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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-20
(45)【発行日】2022-05-30
(54)【発明の名称】内側布片を有する衣類
(51)【国際特許分類】
   A41B 9/04 20060101AFI20220523BHJP
   A41B 9/08 20060101ALI20220523BHJP
【FI】
A41B9/04 E
A41B9/04 C
A41B9/04 B
A41B9/08
A41B9/04 F
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019511923
(86)(22)【出願日】2017-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 US2017048223
(87)【国際公開番号】W WO2018044651
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-08-24
(31)【優先権主張番号】62/381,986
(32)【優先日】2016-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/681,951
(32)【優先日】2017-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510132406
【氏名又は名称】エイチビーアイ ブランデッド アパレル エンタープライゼズ,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】HBI Branded Apparel Enterprises,LLC
【住所又は居所原語表記】1000 East Hanes Mill Road 27105 Winston-Salem NC, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100097320
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 貞二
(74)【代理人】
【識別番号】100155192
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 美代子
(74)【代理人】
【識別番号】100131820
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 俊幸
(74)【代理人】
【識別番号】100215049
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100100398
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 茂夫
(72)【発明者】
【氏名】ワイツ,サンドラ アン
(72)【発明者】
【氏名】シャノン,キャサリン
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0359920(US,A1)
【文献】特開平11-061508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 9/00- 9/16
A41B13/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹部域と股下域とを備える第1の生地層であって、前記股下域は第1の脚開口部と第2の脚開口部とによって画成される、前記第1の生地層と;
前記股下域及び前記腹部域にて前記第1の生地層に固定される第2の生地層であって、これにより、前記第1の脚開口部の付近における前記第1の生地層と前記第2の生地層との間に第1の開口部を画成し、前記第2の脚開口部の付近における前記第1の生地層と前記第2の生地層との間に第2の開口部を画成する、前記第2の生地層と;を備え
前記第1の開口部は、前記第2の生地層の第1の縁に沿って画成され、前記第2の開口部は、前記第2の生地層の第2の縁に沿って画成され、
前記第1の縁は真っ直ぐな縁であり、及び、前記第2の縁は真っ直ぐな縁であり、
前記第2の生地層は、前記股下域の上端及び前記腹部域にて、前記第1の生地層に縫着されて、前記股下域の上端に第1の縫目と前記腹部域に第2の縫目とを生成し、
