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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】車両用ドアシール材
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/21 20160101AFI20220523BHJP
   B60J 10/22 20160101ALI20220523BHJP
   B60J 10/235 20160101ALI20220523BHJP
   B60J 10/86 20160101ALI20220523BHJP
【FI】
B60J10/21
B60J10/22
B60J10/235
B60J10/86
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019125348
(22)【出願日】2019-07-04
(65)【公開番号】P2021011145
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2020-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000219705
【氏名又は名称】東海興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002033
【氏名又は名称】特許業務法人東名国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 真人
(72)【発明者】
【氏名】水谷 弘次
(72)【発明者】
【氏名】高橋 誠
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-168177(JP,A)
【文献】特開2001-354080(JP,A)
【文献】特開2006-088715(JP,A)
【文献】特開2004-306824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/00-10/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面形状の異なる第一車両用ドアシール材及び第二車両用ドアシール材の間を接続及び連結し、ドア及び車両本体の間をシールする接続用の車両用ドアシール材であって、
前記第一車両用ドアシール材の一端と接続する第一接続部と、
前記第二車両用ドアシール材の一端と接続する第二接続部と、
前記第一接続部及び前記第二接続部の間を連結するシール材連結部と
を具備し、
前記第一接続部は、
前記第一車両用ドアシール材の第一リップ部の端部と接続し、前記第一リップ部を延設する方向に沿って形成され、前記シール材連結部まで延びる第一延設リップ部を更に有し、
前記第二接続部は、
前記第二車両用ドアシール材の第二リップ部の端部と接続し、前記第二リップ部を延設する方向に沿って形成され、前記シール材連結部まで延びる第二延設リップ部を更に有し、
前記第一延設リップ部及び前記第二延設リップ部は、
前記シール材連結部において互いに離間して位置するとともに、前記シール材連結部の途中に至るまで延びた前記第一延設リップ部の先端の第一先端部の位置が前記シール材連結部の途中に至るまで延びた前記第二延設リップ部の先端の第二先端部の位置よりも前記第二車両用ドアシール材側に近接し、前記第二先端部の位置が前記第一先端部の位置よりも前記第一車両用ドアシール材側に近接し、前記第一延設リップ部の突出方向に対し、前記第二延設リップ部の突出方向が90°偏位し、前記シール材連結部の長手方向に沿って一部が重なり合って形成される車両用ドアシール材。
【請求項2】
前記第一車両用ドアシール材の長手方向に対し、前記第二車両用ドアシール材の長手方向が交差する箇所に位置する前記ドア及び前記車両本体のコーナーに配設される請求項1に記載の車両用ドアシール材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアシール材に関する。更に詳しくは、自動車のドアや車両本体(ボディ)に開口した車両開口部等の周縁に沿って取設され、ドアを閉じた際に弾性変形することで雨水等の車両内部への浸入等を防止するための車両用ドアシール材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ドアシール材(「車両用ウェザーストリップ部」とも呼称される。)は、可動部材としてのドア及び/または固定部材としての車両本体の車両開口部の周縁に沿って取設されている(例えば、特許文献1参照)。かかる車両用ドアシール材は、ドアを車両開口部に対して近接させ、閉める操作を行うことでドア及び車両本体の間に取設されたシール材が弾性変形し、挟まれた状態になる。
【0003】
