(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】貯湯式給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/212 20220101AFI20220523BHJP
【FI】
F24H1/18 302Z
(21)【出願番号】P 2019049887
(22)【出願日】2019-03-18
【審査請求日】2021-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390002886
【氏名又は名称】株式会社長府製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】502025473
【氏名又は名称】エイチ・アール・ディー・シンガポール プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 雅史
(72)【発明者】
【氏名】萩原 浩
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-053833(JP,A)
【文献】特開2010-281487(JP,A)
【文献】特開2006-250504(JP,A)
【文献】特開2015-203509(JP,A)
【文献】特開2013-002693(JP,A)
【文献】特開2009-121719(JP,A)
【文献】特開2014-190644(JP,A)
【文献】実開昭59-055882(JP,U)
【文献】実開平07-029804(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 1/18-1/20
F24H 4/00-4/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクユニットに設けられた貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクユニットに設けられ、前記加熱手段を作動させる制御手段とを有する貯湯式給湯装置において、
前記貯湯タンクの異なる高さ位置に配されて該貯湯タンク内の湯温を計測するn個の残湯量温度センサを備え、
前記制御手段と、前記貯湯タンクユニットに備えられ、前記貯湯タンク内の水の加熱に利用される、前記加熱手段を除く電気系統機構とは、前記貯湯タンクユニットの取付部が設置面に固定された状態で、該設置面から1m以上の高さ位置にある高領域に設けられ
、
前記n個の残湯量温度センサにそれぞれ連結された第1ケーブルと前記制御手段に連結されたn本の第2ケーブルとをそれぞれ接続するn個のコネクタC1も、前記高領域に位置していることを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
請求項1記載の貯湯式給湯装置において、前記加熱手段は、前記貯湯タンクの下部に接続された管Kを流れる該貯湯タンクからの水を加熱して湯にするヒートポンプユニットであって、前記電気系統機構として、前記管Kを通過した湯の送り先を、前記貯湯タンクの上部に湯を流入させる管J及び前記貯湯タンクの下部に湯を流入させる管Lのいずれか一方から他方に切り替える三方弁と、前記貯湯タンクの下部の水を前記管K経由で前記ヒートポンプユニットに送るポンプとが設けられていることを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項3】
請求項1
又は2記載の貯湯式給湯装置において、前記貯湯タンクユニット内の部材の凍結を防止するヒータを更に備え、該ヒータは防水タイプであり、該ヒータに連結された第3ケーブルと前記制御手段に連結された第4ケーブルとを接続するコネクタC2が前記高領域に配置されていることを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置において、前記貯湯タンクの上部から給湯管に送り出された湯に水を混合する混合弁と、前記混合弁によって水が混合された湯の温度を計測する給湯温度センサとを更に備え、該給湯温度センサに連結された第5ケーブル及び前記制御手段に連結された第6ケーブルを接続するコネクタC3と、前記混合弁とが、前記高領域に位置していることを特徴とする貯湯式給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンクに給湯用の湯を貯留する貯湯式給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貯湯タンク内の湯を貯湯タンクの上部から送り出して浴槽や蛇口等に供給する貯湯式給湯装置には、特許文献1、2に記載されているように、ヒートポンプユニット(ヒートポンプ)によって貯湯タンク内の湯を沸き上げるものがある。貯湯タンクの上部と下部は流路(以下、「流路F1」と言う)によって接続されており、貯湯タンクの下部の水は、流路F1に設けられた循環ポンプの作動によって、貯湯タンクの下部から出て流路F1を流れ、ヒートポンプユニットを経由して加熱され、流路F1を流れて貯湯タンクの上部に流入する。