前記腹部域における前記第2の生地層の幅は、前記股下域における前記第2の生地層の幅を超え、前記第2の縫目の長さは、前記第1の縫目の長さを超え、
前記第2の生地層は、着用時に前記股下域における垂直方向の引きによって生じる張力を前記腹部域にかけて配分することで、前記第1の脚開口部及び前記第2の脚開口部における張力を解放するように構成される、
婦人用下着。
【請求項2】
前記第1の生地層は、胴中部域を備える、
請求項1に記載の婦人用下着。
【請求項3】
前記第1の生地層は、胸部域を備える、
請求項1に記載の婦人用下着。
【請求項4】
前記第1の生地層は、腕開口部を画成する肩ストラップを備える、
請求項2に記載の婦人用下着。
【請求項5】
前記第2の生地層は、実質的に台形状又は五角形状に整形される、
請求項1に記載の婦人用下着。
【請求項6】
前記第2の生地層は、実質的に山型状又は切頭山型状に整形される、
請求項1に記載の婦人用下着。
【請求項7】
前記第1の生地層は、レース部を備える、
請求項1に記載の婦人用下着。
【請求項8】
前記第2の生地層は、メッシュ生地を備える、
請求項1に記載の婦人用下着。
【請求項9】
前記股下域における前記第1の縫目は連続した縫目であり、前記腹部域における前記第2の縫目は連続した縫目である、
請求項に記載の婦人用下着。
【請求項10】
前記股下域は閉じ布片を備え、前記閉じ布片の第1の部分は前記閉じ布片の第2の部分と重なってこれに固定されて前記第1の脚開口部と前記第2の脚開口部とを画成する、
請求項1に記載の婦人用下着。
【請求項11】
前記閉じ布片はかぎ留め閉じ布片であり、前記閉じ布片の前記第1の部分はかぎを備え、前記閉じ布片の前記第2の部分は輪穴を備える、
請求項10に記載の婦人用下着。
【請求項12】
前記閉じ布片の前記第1の部分は前記閉じ布片の前記第1の部分の自由端に向かって先細りで幅狭であり、前記閉じ布片の前記第2の部分は前記閉じ布片の前記第2の部分の自由端に向かって先細りで幅狭である、
請求項10に記載の婦人用下着。
【請求項13】
前記閉じ布片の前記第1の部分と前記閉じ布片の前記第2の部分とはフォールドオーバエラスティックで縁取りされ、それにより前記フォールドオーバエラスティックが、前記第1の脚開口部の一部と前記第2の脚開口部の一部とを画成する、
請求項10に記載の婦人用下着。
【請求項14】
前記閉じ布片の前記第1の部分と前記閉じ布片の前記第2の部分とはマイクロファイバフォールドオーバエラスティックで縁取りされ、それにより前記マイクロファイバフォールドオーバエラスティックが、前記第1の脚開口部の一部と前記第2の脚開口部の一部とを画成する、
請求項13に記載の婦人用下着。
【請求項15】
腹部域と股下域とを備える第1の生地層を形成するステップであって、前記股下域は、第1の脚開口部と第2の脚開口部とにより画成される、前記形成するステップと;
前記股下域及び前記腹部域にて前記第1の生地層に第2の生地層を固定するステップであって、それにより、前記第1の脚開口部の付近における前記第1の生地層と前記第2の生地層との間に第1の開口部を画成し、前記第2の脚開口部の付近における前記第1の生地層と前記第2の生地層との間に第2の開口部を画成する、前記固定するステップと;を備え
前記股下域及び前記腹部域にて前記第1の生地層に前記第2の生地層を固定する前記ステップは、第1の縫目と第2の縫目とをそれぞれ得るために、前記股下域の上端及び前記腹部域にて前記第1の生地層に前記第2の生地層を縫着するステップを備え、
前記腹部域における前記第2の生地層の幅は、前記股下域における前記第2の生地層の幅を超え、前記第2の縫目の長さは、前記第1の縫目の長さを超え、
前記第1の開口部は、前記第2の生地層の第1の縁に沿って画成され、前記第2の開口部は、前記第2の生地層の第2の縁に沿って画成され、
前記第1の縁は真っ直ぐな縁であり、及び、前記第2の縁は真っ直ぐな縁であり、
前記第2の生地層は、着用時に前記股下域における垂直方向の引きによって生じる張力を前記腹部域にかけて配分することで、前記第1の脚開口部及び前記第2の脚開口部における張力を解放するように構成される、
婦人用下着の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2016年8月31日に出願された米国特許出願第62/381,986号、及び2017年8月21日に出願された米国特許出願第15/681,951号の利益を請求し、両出願とも「GARMENT WITH INNER PANEL(内側布片を有する衣類)」と題され、それら両出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、腹部域から股下域まで延在する内側布片(インナーパネル)を有する衣類に関し、内側布片は、衣類の脚開口部と前中央部の張力(tension)及び引き力(pull)をマチ縫目のところで再配分するように設計されている。
