明細書では、化合物A73とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPKSKAPPPS-NH(配列番号114)(本明細書では、化合物A74とも称される)、
WSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号115)(本明細書では、化合物A75とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KAAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号116)(本明細書では、化合物A76とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KTAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号117)(本明細書では、化合物A77とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KLAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号118)(本明細書では、化合物A78とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KEAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号119)(本明細書では、化合物A79とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDAARAQEFVKWLEDEPKSKSPPPS-NH(配列番号120)(本明細書では、化合物A80とも称される)、
YSQGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPKSKSPPPS-OH(配列番号121)(本明細書では、化合物A81とも称される)、
YSQGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPKSKAPPPS-OH(配列番号122)(本明細書では、化合物A82とも称される)、YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFTKWLEDEPKSKSPPPS-OH(配列番号123)(本明細書では、化合物A83とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKHLEDEPKSKSPPPS-OH(配列番号124)(本明細書では、化合物A84とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGKPPPS-NH(配列番号125)(本明細書では、化合物A85とも称される)、
YSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGKPPPS-OH(配列番号126)(本明細書では、化合物A86とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEKSSGKPPPS-OH(配列番号127)(本明細書では、化合物A87とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGKKPPS-OH(配列番号128)(本明細書では、化合物A88とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)HLEDEPSSGKPPPS-OH(配列番号129)(本明細書では、化合物A89とも称される)、
YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KAAQEFV(Aib)WLEDEPSSGKPPPS-OH(配列番号130)(本明細書では、化合物A90とも称される)、
WSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGKPPPS-OH(配列番号131)(本明細書では、化合物A91とも称される)、
WSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KAAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号132)(本明細書では、化合物A92とも称される)、
WSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KAAQEFV(Aib)WLEDEPSSGKPPPS-OH(配列番号133)(本明細書では、化合物A93とも称される)、
YSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号134)(本明細書では、化合物A94とも称される)、
YSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KAAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号135)(本明細書では、化合物A95とも称される)及び
YSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KAAQEFV(Aib)WLEDEPSSGKPPPS-OH(配列番号136)(本明細書では、化合物A96と称される)。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号47~136から成る群から選択されるアミノ酸配列から成る。
【0097】
いくつかの実施形態では、単離ポリペプチドは、化合物A1、化合物A2、化合物A3、化合物A4、化合物A5及び化合物A6から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、単離ポリペプチドは化合物A1である。いくつかの実施形態では、単離ポリペプチドは化合物A2である。いくつかの実施形態では、単離ポリペプチドは化合物A3である。いくつかの実施形態では、単離ポリペプチドは化合物A4である。いくつかの実施形態では、単離ポリペプチドは化合物A5である。いくつかの実施形態では、単離ポリペプチドは化合物A6である。
【0098】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、配列番号137:
YSQGTFTSDYSKYLDSX17RAQX21FVX24WLX2728T-OH(配列番号137)
のコンセンサス配列によって代表されるアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含み、
ここでは、
17はKであり、KはX21におけるEとのラクタム架橋中にあり、
21はEであり、EはX17におけるKとのラクタム架橋中にあり、
24はKまたはK**であり、K**はX28におけるE**とのラクタム架橋中にあり、
27はQまたはDであり、
28はEまたはE**であり、E**はX24におけるK**とのラクタム架橋中にある。
【0099】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、YSQGTFTSDYSKYLDSKRAQEFVK**WLDE**T-OH(配列番号138)(本明細書では、化合物A104と称される)及びYSQGTFTSDYSKYLDSKRAQEFVK**WLQE**T-OH(配列番号139)(本明細書では、化合物A105と称される)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、配列番号138及び139から成る群から選択されるアミノ酸配列から成る。
【0100】
場合によりスペーサーを介する、いずれかのペプチドへの親油性置換基のコンジュゲーション
いくつかの実施形態では、開示されるペプチドは、それぞれ場合により二価のスペーサーを介して、1つまたは複数の親油性置換基によって場合により置換されている。
【0101】
それぞれ場合により二価のスペーサーを介する、開示されるペプチドへの1つまたは複数の親油性置換基のコンジュゲーションは、血清アルブミンへの結合を促進すること、及びコンジュゲートされたペプチドの腎クリアランスの遅延によって、ペプチドの作用を延ばすことが意図される。本出願人は、アルブミンへの親和性及びヒトにおける延長した排除半減期を有するある種の開示されるペプチドが、埋め込み式浸透圧性薬物送達装置を介する開示される投与方法に特に受け入れられることを発見した。
【0102】
いくつかの実施形態では、開示されるペプチドは、皮下投与の後少なくとも約5時間の、ヒトにおける排除半減期(t1/2)を有する。いくつかの実施形態では、開示されるペプチドは、皮下投与の後少なくとも約8時間、10時間、12時間、16時間、24時間またはそれ以上の、ヒトにおける排除半減期(t1/2)を有する。
【0103】
本明細書で使用する場合、「親油性置換基」は、4~40個の炭素原子、8~25個の炭素原子または12~22個の炭素原子を含有する置換基を含む。親油性置換基は、親油性置換基のカルボキシル基または場合によりスペーサーのアミノ基(このスペーサーは次にこれが結合するアミノ酸(例えば、リジン)残基のアミノ基とアミド結合を形成する)によって、ペプチドのアミノ基(例えば、リジン残基のε-アミノ基)に結合することができる。いくつかの実施形態では、ペプチドは、それぞれ随意のスペーサーを有するまたは有さない3つ、2つまたは好ましくは1つの親油性置換基を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、親油性置換基は、直鎖または分枝アルキル基を含む。いくつかの実施形態では、親油性置換基は直鎖または分枝脂肪酸のアシル基である。いくつかの実施形態では、親油性置換基は式CH(CH)nCO--のアシル基であり、式中、nは4~38の整数、4~24の整数であり、例えば、CH(CHCO--、CH(CHCO--、CH(CH10CO--、CH(CH12CO--、CH(CH14CO--、CH(CH16CO--、CH(CH18CO--、CH(CH20CO--またはCH(CH22CO--である。いくつかの実施形態では、nは6、8、10、12、14、16、18、20または22である。いくつかの実施形態では、親油性置換基は式CH(CH14CO--のアシル基である。
【0105】
いくつかの実施形態では、親油性置換基は直鎖または分枝脂肪酸のアシル基であり、これは、さらに、1つまたは複数のカルボン酸及び/またはヒドロキサム酸基で置換されている。いくつかの実施形態では、親油性置換基は式HOOC(CHCO--のアシル基であり、式中、mは4~38の整数、4~24の整数であり、例えば、HOOC(CH14CO--、HOOC(CH16CO--、HOOC(CH18CO--、HOOC(CH20CO--またはHOOC(CH22CO--である。いくつかの実施形態では、親油性置換基はHOOC(CH16CO--である。いくつかの実施形態では、mは6、8、10、12、14、16、18、20または22である。
【0106】
いくつかの実施形態では、親油性置換基は二価の「スペーサー」によって親ペプチドに結合している。いくつかの実施形態では、スペーサーは式Iの二価の基を含む:
-N(R)(CHRCO--[N(R)((CHO(CHO)(CH)CO--]
(式I)
(式中、
各R及びRは水素またはC-Cアルキルであり、
各RはHまたはCOHであり、
pは1、2、3、4、5または6であり、
qは1、2または3であり、
rは0または1である)。
このスペーサーは、開示されるペプチドのアミノ基と親油性置換基のCO--基の間に架橋を形成する。
【0107】
いくつかの実施形態では、各Rは水素である。いくつかの実施形態では、各Rは水素である。いくつかの実施形態では、各R及び各Rは水素である。
【0108】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのRはCOHである。いくつかの実施形態では、1つのRはCOHである。
【0109】
いくつかの実施形態では、pは1である。いくつかの実施形態では、pは2である。いくつかの実施形態では、pは3である。いくつかの実施形態では、pは4である。いくつかの実施形態では、pは5である。いくつかの実施形態では、pは6である。
【0110】
いくつかの実施形態では、qは1である。いくつかの実施形態では、qは2である。いくつかの実施形態では、qは3である。
【0111】
いくつかの実施形態では、rは0である。いくつかの実施形態では、rは1である。
【0112】
いくつかの実施形態では、スペーサーはγ-グルタミル、すなわち、-NH(CHCOH)(CHCO--である。いくつかの実施形態では、スペーサーはγ-アミノブタノイル、すなわち、-NH(CHCO--である。いくつかの実施形態では、スペーサーはβ-アスパラギル、すなわち、-NH(CHCOH)(CH)CO--である。いくつかの実施形態では、スペーサーは-NH(CHCO--である。いくつかの実施形態では、スペーサーはグリシルである。いくつかの実施形態では、スペーサーはβ-アラニルである。いくつかの実施形態では、以下に記載の配列番号151のペプチドが提供され、ここでは、親油性置換基はスペーサーを介してリジンのε-アミノ基に連結している。
【0113】
いくつかの実施形態では、スペーサーは-NHCH(COH)(CHCO--[N(R)((CHO(CHO)(CH)CO--]である。いくつかの実施形態では、スペーサーは-NH(CHCO--[N(R)((CHO(CHO)(CH)CO--]である。いくつかの実施形態では、スペーサーは-NHCH(COH)(CHCO-NH((CHO(CHO)(CH)CO-である。いくつかの実施形態では、スペーサーは-NH(CHCO-NH((CHO(CHO)(CH)CO-である。いくつかの実施形態では、スペーサーは-NHCH(COH)CHCO--[N(R)((CHO(CHO)(CH)CO--]である。いくつかの実施形態では、スペーサーは-NH(CHCO--[N(R)((CHO(CHO)(CH)CO--]である。
【0114】
いくつかの実施形態では、スペーサーはアミノ酸、例えばLys、GluもしくはAspまたはジペプチド、例えばGly-Lysである。いくつかの実施形態では、スペーサーがLys、GluまたはAspである場合、スペーサーの1つのカルボキシル基は、開示されるペプチドのアミノ基とアミド結合を形成することができ、スペーサーのアミノ基は、親油性置換基のカルボキシル基とアミド結合を形成することができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、親油性置換基及びスペーサーは結合して、式IIの構造:
【化1】
を形成する。
【0116】
いくつかの実施形態では、親油性置換基及びスペーサーは結合して、式IIIの構造:
【化2】
を形成する。
【0117】
いくつかの実施形態では、各親油性置換基は、場合によりスペーサーを介して、親ペプチドに含まれるリジンのε-アミノ基残基に結合している。
【0118】
例えば、いくつかの実施形態では、単離ポリペプチドが提供され、ここでは、単離ポリペプチドは化合物A1~A105から成る群から選択され、単離ポリペプチドは、場合によりスペーサーを介して親油性置換基に共有結合している。
【0119】
いくつかの実施形態では、単離ポリペプチドは化合物A1~A6から成る群から選択され、単離ポリペプチドは、場合によりスペーサーを介して親油性置換基に共有結合している。
【0120】
いくつかの実施形態では、単離ポリペプチドは化合物A97~A103から成る群から選択され、単離ポリペプチドは、場合によりスペーサーを介して親油性置換基に共有結合している。
【0121】
いくつかの実施形態では、親油性置換基は、スペーサーを介して、化合物A1~A105のいずれかのペプチド、例えば、化合物A1、A2、A3、A4、A5またはA6のいずれかと共有結合しており、親油性置換基及びスペーサーは式IIのものである。
【0122】
いくつかの実施形態では、親油性置換基は、スペーサーを介して、化合物A1~A105のいずれかのペプチド、例えば、化合物A1、A2、A3、A4、A5またはA6のいずれかに共有結合しており、親油性置換基及びスペーサーは式IIIのものである。
【0123】
いくつかの実施形態では、親油性置換基は、スペーサーを介して、化合物A1~A105のいずれかのペプチド、例えば、化合物A97、A98、A99、A100、A101、A102またはA103のいずれかに共有結合しており、親油性置換基及びスペーサーは式IIのものである。
【0124】
いくつかの実施形態では、親油性置換基は、スペーサーを介して、化合物A1~A105のいずれかのペプチド、例えば、化合物A97、A98、A99、A100、A101、A102またはA103のいずれかに共有結合しており、親油性置換基及びスペーサーは式IIIのものである。
【0125】
いくつかの実施形態では、単離ポリペプチドはリジンを含み、リジンのε-アミノ基は、場合によりスペーサーを介して親油性置換基に共有結合している。
【0126】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、配列番号151:
SXGTFTSDX10SKYLDX161718AQX21FVX24WLEDEPX31SX3334PPPS-OH(配列番号151)のコンセンサス配列によって代表されるアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0127】
X1=YまたはWである。
【0128】
X3=HまたはQである。
【0129】
X10=Y、KまたはK***である。
【0130】
X16=A、S、Aib、KまたはK***である。
【0131】
X17=A、K、AibまたはK***である。
【0132】
X18=Y、SまたはRである。
【0133】
X21=E、KまたはK***である。
【0134】
X24=I、Aib、KまたはK***である。
【0135】
X31=S、KまたはK***である。
【0136】
X33=G、KまたはK***である。
【0137】
X34=AまたはSである。
【0138】
ここでは、K***はリジンであり、リジン側鎖のε-アミノ基は、場合によりスペーサーを介して親油性置換基に共有結合しており、両方とも本明細書で定義される通りである。
【0139】
いくつかの実施形態では、K***はリジンであり、リジン側鎖のε-アミノ基はスペーサーを介して親油性置換基に共有結合している。いくつかの実施形態では、K***はリジンであり、リジン側鎖のε-アミノ基はスペーサーの非存在下で(すなわち、なしで)親油性置換基に共有結合している。
【0140】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、配列番号151のコンセンサス配列によって代表されるアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0141】
X1=YまたはWである。
【0142】
X3=HまたはQである。
【0143】
X10=YまたはK***である。
【0144】
X16=A、S、AibまたはK***である。
【0145】
X17=A、KまたはAibである。
【0146】
X18=Y、SまたはRである。
【0147】
X21=EまたはK***である。
【0148】
X24=I、AibまたはK***である。
【0149】
X31=SまたはK***である。
【0150】
X33=G、KまたはK***である。
【0151】
X34=AまたはSである。
【0152】
ここでは、K***はリジンであり、リジン側鎖のε-アミノ基は、場合によりスペーサーを介して親油性置換基に共有結合しており、両方とも本明細書で定義される通りである。
【0153】
いくつかの実施形態では、K***はリジンであり、リジン側鎖のε-アミノ基はスペーサーを介して親油性置換基に共有結合している。いくつかの実施形態では、K***はリジンであり、リジン側鎖のε-アミノ基はスペーサーの非存在下で(すなわち、なしで)親油性置換基に共有結合している。
【0154】
いくつかの実施形態では、X1=Yである。いくつかの実施形態では、X1=Wである。
【0155】
いくつかの実施形態では、X3=Hである。いくつかの実施形態では、X3=Qである。
【0156】
いくつかの実施形態では、X10=Yである。いくつかの実施形態では、X10=Kである。いくつかの実施形態では、X10=K***である。
【0157】
いくつかの実施形態では、X16=Aである。いくつかの実施形態では、X16=Sである。いくつかの実施形態では、X16=Aibである。いくつかの実施形態では、X16=Kである。いくつかの実施形態では、X16=K***である。
【0158】
いくつかの実施形態では、X17=Aである。いくつかの実施形態では、X17=Kである。いくつかの実施形態では、X17=Aibである。いくつかの実施形態では、X17=K***である。
【0159】
いくつかの実施形態では、X18=Yである。いくつかの実施形態では、X18=Sである。いくつかの実施形態では、X18=Rである。
【0160】
いくつかの実施形態では、X21=Eである。いくつかの実施形態では、X21=Kである。いくつかの実施形態では、X21=K***である。
【0161】
いくつかの実施形態では、X24=Iである。いくつかの実施形態では、X24=Aibである。いくつかの実施形態では、X24=Kである。いくつかの実施形態では、X24=K***である。
【0162】
いくつかの実施形態では、X31=Sである。いくつかの実施形態では、X31=Kである。いくつかの実施形態では、X31=K***である。
【0163】
いくつかの実施形態では、X33=Gである。いくつかの実施形態では、X33=Kである。いくつかの実施形態では、X33=K***である。
【0164】
いくつかの実施形態では、X16はK***であり、いくつかの実施形態では、X21はK***であり、いくつかの実施形態では、X24はK***であり、いくつかの実施形態では、X33はK***であり、ここでは、K***はリジンであり、リジンのε-アミノ基は、式II:
【化3】
の親油性置換基及びスペーサーに共有結合している。
【0165】
いくつかの実施形態では、X16はK***であり、いくつかの実施形態では、X21はK***であり、いくつかの実施形態では、X24はK***であり、いくつかの実施形態では、X33はK***であり、ここでは、K***はリジンであり、リジンのε-アミノ基は式III:
【化4】
の親油性置換基及びスペーサーに共有結合している。
【0166】
いくつかの実施形態では、X10、X16、X17、X21、X24、X31またはX33の1つまたは複数はK***であり、ここでは、K***はリジンであり、リジンのε-アミノ基は式IIの親油性置換基及びスペーサーに共有結合している。
【0167】
いくつかの実施形態では、X10、X16、X17、X21、X24、X31またはX33の1つまたは複数はK***であり、ここでは、K***はリジンであり、リジンのε-アミノ基は式IIIの親油性置換基及びスペーサーに共有結合している。
【0168】
いくつかの実施形態では、X10、X16、X17、X21、X24、X31またはX33のうちの1つはK***であり、ここでは、K***はリジンであり、リジンのε-アミノ基は式IIの親油性置換基及びスペーサーに共有結合している。