【0003】
流路F1のヒートポンプユニットの下流側領域には、一端が貯湯タンクの下部に連結された流路(以下、「流路F2」と言う)の他端が連結された三方弁が設けられている。三方弁は、ヒートポンプユニットが流路F1を流れる水を十分に加熱できる状態になるまで、貯湯タンクの下部からの水を流路F2経由で貯湯タンクの下部に送り、ヒートポンプユニットが流路F1を流れる水を十分に加熱できる状態になった後、貯湯タンクの下部からの水を流路F1によって貯湯タンクの上部に送るようにする。従って、貯湯タンク内には上部から湯が蓄えられる。
【0004】
この貯湯式給湯装置においては、貯湯タンク内の湯の沸き上げのために、ヒートポンプユニット、循環ポンプ、三方弁及びこれらを制御する制御手段の作動が必要である。
また、このような貯湯式給湯装置では、一般的に、貯湯タンク、循環ポンプ及び三方弁等を具備するユニット(以下、「貯湯タンクユニット」と言う)がヒートポンプユニットとは別に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-95089号公報
【文献】特開2016-138702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、水害等によって水没した状態になると、ヒートポンプユニット(正確にはヒートポンプユニットに設けられている圧縮機等)、制御手段、循環ポンプ及び三方弁は不具合が生じる可能性が高い。この点、ヒートポンプユニットは貯湯タンクユニットに比べて全体の大きさが小さく、設置台等を用いて高い位置に設置することは容易であるが、貯湯タンクユニットは、耐震性等の理由から設置台等を用いて高い位置に配するのはコスト面等の観点から現実的ではない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、貯湯タンクユニットの一部が水没しても、貯湯タンク内の湯の沸き上げを行うことが可能な貯湯式給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う本発明に係る貯湯式給湯装置は、貯湯タンクユニットに設けられた貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクユニットに設けられ、前記加熱手段を作動させる制御手段とを有する貯湯式給湯装置において、前記貯湯タンクの異なる高さ位置に配されて該貯湯タンク内の湯温を計測するn個の残湯量温度センサを備え、前記制御手段と、前記貯湯タンクユニットに備えられ、前記貯湯タンク内の水の加熱に利用される、前記加熱手段を除く電気系統機構とは、前記貯湯タンクユニットの取付部が設置面に固定された状態で、該設置面から1m以上の高さ位置にある高領域に設けられ、前記n個の残湯量温度センサにそれぞれ連結された第1ケーブルと前記制御手段に連結されたn本の第2ケーブルとをそれぞれ接続するn個のコネクタC1も、前記高領域に位置している。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る貯湯式給湯装置は、制御手段と、貯湯タンクユニットに備えられ、貯湯タンク内の水の加熱に利用される電気系統機構とが、貯湯タンクユニットの取付部が設置面に固定された状態で、設置面から1m以上の高さ位置にある高領域に設けられているので、貯湯タンクユニットの一部が水没しても、貯湯タンク内の湯の沸き上げを行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る貯湯式給湯装置の説明図である。
【
図3】温度センサと制御手段の接続を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る貯湯式給湯装置10は、上部及び下部に管J及び管Kがそれぞれ接続された貯湯タンク11を有する貯湯タンクユニット12と、管Kを流れる貯湯タンク11の下部からの水を加熱して湯にするヒートポンプユニット13とを有し、ヒートポンプユニット13によって加熱された湯が管K及び管J経由で貯湯タンク11の上部に流入する装置である。以下、詳細に説明する。
【0011】
貯湯タンク11は、