これにより、車両用ドアシール材の弾性復元力(或いは、弾性反発力)によって、当該車両用ドアシール材がドアまたは車両本体に強く押し付けられることとなり、ドア及び車両本体の隙間を防ぎ、雨水等の浸入経路を遮断することができる。その結果、水、或いは水以外の塵や埃等の小さな夾雑物、アリ等の小さな昆虫等が車両内部へ侵入することを防いだり、車両外部の騒音や風などが侵入することを防いだりすることができる。車両用ドアシール材によって常に快適な車内空間を保つことができ、運転中等のドライバーや同乗者を不快にさせることがない。
【0004】
車両用ドアシール材の基本的な構成について詳述すると、例えば、図7に示されるように、車両用ドアシール材100は、ドアや車両本体等(図示しない)に周知の固定手段(例えば、クリップ部等)を介して固定されるシール基部101と、当該シール基部101と一体的に成形され、ドアを閉じた際にその一部が押し潰されて変形する中空構造のシール部102と、シール部102と一体的に成形され、シール部102の外面102aから外方向に向かって突出した板状若しくは舌状のリップ部103とを主に具備している。
【0005】
車両用ドアシール材は、弾性変形可能なゴム材料を主原料として形成され、所定の温度に加熱して粘度を調整した溶融性の主原料を押出成形技術や型成形技術(射出成形技術)等の周知の樹脂成形技術を用いて所望の形状に成形することができる。車両用ドアシール材は、ドア等の周縁に沿って取設されるため、一般的に長尺状の形状を呈している。
【0006】
そのため、主として、押出成形技術によって形成されることが多い。なお、図7は押出成形されたシール材の断面形状を模式的に示すものである。また、主原料として使用される弾性変形可能なゴム材料等の樹脂材料としては、例えば、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、或いはその他の熱可塑性エラストマー等が主に用いられる。
【0007】
上述したように、車両用ドアシール材は、ドアの周縁に沿って取設されるものであり、取設されるドアの位置や場所に応じて、それぞれの適したシール性を発揮させるために、シール部の断面形状や中空構造、リップ部の形状や大きさ、位置、突出方向等を種々変化させている。そのため、ドアの全周に対して車両用ドアシール材を取設しようとした場合、上記図7に示した一般的な形状の車両用ドアシール材とともに、異なる断面形状の車両用ドアシール材100同士を接続し、連結する接続用の車両用ドアシール材(以下、「接続用シール材」と称す。)が用いられている。
【0008】
かかる断面形状の異なるシール材同士の接続及び連結は、一般にドアのコーナー付近で行われることが多く、例えば、ドア上部の周縁に沿って略水平方向に取設された車両用ドアシール材(「一方のシール材」)と、ドア後部の周縁に沿って略鉛直方向に取設された車両用ドアシール材(「他方のシール材」)との間を接続するために、ドア上部及びドア後部の交差するコーナー付近にかかる当該接続用シール材が用いられている。なお、一方のシール材(または他方のシール材)と接続用シール材との接続は、例えば、互いに熱をかけながら圧力を加えることで接着(または接合)する熱接着等の周知の手法を用いて実施されている。
【0009】
ここで、互いに断面形状の異なる一対のシール材を接続し、連結するために、主にコーナー付近に配される接続用シール材は、下記に掲げる構成を備えている。一方のシール材の端部と接続される第一接続部と、他方のシール材の端部と接続される第二接続部と、第一接続部及び第二接続部の間を連結するシール材連結部とを主に備えている。
【0010】
このとき、第一接続部は、一方のシール材の断面形状と略一致する断面形状を有し、第二接続部は、他方のシール材の断面形状と略一致する断面形状を有している。更に、第一接続部及び第二接続部を連結するシール材連結部の断面形状は、第一接続部の断面形状から第二接続部の断面形状に徐々に変化するように形成されている。
【0011】
ここで、一方のシール材及び他方のシール材には、それぞれ雨水等を止水するためのリップ部が設けられている。かかるリップ部の大きさや突出方向は、シール材の取設位置が相違するためそれぞれ異なっている。そのため、一方のシール材と接続した第一接続部には、当該一方のシール材側のリップ部と接続し、延設された第一延設リップ部が形成され、他方のシール材と接続した第二接続部には、当該他方のシール材側のリップ部と接続し、延設された第二延設リップ部が形成されている。
【0012】
上記の通り、第一接続部及び第二接続部は、互いに断面形状を変化させながら連結されるため、第一延設リップ部及び第二延設リップ部の端部同士が直接連結されている。すなわち、第一延設リップ部及び第二延設リップ部のそれぞれの長手方向に対し、やや斜め方向に偏位しながら第一延設リップ部及び第二延設リップ部の端部がシール材連結部において連結される。このような構造を採用することで、第一延設リップ部及び第二延設リップ部が連結されるため、接続用シール材においてもシール性(止水性)を保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2016-78720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記の接続用シール材の場合、下記に掲げる不具合を生じる可能性があった。すなわち、接続用シール材のシール材連結部において、第一延設リップ部及び第二延設リップ部の端部同士が直接接続された構造のため、当該端部の接続箇所での変形が容易にできなくなることがあった。その結果、ドアの閉操作を行う際に、端部の接続箇所での変形のために大きな力が必要となった。すなわち、ドアの閉操作の際の反力が大きくなる傾向があった。