【0169】
いくつかの実施形態では、X10、X16、X17、X21、X24、X31またはX33のうちの1つはK***であり、ここでは、K***はリジンであり、リジンのε-アミノ基は式IIIの親油性置換基及びスペーサーに共有結合している。
【0170】
いくつかの実施形態では、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩または塩酸塩として製剤化された開示されるペプチドのうちのいずれかを含む医薬組成物が提供される。いくつかの実施形態では、トリフルオロ酢酸塩として製剤化された開示されるペプチドのうちのいずれかを含む医薬組成物が提供される。いくつかの実施形態では、酢酸塩として製剤化された開示されるペプチドのうちのいずれかを含む医薬組成物が提供される。いくつかの実施形態では、塩酸塩として製剤化された開示されるペプチドのうちのいずれかを含む医薬組成物が提供される。
【0171】
いくつかの実施形態では、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩または塩酸塩として製剤化された開示されるペプチドのうちのいずれかを含む医薬組成物が提供され、ペプチドは配列番号151のコンセンサス配列によって代表されるアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、トリフルオロ酢酸塩として製剤化された開示されるペプチドのうちのいずれかを含む医薬組成物が提供され、ペプチドは配列番号151のコンセンサス配列によって代表されるアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、酢酸塩として製剤化された開示されるペプチドのうちのいずれかを含む医薬組成物が提供され、ペプチドは配列番号151のコンセンサス配列によって代表されるアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、塩酸塩として製剤化された開示されるペプチドのうちのいずれかを含む医薬組成物が提供され、ペプチドは配列番号151のコンセンサス配列によって代表されるアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、配列番号151のペプチドでは、X10、X16、X17、X21、X24、X31またはX33のうちの1つはK***であり、ここでは、K***はリジンであり、リジンのε-アミノ基は式IIの親油性置換基及びスペーサーに共有結合している。いくつかの実施形態では、配列番号151のペプチドでは、X10、X16、X17、X21、X24、X31またはX33のうちの1つはK***であり、ここでは、K***はリジンであり、リジンのε-アミノ基は式IIIの親油性置換基及びスペーサーに共有結合している。
【0172】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドのうちのいずれかが提供され、ここでは、ポリペプチドは1つまたは複数のアミノ酸残基を含み、これらのそれぞれは、場合によりスペーサーを介して親油性置換基に共有結合しており、両方とも本明細書で定義される通りである。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸残基のそれぞれは式IIまたはIIIの親油性置換基及びスペーサーに共有結合している。
【0173】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドのうちのいずれかが提供され、ここでは、ポリペプチドは少なくとも1つのリジン残基を含み、リジン側鎖のε-アミノ基は、場合によりスペーサーを介して親油性置換基に共有結合しており、両方とも本明細書で定義される通りである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリジン残基のそれぞれは、式IIまたはIIIの親油性置換基及びスペーサーに共有結合しているε-アミノ基を有する。
【0174】
いくつかの実施形態では、単離ポリペプチドは化合物B1~B48から成る群から選択される。
【0175】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KYAQEFV(Aib)WLEDEPSSK****APPPS-OH(配列番号152)(本明細書では、化合物B1とも称される)を含む。
【0176】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KYAQEFVK****WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号153)(本明細書では、化合物B2とも称される)を含む。
【0177】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLDK****KYAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号154)(本明細書では、化合物B3とも称される)を含む。
【0178】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDK****SKYLD(Aib)KYAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号155)(本明細書では、化合物B4とも称される)を含む。
【0179】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KYAQEFV(Aib)WLEDEPSSK*****APPPS-OH(配列番号156)(本明細書では、化合物B5とも称される)を含む。
【0180】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KYAQEFVK*****WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号157)(本明細書では、化合物B6とも称される)を含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLDK*****KYAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号158)(本明細書では、化合物B7とも称される)を含む。
【0182】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDK*****SKYLD(Aib)KYAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号159)(本明細書では、化合物B8とも称される)を含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KSAQEFV(Aib)WLEDEPSSK****APPPS-OH(配列番号160)(本明細書では、化合物B9とも称される)を含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KSAQEFVK****WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号161)(本明細書では、化合物B10とも称される)を含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLDK****KSAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号162)(本明細書では、化合物B11とも称される)を含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDK****SKYLD(Aib)KSAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号163)(本明細書では、化合物B12とも称される)を含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KSAQEFV(Aib)WLEDEPSSK*****APPPS-OH(配列番号164)(本明細書では、化合物B13とも称される)を含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KSAQEFVK*****WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号165)(本明細書では、化合物B14とも称される)を含む。
【0189】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLDK*****KSAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号166)(本明細書では、化合物B15とも称される)を含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDK*****SKYLD(Aib)KSAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号167)(本明細書では、化合物B16とも称される)を含む。
【0191】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列WSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSK****APPPS-OH(配列番号168)(本明細書では、化合物B17とも称される)を含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列WSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFVK****WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号169)(本明細書では、化合物B18とも称される)を含む。
【0193】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列WSQGTFTSDYSKYLDK****KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号170)(本明細書では、化合物B19とも称される)を含む。
【0194】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列WSQGTFTSDK****SKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号171)(本明細書では、化合物B20とも称される)を含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列WSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSK*****APPPS-OH(配列番号172)(本明細書では、化合物B21とも称される)を含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列WSQGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFVK*****WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号173)(本明細書では、化合物B22とも称される)を含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列WSQGTFTSDYSKYLDK*****KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号174)(本明細書では、化合物B23とも称される)を含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列WSQGTFTSDK*****SKYLD(Aib)KRAQEFV(Aib)WLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号175)(本明細書では、化合物B24とも称される)を含む。
【0199】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFVIWLEDEPSSK****APPPS-OH(配列番号176)(本明細書では、化合物B25とも称される)を含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLDK****KRAQEFVIWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号177)(本明細書では、化合物B26とも称される)を含む。
【0201】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDK****SKYLD(Aib)KRAQEFVIWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号178)(本明細書では、化合物B27とも称される)を含む。
【0202】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQK****FVIWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号179)(本明細書では、化合物B28とも称される)を含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQEFVIWLEDEPSSK*****APPPS-OH(配列番号180)(本明細書では、化合物B29とも称される)を含む。
【0204】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLD(Aib)KRAQK*****FVIWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号181)(本明細書では、化合物B30とも称される)を含む。
【0205】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLDK*****KRAQEFVIWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号182)(本明細書では、化合物B31とも称される)を含む。
【0206】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDK*****SKYLD(Aib)KRAQEFVIWLEDEPSSGAPPPS-OH(配列番号183)(本明細書では、化合物B32とも称される)を含む。
【0207】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSQGTFTSDYSKYLDAARAQEFVKWLEDEPKSK****SPPPS-NH(配列番号184)(本明細書では、化合物B33とも称される)を含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSQGTFTSDYSKYLDAARAQEFVK****WLEDEPKSKSPPPS-NH(配列番号185)(本明細書では、化合物B34とも称される)を含む。
【0209】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSQGTFTSDYSKYLDK****ARAQEFVKWLEDEPKSKSPPPS-NH(配列番号186)(本明細書では、化合物B35とも称される)を含む。
【0210】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSQGTFTSDK****SKYLDAARAQEFVKWLEDEPKSKSPPPS-NH(配列番号187)(本明細書では、化合物B36とも称される)を含む。
【0211】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSQGTFTSDYSKYLDAARAQEFVKWLEDEPKSK*****SPPPS-NH(配列番号188)(本明細書では、化合物B37とも称される)を含む。
【0212】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSQGTFTSDYSKYLDAARAQEFVK*****WLEDEPKSKSPPPS-NH(配列番号189)(本明細書では、化合物B38とも称される)を含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSQGTFTSDYSKYLDK*****ARAQEFVKWLEDEPKSKSPPPS-NH(配列番号190)(本明細書では、化合物B39とも称される)を含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSQGTFTSDK*****SKYLDAARAQEFVKWLEDEPKSKSPPPS-NH(配列番号191)(本明細書では、化合物B40とも称される)を含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPSSK****APPPS-NH(配列番号192)(本明細書では、化合物B41とも称される)を含む。
【0216】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVK****WLEDEPSSGAPPPS-NH(配列番号193)(本明細書では、化合物B42とも称される)を含む。
【0217】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLDK****ARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-NH(配列番号194)(本明細書では、化合物B43とも称される)を含む。
【0218】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDK****SKYLDSARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-NH(配列番号195)(本明細書では、化合物B44とも称される)を含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVKWLEDEPSSK*****APPPS-NH(配列番号196)(本明細書では、化合物B45とも称される)を含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLDSARAQEFVK*****WLEDEPSSGAPPPS-NH(配列番号197)(本明細書では、化合物B46とも称される)を含む。
【0221】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDYSKYLDK*****ARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-NH(配列番号198)(本明細書では、化合物B47とも称される)を含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、アミノ酸配列YSHGTFTSDK*****SKYLDSARAQEFVKWLEDEPSSGAPPPS-NH(配列番号199)(本明細書では、化合物B48とも称される)を含む。
【0223】
上記の実施形態では、開示される化合物中の示されるペプチド残基に位置するリジン残基(K****)の各ε-アミノ基は、式II:
【化5】
の示されるカルボニルに共有結合して、アミドを形成する。
【0224】
上記の実施形態では、開示される化合物中の示されるペプチド残基に位置するリジン残基(K*****)の各ε-アミノ基は、式III:
【化6】
の示されるカルボニルに共有結合して、アミドを形成する。
【0225】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、配列番号152から配列番号199によって代表されるアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは化合物B1から化合物B8から成る群から選択される。
【0227】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは化合物B9から化合物B16から成る群から選択される。
【0228】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは化合物B17から化合物B24から成る群から選択される。
【0229】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは化合物B25から化合物B32から成る群から選択される。
【0230】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは化合物B33から化合物B40から成る群から選択される。
【0231】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは化合物B41から化合物B48から成る群から選択される。
【0232】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、配列番号154、配列番号157、配列番号158、配列番号160、配列番号161、配列番号162、配列番号165、配列番号166、配列番号168、配列番号172、配列番号173、配列番号185、配列番号188、配列番号189、配列番号190及び配列番号192によって代表されるアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0233】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、配列番号160、配列番号165及び配列番号166によって代表されるアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0234】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは化合物B1から化合物B48から成る群から選択される。
【0235】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは化合物B3、化合物B6、化合物B7、化合物B9、化合物B10、化合物B11、化合物B14、化合物B15、化合物B17、化合物B21、化合物B22、化合物B34、化合物B37、化合物B38、化合物B39及び化合物B41から成る群から選択される。
【0236】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは化合物B9、化合物B14及び化合物B15から成る群から選択される。