【背景技術】
【0003】
下着、特に、ブリーフやボディブリーファのような婦人用下着は、その着用時に、脚の周りと脚の前中央に圧覚点を生じることが多い。これらの圧覚点の発生は、設計と構造、そして、生地、及びこれらを作っている閉じ布片のような構成要素に起因する可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
第1の概括的な態様では、婦人用下着は腹部域及び股下域を有する第1の生地層を含み、第2の生地層は股下域及び腹部域にて第1の生地層に固定されている。股下域は第1の脚開口部と第2の脚開口部とにより画成されている。股下域及び腹部域にて第1の生地層に固定された第2の生地層は、第1の脚開口部付近における第1の生地層と第2の生地層との間に第1の開口部を、第2の脚開口部付近における第1の生地層と第2の生地層との間に第2の開口部を画成する。
【0005】
第2の概括的な態様では、婦人用下着を製造する方法は、腹部域及び股下域を有する第1の生地層を形成し、第2の生地層を股下域及び腹部域にて第1の生地層に固定するステップを含む。股下域は、第1の脚開口部と第2の脚開口部とにより画成される。第2の生地層を股下域及び腹部域にて第1の生地層に固定するステップは、第1の脚開口部付近における第1の生地層と第2の生地層との間に第1の開口部を、第2の脚開口部付近における第1の生地層と第2の生地層との間に第2の開口部を画成する。
【0006】
第1と第2の概括的な態様の実施は、以下の特徴を1つ以上含むことができる。
【0007】
実施によっては、腹部域における第2の生地層の幅は、股下域における第2の生地層の幅を超える。実施例によっては、第2の層は実質的に台形状又は五角形状に成形される。実施例によっては、第2の層は実質的に山型状又は切頭山型状に整形される。第2の層はメッシュ生地を含むことができる。典型的には、第2の生地層は、着用時に股下域における垂直方向の引き力を腹部域にかけて配分することで、第1の脚開口部及び第2の脚開口部における張力を解放するように構成されている。
【0008】
実施によっては、第1の層は胴中部域、胸部域、又は両方を含む。第1の層は、腕開口部を画成する肩ストラップを含んでよい。第1の層はレース部を含んでよい。
【0009】
実施によっては、第2の生地層を股下域及び腹部域にて第1の生地層に縫着して、股下域における縫目と腹部域における縫目とを得ている。股下域における縫目と腹部域における縫目とは、両方とも連続した縫目であってよい。腹部域における縫目の長さは、典型的には、股下域における縫目の長さを超える。
【0010】
実施によっては、股下域は閉じ布片を含み、閉じ布片の第1の部分は閉じ布片の第2の部分と重なり、これに固定されて、第1の脚開口部と第2の脚開口部とを画成する。閉じ布片はかぎ留め閉じ布片であってよく、閉じ布片の第1の部分はかぎ(ホック、フック)を含み、閉じ布片の第2の部分は輪穴(ループ)を含む。閉じ布片の第1の部分は、典型的には、閉じ布片の第1の部分の自由端に向かって先細りで幅狭になっており、閉じ布片の第2の部分は、典型的には、閉じ布片の第2の部分の自由端に向かって先細りで幅狭になっている。閉じ布片の第1の部分と閉じ布片の第2の部分とはフォールドオーバエラスティック(折り重ね伸縮素材)で縁取りされてもよく、フォールドオーバエラスティックが第1の脚開口部の一部と第2の脚開口部の一部とを画成する。閉じ布片の第1の部分と閉じ布片の第2の部分とはマイクロファイバフォールドオーバエラスティックで縁取りされてもよく、マイクロファイバフォールドオーバエラスティックが第1の脚開口部の一部と第2の脚開口部の一部とを画成する。
【0011】
第2の概括的な態様の実施は以下の特徴を1つ以上含むことができる。
【0012】
第2の生地層を股下域及び腹部域にて第1の生地層に固定するステップは、第2の生地層を股下域及び腹部域にて第1の生地層に縫着して、第1の縫目及び第2の縫目のそれぞれを得られるようにするステップを含むことができる。第2の縫目の長さは第1の縫目の長さを超えることができる。
【0013】