【0015】
その結果、通常よりも強い力でドアを閉める必要があり、手の力の弱い高齢者や子供ではドアを確実に閉めることができなくなるおそれがあった。すなわち、ドア閉まり性が従来と比較して悪化する可能性があった。
【0016】
そこで、本発明は上記実情に鑑み、断面形状の異なる二つの車両用ドアシール材を接続するための接続用の車両用ドアシール材であって、高いシール性を保持するとともに、小さな力でもドアを確実に閉めることの可能な良好なドア閉まり性を備えた車両用ドアシール材の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、上記課題を解決した車両用ドアシール材が提供される。
【0018】
[1] 断面形状の異なる第一車両用ドアシール材及び第二車両用ドアシール材の間を接続及び連結し、ドア及び車両本体の間をシールする接続用の車両用ドアシール材であって、前記第一車両用ドアシール材の一端と接続する第一接続部と、前記第二車両用ドアシール材の一端と接続する第二接続部と、前記第一接続部及び前記第二接続部の間を連結するシール材連結部とを具備し、前記第一接続部は、前記第一車両用ドアシール材の第一リップ部の端部と接続し、前記第一リップ部を延設する方向に沿って形成され、前記シール材連結部まで延びる第一延設リップ部を更に有し、前記第二接続部は、前記第二車両用ドアシール材の第二リップ部の端部と接続し、前記第二リップ部を延設する方向に沿って形成され、前記シール材連結部まで延びる第二延設リップ部を更に有し、前記第一延設リップ部及び前記第二延設リップ部は、前記シール材連結部において互いに離間して位置するとともに、前記シール材連結部の途中に至るまで延びた前記第一延設リップ部の先端の第一先端部の位置が前記シール材連結部の途中に至るまで延びた前記第二延設リップ部の先端の第二先端部の位置よりも前記第二車両用ドアシール材側に近接し、前記第二先端部の位置が前記第一先端部の位置よりも前記第一車両用ドアシール材側に近接し、前記第一延設リップ部の突出方向に対し、前記第二延設リップ部の突出方向が90°偏位し、前記シール材連結部の長手方向に沿って一部が重なり合って形成される車両用ドアシール材。
【0019】
[2] 前記第一車両用ドアシール材の長手方向に対し、前記第二車両用ドアシール材の長手方向が交差する箇所に位置する前記ドア及び前記車両本体のコーナーに配設される前記[1]に記載の車両用ドアシール材。
【発明の効果】
【0020】
本発明の車両用ドアシール材によれば、断面形状の異なる二種類の車両用ドアシール材を高いシール性を保持しつつ、ドアの閉操作の際の反力の影響を小さくし、良好なドア閉まり性の効果を奏することができる。特に、第一車両用シール材の長手方向及び第二車両用シール材の長手方向が交差するドアのコーナー付近での使用に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態の接続用シール材の取設位置の例を示す説明図である。
図2】接続用シール材の概略構成を示す説明図である。
図3】接続用シール材の概略構成を示す説明図である。
図4図3の第一接続部付近を示すA-A’線断面図である。
図5図3の第二接続部付近を示すB-B’線断面図である。
図6図3のシール材連結部付近を示すC-C’線断面図である。
図7】従来のシール材の概略構成を示す説明図である。
図8】従来の接続用シール材の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の車両用ドアシール材の実施の形態について説明する。なお、本発明の車両用ドアシール材は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、種々の設計の変更、修正、及び改良等を加え得るものである。
【0023】
本発明の一実施形態の車両用ドアシール材(以下、「接続用シール材1」と称す。)は、図1図6に示されるように、乗用車Cのドア上部UD及びドア後部RDが交じり合うコーナー2(図1における二点鎖線で囲まれた領域参照)の付近に取設されるものであり、ドア上部UDに沿って取設された第一車両用ドアシール材(以下、「第一シール材3」と称す。)、及び、ドア後部RDに沿って取設された第二車両用ドアシール材(以下、「第二シール材4」と称す。)の一端とそれぞれ接続し、連結するための接続用の車両用ドアシール材にかかるものである。
【0024】