【0237】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは化合物B9である。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは化合物B14である。いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは化合物B15である。
【0238】
いくつかの実施形態では、本開示の単離ポリペプチドは、化合物B1から化合物B48によって代表されるアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0239】
2.0.2ペプチドの組み合わせ
いくつかの実施形態では、本開示の単離されたグルカゴン類似体ポリペプチドは、選択的グルカゴン受容体アゴニストであり、オキシントモジュリン、エクセナチド、エクセナチドの誘導体、エクセナチドの類似体、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、GLP-1の誘導体及びGLP-1の類似体から成る群から選択される第2の薬剤と組み合わせて共製剤化される。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体のうちのいずれかはエクセナチドと組み合わせて共製剤化される。
【0240】
いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体のうちのいずれかはエクセナチドと組み合わせて製剤化され、ここでは、グルカゴン類似体は、本明細書に記載のような親油性置換基及びスペーサーに共有結合していない。
【0241】
いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体はエクセナチドと組み合わせて製剤化され、ここでは、グルカゴン類似体は、化合物A1~A105から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体はエクセナチドと組み合わせて製剤化され、ここでは、グルカゴン類似体は化合物A1、A2、A3、A4、A5及びA6から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体はエクセナチドと組み合わせて製剤化され、ここでは、グルカゴン類似体は化合物A1である。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体はエクセナチドと組み合わせて製剤化され、ここでは、グルカゴン類似体は化合物A2である。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体はエクセナチドと組み合わせて製剤化され、ここでは、グルカゴン類似体は化合物A3である。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体はエクセナチドと組み合わせて製剤化され、ここでは、グルカゴン類似体は化合物A4である。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体はエクセナチドと組み合わせて製剤化され、ここでは、グルカゴン類似体は化合物A5である。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体はエクセナチドと組み合わせて製剤化され、ここでは、グルカゴン類似体は化合物A6である。
【0242】
いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体のうちのいずれかはエクセナチドと組み合わせて製剤化され、ここでは、グルカゴン類似体は、本明細書に記載のような親油性置換基及びスペーサーに共有結合している少なくとも1つのアミノ酸を有する。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体のうちのいずれかはエクセナチドと組み合わせて製剤化され、ここでは、グルカゴン類似体は、式IIまたはIIIの親油性置換基及びスペーサーに共有結合しているε-アミノ基を有する少なくとも1つのリジン残基を有する。
【0243】
いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体はエクセナチドと組み合わせて製剤化され、ここでは、グルカゴン類似体は化合物B1~B48から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体のうちのいずれかはエクセナチドと組み合わせて製剤化され、ここでは、グルカゴン類似体は配列番号152~配列番号199によって代表されるアミノ酸配列から成る群から選択される。
【0244】
いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体はエクセナチドと組み合わせて製剤化され、ここでは、グルカゴン類似体は化合物B3、化合物B6、化合物B7、化合物B9、化合物B10、化合物B11、化合物B14、化合物B15、化合物B17、化合物B21、化合物B22、化合物B34、化合物B37、化合物B38、化合物B39及び化合物B41から成る群から選択される。
【0245】
いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体はエクセナチドと組み合わせて製剤化され、ここでは、グルカゴン類似体は化合物B9、化合物B14及び化合物B15から成る群から選択される。
【0246】
いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体はエクセナチドと組み合わせて製剤化され、ここでは、グルカゴン類似体は化合物B9である。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体はエクセナチドと組み合わせて製剤化され、ここでは、グルカゴン類似体は化合物B14である。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体はエクセナチドと組み合わせて製剤化され、ここでは、グルカゴン類似体は化合物B15である。
【0247】
いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体のうちのいずれかは、1000:1~1:1000のグルカゴン類似体:エクセナチドの固定比率でエクセナチドと組み合わせて製剤化される。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体のうちのいずれかは、500:1~1:500のグルカゴン類似体:エクセナチドの固定比率でエクセナチドと組み合わせて製剤化される。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体のうちのいずれかは100:1~1:100のグルカゴン類似体:エクセナチドの固定比率でエクセナチドと組み合わせて製剤化される。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体のうちのいずれかは、50:1~1:50のグルカゴン類似体:エクセナチドの固定比率でエクセナチドと組み合わせて製剤化される。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体のうちのいずれかは、25:1~1:25のグルカゴン類似体:エクセナチドの固定比率でエクセナチドと組み合わせて製剤化される。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体のうちのいずれかは、10:1~1:10のグルカゴン類似体:エクセナチドの固定比率でエクセナチドと組み合わせて製剤化される。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体のうちのいずれかは、1:1~1:10のグルカゴン類似体:エクセナチドの固定比率でエクセナチドと組み合わせて製剤化される。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体のうちのいずれかは、10:1~1:1のグルカゴン類似体:エクセナチドの固定比率でエクセナチドと組み合わせて製剤化される。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体のうちのいずれかは、5:1~1:5のグルカゴン類似体:エクセナチドの固定比率でエクセナチドと組み合わせて製剤化される。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体のうちのいずれかは、1:1~1:5のグルカゴン類似体:エクセナチドの固定比率でエクセナチドと組み合わせて製剤化される。いくつかの実施形態では、本開示のグルカゴン類似体のうちのいずれかは、5:1~1:1のグルカゴン類似体:エクセナチドの固定比率でエクセナチドと組み合わせて製剤化される。
【0248】
本発明は、治療を必要としている対象において2型糖尿病を治療する方法も提供する。この方法は、本開示の単離されたグルカゴン受容体選択的アゴニストポリペプチドの1つまたは複数を提供することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、浸透圧性送達装置からの単離されたグルカゴン受容体選択的アゴニストポリペプチドの連続送達を提供することを含み、ここでは、治療濃度での、単離されたグルカゴン特異的アゴニストポリペプチドの実質的な定常状態送達は、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約7日またはそれ以下の期間内に達成される。浸透圧性送達装置からの単離されたグルカゴン特異的アゴニストポリペプチドの実質的な定常状態送達は、投与期間にわたって連続的である。ヒトは本発明の実施に好ましい対象である。
【0249】
本発明のいくつかの実施形態では、投与期間は、例えば、少なくとも約3か月、少なくとも約3か月~約1年、少なくとも約4か月~約1年、少なくとも約5か月~約1年、少なくとも約6か月~約1年、少なくとも約8か月~約1年、少なくとも約9か月~約1年、少なくとも約10か月~約1年、少なくとも約1年~約2年、少なくとも約2年~約3年である。
【0250】
本発明のいくつかの実施形態では、治療濃度での、単離されたグルカゴン特異的アゴニストポリペプチドの実質的な定常状態送達は、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約5日もしくはそれ以下の内に、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約4日もしくはそれ以下の内に、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約3日もしくはそれ以下の内に、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約2日もしくはそれ以下の内に、または対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約1日もしくはそれ以下の内に達成される。本発明の好ましい実施形態では、治療濃度での、単離されたグルカゴン特異的アゴニストポリペプチドの実質的な定常状態送達は対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約2日またはそれ以下の内に、より好ましくは約1日またはそれ以下の内に達成される。
【0251】
さらなる実施形態では、本発明の治療方法は対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約7日もしくはそれ以下、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約6日もしくはそれ以下の内に、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約5日もしくはそれ以下の内に、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約4日もしくはそれ以下の内に、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約3日もしくはそれ以下の内に、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約2日もしくはそれ以下の内に、または対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約1日もしくはそれ以下の内に達成される、(浸透圧性送達装置を埋め込む前の対象の空腹時血漿グルコース濃度と比較して)対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでからの対象の空腹時血漿グルコース濃度の有意な低下をもたらす。本発明の好ましい実施形態では、埋め込み前の対象の空腹時血漿グルコース濃度と比較した、浸透圧性送達装置を埋め込んでからの対象の空腹時血漿グルコース濃度の有意な低下は、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約2日もしくはそれ以下の内に、好ましくは、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約1日もしくはそれ以下の内に、またはより好ましくは、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約1日以内に達成される。空腹時血漿グルコースの有意な低下は、典型的には、適切な統計的検定を用いることによって示される場合に統計学的に有意であり、または医師によって、対象にとって有意であるとみなされる。埋め込み前のベースラインと比較した、空腹時血漿グルコースの有意な低下は、典型的には、投与期間にわたって維持される。
【0252】
本発明の第1の態様のさらに別の実施形態では、治療方法は、グルカゴン特異的アゴニストポリペプチドの濃度が、連続送達が終了してから、グルカゴン特異的アゴニストポリペプチドの約6半減期以内に、連続送達が終了してから、グルカゴン特異的アゴニストポリペプチドの約5半減期以内に、連続送達が終了してから、グルカゴン特異的アゴニストポリペプチドの約4半減期以内に、または連続送達が終了してから、グルカゴン特異的アゴニストポリペプチドの約3半減期以内に、対象の血液試料中で実質的に検出限界以下になるように、グルカゴン特異的アゴニストポリペプチドの連続送達を終了する能力をさらに含む。グルカゴン特異的アゴニストポリペプチドは、例えば、RIA、クロマトグラフィー方法、ECLアッセイ、ELISAまたはIEMAによって検出することができる。連続送達の終了は、例えば、対象から浸透圧性送達装置を除去することによって、達成することができる。
【0253】
本発明の関連した実施形態では、治療方法は、このポリペプチドの濃度が、連続送達が終了してから約72時間未満で、連続送達が終了してから約48時間未満で、連続送達が終了してから約24時間未満で、連続送達が終了してから約18時間未満で、連続送達が終了してから約14時間未満で、連続送達が終了してから約12時間未満で、連続送達が終了してから約6時間未満で、または連続送達が終了してから約4時間未満で対象の血液試料中で実質的に検出限界以下になるように、グルカゴン受容体選択的アゴニストポリペプチドの連続送達を終了する能力をさらに含む。好ましい実施形態では、グルカゴン特異的アゴニストポリペプチドは、連続送達が終了してから約24時間未満で、連続送達が終了してから約18時間未満で、またはより好ましくは連続送達が終了してから約14時間未満で対象の血液試料中で実質的に検出限界以下になる。
【0254】
いくつかの実施形態では、グルカゴン受容体選択的アゴニストポリペプチドは、懸濁製剤に製剤化される。いくつかの実施形態では、懸濁製剤は、グルカゴン受容体選択的アゴニストポリペプチドを含む粒子製剤及びビヒクル製剤を含む。いくつかの実施形態では、グルカゴン受容体選択的アゴニストポリペプチドは、本開示の単離ポリペプチド、そのペプチド類似体またはそのペプチド誘導体を含む。いくつかの実施形態では、グルカゴン受容体選択的アゴニストポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3または配列番号137のアミノ酸配列によって包含されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、グルカゴン受容体選択的アゴニストポリペプチドは、配列番号4~139から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0255】
2型糖尿病の治療方法に関する本発明の全態様の実施形態では、この方法で使用するための懸濁製剤は、例えば、単離されたグルカゴン受容体選択的アゴニストポリペプチドを含む粒子製剤及びビヒクル製剤を含むことができる。
【0256】
浸透圧性送達装置のリザーバーは、例えば、チタンまたはチタン合金を含むことができる。
【0257】
第5の態様では、本発明は、治療を必要としている対象において疾患または状態を治療する方法に関する。この方法は、浸透圧性送達装置からの薬物の連続送達をもたらすことを含み、ここでは、治療濃度での薬物の実質的な定常状態送達は、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約7日またはそれ以下の期間内に達成される。浸透圧性送達装置からの薬物の実質的な定常状態送達は、少なくとも約3か月の投与期間にわたって連続的である。薬物は、典型的な対象において既知のまたは決定された半減期を有する。ヒトは本発明の実施に好ましい対象である。本発明は、疾患または状態の治療に効果的な薬物及び治療を必要としている対象において疾患または状態を治療する本方法で使用するための薬物を含有する浸透圧性送達装置を含む。本発明の利点は、ピーク関連薬物毒性の軽減及びトラフと関連する最適以下の薬物療法の減弱を含む。
【0258】
本発明のいくつかの実施形態では、投与期間は、例えば、少なくとも約3か月、少なくとも約3か月~約1年、少なくとも約4か月~約1年、少なくとも約5か月~約1年、少なくとも約6か月~約1年、少なくとも約8か月~約1年、少なくとも約9か月~約1年または少なくとも約10か月~約1年である。
【0259】
本発明の本態様のいくつかの実施形態では、治療濃度での薬物の実質的な定常状態送達は、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約7日もしくはそれ以下、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約5日もしくはそれ以下、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約4日もしくはそれ以下、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約3日もしくはそれ以下、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約2日もしくはそれ以下、または対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約1日もしくはそれ以下の期間内に達成される。
【0260】
本発明の本態様のいくつかの実施形態では、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでからの治療濃度での薬物の実質的な定常状態送達の確立は、より長い期間、例えば、装置を埋め込んでから、約2週間以下または対象内の薬物の約6半減期未満内の期間を要し得る。
【0261】
本発明は、それらを必要とする対象において体重減少を促進する方法、それらを必要とする対象において過体重もしくは肥満を治療する方法、及び/またはそれらを必要とする対象において食欲を抑制方法も提供する。この方法は単離されたグルカゴン受容体選択的アゴニストポリペプチドの送達をもたらすことを含む。いくつかの実施形態では、単離されたグルカゴン受容体選択的アゴニストポリペプチドは浸透圧性送達装置から連続的に送達され、ここでは、治療濃度でのグルカゴン受容体選択的アゴニストポリペプチドの実質的な定常状態送達は、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約7日またはそれ以下の期間内に達成される。浸透圧性送達装置からのグルカゴン受容体選択的アゴニストポリペプチドの実質的な定常状態送達は、投与期間にわたって連続的である。ヒトは本発明の実施に好ましい対象である。本発明は、治療を必要としている対象において本方法で使用するために、単離されたグルカゴン受容体選択的アゴニストポリペプチド及び単離されたグルカゴン受容体選択的アゴニストポリペプチドを含有する浸透圧性送達装置を含む。対象は2型糖尿病を有していてもよい。それらを必要とする対象は10.0%を越えるベースラインHbA1c%を有していてもよく、すなわち、高ベースライン(HBL)対象でもよい。対象は、2型糖尿病を治療するための薬物を以前に与えられていなくてもよい。
【0262】
本発明のいくつかの実施形態では、投与期間は、例えば、少なくとも約3か月、少なくとも約3か月~約1年、少なくとも約4か月~約1年、少なくとも約5か月~約1年、少なくとも約6か月~約1年、少なくとも約8か月~約1年、少なくとも約9か月~約1年または少なくとも約10か月~約1年、少なくとも約1年~約2年または少なくとも約2年~約3年である。
【0263】
さらなる実施形態では、本発明の治療方法は、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約7日もしくはそれ以下の内に、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約6日もしくはそれ以下の内に、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約5日もしくはそれ以下の内に、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約4日またはもしくはそれ以下の内に、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約3日もしくはそれ以下の内に、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約2日もしくはそれ以下の内に、または対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約1日もしくはそれ以下の内に達成される、(浸透圧性送達装置を埋め込む前の対象の空腹時血漿グルコース濃度と比較して)対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでからの対象の空腹時血漿グルコース濃度の有意な低下をもたらす。本発明の好ましい実施形態では、埋め込み前の対象の空腹時血漿グルコース濃度と比較した、浸透圧性送達装置を埋め込んでからの対象の空腹時血漿グルコース濃度の有意な低下は、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約2日もしくはそれ以下の内に、好ましくは、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約1日もしくはそれ以下の内に、またはより好ましくは、対象に浸透圧性送達装置を埋め込んでから約1日以内に達成される。空腹時血漿グルコースの有意な低下は、典型的には、適切な統計的検定を用いることによって示される場合に統計学的に有意であり、または医師によって、対象にとって有意であるとみなされる。埋め込み前のベースラインと比較した、空腹時血漿グルコースの有意な低下は、典型的には、投与期間にわたって維持される。
