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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】無線で電力を送受信するためのコイル
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/00 20060101AFI20220523BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20220523BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20220523BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20220523BHJP
   H02J 50/70 20160101ALI20220523BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20220523BHJP
【FI】
H01F41/00 G
H01F27/28 K
H01F27/28 Z
H01F27/28 104
H01F38/14
H02J50/12
H02J50/70
H02J50/80
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019105215
(22)【出願日】2019-06-05
(65)【公開番号】P2019212913
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2019-06-05
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2018-0065102
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509256045
【氏名又は名称】ヒタチ-エルジー データ ストレージ コリア,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(72)【発明者】
【氏名】リ ホキル
(72)【発明者】
【氏名】ハ ヒョンウク
【合議体】
【審判長】山田 正文
【審判官】清水 稔
【審判官】須原 宏光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/014430(WO,A1)
【文献】特開2012-134307(JP,A)
【文献】特開2003-173921(JP,A)
【文献】特表2018-530288(JP,A)
【文献】特開2009-136048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 38/14, H02J 50/10-50/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電流によって磁界を変化させる多重伝送コイルであって、第1コイルと前記第1コイルの両側の一つにそれぞれ重なる第2コイル及び第3コイルとを含む、多重伝送コイルと、
前記多重伝送コイルが配置されるコアと、
前記多重伝送コイルで生成された前記磁界の伝播を制限するための遮蔽部と、
前記多重伝送コイル、前記コア及び前記遮蔽部を包むケースと、を含み、
前記第1~第3コイルの目標インダクタンスが11μH、
前記コアの長さと幅が92mmと56mm、
前記第1~第3コイルの半径が22mm、
前記第1~第3コイルの巻数が11回、
目標出力電力が15W、
動作周波数が111kHz、かつ、
前記コアの厚さが1.5mmを満たすとき、
前記第1~第3コイルの最小の交流抵抗を200~300mΩにするように前記第1~第3コイルを構成する箔の厚さと幅は、9~18Ozと0.4~0.6mmであり、1Ozは、35μmである、無線電力伝送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線で電力を送受信するためのコイルに関する。
【背景技術】
【0002】
通信及び情報処理技術が発達するにつれて、スマートフォンやタブレットPCなどのようなスマート端末の使用が徐々に増加しているが、現在、スマート端末に多く適用されている充電方式は、電源に接続されたアダプタをスマート端末に直接接続して、外部電源の供給を受け、充電したり、またはホストのUSB端子を介してスマート端末に接続して、ホストのUSB電源の供給を受け、充電する方式である。