すなわち、ドア上部UD及びドア後部RDにそれぞれ適するように形成され、互いに断面形状の相違する第一シール材3及び第二シール材4の間を接続し、連結するために使用されるものであり、かかる接続用シール材1を使用することで、第一シール材3及び第二シール材4が交差する領域での水等の車両内部への浸入を防止することができるものである。
【0025】
なお、ドア上部UDとは、図1に示されるように、乗用車CのドアDの上部に相当し、一方、ドア後部RDとは、乗用車CのリアピラーRP及び当該リアピラーRPと連設するリア側の車両本体(図示しない)と当接する箇所に相当する。すなわち、ドア後部RDは、ドアDの開閉動作を行った際に、当該ドアDの開閉軸(図示しない)に対して最も離間した箇所に位置する略鉛直方向に延びる周縁に沿って位置している。ここで、第一シール材3及び第二シール材4の構成については、従来から周知のものであるため、その詳細についての説明はここでは省略するものとする。
【0026】
本実施形態の接続用シール材1の具体的な構成について説明すると、図2及び図3等に主として示すように、接続用シール材1は、第一シール材3の端部3aと接続した第一接続部5と、第二シール材4の端部4aと接続した第二接続部6と、第一接続部5及び第二接続部6の間を連結するシール材連結部7とを具備して主に構成されている。これらの構成が第一シール材3等と同様に一体的に成形されている。
【0027】
なお、本実施形態の接続用シール材1、及び、第一シール材3及び第二シール材4は、それぞれ応力に対して弾性変形可能な樹脂材料を押出成形することで、各種構成が一体的に成形されたものである。本実施形態の接続用シール材1等は、かかる樹脂材料として、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(以下、「EPDM」と称す。)を主原料としたものが用いられている。
【0028】
ここで、接続用シール材1は、第一シール材3及び第二シール材4と同様に、ドアDのコーナー2付近の周縁に沿って取設されるものであり、内部に中空構造を呈するシール本体8を備えて構成されている(図4図6参照)。ここで、第一接続部5、第二接続部6、及びシール材連結部7の構成をまとめたものが上記シール本体8として構成されている。 接続用シール材1は、図4図6等に示されるように、ドアD(図4等の二点鎖線参照)にクリップCP等の固定手段を介して取り付けられる。
【0029】
ここで、図4図6には、ドアDに相対する車両本体Bが二点鎖線で現され、車両本体BにドアDを近接させた状態(閉状態)のものが示されている。但し、接続用シール材1については、弾性変形前の形状のものが図示されている。
【0030】
本実施形態の接続用シール材1は、図2及び図3に特に示されるように、接続用シール材1の一端側に設けられた第一接続部5は、上記の第一シール材3の断面形状と略一致する断面形状を備えるものであり、第一シール材3に形成された第一リップ部3bの端部と接続し、当該第一リップ部3bを延設する方向に沿って第一接続部5からシール材連結部7の途中に至るまで延びる第一延設リップ部9を更に有して構成されている。
【0031】
一方、接続用シール材の他端側に設けられた第二接続部6は、上記の第二シール材4の断面形状と略一致する断面形状を備えるものであり、第二シール材4に形成された第二リップ部4bの端部と接続し、当該第二リップ部4bを延設する方向に沿って第二接続部6からシール材連結部7の途中に至るまで延びる第二延設リップ部10を更に有して構成されている。
【0032】
シール材連結部7は、上記第一接続部5及び第二接続部6とそれぞれ接続し、互いに異なる第一接続部5及び第二接続部6の断面形状を徐々に変化させながら連結するものである。すなわち、第一シール材3と第一接続部5との境界部分の断面形状が、第一接続部5を経てシール材連結部7に至り、更にシール材連結部7と接続した第二接続部6を介し、第二シール材4と第二接続部6との境界部分に到達するまでに滑らかな断面形状の変化が認められるものである。
【0033】
前述のしたように、接続用シール材1は、上記第一接続部5、第二接続部6、及びシール材連結部7が樹脂材料等の射出成形により一体的に成形されたものである。一方、接続用シール材1と第一シール材3或いは第二シール材4とはそれぞれ別構成で形成されている。そのため、かかる接続用シール材1と第一シール材3等の接続は、周知の熱接着等の技術を用いることができる。これにより、接続用シール材1は第一シール材3または第二シール材4と確実に接続することができる。
【0034】
更に、図2及び図3に示されるように、第一接続部5及び第二接続部6の間に形成されたシール材連結部7には、第一接続部5から延設された第一延設リップ部9及び第二接続部6から延設された第二延設リップ部10がそれぞれ到達している。ここで、図2及び図3に示されるように、第一延設リップ部9及び第二延設リップ部10は、互いに離間して配設され、突出方向が約90°偏位している。すなわち、第一延設リップ部9及び第二延設リップ部10は、それぞれ独立してシール材連結部7の表面に配置されている。
【0035】