【0264】
対象における疾患または状態の治療方法に関する本発明の全態様の実施形態では、例示的浸透圧性送達装置は以下を含む:内面及び外面ならびに第1及び第2の開口端を含む不浸透性リザーバー;リザーバーの第1の開口端と密封関係の半透膜;リザーバー内の浸透圧性エンジン及び隣接する半透過膜;浸透圧性エンジンに隣接するピストン(ここでは、ピストンはリザーバーの内面と可動性の密閉を形成し、ピストンはリザーバーを第1のチャンバー及び第2のチャンバーに分け、第1のチャンバーは浸透圧性エンジンを含む);薬物製剤または薬物を含む懸濁製剤(ここでは、第2のチャンバーは薬物製剤または懸濁製剤を含み、薬物製剤または懸濁製剤は流動可能である);ならびにリザーバーの第2の開口端に挿入された拡散モデレーター(拡散モデレーターは懸濁製剤に隣接する)。好ましい実施形態では、リザーバーはチタンまたはチタン合金を含む。
【0265】
対象における疾患または状態の治療方法に関する本発明の全態様の実施形態では、薬物製剤は、薬物及びビヒクル製剤を含むことができる。あるいは、懸濁製剤がこの方法で使用され、例えば、薬物を含む粒子製剤及びビヒクル製剤を含むことができる。本発明の懸濁製剤を形成するのに使用するためのビヒクル製剤は、例えば、溶媒及びポリマーを含むことができる。
【0266】
浸透圧性送達装置のリザーバーは、例えば、チタンまたはチタン合金を含むことができる。
【0267】
本発明の全態様の実施形態では、埋め込まれた浸透圧性送達装置を使用して皮下送達をもたらすことができる。
【0268】
本発明の全態様の実施形態では、連続送達は、例えば、ゼロ次の、制御された、連続的な送達でもよい。
【0269】
上記の態様及び実施形態のいずれも、本明細書で開示される任意の他の態様または実施形態と組み合わせることができる。
【0270】
3.0.0製剤及び組成物
本発明の実施で使用するための薬物は、典型的には、懸濁製剤を形成するために、懸濁ビヒクル中に均一に懸濁、溶解または分散される。
【0271】
本開示の単離ポリペプチド(本明細書では、「活性化合物」とも称される)ならびにその誘導体、断片、類似体及び相同体を、投与に適した医薬組成物に組み込むことができる。そのような組成物は、典型的には、融合タンパク質及び医薬的に許容される担体を含む。本明細書で使用する場合、用語「医薬的に許容される担体」は、医薬投与に適合するありとあらゆる溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含むことが意図される。適切な担体は、この分野で標準的な参考テキストであるRemington’s Pharmaceutical Sciencesの最新版に記載されており、これは、参照によって本明細書に組み込まれる。そのような担体または希釈剤の好ましい例としては、限定されないが、水、生理食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液及び5%ヒト血清アルブミンが挙げられる。リポソーム及び非水性ビヒクル、例えば不揮発性油を使用することもできる。医薬的に活性な物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は当技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物と不適合である場合を除いて、組成物におけるそれらの使用が意図される。追加の活性化合物を組成物に組み込むこともできる。
【0272】
本発明の医薬組成物は、意図された投与経路に適合するように製剤化される。投与経路の例としては、非経口、例えば、静脈内、皮内、真皮下、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(すなわち、局所)、経粘膜、直腸またはこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、医薬組成物または本開示の単離ポリペプチドは、局所投与による投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物または本開示の単離ポリペプチドは、吸入投与による投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物、真皮下または皮下の埋め込みに適し、且つ医薬組成物を皮下に送達する装置または他の適切な送達機構による投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、真皮下または皮下の埋め込みに適し、且つ医薬組成物を皮下に送達する埋め込み装置による投与のために製剤化される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、浸透圧性送達装置、例えば、真皮下または皮下の設置にまたは他の埋め込み適し、且つ医薬組成物を皮下に送達する埋め込み式浸透圧性送達装置による投与のために製剤化される。非経口投与、皮内投与、真皮下投与、皮下投与またはこれらの組み合わせに使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含むことができる:無菌の希釈剤、例えば、注射用水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝液、例えば、酢酸、クエン酸またはリン酸及び浸透圧調整のための薬剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース。pHは、酸または塩基、例えば、塩酸または水酸化ナトリウムを用いて調整することができる。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチックでできているアンプル、使い捨ての注射器または複数回用量のバイアル中に封入することができる。
【0273】
注射使用に適した医薬組成物は、無菌の注射可能な溶液または分散体の即時調製用の無菌水溶液(水溶性の場合)または分散体及び無菌粉末を含む。静脈内投与については、適切な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、N.J.)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が挙げられる。すべての場合において、組成物は無菌でなければならず、容易に注射できる程度に流動性であるべきである。これは製造及び貯蔵条件下で安定していなければならず、細菌及び真菌などの微生物汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液状ポリエチレングリコールなど)ならびにこれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒でもよい。例えば、被覆剤、例えばレシチンの使用によって、分散体の場合には必要とされる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、適切な流動性を維持することができる。様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって、微生物作用を防止することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを組成物中に含むことが好ましい。吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物中に含むことによって、注射用組成物の持続性吸収をもたらすことができる。
【0274】
無菌の注射可能な溶液は、必要に応じて、上で列挙した成分の1つまたは組み合わせとともに、必要量の活性化合物を適切な溶媒に組み入れ、続いて濾過滅菌することによって、調製することができる。一般に、分散体は、基本的な分散媒及び上で列挙したものからの必要とされる他の成分を含む無菌ビヒクルに活性化合物を組み入れることによって調製される。無菌の注射可能な溶液を調製するための無菌粉末の場合には、調製方法は、活性成分と任意のさらなる所望の成分の粉末をこれらの前もって濾過滅菌した溶液からもたらす、真空乾燥及びフリーズドライである。
【0275】
経口組成物は、一般に、不活性な希釈剤または食用担体を含む。これらは、ゼラチンカプセル中に封入するか、錠剤中に圧縮することができる。経口的な治療的投与の目的で、賦形剤とともに活性化合物を組み込むことができ、錠剤、トローチ剤またはカプセル剤の形態で使用することができる。口腔洗浄薬として使用するために、流体担体を使用して経口組成物を調製することもでき、ここでは、流体担体中の化合物は経口的に投与され、口の中でごろごろされ(swished)、吐き出されるか、飲み込まれる。医薬的に適合性の結合剤及び/または補助剤物質を組成物の一部として含むことができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の成分のうちのいずれかまたは同様の性質の化合物を含むことができる:結合剤、例えば、微結晶セルロース、トラガカントガムもしくはゼラチン;賦形剤、例えば、デンプンもしくはラクトース、崩壊剤、例えば、アルギン酸、Primogelもしくはコーンスターチ;潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotes;流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えば、ショ糖もしくはサッカリン;または着香剤、例えば、ペパーミント、ハッカ、サリチル酸メチルまたはオレンジ香料。
【0276】
吸入による投与については、化合物は、適切な噴射剤、例えば二酸化炭素などの気体を含む加圧容器もしくはディスペンサーまたはネブライザーからエアゾールスプレーの形態で送達される。
【0277】
全身投与も経粘膜的または経皮的手段によってもよい。経粘膜的または経皮的投与のために、浸透することになるバリアに適した浸透剤が製剤で使用される。そのような浸透剤は一般に当技術分野で既知であり、例えば、経粘膜的投与については、デタージェント、胆汁酸塩及びフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜的投与は、経鼻噴霧剤または坐剤を使用して達成することができる。経皮投与については、活性化合物は、一般に当技術分野で既知のように、軟膏剤、膏薬、ゲル剤またはクリーム剤に製剤化される。
【0278】
化合物は、(例えばココアバター及び他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を用いる)坐剤または直腸送達のための停留浣腸の形態で調製することもできる。
【0279】
一実施形態では、活性化合物は、埋め込み体及びマイクロカプセル化送達系を含めた制御放出製剤のように、体からの急速な排除から化合物を保護する担体とともに調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸のような、生分解性の生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤の調製方法は当業者には明白である。材料は、Alza Corporation及びNova Pharmaceuticals,Inc.から市販品として入手することもできる。リポソームの懸濁液も医薬的に許容される担体として使用することができる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されているような当業者に知られている方法に従って調製することができる。
【0280】
投与の容易さ及び投薬量の均一性の理由で、投薬単位形態で経口または非経口組成物を製剤化することは特に有利である。本明細書で使用する場合、投薬単位形態は、治療される対象に対する単位投薬量として適する、物理的に別々の単位を指し、各単位は、必要とされる医薬担体とともに、所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性化合物を含む。本発明の投薬単位形態の仕様は、活性化合物の特有な特性及び達成されるべき特定の治療効果ならびに個体の治療のためのそのような活性化合物を配合する技術に付随する制限によって決まり、これらに直接的に依存している。
【0281】
投与のための指示書とともに医薬組成物を容器、パックまたはディスペンサーに含めることができる。
【0282】
3.1.0薬物粒子製剤
一態様では、本発明は医薬的使用のための薬物粒子製剤を提供する。粒子製剤は、典型的には薬物を含み、1種または複数の安定化成分(本明細書では、「賦形剤」とも称される)を含む。安定化成分の例としては、限定されないが、炭水化物、抗酸化剤、アミノ酸、緩衝液、無機化合物及び界面活性剤が挙げられる。
【0283】
実施形態のうちのいずれかでは、粒子製剤は、約50wt%~約90wt%の薬物、約50wt%~約85wt%の薬物、約55wt%~約90wt%の薬物、約60wt%~約90wt%の薬物、約65wt%~約85wt%の薬物、約65wt%~約90wt%の薬物、約70wt%~約90wt%の薬物、約70wt%~約85wt%の薬物、約70wt%~約80wt%の薬物または約70wt%~約75wt%の薬物を含むことができる。
【0284】
実施形態のうちのいずれかでは、粒子製剤は、上記の薬物及び1種または複数の安定化剤を含む。安定化剤は、例えば、炭水化物、抗酸化剤、アミノ酸、緩衝液、無機化合物または界面活性剤でもよい。粒子製剤中の安定化剤の量は、本明細書の教示を考慮して、安定化剤の活性及び製剤の所望の特性に基づいて実験的に決定することができる。
【0285】
典型的には、製剤中の炭水化物の量は、凝集の問題によって決定される。一般に、炭水化物量は、薬物に結合していない過剰な炭水化物による、水の存在下での結晶成長の促進を回避するために、高すぎてはならない。
【0286】
典型的には、製剤中の抗酸化剤の量は酸化問題によって決定されるが、製剤中のアミノ酸の量は、酸化問題及び/または噴霧乾燥間の粒子の成形性によって決定される。
【0287】
典型的には、製剤中の緩衝液の量は、前処理問題、安定性問題及び噴霧乾燥間の粒子の成形性によって決定される。緩衝液は、すべての安定化剤が可溶化される場合に、処理、例えば、溶液調製及び噴霧乾燥の間に薬物を安定化するのに必要とされ得る。
【0288】
粒子製剤に含まれ得る炭水化物の例としては、限定されないが、単糖類(例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース及びソルボース)、二糖類(例えば、ラクトース、ショ糖、トレハロース及びセロビオース)、多糖類(例えば、ラフィノース、メレチトース、マルトデキストリン、デキストラン及びデンプン)ならびにアルジトール(非環式ポリオール;例えば、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール、ピラノシルソルビトール及びミオイノシトール)が挙げられる。適切な炭水化物としては、二糖類及び/または非還元糖、例えば、ショ糖、トレハロース及びラフィノースが挙げられる。
【0289】
粒子製剤に含まれ得る抗酸化剤の例としては、限定されないが、メチオニン、アスコルビン酸、チオ硫酸ナトリウム、カタラーゼ、白金、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、システイン、チオグリセロール、チオグリコール酸、チオソルビトール、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシルトルエン及び没食子酸プロピルが挙げられる。さらに、容易に酸化するアミノ酸、例えば、システイン、メチオニン及びトリプトファンを抗酸化剤として使用することができる。
【0290】
粒子製剤に含まれ得るアミノ酸の例としては、限定されないが、アルギニン、メチオニン、グリシン、ヒスチジン、アラニン、L-ロイシン、グルタミン酸、イソ-ロイシン、L-スレオニン、2-フェニルアミン、バリン、ノルバリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、セリン、アスパラギン、システイン、チロシン、リジン及びノルロイシンが挙げられる。適切なアミノ酸としては、容易に酸化するもの、例えば、システイン、メチオニン及びトリプトファンが挙げられる。
【0291】
粒子製剤に含まれ得る緩衝液の例としては、限定されないが、クエン酸、ヒスチジン、コハク酸、リン酸、マレイン酸、トリス、酢酸、炭水化物及びgly-glyが挙げられる。適切な緩衝液としては、クエン酸、ヒスチジン、コハク酸及びトリスが挙げられる。
【0292】
粒子製剤に含まれ得る無機化合物の例としては、限定されないが、NaCl、NaSO、NaHCO、KCl、KHPO、CaCl及びMgClが挙げられる。
【0293】
さらに、粒子製剤は、他の安定化剤/賦形剤、例えば、界面活性剤及び塩を含むことができる。界面活性剤の例としては、限定されないが、ポリソルベート20、ポリソルベート80、PLURONIC(登録商標)(BASF Corporation、Mount Olive、N.J.)F68及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が挙げられる。塩の例としては、限定されないが、塩化ナトリウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムが挙げられる。
【0294】
3.1.1例示的薬物
薬物粒子製剤は薬物を含む。薬物は、任意の生理的または薬理学的に活性な物質、特にヒトまたは動物の体に送達されることが知られているものでもよい。
【0295】
適切な薬物としては、限定されないが、ペプチド、タンパク質、ポリペプチドまたはこれらの種の合成類似体及びこれらの混合物が挙げられる。
【0296】
一実施形態では、好ましい薬物としては巨大分子が挙げられる。そのような巨大分子としては、限定されないが、薬理学的に活性なペプチド、タンパク質またはポリペプチドが挙げられる。本発明の実施に有用な多数のペプチド、タンパク質またはポリペプチドが本明細書に記載される。記載されるペプチド、タンパク質またはポリペプチドに加えて、これらのペプチド、タンパク質またはポリペプチドの改変体も当業者に知られており、本明細書に提供されるガイダンスに従って本発明の実施で使用することができる。そのような改変体としては、限定されないが、アミノ酸類似体、アミノ酸模倣体、類似体ポリペプチドまたは誘導体ポリペプチドが挙げられる。さらに、本明細書に開示される薬物は、単独で、または組み合わせて(例えば、薬物の混合物または複数の装置を使用して;米国特許公開第2009/0202608号)製剤化または投与することができる。
【0297】
本発明のいくつかの実施形態は、配列番号4~136、138、139及び143~149のポリペプチドの使用を含む。
【0298】
本発明のいくつかの実施形態は、第2のポリペプチド、例えば、非限定例として、インスリン分泌性ペプチド、ペプチドホルモン、例えば、グルカゴン及びインクレチン模倣物(例えば、GLP-1及びエクセナチド)ならびにこれらのペプチド類似体及びペプチド誘導体;PYY(ペプチドYY、ペプチドチロシンチロシンとしても知られる)ならびにそのペプチド類似体及びペプチド誘導体、例えば、PYY(3-36);オキシントモジュリンならびにそのペプチド類似体及びペプチド誘導体;ならびに胃抑制ペプチド(GIP)ならびにそのペプチド類似体及びペプチド誘導体と組み合わせたグルカゴン受容体選択的アゴニストポリペプチドの使用を含む。
【0299】
3形態のペプチド、GLP-1(1-37)、GLP-1(7-37)及びGLP-1(7-36)アミドを含めたGLP-1ならびにGLP-1のペプチド類似体は、インスリン分泌を刺激する(すなわち、インスリン分泌性である)ことが示されており、これは細胞によるグルコースの取り込みを含み、その結果、血清グルコース濃度の低下をもたらす(例えば、Mojsov,S.,Int.J.Peptide Protein Research,40:333-343(1992)を参照されたい)。
【0300】
インスリン分泌作用を示す多数のGLP-1ペプチド誘導体及びペプチド類似体が当技術分野で既知であり(例えば、米国特許第5,118,666号、第5,120,712号、第5,512,549号、第5,545,618号、第5,574,008号、第5,574,008号、第5,614,492号、第5,958,909号、第6,191,102号、第6,268,343号、第6,329,336号、第6,451,974号、第6,458,924号、第6,514,500号、第6,593,295号、第6,703,359号、第6,706,689号、第6,720,407号、第6,821,949号、第6,849,708号、第6,849,714号、第6,887,470号、第6,887,849号、第6,903,186号、第7,022,674号、第7,041,646号、第7,084,243号、第7,101,843号、第7,138,486号、第7,141,547号、第7,144,863及び第7,199,217号を参照されたい)、ならびに臨床試験中である(例えば、タスポグルチド及びアルビグルチド)。本発明の実施に有用なGLP-1ペプチド誘導体の一例はVictoza(登録商標)(Novo Nordisk A/S、Bagsvaerd DK)(リラグルチド;米国特許第6,268,343号、第6,458,924号及び第7,235,627号)である。1日1回注射可能なVictoza(登録商標)(リラグルチド)は米国、欧州及び日本で市販されている。参照の便宜上、本明細書では、インスリン分泌活性を有するGLP-1ペプチド、GLP-1ペプチド誘導体及びGLP-1ペプチド類似体のファミリーは、まとめて「GLP-1」と称される。
【0301】