【0003】
最近では、接続線を介してアダプタまたはホストにスマート端末を直接接続する不便さを減らすために、電気的接触なしに、磁気結合を用いて、バッテリーを無線で充電する無線充電方式が徐々にスマート端末に適用されている。
【0004】
誘導結合(Inductive Coupling) 方式に基づいて無線で電気エネルギーを供給したり、供給を受けるとき、伝送装置と受信装置にそれぞれリッツ(LITZ)電線(または銅単線)の1次コイルと2次コイルを設けて電力伝送チャンネルを形成するが、銅単線でコイルを形成することが価格的な面で有利なことがある。
【0005】
しかし、銅単線の厚みがあるので、コイルの大きさを減らすには限界があり、このような限界は、PCB(Printed Circuit Board) の製造方式でコイルパターンを形成して、ある程度克服することができる。
【0006】
銅単線やPCBパターンの伝送コイルを数百KHZ級高周波で動作させて電力を伝送するとき、コイル電線の表皮効果や線間近接効果により交流抵抗が大きくなる問題がある。また、これらの問題を解決するために、コイル電線またはPCB銅箔の厚さ、幅を大きくしたり、コイルを多層で実現すると、むしろ交流抵抗が大きくなり、全体の伝送コイルの大きさが大きくなる問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような状況を勘案したものであり、本発明の目的は、交流抵抗を最小にするようにPCBの製造方法でコイルを設計する方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、表皮効果と近接効果を考慮して、コイルのインダクタンスを所望する値に設計する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を実現するための本発明の一実施の形態に係る無線電力送受信用コイルの設計方法は、第1コイル並びに第1コイルの両側にそれぞれ重畳される第2コイル及び第3コイルが配置されるコアの長さ及び幅、並びに、第1乃至第3コイルの半径及び巻数を決定する段階と、目標出力電力と磁束密度のサイズを考慮して、動作周波数とコアの厚さを決定する段階と、第1乃至第3コイルを構成する銅箔の厚さを変えながら、第1乃至第3コイルの最小交流抵抗を測定して最適な銅箔の厚さを決定する段階と、銅箔の幅を変えながら、第1乃至第3コイルの最小交流抵抗を測定して最適な銅箔の幅を決定する段階と、を含むことを特徴とする。
【0010】
一実施の形態において、最適な銅箔の厚さを決定する段階は、第1コイルの第1銅箔と第2コイルまたは第3コイルの第2銅箔との間の高さの差を固定した状態で、銅箔の厚さを変えることができる。
【0011】
一実施の形態において、最適な銅箔の幅を決定する段階は、隣接する銅箔の間の間隔を固定した状態で銅箔の幅を変えることができる。
【0012】
一実施の形態において、銅箔の厚さを変えるとき、または、銅箔の幅を変えるときに、コイルのインダクタンスが同じであると仮定することができる。
【0013】
一実施の形態において、第1乃至第3コイルは、両面PCBの製造方式で形成されることができる。
【0014】
一実施の形態において、第1乃至第3コイルの目標インダクタンスが11μH、コアの長さと幅がそれぞれ92mmと56mm、半径が22mm、巻数が11回、目標出力電力が15W、動作周波数が111kHz、かつ、コアの厚さが1.5mmのとき、最小の交流抵抗が200~300mΩとなるようにする銅箔の厚さと銅箔の幅は、それぞれ9~18Ozと0.4~0.6mmで有り得る。
【0015】
本発明の他の実施の形態に係る無線電力伝送装置は、交流電流によって磁界を変化させる多重伝送コイルであって、第1コイル並びに第1コイルの両側にそれぞれ重畳される第2コイル及び第3コイルを含んで構成される、多重伝送コイルと、送信コイルから発生する磁界の電波を制限するための遮蔽部と、伝送コイルと遮蔽部を包むケースと、を含んで構成され、第1乃至第3コイルを構成する銅箔の厚さと幅は、それぞれ9~18Ozと0.4~0.6mmの範囲にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
したがって、交流抵抗を減らしインダクタンスを有する無線電力送受信用コイルを設計することができるようになる。
【0017】