ここで述べる下着の利点は、着用時に垂直方向の引きによって狭い股下域に生じた張力を広い腹部域へ再配分するという利点を含む。この張力再配分が着用者の脚に沿ってより均等な引きを提供するので、脚開口部における張力は減少又は除去され、共通する圧覚点は減少又は除去され、そして着用者を覆う面積が増えるとともに、より快適に、より美しくフィットする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】着用者の腹部域から股下域まで延在する内側布片を有する第1の例示の衣類の一部を示す。
【0015】
図2A図1の衣類の実施例の図である。
図2B図1の衣類の実施例の図である。
図2C図1の衣類の実施例の図である。
図2D図1の衣類の実施例の図である。
【0016】
図3】着用者の腹部域から股下域まで延在する内側布片を有する第2の例示の衣類の一部を示す。
【0017】
図4A図3の衣類の実施例の図である。
図4B図3の衣類の実施例の図である。
図4C図3の衣類の実施例の図である。
図4D図3の衣類の実施例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、例示の衣類100の、第1の生地層102と第2の生地層104とを有する前外側の部分を示す。衣類100は、典型的には、ブリーフのような婦人用下着である。
【0019】
第1の生地層102は、一緒に縫製又は他の方法で固定されて腹部域106と股下域(又はマチ範囲)108とを有するシェル(shell、外部構造)を形成する1種以上の生地を1枚以上含んでよい。場合によっては、第1の生地層102の一部はレースを含む。股下域108は脚開口部110によって画成される。場合によっては、第1の生地層102は胴中部域112を含む。
【0020】
第2の生地層104は、衣類100の外側からは見えないので、第1の生地層102に関連する位置を示すよう網掛け表示されている。第2の生地層104を、第1の生地層102にある生地と同じ又は異なる生地で形成してもよい。一の実施例では、第2の生地層104はメッシュ生地で形成される。第2の生地層104は腹部域106及び股下域108にて第1の生地層102に固定される。場合によっては、第2の生地層104は、腹部域106及び股下域108のそれぞれで、縫目114及び縫目116により第1の生地層に固定される。縫目全長に沿って第2の生地層104を第1の生地層102に固定するよう、縫目114及び縫目116は曲がった連続縫目であっても、角のある(角度のある)連続縫目であってもよい。縫目114及び縫目116は、第1の生地層102と第2の生地層106との間に開口部118を画成する。典型的には、開口部118は腹部域106から股下域108まで(例えば、縫目114から縫目116まで)延在するので、第2の生地層104は、第1の生地層102に対して「浮く」ことができる。開口部118における第2の生地層104の縁122は、快適さと伸縮性を増進するように仕上げでもよい。一の実施例では、縁122はフォールドオーバマイクロファイバエラスティック(マイクロファイバ折り重ね伸縮素材)で仕上げられる。
【0021】
第2の生地層104は、典型的には、縫目114と116との間における第1の生地層102の長さと、第2の生地層104の長さとが実質的に同一になるようにサイズ取りされ、第1の生地層102に固定される。つまり、衣類100の、縫目114と116との間の範囲は、一方の生地が他方の生地に対して大きく余ってしまうということはなく、普通は、平面上で平坦になる。腹部域106における第2の生地層104の幅(つまり、ライン120に沿う長さ)は、典型的には、股下域108における第2の生地層の幅を超える。したがって、縫目114の長さは、典型的には、縫目116の長さを超える。場合によっては、第2の生地層104は、図1に示すように、実質的に、切頭山型状に整形される。場合によっては(例えば、第2の生地層104がライン120まで延在する場合)、第2の生地層104は実質的に台形(例えば、等脚台形)状に整形される。
【0022】
形状や開口部118の存在などの、第2の生地層104の造作(フィーチャ)により、着用時に、第1の生地層の狭い股下域における垂直方向の引きより生じた張力が、広い腹部域へ再配分される。この張力再配分により、着用者の両脚に沿ってより均等な引き力が提供されるので、脚開口部における張力は減少又は除去され、共通する圧覚点は減少又は除去され、そして着用者を覆う面積が増えるとともに、より快適に、より美しくフィットする。図1の垂直方向矢印は、股下域における垂直方向の引き力の、より幅広な腹部域にかけての配分を示す。
【0023】