エクセナチド分子はエキセンディン-4(Kolterman O.G.,et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab.88(7):3082-9(2003))のアミノ酸配列を有し、化学合成または組換発現によって生成される。1日2回注射可能なエクセナチドは米国及び欧州で市販されており、Byetta(登録商標)(Amylin Pharmaceuticals,Inc.、San Diego、Calif.)の商品名で販売されている。エキセンディン-3及びエキセンディン-4は当技術分野で既知であり、Heloderma種から最初に単離された(Eng,J.,et al.,J.Biol.Chem.,265:20259-62(1990);Eng.,J.,et al.,J.Biol.Chem,267:7402-05(1992))。2型糖尿病の治療及び高血糖の予防のためのエキセンディン-3及びエキセンディン-4の使用が提案された(例えば、米国特許第5,424,286号を参照されたい)。(例えば、エキセンディン-4アゴニストを含めた)多数のエクセナチドペプチド誘導体及びペプチド類似体が当技術分野で既知である(例えば、米国特許第5,424,286号、第6,268,343号、第6,329,336号、第6,506,724号、第6,514,500号、第6,528,486号、第6,593,295号、第6,703,359号、第6,706,689号、第6,767,887号、第6,821,949号、第6,849,714号、第6,858,576号、第6,872,700号、第6,887,470号、第6,887,849号、第6,924,264号、第6,956,026号、第6,989,366号、第7,022,674号、第7,041,646号、第7,115,569号、第7,138,375号、第7,141,547号、第7,153,825及び第7,157,555号を参照されたい)。本発明の実施に有用なエクセナチド誘導体の一例はリキシセナチド(ZP10、AVE0010としても知られる)(例えば、米国特許第6,528,486号を参照されたい)であり、これは臨床試験中である。参照の便宜上、本明細書では、エクセナチドペプチド(例えば、エキセンディン-3、エキセンディン-4及びエキセンディン-4-アミドを含める)、エクセナチドペプチド誘導体及びエクセナチドペプチド類似体のファミリーは、「エクセナチド」とまとめて称される。
【0302】
ペプチドYY(PYY)は36アミノ酸残基のペプチドアミドである。PYYは腸の運動性及び血流を阻害し(Laburthe,M.,Trends EndocrinolMetab.1(3):168-74(1990)、腸分泌を媒介し(Cox,H.M.,et al.,Br J Pharmacol 101(2):247-52(1990)、Playford,R.J.,et al.,Lancet 335(8705):1555-7(1990))、正味吸収を刺激する(MacFayden,R.J.,et al.,Neuropeptides 7(3):219-27(1986))。2つの主要なインビボ変異体、PYY(1-36)及びPYY(3-36)が同定されている(例えばEberlein,G.A.,et al.,Peptides 10(4),797-803(1989))。PYYの配列ならびにそのペプチド類似体及びペプチド誘導体は当技術分野で既知である(例えば、米国特許第5,574,010号及び第5,552,520号)。
【0303】
オキシントモジュリンは、食欲を抑制し、体重減少を促進することが分かっている、結腸に見られる天然に存在する37アミノ酸のペプチドホルモンである(Wynne K,et al.,Int J Obes(Lond)30(12):1729-36(2006))。オキシントモジュリンの配列ならびにそのペプチド類似体及びペプチド誘導体は当技術分野で既知である(例えば、Bataille D,et al.,Peptides 2(Suppl 2):41-44(1981)及び米国特許公開第2005/0070469号及び第2006/0094652号)。
【0304】
胃抑制ペプチド(GIP)はインスリン分泌性ペプチドホルモンである(Efendic,S.,et al.,Horm Metab Res.36:742-6(2004))であり、インスリンを分泌するように膵臓を刺激する吸収された脂肪及び炭水化物に応答して、十二指腸及び空腸の粘膜によって分泌される。GIPは、生物学的に活性な42アミノ酸のペプチドとして循環する。GIPはグルコース依存的インスリン分泌タンパク質としても知られる。GIPは、グルコースの存在下で膵ベータ細胞からのインスリン分泌を刺激する、42アミノ酸の胃腸調節ペプチドである(Tseng,C.,et al.,PNAS 90:1992-1996(1993))。GIPの配列ならびにそのペプチド類似体及びペプチド誘導体は当技術分野で既知である(例えば、Meier J.J.,Diabetes Metab Res Rev.21(2):91-117(2005)及びEfendic S.,Horm Metab Res.36(11-12):742-6(2004))。
【0305】
グルカゴンは膵臓のアルファ細胞で産生されるペプチドホルモンであり、血流のグルコース濃度を上げる。その効果は、グルコース濃度を低下させるインスリンの効果の逆である。膵臓は、血流のグルコース濃度が低下しすぎた場合にグルカゴンを放出する。グルカゴンは肝臓に貯蔵グリコーゲンをグルコースに変換させ、これが血流に放出される。高血中グルコースレベルはインスリンの放出を刺激する。インスリンによって、グルコースがインスリン依存的組織によって取り込まれ、使用されることが可能になる。したがって、グルカゴン及びインスリンは、血中グルコースレベルを安定レベルに維持するフィードバックシステムの一部である。
【0306】
グルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)は、ヒトにおいて配列HADGSFSDEMNTILDNLAARDFINWLIQTKITD(配列番号200)を有する、33アミノ酸のペプチドである。GLP-2は、関連したグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)も遊離するプロセスにおいて、プログルカゴンの特異的翻訳後タンパク質分解性切断によって生成される。GLP-2は、腸内分泌L細胞によって、及び中枢神経系の様々なニューロンによって産生される。腸のGLP-2は、栄養素摂取の際にGLP-1とともに共分泌される。外部から投与される場合、GLP-2は、ヒト及びげっ歯類において、腸の成長、腸機能の増強、骨破壊の低減及び神経保護を含めたいくつかの効果をもたらす。GLP-2は、腸の成長と栄養素摂取をともなう代謝とを結びつけるように、内分泌様式で作用することができる。
【0307】
一部のペプチドの半減期の例は以下の通りである:エクセナチド、およそ2.5時間;GLP-1、およそ2分間;GIP、およそ5分;PYY、およそ8分;グルカゴン、およそ6分;オキシントモジュリン、およそ6分;及びGLP-2、およそ6分。
【0308】
薬物はまた、限定されないが、以下を含めた様々な形態であってもよい:無電荷分子;分子複合体の成分;及び薬理学的に許容される塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ラウリン酸塩、パルミチン酸塩、リン酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩またはサリチル酸塩。酸性の薬物については、金属の塩、アミンまたは有機陽イオン、例えば、四級アンモニウムを用いることができる。さらに、本発明の目的に適する溶解特性を有する、薬物の単純誘導体、例えば、エステル、エーテル、アミドなどを本明細書で使用することもできる。
【0309】
上記の薬物及び当業者に既知の他の薬物は、限定されないが、以下を含めた様々な状態の治療方法に有用である:慢性疼痛、血友病及び他の血液障害、内分泌障害、代謝障害、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルツハイマー病、心血管疾患(例えば、心不全、アテローム性動脈硬化症及び急性冠動脈症候群)、リウマチ性障害、糖尿病(1型、2型糖尿病、ヒト免疫不全ウイルス治療誘導性、成人潜在性自己免疫性糖尿病及びステロイド誘導性を含める)、無自覚性低血糖、拘束性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患、脂肪萎縮症、メタボリックシンドローム、白血病、肝炎、腎不全、感染症(細菌感染症、ウイルス感染症(例えば、ヒト免疫不全ウイルス、C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、黄熱病ウイルス、西ナイルウイルス、デングウイルス、マールブルグウイルス及びエボラウイルスによる感染症)ならびに寄生虫感染を含める)、遺伝性疾患(例えば、セレブロシダーゼ欠損症及びアデノシンデアミナーゼ欠損症)、高血圧、敗血症性ショック、自己免疫疾患(例えば、グレーブス病、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症及び関節リウマチ)、ショック及び消耗性障害、嚢胞性線維症、乳糖不耐症、クローン病、炎症性腸疾患、胃腸癌(結腸癌及び直腸癌を含める)、乳癌、白血病、肺癌、膀胱癌、腎臓癌、非ホジキンリンパ腫、膵臓癌、甲状腺癌、子宮内膜癌及び他の癌。さらに、上記の薬剤のいくつかは、限定されないが、結核、マラリア、リーシュマニア症、トリパノソーマ症(睡眠病及びシャーガス病)ならびに寄生虫を含めた、長期にわたる治療を必要とする感染症の治療に有用である。
【0310】
薬物粒子製剤中の薬物の量は、薬物が送達される対象において所望の治療結果を達成するために治療有効量の薬剤を送達するのに必要な量である。実際には、これは例えば、特定の薬剤、状態の重症度及び所望の治療効果のような変数によって変動する。有益な薬剤及びその投薬単位量は、Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,11th Ed.,(2005),McGraw Hill;Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Ed.,(1995),Mack Publishing Co.、及びMartin’s Physical Pharmacy and Pharmaceutical Sciences,1.00edition(2005),Lippincott Williams & Wilkinsにおける従来技術で既知である。さらに、非常に濃縮された薬物粒子が、米国特許公開第2010/0092566号に記載されている。典型的には、浸透圧性送達システムについては、薬物製剤を含むチャンバーの容量は、約100μl~約1000μlの間、より好ましくは約140μl及~約200μlの間である。一実施形態では、薬物製剤を含むチャンバーの容量は約150μlである。
【0311】
本発明の薬物粒子製剤は、好ましくは、送達温度で少なくとも1か月、好ましくは少なくとも3か月、より好ましくは少なくとも6か月、より好ましくは少なくとも12か月にわたって化学的及び物理的に安定である。送達温度は、典型的には、通常のヒト体温、例えば約37℃、またはそれよりわずかに高い、例えば約40℃である。さらに、本発明の薬物粒子製剤は、好ましくは、貯蔵温度で少なくとも3か月、好ましくは少なくとも6か月、より好ましくは少なくとも12か月にわたって化学的及び物理的に安定である。貯蔵温度の例としては、冷蔵温度、例えば約5℃、または室温、例えば約25℃が挙げられる。
【0312】
薬物粒子製剤は、送達温度で約3か月後、好ましくは約6か月後、好ましくは約12か月後に、及び貯蔵温度で約6か月後、約12か月後及び好ましくは約24か月後に、薬物粒子の約25%未満、好ましくは約20%未満、より好ましくは約15%未満、より好ましくは約10%未満、より好ましくは約5%未満の分解産物が形成される場合、化学的に安定であると考えることができる。
【0313】
薬物粒子製剤は、送達温度で約3か月後、好ましくは約6か月後に、及び貯蔵温度で約6か月後に、好ましくは約12か月後に、約10%未満、好ましくは約5%未満、より好ましくは約3%未満、より好ましくは1%未満の薬物の凝集物が形成される場合、物理的に安定であると考えることができる。
【0314】
薬物粒子製剤中の薬物がタンパク質である場合、タンパク質溶液は凍結状態で維持され、凍結乾燥または噴霧乾燥されて、固体状態にされる。Tg(ガラス転移温度)は、安定的なタンパク質組成物を達成するうえで考慮する1つの因子であり得る。いかなる特定の理論にも束縛されることを意図するものではないが、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を安定化するための高Tg非結晶固体の形成の理論が医薬品産業で利用されている。一般に、非結晶固体が100℃などのより高いTgを有するならば、ペプチド生成物は、室温でまたはさらに40℃で貯蔵される場合、貯蔵温度がTgより低いので、可動性を有さないであろう。分子情報を使用する計算によって、ガラス転移温度が50℃の貯蔵温度より高い場合、分子についてゼロ可動性が存在することが示された。分子のゼロ可動性はより優れた安定性と相関する。Tgは、製品製剤中の水分濃度にも依存する。一般に、水分が多いほど組成物のTgは低下する。
【0315】
したがって、本発明のいくつかの態様では、安定性を向上させるために、より高いTgを有する賦形剤、例えば、ショ糖(Tg=75℃)及びトレハロース(Tg=110℃)をタンパク質製剤中に含めることができる。好ましくは、粒子製剤は、噴霧乾燥、凍結乾燥、乾燥、フリーズドライ、粉砕、顆粒化、超音波ドロップ形成、結晶化、沈殿または成分の混合物から粒子を形成するために当技術分野で利用可能な他の技法などの方法を使用して、粒子に形成可能である。本発明の一実施形態では、粒子は噴霧乾燥される。粒子は、好ましくは形状及びサイズが実質的に均一である。
【0316】
粒子は、典型的には、埋め込み式浸透圧性送達装置を介して粒子が送達され得るようにサイズ設定される。粒子の均一な形状及びサイズは、典型的には、そのような送達装置からの一定且つ均一な放出速度をもたらすのに役立つが、非正規の粒径分布プロファイルを有する粒子調製物を使用することもできる。例えば、送達オリフィスを有する典型的な埋め込み式浸透圧性送達装置では、粒子サイズは、送達オリフィスの直径の約30%未満、より好ましくは約20%未満、より好ましくは約10%未満である。埋め込み体の送達オリフィスの直径が約0.5mmである、浸透圧性送達システムを用いて使用するための粒子製剤の一実施形態では、粒径は、例えば、約150ミクロン未満~約50ミクロンでもよい。埋め込み体の送達オリフィスの直径が約0.1mmである、浸透圧性送達システムを用いて使用するための粒子製剤の一実施形態では、粒径は、例えば、約30ミクロン未満~約10ミクロンでもよい。一実施形態では、オリフィスは約0.25mm(250ミクロン)であり、粒径は約2ミクロン~約5ミクロンである。
【0317】
粒子の集団は粒径分布の原理に従うことを当業者なら認識するであろう。広く使用されている、当分野で認められた粒径分布を説明する方法としては、例えば、平均直径及びD値、例えばD50値が挙げられ、これは、所与の試料の粒径の範囲の平均直径を示すのに一般に使用される。
【0318】
粒子製剤の粒子は、約2ミクロン~約150ミクロンの間の直径、例えば、150ミクロン未満の直径、100ミクロン未満の直径、50ミクロン未満の直径、30ミクロン未満の直径、10ミクロン未満の直径、5ミクロン未満の直径及び約2ミクロンの直径を有する。好ましくは、粒子は約2ミクロン~約50ミクロンの間の直径を有する。
【0319】
単離されたグルカゴン特異的アゴニストポリペプチドを含む粒子製剤の粒子は、約0.3ミクロン~約150ミクロンの間の平均直径を有する。単離されたグルカゴン特異的アゴニストポリペプチドを含む粒子製剤の粒子は、約2ミクロン~約150ミクロンの間の平均直径、例えば、150ミクロン未満の平均直径、100ミクロン未満の平均直径、50ミクロン未満の平均直径、30ミクロン未満の平均直径、10ミクロン未満の平均直径、5ミクロン未満の平均直径及び約2ミクロンの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、約0.3ミクロン~50ミクロンの間、例えば、約2ミクロン~約50ミクロンの間の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、0.3ミクロン~50ミクロンの間、例えば、約2ミクロン~約50ミクロンの間の平均直径を有し、ここでは、各粒子は約50ミクロン未満の直径である。
【0320】
典型的には、粒子製剤の粒子は、懸濁ビヒクルに組み込まれる場合、送達温度で、約3か月未満では沈降せず、好ましくは約6か月未満では沈降せず、より好ましくは約12か月未満では沈降せず、より好ましくは約24か月未満では沈降せず、最も好ましくは、送達温度で約36か月未満では沈降しない。懸濁ビヒクルは、典型的には、約5,000~約30,000ポアズの間、好ましくは約8,000~約25,000ポアズの間、より好ましくは約10,000~約20,000ポアズの間の粘度を有する。一実施形態では、懸濁ビヒクルは、約15,000ポアズ±約3,000ポアズの粘度を有する。一般的に言えば、小さい粒子ほど、大きな粒子よりも、粘性懸濁ビヒクルにおける沈降速度が低い傾向がある。したがって、ミクロン~ナノサイズの粒子が典型的には望ましい。粘性懸濁製剤では、シミュレーションモデリング研究に基づくと、本発明の約2ミクロン~約7ミクロンの粒子は室温で少なくとも20年間沈降しないであろう。本発明の粒子製剤の一実施形態では、埋め込み式浸透圧性送達装置で使用するために、約50ミクロン未満、より好ましくは約10ミクロン未満、より好ましくは約2ミクロン~約7ミクロンの範囲のサイズの粒子を含む。
【0321】
一実施形態では、薬物粒子製剤は、上記の薬物、1種または複数の安定化剤及び場合により緩衝液を含む。安定化剤は、例えば、炭水化物、抗酸化剤、アミノ酸、緩衝液、無機化合物または界面活性剤でもよい。粒子製剤中の安定化剤及び緩衝液の量は、本明細書の教示を考慮して、安定化剤及び緩衝液の活性ならびに製剤の所望の特性に基づいて、実験的に決定することができる。典型的には、製剤中の炭水化物の量は、凝集の問題によって決定される。一般に、炭水化物量は、薬物に結合していない過剰な炭水化物による、水の存在下での結晶成長の促進を回避するために、高すぎてはならない。典型的には、製剤中の抗酸化剤の量は酸化問題によって決定されるが、製剤中のアミノ酸の量は、酸化問題及び/または噴霧乾燥間の粒子の成形性によって決定される。典型的には、製剤中の緩衝液の量は、前処理問題、安定性問題及び噴霧乾燥間の粒子の成形性によって決定される。緩衝液は、すべての賦形剤が可溶化される場合に、処理、例えば、溶液調製及び噴霧乾燥の間に薬物を安定化するのに必要とされ得る。
【0322】
粒子製剤に含まれ得る炭水化物の例としては、限定されないが、単糖類(例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース及びソルボース)、二糖類(例えば、ラクトース、ショ糖、トレハロース及びセロビオース)、多糖類(例えば、ラフィノース、メレチトース、マルトデキストリン、デキストラン及びデンプン)ならびにアルジトール(非環式ポリオール;例えば、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール、ピラノシルソルビトール及びミオイノシトール)が挙げられる。好ましい炭水化物としては、二糖類及び/または非還元糖、例えば、ショ糖、トレハロース及びラフィノースが挙げられる。
【0323】
粒子製剤に含まれ得る抗酸化剤の例としては、限定されないが、メチオニン、アスコルビン酸、チオ硫酸ナトリウム、カタラーゼ、白金、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、システイン、チオグリセロール、チオグリコール酸、チオソルビトール、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシルトルエン及び没食子酸プロピルが挙げられる。さらに、容易に酸化するアミノ酸、例えば、システイン、メチオニン及びトリプトファンを抗酸化剤として使用することができる。
【0324】
粒子製剤に含まれ得るアミノ酸の例としては、限定されないが、アルギニン、メチオニン、グリシン、ヒスチジン、アラニン、L-ロイシン、グルタミン酸、イソ-ロイシン、L-スレオニン、2-フェニルアミン、バリン、ノルバリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、セリン、アスパラギン、システイン、チロシン、リジン及びノルロイシンが挙げられる。
【0325】
粒子製剤に含まれ得る緩衝液の例としては、限定されないが、クエン酸、ヒスチジン、コハク酸、リン酸、マレイン酸、トリス、酢酸、炭水化物及びgly-glyが挙げられる。
【0326】
粒子製剤に含まれ得る無機化合物の例としては、限定されないが、NaCl、NaSO、NaHCO、KCl、KHPO、CaCl及びMgClが挙げられる。
【0327】
さらに、粒子製剤は、他の賦形剤、例えば、界面活性剤及び塩を含むことができる。界面活性剤の例としては、限定されないが、ポリソルベート20、ポリソルベート80、PLURONIC(登録商標)(BASF Corporation、Mount Olive、N.J.)F68及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が挙げられる。塩の例としては、限定されないが、塩化ナトリウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムが挙げられる。
【0328】
粒子製剤に含まれるすべての成分は、典型的には、哺乳動物、特にヒトにおける医薬用途について許容される。
【0329】
要約すると、選択される薬物または薬物の組み合わせは、固体状態の乾燥粉末剤に製剤化され、これは薬物の最大の化学的及び生物学的安定性を保持する。粒子製剤は高温での長期貯蔵安定性を与えるので、安定的且つ生物学的に効果的な薬物の対象への長期間の送達を可能にする。
【0330】
3.2.0ビヒクル製剤及び懸濁製剤
一態様では、懸濁ビヒクルは、薬物粒子製剤が分散される安定的な環境をもたらす。薬物粒子製剤は、懸濁ビヒクル中で(上記のように))化学的及び物理的に安定である。懸濁ビヒクルは、典型的には、薬物を含む粒子を均一に懸濁させるのに十分な粘度の溶液を形成する1種または複数のポリマー及び1種または複数の溶媒を含む。懸濁ビヒクルは、限定されないが、ビヒクルに可溶性である界面活性剤、抗酸化剤及び/または他の化合物を含めた、さらなる成分を含むことができる。
【0331】
懸濁ビヒクルの粘度は、典型的には、薬物粒子製剤を貯蔵の間に沈降するのを防ぐのに十分であり、且つ送達方法で、例えば、埋め込み式の浸透圧性送達装置で使用するのに十分である。懸濁ビヒクルは、懸濁ビヒクルが生物環境に応じて、ある期間をかけて崩壊または分解するという点において生分解性であり、一方で、薬物粒子は生物環境で溶解され、粒子中の活性医薬成分(すなわち、薬物)が吸収される。
【0332】
実施形態では、懸濁ビヒクルは「単相」懸濁ビヒクルであり、これは、全体にわたって物理的及び化学的に均一な固体、半固体または液体の均質な系である。
【0333】
ポリマーが溶解される溶媒は、懸濁製剤の特性、例えば、貯蔵の間の薬物粒子製剤の挙動に影響を及し得る。溶媒は、得られる懸濁ビヒクルが水性環境に接触した際に相分離を示すように、ポリマーと組み合わせて選択することができる。本発明のいくつかの実施形態では、溶媒は、得られる懸濁ビヒクルがおよそ約10%未満の水を有する水性環境に接触した際に相分離を示すように、ポリマーと組み合わせて選択することができる。
【0334】