また、リッツ線を使用するコイルより薄く軽くコイルを製作し、製品の薄型化を可能にする。また、リッツ線を使用してコイルを製作する時に経るコネクタ作業、シュリンクチューブ作業、プレス作業等を省略して、コイル製作工程を単純化し、再現性を向上させ、製造時間を減らすことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】無線電力伝送装置から電子機器に電力が無線で伝送されることを概念的に示す図である。
図2】電磁誘導方式で電力を無線で伝送するための伝送装置の電力変換部の回路構成を概念的に示す図である。
図3】無線電力伝送装置と受信装置が電力とメッセージを送受信するための構成を示す図である。
図4】無線電力伝送装置と受信装置との間の電力伝送を制御するためのループをブロックで示す図である。
図5】円形と四角形の多重コイルを示す図である。
図6】3つのコイルで構成される多重コイルを高周波で駆動するとき、コイルの断面での電流密度分布を示す図である。
図7】本発明の一実施の形態に基づいて、無線電力送受信用コイルを設計する過程を示す図である。
図8】コイルの厚さと幅の組み合わせに応じた交流抵抗をグラフで示す図である。
図9】コイルの厚さと幅の組み合わせに応じた交流抵抗をグラフで示す図である。
図10】所定の基準の交流抵抗を満足するコイルの厚さと幅の組み合わせを表で示す図である。
図11】所定の基準の交流抵抗を満足するコイルの厚さと幅の組み合わせを表で示す図である。
図12】本発明に係る伝送コイルを備える充電器の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る無線電力伝送装置及び方法の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は、無線電力伝送装置から電子機器に電力が無線で伝送されることを概念的に示す図である。
【0021】
無線電力伝送装置100は、無線電力受信装置または電子機器200が必要とする電力を無線で伝達する電力伝達装置である、または、無線で電力を伝達することにより、電子機器200のバッテリーを充電するための無線充電装置で有り得て、接触しない状態で電源が必要な電子機器200に電力を伝達する多様な形態の装置として実現されることができる。
【0022】
電子機器200は、無線電力伝送装置100から無線で電力を受信して動作が可能な機器で、無線で受信される電力を用いてバッテリーを充電することもできる。無線で電力を受信する電子機器は、携帯が可能な電子機器、例えば、スマートフォンやスマート端末、タブレットコンピュータ、マルチメディア端末、キーボード、マウス、映像または音声の補助装置などの入出力装置、補助バッテリーなどを含むことができる。
【0023】
無線電力伝送装置100の無線電力信号による電磁誘導現象に基づいた誘導結合方式、すなわち無線電力伝送装置100から伝送する無線電力信号によって電子機器200で共振が発生し、共振現象によって、無線電力伝送装置100から電子機器200に接触せずに無線で電力が伝達されることができるが、電磁誘導現象によって1次コイルから交流電流によって磁場を変化させて2次コイル側に電流を誘導することにより、電力を伝達する。
【0024】
無線電力伝送装置100の1次コイルに流れる電流の強さが変化すると、その電流によって1次コイルまたは伝送コイル(primary coil、TX coil)を通過する磁場が変化し、変化した磁場は、電子機器200内の2次コイルまたは受信コイル(secondary coil、RX coil)側に誘導起電力を発生させる。
【0025】
無線電力伝送装置100側の1次コイルと電子機器200側の2次コイルが近接するように、無線電力伝送装置100及び電子機器200を配置し、無線電力伝送装置100を1次コイルの電流が変化するように制御すれば、電子機器200は、2次コイルに誘導された起電力を用いて、バッテリーのような負荷に電力を供給する。
【0026】
無線電力伝送装置100のインターフェース表面の上部には、電子機器が置かれる位置を指示するマークが表示されることがあり、インターフェース表面の下部に装着された1次コイルと2次コイルとの間の配列が適切に行われるようにする電子機器の位置を指示することができる。電子機器の位置を案内するための突出形状の構造物がインターフェース表面の上部に形成されることもあり、インターフェース表面の下部に磁石のような磁性体を形成して、電子機器の内部に設けられた他の極の磁性体との引力によって、1次コイルと2次コイルがよく配列されるように案内することもできる。
【0027】
図2は、電磁誘導方式で電力を無線で伝送するための伝送装置の電力変換部の回路構成を概念的に示す図である。
【0028】