図1に示すように、上下に長く、下部に管K及び給水管14が接続され、上部に管J及び給湯管15が接続されている。給水管14には、給水管14を流れる水道水の温度を計測する温度センサ16、圧力を所定の値に減圧する減圧弁17及び水道水が逆流するのを防止する逆止弁18が設けられている。
給湯管15には、給水管14が接続された混合弁19が設けられ、混合弁19は貯湯タンク11の上部から給湯管15に送り出された湯に給水管14から供給される水を混合する。混合弁19により温度調整がなされた湯は、給湯管15を経由して台所や浴室等に供給される。なお、給湯管15には、混合弁19の湯の入り側及び水の入り側にそれぞれ逆止弁20、21が設けられている。
【0012】
給湯管15の混合弁19の下流側には、給湯管15を流れる湯の流量を計測する水量センサ22と、混合弁19によって水が混合された湯の温度を計測する温度センサ23(給湯温度センサ)が設けられている。
貯湯タンク11には、貯湯タンク11の上部から下部にかけて(異なる高さ位置に)、貯湯タンク11内の湯水(湯又は水を意味する)の温度を計測する温度センサ24~29が設けられている。温度センサ24~29の中で最も高い位置に配された温度センサ24(缶体上温度センサ)は、貯湯タンク11の上部の湯温を計測するもので、温度センサ24で計測される湯温は、貯湯タンク11から給湯管15に送り出される湯の温度と実質的に同じである。
【0013】
温度センサ16、23~29、混合弁19及び水量センサ22は、
図2に示すように、リモコン操作機30が接続された制御手段31に接続されている。温度センサ16、23~29及び水量センサ22の計測値を取得可能な制御手段31は、例えば、マイクロコンピュータによって構成でき、温度センサ23の計測温度がリモコン操作機30で入力された給湯温度となるように、混合弁19の湯及び水の混合比を調整する。制御手段31は、水量センサ22によって給湯管15を湯が流れていることを検知しているときのみ、混合弁19に湯及び水の混合比を変えさせる。従って、給湯管15に湯が流れていないタイミングで、混合弁19は待機状態となる。
【0014】
また、給湯管15の逆止弁20の上流側領域には、
図1に示すように、浴槽32に湯を送る湯張り管33が接続されている。湯張り管33には、給水管14が接続された混合弁34が設けられ、混合弁34は、
図2に示すように、制御手段31に接続されている。制御手段31は、リモコン操作機30に入力された湯張り温度の湯が浴槽32に供給されるように、湯張り管33を流れる貯湯タンク11からの湯と給水管14から供給される水との混合弁34による混合比を調整する。
【0015】
湯張り管33には、
図1に示すように、混合弁34の上流側に逆止弁35が設けられ、混合弁34の下流側に、浴槽32に湯張りが行われる際に開かれる電磁弁36、浴槽32から湯が逆流するのを防止する逆止弁付排水弁37、浴槽32に送られる湯の流量を計測する水量センサ38及び浴槽32に供給される湯の温度を計測する温度センサ39が設けられている。
【0016】
貯湯タンク11には、貯湯タンク11内の湯で浴槽32を追焚きする追焚き回路40が接続されている。追焚き回路40には、貯湯タンク11の上部から送り出された湯で浴槽32内の湯を加熱する熱交換器41と、追焚き回路40に貯湯タンク11の湯を循環させるポンプ42と、追焚き回路40内の湯水の自然対流を防止する逆止弁43が設けられている。
電磁弁36、水量センサ38、温度センサ39及びポンプ42は、
図2に示すように、制御手段31に接続されており、制御手段31は信号送信によって電磁弁36及びポンプ42の作動を制御する。
【0017】
浴槽32には、熱交換器41に連結された浴槽回路44が接続され、浴槽回路44には、
図1、
図2に示すように、制御手段31に接続されたポンプ45が設けられている。浴槽32内の湯は、ポンプ45の作動により、浴槽回路44を循環し、熱交換器41を通過して加熱された後に浴槽32に戻る。
浴槽回路44には、
図1に示すように、ポンプ45の他、浴槽32内の湯の水位を計測する水位センサ46、浴槽回路44に湯が循環している際にON状態となる水流スイッチ47及び浴槽回路44を循環する湯の温度を計測する温度センサ48が設けられている。水位センサ46、水流スイッチ47及び温度センサ48は、
図2に示すように、制御手段31に接続され、制御手段31は、水位センサ46及び温度センサ48の各計測値を検知でき、水流スイッチ47の状態から浴槽回路44に湯が循環しているか否かを検出する。
【0018】
上流端が貯湯タンク11の下部に接続された管Kは、
図1に示すように、中間領域がヒートポンプユニット13に接続されている。管Kには、
図1、