溶媒は、水と混和性でない許容される溶媒でもよい。溶媒は、高濃度で、例えば約30%を越えるポリマー濃度で、溶媒に可溶性であるように、選択することができる。本発明の実施に有用な溶媒の例としては、限定されないが、ラウリルアルコール、ベンジル安息香酸、ベンジルアルコール、乳酸ラウリル、デカノール(デシルアルコールとも呼ばれる)、乳酸エチルヘキシル及び長鎖(C~C24)脂肪族アルコール、エステルまたはこれらの混合物が挙げられる。懸濁ビヒクルで使用される溶媒は、これが低水分含量を有するという点において「乾燥」していてもよい。懸濁ビヒクルの製剤で使用するのに好ましい溶媒としては、乳酸ラウリル、ラウリルアルコール、ベンジル安息香酸及びこれらの混合物が挙げられる。
【0335】
本発明の懸濁ビヒクルの製剤のためのポリマーの例としては、限定されないが、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸及びポリ乳酸のポリグリコール酸)、ピロリドンを含むポリマー(例えば、およそ2,000~およそ1,000,000の範囲の分子量を有するポリビニルピロリドン)、不飽和アルコールのエステルまたはエーテル(例えば、酢酸ビニル)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーまたはこれらの混合物が挙げられる。ポリビニルピロリドンは、粘度指数であるそのK値(例えば、K-17)で特徴づけすることができる。一実施形態では、ポリマーは2,000~1,000,000の分子量を有するポリビニルピロリドンである。好ましい実施形態では、ポリマーはポリビニルピロリドンK-17(典型的には、7,900~10,800のおよその平均分子量範囲を有する)である。懸濁ビヒクルで使用されるポリマーは、1種または複数の異なるポリマーを含むことができ、または異なるグレードの単一ポリマーを含むことができる。懸濁ビヒクルで使用されるポリマーは、乾燥していてもよいし、低水分含量を有していてもよい。
【0336】
一般的に言えば、本発明で使用するための懸濁ビヒクルは、所望の性能特性に基づいて組成が変わり得る。一実施形態では、懸濁ビヒクルは、約40wt%~約80wt%のポリマー(複数可)及び約20wt%~約60wt%の溶媒(複数可)を含むことができる。懸濁ビヒクルの好ましい実施形態は、以下の比:約25wt%の溶媒及び約75wt%のポリマー、約50wt%の溶媒及び約50wt%のポリマー、約75wt%の溶媒及び約25wt%のポリマーで混合されたポリマー(複数可)と溶媒(複数可)から形成されるビヒクルを含む。したがって、いくつかの実施形態では、懸濁ビヒクルは選択された成分を含むことができ、他の実施形態では、選択された成分から本質的に成る。
【0337】
懸濁ビヒクルはニュートン挙動を示し得る。懸濁ビヒクルは、典型的には、所定の期間にわたって粒子製剤の均一な分散を維持する粘度をもたらすように製剤化される。この援助は、薬物粒子製剤に含まれる薬物の制御送達をもたらすように調整された懸濁製剤の作製を容易にする。懸濁ビヒクルの粘度は、所望の用途、粒子製剤のサイズ及びタイプならびに懸濁ビヒクル中への粒子製剤の装填によって変動し得る。懸濁ビヒクルの粘度は、使用する溶媒またはポリマーのタイプまたは相対量を変更することによって変えることができる。
【0338】
懸濁ビヒクルは、約100ポアズ~約1,000,000ポアズ、好ましくは約1,000ポアズ~約100,000ポアズの範囲の粘度を有し得る。好ましい実施形態では、懸濁ビヒクルは、典型的には、33℃で、約5,000~約30,000ポアズの間、好ましくは約8,000~約25,000ポアズの間、より好ましくは約10,000~約20,000ポアズの間の粘度を有する。一実施形態では、懸濁ビヒクルは、33℃で、約15,000ポアズ±約3,000ポアズの粘度を有する。粘度は、平行板レオメーターを使用して、10-4/秒のずり速度で、33℃で測定することができる。
【0339】
懸濁ビヒクルは、水性環境と接触する場合に相分離を示し得るが、典型的には、懸濁ビヒクルは、温度に応じて実質的に相分離を示さない。例えば、およそ0℃~およそ70℃の範囲の温度で、及び4℃~37℃~4℃のサイクルなどの温度サイクルの際に、懸濁ビヒクルは、典型的には、相分離を示さない。
【0340】
懸濁ビヒクルは、例えば乾燥箱中などの乾燥条件で、ポリマーと溶媒を混合することによって調製することができる。ポリマーと溶媒をおよそ40℃~およそ70℃などの昇温で混合し、液化させ、単相を形成することができる。乾燥成分から発生する気泡を除去するように、成分を真空下で混ぜることができる。およそ40rpmの速度に設定された従来の混合機、例えば二重螺旋刃または同様の混合機を使用して成分を混合することができる。しかし、より速い速度を使用して成分を混合することもできる。一旦成分の液体溶液が得られれば、懸濁ビヒクルを室温に冷却することができる。示差走査熱量測定計(DSC)を使用して、懸濁ビヒクルが単相であることを確認することができる。さらに、過酸化物を実質的に低減するまたは実質的に除去するように、ビヒクルの成分(例えば、溶媒及び/またはポリマー)を処理することができる(例えば、メチオニンを用いる処理による;例えば、米国特許出願公開第2007-0027105号を参照されたい)。
【0341】
懸濁製剤を形成するために、薬物粒子製剤が懸濁ビヒクルに加えられる。いくつかの実施形態では、懸濁製剤は薬物粒子製剤及び懸濁ビヒクルを含むことができ、他の実施形態では、薬物粒子製剤及び懸濁ビヒクルから本質的に成る。
【0342】
懸濁製剤は、懸濁ビヒクル中に粒子製剤を分散させることによって調製することができる。懸濁ビヒクルを加熱することができ、乾燥条件下で粒子製剤を懸濁ビヒクルに加えることができる。約40℃~約70℃などの昇温で、真空下において、成分を混合することができる。懸濁ビヒクル中で粒子製剤の均一な分散を達成するために、約40rpm~約120rpmなどの十分な速度で、約15分などの十分な時間にわたって、成分を混合することができる。混合機は二重螺旋刃でもよいし、他の適切な混合機でもよい。得られた混合物を混合機から取り出し、水が懸濁製剤を汚染することを防ぐために乾燥容器中に密閉し、埋め込み式の薬物送達装置、単位用量容器または複数回用量容器への装填などのさらなる使用前に室温に冷却させることができる。
【0343】
懸濁製剤は、典型的には、約10wt%未満、好ましくは約5wt%未満、より好ましくは約4wt%未満の全体の水分含量を有する。
【0344】
好ましい実施形態では、本発明の懸濁製剤は、浸透圧性送達装置から対象に薬物粒子製剤を送達するために、実質的に均質であり、流動可能である。
【0345】
要約すると、懸濁ビヒクルの成分は生体適合性を提供する。懸濁ビヒクルの成分は、薬物粒子製剤の安定な懸濁液を形成するのに適した化学-物理的特性を与える。これらの特性としては、限定されないが、以下が挙げられる:懸濁液の粘度、ビヒクルの純度、ビヒクルの残留水分、ビヒクルの密度、乾燥粉末との適合性、埋め込み式装置との適合性、ポリマーの分子量、ビヒクルの安定性ならびにビヒクルの疎水性及び親水性。例えば、ビヒクル組成を変化させること及び懸濁ビヒクルで使用される成分の比を操作することによって、これらの特性を操作及び制御することができる。
【0346】
4.0.0懸濁製剤の送達
長期間にわたる、例えば、数週、数か月または約1年までまたはそれ以上にわたるゼロ次の、連続的な、制御された、持続的な化合物の送達を提供するために、本明細書に記載の懸濁製剤を埋め込み式の浸透圧性送達装置で使用することができる。そのような埋め込み式浸透圧性送達装置は、典型的には、所望の流速で所望の期間にわたって、薬物を含む懸濁製剤を送達することができる。従来の技法によって、懸濁製剤を埋め込み式の浸透圧性送達装置に装填することができる。
【0347】
一般に、装置を埋め込んでからの対象内の薬物の約6半減期未満内で薬物の所望の血中濃度を達成するように、用量及び送達速度を選択することができる。薬物の血中濃度は、薬物の最適な治療効果を与えるが、薬物の過剰な濃度によって誘導され得る望ましくない副作用を回避し、同時に薬物のピークまたはトラフ血漿濃度と関連する副作用を誘導し得るピーク及びトラフを回避するように、選択される。
【0348】
埋め込み式の浸透圧性送達装置は、典型的には、懸濁製剤が送達される少なくとも1つのオリフィスを有するリザーバーを含む。リザーバー内に懸濁製剤を貯蔵することができる。好ましい実施形態では、埋め込み式の薬物送達装置は浸透圧性送達装置であり、ここでは、薬物の送達は浸透圧的に駆動される。いくつかの浸透圧性送達装置及びそれらの構成部品、例えば、DUROS(登録商標)送達装置または同様の装置が記載されている(例えば、米国特許第5,609,885号、第5,728,396号、第5,985,305号、第5,997,527号、第6,113,938号、第6,132,420号、第6,156,331号、第6,217,906号、第6,261,584号、第6,270,787号、第6,287,295号、第6,375,978号、第6,395,292号、第6,508,808号、第6,544,252号、第6,635,268号、第6,682,522号、第6,923,800号、第6,939,556号、第6,976,981号、第6,997,922号、第7,014,636号、第7,207,982号及び第7,112,335号、第7,163,688;米国特許公開第2005/0175701号、第2007/0281024号、第2008/0091176号及び第2009/0202608号を参照されたい)。
【0349】
浸透圧性送達装置は、典型的には、浸透圧性エンジン、ピストン及び薬物製剤を含む円筒形のリザーバーから成る。リザーバーは、一方の端部で、制御された速度の半透膜で覆われ、他方の端部で、薬物を含む懸濁製剤が薬物リザーバーから放出される拡散モデレーターで覆われる。ピストンは薬物製剤を浸透圧性エンジンから分離し、密閉を利用して、浸透圧性エンジンコンパートメント中の水が薬物リザーバーに入るのを防止する。拡散モデレーターは、薬物製剤とあわせて、オリフィスを通って体液が薬物リザーバーに入るのを防止するように設計される。
【0350】
浸透圧性装置は、浸透の原理に基づいて、所定の速度で薬物を放出する。細胞外流体は、半透過膜を通って浸透圧性送達装置に入り、塩エンジンに直接入り、この塩エンジンが拡張して、遅く且つ一定の送達速度でピストンを動かす。ピストンの運動によって、薬物製剤がオリフィスまたは出口ポートを通して所定のずり速度で放出される。本発明の一実施形態では、浸透圧性装置のリザーバーは懸濁製剤が装填され、ここでは、装置は、長期間(例えば、約1、約3、約6、約9、約10及び約12か月)にわたって、治療的に有効な所定の送達速度で、懸濁製剤を対象に送達することができる。
【0351】
浸透圧性送達装置からの薬物の放出速度は、典型的には、所定の標的用量の薬物、例えば、1日の間に送達される治療的に有効な1日量を対象に提供し、すなわち、装置からの薬物の放出速度は、対象への治療濃度の薬物の実質的な定常状態送達を提供する。
【0352】
典型的には、浸透圧性送達装置については、有益な薬物製剤を含む有益な薬剤チャンバーの容量は、約100μl~約1000μlの間、より好ましくは約120μl及び約500μlの間、より好ましくは約150μl~約200μlの間である。
【0353】
典型的には、浸透圧性送達装置は、皮下薬物送達を提供するために、対象内に、例えば、真皮下または皮下に埋め込まれる。装置(複数可)を、いずれかまたは両方の腕(例えば、上腕の内側、外側または後ろ側)または腹部に、真皮下にまたは皮下に埋め込むことができる。腹部領域の好ましい部位は、肋骨より下及びベルトラインより上に広がる腹部の皮膚の下である。腹部内に1つまたは複数の浸透圧性送達装置を埋め込むためのいくつかの部位を提供するために、腹壁を以下のように4つの四半分に分けることができる:右肋骨より少なくとも2~3センチメートル下、例えば右肋骨より少なくとも約5~8センチメートル下及び正中線の右側に少なくとも2~3センチメートル、例えば、正中線の右側に少なくとも約5~8センチメートルに広がる右上四半分;ベルトラインから少なくとも2~3センチメートル上、例えば、ベルトラインから少なくとも約5~8センチメートル上及び正中線の右側に少なくとも2~3センチメートル、例えば、正中線の右側に少なくとも約5~8センチメートルに広がる右下四半分;左肋骨より少なくとも2~3センチメートル下、例えば、左肋骨より少なくとも約5~8センチメートル下及び正中線の左側に少なくとも2~3センチメートル、例えば、正中線の左側に少なくとも約5~8センチメートルに広がる左上四半分;ならびにベルトラインから少なくとも2~3センチメートル上、例えば、ベルトラインから少なくとも約5~8センチメートル上及び正中線の左側に少なくとも2~3センチメートル、例えば、正中線の左側に少なくとも約5~8センチメートルに広がる左下四半分。これは、1回または複数回の機会に1つまたは複数の装置の埋め込みに利用可能な複数の部位を提供する。浸透圧性送達装置の埋め込み及び除去は、一般に、局部麻酔(例えば、リドカイン)を使用して、医療専門家によって行われる。
【0354】
対象からの浸透圧性送達装置の除去による治療の終了は簡単であり、対象への薬物送達の即時の中止という重要な利点を提供する。
【0355】
好ましくは、浸透圧性送達装置は、薬物製剤が送達される排出口(拡散モデレーター)の詰まりまたは閉塞のような理論的状況における偶発性の薬物の過剰またはボーラス送達を防止するために、フェイルセーフ機構を有する。偶発性の薬物の過剰またはボーラス送達を防止するために、浸透圧性送達装置は、リザーバーから拡散モデレーターを部分的にまたは完全に追い出すまたは排出するのに必要とされる圧力が、リザーバーを減圧するのに必要な程度まで半透膜を部分的にまたは完全に追い出すまたは排出するのに必要とされる圧力を超えるように設計及び構築される。そのようなシナリオでは、圧力が他の端部で外側に半透膜を押し、それによって浸透圧を解放するまで、装置内で圧力が高まるであろう。次いで、浸透圧性送達装置は静的になり、もはや薬物製剤を送達しないが、但しピストンがリザーバーと密閉にあるという条件である。
【0356】
懸濁製剤は、注入ポンプ、例えば、実験動物(例えば、マウス及びラット)の連続投薬用の微小の注入ポンプであるALZET(登録商標)(DURECT Corporation、Cupertino、Calif.)浸透圧ポンプで使用することもできる。
【実施例
【0357】
以下の実施例は、本発明の実施方法を当業者に完全に開示及び説明するために提供され、本発明者らが本発明とみなすものの範囲を限定することは意図されない。使用される数(例えば、量、濃度及びパーセント変化)について正確性を確実にするように努力したが、いくらかの実験上の誤差及び偏差が考慮されるべきである。別段指示がない限り、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧または大気圧付近である。
【0358】
本発明の方法を実施するのに使用される組成物は、医薬製品に必要とされる含有量及び純度に関する仕様を満たす。
【0359】
実施例1:グルカゴン受容体選択的アゴニストポリペプチドの生成
表3に提供する本発明のグルカゴンポリペプチドを、固相方法によって、Preludeペプチド合成機(Protein Technologies Inc.、Tucson、AZ)で合成し、これは、Fmocストラテジーを使用し、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中の2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウラニウムヘキサフルオロリン酸(HBTU)または2-(6-クロロ-1-H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロリン酸(HCTU)の活性化(5倍モル過剰)及び塩基としてのN’N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、Fmoc脱保護用の20%ピペリジン/DMFを用いた。樹脂はRink Amide MBHA LL(Novabiochem)またはN-α-Fmoc保護され、予め装填されたWang LL(Novabiochem)であり、20~400μmolスケールで0.29~0.35mmol/gを装填した。最終的な脱保護及び固体支持体からのペプチドの切断を、(92.5%のTFA、2.5%のフェノール、2.5%の水及び2.5%のトリイソプロピルシラン)で2~3時間樹脂を処理することによって行った。切断したペプチドを冷却ジエチルエーテルを使用して沈殿させた。ジエチルエーテルをデカントし、冷却ジエチルエーテルで固形物を再び粉砕し、遠心分離によってペレット化し、凍結乾燥した。凍結乾燥した固形物を0.1%TFA(10~15mL)を含むアセトニトリル/水の1:1溶液中に再溶解し、30~45分にわたって、30mL/minの流速、λ-215nmで、0.1%のTFAを含む5~75%のアセトニトリル/水の範囲内の30勾配を使用して、Waters XBridge(商標)BEH130、CIS、10pm、130Å、30×250mm IDカラムで、逆相HPLCにより精製した。精製生成物を凍結乾燥し、ESI-LC/MS及び分析的HPLCで分析し、純粋(>98%)であることが示された。質量の結果はすべて計算値と一致した。
【0360】
ペプチド類似体の特性評価を、3つの方法Aまたは方法Bまたは方法Cのうちの1つを使用して、C18 HPLC及びLC/MS分析(Acquity SQD Waters Corp、Milford、MA)及び215nmと280nmの二重吸光度シグナルによりもたらされるUV検出によって行った。
【0361】
LC/MS条件:方法A:30分にわたって、流速0.5mL/min、λ-215nm、280nmで、0.05%のTFAを含む5~65%のアセトニトリル/水を使用して、Phenomenex UPLC Aeris(商標)ペプチドXB C18 35カラム、1.7pm、2.1×100mmまたはACQUiTY BEH300もしくはBEH130 CT8カラム、1.77pm、2.1×100mmで行った。
【0362】
C18 HPLC条件:方法A:25℃、30分にわたる0.05%のTFAを含む5~65%のアセトニトリル/水、流速0.5mL/min、λ215nm、λ280nmで、Acquity BEH130、C18カラム、1.7μm、100×2.10mmカラムでUPLC分析を行った。
【0363】
方法B:25℃、20分にわたる0.05%のTFAを含む5~65%のアセトニトリル/水、流速0.5mL/min、λ215nm、λ280nmで、Acquity BEH130、C18カラム、1.7μm、100×2.10mmカラムでUPLC分析を行った。
【0364】
方法C:25℃、10分にわたる0.05%のTFAを含む5~65%のアセトニトリル/水、流速0.5mL/min、λ215nm、λ280nmで、Acquity BEH130、C18カラム、1.7μm、100×2.10mmカラムでUPLCを分析を行った。PLNO(ニードルオーバーフィルをともなう部分ループ)注入モードを使用して、5.0uLの試料を注入した。
【0365】
表3は、化合物A4(配列番号44)、化合物A5(配列番号45)、化合物A6(配列番号46)、化合物A2(配列番号42)、化合物A1(配列番号41)、化合物A3(配列番号43)、化合物A97(配列番号143)、化合物A98(配列番号144)、化合物A99(配列番号145)、化合物A100(配列番号146)、化合物A101(配列番号147)、化合物A102(配列番号148)及び化合物A97(配列番号149)と本明細書で言及する選択的グルカゴン受容体類似体を含めた本開示の選択的グルカゴン受容体類似体に関するアミノ酸配列及び実験データを提供する。
【0366】
実施例2:ラクタム架橋されたグルカゴン受容体選択的アゴニストポリペプチドの生成
合成、精製及び分析の方法は、以下の修正を用いて実施例1に記載されているように行った。表3に提供する本発明のグルカゴンポリペプチドを、固相方法によって、Preludeペプチド合成機(Protein Technologies Inc.、Tucson、AZ))で合成し、これは、Fmocストラテジーを使用し、Rink Amide MBHA LL(Novabiochem)またはN-α-Fmoc保護され、予め装填されたWang LL(Novabiochem)を使用し、20~400μmolスケールで0.29~0.35mmol/gを装填した。4.0当量のHBTU、4.0当量のHOBT、8.0当量のDIEAを使用してFmocアミノ酸(4.0当量、1.0mmol)残基を活性化し、これを樹脂に1時間結合させた。20%(v/v)ピペリジンのジメチルホルムアミド溶液で処理することによって、Fmoc基を除去した。使用した側鎖保護基は、Asn、Gln、Cys及びHisについてはTrtであり、Ser、Thr及びTyrについてはt-Buであり、Lys及びTrpについてはBocであり、Asp及びGluについてはOt-Buであり、ArgについてはPbfであった。
【0367】
オルソゴナルに保護されたリジン(Alloc)17及びGlu(Allyl)21を使用して、位置17~21の間及び位置24~27の間のラクタム架橋を導入し、Glu(Allyl)24及びリジン(Alloc)27を配列中の括弧内にEで表し、リジン(Alloc)を配列番号19及び配列番号20に示される配列中の括弧内にKで表す。
【0368】
固体支持体上でC末端からN末端まで合成した。第1のラクタム架橋(残基17~残基21)を組み込むために、Phe21で合成を一時停止した。前もって窒素で30分間フラッシュしたDCM(6×10ml)で樹脂を洗浄した。次に、パラジウムテトラキス、Pd(PPh3)3(3当量)をCHCl3/AcOH/NMM(37:2:1)の溶液に加えた。固形物のすべてが溶解して濃いこはく色の溶液になるまで、溶液に窒素をバブリングさせた。この溶液をアミノ酸ボトルに移し、ここでさらに5分間窒素で脱気した。次いで、これをprelude合成機に設置した。20mlのパラジウム溶液を各RVに加え、この反応混合物を3時間撹拌した。標準的なプロトコールを使用して合成を続けた。第2のラクタム架橋(残基24~残基28)を組み込むために、Leu14で合成を一時停止し、ラクタム架橋形成のための上記の手を繰り返した。
【0369】
樹脂からペプチドを切断する前に、Pd(PPh3)のCHCl/AcOH/NMM(37:2:1)溶液中でアリル保護基を除去した。ラクタムへの環化は、Pybop(6当量)、HOBT(6当量)及びDIEA(12当量)を使用して行った。次いで、樹脂をDMFで洗浄し、窒素下で15分間真空乾燥した。
【0370】
試薬B(92.5%のTFA、2.5%のフェノール、2.5%の水及び2.5%のトリイソプロピルシラン)で2~3時間樹脂を処理することによって、最終的な脱保護及び固体支持体からのペプチドの切断を行った。切断したペプチドを冷却ジエチルエーテルを使用して沈殿させ、ジエチルエーテルをデカントし、冷却ジエチルエーテルで固形物を再び粉砕し、遠心分離によってペレット化し、凍結乾燥した。このペレットを水(10~15mL)に再溶解し、濾過し、30~45分にわたって、30mL/minの流速、λ-215nmで、0.1% TFAを含む5~75%のアセトニトリル/水の範囲内の30勾配を使用して、Waters XBridge(商標)BEH130、CIS、10pm、130Å、30×250mm IDカラムを使用して、逆相HPLCにより精製した。あるいは、精製は、30~45分にわたって、30mL/minの流速、λ-215nmで、0.1%TFAを含む5~45%のアセトニトリル/水の勾配範囲で、Waters XBridge BEH 130、C18、10μm、130Å、30×250mm IDカラムを使用して、逆相クロマトグラフィーを介するGilson分取HPLCシステムを使用して行った。精製生成物を凍結乾燥し、ESI-LC/MS及び分析的HPLCで分析し、純粋(>98%)であることが示される。質量の結果はすべて計算値と一致した。