無線電力伝送装置は、大きく、電源及びインバータと共振回路で構成される電力変換部を含んで構成されることがあるが、電源は電圧源や電流源になることがあり、電力変換部は電源から供給される電力を無線電力信号に変換して受信装置に伝達する。無線電力信号は、共振特性を有する磁場または電磁場の形で形成され、共振回路は、無線電力信号を発生させるコイルを含む。
【0029】
インバータは、スイッチング素子と制御回路を介して直流入力を所望する電圧と周波数の交流波形に変換するが、図2においてはフルブリッジ(Full-bridge)インバータを示すものであり、ハーフブリッジインバータなど他の種類のインバータも可能である。
【0030】
共振回路は、磁気誘導方式で電力を伝送する1次コイル(Lp)とキャパシタ(Cp)を含んで構成されるが、コイルとキャパシタが電力伝送の基本共振周波数を決定する。1次コイルは、電流の変化に応じて、無線電力信号に対応する磁場を形成し、平板型またはソレノイドの形で実現されることができる。
【0031】
インバータによって変換された交流電流が共振回路を駆動させることで、1次コイルに磁場が形成されるが、インバータが含まれたスイッチのオン/オフのタイミングを制御して、共振回路の共振周波数に近い周波数の交流を生成して伝送装置の伝送効率を高めることができ、インバータを制御することにより、伝送装置の伝送効率を変更することができる。
【0032】
図3は、無線電力伝送装置と受信装置が電力とメッセージを送受信するための構成を示す図である。
【0033】
電力変換部は、受信装置の受信状態に関係なく、一方的に電力を伝送するだけなので、受信装置の状態に合うように電力を伝送するためには、受信装置から受信状態に関連するフィードバックを受けるための構成が無線電力伝送装置に必要である。
【0034】
無線電力伝送装置100は、電力変換部110、第1通信部120、第1制御部130及び電源部140を含んで構成されることができ、無線電力受信装置200は、電力受信部210、第2通信部220及び第2制御部230を含んで構成されることができ、受信される電力が供給される負荷250をさらに含んで構成されることができる。
【0035】
電力変換部110は、図2のインバータと共振回路で構成され、無線電力信号を形成するために使用される周波数、電圧、電流などの特性を調整することができる回路をさらに含むように構成されることができる。
【0036】
第1通信部120は、電力変換部110に接続されて、伝送装置100から磁気誘導によって無線で電力を受信する受信装置200によって変調される無線電力信号を復調して電力制御メッセージを検出することができる。
【0037】
第1制御部130は、第1通信部120が検出するメッセージに基づいて、電力変換部110の動作周波数、電圧、電流のいずれか1つ以上の特性を決定し、電力変換部110を制御して電力変換部110がメッセージに適合した無線電力信号を生成するようにすることができる。第1通信部120と、第1制御部130は、1つのモジュールで構成されることができる。
【0038】
電力受信部210は、電力変換部110の1次コイルで発生する磁場の変化に応じて誘導起電力が発生する2次コイルとキャパシタで構成されるマッチング回路を含み、2次コイルに流れる交流電流を整流して直流電流を出力する整流回路を含むことができる。
【0039】
受信装置の第2通信部220は、電力受信部210に接続され、DCでの抵抗負荷及び/またはACでの容量性負荷を調節する方法で電力受信部の負荷を調節することにより、伝送装置と受信装置との間の無線電力信号を変化させて電力制御メッセージを伝送装置に伝送することができる。
【0040】
受信装置の第2制御部230は、受信装置に含まれた各構成要素を制御するために、電力受信部210の出力を電流または電圧の形で測定し、これを根拠に通信部220を制御して、無線電力伝送装置100に電力制御メッセージを伝達することができる。メッセージは、無線電力伝送装置100にとって、無線電力信号の伝達を開始するかまたは終了するように指示することができ、また、無線電力信号の特性を調整するようにすることができる。
【0041】
伝送装置の電力変換部110によって形成された無線電力信号は、電力受信部210によって受信され、受信装置の第2制御部230は、無線電力信号を変調するように、第2通信部220を制御するために、第2制御部230は、第2通信部220のリアクタンス(reactance)を変更させることで、無線電力信号から受信する電力量が変化するようにする変調過程を実行することができる。無線電力信号から受信する電力量が変われば、無線電力信号を形成する電力変換部110の電流及び/または電圧も変わり、無線電力伝送装置100の第1通信部120は、電力変換部110の電流及び/または電圧の変更を感知して復調過程を行うことができる。