加えて、第一延設リップ部9の先端の第一先端部9aの位置は、第二延設リップ部10の先端の第二先端部10aより第二シール材4側にあり、一方、第二延設リップ部10の第二先端部10aは、第一シール材3側にある。すなわち、第一延設リップ部9及び第二延設リップ部10のそれぞれの先端(第一先端部9a、第二先端部10a)が図2及び図3における紙面上下方向、及び、紙面左右方向にそれぞれ「ずれた状態」で位置している。これにより、第一延設リップ部9及び第二延設リップ部10は、シール材連結部7において長手方向(図2及び図3における紙面上下方向に相当)に沿って一部が重なり合って形成される。
【0036】
なお、図4図6は、既に説明したように、図3に示された本実施形態の接続用シール材1のA-A’線、B-B’線、及びC-C’線におけるそれぞれの断面図を示したものである。かかる断面図から明らかなように、図4の第一接続部5の領域におけるA-A’線断面図には、第一延設リップ部9が示され、一方、図5の第二接続部6の領域におけるB-B’線断面図には、第二延設リップ部10が示されている。
【0037】
これに対し、第一接続部5及び第二接続部6の間に設けられたシール材連結部7の領域におけるC-C’線断面図には、第一延設リップ部9及び第二延設リップ部10が互いに離間した位置にそれぞれ示されている。また、第一延設リップ部9及び第二延設リップ部10の間には、接続用シール材1の変形時において当該変形を規制するような構成は存在しない。その結果、ドアDの閉操作において、無用な力(反力)が発生することがなく、良好なドア閉まり性を維持することができる。
【0038】
なお、図6の対比として、従来の接続用シール材104におけるC-C’線断面図の例を図8に示す。この場合、第一延設リップ部105及び第二延設リップ部106の間をつなぐ接続片107(図8におけるハッチング領域参照)が設けられる。すなわち、接続片107の存在によって、接続用シール材104が変形しようとした場合、第一延設リップ部105及びシール材連結部108の変形が著しく阻害される可能性がある。その結果、ドアDを閉じる際に反力が発生し、ドア閉まり性が悪化する可能性が高くなる。
【0039】
これに対し、本実施形態の接続用シール材1は、図6に示されるように、シール材連結部7における第一延設リップ部9及び第二延設リップ部10がそれぞれ互いに離間して配設され、双方の変形を規制するものがない。その結果、図8に示される接続片107のように変形にかかる反力を発生させることがない。したがって、良好なドア閉まり性が維持される。
【0040】
加えて、第一延設リップ部9の第一先端部9aが、第二延設リップ部10の第二先端部10aよりも第二シール材4側に近接して位置し、他方、第二先端部10aが第一先端部9aよりも第一シール材3側に近接するように配置されている。これにより、第一延設リップ部9及び第二延設リップ部10が長手方向において一部が必然的に重なるように形成されている。そのため、接続用シール材1の取設されたコーナー2の付近から水等が浸入した場合であっても、第一延設リップ部9または第二延設リップ部10のいずれかによって当該水の浸入を防ぐことができる。そのため、車両外部から車両内部への水等の浸入を防止することができる。すなわち、シール性を維持することができる。
【0041】
上記に示した通り、本実施形態の接続用シール材1は、シール材連結部7において第一延設リップ部9及び第二延設リップ部10が互いに離間し、かつ独立して配設され、第一延設リップ部9の第一先端部9a及び第二延設リップ部10の第二先端部10aが上下方向及び左右方向にずれて位置する特殊な構造を備えている。これにより、ドアDの閉操作において反力が発生することがなく、良好なドア閉まり性を確保することができる。
【0042】
更に、第一延設リップ部9及び第二延設リップ部10が長手方向において一部が重なるように配設されるため、十分なシール性を保持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の接続用シール材(車両用ドアシール材)は、乗用車や産業用或いは農業等の各種車両のドアまたは車体開口部等に取設可能であり、その他の種々の産業技術分野において利用可能性が期待される。特に、二つの車両用ドアシール材の長手方向が交差するコーナー付近での使用が好適である。
【符号の説明】
【0044】
1,104:接続用シール材(車両用ドアシール材)、2:コーナー、3:第一シール材(第一車両用ドアシール材)、3a,4a:端部、3b:第一リップ部、4:第二シール材(第二車両用ドアシール材)、4b:第二リップ部、5:第一接続部、6:第二接続部、7,108:シール材連結部、8:シール本体、9,105:第一延設リップ部、9a:第一先端部、10、106:第二延設リップ部、10a:第二先端部、100:車両用ドアシール材、101:シール基部、102:シール部、102a:外面、103:リップ部、107:接続片、B:車両本体、C:乗用車、CP:クリップ、D:ドア、RD:ドア後部、RP:リアピラー、UD:ドア上部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8