【0371】
ペプチド類似体の特性評価を、3つの方法Aまたは方法Bまたは方法Cのうちの1つを使用して、C18 HPLC及びLC/MS分析(Acquity SQD Waters Corp、Milford、MA)及び215nmと280nmの二重吸光度シグナルによりもたらされるUV検出によって行った。
【0372】
化合物A104の化学構造を図4Aに示し、化合物A105の化学構造を図4Bに示す。
【0373】
実施例3:グルカゴン受容体選択的アゴニストポリペプチドの安定性及び溶解性
グルカゴン及び本明細書に記載の類似体、例えば、化合物A98、化合物A99、化合物A100、化合物A101、化合物A102、化合物A2、化合物A1、化合物A5、化合物A6、化合物A3、化合物A44及び化合物A97を、5%NaCl生理食塩水(すなわち、バイオアッセイバッファー)におけるまたは水溶液(すなわち水)における安定性について試験した。グルカゴン及びこれらの類似体を37℃及び室温でインキュベートした。試料を30日にわたって一定の間隔で取り出し、LC/MS及びHPLCによって分析して、純度及び分解生成物の質量について決定した。この分析の結果を表3に示す。
【0374】
グルカゴン及び本明細書に記載の類似体、例えば、化合物A98、化合物A99、化合物A100、化合物A101、化合物A102、化合物A2、化合物A1、化合物A5、化合物A6、化合物A3、化合物A44及び化合物A97を、室温で、5%NaCl生理食塩水(すなわち、バイオアッセイバッファー)におけるまたは水溶液における溶解性について試験した。試料の透明性、混濁または曇りの任意の出現について試料を視覚的に検査した。この分析の結果を表3に示す。
【0375】
実施例4:類似体、ペプチド受容体媒介性cAMP蓄積のインビトロスクリーニング
ヒトGCGR(NM_000160)及びヒトGLP-1R(NM_002062)をコードするCMVプロモーター駆動性プラスミドを、リポフェクタミン2000を使用して、CHO-K1細胞に36時間トランスフェクトした。トランスフェクションに続いて、細胞ディスラプション培地を使用して細胞をフラスコから取り出し、これを5uLの刺激緩衝液中のウェルあたり1000細胞で、白色384ウェルプレートに分注した。製造業者のプロトコール(Perkin Elmer)に従ってLANCE Ultra cAMP検出キットを使用して、ペプチド受容体活性を決定した。刺激緩衝液中でペプチドを段階希釈し、5uLの各ペプチド希釈物を細胞に加え、室温で30分間インキュベートした。表2Aに示す結果については、試験濃度は、GCGR及びGLP-1Rアッセイにおいて1nm~15fMの範囲であった。表2Bに示す結果については、試験濃度は、GCGRアッセイについて1uM~0.1fMの範囲であり、GLP-1Rアッセイについ500uM~10fMであった。ペプチドのインキュベーションに続いて、5uLのユーロピウム標識cAMP及び5uLのUlight(商標)抗cAMP抗体をウェルに加え、さらに60分間インキュベートした。Envision(登録商標)蛍光プレートリーダーでプレートを読み取り、GraphPad Prism(登録商標)を使用してデータを分析した。式:Y=底部+(上部-底部)/(1+10Λ((LogIC50-X)*ヒル勾配))(ヒル勾配は-1.0に制限される)を使用して、ベースライン補正した適合曲線から効能を決定した。
【表2A】
【表2B】
【0376】
いくつかの実施形態では、化合物A97、A98、A99、A100、A101、A102またはA103に対応する本開示の単離ポリペプチドが提供される。
【0377】
ヒトグルカゴン、GLP-1(7-37)及び2つのグルカゴン受容体選択的ペプチドアゴニストによるヒトグルカゴン受容体(GCGR)及びヒトGLP-1受容体(GLP-1R)におけるペプチド受容体活性化プロファイル。図1Aは、ペプチド化合物A2、化合物A1及びグルカゴンはGCGRに対してほぼ等効能であるが、GLP-1(7-37)ははるかに低い効能でGCGRを活性化することを示す。図1Bは、図1Aに示す結果と対照的に、ペプチド化合物A2及び化合物A1はGLP-1Rに対して不活性であることを示し、これは、GCGR選択的アゴニストとしてのペプチド化合物A2及び化合物A1のプロファイルを実証する。すべての類似体のデータを表3に記載する。
【0378】
合成したグルカゴン受容体アゴニストペプチドの配列及びcAMPアッセイで決定されたそれらのpEC50値を以下の表3に示す。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【表3-10】
【0379】
実施例5:静脈内注入:腎臓からのペプチドクリアランス(CL)を評価するための薬物動態研究
ペプチドを無菌生理食塩水中に配合し、絶食させていない雄のWistar HanまたはSprague-Dawley系ラット(群当たりn=3)に、0.3または0.1mg/kgの最終用量で、頸静脈カニューレを介して、3時間静脈内注入として投与した。製剤は1.67mL/kg/hの速度で投与した。抗凝固薬としてのK2EDTA及び25uLのプロテアーゼ阻害剤カクテルを含むマイクロティナチューブ中に注入開始後1、2、3、3.17、3.33、3.5、4、4.5、5及び6時間で、大腿静脈カニューレを介して、血液試料(およそ250uL)を薬物動態解析用に採取した。遠心分離によって血漿を調製し、分析するまで-80℃で貯蔵した。
【0380】
実施例6:皮下注入:腎臓からのペプチドクリアランス(CL)を評価するための薬物動態研究
ペプチドを無菌生理食塩水中に配合し、絶食させていない雄のWistar HanまたはSprague-Dawley系ラット(群当たりn=3)に、0.3または0.1mg/kgの最終用量で、肩甲骨間の皮下空間に設置したカニューレを介して、3時間皮下注入として投与した。製剤は0.145mL/kg/hの速度で投与した。抗凝固薬としてのK2EDTA及び25uLのプロテアーゼ阻害剤カクテルを含むマイクロティナチューブ中に注入開始後1、2、3、3.17、3.33、3.5、4、4.5、5及び6時間で、頸静脈カニューレを介して、血液試料(およそ250uL)を薬物動態解析用に採取した。遠心分離によって血漿を調製し、分析するまで-80℃で貯蔵した。この分析の結果を以下の表3ならびに図2A及び2Bに示す。
【0381】
実施例7:静脈内ボーラス注射:腎臓からのペプチドクリアランス(CL)循環ペプチドグルカゴン類似体を評価するための薬物動態研究
絶食させていない雄のWistar Hanラット(群当たりn=3)に、頸静脈カニューレを介して、単回静脈内ボーラス用量としてペプチドを投与した。化合物は、無菌生理食塩水、酸性化生理食塩水(pH2.0または4.5)または5%DMSO水溶液のいずれかに入れた溶液剤として製剤化し、1.5mL/kgの量及び0.1mg/kgの最終用量で投与した。抗凝固薬としてのK2EDTA及び25uLのプロテアーゼ阻害剤カクテルを含むマイクロティナチューブに投与後0.083、0.167、0.25、0.33、0.5、1、2、4、8、12及び24時間で、大腿静脈カニューレを介して、血液試料(およそ250uL)を薬物動態解析用に採取した。遠心分離によって血漿を調製し、分析するまで-80℃で貯蔵した。この分析の結果を以下の表4に示す。
【表4】
【0382】
いくつかの実施形態では、化合物A104またはA105に対応する本開示の単離ポリペプチドが提供される。
【0383】
実施例8:薬物動態研究のための血漿試料調製の一般的方法
タンパク質沈殿:ペプチドの非特異的結合を軽減するために、すべての96ウェルプレートをブロッキング剤でコーティングした。0.1%TFAを含有する200uLの2:1エタノール:アセトニトリルを含む96ウェルプレートに血漿試料(75uL)を加え、吸引によって十分に混合した。プレートに蓋をかぶせ、ボルテックスして混合し、遠心分離した。上清(215uL)をきれいな96ウェルプレートに移し、窒素流下で蒸発乾固させ、次いで、0.1%ギ酸を含む20%アセトニトリル水溶液75μL中で再構成した。
【0384】
固相抽出:試料を5%NHOH(水溶液)で3倍希釈し、それぞれ200uLのメタノール及び5%NHOH(水溶液)で前もって調節されたOasis MAX microElutionプレート(Waters Corp、Milford、MA)に装填した。このプレートを200uLの5%NHOH(水溶液)で洗浄し、続いて、200uLの20%アセトニトリル水溶液で洗浄した。5%ギ酸のメタノール溶液200uLを使用してペプチドを溶出し、窒素流下で蒸発させた。0.1%ギ酸水溶液80uL中で試料を再構成した。
【0385】
実施例9:血漿中のペプチドのLC/MS定量化
K2EDTA及びプロテアーゼ阻害剤カクテルを含む対照ラット血漿中ですべてのキャリブレーション標準を調製した。CTC HTS PAL自動インジェクター(Leap、Carrboro、NC)、カラムオーブンを有するAgilent Infinity 1290システム(Palo Alto、CA)、Valcoスイッチング弁(Houston、TX)及びAB Sciex API5600 TripleTOF(商標)またはSciex API4000QTrap質量分析計(Framingham、MA)のいずれかから成るシステムを使用して、TurboIonSpray(商標)UPLC-MS/MSによって試料及び標準を分析した。2.1×50mmの逆相C18分析カラム、典型的には、Waters ACQUITY UPLC(商標)HSS T3、1.8μm(Waters Corporation、Milford、MA)または同様のものに試料を注入した。移動相として0.1%ギ酸を含む水(A)及び0.1%ギ酸を含むアセトニトリル(B)を使用する勾配方法を用いて、クロマトグラフィー分離を行った。最初の条件は95%A及び5%Bから成っていた。ペプチドに応じて、3~4分かけて有機成分を95%Bまで直線的に増大させた。典型的な流速は600μL/minであった。カラム温度は40または45℃で一定に保った。多重荷電親イオンから生成された1つまたは複数の生成物をモニタリングすることによって、ペプチドを定量化した。
【0386】
実施例10:体重減少をともなうグルカゴン類似体のインビボ効力
単独での及び抗肥満剤としてのエキセンディン-4と組み合わせた実施例11及び12の効力及び持続力を調べるために、肥満についてのげっ歯類モデル(食餌誘導性肥満(DIO)Long Evansラット)において、長期にわたる(13日)インビボ効力研究を行った。
【0387】
雄の食餌誘導性肥満(DIO)Long Evans(LE)ラットを使用し(Harlan Laboratories、Inc.、Indianapolis、IN)、離乳初期(約3週齢)に、高脂肪食(Teklad TD 95217、脂肪由来40%キロカロリー、Harlan Laboratories、Madison、WI)をラットに与えた。ラットは、研究開始時に15~17週齢であった。ラットをケージあたり1匹飼育し、高脂肪食(Harlan TD.95217、4.3キロカロリー/g)及び水に自由にアクセスさせ、21℃及び50%相対湿度で、午前5:00から午後5:00までの12時間明/暗周期で維持し、手術前に少なくとも10日間順応させた。QMR機器(Echo Medical Systems、Houston、TX)を使用して、ペプチド注入の開始の3日前に、ベースライン脂肪量及び非脂肪量の測定を行った。体重測定は、手術の3日前から開始して2回/週行った。ラットをそのパーセント体脂肪量及び/または体重にしたがって様々な処理群(n=4~6ラット/群)にランダム化した。手術の1日前に、Alzetミニ浸透圧ポンプ(2週;モデル2002、Durect Corporation、Cupertino、CA)を無菌条件下でビヒクルまたはペプチドのいずれかで満たした。手術当日に、ラットにイソフルラン下で麻酔をかけ、背部皮膚表面を剃り清潔にした。ラットにフルネキシン(2.5mg/kg)をSC注射した。肩甲骨の間に1~2cmの外科的な切開を行った。鈍的切開を使用して、2~3cmの皮下トンネルを生成し、ここに、無菌の満たされたミニ浸透圧ポンプを導入した。皮膚開口部を皮膚ステープルで閉じた。それらの処理群にしたがってビヒクルまたはペプチドを含む1つまたは2つのいずれかの浸透圧ポンプを各ラットに移植した。すべてのデータは平均±SEMとして提供した。一元配置ANOVAを使用して、Excel及び/またはPrism(GraphPad Software,Inc.、La Jolla、CA)でデータを分析して、各群を適切な対照群と比較した。<0.05のP値を処理群間で有意差を示すとみなした。
【0388】
動物は、国際的に認証されたケア及び使用プログラムであるAAALACで飼育及び維持した。すべての手順は、USDAの規則である動物福祉法を順守して行い、GlaxoSmithKlineまたはMisproの機関内動物ケア及び使用委員会のいずれかによって承認された。
【0389】
実施例11:効力:13日後のDIOラットの体重変化
DIO LEラットでは、化合物A2及び化合物A1の連続投薬は、13日後に体重の用量依存的な減少をもたらした。ビヒクル対照と比較した場合、0.01、0.03、0.1及び0.3mg/kg/day用量の化合物A2において、それぞれ、3.7、3.9、8.6及び23.7%の体重減少という有意な効力が達成された(p<0.05)(図3B)。一方、化合物A1は、ビヒクル対照と比較した場合、0.01、0.03、0.1及び0.3mg/kg/day用量において、それぞれ、5.6、3.5、10及び22.6%という体重減少を達成した(p<0.05)(図3C)。
【0390】
実施例12.DIO LEラットにおける、単独でのまたはエキセンディン-4と組み合わせた化合物A104の効力
化合物A104の連続投薬は、DIO LEラットにおいて、13日間の投薬後に体重の用量依存的な減少をもたらした。ビヒクル対照と比較した場合、0.1、0.3及び1.0mg/kg/day用量の化合物A104において、それぞれ、4.2%、16.5%及び25.2%の体重減少というが有意な効力が達成された(p<0.05)(図3A、左パネル)。次いで、エキセンディン-4と組み合わせて環状ペプチドグルカゴン類似体を使用し、ポリペプチドは、アミノ酸配列H-His-Gly-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-NH(配列番号142)を含んでいた。0.01mg/kg/d(単独で2.5%の体重減少)のエキセンディン-4と組み合わせた場合、DIO LEラットにおいて13日後に、0.03、0.1、0.3及び1mg/kg/d化合物A104の用量が、ビヒクル対照と比較して、6.7、11.7、24.3及び29.7%の体重減少を達成した(p<0.05)(図3A、右パネル)。
【0391】
実施例13.エクセナチド及びGLP-1についての定常状態の血漿濃度及び静脈内注入速度
方法:図5のグラフを参照すると、350~370gの体重がある雄のSprague-Dawley系ラット(Harlan、Indianapolis、IN)を実験の18時間前まで水に自由にアクセスさせ、食物(Diet LM-485、Teklad、Madison、WI)に自由にアクセスさせた。右伏在静脈(ペプチド注入用)及び右大腿動脈(採血及び動脈圧のモニタリング用)のカテーテル挿入の間、ハロタンで動物に麻酔をかけた。結腸の温度を測定し、制御した。エクセナチドまたはGLP-1-(7-36)アミドを、3注入速度、0.5、5または50nmol/hのうちの1つで、3時間にわたって連続的に注入した(各群についてn=4~6)。ヘパリン処理したNatelson毛細管に動脈試料を30分毎に採取し、卓上遠心分離機で血漿を分離し、次いで、アッセイまで-20℃で凍結した。GLP-1測定用に採取した血液試料にプロテアーゼ阻害剤を加え、これをLinco、キット番号EGLP-35Kを使用してアッセイした。エクセナチドは、2サイトサンドイッチアッセイを使用してアッセイした。
【0392】
結果:0.05、0.5、5及び50nmol/hの注入の間のエキセンディン-4及びGLP-1の血漿濃度は、約30分以内に定常状態に近づいた。両方のペプチドの定常状態の血漿濃度は、それぞれ注入速度依存的であった。注入速度と定常状態の血漿濃度(最後の2時間の値の平均)の間の関係はGFRより最も下にある3つのデータ点によって示され、エクセナチドとの関係はGFRに最も近い3つのデータ点によって示される(X軸とY軸の両方は対数単位であることに注意されたい)。これらの関係によって、各薬剤のクリアランスの計算が可能になった。エクセナチドの血漿クリアランス速度は3.7±0.5~8.3±0.7mL/minに及んだ。GLP-1のクリアランスは34±4~38±3mL/minに及び、エクセナチドのものよりも約12倍高かった。エクセナチドのクリアランスは、イヌリン(糸球体濾過速度のマーカー)の報告されたクリアランスに近づいた。インスリン(糸球体濾過、GFRによってのみクリアランスされる)に対して期待される定常状態濃度と注入速度の間の関係は、黒色破線として示される。
【0393】
実施例14.選択されたグルカゴン類似体についての定常状態の血漿濃度及び静脈内注入速度
図6のグラフを参照すると、これらのデータは、図5のグラフで示されたものを含み、さらに、ネイティブのグルカゴンが、(実施例13に記載されている手順を使用して)麻酔をかけたラットに2つの異なる注入速度で静脈内に注入された場合は、その定常状態濃度(逆三角形)を含む。GFRに最も近い正方形のデータ点は、2つのグルカゴン類似体(化合物A1及びA2)を浸透圧ミニポンプを介して皮下空間に連続的に投与した場合のこれらの測定血漿濃度を示す。GFRの破線への正方形のデータ点の近接は、(a)皮下の生物学的利用能が高かったこと、及び(b)血管コンパートメントからのクリアランスが糸球体濾過を介することと矛盾がなかったことを示す。
【0394】
実施例15.選択されたグルカゴン類似体についてのクリアランス値
図7の図示を参照すると、静脈内注入速度は均一に10mcg/kg/hrであったことを除いては、(実施例14について)上記のように行った多数の実験においてクリアランスを決定した。そのような実験から得られたmL/min/kg体重で表した、クリアランスに対する選択された値を以下の表5に示す。
【表5】
【0395】
GFRに最も近い、分布の最上部にある3つの濃い点は表5の行1、2及び5からであり、化合物A1、A2及びA3に対応する。行3及び4の重複実験は、行1及び2のものと非常に類似した値を返した。縦軸は対数であり、反転しており、その結果、最も低いクリアランスのリガンドが散布図の最上部にあることに注意されたい。GFRという標識が付けられた実線は、ラットで公表された値を示す。行1、2及び5からの値はこの境界に近く、これらの類似体が糸球体濾過を介して血漿からクリアランスされたことと矛盾がない。GFRから最も遠い、「グルカゴン」という標識が付けられた点線上の他の濃い点は、本研究でネイティブの(ヒト/ラット)のグルカゴンについて得られた値を示す。GFRに最も近い、「エクセナチド」という標識が付けられた他の点線は、このモデル系で得られたエクセナチドの公表値に由来する。エクセナチドのクリアランスは糸球体濾過に近く、ごく一部が糸球体濾過以外の手段によってクリアランスされたように思われる。いくつかの類似体は、クリアランスのそれらの制限モードとして、糸球体濾過に近づいて、エクセナチドを超えた。理論に拘束されないが、これらの類似体はエクセナチドよりもさらにペプチダーゼ消化に抵抗性であり得る。いくつかの類似体はネイティブのグルカゴンよりも高いクリアランスを有しており、これは、配列中のすべての変化が必ずしも有利であったとは限らないことを示す。
【0396】
実施例16.エクセナチドまたは選択されたグルカゴン類似体の継続投与の際のラットにおける体重減少の用量依存性の比較
図8のグラフを参照すると、黒丸は、(実施例10について記載したように)化合物A1を送達するミニポンプが埋め込まれた食餌誘導性肥満ラットにおける、初期体重のパーセントとして表した、13日間にわたる体重の平均変化をプロットする。記号は、平均±SEM(n=4/用量群)である。皮下空間への送達速度は10、30、100、200、300及び1000mcg/kg/dayであった。体重のパーセント変化は、ビヒクル注入群(X軸のゼロ)に対するものである。データ点の丸に基づく曲線は最良適合4-パラメーターシグモイド関数であり、ビヒクル応答を0に制限し、最大応答を-28%に制限する。得られたED50は65.7mcg/kg/dayであった。ヒル勾配は-1.26であった。
【0397】
同じモデルで試験したエクセナチドのデータを逆三角形として示す。エクセナチド注入速度は、3、10、40、100、150及び500mcg/kg/dayであった。データ点の三角形に基づいて生じた曲線は最良適合4-パラメーターシグモイド関数であり、ビヒクル応答を0に制限する。得られた最大応答は-12.2%の体重減少であった。ED50は10.4mcg/kg/dayであり、ヒル勾配は-1.85であった。
【0398】
以下の表6のデータで例示するように、単体で投与される化合物A1はエクセナチドとほとんど同じくらいインビボで強力であり、エクセナチドより2.3倍大きい最大体重減少をもたらした。
【表6】
【0399】
実施例17.選択されたグルカゴン類似体の継続投与の際のラットにおける体重減少の用量依存性の比較
図9のグラフを参照すると、記号は、食餌誘導性肥満ラット(図8と同様)への化合物A1(丸)、化合物A2(正方形)または化合物A3(三角形)の13日間の注入にわたる体重のパーセント変化の平均±SEMを示す。化合物A1の注入速度は0、10、30、100、200、300及び1000mcg/kg/dayであった。化合物A2については、注入速度は0、3、10、30、100、200及び300mcg/kg/dayであり、化合物A3については、0、3、10、30、100及び300mcg/kg/dayであった。
【0400】
3つの曲線は、各データセットに対する最良適合4-パラメーターシグモイド曲線を示す。適合は、ビヒクル群に対して同じ体重のパーセント変化を共有するように制限された。すべてが共通の(グルカゴンシグナリング)経路を介して機能していたので、これらは、13日間を通して27.2%として生じた共通の最大体重減少応答を共有するように制限された。化合物A1、A2及びA3について、ED50はそれぞれ51、271及び535mcg/kg/dayであった。ヒル勾配はそれぞれ-1.43、-1.25及び-1.12であった。この実験は、各類似体が薬物動態特性について最適化されたにもかかわらず、インビボ効力は異なっていたこと、及び最高のインビボ効能を有する類似体を選択する実験を必要としたことを示す。
【0401】
実施例18.単体での、またはエクセナチドと組み合わせた選択されたグルカゴン類似体の継続投与の際のラットにおける体重減少の用量依存性の比較