図2A乃至図2Dは、図1に関連して述べる衣類の実施例を示す。具体的には、衣類200はブリーフである。図2Aは、腹部域206と、股下域208と、胴中部域212とを有する第1の生地層202を含む、衣類200の前外側を示す。第1の生地層202はレース部213を含む。股下域208は脚開口部210を画成する。図2Bは、衣類200の外側股下域208の拡大図を示す。図2Cは、第2の生地層204が腹部域206及び股下域208にて第1の生地層202に固定された、衣類200の前内側を示す。第2の生地層204はメッシュ生地である。開口部218を強調するために、図中、第1の生地層202と第2の生地層204との間に手が描かれている。図2Dは、衣類200の内側股下域208の拡大図を示す。衣類200では、第2の生地層204が実質的に切頭山型状に整形されている。図2Dに示すように、縫目214及び縫目216は連続しており、腹部域206で第2の生地層204を第1の生地層202に固定する縫目214の長さは、股下域208で第2の生地層を第1の生地層に固定する縫目216の長さを超える。開口部218の縁222はフォールドオーバエラスティックに封入される。
【0024】
図3は、例示の衣類300の、第1の生地層302と第2の生地層304とを有する前外側部分を示す。衣類300は、典型的にはボディブリーファのような婦人用下着である。
【0025】
第1の生地層302は、一緒に縫製又は他の方法で固定されて腹部域306と股下域(又はマチ範囲)308とを有するシェルを形成する1種以上の生地を1枚以上含んでよい。場合によっては、第1の生地層302の一部はレースを含む。股下域308はここで述べているように閉じ布片を含み、脚開口部310によって画成される。第1の生地層302は、胴中部域312と、胸部域と、更に、腕開口部(不図示)を画成する肩ストラップとを含む。
【0026】
第2の生地層304は、衣類300の外側からは見えないので、第1の生地層302に関連するその位置を示すために網掛け表示されている。第2の生地層304を、第1の生地層302に在る生地と同じ又は異なる生地で形成してもよい。一の実施例では、第2の生地層304はメッシュ生地で形成される。第2の生地層304は、腹部域306及び股下域308にて第1の生地層302に固定される。場合によっては、第2の生地層304は、腹部域306及び股下域308のそれぞれにて、縫目314及び縫目316により第1の生地層に固定される。縫目全長に沿って第2の生地層304を第1の生地層302に固定するよう、縫目314及び縫目316は曲がった連続縫目であっても、角のある連続縫目であってもよい。縫目314及び316は、第1の生地層302と第2の生地層304との間に開口部318を画成する。典型的には、開口部318は腹部域306から股下域308まで(例えば、縫目314から縫目316まで)延在するので、第2の生地層304は、第1の生地層302に対して「浮く」ことができる。開口部318における第2の生地層304の縁322を、快適さと伸縮性を増進するように仕上げてもよい。一の実施例では、縁322はフォールドオーバマイクロファイバエラスティックで仕上げられる。
【0027】
第2の生地層304は、典型的には、縫目314と316との間における第1の生地層302の長さと、第2の生地層304の長さとが実質的に同一になるようにサイズ取りされ、第1の生地層302に固定される。つまり、衣類300の縫目314と316との間の範囲は、一方の生地が他方の生地に対して大きく余ってしまうということはなく、普通は、平面上で平坦になる。腹部域306における第2の生地層304の幅(つまり、ライン320に沿う長さ)は、典型的には、股下域308における第2の生地層の幅を超える。したがって、典型的に、縫目314の長さは縫目316の長さを超える。場合によっては、第2の生地層304は、図3に示すように、実質的に、切頭山型状に整形される。場合によっては(例えば、第2の生地層304がライン320まで延在している場合)、第2の生地層304は実質的に五角形状に整形される。
【0028】
股下域308は閉じ布片324を含む。硬い芯地が無い閉じ布片324は軟かくしなやかであり、着用時に快適さをもたらす。閉じ布片324の第1の部分326は閉じ布片の第2の部分328と重なり、これに固定されて脚開口部310を画成する。典型的には、閉じ布片324はかぎ留め(かぎホック留め)閉じ布片であり、閉じ布片の第1の部分326は複数のかぎ(例えば、かぎ列)330を有し、閉じ布片の第2の部分328は複数の輪穴(例えば、1列以上の輪穴列)332を有する。着用時の擦りむきを減らすために、閉じ布片324の第1の部分326は自由端334に向かって先細りで幅狭になり、閉じ布片の第2の部分328は自由端336に向かって先細りで幅狭になる。閉じ布片324は、軟らかな伸縮材料(例えば、マイクロファイバーフォールドオーバエラスティック(マイクロファイバ折り重ね伸縮素材)で仕上げた縁338を有し、これが着用時に脚開口部310の一部を画成する。縁338は、使用中に鋭い縁が露出しないようにする。