図2に示すように、制御手段31に接続されたポンプ50が取り付けられ、ポンプ50は、制御手段31からの信号を受信して作動し、貯湯タンク11の下部の水を管K経由でヒートポンプユニット13に送る。
ヒートポンプユニット13は、
図1に示すように、冷媒が循環する循環回路51を備え、循環回路51には、管Kに接続された熱交換器52、熱交換器52を通過した冷媒の圧力を下げる膨張弁53、膨張弁53から送られる冷媒を気化させる蒸発器54及び気体となった冷媒の圧力を上げる圧縮機55が設けられている。
【0019】
循環回路51を循環する冷媒は、蒸発器54での気化により外気から吸熱し、熱交換器52を通過の際に管Kを流れる貯湯タンク11の下部からの水に放熱して加熱する。
ヒートポンプユニット13は、管Kの熱交換器52の上流側及び下流側にそれぞれ取り付けられた温度センサ56、57と、蒸発器54による冷媒の蒸発を促進するプロペラファン58と、マイクロコンピュータ等によって構成可能な制御部59と、これらを収容する筺体13aを具備している。
【0020】
管Kの下流端には、2つの出水口が設けられた三方弁60の入水口に接続されている。三方弁60は、一方の出水口に下流端が貯湯タンク11の上部に連結された管Jの上流端が接続され、他方の出水口に下流端が貯湯タンク11の下部に連結された管Lの上流端が接続されている。三方弁60は管Kを通過した湯の送り先を管J及び管Lのいずれか一方から他方に切り替える弁であり、管Jは三方弁60からの湯を貯湯タンク11の上部に送って流入させ、管Lは三方弁60からの湯を貯湯タンク11の下部に送って流入させる。
【0021】
制御部59は、
図2に示すように、制御手段31、温度センサ56、57、膨張弁53、圧縮機55、プロペラファン58及び三方弁60に接続されており、温度センサ56、57の計測温度を基にして、膨張弁53の開度を調整して、管Kを流れる貯湯タンク11の下部からの水を加熱する。
【0022】
制御手段31は、貯湯タンク11内の湯を沸き上げようとする際、温度センサ24の計測温度が予め定められた温度(以下、この温度をT1℃とする)以下であることを条件にヒートポンプユニット13を作動させて貯湯タンク11内の湯を沸き上げ、温度センサ24の計測温度がT1℃より高い場合、ヒートポンプユニット13を作動させない。これは、貯湯タンク11の上部から給湯管15に送り出される湯が所定温度(例えば95℃)を超えないようにするためである。
【0023】
制御手段31から貯湯タンク11内の湯の沸き上げを開始する信号が発信されると、ポンプ50が作動し、制御部59は圧縮機55やプロペラファン58等を作動させる。これによって、循環回路51内の冷媒が循環を開始し、貯湯タンク11の下部の水が管Kを通って熱交換器52に送られる。制御部59は、温度センサ57の計測値が予め設定された温度(以下、この温度をT2℃とする)以下の場合、三方弁60を、三方弁60に流入した湯を管Lに送る状態にして、貯湯タンク11の上部に低温の湯が流入するのを防止する。
【0024】
そして、温度センサ57の計測値がT2℃を超えると、制御部59は、三方弁60を、三方弁60に流入した湯を管Jに送る状態にする。従って、貯湯タンク11の湯が沸き上げられている間、貯湯タンク11内では、貯湯タンク11の上部に蓄えられている湯の層が下部に向かって徐々に拡大する。そして、貯湯タンク11の湯が沸き上げられていない状態で貯湯タンク11の上部から給湯管15に湯が送り出されると、貯湯タンク11内の湯の層が縮小する。そのため、制御手段31は温度センサ25~29の計測温度を基に貯湯タンク11内の残湯量を検出することができる。本実施の形態では、温度センサ25~29が残湯量温度センサに該当し、5(n=5)個の残湯量温度センサが設けられていることとなる。なお、残湯量温度センサは5個に限定されないのは言うまでもない。
【0025】
本実施の形態では、
図1に示すように、貯湯タンクユニット12が、貯湯タンク11、温度センサ16、23~29、39、48、減圧弁17、逆止弁18、20、21、35、43、逆止弁付排水弁37、混合弁19、34、水量センサ22、38、制御手段31、電磁弁36、ポンプ42、45、50、水位センサ46、水流スイッチ47、三方弁60及びこれらを収容する筺体12a等を備えている。制御手段31には図示しない漏電遮断器が設けられている。
ヒートポンプユニット13は、貯湯タンク11内の水を加熱する加熱手段の一例である。
【0026】
本実施の形態において、温度センサ24、ポンプ50及び三方弁60は、貯湯タンクユニット12に備えられ、貯湯タンク11内の水の加熱に利用される電気系統機構(通電によって作動する部品やその部品を備える電動機器等)に該当する。温度センサ24の計測温度の高低に関わらず貯湯タンク11内の湯を沸き上げる場合、温度センサ24はこの電気系統機構に該当しない。