【0042】
受信装置の第2制御部230は、無線電力伝送装置100に伝達しようとするメッセージを含むパケットを生成し、生成されるパケットを含むように、無線電力信号を変調し、伝送装置の第1制御部130は、第1通信部120を介して抽出したパケットをデコードして、電力制御メッセージを獲得することができ、受信装置の第2制御部230は、受信されるパワーを調節するために電力受信部210を介して受信される電力量に基づいて、無線電力信号の特性の変更を要求するメッセージを伝送することができる。
【0043】
図4は、無線電力伝送装置と受信装置との間の電力伝送を制御するためのループをブロックで示す図である。
【0044】
伝送装置100の電力変換部110で発生する磁場の変化に応じて、受信装置200の電力受信部210から電流が誘導されて、電力が伝送され、受信装置の制御部230は、所望の制御点、すなわち、所望の出力電流及び/または電圧を選択し、電力受信部210を介して受信される電力の実際の制御点を決定する。
【0045】
受信装置の第2制御部230は、電力が伝送される間に所望する制御点と実際の制御点を用いて、制御エラー値を計算するのに、例えば、2つの出力電圧または電流の差を制御エラー値に取ることができる。所望の制御点に到達するために、少ない電力が要求されると、例えば、負(-)の値となり、所望の制御点に到達するために、さらに多くの電力を必要とすれば正(+)の値になるように制御エラー値を決定することができる。受信装置の第2制御部230は、第2通信部220を介して電力受信部210のリアクタンスを時間に応じて変更する方法で計算された制御エラー値を含むパケットを生成して伝送装置100に伝送することができる。
【0046】
伝送装置の第1通信部120は、受信装置200によって変調される無線電力信号に含まれるパケットを復調して、メッセージを検出するが、制御エラー値を含む制御エラーパケットを復調することができる。
【0047】
伝送装置の第1制御部130は、第1通信部120を介して抽出された制御エラーパケットをデコードして制御エラー値を得て、電力変換部110に、実際に流れる実際の電流値と制御エラー値を用いて、受信装置が所望する電力を伝送するための新しい電流値を決定することができる。
【0048】
伝送装置の第1制御部130は、受信装置から制御エラーパケットを受信する過程が安定化されると、1次コイルに流れる実際の電流値が新しい電流値になるように、新しい動作点、すなわち1次コイルに印加されるAC電圧の大きさ、周波数、デューティ比などが新しい値に達するよう、電力変換部110を制御し、受信装置が追加で制御情報や状態情報を通信できるように、新しい動作点を継続維持するようにする。
【0049】
伝送装置100が受信装置200に無線で電力を伝達する時に高効率の磁界が通過することができるインターフェース表面の部分を活動領域とするとき、活動領域を広げるために、複数の1次コイルを使用する場合、1次コイル数だけの駆動回路が必要であり、複数の1次コイルの制御が複雑になるので、製品化するときに伝送装置、すなわち無線充電器のコストの増加が発生する。また、活動領域を拡大するために送信コイルの位置を変える方式を適用する場合にも、1次コイルの位置を移すための移送機構を備えなければならないので、体積と重量が大きくなり、製作費用が多くなる問題がある。
【0050】
位置が固定された1つの1次コイルを持って活動領域を拡張する方法があると効果的であるが、単純に1次コイルの大きさを大きくしたら、1次コイルの単位面積当たりの磁束密度が落ち、送受信コイルの間に磁気結合力が弱くなって、期待するほどの活動領域が増加することもなく、伝送効率も落ちることになる。
【0051】
このように、活動領域の拡大と伝送効率の向上のために、1次コイルの適切な形状と大きさを決定することが重要である。複数の1次コイルを採用する多重コイル方式が無線電力伝送装置の活動領域を拡大する方法として効果的である。
【0052】
図5は、円形と四角形の多重コイルを示したものであり、1つの中央コイル(Center Coil)と2つの両側のコイル(Side Coils)がコアの上に装着され、各コイルは、円形または四角形の形状で螺旋状に巻かれ、両側のコイルは、中央コイルと重ねて配置されることができる。
【0053】