【0029】
形状や開口部318の存在などの、第2の生地層304の造作(フィーチャ)により、着用時に、第1の生地層302の狭い股下域308における垂直方向の引きにより生じた張力は、広い腹部域306へ再配分される。この張力再配分により、着用者の両脚に沿ってより均等な引き力が提供されるので、脚開口部における張力は減少又は除去され、共通する圧覚点は減少又は除去され、そして着用者を覆う面積が増えるとともに、より快適に、より美しくフィットする。図3の垂直方向の矢印は、股下域における垂直方向の引きの、より幅広の腹部域にかけての配分を示す。
【0030】
図4A乃至図4Dは、図3に関して述べる衣類の実施例の図を示す。具体的に言えば、衣類400はボディブリーファである。図4Aは衣類400の前外側を示し、この前外側は、腹部域406と、股下域408と、胴中部域412と、胸部域440と、腕開口部444を画成する肩ストラップ442とを有する第1の生地層402を含む。第1の生地層402はレース部413を含む。閉じ布片424を有する股下域408は脚開口部410を画成する。図4Bは、衣類400の、閉じ布片424を有する外側股下域408の拡大図を示す。図4Cは衣類400の前内側を示し、この前内側は、腹部域406及び股下域408のそれぞれの縫目414及び縫目416にて第1の生地層402に固定された第2の生地層404と、閉じ布片424の第1の部分426及び第2の部分428とを有する。衣類400では、第2の生地層404は実質的に山型状に整形されている。第2の生地層404はメッシュ生地である。縫目414及び縫目416は角度付きであり、連続している。腹部域406にて第2の生地層404を第1の生地層402に固定する縫目414の長さは、股下域408にて第2の生地層を第1の生地層に固定する縫目416の長さを超える。図4Dは、先細りの第1の部分426と先細りの第2の部分428とを有する閉じ布片424の拡大図を示す。開口部の縁438はフォールドオーバエラスティックに封入される。
【0031】
ここで述べる衣類の製造方法は、腹部域と股下域とを備える第1の生地層を形成するステップを含み、ここで、股下域は、第1の脚開口部と第2の脚開口部とによって画成される。第2の生地層は、股下域及び腹部域にて第1の生地層に固定され、よって、第1の脚開口部の付近における第1の生地層と第2の生地層との間に第1の開口部を画成し、第2の脚開口部の付近における第1の生地層と第2の生地層との間に第2の開口部を画成する。股下域及び腹部域にて第2の生地層を第1の生地層に固定するステップは、股下域及び腹部域にて第2の生地層を第1の生地層に縫着することにより、第1の縫目と第2の縫目のそれぞれを得るステップを含むことができる。普通、第2の縫目の長さは第1の縫目の長さを超える。
【0032】
ここでの記載に鑑み、様々な態様の更なる改変及び代替の実施の形態は、当業者にとっては容易に明らかになろう。したがって、ここでの説明は単なる例示として解釈するものとする。ここに図示し、説明する各形態は、実施の形態の例と見なすものとする。要素及び素材は、ここで例示し述べたものと置き換えることができ、部品及び工程を逆にすることができ、特定の特徴を単独で取り入れることができるが、これらはいずれも、その説明による便益を受けた当業者にとって容易に明らかになろう。付帯する特許請求の範囲で述べる主旨及び範囲から逸脱することなく、ここで述べた要素に変更を加えることができる。
[第1の局面]
腹部域と股下域とを備える第1の生地層であって、前記股下域は第1の脚開口部と第2の脚開口部とによって画成される、前記第1の生地層と;
前記股下域及び前記腹部域にて前記第1の生地層に固定される第2の生地層であって、これにより、前記第1の脚開口部の付近における前記第1の生地層と前記第2の生地層との間に第1の開口部を画成し、前記第2の脚開口部の付近における前記第1の生地層と前記第2の生地層との間に第2の開口部を画成する、前記第2の生地層と;を備える、
婦人用下着。
[第2の局面]
前記腹部域における前記第2の生地層の幅は、前記股下域における前記第2の生地層の幅を超える、
第1の局面に記載の婦人用下着。
[第3の局面]
前記第2の生地層は、着用時に前記股下域における垂直方向の引きを前記腹部域にかけて配分することで、前記第1の脚開口部及び前記第2の脚開口部における張力を解放するように構成される、
第1の局面に記載の婦人用下着。
[第4の局面]