図10のグラフに関するデータは、27日間の処理にわたる食餌誘導性肥満ラットの体重の平均(±SEM)パーセンテージ変化を図示する。平均初期体重は564±4gであった。動物(n=8/用量群)に、(実施例10について記載したように)10mcg/kg/dayのエクセナチドの同時送達をともなって、またはともなわずに化合物A1を送達する浸透圧性ミニポンプを移植した。化合物A1は、0、7.5、24または50mcg/kg/dayの速度で送達した。したがって、化合物A1について2つの用量応答実験(1つはエクセナチドをともなわず、もう1つはエクセナチドをともなう)が存在した。さらなる群、すなわち、化合物A1 50mcg/kg/day+エクセナチド10mcg/kg/dayで処理された群が前日に摂食したのと同量の食物が毎日与えられる、「ペアフェッド」が存在した。ペアフェッド群の目的は、他の機構を介するものと対比して、カロリー摂取量の低減に起因し得る、後者の群の体重減少量を推定することである。
【0402】
黒丸は、化合物A1単体(またはビヒクル)で処理した動物における27日間の体重の変化をプロットする。ビヒクルまたは7.5及び24mcg/kg/dayの化合物A1を注入した動物は、約4%というわずかな体重増加を示したが、最高の注入速度は16.8%の低下を示した。
【0403】
三角形は、同様に処理したが、10mcg/kg/dayのエクセナチドを加えた群における、27日間の体重のパーセント変化を示す。この注入は、そのままで、4.2%の体重減少、7.9%というビヒクルのみの群との相対的差異をもたらした。正方形は、エクセナチドのみに期待される7.9%の減少を示し、化合物A1のみの群で観察された体重変化に加えられ、これにより、各成分の応答の算術的合計が示される。
【0404】
点線は、この方法で得られた算術的に合計した応答を介して適合させたシグモイド曲線である。期待される応答(単一薬剤の応答の算術的合計である)と対照的に、2つの最高の注入速度の化合物A1(24及び50mcg/kg/day)とエクセナチドの組み合わせの観察された応答は、予測より大きい体重減少を与えた。すなわち、超相加的(相乗的)効果があった。最大体重減少応答は、約27%ではなく、それどころか約47%であった。
【0405】
実施例19.27日後のDIO LEラットにおける体重減少に対するグルカゴン類似体的の効果
上記の手順を使用して、エクセナチド、得られたED10、ED30及びED50値でのグルカゴン(「GCG」)類似体またはエクセナチドと得られたED10、ED30及びED50値でのGCG類似体との組み合わせの投与の際のDIO LEラットの体重減少をモニターした。体重減少パーセンテージを、処理してから27日後に計算した(図11)。図11は、図10に示すデータを別の方法として示す棒グラフである。
【0406】
実施例20.14日後のズッカー糖尿病肥満(ZDF)ラットにおける血清トリグリセリド、肝脂肪量及び肝重量に対するグルカゴン類似体的の効果
雄のズッカー糖尿病肥満(ZDF)ラットを6週齢で得て(Charles River、Raleigh、NC)、8週齢で研究に使用した。受け取り次第、アルファドライ床敷(Shepherd Specialty Papers, Inc.、Kalamazoo、MI)上でケージあたり1匹でラットを飼育し、Purina 5008固形飼料(Lab Diet、St.Louis、MO)及び水に自由にアクセスさせ、21℃及び50%相対湿度で、午前5:00から午後5:00までの12時間明/暗周期で維持し、研究開始前に9日間順応させた。
【0407】
エクセナチド(10%DMSO/水中に0.01mg/kg/day)及び/またはグルカゴン類似体、化合物A104(10%DMSO/水中に0.03、0.1、0.3、1.0または3.0mg/kg/day)を、皮下(s.c.)に設置したAlzet浸透圧ポンプ、モデル2002(DURECT Corporation、Cupertino、CA)を介して、ラットに投与した。手術当日に、無菌条件下で、Alzetポンプをビヒクル(10%DMSO/滅菌水)またはエクセナチドのいずれかで満たした。イソフルラン下でラットに麻酔をかけ、背部皮膚表面を剃り、クロルヘキシジン及び滅菌水で清潔にした。リドカイン(鎮痛剤、0.1mlの0.125%リドカイン)をラットにID注射した。肩甲骨の間に1~2cmの外科的な切開を行った。鈍的切開を使用して、2~3cmの皮下トンネルを生成した、ここに、無菌の満たされたミニ浸透圧ポンプを導入した。皮膚開口部を皮膚ステープルで閉じた。イソフルラン麻酔からの回復について、手術後にラットをモニターした。
【0408】
トリグリセリドレベルを測定するために、ベースライン出血(3日目)用に血液試料を尾静脈から得た。イソフルラン麻酔下での心臓穿刺によって最終的な血液試料を採取した(14日目)。それぞれ、EDTA及びT-MG管を使用して、製造業者[Terumo Medical Corporation、Elkton、MD]のプロトコールにしたがって、血清を調製した。最終出血後に、肝臓を採取し、秤量し、ホモジナイズして、生化学分析を行った(図13)。血清試料及び肝臓ホモジネートの臨床化学分析は、トリグリセリドアッセイについて製造業者が説明しているプロトコール及び方法パラメーターを用いて、Olympus AU640臨床化学分析機(Olympus America Inc.、Melville、NY)を使用することによって行った。
【0409】
動物は、国際的に認証されたケア及び使用プログラムであるAAALACで飼育維持した。すべての手順は、USDAの規則である動物福祉法を順守して行い、GlaxoSmithKlineまたはMisproのいずれかの機関内動物ケア及び使用委員会によって承認された。
【0410】
ZDFラットでは、単独での及びエクセナチド(Ex4)と組み合わせた化合物A104の連続投薬は、14日後に血清トリグリセリドの用量依存的低下をもたらした(図12)。化合物A104は14日後に用量依存的に肝脂肪量及び肝重量も低減させた(図13)。
【0411】
実施例21.式IIの親油性置換基及びスペーサーの取り付けのための一般的合成方法
式IIの親油性置換基及びスペーサーを開示される多数のペプチドに組み込んだ:
【化7】
ここでは、式IIの構造に示されるカルボニルが開示されるペプチドのリジン残基のε-アミノ基に共有結合して、アミド結合を形成した。
【0412】
直鎖ペプチド配列を、固相方法によって、Preludeペプチド合成機(Protein Technologies Inc.、Tucson、AZ))で合成し、これは、Fmocストラテジーを使用し、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中の2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウラニウムヘキサフルオロリン酸(HBTU)または2-(6-クロロ-1-H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロリン酸(HCTU)の活性化(5倍モル過剰)及び塩基としてのN’N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、Fmoc脱保護用の20%ピペリジン/DMFを用いた。樹脂はRink Amide MBHA LL(Novabiochem)またはN-α-Fmoc保護され、予め装填されたWang LL(Novabiochem)であり、20~400μmolスケールで0.29~0.35mmol/gを装填した。アシル鎖置換について所望される位置で、FMOC-Lys(Alloc)-OHをペプチド鎖に優先的に置換した。次に、Boc-Tyr(tbu)-OHまたはBoc-Trp(Boc)-OHをN末端アミノ酸残基として使用した。合成が完了したら、樹脂をジクロロメタン(DCM)で洗浄し、真空下で30分間乾燥した。次に、パラジウムテトラキスの(CHCl/酢酸/N-メチルモルホリン、37:2:1の比)溶液を使用して、Alloc保護基を除去した。続いて、DMF中のナトリウムジエチルジチオカルバメート三水和物の0.5%溶液、続いてDMF中のDIEAの0.5%溶液、最後にDMFで樹脂を洗浄した。次に、通常の固相条件を使用して、FMOC-Glu(Otbu)-OHを遊離リジン側鎖に結合させた。通常の固相方法下でパルミチン酸を使用して、C-16アシル側鎖を付加した。最終的な脱保護及び固体支持体からのペプチドの切断を、(92.5%のTFA、2.5%のフェノール、2.5%の水及び2.5%のトリイソプロピルシラン)で2~3時間樹脂を処理することによって行った。切断したペプチドを冷却ジエチルエーテルを使用して沈殿させた。ジエチルエーテルをデカントし、冷却凍結乾燥した固形物を0.1%TFA(10~15mL)を含むアセトニトリル/水の1:1溶液に再溶解し、30分にわたって、30mL/minの流速、λ-215nmで、0.1%TFAを含む5~75%のアセトニトリル/水の範囲内の勾配を使用して、Waters XBridge(商標)BEH 130、C18、10um、130Å、30×250mm IDカラムで、逆相HPLCによって精製した。カラムヒーターは60℃に設定した。精製生成物を凍結乾燥し、ESI-LC/MS及び分析的HPLCで分析し、純粋(>98%)であることが示された。質量の結果はすべて計算値と一致した。
【0413】
HPLC分析の条件:以下の勾配(15分にわたる20%~100%及び20分まで100%での維持)で分析用Agilent 1100を使用する、4.6×250mm XBridge BEH130、5um、C18カラム。カラム温度は40℃に設定した。流速は1.0mL/minに設定した。溶媒はA=H2O+0.1%TFA及びB=アセトニトリル+0.1%TFAから成っていた。粗製の及び最終的なLCMSを観察し、生成物の質量を以下の条件(215及び280nmに設定されたUV検出)を使用して特定した。
【0414】
LCMS分析の条件:以下の勾配(10分にわたる20%B~95%B、1.2分にわたってカラムを洗浄するために95%で維持)でAPI-4000 Sciex LC/MS/MSシステムと組み合わせた分析用Agilent 1100を使用する、4.6×250mm XBridge BEH130、5um、C18カラム。12.5分まで5%B、95%Aでカラムを平衡化する。カラム温度は40℃に設定した。流速は1.5mL/minに設定した。溶媒はA=H2O+0.1%TFA及びB=アセトニトリル+0.1%TFAから成っていた。UV検出を215及び280nmに設定した。方法=Q1 MS。シリンジサイズ100uL、UV域190~400nm、スリット幅=4mm、サンプリング速度=>20Hz.、イオン源:Turboスプレー、極性=正。
【0415】
実施例22.式IIIの親油性置換基及びスペーサーの取り付けのための一般的合成方法
式IIIの親油性置換基及びスペーサーを開示される多数のペプチドに組み込んだ:
【化8】
ここでは、式IIIの構造に示されるカルボニルが開示されるペプチドのリジン残基のε-アミノ基に共有結合して、アミド結合を形成した。
【0416】
直鎖ペプチド配列を、固相方法によって、Preludeペプチド合成機(Protein Technologies Inc.、Tucson、AZ))で合成し、これは、Fmocストラテジーを使用し、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中の2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウラニウムヘキサフルオロリン酸(HBTU)または2-(6-クロロ-1-H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロリン酸(HCTU)の活性化(5倍モル過剰)及び塩基としてのN’N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、Fmoc脱保護用の20%ピペリジン/DMFを用いた。樹脂はRink Amide MBHA LL(Novabiochem)またはN-α-Fmoc保護され、予め装填されたWang LL(Novabiochem)であり、20~400μmolスケールで0.29~0.35mmol/gを装填した。アシル鎖置換について所望される部位で、FMOC-Lys(Alloc)-OHをペプチド鎖に優先的に置換した。次に、Boc-Tyr(tbu)-OHまたはBoc-Trp(Boc)-OHをN末端アミノ酸残基として使用した。合成が完了したら、樹脂をジクロロメタン(DCM)で洗浄し、真空下で30分間乾燥した。次に、パラジウムテトラキスの(CHCl/酢酸/N-メチルモルホリン、37:2:1の比)溶液を使用して、Alloc保護基を除去した。続いて、DMF中のナトリウムジエチルジチオカルバメート三水和物の0.5%溶液、続いてDMF中のDIEAの0.5%溶液、最後にDMFで樹脂を洗浄した。次に、スペーサー領域の伸長を、通常の固相条件を使用して、{2-[2-(Fmoc-アミノエトキシ}酢酸、続いて、FMOC-Glu(Otbu)-OHのカップリングを用いて進めた。C-18、酸末端側鎖を、通常の固相方法下でオクタデカン二酸を使用して付加した。最終的な脱保護及び固体支持体からのペプチドの切断を、(92.5%のTFA、2.5%のフェノール、2.5%の水及び2.5%のトリイソプロピルシラン)で2~3時間樹脂を処理することによって行った。切断したペプチドを冷却ジエチルエーテルを使用して沈殿させた。ジエチルエーテルをデカントし、冷却ジエチルエーテルで固形物を再び粉砕し、遠心分離によってペレット化し、凍結乾燥した。凍結乾燥した固形物を0.1%TFA(10~15mL)を含むアセトニトリル/水の1:1溶液に再溶解し、30分にわたって、30mL/minの流速、λ-215nmで、0.1%TFAを含む5~75%のアセトニトリル/水の範囲内の勾配を使用して、Waters XBridge(商標)BEH 130、C18、10um、130Å、30×250mm IDカラムで、逆相HPLCによって精製した。カラムヒーターは60℃に設定した。精製生成物を凍結乾燥し、ESI-LC/MS及び分析的HPLCで分析し、純粋(>98%)であることが示された。質量の結果はすべて計算値と一致した。
【0417】
HPLC分析の条件:以下の勾配(15分にわたる5%~70%及び20分まで70%での維持)で分析用Agilent 1100を使用する、4.6×250mm XBridge BEH130、5um、C18カラム。カラム温度は40℃に設定した。流速は1.5mL/minに設定した。溶媒はA=H2O+0.1%TFA及びB=アセトニトリル+0.1%TFAから成っていた。粗製の及び最終的なLCMSを観察し、生成物の質量を以下の条件(215及び280nmに設定したUV検出)を使用して特定した。
【0418】
LCMS分析の条件:以下の勾配(10分にわたる5%~65%、1分にわたってカラムを洗浄するために95%までランピング及び12.5分まで5%有機物に戻して平衡化)でAPI-4000 Sciex LC/MS/MSシステムと組み合わせた分析用Agilent 1100を使用する、4.6×250mm XBridge BEH130、5um、C18カラム。カラム温度は40℃に設定した。流速は1.5mL/minに設定した。溶媒はA=H2O+0.1%TFA及びB=アセトニトリル+0.1%TFAから成っていた。UV検出を215及び280nmに設定した。方法=Q1 MS。シリンジサイズ100uL、UV域190~400nm、スリット幅=4mm、サンプリング速度=>20Hz.、イオン源:Turboスプレー、極性=正。
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【0419】
開示される化合物中の示されるペプチド残基に位置するリジン残基(K****)の各ε-アミノ基は、式IIの構造の示されるカルボニルに共有結合して、アミドを形成する:
【化9】
【0420】
開示される化合物中の示されるペプチド残基に位置するリジン残基(k*****)の各ε-アミノ基は式IIIの構造の示されるカルボニルに共有結合して、アミドを形成する:
【化10】
【0421】
実施例23.静脈内注入後の腎臓からのペプチドのクリアランス(CL)
ペプチドを無菌生理食塩水中に配合し、絶食させていない雄のWistar HanまたはSprague-Dawley系ラット(群当たりn=3)に、0.3または0.1mg/kgの最終用量で、頸静脈カニューレを介して、3時間静脈内注入として投与した。製剤は1.67mL/kg/hの速度で投与した。抗凝固薬としてのK2EDTA及び25uLのプロテアーゼ阻害剤カクテルを含むマイクロティナチューブ中に注入開始後1、2、3、3.17、3.33、3.5、4、4.5、5及び6時間で、大腿静脈カニューレを介して、血液試料(およそ250uL)を薬物動態解析用に採取した。遠心分離によって血漿を調製し、分析するまで-80℃で貯蔵した。
【0422】
アシル化ペプチドを無菌生理食塩水中に配合し、絶食させていない雄のSprague-Dawley系ラット(群当たりn=3)に、0.033mg/kgの最終用量で、頸静脈カニューレを介して、1時間静脈内注入として投与した。製剤は1.67mL/kg/hの速度で投与した。大腿静脈カニューレを介して、抗凝固薬としてのK2EDTA及び25uLのプロテアーゼ阻害剤カクテルを含むマイクロティナチューブ中に注入開始後0、0.25、0.5、1、1.17、1.33、1.5、2、4、6、8、24、30及び48時間で、血液試料(およそ250uL)を薬物動態解析用に採取した。遠心分離によって血漿を調製し、分析するまで-80℃で貯蔵した。代表的な結果を以下の表8に示す。
【表8】
【0423】
実施例24.エクセナチドまたはグルカゴン類似体の継続投与の際のラットの体重減少
初期体重が586±86(平均±SD)である食餌誘導性肥満のLEラットそれぞれに、(実施例10で記載して用に)それぞれエクセナチドまたはグルカゴン類似体、すなわち、選択的グルカゴン受容体アゴニストを送達する2つの浸透圧ミニポンプ(Alzet)を移植した。処理群は、エクセナチドとグルカゴン類似体の30の異なる組み合わせを含み、各群に10~20匹の動物を有していた。
【0424】
体重を7日毎に測定した。結果を、21日の連続投薬後の初期体重のパーセンテージとして、縦(Z)軸上の体重減少の3-Dプロットとして図14に図示する。したがって、基準平面化から出現するライザーの頂部の丸として示される正の体重減少は、処理前の体重に対する体重の減少を示す。明確性を保つために、エラーバーを示さない。
【0425】
図14の横軸は、エクセナチド及びグルカゴン類似体シングレトンのそれぞれに対するマイクログラム/kg体重/dayの単位の1日量の対数に関する。-1のエクセナチド対数用量は、エクセナチド用量がゼロ(グルカゴン類似体のみの処理)であった処理を示し、グルカゴン対数用量軸の-1は、グルカゴンが投与されなかった(エクセナチドのみの処理)を処理を示す。したがって、左最前面及び右最前面の一連の点は、それぞれ、エクセナチド単体及びグルカゴン類似体単体に対する用量応答を示す。
【0426】
21日間の処理後のエクセナチド単体に対する体重減少応答は、12.5%の体重減少の最大応答、9.6μg/kg/dayのED50を有し0.88のヒル勾配を有する4-パラメーターシグモイド曲線によって説明することができる。グルカゴン類似体単体については、21日間の体重減少に対するパラメーターは、28.5%の最大応答(maximum)、45μg/kg/dayのED50及び2.7のヒル勾配であった。
【0427】
実施例25.エクセナチド/グルカゴン類似体の組み合わせの評価
エクセナチド/グルカゴン類似体の組み合わせに対する応答のある種の重要な特色の特性評価を可能にするために、図14の生データを連続関数に適合させた。連続応答面の一般形式は、
組み合わせに対する応答=(aRespEx)+(bRespGGN)+(cRespExRespGGN)
であった。ここでは、RespEx及びRespGGNは、各シングルトンで観察された用量依存的応答を示す。
【0428】
組み合わせの応答を、これが100%の体重減少を超えることができないように、さらに双曲線形相関によって制限した。GraphPad Prism v7.0(GraphPad software、San Diego、CA)を使用して、上記のユーザー定義の式の最小二乗逐次近似法によって、最良適合連続応答面(R=0.9)を得た。C>0の場合、乗法的(超相加的)成分が存在した。
【0429】
各処理群を示す記号を、図15の最良適合面の網目内に埋め込まれた球として示す。エクセナチドのみの平面とグルカゴン類似体のみの平面をつなぐ4本の破線の曲線は、1つの薬剤が等しい有効量のもう1つに置換される場合に、相加的相互作用により得られるであろう等しい効果(イソボール)の線を示す(期待される2%、4%、6%及び8%の体重減少のイソボールを示す)。4本の太い実線は、代わりに観察されたものを示し、そのような用量置換に対応する応答面である。実線(観察された)と破線(期待される)の差異は、相乗的相互作用を規定する。予測される効果の各レベルについて、効果がピークに達し、相乗作用が最大である用量比が存在した。
【0430】
実施例26.エクセナチド/グルカゴン類似体の固定比率の組み合わせの評価
組み合わせ生成物は固定比率で投与される薬剤を含むことができるので、漸増用量の固定比率混合物の観点から応答面を分析した。
【0431】
固定用量比を、対数エクセナチド(「EX」)対対数グルカゴン類似体(「GGN」)の基準平面上の平行な対角平面として図16に示す。各混合物の用量応答を、応答面が各平面と交差する一連の黒色曲線として示す。面上の4本の灰色曲線(図15で太い黒色線として示される)は、1つの薬剤が等しい有効量のもう1つに置換される(いわゆる「用量比スキャン」)場合に観察される応答である。
【0432】
固定用量比の灰色の平面が応答面と交差する太い黒色線は、それらの最適の用量比近くで4本の灰色線を横断するように思われる。灰色の平面は、3:1のGGN:EX用量比を規定する。10:1及び1:1のGGN:EXの混合物も十分に機能した。
【0433】
実施例27.インビボ効力の評価
エクセナチド/グルカゴン類似体の様々な固定比率の組み合わせについて、薬物の単位総量あたりの効果と定義されるインビボ効力の評価を試みた。
【0434】
薬物リザーバーの容量が限られているミニ浸透圧ポンプなどのいくつかの適用については、最高の見かけ上のインビボ効能を有する混合物が最も有利である。異なる混合物の見かけ上のインビボ効能は、薬物の単位総量あたりの(またはより厳密には、製剤の体積あたりの)効果と定義することができる。
【0435】
そのため、図15及び図16において面として示す混合物に対する応答を、図17に示す2-D用量応答に下げることができる。図17のX軸は単一の薬剤の用量ではないが、固定比率混合物の両方の薬剤の量である。
【0436】
異なる混合物についての容量応答のファミリーには、最少の組み合わせ用量が所与の効果(横矢印で示されるように、20%の体重減少で例示される)を誘起するものが含まれる。このようにして特定された有望な混合は、GGN:EXのおよそ3:1の混合物であった。最高の見かけ上の効能を示すこの混合物に対する応答を破線として示す。
【0437】
他の実施形態
本発明をそれらの詳細な説明とともに説明してきたが、前述の説明は、例示することを意図するものであり、添付の特許請求の範囲の範囲内によって定められる本発明の範囲を制限すること意図しない。他の態様、利点及び修正は以下の特許請求の範囲の範囲内である。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【配列表】
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