図6は、3つのコイルで構成される多重コイルを高周波で駆動するとき、コイルの断面での電流密度分布を示す図である。高周波での電力伝送、多重コイルを駆動する際に、隣接する線の間の近接効果により、隣にコイルが配置されない外側のコイルに電流が流れるようになる傾向があり、これにより、交流抵抗が大きくなり、電力を伝送するときに伝送効率が低くなる。
【0054】
無線電力伝送または受信コイルを高周波で動作させるとき、表皮効果と近接効果により交流抵抗が大きくなり、インピーダンスが小さくなるが、従来のLitz電線(または銅単線)を用いてコイルを製作する場合、コイル電線の半径が一定であるため、交流抵抗やインピーダンスを所望するレベルにするのが難しい。
【0055】
PCBの製作方式で銅箔パターンでコイルを製作する場合にも、表皮効果と近接効果を考慮しながら交流抵抗やインピーダンスを所望する値にするように銅箔パターンを設計する具体的な方法がなかった。
【0056】
本発明においては、無線電力送受信のためのコイルをPCBの方式で作成するとき、コイルが所望する交流抵抗とインピーダンスを有するようにするための最適な銅箔パターンを設計する方法を提供することができる。
【0057】
図7は、本発明の一実施の形態に基づいて、無線電力送受信用コイルを設計する過程を示す図である。
【0058】
本発明に係るコイルは、図5に示したように、1つの中央コイルと2つの両側のコイルを含む3つのコイルがX方向に配列された多重コイルで構成され、2つの両側のコイルの一部が中央コイルと重なった状態でコアの上に配置され、各コイルは、一本の電線が螺旋状に内周から外周にまたは外周から内周に円形または四角形の形状で巻かれることができる。
【0059】
本発明のコイルの設計方法で決定する数値の中で、多重コイルが置かれるコアと関連した値は、3つのコイルが配列される方向(図5のX方向)のコアの長さ(図5のla)、X方向と垂直な方向(図5でY方向)のコアの幅(図5のwa)、及びコアの厚さ(図5図6でtr)を含む。
【0060】
また、コイルの設計方法において決定する数値の中でコイルと関連する値は、コイルを構成する電線、すなわち銅箔の厚さ(図6でtc)、銅箔の幅(図6でwc)、銅箔との間の間隔またはピッチ(図6のwa)、中央コイルと両側のコイルとの間の高さの差(図6でt)、コイル電線を螺旋状に巻く回数(図5のN1)、螺旋状に巻いたコイルの半径(図5でrs)などを含む。
【0061】
無線電力システムの伝送コイルの目標インダクタンスL1の選定のために、3つのコイルが配列されるコアの長さ(la)、コアの幅(wa)、コイルの半径(rs)、コイルの巻き数(Ni)を決定する。
【0062】
無線電力を伝送するために伝送コイルを駆動するとき、目標出力電力(PL)及び伝送部の飽和磁束密度に基づいた送信コアの磁束密度サイズ(B<B1,max≒0.3T)を考慮して動作周波数(fs)とコアの厚さ(tr)を決定する。
【0063】
本発明に係るコイルは、中央コイルと両側のコイルが重畳される部分で銅箔が2レイヤーに形成されるべきなので、両面PCBの方式で、コイル電線、すなわち銅箔を形成しなければならない。2コイル間の間隔または高さの差(t)を固定した状態で、コイルの銅箔の厚さ(t)を変えながら、コイルの交流抵抗(r)を測定し、交流抵抗が最小(r1wmin|wc,op)になるようにする最適な銅箔の厚さ(tc、op)を選定するが、銅箔の厚さ(t)が変わっても、コイルのインダクタンス(L)が同じだと仮定する。
【0064】
銅箔の厚さ(t)が小さいほど表皮効果により交流抵抗が増加し、銅箔の厚さ(t)が大きいほど線間の近接効果により交流抵抗が増加するので、表皮効果と近接効果の両方を考慮した最適な銅箔の厚さ(tc、op)を決定することができる。
【0065】
銅箔の厚さ(t)を決定した後、銅箔の間の間隔またはピッチ(w=w+w)を固定した状態で、コイルの銅箔の幅(w)を変えながら、コイルの交流抵抗(r)を測定して交流抵抗が最小(r1wmin|wc,op)になるようにする最適な銅箔の幅(tc、op)を選定するが、銅箔の幅(w)が変わっても、コイルのインダクタンス(L)が同じだと仮定する。
【0066】
銅箔の幅(w)が小さいほど表皮効果により交流抵抗が増加し銅箔の幅(w)が大きいほど線間の近接効果により交流抵抗が増加するので、表皮効果と近接効果の両方を考慮した最適な銅箔の幅(wc、op)を決定することができる。
【0067】
このような過程でPCB方式で製造する多重コイルの交流抵抗を最小にする最適な銅箔の厚さと、銅箔の幅を決定することができる。
【0068】