【0027】
また、温度センサ16、23~29、39、48には、
図3に示すように、ケーブル62~71がそれぞれ連結され、制御手段31にはケーブル72~81が連結されている。
温度センサ16はケーブル62とケーブル62、72を接続するコネクタ82とケーブル72とを介して制御手段31に接続され、温度センサ23はケーブル63(第5ケーブル)とケーブル63、73を接続するコネクタ83(コネクタC3)とケーブル73(第6ケーブル)とを介して制御手段31に接続され、温度センサ24はケーブル64とケーブル64、74を接続するコネクタ84とケーブル74とを介して制御手段31に接続され、温度センサ25はケーブル65(第1ケーブル)とケーブル65、75を接続するコネクタ85(コネクタC1)とケーブル75(第2ケーブル)とを介して制御手段31に接続され、温度センサ26はケーブル66(第1ケーブル)とケーブル66、76を接続するコネクタ86(コネクタC1)とケーブル76(第2ケーブル)とを介して制御手段31に接続され、温度センサ27はケーブル67(第1ケーブル)とケーブル67、77を接続するコネクタ87(コネクタC1)とケーブル77(第2ケーブル)とを介して制御手段31に接続され、温度センサ28はケーブル68(第1ケーブル)とケーブル68、78を接続するコネクタ88(コネクタC1)とケーブル78(第2ケーブル)とを介して制御手段31に接続され、温度センサ29はケーブル69(第1ケーブル)とケーブル69、79を接続するコネクタ89(コネクタC1)とケーブル79(第2ケーブル)とを介して制御手段31に接続され、温度センサ39はケーブル70とケーブル70、80を接続するコネクタ90とケーブル80とを介して制御手段31に接続され、温度センサ48はケーブル71とケーブル71、81を接続するコネクタ91とケーブル81とを介して制御手段31に接続されている。従って、5個の温度センサ25~29にそれぞれ連結された5本のケーブル65~69と、制御手段31に連結された5本のケーブル75~79とが、5個のコネクタ85~89によって接続されていることになる。
【0028】
また、給水管14には、
図1に示すように、ヒータ92、93が取り付けられ、給湯管15にヒータ94が取り付けられている。ヒータ92、93、94は、貯湯タンクユニット12内の給水管14や給湯管15(即ち、貯湯タンクユニット12内の部材)の凍結を防止するためのものであり、本実施の形態では、ヒータ92、93、94に防水タイプのヒータを採用している。ヒータ92、93、94には、
図3に示すように、それぞれケーブル95、96、97が連結されており、制御手段31にはケーブル98、99、100が連結されている。
【0029】
ヒータ92はケーブル95(第3ケーブル)とケーブル95、98を接続するコネクタ101(コネクタC2)とケーブル98(第4ケーブル)を介して制御手段31に接続され、ヒータ93はケーブル96(第3ケーブル)とケーブル96、99を接続するコネクタ102(コネクタC2)とケーブル99(第4ケーブル)を介して制御手段31に接続され、ヒータ94はケーブル97(第3ケーブル)とケーブル97、100を接続するコネクタ103(コネクタC2)とケーブル100(第4ケーブル)を介して制御手段31に接続されている。
【0030】
ここで、貯湯タンクユニット12及びヒートポンプユニット13はそれぞれ、水没によって不具合が生じ易い部品や電動機器等を複数個有している。そのため、水害等で水没すると、貯湯タンク11内の湯の沸き上げや貯湯タンク11から浴室等への給湯ができなくなる。
この点、ヒートポンプユニット13は設置面(地面に形成された基礎部や地面)に固定された台の上に筺体13aが取り付けられ、設置面から1m以上の高さ位置に配されて、水害による水没が防止されている。
【0031】
これに対し、貯湯タンクユニット12の筺体12aは、ヒートポンプユニット13の筺体13aよりも上下に長く、例えば、高さが2mであることから、貯湯タンクユニット12全体を設置面から1m以上の高さ位置に配するには、耐震構造の設置台等が必要となり、設置に要するコストが上昇し現実的ではない。
そこで、貯湯タンク11内の湯の沸き上げに機能することが求められる温度センサ24、三方弁60、ポンプ50(即ち、電気系統機構)及び制御手段31は、貯湯タンクユニット12の筺体12aに取り付けられた脚部(貯湯タンクユニット12の取付部の一例)が設置面に固定された状態で、設置面から1m以上の高さ位置にある領域(以下、「高領域」と言う)に設けられている。
【0032】