前記第1の層は、胴中部域を備える、
第1の局面に記載の婦人用下着。
[第5の局面]
前記第1の層は、胸部域を備える、
第1の局面に記載の婦人用下着。
[第6の局面]
前記第1の層は、腕開口部を画成する肩ストラップを備える、
第4の局面に記載の婦人用下着。
[第7の局面]
前記第2の層は、実質的に台形状又は五角形状に整形される、
第1の局面に記載の婦人用下着。
[第8の局面]
前記第2の層は、実質的に山型状又は切頭山型状に整形される、
第1の局面に記載の婦人用下着。
[第9の局面]
前記第1の層は、レース部を備える、
第1の局面に記載の婦人用下着。
[第10の局面]
前記第2の層は、メッシュ生地を備える、
第1の局面に記載の婦人用下着。
[第11の局面]
前記第2の生地層は、前記股下域及び前記腹部域にて前記第1の生地層に縫着されて前記股下域における縫目と前記腹部域における縫目とを生成する、
第1の局面に記載の婦人用下着。
[第12の局面]
前記股下域における前記縫目は連続した縫目であり、前記腹部域における前記縫目は連続した縫目である、
第11の局面に記載の婦人用下着。
[第13の局面]
前記腹部域における前記縫目の長さは、前記股下域における前記縫目の長さを超える、
第11の局面に記載の婦人用下着。
[第14の局面]
前記股下域は閉じ布片を備え、前記閉じ布片の第1の部分は前記閉じ布片の第2の部分と重なってこれに固定されて前記第1の脚開口部と前記第2の脚開口部とを画成する、
第1の局面に記載の婦人用下着。
[第15の局面]
前記閉じ布片はかぎ留め閉じ布片であり、前記閉じ布片の前記第1の部分はかぎを備え、前記閉じ布片の前記第2の部分は輪穴を備える、
第14の局面に記載の婦人用下着。
[第16の局面]
前記閉じ布片の前記第1の部分は前記閉じ布片の前記第1の部分の自由端に向かって先細りで幅狭であり、前記閉じ布片の前記第2の部分は前記閉じ布片の前記第2の部分の自由端に向かって先細りで幅狭である、
第14の局面に記載の婦人用下着。
[第17の局面]
前記閉じ布片の前記第1の部分と前記閉じ布片の前記第2の部分とはフォールドオーバエラスティックで縁取りされ、それにより前記フォールドオーバエラスティックが、前記第1の脚開口部の一部と前記第2の脚開口部の一部とを画成する、
第14の局面に記載の婦人用下着。
[第18の局面]
前記閉じ布片の前記第1の部分と前記閉じ布片の前記第2の部分とはマイクロファイバフォールドオーバエラスティックで縁取りされ、それにより前記マイクロファイバフォールドオーバエラスティックが、前記第1の脚開口部の一部と前記第2の脚開口部の一部とを画成する、
第17の局面に記載の婦人用下着。
[第19の局面]
腹部域と股下域とを備える第1の生地層を形成するステップであって、前記股下域は、第1の脚開口部と第2の脚開口部とにより画成される、前記形成するステップと;
前記股下域及び前記腹部域にて前記第1の生地層に第2の生地層を固定するステップであって、それにより、前記第1の脚開口部の付近における前記第1の生地層と前記第2の生地層との間に第1の開口部を画成し、前記第2の脚開口部の付近における前記第1の生地層と前記第2の生地層との間に第2の開口部を画成する、前記固定するステップと;を備える、
婦人用下着の製造方法。
[第20の局面]
前記股下域及び前記腹部域にて前記第1の生地層に前記第2の生地層を固定する前記ステップは、第1の縫目と第2の縫目とをそれぞれ得るために、前記股下域及び前記腹部域にて前記第1の生地層に前記第2の生地層を縫着するステップを備える、
第19の局面に記載の方法。
[第21の局面]
前記第2の縫目の長さは、前記第1の縫目の長さを超える、
第20の局面に記載の方法。
【符号の説明】
【0033】
100,200,300,400 衣類
102,202,302,402 第1の生地層
104,204,304,404 第2の生地層
106,206,306,406 腹部域
108,208,308,408 股下域
110,210,310,410 脚開口部
112,212,312,412 胴中部域
114,116,214,216,314,316,414,416 縫目
118,218,318 開口部
120,320 ライン
122,222,322,338,438 縁
213,413 レース部
324,424 閉じ布片
326,426 第1の部分
328,428 第2の部分
330 かぎ
332 輪穴
334,336 自由端
440 胸部域
442 肩ストラップ
444 腕開口部
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図4D