例えば、モバイル端末に電力を無線で伝送するための充電器のための多重伝送コイルのインダクタンス(L)の目標値を11μHレベルにするとき、コイルが置かれるコアの長さ(l)を92mm、コアの幅(w)を56mm、コイルの半径(r)を22mm、コイル線を巻いた回数(N)を11に選定することができる。
【0069】
目標出力電力(PL)15W及び内部磁束密度を飽和磁束密度以下にする目標を満足させるように動作周波数(fs)を111kHzとし、コアの厚さ(t)を1.5mmに決定することができる。
【0070】
銅箔の幅(wc)を0.5mmと仮定して、コイルの交流抵抗(r1)を最小にする銅箔の厚さ(tc)を12Oz(1Ozは35umを指す)に決定することができるが、このとき、両側のコイルの最小交流抵抗(r1)は234mΩとなる。
【0071】
銅箔の厚さ(tc)を12Ozで固定し、コイルの交流抵抗(r1)を最小にする銅箔幅(wc)を0.4mmに決定することがあるが、このとき、両側のコイルの最小交流抵抗(r1)は224mΩになる。
【0072】
したがって、最終的に銅箔の厚さ(tc)12Oz、銅箔の幅(wc)0.4mmでコイルを設計することができる。
【0073】
図8図9は、コイルの厚さと幅の組み合わせに応じた交流抵抗をグラフで示す図であり、図8は、コイルの銅箔の厚さと銅箔の幅を変えながら中央コイル(center coil)の交流抵抗を測定したものであり、図9は、コイルの銅箔の厚さと銅箔の幅を変えながら両側のコイル(side coils)の交流抵抗を測定したものである。
【0074】
図10図11は、所定の基準の交流抵抗を満足するコイルの厚さと幅の組み合わせを表で示す図であり、図10は、中央コイルのものであり、図11は、両側のコイルのものである。
【0075】
図10において陰影部分は、中央コイルの交流抵抗が200~320mΩの範囲を満足する銅箔の厚さと幅を指し、図11で陰影部分は、両側のコイルの交流抵抗が200~300mΩの範囲を満足する銅箔の厚さと幅を指す。
【0076】
銅箔の厚さ(tc)を9~18Ozにし、銅箔の幅(wc)を0.4~0.6mmとするとき、コイルの交流抵抗は約200~300mΩを得ることができる。
【0077】
図12は、本発明に係る伝送コイルを備える充電器の分解斜視図である。
【0078】
図12の充電器300は、誘導電力を提供する無線電力送信装置を含み、上面に充電対象である受信装置を含む電子機器が置かれ、動作領域を有する安着面が形成されることができ、安着面に電子機器が置かれると充電器がこれを感知して、電線レス充電を開始することができる。
【0079】
充電器300は、前面ケース311と後面ケース312との間に図7の過程を経て設計された伝送コイル320が装着されることができ、伝送コイル320の下に遮蔽部330が形成されることができる。つまり、遮蔽部330は、充電器300の後面ケース312と伝送コイル320の間に形成されることができ、伝送コイル320の外郭に基づいて少なくとも一部が超過するように形成されることができる。
【0080】
遮蔽部330は、伝送コイル320の動作により、回路基板(図示せず)に装着されたマイクロプロセッサ、メモリなどの素子が電磁的影響を受けたり、回路基板に装着された素子の動作によって伝送コイル320が電磁的影響を受けることを防止することができ、メッキが必要ないステンレスやチタン素材からなることができる。
【0081】
充電器300は、伝送コイルを含む電力変換部、通信部、制御部、電源部などが1つのボディに備えられる構造で形成されるか、伝送コイル320と遮蔽部330が装着される第1ボディと第1ボディと接続されて伝送コイル320の動作を制御するための変換部、通信部、制御部、電源部などを含む第2ボディに分離されて構成されることができる。
【0082】
また、充電器300のボディには、ディスプレイやスピーカなどの出力部、ユーザ入力部、電源を供給するためのソケットや外部機器が結合されるインターフェースなどが配置されることができる。ディスプレイは、前面ケース311の上面に形成されることができ、ユーザ入力部とソケットなどはボディ側面に配置されることができる。
【0083】
本発明は、記載された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく様々に修正及び変形できることは、この技術の分野における通常の知識を有する者にとって自明である。したがって、そのような修正例や変形例は、本発明の特許請求の範囲に属するべきである。
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