本発明者らは、各種データの調査等を基に設置面から1m以上で、多くの場合、水害による水没を回避できるとの結論に至り、上述した設計が効果的であると判断した。
貯湯タンク11内の湯の沸き上げには温度センサ24も正常に機能していることが求められるところ、温度センサ24と制御手段31を接続しているケーブル64、コネクタ84、ケーブル74の中で、コネクタ84は水没により温度センサ24及び制御手段31間の信号伝達を行えない状態になるため、コネクタ84も高領域に設けられている。
【0033】
また、制御手段31は、温度センサ25~29の計測温度を基に貯湯タンク11内の残湯が少なくなったことを検出した際に貯湯タンク11内の湯を沸き上げるように設計されている。制御手段31が温度センサ25~29の計測温度を取得できなくなると、残湯量を検出できず、残湯が少量となったことをきっかけに貯湯タンク11内の湯を沸き上げることはできなくなる。この点、制御手段31は、温度センサ25~29の計測温度を取得できない状態になった場合でも、リモコン操作機30において貯湯タンク11内の湯を沸かす操作がなされることで、貯湯タンク11内の湯を沸かすように設計されている。
【0034】
温度センサ25~29として、温度センサ24と同様のサーミスタ、即ち、短期間の水没であれば不具合が生じにくいサーミスタが採用されている。コネクタ85~89は水没により、それぞれ温度センサ25~29の計測温度を制御手段31に伝達できない状態になる。本実施の形態では、コネクタ85~89もコネクタ84と同様に高領域に設けられていることから、たとえ温度センサ25~29が水没しても、コネクタ85~89が水没しておらず、温度センサ25~29の水没状態が長時間継続していなければ、貯湯タンク11内の残湯が少量となったことをきっかけにした貯湯タンク11内の湯の沸き上げを行うことができる。本実施の形態では、コネクタ101、102、103も高領域に配置されている。
【0035】
更に、本実施の形態では、貯湯タンクユニット12に設けられた水没に弱い部品や電動機器の中で、貯湯タンク11内の湯を給湯管15経由で外部に供給するのに必要となるのは混合弁19及び温度センサ23であり、混合弁19は高領域に設けられている。
温度センサ23として、短期間の水没であれば不具合が生じにくいサーミスタが採用されているが、コネクタ83が水没すると、制御手段31は温度センサ23の計測温度を取得できず、貯湯タンク11内の湯を給湯管15経由で外部に供給できなくなる。よって、本実施の形態では、コネクタ83も高領域に設けている。
【0036】
高領域が設置面から高い位置であればあるほど、所定の部品等の水没を避けることが可能となる。よって、高領域は、設置面から1.2m以上(より好ましくは1.5m以上)の高さ領域にあることが好ましい。但し、貯湯タンクユニット12の設計上、高領域の高さ位置には限界がある。
温度センサ16、23~29、39、48として同じサーミスタ(短期間の水没であれば不具合が生じにくいサーミスタ)が採用され、ケーブル62~71の長さが等しい。
【0037】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、水害から保護する対象を貯湯タンク内の湯の沸き上げのみに利用される電気系統機構及び制御手段に限定するのであれば、コネクタC1、C2、C3や給湯管を流れる湯に水を混合する混合弁を高領域に設ける必要はない。
また、加熱手段として、ヒートポンプユニット以外のもの、例えば、貯湯タンク内に設けられたヒータを採用してもよい(この場合、ヒータは貯湯タンクユニット内に備えられるが、当該ヒータは電気系統機構に該当しない)。
【符号の説明】
【0038】
10:貯湯式給湯装置、11:貯湯タンク、12:貯湯タンクユニット、12a:筺体、13:ヒートポンプユニット、13a:筺体、14:給水管、15:給湯管、16:温度センサ、17:減圧弁、18:逆止弁、19:混合弁、20、21:逆止弁、22:水量センサ、23~29:温度センサ、30:リモコン操作機、31:制御手段、32:浴槽、33:湯張り管、34:混合弁、35:逆止弁、36:電磁弁、37:逆止弁付排水弁、38:水量センサ、39:温度センサ、40:追焚き回路、41:熱交換器、42:ポンプ、43:逆止弁、44:浴槽回路、45:ポンプ、46:水位センサ、47:水流スイッチ、48:温度センサ、50:ポンプ、51:循環回路、52:熱交換器、53:膨張弁、54:蒸発器、55:圧縮機、56、57:温度センサ、58:プロペラファン、59:制御部、60:三方弁、62~81:ケーブル、82~91:コネクタ、92、93、94:ヒータ、95~100:ケーブル、101、102、103:コネクタ、J、K、L:管